JP2005309836A - がん診断支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】各種がんの迅速かつ的確な診断を支援することができるがん診断支援システムを提供する。
【解決手段】がん患者のがん組織から取得されるがん患者ゲノムDNA異常情報と、そのがん患者のカルテ情報とを含むがん患者情報を記憶するがん患者情報記憶手段と、受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報を含む受診者情報を入力する受診者情報入力手段と、前記受診者情報入力手段に基づいて入力された情報を記憶する受診者情報記憶手段と、前記受診者情報記憶手段に記憶される受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報と、前記がん患者情報記憶手段に記憶されるがん患者ゲノムDNA異常情報とを、所定の類似度の指標に基づいて類似検索を行なう類似検索手段と、前記類似検索手段によって得られた類似患者情報をがん診断支援情報として出力する手段とを備えたがん診断支援システムによって達成される。
【選択図】図1
【解決手段】がん患者のがん組織から取得されるがん患者ゲノムDNA異常情報と、そのがん患者のカルテ情報とを含むがん患者情報を記憶するがん患者情報記憶手段と、受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報を含む受診者情報を入力する受診者情報入力手段と、前記受診者情報入力手段に基づいて入力された情報を記憶する受診者情報記憶手段と、前記受診者情報記憶手段に記憶される受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報と、前記がん患者情報記憶手段に記憶されるがん患者ゲノムDNA異常情報とを、所定の類似度の指標に基づいて類似検索を行なう類似検索手段と、前記類似検索手段によって得られた類似患者情報をがん診断支援情報として出力する手段とを備えたがん診断支援システムによって達成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、がん診断支援システムに関し、より詳しくは、がん患者のゲノムDNA異常情報とその患者のカルテ情報とをリンクさせたデータベースを用いてがん診断の支援情報を提供するがん診断支援システムに関する。
ヒトゲノムの全塩基配列の決定や遺伝子の持つ機能の解明が進み、最近では、これらの遺伝子情報と疾患との関係を解明する研究が盛んに行なわれている。そして、このような研究結果に基づいて遺伝子情報を遺伝子関連疾患の治療に応用しようとする研究も多く行なわれている。一方、ネットワーク、インターネット等のコンピューター技術の進歩によって治療情報の電子化も行なわれている。
このような状況で、例えば、特開2000−67139号公報(特許文献1)では、患者の遺伝子 情報,患者の診察情報から患者が現在発症中か将来発症する可能性のある疾患を推定する電子カルテシステムが提案されている。この電子カルテシステムでは、疾患推定手段が、遺伝子 データベースとカルテデータベースに格納されている情報を読み出し、遺伝子情報及び診察情報と疾患との相関を格納した相関テーブルを検索して発症の可能性が高い疾患を抽出し、その患者が罹患し易い疾患を予測するようにしている。
また、特開2000−262479号公報(特許文献2)は、受診者の健康状態を診断する健康診断システムを開示している。 この公報では、臨床検査結果、問診結果及び遺伝子検査の結果を併用して受診者の疾病に対するリスク予測を行う健康診断装置が提案されている。さらに、特開2002−342492号公報(特許文献3)では、個人情報を保護しながら複数の医療機関で遺伝子情報を含む医療情報を共有し、疾病に対するリスク予測などの診断支援情報を提供する医療情報管理システムが提案されている。
特開2000−67139号公報
特開2000−262479号公報
特開2002−342492号公報
上記のように遺伝子情報に基づく疾患の予測方法については幾らか提案されているが、それらはいずれも遺伝子情報に基づいて疾患に対するリスク予測をするにとどまるもので、具体的に特定の疾患についての診断を支援するものではない。特に、従来技術においては、迅速かつ的確にがんの診断を支援するシステムは未だ提供されていない。したがって、そのように迅速かつ的確にがんの診断を支援することができるシステムの開発が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、下記のようながん診断支援システムを提供する。
