本発明の実施の形態について図1ないし図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明の表示装置においては、スイッチング素子として、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)やCG(Continuous Grain)シリコンTFTなどを用いる。以下に説明する実施の形態においては、スイッチング素子はCGシリコンTFTとする。CGシリコンTFTの構成として、例えば非特許文献3に発表されているものを用いることができ、またCGシリコンTFTの製造プロセスとして、例えば非特許文献4に発表されているものを用いることができる。
また、以下の実施の形態では、電流駆動素子(電流駆動発光素子、電気光学素子)として有機ELを用いる。有機ELの構成として、例えば非特許文献5に発表されているものを用いることができる。
〔実施の形態1〕
本実施の形態に係る表示装置1は、図2に示すように、複数の画素回路Aij、ソースドライバ回路2、およびゲートドライバ回路3を有している。ソースドライバ回路2およびゲートドライバ回路3は、画素回路を駆動するための駆動回路である。
画素回路Aijは、それぞれ図示しない有機EL素子(電流駆動素子)および駆動用TFT(駆動用トランジスタ)を含んでいる。ここで、nおよびmを整数として、上記のiは1〜nを意味するものとし、jは1〜mを意味するものとする。なお、以下では、m=6に相当する場合について説明するが、これに限るものではない。
画素回路Aijは、マトリクス状に配置される。各画素回路Aijにおいて、有機EL素子へと供給する電流を制御する駆動用TFTにて制御され、表示を行う。
ソースドライバ回路2は、ソース配線(供給配線、信号配線)Sjを介して、画素回路Aijの有機EL素子へ信号電圧の供給を行う。ゲートドライバ回路3は、ゲート配線Giを介して、所望の電位(電圧)を供給する駆動用TFTを選択する。
ソースドライバ回路2は、1本のシフトレジスタ4と複数の駆動回路(供給回路)5とを備えている。
シフトレジスタ4はmビット構成である。図示しないコントロール回路から、mビットのシフトレジスタ4の先頭のレジスタへスタートパルスSPが入力される。シフトレジスタ4は、シフトレジスタ4内において、スタートパルスSPをクロックclkで転送する。また、シフトレジスタ4は、転送するパルスと同じものを、それぞれの駆動回路5にタイミングパルスPGjとして出力する。
駆動回路5には、タイミングパルスPGjおよび、図示しないコントロール回路から出力されるアナログ電圧信号の入力信号Daが入力される。
ゲートドライバ回路3は入力信号YIをシフトクロックGPで転送するシフトレジスタ等から構成されている。ゲートドライバ回路3は、ゲート配線Giと図示しない制御配線Ri、Ci、Wiに、上記シフトレジスタにより制御される所定のタイミングで所定の電圧を出力する。
その他、図示しないコントロール回路からゲートドライバ回路2、ソースドライバ回路3に制御信号が入力されているが、ここではその詳細な記載は省略する。
次に、図1に基づいて、駆動回路5および各画素回路Aijの構成について説明する。
駆動回路5には、より詳細には、アナログ信号電圧のDaおよびタイミングパルスPGjの配線に加えて、電圧配線Vc、制御配線Pcが接続されている。
また、駆動回路5は、スイッチ用TFT15・16を備えている。スイッチ用TFT15のゲートには制御配線Pcが接続されている。スイッチ用TFT15は、制御配線Pcへの入力に応じて、電圧配線Vcとソース配線Sjとの間の接続のオンオフを切換える。スイッチ用TFT16のゲートにはタイミングパルスPGjの配線が接続されている。スイッチ用TFT16は、タイミングパルスPGjに応じて、入力映像信号配線Daとソース配線Sjとの間の接続のオンオフを切換える。
各画素回路Aijは、ソース配線Sjとゲート配線Giとが交差する付近に配置されている。画素回路Aijには、ゲートドライバから供給される制御配線Ri、Wi、Ciに加えて、図示しない電源回路より電源配線Vp、Vrが接続されている。
画素回路Aijは、有機EL(有機EL素子)20と駆動用TFT6とを含んでいる。駆動用TFT6は、ゲート端子(制御端子、電流制御端子)、ソース端子(入力端子、基準電位端子)、およびドレイン端子(出力端子、電流入出力端子)を含んでいる。有機EL20の一端は駆動用TFT6のドレイン端子に接続され、有機ELの他端は共通配線Vcomに接続されている。
また、画素回路Aijは、スイッチ用TFTとして、n型のTFT(信号切換スイッチング素子)8・TFT(電位制御スイッチング素子)9・TFT(調整手段、電流調整スイッチング素子)10、p型のTFT(発光制御スイッチング素子)7・TFT(電流制御スイッチング素子)11を含んでいる。また、画素回路Aijは、コンデンサ(維持コンデンサ)12、コンデンサ(保持手段、保持コンデンサ)13、および抵抗(電圧電流変換手段)14を含んでいる。
電源配線Vpと共通配線Vcomとの間には、駆動用TFT6、TFT7および有機EL20が、直列に接続されている。
ソース配線Sjと駆動用TFT6のゲート端子との間には、TFT8とコンデンサ13とが直列に接続されている。これにより、コンデンサ13の一方側の端子は駆動用TFT6のゲート端子と接続され、コンデンサ13の他方側の端子はTFT8のドレインと接続される。
また、駆動用TFT6のゲート端子とソース端子の間にはコンデンサ12が接続されている。また、駆動用TFT6のゲート端子とドレイン端子の間には、スイッチ用TFT9が接続されている。また、コンデンサ13の上述の他方側端子と駆動用TFT6のドレインとを接続するように、TFT10が設けられている。また、駆動用TFT6のドレイン端子と電源配線Vrとの間に、TFT11と抵抗14とが直列に接続されている。
TFT7・8・9・10・11のゲート端子には、それぞれ、制御配線Ri、ゲート配線Gi、ゲート配線Gi、制御配線Ci、制御配線Wiが接続されている。
この表示装置1の画素回路Aijにおける動作を、図3に示す制御配線Pc,入力映像信号配線Da,制御配線PGj(PG1,PGm),ソース配線Sj(S1,Sm)、ゲート配線Gi,制御配線Ri,Wi,Ciの動作タイミングを用いて以下で説明する。
なお、以下で説明するように、画素回路における動作は、駆動用トランジスタのゲート電位を設定する期間(第1期間)、ゲート電位を設定した駆動用トランジスタに流れる電流を設定する期間(第2期間)、その後に駆動用トランジスタを介して有機EL素子に電流を供給する期間(第3期間)をそれぞれ含んでいる。
本実施の形態では、以下で説明するように、時間0〜12t1までの期間を、画素回路Aijの選択期間とする。このうち、ゲート配線Giの電位をHighとする時間t1〜11t1を第1期間とする。
なお、時間0〜24t1までの間、制御配線Riの電位をHigh(GH)としてスイッチ用TFT7はオフ状態とする。そして、TFT7はその後にオンして、第3期間で有機EL20への電流供給を行う。また、TFT8がオフとなった後、TFT7がオンとなるまでの間(第2期間)で駆動用TFT6を流れる電流を設定する。このようにすれば、一画素あたりの選択期間を短くできる。
まず時間0〜t1の間、制御配線Pcの電位をHigh(GH)としてスイッチ用TFT15をオン状態とし、電圧配線Vcからソース配線Sjへ向け電圧を供給する。電圧配線Vcの電位は、入力映像信号Daの電位Vdaより大きい値に設定する。これは、その後ソース配線へ入力映像信号電位Vdaを入力したとき、駆動用TFT6を一旦オン状態とするためである。
次に、第1期間として、時間t1から11t1までの期間における動作について説明する。
まず、時間t1〜2t1の間、制御配線Wiの電位をLow(GL)として、スイッチ用TFT11をオン状態とする。この結果、駆動用TFT6のドレイン端子と抵抗14の一方端子が接続され、電源配線Vpより電源配線Vrに向け、駆動用TFT6とスイッチ用TFT11と抵抗14を経由して、電流が流れる。これにより、駆動用TFT6に電流が流れるように、駆動用TFT6のゲート端子電位が調整される。時間2t1で制御配線Wiの電位をHigh(GH)として、スイッチ用TFT11をオフ状態とする。
さらに、時間2t1〜8t1までの間、順次、制御配線PGj(j=1〜mで、m=6)の電位をHigh(GH)として、各ソース配線Sjに対応した駆動回路5のスイッチ用TFT16をt1時間ずつオン状態とする。この結果、ソース配線Sj(j=1〜m)には、画素Aijに対応した入力映像信号Daの電位Vdaが入力され、保持される。
