JP2005206148A - 限定された先細比を有する前進・後退回転翼ブレード - Google Patents

限定された先細比を有する前進・後退回転翼ブレード Download PDF

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Abstract

【課題】良好な力学的動作と改善された空力学性能を備えた比較的騒音の低いブレードを提供する。
【解決手段】本回転翼ブレードは、内側領域と前進領域と後退領域とを基準半径に沿って連続的に有し、限定的先細比を有する。さらに、前進領域(ZFS)の始端は、回転翼の基準半径Rの0.47〜0.65倍の範囲内にある。また、基準半径におけるブレードの先縁部は、ブレードの全体軸に対して−40度〜−60度の範囲の角度γを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、限定された先細比を有する回転翼用前進・後退ブレードに関する。回転翼は、揚力および水平推進力を有するヘリコプタ等の航空機を構成する部材である。
通常、このような翼は、翼が取り付けられているヘリコプタを駆動するのに適した空力学的性能を有していなければならない。また、騒音認可のための恒常的制限規格を充たしていなければならない。その結果、今日、ブレードの形状は、時には相矛盾するこれら特徴の両方を考慮に入れて決定されている。
ブレードの空力学的性能を支配する寸法的考察については、本明細書で引用する特許文献1に詳述されている。
ブレード形状の騒音影響に関しては、知見は限られている。
しかし、マルチゾーンブレードが知られており、このマルチゾーンブレードは、回転翼の軸から始まり、そこから遠ざかる方向に、逆先細比、即ち増加する翼弦を有する内側領域と、最初は増加しその後減少する翼弦を有する前進領域と、減少する翼弦を有する後退領域と、を有している。
一つの領域は、その先縁部がブレード軸に対して正の角を形成する場合、即ち、ロータの回転方向前方に伸長している場合、“前方”に掃引(swept)されていると言われ、前記先端部が負の角度を形成する場合、“後方”に掃引(swept)されていると慣習的に言われている。
マルチゾーンブレードには、騒音公害を減少させるという利点がある。前進領域に続いて後退領域を設けることによって、ブレードの先縁部が、先行するブレードによりブレードの翼幅に沿って発生される渦の軸と平行になるのを防止している。さらに、後退領域の先細比が騒音に良い影響を与える。なぜなら、既知の翼形では、翼弦が短くなるにつれて厚さが減少することにより、いわゆる“厚さ”騒音が減少されるからであり、またブレード面積が先細比によって減少されることにより、その揚力が低下し、いわゆる“負荷”騒音が減少されるからである。
FR 2 689 852
しかし、このようなブレードは、特定の関心事である中心(即ち、空力学的中心、重心、及びピッチ軸に対する弾性中心)に対して満足のいく位置に配置されていないため、動力学的に述べると、制限がある。その結果、過剰な制御力が生じ、ロータの全体的な動力学的動作が劣る。
さらに、その空力学的性能は、同じ面積を有する従来のブレード程、良くない。特に、ホバリング時の良度指数が小さく、前進するブレードが前方飛行中に大重量により時期尚早の失速を起こす。
内側領域の逆先細比は、ブレードの重量を減少できるため有益である。しかし、特に後退領域が存在しているため、ブレードの根元部(即ち、内側領域の始端)は、そこに発生する捻りモーメントに耐えることが要求される。従って、回転翼の軸に近づくにつれてその厚さを増加させることにより、ブレードを堅固にすることが必要となる。このように、ブレードの翼形は、回転翼の軸から遠ざかるにつれ漸減するばかりでなく、前記軸に向かって厚さを増加させなければならないため、非常に複雑なものとなる。
このような複雑性が引き起こす困難については、当業者に想起させるまでもない。
また、内側領域の先細比は、ホバリング時の動作を厳しく制限し、このことは、最大離陸重量に直接の影響を与える。
従って、本発明の目的は、良好な力学的動作と改善された空力学的性能を備えた比較的静かなブレードを提供することである。
本発明によると、回転翼ブレードは、回転子盤半径、即ち、前記回転翼の半径に対応する基準半径に沿って連続的に配置された、内側領域と、前進領域と、後退領域とを備え、さらに、前進領域の始点は、前記基準半径の0.47〜0.65倍の範囲内にある。
後退領域の始端は、基準半径の0.75〜0.90倍の範囲内にある。
さらに、前進領域は、5度から10度の範囲にある前進角を有する。
同様に、後退領域は、−15度から−30度の範囲にある後退角を有する。
後退領域は、一定で、且つ、前記前進領域の最外部の翼弦と等しい翼弦を有していることが好ましい。
これにより、ブレードの製造に関する制限を緩和する。
好ましい実施態様では、後退領域の先細比は1〜2の範囲にあり、即ち、前記領域の最外部の翼弦に対する同領域の最内部の翼弦の比は、1対2の範囲内にある。
さらに、ブレードが後退領域に続く外側領域を含んでいるため、前記外側領域もまたテーパ状に形成されている。
外側領域の先細比と細い部分は、ホバリング時と高速時の空力学的性能を改善すること、領空を飛行する際の騒音を減少させることの両方の利点を備えている。