(1)がん患者のがん組織から取得されるがん患者ゲノムDNA異常情報と、そのがん患者のカルテ情報とを含むがん患者情報を記憶するがん患者情報記憶手段と、受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報を含む受診者情報を入力する受診者情報入力手段と、前記受診者情報入力手段に基づいて入力された情報を記憶する受診者情報記憶手段と、前記受診者情報記憶手段に記憶される受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報と、前記がん患者情報記憶手段に記憶されるがん患者ゲノムDNA異常情報とを、所定の類似度の指標に基づいて類似検索を行なう類似検索手段と、前記類似検索手段によって得られた類似患者情報をがん診断支援情報として出力する手段とを備えたがん診断支援システム。
(2)前記受診者情報はさらに受診者のがんの病態情報を含み、前記類似検索手段においては、まず、受診者のゲノムDNA異常情報と前記患者ゲノムDNA異常情報とを比較して類似患者を選別し、次いで、受診者のがんの病態情報と選別された類似患者の病態情報とを比較することによって類似患者を確定することによって類似患者情報を得る前記(1)記載のシステム。
(2)前記受診者情報はさらに受診者のがんの病態情報を含み、前記類似検索手段においては、まず、受診者のゲノムDNA異常情報と前記患者ゲノムDNA異常情報とを比較して類似患者を選別し、次いで、受診者のがんの病態情報と選別された類似患者の病態情報とを比較することによって類似患者を確定することによって類似患者情報を得る前記(1)記載のシステム。
(3)前記がん患者ゲノムDNA異常情報が、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異から選択される一種以上のデータを含む、前記(1)記載のシステム。
(4)前記がん患者のカルテ情報が、そのがん患者の腫瘍の占拠部位、形態分類、大きさ、壁進達度、進行度、組織学的分化度、リンパ節転移及び他臓器転移から選択される二種以上の病態情報と、そのがん患者の生存情報、施術情報及び治療経過情報を含む治療情報とを含む、前記(1)記載のシステム。
(5)前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異から選択される一種以上のデータを含み、前記がん患者ゲノムDNA異常情報と同一のフォーマットで構成されている前記(1)記載のシステム。
(6)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、増幅、欠失、正常の3種の属性によって構成されたデータであり、かつ、その3種の属性が3種の記号によって記述されるデータである、前記(1)記載のシステム。
(4)前記がん患者のカルテ情報が、そのがん患者の腫瘍の占拠部位、形態分類、大きさ、壁進達度、進行度、組織学的分化度、リンパ節転移及び他臓器転移から選択される二種以上の病態情報と、そのがん患者の生存情報、施術情報及び治療経過情報を含む治療情報とを含む、前記(1)記載のシステム。
(5)前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異から選択される一種以上のデータを含み、前記がん患者ゲノムDNA異常情報と同一のフォーマットで構成されている前記(1)記載のシステム。
(6)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、増幅、欠失、正常の3種の属性によって構成されたデータであり、かつ、その3種の属性が3種の記号によって記述されるデータである、前記(1)記載のシステム。
(7)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、ゲノムDNAマイクロアレイにより取得されるデータである、前記(1)記載のシステム。
(8)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、BAC全長もしくは全長の制限酵素切断片またはその一部により構成されるゲノムDNAマイクロアレイで取得されるデータである、前記(7)記載のシステム。
(9)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、固定されているDNA長が平均200〜300kb長であるゲノムDNAマイクロアレイにより取得されるデータである、前記(7)記載のシステム。
(8)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、BAC全長もしくは全長の制限酵素切断片またはその一部により構成されるゲノムDNAマイクロアレイで取得されるデータである、前記(7)記載のシステム。
(9)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、固定されているDNA長が平均200〜300kb長であるゲノムDNAマイクロアレイにより取得されるデータである、前記(7)記載のシステム。
(10)前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報を、医療機関のサーバーからネットワークを介して取得する、前記(1)記載のシステム。
