JP2005295480A - 傾斜屈折率材料と多層膜反射鏡を用いた誘電体レンズアンテナ - Google Patents

傾斜屈折率材料と多層膜反射鏡を用いた誘電体レンズアンテナ Download PDF

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Abstract

【課題】2つの周波数帯で異なる位置に焦点を有する誘電体レンズを実現すること。
【解決手段】傾斜屈折率レンズ101は、第1の焦点103に結像するよう屈折率分布が決定されており、第2の屈折面105は光軸102を回転軸とする放物面であり第2の焦点106に結像する。第2の屈折面105の表面は誘電体多層膜107に被覆されており、所望の周波数帯の平面波に対してのみ選択的に反射面として動作する。以上の構成より、2つの周波数帯で異なる位置に焦点を有する誘電体レンズを実現することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、互いに周波数の異なる搬送波を有した2つの通信機を統合する2周波共用誘電体レンズアンテナに関するものである。
従来の誘電体レンズアンテナとしては、光学分野で用いられている集光光学系そのものを適用しているものがあった。中でもよく用いられるものは、均一な誘電率を有する誘電体材から構成される凸レンズや、レンズが大型化する場合にはその軽量化を目的としたフルネルレンズなどが上げられ、また不均一な誘電率を有する誘電体材が適用可能である場合にはルーネベルグ(Luneberg)レンズなどがあった(例えば、非特許文献1参照)。
図10は、前記非特許文献1に記載された従来の誘電体レンズアンテナを示すものである。図10において、従来の誘電体レンズ1001は所望の周波数帯において均一な誘電率・透磁率を有する低損失な誘電体材料(すなわち、均一な屈折率を有する透明な硝材)から構成されていた。従来の誘電体レンズの機能は光学レンズと同様に集光である。例えば、送信器1003によって発せられた高周波信号は1次放射器1002を通じ自由空間に放射されるが、高周波信号の周波数帯における自由空間波長に換算して1次放射器1002が十分に小型であれば、放射された信号は球面波1004となる。今、従来の誘電体レンズ1001の焦点に1次放射器が位置する場合、球面波1004は従来の誘電体レンズ1001によって平面波1005に変換される。ゆえに、大型開口(レンズ直径)が実現され、高利得アンテナが実現される。
使用されている誘電体材料の周波数依存性が小さい場合、誘電体レンズは全ての周波数にわたり同一特性を実現するために広帯域特性が予め具備されており、昨今の広帯域大容量通信に適したアンテナ構造である。また、非球面レンズ構造を適用することにより、焦点位置は不変のまま開口面上の照度分布を変化させることが可能となる。開口面上の照度分布は直接アンテナの遠方界指向性を決定するために、例えば超低サイドローブアンテナの実現を放射効率の低下を招かずに実現することが可能である。
上述の誘電体レンズアンテナの広帯域性は非常に有用である。なぜならば、1次放射器の1002の指向性の周波数依存性が無視できるの場合は、互いに周波数の異なる搬送波を有する複数の高周波信号が1次放射器1002に同時に入力されさえすれば、全ての成分は等しく平面波1005に矯正放射され良好な遠方界特性が実現できる。ゆえに、誘電体レンズアンテナはマルチバンドアンテナとしての潜在性を秘めている。
安達 三郎著,電子通信学会編「電磁波工学」,初版第10刷平成6年6月15日発行(第99頁、図3.52,図3.53)
しかしながら、実際には1次放射器1002の周波数依存性が大きく、互いに搬送波周波数が大きく異なった通信機器、例えば、ミリ波帯通信機器と赤外線を用いた通信機器の共用化は前記従来の構成では不可能であるという課題を有する。この課題は、例えば通信機回路中で2つの周波数成分を合波すれば解決できると推測されるが、上述の2周波数帯を良好に合波可能な回路を構成することは困難を極める。
更に、基地局用アンテナとして従来の誘電体レンズアンテナを適用する場合、大出力の高周波信号を混入する回路を各回路の特性劣化を来たさずに実現することは非常に困難であり、アンテナの共用化は難しいという課題をも有する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、搬送波周波数が大きく異なる2つの高周波信号に関して、異なる位置に焦点を有する2焦点誘電体レンズアンテナを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために本発明の誘電体レンズアンテナは、集光レンズおよび集光レンズに接して設けられた反射鏡を有する誘電体レンズアンテナであって、
