JP2005315747A - Rev蛋白核外移行制御物質の新規アッセイ法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Rev蛋白核外移行制御物質の新規アッセイ法を提供すること。
【解決手段】 HIV由来DNAを細胞にトランスフェクションさせ、その結果として発現する構成タンパク質p24をELISA法により定量することで、被検物質のRev核外移行阻害活性を評価する。その際、阻害率0%の細胞試料および阻害率100%の細胞試料を対照に使用して、両者との比較により被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価する。また、ルシフェラーゼ遺伝子をHIV由来DNAと同時に各細胞にトランスフェクションさせ、ルシフェラーゼ活性を基準に各細胞から抽出した粗タンパク液を希釈し、各希釈液においてp24の生成量を測定する。このようなアッセイ方法により、被検物質のRev核外移行阻害活性について良好な定量性と再現性を示す結果が得られた。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Rev蛋白核外移行制御物質の新規アッセイ法とその利用に関するものであり、好適には、Rev蛋白の核外移行阻害を作用機序とした抗HIV薬の探索に利用することができる。
エイズ患者、即ちHIV(ヒト免疫不全ウィルス)に感染し、発症した患者の数は発見以来世界規模で増え続けており、早急な治療法の確立が必須である。現段階での化学療法としては、逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を併用して用いる方法が一般に採られている。
逆転写酵素は、ウィルスRNAをDNAへと読み換える際に必要なHIVが保有している酵素であり、その阻害剤としてはAZT等が挙げられる。
プロテアーゼは、ウィルス蛋白翻訳後に必要となる酵素で、その阻害剤としてはサキナビル等が用いられている。
ところでHIV遺伝子は、RNA結合蛋白であるRev蛋白をコードしている。このRev蛋白は核外移行シグナル(NES)を持ち、ウィルスmRNAの核外輸送に必要であり、ひいてはHIVの複製・増殖に必須の蛋白といえる。このRev蛋白の機能を阻害・抑制する物質として、これまでleptomycin B(LMB)およびvaltrate等が報告されている(下記の非特許文献1・2参照)。
Wolff, B. et al., Chemistry & Biology, 1997, 4, 139-147頁 Murakami, N. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 2807-2810頁
上述のように、Rev蛋白はHIV由来の蛋白であり、核内でHIV遺伝子と結合したのち、核外へと移行し、HIV遺伝子が翻訳されてウィルス構成タンパクが作られる。Rev蛋白の核外移行はHIVの増殖に必須であることから、Rev蛋白がHIV制圧のためのターゲットとして注目を集めている。
従来、Rev蛋白の核外移行の検出は、抗Rev抗体を用いて行われていた(非特許文献1記載の実験方法も、抗Rev抗体を用いた実験系を採用している)。しかしながら、市販の抗Rev抗体は感度が良好ではなくロット差が大きいことと、抗Rev抗体を動物から調製する場合において、純度や感度にバラツキが見られることから、実験結果に再現性が得られにくい欠点があった。また、定量性という点においても問題を残していた。
Rev蛋白の核外移行はHIVの増殖に必須であることから、Rev蛋白の核外への動きを精度良く検出し、その検出法を利用した核外移行を制御する物質の発見がHIV制圧の足がかりとなる可能性がある。それゆえ、精度の良好なRev蛋白核外移行制御物質のアッセイ法構築が必要となる。
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、新規なRev蛋白核外移行制御物質のアッセイ法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、抗Rev抗体を用いることなく、ELISA法といった簡便な方法を用いた新規なRev蛋白核外移行制御物質のアッセイ法を構築し、その定量性についても良好な再現性を確認し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、産業上および医療・医学上有用な、下記A)〜L)の発明を包含するものである。
