JP2005300273A - 測定装置 - Google Patents

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隆二 池田
Shun Tasaka
駿 田坂
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Abstract

【課題】基材と、基材に形成された膜または層状体との界面の付着強度を高精度に測定することができる測定装置を提供する。
【解決手段】基材41の一方の面に付着された膜または層状体42と、基材41との界面の付着強度を測定する測定装置であって、基材41の他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させる衝撃波生成部5と、衝撃波生成部5に向けてパルスレーザ光を照射するレーザ装置2と、レーザ装置2から衝撃波生成部5にパルスレーザ光を照射したときに発生した衝撃波生成部5による衝撃波により基材41と膜または層状体42との界面の付着強度を示す信号を検出する検出部5と、検出部5が検出した信号を基に付着強度を演算するPC6の制御部69を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、化学気相反応法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、めっき、溶射等により、合成された表面改質膜、金属材料の表面耐酸化保護膜や、層状構造部材、接合部材等の界面の付着強度を測定する測定装置に関する。
従来、例えば表面改質膜の付着強度の定量評価技術として、スクラッチ法(引っかき法)により付着強度を測定する測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
スクラッチ法により付着強度を測定する測定装置は、例えばダイヤモンドプローブを膜表面に垂直に立て、移動させながらプローブに垂直に加重し、剥離発生時の臨界荷重を膜の付着強度とする。
特開平11−132939号公報
しかし、上述したスクラッチ法は、スクラッチによる破壊のメカニズムが複雑であり、臨界荷重の決定とその物理的解釈が困難である。例えば、基材、膜の硬さ、および膜厚等によって、負荷荷重や破壊機構が異なるため、測定結果の解釈が困難である。
また、プローブと膜の接触状態、プローブの形状や硬さ、膜表面の摩擦係数等により測定結果が大きく変化する。
また、プローブにより剥離が発生するまで引っ掻くために付着に分布がある場合には、高精度に測定を行うことが困難である。
このため、高精度に界面の付着強度を測定できる測定装置が望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基材と、基材に形成された膜または層状体との界面の付着強度を高精度に測定することができる測定装置を提供することができる。
前記目的を達成するために、本発明の測定装置は、基材の一方の面に付着された膜または層状体と、前記基材との界面の付着強度を測定する測定装置であって、前記基材の他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させる衝撃波生成手段と、前記衝撃波生成手段に向けてパルスレーザ光を照射するレーザ装置と、前記レーザ装置から前記衝撃波生成手段にパルスレーザ光を照射したときに発生した前記衝撃波生成手段による衝撃波により前記基材と前記膜または層状体との界面の付着強度を示す信号を検出する検出手段とを有する。
本発明の測定装置によれば、衝撃波生成手段は、基材の他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させる。
レーザ装置は、衝撃波生成手段に向けてパルスレーザ光を照射する。
検出手段は、レーザ装置から衝撃波生成手段にパルスレーザ光を照射したときに発生した衝撃波生成手段による衝撃波により基材と膜または層状体との界面の付着強度を示す信号を検出する。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、基材と、基材に形成された膜または層状体との界面の付着強度を高精度に測定することができる測定装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る測定装置は、基材の一方の面に付着された膜または層状体と、基材との界面の付着強度を測定する。
詳細には、測定装置は、基材の他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させる衝撃波生成部を設け、レーザ装置から衝撃波生成手段にパルスレーザ光を照射したときに発生した衝撃波生成部による衝撃波により基材と膜または層状体との界面の付着強度を示す信号を検出し、検出した信号を基に付着強度を演算する。
以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る測定装置の一実施形態の構成図である。
本実施形態に係る測定装置1は、例えば図1に示すように、パルスレーザ装置2、光学系3、衝撃波生成部4、検出部5、およびコンピュータ(PC)6を有する。
パルスレーザ装置2は本発明に係るレーザ装置の一例であり、衝撃波生成部4は本発明に係る衝撃波生成手段の一例であり、検出部5は本発明に係る検出部の一例であり、PC6は本発明に係る演算手段の一例である。
本実施形態では、被検体40は、基材41と、基材41の一方の面に付着された膜または層状体(以下、簡単に層状体42と言う)を含む。測定装置1は、被検体40の基材41と層状体42の界面の付着強度を測定する。
