JP2005221395A - 構造体の内部欠陥検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱・冷却のために新たな費用を必要とせず、また均一加熱もしくは冷却のための技術も不要であり、かつ、わずかな温度差であっても検出誤差が生じにくい、構造体内部欠陥の検出方法を提供する。
【解決手段】硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の内部欠陥を検出する方法において、充填を開始してから所定時間経過後、構造体の表面温度分布を測定して、その分布により欠陥の検出を行う。
【選択図】図5
【解決手段】硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の内部欠陥を検出する方法において、充填を開始してから所定時間経過後、構造体の表面温度分布を測定して、その分布により欠陥の検出を行う。
【選択図】図5
Description
本発明は、硬化時に発熱する材料を内部に充填した構造体の、内部欠陥検出方法に関する。
合成床版や、鋼板により補強された柱脚などの内部に存在する欠陥を検出する非破壊検査方法として、様々な方法が利用されている。土木・建築の分野の部材を対象とした場合には、ほとんどが屋外で計測することになること、部材の大きさが大きく調査範囲が広いことなどから、効率や費用面からの制約があるため、据え置き方の大きな検査器機等は使用できず、採用できる手法が限られてくる。もっとも単純な方法としては打音検査がある。これは人の耳で空洞部と充実部との音の差を聞き分けることで、欠陥部位を検出する方法である。この方法では、検出精度が人の音の聞き分け能力に依存すること、広範囲を検査する場合には多大な労力が必要になるなどの欠点があった。また、空洞部と充実部との反発係数の違いを利用する方法もある。しかし、反発係数はある程度の精度を得るために曲率の小さなものを対象物にぶつける必要があるため、一回で計測できる範囲が極めて小さく、打音検査よりもさらに効率が悪くなる欠点を有していた。また、ラジオアイソトープを利用した欠陥検出方法もある。しかし、この方法は、ラジオアイソトープをカンウントするための時間が必要なため、一回に計測できる範囲が限られる上、広範囲の検査が必要な場合には計測効率が極めて悪くなる欠点があった。
最近コンクリート構造物の内部欠陥を検出する方法として、赤外線サーモグラフィーでコンクリート表面温度を計測して欠陥を検出する方法が開発されている。コンクリート表面から内部に温度が伝達される場合に、欠陥が存在するとその部分で断熱されるため、欠陥のある部分とない部分とで表面温度に僅かな差が生じることになる。即ち、表面から加熱した場合には欠陥部の断熱効果の影響で、表面温度は欠陥のない部分よりも高くなり、表面から冷却した場合には、欠陥部の断熱効果の影響で表面温度は欠陥のない部分よりも低くなる。従って、赤外線サーモグラフィーで表面温度の分布を計測し、表面に生じるその温度差を読み取ることで、内部欠陥の場所とその大きさを検出することができる。非特許文献1には、試験体表面を強制的に冷却し、赤外線カメラで撮影した冷却前と冷却後の鋼板表面の温度分布を画像処理して空隙を検出する方法が開示されている。
また、コンクリートに鋼板を接着した場合に生じるコンクリートと鋼板との境界面の欠陥を、同様の方法で鋼板の表面から計測できるとの報告もある。特許文献1には、鋼板補強された構造物の欠陥部を検出するにあたり、赤外線放射温度計により鋼板表面からの放射エネルギーを測定することにより温度計測し、この温度が周囲より所定値以上の差がある領域の大きさにより欠陥の有無を判断する方法が開示されている。また特許文献2では、特許文献1の方法により、日中と夜間に温度計測して、それらの結果を減算処理した温度分布に基づいて欠陥の有無を検出する方法が開示されている。
一方、鋼製中空部材の中にコンクリートを充填した複合部材の内部欠陥、あるいは鋼製容器とコンクリートとの境界面の欠陥を検出するにも、同様の方法を利用できることが容易に想定される。
特開平9−189670号公報
特開平9−281065号公報
コンクリート工学年次論文報告集、Vol.19 No.1、1997