(11)前記類似度の指標が、対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアであり、このスコアによる定量的な計算によって類似患者を選択して類似患者情報を得ることを特徴とする、前記(1)記載のシステム。
(12)前記スコアの計算において、属性または記号に重みをつけてその総和を計算することを特徴とする、前記(11)記載のシステム。
(13)選択された類似患者のカルテ情報と、ゲノムDNA異常情報、その類似患者と受診者との病態の類似度、及び対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアから選択される一以上の情報とを類似患者情報として出力する前記(1)記載のシステム。
(11)前記類似度の指標が、対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアであり、このスコアによる定量的な計算によって類似患者を選択して類似患者情報を得ることを特徴とする、前記(1)記載のシステム。
(12)前記スコアの計算において、属性または記号に重みをつけてその総和を計算することを特徴とする、前記(11)記載のシステム。
(13)選択された類似患者のカルテ情報と、ゲノムDNA異常情報、その類似患者と受診者との病態の類似度、及び対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアから選択される一以上の情報とを類似患者情報として出力する前記(1)記載のシステム。
(14)前記類似患者情報をがん診断支援情報として、ネットワークを介して医療機関に送信する手段を有する前記(1)記載のシステム。
(15)新たに得られたがん患者情報を、前記がん患者情報記憶手段に記憶させる、前記(1)記載のシステム。
(16)前記がん診断支援情報を、ネットワークを介して医療機関に送信する際に暗号化して情報を送信する暗号化手段を有する、前記(1)記載のシステム。
(15)新たに得られたがん患者情報を、前記がん患者情報記憶手段に記憶させる、前記(1)記載のシステム。
(16)前記がん診断支援情報を、ネットワークを介して医療機関に送信する際に暗号化して情報を送信する暗号化手段を有する、前記(1)記載のシステム。
本発明のがん診断支援システムによれば、既に収集されたがん患者のゲノムDNA異常情報とその患者のカルテ情報に基づいてがんの診断支援情報を提供することができるので、遺伝子レベルでの緻密な診断支援情報を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、ゲノムDNA情報を容易にかつ定量的にスコアリングできるので、類似検索も極めて迅速かつ正確に行なうことができるというメリットもある。また、本発明のがん診断支援システムをネットワーク化することによって、多くの医療機関に対して有用ながん診断支援情報を提供できるというメリットもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
次に、本発明のがん診断支援システムについて図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るがん診断支援システムの構成を示す図である。図1に示す本発明のがん診断支援システムは、中央演算処理装置1、記憶装置2、入力装置3及び表示装置4を備えてなるコンピューターシステムである。
図1は、本発明の一実施態様に係るがん診断支援システムの構成を示す図である。図1に示す本発明のがん診断支援システムは、中央演算処理装置1、記憶装置2、入力装置3及び表示装置4を備えてなるコンピューターシステムである。
中央演算処理装置1は、例えば、記憶装置2に格納されるシステムプログラムおよび当該システムに対応する各種アプリケーションプログラムの中から指定されたアプリケーションプログラムをRAM11内のプログラム展開エリアに一時的に格納する。そして、入力装置3から入力される入力指示または入力データに応じて記憶装置2に格納されたアプリケーションプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM11に格納すると共に、必要に応じて表示装置4に表示する。また、RAM11に格納した処理結果を入力装置3から入力される指示に応じて記録装置2内の指示された保存先に保存する。
記憶装置2は、上記システムプログラムや各種アプリケーションプログラムを格納する装置であり、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、半導体メモリ等を備えた記憶装置である。記憶装置2は、上記システムプログラムやアプリケーションプログラム以外に、本発明によって利用する、がん患者ゲノムDNA異常情報と、そのがん患者のカルテ情報を含むがん患者情報をここに記憶させておくことができる。またこの記憶装置2には、入力装置3によって入力される受診者情報を記憶させることもできる。このシステムによって新たに入力された受診者情報は、新たな患者情報として随時登録することができる。このように、データ量が増加するにつれて信頼度の高いがん診断支援システムが構築されることになる。