前記集光レンズは、傾斜屈折率レンズであり、
前記集光レンズは、前記反射鏡と反対側に第1の焦点を有し、
前記反射鏡は、前記集光レンズと反対側に第2の焦点を有する。
前記集光レンズは、屈折面の1面が光軸を回転軸とする放物面形状となっている。しかし、そのままでは凹レンズとなり集光レンズとしての動作が不可能なので、光軸を対称軸とした回転対称な屈折率勾配を有した傾斜屈折率レンズ(GRINレンズ)構成とすることによって、まず第1の焦点に平行光を集光させる。また、先述の凹面上に誘電体多層膜を設け、所望の周波数帯において反射鏡(ブラッグ反射を利用した反射鏡)として動作させることによって平面波を異なる位置にある第2の焦点に結像させる。
本構成によって、単一の集光光学系であるにもかかわらず、異なる位置に2つの焦点を位置させることが可能であり、従来構成において課題であった高性能な広帯域合波・分波回路を必要とせず、非常に簡便な構成で2周波共用アンテナを実現することができる。
本発明の誘電体レンズアンテナによれば、異なる位置に焦点を有するために、搬送周波数が非常に異なる2つのバンド専用の1次放射器を先述の2つの焦点に各々配置すれば、合波・分波回路を必要とすることがないため、高性能なマルチバンド通信機を簡便にそして低コストで構成することができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における誘電体レンズ中の光線経路を描いた概略光路線図である。なお、図1の光線経路は光軸を含む任意の平面内におけるものである。図1において、傾斜屈折率レンズ101は、光軸102に対して光軸102に沿った方向に対しては均一な屈折率分布を有するが、光軸102を回転対称軸とした動径方向には不均一な屈折率分布を有している。また、傾斜屈折率レンズ101は第1の屈折面104と第2の屈折面105を有する。第1の屈折面104は光軸102に垂直な平面であり、第2の屈折面105は光軸102を回転軸とする回転放物面になっている。
図1の右側から光軸102に平行に、平面波が到来した時、傾斜屈折率レンズ101は光軸102上の第1の焦点103に結像されるように誘電率分布が設計されている(誘電率分布の設計手法は後ほど詳述する)。また、第2の屈折面105は回転放物面であるので、もし第2の屈折面105が完全反射面であると仮定すれば、光軸102に平行な平面波が入射した場合に光軸上に第2の焦点106を結ぶ。
ところで、第2の屈折面105の表面は誘電率の異なる複数種類の誘電体薄膜から成る誘電体多層膜107に被覆されている。詳細は後述するが、誘電体多層膜107は所望の周波数帯F(反射)において準完全反射膜として動作するが、F(反射)×n(nは正の整数)以外の周波数帯においては単なる誘電体薄膜として動作する。そのため、本発明の傾斜屈折率レンズ101に周波数帯F(反射), F(屈折)(ただし、F(反射)≠n×F(屈折),nは正の整数)の2成分が混在した平面波が入射した場合、第2の屈折面105により周波数選別され、F(反射)成分は誘電体多層膜107で反射され第2の焦点106に集光されるが、F(屈折)成分は誘電体多層膜107を透過し第1の焦点103に結像する。ゆえに、傾斜屈折率レンズ101は2焦点レンズとして動作する。
(傾斜屈折率レンズの設計法)
次に、傾斜屈折率レンズ101の設計法について図2を参照し詳述する。図2は本発明の傾斜屈折率レンズの設計法に要する記号および座標を既約した概略光路線図である。図中、図1と同一構成要素に関しては同じ符号を用いている。
図2に示したように、均一な誘電率noを有する一様媒質中に、z軸(光軸102に等しい)に対して回転対称な屈折率分布n(r)と2つの屈折面を有する傾斜屈折率レンズ101が1次放射器201近傍に置かれているとする。なお、第1の屈折面104は極座標表示R(q)で表現された曲面であり、同様に第2の屈折面105角度qを媒介変数として{r(q),z(q)}と表されるとする。1次放射器201は座標原点に位置し、z軸を含みr軸に対して垂直な平面に対して面対称な放射指向性Pr(q)を有するものとする。
以下の光線追跡においては、傾斜屈折率レンズ101の大きさは自由空間中の伝搬波長に比較して十分大きいものとし、媒質境界においては通常のスネルの法則(いわゆる屈折の法則)が成立するとともに、レンズ内の伝搬特性はレンズ形状に依存しなものと仮定する。以上の仮定の下では電磁波の伝搬は幾何光学で記述され、以下の光線追跡において電磁波は周波数依存性のない「光線」で近似されることになる。