また、基材41に付着する膜または層状体42は、例えば、めっき、CVD、PVD、溶射等により合成された表面改質膜や、耐酸化保護皮膜等の膜や、層状構造材料(層状体)、加工変質層、あるいは金属、セラミックス、樹脂、ガラス等の接合部材を含む。
パルスレーザ装置2は、例えばPC6による制御により、光学系3を介して衝撃波生成部4に向けて、設定された照射強度(エネルギー)のパルスレーザ光を照射する。
本実施形態ではパルスレーザ装置2は、例えばテーブルトップ型Q-switched Nd:YAG レーザ装置であり、レーザ光の波長は1064nm、最高出力エネルギーは、たとえば300mJである。
光学系3は、例えばパルスレーザ装置2から出力されたパルスレーザ光を衝撃波生成部4に集光させる機能や、制御用にパルスレーザ光の一部を検出部5に出力する機能を有する。
光学系3は、例えば図1に示すように、ハーフミラー31、および集光レンズ32を有する。
ハーフミラー31は、例えばパルスレーザ装置2から出力されたパルスレーザ光の一部を、制御用に検出部5のフォトダイオード54に出力する半透過性ミラーである。
集光レンズ32は、例えばPC6の制御により、パルスレーザ装置2から出力されたパルスレーザ光を衝撃波生成部4に集光させる。
例えばPC6は、例えば不図示のレンズ駆動部を駆動して、集光レンズ32と衝撃波生成部4との距離(フォーカス距離)を制御し、衝撃波生成部4に照射されるレーザビーム径を制御する。
例えば集光レンズ32は、両凸レンズや複数の光学レンズ等により構成される。
被検体40において、一方の面に層状体42が付着され、他方の面に衝撃波生成部4が配設されている。
詳細には、被検体40において、例えば本実施形態では図1に示すように、基材41が1対の平行な対向する面を有し、基材41の一方の面に層状体42が形成され、他方の対向する面に衝撃波生成部4が配設されている。
衝撃波生成部4は、パルスレーザ装置2によるパルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を生成する。
ここでブレークダウン現象とは、物体にパルス状のエネルギが与えられた時、そのエネルギで急速に体積膨張し、直後に急速に収縮する現象をいい、この急速な体積の膨張と収縮に伴い、周囲に衝撃的な力を及ぼす。
衝撃波生成部4は、パルスレーザ装置2によるパルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を生成する材料、例えばシリコングリース等のグリースにより構成される。グリースは半固体状の粘稠な潤滑材であり、潤滑油に金属セッケンを混和して作られる。
シリコングリースは、半固体状の粘稠な潤滑材であり、例えば基油としてのシリコーン油に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウムなどの金属セッケンを混和したものであり、脂肪酸ジュステルを更に加えたものなどである。
シリコングリースは揮発性が少なく凝固点が低く粘性が高いので、シリコングリースにパルスレーザ光を照射したときに、シリコングリースは気化することなく急激に膨張し、直後に急速に収縮する熱変形に柔軟な性質を有する。
さらに、シリコングリースに、2硫化モリブデン(MoS2)粉末を懸濁液として加えることが好ましい。2硫化モリブデンはレーザ光に用いる波長領域でエネルギ吸収率が高い性質を有する。シリコングリースに、MoS2粉末を加えるとさらに粘性が高まり、またエネルギ吸収率が高くなり、パルスレーザ光が照射されたときに大きな衝撃波を発生する。
発明者の実験によれば、衝撃波生成部4にMoS2粉末入りのシリコングリースを用い、シリコングリースに波長1064nmのパルスレーザ光を照射したときに大きな衝撃波が発生することが確認できた。
また、本実施形態では、基材41の層状体42が形成された面と対向する他の面に、MoS2粒子入りのシリコングリースが拘束板43により封止されている。
拘束板43は、例えばパルスレーザ装置2によるレーザ光を透過する光透過性部材により構成され、例えば透明な溶融石英板等により構成され、拘束板43のレーザ照射面にはレーザ照射面におけるレーザ光の反射を防止して、照射されたレーザのエネルギーロスを低減させる反射防止膜(ARコート:Anti Reflection coat)が形成されている。
後述するように、発明者の実験によれば、拘束板43により封止した上述のシリコングリースにパルスレーザ光を照射した場合と、封止されていないシリコングリースにパルスレーザ光を照射した場合とを比較すると、拘束板43により封止したシリコングリースにパルスレーザ光を照射した場合のほうが、大きな衝撃波が発生することが確認された。
例えば本実施形態では、被検体40は、MoS2粒子入りのシリコングリースを基材41に塗布し、透明な溶融石英板、例えば厚さ6mmにより封止して生成される。グリース層の厚さは例えばシックネスゲージにより正確に制御する。また溶融石英板のレーザ照射面に反射防止膜を塗布する。
検出部5は、パルスレーザ装置2から衝撃波生成部4にパルスレーザ光を照射したときに発生した衝撃波生成部4による衝撃波により基材41と層状体42との界面の付着強度を示す信号を検出する。
詳細には、例えば検出部5は、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、当該衝撃波により基材41と層状体42とが剥離したか否かを検出し、検出結果を示す信号をPC6に出力する。
検出部5は、例えば図1に示すように、アコースティックエミッション(AE:acoustic emission)センサ50、プリアンプ51、フィルタ52、デジタイザ53、フォトダイオード54、(デジタル)オシロスコープ55、レーザ干渉計56、および光学顕微鏡57を有する。
