JP2005201929A - 熱現像感光材料および製造方法 - Google Patents

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慎一 藏方
Hiroaki Ando
浩明 安藤
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一仁 伊原
Kazunori Shioiri
一令 塩入
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Abstract

【課題】 微粒子で、分散性がよく、その調製時に脱塩性に優れ、有機銀塩中において凝集や、沈降のない、ハロゲン化銀粒子(乳剤)を用いて、カブリが少なく、最高濃度が高い、現像性のよい熱現像感光材料およびその製造方法を得ようとするものである。
【解決手段】 少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を、または少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する画像形成層及び少なくとも還元剤を含有する層を隣接層として支持体上に有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層が、更に両親媒性ポリマーを含有し、該両親媒性ポリマーの下記に規定する析出点がpH2〜7であることを特徴とする熱現像感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱現像感光材料およびその製造方法に関するものであり、特に、両親媒性ポリマーを保護コロイドとして作製した微粒子の感光性ハロゲン化銀粒子を用いた熱現像感光材料とその製造方法に関するものである。
熱を加えるだけで画像形成ができる熱現像感光材料が実用化され、医療や印刷製版の分野で急速に普及してきている。熱現像感光材料自体は、既に古くから提案されており、これは、画像形成材料としては非感光性有機銀塩が用られるが、感光体としてはハロゲン化銀粒子が用いられている。
しかしながら、従来のゼラチンを保護コロイドとして用い作製した感光性ハロゲン化銀粒子は、有機溶媒には分散し難く、有機溶媒中に溶解したポリマー、有機溶剤中に分散した有機銀粒子などと混合するのは困難である。そのため、水系で有機銀塩を作製するプロセス中にあらかじめ感光性ハロゲン化銀粒子を混合し、乾燥した後に有機溶剤に有機銀粒子を分散させる必要があった。従って、有機銀塩の分散に大きな力を加えるとハロゲン化粒子がダメージを受けるため、有機銀塩の分散に制約が加わるという問題があった。
従って、ゼラチン、或いはゼラチンの代わりに合成ポリマーを用いる等により、その調製時に脱塩性に優れ、有機銀塩と混合したときに凝集を起こさず、分散性がよく、従ってカブリの少ない最高濃度が高い熱現像感光材料を得ることの出来るハロゲン化銀粒子の作製方法が種々の検討されている。
例えば、特許文献1には、ハロゲン化銀を分子量3000以下の分散剤を添加し分散する。また、脱塩時に限外ろ過で除去する方法が記載されている。また、特許文献2には、ハロゲン化銀を高圧分散する方法が、更に、特許文献3、4、5には、それぞれ限外ろ過の方法を工夫する方法が、また、特許文献6には、アニオン性であり8〜40の炭素数からなる疎水基を有するイオン性界面活性剤の1種類以上を有機酸銀塩に対して1モル%を越える量で導入し、その後限外ろ過を用いることで、有機銀塩分散液中での分散性を向上させる方法が、また、特許文献7には、有機溶媒中に分散できるようにするため、ハロゲン化銀作製時に、水と溶媒の両方に溶解するポリマーを用いてハロゲン化銀粒子を作製する例が提案されているが、アアミノ基を有するためハロゲン化銀のオストワルド熟成が促進され、ハロゲン化銀の小粒径化が困難になる。またpHを上げ、アミノ基を疎水化することで粒子を沈降させ脱塩を行うため、ハロゲン化銀粒子のカブリを増大させる問題がある等、感度、カブリ等を改良する手段として用いるには適さなかった。
更に、特許文献8、9,10にはポリアルキレンオキシド・ブロック・コポリマーを用いて単分散ハロゲン銀を得ることが、また、特許文献11に、曇点を有するポリマー使用して、発色濃度ムラを減少させたハロゲン化銀写真感光材料を得ること等が開示されている。しかしながら、これら合成ポリマーを用いても、脱塩が不充分な場合凝集分離を起こしやすく、これらの方法においても、微粒子で、調製時カブリの発生がなく脱塩性が良好で、また有機銀塩中での凝集がなく(分散性がよい)、従って熱現像感光材料に用いた場合に、発色がよく最高濃度が高いハロゲン化銀乳剤(粒子)は未だ得られていないのが実情である。
特開2001−188313号公報 特開平11−15105号公報 特開2000−305214号公報 特開2001−305691号公報 特開2002−49117号公報 特開2002−72404号公報 特開昭47−9179号公報 米国特許第5,147,771号明細書 米国特許第5,147,772号明細書 米国特許第5,127,773号明細書 特開平9−22081号公報
本発明の目的は、微粒子で、その調製時に脱塩性に優れ、有機銀塩中において分散性がよく、凝集や、沈降のないハロゲン化銀粒子(乳剤)を用いて、カブリが少なく、最高濃度が高い、銀色調に優れた現像性のよい熱現像感光材料およびその製造方法を得ようとするものである。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
(請求項1)
少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を、または少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する画像形成層及び少なくとも還元剤を含有する層を隣接層として支持体上に有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層が、更に両親媒性ポリマーを含有し、該両親媒性ポリマーの下記に規定する析出点がpH2〜7であることを特徴とする熱現像感光材料。
(ここにおいて、析出点とは、25℃においてポリマー1質量%水溶液に、所定の濃度の酸水溶液を滴下していったときに、白濁することが目視で確認できるpH値のことである。)
(請求項2)
前記両親媒性ポリマーの前記析出点がpH4〜6の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
(請求項3)
少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を、または少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する画像形成層及び少なくとも還元剤を含有する層を隣接層として支持体上に有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層が、更に両親媒性ポリマーを含有し、該両親媒性ポリマーが、下記に規定する析出点を有し、該析出点が、測定温度を10℃あげる(35℃で測定する)ことにより、pH値で少なくとも0.1以上上昇することを特徴とする熱現像感光材料。
(ここにおいて、析出点とは、25℃においてポリマー1質量%水溶液に、所定の濃度の酸を滴下していったときに、白濁することが目視で確認できるpH値のことである。)
(請求項4)
前記両親媒性ポリマーが水と有機溶剤の両方に溶解する両親媒性を有し、かつ下記一般式であらわされる基を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
−(EO)l−(PO)m−(TO)n−R
(ここにおいて、Eはエチレン基を、Pはプロピレン基を表し、Tはブチレン基を表し、Rは置換基を表す。lは1〜300、mは0〜60、nは0〜40の数値をそれぞれ表す。但し、l+m+n≧2である。)
(請求項5)
請求項1〜4に記載の熱現像感光材料の、製造方法であって、前記感光性ハロゲン化銀粒子を、水、または水および有機溶剤の混合液中において、前記両親媒性ポリマーを保護コロイドとして作製する、感光性ハロゲン化銀粒子の作製工程を含むことを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
(請求項6)
前記感光性ハロゲン化銀粒子の作製工程が、銀供給化合物と、ハロゲン供給化合物の、それぞれ水または水および有機溶剤の混合溶液を混合し反応させる反応工程、および脱塩操作によって生成した塩を除去する脱塩工程を含み、かつ前記両親媒性ポリマーが、前記反応工程の前から脱塩工程前までに用いられることを特徴とする請求項5に記載の熱現像感光材料の製造方法。
(請求項7)
前記脱塩工程が、凝集、沈殿による脱塩であることを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料の製造方法。
本発明により、発色点数が増加し、最高濃度が高く、かつ低カブリの熱現像感光材料が得られる。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、非感光性有機酸銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有するか、または非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する画像形成層及び還元剤を含有する層を隣接層として有する熱現像感光材料に関するものである。
はじめに、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)について説明する。
感光性ハロゲン化銀粒子の作製工程においては、銀供給化合物と、ハロゲン供給化合物との反応によりハロゲン化銀粒子を形成した後に、脱塩操作を行う必要があり、このために、Gelの代替として用いる合成バインダーの析出点(後述)は、ハロゲン化銀が余りに高い(或いは低い)pHに曝されたとき等カブリ或いは減感等の影響があることや、脱塩効率を考えると、pH2〜7の範囲であり、pH4〜6の範囲にすることが好ましい。本発明は、ハロゲン化銀粒子作製時に保護コロイドとして使用する合成バインダーの析出点を、両親媒性ポリマーを用いることで前記範囲に限定し、曇点現象も併用することによって、脱塩効率を上げるものである。具体的には、両親媒性のポリマー即ち、親水性のモノマー(例えばカルボン酸等の親水性基を有するモノマー)成分及び疎水性のモノマー成分を含有するポリマーを用いて、pHコントロールを行うことによって、また、ポリオキシアルキレン基(例えばポリオキシエチレン基)を導入した合成バインダーを用いることによって、曇点現象により、更に脱塩性の向上を図るものである。これら両親媒性ポリマーを用いる特筆すべき効果としては、脱塩による塩濃度低下及び操作時間短縮によりカブリの上昇が抑制できる。そのためカブリ防止剤すなわち、ハロゲン化合物が減量できる。またハロゲン化銀粒子のオストワルド熟成が抑制できるので、発色点数が増加し最高濃度が上昇させられることである。
以下、感光性ハロゲン化銀粒子の製造方法および該製造方法において用いられる両親媒性ポリマーについて述べる。
本発明の熱現像感光材料においては、感光性ハロゲン化銀乳剤は、平均粒径が0.1μm以下であり、更に好ましくは、0.005μm以上、0.08μm以下である。ここでいう平均粒径とは、ハロゲン化銀粒子が立方体や八面体のいわゆる正常晶である場合、その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径、いわゆる球相当径をいう。なお、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求める。
感光性ハロゲン化銀の添加量は、熱現像感光材料1m2当たりの塗布銀量で、0.01〜1.0g/m2であることが好ましく、0.01〜0.4g/m2であることが更に好ましく、0.01〜0.2g/m2であることが最も好ましい。
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズ及び添加量を上述の好ましい条件とするには、写真性能を良好なものとし、同一銀量での濃度を向上させると共に、ヘイズ(濁度)を少なくし、画質を向上するためであり、粒子サイズが0.005μm未満では、感度の低下が著しくなると共に、単純にハロゲン化銀粒子を小粒径化しただけでは、ハロゲン化銀粒子自身がハロゲン化銀粒子の調製工程や有機銀塩との調製工程で凝集を起こし、粒径分布が著しく広がってしまい、ヘイズ(濁度)も十分に低減することができない。また、0.1μmを超えると、ヘイズ(濁度)が特に顕著となる。また、塗布銀量が0.01g/m2未満では、熱現像感光材料としての目的機能が不足し、十分な写真性能が得られず、1.0g/m2を超えるとヘイズ(濁度)が問題となる。
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができるが、全体のハロゲン組成としてBrが50質量%以上である事が好ましい。塩化銀が多すぎるとオストワルド熟成が進み易く、粒径の増大が起き易くなる。一方、ヨウ化銀が多すぎるとハロゲン化銀粒子の感度が低下し、ともに好ましくないからである。
粒子内におけるハロゲン組成の分布は、均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましくいものは、2〜5重のハロゲン組成からなる構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また、塩臭化銀粒子の表面に、臭化銀やヨウ臭化銀、ヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
感光性ハロゲン化銀の形成方法は、当業界公知の方法、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、公知例で用いられるゼラチンやポリマーを用いることは可能であるが、一部ないし全部を本発明の両親媒性のポリマーに置き換える事でこれまで知られているすべての粒子作製方法および装置を利用する事ができる。
具体的には、本発明のポリマー溶液(水、水および有機溶剤の混合液)中に及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製する。特に銀供給化合物として、例えば硝酸銀等の銀イオン供給化合物の水溶液とハロゲン供給化合物としてハライド水溶液(例えばKBr等のアルカリハライド)をダブルジェットで添加し粒子形成を行う方法が好ましい。感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)は、ハロゲン化銀粒子作製後に脱塩されていることが好ましい。
従って、本発明に係るハロゲン化銀粒子の作製は、硝酸銀などの銀供給化合物を含む溶液と、アルカリハライド等のハロゲン供給化合物溶液とを反応させる反応工程、その後の脱塩工程を含んでおり、前記両親媒性ポリマーは、反応工程の前から脱塩工程の前までに用いられることが好ましい。好ましくは反応工程から、脱塩工程前迄に用いられることにより、前記の保護コロイド性を十分発揮することが出来、かつ、脱塩の効率を充分に高めることが出来る。
本特許で使用される前記両親媒性ポリマーとしては、親水性のモノマー及び疎水性のモノマーを含有する親水性部分と疎水性部分を有するポリマーであり、水と溶媒の両方に対して溶解性を示すポリマーである。代表的なものとして、親水性を有する側鎖中にアクリル酸およびメタクリル酸由来のカルボキシル基を有するグラフトコポリマー等がある(例えば、特開平1−182304号記載)。ここで主鎖は、本質的に、そのアルキル基が1〜8個の炭素原子を有する疎水性のアルキルメタクリレート、アルキルアクリレートまたはそれらの混合物の重合されたモノマーであって、たとえば、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を含有するアルキルアクリレート類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等があげられる。
また用いうるその他の酸としては、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
これら両親媒性ポリマーは、上記の他、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマーのいずれであっても良い。例えば、ゼラチン類、ゴム類、およびそれらを改質して本発明の範疇に属するよう改質したものを用いる事ができる。あるいは、以下の分類に属するポリマーを、本発明に適するよう官能基を導入して用いる事が可能である。ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸およびアクリル酸エステル)類、ポリ(メチルメタクリル酸およびメタクリル酸エステル)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。これらのポリマーは数種類がコポリマーとなっていても良いが、特にアクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を親水性基として有するモノマーおよびそれらのエステル類のモノマーを共重合したポリマーが好ましい。
本発明における、水と有機溶剤の両方に溶解するポリマーは、同一の状態で水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーでもよいが、pHの制御や温度の制御で水や有機溶媒に溶解させたり、不溶化したりできるものも含まれる。例えば、ノニオン活性剤では曇点の現象が良く知られているが、温度の上昇で親油性になり有機溶媒に可溶となり、温度の低下で親水性すわなち水に溶解できるような性質を有するポリマーも本発明に含まれる。完全に溶解しなくともミセルを形成し均一に乳化できれば良い。あるいは、カルボン酸のような酸性基を有するポリマーは、種類によっては解離状態では親水性となるが、pHを下げ非解離状態にする事で親油性となり溶剤に可溶にできる。逆にアミノ基を有するポリマーはpHを上げる事で親油性となり、pHを下げるとイオン化し水溶性が上昇する。本発明においては、各種のモノマーを組み合わせるため、一概にどのモノマーをどの程度用いるのが良いかは述べられないが、親水性のモノマーと疎水性のモノマーを適当な割合で組み合わせる事で所望のポリマーが得られる事は容易に理解できる。
前記水と有機溶剤の両方に溶解するポリマーとしては、前記のごときpH等の溶解条件の調整により、或いは未調整でもよいが、水に対して少なくとも1質量%以上(25℃)の溶解度を有し、かつ、有機溶剤としてメチルエチルケトンに5質量%以上(25℃)の溶解度を有するものが好ましい。
前記のように、特にアクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を親水性基として有するモノマーの導入により析出点を前記の範囲に調整することが好ましいが、前記曇点現象も利用するために、本発明に係る水と有機溶剤の両方に溶解するポリマーは、直鎖のポリマーよりも、いわゆるブロックポリマーやクシ型(グラフト)ポリマーが適しており(特にクシ型ポリマーは好ましい。)、クシ型ポリマーを製造する場合は、各種の手法を用いることができるが、クシ部(側鎖)に、ポリオキシアルキレン基等200以上の分子量の側鎖を導入できるモノマーを用いる事が望ましい。特にポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなど、ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーを用いる事が好ましい。
ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、特に、下記一般式であらわされるポリオキシアルキレン基を有しているものが好ましい。
−(EO)l−(PO)m−(TO)n−R
(ここにおいて、Eはエチレン基を、Pはプロピレン基を表し、Tはブチレン基を表し、Rは置換基を表す。ブチレン基としてはテトラメチレン基、イソブチレン基等を含む。lは1〜300の、mは0〜60の、またnは0〜40の整数を表す。好ましくはlは1〜200の、mは0〜30の、またnは0〜20である。但し、l+m+n≧2である。)
Rで表される置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基等を表し、アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、へキシル、オクチル。ドデシル等を、またアリール基としてはフェニル、ナフチル等の基が、またヘテロ環基としては、チエニル、ピリジル等の基があげられる。また、これらの基はさらにハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、ブチルチオ基等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基等)、アルカンアミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド基等)、アリールアミド基(ベンゾイルアミド基等)等によって更に置換されていてもよい。またこれらの置換基が更にこれらの基により置換されていてもよい。
これらポリオキシアルキレン基を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより、ポリオキシアルキレン基をポリマー中に導入できる。これらの基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(ポリオキシアルキレン)アクリレートおよびメタアクリレート等があり、(ポリオキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic(旭電化工業(株)製)]、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)、カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、トリトン[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))]およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
また、市販品のモノマーとしては、日本油脂株式会社製の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−400、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマーAEPシリーズ、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマーAETシリーズ、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーAPTシリーズ、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500Bなどがあげられる。同様に日本油脂株式会社製のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000、ブレンマーAME−400、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B、ブレンマーPLE−200、ブレンマーALE−200、ブレンマーALE−800、ブレンマーPSE−400、ブレンマーPSE−1300、ブレンマーASEPシリーズ、ブレンマーPKEPシリーズ、ブレンマーAKEPシリーズ、ブレンマーANE−300、ブレンマーANE−1300、ブレンマーPNEPシリーズ、ブレンマーPNPEシリーズ、ブレンマー43ANEP−500、ブレンマー70ANEP−550など、また共栄社化学株式会社製ライトエステルMC、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトアクリレートBO−A、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EAなどがあげられる。
