JP2005264187A - 筆記及び印刷が可能なコロイド金溶液 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境上適合可能な媒質を用い、長期保存寿命を有し魅力的な金属様金光沢を発生する筆記及び印刷のためのインク、特にインクジェットプリンターのためのインク用として適しているコロイド金水溶液を提供する。
【解決手段】(a)ナノ粒子性金粒子(b)疎水性芳香族残基を介してより弱いアルカリ基と共役した極性第三アミノ基を有する化合物、及び(c)メルカプト基(−SH)及び酸性基、特に、スルホン酸基(−SO3 -)を含んでなる安定剤を含んでなる、コロイド金水溶液。
【選択図】 なし
Description
更に、微紛金粒子自体は、換言すると分散剤 (dispergators) 又は安定剤なしでは、水系中に分散され得ないことが知られている。かくして、文献により、金インク及び金含有コーティング溶液の製造における微紛金粒子の安定化について種々の技術が知られている。例えば、JP−A−2001/089140は、その環中にチオール基又はジスルフィド結合基を有するチア−クラウン−エーテル化合物による安定化を記載している。クロロ金酸又はその塩を含有する溶液への、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基を有する硫黄化合物及び還元剤の添加により得られるコーティング溶液が、JP−A−2003/02420により知られている。メチルハイドロクロリックポリシロキサン (methyl hydrochloric polysiloxane) とアミノ修飾シリコンオイルの添加(JP−A−59/170167)、アミノシランの添加(TW−A−421639、2001年2月11日公開)、又は天然顔料とアルギネートの添加(JP−A−2002/069328)により金顔料の分散性を高める更なる提案がある。
D. Poulikakos と C. P. Grigoropoulus は、更に、記事(チューリッヒ工科大学の公報第292号、2004年2月、54〜56頁において公表された“Goldrausch aus dem Tintenstrahldrucker" [インクジェットプリンターからのゴールドラッシュ])において、金ナノ粒子及び担体液体としてのトルエンからなるナノインク (Bieri et al., Applied Physics Letters, Vol. 82, p. 3529, 2003)、及び、ミクロ及びナノ構造の金についての可能性ある利用分野として、回路基板、補償器及びマイクロチップのような電子部品に言及している。更に、CN1077471は、2つの部分、即ち、芳香族接着剤と、金及び銀のインクからなるインクを開示している。
1.トルエンの様な有機溶媒中においてコロイド金粒子を調製し
2.相間移動触媒4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)により有機相から水溶液へ相間移動することを包含する相間移動方法において製造される。
・環境保護に適合可能な媒質を用い、
・長い保管寿命を有し、
・優れた金−金属光沢を有する筆記又は印刷画像をもたらし、そして、
・特に、インクジェットプリンター中にも用いられ得る
コロイド金溶液を提供することにある。
(a)ナノ粒子状金粒子
(b)疎水性芳香族残基を介して、その芳香族残基の一部であってもよいより弱いアルカリ基と共役した極性第三アミノ基を有する化合物、及び
(c)メルカプト基(−SH)及び酸性基を含んでなる安定剤
を含んでなるコロイド金水溶液によって;
そして、更に、特許請求の範囲において定義される追加の主題によって解決される。
それら金粒子は、ナノメーター規模のこれら平均直径を有する金粒子の調製のために適するいずれの方法によっても製造され得る。既に記載された方法に関わらず、次の方法が本明細書において特に考慮される: M. Brust et al., J. Chem. Soc. Commun. 1994, 801-802 による方法;並びに、US5147841によるWilcoxon−AOT法、及び Hayat, M. A. (編集) "Colloidal Gold, Principles, Methods and Application" (Academic Press Inc., New York, USA, 1989) による方法;Goia, D.V. & Matijevic, E., "Tailoring the Particle Size of Mono-dispersed Colloidal Gold", Colloids Surf. A 146, 139-152, 1999;及び、D. I. Gittins と F. Caruso により、 H. Bonnemann et al. により、Angew. Chemie., 1991, 103, 1344 及び Angew. Chem. Int . Ed. Engl., 1991, 30, 1312において引用される方法;これらの開示は、参照によって本明細書に取り込まれる。
コロイド金水溶液の化合物(b)は、より弱いアルカリ基と共役した極性の第三アミノ基を有する。“極性”という用語は、以下において更に詳細に説明されるように、化合物(b)によって安定化された金粒子に水溶性を付与する第三アミノ基(3つの置換基を有するアミノ基)の能力のことをいう。WO02/41826によると、この化合物は、相間移動触媒として用いられる。この相間移動触媒の疎水性残基は、その分子に有機媒質における溶解性を付与する。WO02/41826の図1が示すように、おそらく、金ナノ粒子に結合したより弱いアルカリ基の自由電子対は、次いで、メゾメリー電荷移動 (methomeric charge displacement) を介して陽電荷をその第三アミノ基上に発生させ、これによって、その金ナノ粒子の水溶性を促進する。従って、“共役した”という表現は、アルカリ性である第三アミノ基とそれと比較してより弱いアルカリ基が、非局在化π電子系を介して互いに結合していることを意味する。それら基のアルカリ度についての一つの基準は、水中での20℃におけるそれらのpKB値である。