AEセンサ50は、被検体40に接して備えられ、前記基材42中の弾性波を基に付着強度を示す信号を検出する。
詳細には、AEセンサ50は、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、当該衝撃波により基材41と層状体42とが剥離したか否かを、被検体40に生じた弾性波を基に検出し、検出結果を示す信号を出力する。
つまり、AEセンサ50は、基材41内に発生した弾性波を検出し、その検出結果を示す信号を出力する。
プリアンプ51は、AEセンサ50が出力した信号を増幅してフィルタ52に出力する。
フィルタ52は、プリアンプ51から出力した信号からAE波の周波数成のみをデジタイザ53に出力する。
フィルタ52は、例えば1MHz以下の周波数成分のみをデジタイザ53に出力するローパスフィルタである。
AE波の周波数成分は略1MHz以下であり、レーザ衝撃波の周波数成分は数10MHzであり、フィルタ52を設けることにより、AE波の周波数成分を抽出することができる。
デジタイザ53は、フィルタ52が出力したアナログ信号を、例えば数10MHzのサンプリング周期で高速に入力してデジタル化してPC6に出力する。
PC6は、AEセンサ50,プリアンプ51,フィルタ52,およびデジタイザ53を介して出力された信号を基に、界面の付着強度を演算する。
フォトダイオード54は、パルスレーザ装置2からハーフミラー31を介して出力されたレーザ光の一部を検出し、検出結果を示す信号をデジタルオシロスコープ55に出力する。フォトダイオード54で検出されるパルスレーザ光は、デジタルオシロスコープ55やPC6へのトリガ信号として用いられる。
デジタルオシロスコープ55は、例えばPC6の制御により、フォトダイオード54から出力されたトリガ信号を基に、レーザ干渉計56からの信号をモニタしてPC6に出力する。
レーザ干渉計56は、例えばPC6の制御により、層状体42にレーザ光を照射して、界面の付着強度を示す信号を検出し、検出結果を示す信号をデジタルオシロスコープ55やPC6に出力する。
詳細には、上述したようにパルスレーザ装置2から衝撃波生成部4に向かって出力されたパルスレーザ光の一部がハーフミラー31によりフォトダイオード54に入射され、フォトダイオード54はその入射光に応じてトリガ信号を出力し、デジタルオシロスコープ55は、そのトリガ信号を基にレーザ干渉計56からの信号をモニタしてPC6に出力する。
また、レーザ干渉計56は、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、例えば波長633nmのレーザ光を層状体42に照射し、層状体42からの反射光との干渉により弾性波を検出し、検出結果を示す信号をデジタイザ53を介してPC6に出力する。
光学顕微鏡57は、例えばPC6の制御により、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、当該衝撃波により基材41と層状体42とが剥離したか否かを光学的に検出し、検出結果を示す信号をPC6に出力する。
PC6は、例えば図1に示すように、インタフェース(IF)60〜65、入力部66、出力部67、記憶部68、制御部(CPU:Central Processing Unit)69を有する。
IF60〜IF65、入力部66、出力部67、記憶部68、および制御部69はバスBSにより接続されている。
インタフェース(IF)60〜65は、例えば制御部69の制御により、検出部5の各構成要素とデータ通信を行う。
詳細には、例えばIF60はデジタイザ53と接続し、IF61は光学顕微鏡57と接続し、IF62はレーザ干渉計56と接続し、IF63はデジタルオシロスコープ55と接続し、IF64は集光レンズ32を駆動する不図示の駆動部と接続し、IF65はパルスレーザ装置2に接続されている。
入力部66は、例えばキーボードやマウス等の操作入力装置により構成され、ユーザによる操作に応じた信号を制御部69に出力する。制御部69は入力部66から出力された信号に応じた処理を行う。
出力部67は、例えば表示装置やプリンタ等により構成され、制御部69の制御により、所望の画像や文字等を表示する。
記憶部68は、例えば制御部69の制御の制御により、プログラムPRGや本発明に係る対応付けデータDAT等を記憶する。
プログラムPRGは、本発明に係る機能を実現する手順を含み、制御部69により実行されることで本発明に係る機能を実現する。
対応付けデータDATは、パルスレーザ装置2によるレーザ光の強度と、界面の付着強度とを対応付けるデータである。
対応付けデータDATは、例えば、衝撃波生成部4に照射するレーザ光の強度と、レーザ光が照射されて衝撃波生成部4により基材41と層状体42との界面に生じる応力とを対応付けるデータである。
また、対応付けデータDATは、少なくとも、衝撃波生成部4に照射するレーザ光の強度、レーザフォーカス径、およびグリース層の厚さのうちいずれかと、レーザ光が照射されて衝撃波生成部4により基材41と層状体42との界面に生じる応力とを対応付けるデータであってもよい。
記憶部68は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read only memory)等の半導体記憶装置や、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク記憶装置により構成される。
制御部69は、例えばプログラムPRGを実行して装置全体を制御することで本発明に係る機能を実現する。
例えば、制御部69は、検出部5が検出した信号を基に、基材41と層状体42との界面の付着強度を演算する。
