JP2005274141A - 膜たんぱく質固定化基板および固定化方法 - Google Patents

膜たんぱく質固定化基板および固定化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被固定化物質を簡便な方法で確実に基材表面に固定化する。
【解決手段】 基板の表面に、変性タンパク質の単分子膜を付着させる(S101)。変性タンパク質として、膜タンパク質が変性したタンパク質を用いる。膜の表面に、被固定化物質を接着させるために、特定物質に対して特異的相互作用する親和性物質を固定化する(S102)。そして、親和性物質を固定化した膜の表面に、特定物質を固定化する(S103)。基板表面に固定化させたい被固定化物質に親和性物質を結合させておき、基板の表面に固定化された固定化物質に特異的に吸着させる(S104)。
【選択図】 図1



Description

本発明は、膜たんぱく質固定化基板および固定化方法に関する。
基板上にタンパク質を固定化する方法として、従来、特許文献1に記載されたものがある。同文献では、プロテインAの水溶液を水面に滴下展開してプロテインAの単分子膜を作製する。この膜を固体表面に写し取った後、抗体タンパク質を作用させることにより、抗体タンパク質をプロテインA膜上に固定化している。プロテインAと抗体のFc領域との特異的相互作用を利用しているため、高い抗体密度の抗体固定化が実現し、バイオセンサ等に利用可能であるとされている。
特開平5−273212号公報
ところが、特許文献1で用いているプロテインAは水溶性のタンパク質である。プロテインAの水溶液を水層に滴下した場合、これらの液体が混和するとともに、プロテインAが水層中に移動する。このため、上述の方法は、タンパク質を気液界面に効率よく集めておき、変性させるという点で改善の余地があった。
また、プロテインAに抗体を特異的に吸着させるには、抗体結合ドメインが変性プロテインA分子内に維持されていなければならない。ところが、上述の方法では、膜作製時にプロテインAを変性させるため、抗体結合ドメインの構造が破壊される可能性があった。このため、被固定化物質を基材の表面に安定的に固定化するという点では、従来の方法には改善の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたのものであり、その目的は、被固定化物質を簡便な方法で確実に基材表面に固定化する技術を提供することにある。
本発明によれば、基板と、前記基板上に設けられた膜タンパク質またはその変性タンパク質を含む膜と、前記膜の表面に設けられ、特定物質に選択的に吸着する親和性物質と、を有することを特徴とする固定化基板が提供される。
この構成によれば、基板が親和性物質との結合性に富む膜タンパク質またはその変性膜を含む膜を表面に有するため、膜の表面に被固定化物質が固定化された基板を安定的に得ることができる。また、特定物質と親和性物質との特異的相互作用により被固定化物質が基板の表面に固定化された構成とすることができる。このため、基板の表面の所定の位置に、確実に被固定化物質を固定化された状態とすることができる。
なお、本明細書において、固定化基板は、膜を介して被固定化物質を固定化可能な状態にある基板をいい、被固定化物質が固定化された後の基板および固定化前の基板の両方を含む。
また、本明細書において、親和性物質と特定物質との間に働く相互作用を特異的相互作用とよび、これらの間に特異的に働く力を親和力とよぶ。親和力により、これらの物質間に選択的な吸着または結合が生じる。
また、本明細書において、タンパク質の「変性」とは、当該タンパク質分子の立体構造の崩壊と機能の失活、または当該タンパク質分子を構成する一次構造すなわちアミノ酸配列の切断以外のコンフォメーション変化のことをいい、コンフォメーション変化の程度に特に制限はない。
本発明において、前記特定物質は、前記親和性物質の吸着部位を複数箇所有することができる。こうすることにより、基板表面に第一の親和性物質を固定化しておき、被固定化物質に第二の親和性物質を結合させ、これらの第一および第二の親和性物質と特定物質とのサンドイッチ法により、被固定化物質を基板の表面に確実に固定化することができる。
なお、本発明において、第一の親和性物質と第二の親和性物質は、ともに特定物質に選択的に吸着することができればよく、これらが同一の物質であってもよいし、異なる物質であってもよい。
本発明において、特定物質と第一の親和性物質との親和力により被固定化物質が基板の表面に固定化されれば、その態様に特に制限はないが、前記親和性物質が第一の親和性物質および第二の親和性物質を含み、前記第一の親和性物質は前記膜の表面に結合し、前記特定物質は前記第一の親和性物質および前記第二の親和性物質に選択的に吸着し、前記第二の親和性物質に結合している被固定化物質を有する構成とすることができる。
こうすることにより、特定物質と第一の親和性物質および第二の親和性物質との親和力により被固定化物質を確実に基板の表面に固定化することができる。具体的には、たとえば、固定化基板を基板−膜−第一の親和性物質−特定物質−第二の親和性物質−被固定化物質の順に固定化された構成とすることができる。よって、特定物質を直接被固定化物質または基板に結合させることなく、被固定化物質と基板とを接続することができる。このため、親和性物質と好適に相互作用できる状態で特定物質を接続に関与させることができる。よって、特定物質が比較的変性しやすいタンパク質等である場合にも、特定物質の変性を抑制することができる。したがって、被固定化物質を基材の表面に確実に固定化することができる。
