JP2005199154A - 廃棄物処分場の管理・監視方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 処分場内の状況を広域的(面的)に瞬時にかつ周期的に監視でき、処分場が閉鎖可能か否かを適切に且つ安全に判断しできるようにする。
【解決手段】 地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波を、廃棄物処分場を対象に上空から観測し、
(a)近赤外域及び可視光のデータから植生状況を把握し、
(b)短波長赤外域のデータから覆土土壌、水域及び湿潤な廃棄物の箇所を把握し、
(c)熱赤外域のデータから発熱性・保温性廃棄物の埋立区域を把握し、
それによって植生部、埋立部、水域、準水域(湿潤な廃棄物埋設部)、高温埋立部を抽出して判断マップを作成し、稼働中の廃棄物処分場の埋立状況の監視を行うと共に、覆土後の廃棄物処分場の閉鎖決定を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波を、上空から面的にリモートセンシングすることにより、廃棄物の埋立状況を監視すると共に、処分場閉鎖の可否を判定する廃棄物処分場の管理・監視方法に関するものである。
我が国の産業廃棄物処分場における表面温度観測、発生ガスの検出等は、処分場内の限られた地点においてのみ実施されているのが現状である。つまり、調査で得られるデータの多くは、「点」的データや「線」的データだけであった。しかし、処分場内において、廃棄物は均一な性状を示していない場合が多い。そのため、調査地点によるばらつきが大きくなりすぎることがあり、処分場全体を把握するまでには至っていない。
この問題を解決するためには、処分場内の状況を広域的(面的)に瞬時にかつ周期的に監視し、各種のデータを得ることが重要となる。そのための手法として、リモートセンシング技術の採用が試みられている。典型的な意味での「リモートセンシング」は、人工衛星や航空機などに搭載した各種のセンサを用いて、地表面の状況や地下の状況を把握する技術である。
例えば非特許文献1には、熱赤外波長域のリモートセンシングによる廃棄物処分場の管理手法が開示されている。ここでは、熱赤外センサを用いて温度分布を観測することにより、廃棄物の発熱源の位置を特定できる可能性が示唆されている。この技術を利用することで、廃棄物不適正処分現場の検出が期待される。また特許文献1には、地表面から放射される熱赤外線を、調査対象区域のほぼ全体にわたって上空から異なる時間帯に観測して異なる時間帯での地表面の温度分布を求め、それら地表面温度差の大小の分布から発熱性・保温性廃棄物の埋没範囲を面的に抽出する廃棄物種別分布の遠隔調査方法が開示されている。
ところで廃棄物の埋立が終了し覆土した処分場を閉鎖するためには、処分場の閉鎖基準に従った判定が必要となる。現状では、最終処分場の周縁の2箇所以上の場所から採取した地下水、または地下水排水設備から採取した水について、各種の水質検査を行うことにより判定する方法が採られている。ところが、これらは現地の「点」的データであり、箇所の選定が不適切だと判断を誤る可能性がある。
他方、植生を指標生物として、処分場からのガスの発生の有無を判断する方法もある。これは、廃棄物処分場安定化マニュアル(平成元年11月:環境庁水質保全局企画課海洋汚染・廃棄物対策室)による「指標植物」であり、第6.5節植生の調査に「地表面にどのような植物が生えてきたかを調べるのが望ましい」とある。これによれば、現地調査により、メタンガスに耐性のない植物(例えばセイタカアワダチソウ)が繁茂している場合には安定化に向かっていることを判断材料とできることが示されている。しかし、ガスが発生している箇所に現地立ち入り調査を行わなければならず、人命にかかわる問題が生じる。
「廃棄物処分場管理のためのリモートセンシング技術の適用に関する検討」中山他、第13回廃棄物学会研究発表会講演論文集II、D5−2、2002年11月 特開2003−279415号公報
本発明が解決しようとする課題は、処分場内の状況を広域的(面的)に瞬時にかつ周期的に監視できない点、処分場が閉鎖可能か否かを適切に且つ安全に判断し難い点、などである。
