JP2005347936A - 誘電体ロッドアンテナ - Google Patents

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耕二 越地
Yuichiro Okugawa
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Abstract

【課題】 誘電体ロッドの長さの増加を抑えつつも、高い利得特性を有する誘電体ロッドアンテナを提供する。
【解決手段】 誘電体ロッドアンテナにおいて、先端開口部および基端部を有する導波管と、前記導波管の前記先端開口部から突出して設けられた誘電体ロッドと、前記導波管の前記基端部の側に設けられた給電部と、を備え、前記誘電体ロッドは、前記先端開口部から突出した部分である終端部、および導波管の内部に収容される固定部からなり、前記終端部は、誘電体ロッドが突出する方向に一定の周期で連続して配置される複数の凹凸部を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、誘電体ロッドアンテナに関する。
インターネットや携帯電話に代表される高度情報化社会への急速な移行に伴い無線通信が多用されてきている。特に、携帯電話、Bluetooth、無線LANといった無線通信機器の多数導入により周波数資源の枯渇が危惧され、周波数帯域幅確保の方策として、ミリ波帯といった高周波帯域の利用が注目されている。この帯域で使用するアンテナとして、誘電体ロッドアンテナがあり、種々の研究がなされている。
従来、誘電体ロッドアンテナとして、図18に示したものが知られている。この誘電体ロッドアンテナ100は、導波管120と、導波管120の先端開口部よりも突出するよう固定され、断面が先端部に向かって漸次小さくなるテーパ部分が形成された誘電体ロッド130と、導波管120の基端部に連結された同軸コネクタ(図示しない)を備える構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−211024号公報
ここで、誘電体ロッドアンテナは、基本的な特性として誘電体ロッドの長さに比例して利得が増加する。このため、上述の構成で目的に応じた高利得を実現しようとすると、その分だけ誘電体ロッドを長くしなければならず、アンテナ全体が大型化してしまうおそれがあった。
本発明は、誘電体ロッドの長さの増加を抑えつつも、高い利得特性を有する誘電体ロッドアンテナを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下のものを提供する。
(1) 先端開口部および基端部を有する導波管と、前記導波管の前記先端開口部から突出して設けられた誘電体ロッドと、前記導波管の前記基端部の側に設けられた給電部と、を備えた誘電体ロッドアンテナであって、前記誘電体ロッドは、前記先端開口部から突出した部分である終端部、および導波管の内部に収容される固定部からなり、前記終端部は、誘電体ロッドが突出する方向に一定の周期で連続して配置される複数の凹凸部を有することを特徴とする誘電体ロッドアンテナ。
(1)によれば、誘電体ロッドアンテナの誘電体ロッドは、誘電体ロッドが突出する方向に並んで配置される複数の凹凸部を有する。複数の凹凸部が一定の周期で連続する周期構造により、適切な放射部分が増加し、誘電体ロッドの長さの増加を抑えつつも利得を高めることができる。ここで、凹凸部は、誘電体ロッドの表面に相対的に凹の部分と相対的に凸の部分が形成されていることを意味し、その形成方法は問わない。例えば、平面上に凸部となる部分を取付けたり、または平面に凹部となる溝や孔を形成することにより、凹凸部を有するよう構成したものを含む。ここで、凹部としては、矩形断面を有する溝、または底面積を有しないV字形断面を有する溝や、丸形または四角形の窪みが一定間隔で複数連続して配置されるものも含む。
(2) 前記複数の凹凸部は、誘電体ロッドが突出する方向に対して垂直の方向に延びる並行に配置された複数の溝からなることを特徴とする(1)に記載の誘電体ロッドアンテナ。
(2)によれば、誘電体ロッドの凹凸部を、突出する方向と垂直の方向に延びる溝により構成する。これにより、電磁波の放射方向に対しより適切な放射部分の凹凸形状により、誘電体ロッドアンテナの利得を高めることができる。
(3) 前記溝は、前記突出する方向の断面の形状が、V字形であることを特徴とする(2)に記載の誘電体ロッドアンテナ。
(3)によれば、誘電体ロッドの溝を、その断面の形状がV字形となるよう構成する。これにより、誘電体ロッドアンテナの利得を高めることができる。
(4) 前記溝の、V字形の断面の形状は、誘電体ロッドが突出する方向の側の辺の長さが前記導波管の側の辺の長さよりも大きいことを特徴とする(3)に記載のロッドアンテナ。
(4)によれば、V字形の断面の形状を、誘電体ロッドが突出する方向の側の辺の長さがより長くなるよう構成する。これにより、放射部分の凹凸形状が電磁波の放射方向に対しより適切となり、誘電体ロッドアンテナの利得を高めることができる。