また、時間t1〜11t1の第1期間においては、ゲート配線Giの電位をHighとして、スイッチ用TFT8・9をオン状態とする。
この結果、スイッチ用TFT8によって、コンデンサ13の他方端子とソース配線Sjとが接続される。これにより、コンデンサ13の他方端子は、ソース配線Sjの電位に設定される。この場合の電位は、後述するように、信号配線Daよりソース配線Sjに供給された電位Vdaである。
また、スイッチ用TFT9によって、駆動用TFT6のゲート端子とドレイン端子とが接続される。ここで、駆動用TFT6は、ソース・ドレイン間に電流が流れる設定となっている。このため、ゲート、ドレイン端子電位は、ソース端子から供給される電流で上昇する。電位上昇は駆動用TFT6がオフ状態となるまで続くので、駆動用TFT6のゲート・ソース端子間電位は、駆動用TFT6の閾値電圧(Vth)となる。
なお、上記期間において、駆動用TFT6のゲート端子電位の変化にあわせて、コンデンサ13の両端の電荷は変化する。しかしながら、コンデンサ13の他方端子には、ソース配線Sjを通して浮遊容量Cが接続されており、浮遊容量C>コンデンサ13の容量である。このため、コンデンサ13の他方端子の電位は殆ど変化しない。
以上のようにして、コンデンサ13は、一端を駆動用TFT6のゲート端子に接続し、他端をソース配線Sjに接続して、両端の電位差を保持する。そしてゲート配線GiをLow(GL)として、上述の書込みによってコンデンサ13に電位差を記憶させれば、他端側の電位が変化したときでも、その変化に対応した電位が駆動用TFT6のゲート端子に印加される。
次に、時間12t1以降の、画素回路Aijの非選択期間について説明する。本実施形態の画素回路Aijの構成によれば、この非選択期間において、駆動用TFT6を流れる電流を調整し、有機EL20に適切な電流を供給することができる。
まず、時間13t1〜23t1を第2期間とする。この期間において、駆動用TFT6を流れる電流を調整する。
制御配線Wiの電位をLow(GL)とし、スイッチ用TFT11をオン状態とする。スイッチ用TFT11により、駆動用TFT6のドレイン端子は、抵抗14の一方端子に接続される。また、抵抗14の他方端子は、電源配線Vrに接続されている。このため、駆動用TFT6のドレイン端子は、電圧を電流に変換する電圧電流変換手段としての抵抗14を介して、基準電位としての電源配線Vrに接続されることになる。
また、制御配線Ciの電位をHigh(GH)とし、スイッチ用TFT10をオン状態とする。スイッチ用TFT10により、コンデンサ13の他方端子は、駆動用TFT6のドレイン端子に接続される。すなわち、駆動用TFT6のドレイン端子の電位は、コンデンサ13の他方端子と同じ電位に設定される。このように駆動用TFT6のドレイン端子の電位を設定すると、以下のようにして駆動用TFT6を流れる電流を調整できる。
すなわち、コンデンサ13の他方端子と駆動用TFT6のドレイン端子とが接続され、また駆動用TFT6のドレイン端子と抵抗14とが接続されるので、駆動用TFT6のドレイン端子電位は、コンデンサ13の他方端子に先に与えられた入力映像信号Daの電位Vdaに近い値Vda’となる。そして、画素回路Aijは、抵抗14を流れる電流と駆動用TFT6を流れる電流が等しくなって、安定する。このため、駆動用TFT6を流れる電流Idsは、Ids≒(Vda’−Vr)/Rとなる。
なお、先にコンデンサ13の他方端子(TFT8側)が電位Vdaのとき、駆動用TFT6のゲート電位が閾値電位となるよう設定した。従って、そのコンデンサ13の他方端子を駆動用TFT6のドレイン端子と接続させたとき、駆動用TFT6のドレイン端子電位がVda=0であれば、駆動用TFT6を流れる電流Idsは0となる。この状態が基準となり、それよりVdaが大きくなればIdsは0以上となる。そして、Vdaが電源配線Vpより小さければ、その電流は上記関係式(Ids≒(Vda’−Vr)/R)により決まるので、駆動用TFT6を流れる電流に関して、電源配線Vpの電位はほとんど関係しない。より正確には、多少は関係するが、どの程度関係するか不明確な程度である。
時間23t1にて制御配線Ciの電位をLow(GL)として、スイッチ用TFT10をオフ状態とすると、駆動用TFT6のゲート端子には上記電流値Idsに対応した電位が保持される。このように、駆動用TFT6は、所定の電流値となるゲート電圧に調整されたので、その後TFT7をオンすれば、調整した電流値Idsが得られる。
より詳細には、駆動用TFT6がゲート電圧を保持し、駆動用TFT6を流れる電流がVds>Vgs−Vthの条件を満たす限り、電流Idsが得られる。例えば駆動用TFT6について、FETモデルを用いてその電流値を計算すると、FETを流れる電流の公式より、Vds>Vgs−Vthのとき、Ids=μwk(Vgs−Vth)2となる。ただし、μは移動度、wはTFTゲート幅、kは比例定数を意味する。
ここで、時間23t1の直前まで、駆動用TFT6には電流Idsが流れていた。TFT10をオフ状態とすることで、その時のゲート電位をコンデンサ12、13を用いて保持する。このように、ある電流Idsを流している状態からゲート電位を保持したままにすれば、Vds>Vgs−Vthの条件で、駆動用TFT6を流れる電流は保持される。
そして、既にTFTの移動度の影響が自動的にキャンセルされるよう、Ids≒(Vda’−Vr)/Rを用いてTFTを流れる電流を設定しているので、その後はTFTの移動度、閾値に寄らない電流値が得られる。(実際には、厳密に言えば、多少はVdsの影響は存在する。)なお、このとき、有機ELに所望の電流を流したいときの、有機ELに対する印加電圧をVakとすると、Vp>Vgs−Vth+Vakとする必要がある。また、好ましくは、FETのゲート電圧一定条件下でのVds−Ids特性を考慮して、Vp>1V+Vakとする。これは、Vp−Vak=Vdsから、Vds>Vgs−VthでVds=0.1Vでは、余りうまく動作しないとも考えられるからである。これによって、TFT6を介して、有機EL20に電流を供給する。
以上のように、第1期間及び第2期間において、画素回路Aijに対して電流設定をし、その後設定した電流を有機ELへ供給する。具体的には、時間24t1にて、制御配線Riの電位をLowとしてスイッチ用TFT7をオン状態とし、駆動用TFT6の移動度によらずに決まる電流値Idsを、駆動用TFT6から有機EL20へ向けて流す。
なお、次の画素回路A(i+1)jの第1期間は、Aijの第1期間の12t1期間後から始まる。これは、以下の理由による。本実施形態の画素回路Aijのように、図1に示すように電圧電流変換手段(抵抗14)をソース配線Sj以外へ配置する場合には、第2期間でソース配線Sjを用いる必要がない。このため、第1期間のみ経過すれば、ソース配線Sjを用いて次のゲート配線G(i+1)の電流設定が開始できるからである。
以上のように説明した画素回路Aijの動作について、図4(a)〜(c)(以下では、図4(a)〜(c)の全体を単に図4と呼ぶ。)にシミュレーション結果を示す。図4(a)(b)には、表示装置1における駆動動作を示し、図4(c)には、図4(a)(b)に示す動作に応じて、駆動用TFT6のゲート電位N1、ドレイン電位N2、駆動用TFT6のソース・ドレイン間を流れる電流Idsの変化をシミュレーションした結果を示す。なお、図4(c)において示しているゲート電位N1(1)〜N1(5)、ドレイン電位N2(1)〜N2(5)、駆動用TFT6のソース・ドレイン端子間を流れる電流Ids(1)〜Isd(5)のそれぞれは、以下の表1に示す、駆動用TFT6の閾値電圧・移動度の特性を用いて求めたものである。
ここで、時間0〜t1は、図4に示す時間2.304〜2.308msに相当する。また、第1の期間である時間t1〜11t1は、図4に示す時間2.308〜2.364msに相当する。
このうち、時間t1〜2t1に相当する、図4に示す時間2.308〜2.312msの間は、駆動用TFT6から抵抗14に向け電流が流れる。その後、駆動用TFT6のゲート電位N1は、上記条件における駆動用TFT6の閾値電位となる。なお、この間はN1=N2となり、図では重なって表示している。また、コンデンサ12、13の容量を各1pF程度に設定しているので、駆動用TFT6を流れる電流は数μsで一定となる。また、ソース配線Sjの浮遊容量Cは10pFとしている。