本発明においては、いわゆるマクロマーを使用したグラフトポリマーを用いる事もできる。たとえば″新高分子実験学2、高分子の合成・反応″高分子学会編、共立出版(株)1995に記載されている。また山下雄也著″マクロモノマーの化学と工業″アイピーシー、1989にも詳しく記載されている。マクロマーのうち有用な分子量は3,000以上、200,000以下の範囲、好ましい範囲は5,000以上、100,000以下の範囲、更に好ましくは10,000以上700,000以下の範囲である。分子量が3,000以下では効果を発揮できず、また20万以上では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が悪くなる。具体的には、東亞合成株式会社製AA−6、AS−6S、AN−6S等をもちいることができる。
尚、本発明が上記具体例によって、何等限定されるものでないことは勿論である。ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーは、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を同時に用いても構わない。
上記のモノマーと具体的に反応させる他のモノマー(疎水性モノマー)としては、以下の単量体をあげることができる。
アクリル酸エステル類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、
アクリルアミド類:アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。また、アルキルオキシアクリルアミドとして、メトキシメチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド等、
メタクリルアミド類:メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド、メトキシメチルメタアクリルアミド、ブトキシメチルメタアクリルアミド等、
アリル化合物:アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど、
ビニルエーテル類:アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど)、
ビニルエステル類:ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど、
イタコン酸ジアルキル類:イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:ジブチルフマレートなどその他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなどが挙げられる。
アミド基やC4−C22の直鎖ないし分岐アルキル基、芳香族基、ないし5員環以上の複素環基を導入する場合は、上記のモノマーあるいは、その他のモノマーの中でこれらの官能基を含有するモノマーを選択すればよい。例えば、5員環以上の複素環基の導入には、1−ビニルイミダゾールやその誘導体を用いる事ができる。さらに、あらかじめポリマー中にイソシアネートやエポキシ基を導入しておき、それらを直鎖ないし分岐アルキル基、芳香族基、ないし5員環以上の複素環基を含有するアルコール類や、アミン類と反応させる事で、ポリマー中に各種の官能基を導入しても良い。イソシアネートやエポキシを導入するには、カレンズMOI(昭和電工製)やブレンマーG(日本油脂製)を用いる事ができる。ウレタン結合を導入する事も本発明においては好ましい。
本発明では前記の通り、ポリマーの析出点がpH2以上、pH7以下である事が好ましい。
本発明において、析出点とは、25℃においてポリマー1質量%水溶液に、所定の濃度の酸水溶液を滴下していったときに、白濁することが目視で確認できるpHのことである。これは必ずしもポリマーの等電点のみで決まるとは限らず(例えば曇点を有するポリマー成分がある場合もある)、操作としては中和滴定と同様の操作で、例えばpH9程度(余り塩濃度が高くない方が好ましい)の水溶液に上記濃度で本発明に係わる両親媒性ポリマーを溶解しておき、所定の濃度の酸水溶液(例えば硝酸等)を滴下して、目視で、濁りがみられるpHを析出点とする。酸の濃度は厳密ではないが濃度が高いと、少量の添加でpHが変わりすぎ、析出点が同定しにくくなる。また、薄い場合には系の濃度が大きく変わってしまうので好ましくない。例えば0.1%〜10%程度の硝酸水溶液が適当である。例えば、カルボン酸を有するポリマーの場合、カルボン酸のpKa値によって析出点が決まる。また、例えば、カルボン酸および前記ポリオキシアルキレン基の両方を有するポリマーの場合には、これのみでなく曇点を決定する諸要素が絡み合って、析出点が決まってくる。
この析出点を用いて、作製したハロゲン化銀粒子(乳剤)の脱塩を本発明においては、効率的に、行うことができる。即ち、作製後この析出点以下にpHを低下させて、乳剤を凝集・沈殿させ脱塩を行うことができる。
ポリマーの析出点が余り高いポリマーを用いた場合、凝集・沈殿法により、ハロゲン化銀粒子の脱塩を行う際に、ハロゲン化銀粒子が分解を受け、写真性能に悪影響を及ぼす。溶剤中にハロゲン化銀微粒子を分散する時にpHを下げなくとも溶媒に分散しやすいが、カブリの観点から好ましくない。
ポリマーの析出点を下げるため、各種の酸性基を導入することができる。例としては、前記のカルボン酸やスルホン酸基が挙げられる。カルボン酸の導入には、前記のアクリル酸、メタクリル酸のモノマーを用いるほか、メタクリル酸メチルなどを含有するポリマーを、一部加水分解して得る事も可能である。スルホン酸基の導入には、スチレンスルホン酸や2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をモノマーとして用いるほか、各種硫酸化の手法でポリマー作製後に導入する事もできる。特にカルボン酸を用いると、未中和の状態で溶剤に対する溶解性が比較的高く、中和ないし半中和にする事で水溶性に性質を変えることができ特に好ましい。中和はナトリウムやカリウム塩で行う事もでき、アンモニアやモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど有機塩としても良い。イミダゾール類やトリアゾール類、アミドアミン類を用いる事もできる。
また、本発明の両親媒性ポリマーにおいて、前記析出点は、測定温度を10℃あげる(25℃に対して35℃で測定する)ことにより、pH値で少なくとも0.1以上上昇することが好ましい。これにより、脱塩操作の温度を上昇させたときに、脱塩の効率を向上させることが容易に出来る。ハロゲン化銀粒子のカブリ特性や感度に影響の大きい水素イオン濃度を大きく変動させることなく、脱塩の効率を僅かの温度上昇で得ることが出来る。前記、ポリオキシアルキレン基を有する両親媒性ポリマーは、この点でも好ましいものである。
また、本発明に係わる上記ポリマーはハロゲン銀に対して質量比で1%以上、150%以下含有されていることが好ましく、更に好ましくは5%以上50%以下である。
ポリマー量が少ないと、保護コロイド能が十分でないため、生成ハロゲン銀粒子の凝集、粗大化が起こる。また、多い場合は粘度の上昇により粒子分散性が悪くなり、粒子の単分散性が低下する。またポリマー量の増加に伴ってコストもかかる。
前記成分を共重合させ両親媒性ポリマーを製造する重合反応は、溶剤の存在下又は非存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点から溶剤存在下の場合の方が好ましい。溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等のモノカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソルブアセテート等のエーテル類、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール類及びそのエステル類、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパーフロロオクタン、パーフロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナートリキッド類等が挙げられ、これらのいずれも使用できる。
各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。カラム濾過、再沈精製、溶剤抽出、などによって除去することで、未反応モノマーを除去することができる。あるいは、低沸点の未反応モノマーはストリッピングにより除去することが可能である。
溶剤の存在下以外で、乳化重合や懸濁重合で得られたポリマー分散液を用いることもできる。これらのポリマー作製法については、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
使用するポリマーの分子量は、重量平均分子量、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値のポリスチレン換算値で、3,000以上、200,000以下が好ましく、さらに5,000以上100,000以下が好ましく、10,000以上700,000以下がもっとも好ましい。分子量が3,000以下であると、ハロゲン化銀粒子の分散能が十分に得られず、分子量が大きすぎる場合は、分散液の粘度が高くなりすぎたり、ハロゲン化銀粒子の凝集を起こす場合があるからである。
本発明の合成ポリマーがアクリル系ポリマーである場合には、通常のラジカル重合のほか、イオン重合、リビング重合法など各種の手法を用いる事ができる。例えば「季刊化学総説 18 精密重合(日本化学会編 企画・編集担当者;清水剛夫・井上祥平・城田靖彦・柘植 新・東村敏延)」などを参考にする事ができる。重合開始剤や触媒には、公知のすべての材料を適用することが可能である。
本発明におけるハロゲン化銀粒子の形状としては、立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては、特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比として好ましい値は、100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1である。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については、特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い〔100〕面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
本発明においては、本発明に係るハロゲン化銀粒子にイリジウム化合物を含有せしめることができる。本発明で用いられる水溶性イリジウム化合物としては、種々のものを使用できるが、例えば、ハロゲン化イリジウム(III)化合物、ハロゲン化イリジウム(IV)化合物、イリジウム錯塩で配位子として、ハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、例えば、ヘキサクロロイリジウム(III)或いは(IV)錯塩、ヘキサアンミンイリジウム(III)或いは(IV)錯塩、トリオキザラトイリジウム(III)或いは(IV)錯塩、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。本発明においてはこれらの化合物の中からIII価のものとIV価のものを任意に組み合わせて用いることができる。これらのイリジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば、塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
本発明において、水溶性イリジウム化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及びハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を塗布する前の任意の時期において適宜行うことができるが、特に、ハロゲン化銀乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
これら水溶性イリジウム化合物の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-8〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10-8〜5×10-5モルの範囲がより好ましく、5×10-8〜5×10-6モルの範囲が特に好ましい。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、イリジウム以外に、その他の周期律表の第VII族あるいは第VIII族(7〜10族)の金属又は金属錯体を含有することができる。そのような中心金属として、好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有量は、銀1モルに対し1×10-9〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4モルノ範囲カ゛ヨリ好マシイ。具体的ナ金属錯体ノ構造トシテハ特開平7-225449号等ニ記載サレタ構造ノ金属錯体ヲ用イルコトカ゛テ゛キル。
本発明ニ用イラレルロシ゛ウム化合物トシテハ、水溶性ロシ゛ウム化合物ヲ用イルコトカ゛テ゛キル。例エハ゛3J[i]化[l2Q(III)化合物3又J[l2Q錯塩s配位子D;CJ[i]3 0P]類3 46kWD等錯塩3M6:|[S[l2Q(III)錯塩3M6:0]P][l2Q(III)錯塩3DXkWD[l2Q(III)錯塩等f挙iWZY酸、臭酸、フッ酸等)、アルイハハロケ゛ン化アルカリ(例エハ゛、KClNaClKBrNaBr)ヲ添加スル方法ヲ用イルコトカ゛テ゛キル。水溶性ロシ゛ウムヲ用イル代ワリニ、ハロケ゛ン化銀調製時ニアラカシ゛メロシ゛ウムヲト゛ーフ゜シテアル別ノハロケ゛ン化銀粒子ヲ添加シテ溶解サセルコトモ可能テ゛アル。
コレラノロシ゛ウム化合物ノ添加量ハ、ハロケ゛ン化銀1モル当タリ1×10-8〜5×10-6モルの範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8〜1×10-6モルである。
これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及びハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を塗布する前の任意の段階において適宜行うことができるが、特に、ハロゲン化銀乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミウムは、特開昭63−2042号、特開平1−285941号、同2−20852号、同2−20855号等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
[ML6n-
ここで、MはRu、Re又はOsを表し、Lは配位子を表し、nは0、1、2、3又は4を表す。
この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また、好ましい配位子としては、ハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
以下に、本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[ReCl63-、[ReBr63-、[ReCl5(NO)]2-、[Re(NS)Br52-、[Re(NO)(CN)52-、[Re(O)2(CN)43-、[RuCl63-、[RuCl4(H2O)2-、[RuCl5(H2O)]2-、[RuCl5(NO)]2-、[RuBr5(NS)]2-、[Ru(CO)3Cl32-、[Ru(CO)Cl52-、[Ru(CO)Br52-、[OsCl63-、[OsCl5(NO)]2-、[Os(NO)(CN)52-、[Os(NS)Br52-、[Os(O)2(CN)44-
これらの化合物の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-5モルの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10-8〜1×10-6モルである。
これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製時及びハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を塗布する前の任意の時期において適宜行うことができるが、特に、ハロゲン化銀乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込むには、金属錯体の粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、ハロゲン化銀粒子形成中の水溶性塩又は水溶性ハライド溶液中に添加する方法、あるいは銀塩とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるいはハロゲン化銀粒子形成中に、必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方法などがある。特に、粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。
粒子表面に添加するには、ハロゲン化銀粒子形成直後、物理熟成時途中もしくは終了時、あるいは化学熟成時に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入することもできる。
更に、本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、白金、金、タリウム、銅、鉛等の金属原子を含有してもよい。コバルト、鉄、クロム、更に、ルテニウム化合物については、六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は、均一に含有させても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく、特に制限はない。
上記金属錯体の含有量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-4モルが好ましい。また、上記金属錯体を含有させるには、単塩、複塩、又は錯塩の形の金属塩にして粒子調製時に添加することができる。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の作製において、脱塩を行うには、前記凝集沈殿法が適しているが、その他可能であれば、ヌードル法、電気透析等、当業界で知られている種々の水洗方法により脱塩することもできる。限外ろ過により脱塩されていても良い。
限外濾過法は、例えば、これまで知られているハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13122(1975)及びNo.16351(1977)などを参照することができる。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができるが、粒子の凝集やカブリを抑えるため、最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。
本発明において、脱塩・脱水は1回でもよいし、複数回繰返してもよい。脱塩・脱水は最終的に脱水された水の伝導度が好ましくは300μS/cm以下、より好ましくは100μS/cm以下になる程度に行う。この場合、伝導度の下限に特に制限はないが、通常、5μS/cm程度である。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤には、化学増感を施すことが好ましい。化学増感としては、硫黄増感法、金増感、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができる。本発明のハロゲン化銀粒子は、水系で作製後溶剤中に再分散されるが、化学増感は水系で行っても良いし溶剤中に再分散された後でも良い。
本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、ハロゲン化銀乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては、公知の化合物を使用することができ、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなど種々の条件により一様ではないが、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-7〜1×10-2モルであり、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モルである。
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型又は非不安定型セレン化合物を添加して、ハロゲン化銀乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては、例えば、特公昭44−15748号、同43−13489号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−324855号等に記載の化合物を用いることができる。特に、特開平4−324855号に記載の一般式(VIII)及び(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面又は内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については、例えば、特開平5−313284号に記載の方法で試験することができる。テルル増感剤としては、例えば、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。具体的には、米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,958号、特開平4−204640号、特許2654722号、同2699029号、同2811257号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.),635(1980)、ibid,1102(1979)、ibid,645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション1(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.1),2191(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol.1(1986)、同Vol.2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に、特開平5−313284号中の一般式(II)、(III)、(IV)で示される化合物が好ましい。
