JP2005208024A - 粉粒体の粒度分布作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像された画像から粒子の重なりなどの誤差要因を除去して、正確な粒度ヒストグラムを求めることができる粉粒体の粒度分布作成方法を提供することにある。
【解決手段】(S102)および(S103)にて、図4に示した処理フローにて画像処理結果から粒度ヒストグラムを求めるまでを行う。次に、(S104)ステップでは、先に求めた粒度ヒストグラムについて主成分分析を行い、主成分得点X=(x1,x2) tを求める。そして、(S105)ステップでは、図3のオフライン処理で同定した補正関数f1(x1,x2)と f2(x1,x2)にて主成分得点X=(x1,x2) tを主成分得点Y=(y1,y2) tに変換する。そして、(S106)ステップでは、主成分得点Y=(y1,y2) tに対応する最終結果の粒度ヒストグラムを図8に示した主成分空間マップから選択する。
【選択図】図1
【解決手段】(S102)および(S103)にて、図4に示した処理フローにて画像処理結果から粒度ヒストグラムを求めるまでを行う。次に、(S104)ステップでは、先に求めた粒度ヒストグラムについて主成分分析を行い、主成分得点X=(x1,x2) tを求める。そして、(S105)ステップでは、図3のオフライン処理で同定した補正関数f1(x1,x2)と f2(x1,x2)にて主成分得点X=(x1,x2) tを主成分得点Y=(y1,y2) tに変換する。そして、(S106)ステップでは、主成分得点Y=(y1,y2) tに対応する最終結果の粒度ヒストグラムを図8に示した主成分空間マップから選択する。
【選択図】図1
Description
本発明は、粉粒体の粒度分布を画像処理を用いて計測する粒度分布作成方法に関するものであり、特にコークス製造における石炭の粒度分布作成方法に関するものである。
粉粒体の粒度分布を計測することは、粉粒体の製造工程では粉粒体の品質管理上、極めて重要である。例えば、石炭を乾留してコークスを製造する工程は、原料(石炭)荷役貯蔵、石炭処理、乾留、コークス処理および化成品処理の各工程より成り立っている。原料(石炭)荷役貯蔵工程では、船舶等で入荷された石炭は、アンローダにより荷揚げされた後、ベルトコンベアで輸送され、スタッカーにより貯炭場に積み付けられる。次の石炭処理工程は、良質コークスが得られるように各種銘柄の石炭を適量に配合し、それらを最適な粒度に粉砕する工程である。先の貯炭場に貯炭されていた石炭は、払い出し設備すなわちローダーなどで払い出され、さらにコンベアで配合槽まで送炭されて各銘柄別に貯蔵される。配合槽に貯蔵される石炭は、石炭の流動性、不活性物質の多少、硬さ、粒度などの炭質を十分考慮して、各銘柄別に配合される。
通常、原料炭として入荷する石炭は、粉状の粉炭であるが、その粒度は、銘柄によって相当に異なっている。とくに不活性物質の石炭は、コークス化性の観点からできる限り細かくすることが好ましく、細かくすることによりコークス強度の向上が期待できる。しかしながら一方では、必要以上に細粒化すると、コークス炉に装入する段階で嵩密度低下をおこし、生産性低下の原因となるとともに、装入作業時の粉塵飛散やコークス炉窯内でのカーボン付着トラブルをひきおこす等の問題点もある。
そこで、互いに相反する要求に対して、両者を満足させる最適な粒度範囲を見出す必要がある。通常、3mm粒径以下のものが、全体の80%前後を占めるような粒度分布になるように操業管理している。具体的には、配合された石炭の粒度分布を計測し、この計測結果に基づき粉砕機の制御を行っている。
このように、コークスの製造工程では、石炭の粒度分布を計測することが操業管理上重要である。従来からの石炭粒度分布の代表的な計測方法として、サンプリングロボットで石炭を自動で採取し、乾燥後に粒径別に篩い分け、秤量することにより粒度分布を求める方法がある。
この方法を用いることにより、精度良く粒度分布を求めることができるものの、バッチ計測であるという計測頻度の制約(1日に数回程度)から、その結果を用いてリアルタイムに石炭粒度分布管理・粉砕機の回転数制御を行うことは困難であるとともに、石炭のサンプリングをするサンプリングロボット装置自体も高価であるという問題があった。
そこで、リアルタイムで粒度分布管理を行える画像解析による粒度分布計測方法の開発が行われてきた。CCDカメラ等により撮像された石炭画像から画像処理技術により粒度分布を求める方法が考案された。画像処理による粒度分布計測方法の一例として、特開平5−231821号公報(特許文献1)では、流下する粒状物質を静止画像として映出し、その映出された粒子の体積や重量を計算機による画像処理で算出し、粒度を測定する方法が開示されている。この発明を実施するためには、粒状物質を連続的に流下させる装置が必要であり、コークス粒投入ホッパー、ベルトコンベア、分離スクリーン、分離板、漏斗、反射板、搬送用ホッパー、および分散棒などの構成要素を必要とし、設備化に多大な費用を要する。