本発明は、地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域の電磁波を、廃棄物処分場を対象に上空から観測し、
(a)可視光及び近赤外域のデータから植生状況を把握し、
(b)短波長赤外域のデータから覆土土壌、水域及び湿潤な廃棄物の箇所を把握し、
それによって埋立部、水域、準水域(湿潤な廃棄物埋設部)、植生部を抽出して判断マップを作成し、稼働中の廃棄物処分場の埋立状況の監視を行うと共に、覆土後の廃棄物処分場の閉鎖決定を行う廃棄物処分場の管理・監視方法である。
また本発明は、地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波を、廃棄物処分場を対象に上空から観測し、
(a)可視光及び近赤外域のデータから植生状況を把握し、
(b)短波長赤外域のデータから覆土土壌、水域及び湿潤な廃棄物の箇所を把握し、
(c)熱赤外域のデータから発熱性・保温性廃棄物の埋立区域を把握し、
それによって植生部、埋立部、水域、準水域(湿潤な廃棄物埋設部)、高温埋立部を抽出して判断マップを作成し、稼働中の廃棄物処分場の埋立状況の監視を行うと共に、覆土後の廃棄物処分場の閉鎖決定を行う廃棄物処分場の管理・監視方法である。
ここで、植生部は閉鎖が可能な部分である。準水域の部分は、今後も監視が必要な場所である。また高温の部分は地中の廃棄物により熱せられている場所である。上記のデータを時期を違えて捉えることで、各箇所の処分の推移を把握でき、処分場の状況を総合的に且つ平面的に捉えることができる。
これらにおいて、より具体的には、短波長赤外域の異なる2つのバンドについての正規化差分型指標を算出し、その正規化差分型指標の大小から、廃棄物、覆土、植生という地表面の被覆状況を分類すると共に、廃棄物の湿潤状態を判別する。地表面から放射される電磁波の観測を異なる時期に周期的に行うと、それによって廃棄物処分場の埋立状況並びに覆土状況の推移を監視することができる。
また、秋期の昼間に、上空から廃棄物処分場を近赤外光カラー画像を撮影して植生指標の分布を求め、その植生指標の大小から指標植物の被度を把握し、その指標植物の被度のデータを加味して閉鎖基準を満たしているか否かを判定する。
地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波の観測は、人工衛星に搭載したセンサ装置を用いてリモートセンシングにより行う。航空機またはヘリコプタに搭載したスペクトルセンサ装置を用いてリモートセンシングにより行ってもよい。
本発明は、地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波を上空から観測する方法であるので、廃棄物処分場内の状況を広域的(面的)に瞬時に且つ周期的に監視でき、そのため容易に且つ安価に管理が行える。また、処分場が閉鎖可能か否かについても、適切に且つ安全に判断することができる。
本発明によれば、
(1)平面的に処分場の状態を地表面より把握するので、「点」的データによるデータの偏りが防げ、より適切に処分場の状態を判断できる。
(2)同時期に広範囲のデータを取得することができるので、「点」的データでは同時期にデータを得ることが困難であったために、データの解釈が難しい場合があったが、その点を改善することができる。
(3)遠隔から状況を把握するので、人命の安全を図ることができる。
地球表面では、太陽からの放射による各種の電磁波が多数反射しているが、リモートセンシングデータは、こうした電磁波の反射の強弱を面的に捉えるものである。地球表面で反射している電磁波には、波長の短いγ線から波長の長いマイクロ波など各種の波長帯域のものがあるが、本発明で取り扱う電磁波は、可視光(波長400〜700nm)、近赤外(波長700〜1300nm)、短波長赤外(波長1300〜3000nm:「中間赤外」とも呼ばれる)、熱赤外の一部(波長7000〜15000nm)である。
