JP2005224050A - 潮流計算方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】計算プログラムを複雑にすること無く、電力系統の定常状態を求めるための潮流方程式の解法を短時間に行うこと。
【解決手段】ステップS11で発電機以外の母線の指定条件を設定し、S12で各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成すると共に前記発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る状態を近似する曲線の方程式を指定して前記連立方程式系に組み入れ、S13で複素電圧の初期値を仮定し、S14で前記曲線の方程式のスカラパラメータの初期値を設定し、S15で前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求め、S16で前記繰り返し計算結果の収束条件が全発電機について成立するまで、前記スカラパラメータの値を小さくして、S15、S16の処理を行うことにより、潮流方程式の解法を短時間に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力系統の定常状態を求める潮流計算に係り、特に計算時間を短縮化する潮流計算方法に関する。
電力系統における潮流計算は、負荷母線の電力需要,発電機の有効電力出力,端子電圧等の条件を与えて潮流方程式を解くことにより、各母線の電圧の大きさや位相角を求める計算である。その際に、現実の系統状態を精度良く模擬するには、設備容量制約を考慮する必要がある。設備容量制約として考慮すべき最も重要なものが、「無効電力出力制約」である。
この潮流計算を行うに際して、母線に接続されている発電機は基本的に有効電力と端子電圧を決定できる(解析者の立場でいうとPV指定)と考える。そして母線に接続されている負荷は有効電力と無効電力とを決定できる(同PQ指定)と考える。ひとつの母線(ノード)には発電機と負荷の一方または両方が存在できる。そしてどちらも接続されない母線は中間母線と呼ばれ、形式的にはPQ指定として扱われる。但し指定値は零とする(P=Q=0)。
潮流計算は、n本の非線形方程式を連立した、連立非線形方程式を解法することである。個々の非線形方程式は潮流方程式と呼ばれるものである。そしてそれらを連立した方程式群もまた潮流方程式と呼ばれる。
未知数は式の本数と同じn個である。未知数は各母線の複素電圧の位相角または大きさである。すなわち全ての条件式を満たすような各母線の複素電圧を求めるのが、潮流計算の主目的である。母線電圧が決まれば、あとは僅かな計算で線路の電力潮流が得られる。この潮流方程式の数値解法として最もポピュラーなのはNewton-Raphson(ニュートン・ラフソン)法である(例えば非特許文献1参照)。Newton-Raphson法では、繰り返し計算により解の近似精度を上げていく。複素電庄が許容誤差の範囲で非線形方程式群を満たすとき、解が得られたとみなす。許容誤差は例えば10-6である。このような潮流計算において、発電機の無効電力出力には設備容量上の上限がある。潮流計算で現実的な解を得るためには、計算上この制約を考慮する必要がある。
この無効電力出力制約は試行錯誤により考慮するのが一般的である。以下この試行錯誤法について説明する。解くべき非線形方程式系から、当該発電機母線に関するものだけを抜き出すと次のようになる。
Pset=p(x)…(1)
Vset=v(x)…(2)
(1)式は有効電力を指定する式である。Psetは有効電力指定値である。p(*)は当該母線の有効電力に関する潮流方程式である。xは全ての未知数を並べたベクトルである。Vsetは電圧指定値である。v(*)は、未知数から当該母線の電圧を構成する関数である。例えば複素電圧を直交座標系で表わしている場合、未知数xにはその実部と虚部が別々に実数として含まれていて、関数v(x)によりそれらが抽出され端子電圧が得られる形となる。極座標系を用いた場合には、より単純に、(2)式が見かけ上現れないような定式化が可能だが、両方の座標系のケースを考慮して、統一的に、上の二つの式で表わすことができる。上の二つの式がすなわちPV指定であることを表わしている。
前述の通り発電機はまず原則的にはPV指定とする。そして潮流計算を行う。その結果解としてxが得られる。そして無効電力は、発電機の無効電力を求めるための関数q(*)を使って得られるq(x)である。もしもQlim≧q(x)であれば、当該発電機に関して制約違反はない。ここでQlimは無効電力出力の上限である。一方Qlim<q(x)であれば、制約違反が起きている。この場合には、次のような再計算を行う。
まず、当該発電機に関する条件式を次の二式に変更する。
Pset=p(x)…(3)
Qlim=q(x)…(4)