もっと簡単な構成による石炭の粒度分布の測定方法として、特開2002−221481号公報(特許文献2)の開示がある。ベルトコンベア等の搬送体に載せられて移動中の石炭を撮像して画像処理により粒度を測定する装置であり、撮像装置と被写体との距離変動をなくすために整流板をつける工夫がなされている。
また、粒度分布測定用の画像処理方法に工夫を加えたものとして、特開2003−83868号公報(特許文献3)の開示がある。これは、撮像された元画像から、当該元画像に「ぼかし処理」を行った「ぼかし画像」を得て、当該「ぼかし画像」を2値化処理することにより、所定粒径以上の測定対象物の分布を測定すると共に、前記撮像された元画像と「ぼかし画像」の差分により形成された「差分画像」を2値化処理することにより、前記所定粒径未満の測定対象物の粒径分布を測定し、これら2種類の粒径測定分布の測定結果に基づいて、全体の粒径分布を測定する粒度分布測定方法である。
特開平5−231821号公報
特開2002−221481号公報
特開2003−83868号公報
特許文献1ないし特許文献3で示された方法は、いずれも粉粒体をカメラで撮像し、得られた画像をベースにして画像処理を施し、粒度分布を求めるものである。しかしながら、粉粒体の撮像状態を見てみると、大径粒子の上に小径粒子が重なっていたり、粒子の一部が埋もれていたりなどと、すべての粒子が均一に上手く分散している状態は現実的には中々得にくい。このように、表面に現れた情報、すなわち画像情報だけからでは真の粒度分布が求められないといった問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、撮像された画像から粒子の重なりなどの誤差要因を除去して、正確な粒度ヒストグラムを求めることができる粉粒体の粒度分布作成方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、粉粒体をカメラにて撮像し、その画像の画像処理を行い、粉粒体の粒度分布を得る方法において、得られた粒度分布情報に主成分解析を行い、情報吸収量の高い上位の主成分の主成分得点を用いて、前記粒度分布情報を補正することを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記粒度分布情報は、粒度ヒストグラムであることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
また請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記補正を、画像処理結果から手分析結果への変換則により、前記主成分得点を変換させることにより行うことを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
また請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記変換則を、重回帰によって求めることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
また請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記変換則を、ニューラルネットワークなどによる学習にて求めることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
また請求項6に記載の発明は、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、手分析結果に基づいて作成した主成分空間マップを用いて、前記変換された主成分得点から粒度ヒストグラムを選択することを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
また請求項7に記載の発明は、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記変換された主成分得点から、主成分空間にて手分析結果において得られた複数の粒度ヒストグラムとの距離を計算して最も近い粒度ヒストグラムを選択し、補正結果とすることを特徴とする粒度分布測定方法である。
また請求項8に記載の発明は、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記変換された主成分得点へ、実測値における粒度ヒストグラム情報から情報吸収量の高い上位の主成分の得点への変換行列の逆行列を作用させて粒度ヒストグラムを推定し、補正結果とすることを特徴とする粒度分布測定方法である。
さらに請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、前記粉粒体は、石炭であることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法である。