フィールドスペックと呼ばれる分光反射計を用いて実際の廃棄物処分場内の反射特性を計測すると、廃棄物や覆土、植物などには、図1に示すような分光反射特性が見られる。なお、図1中において、1400nm、1900nm、2400nm付近では反射率が乱れているが、これは大気による吸収などの影響によるものであり、本分光反射計が吸収帯の反射率を求められないために生じている。
植物は、波長700nm〜1300nmの近赤外域で大きな反射率を示し、それよりも波長の短い可視域や短波長赤外域で反射率は大きく低下する。これに対して、処分場の覆土は、波長350nmから700nmに向かって急激に反射率が上昇し、その後は1800nm〜2100nm付近をピークとして緩やかな弧を描く比較的大きな反射率を示す。これは比較的乾いた土壌の分光反射特性と同様である。処分場内の廃棄物そのものは、その廃棄物の種類により異なる反射特性を示す。ここで、廃棄物1は厨芥などの可燃物が乾燥した状態のもの、廃棄物3は可燃物が水に漬かった状態のもの、廃棄物2はこれら廃棄物1と3の中間的な湿潤状態のものである。水をより多く含む廃棄物ほど350nm〜2500nmの全波長域において反射率が低くなっている。
廃棄物処分場内では、現在も稼動して埋立が行われている区画から埋立完了・覆土後数年経過した区画までさまざまな状態の区画が存在する。それらの処分場内の状態の違いと表面温度の関連性は、埋立中が最も高く、埋立完了直後、覆土処理直後、覆土処理後数年経過と時間が経つに従って表面温度は平均的に低下する。測定結果の一例を図2に示す。従って、地表面の平均的な温度を観測することで埋立状態及びその経時的変化を把握することができる。
ところで、廃棄物処分場の閉鎖を考える場合に指標植物といわれるものが存在することが知られており、地表面の植生を観察することにより、埋立跡地の状況をある程度は推察することができると言われている。その指標植物としてはセイタカアワダチソウやクズなどが挙げられており、例えばセイタカアワダチソウなどの指標植物が繁茂している場合にはメタンガスなどの発生がないことが知られている。植生の分光反射特性は図1で示したようなものが一般的であるが、対象とする植物の時期的な変化にも影響されて分光反射特性が変化する。そこで、セイタカアワダチソウについて、その特性を検討した。
植生の繁茂した場所において、超低空型プラットフォームにより近赤外カラー画像を撮影して植生指標NDVIを求め、それと同時に植生毎の被度を調査した。調査時期は、6月(初夏)・7月(真夏)・9月(初秋)・11月(晩秋)であり、セイタカアワダチソウやオギなどが繁茂している。セイタカアワダチソウが繁茂し被度が高くなると、図3に示されるようにNDVIと被度との相関はきわめて高くなる。これは、9月の調査時のものであり、それ以外の6、7、11月の調査では相関性が極めて悪い(図4参照)。従って、セイタカアワダチソウでは秋のNDVI値が生育に良く対応していることがわかる。このことは、閉鎖基準の指標植物であるセイタカアワダチソウの分布状況を捉えるためには、秋期のデータを中心に考察する必要があることを示している。
廃棄物埋立地は、一般に、(1)埋立中の区画(廃棄物が露出)、(2)埋立が完了して覆土されたばかりの区画(植生のない裸地)、(3)覆土されて一定期間が経過した区画(植生あり)、(4)未埋立区画(裸地あるいは植生)、(5)貯水池・水処理施設(水域)などに区分できる。これらの区画の地表面被覆状態の違いは電磁波の分光反射特性に反映され、人工衛星や航空機からの画像を用いることで廃棄物処分場内の被覆状態を分類できる。即日覆土される廃棄物処分場では上記(1)と(2)を区別することは難しいが、ある一定の埋立高になるまで覆土をしない廃棄物処分場では埋立中の区画では廃棄物が露出しているため区別することが可能である。水域と植生がある区画については、分光反射特性を用いて区別することは容易である。
ここで課題となるのは、廃棄物が露出している(1)の区画と、覆土されている(2)の区画の分光反射特性との際の有無である。そこで、実際にフィールドスペックで計測した覆土や廃棄物の分光反射データ(図1のデータ)から、ASTERセンサの人工衛星画像が有する観測波長域に該当するデータを抽出し、波長域毎に正規化差分型指標(NDTI)を算出した。ASTERセンサは350nm〜2500nmの波長域で9つのバンドを持っているので、これら9つのバンドから2つのバンドを選定し、それぞれの組み合わせにおける分光反射特性の違いを検討した。なお、NDTIは次式によって表される。
