JP2005255512A - 希土類元素含有機能性ガラスとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
希土類イオンが分散されているガラスの内部に、レーザを集光照射し、希土類イオンの価数を変化させる方法において、照射部分と非照射部の価数変化のコントラストを高め得る素材と、その方法とを提供することを課題とする。
【解決手段】
分相領域を形成する希土類元素含有ガラスに、レーザを集光照射することにより、希土類イオンを分相領域に局在化させ濃度を高める、且つ分相領域もしくはその近辺の希土類イオンの一部もしくは全てが、価数変化を起こすことにより、レーザ照射部分と、非照射部分の価数変化に関わるコントラストが向上する。
希土類イオンが分散されているガラスの内部に、レーザを集光照射し、希土類イオンの価数を変化させる方法において、照射部分と非照射部の価数変化のコントラストを高め得る素材と、その方法とを提供することを課題とする。
【解決手段】
分相領域を形成する希土類元素含有ガラスに、レーザを集光照射することにより、希土類イオンを分相領域に局在化させ濃度を高める、且つ分相領域もしくはその近辺の希土類イオンの一部もしくは全てが、価数変化を起こすことにより、レーザ照射部分と、非照射部分の価数変化に関わるコントラストが向上する。
Description
本発明は発光素子やメモリ、表示素子として使用可能な希土類元素含有機能性ガラスに関するものであり、希土類イオンが分散されているガラスの内部に、レーザを集光照射することで、希土類イオンの価数が変化する希土類元素含有ガラスとその方法に関するものである。
レーザ照射によりガラス内部に構造的な変化を誘起し、光導波路、フォトニック結晶、光メモリ、発光素子、表示素子等に利用する、種々の機能性ガラスが検討されている。
例えば、希土類の発光イオン含有固体媒体を基体とし、基体内部へパルスレーザを集光照射することにより、発光イオンの価数を局所的に変化させ、三次元光メモリとして利用する方法が提案されている(特許文献1参照)が、分相に関する記載は無い。
また、Au,Cu,Ag等の微粒子分散ガラス媒質の基体内部へのパルスレーザ光を集光照射し、その部分の微粒子数の減少、小サイズ化、溶解やイオン化による微粒子の消失等により、微粒子の吸収係数が減少した単数又は複数のスポットを形成した上、微粒子分散媒質の吸収波長領域に設定した読出しに用いることで、スポット読出しのコントラスト(S/N)を向上させる三次元光メモリー媒体が、提案されている(特許文献2参照)が、発光イオンに関する記載も分相に関する記載も無い。分相とは単一相の過冷却液体が二つ以上の液相に分離する現象である。分相ガラスを作製する方法としては、例えば、未分相ホウケイ酸塩ガラスを相分離温度でガラス全体を熱処理することで、SiO2に富んだ相とB2O3に富んだ相とに相分化させたガラスが得られることが知られている。(非特許文献1参照)
また、準安定不混和相が存在するガラスの内部に、レーザパルスを集光照射することで、レーザの焦点または焦点近傍のみの領域を分相化させ、レーザの焦点をガラスに対して連続的、または断続的に相対移動させることで、ライン状の分相領域やドット状の分相領域を二次元または三次元的にガラス内部に成長させ光導波路やフォトニック結晶として利用可能な分相領域を形成できることが示されている(特許文献3参照)が、発光イオンの価数を変化させることについては記載は無い。
すなわち、ガラス中の希土類イオンが、X線や紫外線あるいはフェムト秒オーダーのパルス幅を有するパルスレーザ照射により変化することが知られているが、分相化と価数変化とを組み合わせ、希土類イオンの価数変化を効果的に行うことは、知られていなかった。
また、発光イオン含有固体媒体を基体とし、基体内部へパルスレーザを集光照射することにより、発光イオンの価数を局所的に変化させ、その後、発光イオン励起用のレーザを照射し、発光イオンを発光させるなど、価数変化を利用するには、パルスレーザを集光照射して価数変化した部分と、他の部分との価数変化のコントラストが大きいことが求められていた。
作花済夫他, ガラスの辞典, 214, 朝倉書店 特開2001−216649号公報
特開平11−232706号公報
特開2003−321252号公報
作花済夫他, ガラスの辞典, 214, 朝倉書店
希土類元素が分散されているガラスの内部に、レーザを集光照射し、希土類イオンの価数を変化させる方法において、照射部分と非照射部において価数変化希土類イオンのコントラストを高め得る素材と、その方法とを提供することを課題とする。
本発明は、希土類元素含有ガラスにレーザを照射し、希土類イオンの価数を変化させる方法において、レーザ照射部分と非照射部の価数変化のコントラストを高めるため、レーザ照射部分に分相領域を形成し、その分相領域に希土類イオンを局在化させ濃度を高め、且つ分相領域もしくはその近辺のみの希土類イオンの一部もしくは全てが、分相していない領域の希土類イオンの価数とは、異なる価数を形成することで価数変化のコントラストを高められる希土類元素含有ガラス、また、コントラストを高めた希土類元素含有ガラスであることを特徴とするものである。
また、希土類元素含有ガラスが希土類元素としてSm、Tb、Eu及びCeのうち少なくとも一つ以上を含有することを特徴とするものである。
また、希土類元素含有ガラスが希土類イオンとしてSm3+、Tb3+、Eu3+及びCe3+のうち少なくとも一つ以上を含有し、かつ陰イオン全体の塩素含有率が3mol%以上、12mol%以下の塩素、或いは臭素含有率が0.5mol%以上、8mol%以下の臭素、或いはヨウ素含有率が0.5mol%以上、5mol%以下のヨウ素のうち、少なくとも一つ以上を含有していることを特徴とする希土類元素含有ガラスであり、希土類元素含有ガラスがハロゲン化物ガラスからなることを特徴とするものである。