以上の状況の下、1次放射器201からz軸に対して角度qを成して放射された光線が第1の屈折面104上の入射点{zi(q), ri(q)}= R(q){cosq, sinq}に入射すると、屈折率分布n(R(q)cosq)に応じて屈折し、進行方向がz軸に対して角度jを有した光線となるとする。その後光線は屈折率勾配に応じた曲線rq(z)を描きながらレンズ中を伝搬して行き、第2の屈折面105上の入射点{zo(q),r(q)}に到達し再度屈折した後、外界に向かって放射される。考察下の状況においては、以上の経路の光線は常にrz平面上にあり、系の対称性から図中の座標において第1象現のみ考えればよい。以下では、1次放射器から角度qを成して放射された光線が再び放射されるまでの光線経路を順を追って図2の諸量を用いて表現する。
まず、第1の屈折射面104における屈折はスネルの法則より次のように表現することができる。
Figure 2005295480
次に、傾斜屈折率101内における光線の経路rq(z)は最小作用の法則より次式で与えられる微分方程式に従って推移する。
Figure 2005295480
(数1)によって光線の入射点と屈折後の光線の角度が得られるので、これら2つの初期条件より2階の微分方程式(数2)の解を求めることが可能である。よって、第2の屈折面105への入射点と入射角度を求めることが出来る。
更に、第2の屈折面における屈折は次式より与えられる。
Figure 2005295480
(数2)で求めた第2の屈折面105への入射点{z(q), r(q)}と入射角度aから出射光線角度bが(数3)より算出される。これで、1次放射器201から角度qに放射された光線を全て追跡することができた。
以上全ての光線追跡公式は与えられた。そこで、次に(数1)〜(数3)を用いて屈折率分布n(r)を決定する手順について述べる。まず、第1の屈折面104を平面として第1の焦点103から第1の屈折面104の距離を決める。次に、第2の焦点106の位置を固定することによって回転放物面である第2の屈折面105の面形状を決定する。そして(数1)〜(数3)より光線追跡を行い、第2の屈折面105から出射される光線の角度bに対して、平行光線となる条件b = 0を全てのqに対して満足する様に屈折率分布n(r)を決定すればよい。
ところで、一般に光学の分野で適用される傾斜屈折率レンズ(GRINレンズ,セルフォックレンズ)も上述と同様な設計手法により設計される。その場合、この設計手法だけでは屈折率分布n(r)を完全に決定することは出来ず不定性が残るため、これを固定するためには何らかの付加条件が必要となる。更に、アンテナとして傾斜屈折率レンズを適用する際に、従来の技術で述べた誘電体レンズの特徴である遠方界指向性の制御性に富むという最大の特徴を十分に生かすためには、開口面分布Pa(r)の制御が必要である。そこで、上述の屈折率分布n(r)を完全に決定するための付加条件として開口面分布Pa(r)を適用することを考える。傾斜屈折率レンズ101を構成する硝材が無損失であると仮定すれば、1次放射器201から放射された或る光線に注目した時、その光線を含む微小領域に含まれるエネルギーは、第2の屈折面105より出射される光線を含む微小領域に含まれるエネルギーに等しくなければならない、いわゆる、エネルギー保存則が成立しなければならない。
Figure 2005295480
よって、上述の(数1)〜(数4)を連立させ、平面波条件b = 0と所望の開口面分布Pa(r)が実現されるように屈折率分布n(r)を設計すれば一意に求めることが可能となる。
実際の設計においては、まず屈折率分布n(r)を複数個の設計パラメータを含む関数形を仮定しておく。そして、複数本の光線qiに対して(数1)〜(数4)を用いて数値計算により光線追跡してbとPa(r)を算出する。そして、計算された値と上記2つの条件の差を最小とするように設計パラメータを繰返し調整してゆく、いわゆる、最小化問題として設計を取り扱うことが可能であり、自動設計化が可能である。以上が、本発明の傾斜屈折率レンズ101の具体的設計手法である。
設計例として、図3に第1の屈折面104と第2の屈折面105が平面であるとして、サイドローブが-30dBとなるように開口面分布Pa(r)を設定した場合の光線追跡結果を示す。なお、各屈折面の位置関係は図に示したとおりである。また、第1の焦点103にはマイクロストリップアンテナがあるとし、その放射指向性をPr(q)としてを仮定した。各光線とも開口面で良好に光軸に水平な光線に変換されており、平行平板状のレンズ形状でありながら平面波に対する集光作用が実現されていることがわかる。