そして、時間11t1に相当する図4の時間2.364msで第1期間を終了し、時間13t1に相当する時間2.372msで第2期間を開始する。その後、時間23t1に相当する図4の時間2.424msで第2期間を終了し、このときの駆動用TFT6のゲート電位をコンデンサ13、12に保持する。
なお、図4に示すように、時間2.424msに制御配線Ciの電位をHighからLowへ変化させたことに伴い、駆動用TFT6のゲート電位が変化し、駆動用TFTを流れる電流Idsは若干変化している。一方、第3期間では有機EL20の陽極電圧は低い状態から高い状態に戻るので、この駆動用TFT6のゲート端子またはコンデンサ13の他方端子と有機EL20の陽極の間に容量を発生させ、上記駆動用TFT6のゲート電位変化を補償することもできる。
図5は、上述と同様の条件で、入力映像信号Daの電位を変化させながら、駆動用TFT6を流れる電流Idsをシミュレーションした結果を示すものである。
図5に示すように、画素回路Aijと駆動回路5とを有する表示装置1によれば、比較的電流の小さな領域(Ids≦0.5μA)では、駆動用TFT6の特性ばらつきに依存しない結果を得ることができる。
以上に説明したように、表示装置1によれば、駆動用TFT6を流れる電流値のばらつきを小さくできる。
また、図2の表示装置1や図1の駆動回路5に示すように、比較的簡単な回路構成でソースドライバ回路2を構成できる。すなわち、表示装置1において、コントロール回路(コントロールIC)とソース配線Sjとの間に配置するソースドライバ回路2は、ソース配線Sj毎にスイッチ用トランジスタを配置し、入力された映像信号に対応するタイミングでソース配線Sjへ映像信号を出力するように構成すれば良い。したがって、ソースドライバ回路2の規模を小さくでき、パネル下側の狭額縁化が可能となる。また、歩留まり低下を抑え、1シート当たりから取れるパネル数が減少を防ぎ、パネル当たりのコスト上昇を防ぐことができる。
また、表示装置1によれば、充分な選択時間を確保して表示ができる。以下、この点について、具体的に見積もりをして説明する。
表示装置1の画素回路Aijは、上述のように、第1期間でコンデンサ13の他方端子に所望の電位Vdaを与えて、非選択期間の第2期間で駆動用TFT6の出力電流値を定めることができる。
このように、画素回路Aijの外部にある外部信号源として、例えばコントロールIC等を含んだ駆動回路5から、表示したい映像信号に対応した所望の電位Vdaを出力し、画素回路Aijのコンデンサ13の他方端子に与えることによって、各電気光学素子(電流駆動素子)へ与える電流値を定めることができる。また、例えばCR直列回路に外部より電圧を印加したとき、時定数に応じて、所定電位まで到達するのに必要な時間を短くできる。
ここで、この外部信号源からソース配線Sjまでの抵抗Rを、仮に10kΩとする。すると、ソース配線Sjの浮遊容量Cを10pFとしても、時定数τは、
τ=RC=10k×10p=0.1μs
となる。また、外部信号源からソース配線Sjに、時間t=0で電圧を印加し始めた場合には、時間t経過時点でのソース配線Sjの電位vは、
v=Vda(1−exp(−t/RC))
となる。
ここで、時間t=0.5μsとすると、
v=Vda(1−exp(−t/RC))
=Vda(1−exp(−0.5/0.1))≒0.993Vda
となるので、時間t=0.5μs経過後のソース配線Sjの電位は、所望電位Vdaの99.3%に達することになる。この状態は、駆動用トランジスタから出力される電流値の誤差としては、許容範囲に収まると思われる。そこで、外部信号源からソース配線Sjを1本ずつ充電していくのに必要な時間t1は、t1=0.5μs/本と見積もることができる。
そこで、ゲート配線数を240本(QVGA相当)として、1フレーム周期を1/60sとすると、1ゲート配線当たりの選択期間t2は、
t2=(1/60)/240≒69μs
となる。したがって、1ゲート当りの選択期間t2において、t2/t1≒138本のソース配線Sjを順番に充電できるとの見積もりが得られる。
なお、実際には、選択期間t2の総てをソース配線への充電に使うことはできない。このため、少なめに見積もると、上記選択期間に順番に充電できるソース配線Sj数は、80本とする。これは、ソース配線Sjが320本のとき、コントロールICからRGB映像信号を各4本パラレルに出力するよう設計すれば、選択時間t2で表示できることを意味する。
以上に説明したように、表示装置1を用いれば、充分な選択時間を確保して表示ができる。
〔実施の形態2〕
本実施の形態2では、本発明に係る表示装置の他の例について説明する。
上記実施の形態1の画素回路構成では、図1に示すように、画素毎に抵抗14を配置した。しかし、画素毎に抵抗14を配置すると画素当たりに配置する素子数が増えてしまう。このため、画素サイズによっては、画素に必要な素子が収まらないことも考えられる。
そこで、本実施の形態2に係る表示装置は、その画素回路Bijを図6に示すように、実施の形態1で示した図1の画素回路Aijの構成から、スイッチ用TFT11及び抵抗14を外したものとする。これによって、少しでも画素当たりの素子数を減らす構成とした。その代わり、有機EL(電流駆動素子)20に電圧電流変換手段としての機能を持たせる。また、スイッチ用TFT(発光制御スイッチング素子)7に、駆動用TFT6のゲート端子と電圧電流変換手段との接続のオンオフを切換える電流制御スイッチング素子としての機能を持たせる。
なお、画素回路Bijには、画素回路Aijに含まれていた制御配線Wiや電源配線Vrは含まれていないが、その他は同じである。以下では、上述の実施の形態1で説明した部材と同じものについては、同じ符号を用いて説明は省略する。
図7に基づいて、画素回路Bijにおける、制御配線Pc、入力映像信号配線Da、制御配線PGj(PG1,PGm)、ソース配線Sj(S1,Sm)、ゲート配線Gi、制御配線Ri、Ciの動作タイミングを説明する。
本実施の形態2においても、時間0〜12t1を画素Bijの選択期間とする。このうち、ゲート配線Giの電位をHighとする時間t1〜11t1を第1期間とする。
まず、時間0〜t1の間、制御配線Pcの電位をHigh(GH)としてスイッチ用TFT15をオン状態とし、電圧配線Vcからソース配線Sjへ向け電圧を供給する。電圧配線Vcの電位は、入力映像信号Daの電位Vdaより大きい値に設定した。
次に、第1期間(時間t1〜11t1)における動作について説明する。
まず、時間t1で、ゲート配線Giの電位がHighになるので、スイッチ用TFT8がオンし、コンデンサ13の他方端子に上記ソース配線Sjの電位が与えられる。またスイッチ用TFT9もオンするので、駆動用TFT6のゲート・ドレイン端子が短絡される。このため、駆動用TFT6においては、そのゲート電位が、ソース・ドレイン間に何らかの電流が流れる状態に設定される。また、時間t1〜2t1の間、制御配線Riの電位はLow(GL)なので、スイッチ用TFT7はオン状態のままとなる。このため、駆動用TFT6のドレイン端子に、有機EL20の陽極が接続される。その後、時間2t1で制御配線Riの電位をHigh(GH)として、スイッチ用TFT7をオフ状態とする。
さらに、時間2t1〜8t1までの間、順次、制御配線PGj(j=1〜m)の電位をHigh(GH)として、各ソース配線Sjに対応した駆動回路5のスイッチ用TFT16をt1時間ずつオン状態とする。この結果、ソース配線Sj(j=1〜m)には、画素Bijに対応した入力映像信号Daの電位Vdaが入力され、保持される。
このように、時間t1〜11t1の第1期間では、ゲート配線Giの電位をHighとして、スイッチ用TFT8、9をオン状態とする。
この結果、スイッチ用TFT8によって、コンデンサ13の他方端子とソース配線Sjとが接続される。このため、コンデンサ13の他方端子には、スイッチ用TFT8から、上記画素Bijに対応した入力映像信号Daの電位Vdaが入力される。
また、スイッチ用TFT9によって、駆動用TFT6のゲート端子とドレイン端子とが接続される。ここで、駆動用TFT6の初期状態は、ソース・ドレイン端子間に電流が流れる状態となっている。このため、ゲート端子電位・ドレイン端子電位は、ソース端子から供給される電荷により上昇する。この電位上昇は、駆動用TFT6がオフ状態となるまで続くので、駆動用TFT6のゲート・ソース端子間電位は、駆動用TFT6の閾値電圧(Vth)となる。