本発明の固定化基板において、前記膜が前記タンパク質またはその変性タンパク質の単分子膜または前記単分子膜の積層膜であってもよい。こうすることにより、固定化基板の製造安定性を向上させることができる。基板表面の膜を薄膜化することができる。また、基板が表面に一様に設けられた膜を有する構成とすることができる。よって、基板の表面に被固定化物質が一様に固定化された構成を安定的に得ることができる。
本発明によれば、表面に変性膜タンパク質を含む膜を有する基板を準備するステップと、特定物質に選択的に吸着する第一の親和性物質を前記膜の表面に結合させるステップと、前記特定物質に選択的に吸着する第二の親和性物質が結合した被固定化物質を含む液体を準備するステップと、前記第一の親和性物質または前記第二の親和性物質に前記特定物質を吸着させるステップと、前記被固定化物質を含む液体を、前記膜の表面に展開し、前記膜の表面に前記被固定化物質を固定化するステップと、を含むことを特徴とする固定化方法が提供される。
この構成によれば、特定物質と親和性物質との間の親和力を用いて膜の表面に被固定化物質を固定化させるステップを含むため、簡便な方法で被固定化物質を基板表面の膜上に確実に固定化させることができる。また、親和性物質が固定化された被固定化物質と基材とを、特定物質を介して接続することができる。このため、特定物質に対して緩和な条件で被固定化物質を固定化された基板を安定的に製造し、固定化状態を安定的に維持することができる。また、基板表面にあらかじめ被固定化物質を固定化し易い膜を準備するため、基板の表面に被固定化物質を直接固定化するのが困難である場合にも、膜の表面に固定化すればよく、種々の被固定化物質の固定化方法として好適に用いられる。
本発明の固定化方法において、基板を準備する前記ステップは、膜タンパク質の分散液または溶液を液体表面に展開し、前記膜タンパク質を変性させて、前記変性膜タンパク質を含む単分子膜を形成するステップと、前記単分子膜を前記基板の表面に付着させるステップと、を含んでもよい。単分子膜を基板の表面に付着させることにより、基板表面に一様かつ親和性物質の固定化のために好適な薄膜を形成させることができる。このため、基板の表面に被固定化物質を一様に固定化することができる。
本発明において、前記膜タンパク質がバクテリオロドプシンを含んでもよい。たとえば、本発明において、前記膜タンパク質がバクテリオロドプシンであってもよい。また、本発明において、前記膜が実質的にバクテリオロドプシンからなっていてもよい。たとえばバクテリオロドプシンおよび脂質分子を含む紫膜より得られる変性タンパク質膜としてもよい。バクテリオロドプシンを用いることにより、固定化基板の製造安定性を向上させることができる。また、膜の表面に被固定化物質を確実に固定化することができる。
本発明において、前記特定物質と前記第一の親和性物質および前記第二の親和性物質との組み合わせがリガンドとレセプターであってもよい。こうすることにより、特定物質と親和性物質の複合体を安定的に形成させることができる。このため、固定化基板をさらに安定的に製造することができる。
以上説明したように本発明によれば、基板上に設けられた膜タンパク質またはその変性タンパク質を含む膜と、膜の表面に設けられ、特定物質に選択的に吸着する親和性物質と、を有する構成とすることにより、被固定化物質を簡便な方法で確実に基材表面に固定化する技術が実現される。
以下、本発明に係る固定化基板の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面の説明においては、共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す図である。図1に示したように、まず、基板の表面に、変性タンパク質の単分子膜を付着させる(S101)。変性タンパク質として、膜タンパク質が変性したタンパク質を用いる。そして、膜の表面に、被固定化物質を接着させるために、特定物質に対して特異的相互作用する親和性物質を固定化する(S102)。そして、親和性物質を固定化した膜の表面に、特定物質を固定化する(S103)。これにより、基板表面に特定物質が固定化されたことになる。基板表面に固定化させたい被固定化物質に親和性物質を結合させておき、基板の表面に固定化された固定化物質に特異的に吸着させる(S104)。以上のステップにより、基板の表面に被固定化物質を固定化することができる。
図2は、図1のステップ101の手順を詳細に説明する図である。なお、図2においては、膜タンパク質の分散液を用いる場合を例に以下説明するが、膜タンパク質の溶液を用いてもよい。図2に示したように、ステップ101では、まず、膜を構成する膜タンパク質を所定の分散媒に分散させる(S111)。そして、この分散液を、下層液となる液体上面のみに展開する(S112)。そして、所定の時間静置して、膜タンパク質すべてを気液界面で界面変性させる(S113)。このステップで、界面変性した膜タンパク質の単分子膜が液体表面に形成される。そして、得られた単分子膜を膜の側方から圧縮する(S114)。圧縮により所定の密度に調整された膜を、基板の表面に転写する(S115)。以上のステップにより、基板の表面に変性膜タンパク質の単分子膜を設けることができる。