本発明によるコロイド金水溶液は、好ましくは、次の組成物を含んでなる:
各々がその水性組成物の総重量に基づいて、
(a)6〜10重量%、特に、8〜10重量%の金ナノ粒子、
(b)0.1〜3重量%、特に、0.5〜1.5重量%の、第三アミノ基を有する化合物、
(c)0.2〜0.6重量%、特に、0.3〜0.5重量%の安定剤、及び、場合によって、
(d)1〜8重量%、特に、0.3〜5重量%の蒸発遮断剤。
・表面張力を変更するための化合物、例えば、EP−A1−1359199の段落[0028]において記載されたようなアルキル−若しくはアリールジオール−エーテル、又は、α−ヒドロキシカルボン酸についてのEP−A2−1072653(段落[0019]を参照のこと)において記載されたC1-6アルキルエーテル、特に、紙へのインクの浸透能力に影響を与える2〜4ヒドロキシ基を有するC3-8アルカノールとの組み合わせによるもの;
・インクの乾燥を促進する低沸点溶媒、例えば、EP−A1−1359199の段落[0042]に記載されたもの;
・プリンターのノズルにおいてインクが乾燥しないことに同様に寄与する、化合物(c)以外のグリコール;
・抗酸化手段、界面活性剤、水溶性ポリマー、緩衝物質、殺生剤、標準化剤 (standardizing agents) 及び他の普通の補助剤、のようなものを、通常の量で、これらが本発明による金溶液の安定性及び発生する金−金属光沢に負の影響を有さない限り含有し得る。
・保護される本インクは、全ての種類の万年筆用インクとして、すなわち、壷又はカートリッジ中のインクとして用いられ得る。ボールペン、フェルトペン、スプレー缶等も、当然に想像され得る。
・本インクは、描画/絵画にも又は他の装飾的な適用(木又は金属上でも)にも用いられ得る。
・しかしながら、本インクを金属又はガラス表面に適用した時には、摩擦による磨耗についての可能性を減らすために、生成した金層を透明なラッカー又は別の透き通った保護層で被覆することがすることが好ましい。
・本インクは導電層の製造に用いられ得る。
・本インクはセキュリティーマーカーとして用いられ得る。
本発明によるコロイド金溶液は、好ましくは筆記又は印刷のためのインク又はプリンターカートリッジ中に充填される。本発明は、インクジェット印刷法についての優れた適切性に起因して、更に、本発明の金溶液を含有する従来のインクジェットプリンターカートリッジにも向けられる。
金ナノ粒子の調製
8.1mmol(3.1896g)のテトラクロロ金酸三水和物が、2リットルのスターラー容器中の270mlの水中に溶解される。それと並列に、18nmol(9.8426g)の臭化テトラ−n−オクチルアンモニウム(TOABr)が、720mlのトルエン中に溶解される。次いで、溶解されたTOABrは、N2気流下、攪拌中、すばやく上記のテトラクロロ金酸溶液へ加えられる。トルエン相は、直ちに赤く染まり、そして水相は透明である。次いで、その反応装填物は、5分間、N2の下で攪拌される。この間に、90mmolのNaBH4が225mlの水中で溶解される。そのNaBH4溶液は、非常にすばやくN2気流下でその混合液に加えられ、その間大いに攪拌される。トルエン相は暗赤色に染まり、水相は無色のままである。次いで、その反応混合液は30分間、連続的N2気流下で強く攪拌される。
収率は、化学量論、ヒドロボロン (hydro boron) 溶液の添加濃度、析出容器の材料及び表面の質のような種々のパラメーターに依存して変動する。平均収率は、およそ70%の辺りにある。しかしながら、残余の金は、ヒドロホウ酸ナトリウム (sodium hydroborate) を含有する洗浄水からより大きな凝集体の形態で回収される。
十分な安定化を担保するために、5倍量のDMAPが標準として用いられる。より少ない量を用いるべきではないが、より多い量のDMAPは、収率を向上することも、粒子特性に変化を起こすこともない。
NaBH 4 :
やはり、45mmolまでの量が90mmolの代わりに用いられ得るが、その収率は45%に減少する。
9mmolまでの臭化テトラオクチルアンモニウムも用いられ得る。金イオンの有機相中への相間移動が幾分妨げられるので、その収率は幾分低下する。その量の増加は、何らの改善も起こさない。
反応時間は、およそ20分から数時間まで変動し得る。最も良好な時間は、およそ30〜60分にある。
装填物は、その濃度の最大2倍まで濃縮されることができるが、希釈率がより低くなると、それら粒子の分離がより悪くなる。
N2がないと、より悪い収率しか得られない。
金インクの製造
30ml遠心分離容器(素材はポリプロピレン(PP))中で、19.2mlのH2O(蒸留水)が0.8mlのエチレングリコールと合わされた後、80.3mgの2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩が加えられる。室温で、2.236gの4−ジメチルアミノピリジン安定化金ナノ粒子(参考例1におけるように製造される)がその溶液に加えられ、その混合液が5分間激しく振盪される。生じ得る析出物を除くために、その装填物は最大2分間、毎分1800回転で遠心分離される。その上澄みをデカントすることにより、ほぼ20mlの金インクが得られる。