しかし、非特許文献1の方法では表面を加熱もしくは冷却をしなければならず、欠陥検出精度を上げるためには、可能な限り均一な加熱、あるいは冷却が必要とされる。従って、加熱あるいは冷却費用に加えて、均一な加熱・冷却のために解決しなければならない技術的・経済的な問題もあった。また、特許文献1や特許文献2の方法では僅かな温度差により欠焔の状態を検出するため、検出誤差が生じやすいという問題もあった。
そこで、本発明は加熱・冷却のために新たな費用を必要とせず、また均一加熱もしくは冷却のための技術も不要であり、かつ、僅かな温度差であっても検出誤差が生じにくい、構造体内部欠陥の検出方法を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。本願発明者らは、鋼殻にコンクリートを充填する構造体において、充填材で用いる生コンクリートは充填後セメントの水和反応により数時間から数十時間をかけて反応熱が発生し続けることに注目した。本発明の内部欠陥検出方法は、その検出の対象物としての構造体が、中空殻内に充填される充填材として、硬化時に発熱する材料を用いるものであり、その熱が中空殻表面に伝達される経路内の鋼殻とコンクリートとの境界面に欠陥がある場合とない場合とで、中空殻の表面温度が異なることを利用して欠陥の検出を可能とするものである。本発明の内部欠陥検出方法を、鋼殻にコンクリートを充填する構造体に適用すると、充填材で用いる生コンクリートは、充填後セメントの水和反応により数時間から数十時間をかけて反応熱を発生し続ける。その間に構造体表面から赤外線サーモグラフィーで測温するだけで、コンクリートと鋼殻の境界付近の欠陥を目視で認識できる状態で検出することができることを見出した。さらに本願発明者らは、構造体温度と、外気温度との温度差に注目し、温度差が大きいほど、すなわち外気温度が低いほど欠陥のある部分の構造体表面温度と周りの部分の温度との差が大きくなって、検出精度を高めることができることを見出し、本発明を完成させるにいたった。
かくして第1の本発明は、硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の内部欠陥を検出する方法であって、充填を開始してから所定時間経過後、構造体の表面温度分布を測定して、その分布により欠陥の検出を行う構造体の内部欠陥検出方法により前記課題を解決しようとするものである。ここに「欠陥の検出」とは、欠陥の有無の判定、並びに、欠陥の位置及び大きさの特定を含む概念である。
この第1の発明によれば、充填材自体が発熱するので、構造体を外部から加熱したり冷却したりする必要がない。また、通常充填材の発熱は一様に行われるので、特別な手段や方法を考慮しなくても均一な加熱を実現することができる。この様な充填材料としては、ここで説明しているコンクリートの他、石膏、樹脂、金属など、硬化時に発熱するものであればよい。構造体は、最終的に中空殻と充填材との合成構造となるものに限らず、中空殻を鋳型や型枠として充填材の硬化後に取り除くものであってもよい。いずれの場合も欠陥(空洞)が検出されれば、使用前、脱型前に補修材を充填して補修することができる。さらに、構造体の表面温度分布測定のタイミングは所定時間経過後の一点のみであり、温度分布の時間的推移を追う必要がないので、簡易な測定とすることができる。
上記第1の発明において、所定時間は、充填を開始してから充填された前記材料の温度が最大となるまでの時間であることが好ましい。このようにすれば、内部欠陥のある部分の構造体表面と、それがない部分の構造体表面との温度差が大きくなって、検査の精度を高めることが容易となる。
また上記第1の発明において(変形例を含む。)、充填された材料の温度が最大となる時間が、日中最低気温の時間帯に重なるように、充填開始する時間を決定することが望ましい。このようにすれば、構造体が屋外に設置されている場合に、構造体温度と、外気温度との温度勾配を大きくとることができ、欠陥部のある部分の構造体表面温度と、欠陥のない周りの部分の温度との差が大きくなって、さらに検出精度を高めることが容易なものとなる。通常、日中最低気温は、夜明けから早朝にかけてあらわれるが、その日の天候によってはこれとは異なる時間帯にあらわれることもあるので、天気予報などにより事前に確認しておくと良い。なお、発熱のピークはそれほどシャープに現れるものではなく、高原状態が数時間にわたり保持されるので、この高原状態にある数時間を、日中最低気温の時間帯に重なるように、充填開始する時間を決定するようにすれば良い。