なお、図2に示した手順におけるステップ114の圧縮の程度は、適宜調整すればよい。また、ステップ113では、界面のタンパク質すべてを界面変性させる場合を例示したが、実質的にすべてのタンパク質が変性していればよく、たとえば、展開したタンパク質の90%以上を変性させてもよい。変性条件はタンパク質の種類に応じて実験により決めることができる。
この方法では、基板−変性膜タンパク質単分子膜−親和性物質−特定物質−親和性物質−被固定化物質の順に接続された構造体が得られる。このような構造体では、親和性物質−特定物質−親和性物質の特異的相互作用を用いるため、被固定化物質が基板表面に設けられた変性膜タンパク質単分子膜に確実に固定されている。また、親和性物質−特定物質−親和性物質のサンドイッチ法により被固定化物質を固定化するため、特定物質がタンパク質等の比較的変性しやすい物質である場合にも、その変性を抑制することができる。
また、図1の手順においては、特定物質と親和性物質との間に働く親和力により被固定化物質を固定化するため、被固定化物質を基板の表面に直接固定化する必要がない。このため、基板の表面が不活性であったり、反応性の官能基の導入が困難であったりする場合にも、簡便なステップで確実に被固定化物質を基板上に固定化することができる。また、被固定化物質がタンパク質などの変性しやすい物質である場合にも、その変性を抑制し、もとの構造を維持した状態で基板上に安定的に固定化することができる。
ここで、特定物質には、親和性物質に対する結合部位を複数有する物質を用いる。特定物質と親和性物質との結合定数が大きい組み合わせとすることが好ましい。このような特定物質と親和性物質の組み合わせとして、ビオチンとアビジン等のリガンドとレセプター、Ni(II)とNTA(Nitrilotriacetic acid)またはNi(II)とヒスチジンペプチド等の金属と金属結合性基、等を用いることができる。このうち、ビオチンとアビジンの解離定数は小さいため、これらの組み合わせを用いると、基板の表面に被固定化物質を確実に固定化することができる。なお、アビジンに代えてストレプトアビジンやニュートラアビジンを用いてもよい。
変性タンパク質膜の材料は、分散媒中では親水性領域中に隠蔽されていた疎水性領域が、下層液上に展開された後、気液界面において露出し、露出した際の表面の疎水化の程度が比較的大きいタンパク質を用いることが好ましい。このため、変性タンパク質膜の材料となるタンパク質として、たとえばバクテリオロドプシン等の膜タンパク質が用いられる。膜タンパク質は多くの場合疎水性の高い領域を有しているため、これを用いることにより、タンパク質を気液界面において変性させて、変性タンパク質単分子膜を安定的に形成することができる。また、変性タンパク質単分子膜を用いることにより、基板の表面に層状の被覆を形成し、被覆層を薄膜とすることができる。
以下、変性タンパク質の単分子膜が変性バクテリオロドプシンを含む場合について、特定物質と親和性物質の組み合わせとしてビオチンとアビジンを用いる場合を例に、被固定化物質の固定化方法をさらに詳細に説明する。
図3は、バクテリオロドプシンを用いた生体分子固定化基板の作製手順を説明する図である。図3に示したように、まず、基板の表面に、変性タンパク質が変性バクテリオロドプシンである変性タンパク質単分子膜を形成する(S121)。次に、この膜の表面をビオチン化する(S122)。そして、ビオチン化した膜の表面をアビジン化する(S123)。そして、ビオチン化した被固定化物質をアビジン化した膜の表面に固定化する(S124)。以上のステップにより、基板の表面に被固定化物質が固定化される。
図4(a)〜図4(c)および図5(d)は、ステップ121の手順を説明する図である。ステップ121は、図1中のステップ101と同様に、ステップ111からステップ115までの5つのステップに分かれる。図2、図4(a)〜図4(c)および図5(d)を用いて、基板の表面に膜タンパク質としてバクテリオロドプシンを含む膜を設ける手順を説明する。なお、バクテリオロドプシンを含む膜の材料として、バクテリオロドプシンを含む紫膜を用いることもできる。紫膜は、ハロバクテリウム・サリナルム(Halobacterium salinarum)などの好塩菌から分離することができる。紫膜の分離には、たとえば、Methods in Enzymology、31、A、p.667−678(1974)に記載の方法を用いることができる。
まず、バクテリオロドプシン341を含む紫膜を、分散媒342に分散させ、タンパク質展開液350を調製する(S111、図4(a))。次に、下層液360を張った水槽の液面上に、シリンジ362または開口部先端を液面に接触させたテフロン(登録商標)チューブを用いて所定量のタンパク質展開液350を静かに展開する(S112、図4(b))。なお、開口部先端を液面に接触させたテフロンチューブとして、たとえば、Y. Sugiyama他4名、「Determination of the amount of native structural bacteriorhodopsin in purple membrane Langmuir−Blodgett films by a spectroscopic surface denaturation quantifying technique」、Biochim. Biophys. Acta、1326巻、p.138−148(1997)に記載の構成を用いることができる。この方法を用いることにより、気水界面の吸着力を利用して、膜タンパク質が、下層液360中に沈みこむのを抑制し、タンパク質展開液350を水面に確実に展開させることができる。また、本実施の形態では、水槽としてラングミュアトラフ361を用いている。