なお、上記期間において、駆動用TFT6のゲート端子電位の変化にあわせて、コンデンサ13の両端の電荷が変化する。しかしながら、コンデンサ13の他方端子には、ソース配線Sjを通して浮遊容量Cが接続されており、容量は浮遊容量C>コンデンサ13の容量である。このため、コンデンサ13の他方端子電位は殆ど変化しない。
次に、時間12t1以降の、画素回路Bijの非選択期間について説明する。まず、時間13t1〜23t1を第2期間とする。
第2期間では、制御配線Ciの電位をHigh(GH)とし、スイッチ用TFT10をオン状態とする。これにより、コンデンサ13の他方端子は駆動用TFT6のドレイン端子に接続される。
また、制御配線Riの電位をLow(GL)とし、スイッチ用TFT7をオン状態とする。これにより、駆動用TFT6のドレイン端子は、スイッチ用TFT7を通して有機EL20の陽極に接続される。
このように、本実施形態においては、第2期間においてスイッチ用TFT10をオンしてコンデンサ13の他方端子と駆動用TFT6のドレイン端子とを接続するとともに、スイッチ用TFT7をオンするようになっている。
このとき、駆動用TFT6を流れる電流Idsは、先にコンデンサ13の他方端子へ与えた電位Vdaと、駆動用TFT6の閾値・移動度特性と、有機EL20の電圧電流特性とにより決定される。すなわち、コンデンサ13の他方端子に与えた電位に基づいて決定される。
時間23t1にて制御配線Ciの電位がLow(GL)となり、スイッチ用TFT10がオフ状態となったとき、駆動用TFT6のゲート端子には、電流値Idsに対応した電位が保持される。
以上に説明したように、画素回路Bijについての第1期間及び第2期間によって、駆動用TFT6のゲート端子に、電流値Idsに対応した電位を保持できる。なお、次の画素回路A(i+1)jについての第1期間を12t1から始めることができるのは、実施の形態1と同様である。
以上のように説明した画素回路Bijの動作について、図8(a)〜(c)(以下では、図8(a)〜(c)の全体を単に図8と呼ぶ。)にシミュレーション結果を示す。図8(a)(b)には、表示装置1における駆動動作を示し、図8(c)には、駆動用TFT6のゲート電位N1、ドレイン電位N2、駆動用TFT6のソース・ドレイン端子間を流れる電流Idsの変化をシミュレーションした結果を示す。なお、図8(c)において示しているゲート電位N1(1)〜N1(5)、ドレイン電位N2(1)〜N2(5)、駆動用TFT6のソース・ドレイン端子間を流れる電流Ids(1)〜Isd(5)のそれぞれは、上述の表1に示す、駆動用TFT6の閾値電圧・移動度の特性を用いて求めたものである。
ここで、時間0〜t1は、図8に示す時間1.988〜1.992msに相当する。また、第1の期間である時間t1〜11t1は、図8に示す時間1.992〜2.044msに相当する。
このうち、時間t1〜2t1に相当する時間1.992〜1.996msの間は、駆動用TFT6から有機EL20に向け電流が流れる。その後、駆動用TFT6のゲート電位N1は、上記条件における駆動用TFT6の閾値電位となる。なお、この間は、N1=N2となり、図では重なって表示している。そして、上記の時間11t1に相当する時間2.044msにおいて第1期間を終了する。
次に、時間13t1に相当する時間2.052msにて第2期間を開始し、時間23t1に相当する時間2.108msにて第2期間を終了する。このとき、駆動用TFT6のゲート電位をコンデンサ13、12に保持する。
なお、図8に示すように、時間2.108msに制御配線Ciの電位を変化させたことに伴い、駆動用TFT6のゲート電位が変化し、駆動用TFTを流れる電流Idsは若干変化している。
ここで、図6に示す画素Bijの回路構成では、有機EL20が電圧電流変換手段を兼ねている。このため、この時間2.108ms(上記時間23t1)で制御配線CiをLowとする動作は必ずしも必要ない。むしろ、このまま制御配線Ciの電位はHighとしておけば、上記のような電流Idsの変動が起きないので好ましい。その場合、制御配線Ciは、第1期間の直前、すなわち時間1.988(時間0)でLowとする。このように、ゲート配線GiをHighとする前に、スイッチ用TFT10をオフ状態とすることが好ましい。その後、駆動用TFT6から有機EL20へ向け電流がIdsが流れる。
図9は、入力映像信号Daの電位を変化させながら、この電流Idsをシミュレーションした結果を示す。
図9に示すように、本実施形態の構成によれば、比較的電流の小さな領域(Ids≦0.2μA)において、駆動用TFT6の特性ばらつきによらず、その駆動用TFT6を流れる電流値のばらつきを少なくできる。したがって、充分な選択時間を確保できる表示装置が得られる。
このように、本実施形態の構成によれば、実施の形態1と比較して画素当たりの素子数を減らすことができる上に、実施の形態1同様に比較的簡単な回路構成でソースドライバ回路2を構成できる。したがって、パネル下側の狭額縁化が可能となる。また、歩留まり低下を抑え、1シート当たりから取れるパネル数が減少を防ぎ、パネル当たりのコスト上昇を防ぐことができる。
〔実施の形態3〕
本実施の形態3では、本発明に係る表示装置のさらに他の例について説明する。
ここで、上述の実施の形態2においては、有機EL20を電圧電流変換手段として用いた画素回路Bijについて説明した。
しかしながら、有機ELは、温度依存する電圧電流特性を有している。また、有機ELは、発光させ続けると徐々にその温度を上昇させ、やがて飽和した一定温度となる。このため、既に発光している画素を続けて発光させる場合と、発光していない画素を新たに発光させる場合とで、同じ電圧をソース配線Sjに与えても、駆動用TFT6のソース・ドレイン間を流れる電流値が異なることになる。これは、数ms期間程度の焼き付け現象として認識される。
また、有機ELの電圧電流特性には経時変化がある。このため、頻繁に発光させた画素に電流を流す場合と、たまにしか発光させない画素に電流を流す場合とでは、同じ電圧をソース配線Sjへ与えても、駆動用TFT6のソース・ドレイン間を流れる電流値が異なることになる。これは、使用時間と供に増える焼き付け現象として認識される。
ここで、実施の形態1にて説明した、図1の画素回路Aijのように、電圧電流変換手段として画素回路に抵抗14を配置すれば、上記焼き付けを目立たなくできる。しかしながら、画素当たりの素子数が増えるという問題を生じてしまう。
そこで、本実施の形態3では、画素回路Cijではなく、駆動回路(供給回路)5a側に工夫をする。すなわち、図10に示すように、駆動回路5aに抵抗19(電圧電流変換手段)を配置する。そして、スイッチング用TFT(電流制御スイッチング素子)18を、ソース配線Sjと抵抗19との間に接続する。すなわち、この構成においては、抵抗19を用いて電流を調整する経路として、ソース配線Sjを用いる。
以下、この画素回路Cijおよび駆動回路5aの構成について説明をする。なお、本実施の形態で用いる表示装置は、画素回路Cij及び駆動回路5aが異なるだけであり、その他は実施の形態1や2と変わらない。そこで、上述の実施の形態で説明した部材と同じものについては、同じ符号を用いて説明は省略する。
図10に示すように、画素回路Cijにおいては、駆動用TFT6とスイッチ用TFT7と有機EL20とが、電源配線Vpと共通配線Vcomとの間に直列に接続されている。駆動用TFT6のゲート端子とソース端子の間には、コンデンサ12が接続されている。駆動用TFT6のゲート端子とソース配線Sjの間には、スイッチ用TFT21(信号切換スイッチング素子)とコンデンサ22(保持手段、保持コンデンサ)とが直列に接続されている。
このように、本実施の形態では、始めからコンデンサ22の他方端子が、ソース配線Sjに接続されている。そして、コンデンサ22の一方端子と駆動用TFT6のゲート端子との間に、スイッチ用TFT21が接続されている。
また、駆動用TFT6のゲート端子とドレイン端子の間には、スイッチ用TFT9が接続されている。
また、駆動用TFT6のドレイン端子とソース配線Sjの間には、スイッチ用TFT17(調整手段、電流調整スイッチング素子)が接続されている。ソース配線Sjはコンデンサ22の他方端子と接続されているので、スイッチ用TFT17はコンデンサ22の他方端子と駆動用TFT6のドレイン端子との間に接続されている、と表現することもできる。
また、スイッチ用TFT21のゲート端子にはゲート配線Giが接続されている。各スイッチ用TFT7、TFT9、TFT17のゲート端子には、それぞれ制御配線Ri、Pi、Ciが接続されている。
一方、駆動回路5aは、スイッチ用TFT15・16に加えて、スイッチ用TFT18および抵抗19を含んでいる。
