JP2005208523A - 感光性転写シート、感光性積層体、画像パターン形成方法、及び配線パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体11上に、バインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなる第一感光層12、そしてバインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなり、第一感光層の光感度よりも相対的に高感度の第二感光層13がこの順に積層されており、第一感光層の405nmの吸光度が0.1〜1.0の範囲にある感光性転写シート。
【選択図】 図1
Description
本発明の課題はまた、感光性転写シートあるいは感光性積層体を用いて、画像内に厚みが異なる所望のパターンを工業的に有利に形成することができる方法を提供することにもある。
本発明の課題は特に、プリント配線板の製造に有効で、薄層化により高解像度化が可能であり、破れにくいテント膜を形成することができる感光性転写シートを提供することにある。
本発明の課題はまた、感光性転写シートを用いて、スルーホールやビアホールなどのホール部を有するプリント配線板を工業的に有利に製造できる方法を提供することにもある。
(1)第一感光層と第二感光層との間にバリアー層が配置されている。
(2)バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して親和性を示す樹脂を主成分として含む。
(3)バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して可溶性の樹脂を主成分として含む。
(4)バリアー層が、0.1〜5μmの範囲の厚みを有する。
(6)上記380〜430nmに極大吸収波長を有する化合物が増感剤である。
(8)第二感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量BとのA/Bで表される比が、0.005〜0.5の範囲にある。
(9)第二感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層の硬化が始まるまでに必要な光エネルギー量CとのC/Aで表される比が、1〜10の範囲にある。
(10)第一感光層と第二感光層のそれぞれが増感剤を含む。
(11)第二感光層に含有されている増感剤の量が第一感光層に含有されている増感剤の量よりも多い。
(12)第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合開始剤の量よりも多い。
(14)第一感光層が、1〜100μmの範囲の厚みを有し、かつその厚みが第二感光層の厚みよりも大きい。
(15)第二感光層が、0.1〜15μmの範囲の厚みを有する。
(16)支持体が合成樹脂製で、かつ透明である。
(17)支持体が長尺支持体である。
(18)第二感光層の上に保護フィルムが配置されている。
(19)長尺体であって、ロール状に巻かれている。
(20)プリント配線板製造用である。
(1)第一感光層と第二感光層との間にバリアー層が配置されている。
(2)バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して親和性を示す樹脂を主成分として含む。
(3)バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して可溶性の樹脂を主成分として含む。
(4)バリアー層が、0.1〜5μmの範囲の厚みを有する。
(5)第一感光層の光感度を1とした場合、第二感光層の光感度が2〜200の範囲にある。
(7)第二感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層の硬化が始まるまでに必要な光エネルギー量CとのC/Aで表される比が、1〜10の範囲にある。
(8)第一感光層と第二感光層のそれぞれが増感剤を含む。
(9)第二感光層に含有されている増感剤の量が第一感光層に含有されている増感剤の量よりも多い。
(10)第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合開始剤の量よりも多い。
(12)第一感光層が、1〜100μmの範囲の厚みを有し、かつその厚みが第二感光層の厚みよりも大きい。
(13)第二感光層が、0.1〜15μmの範囲の厚みを有する。
(14)基体がプリント配線板形成用基板である。
(15)第一感光層の上に支持体(特に透明樹脂フィルムであることが好ましい)が積層されている。
(16)プリント配線板製造用である。
(1)基板上に、前記第一の発明の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から所定の画像パターンの光照射を行い、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。
(1)基板上に、前記第一の発明の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から、互いに相違する少なくとも二レベルの照射エネルギー量の光を照射する領域を規定する画像パターンにて光照射し、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を受けた領域の第二感光層を硬化させる工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。
(1)上記(3)の積層体から支持体を除去する工程を、工程(2)と工程(4)との間で行う代わりに、工程(1)と工程(2)との間で行う。
(2)工程(2)における光照射をレーザ光の照射により行う。
(1)基板上に、前記第一の発明の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から所定の配線パターンの光照射を行い、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。
(1)基板上に、前記第一の発明の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から、ホール部には、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を与えて第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして配線形成領域には、光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を与えて第二感光層を硬化させるような画像パターンの光照射を行う工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。
(1)上記(3)の積層体から支持体を除去する工程を、工程(2)と工程(4)との間で行う代わりに、工程(1)と工程(2)との間で行う。
(2)工程(2)における光照射をレーザ光の照射により行う。
本発明のプリント配線板の製造方法においては、配線パターンを形成する領域では第二感光層を単独で硬化させるので、高解像度の配線パターンを形成することができる。また、スルーホール又はビアホールの開口部を含む領域では、第一感光層と第二感光層とともに硬化させるので、強度の強い硬化層(テント膜)を形成することができる。
