JP2005348693A - ラッカーゼ作用により得られる色素、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、新規色素および新規色素の製造方法に関する。
【解決手段】 ラッカーゼの基質となる色素化合物に、メディエーター存在下または非存在下で、ラッカーゼを作用させることにより、新規色素が提供される。
【選択図】 なし
【解決手段】 ラッカーゼの基質となる色素化合物に、メディエーター存在下または非存在下で、ラッカーゼを作用させることにより、新規色素が提供される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、担子菌、特にシイタケが生産するラッカーゼの作用により生成する新規色素、およびラッカーゼを用いる色素を製造する方法に関する。
ラッカーゼは、漆から初めて単離された酵素であり、各種の微生物・菌類も含有することが知られている。ラッカーゼとは、ヒドロキノン、ポリフェノール、p-フェニレンジアミン、アスコルビン酸、シアニン色素などを酸化する酵素で、漆塗料の原料に不可欠な酵素として古くから利用されている重要な酵素の一つである。また、菌類特に木材腐朽菌のラッカーゼは、リグニン分解において重要な役割を果たす酵素として、製紙工業においても利用されている。また、最近では、木材腐朽菌のリグニン分解酵素系が環境汚染物質の分解に有効であり、その中でラッカーゼが重要な役割を果たしていることが示唆されている(非特許文献1参照のこと)。したがって、ラッカーゼは応用範囲が広く、今後各種産業に有効に利用される重要な酵素のひとつであるといえる。色素化合物との反応も報告されているが、その多くは色素化合物あるいは色素廃液の脱色反応に用いるもので、色素化合物の酸化による吸収スペクトルの変化すなわち新規色素の合成に用いるという報告は見られない。
一方、色素化合物はその発色系により、ニトロ、アゾ、スチルベンゼン、カルボニウム、キノリン、チアゾール、アントラキノン、インジゴイド、フタロシアニン系などに分類されるが、現在ではこれらの色素は化学合成によって合成されることが殆どである。化学合成法は反応に酸やアルカリを用いることが多く、反応で生じる廃液が問題となっている。また、有機化学反応による合成法では部位特異的な反応が起こりにくいと考えられる。たとえば、化学合成法ではプラスとマイナスのものを重合させる反応は得意であるが、水酸基などの官能基を、ある化合物の特定の部位に導入したり、立体特異的に導入したりするのは困難である。
Fidd, J. A., et. al., Trends Biotechnol., Vol. 11, 44-49, 1993
特開2004−159号公報
本発明は担子菌が生産するフェノール酸化酵素の一種であるラッカーゼの作用により生成される新規色素を提供するとともに、ラッカーゼを用いる色素の製造方法を提供する。すなわち、化学合成により合成が困難な新規色素を、ラッカーゼの触媒作用により合成可能とするとともに、ラッカーゼの新規用途を提供するものである。
本発明者等は、上述のような問題点を解決すべく、担子菌の生産するフェノール酸化酵素の一種であるラッカーゼに着目し、ラッカーゼの基質となる色素化合物を含む溶液に、ラッカーゼまたはラッカーゼを含む粗酵素液を添加することによって、該溶液のスペクトルの変化が生じることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。理論に拘束されるわけではないが、上記色素化合物が、ラッカーゼの触媒作用により効率的に酸化されて、上記溶液の吸収スペクトルが変化すると考えられる。
すなわち本発明は、ラッカーゼの作用により生成される新規色素、および公知の色素化合物にラッカーゼおよびラッカーゼを含む酵素液を作用させることによる色素化合物の製造方法を提供するものである。さらに、該方法においては、ラッカーゼ反応液中にメディエーターを含むことを特徴とする色素化合物の製造法も同時に提供する。
精製したラッカーゼまたは担子菌による粗酵素液を用いて色素化合物を酸化し、スペクトルの変化を生じさせる方法を提供することを目的とする。ラッカーゼを用いて化合物を酸化することにより、化学合成法では合成できないような新規な色素化合物が得られることが期待される。また、酵素反応は部位特異的に起こると考えられるため、有機化学合成法に比べて反応産物の種類が少ない、すなわち、反応副産物が少ないために、所望する色素化合物の精製が容易になると考えられる。また、酵素反応であるため化学合成法に比べて温和な条件で反応させることができ、人体や環境に有害な廃液の生成も低くすることが期待される。
したがって、本発明は、以下の態様:
1.ラッカーゼの基質となる色素化合物にラッカーゼを作用させることを含む、色素を製造する方法;
2.ラッカーゼの基質となる色素化合物が、アントラキノン系色素、アゾ色素、ジアゾ色素およびスチルベンゼン系色素からなる群より選択されるものである、上記1記載の色素を製造する方法;