NDTI=(Bandi −Bandj )/(Bandi +Bandj
ここで、Bandi :iバンドのセンサの反射率、Bandj :jバンドのセンサの反射率である。
図5に、これらの組み合わせのうち、特徴的な傾向を示す9種類の組み合わせによるNDTIを示した。ここで、Gは緑色波長域(520nm〜600nm)、Rは赤色波長域(630nm〜690nm)、NIRは近赤外波長域(760nm〜860nm)、SWIR1は短波長赤外波長域(1600nm〜1700nm)、SWIR2は短波長赤外波長域(2145nm〜2185nm)、SWIR3は短波長赤外波長域(2185nm〜2225nm)、SWIR4は短波長赤外波長域(2235nm〜2285nm)、SWIR5は短波長赤外波長域(2295nm〜2365nm)、SWIR6は短波長赤外波長域(2360nm〜2430nm)である。これらの波長域は、それぞれASTERセンサに対応したものである。
図5において、NIR−Rはいわゆる植物指標に該当する。これは当然のことながら、植生だけが大きな値を示すのに対してそれ以外は0.1前後のほぼ一定の値を示すので、覆土と廃棄物と区別するには不適切な指標である。同様にR−GやSWIR1−NIRにも覆土と廃棄物の間に大きな違いはない。これに対してSWIR3−SWIRl、SWIR4−SWRl、SWIR5−SWIRl、SWIR6−SWR1のように、SWIR1を主にした短波長赤外域の組み合わせでは、覆土と廃棄物のNDTIに違いが見られる。このうちSWIR5−SWIR1の波長域を用いたNDTIが廃棄物と覆土の間では最も大きな差異を示す。従って、覆土と廃棄物を区別する場合、このバンドの組み合わせが有効であると考えられる。このような分光反射特性の差が生じる原因の一つとして、廃棄物埋立中区画は含水率が高くなることが多い(厨芥のような廃棄物は含水率が高く、覆土と比べて表面の水はけも悪い)ため反射率が小さくなることがあげられる。廃棄物は、水が作用すると廃棄物中の微生物の活動が活発になり、メタンガスなどが発生しやすくなる。従って、この指標は埋立区画の湿潤状態(保湿性)を判断する場合にも重要な指標になると考えられる。
これらの結果から、地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波を、廃棄物処分場を対象に上空から観測し、
(a)近赤外域及び可視光のデータから植生状況を把握し、
(b)短波長赤外域のデータから覆土土壌、水域及び湿潤な廃棄物の箇所を把握し、
(c)熱赤外域のデータから発熱性・保温性廃棄物の埋立区域を把握し、
それによって植生部、埋立部、水域、準水域(湿潤な廃棄物埋設部)、高温埋立部を抽出して判断マップを作成し、稼働中の廃棄物処分場の埋立状況の監視を行うと共に、覆土後の廃棄物処分場の閉鎖決定を行うことができ廃棄物処分場を管理・監視できる。
具体的には、短波長赤外域の放射を面的にリモートセンシングし、異なる2つのバンドについてのNDTIを算出し、そのNDTIの大小から、廃棄物、覆土、植生という地表面の被覆状況を分類すると共に、廃棄物の湿潤状態を判別する。また処分場の閉鎖については、秋期の昼間に、上空から廃棄物処分場を近赤外光カラー画像を撮影して植生指標の分布を求め、その植生指標の大小から指標植物の被度を把握し、閉鎖基準を満たしているか否かを判定する。
以上を基礎資料として、実際の人工衛星画像を用いた廃棄物処分場の状態の検討を試みた。ここでの検討対象は、実際に分光反射データを計測した中国上海市の老港廃棄物処分場である。なお、この処分場では、区画全体の埋立高が4mになるまで覆土をしないため、人工衛星から処分場の状況を判断しようとする今回の検討内容に適している。上海市老港廃棄物処分場は幅800m、長さ4kmと広大な面積を有しており、地上において処分場全体を管理するには多大なコストを労力が必要になると考えられる。人工衛星画像から処分場にとって役立っ情報を抽出できれば、リモートセンシングは処分場管理の一助となると考えられる。
