JP2005275603A - 用紙の真偽判別方法 - Google Patents

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啓二 西内
Yasushi Ozaki
靖 尾▲崎▼
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Abstract

【課題】 本発明は、銀行券、株券、債権等の有価証券、切手の偽造変造防止を必要とする用紙、一般的な印刷用紙及びコピー用紙など全ての用紙に対して、用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類及び含有量の違いを非破壊で判別可能にする用紙の真偽判別方法に関するものである。
【解決手段】 所定のてん料及び所定の顔料の少なくとも一つが用紙内部に充てん又は用紙表面に塗工されてなる用紙の真偽判別方法において、前記所定のてん料の種類及び前記所定の顔料の種類の少なくとも一つによる第1の真偽判別工程と、前記所定のてん料の配合量及び前記所定の顔料の配合量の少なくとも一つによる第2の真偽判別工程によって真偽判別を行う用紙の真偽判別方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券、切手の偽造変造防止を必要とする用紙、一般的な印刷用紙及びコピー用紙など全ての用紙に対して、用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類及び含有量の違いを非破壊で判別可能にする用紙の真偽判別方法に関するものである。ケモメトリックスは、スウェーデンUmeo大学のWoldが、1972年に彼の論文の中で初めて使った、化学を示すChemistryと計量を示すMetricsで構成され、化学の諸問題を数学的手法及び統計学的手法で解明する学問分野として定義されている。
一般に用紙の識別法としては、使用されているパルプ繊維をパルプ繊維の種類により異なった色に発色させる発色液で発色後、顕微鏡等で観察し、色や繊維形状からパルプ繊維の種類を判別したり、用紙を灰化させ灰化後の残分を赤外分光法やX線分析法により分析することで用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類等から用紙を識別する。しかし、これらの方法は操作に熟練を要し、識別に時間もかかる。更に破壊検査であるという大きな欠点がある。
用紙中に浸透したポリビニルアルコールの分布状態を紙層構造を壊すことなく観察する方法であって、該用紙の紙層構造を変化させずにヨウ素を該ポリビニルアルコールに付加させるヨウ素気相染色法を用いて、気相中でポリビニルアルコールにヨウ素を付加させた用紙の任意の箇所の表面又は用紙の紙層の構造を破壊することなく作成した任意の箇所の断面に、蛍光X線分析装置を用いて電子線を照射し、発生する信号によりヨウ素を検出するX線元素分析法により、該用紙に付与したポリビニルアルコールに付加したヨウ素の分布状態を表示することを特徴とする用紙中のPVA分布状態観察方法が開示されている(特許文献1)。
特開2002−195994参照(第1頁、第1図)
用紙の非破壊識別法としては、蛍光X線や特性X線による元素分析により用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の構成元素から、用紙を識別することが可能である。しかし、用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類が同一であると識別は困難である。
その他の非破壊識別法として、全反射吸収赤外分光法及びラマン分光法がある。これらの測定方法により得られた赤外スペクトル及びラマンスペクトルからは、用紙の主成分であるセルロースと、てん料及び/又は顔料の複合スペクトルが得られるが、セルロースの吸収強度が強いため用紙中にわずかに含まれるてん料及び/又は顔料の違いを判別することは困難である。
また、本発明に関係している近赤外領域(1,000〜2,222nm)のスペクトルの一般的な特徴として、(1)近赤外領域の吸収ピークは、赤外領域の吸収ピークに比べ1/1000と非常に弱い。(2)水素結合や分子間の相互作用によって特定のバンドにシフトが起こるが、該シフトの大きさは、赤外バンドの場合と比較すると非常に大きい。(3)赤外領域の倍音や結合音によるバンドが重なり合ったりフェルミ共鳴によるバンドが多く観測される。以上の理由から、バンドの帰属は赤外スペクトル以上に困難である。