A) HIV由来DNAをトランスフェクション後、被検物質を投与した細胞について、所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定し、この測定結果をもとに被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価することを特徴とする、Rev核外移行制御物質のアッセイ法。
B) 所定のHIV構成タンパク質として、p24の発現量を測定することを特徴とする、上記A)記載のアッセイ法。
C) ELISA法によってp24の発現量を測定することを特徴とする、上記B)記載のアッセイ法。
D) 宿主細胞においてRRE領域がRNAに転写され、かつ、Rev蛋白を発現させるHIV由来DNAがトランスフェクションされた第1群の細胞、宿主細胞においてRev蛋白を発現させないか、又は本来の機能を失ったRev蛋白を発現させるHIV由来DNAがトランスフェクションされた第2群の細胞、および、第1群の細胞と同じHIV由来DNAがトランスフェクションされた後、被検物質が投与された第3群の細胞、のそれぞれについて、所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定し、この測定結果をもとに被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価することを特徴とする、Rev核外移行制御物質のアッセイ法。
E) 所定のHIV構成タンパク質として、p24の発現量を測定することを特徴とする、上記D)記載のアッセイ法。
F) ELISA法によってp24の発現量を測定することを特徴とする、上記E)記載のアッセイ法。
G) 第1群の細胞を阻害率0%、第2群の細胞を阻害率100%として、両者との比較により被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価することを特徴とする、上記D)記載のアッセイ法。
H) 各群の細胞に対して、HIV由来DNAに加えて外来遺伝子を導入し、この外来遺伝子の発現量に応じて各群の細胞からのタンパク質抽出液を希釈し、これら希釈液における所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定することを特徴とする、上記G)記載のアッセイ法。
I) 外来遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を導入することを特徴とする、上記H)記載のアッセイ法。
J) HIV由来DNAおよび外来遺伝子をプラスミドにより細胞内導入し、さらにトランスフェクション量調整用のプラスミドを各群の細胞に導入することを特徴とする、上記H)又はI)記載のアッセイ法。
K) 上記A)〜J)のいずれかに記載のアッセイ法に使用されるアッセイ用キット。
L) 上記A)〜J)のいずれかに記載のアッセイ法に使用されるアッセイ用装置。
本発明は、従来法ではなし得なかった良好な定量性と再現性を示すRev蛋白核外移行制御物質の新規アッセイ法を提供するものであり、本発明のアッセイ法を利用することで、HIV制圧の鍵となるRev蛋白の核外移行を制御する新規物質を効率よく発見することが可能になる。
以下、本発明の具体的態様等について更に詳しく説明する。
〔1〕本発明のRev蛋白核外移行制御物質のアッセイ法
本発明は、前述のように、HIV由来DNAをトランスフェクション後、被検物質を投与した細胞について、所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定し、この測定結果をもとに被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価する方法である。
「HIV由来DNA」は、HIV遺伝子の既知配列をもとに調製されたDNAである。HIV由来DNAは、プラスミドなどのベクターに挿入し、当該ベクターを宿主細胞にトランスフェクションさせる方法が好ましい。また、ウィルスDNAの全長を用いると、トランスフェクション後にHIVウィルスそのものが産生されてしまう。そこで、ウィルスの産生を回避すべく、HIV由来DNAには、pol、envといった構造遺伝子のうち、いずれかの遺伝子領域の全部又は一部を取り除いたDNAを使用することが好ましい。