図1において、感光性転写シート10は、支持体11、第一感光層12、第二感光層13、そして保護フィルム14がこの順で積層されている。第一感光層12及び第二感光層13はそれぞれ、バインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなり、光の照射により重合性化合物が重合して硬化する。本発明の感光性転写シートは、第二感光層13が第一感光層12よりも相対的に光感度が高い点に主な特徴がある。ここで、光感度が高いとは、第二感光層13の硬化が、第一感光層12よりも少ない光の照射量で始まることを意味する。
あれば、増感剤を添加してもよい。
増感剤は、380〜430nmに極大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。
各感光層に用いるバインダーは、アルカリ水溶液に可溶であることが好ましく、あるいは少なくとも膨潤性を有することが好ましい。このようなバインダーの例としては、酸性基(カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基など)を有するものが利用できるが、特にカルボキシル基を有するバインダーが代表的であり、例えばカルボキシル基含有ビニル共重合体、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、ポリアミド酸樹脂、変性エポキシ樹脂などが挙げられるが、塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成適性、膜物性の調整の容易さなどからカルボキシル基含有ビニル共重合体が好ましい。
感光層には、重合性化合物(いわゆるモノマー)を用いるが、特に重合性基を2個以上含有するモノマー、あるいはオリゴマー(多官能モノマー、多官能オリゴマー)を用いることが好ましい。重合性基としてはエチレン性不飽和結合(例えば(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエステルやビニルエーテルなどのビニル基、アリルエーテルやアリルエステルなどのアリル基など)、重合可能な環状エーテル基(例えばエポキシ基、オキセタン基など)などが挙げられる。これらの内でエチレン性不飽和結合が好ましい。
本発明の感光性転写シートに用いる光重合開始剤としては、前述のモノマー成分の重合を開始する能力を有する化合物は全て使用可能であり、特に紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものであれば好適に使用できる。光重合開始剤は、約300〜800nm(より好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも一種含有していることが好ましい。光重合開始剤はまた、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、またモノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であてもよい。
若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−1,3,5−トリアジン。
ロイコクリスタルバイオレット等)、アシルホスフィンオキシド類(例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキシド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えばビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェイト(1―)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に開示されている化合物なども挙げられる。
感光層は、必要に応じて熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤、着色剤、更に基体表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよく、これによって目的とする感光性転写シートの安定性、写真性、焼きだし性、膜物性等の性質を調節することができる。前記の成分は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加可能であり、その添加量は目的に応じて決めればよく、またそれぞれの感光層への添加量は同じでも異なっていてもよい。
熱重合禁止剤は、感光層の重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
可塑剤は、感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。可塑剤の例としては、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセパケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
発色剤は、露光後の感光層に可視像を与える(焼きだし機能)ために添加してもよい。発色剤としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン(ロイコクリスタルバイオレット)、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−〔4−(2−シアノエチル)メチルアミノフェニル〕メタン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−キノリルメタン、トリス(4−ジプロピルアミノフェニル)メタン等のアミノトリアリールメタン類;3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フェニルキサンチン、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチル−9−(2−クロロフェニル)キサンチン等のアミノキサンチン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(2−エトキシカルボニルフェニル)チオキサンテン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)チオキサンテン等のアミノチオキサンテン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−フェニルアクリジン、3,6−ビス(ベンジルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−メチルアクリジン等のアミノ−9,10−ジヒドロアクリジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)フェノキサジン等のアミノフェノキサジン類;3,7−ビス(エチルアミノ)フェノチアゾン等のアミノフェノチアジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−ヘキシル−5,10−ジヒドロフェナジン等のアミノジヒドロフェナジン類;ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アニリノメタン等のアミノフェニルメタン類;4−アミノ−4’−ジメチルアミノジフェニルアミン、4−アミノ−α、β−ジシアノヒドロケイ皮酸メチルエステル等のアミノヒドロケイ皮酸類;1−(2−ナフチル)−2−フェニルヒドラジン等のヒドラジン類;1,4−ビス(エチルアミノ)−2,3−ジヒドロアントラキノン類のアミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン類;N,N−ジエチル−4−フェネチルアニリン等のフェネチルアニリン類;10−アセチル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン等の塩基性NHを含むロイコ色素のアシル誘導体;トリス(4−ジエチルアミノ−2−トリル)エトキシカルボニルメンタン等の酸化しうる水素をもっていないが、発色化合物に酸化しうるロイコ様化合物;ロイコインジゴイド色素;米国特許3,042,515号及び同第3,042,517号に記載されているような発色形に酸化しうるような有機アミン類(例、4,4’−エチレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4,4’−メチレンジアミントリフェニルアミン、N−ビニルカルバゾール)を挙げることができる。特に好ましいものはロイコクリスタルバイオレットなどのトリアリールメタン系化合物である。