スイッチ用TFT15は、電圧配線Vcとソース配線Sjとの間に接続されている。スイッチ用TFT16は、入力映像信号配線Daとソース配線Sjとの間に接続されている。抵抗19とスイッチ用TFT18は、電源配線Vrとソース配線Sjとの間に、直列に接続されている。これらスイッチ用TFT15、TFT16、TFT18のゲート端子には、それぞれ制御配線Pc、PGj、Wcが接続されている。
次に、図11に基づいて、画素回路Cij及び駆動回路5aにおける、制御配線Pc、入力映像信号配線Da、制御配線PGj(PG1,PGm)、ソース配線Sj(S1,Sm)、制御配線Wc、ゲート配線Gi、制御配線Ri、Pi、Ciの動作タイミングを説明する。
本実施の形態3では、時間0〜16t1を、画素Cijの選択期間とする。このうち、ゲート配線Giの電位をHighとする時間t1〜11t1を第1期間とする。
まず、時間0〜t1の間、制御配線Pcの電位をHigh(GH)としてスイッチ用TFT15をオン状態とし、電圧配線Vcからソース配線Sjへ向け電圧を供給する。なお、電圧配線Vcの電位は、入力映像信号Daの電位Vdaより大きい値に設定した。
また、時間2t1までの間、制御配線Riの電位をLow(GL)としてあるので、スイッチ用TFT7はオン状態のままとなる。ここで、制御配線Piの電位がHighであるので、スイッチ用TFT9がオンして駆動用TFT6のゲート・ドレイン端子が短絡されている。駆動用TFT6のドレイン端子にスイッチ用TFT7を介して有機EL20が接続されるので、駆動用TFT6のゲート電位は、駆動用TFT6のソース・ドレイン間に何らかの電流が流れる状態となる。時間2t1で制御配線Riの電位をHigh(GH)として、スイッチ用TFT7をオフ状態とする。
次に、時間2t1〜8t1までの間、順次、制御配線PGj(j=1〜m)の電位をHigh(GH)として、各ソース配線Sjに対応した駆動回路5のスイッチ用TFT16をt1時間ずつオン状態とする。この結果、ソース配線Sj(j=1〜m)には、画素Cijに対応した入力映像信号Daの電位Vdaが入力され、保持される。
また、時間t1〜11t1の第1期間では、ゲート配線Giの電位がHighであるため、スイッチ用TFT21がオン状態となる。このため、スイッチ用TFT21を介して、コンデンサ22の一方端子と駆動用TFT6のゲート端子とが接続される。
また、制御配線Piの電位もHighとして、スイッチ用TFT9をオン状態とする。この結果、スイッチ用TFT9により、駆動用TFT6のゲート端子とドレイン端子とが接続される。ここで、駆動用TFT6の初期状態は、ソース・ドレイン端子間に電流が流れる状態なので、そのゲート端子及びドレイン端子電位は、駆動用TFT6のソース端子から供給される電荷により上昇する。この電位上昇は、駆動用TFT6がオフ状態となるまで続くので、駆動用TFT6のゲート・ソース端子間電位は、駆動用TFT6の閾値電圧(Vth)となる。
なお、上記期間において、駆動用TFT6のゲート端子電位の変化にあわせて、コンデンサ22の両端の電荷は変化する。しかしながら、コンデンサ22の他方端子にはソース配線Sjを通して浮遊容量Cが接続されており、浮遊容量C>コンデンサ22の容量であるので、コンデンサ22の他方端子電位は殆ど変化しない。このコンデンサ22の電位は、時間11t1でスイッチ用TFT9をオフとすることで保持される。
次に、時間12t1〜15t1の第2期間について説明する。第2期間では、ゲート配線GiをHigh(GH)としたまま、制御配線Ciの電位をLow(GL)とする。その結果、スイッチ用TFT17がオン状態となる。これにより、コンデンサ13の他方端子は、ソース配線Sj、スイッチ用TFT17を通して、駆動用TFT6のドレイン端子に接続される。
また、制御配線Wcの電位をLow(GL)として、スイッチ用TFT18をオン状態とする。これにより、ソース配線Sjは、スイッチ用TFT18を通して抵抗19に接続される。
したがって、上述の実施の形態1と同様に、駆動用TFT6を流れる電流が小さいときは、コンデンサ22の他方端子電位は、先に与えられた入力映像信号Daの電位Vdaに近い値となる。この電位を電位Vda’とすると、駆動用TFT6を流れる電流Idsは、抵抗19の抵抗値Rと電源配線Vrの電位Vrを用いて、Ids≒(Vda’−Vr)/Rとなる。
時間15t1において、ゲート配線Giの電位をLow(GL)として、スイッチ用TFT22がオフ状態となったとき、駆動用TFT6のゲート端子には上記電流値Idsに対応した電位が保持される。
以上に説明したように、画素回路Cijについての第1期間及び第2期間によって、駆動用TFT6のゲート端子に、電流値Idsに対応した電位を保持できる。なお、次の画素回路C(i+1)jの第1期間は、16t1の後から始まる。
本実施形態の構成によれば、画素回路に抵抗を配置する必要がない。このため、画素当たりに配置する素子数を減らす効果がある。また、電圧電流変換手段として抵抗を用いているので、上記焼き付け現象も緩和できる。但し、本実施の形態の構成によると、第2期間でもソース配線Sjを用いるため、走査時間(選択期間)が長くなってしまう。
次に、以上のように説明した画素回路Cijの動作について、図12(a)〜(c)(以下では、図12(a)〜(c)の全体を単に図12と呼ぶ。)にシミュレーション結果を示す。図12(a)(b)には、表示装置1における駆動動作を示し、図12(c)には、画素回路Cijにおける駆動用TFT6のゲート電位N1、ドレイン電位N2、駆動用TFT6のソース・ドレイン間を流れる電流Idsの変化を示す。なお、図12(c)の計算にあたっては、駆動用TFT6の閾値電圧・移動度の特性として、上述の表1に示した条件を用いた。
ここで、時間0〜t1は、図12に示す時間3.284〜3.288msに相当する。
また、第1期間である時間t1〜11t1は図12に示す時間3.288〜3.340msに相当し、第2期間である時間12t1〜15t1は図12に示す時間3.344〜3.356msに相当する。
第1の期間のうち、まず時間t1〜2t1に相当する時間3.288〜3.292msの間は、駆動用TFT6から有機EL20に向け電流が流れる。駆動用TFT6のゲート電位N1は、上記条件における駆動用TFT6の閾値電位となる。なお、この間は、N1=N2となり、図では重なって表示している。時間11t1に相当する時間3.340msで第1期間を終了する。時間12t1に相当する時間3.344msから第2期間を開始する。時間15t1に相当する時間3.356msで第2期間を終了する。このときの駆動用TFT6のゲート電位を、コンデンサ13、12に保持する。その後、駆動用TFT6から有機EL20へ向けて、電流Idsを流す。
図13に、入力映像信号Daの電位を変化させながら、電流Idsをシミュレーションした結果を示す。図13に示すように、本実施形態の構成によれば、比較的電流の小さな領域(Ids≦0.4μA)において、駆動用TFT6の特性ばらつきによらず、その駆動用TFT6を流れる電流値のばらつきを少なくできる。
このように、本実施形態の構成によれば、例えば実施の形態1の構成と比較して、画素当たりの素子数を減らしても、上記のような比較的簡単な回路構成でソースドライバ回路2を構成できる。このため、パネル下側の狭額縁化が可能となる。また、歩留まり低下を抑え、1シート当たりから取れるパネル数の減少を防ぎ、パネル当たりのコスト上昇を防ぐことができる。
〔実施の形態4〕
本実施の形態4では、本発明に係る表示装置のさらに他の例について説明する。
上述した実施の形態3の構成では、第2期間においてもソース配線Sj(第1配線)を利用していた。このように、ソース配線を利用する時間が長くなると、ゲート配線1本当たりに必要な選択時間が増えてしまう。例えば、実施の形態1や実施の形態2では、ゲート配線1本当たりに必要な選択時間が12t1であったのに対して、実施の形態3では16t1に増えている。このように選択時間が増加すると、表示装置によっては十分な選択時間を確保できない場合が生じる。
本実施形態においては、このような問題を解決するために、図14に示すように、画素回路Dijに、ソース配線Sjに平行に配置された抵抗配線(配線)Tjと、スイッチ用TFT(電流制御スイッチング素子)23とを用いる。抵抗(電圧電流変換手段)24は、画素回路の外側、すなわちソースドライバ回路5側に配置する。この構成は、例えば図1に示す画素回路Aijの抵抗14とスイッチ用TFT11の代わりとなるものである。