また、制御部69は、検出部5による剥離検出時のパルスレーザ装置2によるレーザ光の強度と、記憶部68が記憶する対応付けデータDATとに基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度を決定する。
制御部69は、詳細にはAEセンサ50による剥離検出時のパルスレーザ装置2によるレーザ光の強度と、予め用意した、記憶部68が記憶する対応付けデータDATとに基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度を決定する。
図2は、図1に示した測定装置の動作を説明するためのフローチャートである。図2を参照しながら図1に示した測定装置1の動作を、制御部69の動作を中心に説明する。
ステップST1において、初期設定を行う。例えばPC6は内部の変数を初期化する。
また、本実施形態では、制御部69は、予めパルスレーザ装置2によるレーザ光のレーザ強度、フォーカス径、グリース層の厚さ等を変化させて、AEセンサ50により基材41に発生する弾性波の検出結果に基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度を計算し、その付着強度と、少なくともレーザ装置2によるレーザ光の強度、フォーカス径、グリース層のいずれかと対応付けて対応付けデータDATとして記憶部68に記憶させる。
測定装置1は、少なくとも、レーザ装置2によるレーザ光の強度、およびレーザ光のフォーカス径、およびレーザ装置2によるレーザ光が照射された状態でブレークダウン現象により衝撃波を生成するグリース層の厚さのいずれかを制御することにより、衝撃波生成部4が生成する衝撃波の強度を制御する。
以下、初期設定を図面を参照しながら説明する。
図3は、図1に示した測定装置の対応付けデータの生成処理を説明するための図である。
例えば、図3に示すように、衝撃波生成部4としてMoS2粒子入りのシリコングリースを、SiC基材41に塗布し、拘束板43としての透明な溶融石英板、例えば厚さ6mmにより閉じ込める(封止する)。
本具体例では、基材41は、SiC焼結基材(20W−20L−5mmT)であり、グリース層の厚みは、15〜20μm程度である。
グリース層の厚さは、シックネスゲージにより正確に制御する。溶融石英板にはレーザ光照射面に反射防止膜を形成する。
実際に基材41に層状体42を形成して測定した場合には、剥離発生および界面の通過により検出波形が歪む。
このため例えば図3に示すように基材41に層状体42を設けずに、基材41の一方の面に形成された衝撃波生成部4と対向する面に、直接レーザ干渉計56によるレーザ光を照射して、衝撃波による界面での変位を測定することで、弾性波を高精度に解析して、対応付けデータDATを生成する。
この際、レーザ光干渉計56は、基材41の震央部の変位を測定することが好ましい。
図4(a),(b)は、図1に示した測定装置の衝撃波生成部の衝撃波を説明するための図である。図4(a)は、グリース層を拘束板43により閉じ込めていない場合の衝撃波を示す図である。図4(b)は、グリース層を拘束板43として石英板に閉じ込めた場合の衝撃波を示す図である。横軸は時間、縦軸は衝撃波生成部4により生成した衝撃波の変位成分を示す。縦軸のプラスは、衝撃波のうちの膨張波成分を示し、縦軸のマイナスは、衝撃波のうちの圧縮波成分を示す。
本具体例では、パルスレーザ装置2のレーザエネルギー(照射強度)は114mJ、ビーム系は1.88mmである。
PC6の制御部69は、IF65を介してパルスレーザ装置2に所定の強度でレーザ光を照射させる。パルスレーザ光は、光学系3および拘束板43を透過して衝撃波生成部4のシリコングリース層に照射されると、シリコングリース層で吸収され、光エネルギが熱エネルギに変換される。
レーザ光が照射されたシリコングリースはブレークダウン現象により、急激に膨張および収縮して衝撃波を生成し、衝撃波が基材41表面に励起される。
図3に示すように、レーザ干渉計56は、その基材41表面に励起された衝撃波としての弾性波を検出し、デジタルオシロスコープ55は、フォトダイオード54からの信号をトリガ信号として、レーザ干渉計56による検出信号を取り込み、所定のタイミングでIF63を介して検出信号を制御部69に出力する。制御部69は、その信号に応じて弾性波解析を行う。
グリース層を閉じ込めない場合は、例えば図4(a)に示すように、初動波に注目すると比較的大きな圧縮波成分cwのみが検出される。グリース層を閉じ込めた場合には、例えば図4(b)に示すように圧縮波成分cwとそれに続く比較的大きい膨張波成分ewが生じる。圧縮波成分ewはわずかに増幅されている。
また、グリース層を拘束しない場合の衝撃波の振幅は、レーザエネルギーを増加させた場合、例えば25mJから200mJへ増加させた場合には、振幅は約4倍に増幅する。
本実施形態では測定装置1では、上述したように衝撃波生成部4としてグリース層を拘束板43により封止し、グリース層にレーザ光を照射して、ブレークダウン現象により衝撃波を生成するので、グリース層を閉じ込めていない場合と比べて大きな衝撃波、詳細には膨張波成分が得られる。
次に、PC6の制御部69は、IF64を介して不図示の駆動部により集光レンズ32を駆動してレーザビーム径を制御する。
図5(a),(b)は、図1に示した測定装置のレーザフォーカス径を変化させた場合に衝撃波生成部が生成する衝撃波を説明するための図である。図5(a)は、レーザフォーカス径を0.16mmに設定した場合の衝撃波を示す図である。図5(b)は、レーザフォーカス径を1.88mmに設定した場合の衝撃波を説明するための図である。また、レーザエネルギーを91mJに設定し、グリース層の厚さを一定値(20μm)に設定している。
図5(a)に示すように、レーザフォーカス径を略点集光である直径φ0.16mmに設定した場合には、衝撃波の圧縮波成分cwが支配的で膨張波成分ewは小さい。