本発明において、上記HIV由来DNA(あるいは同DNAが挿入されたベクター)に求められる条件としては、導入により、宿主細胞において(1)Rev蛋白が発現すること、(2)Revが結合するRRE(Rev応答要素)領域が転写されること、(3)Revの核外移行により検出対象である所定の構成タンパク質(例えばp24)が発現すること、である。
なお、HIVウィルスには様々なタイプ、サブタイプ、ウィルス株が知られているが、いずれの配列をもとに上記HIV由来DNAを調製してもよい。使用するベクターの種類についても、上記の条件を満たす限りにおいて特に限定されない。
「トランスフェクション」の方法についても特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など従来公知のトランスフェクション法(形質転換法)を使用することができる。このうちリン酸カルシウム法は、後述の実施例において使用したトランスフェクション法であるが、簡便で効率も良好な方法である。
後述の実施例において、「細胞」(宿主細胞)にはHeLa細胞を使用した。勿論、HeLa細胞以外の細胞種を使用してもよい。トランスフェクション法にリン酸カルシウム法を採用する場合は、付着性細胞を使用することが好ましく、例えばKB、HepG2、MCF−7、T24、HT1080、PC3等の細胞種の使用が例示される。
検出対象となる「所定のHIV構成タンパク質」としては、Rev蛋白との結合により核外へ運搬されたHIV由来RNAから翻訳された構成タンパク質であればよいが、Gagタンパク質であるp55の構成単位であり、同一のエピトープを有するp24を好適なものとして挙げることができる。p24については、ELISA法を用いた市販の検出キットも存在し、精度良く検出することができる。
本アッセイ法において、構成タンパク質の「発現量」の測定は細胞試料に対して行うが、細胞試料には、細胞破砕液、または細胞破砕液を遠心操作によって分画したタンパク質抽出液(粗タンパク液)を使用することが好ましい。
「発現量」の測定には、好ましくはELISA法(enzyme linked immunosorbent assay:酵素免疫測定法)を使用することができる。ELISA法においては、酵素活性を指標に目的タンパク質の発現量を測定・評価する。例えば、p24の発現量を測定する場合、まず抗原p24を特異的に認識する抗p24抗体を用いて抗原−抗体反応を行い、試料中の抗原と抗体とを結合させる。次に、抗p24抗体に直接、又は間接的に結合した酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)に対してその基質を加えることで酵素反応を進行させる。酵素反応による発色を利用して試料の吸光度を測定することによって、試料中のp24の発現量を測定・評価することができる。
ELISA法においては、使用する酵素の種類、抗体と酵素との結合方法などについて種々の改変が可能であり、本発明においてはいずれの方法を使用してもよい。また、ELISA法以外に、検出対象となるHIV構成タンパク質に対する抗体を蛍光物質あるいは化学発光物質で直接的又は間接的に標識し、試料から得られた蛍光量あるいは化学発光量をもとに当該タンパク質の発現量を測定してもよい。
HIV構成タンパク質の発現量が少ないときは、被検物質のRev核外移行阻害活性は高いと評価でき、他方、発現量が多いときは、被検物質のRev核外移行阻害活性は低いと評価できる。これは以下の理由による。
一般に、受動拡散によって核膜孔を通過できない大きなタンパク質の核内あるいは核外への移行は、輸送担体によって行われる。運搬されるタンパク質には核移行シグナル(NLS)あるいは核外移行シグナル(NES)が存在しており、輸送担体はそのシグナルを認識して核内外へとタンパク質を輸送する。Revは、NESとHIV由来RNAを認識する領域とを持ち合わせており、HIV由来RNA−Rev―輸送担体という複合体を形成して核外へと輸送される。ここで核外移行を司る輸送担体はCRM1と呼ばれている。
上記HIV由来RNAは、通常核内でスプライシングを受けたのち翻訳されるのだが、Revが結合することでスプライシングを回避して核外へと運搬され、構成タンパク質が合成される。つまり、構成タンパク質の合成量が多いほど、Revの核外移行は阻害されておらず、他方、構成タンパク質の合成量が少ないほど、Revの核外移行は阻害されているといえる。