(5) 前記溝の幅は、前記誘電体ロッドアンテナが放出する電磁波の波長の略1/4の大きさであることを特徴とする(2)に記載のロッドアンテナ。
(5)によれば、誘電体ロッドの溝の幅を、放出する電磁波の波長の略1/4すなわち25%となるよう構成する。放射部分の凹凸形状が電磁波の放射方向に対しより適切となり、誘電体ロッドアンテナの利得を高めることができる。
また、本発明は、次のものを提供する。
(6) 先端開口部および基端部を有する導波管と、前記導波管の先端開口部から突出して設けられた誘電体ロッドと、前記導波管の基端部側に設けられた給電部と、を備えた誘電体ロッドアンテナであって、誘電体ロッドは先端開口部から突出した部分である終端部、および導波管の内部に収容される固定部を有し、前記固定部は、導波管の基端部に向かって延びる旋波子を備えることを特徴とする誘電体ロッドアンテナ。
(6)によれば、誘電体ロッドアンテナの誘電体ロッドが、その固定部に、導波管の基端部に向かって延びる旋波子を備えるよう構成する。これにより、旋波子と平行な電磁波の電界成分に、誘電体による遅延を生じさせ円偏波を起こすことができる。したがって、誘電体ロッドアンテナは、円偏波による電磁波を放出することができる。
本発明によれば、誘電体ロッドアンテナの誘電体ロッドにおいて、複数の凹凸部による周期構造により適切な放射部分が増加することにより、誘電体ロッドの長さの増加を抑えつつも利得を高めることができる。また、本発明の別の態様によれば、誘電体ロッドアンテナの誘電体ロッドの固定部に、導波管の基端部に向かって延びる旋波子を備えることにより、円偏波を起こすことができる。
本発明の実施形態の誘電体ロッドアンテナを図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の誘電体ロッドアンテナ10の外観を示す斜視図であり、図2は誘電体ロッドアンテナ10の縦断面図である。誘電体ロッドアンテナ10は、先端開口部24および基端部22を有する箱型の導波管20と、導波管20の先端開口部よりも突出し、四角断面を有する概ね四角柱状の誘電体ロッド30と、導波管20の基端部に接続された給電部としての同軸コネクタ26とを備えている。誘電体ロッド30は導波管20に接着等により固定される。誘電体ロッド30は先端開口部24から突出した部分である終端部32、および導波管の内部に収容される固定部34からなる。このように、誘電体ロッドアンテナ10は簡単な構造を有しており、給電系の損失が小さい。また、定在波型ではなく進行波型のアンテナであるので、広帯域動作が可能である。
なお、誘電体ロッド30の材料としては、安価で誘電正接の低いポリエチレンの他、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)のような誘電体材料を用いることができる。
概ね四角柱状である誘電体ロッド30の終端部32の4個の側面のうち、互いに対向するいずれか2個の面には、溝42により形成された複数の凹凸部40が、誘電体ロッドが突出する方向に一定の周期で連続して配置されている。凹凸部40の凹の部分を形成する溝42を底方向に向かって見た場合の形状は、誘電体ロッドが突出する方向と垂直の方向に延びる長方形である。また、これらの溝42は、誘電体ロッド30が突出する方向に並行に並んで配置され、それぞれの溝42の配置間隔は等しい。したがって、凹凸部40の溝42による凹の部分と凸の部分は、誘電体ロッド上で突出する方向に向かって周期的に繰り返すものである。すなわち誘電体ロッド30は、複数の凹凸部40による周期構造を有している。凹凸の周期構造により適切な放射部分を増加し、利得を高めることができる。
溝42の幅としては、種々の値を選択することができるが、特に放出する電磁波の波長の略1/4、すなわち25%とするのが好ましい。溝42の幅としては、22%から28%の範囲が好ましいが、25%がより好ましい。溝42の幅を波長の略1/4とすることにより、放射部分の凹凸部40の形状が電磁波の放射形態に適切となり、誘電体ロッドアンテナ10の利得を高めることができる。なお、複数の凹凸部40による周期構造は、本実施形態では、終端部32の4個の側面のうちのいずれか2個の面に形成されるが、本発明はこれに限られず、1個の面または4個の面すべてに形成されるものでもよい。また、本実施形態では、導波管20は箱型であり、誘電体ロッド30は概ね四角柱状であるとして説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、導波管は側面のうち一方の側が閉じた円筒形とし、誘電体ロッドは円筒および円錐形に形成されたものであってもよい。
[実施例1]
次に、上述の誘電体ロッドアンテナ10の構造を想定した解析モデルにおいて、凹凸部40の寸法を変化させた場合についての指向性利得をコンピュータシミュレーションにより解析した。解析には、英国KCC社の解析ソフトMicro−Stripes6.0を用いた。次表に、解析モデルの基本パラメータを示す。