本発明で用いられるセレン、テルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって一様ではないが、一般に、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-8〜1×10-2モル、好ましくは1×10-7〜1×10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては、特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に金増感を施す場合に用いられる金増感剤としては、金の酸化数が+1価でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化合物を用いることができる。代表的な例としては、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが挙げられる。
金増感剤の添加量は、種々の条件により異なるが、概ねハロゲン化銀1モル当たり1×10-7モル以上、1×10-3モル以下、より好ましくは1×10-6モル以上、5×10-4モル以下である。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金増感と他の化学増感とを併用することができ、金増感法と組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀粒子の形成又は物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としては、アスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に、例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、ハロゲン化銀乳剤のpHを7以上、又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開第293,917号に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すこともできる。分光増感色素として、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同4,740,455号、同4,741,966号、同4,751,175号、同4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRD17643IV−A項(1978年12月p.23)、同18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザイメージャーやスキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
本発明に係る熱現像感光材料中に含有されるハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。
本発明においては、階調特性(ガンマ)を制御するために、感光性ハロゲン化銀乳剤を複数種用いることが好ましく、それぞれが感度が異なるように粒子サイズ、形状、ハロゲン組成、増感色素吸着量、化学増感剤の量を制御することで複数種の感光性ハロゲン化銀乳剤を得ることが可能となる。使用するハロゲン化銀乳剤種としては2〜4種、好ましくは2〜3種を混合ないし別層として用いることが好ましい。ハロゲン化銀乳剤の感度差は、それぞれのハロゲン化銀乳剤で少なくとも0.2LogEの差を持たせることが好ましく、少なくとも0.3LogEの差を持たせることが好ましい。ここでいうLogEとは、感度を表す指標で、光学楔を介して露光を施した後、縦軸に濃度、横軸に露光量をプロットした特性曲線において、横軸を構成する露光量(E)を対数で表示した値である。
これらに関する技術としては、特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号が挙げられる。なお、上記の感度差の上限に特に制限はないが、最大1.0LogE程度の差である。
本発明の熱現像感光材料においては、有機銀塩粒子の数平均粒径が0.01μm以上、0.60μm以下であることが好ましい。
ここでいう平均粒径とは、有機銀塩粒子の投影面積を同面積の円像に換算したときの直径(円相当径)をいう。走査型電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求める。
本発明に係る非感光性脂肪族カルボン酸銀塩(以下、単に有機銀塩ともいう)は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(例えば、感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。このような非感光性有機銀塩については、例えば、特開平6−130543号、同8−314078号、同9−127643号、同10−62899号の段落番号〔0048〕〜〔0049〕、特開平10−94074号、同10−94075号、欧州特許公開第0,803,764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0,962,812A1号、同第1,004,930A2号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2000−112057号、同2000−155383号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に、炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。有機銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、及びこれらの混合物であるが、ベヘン酸銀含有率は50モル%以上、100モル%以下であることが好ましく、特に好ましくは、80モル%以上100モル%以下である。
本発明に係る有機銀塩の形状は、縦横比が1以上、9以下のリン片状粒子であることが好ましい。縦横比が1以上、9以下の範囲であると、分散物調製時、粒子の破砕が起こらず、その結果、画像保存性が良好となるため好ましい。
本発明において、リン片状の有機銀塩及び縦横比とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短い方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてx、yを求める。
x=b/ay=c/b
このようにして200個程度の粒子についてx、yを求め、その平均値x(平均)としたとき、30≧x(平均)≧1.5の関係を満たすものをリン片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。ちなみに、針状とは1≦x(平均)<1.5である。また、その平均値y(平均)を縦横比と定義する。本発明に係る有機銀塩粒子の縦横比は、1以上、9以下であることが好ましく、1以上、6以下であることがより好ましく、1以上、3以下であることが特に好ましい。
リン片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上、0.23μm以下が好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。
リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。本発明におけるリン片状粒子のアスペクト比は、1.1以上、30以下であることが好ましく、このようなアスペクト比の範囲とすることにより、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。この時、アスペクト比は、1.1以上、15以下が好ましい。
本発明に係る非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の数平均粒径としては、球相当直径として0.01μm以上0.60μm以下であることが特徴であるが、更に、好ましくは0.20μm以上、0.50μm以下である。これにより熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。
更に驚くべきことに、用いるハロゲン化銀粒子の粒径が0.01μm以上、0.06μm以下の場合、これまでの有機銀塩の平均粒径の場合と比較して、画像の濃度が大幅に向上することがわかった。
有機銀塩の粒子サイズ分布は、単分散であることが好ましい。単分散とは、有機銀塩粒子の数平均粒径の標準偏差を数平均粒径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である場合のことを指す。前記電子顕微鏡による円相当径により得られた粒子サイズから求める方法が好ましく用いられる。
本発明に係る有機銀塩粒子は、60℃以下の反応温度で調製されることが、最小濃度が低い粒子を調製するという観点で好ましい。添加される薬品、例えば、有機酸アルカリ金属水溶液は、60℃より高い温度でも構わないが、反応液が添加される反応浴の温度は、60℃以下であることが好ましい。更に50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることが特に好ましい。
本発明に係る有機銀塩粒子は、硝酸銀などの銀イオンを含む溶液と、有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液とを反応させることによって調製されるが、総添加銀量の50%以上の添加が、有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液との添加と同時に行われることが好ましい。添加法は、反応浴の液面に添加する方法、液中に添加する方法、更には密閉混合手段中に添加する方法等があり、何れの方法でも構わないが、密閉混合手段中に添加する方法が好ましい。
本発明に用いる銀イオンを含む溶液(例えば、硝酸銀水溶液)のpHは、好ましくはpH1以上、6以下、更に好ましくはpH1.5以上、4以下である。pH調節のため、銀イオンを含む溶液自体に、酸及びアルカリを加えることができるが、酸及びアルカリの種類は、特に制限されない。
本発明に係る有機銀塩は、銀イオンを含む溶液(例えば、硝酸銀水溶液)/及び又は有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の添加が終了した後、反応温度を上げて熟成をしても構わない。本発明における熟成は、前述した反応温度とは別のものと考える。熟成の際は、銀イオンを含む溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液、もしくは懸濁液の添加は一切行わない。熟成は、反応温度+1℃以上、+20℃以下が好ましく、+1℃以上、+10℃以下がより好ましい。なお、熟成時間はトライアンドエラーで決定することが好ましい。
本発明に係る有機銀塩の調製において、有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の添加は、2回以上、6回以下の回数で分割して行っても構わない。分割添加、例えば、写真性能を良化させる添加と、表面の親水性を変化させる添加等を分割して行うことにより、粒子に様々な機能を付与することができる。分割添加の回数は、好ましくは2回以上、4回以下である。ここで、有機銀塩は高温でないと固化してしまうため、分割添加をする際は、分割するための添加ラインを複数もつこと、あるいは循環方法等工夫をする等、考慮する必要がある。
本発明に係る有機銀塩の調製において、有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の総添加モル数の0.5モル%以上、30モル%以下が銀イオンを含む溶液の添加が終了した後、単独添加されてもかまわない。好ましくは3モル%以上、20モル%以上が単独添加されても構わない。この添加は、分割された添加の1回として充てられることが好ましい。この添加は、密閉混合手段を利用している場合は、密閉混合手段中、もしくは反応槽の何れに添加しても構わないが、反応槽に添加することが好ましい。この添加を実施することで、有機銀塩粒子の表面の親水性を高めることができ、その結果、熱現像感光材料の造膜性が良化し、膜剥れが改良される。
本発明に用いる銀イオンを含む溶液(例えば硝酸銀水溶液)の銀イオン濃度は、任意に決定されるが、モル濃度として、0.03mol/L以上、6.5mol/L以下が好ましく、より好ましくは、0.1mol/L以上、5mol/L以下である。
本発明の実施に際して、有機銀塩粒子を形成させるためには、銀イオンを含む溶液、有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液、及びあらかじめ反応場に準備しておく溶液の少なくとも一つに、有機酸のアルカリ金属塩がひも状会合体やミセルではなく、実質的に透明溶液となり得る量の有機溶剤を含有することが好ましい。
この溶液は、水、有機溶剤単独、あるいは水と有機溶媒の混合物を用いることが好ましいが、更に水と有機溶媒との混合溶液であることが好ましい。
本発明で用いる有機溶剤としては、水溶性で上記性質を有していればその種類は特に制限されないが、写真性能に支障をきたすものは好ましくなく、好ましくは水と混合できるアルコール、アセトン、更に好ましくは炭素数4〜6の第3アルコールが好ましい。
本発明に用いる有機酸のアルカリ金属塩のアルカリ金属は、具体的にはカリウムが好ましい。有機酸のアルカリ金属塩は、有機酸に水酸化カリウムを添加することにより調製される。このとき、アルカリ量を有機酸の当量以下として、未反応の有機酸を残存させることが好ましい。この場合の、残存有機酸量は、全有機酸に対し3mol%以上、50mol%以下であり、好ましくは3mol%以上、30mol%以下である。また、アルカリを所望の量以上に添加した後に、硝酸、硫酸等の酸を添加し、余剰のアルカリ分を中和させることで調製してもよい。更に、本発明に用いる銀イオン含有溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは、懸濁液あるいは両液が添加される密閉混合手段の液には、例えば、特開昭62−65035号公報の一般式(1)で示されるような化合物、また、特開昭62−150240号公報に記載のような水溶性基含有Nヘテロ環化合物、特開昭50−101019号公報に記載のような無機過酸化物、特開昭51−78319号公報に記載のようなイオウ化合物、特開昭57−643号公報に記載のようなジスルフィド化合物及び過酸化水素等を添加することができる。
本発明で用いる有機酸アルカリ金属塩溶液は、有機溶媒の量が水分の体積に対し、有機溶媒体積として3%以上、70%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以上、50%以下である。この際、反応温度で最適な有機溶媒体積が変化するため、トライアンドエラーで最適量を決定することができる。本発明に用いる有機酸のアルカリ金属塩の濃度は、質量比として、5質量%以上、50質量%以下であり、好ましくは7質量%以上、45質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以上、40質量%以下である。
密閉混合手段中もしくは反応容器に添加する有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液の温度としては、有機酸アルカリ金属塩の結晶化、固化の現象を避けるに必要な温度に保っておく目的で、50℃以上、90℃以下が好ましく、60℃以上、85℃以下がより好ましく、65℃以上、85℃以下が最も好ましい。また、反応の温度を一定にコントロールするため、上記範囲から選ばれるある温度で一定にコントロールされることが好ましい。これにより、高温の有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液が、密閉混合手段中で急冷されて微結晶状に析出する速度と、銀イオンを含む溶液との反応で有機銀塩化する速度が好ましく制御され、形成される有機銀塩の分散液或いは懸濁液において、有機銀塩の結晶形態、結晶サイズ、結晶サイズ分布を好ましく制御することができる。また、同時に熱現像感光材料、特に熱現像感光材料として性能をより向上させることができる。
反応容器中には、予め溶媒を含有させておいてもよく、予め入れられる溶媒には、水が好ましく用いられるが、有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液との混合溶媒も好ましく用いられる。
有機酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液、銀イオンを含む溶液、あるいは反応液には、水性媒体可溶な分散助剤を添加することができる。分散助剤としては、形成した有機銀塩を分散可能なものであれば、いずれのものでもよい。具体的な例は、後述の有機銀塩の分散助剤の記載に準じる。例えば、本発明に係わる両親媒性ポリマーを好ましく用いることもできる。
有機銀塩の調製法において、銀塩形成後に脱塩・脱水工程を行うことが好ましい。その方法は、特に制限はなく、周知・慣用の手段を用いることができる。例えば、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法、また、遠心分離沈降による上澄み除去等も好ましく用いられる。中でも、限外濾過法が好ましい。
限外濾過法は、例えば、ハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13122(1975)及びNo.16351(1977)などを参照することができる。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができるが、目的の有機銀塩分散物を処理する上では、粒子の凝集やカブリを抑えるため、最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。
こうして補充する溶媒には、イオン交換又は蒸留して得られた純水を用いるが、pHを目的の値に保つために、純水の中にpH調整剤等を混合してもよいし、有機銀塩分散物に直接添加してもよい。
限外濾過膜は、ハロゲン銀粒子と同様、すでにモジュールとして組み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、ホローファイバー型などのうち、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過することができる成分の閾値の指標となる分画分子量は、使用する高分子分散剤の分子量の1/5以下であることが好ましい。
また、限外ろ過の場合、一段でも良いが、多段の限外ろ過装置を設置し、該混合器および/または反応容器中の分散液中に溶解している塩などを連続的に除去することが同様に好ましい。多段の限外ろ過装置として例えばザルトリウスAG社製のVivaFlow50(商品名)等が使用できる。限外ろ過膜を通す分散液の流速は、ハロゲン銀粒子の場合と同様、限外ろ過膜1経路当たり、10ml〜1000mlが好ましく、100ml〜500mlがより好ましい。脱塩・脱水は1回でもよいし、複数回繰返してもよい。また水の添加及び除去を連続的に行ってもよいし、個別に行ってもよい。最終的に脱水された水の伝導度は好ましくは300μS/cm以下、より好ましくは100μS/cm以下になる程度に行い、伝導度の下限に特に制限はないが、通常、5μS/cm程度である等もハロゲン銀粒子の場合と同様である。
本発明に係わる限外濾過による脱塩は、処理に先立って、粒子サイズを最終粒子サイズの体積加重平均で2倍程度まで、あらかじめ液を分散することが好ましい。分散手段は、後述する、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等どのような方法でも構わない。
粒子形成後から脱塩操作が進むまでの液温は、低く保つことが好ましい。これは、有機酸のアルカリ金属塩を溶解する際に用いる有機溶剤が、生成した有機銀塩粒子内に浸透している状態では、送液操作や限外濾過膜を通過する際の剪断場や圧力場によって銀核が生成しやすいからである。このため、本発明では、有機銀塩粒子分散物の温度を1〜50℃に保ちながら限外濾過操作を行う。
更に、熱現像感光材料、特に熱現像感光材料の塗布面状を良好にするためには、脱塩、脱水された有機銀塩に、更に分散剤を添加、再分散して微細分散物とすることが好ましい。
本発明に用いられる有機銀塩の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば、上記の特開平8−234358号、特開平10−62899号、欧州特許公開第0,803,763A1号、欧州特許公開第0,962,812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2000−53682号、同2000−75437号、同2000−86669号、同2000−143578号、同2000−178278号、同2000−256254号、特願平11−348228〜30号、同11−203413号、同11−115457号、同11−180369号、同11−297964号、同11−157838号、同11−202081号、特願2000−90093号、同2000−195621号、同2000−191226号、同2000−213813号、同2000−214155号、同2000−191226号等を参考にすることができる。
有機銀塩を微粒子分散化する方法は、分散助剤の存在下で、公知の微細化手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストーンミル等)を用い、機械的に分散することができる。
有機銀塩を微粒子分散化する溶剤としては、水、有機溶剤等が挙げられ、水を用いても構わないが、有機銀塩との親和性の観点からは有機溶剤を主体とする系が好ましく、有機溶剤主体の系とは、有機溶剤が50%以上、好ましくは70%以上含有される系である。用いられる有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテル類、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコール類及びそのエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられ、アセトン、メチルエチルケトン等酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が好ましく、これらのいずれも、また混合した系も使用できる。
粒子サイズ分布が単分散で、粒子サイズが小さく、凝集のない均一な有機銀塩固体分散物を得るには、画像形成媒体である有機銀塩粒子の破損や高温化を生じさせない範囲で、大きな力を均一に与えることが好ましい。そのためには有機銀塩及び分散剤溶液からなる分散物を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法が好ましい。また分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明は、分散される分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機銀塩1molに対し0.1mol%以下であり、感光性銀塩の添加は行わないほうが好ましい。