図5(b)に示すように、レーザフォーカス径を直径φ1.88mmに設定した場合には、圧縮波成分cwと比べて膨張波成分ewが大きい。
上述したようにレーザフォーカス径を大きくすると、衝撃波生成部4の被照射部の面積が所定面積よりも大きくなり、その被照射部から生成される膨張波成分ewの指向性が向上する。つまり膨張波成分ewの広がりが小さくなり、所定の方向、例えば衝撃波生成部4が設けられた基材41の面に略直交方向に沿った衝撃波成分が大きくなる。
このため、本実施形態に係る測定装置1の制御部69は、IF65を介して不図示の駆動部に集光レンズ32の駆動させることにより、衝撃波の強度を制御することができる。詳細には、レーザフォーカス径が所定面積よりも大きくなるように制御することで、衝撃波の強度を所定値以上に制御することができる。
次に、グリース層の厚さを設定する。
図6(a),(b)は、図1に示した測定装置のグリース層の厚さを変化させた場合に衝撃波生成部が生成する衝撃波を説明するための図である。図6(a)は、グリース層の厚さを20μmに設定した場合の衝撃波を示す図である。図6(b)は、グリース層の厚さを15μmに設定した場合の衝撃波を説明するための図である。この際、フォーカス径を一定(1.88mm)に設定し、レーザエネルギーを41mJに設定する。
図6(a)に示すように、グリース層の厚さが20μmの場合には、衝撃波の圧縮波成分cwの最大振幅が約50nmである。
また、図6(b)に示すように、グリース層の厚さが15μmの場合には、圧縮波成分cwが減少して略消失し、最大変位100nmを超える引張成分が検出された。
上述したように、衝撃波生成部4のグリース層の厚さを制御することにより衝撃波の強度を制御することができる。詳細には、例えば衝撃波生成部4のグリース層を薄く設定することにより膨張波成分を大きく制御することができる。
上述したように、測定装置1は、被検体40に応じて衝撃波生成部4のグリース層の厚さを制御する。
次に、PC6の制御部69は、IF65を介してパルスレーザ装置2の照射エネルギーを制御する。
図7(a)〜(d)は、図1に示した測定装置のレーザ照射エネルギーを変化させた場合に衝撃波生成部が生成する衝撃波を説明するための図である。図7(a)はレーザエネルギーを25mJに設定した場合、図7(b)はレーザエネルギーを41mJに設定した場合、図7(c)はレーザエネルギーを25mJに設定した場合、図7(d)はレーザエネルギーを114mJに設定した場合の衝撃波を示す図である。この際本具体例では、レーザフォーカス径を1.88mmに設定し、グリース層の厚さを20μmに設定する。
図7(a)〜(d)において、衝撃波の初動波の形状は、圧縮波成分cwとそれに続く膨張波成分ewを含む。その膨張波成分の後に続く周期的な変位は、グリース層内の多重反射による弾性波である。
例えば図7(a)に示すように、低エネルギー25mJのレーザ照射時には、衝撃波の圧縮波成分cwは膨張波成分ewと比べて大きいが、図7(b)〜(d)に示すようにレーザエネルギーを増大させるに伴い、膨張波成分ewの振幅が急激に大きくなり、図7(d)に示すように高エネルギー114mJにおいて、膨張波成分ewが圧縮波成分cwより大きくなり支配的になる。
上述したように、グリース層の厚さの変化に伴う衝撃応力波の波形形状の変化と、後述するように剥離発生時のレーザ強度の閾値の変化から、剥離の原動力は、衝撃波の初動波の膨張波成分の引張力であることがわかる。
また、グリース層を閉じ込め、ビーム径とグリース層の厚さを制御することにより、衝撃応力波の初動成分を制御することができる。詳細には、圧縮波成分を抑制し、膨張波成分を大きくすることができる。
また、上述したように測定装置1において、レーザエネルギー、レーザフォーカス径、およびグリース層の厚さ等を変化させて制御し、制御部69は、得られた弾性波の波形を解析することにより、界面に発生する応力と、レーザエネルギー、レーザフォーカス径、およびグリース層とを対応付ける対応付けデータDATを生成し、対応付けデータDATを記憶部68に記憶する。
図8は、図1に示した測定装置による測定結果の一具体例を示す図である。
衝撃波の自由表面における応力σは、伝播方向のみの変位uの1次近似では、伝播媒体の密度ρ、および伝播媒体の縦波速度V、時間tにおける表面変位u(t)と、数式(1)に示すような関係がある。
Figure 2005300273
制御部69は、例えば上述した数式(1)により、図4〜図7に示した各検出波形における衝撃波の初動波の圧縮波成分cw、および膨張波成分ewの最大圧力を計算して、例えば図8に示すような対応付けデータDATを生成する。
例えば図8において圧縮波成分cwを黒丸印、膨張波成分を白丸印として表示する。
図8において、横軸はレーザ照射強度(エネルギー)、縦軸は応力値を示す。応力値の符号は、圧縮波成分による応力(圧縮応力)をマイナス、膨張波による引張応力をプラスとする。
図8において、圧縮波成分cwは、膨張波成分ewと比べて、エネルギー変化に伴う増大が著しく大きい。
次に、焼結SiC基材41上に、層状体42として例えばCVD法で成膜したダイヤモンド膜の付着強度測定を行う。
本具体例では、ダイヤモンド膜は、ホットフィラメントCVD法によりSiC焼結基材(20W−20L−5mmT)上に厚さ84μm成膜した。グリース層の厚みは、15〜20μmに形成する。
ステップST2において、制御部69は、IF65を介してパルスレーザ装置2にパルスレーザ光をハーフミラー31および集光レンズ32を介して衝撃波生成部4に照射させる。
ステップST3において、衝撃波生成部4では、パルスレーザ装置2によるパルスレーザ光が照射された状態でブレークダウン現象により衝撃波を生成する。