図14に示すように、画素回路Dijにおいては、スイッチ用TFT23を駆動用TFT6のドレイン端子と配線Tjとの間に接続する。また、抵抗配線Tjと電源配線Vrの間に抵抗24を接続する。その他は、図1の画素回路Aijの構成と同様である。
これにより、第2期間でソース配線Sjを使う代わりに、抵抗配線Tjを用いることが可能となる。よって、実施の形態1や2と同様に、画素回路D(i+1)jの第1期間を、12t1期間後から始めることができる。その他の動作は実施の形態1と同様なので、ここではその詳しい説明は省略する。
なお、図14に示す画素回路Aijにおいて、抵抗配線Tjが増える分、画素当たりの配線数が増えて、必要な素子が画素に配置できない懸念がある。その場合は、図15に示すレイアウトのように、画素電極25と同じ面に抵抗配線Tjを形成しても良い。この画素電極25は、ITOや反射電極(Al)等で作られる。バンク26の内側(楕円の内側)は、バンクが形成されず、有機ELが形成される。したがって、図のように、画素電極と画素電極との間にバンクが形成され、その下側の一部に画素電極が形成されているので、その間に、画素電極と同じ材質で配線できる。
なお、図15において、駆動用TFT6のドレイン端子と有機ELの陽極25はスルーホール27で結ばれている。同様に、スイッチ用TFT23のドレイン端子と抵抗配線Tjはスルーホール28で結ばれている。また、これらのスルーホール28は、絶縁膜またはバンク26の下に隠れている。
このように、本実施形態の構成によれば、充分な選択時間を確保できる表示装置が得られる。
〔実施の形態5〕
上記実施の形態1〜3で説明した表示装置は、図示しないコントローラ回路からアナログ映像信号をアナログ電圧信号として入力していた。しかしながら、本発明に係る表示装置は、そのようなアナログ映像信号を入力する場合だけでなく、デジタル映像信号を入力する場合にも適用できる。本実施の形態では、そのような場合の表示装置31の構成について説明する。
本実施の形態の表示装置31は、1ビットのデジタル映像信号を用いて時間分割階調表示を行う表示装置である。
表示装置31は、図16に示すように、ソースドライバ回路32、ゲートドライバ回路33および画素回路Aijを含んでいる。
ゲートドライバ回路33には、アドレスAddが入力される。ゲートドライバ回路33は、入力されたアドレスAddに対応したゲート配線Giや制御配線Ri等に、必要な制御信号を出力する。
ソースドライバ回路32には、データ信号DxとスタートパルスSP、クロックclk、ラッチパルスLPが入力される。ソースドライバ回路32は1ビット構成である。シフトレジスタ34はmビット、レジスタ35はmビット、ラッチ36はmビットであり、アナログスイッチ回路37は2つの電位から1つの電位を選択する構成となっている。
ソースドライバ回路32には、mビットのシフトレジスタ34の先頭のレジスタへ、スタートパルスSPが入力される。シフトレジスタ34は、シフトレジスタ34内で、そのスタートパルスSPをクロックclkで転送する。シフトレジスタ34は、スタートパルスSPを転送するとともに、レジスタ35にタイミングパルスSSPとして出力する。
レジスタ35はmビットであり、シフトレジスタ34から送られてくるタイミングパルスSPにより、入力された1ビットのデータDxを、対応するソース配線Sjの位置毎に保持し、ラッチ36へと転送する。
そして、ラッチ36は、データDxを、mビットのデータとして、ラッチパルスLPのタイミングでアナログスイッチ回路37へと出力する。アナログ回路37では、対応する電位を選択し、ソース配線Sjへ出力する。
その後の動作は、実施の形態1〜3と同様なので、説明は省略する。
このように、本発明に係る表示装置は、時間分割階調表示を行うデジタル映像表示回路に適用することもできる。
この場合、図16の表示装置31と従来例の図19の表示装置101とを比較すれば分かるように、表示装置31においては、レジスタ35、ラッチ36、アナログスイッチ回路37(駆動回路)の構成が簡単となる。このため、比較的簡単な回路構成でソースドライバ回路2を構成でき、パネル下側の狭額縁化が可能となる。また、歩留まり低下を抑え1シート当たりから取れるパネル数の減少を防ぎ、パネル当たりのコスト上昇を防ぐことができる。
以上のように、本発明によれば、1画素当たりの選択期間を短くするとともに、ソースドライバ回路規模を小さくできる表示装置を提供できる。
上記実施の形態に記載のように、本発明に係る表示装置は、駆動用TFTのゲート端子に電位保持用コンデンサと補償用コンデンサを接続し、第1の期間で補償用コンデンサの他方端子に所望の電位を与え、駆動用TFTのゲート端子とドレイン端子を短絡し、第2の期間で、駆動用TFTのゲート端子とドレイン端子を開放し、補償用コンデンサの他方端子を駆動用TFTのドレイン端子と接続し、その出力電流値を設定することで、ソースドライバ回路構成の簡略化を図る。
ここで、従来の技術と本発明に係る表示装置(以下、本表示装置とする。)との差異について、補足的に説明する。
上述のように、図17に示すような特許文献1に記載の構成では、TFTの移動度ばらつきを補償することができなかった。
一方、例えば図1に示す、本表示装置の構成によれば、上述のように、駆動用TFTを流れる電流値のばらつきを小さくできる。
これは、図17と図1とを比較して分かるように、スイッチング素子10、11および抵抗14などの構成を、本表示装置が含んでいることによるものである。すなわち、本表示装置は、これらの構成を用いて、駆動用TFT6のゲート端子に所望の電流値Idsに対応した電位を保持させ、駆動用TFT6から有機EL20に向けて、設定された電流Idsを流す機能を実現する。
また、上述のように、特許文献2などに記載の構成によっても、TFTの移動度ばらつきを補償できる。
すなわち、特許文献2などの構成と、本表示装置の構成とは、互いに異なる方法により、TFTの移動度ばらつきを補正するものである。本表示装置の構成によれば、特許文献2などの構成では得られない、回路規模の増大抑止、1画素当たりの選択期間の短縮化などの効果が得られる。
以下で、特許文献2などに記載の構成について、図18〜図20に基づいて簡単に説明する。
図18に示すように、画素回路aijには、電源配線Vs、走査配線Gi、ソース配線Sjが接続されている。画素回路aijは、駆動用TFT110、スイッチ用TFT111・112・113、コンデンサ114、および有機EL素子109を備えている。画素回路aijの有機EL素子109の一端は、対向電極Vcomに接続されている。
駆動用TFT110、スイッチ用TFT111、および有機EL素子109は、電源配線Vsと対向電極Vcomとの間に、直列に配置される。スイッチ用TFT112は、ソース配線Sjと駆動用TFT110のドレイン端子との間に接続されている。スイッチ用TFT113は、駆動用TFT110のゲート端子とドレイン端子との間に接続されている。スイッチ用TFT111・112・113のゲート端子には、走査配線Giがそれぞれ接続されている。コンデンサ114は、駆動用TFT110のソース端子とゲート端子との間に接続されている。
この画素回路aijは、以下のように駆動される。まず、選択期間において、走査配線GiをLowとする。これにより、スイッチ用TFT111がオフ状態となり、スイッチ用TFT112・113がオン状態となる。
この状態で、電源配線Vsから、駆動用TFT110およびスイッチ用TFT112を介して、ソース配線Sjへ電流を流す。ここで、ソース配線Sjに流れる電流値は、ソース配線Sjに接続される、図示しないソースドライバ回路の電流源で制御することができる。そこで、ソースドライバ回路の電流源にて、駆動用TFT110の出力電流値を所定の電流値となるよう制御すると、駆動用TFT110のゲート電圧が所定の値に設定される。
以上のようにして、駆動用TFT110のゲート電位は、駆動用TFT110の閾値電圧のばらつきや移動度のばらつきによらず、駆動用TFT110の出力電流値がソースドライバ回路の電流源から与えられた電流値となるように設定される。その後、選択期間を終了する。
図19は、図18に示す画素回路を含む表示装置の一例を示すものである。表示装置101は、複数の画素回路aij、ソースドライバ回路102、ゲートドライバ回路103、基準電流源104を有している。
各画素回路aijは、ソース配線Sjとゲート配線Giが交差する付近に配置されている。