本発明は、粒度ヒストグラム情報に対して主成分解析を施し、相関の強い情報を排除し、独立で重要な情報のみを抽出して、その主成分の得点の変換により合理的に補正をおこなうようにしたので、粒度ヒストグラム情報に対して適切な補正を行うことが可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面と数式を用いて説明する。図2は、本発明を実施するための装置構成の一例を示す図である。図中、1は石炭粒子、2はベルトコンベア、3はエリアセンサカメラ、4はカメラコントローラ、5は記憶装置、6は演算装置、および7は表示装置をそれぞれ示している。まず、カメラコントローラ4によって制御されたエリアセンサカメラ3によって、ベルトコンベア2にて搬送される散在した石炭粒子1の状態を撮像する。
エリアセンサカメラ3には、2次元CCDカメラなどを用い、粒度分布測定範囲内の微細な粒子が充分確認できる位置に設置する。画像採取時期は、ベルトコンベア2の速度と視野範囲から適合する値を選定し、石炭粒子1が完全に砂塵に埋もれてしまっていない場所を選択するのが理想的である。また、表面に露出している粒子は全体のなかのごく一部である可能性があるので、統計的信頼性を増すためには可能な限り多くの画像を得るようにするとよい。
得られた画像は、直ちに記憶装置5に蓄積され、さらに演算装置6において粒度分布を求める演算処理して、表示装置7にて粒度分布計測結果として表示するという流れを取る。演算装置6における演算処理は、本発明の核となるので以下に詳説する。なお、この演算処理した粒度分布は、記憶装置5に蓄積されるとともに、上位のプロセス計算機(図示せず)にデータ転送し、石炭の粉砕機等への制御指令に用いることもできる。
図4は、画像処理を行って粉粒体の粒度分布を求めるまでの処理フローの一例を示す図である。先ず、初め(S301)で処理をスタートして、2次元エリアセンサカメラでの観測画像に含まれる輝度斑等に対する前処理として、 シェーディング補正またはラプラシアンフィルタ走査による規格化を行う(S302)ステップに進む。シェーディング補正処理は、注目画素の近傍領域にて画素変数の平均をとり、注目画素の値から引き算または割り算を行うものである。また、ラプラシアンフィルタの走査は、一例として図12に示したSavitzy−Golayのラプラシアンフィルタカーネルを画像に対して走査して、コンボリューション(たたみ込み積分)をとる。このとき除去される低周波域の大きな輝度変化とは、たとえば照明の具合や撮像角度など光学的要因によるものである。
次に、2値化を行う(S303)ステップに進み、候補画像を構成する画素を活性化させる。この前処理の対象となる量は、通常は輝度であるが、測定対象物の性質により他の特定の物理量、例えば特定の色の強さ等を選択することもできる。また、2値化閾値等は経験により決定するが、画像が規格化(通常は8bit表現において中心輝度を128にする)されていれば、容易に2値化閾値を決定することができる。
さらに、孤立点除去による補正を行う(S304)ステップ、そして、画素連結による補正を行う(S305)ステップにて、活性画像の除去・連結といった補正を行う。図5に、上から順に(1)元画像、(2)規格化画像、(3)2値化画像、(4)補正画像と処理の進行過程により得られる画像の一例を示す。
そして、最終的に補正された粒子像に含まれる活性画素の総和を求めて、粒子の断面積とする。ここで、粒子の断面積を求めるためにラベリングを行う(S306)ステップを経る。隣接画素の値を調べるラベリングの手法を用いて、粒子毎の領域を認識させて、その領域内の活性画素数から断面積を求めるものである。
次に、粒度分布を求める(S307)ステップにて、粒子の断面積Sについて、例えば断面が円と見なした式Rp=2(S/π)1/2からRpを粒塊の径の指標として粒度分布を求める。そして、各粒子径に対応する石炭の重さの分布を求めるため、粒度分布の重量換算をおこなう。比重ρで粒子径Rpの粒子がn個観察されたとすると、その粒子径の石炭の重さWrは、以下の(1)式として求めることができる。
Wr =(1/6)nρπRp 3 ・・・・・・・・(1)
以上の処理を終了すれば、終わり(S308)にて一連の処理を終わる。
以上の処理を終了すれば、終わり(S308)にて一連の処理を終わる。
上述した画像処理を経ても、例えば大径粒子の上に小径粒子が重なったり、粒子の一部が埋もれていたりした場合には、表面に現れた情報、つまりそのような状態で得られた画像情報からは、真の粒度分布は得られない。しかしながら、表面を人が見れば粒度が粗いか細かいか容易に知ることができるように、画像情報は粒度分布についての何らかの情報を含んでいる。このように画像処理結果から得られた粒度ヒストグラムがそのままでは真値から大きく外れていても、適切な変換則を見つけて補正して実用上に有益な粒度ヒストグラム推定を行うことを目的としている。そのためには、まず系統的な方法により粒度ヒストグラム情報から、その個性を的確に表現している成分を見つけだす必要がある。