上記のような再分散法を実施するのに用いられる分散装置及びその技術については、例えば、「分散系レオロジーと分散化技術」(梶内俊夫、薄井洋基著、1991、信山社出版(株)、p357〜403)、「化学工学の進歩 第24集」(社団法人 化学工学会東海支部編、1990、槙書店、p184〜185)、特開昭59−49832号、米国特許4533254号、特開平8−137044号、特開平8−238848号、特開平2−261525号、特開平1−94933号等に詳しく記載されているが、本発明での再分散法は、少なくとも有機銀塩を含む分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせることにより微細な分散を行う方法であることが好ましい。
高圧ホモジナイザーについては、一般には(a)分散質が狭間隙(75μm〜350μm程度)を高圧、高速で通過する際に生じる「せん断力」、(b)高圧化の狭い空間で液−液衝突、あるいは壁面衝突させるときに生じる衝撃力は変化させずに、その後の圧力降下によるキャビテーション力を更に強くすることで、均一で効率のよい分散が行われると考えられている。この種の分散装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置では、高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で高速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われる。上記液−液衝突としては、マイクロフルイダイザーのY型チャンバー、特開平8−103642号に記載のような球形型の逆止弁を利用した球形チャンバーなどが挙げられ、液−壁面衝突としては、マイクロフルイダイザーのZ型チャンバー等が挙げられる。分散効率を上げるため、高速流部を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫を施したものも考案されている。このような装置の代表例として、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション社製のマイクロフルイダイザー、みづほ工業(株)製のマイクロフルイダイザー、特殊機化工業(株)製のナノマイザー等が挙げられる。また、特開平8−238848号、同8−103642号、米国特許第4,533,254号にも記載されている。
有機銀塩は、流速、圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって、所望の粒子サイズに分散することができるが、写真特性と粒子サイズの観点から、流速が200〜600m/秒、圧力降下時の差圧が9〜30MPaの範囲が好ましく、更に流速が300〜600m/秒、圧力降下時の差圧が15〜30MPaの範囲であることがより好ましい。分散処理回数は、必要に応じて選択できる。通常は1〜10回の範囲が選ばれるが、生産性の観点で1〜4回程度が選ばれる。高圧下でこのような分散液を高温にすることは、分散性・写真性の観点で好ましくなく、90℃を超えるような高温では粒子サイズが大きくなりやすくなると共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、前記の高圧、高速流に変換する前の工程もしくは、圧力降下させた後の工程、あるいはこれら両工程に冷却装置を含み、このような分散の温度が冷却工程により5〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特に、15〜30MPaの範囲の高圧の分散時には、前記の冷却装置を設置することが有効である。冷却装置は、その所要熱交換量に応じて、2重管や3重管にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択することができる。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質などの好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また、必要に応じて−30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使用することができる。
有機銀塩を分散剤を使用して微粒子化する際には、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸共重合体、などの合成アニオンポリマー、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニオン性ポリマー、特開昭52−92716号、WO88/04794号などに記載のアニオン性界面活性剤、特願平7−350753号に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤や、その他ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いることができる。また分散媒として溶剤を用いた場合、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレン及びブタジエン−スチレンコポリマー等が好ましく用いられる。また、本発明に係わる両親媒性ポリマーも好ましく用いることができる。
分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末又はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーとして分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理を施して有機銀塩粉末又はウェットケーキとしてもよい。分散前後又は分散中に適当なpH調製剤によりpHコントロールしてもよい。
機械的に分散する以外にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させてもよい。このとき、粗分散に用いる溶媒として脂肪酸溶媒を使用してもよい。
本発明においては、有機銀塩作製時に水と有機溶媒の両方に溶解する両親媒性であるポリマーにより調製された感光性銀塩水分散液を、例えば有機酸アルカリ金属水溶液に混合する等の方法を用いて、混合し、感光性銀塩を含有する有機銀塩を作製した後、これを有機溶剤系に転相することで感光性銀塩を含有した有機銀塩の有機溶剤系分散液とすることができるが、これら水系の溶媒中で、水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーを保護コロイドとして作製されたハロゲン化銀乳剤は脱塩し、水を減量することで濃縮または乾燥されていることが好ましい。
これら脱塩し、水を減量することで濃縮または乾燥されたハロゲン化銀乳剤を、別に調製した有機銀塩(の有機溶剤系分散液)と混合、分散して、感光性ハロゲン化銀含有有機銀塩分散液とすることが出来、これを銀イオン用還元剤やその他の添加剤と混合し共に支持体上に塗布することで熱現像感光材料が製造されることが好ましい。本発明によれば、これらの方法によっても、前記脱塩が充分に行われる本発明に係わるハロゲン化銀乳剤はカブリが少ないことのほか、凝集或いは沈降等を起こすことがなく、従って、熱現像感光材料の塗布直前においても混合することが出来、塗布液の安定性の面からも好ましい。
本発明において、有機銀塩分散液と感光性銀塩を混合し、これを用いて熱現像感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選ぶことができ、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に3〜20モル%、特に5〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際、2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩を混合することは、写真特性を調節するために好ましく用いられる手段である。
本発明において、非感光性有機銀塩として還元可能な銀(I)イオンを1分子内に2以上含むものを使用することができる。具体的な化合物としては、特願2001−251399号明細書に記載の化合物を用いることができる。また、アクリル酸等を含んだポリマーの銀塩を用いても構わない。
本発明に係る有機銀塩は、目的に応じ所望の量を使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/m2、更に好ましくは0.5〜2g/m2である。
本発明の熱現像感光材料においては、ハロゲンラジカル放出基を有する脂肪族モノマーの繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマーを含有することが好ましい。
ハロゲンラジカル放出基を有する脂肪族モノマーの繰り返し単位を有するポリマーとしては、予めモノマーにハロゲンラジカル放出基を持たせたモノマーを合成し、これを重合させることで調製しても良いし、置換可能な基を有するポリマーに後から反応させることでハロゲンラジカル放出基を持たせることもできる。
本発明においては、ハロゲンラジカル放出基を有する脂肪族モノマーが、下記一般式(1)で表されるモノマーであることが好ましい。
Figure 2005201929
一般式(1)において、X1及びX2は各々独立にハロゲン原子を表し、R1は水素原子又はハロゲン原子を表す。Y1は2価の連結基を表し、pは1から3を表す。A1はアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表し、nは0又は1を表す。Z1はエチレン性不飽和基、エチレンイミノ基又はエポキシ基を表す。
1及びX2で表されるハロゲン原子は、互いに同一でも異なっていても良いフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
1は水素原子又はハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
1は連結基を表し、連結基としては、例えば、−SO2−、−N(R6)CO−、−OCO−が挙げられ、R6は置換基を表す。R6で表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、アシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。pは1〜3の整数を表す。
1は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。これらの基は、更に置換基を有していても良く、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等の置換基で置換されていても良い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。但し、アリール基又はヘテロアリール基を置換基の一部として有することは無い。nは0又は1を表す。
1はエチレン性不飽和基、エチレンイミノ基又はエポキシ基を表し、エチレン性不飽和基として、例えば、メチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましくはエチレン性不飽和基であり、更に好ましくはメチレン基である。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2005201929
Figure 2005201929
また、本発明においては、ハロゲンラジカル放出基を有する脂肪族モノマーが、下記一般式(2)で表されるモノマーであることが好ましい。
Figure 2005201929
一般式(2)において、X3及びX4で表されるハロゲン原子は、互いに同一でも異なっていても良いフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
2は水素原子、ハロゲン原子又は置換基を表し、置換基としては、前記一般式(1)のR6と同義の置換基を挙げることができる。
2は−N(R3)CO−又は−OCO−を表し、R3は置換基を表す。R3で表される置換基としては、前記一般式(1)のR6と同義の置換基を挙げることができる。
qは1から3の整数を表す。
2は芳香族基又はヘテロ環基を表す。芳香族基とは、炭素数6〜30の単環又は縮環のアリール基であり、好ましくは6から20の単環又は縮環のアリール基であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基である。ヘテロ環としては、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ベンゾチアゾール基、ベンズイミダゾール基、チアジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。これらの芳香族基又はヘテロ環基は、置換基を有しても良く、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)基、複素環基(例えば、イミダゾリル基、チアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、インドリル基、ピリミジニル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、ヘテロアリールオキシ基(例えば、2−ピリジルオキシ基、ピロリルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−ナフチルチオ基等)、ヘテロアリールチオ基(例えば3−チエニルチオ基、3−ピロリルチオ基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、3−クロロベンジル基等)、カルボキシル基、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アシルオキシカルボニルアミノ基(例えば、アセチルオキシカルボニルアミノ基、ベンゾイルオキシカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基、フェニルアミノカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、スチリル基、ニトロ基、シアノ基、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等が挙げられる。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。mは、0又は1を表す。
2は、エチレン性不飽和基、エチレンイミノ基又はエポキシ基を表し、エチレン性不飽和基として、例えば、メチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましくはエチレン性不飽和基であり、更に好ましくはメチレン基である。
以下、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2005201929
Figure 2005201929
次に、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物から誘導される繰り返し単位を有する共重合ポリマー化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2005201929
表1で示したモノマー単位(a)の含有率は、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物の254nmにおける1mg当たりの吸光度をabsMとし、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物の254nmにおける1mg当たりの吸光度をabsPとした場合、下記の式より得られる値である。
モノマー単位(a)の含有率=absP/absM×100(%)
また、共重合モノマー(b)欄に記載のBはブチルアクリレート、Eはエチルアクリレートを表す。
本発明に用いられる一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物は、1種のみ用いても、2種以上を併用しても良い。
エチレン性不飽和基、エチレンイミノ基又はエポキシ基を有する化合物、及びそれらのポリマー合成に関しては、例えば、新実験化学講座(丸善)などの書籍に記載の方法を用いることにより容易に合成できる。
以下に、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物、及びそのモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物の合成例を示すが、本発明はこれに限定されない。
〔合成例1.例示化合物1−1の合成〕
トリエチルアミンの5.8g、ジクロロメタンの25ml、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの5.0gを順次混合し、氷水冷却下、トリブロモアセチルクロライドの12.1gを、ジクロロメタン10mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した後、酢酸エチル100mlを加え、有機層を1モル/Lの塩酸50ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の50ml、飽和食塩水の50mlで順次洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮することにより粗結晶を得た。エタノールで再結晶を行うことにより目的物である例示化合物1−1(11.0g)を得た。
〔合成例2.例示化合物2−2の合成〕
トリエチルアミンの6.3g、ジクロロメタンの25ml、4−ビニルフェノールの5.0gを順次混合し、氷水冷却下、トリブロモアセチルクロライドの14.4gをジクロロメタンの10mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した後、酢酸エチル100mlを加え、有機層を1モル/Lの塩酸50ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の50ml、飽和食塩水の50mlで順次洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮することにより粗結晶を得た。エタノールで再結晶を行うことにより目的物でる例示化合物2−2(13.2g)を得た。
〔合成例3.例示化合物1−1の繰り返し単位を有するホモポリマーの合成〕
窒素雰囲気下で、上記例示化合物1−1の10g、脱水テトラヒドロフランの80ml、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体の0.3gを順次混合し、10時間過熱還流を行った。放冷後、減圧濃縮を行い、残渣をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを用いて再沈精製を行うことにより、数平均分子量5000のホモポリマーを5g得た。
〔合成例4.例示化合物1−20の繰り返し単位を少なくとも1つ有するコポリマーの合成〕
デンカブチラール(#2000−L、重合度約300)の10g、トルエンの300ml、ピリジンの2.5gを順次混合し、氷水冷却下、トリブロモアセチルクロライドの18gをトルエン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した後、酢酸エチル500mlを加え、有機層を1モル/Lの塩酸50ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の50ml、飽和食塩水の50mlで順次洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮を行った。残渣をメチルエチルケトンに溶解し、ヘキサンを用いて再沈精製を行うことにより、数平均分子量20000コポリマーを19g得た。コポリマーの254nmにおける吸光度を測定することにより、トリブロモ酢酸ビニル単位の含有率が21%(質量%)であることを確認した。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物の添加層としては、ハロゲン化銀乳剤を含む感光性層でも、非感光性層でも添加することができるが、感光性層、または感光性層に隣接した非感光性層であることが好ましい。また、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物が、熱現像感光材料に添加される場合、その添加量に特に制限はないが、概ねハロゲン化銀1モル当たり、モノマー単位(a)で1×10-4〜1.0モル程度、特には、1×10-3〜0.3モルの範囲が好ましい。
本発明に係る一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物は、適当な有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。また、既に良く知られている乳化分散法によっても組み入れることができる。例えば、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどの高沸点有機溶媒及び酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化して乳化分散物を調製し、所望の構成層に添加することができる。
また、固体分散法として知られている方法、例えば、本発明に係る一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマー化合物を、例えば、ボールミル、コロイドミル、あるいは超音波分散機等の分散手段を用いて水系微粒子分散物として、任意に添加することもできる。
本発明の熱現像感光材料においては、安定剤として、下記一般式(3)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2005201929
前記一般式(3)において、X5、X6、X7及びX8で表されるハロゲン原子は、互いに同一でも異なっていても良いフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
1及びB2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子又は置換基を表し、置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
pは1以上3以下の整数を表す。
1及びG2は各々連結基を表し、連結基としては、例えば、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−OOC−、−N(R8)SO2−が挙げられ、更に、アルキル基を介して−S−、−NH−、−CO−、−O−から選ばれる基と結合して、連結基を形成しても良い。R8は置換基を表す。R8で表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、アシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。G1及びG2は各々同じでも異なっていても良い。但し、G1及びG2が共に−SO2−である場合、pは2又は3を表す。
Jはp+1価のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。好ましくは総炭素数が2〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基であり、特に好ましくは総炭素数が2〜10のアルキレン基、シクロアルキレン基である。これらの基は更に置換基を有していても良く、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等の置換基で置換されていても良い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。但し、アリール基又はヘテロアリール基を置換基の一部として有することは無い。