また、本発明は、レーザの焦点をガラスに対して連続的、或いは断続的に相対移動させることで、ライン状やドット状の希土類イオンの分相領域と価数変化領域を二次元もしくは三次元的にガラス内部に形成されたことを特徴とする希土類含ガラスに関わるものである。
また、本発明は、希土類元素含有ガラスの内部に、レーザを集光照射することにより、レーザの焦点もしくは焦点近傍の領域を分相化させ、希土類イオンの分布を局在化し、かつ、レーザの焦点もしくは焦点近傍の希土類イオンの価数を変化させる方法に関するものであり、レーザ照射時に使用されるレーザが、パルス幅、10フェムト秒〜100ピコ秒のパルスレーザであることを特徴とするものである。
本発明の希土類元素含有ガラスは、希土類イオンが分散されているガラスの内部に、レーザを集光照射することで、ガラス内部を局所的に分相化させ、同時に希土類イオンの分布を局在化すると共に、希土類イオンの価数をも変化させることで、高効率で発光させることができる。
また、局所的に発光効率が改善されることから、特定の領域のみを強く発光させたり、価数変化を利用することで特定領域のみを異なる波長で発光させたりすることが可能な希土類元素含有ガラスを提供することができる。
本発明の希土類元素含有分相ガラスの製造方法は、ガラスを局所的に分相化させることから、特定の位置や任意の形状、サイズでの発光領域の形成が可能であると共に、パルスレーザ照射により分相化することで、熱処理による分相化に比べ、より大きく発光効率が改善された希土類元素含有ガラスを提供することができる。
また、分相化と同時に希土類イオンの価数変化が可能であることから、レーザ照射領域のみ、周囲とは全く異なる波長の光を発光させることが可能である希土類元素含有機能性ガラスを提供することができる。
分相は大きく液相温度より高い温度で生じる安定不混和と、液相温度とガラス転移温度の間で生じる準安定不混和とに分類することができる。安定不混和相が存在する場合は融液自体が分相しているので急冷しても均質なガラスを得ることはできないが、準安定不混和相の場合は、過冷却液体の状態を分相が生じるより早く冷却することで均質なガラスを得ることができる。準安定不混和相を有するが、分相が起こらない速度で冷却することで均一なガラスを得ることが可能なガラス組成にあらかじめ希土類イオンを溶融分散させた未分相で均一な希土類元素含有ガラスにレーザを照射するとレーザのエネルギーがガラスに吸収され、熱エネルギーに変換されることでレーザ照射領域の温度が上昇し、分相形成温度以上の領域においてのみ局所的な分相化が起こる。
すなわち、準安定不混和相が存在し、且つ希土類イオンを分散させたガラスを急冷することにより得られた均一なガラス内部に、対物レンズ等を通してレーザを集光照射し、焦点近傍のみにおいて多光子吸収過程を経て、ガラスにレーザエネルギーを伝達することで焦点近傍のみを分相化させる。分相化に伴って、ガラスに均一に分散されていた希土類イオンが特定の相のみに選択的に移動することで、希土類イオンが局所的に高濃度化した領域、いわゆる希土類イオンの局在化領域が形成される。更に、照射するレーザのエネルギー以下で希土類イオンの価数が変化する場合は、レーザの集光点近傍においてあらかじめガラスに含まれている希土類イオンと価数が異なる希土類イオンとを分相領域において混在且つ局在化された構成を形成させることができる。
照射するレーザは溶融分散されている希土類イオンにより吸収される波長を有するものか、もしくは多光子吸収によりガラスにエネルギーを伝達できるエネルギー密度を有する必要がある。特に、レーザのパルス幅が10フェムト秒〜100ピコ秒のパルスレーザを集光照射することで、ガラス内部でパルス光が自己収束(本来集光した光は再び拡がるが、一定の距離、拡がることなく集光されたままの状態になること)することで、局所のエネルギー密度を高くすることが可能となり、希土類イオンの光吸収領域とパルス光の波長とが一致していなくても、吸収係数がレーザ強度のn乗に比例する多光子吸収により、ガラスに光エネルギーが伝達され、効率的に分相領域を形成させることができる。
レーザ照射により分相を形成させることで、分相領域に存在する希土類イオンは二相以上に分離された多層中の特定相に選択的に集まることから、希土類イオンの分布を局在化させることが可能となる。希土類イオンの発光効率、発光波長や発光スペクトル形状は希土類イオンが存在する媒質の影響を受けることから、発光効率が高くなる相に希土類イオンが選択的に集まるガラスにレーザを照射することで、レーザ照射領域の希土類イオンの発光効率を大幅に増大させることができる。
更に、レーザのパルス幅が10フェムト秒〜100ピコ秒のパルスレーザを集光照射した場合、10フェムト秒〜100ピコ秒でガラス内部にレーザエネルギーが伝達されることから、熱伝導等によるエネルギーの損失が小さく、レーザ集光点の温度と圧力とが瞬間的に上昇し、一般的な熱処理による分相とは異なる形状や希土類イオンの局在化を起こすことが可能となり、希土類イオンをより高効率で発光させることが可能である。
また、分相形成領域を線や面状とすることで、任意のサイズや形状で、特定領域のみ発光強度が強いガラスを作製することが可能である。