また上記第1の発明において(変形例を含む。)、表面温度分布を測定する周囲の外気を冷却して行うことも望ましい。これは、構造体が閉鎖された屋内などに構築されている場合を想定したものであり、例えば空調設備などにより、構造体周囲温度を任意の低温に設定することにより、検査の精度を高めることが可能となる。さらにこの場合には、構造体周囲温度の設定を任意の時間に行うことができるので、上記変形例のようにあらかじめ日中最低気温となる時間帯を予測しておいてそれに合わせて充填開始時刻を決定する必要がない。従って作業の時間的自由度が増す。
さらに、上記第1の発明において(変形例を含む。)、表面温度分布を赤外線サーモグラフィーにより測定することが好ましい。このようにすれば、一度に広範囲の検査が可能であるとともに、欠陥の有無を目視で確認でき、可視画像と重ねあわせれば精度よく場所の特定も可能となる。
さらにまた、上記第1の発明において(変形例を含む。)、硬化時に発熱する材料は、生コンクリートであることが好ましい。かかる構成により、生コンクリート硬化時のセメント水和反応による発熱により、外気温との温度勾配を容易に発生させることができる。
第2の本発明は、硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の製造方法であって、充填された前記材料の温度が最大となる時間が日中最低気温の時間帯と重なるように、材料の充填開始時間を決定する構造体の製造方法を提供して前記課題の解決を図らんとするものである。
この第2の発明によれば、精度の良い内部欠陥検出方法を適用可能な構造体の製造方法を提供することができる。
なお、本発明の技術思想の本質は、温度変化を与える充填材と外気温との温度差による構造体表面の温度勾配が、欠陥の有無により異なるために、構造体表面の温度分布にムラが生じることを利用するものである。従って充填材が発熱反応をする場合には、外気温が低いほど内部欠陥の検出精度が向上するのに対し、例えば充填材が吸熱反応をする場合には外気温が高いほど精度は向上することになる。従って充填材が吸熱反応する場合には、充填開始温度を、日中最高気温の時間帯に吸熱反応最大時間が重なるように制御し、屋内設置の場合には、空調等により外気温を上昇させることが好ましい。
本発明の内部欠陥検出方法によれば、表面から新たに加熱や冷却の必要もなく、均一に入熱する必要もなくなり、一度に広範囲の検査が可能であるので、検査効率が高く経済的に優れる検出方法を提供することができる。また、僅かな温度差であっても、精度良く欠陥の検出が可能である。さらに、本発明の内部欠陥検出方法によれば、欠陥の有無を目視で確認でき、可視画像と重ねあわせれば精度よく場所の特定も可能となる。従って、従来技術で達成できなかった効率性、確実性、経済性等の問題が解決されることになる。
本発明は、硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の、内部欠陥を検出する方法であって、充填を開始してから所定時間経過後、構造体の表面温度分布を測定して、その分布により欠陥の検出を行う構造体の内部欠陥検出方法を提供するものである。本願発明者らは、実際に鋼製中空殻内に生コンクリートを打ち込んで、内部欠陥を有する構造体を作製し、該構造体に本発明の欠陥検出方法を適用して、欠陥を検出することが可能であることを確認した。以下にその確認作業の詳細について説明する。
(1)試験用構造体の作製
図1は、本発明の内部構造欠陥検出法の有効性を確認するために使用した試験用構造体を、水平方向の断面を示す図である。図示の試験用構造体10は、互いに対向する一対の鋼板11a、11bと、互いに対向する一対のみぞ形鋼12a、12bにより四面を囲まれた鋼製の中空殻18に生コンクリート13が打ち込まれて作製される。鋼板11a、11bは厚さ9mmのものが使用された。また、みぞ形鋼12a、12bの寸法は、幅250mm、両端のリブ高さ90mmのものが使用された。図1に表されている構造体10の断面の実寸は、高さ250mm、幅1200mmであった。本発明の内部構造欠陥検出法においては、中空殻18に生コンクリート13を充填後、所定時間を経過した後に、鋼板11aの表面温度が所定の方法により測定される。試験用構造体10の一面側をなす鋼板11aの内部側の所定深さに、欠陥部を再現するための発泡スチロール平板141a、141aが配置されている。鋼板11aの表面、及び生コンクリート13の内部には温度確認のための熱電対15a、15a´がそれぞれ設けられている。
