JP2005200645A - アスファルト組成物及びアスファルト混合物体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 骨材と混合し所定に締め固めることで、大きな破壊歪みや応力緩和特性および振動の減衰性を有し、変形追従性や耐ひび割れ性に優れ、振動を良好に吸収すると共に、流動等による塑性変形に対する安定性を有するアスファルト混合物体を構築可能とするアスファルト組成物及びアスファルト混合物体を提供する
【解決手段】 アスファルトと、熱可塑性エラストマーと、プロセスオイルと、延性材料とを含むアスファルト組成物であって、延性材料は、熱可塑性エラストマーの弾性及びプロセスオイルの軟性を低下させることなく、アスファルト組成物の延性及び展性を高める材料であり、熱可塑性エラストマーの含有量は5質量%〜20質量%であり、プロセスオイルの含有量は10質量%〜40質量%であり、延性材料の含有量は1質量%〜5質量%であるアスファルト組成物、及びこれと骨材を混合し所定に締め固めたアスファルト混合物体である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アスファルト組成物及びアスファルト混合物体に関する。
アスファルトバインダとも称されるアスファルト組成物は、弾性、展性に富むだけでなく、雨水にも強いため、道路舗装をはじめに、遮水、防水、免震等を目的として、幅広い分野で使用されている。
このうち、例えば、遮水を目的する具体例としては、ダムの法面に前記アスファルト組成物を用いたアスファルト混合物を敷き均し、水密性の高い遮水壁を構築する技術が知られている(非特許文献1参照)。
アスファルト遮水壁、表面遮水層の舗設、土木工学ハンドブック、1989年、技報堂、p.372
しかしながら、遮水を目的として、ダム等の法面に対して、従来のアスファルト組成物と骨材を混合し、締め固めて、アスファルト遮水壁(アスファルト混合物体)を構築した場合、このアスファルト遮水壁が、例えば大規模地震による急速な変形に対して、好適に追従できず、アスファルト遮水壁にクラック(ひび割れ)が発生してしまい、遮水性能が低下してしまうという問題があった。また、この問題を回避しようとした場合には、変形追従性に富むアスファルトの原産地を指定し、この指定したアスファルト用の専用タンクを設け、必要数量確保するなどの対策が必要であった。さらに、変形追従性を満足するアスファルト組成物を人工的に製造しようとした場合、変形追従性に富むが、逆に高温時の変形に対する安定性を損なうなどの技術的課題があった。
また、道路舗装においては、例えば、表層と基層の間に応力緩和層を設け、車両から受ける応力を緩和させる技術が知られているが、車両の大型化、大型車両の通行規制緩和等によって大きな変形や応力が発生し、その結果として、道路舗装にクラックが生じたり、振動が発生し、沿道環境に悪影響を与えている場合があった。
さらに、アスファルト組成物と骨材を混合してなるアスファルト免震体(アスファルト混合物体)を構造物(例えば、石油タンク)の基礎部分に設け、至近を発生源とする大規模地震に対して、より高い免震性が要求されつつある。
そこで、本発明は、骨材と混合し所定に締め固めることで、大きな破壊歪みや応力緩和特性および振動の減衰性を有し、変形追従性や耐ひび割れ性に優れ、振動を良好に吸収すると共に、流動等による塑性変形に対する安定性を有するアスファルト混合物体を構築可能とするアスファルト組成物及びアスファルト混合物体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、アスファルトと、熱可塑性エラストマーと、プロセスオイルと、延性材料とを含むアスファルト組成物であって、前記延性材料は、前記熱可塑性エラストマーの弾性及び前記プロセスオイルの軟性を低下させることなく、前記アスファルト組成物の延性および展性を高める材料であることを特徴とするアスファルト組成物である。
このようなアスファルト組成物によれば、熱可塑性エラストマーの弾性及びプロセスオイルの軟性を低下させることなく、アスファルト組成物の延性および展性を高めることができる。
すなわち、このようなアスファルト組成物によれば、所定粒度の骨材と混合してアスファルト混合物を製造し、このアスファルト混合物を所定密度に締め固めることで、大きな破壊歪みや、振動の減衰性や、振動吸収性や耐ひび割れ性と共に、これらに相反する性質である塑性変形に対する抵抗性(安定性)を併せ持つアスファルト混合物体を構築することができる。