すなわち電圧に関する条件式を無効電力に関する条件式に置き換える。(なお、(3)式と(4)式はPQ指定であることを表している。)そして新しい方程式系を対象に再計算を行う。そして解として、一般にはVset>v(x)なる、若干端子電圧が低下したものが得られることが知られている。
上記した手続きは、「計算結果を見て、不都合なら条件を変えて再計算」というものであるから、いわゆる試行錯誤であり、前述した試行錯誤法と称される理由である。
図6は試行錯誤法を用いた従来の潮流計算の計算手順を示したフローチャートであり、多くの実用的な潮流計算プログラムは、どれも概ねこの手順に沿って無効電力出力制約を考慮した計算を行うことになっている。まず、ステップS1の「各母線の指定条件(PV又はPQ)を仮定」では、発電機母線を仮にPV指定する。経験上PQ指定となることが明らかな発電機がある場合には、はじめからPQ指定を仮定する。発電機以外の母線は、PQ指定に設定する。
ステップS2の「各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成」では、指定条件に基づき、条件式のリストと、未知数のリストを作成する。さらにNewton-Raphson法で用いられるヤコビアン行列の構造を求めておく。ヤコビアン行列とは、各条件式を各未知数で偏微分したものを要素として並べたn×nの行列である。母線間に送電線があれば非零要素、なければ零要素となるため、多くの零要素を持つ。ここでは非零要素がどの量を使ってどの式により計算されるのかを、あらかじめ明らかにしておく。この目的は、後に行う潮流計算を高速に行うことである。
ステップS3の「複素電圧の初期値を仮定」について説明する。一般に繰り返し計算は、初期値が「当たらずとも遠からず」でないと現実的な解に収束しない。このためこのような初期設定が必要である。多くの場合フラットスタートと呼ばれる「電圧の大きさを1、位相角を零とする」初期値設定が採られる。
ステップS4の「繰り返し計算により各母線の複素電圧を算出(潮流計算)」では、Newton-Raphson法により、実際に非線形連立方程式を解く。満たすべき条件式の全てが、収束条件を満たす(収束誤差が許容誤差以下となる)まで、線形化した連立方程式を繰り返し解く(逆行列計算)。
ステップS5の条件分岐では、無効電力出力制約が満たされているかをチェックし、満たされていれば終了する。満たされていない場合には、満たされていない発電機全てについて同時に、PQ指定に変更する。
なお、指定変更後潮流計算を行うと、新たな制約違反が生じ得る。このため指定変更を行った後の再計算後も、制約違反の有無を再度チェックするような手順となっている。
「拡張複素数領域におけるニュートン・ラフソン形潮流計算法」電気学会論文誌、111(1991)、252−258
しかしながら、従来の試行錯誤法による潮流方程式の数値解析では、発電機数が多くなったとき、解くべき方程式系の変更に伴う指定変更の回数が増えるため、計算時間の増加を招く結果となっている。そこで、この計算時間の低減のために、指定条件の変更に伴う方程式系の変更を高速に行うプログラミング技法も考案され実用化されているが、プログラムが複雑になってしまうという課題がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、潮流計算プログラムを複雑にすること無く、電力系統の定常状態を求めるための潮流方程式の数値解法を短時間に行うことができる潮流計算方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、電力系統の定常状態を求めるために潮流方程式を解法する潮流計算方法であって、前記潮流方程式を解法するための前記電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線の方程式を指定するステップと、前記指定された曲線の方程式と前記潮流方程式を連立して数値解法するステップとを具備することを特徴とする。
また、本発明は、電力系統の定常状態を求めるために潮流方程式を解法する潮流計算方法であって、発電機以外の母線の指定条件を設定するステップと、各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成すると共に前記発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る状態を近似する曲線の方程式を指定して前記連立方程式系に組み入れるステップと、複素電圧の初期値を仮定するステップと、前記曲線の方程式のスカラパラメータの初期値を設定するステップと、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、前記繰り返し計算結果の収束条件が全発電機について成立したか否かを判定するステップと、前記収束条件が成立していない場合に前記スカラパラメータの値を小さくするステップと、前記小さくしたスカラパラメータを設定した後、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップとを具備することを特徴とする。