Figure 2005347936
図3は、誘電体ロッドアンテナの凹凸部40による周期構造の部分を示す拡大図である。本実施例の解析では、図3に示す凹凸部40の凹部分および凸部分の幅pと、凸部分の高さ、すなわち溝42の深さdとを、次表に示すパラメータとして変化させ、それぞれについてシミュレーションを行った。ここで、周期構造を施す部分は導波管20の先端開口部24から20[mm]の四角柱状の部分(図3の斜線部分)とし、誘電体ロッド30の先端5[mm](図3の塗り潰しの部分)は自由空間との整合をとるために四角錐のテーパを施している。凹凸部40が形成される範囲の長さは一定としてあるので、凸部分の幅pが小さくなればなるほど、周期構造の連続数は増加する。ここで、周期構造の幅p=1.14[mm]はロッド内を伝搬する電磁波の4分の1波長の長さである。
Figure 2005347936
図4は、pを一定とした場合における、先端開口部24のある導波管端部から最初の凹凸部40までの距離と、アンテナ指向性利得の関係の解析結果を示すグラフである。ここでは一例としてp=0.3[mm]の場合について示す。
この図に示すように、d=0.64[mm]の場合、利得が最も高く、続いてd=0.44[mm]、d=0.24[mm]の順に低くなっていくことがわかった。これは、周期構造の深さを深くすることにより、ロッド中の電磁波に対して不連続部が強く働き、強い放射が起こったためと考えられる。また、その他のpに対してもd=0.64[mm]の場合が最も利得が良い結果となった。
図5は、深さdを0.64[mm]の一定とし、複数の幅pの値について、導波管端部から最初の凹凸部40までの距離を変化させた場合の解析結果を示す。この図に示すように、周期構造の幅pがp=1.14[mm]すなわち波長の4分の1のとき、最も利得が高いことがわかった。これは、pを波長の4分の1にすることにより不連続部それぞれにおける位相が揃い、波が強め合ったためであると考えられる。また、解析例において、周期構造を導波管の端部からやや離れた場所に施すと利得がさらに増大することがわかった。これは、導波管の端部付近は金属、自由空間、誘電体ロッドと3つの境界が接しているため非常に強い放射を生じるが、そこにさらに周期構造による不連続部が存在すると端部付近からの放射と周期構造からの放射が干渉してサイドローブを生じているためである。導波管の端部付近の周期構造を埋めることにより、導波管端部での放射と周期構造からの放射との干渉が弱まり、サイドローブが低減した結果、利得が向上したと考えられる。
図6は、p=1.14[mm]、d=0.64[mm]とした場合のリターンロス特性のグラフを示す。この図に示すように、周波数によってはリターンロスレベルが10[dB]以上となり、放射効率が低下していることがわかった。
[第2実施形態]
次に、上述の形態と異なる第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の誘電体ロッドアンテナ50の、誘電体ロッドの部分の縦断面拡大図を示す。本実施形態の誘電体ロッドアンテナ50では、凹凸部を形成する溝52の、誘電体ロッドが突出する方向の断面の形状が、V字形である点が第1実施形態と異なる。この他の点は第1実施形態に同じであり、説明を省略する。V字溝である複数の溝52は、互いに間隔をあけずに隣あわせて配置されるため、1個の凹凸部が1個の溝に対応する。また、凹凸部には誘電体ロッドが突出する方向に平行となる面はない。
本実施形態でのV字形の断面の形状は、誘電体ロッドが突出する方向の側の辺56の辺の長さが導波管の側の辺54の辺の長さよりも大きいことが好ましい。図7の誘電体ロッドアンテナ50の例では、さらに、導波管の側の辺54が誘電体ロッドが突出する方向に対し垂直となっている。誘電体ロッドのV字形の溝による三角形の周期構造により、周期構造内での不要な共振の発生が抑制されて、リターンロスが減少する。つまり、放射部分の凹凸形状が電磁波の放射方向に対しより適切となり、誘電体ロッドアンテナの利得がより高まる。また、V字形の断面の形状について、誘電体ロッドが突出する方向の側の辺56の辺の長さが導波管の側の辺54の辺の長さよりも大きいことにより、リターンロスが減少して誘電体ロッドアンテナの利得をより高めることができる。
[実施例2]
次に、上述の構造を想定した誘電体ロッドアンテナの解析モデルにおいて、溝52の寸法を変化させた場合についての指向性利得を、コンピュータシミュレーションにより解析した。解析には、英国KCC社の解析ソフトMicro−Stripes6.0を用いた。
なお、本実施例では、図7に示す寸法を、p=1.14[mm]、d=0.64[mm]として解析を行った。
図8は、導波管端部からの最初の周期構造までの距離と利得の関係の解析結果を示すグラフである。図8に示すように、周期構造の形状を三角形にすることにより、図6に示す結果よりも利得が向上し、その値は16.75[dBi]となった。