分相領域を形成させるガラスは、準安定不混和相を有し、分相が起こらない速度で冷却することで均一なガラスが得られるものであれば特に限定されないが、陰イオン全体の塩素含有率が3mol%より少ない場合、レーザ照射による分相形成が困難であり、12mol%より多い場合は、ガラスが融液の状態で分相しており、急冷しても分相していない均一なガラスを得ることが困難である。発光強度は陰イオン全体の塩素含有率が3〜12mol%の範囲であれば塩素含有量が多くなる程強くなる傾向にあるが、塩素含有量が増すと、レーザを集光照射した際に、分相以外に結晶化する傾向も強くなる。容易に結晶化することなく充分な発光強度の高効率化が望める塩素含有量としては5〜8mol%がより好ましい。また、陰イオン全体の臭素含有率が0.5mol%より少ない場合、レーザ照射による分相形成が困難であり、8mol%より多い場合は、ガラスが融液の状態で分相しており、急冷しても分相していない均一なガラスを得ることが困難であるため、陰イオン全体の臭素含有率は0.5〜8mol%が好ましい。また、陰イオン全体のヨウ素含有率が0.5mol%より少ない場合、レーザ照射による分相形成が困難であり、5mol%より多い場合は、ガラスが融液の状態で分相しており、急冷しても分相していない均一なガラスを得ることが困難であるため、陰イオン全体のヨウ素含有率は0.5〜5mol%が好ましい。希土類イオンの種類は目的により選択するもので特に限定されるものではないが、Sm、Tb、Eu及びCeはレーザ照射による価数変化が容易であり、好ましい。
希土類元素含有ガラスとしては、特に限定されないが、フッ化物ガラス等のハロゲン化物ガラスが価数変化の閾値が低くなり好ましい。
また、AlF3含有量が20mol%以上、60mol%以下のハロゲン化物ガラスでは希土類イオンの価数変化を起こしやすく、且つガラス転移温度より低温において価数変化が不可逆でありことから、価数変化した希土類イオンをガラス中に固定化することができるためさらに好ましい。
(実施例1)
AlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaF2:2%, BaCl2:8%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の塩素の含有率は6.45mol%)を得た。
AlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaF2:2%, BaCl2:8%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の塩素の含有率は6.45mol%)を得た。
このガラスに、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200kHz、波長800nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した。照射後、焦点付近を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。更に、照射レーザパルスのエネルギーを100nJ、500nJ、1mJ、10mJと変化させて同様にレーザを集光照射した結果、分相サイズが10nm〜500nmの範囲で変化していることを確認した。
更に、ガラスサンプルを一軸方向に走査可能なステージにセットした後、1mm/秒の速度でサンプルを移動させながら、ガラス表面下1mmの位置に長さ10mmにわたり連続的にレーザを集光照射した。ライン状にレーザが照射された部分がガラスの表面になるように加工・研磨した後、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と周辺とのサマリウムと塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、サマリウムと塩素イオンの量が非照射領域より増加していることを確認した。
また、レーザ照射領域及び非照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを比較した結果、レーザ非照射領域のサマリウムイオンは3価であるのに対し、レーザ照射領域は2価のサマリウムイオンを含み、コントラスト良く読み出すことができた。
原料中、BaCl2:8%をBaF2:8%に置き換えた以外は、上記と同様の方法でガラスサンプルを作製し同様な条件でレーザを集光照射したのち、照射領域近傍をTEM観察したが、分相領域を確認することはできなかった。更に、同条件でライン状にレーザを集光照射した後、レーザ照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを観測した。これらの結果を、図1に示す。図1のaはBaCl2を8%含むものの発光強度を示し、図1のbは、BaF2を8%含むものの発光強度を示す。
原料中、BaCl2:8%をBaF2:8%に置き換えた以外は、上記と同様の方法でガラスサンプルを作製し同様な条件でレーザを集光照射したのち、照射領域近傍をTEM観察したが、分相領域を確認することはできなかった。更に、同条件でライン状にレーザを集光照射した後、レーザ照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを観測した。これらの結果を、図1に示す。図1のaはBaCl2を8%含むものの発光強度を示し、図1のbは、BaF2を8%含むものの発光強度を示す。
この図より2価サマリウムイオンによる発光強度は、BaCl2を8%含むものが、BaF2を8%含むものに較べ、発光強度が増加しており、波長680nmにおいては発光強度が3倍程度増加していることが確認できた。
(実施例2)
AlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaF2:6%, BaCl2:4%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の塩素の含有率は(3.2mol%)を得た。
AlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaF2:6%, BaCl2:4%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の塩素の含有率は(3.2mol%)を得た。
このガラスに、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200kHz、波長800nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した。照射後、焦点付近を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。
更に、ガラスサンプルを一軸方向に走査可能なステージにセットした後、1mm/秒の速度でサンプルを移動させながら、ガラス表面下1mmの位置に長さ10mmにわたり連続的にレーザを集光照射した。ライン状にレーザが照射された部分がガラスの表面になるように加工・研磨した後、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と周辺とのサマリウムと塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、サマリウムと塩素の含有量がレーザ非照射領域より多く、分相領域に集中していることを確認した。
また、レーザ照射領域及び非照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを比較した結果、レーザ非照射領域のサマリウムイオンは3価であるのに対し、レーザ照射領域は2価のサマリウムイオンを含み、コントラスト良く読み出すことができた。
原料中、BaCl2:4%をBaF2:4%に置き換えた以外は、上記と同様の方法でガラスサンプルを作製し同様な条件でレーザを集光照射したのち、照射領域近傍をTEM観察したが、分相領域を確認することはできなかった。更に、同条件でライン状にレーザを集光照射した後、レーザ照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを観測した。2価サマリウムイオンによる発光強度は、BaCl2を4%含むものが、BaF2を4%含むものに較べ、発光強度が増大しており、波長680nmにおいては2倍程度あることが確認できた。
(実施例3)
AlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, CaCl2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaCl2:10%, CaF2:15%, CaCl2:5%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した。その後融液を、窒素雰囲気中でステンレス製の板上に流し出し、その上方からもう一枚のステンレス製の板で融液をプレスすることで急冷を行い、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の塩素の含有率は12mol%)を得た。
AlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, CaCl2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaCl2:10%, CaF2:15%, CaCl2:5%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した。その後融液を、窒素雰囲気中でステンレス製の板上に流し出し、その上方からもう一枚のステンレス製の板で融液をプレスすることで急冷を行い、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の塩素の含有率は12mol%)を得た。
このガラスに、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200 kHz、波長800 nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した。照射後、焦点付近を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。
更に、ガラスサンプルを一軸方向に走査可能なステージにセットした後、1 mm/秒の速度でサンプルを移動させながら、ガラス表面下1 mmの位置に長さ10 mmにわたり連続的にレーザを集光照射した。ライン状にレーザが照射された部分がガラスの表面になるように加工・研磨した後、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と周辺とのサマリウムと塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、サマリウムと塩素イオンの量が非照射領域より増加していることを確認した。
また、レーザ照射領域及び非照射領域にアルゴンイオンレーザの488 nmの光を照射し、発光スペクトルを比較した結果、レーザ非照射領域のサマリウムイオンは3価であるのに対し、レーザ照射領域は2価のサマリウムイオンを含み、コントラスト良く読み出すことができた。