レーザパワーは、40〜200mJに、レーザフォーカス径を0.16〜0.188mmに変化させる。
ステップST4において、検出部5は、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、当該衝撃波により基材41と層状体42とが剥離したか否かを検出し、検出結果をIFを介してPC6に出力する。
AEセンサ50は、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、当該衝撃波により基材41と層状体42とが剥離したか否かを弾性波により検出し、検出結果をプリアンプ51、フィルタ52、デジタイザ53、およびIF60を介してPC6に出力する。
詳細には、例えばレーザ干渉計56は、IF62を介してサンプリングインターバル0.2ns、サンプリング数8192の信号をPC6の制御部69に出力する。
また、光学顕微鏡57は、衝撃波生成部4が生成した衝撃波で基材41内に衝撃波を発生させた状態で、当該衝撃波により基材41と層状体42とが剥離したか否かを光学的に検出し、検出結果をIF61を介してPC6に出力する
PC6の制御部69は、検出部5が出力した信号を基に剥離したか否かを判別し、剥離していないと判別した場合には、IF65を介してパルスレーザ装置2に、パルスレーザ照射強度(照射エネルギー)を大きくさせる制御信号を出力する。
パルスレーザ装置2は、PC6がその制御信号を出力すると、レーザ強度を大きくしてステップST2の処理に戻る。
一方、ステップST4において、制御部69は、検出部5が出力した信号を基に剥離したと判別した場合には、IF65を介して出力された、剥離検出時のパルスレーザ装置2によるレーザ光の強度と、記憶部68が記憶する対応付けデータDATとに基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度を決定する。
図9(a)〜(d)は、図1に示した測定装置によるダイヤモンド膜が形成された被検体の測定結果の一具体例を示す図である。図9(a)は光学顕微鏡による測定結果を示す図である。図9(b)はレーザ干渉縞の一具体例を示す図である。図9(c)は表面形状の3次元測定結果を示す図、図9(d)は図9(c)に示した測定結果のA−B線に沿った高低差を示す図である。
例えば、AEセンサ50により剥離を示すAEが検出される。
また、図9(a)に示すように、光学顕微鏡57から出力された画像は、直径約1mmの円形の剥離(白色部)を検出している。
本実施形態では、ダイヤモンド膜が可視光に対して透明であるので、光学顕微鏡57により剥離を観測可能である。
また、不図示のレーザ干渉測定装置により、例えば図9(b)に示すように、層状体42表面の干渉縞を観測し、制御部69は、そのレーザ干渉測定装置による観測結果を基に、干渉縞の縞次数から約3/4波長分の隙間(470nm)の剥離を検出する。
また、例えば図9(c),(d)に示すように、不図示のレーザ3次元形状評価システムにより、表面形状を測定した結果、剥離部中央部において、400〜500nmの盛り上がりが観測される。これはレーザ干渉計56による剥離検出と一致する。
図10は、図1に示した測定装置の測定結果の一具体例を示す図である。
制御部69は、上述した測定結果に基づいて、例えば図10に示すように、レーザ照射強度(レーザエネルギー)、フォーカス径、およびグリース層の厚さと、剥離の有無とを対応させるデータを生成する。
図10において、丸印は剥離したことを示し、×印は剥離がないことを示す。
フォーカス径が0.16mm、グリース層の厚さが20μmの場合には、レーザエネルギが、41mJ、73mJ、91mJ、114mJ、200mJのいずれでも剥離が生じない。
フォーカス径が1.88mm、グリース層の厚さが20μmの場合には、レーザエネルギが、41mJ、73mJ、91mJの場合には剥離が生じないが、レーザエネルギが114mJ、200mJのいずれでも剥離が生じる。
フォーカス径が1.88mm、グリース層の厚さが15μmの場合には、レーザエネルギが、41mJ、73mJの場合には剥離が生じないが、レーザエネルギが91mJ、114mJ、200mJのいずれでも剥離が生じる。
フォーカス径を大きくする、またはグリース層の厚みを小さくすることにより、剥離の発生の閾値が小さくなる傾向がある。
PC6の制御部69は、例えば図8に示すような対応付けデータDATと、上述した図10に示す測定結果に基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度を決定する。
具体的には、例えば図10に示すように、フォーカス径1.88mm、衝撃波生成部4のグリース層の厚さを20μmに設定した場合、剥離発生時のレーザエネルギーの閾値は、図10に示すように114mJであり、このときの界面に生じた外部応力は、図8のewaに示すように1.1GPaであり、この値を基材41と層状体42との界面の付着強度とする。
以上、説明したように、基材41の一方の面に付着された膜または層状体42と、基材41との界面の付着強度を測定する測定装置であって、基材41の他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させる衝撃波生成部5と、衝撃波生成部5に向けてパルスレーザ光を照射するレーザ装置2と、レーザ装置2から衝撃波生成部5にパルスレーザ光を照射したときに発生した衝撃波生成部5による衝撃波により基材41と膜または層状体42との界面の付着強度を示す信号を検出する検出部5と、検出部5が検出した信号を基に付着強度を演算するPC6の制御部69を設けたので、基材41と、基材41に形成された膜または層状体42との界面の付着強度を高精度に測定することができる。