図9は、リターンロス特性を示す。この図に示すように、第1実施形態の短形周期構造の場合と比べて、本実施形態の三角形周期構造の方が大幅にリターンロス特性が改善されていることがわかった。リターンロスが改善された理由としては、波の伝搬方向に対して三角形周期構造がテーパとして働き、周期構造内での共振が抑えられたと考えられる。
[第3実施形態]
次に、上述の形態と異なる第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る誘電体ロッドアンテナ外観を示す斜視図である。誘電体ロッドアンテナ60は、側面のうち一方の側が閉じた円筒形の導波管62と、導波管62の他方の側面の開口部よりも突出する誘電体ロッド30と、導波管62の閉じた側である基端部に接続された給電部としての同軸コネクタ(図示しない)とを備えている。誘電体ロッド30は導波管20に接着等により固定される。
図11は、本実施形態の誘電体ロッドアンテナ60が備える誘電体ロッド70の外観を示す斜視図である。誘電体ロッド70は、円錐形の先端を有する円柱状である。導波管62の内部に収容される固定部72は、導波管の基端部に向かって延びる旋波子74を備えている。
旋波子74は、図12に示すように、一方の高さがt、底辺がLの三角形を有する三角柱であり、これが誘電体ロッド70に埋め込まれるように取付けられた構成となっている。したがって、旋波子74は誘電体ロッド70の2箇所の部分から延びる構成である。
旋波子に入射した時点の電界は、旋波子に平行な成分と垂直な成分とに分解できる。ここで旋波子は、旋波子に垂直な成分に対しほとんど作用しない。この一方で、旋波子に平行な成分に対し、旋波子は、誘電体による波長短縮によって波の進行速度を低下させる。この結果、旋波子に平行な成分に位相に遅れが生じる。このことから、旋波子の長さを適切に選択すると、2つの成分の位相差が90°になる点が生じ、誘電体ロッドアンテナから円偏波が発生する。
[実施例3]
次に、上述の円偏波に対応した誘電体ロッドアンテナのモデルについて、コンピュータシミュレーションにより解析した。解析には、英国KCC社の解析ソフトMicro−Stripes6.0を用いた。円偏波を発生させる性質上、給電のための導波管は円形導波管としている。次表に、解析の基本パラメータを示す。
Figure 2005347936
本実施例の誘電体ロッドアンテナのモデルでは、円偏波を発生させるために誘電体からなる旋波子を給電部に組み込む。旋波子は、シミュレーションにおけるTE11モードの電界の最大方向に対して45°傾けた状態で挿入した。そして、図12に示す旋波子の厚さtおよび長さLを次表のように変化させた場合について解析を行った。
Figure 2005347936
図13は、周波数59.5[GHz]において、旋波子長Lを変化させた場合の軸比の変化の解析結果の例を示すグラフである。
この図より、旋波子の長さによって軸比に極小点が存在することがわかった。また、TypeBの方がTypeAよりもより短いLの長さで軸比の極小点をとった。これは、旋波子の厚さtを厚くすることにより、旋波子の電界に対する作用体積が増加したためであると考えられる。
図14は、TypeA、TypeBの軸比の極小点における周波数特性を示す。この図より、設計周波数±5[GHz]の範囲においてどちらのタイプも軸比が1[dB]以下となっており、極めて良好な結果が確認された。
[シミュレーションの精度検証]
最後に、シミュレーション解析結果の妥当性を確かめるために、実測による検証を行った。実測では、測定系の制約から、アンテナの相似の理論を利用して、寸法を拡大したアンテナを用い、マイクロ波帯(中心周波数12[GHz])による測定を行った。
実測の誘電体ロッドアンテナでは、給電を同軸導波管変換器により行い、導波管内でTE10モードを発生させている。この一方で、実測と同一モデルでシミュレーション解析を行う。解析モデルは、実測結果との誤差要因をできるだけなくすために、同軸導波管変換器、フランジ部分等を正確にモデリングした。次表は、実測モデルの基本パラメータを示す。
Figure 2005347936
実測の誘電体ロッドアンテナは、誘電体ロッドが延びる方向をx軸方向とした場合の、y軸方向にテーパ化した、y−taperテーパ形状の誘電体ロッドに対して、終端部の長さを200[mm]として製作した。
図15は、E面(yz面)の放射パターンについて実測およびシミュレーション解析の結果を示すグラフである。
この図より、放射パターンのメインローブについては、解析結果と実測結果とがほぼ一致する結果が得られた。なお、−15[dB]以下のレベルで誤差が大きい原因としては、0[dB]付近よりもレベルが非常に低い部分なのでノイズによる影響を受けやすいこと、およびアンテナの周りに電波吸収体を配置しなかったことにより、アンテナ冶具で反射した電磁波を測定器が測定したことが考えられる。
図16は、リターンロス特性を示すグラフである。この図より、解析結果と実測結果はパターンが大きく異なっているものの、リターンロスを平均的なレベルでみると、解析結果、実測結果とも大体同じレベルとなった。