分散媒342は、タンパク質をある程度安定的に分散させておくことが可能な有機溶媒またはその水溶液とすることができる。こうすることにより、後述するように、タンパク質展開液350を下層液360の上に展開し、気液界面にバクテリオロドプシン341を安定的に存在させることにより、確実に界面変性膜を形成させることができる。さらに、下層液360は、分散媒342およびタンパク質の種類に応じて適宜選択される。
タンパク質としてバクテリオロドプシン341を用いる場合、分散媒342として有機溶媒の水溶液を用いることができる。たとえば、DMF(ジメチルフォルムアミド)水溶液またはDMSO(ジメチルスルフォキシド)水溶液等を用いることができる。たとえば、10〜90v/v%のDMF水溶液またはDMSO水溶液を用いることができる。さらに具体的には、たとえば、33v/v%ジメチルフォルムアミド(DMF)水溶液を用いることができる。このとき、下層液360として、たとえばpH2以上6以下、好ましくはpH3以上4以下の酸性水溶液を用いることができる。具体的には、たとえば、HClでpH3.5に調製した純水を用いることができる。こうすることにより、展開後の液体表面に、バクテリオロドプシン341を確実に存在させることができる。
次に、下層液360の上部に得られたタンパク質の単分子膜を表面圧力0mN/mの下で所定の時間静置することにより、界面上のタンパク質すべてを界面張力により界面変性させ、変性タンパク質単分子膜352を得る(S113、図4(c))。バクテリオロドプシン341の場合、気液界面の界面張力によってバクテリオロドプシン341を気液界面で変性させて、疎水部を露出させることができるため、一様な変性タンパク質単分子膜352を安定的に得ることができる。この場合、室温にて5時間以上静置するのがよい。
つづいて、しきり板としてラングミュアトラフ361の可動式バリア363を用い、下層液360の液面上に形成された変性タンパク質単分子膜352を、所定の表面圧力となるまで圧縮する(S114)。バクテリオロドプシン341の場合は、たとえば表面圧力が5mN/m〜20mN/m程度になるまで圧縮速度20cm/min程度で圧縮する。具体的には、たとえば表面圧力が15mN/mになるまで圧縮する。本方法によれば、圧縮終了後の変性タンパク質単分子膜352の面積から、変性バクテリオロドプシンの単位面積当たりの分子数を定量することができる。このため、従来の方法とは異なり、基板370の表面の被固定化分子固定化サイトの面積数密度を確実に制御することができる。
なお、表面圧力とは1次元圧力であり、単位長さ当たりの力で表される。単分子膜は下層液の液面上にシート状に形成されており、側面から圧縮されると、膜の側面方向から1次元の力が作用する。このとき、その力を力が加わった単分子膜の側面方向の1次元長さで割った値が表面圧力である。
圧縮後、水平付着法により、基板370の表面に変性タンパク質単分子膜352を付着させる(S115、図5(d))。また、水平付着法を繰り返すことにより、変性タンパク質単分子膜352を累積することができる。累積層数を変化させることにより、膜厚を変化させることができる。たとえば、変性タンパク質単分子膜352の一層の厚さは約1.5nmであるため、膜厚を1.5nm単位の所定の厚さとすることができる。このため、膜厚を2nm以下の単位で精密に制御することができる。なお、変性タンパク質単分子膜352を複数層累積させた全体の厚さに特に制限はないが、たとえば5nm以上、好ましくは10nm以上とすることができる。こうすることにより、変性タンパク質単分子膜を電気的絶縁層とすることができる。また、変性タンパク質単分子膜352を複数層累積させた全体の厚さは、たとえば10nm以下、好ましくは5nm以下としてもよい。こうすることにより、変性タンパク質単分子膜をトンネル層とすることができる。このため、目的に応じて変性タンパク質単分子膜352の膜厚を調節することにより、変性タンパク質単分子膜352を転写した基板370を幅広い用途に用いることができる。
変性タンパク質単分子膜352が転写される基板370の材料に特に制限はなく、使用目的に応じて種々の材料から選択することができる。たとえば、基板370を、金属材料や樹脂材料とすることができる。また、シリコンウエハ等の半導体基板とすることもできる。また、半導体基板の表面に金属膜が形成されていてもよい。基板370の形状は、平板状であってもよいし、柔軟なフィルム状であってもよい。
基板370として、表面が疎水性の材料を用いることができる。こうすることにより、変性タンパク質単分子膜352を表面に確実に付着させて、保持することができる。このため、変性タンパク質単分子膜352の剥離や劣化を好適に抑制することができる。なお、基板370の表面が親水性である場合には、変性タンパク質単分子膜352を付着させる前に表面の疎水化処理を行ってもよい。