本発明では、主成分解析により粒度ヒストグラムの階級区分より少ない重要な成分を抽出して、その得点の変換により補正をおこなう。この手法によれば粒度ヒストグラム情報から従属的な情報を排除して、相関を見だすに重要な情報のみを抽出し、適切な補正則を得ることが可能である。なお、画像処理結果から得られた粒度ヒストグラムよりの粒度情報は必ずしも補正された粒度ヒストグラムでなくてもよい。例えば「粗い」「ふつう」「細かい」といった定性的な区分によっても、また特定サイズの粒子の割合だけによっても、実用上有益な場合があるが、以下においては、補正された粒度ヒストグラムによって表現される場合について説明する。
本発明においては、図3の流れに従って予めオフラインで粒度ヒストグラムの補正則を求めておく。先ず 初め(S200)で処理をスタートして、エリアセンサカメラによって画像採取を行う(S201)ステップを経て、その直後に画像採取した石炭原料を実際に採取して、粒径毎に篩にかけて秤量する。この秤量により得られた石炭粒径分布を真値とし、以下この作業を「粒度分布の手測定」(S202)および「粒度分布の手測定」結果から粒度ヒストグラムを求める(S205)と呼ぶ。
次ステップである採取画像の画像処理を行う(S203)および画像処理結果から粒度ヒストグラムを求める(S204)の詳細ステップは、先に説明した図4の流れに従う。対となる画像処理結果からの粒度ヒストグラムの作成と、「粒度分布の手測定」結果からの粒度ヒストグラムの作成を、後述する主成分解析に充分な数の標本が収集されるまで行う(所定数のデータが収集されたか?(S206))。対象等にもよるが、石炭粒子の場合では実用上100個以上あれば十分である。図7に、石炭粒子の粒度分布計測の一例として、(1)と(2)に、画像処理結果より得られた粒度ヒストグラムと「粒度分布の手測定」結果より得られた粒度ヒストグラムを対比して示す。手測定の結果では、粒径0.5mm以下が30%以上も占めるなど、同じ石炭粒子を対象にしているにもかかわらず、両者で分布の様子が大きく異なっていることが分かる。
そして、画像処理結果からの粒度ヒストグラムの主成分を求める(S207)ステップと「粒度分布の手測定」結果からの粒度ヒストグラムの主成分を求める(S208)ステップにて、画像処理結果から得られた粒度ヒストグラム情報と、真値である「粒度分布の手測定」結果から得られた粒度ヒストグラム情報についての両者について主成分解析を行う。
図11は、主成分解析を簡単に説明する図である。図中のX1軸とX2軸で張られる2次元空間でのデータ散布状態を示すように、データの全体のなかでの個性をもっともよく説明する新しい軸を見つけだすものである。図11の例では、新しいX’1軸とX’2軸のうち、X’1軸だけでデータの個性のほとんどが説明できることが分かる。主成分解析において粒度ヒストグラムの階級区分がnである場合は、n次元ベクトルデータの系列から情報吸収量の大きい、すなわち全体のなかでの個性をもっともよく説明する成分を抽出することとなる。
図7の例では、粒度ヒストグラムの階級区分が7であるから、7次元ベクトルデータの系列から、情報吸収量の大きい成分を抽出することとなる。階級区分が7である石炭粒度分布の場合についての解析によれば、画像処理結果から得られた粒度ヒストグラム情報についても、真値である「粒度分布の手測定」結果から得られた粒度ヒストグラム情報についても、第1主成分と第2主成分で85%以上が表現されていることが判明した。すなわち第1主成分と第2主成分とで粒度ヒストグラムは充分に表現でき、また補正もこの成分をもとにするのが合理的であると考えられる。
本発明においては、「粒度分布の手測定」の結果から得られた粒度ヒストグラム情報を元にして、主成分空間マップを作成する(S209)ステップにて、図8に示すような主成分空間マップを作成する。(S209)ステップで行った主成分分析をもとにして、それぞれの主成分得点を主成分座標にプロットし、区間分けをしたそれぞれの区画で代表的な粒度ヒストグラムを選んでおく。このときメッシュの分解能は実用上、要求される精度に応じて決める。図8の例は、第2主成分までをとった例であり、第1主成分と第2主成分のそれぞれを4等分づつ、すなわち16分割している。この主成分空間マップを利用して、後述するオンラインでの粒度ヒストグラム選択を行う。
次に、主成分得点間の関係を重回帰分析により求める(S210)ステップにて、画像処理結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点から手測定結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点への変換を求める。以下、簡単のために第2主成分までをとった場合について説明する。すなわち、画像処理結果から得られた粒度ヒストグラムの第1主成分得点をx1、第2主成分得点をx2とし、手測定結果から得られた粒度ヒストグラムの第1主成分得点をy1、第2主成分得点をy2とした場合の、以下の(2)・(3)式における関数f1(x1,x2)と f2(x1,x2)を同定することとなる。
