JP2005264187A - 筆記及び印刷が可能なコロイド金溶液 - Google Patents

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Abstract


【課題】環境上適合可能な媒質を用い、長期保存寿命を有し魅力的な金属様金光沢を発生する筆記及び印刷のためのインク、特にインクジェットプリンターのためのインク用として適しているコロイド金水溶液を提供する。
【解決手段】(a)ナノ粒子性金粒子(b)疎水性芳香族残基を介してより弱いアルカリ基と共役した極性第三アミノ基を有する化合物、及び(c)メルカプト基(−SH)及び酸性基、特に、スルホン酸基(−SO3 -)を含んでなる安定剤を含んでなる、コロイド金水溶液。
【選択図】 なし

Description

本発明は、筆記及び印刷が可能なコロイド金溶液であって、その安定性によって特徴付けられる、そして、基材上にそれを適用した後にはその金−金属光沢によって特徴付けられるコロイド金溶液に関する。
安定なコロイド金溶液は、種々の適用について非常に興味あるものである。かくして、例えば、“液性の金”の適用が、化粧品顔料の製造(KR−A−9400999)、又は、超微粉金粒子を含有し、記載によれば優れた生理活性を有する水性生産物(EP−A−1238946)についての文献中に見出され得る。触媒分野における金粒子の適用についての1つの例は、DE−A−10030637中に記載されている。
金色インクの“品質評価”に起因して、万年筆又はボールペンのような筆記用具について大きな需要がある。しかしながら、金色インクは、インクジェットプリンターのような印刷、金メッキ物の修繕、導電層の製造、セキュリティマーキング (security markings) 又は触媒的に有効な層の適用のためにも同様に用いられ得る。
コストに起因して、筆記及び印刷のための金−金属光沢効果を有する金を含まないインクを製造するために種々の試みがなされている。商業的に入手可能なそのような“金インク”は、しばしば、真鍮又は青銅粒子を含有する(JP−A−2001/019872及びJP−A−43427776)。更に、CN1078241により、フレーク状の材料を(例えば、グリマー)二酸化チタン及び二酸化希土類と共にコーティングすることにより達成される金様の光沢を有する顔料が知られている。
しかしながら、そのような見せかけの“金インク”は、望ましい金−金属効果をめったに有さない。
更に、微紛金粒子自体は、換言すると分散剤 (dispergators) 又は安定剤なしでは、水系中に分散され得ないことが知られている。かくして、文献により、金インク及び金含有コーティング溶液の製造における微紛金粒子の安定化について種々の技術が知られている。例えば、JP−A−2001/089140は、その環中にチオール基又はジスルフィド結合基を有するチア−クラウン−エーテル化合物による安定化を記載している。クロロ金酸又はその塩を含有する溶液への、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基を有する硫黄化合物及び還元剤の添加により得られるコーティング溶液が、JP−A−2003/02420により知られている。メチルハイドロクロリックポリシロキサン (methyl hydrochloric polysiloxane) とアミノ修飾シリコンオイルの添加(JP−A−59/170167)、アミノシランの添加(TW−A−421639、2001年2月11日公開)、又は天然顔料とアルギネートの添加(JP−A−2002/069328)により金顔料の分散性を高める更なる提案がある。
コロイド金をベースとしたスミレ色の顔料を製造することは、PL177180Bの主題である。
D. Poulikakos と C. P. Grigoropoulus は、更に、記事(チューリッヒ工科大学の公報第292号、2004年2月、54〜56頁において公表された“Goldrausch aus dem Tintenstrahldrucker" [インクジェットプリンターからのゴールドラッシュ])において、金ナノ粒子及び担体液体としてのトルエンからなるナノインク (Bieri et al., Applied Physics Letters, Vol. 82, p. 3529, 2003)、及び、ミクロ及びナノ構造の金についての可能性ある利用分野として、回路基板、補償器及びマイクロチップのような電子部品に言及している。更に、CN1077471は、2つの部分、即ち、芳香族接着剤と、金及び銀のインクからなるインクを開示している。