つまり、延性材料を含有することによって、熱可塑性エラストマーの弾性と、プロセスオイルの軟性とを低下させることなく、アスファルト組成物の延性や展性をさらに高めることができる。したがって、このようなアスファルト組成物を用いて締め固めたアスファルト混合物体は、大きく歪み、振動を吸収するため、アスファルト混合物体が一体化する構造物が大きく変形しても、アスファルト混合物体がその大きな変形に追従することができ、また、大きな変形を伴う振動を受けても、その振動を良好に吸収すると共に、塑性変形に対する抵抗性を備えることができる。
よって、前記アスファルト混合物体が、例えば、遮水を目的とし遮水壁として使用された場合には、大地震等によって大きな変形や振動が発生しても、アスファルト混合物体が変形に追従し、振動を吸収するため、ひび割れは発生せず、遮水性を良好に維持することができる。
また、前記アスファルト混合物体が、例えば、道路舗装における応力緩和層として使用された場合には、車両の走行による振動を良好に吸収するので、沿道環境への悪影響が軽減できる。
さらに、前記アスファルト混合物体が、例えば、免震を目的とし構造物の基礎として使用された場合には、至近で大地震発生しても、その振動を良好に吸収するので、上部の構造物には振動は伝わりにくくなり、構造物の破壊を防止することができる。
請求項2に係る発明は、前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系熱可塑性エラストマーから選択された少なくとも1種であって、当該少なくとも1種の含有量は、前記アスファルトに対して、5質量%〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のアスファルト組成物である。
このようなアスファルト組成物によれば、熱可塑性エラストマーの含有量が、アスファルトの質量に対して、5質量%〜20質量%の範囲内であることによって、アスファルト混合物体の温度に対する塑性変形などの依存性が鈍化し、所定の弾性を保持することができる。
請求項3に係る発明は、前記プロセスオイルの含有量は、前記アスファルトに対して10質量%〜40質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアスファルト組成物である。
このようなアスファルト組成物によれば、プロセスオイルの含有量が、アスファルトの質量に対して10質量%〜40質量%であることによって、アスファルト組成物と骨材とが混合してなるアスファルト混合物の施工性を損なうことなく、アスファルト混合物体が良好な可撓性を有し、歪むことができる。
請求項4に係る発明は、前記延性材料の含有量は、前記アスファルトに対して1質量%〜5質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアスファルト組成物である。
このようなアスファルト組成物によれば、アスファルトの質量に対して、1質量%〜5質量%の延性材料を含有することによって、アスファルト組成物は、熱可塑性エラストマーによる弾性等の特性と、プロセスオイルよる軟性等の特性とが低下することなく、アスファルト組成物の延性および展性を高め、このアスファルト組成物と骨材とを混合・締め固めてなるアスファルト混合物体は、好適な可撓性を有することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアスファルト組成物と、骨材とを混合し、締め固めてなることを特徴とするアスファルト混合物体である。
このようなアスファルト混合物体によれば、破壊歪みが大きく、振動に対する減衰率が大きいことから、このアスファルト混合物体に大きな変形を伴う振動を受けても、変形に追従し、振動を良好に吸収することができる。
請求項6に係る発明は、締め固められて一体化した周囲の構造物の急速変形に対する変形追従性と、高温時における塑性変形に対する安定性と、を有することを特徴とする請求項5に記載のアスファルト混合物体である。
このようなアスファルト混合物体によれば、このアスファルト混合物体が構築されて、アスファルト混合物体と一体化した周囲の構造物(例えばダム)の急速変形に対する変形追従性と、高温時における塑性変形に対する安定性と、を有することができる。
本発明によれば、骨材と混合し所定に締め固めることで、大きな破壊歪みと振動の減衰性を有し、耐ひび割れ性に優れ、振動を良好に吸収するアスファルト混合物体を構築可能とするアスファルト組成物、及びアスファルト混合物体を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<アスファルト組成物の構成>
本実施形態に係るアスファルト組成物は、ベースとなるアスファルトと、熱可塑性エラストマーと、プロセスオイルと、延性材料を含んでいる。
[アスファルト]
本実施形態おいてベースとなるアスファルトは、レーキアスファルト等の天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アスファルト)等の石油アスファルトから適宜選択して使用可能である。また、これらの材料は単独で使用しても、二種以上選択し混合して使用してもよい。