被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価する方法としては、阻害率0%の細胞群および阻害率100%の細胞群を対照とした以下の方法を用いることが好ましい。即ち、細胞を3つのグループに分け、第1群の細胞には前記HIV由来DNA(前述の(1)〜(3)の条件を満たすもの)をトランスフェクションさせる。第2群の細胞にはこれとは異なるHIV由来DNAをトランスフェクションさせる。より具体的には、前述の(1)の条件を欠き、宿主細胞においてRev蛋白を発現させないか、又は本来の機能(HIV由来RNAを核外に移行させる機能)を失ったRev蛋白を発現させるHIV由来DNAが、第2群の細胞にトランスフェクションされる。
第3群の細胞には、第1群の細胞と同じHIV由来DNA(前述の(1)〜(3)の条件を満たすもの)がトランスフェクションされた後、被検物質が投与される。そして所定期間経過後、各群の細胞を破砕しタンパク質抽出液を調製して、各抽出液における、所定のHIV構成タンパク質(例えばp24)の発現量をELISA法などによって測定し、この測定結果をもとに被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価する。このとき、第1群の細胞を阻害率0%とし、第2群の細胞を阻害率100%とすれば、両者との比較により被検物質のRev核外移行阻害活性(換言すれば、阻害率)を定量的に評価することができる。
上記アッセイ法において、好ましくは、各群の細胞に対して、HIV由来DNAに加えて外来遺伝子を導入し、この外来遺伝子の発現量に応じて各群の細胞からのタンパク質抽出液を希釈し、これら希釈液における所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定する。これにより、トランスフェクション効率をノーマライズすることができる。また、このアッセイ系と無関係の一般的な転写、翻訳などのシステムを阻害していないことを確認することができる。
導入する外来遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子などが例示されるが、特に限定されるものではない。ルシフェラーゼ遺伝子を導入した場合は、常法に従って各試料中のルシフェラーゼ活性を測定し、その測定結果に基づいて各試料を希釈すればよい。
また、ルシフェラーゼ遺伝子の細胞内導入には、当該遺伝子が挿入されたプラスミドを使用すればよいが、当該プラスミドの配列は、Revに非依存的であることが確認された配列であることが望ましい。
上記アッセイ法において、HIV由来DNAおよび外来遺伝子をプラスミドにより細胞内導入し、さらにトランスフェクション量調整用のプラスミドを各群の細胞に導入してもよい。後述の実施例においては、トランスフェクション量調整用のプラスミドとしてPUC12を各群の細胞に導入したが、本アッセイ系に影響が出ない限りにおいて、使用するプラスミドの種類は特に限定されるものではない。
〔2〕本発明のアッセイ法の具体例(実施例)
以上説明した本発明のアッセイ法の具体例(実施例)として、次のようなアッセイ系を組み立てた。
HIV遺伝子(HIV由来DNA)を細胞にトランスフェクションさせ、その結果として発現する構成タンパク質p24をELISA法により定量することで、被検物質のRev核外移行阻害活性を評価する。その際、トランスフェクション効率をノーマライズする目的、および本アッセイ系のほかに一般的な転写、翻訳などのシステムを阻害していないことを確認する目的で、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたプラスミドを同時にトランスフェクションする。このようなアッセイ系により、Rev核外移行阻害物質として、ルシフェラーゼ活性を抑制せず、p24の産生を抑制する化合物を探索する。
具体的には以下の手順1〜7に従って、Rev核外移行阻害物質のアッセイを行った。
〔アッセイの方法〕
手順1: 培養HeLa細胞を、6ウエルプレート(well plate)に4×104 cells/3mL/well で播種し、37℃、5%CO2で培養し、21時間後に培地を新鮮なものに入れ替えた。
手順2: 播種してから24時間後に、リン酸カルシウム法によってプラスミド懸濁液をトランスフェクションする。プラスミドには、以下の4種類を使用した。
(1)pcRRE: HIV遺伝子よりpol領域を欠落(又は不活化)させたHIV由来DNAを導入したプラスミド
(2)pcRRE/Δrev: 上記プラスミドpcRREからRev蛋白をコードするrev遺伝子領域を欠落(又は不活化)させたプラスミド