原料中、BaCl2:10%をBaF 2:10%に、CaCl2:5%をCaF2:5%に置き換えた以外は、上記と同様の方法でガラスサンプルを作製し同様な条件でレーザを集光照射したのち、照射領域近傍をTEM観察したが、分相領域を確認することはできなかった。更に、同条件でライン状にレーザを集光照射した後、レーザ照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを観測した。2価サマリウムイオンによる発光強度は、BaCl2を10%、CaCl2を5%含むガラスは、BaF2を10%、CaF2を5%含むものに較べ、発光強度が増大しており、波長680nmにおいては10倍程度あることが確認できた。
(実施例4)
SmF3をTbF3、EuF3あるいはCeF3に各々置き換える以外は実施例1と全く同様な方法で三種類の混合ハロゲン化物ガラスを作製し、このガラスに実施例1と同様な条件でレーザを集光照射した。その後、焦点付近をTEMにより観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。次に、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と非照射領域との希土類元素と塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、希土類元素と塩素の量が非照射領域より増加していることを確認した。
SmF3をTbF3、EuF3あるいはCeF3に各々置き換える以外は実施例1と全く同様な方法で三種類の混合ハロゲン化物ガラスを作製し、このガラスに実施例1と同様な条件でレーザを集光照射した。その後、焦点付近をTEMにより観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。次に、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と非照射領域との希土類元素と塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、希土類元素と塩素の量が非照射領域より増加していることを確認した。
(実施例5)
AlF3, BaF2, BaBr2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaF2:5%, BaBr2:5%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の臭素の含有率は4mol%)を得た。
AlF3, BaF2, BaBr2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成がモル表示で、AlF3:35%, BaF2:5%, BaBr2:5%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体の臭素の含有率は4mol%)を得た。
このガラスに、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200kHz、波長800nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した。照射後、焦点付近を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。更に、照射レーザパルスのエネルギーを100nJ、500nJ、1mJ、10mJと変化させて同様にレーザを集光照射した結果、分相サイズが10nm〜500nmの範囲で変化していることを確認した。
更に、ガラスサンプルを一軸方向に走査可能なステージにセットした後、1mm/秒の速度でサンプルを移動させながら、ガラス表面下1mmの位置に長さ10mmにわたり連続的にレーザを集光照射した。ライン状にレーザが照射された部分がガラスの表面になるように加工・研磨した後、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と周辺とのサマリウムと塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、サマリウムと臭化物イオンの量が非照射領域より増加していることを確認した。
また、レーザ照射領域及び非照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを比較した結果、レーザ非照射領域のサマリウムイオンは3価であるのに対し、レーザ照射領域は2価のサマリウムイオンを含み、コントラスト良く読み出すことができた。原料中、BaBr2:5%をBaF2:5%に置き換えた以外は、上記と同様の方法でガラスサンプルを作製し同様な条件でレーザを集光照射したのち、照射領域近傍をTEM観察したが、分相領域を確認することはできなかった。更に、同条件でライン状にレーザを集光照射した後、レーザ照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを観測したところ、2価サマリウムイオンによる発光強度は、BaBr2を5%含むものが、BaBr2を5%含まないものに較べ、発光強度が増加しており、波長680nmにおいては発光強度が5倍程度増加していることが確認できた。
(実施例6)
AlF3, BaF2, BaI2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成が
モル表示で、AlF3:35%, BaF2:7%, BaI2:3%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体のヨウ素の含有率は2.4mol%)を得た。
AlF3, BaF2, BaI2, CaF2, MgF2, SrF2, YF3 及びSmF3からなる原料を、ガラス組成が