また、膜タンパク質は多くの場合疎水性の高い領域を有しているため、その一種であるバクテリオロドプシン341を用いることにより、疎水性の基板表面に安定的に吸着させることができる。
また、被固定化物質が固定化される面の基板370の表面形状についても特に制限はない。平坦面であっても凹凸面であってもよい。また、微細加工が施された表面であってもよい。変性タンパク質単分子膜352をnmオーダーの薄膜とすることができるため、基板370の表面を変性タンパク質単分子膜352で被覆した後も、もとの表面形状を好適に維持することができる。
図6(a)〜図6(d)および図7は、図3中に示したステップ122〜ステップ124の手順を説明する図である。ここでは、基板370としてシリコン基板272(図6(a))を用いる場合を例に説明する。
図6(b)に示したように、ステップ121までの手順を行うことにより、シリコン基板272の表面を変性タンパク質単分子膜352が被覆した構造が得られる。次に、変性タンパク質単分子膜352の表面にピリジンを滴下して、バクテリオロドプシン341中のリジン残基を活性化する。そして、変性タンパク質単分子膜352の表面を純水で洗浄する。なお、バクテリオロドプシン341一分子は248個のアミノ酸残基を有し、そのうちの7個がリジン残基である。ここで、シリコン基板272表面を変性タンパク質単分子膜352で被覆後、シリコン基板272の表面を純水洗浄し、かつシリコン基板272を乾燥放置しても、次のピリジン処理以後の過程になんら影響を与えない。このため、シリコン基板272の表面を変性タンパク質単分子膜352が被覆した構造は乾燥耐性等の保存安定性にすぐれた構成となっている。よって、この状態で乾燥放置しておき、所望の段階で以降の固定化プロセスを再開することができる。したがって、製造安定性にすぐれ、幅広い固定化プロセスに適応可能な構成となっている。
次に、スクシンイミド基等が導入されて活性化されたビオチンの溶液または分散液に変性タンパク質単分子膜352を接触させてビオチン化する(ステップ122、図6(c)。こうすれば、変性タンパク質単分子膜352を構成するバクテリオロドプシン341に含まれるリジン残基をビオチンのスクシンイミド基と反応させて、変性タンパク質単分子膜352の表面をビオチン化することができる。変性タンパク質単分子膜352にビオチン283を共有結合することにより、膜表面を確実にビオチン化することができる。
このとき、たとえば、変性タンパク質単分子膜352を被覆したシリコン基板272をビオチン誘導体の溶液または分散液に浸漬してもよい。また、変性タンパク質単分子膜352上にビオチン誘導体の溶液または分散液を噴霧してもよい。ピコリットル単位の液体を噴霧することができるノズルにビオチン誘導体の溶液または分散液を充填し、噴霧する。ノズルとして、たとえばインクジェットプリンターのノズル等を用いることができる。そして、変性タンパク質単分子膜352の表面を緩衝液で洗浄し、変性タンパク質単分子膜352の表面に結合しなかったビオチン283を除去する。
次に、表面にビオチン283が導入されたシリコン基板272をアビジン化する(S123、図6(d))。このとき、たとえば、アビジン285を含む緩衝液中にシリコン基板272を浸漬する。そして、シリコン基板272の表面を緩衝液で洗浄する。ビオチン283とアビジン285の特異的な相互作用により、変性タンパク質単分子膜352の表面にビオチン283を介してアビジン285が固定化される。なお、緩衝液は、アビジン285のビオチン結合部位を崩壊させないものであれば特に制限はなく、たとえば、リン酸バッファー等を用いることができる。
次に、変性タンパク質単分子膜352の表面に固定化されたアビジン285に、ビオチン化された被固定化物質を特異的に吸着させる(S124、図7)。図7において、タンパク質274が被固定化物質である。
被固定化物質は、使用目的に応じて種々の物質とすることができる。被固定化物質が分子であってもよいし、複数の分子からなる複合体であってもよい。たとえば、被固定化物質を生体物質とすることができる。たとえば、タンパク質、DNAやRNA等のポリヌクレオチド、多糖等の生体高分子とすることができる。また、生体物質を細胞膜等の脂質二重膜等とすることもできる。
また、被固定化物質を親和性分子であるビオチン284に結合させておき、シリコン基板272表面に挿入したアビジン285と結合させることもできる。この場合、被固定化物質とビオチン284の結合には、たとえば、被固定化物質がカルボキシル基を有する場合、カルボジイミド等の縮合試薬を用いることができる。被固定化物質中のカルボキシル基をカルボジイミド法等により活性化し、アミノ基を有するビオチン誘導体を固定化する。このようなビオチン誘導体として、具体的には、たとえば、ビオチンヒドラジド等を用いることができる。また、カルボジイミドを用いる場合、たとえば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)等の水溶性カルボジイミドを用いることができる。
こうして、被固定化物質がビオチン化される。被固定化物質にビオチン284を共有結合させることにより、ビオチン化を確実に行うことができる。なお、ビオチン化後、エタノールアミン等を添加して被固定化分子に残存する未反応のカルボジイミド誘導体を不活性化してもよい。