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005201929
Figure 2005201929
Figure 2005201929
Figure 2005201929
一般式(3)で表される化合物の添加層としては、ハロゲン化銀乳剤を含む感光性層でも非感光性層でも添加することができるが、感光性層、あるいは感光性層に隣接した非感光性層であることが好ましい。また、一般式(3)で表される化合物が、熱現像感光材料に添加される場合、その添加量には特に制限はないが、概ねハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1.0モル程度、特には1×10-3〜0.3モルの範囲が好ましい
本発明の熱現像感光材料においては、感光性層中に銀イオン還元剤(以下、単に還元剤ともいう)を含有することが特徴の1つであり、用いる還元剤の種類として特に制限はないが、本発明においては、還元剤が下記一般式(A−1)〜(A−3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2005201929
Figure 2005201929
一般式(A−1)中、Zは炭素原子と共に3〜10員環を構成するのに必要な原子群を表し、Zは3〜10員の非芳香族環または5〜6員の芳香族環であるのが好ましく、3〜10員の非芳香族環であるのがより好ましい。該環として具体的に3員環としてはシクロプロピル、アジリジル、オキシラニル、4員環としてはシクロブチル、シクロブテニル、オキセタニル、アゼチジニル、5員環としてはシクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、6員環としてはシクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、ピペリジニル、ジオキサニル、テトラヒドロチオピラニル、ノルカラニル、ノルピナニル、ノルボルニル、7員環としてはシクロヘプチル、シクロヘプチニル、シクロヘプタジエニル、8員環としてはシクロオクタニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、9員環としてはシクロノナニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロノナトリエニル、10員環としてはシクロデカニル、シクロデケニル、シクロデカジエニル、シクロデカトリエニル等の各基が挙げられる。
好ましくは3〜6員環であり、より好ましくは5〜6員環であり、最も好ましくは6員環であり、その中でもヘテロ原子を含まない炭化水素環が好ましい。該環はスピロ原子を通じて他の環とスピロ結合を形成してもよいし、芳香族環を含む他の環と如何様にも縮環してよい。また環上には任意の置換基を有することができる。前記炭化水素環は−C=C−や−C≡C−を含むアルケニル構造やアルキニル構造を含む炭化水素環であることが特に好ましい。
該置換基として具体的には、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノ++カルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等が挙げられる。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なっていてもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
次に、Zが5〜6員の芳香族環状基である場合について説明する。芳香族炭素環としては、単環でも縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等)が挙げられるが、好ましく用いられるのは、ベンゼン環である。また、芳香族ヘテロ環として好ましくは縮合環を有していてもよい5〜6員の芳香族ヘテロ環である。更に好ましくは縮合環を有していてもよい5員の芳香族ヘテロ環である。この様なヘテロ環として、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、チアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましくはチオフェン、フラン、チアゾールである。上記環は芳香族環を含む他の環と如何様にも縮環してよい。また環上には任意の置換基を有することができる。該置換基としては前述した3〜10員の非芳香族環状基上の置換基と同じものを挙げることができる。Zが5〜6員の芳香族環状基である場合、最も好ましいのはZが5員の芳香族へテロ環基である。
1及びR2は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または複素環基であることが好ましいが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基として具体的には炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であることが好ましい。具体例としては、アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
1として好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。更に好ましくはメチル基、t−ブチル基、1−メチルシクロヘキシル基であり、最も好ましくはt−ブチル基、1−メチルシクロヘキシル基である。R2として好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。更に好ましくは、メチル基、2−ヒドロキシエチル基である。R1及びR2で表されるアリール基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。R1及びR2で表される複素環基として具体的にはピリジン基、キノリン基、イソキノリン基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、テトラゾール基等の芳香族ヘテロ環基やピペリジノ基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基等の非芳香族ヘテロ環基が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよく、該置換基としては前述の環上の置換基を挙げることができる。
1及びR2の最も好ましい組合せはR1が第3級アルキル基(例えばt−ブチル基、1−メチルシクロヘキシル基等)であり、R2が第1級アルキル基(例えばメチル基、2−ヒドロキシエチル基等)である。
Xは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または複素環基であることが好ましいが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基として具体的には炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であることが好ましい。具体例としては、アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。好ましくはRXは水素原子である。
0はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルキニル基(プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル基等)、複素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。またこれらの基は更にこれらの基で置換されていてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。
Lは2価の連結基を表すが、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基であり、炭素数は1〜20が好ましく、1〜5がより好ましい。kは0〜1の整数を表すが最も好ましくはk=0の場合である。
次に、本発明に係る前記一般式(A−2)または一般式(A−3)で表される還元剤について説明する。
前記一般式(A−2)において、R40は前記一般式(A)を表すが、R43〜R45は水素原子または置換基を表す。R43〜R45が表す置換基としては、例えば、アルキル基、(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等の各基)、アルケニル基(ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソヘキセニル、シクロヘキセニル、ブテニリデン、イソペンチリデン等の各基)、アルキニル基(エチニル、プロピニリデン等の各基)、アリール基(フェニル、ナフチル等の各基)、ヘテロ環基(フリル、チエニル、ピリジル、テトラヒドロフラニル等の各基)等の他、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、スルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、スルホ等の各基が挙げられる。
前記一般式(A)のCがR43〜R45のどれとも環を形成しない場合は、R40は少なくとも1つの置換されてもよいエチレン基(2,6−ジメチル−5−ヘプテニル、1,5−ジメチル−4−ヘキセニル等)または置換されてもよいアセチレン基(1−プロピニル等)を含む。
前記一般式(A)のCがR43〜R45のどれかと環(フェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル等)を形成する場合、R40はこの環外に少なくとも1つの置換されてもよいエチレン基(ビニル、プロペニル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ等)または置換されていてもよいアセチレン基(エチニル、アセチレンカルボニルオキシ等)を含む。
41、R41′、R42、R42′、X41、X41′は、各々水素原子または置換基を表すが、置換基としてはR43〜R45の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
41、R41′、R42、R42′としては好ましくはアルキル基であり、具体的にはR43〜R45の説明で挙げたアルキル基の例と同様の基が挙げられる。
前記一般式(A−3)において、R50は、水素原子または置換基を表すが、置換基としては一般式(A−2)のR43〜R45の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R50として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、更に好ましくは水素原子またはアルキル基である。
51、R51′、R52、R52′、X51、X51′は、各々水素原子または置換基を表すが、置換基としては、一般式(A−2)のR43〜R45の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
51、R51′、R52、R52′として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等であり、具体的には、R43〜R45の説明で挙げたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の例と同様の基が挙げられる。
但しR51、R51′、R52、R52′、X51、X51′の少なくとも1つが置換されてもよいエチレン基(ビニル、アリル、メタクリルオキシメチル等)または置換されてもよいアセチレン基(エチニル、プロパルギル、プロパルギルオキシカルボニルオキシメチル等)を含む。
本発明においては、前記一般式(A−1)で表される化合物と下記一般式(A−4)で表される化合物とを併用することが好ましい。併用比率としては〔一般式(A−1)の質量〕:〔一般式(A−4)の質量〕=95:5〜55:45が好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。
Figure 2005201929
前記一般式(A−4)中、X1はカルコゲン原子またはCHRを表す。カルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHRにおけるRは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を表し、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換、または無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等である。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、一般式(A−1)において記載した置換基を用いることができる。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
3はアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一方は2級または3級のアルキル基である。アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基等が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、例えばアリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、(Q0)n及び(Q0)mと飽和環を形成してもよい。R3は、好ましくはいずれも2級または3級のアルキル基であり、炭素数2以上、20以下が好ましい。より好ましくは3級アルキル基である。更に好ましくはt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基であり、最も好ましくは1−メチルシクロヘキシル基である。
4は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。複数のR3、R4は同じでも異なっていてもよい。
4は炭素数1〜5が好ましく、更に好ましくは炭素数1〜2である。これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、一般式(A−1)において記載した置換基を用いることができる。R4は好ましくはいずれも炭素数1〜20のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
Q0は一般式(A−1)におけるものと同義である。また、Q0はR3、R4と飽和環を形成してもよい。Q0は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
以下に、本発明に係る一般式(A−1)〜(A−4)で表される化合物の具体例を列記するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005201929
Figure 2005201929
Figure 2005201929
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Figure 2005201929
Figure 2005201929
Figure 2005201929
Figure 2005201929
本発明に係る一般式(A−1)及び(A−4)で表される化合物は従来公知の方法により容易に合成することができる。好ましい合成スキームを一般式(A−1)に相当する場合を例にとり以下に示す。
Figure 2005201929
即ち、好ましくは2当量のフェノール及び1当量のアルデヒドを無溶媒で、もしくは適当な有機溶媒で溶解または懸濁させ、触媒量の酸を加えて、好ましくは−20〜120℃の温度下で0.5〜60時間反応させることにより好収率で目的とする一般式(A−1)に相当する化合物を得ることができる。
有機溶媒として好ましくは、炭化水素系有機溶媒であり、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。好ましくはトルエンである。更に収率の点からは無溶媒で反応させることが最も好ましい。酸触媒としてあらゆる無機酸、有機酸を使用することができるが、濃塩酸、p−トルエンスルホン酸、及びリン酸が好ましく用いられる。触媒量としては対応するアルデヒドに対して0.001〜1.5当量使用することが好ましい。反応温度として好ましくは室温付近(15〜25℃)が好ましく、反応時間としては3〜20時間が好ましい。
本発明に係る一般式(A−2)及び(A−3)で表される化合物は、以下の方法により合成することができる。
Figure 2005201929
上記スキームに従い、フェノール誘導体とアルデヒド誘導体を水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の触媒を用いて、一般式(A−4)または(A−5)で表される化合物を合成することができる。
熱現像感光材料が含有する還元剤は、有機銀塩を還元して銀画像を形成するものである。本発明の還元剤と併用することができる還元剤としては、例えば、米国特許3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号、RD17029及び29963,特開平11−119372号、特開2002−62616号等に記載されている。
前記一般式(A−1)〜(A−4)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
次いで、本発明の熱現像感光材料において、上記で説明した以外の構成要素について説明する。
〔画像の色調〕
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとって、より的確な記録画像の診断観察結果が得やすいと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論が出来るように、以下においては、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。すなわち、色相角habは国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
hab=tan−1(b*/a*
一方、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間におけるu*、v*またはa*、b*を特定の数値に調整することにより見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
本発明の熱現像感光材料について、更に鋭意検討の結果、CIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間において横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見いだした。以下において、好ましい条件範囲について述べる。
1:熱現像感光材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5および最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする二次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998以上、1.000以下であることが好ましい。
さらに、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5以上5以下であること、かつ傾き(v*/u*)が0.7以上、2.5以下であることが好ましい。
2:熱現像感光材料の光学濃度0.5、1.0、1.5および最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする二次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998以上、1.000以下であることが好ましい。
さらに、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5以上、5以下であること、かつ傾き(v*/u*)が0.7以上、2.5以下であることが好ましい。
なお、次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ち、CIE 1976色空間におけるu*、v*の測定法の一例を説明する。
熱現像装置を用いて未露光部、および光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製したそれぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(例:CM−3600d;ミノルタ社製)で測定しu*、v*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10°として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*、縦軸をv*としたグラフ上に測定したu*、v*をプロットし線形回帰直線を求め決定係数(重決定)R2、切片および傾きを求める。
次に、上記のような特徴をもつ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
本発明においては、下記の調色剤、還元剤、前述したハロゲン化銀粒子及び脂肪族カルボン酸銀等の現像反応過程において直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により現像銀形状を最適化し好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
本発明の熱現像感光材料には、調色剤を用いるのが望ましい。用いることのできる好適な調色剤の例は、Research Disclosure(以下、RDと略す)第17029号、米国特許第4,123,282号、同第3,994,732号、同第3,846,136号および同第4,021,249号明細書に開示されている。特に好ましい色調剤としては、フタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組み合わせである。
特に、本発明では、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、テトラクロロフタル酸無水物、安息香酸、4−メチル安息香酸、4−ニトロ安息香酸及びペンタクロロ安息香酸などのようにカルボン酸を含有する化合物を、感光性層に隣接する非感光性層に含有することが好ましい。更に好ましくは、感光性層に対して支持体と反対側の非感光性層に含有することが好ましい。
非感光性層に含有される調色剤の添加量は、好ましくは0.005〜0.20モル/Agモルであり、更に好ましくは0.01〜0.10モル/Agモルである。
このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、EP1134611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにロイコ染料を用いることが好ましい。