3.ラッカーゼの基質となる色素化合物が、リアクティブブルー2、ナフトールブルーブラック、シカゴスカイブルーおよびクマシーブリリアントブルーからなる群より選択されるものである、上記1記載の色素を製造する方法;
4.ラッカーゼがシイタケにより生産されるものである、上記1〜3のいずれかに記載の色素を製造する方法;
5.メディエーターを用いないことを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の色素を製造する方法;
6.メディエーターを用いることを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の色素を製造する方法;
7.メディエーターがビオルル酸である、上記6記載の色素を製造する方法;
8.アントラキノン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
9.アゾ系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
10.スチルベンゼン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
11.メディエーターの存在下でアントラキノン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
12.メディエーターの存在下でアゾ系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;ならびに
13.メディエーターの存在下でスチルベンゼン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
に関する。
1.ラッカーゼの基質となる色素化合物にラッカーゼを作用させることを含む、色素を製造する方法;
2.ラッカーゼの基質となる色素化合物が、アントラキノン系色素、アゾ色素、ジアゾ色素およびスチルベンゼン系色素からなる群より選択されるものである、上記1記載の色素を製造する方法;
3.ラッカーゼの基質となる色素化合物が、リアクティブブルー2、ナフトールブルーブラック、シカゴスカイブルーおよびクマシーブリリアントブルーからなる群より選択されるものである、上記1記載の色素を製造する方法;
4.ラッカーゼがシイタケにより生産されるものである、上記1〜3のいずれかに記載の色素を製造する方法;
5.メディエーターを用いないことを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の色素を製造する方法;
6.メディエーターを用いることを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の色素を製造する方法;
7.メディエーターがビオルル酸である、上記6記載の色素を製造する方法;
8.アントラキノン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
9.アゾ系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
10.スチルベンゼン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
11.メディエーターの存在下でアントラキノン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
12.メディエーターの存在下でアゾ系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;ならびに
13.メディエーターの存在下でスチルベンゼン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素;
に関する。
本明細書中でメディエーターとはラッカーゼの酵素反応を促進する性質を有する物質であるが、(1)低分子量であること(2)水溶性であること(3)電子移動性を有すること(4)適度な酸化還元ポテンシャルを有すること、および(5)ラッカーゼの基質であること、などの性質を有するものが望ましい。
具体的には2,2'-アジノ-ビス-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-硫酸)2アンモニウム塩(ABTS)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ビオルル酸(VA)、ヴェラトリルアルコール、カテコール、2,6-ジメトキシフェノール等を挙げることができるがこれらに限定するものではない。
色素化合物の多くは、ベンゼン環を構造に有している。また、ラッカーゼによる酸化反応により、グアヤコールやカテコールが重合すると言う報告もある。このことから、ある色素化合物とベンゼン環を含む他の化合物とを重合させることにより、新規色素を合成することも可能であると考えられる。