本発明の好ましい態様においては、「がん患者ゲノムDNA異常情報」は、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異等の情報を含むデータである。ここで、「特定領域」とは、がんにおいて特異的に異常が見られる領域をいう。このような特定領域としては、例えば、p53遺伝子(17p13に存在)の点突然変異部位や、CGH法(Science 258:818-821 (1992)参照)により測定される染色体上の欠失、増幅が見られる位置、例えば、12p11.2(12番染色体のP:短腕の11.2の位置)等が例示される。がんにおいて特異的に異常が見られる領域、部位については公知であり、例えば、8q22−q23; 8q24−qter; 9q32−q34; 11q23; Xq12−q24(Genes, Chromosomes & Cancer 29:75-82 (2000)参照); 7p12−p14; 7p21−pter; 7q31; 5p; 19q13; 6q14−q16(Cancer Feb 1, 2001, Vol.91, n3, 572-577参照);3q25−28; 5p; 8q; 18q; 19q; 17p; 19p(J Oral Patho Med 2000, 29:226-321参照)などが知られている。
また、本発明において、「がん患者のカルテ情報」は、これらに限定されないが、そのがん患者の腫瘍の占拠部位、形態分類、大きさ、壁進達度、進行度、組織学的分化度、リンパ節転移及び他臓器転移から選択される病態情報と、そのがん患者の生存情報、施術情報及び治療経過情報を含む治療情報とを含む情報である。なお、「施術情報」としては、例えば、外科手術法、補助療法、化学療法、放射線治療療法等の適用した施術に関する情報が挙げられる。「治療経過情報」としては、例えば、治療歴、治療効果、副作用等に関する方法が挙げられる。さらに、必要に応じて、上記カルテ情報として、その患者の臨床検査データ(検体検査情報)、物理検査情報として画像診断データ(X線、内視鏡、MRI、PET等)や超音波計測データを含ませることも好ましい。
現在、個人の疾病情報は、例えば、文献(「電子カルテの運用経験と今後の課題」医療とコンピュータ Vol.9 No.11第8〜11頁、1998年)に示されるように、電子カルテシステム等の診療録の一部として各医療機関が個別に管理している。診療録には、個人の疾病情報の他に、家族歴、所見、検査結果、生活慣習、症状経過、治療経過、薬剤の処方に関する情報等が含まれている。さらには、カルテ情報は、診察に直接関係しない、個人の氏名、住所、生年月日、診療録ID等の情報も含まれている。本明細書において用いる「カルテ情報」という用語は、これらの全ての情報をも包含する意味でも用いられる。
本発明において用いられる「カルテ情報」は、上記各種情報のなかから、適宜、データベース作成者等によって選択して本発明のがん診断支援システムにおいて利用される。好ましくは前記病態情報の中から4種以上、さらに好ましくは5種以上、さらに好ましくは6種以上選択し、前記治療情報のなかから好ましくは2種以上、さらに好ましくは全部を組み合わせて用いることができる。
ここで、「受診者のがん組織のゲノムDNA情報」は、好ましくは、上記「がん患者ゲノムDNA異常情報」と同様に、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異から選択される一種以上のデータを含む。受診者のがん組織のゲノムDNA情報は、後述する類似検索の便宜のために、前記がん患者ゲノムDNA異常情報と同一のフォーマットで構成されていることが好ましい。そして、本発明のさらなる好ましい態様によれば、前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報は、増幅、欠失、正常の3種の属性によって構成されたデータであり、かつ、その3種の属性が3種の記号によって記述されるデータである。その3種のデータの記号(code)は、特にこれに限定されることはないが、例えば、(「R」,「G」,「Y」)あるいは(「+」,「0」,「−」)と表現することができる。