以上のステップにより、被固定化物質がシリコン基板272の表面に固定化される。シリコン基板272の表面に変性タンパク質単分子膜352を設けることにより、シリコン基板272の表面の性状によらず、簡便な操作で被固定化物質を安定的に固定化することができる。また、変性タンパク質単分子膜352およびその表面のビオチン283、アビジン285、およびビオチン284を介して被固定化物質をシリコン基板272の表面に固定化するため、簡便な操作で確実に被固定化物質を固定化するとともに、固定化状態を安定的に保持することができる。また、本実施形態に係る固定化基板は、変性タンパク質単分子膜352の表面に設けられたビオチン283および被固定化物質に設けられたビオチン284を、結合価が4価のアビジン285が連結させて得られるものである。ビオチン283およびビオチン284とアビジン285との特異的相互作用は比較的強いため、変性タンパク質単分子膜352の表面に被固定化物質を確実に固定化することができる。
本実施の形態に係る固定化基板は、被固定化物質の分析や処理に用いることができる。たとえば、AFM観察の際に、観察対象の物質を被固定化物質として固定化することができる。変性タンパク質単分子膜352は表面が平滑な超薄膜であるため、nmスケールでの観察の際にも観察対象の支持基板として好適に用いられる。また、被固定化物質と相互作用する他の物質の分析に用いることもできる。たとえば、表面プラズモン測定のセンサチップとして用いることができる。
図7〜図10は、種々の被固定化物質を基板に固定化した様子を模式的に示す図である。
図7は、前述のように、被固定化物質がタンパク質である場合を示す図である。ビオチン283−アビジン285−ビオチン284のサンドイッチ構造を介して変性タンパク質単分子膜352にタンパク質274を固定化することにより、タンパク質274の変性を抑制し、安定的に固定化することができる。このような固定化基板は、たとえば表面プラズモン測定用のセンサチップ、AFM測定用の基板、その他各種バイオセンサに好適に利用できる。
図8は、被固定化物質がDNA276である場合を示す図である。DNA等のポリヌクレオチドを固定化する場合にも、末端をビオチン化しておくことにより、ビオチン283およびビオチン284とアビジン285との特異的相互作用を用いて確実に固定化することができる。このような固定化基板は、DNAチップやバイオセンサに好適に利用できる。
図9および図10は、被固定化物質が生体膜の一種である紫膜278の場合を示す図である。図9は紫膜固定化基板の断面図であり、図10は上面図である。紫膜278においては、外側にバクテリオロドプシン由来のリジン残基が露出している。このため、前述の方法を用いて容易にビオチン化することができる。そして、ビオチン化した紫膜278を、変性タンパク質単分子膜352表面のアビジン285に特異的に吸着させることにより、シリコン基板272上に紫膜278の固定化が可能となる。
図9に示したように、本実施の形態に係る固定化基板の被固定化物質は分子に限られず、生体膜などの構造体についても適用できる。このような固定化基板は、各種センサや電子デバイス等にも利用可能である。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、変性タンパク質単分子膜352と被固定化物質との接続に、ビオチン283とアビジン285を用いたが、これらに代えて、Ni(II)とNTAおよびヒスチジンペプチドの組み合わせを用いてもよい。
たとえば、変性タンパク質単分子膜352の表面にビオチン283に代えてNTAを導入し、被固定化物質の末端に、ビオチン283に代えてHis−tag基またはこれを有するタンパク質を固定化する。そして、アビジン285に代えてNi(II)を用いる。こうすれば、NTA−Ni(II)−His−tagの特異的相互作用を用いて、基板370状に設けられた変性タンパク質単分子膜352の表面に被固定化物質を固定化することができる。
この場合、図3のステップ122に代えて、NTA化のステップを経ることにより、変性タンパク質単分子膜352の表面に、NTA誘導体を固定化する。たとえば、ステップ121で基板370の表面を変性タンパク質単分子膜352で被覆した後、末端がスクシンイミド化されたNTAを基板370の上部に噴霧することにより、変性タンパク質単分子膜352中のリジン残基由来のアミノ基にNTAを共有結合させることができる。
また、被固定化物質に対しても、ビオチンの導入に代えて、His−tag導入のステップを経ることにより、被固定化物質に、Ni(II)に配位するヒスチジン残基を導入することができる。
そして、NTAが導入された変性タンパク質単分子膜352をNi(II)を含む緩衝液中に浸漬させ、変性タンパク質単分子膜352の近傍に、His−tagが導入された被固定化物質を含む液体を噴霧することにより、被固定化物質を基板370の表面に固定化できる。
本実施形態の構成によれば、NTA−Ni(II)−His−tagの特異的相互作用により、変性タンパク質単分子膜352の表面に被固定化物質を簡便に固定化し、安定に保持することができる。