ロイコ染料は、好ましくは約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に酸化されて着色形態になるいずれの無色または僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成するいずれのロイコ染料を本発明で用いることもできる。pH感受性を有しかつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。本発明で使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定するものではないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアリニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料およびフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。また、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同第3,846,136号、同第3,994,732号、同第4,021,249号、同第4,021,250号、同第4,022,617号、同第4,123,282号、同第4,368,247号、同第4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、特開昭59−206831号、特開平5−204087号、特開平11−231460号、特開2002−169249号、特開2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。所定の色調に調整するために種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴って色調が過度に黄色味をおびたり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、シアン色に発色するロイコ染料を用いることが好ましいが、色調の微調整のためにはさらに黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用するのが好ましい。
濃度は、現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度または0.005〜0.03の透過光学濃度を有するように発色させ、好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。
〔バインダー〕
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号公報の段落番号〔0069〕に記載のものが挙げられる。これらのうち、本発明の熱現像感光材料の感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーは、ポリビニルブチラールである。詳しくは後述する。また、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光性層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組合せて用いうる。バインダーには−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基を表す)、−N(R)2、−N+(R)3(Rは炭化水素基を表す)、エポキシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも1つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましく、特に−SO3M、−OSO3M、が好ましい。この様な極性基の量は、1×10-1〜1×10-8モル/gであり、好ましくは1×10-2〜1×10-6モル/gである。
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、感光性層において、少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光性層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
本発明では、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する感光性層を、100℃以上の温度で現像処理した後の熱転移温度が、46℃以上、200℃以下であることが好ましい。
本発明でいう熱転移温度とは、VICAT軟化点又は環球法で示した値であり、示差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 6000(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー電子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)等を用いて、熱現像済みの感光層を単離して測定した際の吸熱ピークをさす。一般的に高分子化合物はガラス転移温度を有しているが、熱現像感光材料においては、感光層に用いているバインダー樹脂のガラス転移温度よりも低いところに、大きな吸熱ピークが出現する。この熱転移温度に着目し鋭意検討を行った結果、この熱転移点温度を46℃以上、200℃以下にすることにより、形成された塗膜の堅牢性が増すのみならず、感度、最大濃度、画像保存性など写真性能が大幅に向上する。
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度Tgは、70℃以上、105℃以下であることが好ましい。Tgは、示差走査熱量計で測定して求めることができ、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をガラス転移点とする。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラップらによる”重合体ハンドブック”III−139頁〜III−179頁(1966年,ワイリーアンドサン社版)に記載の方法で求めたものである。
バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。
上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃である。
Tgが70〜105℃のバインダーを用いると、画像形成において十分な最高濃度を得ることができ好ましい。
本発明に係るバインダーとしては、Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。
また、エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体については、特開2001−330918号公報の段落番号〔0069〕に記載のものが挙げられる。
これらのうち、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば、米国特許第2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許第771,155号の各明細書に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
アセタール基を持つ高分子化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
Figure 2005201929
式中、R11は無置換アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましくはアリール基以外の基である。R12は無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、−COR13または−CONHR13を表す。R13はR11と同義である。
上記一般式(V)で表される高分子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分子化学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方法で合成することができる。
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン等公知のものが使用できる。またポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は、硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
これらの高分子化合物(ポリマー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。本発明に係る感光性層には上記ポリマーを主バインダーとして用いる。ここでいう主バインダーとは「感光性層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明においては、感光性層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここででいう有機性ゲル化剤とは、例えば、多価アルコール類のように有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失或いは低下させる機能を有する化合物をいう。
本発明においては、感光性層用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、感光性層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。
また、本発明に係る感光性層がポリマーラテックスを含有する場合、前記感光性層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックスであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
本発明に係る「ポリマーラテックス」とは水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、或いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造をもち、分子鎖自身が分子状分散したもの等いずれでもよい。
分散粒子の平均粒径は1〜50,000nmが好ましく、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布をもつものでもよい。
本発明に係るポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。また、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。本発明に用いられる造膜助剤は可塑剤とも呼ばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常、有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で通常5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感光性層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは造膜性が悪く好ましくない。
ポリマーラテックスは25℃、60%RHでの平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号の段落番号〔0173〕に記載のラテックスが挙げられる。
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜210質量%程度、好ましくは0.1〜10質量%含有するものが好ましい。
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光性層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
本発明に係る感光性層用塗布液の調製において、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、いずれが先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくは、ポリマーラテックスが後である。
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。また、本発明においては、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎるとカブリが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30℃〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には35℃〜60℃で経時させることが好ましく、特には35℃〜55℃で経時されることが好ましい。この様に温度を維持するには塗布液の調液槽等を保温すればよい。
本発明に係る感光性層用塗布液の塗布は有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後をいう。
また、塗布液中には、本発明に係わる前記両親媒性ポリマーをバインダーとして一部用いてもよい。
本発明においては、架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
本発明で用いられる架橋剤としては、従来写真感材用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号公報に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは以下に示す、イソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物である。
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価または3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
具体例としては、特開昭56−5535号公報の10頁〜12頁に記載されているイソシアネート化合物を利用することができる。
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は特に、層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは光熱写真材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる。)感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
また、本発明において使用することが可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
本発明において使用される上記架橋剤の量は、銀1モルに対して通常0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち、当該官能基を1つのみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
本発明において架橋剤として使用できるシラン化合物の例としては、特開2001−264930号公報に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
本発明において架橋剤として使用できるエポキシ化合物としてはエポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。またエポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
また、本発明に用いられる酸無水物は下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。
−CO−O−CO−
本発明に用いられる酸無水物はこの様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
本発明においてエポキシ化合物や酸無水物は、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
〔省銀化剤〕
本発明では、省銀化剤を使用することにより、本発明の効果を更に高めることができる。
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。
省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。
ヒドラジン誘導体の具体例としては、米国特許第5,545,505号明細書カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号明細書カラム9〜11に記載の化合物1〜12、特開2001−27790号の段落番号〔0042〕〜〔0052〕に記載の化合物H−1−1〜H−1−28、H−2−1〜H−2−9、H−3−1〜H−3−12、H−4−1〜H−4−21、H−5−1〜H−5−5が挙げられる。
ビニル化合物の具体例としては米国特許第5,545,515号明細書のカラム13〜14に記載の化合物CN−01〜CN−13、米国特許第5,635,339号明細書のカラム10に記載の化合物HET−01〜HET−02、米国特許第5,654,130号明細書のカラム9〜10に記載の化合物MA−01〜MA−07の化合物、米国特許第5,705,324号明細書のカラム9〜10に記載の化合物IS−01〜IS−04、特開2001−125224号公報の段落番号〔0043〕〜〔0088〕記載の化合物1−1〜218−2が挙げられる。
4級オニウム化合物の具体例としてはトリフェニルテトラゾリウムが挙げられる。
シラン化合物の具体例としては特開2003−5324号公報の段落番号〔0027〕〜〔0029〕記載の化合物A1〜A33に示されるような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物或いはその塩が挙げられる。
上記省銀化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し1×10-5〜1モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モルの範囲である。
〔カブリ防止及び画像安定化剤〕
本発明の熱現像感光材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
還元剤としては、主に、ビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を引き抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には、無色の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可能な化合物が好ましい。
従ってこれらの機能を有する化合物であればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、且つ熱現像感光材料に格別の弊害を生じることのない化合物であればいかなる構造を持った化合物でもよい。
また、これらのフリーラジカルを発生する化合物としては発生するフリーラジカルに、これが還元剤と反応し不活性化するに十分な時間接触できる位の安定性を持たせるために炭素環式、または複素環式の芳香族基を有するものが好ましい。
これらの化合物の代表的なものとしてビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を挙げることができる。
上記のビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは、0.005〜0.05モル/m2の範囲である。尚、当該化合物は、本発明の感光材料において、いかなる構成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に含有させることが好ましい。
また、カブリ防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。
これらの化合物の添加量は、実質的にハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題にならない範囲が好ましく、活性ハロゲンラジカルを生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、更に好ましくは100%以下であることが好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−169249号公報の段落番号〔0086〕〜〔0087〕に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)を挙げることができる。
次に、本発明において好ましく使用される上記以外のカブリ防止剤について説明する。
本発明で好ましく使用されるカブリ防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落番号〔0012〕に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落番号〔0028〕に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落番号〔0063〕記載の化合物(I−1)〜(I−6)、「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落番号〔0027〕記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落番号〔0013〕に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として、特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08をあげることができる。
上記カブリ防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
尚、上記の化合物の他に、本発明の熱現像感光材料中には、従来カブリ防止剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
また、本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては例えば特開2002−90937号公報の段落番号〔0061〕〜同〔0064〕に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、必要に応じて銀の色調を調整する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
本発明に用いられる好適な色調剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい色調剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
〔フッ素系界面活性剤〕
本発明では熱現像処理装置でのフィルム搬送性や環境適性(生体内への蓄積性)を改良するために下記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。
一般式(SF)
(Rf−(L1)n1−)p−(Y)m1−(A)q
