JP2005295941A - 燃料油の燃焼時間の延長方法および防霜用燃焼具 - Google Patents

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和彦 藤原
Masaharu Kato
雅晴 加藤
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Abstract

【課題】 安価で、着火性に優れ、燃焼時間を延ばすことが可能な燃料油の燃焼時間の延長方法よび凍霜害の防除に優れた防霜用燃焼具を提供すること。
【解決手段】 上面が開放された容器中に収容された燃料油を大気に接触させながら燃焼させる燃料油の燃焼方法であって、燃料油の最上層面と火炎の最下層面との間に不燃性の多孔質物質を配置させることを特徴とする燃料油の燃焼時間の延長方法、および上面が開放された容器と、該容器に収容された燃料油と、燃料油の最上層面上に配置された不燃性の多孔質物質とからなる防霜用燃焼具である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、安価で、着火性に優れ、燃焼時間を延ばすことが可能な燃料油の燃焼時間の延長方法および凍霜害の防除に優れた防霜用燃焼具に関する。
従来から、果樹園では防霜対策として、古タイヤやオガ屑に重油や灯油などの燃料油をまぜ、これを燃やして凍霜害を防除する対策がとられてきた。しかし古タイヤなどを燃やす方法では、煤や煙が発生するという問題があった。
そこで、古タイヤなどの代わりに、支持具の上に練炭を載せ、それを吊下げ具で吊り下げた防霜用練炭器が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしこのような練炭を用いたものは、着火性に難があるために点火部材が必要であり、また熱効率が低いという問題があった。
そこで、最近では、木粉やオガ屑などの天然繊維と、油脂類またはワックスなどの油分との混合物からなる燃焼材も使用されている。しかしこの燃焼材も固体であることから、着火性に難があり、そのために着火剤が必要であることと、経済性の面でも難があった。
経済性の面でメリットのある方法として、灯油などの燃料油を燃焼させる方法もあるが、この方法では、燃焼時間が短すぎるという問題があった。
すなわち、凍霜害を防止するためには、地表の温度が最も低くなる午前4〜5時頃に間に合うように、明け方前の午前3時くらいから数時間にわたり燃焼させることが必要であった。
特開平6−46692号公報(第2頁、第1図)
本発明の目的は、安価で、着火性に優れ、燃焼時間を延ばすことが可能な燃料油の燃焼時間の延長方法および凍霜害の防除に優れた防霜用燃焼具を提供することにある。
本発明の第1は、上面が開放された容器中に収容された燃料油を大気に接触させながら燃焼させる燃料油の燃焼方法であって、燃料油の最上層面と火炎の最下層面との間に不燃性の多孔質物質を配置させることを特徴とする燃料油の燃焼時間の延長方法である。
第2の発明は、上面が開放された容器と、該容器に収容された燃料油と、燃料油の最上層面上に配置された不燃性の多孔質物質とからなる防霜用燃焼具である。
第3の発明は、燃料油が重油または灯油を主成分とする燃料油である第2の発明の防霜用燃焼具である。
第4の発明は、燃料油が灯油であり、かつ該灯油がゲル化したものである第2の発明または第3の発明のいずれかの防霜用燃焼具である。
第5の発明は、多孔質物質がガラス製のフィルタである第2〜4の発明のいずれかの防霜用燃焼具である。
第1の発明によれば、燃料油をそのまま燃焼させた場合には、燃焼時間が短すぎるようなとき、燃料油と燃焼面との間に不燃性の多孔質物質を配置することにより、その燃焼時間を大幅に延長させることができる。
また第2の発明によれば、上面が開放された容器に収納された燃料油とその燃焼面との間に不燃性の多孔質物質を配置することにより、その燃焼時間を大幅に延ばすことができるため果樹園などでの防霜用燃焼具として好適である。
また第3の発明によれば、燃料油として重油または灯油を主成分として用いることにより、安価である、すなわち経済性の面で優れているという特徴を有している。