以上、本発明を実施形態に基づき説明した。これらの実施形態は例示であり様々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、以上の実施の形態では、基板の表面に変性タンパク質の単分子膜を一層付着した場合を例に説明したが、単分子膜を積層して積層膜としてもよい。積層数を変化させることにより、変性タンパク質単分子膜352の厚さを調節することができる。なお、膜を積層する際には、1層積層するごとに、純水によるリンスおよびNガス雰囲気下での乾燥を施してもよい。
また、バクテリオロドプシン以外のタンパク質を用いて変性タンパク質単分子膜352を作製することもできる。このとき、システイン残基を有するタンパク質を用いる場合には、必要に応じてDTT(ジチオスレイトール)等の還元試薬を分散媒342または下層液360中に添加してもよい。こうすれば、タンパク質分子内または分子間で形成されるジスルフィド結合を切断することができる。このため、タンパク質を確実に界面変性させて、変性タンパク質単分子膜352を安定的に得ることができる。
また、変性タンパク質単分子膜352を構成するタンパク質がシステイン残基を有している場合、末端にチオール基またはマレイミド基などを有するビオチン誘導体を用いて還元条件でビオチン化を行ってもよい。
本実施例では、第一の実施形態に記載の方法を用いて、シリコン基板の上に変性バクテリオロドプシンのLangmuir(L)膜を形成し、ビオチン−アビジンの特異的相互作用を用いてビオチン化紫膜を固定化した。
まず、バクテリオロドプシンを含む紫膜を33v/v%DMF(ジメチルフォルムアミド)水溶液に分散させた。ラングミュアトラフに張った下層液の液面上にシリンジを用いて分散液を静かに展開した。こうすることにより、変性バクテリオロドプシンの単分子膜が得られた。なお、下層液として、HClでpH3.5に調製した純水を用いた。
次に、バクテリオロドプシンの単分子膜を静置し、下層液の界面張力によってバクテリオロドプシンを界面変性させた。紫膜を用いる場合、紫膜中のすべてのバクテリオロドプシンが界面変性するまで、室温で5時間以上静置することが好ましいため、本実施例でも5時間静置した。
次に、ラングミュアトラフの可動式バリアを用い、表面圧力が15mN/mになるまで単分子膜を圧縮した。圧縮後、水平付着法により、シリコンウエハの表面に変性バクテリオロドプシン単分子膜を付着させた。図11(a)は、この様子を模式的に示す断面図である。
図11(b)は、シリコンウエハの表面に転写した変性バクテリオロドプシン単分子膜の上面のAFM像を示す図である。図11(b)は、図11(a)をA−A'方向から見た図である。この図より、ウエハ表面を被覆する膜が一様に形成されていることがわかる。また、面内に垂直方向の測定結果より、形成された膜の中心線平均粗さRaは1nm以内であった。これより、膜の表面が極めて平坦であることがわかる。
次いで、変性バクテリオロドプシン単分子膜の表面のビオチン化を行い、さらにアビジン化した。
ビオチン化またはアビジン化の際に、以下の試薬を用いた。Biotin−AC−OSu(同仁化学研究所社製)0.38mgにDMSO420μlを加え、2.0mMビオチンDMSO溶液を調製した。このビオチンDMSO溶液50μlに純水950μlを加え、0.10mMのビオチン溶液とした。得られたビオチン溶液を、AS液(約0.1mMビオチン溶液)とした。Biotin−(AC−OSu(同仁化学研究所社製)0.41mgにDMSO360μlを加え、2.0mMビオチンDMSO溶液を調製した。得られたビオチン溶液を、高濃度AL液(2.0mMビオチン溶液)とした。蛍光色素結合アビジン(Avidin, Alexa Fluor 488 conjugate:Molecular Probes社製)0.12mgを0.5Mりん酸ナトリウムバッファー(pH7.1)(以下、これを単にバッファーと記す。)1200μlに溶解させた。これをB液とした。
まず、変性バクテリオロドプシン単分子膜中のリジン残基を活性化するために、膜の表面にピリジンを滴下した。その後、シリコンウエハを純水中に浸漬する洗浄操作を数回繰り返した。次に、膜の表面にAS液を滴下した。そして、純水を用いて同様の洗浄操作を行った。さらに、膜の表面にB液を滴下した後、表面をバッファーで6回洗浄した。
また、Methods in Enzymology、31、A、pp.667−678(1974)に記載の方法を用いて分離したハロバクテリウム・サリナルム(Halobacterium salinarum)由来の紫膜をビオチン化した。紫膜は膜タンパク質バクテリオロドプシンと脂質分子より構成される細胞膜断片である。バクテリオロドプシン濃度7μMの紫膜水溶液を高濃度AL液中に分散させて、2時間以上浸漬させた後、ゲル濾過により未反応のビオチンを除去した。得られたビオチン化紫膜の分散液をアビジン化されたシリコンウエハの表面に滴下した。そして、表面をバッファーで6回洗浄した。以上の操作により、紫膜を固定化した固定化基板(図9、図10)が得られた。
図12は、得られた紫膜固定化基板のAFM像を示す図である。なお、図12の像を模式的に描いたのが前述した図10である。図12より、紫膜がもとの形状を維持した状態でシリコンウエハの表面に固定化されたことが確かめられた。