y1=f1(x1,x2) ・・・・・・・(2)
y2=f2(x1,x2) ・・・・・・・(3)
実際に石炭粒子の場合で解析してみると、関数f1(x1,x2)と f2(x1,x2)は線形、すなわち(4)・(5)式のように表わせることがわかった。
f1(x1,x2)=a11x1+a12x2+b1 ・・・・・・・(4)
f2(x1,x2)=a21x1+a22x2+b2 ・・・・・・・(5)
(6)・(7)式のような表記を用いれば、結局、(8)式のように表わせる。
X = (x1,x2)t ・・・・・・・(6)
Y = (y1,y2)t ・・・・・・・(7)
Y = AX + B ・・・・・・・(8)
(8)式中の行列AおよびBを、重回帰にて求める。図9は、画像処理から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況(1)と「粒度分布の手測定」の結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況(2)の対応を例示するものであり、プロットした点に付した数字が同じもの同士が対応する粒度分布データである。この例においては、「粒度分布の手測定」の結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況は、ほぼ画像処理から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況を、ある点について回転したような形になっており、f1(x1,x2)と f2(x1,x2)を線形として重回帰によって求めることができる。
y1=f1(x1,x2) ・・・・・・・(2)
y2=f2(x1,x2) ・・・・・・・(3)
実際に石炭粒子の場合で解析してみると、関数f1(x1,x2)と f2(x1,x2)は線形、すなわち(4)・(5)式のように表わせることがわかった。
f1(x1,x2)=a11x1+a12x2+b1 ・・・・・・・(4)
f2(x1,x2)=a21x1+a22x2+b2 ・・・・・・・(5)
(6)・(7)式のような表記を用いれば、結局、(8)式のように表わせる。
X = (x1,x2)t ・・・・・・・(6)
Y = (y1,y2)t ・・・・・・・(7)
Y = AX + B ・・・・・・・(8)
(8)式中の行列AおよびBを、重回帰にて求める。図9は、画像処理から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況(1)と「粒度分布の手測定」の結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況(2)の対応を例示するものであり、プロットした点に付した数字が同じもの同士が対応する粒度分布データである。この例においては、「粒度分布の手測定」の結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況は、ほぼ画像処理から得られた粒度ヒストグラムの主成分得点散布状況を、ある点について回転したような形になっており、f1(x1,x2)と f2(x1,x2)を線形として重回帰によって求めることができる。
しかしながら本発明は、f1(x1,x2)と f2(x1,x2)を線形として重回帰で求めることに限定されるものではない。画像処理結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分空間から手測定結果から得られた粒度ヒストグラムの主成分空間までの写像が非線形の場合には、例えば、図10に示したような3層のニューラルネットワークを利用した学習でf1(x1,x2)と f2(x1,x2)を求めることができる。同定した変換則の妥当性を確認するには、理論値に対応する観測値についてグラフを描いてみるとわかりやすい。ここで85%以上の情報吸収量をもつ主成分を抽出して相関を調査しても何も得るものがなかったなら、画像処理結果と真値である「粒度分布の手測定」の結果の対応が疑わしいので、図4に示した画像処理の流れを再度調整し直すか、あるいはデータ採取過程の妥当性そのものを調査し直す必要がある。
以上途中の説明が長くなったが、図3に戻りS210の次ステップとして、重回帰分析結果を保存する(S211)を行う。ここでは、次に説明を行うオンライン処理のために、重回帰分析結果と主成分空間マップを保存し、終わり(S212)にて一連のオフライン処理を終了する。
本発明におけるオンラインでの画像処理による粒度分布作成の流れを、図1に従って説明する。先ず、始め(S100)にて処理をスタートし、画像採取を行う(S101)。次に、画像処理を行う(S102)にて図4に示した処理フローにて、画像処理結果から粒度ヒストグラムを求める(S103)までを行う。ここでは、例えば、図6(1)入力に示すような粒度ヒストグラムが作成できる。