また、従来の近赤外分析装置は、干渉フィルタや回折格子を用いた波長分散型であるため、一回の測定で得られるスペクトルのS/Nは、あまり良くないため、データの統計処理手法を適用することができなかった。そのため、用紙中のてん料及び顔料が少量しか含まれておらず、かつ、セルロースの吸収が大きい試料に対し、従来の近赤外分析装置を用いて、てん料及び/又は顔料の異なる用紙を識別することはほとんど不可能であった。
しかし、コンピュータの進歩に伴い、フーリエ変換型の近赤外分析装置が開発され、データの統計処理手法を利用したパターン認識が可能となったため、医薬品や食料品の分野において、液体、ペースト又は粉体試料に対する品質管理や特性分析等にこの装置が利用されるようになってきた。しかし、フーリエ変換型近赤外分析装置は1000〜2200nm程度の波長範囲で測定を行うため、迅速に測定を行うには、被判別体の波長範囲を特定して測定する必要があった。
更に、従来、用紙を非破壊で判別するにあたっては、てん料等の種類及び含有量の双方をもって真偽判別するものは無かった。
そこで、本発明は従来の問題点を解決するために、てん料等の種類及び含有量の双方をもって真偽判別するものであって、1300〜1500nmの波長範囲では紙の主成分であるセルロースの吸収強度が弱く、てん料及び/又は顔料の種類や含有量の吸収強度が強くなることを見出し、フーリエ変換型近赤外分析装置によって、種類基準データ及び/又は含有量基準データを予め作製し、被判別用紙を判別する場合、被判別用紙をフーリエ変換型近赤外分析装置によって、種類判別データ及び含有量判別データを作製し、得られた種類判別データと予め定められた種類基準データを照合し、更に、得られた含有量基準データと予め定められた含有量基準データを照合し、迅速に非破壊で用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類及び含有量の違いを判別可能にする用紙の真偽判別方法を提案するものである。本発明は、用紙の主成分であるセルロースのスペクトルに重なったてん料及び/又は顔料のわずかな違いを統計処理によって判別ができる種類判別データ及び含有量判別データを作成し、これらの基準データと被判別用紙の種類判別データ及び含有量判別データを照合することで、てん料及び/又は顔料の異なる用紙を非破壊で真偽判別が可能となる。
本発明は、所定のてん料及び所定の顔料の少なくとも一つが用紙内部に充てん又は用紙表面に塗工されてなる用紙の真偽判別方法において、前記所定のてん料の種類及び前記所定の顔料の種類の少なくとも一つによる第1の真偽判別工程と、前記所定のてん料の配合量及び前記所定の顔料の配合量の少なくとも一つによる第2の真偽判別工程によって真偽判別を行う用紙の真偽判別方法である。
また、本発明は、前記用紙の真偽判別方法において、前記第1の真偽判別工程は、前記用紙を、1300乃至1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、前記測定した近赤外吸収スペクトルを吸光度変換処理、一次微分処理、二次微分処理及び標準化の処理の内、一つ又は二以上を組み合わせて処理を前記用紙のてん料の種類及び顔料の種類のうち、少なくとも一つの種類判別データを求め、前記種類判別データと予め定められた種類基準データとを照合し、前記第2の真偽判別工程は、前記用紙を、1300乃至1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、前記測定した近赤外吸収スペクトルを吸光度変換処理、一次微分処理、二次微分処理及び標準化の処理の内、一つ又は二以上を組み合わせて処理を前記用紙のてん料の含有量及び顔料の含有量のうち少なくとも一つの含有量判別データを求め、前記含有量判別データと予め定められた含有量基準データとを照合し、真偽を判別する用紙の真偽判別方法である。
また、本発明は、前記種類基準データ又は含有量基準データの基準データは、基準データのなる用紙を、1300乃至1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、前記測定した近赤外吸収スペクトルを吸光度変換処理、一次微分処理、二次微分処理及び標準化の処理の内、一つ又は二以上を組み合わせて処理を前記用紙のデータを求め、前記データに対して、主成分データを抽出し、前記主成分データから判別モデルを作製してなる用紙の真偽判別方法である。