この場合の最適化された誘電率分布を図4に示す。誘電率分布(屈折率分布の2乗に等しい)は光軸上で約8.8であり、レンズ周辺部に行くに従って徐々に下がり、最外周では約4.6のガウス関数に似た振る舞いを示している。なお、計算では屈折率分布はrの偶数次の多項式であるとし、その展開係数をパラメータとして最適化を行った。最適化の結果求められた係数値は図に示したとおりである。
最適化された誘電率分布を基に計算した遠方界指向性を図5に示す。ここで開口面直径は自由空間での伝搬波長に換算して10波長であるとした。図からわかるように、サイドローブは-29dB以下であり、求められた屈折率分布はほぼ正しく目標とした開口面分布Pa(r)を実現していることが読み取れる。
(誘電体多層膜の構造)
次に、誘電体多層膜の構造について図6を参照し説明する。図6は光軸102を含む断面から眺めた傾斜屈折率レンズ101の概略断面図である。ただし、図は第2の屈折面105の一部を拡大しており、屈折面は平面であるかのように書かれている。
図6において、第2の屈折面105上には誘電率el, eh(ただし、el< eh)の2種類の誘電体薄膜301が交互に重ねあわされている。各層の膜厚はいずれも、反射させたい電磁波の周波数fにおける自由空間中の伝搬波長を誘電率の1/2乗で割った、いわゆる、各膜内の伝搬波長で換算して1/4波長となっている。
今、空気302側から界面303に垂直に周波数fの平面波が入射した場合を考える。各界面303は誘電率の不連続面であるので、そこへ入射してきた電磁波の一部は反射される。今、界面1と界面2で発生する反射波間の位相について見れば、界面1においては反射によって位相の回りは生じないが、界面2においてはpの位相回りを生じる。界面1における透過波が界面2で反射されもう一度界面1に到達した場合、反射による位相回りpと1/2波長の光路長差で丁度1波長の位相差が生じることになり、界面1と界面2の反射波は強め合う(elと ehが反転する場合においても同様に反射波同士強め合うことがわかる)。ゆえに、十分な層数積層すれば、反射波の干渉を十分に起こすことが可能となり、周波数f(正確にはn×f,nは正の整数)の電磁波に対する反射鏡として動作させることができる。
以上、本発明の誘電体レンズアンテナに適用される傾斜屈折率レンズ101の設計法と誘電体多層膜107の動作について詳述した。かかる構成によれば、均一な屈折率を有した硝材で構成した場合には発散レンズとして作用するレンズ形状であっても、内部に屈折率傾斜を設けることにより集光レンズとして動作させることが可能となる。更に、レンズの凹面形状を回転放物面とし、かつその表面を伝搬波長で換算して1/4波長の厚みを有した高・低誘電率材の誘電体層を交互に堆積させることにより、所望の周波数に対してのみ反射鏡として動作させることが可能となる。ゆえに、1つの集光レンズでありながら2つの焦点を有する光学系として動作可能となり、異なる周波数帯の通信機器の1次放射器を各々2つの焦点に配置することにより、2周波共用アンテナおよび2周波通信機器を構成することが出来る。
なお、本実施の形態において、第1の屈折面104として光軸102に垂直な平面としたが、光軸102を回転対称軸とする任意の曲面であっても上記本発明の効果を達成することができる。
また、本実施の形態において、誘電体多層膜107は伝搬波長で換算して1/4波長の膜厚を有した高低誘電率の薄膜を交互に堆積して形成されるとしたが、一般にブラッグ反射鏡として適用される膜構造や、フィルタ合成理論より設計される膜構成を用いても同様に反射鏡として動作させることが可能であり、上記本発明の効果を達成することができる。
(実施の形態2)
複合セラミック材料の中には、その組成と成分比を変化させることによってミリ波帯において低損失でありながらも、広範囲にわたり誘電率を変化させることが可能な材料系が存在する。そこで、このような誘電率可変複合セラミック材料を用いれば、傾斜屈折率レンズ101を構成することができる。
通常、誘電率可変複合セラミック材は組成比によってほとんど透磁率の変化を生じないことから、誘電率の変化は直接屈折率変化となる。そこで、セラミック粉体を圧延焼結する前に、所望の誘電率分布を実現するように傾斜屈折率レンズ101の金型に装填する粉体の組成比に分布を設けてしおくことによって、傾斜屈折率レンズを構成することができる。
以上のように、焼結前に複合セラミック材料の混合比率を変化させておくことによって、所望の屈折率分布を有した傾斜屈折率レンズ101を実現することができる。