また、ソースドライバ回路102は、シフトレジスタ105、レジスタ106、ラッチ107、および複数の駆動回路108を備えている。ソースドライバ回路102は6ビット構成であり、シフトレジスタ105はmビット、レジスタ106はm×6ビット、ラッチ107はm×6ビット、駆動回路108は各6ビット構成となっている。
ソースドライバ回路102において、シフトレジスタ105の先頭のレジスタに、スタートパルスSPが入力される。シフトレジスタ105では、クロックclkに応じてスタートパルスSPがシフトレジスタ105内を転送される。スタートパルスSPは、転送されるとともに、シフトレジスタ105からレジスタ106に、タイミングパルスSSPとして出力される。レジスタ106には、タイミングパルスSSPと6ビットのデータDaとが入力される。レジスタ106は、タイミングパルスSSPに応じて、対応するソース配線Sjの位置毎に、データDaを保持し、ラッチ107へと転送する。ラッチ107は、入力されるラッチパルスLPに応じて、ソース配線Sj毎に、6ビットのデータを駆動回路108へ出力する。
次に、図20に基づいて、駆動回路108の構成を説明する。駆動回路108は、基準電流源104から接続されている基準電流配線I0〜I5と、データ信号線D0〜5と、メモライジング信号MSjとから、駆動電流を設定し、ソース配線Sjへ出力するものである。
駆動回路108には、ラッチ107からデータが入力されるデータ信号線D0〜D5と、基準電流源104から電流が入力される基準電流配線I0〜I5とが、接続されている。また、駆動回路108には、設定した電流を出力するためのソース配線Sjと、メモライジング信号MSjの配線とが接続されている。
また、駆動回路108は、基準電流配線およびデータ信号線の数に応じた、6個のカレントコピア回路を備えている。なお、図20には、簡単のため、基準電流配線I0およびI5に接続されたカレントコピア回路115のみを示し、基準電流配線I1〜I4に接続されたカレントコピア回路は省略している。各カレントコピア回路は同様の機能を有しているので、以下では、データ信号線D5および基準電流配線I5に接続されたカレントコピア回路115について説明をする。
基準電流配線I5に接続されたカレントコピア回路115は、n型の駆動用TFT116、n型のスイッチ用TFT117〜119、および記憶用コンデンサ120を備えている。
駆動用TFT116のソース端子は接地されている。記憶用コンデンサ120の一方の電極(接地側電極)は、駆動用TFT116のソース端子に接続されて接地されている。記憶用コンデンサ120の他方の電極(ゲート側電極)は、駆動用TFT116のゲート端子に接続されている。
スイッチ用TFT117・118のゲート端子には、メモライジング信号MSjが入力される。スイッチ用TFT119のゲート端子はデータ信号線D5に接続されている。スイッチ用TFT117のソース端子は、記憶用コンデンサ120のゲート側電極に接続されている。スイッチ用TFT118のドレイン端子は、基準電流配線I5に接続されている。スイッチ用TFT119のドレイン端子は、ソース配線Sjに接続されている。また、スイッチ用TFT117のドレイン端子、スイッチ用TFT118のソース端子、スイッチ用TFT119のソース端子および駆動用TFT116のドレイン端子が、互いに接続されている。
上記構成の駆動回路108におけるソース配線Sjへの出力動作は、以下のように行われる。
まず、データ信号D0〜D5をLowとしてスイッチ用TFT119をオフ状態とする。また、メモライジング信号MSjをHighとし、スイッチ用TFT117・118をオン状態とする。これにより、基準電流源104から出力される基準電流I5が、スイッチ用TFT118のドレイン・ソース端子を通って、駆動用TFT116のドレイン・ソース端子間に流れる。このとき、駆動用TFT116のゲート電位は基準電流I5を流す状態となるので、記憶用コンデンサ120のゲート側電極の電位はその状態に応じた電位となる。
その後、メモライジング信号MSjをLowとし、スイッチ用TFT117・118をオフ状態とする。この結果、記憶用コンデンサ120のゲート側電極に、設定された電位が保持される。したがって、記憶用コンデンサ120によって、駆動用TFT116のゲート端子に、基準電流I5に対応する電位を保持できる。
この状態において、データ信号D5をHighとし、スイッチ用TFT119をオン状態とする。これによって、駆動用TFT116のゲート電位に対応する基準電流I5を、駆動用TFT119を介してソース配線Sjに出力できる。
このように、各カレントコピア回路115において、それぞれデータ信号D0〜5に応じて基準電流I0〜I5をソース配線Sjに出力すれば、6ビットの階調表示(64階調)に対応する駆動電流を駆動回路108から出力できる。
すなわち、図18〜20を参照して説明した従来の構成は、階調に応じた駆動電流を駆動回路側で作り、画素回路へと供給するものである。
上述のように、この従来の構成は、本表示装置の構成とは別の方法によって、駆動用TFTを流れる電流値のばらつきを小さくできるものである。しかしながら、この従来の構成は、本表示装置と比較すると、一画素当たりの選択期間を短くすることができず、またソースドライバ回路が例えば定電流回路であるのでソースドライバ回路規模を小さくできない、という欠点を有している。より詳細に説明すると、以下のようになる。
ソースドライバの規模を小さくできない点について説明すると、以下のようである。すなわち、図20に示す駆動回路108では、ソース配線Sjの1本当たり4×6=24個のTFTを必要とする。さらに、ソース配線Sj1本当たり、6ビットのラッチ107と6ビットのレジスタ106を必要とする。このため、回路規模を小さくすることは困難である。
また、ソースドライバ回路102を構成するのに必要な面積が大きくなるので、パネル下のソースドライバ回路102を配置する額縁は大きくなる。さらに、ソース配線Sj1本当たりに必要なソースドライバ回路102の規模が大きくなると、ソースドライバ回路102をTFTで作る場合に、その歩留まりが低下する。これによって、決められた1シート当たりから取れるパネル数が減少し、パネル当たりのコスト上昇に繋がる。
次に、1画素当たりの選択期間を短くすることができない点について説明すると、以下のようである。図18の回路構成においては、ソース配線Sjには浮遊容量Cが生ずる。また、ソース配線Sjからソースドライバ102へ向けて流れる電流値I0は、予め定められている。この場合、ソース配線Sjの初期電位をV0とすると、ソース配線Sjには、Q=C×V0の電荷Qが存在する。一方、駆動用TFT110が最終的に電流I0を流すために必要なゲート電位をVgとすると、ソース配線Sjの電位はV0からVgへ変化する必要がある。そこで、ソース配線Sjから、図19に示すソースドライバ102へ向けて流すべき電荷ΔQは、ΔQ=C×(V0−Vg)となる。この電荷ΔQを流すのに必要な時間Δtは、電流i=ΔQ/Δt(電荷変化の微分値)であるので、Δt=ΔQ/I0となる。
この見積もりを、より具体的に検討する。まず、ソース配線Sjの浮遊容量は、図18に示すような画素回路構成を図19に示すようにマトリックス状に配置する場合に、選択されていないスイッチ用TFT112がソース配線Sjの浮遊容量として働くことによるものである。このため、ソース配線Sjの浮遊容量は数pFとなる。
このような画素回路を、図20に示す駆動回路108で駆動する。駆動回路108は6bit階調(64階調)構成なので、その出力電流値の最小値を1とすると最大値は63となる。
ここで、画素に配置された有機EL109に流すべき電流は数μA以下である。仮に、この最大電流値を10μAとする。すると、最小電流値は10μA/63≒0.16μAとなる。また、仮に、ソース配線Sjの浮遊容量Cを10pFとする。
このとき、有機EL109に流すべき電流iが0.16μAであれば、ソース配線Sjの電位vを1V変化させるのに必要な時間t1は、t1=v×C/i=1×10pF/0.16μA=63μsとなる。
一方、図19に示す表示装置のゲート配線数を240本(QVGA相当)とすれば、1フレーム周期を1/60sとするとき、1ゲート配線当たりの選択期間t2は、t2=(1/60)/240≒69μsとなる。
以上の見積もりによると、図19に示す構成の表示装置においては、各画素に配置された駆動用TFT110のゲート端子に設定される電位が1.1V以上変化すると、書込みに割り当てることのできる上述の選択期間t2では足りなくなってしまう。
また、駆動用TFTのゲート幅の設定は、そのTFTを流れる電流値の限界がI0より何倍か大きくなるよう設定する。このため、本表示装置の構成によれば、図18に示す従来技術の構成よりも、選択時間を短くできる。