一例として、外側領域の始端を、基準半径の0.92〜0.97倍の範囲内にすることができる。
この先細比は放物線状であるのが好ましく、先縁部は、基準半径におけるブレード軸に対して、その軸から−40度〜−60度の範囲にある角度を有している。この位置において、厚さは翼弦の6%〜8%の範囲内にある。
基準半径においてこのように角度が付けられている先縁部を有していることは、入射マッハ数(即ち、音速で分割される先縁部に対して垂直に測定される翼形の気流速度の指数)を減少させる働きがあるため、特に重要である。
翼の空力学的動作は、ブレードの入射マッハ数と直接関連している。
このように、ブレードの先端において入射マッハ数を減少させることにより、亜音速領域で連続的に操作することが可能となり、これにより遷音速領域に特有の圧縮性ショックを防止することができる。
さらに、音響的に述べると、入射マッハ数を減少させることは、結果として、騒音を減少させることになる。
さらに、ブレードは、捩れ関係に応じた捩れ片を有する。
捩れ片の始端は、内側領域の始端と一致していることが、好ましい。
捩れ関係は、少なくとも基準半径の0.9倍まで線形であることが好ましい。また、捩れ関係は、基準半径により分割される−10度〜−13度の範囲にある係数を有している。
他の特性によると、ブレードは、外側領域内の先端において二平面を形成する傾斜部を有している。
この傾斜部の傾斜角度δは、基準半径において10度〜20度の範囲内にある。
さらに、翼形内側領域の始端は、基準半径の0.15〜0.30倍の範囲内にある。
基準半径は、5メートル(m)〜10メートルの範囲内にあるのが好ましい。
さらに、ブレードは、少なくとも一つの6%〜8%の範囲の翼厚を有する区分を含み、この区分は、外側領域に含まれている。
同様に、ブレードは、少なくとも一つの8%〜10%の範囲の翼厚を有する区分を含んでおり、前記区分は基準半径の75%を越えたところに位置している。とりわけ、この区分は、9%に等しい厚さを有する部分を少なくとも一つ含んでいる。
内側領域は、一定の翼弦を有することが好ましい。
この翼弦は、Lが以下の式で与えられる場合、Lの1.0〜1.1倍の範囲内にある。
L(r)は、翼弦がどのように翼幅に沿って変化するかを決定する関係を示し、R0は、翼形部の始端における半径を示し、Rは、基準半径を示している。
同様に、前進領域は、一定で、且つ、内側領域の翼弦と等しい翼弦を有している。
本発明は、添付の図面を参照して記述された以下の実施形態の説明において、より詳しく説明されている。図1は、ブレードの平面図であり、図2は、その同じブレードの前面図である。両図に共通の要素には、各図において同じ参照番号を付与している。
図1を参照すると、ブレードPは、ARTで図示したリードラグ・フラッピングヒンジに接続部材Tによって固定され、駆動軸ROTに接続されて、略垂直な軸Ozの周りを回転する。
ブレードの自由端あるいは外側端部EEは、ここで“基準半径”Rで参照される軸Ozから距離Rだけ離れたところに位置している。
ブレードPは、接続部材Tに固定された内側端部EIから始まる内側領域ZIと、前進領域ZFSと、後退領域ZBSと、外側領域と、を連続して有している。
ブレードの翼形部の始端に対応する内側端部EIは、ロータ軸から一定の距離を隔てていることが好ましく、その距離は基準半径の15%〜30%の範囲内であり、理想的には27%である。
内側領域ZIと前進領域ZFSとの間の境界は、好適には基準半径の47%〜65%の範囲にあり、理想的には60%にある。
前進領域ZFSと後退領域ZBSとの間の境界は、基準半径の75%〜90%の範囲にあり、理想的には85%にある。
前進領域ZFSと外側領域ZEとの間の境界は、基準半径の0.92倍〜0.97倍の範囲にある。
内側領域ZIは、一定で、且つ、Lが以下の式で与えられる場合、Lの1倍から1.1倍の範囲、理想的には、Lの1.07倍である翼弦を有している。
L(r)は、翼弦がどのように翼幅に沿って変化するかを決定する関係を示し、R0は、翼形部の始端における半径を示し、Rは、基準半径を示している。
前進領域ZFSもまた、一定で、結果的に内側領域ZIの翼弦に等しい値の翼弦を有していることが好ましい。前進角αは、5度〜10度の範囲内にあり、好ましくは7度である。
後退領域ZBSは、その二つの端部間に、1〜2の範囲で、理想的には1.5に等しい先細比を有する翼弦を有していることが好ましい。先細比は、最外部の翼弦(即ち、外側領域に隣接する部分)に対する最内部の翼弦(即ち、前進領域に隣接する部分)の比である。後退角βは、−15度〜−30度の範囲内にあり、好ましくは−25度である。
外側領域ZEは、基準半径(即ち、ブレードの外端部)において、−40度から−60度の範囲で理想的には−45度の角度γの放物線を描く先縁部を有している。
最後に、ブレードは、図2に示したような二平面を形成する傾斜部Mによって終結されている。この傾斜部Mは、10度〜20度の範囲の、理想的には16度の傾斜角度δで、下方向に傾斜している。
さらに、ブレードの一片は、捩れている。この片は、内側領域から外側領域まで伸長していてもよい。好ましくは、捩れ関係は、線形であり、Rが前述したように基準半径を表している場合、−10°/R〜−13°/Rの範囲内にある係数を有している。理想的には、この係数は、−12°/Rである。
ブレードの平面図である。 図1のブレードの前面図である。