また、衝撃波生成部5は、基材41の層状体42が形成されている面と対向する他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させるシリコングリースを設けたので、パルスレーザ光が照射されたとき比較的大きな衝撃波を生成することができる。
また、衝撃波生成部4は、シリコングリースを、基材41の層状体42が形成された面と対向する面に、レーザ装置2によるレーザ光を透過する光透過性部材としての拘束板43により封止しているので、レーザ光照射時には、封止していない場合と比べて大きな衝撃波を生成することができる。
例えば、上述した具体例では、衝撃波生成部4は1GPa以上の外部応力を界面に負荷することができる。
また、検出部53は、基材41内に発生した弾性波を検出するレーザ干渉計56を含み、制御部69は、レーザ干渉計56による弾性波の検出結果に基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度、詳細には界面の応力を演算し、その付着強度と、少なくともレーザ装置2によるレーザ光の強度、フォーカス径、グリース層の厚さのいずれかと、対応付けて対応付けデータDATとして記憶部68に記憶させ、少なくとも剥離検出時のレーザ装置2によるレーザ光の強度と、記憶部68が記憶する対応付けデータDATとに基づいて、基材41と層状体42との界面の付着強度を高精度に決定することができる。
また、少なくとも、レーザ装置2によるレーザ光の強度、およびレーザ光のフォーカス径、およびレーザ装置2によるレーザ光が照射された状態でブレークダウン現象により衝撃波を生成するグリース層の厚さのいずれかを制御することにより、衝撃波生成部4が生成する衝撃波の強度を制御することができるので、より高精度に測定することができる。
また、グリース層の厚みやレーザ光の強度、レーザ光のフォーカス径を制御することで、剥離の原動力となる衝撃応力である初動波成分の膨張波成分ewや圧縮波成分cwを制御することができる。
また、上述したように測定装置1は、非接触方式の測定方法であり、スクラッチ法と比べて高精度な評価を行うことができる。
また、パルスレーザ装置2が衝撃波生成部4にレーザ光を照射し、衝撃波生成部4の被照射部から衝撃波が発生し、図9に示すように局所的に剥離を起こさせることができ、基材41と層状体42との接面内において高空間分解能、例えば局部(φ2mm程度)の高精度な測定を行うことができる。
また、検出部5としてAEセンサ50を設けたので、微小な剥離による弾性波の高周波成分によりその剥離を検出することができる。
上述した実施形態では、予め対応付けデータDATを生成したが、この形態に限られるものではない。
例えば制御部69は、先に基材41に層状体42を形成した被検体40を、レーザ光の強度、フォーカス径、グリース層の厚さ等を変化させて剥離を測定した後、上述したように基材41に層状体42を形成しない状態で、レーザ光の強度、フォーカス径、グリース層の厚さ等を変化させて対応付けデータDATを生成し、その対応付けデータDATと先の剥離の測定結果に基づいて、界面の付着強度を生成してもよい。
こうすることで予め剥離時のレーザ光の強度や、フォーカス径、グリース層の厚さがわかるので、その剥離時と同じ条件での弾性波に基づいて対応付けデータDATを生成し、その対応付けデータDATにより、界面の付着強度を生成することができる。
また、検出部5として、レーザ干渉計56を設け、パルスレーザ装置2から衝撃波生成部4に入射するパルスレーザ光を、ハーフミラー31によりフォトダイオード54により検出し、これをトリガ信号としてデジタルオシロスコープ55およびレーザ干渉計56を同期させて測定するので、より高精度な測定を行うことができる。
また、上述した具体例では測定装置1は、SiC基材41とダイヤモンドの膜との界面の付着強度を測定したがこの形態に限られるものではない。例えば、めっき、CVD、PVD、溶射等により形成された表面改質膜、耐酸化保護皮膜、層状構造材料(複合材料等)、加工変質層、金属、セラミックス、樹脂、ガラスの接合材料の界面の付着強さを測定してもよい。
また、衝撃波生成部4により大きな衝撃波を生成することができるので、例えば厚さ5mmのSiCの焼結体SiC基材41を機械加工、例えば1μmのダイヤモンドパウダで鏡面研磨して、表面に加工変質層を形成した被検体40を、測定装置1により剥離させて界面の付着強度を測定することができる。
図11は、図1に示した測定装置によるSiCが形成された被検体の測定結果の他の具体例を示す図である。図11(a)は光学顕微鏡による測定結果を示す図である。図11(b)はレーザ干渉計による測定結果の一具体例を示す図である。図11(c)は図11(b)に示した測定結果のA−B線の断面を示す図である。
図11(a)〜(c)に示すように、レーザ照射および衝撃波生成部4による衝撃波により、厚さ約60μmの加工変質層が確認でき、その界面強度を測定することが可能である。
また、例えば、基材の薄膜と反対の側面に高出力短パルスレーザを照射し表面あるいは塗布したエネルギー吸収材のアブレーションによる急速膨張によって、膜自由表面からの反射膨張波を発生させて剥離を誘起させる方法と比べて、本発明に係る測定装置1は、レーザ光を封止したシリコングリース層に照射して、グリースによるブレークダウン現象(急速な体積膨張と収縮を伴う破壊に似た現象)によって、衝撃波の膨張波成分を進行波にしているので、大きな衝撃波を生成することができ、より大きな界面の付着強度を測定することができる。
なお、本発明は本実施形態に限られるものではなく、任意好適な改変が可能である。
例えば上述した実施形態では基材41は、層状体42と拘束板43とが形成される面が対向する一対の平行な面であったが、この形態に限られるものではない。