しかしながら、しばしば、次の問題が公知の金含有インク及びコーティング溶液に生ずる。つまり、しばしば、望ましくない相互作用が、安定剤又は分散剤とコロイド金粒子との間に観測され、これは金属様の金効果に対して負の効果を有する。更に、多くの金インクは、インクジェットプリンターにおける使用に適さない。なぜなら、それらインクはいずれも、粒子の凝集によって若しくは大きすぎる粒子サイズに起因して引き起こされ得る供給路の詰まりを生じる傾向があるからであり、又は、それらインクは、印刷条件下で、特に、プリンター中に行き渡った若しくは印刷中のより高い温度において十分な安定性を有していないからである。多くのインクは、やはり、十分な長期保存性を示さず、そのことは、金粒子の析出によって明らかである。最後に、トルエンのような有機媒質をベースとするインクは、環境保護の理由のために、そしてインクジェットプリンター中での印刷中のそれらの性質を考慮すると望ましくない。
本出願人の先の出願である、WO02/41826は、やはりインクジェット印刷のために提供され、コロイド金粒子を含有し得る水ベースの安定なインク物質を扱う。これらコロイド金水溶液は:
1.トルエンの様な有機溶媒中においてコロイド金粒子を調製し
2.相間移動触媒4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)により有機相から水溶液へ相間移動することを包含する相間移動方法において製造される。
このやり方で製造されたコロイド金水溶液は、金インクとして容易に用いられることができ、そして、生じた印字の外観は、金−金属効果を示す。しかしながら、より明確な効果のために必要とされる濃度において、WO02/41826によって得られるコロイド金溶液は、長い保管寿命を有さない。
KR−A−9400999 EP−A−1238946 DE−A−10030637 JP−A−2001/019872 JP−A−43427776 CN1078241 JP−A−2001/089140 JP−A−2003/02420 JP−A−59/170167 TW−A−421639(2001年2月11日公開) JP−A−2002/069328 CN1077471 「Goldrausch aus dem Tintenstrahldrucker」チューリッヒ工科大学公報、2004年2月、第292号、54〜56頁。 Bieri et al., Applied Physics Letters, Vol. 82, p. 3529, 2003
発明の課題
かくして、本発明の技術的課題は、筆記可能で印刷可能なコロイド金溶液であって、とりわけ:
・環境保護に適合可能な媒質を用い、
・長い保管寿命を有し、
・優れた金−金属光沢を有する筆記又は印刷画像をもたらし、そして、
・特に、インクジェットプリンター中にも用いられ得る
コロイド金溶液を提供することにある。
更なる課題は、次の記載によって明らかにされる。
発明の簡潔な説明
これら課題は、コロイド金水溶液であって:
(a)ナノ粒子状金粒子
(b)疎水性芳香族残基を介して、その芳香族残基の一部であってもよいより弱いアルカリ基と共役した極性第三アミノ基を有する化合物、及び
(c)メルカプト基(−SH)及び酸性基を含んでなる安定剤
を含んでなるコロイド金水溶液によって;
そして、更に、特許請求の範囲において定義される追加の主題によって解決される。
発明の詳しい説明
本発明によるコロイド金水溶液は、優れた保存安定性を示す。その保存能力を試験すると、本発明の一態様によるコロイド金水溶液は、曇ったり、又は金粒子が析出することさえなく55℃で3ヶ月保存され得る。これとは反対に、WO02/41826に従って得られる金インクは、55℃で約1日安定であるに過ぎない。
本発明のコロイド金溶液の環境上の適合性は、水をその主な媒質として(重量ベースで)用いることにより促進される。本発明により、少量のエタノール又はイソプロパノールのような完全に水混和性で環境保護適合性の溶媒をその金溶液に加えることが可能であったとしても、殆どのアルコール性溶媒の揮発性を考慮すると、このことは好ましくない。従って、含水量は、全ての溶媒成分(水混和性成分(d)は含まれない)に基づいて、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、特に、100重量%となる。存在するあらゆるイオンとの干渉性相互作用を最小にするために、好ましくは、蒸留又は脱イオン水がその水性媒質に用いられる。