感光層には、取り扱い性の向上のために感光性樹脂組成物を着色したり、保存安定性を付与する目的に、染料を用いることができる。好適な染料の例としては、ブリリアントグリーン(例えばその硫酸塩)、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニル−イエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチロカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチル−レッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603(オリエント化学工業(株)製)、ローダミンB、及びロータミン6G、ビクトリアピュアブルーBOHなどを挙げることができる。カチオン染料の対アニオンとしては、有機酸または無機酸の残基であればよく、たとえば臭素酸、ヨウ素酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の残基(アニオン)があげられる。好ましい染料は、カチオン染料であり、たとえばマラカイトグリーンシュウ酸塩、マラカイトグリーン硫酸塩などがあげられる。
各層間の密着性、あるいは感光性転写シートと基体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
感光性転写シートを製造する時に発生する面状ムラを改善させるために、公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の例として、アニオン系およびカチオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素含有界面活性剤などから適宜選択できる。添加量は、感光性樹脂組成物の固形分に対し、0.001〜10質量%が好ましく、0.001質量%未満では面状改良の効果が得られなく、10質量%を超えると密着性が低下するという問題が発生しやすい。フッ素系の界面活性剤として炭素鎖3〜20でフッ素原子を40質量%以上含み、且つ非結合末端から数えて少なくとも3個の炭素原子に結合した水素原子がフッ素置換されているフルオロ脂肪族基を有するアクリレートまたはメタクリレートを共重合成分として有する高分子界面活性剤なども好ましい。
本発明の感光性転写シートあるいは感光性積層体は第一感光層と第二感光層との間にバリアー層が配置されていていることが好ましい。バリアー層は感光層、支持体、保護フィルムに含まれる物質の移行防止や移行の抑制、酸素や湿度などの外的影響を防止、抑制する役割等を有する。例えば、バリアー層の設置は、各感光層の成分が他の層に移行して感度や膜物性が変化してしまうのを防ぐなどの効果がある。
本発明の感光性転写シートは、例えば次のようにして製造することができる。
まず、上記の各種材料を、水または溶剤に溶解、乳化または分散させて、第一感光層形成用の第一感光性樹脂組成物溶液と第二感光層形成用の第二感光性樹脂組成物溶液をそれぞれ調製する。またバリアー層を有する場合にはバリアー層形成用の溶液を調製する。
支持体は、感光層を剥離可能であること、かつ光の透過性が良好であること、また表面の平滑性が良好であることが望ましい。支持体は合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましい。支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムを挙げることができる。更にこれらの二種以上からなる複合材料も使用することができる。上記の中でポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。支持体の厚さは、2〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、特に8〜50μmが好ましい。支持体は長尺支持体であることが好ましい。本発明の感光性転写シートを製造する際に使用する長尺支持体の長さは任意に決めればよいが、たとえば10m〜20000mの長さのものが使用可能である。
本発明の感光性転写シートを転写する基体としては、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。好ましくは板状の基体、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などがあげられる。
本発明の感光性転写シートは、(1)基板上に、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程、(2)積層体の第一感光層の側から所定の画像パターンの光照射を行い、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程、(3)積層体から支持体を除去する工程、そして、(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程を含む、基板上に第一感光層と第二感光層とが共に硬化することにより形成された硬化樹脂が存在する領域と硬化樹脂が存在しない領域とから構成される画像パターンを形成する方法により、所望のパターンを形成することが可能である。
本発明の感光性転写シートは、プリント配線板の製造、特にスルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造に好適に用いることができる。
20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、下記の組成からなる第一感光性樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥して、20μm厚の感光層(第一感光層)を形成した。第一感光層の波長405nmの光の吸光度は0.3、透過率は50%であった(参考:波長365nmの光の吸光度は0.2未満であった)。
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メチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(モル比):55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量:90000、Tg:70℃) 15質量部
ドデカポリプロピレングリコールジアクリレート 6.5質量部
テトラエチレングリコールジメタクリレート 1.5質量部
N−メチルアクリドン 0.08質量部
ベンゾフェノン 1.0質量部