このように本発明では、前記潮流方程式を解法するための電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線の方程式を指定することにより、無効電力出力制約が満たされていない場合に従来の試行錯誤法では必要であった解くべき潮流方程式系の変更を行うことなく、繰り返し計算による数値解法を短時間に行うことができる。
また、本発明は、電力系統の定常状態を求めるために潮流方程式を解法する潮流計算方法であって、発電機以外の母線の指定条件を仮定するステップと、各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成すると共に発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る状態を近似する曲線の方程式を指定して前記連立方程式系に組み入れるステップと、複素電圧の初期値を仮定するステップと、前記連立方程式系を数値解法したときの解の収束条件に対する許容誤差を仮に設定するステップと、前記曲線の方程式のスカラパラメータの初期値を設定するステップと、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、前記繰り返し計算結果の収束条件が全発電機について成立したか否かを判定するステップと、前記収束条件が成立していない場合に前記スカラパラメータの値と共に前記仮の許容誤差を小さくするステップと、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、前記小さくしたスカラパラメータ及び仮の許容誤差を設定した後、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップとを具備することを特徴とする。
このように本発明では、前記潮流方程式を解法するための電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線の方程式を指定して潮流方程式を繰り返し計算により数値解法する際に、解の収束条件を当初緩めに設定し、その後、真の収束条件或いはそれ以下に漸近させることにより、真の収束条件を満たす解を得る時間を更に一層短縮化することができる。
本発明によれば、前記潮流方程式を解法するための前記電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線の方程式を指定し、この曲線の方程式と潮流方程式を連立させて解くことにより、プログラムを複雑にすること無く、電力系統の定常状態を求めるための潮流方程式の数値解法を短時間に行うことができる。
また、上記した曲線の方程式と潮流方程式を連立させて数値解法する際に、解の収束条件を当初緩めに設定し、その後、真の収束条件或いはそれ以下に漸近させることにより、真の収束条件を満たす解を得る時間を更に一層短縮化することができる。
計算プログラムを複雑にすること無く、電力系統の定常状態を求めるための潮流方程式の数値解法を短時間に行う目的を、潮流方程式を解法するための前記電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線の方程式を指定し、この曲線の方程式と潮流方程式を連立させて数値解法する際に、前記曲線の方程式のスカラパメータをある正値から零に漸近させながら繰り返し計算することによって実現し、更に、前記数値解法する際に、解の収束条件を当初緩めに設定し、その後、真の収束条件以下まで減じつつ繰り返し計算することによって実現した。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る潮流計算方法の処理手順を示したフローチャートである。本実施の形態では電力系統の潮流方程式を試行錯誤法によらず数値解法する方法を述べたものであり、各計算手順を説明する前に本実施の形態の潮流計算方法の概念について説明する。
(1)PV指定条件とPQ指定条件の一括表現について述べる。PV指定条件とPQ指定条件は、次のように一括して表現できる。
Pset=p(x)…(5)
Qlim≧q(x)…(6)
Vset≧v(x)…(7)
g(x)=0 …(8)
但し、g(x)=(Vset−v(x))(Qlim−q(x))である。
(5)式(等式条件)はP指定条件である。(6)式(不等式条件)は無効電力出力制約である。(7)式(不等式条件)は次のような意味を持つ。PQ指定時に、仮に(この不等式制約がないとして)発電機の端子電圧が過大であったとする。このとき、端子電圧を下げて、無効電力を減らすことで、より無理のない(現実的な)運転点に移れる。すなわち「無効電力を上限まで出力して端子電圧を過大にしている」状態は、現実的にはあり得ない。このような非現実的な状態を避けるために(7)式の不等式条件を設けてある。