図1は、本発明の内部構造欠陥検出法の有効性を確認するために使用した試験用構造体を、水平方向の断面を示す図である。図示の試験用構造体10は、互いに対向する一対の鋼板11a、11bと、互いに対向する一対のみぞ形鋼12a、12bにより四面を囲まれた鋼製の中空殻18に生コンクリート13が打ち込まれて作製される。鋼板11a、11bは厚さ9mmのものが使用された。また、みぞ形鋼12a、12bの寸法は、幅250mm、両端のリブ高さ90mmのものが使用された。図1に表されている構造体10の断面の実寸は、高さ250mm、幅1200mmであった。本発明の内部構造欠陥検出法においては、中空殻18に生コンクリート13を充填後、所定時間を経過した後に、鋼板11aの表面温度が所定の方法により測定される。試験用構造体10の一面側をなす鋼板11aの内部側の所定深さに、欠陥部を再現するための発泡スチロール平板141a、141aが配置されている。鋼板11aの表面、及び生コンクリート13の内部には温度確認のための熱電対15a、15a´がそれぞれ設けられている。
鋼製の中空殻18内に打ち込む生コンクリート13は、普通ポルトランドセメント438kg/m3、細骨材827kg/m3、軽量粗骨材547kg/m3、及び水175kg/m3を混合して、軽量高流動コンクリートとしたものを使用した。
図2は、鋼板11aの側から見た、試験用構造体10を示す正面図に、内部に配置された発泡スチロール平板を重ねて表したものである。試験用構造体10を正面視した場合、その実寸は、高さ3000mm、幅1200mmであった。鋼板11aの内部側所定の深さには、左右一対ずつ上下方向に4対の欠陥部再現用の発泡スチロール平板が配置されている。図2において、参照符号141a〜144aにより示されている、各発泡スチロール平板の大きさ、厚さをまとめて表1に示す。
各発泡スチロール平板間の間隔は上下左右方向とも400mmに設定された。鋼板11aの表面に配置された3つの熱伝対15a、15b、15cは、鋼板11aの左右方向中心線上に、上下端部から600mm、互いの間隔が900mmとなるように配置された。
(2)構造体表面温度の計測
図3は、試験用構造体10の表面温度を測定している状況を概略的に示す図である。試験用構造体10の、両側面のみぞ形鋼12a、12b、及び上下の端面は、厚さ300mmの発泡スチロール板31、32(側面側の発泡スチロール板は図面に現れていない。)で覆い、断熱構造とした。一方、鋼板11a、11bの面は外気に開放した。このようにした試験用構造体10を、固定フレーム33に固定して、鋼板11aの表面から水平方向に約10m離隔した位置に配置した赤外線サーモグラフィー(赤外線画像装置、日本アビオニクス株式会社、スーパーファインサーモTVS−8500)により、鋼板11a表面の温度を測定した。測定は、生コンクリート充填直後から開始して、48時間にわたり行われた。
図3は、試験用構造体10の表面温度を測定している状況を概略的に示す図である。試験用構造体10の、両側面のみぞ形鋼12a、12b、及び上下の端面は、厚さ300mmの発泡スチロール板31、32(側面側の発泡スチロール板は図面に現れていない。)で覆い、断熱構造とした。一方、鋼板11a、11bの面は外気に開放した。このようにした試験用構造体10を、固定フレーム33に固定して、鋼板11aの表面から水平方向に約10m離隔した位置に配置した赤外線サーモグラフィー(赤外線画像装置、日本アビオニクス株式会社、スーパーファインサーモTVS−8500)により、鋼板11a表面の温度を測定した。測定は、生コンクリート充填直後から開始して、48時間にわたり行われた。
図4はコンクリート内部(鋼板内部)、鋼板表面、外気温の経過時間変化を表したものである。生コンクリート充填直後からセメントの水和熱によりコンクリートの内部温度が徐々に上昇し、コンクリートの温度上昇に伴い鋼板表面温度も上昇していることがわかる。鋼板内部及び鋼板表面温度は生コンクリート充填開始から約26時間後にピークに達して、その後徐々に低下していった。一方、外気温は、生コンクリート充填を開始した午後2時30分の14℃から下がり続け、16.5時間後(午前7時)に、日中最低気温(約3℃)を記録した。その後日中の温度上昇と夜間から明け方にかけての温度降下とを繰り返した。コンクリートの内部温度と外気温との差が最も大きくなったのは、日中最低気温を記録した16.5時間後(午前7時)であった。