[熱可塑性エラストマー]
本実施形態に使用する熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系熱可塑性エラストマーから選択された少なくとも1種である。ここで、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてはブチル共重合体(ブチルゴム、IIR)、エチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられるが、本発明はこれらに何ら限定されない。
また、熱可塑性エラストマーの含有量は、前記ベースとなるアスファルトの質量に対して、5質量%〜20質量%の範囲内である。5質量%〜20質量%の範囲内としたことによって、アスファルト混合物体の温度に対する塑性変形性などの依存性が鈍化し、所定の弾性を保持することができる。
言い換えると、熱可塑性エラストマーの含有量が、5質量%より低いと、アスファルト組成物の歪み量(延性)が低下し、アスファルト混合物体も歪みにくくなるからである。一方、熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%より高いと、アスファルト組成物の粘性が高くなり作業性が悪くなると共に、アスファルト混合物体が硬くなりすぎてしまい、歪みにくくなるからである。
[プロセスオイル]
プロセスオイルは、石油系配合油とも称されるオイルである。プロセスオイルは、大きく、主成分としてアロマ分(芳香族分)を含み芳香族炭素数が全炭素数の35%以上であるアロマ系のプロセスオイルと、主成分としてナフテン分を含みナフテン環炭素数が全炭素数の30〜45%であるナフテン系のプロセスオイルと、主成分としてパラフィン分を含みパラフィン側鎖炭素数が全炭素数の50%以上であるパラフィン系のプロセスオイルとに分類されるが、本実施形態に係るプロセスオイルとしては、これらから少なくとも1種を適宜選択して使用することができる。したがって、2種以上を選択し混合して使用してもよい。また、プロセスオイルが、アロマ系のプロセスオイルを含むと、アスファルト組成物の伸び、すなわち延性が高くなるので、アロマ系のプロセスオイルを選択し主成分とすることが好ましい。また、プロセスオイルとしては、使用中・施工後などにおける周囲への影響を考慮し、多環系の化合物の含有率が低く、発がん性がないものを選択する。
また、プロセスオイルの含有量は、前記ベースとなるアスファルトの質量に対して、10質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、このような範囲であれば、アスファルト混合物の施工性を損わずに、アスファルト混合物体の良好な可撓性を確保することができる。プロセスオイルの含有量が10質量%より低いと、アスファルト組成物の軟性が低くなって、その歪み量が低くなる傾向にあり、この低くなる傾向と共にアスファルト混合物体も歪みにくくなるからであある。一方、プロセスオイルの含有量が40質量%より高いと、アスファルト組成物の軟性が高くなり、硬度が著しく低下し流動性が増加するため、骨材と混合したときに、アスファルト組成物がダレやすくなってしまい作業性(施工性)が悪化するからである。
[延性材料]
延性材料は、熱可塑性エラストマーの弾性等の特性と、プロセスオイルの軟性等の特性とを低下させずに、アスファルト組成物の延性及び展性を高める材料であり、具体的には、例えば、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等に添加される添加材である。
このような延性材料が含有されることによって、アスファルト組成物は、低温耐寒性、低温柔軟性に優れ、混和性、可塑効果が良好であり、揮発性移行性が少なく、耐熱、感光性や電気絶縁性が高く、滑性があるという特性を有する。
すなわち、アスファルト組成物が、延性材料を含有することによって、熱可塑性エラストマーの弾性等の特性(弾性)と、プロセスオイルの軟性に基づくアスファルト組成物の軟性とを維持しつつ、アスファルト組成物は、延性及び展性をさらに高めることができる。
したがって、このようなアスファルト組成物を用いて締め固めたアスファルト混合物体は、大きく歪むため、アスファルト混合物体に大きな変形を伴う振動を受けても、振動を良好に吸収する、つまりその振動を減衰させることができる。
また、延性材料の含有量は、ベースとなるアスファルトの質量に対して、1質量%〜5質量%の範囲内である。延性材料の含有量が1質量%より低いと、アスファル組成物の延性及び展性が十分に高くならないからである。一方、延性材料の含有量が5質量%より高くなると、アスファルト組成物の延性及び展性が高くなりすぎてしまい、その結果としてアスファルト混合物体の強度が低下するからである。