(8)式(等式条件)について説明する。これはPV指定の時も、PQ指定の時も、いずれの時も成立する。すなわち(8)式は「PV指定またはPQ指定であること」を意味している。
ここで、上記した(6)式、(7)式、(8)式を同時に満たす解は、図2の太線で表わされる。図2の太線は「発電機の端子電圧と無効電力に関わる全ての条件を満たすもの」である。図2では参考までに、需要が漸増する条件での発電機状態の動きを、矢印で図中に示している。図2のように横軸に端子電圧、縦軸に無効電力出力をとって運転点をプロットする図を、説明上、Q−V図と呼ぶ。
本実施の形態の潮流計算方法では、まず、図2のような「運転点が乗る折れ線」を、図3で示すなめらかな曲線100で近似する。曲線の方程式として次式を用いる。但しμ>0とする。
g(x)=μ …(9)
この(9)式は図4に示すように、Q−V面上の双曲線となる。μ→0の極限において双曲線はSを中心とした十字に漸近する。この性質を利用して、解を厳密解に近づける。すなわちμを図3に示すように徐々に零に近づけることで、双曲線を「なめらかなもの」から「折れ線に近いもの」へと徐々に変化させることができる。これを潮流計算の途中で行うことで、最終的に全ての条件を(許容誤差の下で)満たす解が得られる。以下に詳細、補足、留意事項を列挙する。
本実施の形態では、「運転点が乗る折れ線」を、図3で示すなめらかな曲線100で近似するため、数値計算は、従来の指定条件(PV指定かPQ指定か)に代えて、曲線を指定することになる。具体的には次式で与えられる曲線の方程式を潮流方程式と連立して解く。
Pset=p(x)…(10)
g(x)=μ …(11)
すなわち、PV指定時のV指定条件(Vset=v(x))、またはPQ指定時のV指定条件(Qlim=q(x))に代えて、g(x)=μを連立方程式系に加える。V指定条件やQ指定条件がそうであったように、この式は発電機の数だけ必要となる。
曲線g(x)=μは双曲線であり図4のような二つの曲線からなっている。右上の曲線に収束することは明らかに好ましくない。仮に右上の曲線に収束すると、以下に示した不等式条件が満たされなくなってしまう。
Qlim≧q(x)…(12)
Vset≧v(x)…(13)
逆に図4の左下の曲線に収束している限り、自動的に上記した不等式条件が満たされている。一般にNewton-Raphson法では、設定した初期状態に近い解に収束するから、適切な初期値を用意することと、μの変更を急激に行わないことで、解を常に左下の曲線に収束させることができる。またNewton-Raphson法の繰り返し計算過程で、状態が右上の曲線に近づかないようにxの修正量を調整してもよい。
PV指定であるか、PQ指定であるかは、数値計算の結果を調べることでわかる。Vset=v(x)が収束許容誤差の範囲で成立していれば、当該発電機はPV指定したのと等価な状態にある。Qlim=q(x)が収束許容誤差の範囲で成立していれば、当該発電機はPQ指定したのと等価な状態にある。
発電機の無効電力出力上限は、実際には一定の値ではなく、端子電圧と有効電力出力に依存した値となる。すなわちこの場合、無効電力出力上限Qlimが、Qlim=f(Pset,v(x))の形で与えられる。この場合も諸条件は次の形で整理でき、これまで述べた枠組みで扱うことができる。
Pset=p(x) …(14)
Qlim≧f(Pset,v(x)) …(15)
Vset≧v(x) …(16)
2 (x)=0 …(17)
但し、g2 (x):=(Vset−v(x))(Qlim−f(Pset,v(x)))…(18)である。計算上用いる双曲線は若干歪んだ形となるが、数値計算上はやはりg2 (x)=μと与えればよい。
次に上記の議論を踏まえて図1に示した計算処理手順について説明する。まず、ステップS11の「発電機母線以外の母線の指定条件の設定」では、発電機母線以外の母線をPQ指定する。ステップS12の「各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成」では、図6のS2に準じた処理を行う。但し発電機については、指定条件としてPV指定でもPQ指定でもなく、g(x)=μを指定する。ヤコビアン行列の構造は、PQ指定した場合と同様となるため、従来プログラムへのわずかな変更で本実施の形態の計算方法を実施することができる。
ステップS13の「複素電圧の初期値を仮定」では、多くの場合フラットスタートと呼ばれる「電圧の大きさを1、位相角を零とする」初期値設定が採られる。ステップS14の「μの初期値を設定」ではμを例えば0.1に設定する。ステップS15の「繰り返し計算により各母線の複素電圧を算出(潮流計算)」では、Newton-Raphson法により、実際に非線形連立方程式を解く。満たすべき条件式の全てが、収束条件を満たす(収束誤差が許容誤差以下となる)まで、線形化した連立方程式を繰り返し解く(逆行列計算)。