式中、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表し、L1はフッ素原子を有しない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表し、Aはアニオン基またはその塩を表し、n1、m1は各々0または1の整数を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。但し、qが1の時はn1とm1は同時に0ではない。
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基及びパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)及びアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基及びパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に例えば硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。
また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物及びへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
本発明の一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
本発明の一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では、帯電特性が得られず、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化する。
本発明の熱現像感光材料は、感光性層を有する側の最表面に含まれるマット剤の平均粒径をLe(μm)、バックコート層を有する側の最表面に含まれるマット剤の平均粒径をLb(μm)とする時Lb/Leが1.5以上10以下であることが好ましい。Lb/Leをこの範囲とすることで熱現像時の濃度ムラを改良することができる。
〔表面層〕
本発明においては、熱現像感光材料の表面層に(感光性層側、また支持体をはさみ感光性層の反対側に非感光性層を設けた場合にも)、本発明の目的、また表面粗さをコントロールする等のためにマット剤として有機または無機の粉末を用いることが好ましい。本発明において用いられる粉末としては、モース硬度が5以上の粉末を用いることが好ましい。粉末としては公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。無機質粉末としては、例えば、酸化チタン、窒化ホウ素、SnO2、SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、ザクロ石、ガーネット、マイカ、ケイ石、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(R)等の粉末を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、SiO2、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、Cr23、マイカ等の無機粉末等であり、その中でも、SiO2、α−Al23が好ましく、特に好ましいのはSiO2である。
本発明において、前記粉末が、Si化合物またはAl化合物により表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理のなされた粉末を用いると最上層の表面状態を良好にすることができる。前記SiまたはAlの含有量としては、前記粉末に対して、Siが0.1〜10質量%、Alが0.1〜10質量%であるのが好ましく、より好ましくはSiが0.1〜5質量%、Alが0.1〜5質量%であり、Siが0.1〜2質量%、Alが0.1〜2質量%であるのが特に好ましい。また、Si、Alの質量比がSi<Alであるのがよい。表面処理に関しては特開平2−83219号に記載された方法により行うことができる。尚、本発明における粉末の平均粒径とは、球状粉末においてはその平均直径を、針状粉末においてはその平均長軸長を、板状粉末においてはその板状面の最大の対角線の長さの平均値をそれぞれ意味し、電子顕微鏡による測定から容易に求めることができる。
上記の有機または無機粉末は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。
感光性層側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は通常0.5〜8.0μm、好ましくは1.0〜6.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(硬化剤についてはバインダー量に含む)に対して通常1.0〜20質量%であり、好ましくは2.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜10質量%である。支持体をはさんで感光性層側とは反対側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常2.0〜15.0μm、好ましくは3.0〜12.0μmであり、より好ましくは4.0〜10.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(硬化剤についてはバインダー量に含む)に対して通常0.2〜10質量%であり、好ましくは0.4〜7質量%であり、より好ましくは0.6〜5質量%である。
また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となる粉末である。
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
{(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
有機または無機粉末の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前に有機または無機粉末を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
本発明に係る熱現像感光材料に用いる支持体の素材としては各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えばアルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての取り扱い上は可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好適である。従って本発明の熱現像感光材料における支持体としては、プラスチックフィルム(例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルムまたはポリカーボネートフィルム等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
本発明においては、帯電性を改良するために金属酸化物及び/または導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは、バッキング層または感光性層側の表面保護層、下引層等に含まれる。本発明においては、米国特許第5,244,773号明細書カラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。
中でも本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。このことで、更に本発明の効果(特には熱現像処理時の搬送性)を高められることが分かった。ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、或いはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更にまた、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時にケイ素化合物を添加してもよい。本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は1×107Ω・cm以下、特に1×105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号の各公報等に記載されている。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子或いは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用しやすい。また光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。また、導電性金属酸化物が針状或いは繊維状の場合はその長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
本発明の熱現像感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層である感光性層を有している。支持体の上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも一層の非感光性層を形成するのが好ましい。例えば感光性層の上には保護層が、感光性層を保護する目的で設けられることが好ましく、また支持体の反対の面には熱現像感光材料間の、或いは熱現像感光材料ロールにおいてくっつきを防止するために、バックコート層が設けられる。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては感光性層よりもガラス転位点が高く、擦り傷や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
尚、階調調整等のために、感光性層を支持体の一方の側に2層以上または支持体の両側に1層以上設置してもよい。
〔染料〕
本発明に係る熱現像感光材料においては、感光性層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光性層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光性層に染料または顔料を含有させることが好ましい。
本発明において用いられる染料としては、熱現像感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
例えば、本発明の熱現像感光材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特開2001−83655号公報に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本公報ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本公報ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、またスクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、またはピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシ基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料と呼ぶ。尚、染料としては特開平8−201959号公報の化合物も好ましい。
〔構成層の塗布〕
本発明の熱現像感光材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光性層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感光性層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。熱現像感光材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
尚、本発明において、塗布銀量は、熱現像感光材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には、5〜15%が好ましい。
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
本発明においては、熱現像感光材料が、現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。100〜500mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い熱現像感光材料となる。
溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落番号〔0030〕に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は、単独、または数種類組合せて用いることができる。
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
〔包装体〕
本発明の熱現像感光材料を保存する場合は、経時での濃度変化やカブリ発生を防止するため、包装体に収納して保存することが好ましい。包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。
〔熱現像感光材料の露光〕
本発明の熱現像感光材料は、画像記録する際にレーザ光を用いるのが普通である。本発明の熱現像感光材料の露光は、当該材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならばいかなる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、熱現像感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上、88度以下、より好ましくは60度以上、86度以下、更に好ましくは65度以上、84度以下、最も好ましくは70度以上、82度以下であることをいう。
レーザ光が、感光材料に走査される時の感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザ光入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
また、第2の方法として、本発明における露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、等の方法がよい。尚、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば、特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、1つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、2つの光ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。この様な、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することが好ましい。この際、通常の1本のレーザ光(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEであり、露光に使用するN本のレーザ光が同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)である場合に、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。この様にすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光の感光性層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
尚、上述では複数本のレーザ光の波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いてもよい。この場合には、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
尚、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。尚、レーザ・イメージャーやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザ光において、熱現像感光材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は熱現像感光材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、熱現像感光材料毎に最適な値に設定することができる。
〔熱現像処理装置〕
本発明でいう熱現像処理装置は、構成としては、フィルムトレイで代表されるフィルム供給部、レーザ画像記録部、熱現像感光材料の全面に均一で安定した熱を供給する熱現像部、フィルム供給部からレーザ記録を経て、熱現像により画像形成された熱現像感光材料を装置外に排出するまでの搬送部から構成される。この態様の熱現像処理装置の具体例は図2に示すものである。
熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110、給送されたフィルムFを露光する露光部120、露光されたフィルムFを現像する現像部130、現像を停止させる冷却部150と集積部160とを有し、給送部からフィルムFを供給するための供給ローラ対140、現像部にフィルムを送るための供給ローラ対144、各部間でフィルムFを円滑に移送するための搬送ローラ対141、142、143、145等複数のローラ対からなっている。現像部はフィルムFを現像する加熱手段として、外周にほぼ密着して保持しつつ加熱可能な複数の対向ローラ2を有するヒートドラム1と現像したフィルムFを剥離し冷却部に送るための剥離爪6等からなる。
尚、熱現像感光材料の搬送速度は10〜200mm/secが好ましい範囲である。
本発明の熱現像感光材料の現像条件は、使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した熱現像感光材料を加熱することにより現像を行うものである。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(約80〜200℃、好ましくは約100〜200℃)で、十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、熱現像感光材料を加熱することにより現像される。
加熱温度が80℃未満では、短時間に十分な画像濃度が得られず、また、200℃を越えると、バインダーが溶融し、ローラーへの転写等画像そのものだけでなく搬送性や現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する。)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給を一切行わないで進行する。
加熱する機器、装置或いは手段としては、例えば、ホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素または白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段等で行ってよい。より好ましくは、保護層の設けられた熱現像感光材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理することが、均一な加熱を行う上で、また、熱効率、作業性等の観点から好ましく、保護層を有する側の面をヒートローラーに接触させながら搬送し、加熱処理して現像することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
《ポリマー合成》
0.3リットルの四つ口セパラブルフラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置及び還流冷却管を付し、イソプロピルアルコール10g、メチルエチルケトン10gをしこみ、70℃に加熱した。表2の組成割合のモノマー(単位g)を秤量し、更にラウロイル・パーオキサイドを前記モノマーに加えた混合液の1/3を最初にフラスコ中に入れ30分反応させた後、残りの混合液を1時間かけて滴下し、同温度にてさらに5時間反応させた。その後イソプロピルアルコールとメチルエチルケトン50%ずつの混合液を添加し冷却、ポリマー50質量%のポリマー溶液を得た。分子量は、GPCでポリスチレン換算の重量平均分子量として求めた。析出点は、各ポリマーを乾燥後、1%水溶液を作製してそのpHから求めた。
(分子量制御)
重合開始剤である、ラウロイル・パーオキサイドの量を変えて、分子量を変化させた。モノマー成分に対して、0.3%〜3%の開始剤を添加することにより、重量平均分子量で20000〜200000の範囲にあるポリマーを作製した。
以下表1に合成したポリマーを示す。
Figure 2005201929
ブレンマーPME−400:エチレンオキサイドを有するメタアクリレート系モノマーで末端メチル基
ブレンマーPSE−400:エチレンオキサイドを有するメタアクリレート系モノマーで末端ステアリル基
ラウロイル・パーオキサイド:過酸化物系の開始剤
(上記はすべて日本油脂製)
《析出点pHの同定》
作製したポリマーを1gとり、純水を加えpH9の水溶液100gに調製する。その後、25℃において5%硝酸水溶液を少量づつ加え、目視で白濁が観察されたときの、該水溶液のpHを該ポリマーの析出点とした(析出点(25℃))。また、35℃において同様な測定を行った(析出点(35℃))。
〔感光性ハロゲン化銀粉末1の調製〕
(溶液A1)
ポリマー1 17.66g
化合物A(*1)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げた。
(溶液B1)
0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml
(溶液C1)
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げた。
(溶液D1)
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
3OsCl6+K4[Fe(CN)6](ドーパント:各々2×10-5mol/Ag相当) 50.0ml
水で1982mlに仕上げた。
(溶液E1)
0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
(溶液F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げた。
(溶液G1)
56%酢酸水溶液 下記pH制御量
(溶液H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げた。
(*1)化合物A:HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)mH (m+n=5〜7)