“コロイド−”という表現は、通常、液体媒質中のおよそ1〜100nmの直径を有する固体粒子の分散に関するものであり、それ自体も、本発明により用いられる。しかしながら、コロイド金溶液の望ましい金属様金効果及び安定性を考慮すると、1〜20nmの平均粒子サイズが好ましい。1〜15nm、特に、2〜10nm、格別には、3〜8nmがより好ましい。直径という用語は、典型的に球形の金粒子に関して、球形状が逸脱した時には、好ましくは20℃における分析的超遠心分離による、当該分野におけるものに関する。別のやはり適する方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)、又はサイズに依存した金粒子の色の変化を考慮した吸収スペクトルの測定である(測定に関しては、その開示が参照により本明細書に取り込まれるWO02/41826及び D. I. Gittins 及び F. Caruso: "Spontaner Phasentransfer metallischer Nanopartikel von der organischen Phase in die wassrige Phase" [有機相から水相への金属ナノ粒子の自発的相間移動], Angew. Chemie, 2001, 113, No. 16, pp. 3089-3092 も参照のこと。)
それら金粒子は、ナノメーター規模のこれら平均直径を有する金粒子の調製のために適するいずれの方法によっても製造され得る。既に記載された方法に関わらず、次の方法が本明細書において特に考慮される: M. Brust et al., J. Chem. Soc. Commun. 1994, 801-802 による方法;並びに、US5147841によるWilcoxon−AOT法、及び Hayat, M. A. (編集) "Colloidal Gold, Principles, Methods and Application" (Academic Press Inc., New York, USA, 1989) による方法;Goia, D.V. & Matijevic, E., "Tailoring the Particle Size of Mono-dispersed Colloidal Gold", Colloids Surf. A 146, 139-152, 1999;及び、D. I. Gittins と F. Caruso により、 H. Bonnemann et al. により、Angew. Chemie., 1991, 103, 1344 及び Angew. Chem. Int . Ed. Engl., 1991, 30, 1312において引用される方法;これらの開示は、参照によって本明細書に取り込まれる。
これら方法は、有機溶媒中のコロイド金溶液をもたらし、それは、次いで、以下に説明されるように水系中に移される必要がある。
コロイド金水溶液の化合物(b)は、より弱いアルカリ基と共役した極性の第三アミノ基を有する。“極性”という用語は、以下において更に詳細に説明されるように、化合物(b)によって安定化された金粒子に水溶性を付与する第三アミノ基(3つの置換基を有するアミノ基)の能力のことをいう。WO02/41826によると、この化合物は、相間移動触媒として用いられる。この相間移動触媒の疎水性残基は、その分子に有機媒質における溶解性を付与する。WO02/41826の図1が示すように、おそらく、金ナノ粒子に結合したより弱いアルカリ基の自由電子対は、次いで、メゾメリー電荷移動 (methomeric charge displacement) を介して陽電荷をその第三アミノ基上に発生させ、これによって、その金ナノ粒子の水溶性を促進する。従って、“共役した”という表現は、アルカリ性である第三アミノ基とそれと比較してより弱いアルカリ基が、非局在化π電子系を介して互いに結合していることを意味する。それら基のアルカリ度についての一つの基準は、水中での20℃におけるそれらのpKB値である。
より弱いアルカリ基は、金ナノ粒子に結合することができる自由電子対を有するいずれの陰性分極可能アルカリ基でもよい。それは、好ましくは、芳香族系内に一体化された窒素原子であり、ピリジンのような芳香族N−ヘテロ単環に一体化されたものが好ましい。一方で、第三アミノ基は、より弱いアルカリ基と結合又はこれを含有する疎水性残基に、好ましくは、ピリジンのような既に述べられたN−ヘテロ単環において結合する。第三アミノ基の2つの他の置換基は、それらがその第三アミノ基の極性及び水溶性を害しない限り自由に選ばれ得る。好ましい置換基は、誘起効果によってその第三アミノ基の窒素上の陽電荷を安定化させる。これらには、メチルのような短アルキル鎖が含まれる。従って、化合物(b)の最も好ましい態様は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である。