このように、本実施例では、バクテリオロドプシンを液面上に展開するという簡便な方法により、アモルファス状に形成されたポリペプチドの超薄膜である、変性バクテリオロドプシン単分子膜を作製することができた。得られた膜を用いることにより、紫膜を基板上にしっかりと固定化することができた。
また、本実施例では、ナノスケールの凹凸を有する基板の表面に、直径100nm程度の多層カーボンナノチューブを分散付着させた。その上に上述した方法で変性バクテリオロドプシン単分子膜の付着からビオチン化紫膜の固定化までを行なった。シリコンウエハの表面に、多層カーボンナノチューブを付着させて、その上に上述した方法で変性バクテリオロドプシン単分子膜を付着させた。
図13は、得られた基板の上面のFE−SEM像を示す図である。図13では、見かけ上カーボンナノチューブが最上面に配設されているように見えるが、実際には変性バクテリオロドプシン単分子膜の下に配設されている。図13より、カーボンナノチューブを配設したことによるナノスケールの凹凸が、膜の転写後も維持されていることがわかる。また、カーボンナノチューブ以外の背景に見える、いくつかの1μm程度の不定形の暗い領域は、固定化された紫膜断片である。このため、変性バクテリオロドプシン単分子膜転写基板は、生体関連物質等の被固定化物質の固定化ベース基板としてばかりでなく、AFM観察のベース基板等としても好適に利用できることがわかった。
実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す図である。 実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す図である。 実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す図である。 実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す断面図である。 実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す断面図である。 実施の形態に係る固定化基板の作製手順を示す断面図である。 実施の形態に係る固定化基板を模式的に示す断面図である。 実施の形態に係る固定化基板を模式的に示す断面図である。 実施の形態に係る固定化基板を模式的に示す断面図である。 実施の形態に係る固定化基板を模式的に示す上面図である。 実施例に係る変性タンパク質膜付着基板のAFM像を示す図である。 実施例に係る紫膜固定化基板のAFM像を示す図である。 実施例に係る紫膜固定化後の凹凸基板のFE−SEM像を示す図である。
符号の説明
272 シリコン基板、 274 タンパク質、 276 DNA、 278 紫膜、 283 ビオチン、 284 ビオチン 285 アビジン、 341 バクテリオロドプシン、 342 分散媒、 350 タンパク質展開液、 352 変性タンパク質単分子膜、 360 下層液、 361 ラングミュアトラフ、 362 シリンジ、 363 可動式バリア、 370 基板。

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた膜タンパク質またはその変性タンパク質を含む膜と、
    前記膜の表面に設けられ、特定物質に選択的に吸着する親和性物質と、
    を有することを特徴とする固定化基板。
  2. 請求項1に記載の固定化基板において、
    前記親和性物質が第一の親和性物質および第二の親和性物質を含み、
    前記第一の親和性物質は前記膜の表面に結合し、
    前記特定物質は前記第一の親和性物質および前記第二の親和性物質に選択的に吸着し、
    前記第二の親和性物質に結合している被固定化物質を有することを特徴とする固定化基板。
  3. 請求項1または2に記載の固定化基板において、前記膜が前記タンパク質またはその変性タンパク質の単分子膜または前記単分子膜の積層膜であることを特徴とする固定化基板。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の固定化基板において、前記膜タンパク質がバクテリオロドプシンであることを特徴とする固定化基板。
  5. 表面に変性膜タンパク質を含む膜を有する基板を準備するステップと、
    特定物質に選択的に吸着する第一の親和性物質を前記膜の表面に固定化するステップと、
    前記特定物質に選択的に吸着する第二の親和性物質が結合した被固定化物質を含む液体を準備するステップと、
    前記第一の親和性物質または前記第二の親和性物質に前記特定物質を吸着させるステップと、
    前記被固定化物質を含む液体を、前記膜の表面に展開し、前記膜の表面に前記被固定化物質を固定化するステップと、
    を含むことを特徴とする固定化方法。
  6. 請求項5に記載の固定化方法において、基板を準備する前記ステップは、膜タンパク質の分散液または溶液を液体表面に展開し、前記膜タンパク質を変性させて、前記変性膜タンパク質を含む単分子膜を形成するステップと、
    前記単分子膜を前記基板の表面に付着させるステップと、
    を含むことを特徴とする固定化方法。
  7. 請求項6に記載の固定化方法において、前記膜タンパク質がバクテリオロドプシンであることを特徴とする固定化方法。
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