紙の主成分であるセルロースのスペクトルに重なったてん料及び/又は顔料の僅かな違いを、1300〜1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、統計処理を行い種類基準データ及び/又は含有量基準データを予め作成し、これらの基準データと被判別用紙の種類判別データ及び含有量判別データをパターン認識により識別することで、用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類の違い、てん料及び/又は顔料の含有量の違いを非破壊で真偽判別が可能となり、てん料等の種類及び含有量の双方を持って真偽判別するため、従来よりも真偽判別に優れる。また、1300〜1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置で測定するため、短時間で判別が可能となる。更に、本発明の真偽判別方法を用いることで、特殊な技能及び経験を必要とせずに非破壊での真偽判別が可能となる。また、真偽判別方法は、パターン認識に要する時間が高速化されることで、鑑定業務の迅速化に繋がる。また、非破壊で識別ができるため券売機、自販機等における機械読取にも使用できる。
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
本発明は、フーリエ変換型近赤外分析装(以下FT-NIRという。)を使用することで用紙に含まれるてん料及び/又は顔料の種類や含有量の違いを非破壊で判別可能にする用紙の真偽判別方法に関するものであり、以下にこの用紙の真偽判別方法について説明する。
用紙の種類基準データは、てん料の種類の違いが識別できる種類基準データ、顔料の種類の違いが識別できる種類基準データ、てん料の種類及び顔料の種類の違いが識別できる種類基準データ等が作成することが可能である。用紙の含有量基準データは、てん料の含有量の違いが識別できる含有量基準データ、顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データ、てん料の含有量及び顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データ等が作成することが可能である。
てん料の種類の違いが識別できる種類基準データを作成する場合は、種類が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙を用いる必要がある。顔料の種類の違いが識別できる種類基準データを作成する場合は、種類が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を用いる必要がある。てん料の種類及び顔料の種類の違いが識別できる種類基準データを作成する場合は、種類が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙、種類が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を用いる必要がある。
てん料の含有量の違いが識別できる含有量基準データは、含有量が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙を用いる必要がある。顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データを作成する場合は、含有量が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を用いる必要がある。てん料の含有量及び顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データを作成する場合は、含有量が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙、含有量が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を用いる必要がある。
また、本発明の用紙に含まれるてん料及び顔料が異なる用紙とは、てん料、顔料が用紙内部に充てん又は用紙表面に塗工された状態でも何ら問題ない。
てん料の種類の違いが識別できる種類基準データ、顔料の種類の違いが識別できる種類基準データ、てん料の種類及び顔料の種類の違いが識別できる種類基準データを作成する場合について図1を用いて説明する。STEP1で、てん料の種類の違いが識別できる種類基準データは、種類が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。顔料の種類の違いが識別できる種類基準データは、種類が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。てん料の種類及び顔料の種類の違いが識別できる種類基準データは、種類が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙と種類が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。STEP2では、STEP1で得られた近赤外吸収スペクトルを吸光度変換、一次微分、二次微分及び標準化の処理を一つ又は併用して処理を施しデータを求める。STEP3では、STEP2で得られたデータに対して、主成分分析を行い主成分データを抽出する。STEP4では、STEP3で得られた主成分データにより、てん料の種類の違い毎にクラスター(楕円)が形成された種類基準データ、顔料の種類の違い毎にクラスター(楕円)が形成された種類基準データ、てん料の種類及び顔料の種類の違い毎にクラスター(楕円)が形成された種類基準データが作成できる。STEP2からSTEP4の一連の作業はコンピュータ上で統計処理されて種類基準データが作成される。