本発明による金溶液中に存在する化合物(c)は、メルカプト基(−SH)及び酸官能基、例えば、スルホン酸基(−SO3 -)又はカルボン酸官能基を有する安定剤であり、スルホン酸基を有するものが好ましい。化学的観点からすると、それらメルカプト−及び酸性基が互いにどのように共有結合するかについては特別な制限はない。しかしながら、種々の安定剤での試験は、長鎖化合物残基が金属様金効果を減少させ、そして、極端な場合には筆記された時に黒色の外観を生ずることを示す。従って、安定剤(c)の分子量は、好ましくは、200以下であり、特に、185以下である(その酸性基に結合したプロトン又はカチオンは含まれない)。好ましくは、メルカプト基及び酸性基は、それらを結びつける有機基(例えば、(C1-5)アルキル)の向かい合った末端部に位置する。安定剤(c)は、好ましくは、メルカプト−(C1-5)アルキルスルホン酸塩である。安定化剤は、対応する酸、特に、スルホン酸の形態で用いることも可能であるが、その場合は、アルカリ性のpH値への調整が好ましく行われる。しかしながら、典型的には、安定剤は、水系におけるその安定剤の溶解性を干渉しない限りその対イオンが自由に選ばれ得る塩化合物として用いられる。その対イオンは、例えば、アルカリ金属イオン(特に、ナトリウム又はカリウム)、アンモニウムイオン、又は第四アンモニウム化合物のような有機オニウム化合物から選ばれ得る。好ましくは、アルカリ金属塩、特に、ナトリウム又はカリウム塩が用いられる。
好ましい態様によると、本発明によるコロイド金水溶液は、更に、蒸発遮断剤(d)を含有し、それは、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリン及びそれらのオリゴマーのようなビシナル(隣接)ジヒドロキシ基を有する極性有機化合物(ポリオール)から選択される。好ましくは、蒸発遮断剤の分子量は、400又はそれ未満であり、200未満がより好ましく、そして150未満がさらにより好ましく、特に、100未満である。エチレングリコールの使用が好ましい。
驚くべきことに、化合物(d)、特に、エチレングリコールが水性媒質の蒸発を効果的に抑えるだけでなく、更に、特別なやり方でその光沢に寄与することを見出した。
本発明によるコロイド金水溶液は、好ましくは、次の組成物を含んでなる:
各々がその水性組成物の総重量に基づいて、
(a)6〜10重量%、特に、8〜10重量%の金ナノ粒子、
(b)0.1〜3重量%、特に、0.5〜1.5重量%の、第三アミノ基を有する化合物、
(c)0.2〜0.6重量%、特に、0.3〜0.5重量%の安定剤、及び、場合によって、
(d)1〜8重量%、特に、0.3〜5重量%の蒸発遮断剤。
本発明による効果を達成するためには、化合物(b)を用いることは不可欠でない。従って、長期保存寿命を有し良好な金属様金効果を示す金溶液は、金ナノ粒子と安定剤(c)を上記の所与の量で含有するコロイド金水溶液によっても得られる。しかしながら、この目的のためには、そのpH値を相対的にアルカリ性値又は酸性値に調整することも必要である。後者は、筆記及び印刷に用いられる時の紙の酸腐食を考慮すると望ましくない。しかしながら、このことは、他の適用については耐え得るものである。本発明によるコロイド金水溶液は、アルカリ範囲、好ましくは、pH8〜11、格別には、9〜10(例えば、9.5)の範囲にある。
成分(b)及び(c)について与えられた重量比から認識され得るように、安定剤(c)を相間移動触媒(b)未満のモル量で用いることが好ましい。それによって、チオール基を介して強く金ナノ粒子におそらくより強く結合する安定剤(c)が、それら金ナノ粒子の表面から相間移動触媒(b)を完全には追い出さないことを確実にする。従って、いずれの化合物も金ナノ粒子の安定化に寄与することが推測される。しかしながら、発明者は、これら理論的考慮によって束縛されることを望まない。
本発明によるコロイド金溶液は、更に、それが用いられる場合及びその場合のための必要に依存して、EP−A1−1359199又はEP−A2−1072653に記載されているような普通のインク添加剤、例えば:
・表面張力を変更するための化合物、例えば、EP−A1−1359199の段落[0028]において記載されたようなアルキル−若しくはアリールジオール−エーテル、又は、α−ヒドロキシカルボン酸についてのEP−A2−1072653(段落[0019]を参照のこと)において記載されたC1-6アルキルエーテル、特に、紙へのインクの浸透能力に影響を与える2〜4ヒドロキシ基を有するC3-8アルカノールとの組み合わせによるもの;