p−トルエンスルホンアミド 0.5質量部
マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.02質量部
3−モルホリノメチル−1−フェニルトリアゾール−2−チオン 0.01質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.2質量部
トリブロモメチルフェニルスルホン 0.1質量部
メチルエチルケトン 30質量部
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ポリビニルアルコール(PVA205:クラレ社製) 13質量部
ポリビニルピロリドン(PVPK30:GAF社製) 6質量部
水 200質量部
メタノール 180質量部
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メチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(モル比):55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量:90000、Tg:70℃) 15質量部
ドデカポリプロピレングリコールジアクリレート 6.5質量部
テトラエチレングリコールジメタクリレート 1.5質量部
N−メチルアクリドン 0.16質量部
ベンゾフェノン 3.0質量部
p−トルエンスルホンアミド 0.5質量部
マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.02質量部
3−モルホリノメチル−1−フェニルトリアゾール−2−チオン 0.01質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.2質量部
トリブロモメチルフェニルスルホン 0.1質量部
メチルエチルケトン 30質量部
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実施例1の第一感光層の上にバリアー層塗布液を塗布しない以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感光性転写シートを作成した。第一感光層の波長405nmの光の吸光度は0.3、透過率は50%であった。
実施例1の第一感光性樹脂組成物溶液のN−メチルアクリドン0.08質量部を0.12質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感光性転写シートを作成した。第一感光層の波長405nmの光の吸光度は0.45、透過率は36%であった。
実施例1の第一感光性樹脂組成物溶液のN−メチルアクリドン0.08質量部を0.20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感光性転写シートを作成した。第一感光層の波長405nmの光の吸光度は0.75、透過率は18%であった。
実施例1〜4にて製造した感光性転写シートの感度を、下記の方法により評価した。その結果を表1に示す。
[感度の測定方法]
銅張積層板上に、感光性転写シートをその第二感光層が銅張積層板の表面に接するように圧着する。感光性転写シートの感光層に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から波長405nmのレーザ光源を有するレーザ露光装置を用いて、0.1mJ/cm2から21/2倍間隔で100mJ/cm2まで光量の異なる光を照射して、感光層を硬化させる。室温にて10分間静置した後、感光性転写シートのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし取る。銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにてスプレーし、未硬化の感光層を溶解除去して、その硬化層の厚みを測定する。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得る。こうして得た感度曲線から第二感光層の全体が硬化したときの光量(光量A)、第一感光層と第二感光層とが硬化したときの光量(光量B)、及び第一感光層の硬化が始まったときの光量(光量C)を読み取る。
────────────────────────────────────────
第一感光層の 第一感光層の 光量A 光量B 光量C C−A
波長405nmの 波長405nmの (mJ) (mJ) (mJ) (mJ)
光の吸光度 光の透過率
(−) (%)
────────────────────────────────────────
実施例1 0.3 50 4 20 10 6
実施例2 0.3 50 4 20 10 6
実施例3 0.45 36 5.5 15 8 2.5
実施例4 0.75 18 6 15 8 2
────────────────────────────────────────
11 支持体
12 第一感光層
13 第二感光層
14 保護フィルム
15 配線パターン形成用の硬化層
16 スルーホールの金属層保護用の硬化層
17 剥離片
21 プリント配線板形成用基板
22 スルーホール
23 金属めっき層
24 配線パターン
31 加圧ローラ
Claims (35)
- 支持体上に、バインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなる第一感光層、そしてバインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなり、第一感光層の光感度よりも相対的に高い光感度を示す第二感光層がこの順に積層されており、第一感光層の波長405nmの吸光度が0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とする感光性転写シート。
- 第一感光層と第二感光層との間にバリアー層が配置されている請求項1に記載の感光性転写シート。
- バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して親和性を示す樹脂を主成分として含む請求項2に記載の感光性転写シート。
- バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して可溶性の樹脂を主成分として含む請求項2もしくは3に記載の感光性転写シート。
- バリアー層が、0.1〜5μmの範囲の厚みを有する請求項2から4のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第一感光層及び/又は第二感光層に、380〜430nmに極大吸収波長を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性転写シート。
- 380〜430nmに極大吸収波長を有する化合物が増感剤であることを特徴とする請求項6に記載の感光性転写シート。