てん料の含有量の違いが識別できる含有量基準データ、顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データ、てん料の含有量及び顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データを作成する場合について図2を用いて説明する。STEP1で、てん料の含有量の違いが識別できる含有量基準データは、含有量が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データは、含有量が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。てん料の含有量及び顔料の含有量の違いが識別できる含有量基準データは、含有量が既知である少なくとも一種類以上のてん料を含む用紙と含有量が既知である少なくとも一種類以上の顔料を含む用紙を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。STEP2では、STEP1で得られた近赤外吸収スペクトルを吸光度変換、一次微分、二次微分及び標準化の処理を一つ又は併用してデータを求める。STEP3では、STEP2で得られたデータに対して、主成分分析を行い主成分データを抽出する。STEP4では、STEP3で得られた主成分データにより、てん料の含有量の違い毎にクラスター(楕円)が形成された含有量基準データ、顔料の含有量の違い毎にクラスター(楕円)が形成された含有量基準データ、てん料の含有量又は顔料の含有量の違い毎にクラスター(楕円)が形成された含有量基準データが作成できる。STEP2からSTEP4の一連の作業はコンピュータ上で統計処理されて含有量基準データが作成される。
次に、図1又は図2に示すSTEP1からSTEP4で作成された種類基準データ及び/又は含有量基準データを用いて用紙の真偽判別方法について説明する。図1又は図2に示すSTEP5で被判別用紙(識別したい任意の用紙)を、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得る。STEP6では、STEP5で得られた近赤外吸収スペクトルを吸光度変換、一次微分、二次微分及び標準化の処理を一つ又は併用して得られた被判別用紙データ(種類判別データ又は含有量判別データ)を求める。STEP7では、STEP6で得られた被判別用紙データをSTEP4で作成した種類基準データ及び/又は含有量基準データとパターン認識により識別する。上記、図1又は図2に示すSTEP1からSTEP4で作成された種類基準データ及び/又は含有量基準データを用いて、図1又は図2に示すSTEP5からSTEP7によって被判別用紙のてん料の種類、顔料の種類、てん料の含有量、顔料の含有量を非破壊で識別することが可能となる。
STEP1では、1300〜1500nmの波長範囲内でフーリエ変換型近赤外分析装置によって測定を行って近赤外吸収スペクトルを得て、得られた近赤外吸収スペクトルをSTEP2で吸光度変換、一次微分、二次微分及び標準化の処理を一つ又は併用してデータを求めているが、STEP1では、フーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、得られた近赤外吸収スペクトルの波長範囲を1300〜1500nmに限定し、限定された近赤外吸収スペクトルをSTEP2で吸光度変換、一次微分、二次微分及び標準化の処理を一つ又は併用してデータを求めても良い。これは、てん料及び顔料の異なる用紙においては、用紙の主成分はセルロースであることから、このセルロースの吸収ピークがバックグランドとなることから、セルロースの吸収ピークを除外し、てん料及び顔料の僅かに異なる特徴的なピークを示す波長範囲に限定する。