ここで、本実施形態に係るアスファルト組成物(本発明品)の諸物性値を表1に示す。なお、表1には、一般の改質アスファルトとストレートアスファルトの諸物性値も合わせて示す。また、表1に示す曲げ歪みのデータは、(社)日本道路公団が提案するアスファルトバインダの曲げ試験に準拠して、アスファルト組成物を所定の大きさに成型し、この成型したアスファルト組成物自体について、−20℃にて曲げ試験を行った結果である。さらに、表1に示すストレートアスファルトの諸物性値は、40/60、60/80、80/100、100/120等の針入度が異なるストレートアスファルトの諸物性値を包括的に示したものである。
Figure 2005200645
表1によれば、本実施形態に係るアスファルト組成物は、一般の改質アスファルト及びストレートアスファルトと比較して、60℃粘度の範囲が高いにも関わらず、伸度(4℃)及び曲げ歪み(−20℃)が高いことが分かる。したがって、本実施形態に係るアスファルト組成物を使用したアスファルト混合物体は、大きな破壊歪みを有し、振動を好適に吸収することができる。
また、本実施形態に係るアスファルト組成物は、ベースとなるアスファルトを所定温度(例えば150℃〜200℃)に加熱し、これに熱可塑性エラストマー、プロセスオイル、延性材料を投入し、ミキサ等の撹拌手段を使用して、所定時間にて混合することにより製造することができる。
<アスファルト混合物体>
続いて、本実施形態に係るアスファルト組成物を使用したアスファルト混合物体について説明する。
本実施形態に係るアスファルト混合物体は、アスファルトミキサ等の混合手段を用い、所定配合の骨材と、所定量の前記アスファルト組成物とを撹拌・混合し、アスファルト混合物を製造した後、このアスファルト混合物をアスファルトフィニッシャ等の敷き均し機械で敷き均し、マカダムローラ、タンデムローラ、タイヤローラ、ランマ等の締め固め機械により所定の締め固め密度とすることによって、製造(施工、構築)される。
また、アスファルト混合物体には、アスファルト組成物のダレ防止等を考慮し、必要に応じて植物繊維等の繊維材料を添加してもよい。
このようにアスファルト混合物体は、前記したアスファルト組成物を使用して製造されたものであるため、後記する実施例に示すように、振動(応力)に対する高い減衰率、小さなスティフネス、大きな破壊歪み有するため、耐ひび割れ性に優れ、振動を良好に吸収することができる。
具体的には例えば、アスファルト混合物体は、−15℃から5℃の低温領域において、米国のSHRP規格に基く間接引張試験による破壊歪みが大きく、4×10-3(mm/mm)以上の破壊歪みを有する(後記する実施例参照)。
さらに具体的には、本実施形態に係るアスファルト混合物体は、従前のアスファルト混合物体に対し、約2〜10倍の破壊歪みと、振動に対して約2〜5倍の減衰率を有している。
このように本実施形態に係るアスファルト混合物体は、大きな破壊歪み及び振動の減衰性を有し、耐ひび割れ性に優れ、振動を良好に吸収すると共に、アスファルト混合物体において相反する性質である、流動性等による塑性変形に対する安定性(抵抗性)の両者を併せ持つ。
すなわち、本実施形態に係るアスファルト混合物体は、このアスファルト混合物体が構築されて、アスファルト混合物体と一体化した周囲の構造物の急速変形に対する変形追従性と、高温時における塑性変形に対する安定性と、を有する。
したがって、本実施形態に係るアスファルト混合物体が、例えば、ダム等において遮水壁として使用された場合には、アスファルト混合物体が大きな振動を吸収するため、ひび割れを防止すると共に、遮水性を維持することができる。
また、例えば、アスファルト混合物体が、道路舗装の応力緩和層として使用された場合には、車両の走行による振動を良好に吸収するので、沿道環境に振動、騒音などの悪影響を防止することができる。
さらに、例えば、アスファルト混合物体が、免震を目的とし構造物の基礎として使用された場合には、至近で大地震発生しても、その振動を良好に吸収するので、上部の構造物には振動は伝わりにくくなり、構造物の破壊を防止できる。
以上、本発明の好適な実施形態について一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。例えば、アスファルト混合物体の適用範囲は、遮水壁、道路舗装、免震材料に限定されず、これら以外であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
(1)アスファルト組成物及びアスファルト混合物体
[実施例1]