(3)luc: ルシフェラーゼ遺伝子をコードし、その上流にRSVプロモーターを組み込んだプラスミド
(4)PUC12: トランスフェクションするDNA総量を調節するために使用されるプラスミド。一般的なクローニングベクターである。
そして、細胞をA群とB群とに分け、上記(1)〜(4)のプラスミドを適宜組み合わせて、各群の細胞に対してトランスフェクションを行った。具体的には、A群の細胞に対して、pcRRE、lucおよびPUC12を、また、B群の細胞に対してはコントロールとして、pcRRE/Δrev、lucおよびPUC12をトランスフェクションさせた。
手順3: トランスフェクションから37℃、5%CO2で16時間培養したのち、培地で2回洗浄してリン酸カルシウムの沈殿を除いた。
次に、新鮮な培地に入れ替え、A群を被検物質投与群と非投与群とに分け、投与群の細胞に対して、DMSO終濃度1%となるように被検物質のDMSO溶液を添加した。他方、A群の非投与群およびB群の細胞に対してはDMSOのみを添加した。
手順4: 被検物質添加後37℃、5%CO2で12時間培養し、その後、培地を除去し、PBSで洗浄後、lysis buferを加えて各群の細胞を破砕した。細胞破砕液を回収し、遠心操作によって不溶画分を沈殿させ、上清を粗タンパク液とした。
手順5: 各群の粗タンパク液のルシフェラーゼ活性を常法に従って測定した。
手順6: ルシフェラーゼ活性を基準に粗タンパク液を希釈した後、各群においてHIV構成タンパク質であるp24の生成量を測定した。p24の測定には、市販のp24 ELISA kit(ZeptoMetrix社製)を使用し、キット説明書記載の方法に従って行った。
また、各群の粗タンパク液の希釈は、ルシフェラーゼ活性が各群一定の値になるように、次のように行った。例えば、ルシフェラーゼ活性10,000 RLU/10μLに合わせて希釈する場合、A群の活性:25,000 RLU/10μL、B群の活性:500,000 RLU/10μL、C群の活性:125,000 RLU/10μLであれば、それぞれA群:2.5倍、B群:50倍、C群:12.5倍に希釈した粗タンパク液を用いてp24の発現量を評価した。
手順7: A群のDMSOのみ添加群(即ち、被検物質非投与群)のp24産生量をRev核外移行が全く阻害されていない値(0%阻害)とし、B群のp24産生量をRevが完全に抑制された場合の値(100%阻害)として、被検物質投与群におけるp24産生量の値から、各被検物質のRev核外移行阻害活性を評価した。
〔アッセイの結果〕
本実施例のアッセイ系により行ったアッセイの結果が表1に示される。
Figure 2005315747
表中、「luciferase」は、ルシフェラーゼ活性の測定結果(単位:RLU/10μL)、「p24産生量」は、上記ELISA法によりp24産生量を測定した結果(単位pg/mL)、「抑制率」は、このp24産生量から各被検物質の抑制率(Rev核外移行阻害率)を算出・評価した結果である。
「No treatment (pcRRE)」は、前記プラスミドpcRREをトランスフェクションさせたA群のうち被検物質非投与群の結果であり、このときのp24産生量が抑制率0%と設定される。他方、「No treatment (pcRRE/Δrev)」は、前記プラスミドpcRRE/ΔrevをトランスフェクションさせたB群の結果であり、このときのp24産生量が抑制率100%と設定される。
「LMB」(leptomycin B)は、公知のRev核外移行阻害物質である。前述のように、核外移行を担う輸送担体としてCRM1という蛋白が知られており、RevもCRM1と結合して核外へと輸送される。LMBは、CRM1の529番目のCys残基と共有結合を形成し、CRM1を不活化することが明らかにされている。
本実施例のアッセイ系においても、LMBを作用させることでp24産生量の顕著な低下が観測された。このときの抑制率は92.1%と評価された。すなわちRevの核外移行阻害が起きていること、さらにその阻害の程度が定量化され、数値として把握することができた。
表中の「Sample A・B」は、本実施例のアッセイに使用した被検物質である。両サンプルのうち、サンプルBは抑制活性を殆ど示さかったが(抑制率6.7%)、サンプルAについては抑制効果が認められた(抑制率41.2%)。
このように本実施例のアッセイ系によれば、各被検物質のRev核外移行阻害活性を定量化することができ、再現性の点においても良好な結果が得られた。