また第4の発明によれば、燃料油がゲル化しているので、多孔質物質が燃料油中に沈み込むことがないため、安定した燃焼状態が得られる。
さらに第5の発明によれば、多孔質物質がガラス製のフィルタであることから、耐熱性のあるフィルタの中では安価であり、入手しやすいという特徴を有している。
以下に本発明について、詳細に説明する。
本発明の燃料油の燃焼時間の延長方法は、上面が開放された容器中に収容された燃料油を大気に接触させながら燃焼させる燃料油の燃焼方法であって、燃料油の最上層面と火炎の最下層面との間に不燃性の多孔質物質を配置させることを特徴としている。
多孔質物質が燃料油中を沈むと、燃焼時間を延長することが困難となるため、不燃性の多孔質物質は燃料油の燃焼中でも常に燃料油の最上層面に浮かんだ状態にあり、燃焼に伴う燃料油の最上層面の低下に追随して多孔質物質も低下するように配置されなければならない。
また本発明の防霜用燃焼具は、上面が開放された容器と、該容器に収容された燃料油と、燃料油の最上層面上に配置された不燃性の多孔質物質とからなることを特徴としている。
多孔質物質を燃料油の最上層面に浮かせる方法としては、例えば燃料油より比重の小さなものを使用する方法や、粘度を高めたり、ゲル化させることにより燃料油の流動性を下げる方法や、燃料油中に比重の小さな物質、例えばオガ屑のようなものを添加して、それを表面に浮かせた後、その上に多孔質物質を浮かせる方法などが挙げられる。
これらの中では、溶液がほぼ固形状になり、多孔質物質をその上に容易に配置可能となるため、ゲル化させる方法が好ましい方法である。
次に、本発明で用いる多孔質物質とは、燃料油最上層面に接する面から火炎の最下層面まで連通した細孔を多数有する物質またはそれと同様な作用を有する物質であって、燃料油の毛細管現象を発現させることが可能であるか、または燃料油の揮発した気体を通過させることのできる物質を意味している。
ここで、多孔質物質はセラミックなどの無機質あるいはそれと同様な金属、例えば金属繊維状の物が好ましい。なぜなら有機質であれば燃焼してしまい、燃焼時間を延ばすことができないからである。しかしながら、有機質であっても、燃焼しないような処理が施されているものであれば使用可能である。
多孔質物質の孔径は0.1μm〜1mmの間が望ましい。0.1μm未満の孔径の多孔質物質は入手しにくくなり、また1mmを超える場合には燃焼時間の延長の効果が少なくなる傾向にある。
多孔質物質の厚さは、燃料油の毛細管現象を発現させることが可能であるか、または燃料油の揮発した気体を通過させることができるものであれば良く、通常10mm以下であり、形状を保てる限り薄いものが好ましい。
また、前記不燃性とは、約500〜1000℃の温度で燃焼せずにほぼ元の形状を保つような性質をいう。
次に、本発明で用いることのできる多孔質物質としては、具体的には、その材質がガラス、セラミックス、アルミニウムなどを好ましく挙げることができ、形態としては、ろ紙状、フィルタ状、布状、薄板状、微小中空球体などが挙げられる。
ここで微小中空球体としては、例えばガラス、シラス、パーライト、バーミキュライト、ピューミサイトなどを発泡させた数百ミクロンメータ以下の中空粒子である。これら微小中空球体は密度が低いために、燃料油表面に浮くので、燃料油表面一面に敷き詰めることにより多孔質物質と同様な作用が得られる。
また、多孔質でなくても、燃焼面より小さな面積の不燃性の物質であっても、燃焼時間延長の効果は多少低下するものの、使用することができる。その際、例えば燃焼面の約70%以上の大きさが必要である。
本発明に用いることのできる燃料油としては、取扱性や着火性や安全性などの観点から常温で液体状のものが好ましく、具体的には、例えば軽油、灯油、ミネラルオイル、流動パラフィン、潤滑油、重油や植物油、動物油などを挙げることができる。なかでも経済性の観点からは灯油または重油を主成分とするものがさらに好ましい。これらの燃料油は混合物としても使用することができる。
また果樹園などの防霜用燃焼具として使用する場合には、燃料油に、例えばせん定などで生じた不要の枝チップやもみ殻や木屑や木粉などを混合したものであってもよい。このようなものを添加することにより、さらに燃焼時間を延長することもできる。