モル表示で、AlF3:35%, BaF2:7%, BaI2:3%, CaF2:20%, MgF2:10%, SrF2:10%, YF3:14.0% 及びSmF3:1.0%になるように秤量し調合した。調合して得られたバッチ15 gにフッ素化剤として酸性フッ化アンモニウム0.15 g添加した後、このバッチをグラッシーカーボン製ルツボに入れ、窒素と塩素との体積比が100:1の割合で混合した雰囲気中で、950℃で30分間、加熱溶融した後、窒素雰囲気中で急冷することにより、希土類元素含有分相ガラスの前駆体の1つである3価サマリウムイオンを含有した混合ハロゲン化物ガラス(陰イオン全体のヨウ素の含有率は2.4mol%)を得た。
このガラスに、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200kHz、波長800nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した。照射後、焦点付近を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察したところ、焦点近傍のみにおいて分相が起こっていることが確認された。更に、照射レーザパルスのエネルギーを100nJ、500nJ、1mJ、10mJと変化させて同様にレーザを集光照射した結果、分相サイズが10nm〜500nmの範囲で変化していることを確認した。
更に、ガラスサンプルを一軸方向に走査可能なステージにセットした後、1mm/秒の速度でサンプルを移動させながら、ガラス表面下1mmの位置に長さ10mmにわたり連続的にレーザを集光照射した。ライン状にレーザが照射された部分がガラスの表面になるように加工・研磨した後、エネルギー分散形X線分析装置で、レーザ照射領域と周辺とのサマリウムと塩素の量を比較した結果、レーザ照射によって形成された分相領域では、サマリウムとヨウ化物イオンの量が非照射領域より増加していることを確認した。
また、レーザ照射領域及び非照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを比較した結果、レーザ非照射領域のサマリウムイオンは3価であるのに対し、レーザ照射領域は2価のサマリウムイオンを含み、コントラスト良く読み出すことができた。原料中、BaI2:3%をBaF2:3%に置き換えた以外は、上記と同様の方法でガラスサンプルを作製し同様な条件でレーザを集光照射したのち、照射領域近傍をTEM観察したが、分相領域を確認することはできなかった。更に、同条件でライン状にレーザを集光照射した後、レーザ照射領域にアルゴンイオンレーザの488nmの光を照射し、発光スペクトルを観測したところ、2価サマリウムイオンによる発光強度は、BaI2を3%含むものが、BaI2を3%含まないものに較べ、発光強度が増加しており、波長680nmにおいては発光強度が4倍程度増加していることが確認できた。
(比較例1)
陰イオン全体の塩素含有率が2mol%になるようにAlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, MgF2, SrF2,YF3 及びSmF3を調合し、実施例1と同様な方法でガラスを作製し、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200 kHz、波長800 nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した後、集光領域をTEM観察したが、分相は確認されなかった。また、このガラスの発光スペクトルを観測した結果、3価サマリウムイオンとともに2価サマリウムイオンが存在することを確認したが、2価サマリウムイオンの発光強度は塩素未添加ガラスの発光強度と同等であり、発光強度改善効果は認められなかった。
陰イオン全体の塩素含有率が2mol%になるようにAlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, MgF2, SrF2,YF3 及びSmF3を調合し、実施例1と同様な方法でガラスを作製し、Ti:サファイアレーザから発振されたパルスエネルギー1.0 mJ、繰返し周波数200 kHz、波長800 nmのレーザ光を対物レンズ(NA=0.3、×10)を通して集光照射した後、集光領域をTEM観察したが、分相は確認されなかった。また、このガラスの発光スペクトルを観測した結果、3価サマリウムイオンとともに2価サマリウムイオンが存在することを確認したが、2価サマリウムイオンの発光強度は塩素未添加ガラスの発光強度と同等であり、発光強度改善効果は認められなかった。
(比較例2)
陰イオン全体の塩素含有率が15mol%になるようにAlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, CaCl2, MgF2, SrF2, YF3及びSmF3を調合し、実施例1と同様な方法でガラスの作製を試みたが、冷却後得られたガラスは白濁しており、TEM観察の結果より冷却中に既に分相が起こっていることが確認された。
陰イオン全体の塩素含有率が15mol%になるようにAlF3, BaF2, BaCl2, CaF2, CaCl2, MgF2, SrF2, YF3及びSmF3を調合し、実施例1と同様な方法でガラスの作製を試みたが、冷却後得られたガラスは白濁しており、TEM観察の結果より冷却中に既に分相が起こっていることが確認された。