なお、本実施の形態においては誘電率可変複合セラミック材料を用いて傾斜屈折率レンズ101を構成するとしたが、ミリ波で低損失な誘電率の互いに異なる樹脂系誘電体材を用いても同様に構成できることはいうまでもない。すなわち、2つの樹脂系誘電体材の混合比によって誘電率が可変であるため、混合比の分布を形成しさえすれば傾斜屈折率レンズ101は構成可能である。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3の誘電体レンズアンテナの傾斜屈折率分布を作る第2の方法を示すための誘電体材の概略構造図である。
図7において誘電体材401は、均一な誘電率を有する誘電体母材402中に誘電体小体403を無秩序に多数分散させて構成されている。誘電体小体403と誘電体母材402の誘電率が異なる場合、誘電体材401の平均誘電率は全体に対する誘電体小体403の体積比で決定される。よって、体積比を変えることによって、誘電体母材401と誘電体小体403の2つの誘電率の間のどんな誘電率も自由に実現することが可能となる。
そこで、所望の誘電率分布を実現するように、単に誘電体小体403の体積比に分布を持たせば傾斜屈折率レンズ101を実現することができる。ただし、誘電体小体403の大きさについては注意が必要となる。傾斜屈折率レンズ101で結像される電磁波が各誘電体小体403で共振した場合、実効的な誘電率は上述の平均誘電率から大きく異なるため、実際に適用する際には誘電体小体403が共振しないよう大きさ形状を選ぶことが必要である。例えば、誘電体小体403内の伝搬波長で換算して、誘電体小体403の基準共振モードの共振器長が1/2波長未満となるように大きさと形状を選ばなければならない。
かかる構成によれば、セラミックの詳細な焼成条件出しの必要がなく、また高い再現性をもって誘電率を変化させることが可能となるため、高品質な本発明の誘電体レンズアンテナを低コストで提供することが可能となる。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4の誘電体レンズアンテナの傾斜屈折率分布を作る第3の方法を示すための誘電体材の概略構造図である。
図8において、誘電体材503は均一な誘電率を有する誘電体母材501に対して、光軸102に平行に多数の貫通穴502が無秩序に空けることによって構成されている。実施の形態3と同様に、誘電体材503の平均誘電率は全体積に対する貫通穴502の体積比率で決まり、所望の誘電率分布を実現するように貫通穴502の密度を選ぶことにより傾斜屈折率レンズ101を構成することが出来る。
実施の形態3と同様に、貫通穴502の穴形状および大きさは、その基準モードの共振周波数が第1の焦点103で結像される電磁波の周波数より高くなるようにすることが必要である。
かかる構成によれば、まず均一な誘電体材を所望のレンズ形状に整形し、その後に貫通穴502を空けることによって傾斜屈折率レンズ101を構成することができるため、再現性良く低コストで本発明の誘電体レンズアンテナを提供することができる。
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5の誘電体レンズアンテナを用いた通信装置の概略構成図である。図9において、通信装置601は本発明の誘電体レンズ602に、互いに異なる周波数帯を用いた2つの通信機603,604が接続されている。通信機603は第1の焦点103に接続され、通信機604は第2の焦点106に接続されており、完全に両通信機が分割されているため相互干渉による通信品質の劣化が軽微である。第1の焦点103に接続された通信機603の搬送周波数は、第2の焦点106に接続された通信機604の搬送周波数に比べて、長く設計されているのが望ましい。例えば、通信機603はミリ波帯とし通信機604は赤外として用いるのが好ましい。その理由は、傾斜屈折率レンズ101の厚さに比べ、誘電体多層膜107の厚さを非常に薄く構成することが可能となるため、誘電体レンズアンテナは良好な特性を示すからである。
かかる構成によれば、通信装置601はミリ波帯と赤外といった非常に周波数帯の異なる通信機器の統合において特に有用である。なぜならば、通常の回路による2つの周波数成分の混合は非常に困難であるからである。その点において、本構成は独立に両周波数帯における回路を設計できるため、低コストに統合通信機を提供することができる。
また、本実施形態の通信機の搬送周波数は、ミリ波帯以上の周波数を有していることが望ましい。周波数が低いと本発明の効果が十分現れないからである。