STEP2では吸光度変換、微分処理(一次微分法又は二次微分法)及び標準化などの処理法を任意に組み合わせて最適な判別モデル(基準データ)となるように処理を施す。ここで、各種処理法は以下のような特徴を有する。吸光度変換は、ランバート・ベールの法則に従い、スペクトルをピーク面積から定量的に評価することが可能となる。微分処理は、重複したピークの分離とベースラインの補正を行う。その中の一次微分は、スペクトルの傾き成分を抽出し重なり合ったピークの分離を行い、二次微分は処理を施すことで上向きのピークは下向きになり、更に重複したピークが個々のピークとして明確になり、ベースラインが一定となる。標準化法は、スペクトル中の最大及び最小のピークをそれぞれ最大値1及び最小値0として補正する処理であり、これにより試料と測定面の密着性のばらつきを補正できる。
STEP3の主成分分析は、測定により得られた近赤外吸収スペクトルデータの情報損失量が最小となるように主成分分析を行い、それぞれの試料の主要因子(主成分)に分解する。そして、STEP4で、それぞれの試料の類似度に基づきパターン認識用の種類基準データ及び/又は含有量基準データを作成する。
実際の識別のSTEP7では、STEP6で得られた被判別用紙データをSTEP4で作成した種類基準データ及び/又は含有量基準データとパターン認識により識別する。このときSTEP4で作成した種類基準データ及び/又は含有量基準データはてん料及び/又は顔料の種別毎にクラスター(楕円)が形成される。また、てん料及び/又は顔料の含有量毎にクラスター(楕円)が形成される。パターン認識では、クラスター(楕円)内に被判別用紙データがプロットされた場合、そのクラスター(楕円)が形成されている、種類基準データに形成されたてん料と同一の種類、種類基準データに形成された顔料と同一の種類、含有量基準データに形成されたてん料と同一の含有量、含有量基準データに形成された顔料と同一の含有量であることがわかる。クラスター(楕円)以外に被判別用紙データがプロットされた場合、種類基準データに形成されたてん料以外の種類、種類基準データに形成された顔料以外の種類、含有量基準データに形成されたてん料以外の含有量、含有量基準データに形成された顔料以外の含有量であることがわかる。STEP6からSTEP7の一連の作業はコンピュータ上で統計処理され、クラスター(楕円)内又はクラスター(楕円)以外に被判別用紙データがプロットされるか否か計算して識別することができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によってなんら限定されるものではない。
図1はFT-NIRによる測定で得られる近赤外吸収スペクトルをもとに、種類基準データ及び/又は含有量基準データと真偽判別に至るまでのデータ解析のフローチャートである。
(実施例1)
図3は、てん料A、B及びCを含む用紙を測定した近赤外吸収スペクトルA1、B1及びC1である。これより、用紙に含まれるてん料が異なるにも関わらず、近赤外吸収スペクトル形状A1、B1及びC1に違いを見ることができない。そこで、近赤外吸収スペクトルA1、B1及びC1に対し波長範囲を1300〜1500nmに限定し、一次微分処理を施すと図4に示した微分スペクトルA2、B2及びC2が得られる。これより、個々の用紙に含まれるてん料A、B及びCの違いが分かる。この微分スペクトルA2、B2及びC2に対し主成分分析を行い判別モデル(種類基準データ)を作成すると用紙に含まれるてん料の違いごとにクラスターA3、B3及びC3(楕円)でグループ分けされる。図5に示すように、てん料A、B及びCがクラスターA3、B3及びC3(楕円)毎にグループ分けされ、違いが分かる。次に被判別用紙(任意の用紙)をFT-NIRによる測定で得られる近赤外吸収スペクトルで測定し、一次微分処理を施し被判別用紙データを得る。得られた被判別用紙データを作成した判別モデル(種類基準データ)とパターン認識により識別することで被判別用紙が判別モデル(種類基準データ)のどのグループに属するかにより用紙の判別が可能となる。例えば、測定した用紙がクラスターA3のグループに属せば、Aのてん料を含む用紙であると判断する。この場合、判別モデル(種類基準データ)の各グループを表すクラスター(楕円)の位置と、測定した被判別用紙の被判別用紙データをデータの位置によって識別される。つまり、クラスター(楕円)内に被判別用紙データがプロットされれば、そのクラスター(楕円)を形成しているてん料であることがわかる。クラスター(楕円)内又はクラスター(楕円)以外に被判別用紙データがプロットされるか否かはコンピュータ上で計算して識別することができる。
(実施例2)