次に、粒度ヒストグラムの主成分得点を求める(S104)ステップでは、先に求めた粒度ヒストグラムについて主成分得点X=(x1,x2)tを求める。そして、式に従って主成分得点を変換する(S105)ステップでは、図3のオフライン処理で同定した補正関数f1(x1,x2)と f2(x1,x2)にて主成分得点X=(x1,x2)tを主成分得点Y=(y1,y2)tに変換する。
そして、主成分空間マップより粒度ヒストグラムを選択する(S106)ステップでは、主成分得点Y=(y1,y2)tに対応する最終結果の粒度ヒストグラムを図8に示した主成分空間マップから選択する。ここでは適当に区画された主成分空間の領域に、代表的な粒度ヒストグラムが指定されている。この方法により粒度ヒストグラムを代表することで詳細情報が失われるが、その多くは採用しなかった残りの主成分に対応しており、その情報吸収量は合わせても僅か15%以下であって実用上は無視してよい。
次に、主成分空間マップを利用した、別の粒度ヒストグラム選択の方法を説明する。図13は、教師データが位置づけられた主成分空間マップの一例を示す図であり、まず変換された主成分の得点から、主成分空間にて実測値において得られた複数の粒度ヒストグラムとの距離を計算して、その距離が最も近い粒度ヒストグラムを選択する方法である。すなわち、主成分得点Y0が得られたら、教師データの粒度ヒストグラム(Zi∈Z)の主成分得点Y(Zi)のうち距離がもっとも近いものを、補正された粒度ヒストグラムZeとして選ぶものである。式で表わすと、以下の(9)式のように表せる。
Ze : e=argmini[d(Y(Zi),Y0)] ・・・・・・・・(9)
ここでd(Α,Β)は、k次元主成分空間(Rk,d)でのΑとΒの距離を示し、この距離としては、例えば、ユ-クリッド距離{(α1-β1)2+(α2-β2)2+…+(αk-βk)2}1/2などが考えられる。
ここでd(Α,Β)は、k次元主成分空間(Rk,d)でのΑとΒの距離を示し、この距離としては、例えば、ユ-クリッド距離{(α1-β1)2+(α2-β2)2+…+(αk-βk)2}1/2などが考えられる。
さらに、主成分空間マップを利用しない、粒度ヒストグラム選択の方法を説明する。変換された主成分の得点へ、実測値における粒度ヒストグラム情報から情報吸収量の高い上位の主成分の得点への変換行列の広義での逆行列であるムーア・ペンローズ一般逆行列を作用させて、粒度ヒストグラムを推定する方法である。
主成分得点がk次元で、粒度ヒストグラムがl次元、ただしk<lとして話を進める。主成分得点Y=(y1,…,yk)tは、粒度ヒストグラムをZ=(z1,…,zl)tとすれば、Y=MZで表わせる。ここでの行列Mは、以下の(10)式のようになり、主成分解析により求められる。
変換された主成分の得点から粒度ヒストグラムを求めるには、通常、上記行列Mの逆行列を求める。しかしながら、主成分得点と粒度ヒストグラムの次元がk<lと異なるため、通常の逆行列を求めることはできず、逆問題解析の考えが必要となる。図14は、逆問題解析を説明する図である。先に説明した主成分解析は、粒度ヒストブラム空間Rlから主成分得点空間Rkへの写像Mであり、逆問題解析とは、さきに求めた主成分解析結果YよりZにできるだけ近い推定ベクトルZBを与えるような、主成分得点空間Rkから粒度ヒストブラム空間Rlへの復元写像Bを構成する問題となる。
一般逆行列Mーとは、Y=MZが解をもつような任意のYについて、Z=MーYが解の1つとなるときのMについてのMーのことである。しかしながら、この意味での一般逆行列は一意に求められないので、次の制約条件で考える。
・ 反射型一般逆行列の条件
MMーM=M
Mー MMー=Mー
・ ノルム最小型一般逆行列の条件
行列の成分の僅かな変動が解の挙動を大きく変動させないこと
・ 最小2乗型一般逆行列の条件
2乗ノルム‖MZ−Y‖2を最小にするZ=MーYであること
以上の制約条件により一意に得られるMーは、ムーア・ペンローズ一般逆行列として知られている。本発明が対象にしている問題においては、Mの各行ベクトルは主成分解析の性質から直交しており、この行列はフルランクであるから、ムーア・ペンローズ一般逆行列は、以下の(11)式で計算することができる。
M+=Mt(MMt)-1 ・・・・・・・(11)
そして、主成分得点から粒度ヒストグラムを、(12)式と推定することができる。
Z=M+Y ・・・・・・・(12)
以上説明したように粒度ヒストグラムが選択されると、次に、その粒度ヒストグラムを表示する(S107)ステップにて、図2(5))記憶装置に結果が蓄積されると同時に、(7)表示装置によってオペレータにも表示されたのち、終わり(S108)で一連の処理を終了する。図6(2)は、補正された粒度ヒストグラムの一例を示している。
・ 反射型一般逆行列の条件
MMーM=M
Mー MMー=Mー
・ ノルム最小型一般逆行列の条件
行列の成分の僅かな変動が解の挙動を大きく変動させないこと
・ 最小2乗型一般逆行列の条件
2乗ノルム‖MZ−Y‖2を最小にするZ=MーYであること