前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報は、好ましくは公知のゲノムDNAマイクロアレイ(DNAチップ)により取得されるデータであり、このようなデータ取得法によれば、簡易かつ正確にゲノムDNA異常情報を取得することができる。ここで用いられる好ましいDNAマイクロアレイは、BAC(bacterial Artificial Chromosome)全長もしくは全長の制限酵素切断片またはその一部により構成されるゲノムDNAマイクロアレイである。ここで用いられるさらに好ましいDNAマイクロアレイは、固定されているDNA長が平均200〜300kb長であるゲノムDNAマイクロアレイである。そのようなDNAマイクロアレイの製造方法は公知であり、例えば、Nature Genetics Vol.20, Oct. 1998に記載されている。また、そのようなDNAマイクロアレイは既に製品化されており、例えば、GenoSensor Array 300(Vysis社製)、Spectral Chip、(Spectral Genomics社製)として市販されている。
本発明の好ましい態様によれば、中央演算処理装置1を複数のデータベース(例えば、各種医療機関のデータベース)にインターネットを介して接続し、必要に応じて必要なデータを利用できるようにすることが好ましい。公開データベースへの接続は、電話回線、インターネット回線等の回線を利用することができる。この場合は、中央演算処理装置1に、モデム、ターミナルアダプタ等の通信制御装置を接続して、外部機器と通信を行なう。このような構成とすることによって、前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報を、医療機関のサーバーからネットワークを介して取得し、またがん診断支援情報をネットワークを介してその情報を求める医療機関に提供できることになるので、さらに迅速にがん診断支援情報を提供することが可能となる。
一方、本発明のがん診断支援システムは、がん診断支援情報を作成または出力するための各種演算をするための手段を有し、例えば、類似度スコアリング手段12と、類似度計算手段13と、類似検索手段14とを有することができる。類似検索手段14は、受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報を含む受診者情報と、がん患者のゲノムDNA異常情報とそのがん患者のカルテ情報を含むがん患者情報とを、所定の類似度の指標に基づいて類似検索を行なう。
入力装置3は、本システムの使用者の入力操作に基づいて信号を生成し、中央演算処理装置1に出力する装置である。入力装置3としては、例えば、カーソルキー、数字入力キー等を有するキーボード、マウス、トラックボール等のポインティングデバイスが挙げられ、これらは組み合わせて用いることもできる。表示装置4は、中央演算処理装置1から指示される画像データ等を表示する装置であり、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどが挙げられる。なお、本発明において用いられる表示装置のハードウエア構成は、上記の通りであるが、当業者の技術常識に基づいて適宜必要な手段、装置等を組み込むことができる。
次に、図2に示すフローチャートに基づいて本発明のがん診断支援システムの動作について簡単に説明する。
記憶装置2には、事前に、がん患者ゲノムDNA異常情報及びその患者のカルテ情報を入力して記憶させておく。がん患者ゲノムDNA異常情報とその患者のカルテ情報は、例えば、患者ID番号などによってリンクさせておく。必要に応じて、その都度、外部データベースにアクセスしてがん患者ゲノムDNA異常情報及びその患者のカルテ情報を更新するようにしてもよい。
本発明のシステムの利用に際しては、通常は、まず入力装置3から必要な受診者情報を中央演算処理装置1に入力する(S101)。ここで、図3に受診者情報の入力画面の例を示す。図3に示されるように、例えば、ID番号、性別、年齢、飲酒嗜好性、喫煙歴などの患者情報;手術日、生存日数などの生存情報;占拠部位、形態分類、壁深達度、大きさ、転移状況、進行度、腫瘍マーカー情報、症状などの疾患情報;並存疾患、合併疾患、重複がん、家族歴などのその他の関連情報が入力される。さらに必要に応じて、図4に示すような画面から薬物治療情報(使用薬剤名、投与経路、投与感覚、1回量、投与総回数、投与総量、投与期間、投与中止理由、薬物有害反応の有無、その種類・程度など)が入力される。
ここで、図5は、受診者のがん組織から取得したゲノムDNAのDNAマイクロアレイ解析結果を表示した画面であり、図6及び図7は、その解析結果に基づいてゲノムDNA異常情報として解析した結果を示す画面である。なお、図5〜7において、白黒表示では判別できないが、DNAマイクロアレイのスポット(○印で表示)は、赤(R)、緑(G)又は黄(Y)で表示されている。
データの入力は、必要に応じて、モデムなどを介して外部の医療機関のサーバーなどからダウンロードすることもできる。このようにして入力された受診者情報は、記憶装置2に記憶される(S102)。