表2に示す物性値を有するアスファルト組成物(振動吸収型アスファルト)を実施例1とした。さらに、実施例1と骨材とを混合しアスファルト混合物を調製した後、これを締め固めて、実施例1に係るアスファルト供試体(アスファルト混合物体)を作製し、各種試験を行った。試験結果を図1から図5に示す。
ここで、実施例1に係るアスファルト供試体の作製において、アスファルト組成物の量(アスファルト量)は、8.0%とした。また、使用した骨材の配合は、表3に示す通りであり、その骨材粒度範囲は表4に示す通りである。さらに、アスファルト供試体は、植物繊維を添加して作製した(表3参照)。
[比較例1]
比較例1に係るアスファルト組成物としては、表2に示す諸物性値を有する改質アスファルトを使用した。そして、実施例1と同様に、アスファルト供試体を作製し、各種試験を行った。試験結果を図1及び図2に示す。
[比較例2]
比較例2に係るアスファルト組成物としては、表2に示す諸物性値を有するストレートアスファルト60/80(「ストアス60/80」と適宜略する)を使用した。そして、実施例1と同様にアスファルト供試体を作製し、各種試験を行った。試験結果を図1から図5に示す。
Figure 2005200645
Figure 2005200645
Figure 2005200645
(2)評価試験
(2−1)アスファルト組成物自体の曲げ試験
実施例1について、(社)日本道路公団が提案するアスファルトバインダの曲げ試験に準拠し、各種温度にて曲げ試験行い、破断時における曲げ歪み(破断歪み)を求めた。その代表値として、−20℃における破断歪みを表2に示す。比較例1及び比較例2についても同様に試験を行った。
(2−2)間接引張試験A
次に、実施例1に係るアスファルト供試体について、米国のSHRP規格に基づいて、間接引張試験を行った。試験温度は−15℃から5℃の低温領域とした。歪み速度は5×10-3(1/秒)とした。試験結果を図1に示す。また、比較例1及び比較例2に係るアスファルト供試体についても同様に試験した。
なお、この間接引張試験Aでは、堤高22.0m、法面勾配1:2.5〜1:3.0の内面均一型(池型)のアスファルト表面遮水ダム(これを「ダムX」とする)について、耐震を考慮した耐震構造の解析を、EL−Centro地震波を用いて行った。この解析結果により、堤体に生じる最大歪み(安全率を含む)が4×10-3(mm/mm)であることが分かった。したがって、間接引張試験Aにおいては、試験体(アスファルト混合物体)が4×10-3(mm/mm)以上の歪みを有すると、ダムXに好適に使用可能であるとした。
(2−2)間接引張試験B
次いで、実施例1に係るアスファルト供試体について、より速い振動を受けた場合を想定し、間接引張試験Aにおける歪み速度を1×10-2(1/秒)に変更して、間接引張試験Bを行った。試験結果を図2に示す。また、比較例1及び比較例2に係るアスファルト供試体についても同様に試験した。
なお、この間接引張試験Bでは、堤高100m級、法面勾配1:2のアスファルト表面遮水ダム(これを「ダムY」とする)を想定し、モデル化することによって、地震発生時に堤体に発生する最大歪みを動的解析によって算出した。ここで、動的解析における地震波形は、国内最大規模の内陸型地震の測定波形に基づいて選定すると共に、地震の規模はマグニチュード8.0に設定した。また、震央距離は、これまでにダム建設地点の至近にて発生した地震の震央距離に基づいて設定した。この解析結果、堤体に生じる最大歪み速度が7×10-3(1/秒)であり、最大歪み(安全率を含む)が2×10-3(mm/mm)であることが分かった。したがって、間接引張試験Bにおいては、歪み速度を1×10-2(1/秒)で、試験体(アスファルト混合物体)が2×10-3(mm/mm)以上の歪みを有すると、ダムYに好適に使用可能であるとした。
(2−3)繰り返し圧縮引張試験
さらに、実施例1に係るアスファルト供試体について、圧縮・引張を繰り返して行う、繰り返し圧縮引張試験を行い、せん断歪みに対して、剛性率及び減衰率の変化を測定した。また、繰り返す周期は、1Hz、2Hz、4Hzの3種類とした。試験結果のうち、4℃における試験結果を、図3(a)に示す。なお、図3(a)においては、減衰率が高い程、振動吸収率が高いことを示す。
また、これに並行して、せん断応力の測定も行った。せん断歪みに対するせん断応力の変化を図4(a)、図5(a)に示す。
なお、比較例1及び比較例2に係るアスファルト供試体についても同様に試験した。
(3)評価
(3−1)曲げ試験に基づく評価
表2より明らかなように、実施例1によれば、曲げ歪みが比較例2に対して、著しく高くなっており、大きな歪みを有し、耐ひび割れ性に優れていることが分かった。
(3−2)間接引張試験Aに基づく評価