以上の制約条件により一意に得られるMーは、ムーア・ペンローズ一般逆行列として知られている。本発明が対象にしている問題においては、Mの各行ベクトルは主成分解析の性質から直交しており、この行列はフルランクであるから、ムーア・ペンローズ一般逆行列は、以下の(11)式で計算することができる。
M+=Mt(MMt)-1 ・・・・・・・(11)
そして、主成分得点から粒度ヒストグラムを、(12)式と推定することができる。
Z=M+Y ・・・・・・・(12)
以上説明したように粒度ヒストグラムが選択されると、次に、その粒度ヒストグラムを表示する(S107)ステップにて、図2(5))記憶装置に結果が蓄積されると同時に、(7)表示装置によってオペレータにも表示されたのち、終わり(S108)で一連の処理を終了する。図6(2)は、補正された粒度ヒストグラムの一例を示している。
このような手法によれば、画像処理結果からの粒度ヒストグラム情報と「粒度分布の手測定」結果からの粒度ヒストグラム情報から、系統的に重要な情報を引き出すことができ、それらの相関を求めることにより、画像処理結果からの粒度ヒストグラムについて適切な補正を行うことができる。
なお、粒度分布計測の適用対象はこれまで説明した石炭とは別に、鉱石、石灰石、コークス、プラスチック粉、トナーなどの各種粉粒体にも適用することが可能である。
1 石炭粒子
2 ベルトコンベア
3 エリアセンサカメラ
4 カメラコントローラ
5 記憶装置
6 演算装置
7 表示装置
2 ベルトコンベア
3 エリアセンサカメラ
4 カメラコントローラ
5 記憶装置
6 演算装置
7 表示装置
Claims (9)
- 粉粒体をカメラにて撮像し、その画像の画像処理を行い、粉粒体の粒度分布を得る方法において、得られた粒度分布情報に主成分解析を行い、情報吸収量の高い上位の主成分の主成分得点を用いて、前記粒度分布情報を補正することを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。
- 請求項1に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記粒度分布情報は、粒度ヒストグラムであることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。 - 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記補正を、画像処理結果から手分析結果への変換則により、前記主成分得点を変換させることにより行うことを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。 - 請求項3に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記変換則を、重回帰によって求めることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。 - 請求項3に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記変換則を、ニューラルネットワークなどによる学習にて求めることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。 - 請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
手分析結果に基づいて作成した主成分空間マップを用いて、前記変換された主成分得点から粒度ヒストグラムを選択することを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。 - 請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記変換された主成分得点から、主成分空間にて手分析結果において得られた複数の粒度ヒストグラムとの距離を計算して最も近い粒度ヒストグラムを選択し、補正結果とすることを特徴とする粒度分布測定方法。 - 請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記変換された主成分得点へ、実測値における粒度ヒストグラム情報から情報吸収量の高い上位の主成分の得点への変換行列の逆行列を作用させて粒度ヒストグラムを推定し、補正結果とすることを特徴とする粒度分布測定方法。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の粉粒体の粒度分布作成方法において、
前記粉粒体は、石炭であることを特徴とする粉粒体の粒度分布作成方法。
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-
2004
- 2004-03-03 JP JP2004058341A patent/JP2005208024A/ja active Pending
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