本発明のラッカーゼを用いた新規色素の合成法によれば、酵素反応により、化学合成に比べて温和な条件下で新規色素の合成が可能になる。本発明では酸やアルカリなどを使用しないので、廃液の問題も少なくすることができる。また、メディエーターを反応液中に含有させることにより、ラッカーゼのみでは酸化できない色素化合物の酸化反応やメディエーターと色素の重合体の合成も期待できる。さらに、有機合成反応とは異なり、部位特異的な酸化反応が期待できることから、従来の合成方法では合成できなかった新規な色素化合物の合成も期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の新規色素の製造方法においては、ベンゼン環を含む色素化合物を溶解した溶液(好ましくはラッカーゼの至適pH付近)にラッカーゼまたはラッカーゼを含有する酵素液を添加し、反応させる。この反応により、新規色素が生成されて、反応溶液の吸収スペクトルが変化する。生成された色素化合物は、HPLCなどにより精製することも可能であることは当業者には容易に理解できる。
本発明の新規色素の製造方法においては、ベンゼン環を含む色素化合物を溶解した溶液(好ましくはラッカーゼの至適pH付近)にラッカーゼまたはラッカーゼを含有する酵素液を添加し、反応させる。この反応により、新規色素が生成されて、反応溶液の吸収スペクトルが変化する。生成された色素化合物は、HPLCなどにより精製することも可能であることは当業者には容易に理解できる。
本発明において、ラッカーゼの基質となる色素化合物は、フェノール性色素化合物であることが好ましく、その例として、レマゾールブリリアントブルーR (RBBR)、アシッドグリーン5、リアクティブブルー2、ダイレクトブルーI、アシッドバイオレット7およびアシッドレッド106などが挙げられるが、これらに限定はされない。また色素をラッカーゼと反応させる際の形態は、溶液化したものが好ましい。また該溶液は、ラッカーゼの反応最適pHであるpH4付近であることがさらに好ましい。しかしながら、これに限定するものではなく、適度な水分を含んでいれば、固体の状態であってもよい。
上記ラッカーゼの基質となる色素化合物に、ラッカーゼを接触させることにより反応させる。
色素化合物は、その発色系により、ニトロ系色素、アゾ色素、スチルベンゼン系色素、カルボニウム系色素、キノリン系色素、チアゾール系色素、アントラキノン系色素、インジゴイド系色素、フタロシアニン系色素などに分類されるが、本発明に用いる色素化合物は、ラッカーゼの基質となり得るものであればいずれの色素化合物であってもよく、例えば、アントラキノン系色素、アゾ色素、スチルベンゼン系色素であってよい。アントラキノン系色素についてはリアクティブブルー2、アゾ色素についてはナフトールブルーブラックおよびシカゴスカイブルー、スチルベンゼン系色素についてはクマシーブリリアントブルーR250が例示として挙げられる。
ラッカーゼは、ヒドロキノン、ポリフェノール、p-フェニレンジアミン、アスコルビン酸、シアニン色素などを酸化する活性を有する酵素として知られており、本発明に用いる場合は、どのような由来のものでもよいが、担子菌由来のものが好ましい。ラッカーゼを生産する担子菌の例としてはシイタケ、カワラタケ、ヒラタケ、エノキタケ、マイタケ、ブナシメジ、エリンギ、ヒトヨタケなどを例として挙げることができるがこれに限定されるものではない。例えば、シイタケ由来のラッカーゼの場合、ラッカーゼ1〜3の3種のラッカーゼが知られているが、これらのいずれか、またはこれらを混合したものを用いてもよい。また、担子菌由来のラッカーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体が生産する組換え酵素も使用可能であり、形質転換の宿主としては担子菌の他に大腸菌、酵母、麹菌などが挙げられる。担子菌による酵素の生産方法、精製方法、組換え酵素の生産法については当業者であれば容易に理解できる。例えば、特許文献1を参照のこと。
ラッカーゼは精製されたものでもよいが、未精製のものであってもよい。ラッカーゼは、担子菌の培養廃液に分泌される場合が多く、該培養廃液をそのまま用いてもよい。また形質転換体による組換え酵素を用いる場合、その形質転換体の培養液中にラッカーゼが分泌されている場合は、該培養液をそのまま用いてもよい。また、上記培養廃液および培養液を精製して用いてもよく、精製の程度は任意であってよい。酵素標品の純度および濃度等は、ラッカーゼがその触媒作用を発揮し得る程度であればよく、当業者であれば容易に適切な程度を設定できる。
ラッカーゼによる反応条件は、ラッカーゼの最適pHがpH4付近であるため、反応溶液のpHを酸性域、好ましくはpH3.5〜5.0、さらに好ましくはpH3.7〜4.5、最も好ましくはpH3.9〜pH4.2程度のpHに保つ。反応溶液中に含まれるラッカーゼの濃度は、その反応条件によって変更可能であることは、当業者には容易に理解され得ることであるが、0.1〜2 U/ml程度であってよく、例えば0.5 U/mlであってよい。ラッカーゼの濃度、基質濃度、その他溶液組成等によって、反応条件は様々であり、反応時間、ラッカーゼの濃度、基質濃度等を調整することにより、所望の色素の生産量、生産効率を得ることができ、かかる調整は当業者であれば、日常的な調査または実験により容易に達成できる。