ここで、上述の表示装置を、マトリックス状に駆動用トランジスタと電流駆動素子を配置した表示装置であって、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と基準電位端子の間に第1コンデンサを接続し、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と第1配線の間に第2コンデンサと第1スイッチ用トランジスタを直列に接続し、第2コンデンサの一方端子が上記駆動用トランジスタの電流制御端子側となるようにし、第1期間において、上記第2コンデンサの他方端子を第1配線と短絡するとともに、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と電流入出力端子との間を短絡し、第2期間において、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と電流入出力端子との間を開放するとともに、上記第2コンデンサの他方端子を上記駆動用トランジスタの電流入出力端子に接続する構成である、と表現することもできる。
なお、「第2コンデンサの一方端子が上記駆動用トランジスタの電流制御端子側となるよう」とは、第2コンデンサの2つの端子のうち、上記駆動用トランジスタの電流制御端子側を一方端子と呼ぶことを意味する。
また、「第2コンデンサの他方端子を第1配線と短絡」とは、例えば図10に示すコンデンサ22(第2コンデンサ)とソース配線Sj(第1配線)についても、常に短絡されているものとして、含むものとする。
第1期間において、第2コンデンサの他方端子へ第1配線を通して所望の電位Vdaが印加されるとともに、駆動用トランジスタの電流制御端子(ゲート端子)電位と基準電位端子(ソース端子またはドレイン端子)間の電位Vgsが、その駆動用トランジスタの閾値電位(Vth)に対応した電位となる。
そして、第2期間において、駆動用トランジスタの電流制御端子と電流入出力端子との間を開放することで、第2コンデンサの他方端子が先に与えられた電位Vdaのとき、上記駆動用トランジスタの電流制御端子電位が上記閾値電位(Vth)に対応した電位Vgsとなる。
そこで、上記第2期間において、第2コンデンサの他方端子を駆動用トランジスタの電流入出力端子(ドレイン端子)に接続する。このとき、駆動用トランジスタの電流入出力端子に、抵抗やダイオード等の電圧電流変換手段が接続されていれば、駆動用トランジスタの電流入出力端子を流れる電流は、所望電位Vdaにより、電圧電流変換手段で定められる電流値Idaとなる。そして、この電流値Idaに対応した電位が駆動用トランジスタの電流制御端子に設定される。
上記表示装置は、以上のように、第1期間で第2コンデンサの他方端子に所望の電位Vdaを与えることで、その駆動用トランジスタの出力電流値を定めることができる。そして、コントロールIC等の外部信号源から表示したい映像信号に対応した所望の電位Vdaを出力し、上記表示装置の各画素の第2コンデンサの他方端子に与えることで、各電流駆動素子へ与える電流値を定めることができる。
また、上述の表示装置を、マトリックス状に駆動用トランジスタと電流駆動素子を配置した表示装置であって、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と基準電位端子の間に第1コンデンサを接続し、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と第1配線の間に第2コンデンサと第1スイッチ用トランジスタを直列に接続し、第2コンデンサの一方端子が上記駆動用トランジスタの電流制御端子側となるようにし、上記駆動用トランジスタの電流制御端子と電流入出力端子との間に第2スイッチ用トランジスタを接続し、上記第2コンデンサの他方端子と上記駆動用トランジスタの電流入出力端子との間を接続する第3スイッチ用トランジスタを備えている構成である、と表現することもできる。
上記構成によれば、第1期間において第2スイッチ用トランジスタをオン状態とすることで、駆動用トランジスタの電流制御端子と電流入出力端子との間を短絡できる。
また、第2期間において、第2スイッチ用トランジスタをオフ状態とすることで、駆動用トランジスタの電流制御端子と電流入出力端子との間を開放できる。
そして、第2期間において、第3スイッチ用トランジスタをオン状態とすることで、第2コンデンサの他方端子を駆動用トランジスタの電流入出力端子に接続できる。
なお、この接続には3つの構成がある。第1の構成は、第2コンデンサの一方端子が駆動用トランジスタの電流制御端子に接続され、第2コンデンサの他方端子が第3スイッチ用トランジスタと接続される場合である。
第2の構成は、第2コンデンサの一方端子が駆動用トランジスタの電流制御端子に接続され、第3スイッチ用トランジスタが第1配線と接続される場合である。
第3の構成は、第1スイッチ用トランジスタが駆動用トランジスタの電流制御端子に接続され、第3スイッチ用トランジスタが第1配線と接続される場合である。
また、上記構成において、上記駆動用トランジスタの電流入出力端子と上記電流駆動素子の間に第4スイッチ用トランジスタを備えた構成も好ましい。
上記表示装置では、第1期間において、駆動用トランジスタの電流入出力端子の電位は、駆動用トランジスタの閾値電位(Vth)に対応した電位となる。したがって、電流駆動素子として有機ELのような電流駆動型素子を用いる場合、この第1期間において電流駆動素子へ印加される電圧は、駆動用トランジスタの閾値電位(Vth)の影響を受けてばらつく。その結果、駆動用トランジスタの電流入出力端子を流れる電流Idsは、駆動用トランジスタの閾値電位(Vth)の影響を受けてばらつく。この電流ばらつきは、第2期間において駆動用トランジスタの電流入出力端子を流れる電流に影響を与えるので、余り好ましいものではない。
そこで、第1期間に駆動用トランジスタの電流入出力端子を流れる電流Idsを一定とすることが好ましい。具体的には、本発明の好ましい構成のように、駆動用トランジスタの電流入出力端子と電流駆動素子の間に第4スイッチ用トランジスタを設け、第1期間において第4スイッチ用トランジスタをオフ状態とすることで、第1期間に駆動用トランジスタの電流入出力端子を流れる電流Idsを0とする。
また、上記表示装置では、上記構成において、駆動用トランジスタの電流入出力端子と電圧電流変換手段との間に、第5スイッチ用トランジスタを備えた構成も好ましい。
ここで、本発明に係る表示装置において、第2の期間で駆動用トランジスタの電流入出力端子に接続される電圧電流変換手段として、電流駆動素子を用いる場合と、抵抗等他の素子を用いる場合がある。
電流駆動素子として有機ELを用いる場合、その電流駆動素子自体がダイオード特性を示すので、電流駆動素子を電圧電流変換手段として用いることができる。
しかしながら、有機ELの電圧電流特性には温度依存性があり、また経時変化もある。このため、温度依存性や経時変化のない電圧電流変換手段を導入することが好ましい。
そこで、本発明の好ましい構成のように、電流駆動素子とは別に、抵抗や別の有機EL素子等を用いて電圧電流変換手段を構成する。また、電圧電流変換手段と駆動用トランジスタの電流入出力端子の間に第5スイッチ用トランジスタを接続する。第2期間において、第5スイッチ用トランジスタをオンとすることで、電圧電流変換手段を用いて所望電位Vdaに対応した電流値Idaを得ることが好ましい。
また、上述の表示装置は、上記構成において、第1配線と電圧電流変換手段の間に第5スイッチ用トランジスタを備えている構成も好ましい。
すなわち、上記のように、電流駆動素子とは別に、抵抗や別の有機EL素子等を用いて電圧電流変換手段を構成する場合に、その電圧電流変換手段を画素(駆動用トランジスタと電流駆動素子から構成される表示単位)毎に配置することが難しい場合がある。そのような場合、電圧電流変換手段を第1配線毎に配置し、第1配線と電圧電流変換手段の間に第5スイッチ用トランジスタを設けることが好ましい。
上述の具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明はそのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、変更した形態や、実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。