・インクの乾燥を促進する低沸点溶媒、例えば、EP−A1−1359199の段落[0042]に記載されたもの;
・プリンターのノズルにおいてインクが乾燥しないことに同様に寄与する、化合物(c)以外のグリコール;
・抗酸化手段、界面活性剤、水溶性ポリマー、緩衝物質、殺生剤、標準化剤 (standardizing agents) 及び他の普通の補助剤、のようなものを、通常の量で、これらが本発明による金溶液の安定性及び発生する金−金属光沢に負の影響を有さない限り含有し得る。
しかしながら、驚くべきことに、本発明によるインクは、特に、8〜10重量%という比較的高い金含有量を有しても、表面張力を調整するための如何なる特別な手段も必要とせず、光沢紙を含めた全ての種類の紙に普遍的に用いられ得るということが見出された。従って、本発明による金溶液の一つの決定的な利点は、上述のようなインク添加剤及び他の普通の補助剤を省くことができるということでもある。
本発明によるコロイド金溶液を調製する時には、WO02/41826において記載されているように、化合物(b)、特に、DMAPにより相間移動を第一段階において行ってもよい。次いで、安定剤(c)と、場合によって蒸発遮断剤(d)、更に、場合により用いられる成分を、生じた水相に加える。しかしながら、この方法は、金ナノ粒子の正確な投与を困難とする。従って、当該技術分野において公知の方法に従い、金ナノ粒子を有機相中で、好ましくはトルエンのような芳香族溶媒中で製造し、次いで、化合物(b)、特に、DMAPを加えることによりその有機層から析出させることが好ましい。次いで、このやり方で得られた金ナノ粒子は、好ましくは真空中で乾燥されて、その後に水中で自由に分散可能である。この形態でそのまま基材に筆記、印刷又はコーティングするために用いられうる本発明によるコロイド金水溶液は、このやり方で取得されて化合物(b)を介して安定化された金ナノ粒子と安定剤(c)を水中に溶解し、場合によって蒸発遮断剤(d)を加えることにより取得される。
本発明によるコロイド金溶液は、金属効果を有し、かつ、優れた光沢及び魅力的な金色調を有する金表面を作り出す。そのうえ、そのコロイド金溶液は、書類上での堅牢度を示すパーマネントインクのための全ての必須条件を提供する。さらに、そのコロイド金溶液は、水性媒質をベースとしているので、環境保護的観点からも有利である。
本発明によるコロイド金溶液は、多くの異なる様式で利用され得る。それは、コロイド金溶液が既に用いられているどのような場合にも効果的に用いられ得る(先行技術における記載も参照のこと)。次の適用が、格別に興味を引く:
・保護される本インクは、全ての種類の万年筆用インクとして、すなわち、壷又はカートリッジ中のインクとして用いられ得る。ボールペン、フェルトペン、スプレー缶等も、当然に想像され得る。
・本インクはスタンプによっても適用され得る。
・本インクは、描画/絵画にも又は他の装飾的な適用(木又は金属上でも)にも用いられ得る。
・本インクは、金メッキ物の補修のためにも用いられ得る(例えば、時計の文字盤)。
・しかしながら、本インクを金属又はガラス表面に適用した時には、摩擦による磨耗についての可能性を減らすために、生成した金層を透明なラッカー又は別の透き通った保護層で被覆することがすることが好ましい。
・本インクはインクジェット法によって印刷され得る。
・本インクは導電層の製造に用いられ得る。
・本インクはセキュリティーマーカーとして用いられ得る。
・本インクは触媒的に効果を有する層の適用のために用いられ得る。
本発明によるコロイド金溶液は、好ましくは筆記又は印刷のためのインク又はプリンターカートリッジ中に充填される。本発明は、インクジェット印刷法についての優れた適切性に起因して、更に、本発明の金溶液を含有する従来のインクジェットプリンターカートリッジにも向けられる。
本発明の主題は、更に、本コロイド金溶液を基材上に適用して溶媒類を蒸発させることによって取得され得る、金被覆基材である。このやり方で製造された金層は、金属様光沢及び魅力的な金色調だけでなく、それらの優れた長期保存能力によっても特徴付けられる。このことは、特に、紙、家具、金属及びガラス表面等のような基材についてあてはまり、本発明による金層の装飾効果が明白となる。しかしながら、本発明は、触媒粒子が金で被覆(含浸)される時又は電子部品のための回路基板を製造する際にも同様に有用であり、その場合、必要であれば、その後に加熱処理、例えば、焼結処理が安定性を増大させるために行われる。