なお、本実施例のアッセイ方法において、細胞の各培養期間は適宜変更してもよいが、細胞にプラスミドをトランスフェクションさせた後、サンプル処理(被検物質投与)までの培養期間は16時間程度に設定することが望ましい。これは、トランスフェクションしたDNAが細胞に入っているが、Gagタンパク質p24の発現は始まっていないという時間がおよそ16時間だからである。
被検物質添加後の12時間培養は、細胞毒性が出にくく、Gag産生抑制が見やすい時間に設定してあるため、毒性がなければ12時間以上に設定してもよい。また、トランスフェクション前の前培養に関しては、トランスフェクション効率が良かった条件を採用しているが、条件は適宜変更してもよい。
〔3〕アッセイ用キット、アッセイ用装置
本発明のアッセイ法をキット化し、あるいはアッセイ用装置とすることが可能である。キット化する場合、上記実施例で使用した各プラスミドのほか、各種試薬、酵素、バッファー、抗体、培地成分などをキットに含めることができ、さらにプレートなどの器具と組み合わせてアッセイ用装置とすることができる。
以上のように、本発明は、Rev蛋白核外移行制御物質の新規アッセイ法に関するものであり、好適には、Rev蛋白の核外移行阻害を作用機序とした抗HIV薬の探索に利用することができるが、他の目的の調査研究にも利用可能である。

Claims (12)

  1. HIV由来DNAをトランスフェクション後、被検物質を投与した細胞について、所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定し、この測定結果をもとに被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価することを特徴とする、Rev核外移行制御物質のアッセイ法。
  2. 所定のHIV構成タンパク質として、p24の発現量を測定することを特徴とする、請求項1記載のアッセイ法。
  3. ELISA法によってp24の発現量を測定することを特徴とする、請求項2記載のアッセイ法。
  4. 宿主細胞においてRRE領域がRNAに転写され、かつ、Rev蛋白を発現させるHIV由来DNAがトランスフェクションされた第1群の細胞、
    宿主細胞においてRev蛋白を発現させないか、又は本来の機能を失ったRev蛋白を発現させるHIV由来DNAがトランスフェクションされた第2群の細胞、および、
    第1群の細胞と同じHIV由来DNAがトランスフェクションされた後、被検物質が投与された第3群の細胞、のそれぞれについて、所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定し、この測定結果をもとに被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価することを特徴とする、Rev核外移行制御物質のアッセイ法。
  5. 所定のHIV構成タンパク質として、p24の発現量を測定することを特徴とする、請求項4記載のアッセイ法。
  6. ELISA法によってp24の発現量を測定することを特徴とする、請求項5記載のアッセイ法。
  7. 第1群の細胞を阻害率0%、第2群の細胞を阻害率100%として、両者との比較により被検物質のRev核外移行阻害活性を定量的に評価することを特徴とする、請求項4記載のアッセイ法。
  8. 各群の細胞に対して、HIV由来DNAに加えて外来遺伝子を導入し、この外来遺伝子の発現量に応じて各群の細胞からのタンパク質抽出液を希釈し、これら希釈液における所定のHIV構成タンパク質の発現量を測定することを特徴とする、請求項7記載のアッセイ法。
  9. 外来遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を導入することを特徴とする、請求項8記載のアッセイ法。
  10. HIV由来DNAおよび外来遺伝子をプラスミドにより細胞内導入し、さらにトランスフェクション量調整用のプラスミドを各群の細胞に導入することを特徴とする、請求項8又は9記載のアッセイ法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のアッセイ法に使用されるアッセイ用キット。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のアッセイ法に使用されるアッセイ用装置。

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