また、レーザ照射領域及び非照射領域にレーザ光を照射し、発光スペクトルを比較した結果、レーザ照射領域では、Tb3+はTb4+に、Eu3+はEu2+に、Ce3+はCe4+にそれぞれ価数が変化していた。また、実施例1と同様に、BaCl2を8%含むものは、BaF2を8%含むものに較べ、発光強度が増加したことが確認できた。
Claims (8)
- 希土類元素含有ガラスであって、レーザ照射により、希土類イオンが局在化している分相領域を形成し、且つ分相領域もしくはその近辺の希土類イオンの一部もしくは全てが、分相していない領域の希土類イオンの価数と異なる価数を形成することを特徴とする希土類元素含有ガラス。
- 希土類元素含有ガラスであって、レーザ照射により、希土類イオンが局在化している分相領域が形成され、且つ分相領域もしくはその近辺の希土類イオンの一部もしくは全てが、分相していない領域の希土類イオンの価数と異なる価数を形成していることを特徴とする請求項1記載の希土類元素含有ガラス。
- 希土類元素としてSm、Tb、Eu及びCeのうち少なくとも一つ以上を含有することを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の希土類元素含有ガラス。
- 希土類イオンとしてSm3+、Tb3+、Eu3+及びCe3+のうち少なくとも一つ以上を含有し、かつ陰イオン全体の塩素含有率が3mol%以上、12mol%以下の塩素、或いは臭素含有率が0.5mol%以上、8mol%以下の臭素、或いはヨウ素含有率が0.5mol%以上、5mol%以下のヨウ素のうち、少なくとも一つ以上を含有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の希土類元素含有ガラス。
- ガラスがハロゲン化物ガラスからなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の希土類元素含有ガラス。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の希土類元素含有ガラスであって、レーザの焦点をガラスに対して連続的、或いは断続的に相対移動させることで、ライン状やドット状の希土類イオンの分相領域と価数変化領域を二次元もしくは三次元的にガラス内部に形成された希土類元素含有ガラス。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の希土類元素含有ガラスの内部に、レーザを集光照射することにより、レーザの焦点もしくは焦点近傍の領域を分相化させ、希土類イオンの分布を局在化し、かつ、レーザの焦点もしくは焦点近傍の領域の希土類イオンの価数を変化させる方法。
- レーザ照射時のレーザが、パルス幅、10フェムト秒〜100ピコ秒のパルスレーザであることを特徴とする請求項7記載の、レーザを集光照射することにより、レーザの焦点もしくは焦点近傍の領域を分相化させ、希土類イオンの分布を局在化し、かつ、レーザの焦点もしくは焦点近傍の領域の希土類イオンの価数を変化させる方法。
Priority Applications (1)
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JP2004283148A JP2005255512A (ja) | 2004-02-13 | 2004-09-29 | 希土類元素含有機能性ガラスとその製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006185564A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Sony Corp | 光記録方法及び光記録装置 |
JP2010070399A (ja) * | 2008-09-16 | 2010-04-02 | Kyoto Univ | 組成分布を生じる光学部品用透明材料及びこれを利用する光学部品 |
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US8629610B2 (en) | 2006-01-12 | 2014-01-14 | Ppg Industries Ohio, Inc. | Display panel |
-
2004
- 2004-09-29 JP JP2004283148A patent/JP2005255512A/ja active Pending
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JP2006185564A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Sony Corp | 光記録方法及び光記録装置 |
JP4525345B2 (ja) * | 2004-12-28 | 2010-08-18 | ソニー株式会社 | 光記録方法及び光記録装置 |
US8547008B2 (en) | 2006-01-12 | 2013-10-01 | Ppg Industries Ohio, Inc. | Material having laser induced light redirecting features |
US8629610B2 (en) | 2006-01-12 | 2014-01-14 | Ppg Industries Ohio, Inc. | Display panel |
JP2010070399A (ja) * | 2008-09-16 | 2010-04-02 | Kyoto Univ | 組成分布を生じる光学部品用透明材料及びこれを利用する光学部品 |
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