ステップS16の条件の分岐の部分では、全ての発電機についてPV指定の条件またはPQ指定の条件が許容誤差の範囲で成立しているかを調べる。これが成立していれば制約条件を満たす解が得られたことになる。これが成立していない場合には、双曲線が十分に図2に示した折れ線に漸近していないということである。この場合にはステップS17でμをより小さい値とする。例えばμ←μ/10なる代入を行い、ステップS15の処理に戻る。
本実施の形態によれば、指定条件に代えて、曲線(g(x)=μ)を指定潮流方程式と連立してg(x)=μを解く構成としているため、指定条件の一部変更に伴う連立方程式の再構成を不要とすることができ、最終的にPQ指定となるような発電機が多い場合にも計算時間が従来のように増大することがなくなり、どのような場合にも潮流計算を従来方法に比べて短時間で行うことができる。それ故、より高速な数値計算を行うことが可能となる。また、前記連立方程式の再構成を高速に行うためのプログラミング上の技法も不要となり、計算プログラム作成を簡単化でき、複雑な計算プログラミングを用いずに上記効果を得ることができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る潮流計算方法の処理手順を示したフローチャートである。本実施の形態の潮流計算方法は、第1の実施の形態の潮流計算方法と本質的には同じで、指定条件代えて、曲線(g(x)=μ)を指定することにより、潮流方程式と連立してg(x)=μを解く構成としているが、この連立方程式を解く手段は繰り返し計算であるから、その繰り返し計算が完全に収束する前にμを減らす方法をとることによって、解をより高速に得る方法である。
本実施の形態の処理手順では、潮流計算における収束条件(解である複素電圧の許容誤差)σを、μと同じように減らしていくようにしている。収束がまだ遠い初期段階では、収束条件を緩くすることで、潮流計算にかかる計算量を減らすことができる。以下具体的手順について、図1に示した第1の実施の形態の手順との相違点を中心に述べる。
まず、本実施の形態のステップS21〜S23の計算処理手順は第1の実施の形態のステップS11〜S13の手順と同一である。異なるのは次のステップS24の処理である。このステップS24の「仮の許容誤差σを本来の許容誤差より大きく設定」では、本来の許容誤差が例えば10-6であるのに対し、σ←0.1と設定する。この設定の後、ステップS25のμの初期値設定を第1の実施の形態と同様に行って、ステップS26の処理に進む。
ステップS26では、上記設定されたσを許容誤差として繰り返し計算により各母線の複素数電圧を算出(潮流計算)する。この繰り返し計算は前述したNewton-Raphson法等による繰り返し計算であるが、第1の実施の形態と異なるところは収束条件だけはσにより別途与えられているところにある。
ステップS27の条件分岐においては、現在の状態が厳密解であるための全ての条件を一度に判断している。仮にσが本来の収束条件よりも大きいとすれば、潮流計算は緩い収束条件の下で行われたということなので、厳密解は得られていない。したがって、厳密解が得られるまでステップS28の「σとμを小さい値に変更」に進み、ここで、μだけでなくσも減らした後、ステップS26の処理に戻る。ステップS28では、例えばσ←σ/10に減らす。尚、最終的にはσは本来の収束条件以下とすれば十分である。しかし経験的に、μはσよりも小さい値としないと、最終的に厳密解に至らない。
本実施の形態によれば、μがまだ大きく真の解に近づいていない段階で収束条件を緩くすることで、初期段階での繰り返し回数すなわち繰り返し計算量を減らすことができるので、潮流計算を第1の実施の形態に比べて更に一層短時間で行うことができる。
尚、上記した各実施形態の潮流計算処理手順をプログラム化し、コンピュータに実行させることで実施できる。その際、コンピュータプログラムはフレキシブルディスクやハードディスク等のディスク型記録媒体、半導体メモリやカード型メモリ等の各種メモリ或いは、通信ネットワーク等の各種プログラム記録媒体を通じてコンピュータに供給することができる。
また、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な構成、機能、作用、効果において、他の種々の形態によっても実施することができる。例えば上記実施の形態では潮流方程式を解法するための電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線をg(x)=μという方程式で表わしたが、この曲線を表わす方程式は更に一般化でき、g(x、μ)=0という方程式で表わされる。