本発明のシステムの利用に際しては、通常は、まず入力装置3から必要な受診者情報を中央演算処理装置1に入力する(S101)。ここで、図3に受診者情報の入力画面の例を示す。図3に示されるように、例えば、ID番号、性別、年齢、飲酒嗜好性、喫煙歴などの患者情報;手術日、生存日数などの生存情報;占拠部位、形態分類、壁深達度、大きさ、転移状況、進行度、腫瘍マーカー情報、症状などの疾患情報;並存疾患、合併疾患、重複がん、家族歴などのその他の関連情報が入力される。さらに必要に応じて、図4に示すような画面から薬物治療情報(使用薬剤名、投与経路、投与感覚、1回量、投与総回数、投与総量、投与期間、投与中止理由、薬物有害反応の有無、その種類・程度など)が入力される。
ここで、図5は、受診者のがん組織から取得したゲノムDNAのDNAマイクロアレイ解析結果を表示した画面であり、図6及び図7は、その解析結果に基づいてゲノムDNA異常情報として解析した結果を示す画面である。なお、図5〜7において、白黒表示では判別できないが、DNAマイクロアレイのスポット(○印で表示)は、赤(R)、緑(G)又は黄(Y)で表示されている。
データの入力は、必要に応じて、モデムなどを介して外部の医療機関のサーバーなどからダウンロードすることもできる。このようにして入力された受診者情報は、記憶装置2に記憶される(S102)。
次いで、入力装置3によって、次の類似検索において使用する類似度の指標及び類似検索方法を選択する(S103)。場合によっては、類似度の指標及び類似検索方法を予め設定しておくことによって、このステップを省略することもできる。
ここで、本発明の好ましい態様によれば、類似度の指標としてゲノムDNA異常情報の類似度と病態の類似度(予め規定されたがん病態の類似度)とを選択する。この場合は、まず、DNA異常情報の類似度を指標として受診者と類似する類似患者を一次スクリーニングし、次いで一次スクリーニングによって選別された類似患者の病態情報と受診者の病態情報とを比較して類似患者を確定することによって類似患者情報を得る。すなわち、この場合は、一次スクリーニングの類似度の指標としてがん患者のゲノムDNAの異常情報との類似度を用いることによってより簡易にかつ定量的に類似患者をスクリーニングすることができる。なお、本発明は、一次スクリーニングをする際に病態情報の類似度を指標とし、二次スクリーニングの際にゲノムDNA異常情報の類似度を指標として類似患者を選別する態様をも包含する。
本発明のがん診断支援システムで対象とするがんは、これに限定されないが、例えば、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、咽頭がん、喉頭がん、胃癌、カポジ肉腫、肝臓がん、筋肉腫、結腸がん、血管腫、骨髄腫、甲状腺がん、睾丸腫瘍、膵臓がん、消化器がん、食道がん、大腸がん、上顎がん、舌癌、口唇がん、口腔がん、胆嚢がん、胆管がん、胆道がん、直腸がん、乳癌、尿管腫瘍、肉腫、骨肉腫、脳腫瘍、白血病、肺癌、神経芽腫、真性多血症、膀胱腫、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん、筋肉腫、皮膚がん、基底細胞がん、皮膚付属器がん、皮膚転移がんおよび皮膚黒色腫などの各種良性および悪性腫瘍を含む。「予め規定されたがん病態」は、これらの各がん毎に、例えば、「大腸癌取扱い規約」金原出版株式会社発行、1998年11月(第6版)、「胃癌取扱い規約」同社出版、1999年6月(第13版)等に記載されている。がんの病態の類似度については、従来法に基づいて評価する。例えば、がん患者の腫瘍の占拠部位、形態分類、大きさ、壁進達度、進行度、組織学的分化度、リンパ節転移、他臓器転移等の情報に基づいて総合的に類似度を判断する。この類似度の判定は、医師などによって適宜決定することができる。
また、前記類似度の指標としてDNA異常情報の類似度を用いる場合は、対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアを用いることもでき、このスコアによる定量的な計算によって類似患者を選択して類似患者情報を得ることもできる。このスコアの計算において、属性または記号に重みをつけてその総和を計算することができる。そのような重み付けは、その分野の当業者に公知の手法で行なうことができる。
次いで、選択された類似度の指標に応じて、類似度スコアリング手段12及び類似度計算手段13が類似度を検索し、受診者の情報と類似する類似患者を選別する(S104)。この際に、類似指標の選択によって所望の類似患者がヒットしない場合は、必要に応じて、類似度の指標及び類似検索方法を適宜調整してステップ103及びステップ104の工程を繰り返す。