例えば、基材41の衝撃波生成部4が形成される面を、凹面や凸面にすることにより、弾性波の指向性を制御することができる。
また、基材41の衝撃波生成部4が形成される面と、層状体42が形成される面とが、所定の角度、例えば30度や45度の角度を有するように形成すると、衝撃波である弾性波の界面に対する角度依存性を測定することができる。
本発明は、例えば、めっき、CVD、PVD、溶剤によって合成された表面改質膜や、耐酸化保護皮膜、層状構造材料(層状体)、加工変質層、金属、セラミックス、樹脂、ガラス等の接合部材の界面の付着強度を測定する測定装置に適用できる。
本発明に係る測定装置の一実施形態の構成図である。 図1に示した測定装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図1に示した測定装置の対応付けデータの生成処理を説明するための図である。 (a),(b)は、図1に示した測定装置の衝撃波生成部の衝撃波を説明するための図である。(a)は、グリース層を拘束板により閉じ込めていない場合の衝撃波を示す図である。(b)は、グリース層を拘束板43として石英板に閉じ込めた場合の衝撃波を示す図である。 (a),(b)は、図1に示した測定装置のレーザフォーカス径を変化させた場合に衝撃波生成部が生成する衝撃波を説明するための図である。(a)は、レーザフォーカス径を0.16mmに設定した場合の衝撃波を示す図である。(b)は、レーザフォーカス径を1.88mmに設定した場合の衝撃波を説明するための図である。この際、レーザエネルギーを91mJに設定し、グリース層の厚さを一定値(20μm)に設定している。 (a),(b)は、図1に示した測定装置のグリース層の厚さを変化させた場合に衝撃波生成部が生成する衝撃波を説明するための図である。(a)は、グリース層の厚さを20μmに設定した場合の衝撃波を示す図である。(b)は、グリース層の厚さを15μmに設定した場合の衝撃波を説明するための図である。フォーカス径を一定(1.88mm)に設定し、レーザエネルギーを41mJに設定している。 (a)〜(d)は、図1に示した測定装置のレーザ照射エネルギーを変化させた場合に衝撃波生成部が生成する衝撃波を説明するための図である。(a)はレーザエネルギーを25mJに設定した場合、(b)はレーザエネルギーを41mJに設定した場合、(c)はレーザエネルギーを25mJに設定した場合、(d)はレーザエネルギーを114mJに設定した場合の衝撃波を示す図である。レーザフォーカス径を1.88mmに設定し、グリース層の厚さを20μmに設定している。 図1に示した測定装置による測定結果の一具体例を示す図である。 (a)〜(d)は、図1に示した測定装置によるダイヤモンド膜が形成された被検体の測定結果の一具体例を示す図である。(a)は光学顕微鏡による測定結果を示す図である。(b)はレーザ干渉縞の一具体例を示す図である。(c)は表面形状の3次元測定結果を示す図、(d)は(c)に示した測定結果のA−B線に沿った高低差を示す図である。 図1に示した測定装置の測定結果の一具体例を示す図である。 図1に示した測定装置によるSiCが形成された被検体の測定結果の他の具体例を示す図である。(a)は光学顕微鏡による測定結果を示す図である。(b)はレーザ干渉計による測定結果の一具体例を示す図である。(c)は(b)に示した測定結果のA−B線の断面を示す図である。
符号の説明
1…測定装置、2…パルスレーザ装置、3…光学系、4…衝撃波生成部、5…検出部、6…コンピュータ(PC)、31…ハーフミラー、32…集光レンズ、40…被検体、41…基材、42…層状体(膜、層状体、および接合材を含む)、50…AEセンサ、51…プリアンプ、52…フィルタ、53…デジタイザ、54…フォトダイオード、55…デジタルオシロスコープ、56…レーザ干渉計、57…光学顕微鏡、60〜65…インタフェース(IF)、66…入力部、67…出力部、68…記憶部、69…制御部(CPU:Central Processing Unit)、DAT…データ(対応付けデータ)、PRG…プログラム。

Claims (5)

  1. 基材の一方の面に付着された膜または層状体と、前記基材との界面の付着強度を測定する測定装置であって、
    前記基材の他方の面に配設され、パルスレーザ光が照射されたときブレークダウン現象により衝撃波を発生させる衝撃波生成手段と、
    前記衝撃波生成手段に向けてパルスレーザ光を照射するレーザ装置と、
    前記レーザ装置から前記衝撃波生成手段にパルスレーザ光を照射したときに発生した前記衝撃波生成手段による衝撃波により前記基材と前記膜または層状体との界面の付着強度を示す信号を検出する検出手段と
    を有する測定装置。
  2. 前記衝撃波生成手段は、前記基材の他方の面に封止されているシリコングリースを含む
    請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記検出手段は、前記基材に備えられ、前記基材と、前記膜または層状体との剥離を示す弾性波を検出するアコースティックエミッションセンサを含む
    請求項1に記載の測定装置。
  4. 前記検出手段は、前記膜または層状体にレーザ光を照射して前記付着強度を示す信号を検出するレーザ干渉計を含む
    請求項1に記載の測定装置。
  5. 前記検出手段が検出した信号を基に前記付着強度を演算する演算手段をさらに有する
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の測定装置。
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