図1より明らかなように、実施例1に係るアスファルト供試体は、−15℃から5℃の低温領域の全域に亘って、比較例1及び比較例2に係るアスファルト供試体に対して、破壊に至った時点での破壊歪みが高いことが分かった。また、実施例1に係るアスファルト供試体は、低温領域の全域に亘って、破壊歪みが4×10-3(mm/mm)以上であり、ダムXの遮水壁として好適に使用可能であることが分かった。
(3−3)間接引張試験Bに基づく評価
図2より明らかなように、実施例1に係るアスファルト供試体は、低温領域の全域に亘って、比較例1及び比較例2に係るアスファルト供試体に対して、破壊歪みが高いことが分かった。また、実施例1に係るアスファルト供試体は、低温領域の全域に亘って、破壊歪みが2×10-3(mm/mm)以上であり、ダムYの遮水壁として好適に使用可能であることが分かった。
(3−4)繰り返し圧縮引張試験に基づく評価
図3(a)、図3(b)より明らかなように、実施例1に係るアスファルト供試体は、比較例2に係るアスファルト供試体に対して、全ての振動数において、小さな剛性率、及び大きな減衰率を有することがわかった。すなわち、実施例1に係るアスファルト供試体によれば、振動を良好に吸収可能であることが分かった。
また、図4(a)、図4(b)から明らかなように、実施例1に係るアスファルト供試体は、比較例2に係るアスファルト供試体に対して、引張圧縮の繰り返しにより発生するせん断応力の変化の幅(Y軸方向における変化幅)が小さいことが分かった。これにより、実施例1に係るアスファルト供試体は、比較例2に係るアスファルト供試体に対して振動を吸収し、応力を伝達しにくいことが分かり、免震材料として構造物の基礎等に好適に使用可能であることが分かった。
さらに、図5(a)、図5(b)から明らかなように、実施例1に係るアスファルト供試体は、比較例2に係るアスファルト供試体に対して、せん断歪みの変化の幅(X軸方向における幅)が大きいことが分かった。これにより、実施例1に係るアスファルト供試体は外部から振動を受けても、それ自体が伸長または縮退することによって、その振動を吸収可能であることが分かった。
実施例1、比較例1及び比較例2について、歪み速度5×10-3(1/秒)における間接引張試験結果を示すグラフである。 実施例1、比較例1及び比較例2について、歪み速度1×10-2(1/秒)における間接引張試験結果を示すグラフである。 (a)は、実施例1について、せん断歪みと、剛性率及び減衰率との関係を示すグラフであり、(b)は、比較例2について、せん断歪みと、剛性率及び減衰率との関係を示すグラフである。 (a)は、実施例1について、圧縮引張の繰り返しによるせん断歪みとせん断応力の変化を示すグラフであり、(b)は、比較例2について、圧縮引張の繰り返しによるせん断歪みとせん断応力の変化を示すグラフである。 (a)は、実施例1について、せん断歪みに対するせん断応力の変化を示すグラフであり、(b)は、比較例2について、せん断歪みに対するせん断応力の変化を示すグラフである。

Claims (6)

  1. アスファルトと、熱可塑性エラストマーと、プロセスオイルと、延性材料とを含むアスファルト組成物であって、
    前記延性材料は、
    前記熱可塑性エラストマーの弾性及び前記プロセスオイルの軟性を低下させることなく、前記アスファルト組成物の延性および展性を高める材料であることを特徴とするアスファルト組成物。
  2. 前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びエチレン系熱可塑性エラストマーから選択された少なくとも1種であって、
    当該少なくとも1種の含有量は、前記アスファルトに対して、5質量%〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のアスファルト組成物。
  3. 前記プロセスオイルの含有量は、前記アスファルトに対して10質量%〜40質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアスファルト組成物。
  4. 前記延性材料の含有量は、前記アスファルトに対して1質量%〜5質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアスファルト組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアスファルト組成物と、骨材とを混合し、締め固めてなることを特徴とするアスファルト混合物体。
  6. 締め固められて一体化した周囲の構造物の急速変形に対する変形追従性と、高温時における塑性変形に対する安定性と、を有することを特徴とする請求項5に記載のアスファルト混合物体。
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