- 第一感光層の光感度を1とした場合、第二感光層の光感度が2〜200の範囲にある請求項1から7のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量BとのA/Bで表される比が、0.005〜0.5の範囲にある請求項1から8のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層の硬化が始まるまでに必要な光エネルギー量CとのC/Aで表される比が、1〜10の範囲にある請求項1から9のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第一感光層と第二感光層のそれぞれが増感剤を含む請求項1から10のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層に含有されている増感剤の量が第一感光層に含有されている増感剤の量よりも多い請求項11に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合開始剤の量よりも多い請求項1から12のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層に含有されている重合性化合物の量が第一感光層に含有されている重合性化合物の量よりも多い請求項1から13のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第一感光層が、1〜100μmの範囲の厚みを有し、かつその厚みが第二感光層の厚みよりも大きい請求項1から14のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層が、0.1〜15μmの範囲の厚みを有する請求項1から15のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 支持体が合成樹脂製で、かつ透明である請求項1から16のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 支持体が長尺支持体である請求項1から17のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 第二感光層の上に保護フィルムが配置されている請求項1から18のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 長尺体であって、ロール状に巻かれている請求項1から19のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- プリント配線板製造用である請求項1から20のうちのいずれかの項に記載の感光性転写シート。
- 基体上に、バインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなる第二感光層、そしてバインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなり、第二感光層の光感度よりも相対的に低い光感度を示す第一感光層がこの順に積層されてなり、第一感光層の波長405nmの吸光度が0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とする感光性積層体。
- 第一感光層と第二感光層との間にバリアー層が配置されている請求項22に記載の感光性積層体。
- バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して親和性を示す樹脂を主成分として含む請求項23に記載の感光性積層体。
- バリアー層が、水もしくは炭素原子数1〜4の低級アルコールに対して可溶性の樹脂を主成分として含む請求項23もしくは24に記載の感光性積層体。
- 基体がプリント配線板形成用基板である請求項22から25のうちのいずれかの項に記載の感光性積層体。
- 第一感光層の上に支持体が積層されている請求項22から26のうちのいずれかの項に記載の感光性積層体。
- 下記の工程を含む、基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化することにより形成された硬化樹脂層が存在する領域と硬化樹脂層が存在しない領域とから構成される画像パターンを形成する方法:
(1)基板上に、請求項1もしくは2に記載の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から所定の画像パターンの光照射を行い、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。 - 下記の工程を含む、基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化することにより形成された樹脂層が存在する領域、第二感光層が硬化することにより形成された樹脂層が存在する領域、そして硬化樹脂層が存在しない領域から構成される画像パターンを形成する方法:
(1)基板上に、請求項1もしくは2に記載の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から、互いに相違する少なくとも二レベルの照射エネルギー量の光を照射する領域を規定する画像パターンにて光照射し、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を受けた領域の第二感光層を硬化させる工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。 - (3)の積層体から支持体を除去する工程を、工程(2)と工程(4)との間で行う代わりに、工程(1)と工程(2)との間で行う請求項28もしくは29に記載の方法。
- 工程(2)における光照射をレーザ光の照射により行う請求項28から30のうちのいずれかの項に記載の方法。
- 下記の工程を含む、プリント配線板形成用基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化することにより形成された硬化樹脂層で被覆されている領域と基板表面が露出している領域とから構成される配線パターンを形成する方法:
(1)基板上に、請求項1もしくは2に記載の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から所定の配線パターンの光照射を行い、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。 - 下記の工程を含む、ホール部を有するプリント配線板形成用基板上に、第一感光層と第二感光層が共に硬化することにより形成された硬化樹脂層で被覆されているホール部、第二感光層が硬化することにより形成された硬化樹脂層で被覆されている領域、そして基板表面が露出している領域とから構成される配線パターンを形成する方法:
(1)基板上に、請求項1もしくは2に記載の感光性転写シートを、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程;
(2)積層体の第一感光層の側から、ホール部には、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を与えて第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして配線形成領域には、光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を与えて第二感光層を硬化させるような画像パターンの光照射を行う工程;
(3)積層体から支持体を除去する工程;そして、
(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程。 - (3)の積層体から支持体を除去する工程を、工程(2)と工程(4)との間で行う代わりに、工程(1)と工程(2)との間で行う請求項32もしくは33に記載の方法。
- 工程(2)における光照射をレーザ光の照射により行う請求項32から34のうちのいずれかの項に記載の方法。
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