Claims (24)

  1. 内側領域(ZI)と、前進領域(ZFS)と、後退領域(ZBS)と、を基準半径Rに沿って連続的に有する回転翼用ブレード(P)であって、
    前記前進領域(ZFS)の始端は、前記基準半径Rの0.47〜0.65倍の範囲内にあり、
    前記基準半径Rにおける前記ブレードの先縁部は、当該ブレードの全体軸に対して−40度〜−60度の範囲の角度γを有していることを特徴とするブレード(P)。
  2. 前記後退領域(ZBS)の始端は、前記基準半径Rの0.75〜0.90倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のブレード(P)。
  3. 前記前進領域(ZFS)は、5度〜10度の範囲内にある前進角を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のブレード(P)。
  4. 前記後退領域(ZBS)は、−15度〜−30度の範囲内にある後退角を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  5. 前記後退領域(ZBS)は、一定で、且つ、前記前進領域(ZFS)の最外部の翼弦に等しい翼弦を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  6. 前記後退領域(ZBS)の先細比は、1〜2の範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  7. 前記後退領域(ZBS)に続く外側領域(ZE)をさらに有し、
    前記最外領域は、先細比を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  8. 前記外側領域(ZE)の始端は、前記基準半径Rの0.92〜0.97倍の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載のブレード(P)。
  9. 前記先細比は、放物線状であることを特徴とする請求項7または8に記載のブレード(P)。
  10. 捩れ関係を充たす捩れ片を有していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  11. 前記捩れ片の始端は、前記内側領域(ZI)の始端と一致することを特徴とする請求項10に記載のブレード(P)。
  12. 前記捩れ関係は、線形であることを特徴とする請求項10または11に記載のブレード(P)。
  13. 前記捩れ関係は、前記基準半径Rによって分割される−10度〜−13度の範囲内にある係数を有していることを特徴とする請求項12に記載のブレード(P)。
  14. 外端部に二平面を形成する傾斜部Mを有していることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  15. 前記基準半径における前記傾斜部(M)の傾斜角度δは、10度〜20度の範囲内にあることを特徴とする請求項14に記載のブレード(P)。
  16. 前記内側領域(ZI)の始端は、前記基準半径Rの0.15〜0.30倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  17. 前記基準半径は、5.0m〜10.0mの範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  18. 6%〜8%の範囲内の翼厚プロファイルを有する少なくとも一つの部分を有し、
    前記部分は、前記外側領域(ZE)に含まれていることを特徴とする請求項7に記載のブレード(P)。
  19. 8%〜10%の範囲内の翼厚プロファイルを有する少なくとも一つの区分を有し、
    前記区分は、前記基準半径Rの75%を越えた位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  20. 前記区分は、9%に等しい厚さの部分を少なくとも一つ含んでいることを特徴とする請求項19に記載のブレード(P)。
  21. 前記内側領域(ZI)は、一定である翼弦を有していることを特徴とする請求項1ないし20のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  22. 前記内側領域(ZI)の翼弦は、Lの1.0〜1.1倍の範囲内にあり、
    Lは、
    で与えられ、
    L(r)は、前記翼弦が翼幅に沿ってどのように変化するかを決定する関係を表し、
    R0は、翼断面の始端における半径を表し、
    Rは、前記基準半径を表していることを特徴とする請求項21に記載のブレード(P)。
  23. 前記前進領域(ZFS)は、一定である翼弦を有していることを特徴とする請求項1ないし22のいずれか一項に記載のブレード(P)。
  24. 前記前進領域(ZFS)の前記翼弦は、前記内側領域(ZI)の翼弦と等しいことを特徴とする請求項23に記載のブレード(P)。
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