また、かかる構成によれば、大電力の送信機の統合においても効果を発揮する。大電力信号の合波は非常に困難であるため、先ほどと同一な理由により、簡便な構成で大電力送信機の統合が可能である。
本発明にかかる傾斜屈折率レンズ101は開口面における照度を制御することが可能であるため第1の焦点における結像特性を制御することができ、照度分布制御が不可能な従来のGRINレンズよりも良好な結像特性を有するため、レーザ光の光ファイバへの結合光学系等として有用である。
本発明の実施の形態1における誘電体レンズ中の光線経路を描いた概略光路線図 本発明の傾斜屈折率レンズの設計法に要する記号および座標を既約した概略光路線図 本発明の傾斜屈折率レンズの設計法により最適化された傾斜屈折率レンズ内の光線追跡図 本発明の傾斜屈折率レンズの設計法により最適化された傾斜屈折率レンズ内の誘電率分布図 本発明の傾斜屈折率レンズの設計法により最適化された傾斜屈折率レンズの誘電率分布から算出された遠方界指向性図 光軸102を含む断面から眺めた傾斜屈折率レンズ101の概略断面図 本発明の実施の形態3の誘電体レンズアンテナの傾斜屈折率分布を作る第2の方法を示すための誘電体材の概略構造図 本発明の実施の形態4の誘電体レンズアンテナの傾斜屈折率分布を作る第3の方法を示すための誘電体材の概略構造図 本発明の実施の形態5の誘電体レンズアンテナを用いた通信装置の概略構成図 従来の誘電体レンズアンテナ内の光線の経路を示した概略光路線図
符号の説明
101 傾斜屈折率レンズ
102 光軸
103 第1の焦点
104 第1の屈折面
105 第2の屈折面
106 第2の焦点
107 誘電体多層膜
201 1次放射器
301 誘電体薄膜
302 空気
303 界面
401 誘電体材(本発明の実施の形態3における)
402 誘電体母材(本発明の実施の形態3における)
403 誘電体小体
501 誘電体材(本発明の実施の形態4おける)
502 貫通穴
503 誘電体母材(本発明の実施の形態4における)
601 通信装置
602 本発明の誘電体レンズアンテナ
603,604 通信機

Claims (10)

  1. 集光レンズおよび集光レンズに接して設けられた反射鏡を有する誘電体レンズアンテナであって、
    前記集光レンズは、傾斜屈折率レンズであり、
    前記集光レンズは、前記反射鏡と反対側に第1の焦点を有し、
    前記反射鏡は、前記集光レンズと反対側に第2の焦点を有する誘電体レンズアンテナ。
  2. 前記反射鏡は誘電体多層膜により被覆されている
    請求項1に記載の誘電体レンズアンテナ。
  3. 前記傾斜屈折率レンズの屈折率分布は、誘電率傾斜材料より構成される請求項1に記載の誘電体レンズアンテナ。
  4. 前記誘電率傾斜材料はセラミック焼結体である
    請求項3に記載の誘電体レンズアンテナ。
  5. 前記屈折率分布は、均一な誘電率分布を有した誘電体に対し、光軸方向に平行に無秩序に開けられた細孔の密度分布により構成され、
    前記細孔のサイズおよび断面形状は、第1の焦点に結像される電磁波の周波数において、前記細孔が単体で共振しないように設計されている
    請求項1に記載の誘電体レンズアンテナ。
  6. 前記屈折率分布は、均一な誘電率を有する誘電体母材中に、前記誘電体母材と誘電率の異なる誘電体小体を多数無秩序に配置することにより構成され、
    前記誘電体小体は第1の焦点に結像される電磁波の前記誘電体小体内における波長に換算して1/2波長未満である
    請求項1に記載の誘電体レンズアンテナ。
  7. 前記誘電体多層膜は互いに誘電率の異なる誘電体薄膜を交互に積み重ねることによって構成され、
    前記各誘電体薄膜の厚さは、第2の焦点に結像される電磁波の周波数において、前記各誘電体薄膜内における伝搬波長に換算して1/4×(2n-1)波長(ただし、nは正の整数)である
    請求項2に記載の誘電体レンズアンテナ。
  8. 前記第1の焦点に結像される電磁波はミリ波であり、
    第2の焦点に結像される電磁波はサブミリ波である
    請求項1に記載の誘電体レンズアンテナ。
  9. 前記屈折率分布は、集光レンズの集光作用以外に、第1の焦点に対する開口面上において、所望の照度分布を実現するように決定されていることを特徴とする請求項1に記載の誘電体レンズアンテナ。
  10. 請求項1〜請求項9に記載の誘電体レンズアンテナと、
    前記第1の焦点に接続された通信機と、
    前記第2の焦点に接続された通信機とを有する通信装置。
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