ここで、本発明を、実施例によってより詳細に説明する。
参考例1
金ナノ粒子の調製
8.1mmol(3.1896g)のテトラクロロ金酸三水和物が、2リットルのスターラー容器中の270mlの水中に溶解される。それと並列に、18nmol(9.8426g)の臭化テトラ−n−オクチルアンモニウム(TOABr)が、720mlのトルエン中に溶解される。次いで、溶解されたTOABrは、N2気流下、攪拌中、すばやく上記のテトラクロロ金酸溶液へ加えられる。トルエン相は、直ちに赤く染まり、そして水相は透明である。次いで、その反応装填物は、5分間、N2の下で攪拌される。この間に、90mmolのNaBH4が225mlの水中で溶解される。そのNaBH4溶液は、非常にすばやくN2気流下でその混合液に加えられ、その間大いに攪拌される。トルエン相は暗赤色に染まり、水相は無色のままである。次いで、その反応混合液は30分間、連続的N2気流下で強く攪拌される。
次いで、30分後に分液漏斗中で相分離が行われ、水性で透明な相が廃棄される。暗赤色トルエン相は、ここで、振盪により分液漏斗中で90mlの0.1モル (molelic) H2SO4で1回、その後に90mlの0.1モルNaOHで1回、そして各々90mlのH2Oで3回抽出若しくは洗浄される。トルエン相は二等分されて、2つのポリプロピレン(PP)の750ml遠心分離容器中に充填される。各々の遠心分離容器中に20mmol(2.45g)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)が、ナノ粒子の析出のために加えられ、これが1時間攪拌される。その後、析出した金ナノ粒子は15分間4350r/分で遠心分離され、そしてその殆ど透明なトルエンが廃棄される。最後の残渣のトルエンは、ピペットで吸い出される。4−ジメチルアミノピリジンで安定化された金ナノ粒子は、動的真空中で乾燥された後に、水中において自由に分散できる。
金を調製する時には、次のものが、種々のパラメーターに関して注目されるべきである。
収率
収率は、化学量論、ヒドロボロン (hydro boron) 溶液の添加濃度、析出容器の材料及び表面の質のような種々のパラメーターに依存して変動する。平均収率は、およそ70%の辺りにある。しかしながら、残余の金は、ヒドロホウ酸ナトリウム (sodium hydroborate) を含有する洗浄水からより大きな凝集体の形態で回収される。
4−DMAP
十分な安定化を担保するために、5倍量のDMAPが標準として用いられる。より少ない量を用いるべきではないが、より多い量のDMAPは、収率を向上することも、粒子特性に変化を起こすこともない。
NaBH 4
やはり、45mmolまでの量が90mmolの代わりに用いられ得るが、その収率は45%に減少する。
TOABr
9mmolまでの臭化テトラオクチルアンモニウムも用いられ得る。金イオンの有機相中への相間移動が幾分妨げられるので、その収率は幾分低下する。その量の増加は、何らの改善も起こさない。
反応時間
反応時間は、およそ20分から数時間まで変動し得る。最も良好な時間は、およそ30〜60分にある。
濃度
装填物は、その濃度の最大2倍まで濃縮されることができるが、希釈率がより低くなると、それら粒子の分離がより悪くなる。
2がないと、より悪い収率しか得られない。
実施例1:
金インクの製造
30ml遠心分離容器(素材はポリプロピレン(PP))中で、19.2mlのH2O(蒸留水)が0.8mlのエチレングリコールと合わされた後、80.3mgの2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩が加えられる。室温で、2.236gの4−ジメチルアミノピリジン安定化金ナノ粒子(参考例1におけるように製造される)がその溶液に加えられ、その混合液が5分間激しく振盪される。生じ得る析出物を除くために、その装填物は最大2分間、毎分1800回転で遠心分離される。その上澄みをデカントすることにより、ほぼ20mlの金インクが得られる。
このやり方で得られたインクは、55℃で少なくとも3ヶ月は保存に安定である。それは、非常に良好な金属様光沢及び非常に魅力的な金色調を有する筆記外観を白色筆記用紙上に生成する。最初の試験が、更に、このインクが問題なくインクジェットプリンターにも適していることを証明する。
実施例2