特公昭58−58288号に記載の混合撹拌機を用いて、溶液A1に、溶液B1の1/4量及び溶液C1の全量を温度5℃、pAg8.2、pH6.0に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間pAgの調整を溶液E1、pHの調整をG1を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、pAgを8.2に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間撹拌した後、こうして得られたものに以下に示すように脱塩操作1または脱塩操作2をおこなった、次いでそれぞれ電気伝導度を測定し、その後pH5.8、銀量1モルあたり1161gになるように水を添加し感光性ハロゲン化銀乳剤とした。このうち脱塩操作2をおこなったものをハロゲン化銀乳剤1とした。
ハロゲン化銀乳剤1の平均球相当径は0.03μm、変動係数は20%であった。
〈脱塩操作1〉
上記手順によって生成した溶液に、硝酸溶液を加えてpHを2.5に調整し、25℃で30min静置した後、上澄み液を捨て、純水によって10Lになるように希釈する。その後pH調整はせず同様の脱塩操作を二回繰り返す。このときの電気伝導度を電気伝導度Aとする。
〈脱塩操作2〉
またこれとは別に、上記手順によって生成した溶液に、硝酸溶液を加えてpHを2.5に調整し、35℃で30min静置した後、上澄み液を捨て、純水によって10Lになるように希釈する。その後pH調整はせず同様の脱塩操作を二回繰り返すという脱塩操作を行ったものについて、このときの電気伝導度を測定し電気伝導度Bとした。
感光性ハロゲン化銀乳剤1中のハロゲン化銀粒子は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から平均球相当径及び球相当径の変動係数を求めた。
こうして得た感光性ハロゲン化銀乳剤を50℃に昇温して銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム85μモルと2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μモル、15μモルのテルル化合物、塩化金酸3.5μモル、チオシアン酸270μモルを添加し、120分間熟成した後、フリーズドライで乾燥し、ポリマー1を用いた感光性ハロゲン化銀粉末1を得た。
Figure 2005201929
〔感光性ハロゲン化銀粉末2の調製〕
感光性ハロゲン化銀粉末1の製造法において、ポリマー1をポリマー2に置き換えた以外はすべて感光性ハロゲン化銀粉末1と同様に作製し、脱塩操作2の後、感光性ハロゲン化銀粉末2を得た。また、脱塩操作1および2を行って電気伝導度A、Bを同様に求めた。また、脱塩操作2を行って調製したハロゲン化銀乳剤2について、電子顕微鏡より平均球相当径及び球相当径の変動係数を求めた。
〔感光性ハロゲン化銀粉末3の調製〕
感光性ハロゲン化銀粉末1の製造法において、ポリマー1をポリマー3に置き換えた以外はすべて感光性ハロゲン化銀粉末1と同様に作製し、脱塩操作2により感光性ハロゲン化銀粉末3を得た。また、脱塩操作1および2を行って電気伝導度A、B、電子顕微鏡より平均球相当径及び球相当径の変動係数をそれぞれ求めた。
〔感光性ハロゲン化銀粉末4の調製〕
感光性ハロゲン化銀粉末1の製造法において、ポリマー1をポリマー4に置き換えた以外はすべて感光性ハロゲン化銀粉末1と同様に作製し、脱塩操作2により感光性ハロゲン化銀粉末4を得た。また、脱塩操作1および2を行って電気伝導度A、B、電子顕微鏡より平均球相当径及び球相当径の変動係数をそれぞれ求めた。
〔感光性ハロゲン化銀粉末5の調製〕
感光性ハロゲン化銀粉末1の製造法において、ポリマー1をポリマー5に置き換えた以外はすべて感光性ハロゲン化銀粉末1と同様に作製し、脱塩操作2により感光性ハロゲン化銀粉末5を得た。また、脱塩操作1および2を行って電気伝導度A、B、電子顕微鏡より平均球相当径及び球相当径の変動係数を求めた。
〔感光性ハロゲン化銀粉末6の調製〕
感光性ハロゲン化銀粉末1の製造法において、ポリマー1をポリマー6に置き換えた以外はすべて感光性ハロゲン化銀粉末1と同様に作製し、脱塩操作2により感光性ハロゲン化銀粉末6を得た。また、脱塩操作1および2を行って電気伝導度A、B、電子顕微鏡より平均球相当径及び球相当径の変動係数を求めた。
〔感光性ハロゲン化銀粉末7の調製〕
感光性ハロゲン化銀粉末1の製造法において、ポリマー1をポリマー7に置き換えた以外はすべて感光性ハロゲン化銀粉末1と同様に作製し、脱塩操作2により感光性ハロゲン化銀粉末7を得た。また、脱塩操作1および2を行って電気伝導度A、B、電子顕微鏡より平均球相当径及び球相当径の変動係数を求めた。
ここで、脱塩の方法についてであるが、前記のようなpH及び温度制御による凝集沈殿以外にも、特開平10−33923号記載の限外ろ過装置を用いることもできる。
《ポリマーの脱塩適性》
上記感光性ハロゲン化銀粉末1〜7を作製する際の、脱塩性について表3に示す。
また、ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
{(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
Figure 2005201929
良好な脱塩性を示すものは25℃における析出点がpH2〜7の範囲にあるポリマーであり、更に、温度上昇(25℃→35℃)による析出点のpH上昇が見られるものであり、もっとも好ましくはpH4〜6で温度上昇による析出点pH上昇が見られるものである。
《ポリマーの使用量》
次いで、前記感光性ハロゲン化銀粉末2と同様に、但しポリマー2の量を変化させ(表4に記載)ハロゲン化銀乳剤を作製した。
上記感光性ハロゲン化銀粉末2の作製に用いたハロゲン化銀乳剤2の場合、仕込み時のハロゲン銀に対するポリマーの質量%は14%であるから、ここで仕込み時ポリマーの使用量を、具体的には0.5質量%の場合0.63g、100%で125.7g、300%で377.1gとした。
結果を表4に示す。作製時でのハロゲン銀に対するポリマーの質量%は、感光性ハロゲン化銀粉末としたときのハロゲン銀に対するポリマーの比とほぼ同じといってよく、簡易的に仕込み時における比を用いた。また、平均粒径、変動係数の算出はそれぞれ前記同様に行った。
Figure 2005201929
ここにおいて、ポリマー量が少ないと、保護コロイド能が十分でないため、生成ハロゲン銀粒子の凝集、粗大化が起こる。また、多い場合は粘度の上昇により粒子分散性が悪くなり、粒子の単分散性が低下する。またコストがかかることも問題である。
これより使用するポリマーが、支持体上のハロゲン銀に対して1%以上、150%以下含有されていることが好ましく、更に好ましくは5%以上50%以下である。
《粉末有機銀塩の調製》
〔粉末有機銀塩1の調製〕
未精製のベヘン酸(市販の試薬)を用いて、有機銀塩粒子を調製した。このベヘン酸を後述の分析方法で分析を行ったところ、ベヘン酸含有率が80質量%であった。残りはアラキジン酸とステアリン酸が含まれていたため、アラキジン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸の試薬を用いて、ベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gとなるように各有機酸試薬を混合し、4720mlの純水中に投入し、80℃で溶解した。次に、1.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して混合脂肪酸カリウム溶液を得た。光を遮断した状態(以降、光を遮断した状態を続ける)でこの混合脂肪酸カリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、純水450mlを添加し5分間攪拌した。
次に、1mol/Lの硝酸銀水溶液702.6mlを2分間かけて添加し、有機銀塩粒子分散物1を得た。その後、得られた有機銀塩粒子分散物1を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩粒子分散物1を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施し、ケーキ状の有機銀塩粒子1を得た。ケーキ状の有機銀塩粒子1を、流動層乾燥機(ミゼットドライヤー MDF−64型 株式会社ダルトン社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件により、含水率が0.1%になるまで乾燥して粉末有機銀塩1を得た。
粉末有機銀塩1の含水率測定には赤外線水分計を使用した。この粉末有機銀塩1中のベヘン酸量を下記の分析法により定量した結果、粉末有機銀塩1中に含まれるベヘン酸銀比率は54質量%であった。尚、混合後の有機酸について分析して行った結果は、有機酸の含有重金属含量5ppm、ヨウ素価1.5であった。
《粉末有機銀塩分散液の調製》
エスレックBL−S(積水化学工業(株)製)の7.3gを、メチルエチルケトンの730gに溶解し、VMA−GETZMANN社製のディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら、粉末有機銀塩1:245gを徐々に添加し、十分に混合することにより予備分散液1を調製した。
上記予備分散液1を、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製 トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/secにて分散を行い、有機銀塩分散液1を調製した。
《支持体の作製》
濃度0.170に青色着色した175μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの片方の面に、0.5kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液Aを用いて下引層aを、乾燥膜厚が0.2μmになるように塗設した。更に、もう一方の面に、同様に0.5kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液Bを用いて下引層bを、乾燥膜厚が0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロール群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブンの中で、130℃にて15分熱処理を行った。
(下引塗布液A)
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)の270g、界面活性剤(UL−1)の0.6g及びメチルセルロースの0.5gを混合した。更に、シリカ粒子(サイロイド350:富士シリシア社製)の1.3gを、水100gに添加し、超音波分散機(ALEX Corporation社製:Ultrasonic Generator、周波数25kHz、600W)にて30分間の分散処理した分散液を加え、最後に水で1000mlに仕上げて、これを下引塗布液Aとした。
(下引塗布液B)
下記コロイド状酸化錫分散液の37.5g、ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(20/30/25/25%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)の3.7g、ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(40/20/40%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)の14.8gと界面活性剤(UL−1)の0.1gとを混合し、水で1000mlに仕上げ、これを下引塗布液Bとした。
〈コロイド状酸化錫分散液の調製〉
塩化第2錫水和物の65gを、水/エタノール混合溶液の2000mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸溜水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄した蒸溜水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸溜水を添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アンモニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が470mlになるまで濃縮してコロイド状酸化錫分散液を調製した。
Figure 2005201929
《試料A−1〜7の作製》
下記の手順に従って、熱現像感光材料である試料A−1〜7を作製した。
〔バック面側塗布〕
メチルエチルケトンの830gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製:CAB381−20)の84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社製:VitelPE2200B)の4.5gを添加し、溶解した。次に、溶解した液に、0.30gの赤外染料1、弗素系活性剤−1の4.5gと弗素系活性剤(ジェムコ社製:エフトップEF−105)1.5gを添加し、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシリカ粒子(富士シリシア社製:サイリシア450)を75g添加、攪拌してバック面塗布液を調製した。
弗素系活性剤−1:C917O(CH2CH2O)22917
次いで、調製したバック面塗布液を、乾燥膜厚が3.5μmになるように押出しコーターを用いて、上記支持体の下引き層bを塗布した面上に、塗布、乾燥を行った。乾燥温度100℃で、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
Figure 2005201929
〔感光性層面側の塗布〕
(各添加液の調製)
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤−1、0.31gの酢酸カリウムを、メタノール4.97gに溶解して安定剤液を調製した。
〈赤外増感色素液Aの調製〉
19.2mgの赤外増感色素−1、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの安定剤−2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールを、31.3mlのメチルエチルケトンに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製した。
〈添加液aの調製〉
現像剤として1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン(これを還元剤Aと称す)を27.98g、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1を、メチルエチルケトンの110gに溶解し、添加液aとした。
〈添加液bの調製〉
3.56gのカブリ防止剤−2、3.43gのフタラジンを、メチルエチルケトン40.9gに溶解し、添加液bとした。
(塗布液A−1の調製)
不活性気体雰囲気下(窒素97%)で、50gの前記有機銀塩分散液1及び10.11gのメチルエチルケトンを攪拌しながら21℃に保温し、カブリ防止剤−1(10%メタノール溶液)を390μl加え、1時間攪拌した。更に、臭化カルシウム(10%メタノール溶液)を494μl添加して20分攪拌した。続いて、上記安定剤液167μmを添加して10分間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分攪拌した。13℃に保温したまま、バインダー樹脂としてエスレックBL−S(積水化学工業(株)製)を13.31g添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4質量%メチルエチルケトン溶液)1.084gを添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300(モーベイ社製の脂肪族イソシアネート 10%メチルエチルケトン溶液)、4.27gの上記添加液bを順次添加、攪拌した。さらにその液に、下記のハロゲン化銀分散液A−1〜7をそれぞれ添加、攪拌することにより感光性層塗布液A−1〜7を得た。
Figure 2005201929
(ハロゲン化銀分散液A−1〜7の調製)
1.32gの前記赤外増感色素液Aをメチルエチルケトン5gに溶解し、前記感光性ハロゲン化銀粉末1〜7を0.35g添加して1時間攪拌した液をハロゲン化銀分散液A−1〜7とした。
(表面保護層塗布液の調製)
865gのメチルエチルケトンを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(CAB171−15:前出)を96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社製:パラロイドA−21)を4.5g、ベンゾトリアゾールを1.0g、弗素系活性剤(ジェムコ社製:エフトップEF−105)1.0gを添加し溶解した。次に、下記マット剤分散液の30gを添加、攪拌して、表面保護層塗布液を調製した。
〈マット剤分散液の調製〉
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製:CAB171−15)7.5gをMEK(メチルエチルケトン)42.5gに溶解し、その中に、シリカ粒子(富士シリシア社製:サイリシア320)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザにて8000rpmで30分分散し、マット剤分散液を調製した。
(塗布)
上記調製した感光性層塗布液A−1〜7と表面保護層塗布液とを、公知のエクストルージョン型コーターを用いて、同時重層塗布した。塗布は感光性層付き量が塗布銀量1.7g/m2、表面保護層が乾燥膜厚で2.5μmとなるように行った。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて10分間乾燥を行い、試料A−1〜7を作製した。
《熱現像感光材料の評価》
上記作製した試料A−1〜7について、それぞれ下記の方法に従って各種評価を行った。
〔露光及び現像処理〕
上記作製した各試料の感光性層塗設面側から、光学楔を介して高周波重畳にて波長800〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光源とした露光機により、レーザ走査による露光を施した。この際に、試料の露光面と露光レーザ光の角度を75°として画像を形成した。この場合、当該角度を90°とした場合に比べ、ムラが少なく、かつ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。
その後、図2に記載のヒートドラムと冷却ゾーンを有する自動現像機を用いて、試料の保護層とドラム表面が接触するようにして現像を行った。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
〔感度、カブリ濃度及び最高濃度の測定〕
得られたウェッジ階調からなる銀画像の濃度を、濃度計により測定し、縦軸が銀画像濃度(D)、横軸が露光量(E)の対数(LogE)からなる特性曲線を作成した。
この特性曲線において、最小濃度(カブリ濃度)と最高濃度を求めた。なお、最高濃度は、試料A−7の最高濃度を100とした相対値で、表5に示した。
(銀画像色調の評価)
上記熱現像処理済の各試料のそれぞれのウエッジ画像を目視で評価し、5段階で評価した。最も好ましいものを5、好ましくないほど低い点数とした。
以上により得られた各結果を、表5に示す。
Figure 2005201929
表5の結果より明らかなように、本発明の熱現像感光材料は、比較例に比べ、最高濃度がほぼ同等でありながらカブリが低く、形成される銀画像の色調として、好ましい冷調画像を有しており、診断画像として適切な出力画像が得られることが分かる。
本発明に係る熱現像処理装置の一例を示す断面構成図である。
符号の説明
1 ヒートドラム
2 対向ローラ
6 剥離爪
100 熱現像装置
110 給送部
120 露光部
130 現像部
140、144 供給ローラ対
141、142、143 搬送ローラ対
150 冷却部
151 冷却ローラ対
152 冷却ファン
160 集積部
F フィルム

Claims (7)

  1. 少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を、または少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する画像形成層及び少なくとも還元剤を含有する層を隣接層として支持体上に有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層が、更に両親媒性ポリマーを含有し、該両親媒性ポリマーの下記に規定する析出点がpH2〜7であることを特徴とする熱現像感光材料。
    (ここにおいて、析出点とは、25℃においてポリマー1質量%水溶液に、所定の濃度の酸水溶液を滴下していったときに、白濁することが目視で確認できるpH値のことである。)
  2. 前記両親媒性ポリマーの前記析出点がpH4〜6の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
  3. 少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を、または少なくとも非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する画像形成層及び少なくとも還元剤を含有する層を隣接層として支持体上に有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層が、更に両親媒性ポリマーを含有し、該両親媒性ポリマーが、下記に規定する析出点を有し、該析出点が、測定温度を10℃あげる(35℃で測定する)ことにより、pH値で少なくとも0.1以上上昇することを特徴とする熱現像感光材料。
    (ここにおいて、析出点とは、25℃においてポリマー1質量%水溶液に、所定の濃度の酸を滴下していったときに、白濁することが目視で確認できるpHのことである。)
  4. 前記両親媒性ポリマーが水と有機溶剤の両方に溶解する両親媒性を有し、かつ下記一般式であらわされる基を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
    −(EO)l−(PO)m−(TO)n−R
    (ここにおいて、Eはエチレン基を、Pはプロピレン基を表し、Tはブチレン基を表し、Rは置換基を表す。lは1〜300、mは0〜60、nは0〜40の数値をそれぞれ表す。但し、l+m+n≧2である。)
  5. 請求項1〜4に記載の熱現像感光材料の、製造方法であって、前記感光性ハロゲン化銀粒子を、水、または水および有機溶剤の混合液中において、前記両親媒性ポリマーを保護コロイドとして作製する、感光性ハロゲン化銀粒子の作製工程を含むことを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
  6. 前記感光性ハロゲン化銀粒子の作製工程が、銀供給化合物と、ハロゲン供給化合物の、それぞれ水または水および有機溶剤の混合溶液を混合し反応させる反応工程、および脱塩操作によって生成した塩を除去する脱塩工程を含み、かつ前記両親媒性ポリマーが、前記反応工程の前から脱塩工程前までに用いられることを特徴とする請求項5に記載の熱現像感光材料の製造方法。
  7. 前記脱塩工程が、凝集、沈殿による脱塩であることを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料の製造方法。
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