より具体的には、類似度のスコアリングはCGH法による解析結果を利用することができる。CGH法では、評価したDNA群(がん細胞より抽出されたDNA)の中に、特定のDNA数の増減(増幅、欠失)を検出するため、がん細胞より抽出したDNAに緑色の色素を、正常細胞(Controlとして使用;同一の患者の細胞から取得、または市販)から抽出したDNAに赤色の色素標識を行い、DNAチップ上に、この2種のDNA群を同量で競合的にハイブリダイゼーションする。その結果、もしがんにおいてあるDNAが欠失しているとDNAチップのそのDNAの相補鎖が固定してあるスポットにおいては正常な赤色のDNAしか結合しないので、そのスポットは赤色に、またがん細胞で増幅が起こっているDNA領域においては、そのDNAの相補鎖が固定してあるスポットに、正常に比べ多数ある(増幅)緑色のがんのDNAが多数結合するため緑色に、またがん細胞で異常が全く無いDNA領域のスポットでは、正常とがんの細胞のDNAが同量結合するため、黄色にみえる。結果としてがん細胞のDNAの異常が3色の色分けで判定できる(すなわち、「R」、「G」、「Y」)。本発明においてもこのようなDNA解析結果の判定を類似度の定量的なスコアリングの指標として利用することができる。
要するに、DNAチップの解析によって評価結果で3色の一致の度合いが多ければ多いほど類似度が高いと評価することができ、少なければ少ないほど類似度が低いと評価することができる。例えば、食堂がんで、DNAとして、リンパ節転移、多臓器転移、5年生存率を規定するDNA部位5種(異常をI群)、更に食堂がんにおいて高頻度に異常が起こるDNA部位及び殆ど変化のないDNA部位5種(II群)、更にがんで高頻度に異常のおこっているDNA部位5種(III群)を固定したDNAチップを用いてがん患者のDNA異常を評価するとき、下記式(I)に基づいて、単純に15種のDNAの3色の一致数:0〜15までの類似度をスコア化することができる。
(数1)
ScoreF=ΣFi ・・・(I)
(式中、Fi=1;DNAの色の一致、0:不一致)
(数1)
ScoreF=ΣFi ・・・(I)
(式中、Fi=1;DNAの色の一致、0:不一致)
また、例えば、リンパ節転移、多臓器転移、5年生存率といった悪性度に関わる因子を患者の病態をよく反映するパラメータだと判断し、I群にスコアの重みを10点、II群は食堂がん共通の判定基準として5点、III群はがん一般にDNAのため1点の重みを付与し、下記式(II)に基づいて、類似度のスコアを計算する際に荷重のスコアをだすことにより精度の高い類似度の判定が可能となる。
(数2)
F=ΣFiXαI ・・・(II)
(式中、Fi:同上;αi=10 for iがI群;αi=5for i
がII群;αi=1for iがIII群)
(数2)
F=ΣFiXαI ・・・(II)
(式中、Fi:同上;αi=10 for iがI群;αi=5for i
がII群;αi=1for iがIII群)
なお、食道がんか否かの判定に際しては、II群の重みをあげるスコア付けが可能である。
これらの一連の工程において、類似患者情報等の類似検索の結果は表示装置4に表示され、必要に応じて、類似患者情報ががん診断支援情報としてその情報を求める医療機関に送信される(S106)。
がん診断支援情報となる、類似情報としては、例えば、選択された類似患者のカルテ情報と、ゲノムDNA異常情報、その類似患者と受診者との病態の類似度、及び対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアから選択される一以上の情報とを含むことができる。ここで、図8に、検索された類似患者情報を表示した画面を示す。図8に示されるように、ID番号1で示される受診者(女性、56歳)に対応する類似患者として、類似患者ID番号6の患者(女性、66歳)、ID番号9の患者(男性、47歳)、患者ID番号10の患者(男性、63歳)、ID番号2の患者(女性、42歳)及びID番号11の患者(男性、33歳)を含む類似患者情報ががん診断支援情報として抽出されていることが分かる。この図では、詳細は示していないが、本発明のがん診断支援システムによれば、これらの類似患者の治療情報等が医療機関に提供されることになり、医療機関では、その類似患者情報に基づいてID番号1で示される受診者に対して最も適切と思われる診断を行なうことができるのである。
なお、このような患者情報はプライバシー保護の観点から秘密に保持されるべきであるから、これらのデータがインターネット等を介して送受信される場合は、必要に応じて、それらのデータは、暗号化される。また、データ通信手段の使用に際しては、適宜、公知の認証・登録・暗号化手段を利用して行なうことが好ましい(「「暗号理論入門」、共立出版、1993; 「現代暗号」、産業図書、1997; 「暗号理論の基礎」、1996年、共立出版; 「インターネット世紀のコンピュータネットワーク暗号システム」1995年、NECクリエイティブ等参照)。
本発明のがん診断支援システムによれば、各種がんの迅速かつ的確な診断を支援することが可能となる。また、本発明のがん診断支援システムをネットワーク化することによって、多くの医療機関によって貴重ながん診断支援情報を共有し、がんの診断に利用することができる。
1 中央演算処理装置
2 記憶装置
3 入力装置
4 表示装置
11 RAM
12 類似度スコアリング手段
13 類似度計算手段
14 類似検索手段
2 記憶装置
3 入力装置
4 表示装置
11 RAM
12 類似度スコアリング手段
13 類似度計算手段
14 類似検索手段
Claims (16)