実施例1において、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩が11−メルカプトウンデカン酸、3−メルカプトプロピオン酸、DL−メルカプトコハク酸又はチオグリコール酸によって置き換えられると、このことにより金粒子がやはり安定化して、筆記されると金様の外観をもたらすことが分かった。しかしながら、その安定化効果は劣っている。更に、ある程度金光沢効果の減少が観測される。例えば、11−メルカプトウンデカノン酸を用いると、その筆跡の外観は黒ずむ(カルボン酸を用いる場合は、カルボン酸官能基を脱プロトン化するためにpH値を>9に調整して水への溶解性を獲得する。NaOH、エタノールアミン、ピロリドン又はトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタンが塩基として用いられる。)。
比較例1:
実施例1において2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩がメルカプトプロピル(トリメトキシ)シランによって置き換えられると、満足できる安定性も、満足できる金光沢効果も得られない。
比較例2:
参考例1において、相間移動触媒DMAPを11−メルカプトウンデカン酸によって置き換えて、同時にそのやり方で金粒子を安定化させようとすると、粒子は11より大きい非常に高いpH値でないと溶解しないという、望ましくないことが見出される。
比較例3:
参考例1において、相間移動触媒DMAPを2−メルカプトエタンスルホン酸によって置き換えて、同時にそのやり方で金粒子を安定化させようとすると、それら粒子は、3未満の非常に低いpH値でないと溶解しないという、インクにとって望ましくないことが見出される。

Claims (18)

  1. 水性媒質と、
    (a)コロイド形態の金粒子
    (b)疎水性芳香族残基を介して、該芳香族残基の一部であってもよいより弱いアルカリ基と共役した極性第三アミノ基を有する化合物、及び
    (c)メルカプト基(−SH)及び酸性基
    とを含んでなる安定剤を含んでなる、コロイド金水溶液。
  2. コロイド金粒子が、1〜20nmの平均直径を有する請求項1記載のコロイド金水溶液。
  3. 化合物(b)の芳香族残基が、その窒素原子をより弱いアルカリ基として有するN−ヘテロ芳香族残基である請求項1又は2記載のコロイド金水溶液。
  4. ヘテロ芳香族残基がピリジン残基である請求項3記載のコロイド金水溶液。
  5. 化合物(b)が4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である請求項1、3又は4記載のコロイド金水溶液。
  6. 安定剤(c)がスルホン酸基(−SO3 -)を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
  7. 安定剤(c)がメルカプト−(C1-5)−アルキルスルホン酸塩である請求項6記載のコロイド金水溶液。
  8. 安定剤(c)が2−メルカプトエタンスルホン酸塩である請求項7記載のコロイド金水溶液。
  9. 更に、蒸発遮断剤として、(d)ビシナルジヒドロキシ基を有する極性有機化合物又はそのオリゴマーを含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
  10. 化合物(d)がエチレングリコールである請求項9記載のコロイド金水溶液。
  11. 各々が水性組成物の総重量に基づいて、
    (a)6〜10重量%の金ナノ粒子
    (b)0.1〜3重量%の、第三アミノ基を有する化合物
    (c)0.2〜0.6重量%の安定剤、及び、
    場合によって
    (d)1〜8重量%の蒸発遮断剤
    の組成物を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
  12. 8〜11のpHを有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のコロイド金水溶液。
  13. 請求項1〜12のコロイド金溶液を含有するインク又はプリンターカートリッジ。
  14. プリンターカートリッジがインクジェットプリンターカートリッジである、請求項13記載のプリンターカートリッジ。
  15. 請求項1〜12のいずれかのコロイド金溶液を基材上に適用するか、又は該基材に含浸させ、そしてその水性媒質を蒸発させることにより得られる金被覆又は金含浸基材。
  16. 基材が紙である、請求項15記載の金被覆基材。
  17. 基材が触媒粒子である、請求項15記載の金含浸基材。
  18. 基材が回路基板である、請求項15記載の金被覆基材。

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