所望の色素の生産量は、反応溶液の吸収スペクトルの変化を測定することによって推測できる。反応中に経時的に吸収スペクトルを測定して、色素の生産量をモニターすることも可能である。ラッカーゼによる反応が進行し、所望の量の色素が得られたと判断されれば、その反応液から、吸収スペクトルを指標として所望の色素を精製することができる。精製法は、各種カラムクロマトグラフィー法、HPLC法等、任意の方法で可能であり、いずれも当業者であれば容易に実施可能である。
例えば、シイタケラッカーゼ1を用いた場合、青色色素シカゴスカイブルー(最大吸収波長:約610nm)を反応させると反応液が赤紫色に変化することから、より赤味を呈する色素が得られると考えられる。青色色素クマシーブリリアントブルーR250(最大吸収波長:約550nm)を反応させた場合、反応液はより深い青色に変化し、吸収スペクトルの最大吸収波長もより長波長側にシフトすることから、550nmより長波長側に最大吸収波長を有する色素が得られると考えられる。青色色素リアクティブブルー2(最大吸収波長:約620nm)を反応させた場合は、反応液が赤っぽい橙色に変化し、最大吸収波長は約480nm付近に変化したことから、赤味を呈する色素が得られると考えられる。ナフトールブルーブラック(最大吸収波長:約620nm)を反応させた場合には、反応液が青色から淡い紫色に変化し、約620nmより短波長側に最大吸収波長を有する色素が得られると考えられる。
さらに、反応液中にメディエーターを添加することにより、メディエーターを添加しない場合とは異なる色素を得ることができる場合がある。メディエーターとは、ラッカーゼの触媒反応を促進する性質を有する水溶性低分子物質を指し、ラッカーゼと併用することにより、ラッカーゼ単独では分解されないフェノール性物質の分解が可能となり得る。該メディエーターは電子移動性および適度な酸化還元ポテンシャルを有し、かつラッカーゼの基質となりうる性質を有していることが望ましい。具体的な例としては、2,2'-アジノビス-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-硫酸)2アンモニウム塩、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ビオルル酸を挙げることができるが、これらには限定されない。添加するメディエーターの量は、当業者であれば適宜決定することができるが、例えば1mM程度でよいと考えられる。得られた色素は、上記と同様に精製等することができる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例により限定されるものではない。
[実施例1]ラッカーゼによる色素化合物の吸収スペクトルの変化
本実施例ではシイタケが生産するラッカーゼを用いたが、本発明で用いるラッカーゼはシイタケ由来の酵素に限定されるものではない。また、ここで用いるラッカーゼは精製酵素、粗酵素液または麹菌などにより生産される組換え酵素のいずれであってもよい。さらには、固定化酵素の形態であってもよい。
本実施例ではシイタケが生産するラッカーゼを用いたが、本発明で用いるラッカーゼはシイタケ由来の酵素に限定されるものではない。また、ここで用いるラッカーゼは精製酵素、粗酵素液または麹菌などにより生産される組換え酵素のいずれであってもよい。さらには、固定化酵素の形態であってもよい。
ラッカーゼ活性の測定は、1 mM ABTSを含むpH4.0のマキルベイン緩衝液を反応液として用いて比色法で行った。まず、反応液を30℃に10分間保ち、温度平衡にした後、酵素液を加え、反応を開始させた。反応の液量は100μlとした。基質(ABTS)の酸化に伴う420nmの吸光度の増加を測定し、ABTSのモル吸光度係数を36000/M/cmとして、酸化されたABTSの量を算出した。1分間に1μmolのABTSを酸化する酵素量を求め、これを1単位(ユニット(U))とした。
色素化合物を各色素の最大吸収波長で吸光度が1.0になるようにマキルベイン緩衝液(pH4.0)に溶解した色素溶液1 mlにラッカーゼ(本実施例ではシイタケ由来のラッカーゼ1を精製したものを用いた)を0.5U加え、30℃で酵素反応を行った。180分反応後の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルはベックマン社製のスペクトロフォトメーターDU-7500を用いて測定した。
本発明によりシイタケラッカーゼ1はシカゴスカイブルー、クマシーブリリアントブルーR250、リアクティブブルー2、ナフトールブルーブラックの吸収波長を変化させた(図1)。シカゴスカイブルーは青色から赤紫色に、クマシーブリリアントブルーR250は青色が深い青になり、リアクティブブルー2は青色が赤っぽい橙色に、ナフトールブルーブラックは深い青色が淡い紫色になった。