- がん患者のがん組織から取得されるがん患者ゲノムDNA異常情報と、そのがん患者のカルテ情報とを含むがん患者情報を記憶するがん患者情報記憶手段と、
受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報を含む受診者情報を入力する受診者情報入力手段と、
前記受診者情報入力手段に基づいて入力された情報を記憶する受診者情報記憶手段と、
前記受診者情報記憶手段に記憶される受診者のがん組織のゲノムDNA異常情報と、前記がん患者情報記憶手段に記憶されるがん患者ゲノムDNA異常情報とを、所定の類似度の指標に基づいて類似検索を行なう類似検索手段と、
前記類似検索手段によって得られた類似患者情報をがん診断支援情報として出力する手段と
を備えたがん診断支援システム。 - 前記受診者情報はさらに受診者のがんの病態情報を含み、前記類似検索手段においては、まず、受診者のゲノムDNA異常情報と前記患者ゲノムDNA異常情報とを比較して類似患者を選別し、次いで、受診者のがんの病態情報と選別された類似患者の病態情報とを比較することによって類似患者を確定することによって類似患者情報を得る前記請求項1記載のシステム。
- 前記がん患者ゲノムDNA異常情報が、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異から選択される一種以上のデータを含む、前記請求項1記載のシステム。
- 前記がん患者のカルテ情報が、そのがん患者の腫瘍の占拠部位、形態分類、大きさ、壁進達度、進行度、組織学的分化度、リンパ節転移及び他臓器転移から選択される二種以上の病態情報と、そのがん患者の生存情報、施術情報及び治療経過情報を含む治療情報とを含む、前記請求1記載のシステム。
- 前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、ゲノムDNAの特定領域の増幅、欠失、メチル化及び点変異から選択される一種以上のデータを含み、前記がん患者ゲノムDNA異常情報と同一のフォーマットで構成されている前記請求項1記載のシステム。
- 前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、増幅、欠失、正常の3種の属性によって構成されたデータであり、かつ、その3種の属性が3種の記号によって記述されるデータである、前記請求項1記載のシステム。
- 前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、ゲノムDNAマイクロアレイにより取得されるデータである、前記請求項1記載のシステム。
- 前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、BAC全長もしくは全長の制限酵素切断片またはその一部により構成されるゲノムDNAマイクロアレイで取得されるデータである、前記請求項7記載のシステム。
- 前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報が、固定されているDNA長が平均200〜300kb長であるゲノムDNAマイクロアレイにより取得されるデータである、前記請求項7記載のシステム。
- 前記がん患者ゲノムDNA異常情報及び/又は前記受診者のがん組織のゲノムDNA情報を、医療機関のサーバーからネットワークを介して取得する、前記請求項1記載のシステム。
- 前記類似度の指標が、対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアであり、このスコアによる定量的な計算によって類似患者を選択して類似患者情報を得ることを特徴とする、前記請求項1記載のシステム。
- 前記スコアの計算において、属性または記号に重みをつけてその総和を計算することを特徴とする、前記請求項11記載のシステム。
- 選択された類似患者のカルテ情報と、ゲノムDNA異常情報、その類似患者と受診者との病態の類似度、及び対応するゲノムDNAデータにおける一致する属性または記号の数によるスコアから選択される一以上の情報とを類似患者情報として出力する請求項1記載のシステム。
- 前記類似患者情報をがん診断支援情報として、ネットワークを介して医療機関に送信する手段を有する前記請求項1記載のシステム。
- 新たに得られたがん患者情報を、前記がん患者情報記憶手段に記憶させる、前記請求項1記載のシステム。
- 前記がん診断支援情報を、ネットワークを介して医療機関に送信する際に暗号化して情報を送信する暗号化手段を有する、前記請求項1記載のシステム。
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- 2004-04-22 JP JP2004126889A patent/JP2005309836A/ja active Pending
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