図17は、周波数対利得特性を示すグラフである。この図より、解析結果と実測結果は非常によく一致していることがわかった。また、測定を行った10.5[GHz]〜12.5[GHz]の範囲では、周波数による利得の変化の幅が小さく、16[dB]〜18[dB]の間で推移していることから、広帯域動作が可能であることがわかった。
以上の検証結果より、実測結果と解析結果でほぼ一致する結果が得られ、シミュレーションによる解析結果の妥当性が確認された。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
本発明の第1実施形態の誘電体ロッドアンテナ外観を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態の誘電体ロッドアンテナを示す縦断面図である。 本発明の第1実施形態の誘電体ロッドアンテナの周期構造の部分を示す拡大図である。 本発明の第1実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第2実施形態の誘電体ロッドアンテナの周期構造の部分を示す拡大図である。 本発明の第2実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第2実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る誘電体ロッドアンテナ外観を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る誘電体ロッド外観を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る旋波子外観を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第3実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第3実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析結果を示すグラフである。 本発明の第3実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析および実測の結果を示すグラフである。 本発明の第3実施形態の誘電体ロッドアンテナの解析および実測の結果を示すグラフである。 従来例の誘電体ロッドアンテナを示す図である。
符号の説明
10、50、60 誘電体ロッドアンテナ
20、62 導波管
22 基端部
24 先端開口部
26 同軸コネクタ
30、70 誘電体ロッド
32 終端部
34 固定部
40 凹凸部
42、52 溝
54、56 辺
70 誘電体ロッド
72 固定部
74 旋波子
100 誘電体ロッドアンテナ
120 導波管
130 誘電体ロッド

Claims (6)

  1. 先端開口部および基端部を有する導波管と、
    前記導波管の前記先端開口部から突出して設けられた誘電体ロッドと、
    前記導波管の前記基端部の側に設けられた給電部と、
    を備えた誘電体ロッドアンテナであって、
    前記誘電体ロッドは、前記先端開口部から突出した部分である終端部、および導波管の内部に収容される固定部からなり、
    前記終端部は、誘電体ロッドが突出する方向に一定の周期で連続して配置される複数の凹凸部を有することを特徴とする誘電体ロッドアンテナ。
  2. 前記複数の凹凸部は、誘電体ロッドが突出する方向に対して垂直の方向に延びる並行に配置された複数の溝からなることを特徴とする請求項1に記載の誘電体ロッドアンテナ。
  3. 前記溝は、前記突出する方向の断面の形状が、V字形であることを特徴とする請求項2に記載の誘電体ロッドアンテナ。
  4. 前記溝の、V字形の断面の形状は、誘電体ロッドが突出する方向の側の辺の長さが前記導波管の側の辺の長さよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のロッドアンテナ。
  5. 前記溝の幅は、前記誘電体ロッドアンテナが放出する電磁波の波長の略1/4の大きさであることを特徴とする請求項2に記載のロッドアンテナ。
  6. 先端開口部および基端部を有する導波管と、
    前記導波管の先端開口部から突出して設けられた誘電体ロッドと、
    前記導波管の基端部側に設けられた給電部と、
    を備えた誘電体ロッドアンテナであって、
    誘電体ロッドは先端開口部から突出した部分である終端部、および導波管の内部に収容される固定部を有し、
    前記固定部は、導波管の基端部に向かって延びる旋波子を備えることを特徴とする誘電体ロッドアンテナ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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