[実施例2]メディエーターを用いたラッカーゼによる色素化合物の吸収スペクトルの変化
実施例1に示す色素について色素化合物を各色素の最大吸収波長で吸光度が1.0になるようにマキルベイン緩衝液(pH 4.0)に溶解した色素溶液1 mlにラッカーゼ(本実施例ではシイタケ由来のラッカーゼ1を精製したものを用いた)を0.5Uとメディエーターとしてビオルル酸を1mMになるように加え、30℃で酵素反応を行った。180分反応後の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルはベックマン社製のスペクトロフォトメーターDU-7500を用いて測定した。
実施例1に示す色素について色素化合物を各色素の最大吸収波長で吸光度が1.0になるようにマキルベイン緩衝液(pH 4.0)に溶解した色素溶液1 mlにラッカーゼ(本実施例ではシイタケ由来のラッカーゼ1を精製したものを用いた)を0.5Uとメディエーターとしてビオルル酸を1mMになるように加え、30℃で酵素反応を行った。180分反応後の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルはベックマン社製のスペクトロフォトメーターDU-7500を用いて測定した。
本発明によりシイタケラッカーゼ1はシカゴスカイブルー、クマシーブリリアントブルーR250、リアクティブブルー2、ナフトールブルーブラックの吸収波長を変化させた。また得られる吸収スペクトルは実施例1で得られる吸収スペクトルとは異なっている(図1)。シカゴスカイブルーは青色が薄い紫色に、クマシーブリリアントブルーR250は青色が薄い青色に脱色され、リアクティブブルー2は青色が薄い橙色に、ナフトールブルーブラックは深い青色が濃い赤紫色になった。
Claims (13)
- ラッカーゼの基質となる色素化合物にラッカーゼを作用させることを含む、色素を製造する方法。
- ラッカーゼの基質となる色素化合物が、アントラキノン系色素、アゾ色素、ジアゾ色素およびスチルベンゼン系色素からなる群より選択されるものである、請求項1記載の色素を製造する方法。
- ラッカーゼの基質となる色素化合物が、リアクティブブルー2、ナフトールブルーブラック、シカゴスカイブルーおよびクマシーブリリアントブルーからなる群より選択されるものである、請求項1記載の色素を製造する方法。
- ラッカーゼがシイタケにより生産されるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の色素を製造する方法。
- メディエーターを用いないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の色素を製造する方法。
- メディエーターを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の色素を製造する方法。
- メディエーターがビオルル酸である、請求項6記載の色素を製造する方法。
- アントラキノン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素。
- アゾ系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素。
- スチルベンゼン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素。
- メディエーターの存在下でアントラキノン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素。
- メディエーターの存在下でアゾ系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素。
- メディエーターの存在下でスチルベンゼン系色素にラッカーゼを作用させることによって得られる色素。
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JP2004175612A JP2005348693A (ja) | 2004-06-14 | 2004-06-14 | ラッカーゼ作用により得られる色素、およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009201481A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-10 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ラッカーゼ活性を有する新規タンパク質 |
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2004
- 2004-06-14 JP JP2004175612A patent/JP2005348693A/ja active Pending
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