実施例1において、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩が11−メルカプトウンデカン酸、3−メルカプトプロピオン酸、DL−メルカプトコハク酸又はチオグリコール酸によって置き換えられると、このことにより金粒子がやはり安定化して、筆記されると金様の外観をもたらすことが分かった。しかしながら、その安定化効果は劣っている。更に、ある程度金光沢効果の減少が観測される。例えば、11−メルカプトウンデカノン酸を用いると、その筆跡の外観は黒ずむ(カルボン酸を用いる場合は、カルボン酸官能基を脱プロトン化するためにpH値を>9に調整して水への溶解性を獲得する。NaOH、エタノールアミン、ピロリドン又はトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタンが塩基として用いられる。)。
実施例1において2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩がメルカプトプロピル(トリメトキシ)シランによって置き換えられると、満足できる安定性も、満足できる金光沢効果も得られない。
参考例1において、相間移動触媒DMAPを11−メルカプトウンデカン酸によって置き換えて、同時にそのやり方で金粒子を安定化させようとすると、粒子は11より大きい非常に高いpH値でないと溶解しないという、望ましくないことが見出される。
参考例1において、相間移動触媒DMAPを2−メルカプトエタンスルホン酸によって置き換えて、同時にそのやり方で金粒子を安定化させようとすると、それら粒子は、3未満の非常に低いpH値でないと溶解しないという、インクにとって望ましくないことが見出される。
Claims (18)
- 水性媒質と、
(a)コロイド形態の金粒子
(b)疎水性芳香族残基を介して、該芳香族残基の一部であってもよいより弱いアルカリ基と共役した極性第三アミノ基を有する化合物、及び
(c)メルカプト基(−SH)及び酸性基
とを含んでなる安定剤を含んでなる、コロイド金水溶液。 - コロイド金粒子が、1〜20nmの平均直径を有する請求項1記載のコロイド金水溶液。
- 化合物(b)の芳香族残基が、その窒素原子をより弱いアルカリ基として有するN−ヘテロ芳香族残基である請求項1又は2記載のコロイド金水溶液。
- ヘテロ芳香族残基がピリジン残基である請求項3記載のコロイド金水溶液。
- 化合物(b)が4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である請求項1、3又は4記載のコロイド金水溶液。
- 安定剤(c)がスルホン酸基(−SO3 -)を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
- 安定剤(c)がメルカプト−(C1-5)−アルキルスルホン酸塩である請求項6記載のコロイド金水溶液。
- 安定剤(c)が2−メルカプトエタンスルホン酸塩である請求項7記載のコロイド金水溶液。
- 更に、蒸発遮断剤として、(d)ビシナルジヒドロキシ基を有する極性有機化合物又はそのオリゴマーを含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
- 化合物(d)がエチレングリコールである請求項9記載のコロイド金水溶液。
- 各々が水性組成物の総重量に基づいて、
(a)6〜10重量%の金ナノ粒子
(b)0.1〜3重量%の、第三アミノ基を有する化合物
(c)0.2〜0.6重量%の安定剤、及び、
場合によって
(d)1〜8重量%の蒸発遮断剤
の組成物を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。 - 8〜11のpHを有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
- 請求項1〜12のコロイド金溶液を含有するインク又はプリンターカートリッジ。
- プリンターカートリッジがインクジェットプリンターカートリッジである、請求項13記載のプリンターカートリッジ。
- 請求項1〜12のいずれかのコロイド金溶液を基材上に適用するか、又は該基材に含浸させ、そしてその水性媒質を蒸発させることにより得られる金被覆又は金含浸基材。
- 基材が紙である、請求項15記載の金被覆基材。
- 基材が触媒粒子である、請求項15記載の金含浸基材。
- 基材が回路基板である、請求項15記載の金被覆基材。
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WO2009133138A1 (de) * | 2008-05-02 | 2009-11-05 | Evonik Degussa Gmbh | Lumineszente nanoskalige partikel mit hydrophober oberflächenausstattung, verfahren zu ihrer herstellung sowie ihre verwendung |
CN102632221A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-15 | 昆明理工大学 | 一种半固态A356铝合金表面复合SiC颗粒的方法 |
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CA2439792A1 (en) * | 2000-11-24 | 2002-05-30 | Nanosolutions Gmbh | Phase transfer of nanoparticles |
JP2004068114A (ja) * | 2002-08-08 | 2004-03-04 | Seiko Epson Corp | 金の水系分散液、その製造方法及びインクジェット記録用インク |
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2004
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