本発明の第1の実施の形態に係る潮流計算方法の処理手順を示したフローチャートである。 発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る運転点を折れ線で示した図である。 図2に示した運転点が乗る折れ線を滑らかな曲線で近似する方法を説明する図である。 横軸が発電機の端子電圧を表わし、縦軸が無効電力出力を表わす座標平面上に描かれる双曲線関数を示した図である。 本発明の第2の実施の形態に係る潮流計算方法の処理手順を示したフローチャートである。 試行錯誤法を用いた従来の潮流計算の計算手順を示したフローチャートである。

Claims (9)

  1. 電力系統の定常状態を求めるために潮流方程式を解法する潮流計算方法であって、
    前記潮流方程式を解法するための前記電力系統を構成する母線の指定条件に代替する曲線の方程式を指定するステップと、
    前記指定された曲線の方程式と前記潮流方程式を連立して数値解法するステップと、
    を具備することを特徴とする潮流計算方法。
  2. 前記指定条件は、前記母線に接続される発電機の端子電圧と無効電力出力であり、前記曲線の方程式は前記発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る状態を近似する関数であることを特徴とする請求項1記載の潮流計算方法。
  3. 前記曲線の方程式は、未知数をx,スカラパラメータをμとすると、g(x,μ)=0で表わされることを特徴とする請求項1または2記載の潮流計算方法。
  4. 前記スカラパラメータμを変化させながら前記曲線の方程式と前記潮流方程式の連立方程式を繰り返し数値解法するステップを具備することを特徴とする請求項3記載の潮流計算方法。
  5. 前記スカラパラメータμをある正値から零へ漸近させることを特徴とする請求項4記載の潮流計算方法。
  6. 前記連立方程式の数値解の真値からの許容誤差に対して大きめの仮の許容誤差を当初設定し、前記スカラパラメータμをある正値から零へ漸近させると共に当該仮の許容誤差を前記許容誤差以下まで減じながら前記連立方程式の数値解法を繰り返し行うステップを具備することを特徴とする請求項3または4記載の潮流計算方法。
  7. 電力系統の定常状態を求めるために潮流方程式を解法する潮流計算方法であって、
    発電機以外の母線の指定条件を設定するステップと、
    各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成すると共に前記発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る状態を近似する曲線の方程式を指定して前記連立方程式系に組み入れるステップと、
    複素電圧の初期値を仮定するステップと、
    前記曲線の方程式のスカラパラメータの初期値を設定するステップと、
    前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、
    前記繰り返し計算結果の収束条件が全発電機について成立したか否かを判定するステップと、
    前記収束条件が成立していない場合に前記スカラパラメータの値を小さくするステップと、
    前記小さくしたスカラパラメータを設定した後、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、
    を具備することを特徴とする潮流計算方法。
  8. 電力系統の定常状態を求めるために潮流方程式を解法する潮流計算方法であって、
    発電機以外の母線の指定条件を仮定するステップと、
    各母線の指定条件に基づいて連立方程式系を構成すると共に前記発電機の端子電圧と無効電力出力がとり得る状態を近似する曲線の方程式を指定して前記連立方程式系に組み入れるステップと、
    複素電圧の初期値を仮定するステップと、
    前記連立方程式系を数値解法したときの解の収束条件に対する許容誤差を仮に設定するステップと、
    前記曲線の方程式のスカラパラメータの初期値を設定するステップと、
    前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、
    前記繰り返し計算結果の収束条件が全発電機について成立したか否かを判定するステップと、
    前記収束条件が成立していない場合に前記スカラパラメータの値と共に前記仮の許容誤差を小さくするステップと、
    前記小さくしたスカラパラメータ及び仮の許容誤差を設定した後、前記連立方程式系を繰り返し計算により数値解法して各母線の複素電圧を求めるステップと、
    を具備することを特徴とする潮流計算方法。
  9. 前記曲線の方程式は双曲線関数であることを特徴とする請求項7または8記載の潮流計算方法。
JP2004030622A 2004-02-06 2004-02-06 潮流計算方法 Pending JP2005224050A (ja)

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