また、燃料油をゲル化させて使用する場合、例えば灯油をゲル化させるのであれば、金属石鹸、例えば2−エチルヘキサン酸アルミニウムなどを適当量添加して加熱すればゲル化物が容易に得られる。また加熱しなくても前記金属石鹸とエチルアルコールなどのゲル化促進剤を併用したり、アエロジルなどの微細粒子を混合させることにより常温でゲル化させることもできる。
次に、本発明の防霜用燃焼具について図面で説明する。
図1は、本発明の一例を示す防霜用燃焼具の正面断面図であり、図2はその平面図である。
図1および2において、防霜用燃焼具1は、容器上面2が開放された容器3と、この容器3に収容された燃料油4と、この燃料油4の表面に配置された不燃性の多孔質物質5とから構成されている。
容器としては、燃焼しないものであれば何でもかまわないが、作業性などの観点から果樹園などで使用されるのであれば、例えば、ミルク缶の蓋を外したものや石油一斗缶の上面を開放したものが、経済性の観点から好ましく用いられる。
容器に収納する燃料油の量は、燃料油の種類、果樹園で防霜上必要とされる面積、燃焼時間、果樹園に配置される前記燃焼具の設置個数などにより、適宜決めることができる。
通常、例えばミルク缶であれば10アール当たり80個程度が設置される。
このように、本発明の防霜用燃焼具を使用すれば、果樹園などで地上1.5mの温度をおおよそ2〜4℃程度昇温させるため、凍霜害を効果的に防ぐことができる。
以下に実施例により、本発明を具体的に説明する。
実施例1
容量200ccのステンレス製の容器中に灯油80g、2−エチルヘキサン酸アルミニウム6gおよびエチルアルコール6gを入れて、室温で攪拌することにより燃料油のゲル化物を得た。次いで、そのゲル化物の上にガラス製のフィルタ(アドバンテック社製、製品名:GA55)をのせた後、着火させた。着火性は優れており、また燃焼終了までの時間を測定したところ166分であった。
比較例1
実施例1と同じ容器を用い灯油80gを入れ、その上にガラス製のフィルタ(アドバンテック社製、製品名:GA55)をのせたところ、フィルタは沈んでしまったが、そのままの状態で着火させた。燃焼終了までの時間を測定したところ75分であった。
比較例2
実施例1において、ガラス製のフィルタを用いないこと以外は実施例1に準じて燃焼させた。燃焼終了までの時間は、85分であった。
以上の実施例と比較例との関係から明らかなように、燃料油表面に不燃性の多孔質物質を浮かせることにより、燃料油の燃焼時間を大幅に延長できることが確認された。
本発明の一例を示す防霜用燃焼具の正面断面図である。 図1の平面図である。
符号の説明
1:本発明の防霜用燃焼具、2:容器上面、3:容器、4:燃料油、5:多孔質物質。

Claims (5)

  1. 上面が開放された容器中に収容された燃料油を大気に接触させながら燃焼させる燃料油の燃焼方法であって、燃料油の最上層面と火炎の最下層面との間に不燃性の多孔質物質を配置させることを特徴とする燃料油の燃焼時間の延長方法。
  2. 上面が開放された容器と、該容器に収容された燃料油と、燃料油の最上層面上に配置された不燃性の多孔質物質とからなる防霜用燃焼具。
  3. 燃料油が重油または灯油を主成分とする燃料油である請求項2に記載の防霜用燃焼具。
  4. 燃料油が灯油であり、かつ該灯油がゲル化したものである請求項2または3のいずれかに記載の防霜用燃焼具。
  5. 多孔質物質がガラス製のフィルタである請求項2〜4のいずれか1項に記載の防霜用燃焼具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008008545A (ja) * 2006-06-29 2008-01-17 Tanigawa Naoki 加熱装置
CN103749221A (zh) * 2014-01-20 2014-04-30 宁夏回族自治区气象科学研究所 果园防霜烟雾弹及其制造
KR102081992B1 (ko) * 2018-12-12 2020-02-26 대한민국 과수 저온피해 방지용 연소 하우징

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