図5はコンクリート充填開始から、所定時間経過後の赤外線サーモグラフィーによる試験用構造体10表面の温度分布状況を示す図である。各図の右側には、対応する温度の色スケールを併記した。それぞれの図は、温度スケールの上下の値を種々変化させて、その時点において最も欠陥が顕著となって現れた温度スケールにて表したものである。(a)は、充填開始から5時間後、温度スケールは9.0℃〜11.0℃、(b)は10時間後、温度スケールは8.0℃〜10.0℃、(c)は16.5時間後、温度スケールは11.0℃〜13.0℃で温度分布状況を示している。ちなみに各図の場合におけるコンクリートの内部温度と外気温との差は、(a)で6.8℃、(b)で10.9℃、(c)で19.3℃であった。これによると、いずれの欠陥もグラフ上から目視で認識できることがわかる。従って、コンクリートの内部温度と外気温との差が最低5℃程度あれば、欠陥を画像から認識することができる。特にコンクリートの内部温度と外気温との差が大きくなるほど、欠陥が顕著に現れた。また、欠陥の大きさや深さ(発泡スチロール平板の大きさや配置された深さ)に関しては、欠陥の大きさが大きいほど、欠陥の深さが深いほど画像に顕著に現れることが認められた。
図6は、赤外線サーモグラフィーから得られた鋼板の温度分布を示したものである。(a)は、図2におけるVIA−VIA線に沿って温度分布を示したもの、(b)は図2のVIB−VIB線に沿って温度分布を示したものである。これらからも欠陥存在部分の温度が低くなっていることが明らかである。
以上のことから、本発明により中空殻の内部に充填された充填材の硬化時の発熱を利用することにより、内部欠陥の存在を赤外線サーモグラフィーで認識することが可能であることが明らかとなった。本発明によれば、発熱温度が低い充填材を使用した場合でも、または殻厚が厚く発熱温度が殻表面に到達しづらい場合であっても、外気温が日中最低気温となる明け方、早朝に充填材の温度が最大となるように、コンクリートの充填開始時間を調整することで、欠陥の確認が容易なものとなる。また、構造体が屋内に設置されている場合には、空調設備などにより、強制的に周囲の気温を下げることにより欠陥の確認を容易なものとすることができる。この場合には、作業の時間的な制約がないという利点もある。従って本発明によれば、仮に殻表面の、コンクリート充填前からの温度上昇が1℃以下であっても、殻が接している外気の温度が所定の温度以下であれば、欠陥の有無を確認することができる。さらに本発明は、従来技術にあるように2つの時点の差分データを必要とせず、発熱最大値近傍の一時点での、一つのデータにより欠陥を検出することが可能であるので、検出作業を簡易なものとすることができる。
10 試験用構造体
11a、11b 鋼板
13 生コンクリート
15a、15a´、15b、15c 熱電対
141a 発泡スチロール平板
35 赤外線サーモビュアー
11a、11b 鋼板
13 生コンクリート
15a、15a´、15b、15c 熱電対
141a 発泡スチロール平板
35 赤外線サーモビュアー
Claims (5)
- 硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の、内部欠陥を検出する方法であって、前記充填を開始してから所定時間経過後、前記構造体の表面温度分布を測定して、その分布により前記欠陥の検出を行う構造体の内部欠陥検出方法。
- 前記所定時間は、前記充填を開始してから、充填された前記材料の温度が最大となるまでの時間である請求項1に記載の内部欠陥検出方法。
- 前記表面温度分布を測定する周囲の外気を冷却して行う請求項1または2に記載の内部欠陥検出方法。
- 前記表面温度分布を赤外線サーモグラフィーにより測定する請求項1〜3のいずれかに記載の内部欠陥検出方法。
- 硬化時に発熱する材料を、中空殻内に充填して硬化させてなる構造体の製造方法であって、充填された前記材料の温度が最大となる時間が、日中最低気温の時間帯と重なるように、前記材料の充填開始時間を決定する構造体の製造方法。
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