図6は、用紙に含まれるてん料の種類が同一で、含有量が異なる二種類の用紙D及びEの近赤外吸収スペクトルD1及びE1である。この近赤外吸収スペクトルD1及びE1の形状に違いは見られない。そこで、近赤外吸収スペクトルD1及びE1に対し波長範囲を1300〜1500nmに限定し、微分処理を施すと図7に示した微分スペクトルD2及びE2が得られる。この微分スペクトルD2及びE2から、個々の用紙に含まれるてん料由来のピーク強度が異なることが分かる。更に、微分スペクトルに対し主成分分析を行い判別モデルを作成すると、用紙に含まれるてん料の含有量の違いによりクラスターD3及びE3(楕円)でグループ分けされる。図8に示すように、てん料D及びEがクラスターD3及びE3(楕円)毎にグループ分けされ、違いが分かる。次にD及びEのどちらかの用紙をFT-NIRによる測定で得られる近赤外吸収スペクトルで測定し、一次微分処理を施し被判別用紙データを得る。得られた被判別用紙データを作成した判別モデル(含有量基準データ)とパターン認識により識別することで被判別用紙(任意の用紙)がどのグループに属するかにより、二種類の用紙の判別が可能となる。例えば、測定した用紙がクラスターD’のグループに属せば、Dのてん料を含む含有量であると判断する。この場合、判別モデル(含有量基準データ)の各グループを表すクラスター(楕円)の位置と、測定した被判別用紙の被判別用紙データをデータの位置によって識別される。つまり、クラスター(楕円)内に被判別用紙データがプロットされれば、そのクラスター(楕円)を形成しているてん料の含有量であることがわかる。クラスター(楕円)内又はクラスター(楕円)以外に被判別用紙データがプロットされるか否かはコンピュータ上で計算して識別することができる。
用紙の基準データのフローチャート及び用紙の真偽判別方法のフローチャートを示す図である。 用紙の基準データのフローチャート及び用紙の真偽判別方法のフローチャートを示す図である。 実施例1及び2を説明する図で、含まれるてん料が異なる用紙の近赤外吸収スペクトルを示すずである。 図3の近赤外吸収スペクトルを波長範囲を1300〜1500nmに限定し、一次微分処理した微分スペクトルを示す図である。 図4の近赤外吸収スペクトルを基に主成分分析し作成した判別モデルを示す図である。 実施例2を説明する図で、含まれるてん料の量が異なる用紙の近赤外吸収スペクトルを示す図である。 図6の近赤外吸収スペクトルを波長範囲を1300〜1500nmに限定し、一次微分処理した微分スペクトルを示す図である。 図7の微分スペクトルを基に主成分分析し作成した基準データを示す図である。
符号の説明
A 白土を含む用紙
B 酸化チタンを含む用紙
C 炭カルを含む用紙
D てん料の量が少ない用紙
E てん料の量が多い用紙
A1、B1、C1、D1、E1 近赤外吸収スペクトル
A2、B2、C2、D2、E2 微分スペクトル
A3、B3、C3、D3、E3 クラスター

Claims (2)

  1. 用紙の真偽判別方法において、
    てん料及び顔料の種類の少なくとも一つの種類判別データと予め定められた所定のてん料及び所定の顔料の少なくとも一つの種類基準データとを照合する第1の真偽判別工程と、
    てん料及び顔料の含有量の少なくとも一つの種類判別データと予め定められた所定のてん料及び所定の含有量の少なくとも一つの含有量基準データとを照合する第2の真偽判別工程によって真偽判別を行う用紙の真偽判別方法。
  2. 請求項1記載の用紙の真偽判別方法において、
    前記第1の真偽判別工程は、前記用紙を、1300乃至1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、
    前記測定した近赤外吸収スペクトルを吸光度変換処理、一次微分処理、二次微分処理及び標準化の処理のうち、一つ又は二つ以上を組み合わせて処理を前記用紙のてん料の種類及び顔料の種類のうち、少なくとも一つの種類判別データを求め、
    前記種類判別データと予め定められた種類基準データとを照合し、
    前記第2の真偽判別工程は、前記用紙を、1300乃至1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、
    前記測定した近赤外吸収スペクトルを吸光度変換処理、一次微分処理、二次微分処理及び標準化の処理のうち、一つ又は二つ以上を組み合わせて処理を前記用紙のてん料の含有量及び顔料の含有量のうち少なくとも一つの含有量判別データを求め、
    前記含有量判別データと予め定められた含有量基準データとを照合し、真偽を判別する用紙の真偽判別方法。

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CN113192252A (zh) * 2020-01-14 2021-07-30 深圳怡化电脑股份有限公司 票据重张的检测方法、装置、设备及可读介质

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