今回用いたASTER画像は、表面温度を捉えるための熱赤外センサ、植生を捉えることのできる近赤外センサと可視の赤色センサ、短波長赤外域の1650nmと2330nmの付近を捉えるセンサを搭載している。上海市老港廃棄物処分場の状況を人工衛星画像から判断するにあたり、まず、NDVIを用いて植生がある区画を抽出した。この区画は、埋立完了後一定期間経過した区画、あるいは未埋立区画であると考えられる。ただし、観測データは4月のものであることから、指標植物のセイタカアワダチソウを捉えているとは考えにくく、その場に何らかの植生があるということだけを捉えたに過ぎない。次に、植生のない区画に対して、短波長赤外域のNDTIにより覆土された区画と埋立中区画を区別した。最後に、熱赤外センサ画像を用いて高温部を抽出した。
短波長赤外域のNDTI画像と、温度分布を示す熱赤外画像を並べて見ると、高温であって且つ分光反射特性が廃棄物と類似している場所がある。この区画では廃棄物が露出しており、さらに厨芥のような有機性廃棄物が微生物分解を受けて発熱していると考えられる。あるいは、露出している比熱の小さい廃棄物が日射により高温になっていることが考えられる。他方、高温であっても分光反射特性が廃棄物と類似していない場所もある。この区画は覆土されているが、覆土厚が薄いために地中で発熱している廃棄物の熱が地表面まで達していると考えることができる。実際、この処分場の覆土厚は50cm程度の薄いものであった。
人工衛星画像解析の整合性を検討するため、現地確認を行った。分光反射特性を用いたNDTIにより埋立中と判断された場所の一部は、画像が撮影された当時も埋立中であったことが現地の管理者から確認できた。埋立中区画が実際に高温であること、NDTIによる解析結果が一致していたこと等から、本発明方法による人工衛星画像解析結果は一定の整合性を確保できているものと考える。
熱赤外は、廃棄物処分場の発熱状況を捉える。短波長赤外は廃棄物と覆土の違いを捉えることができ、近赤外は指標植物の状況を捉えることができる。また、指標植物であるセイタカアワダチソウの分光特性、特に近赤外と赤色による植生指標NDVIとセイタカアワダチソウの生育状況とには時期的な違いが生じる。こうしたことは、1年の変化について人工衛星データを用いて捉え、植生や発熱状態の経時的な変化を考慮に入れて処分場を評価することが必要である。
一方、廃棄物処分場の中には、発熱性・保湿性の廃棄物や指標植物などの植生の他に、廃プラスチック類、建設廃材など、ここでは検討できなかった様々な廃棄物が存在する。また、覆土による土壌、防水シートなどの遮水構造物も存在しており、土壌や遮水構造物についての詳細な分光反射特性が把握されているとはいえない。こうした点の分光反射特性を捉えることで、より詳細な処分場の状況を把握することができる。
大規模な廃棄物処分場は海外には多く見られるが、国土面積の狭い日本においては、規模の小さい処分場のほうが多い。処分場跡地といっても場合によっては数百m四方程度のものもある。現在実用可能な人工衛星データの分解能は数十mであり、処分場内を面的に詳細に捉えることは困難である。小規模の処分場を対象とする場合に分解能の点で有効になるのが航空機にセンサを搭載する手法である。航空機の場合には、熱赤外まで計測できる40チャンネル型のマルチスペクトルセンサ(MSS)やハイパースペクトルセンサなどがあり、有効な手段になる。これによって、処分場跡地の数mオーダの詳細なデータを取得することができる。跡地部分でも熱を帯びているところは一部であるが、現状の人工衛星データではこれがほぽ1ピクセル程度になり温度は平均化された値となってしまう。つまり、小規模な処分場では、人工衛星データによる判断の誤りが起き易く、従って、航空機MSSなどによる調査が望ましい。このように、本発明方法によれば、リモートセンシングデータをもとに、廃棄物処分場の環境地盤工学的状況を概観することができる。
廃棄物処分場の分光反射特性の一例を示すグラフ。 廃棄物処分場内の状態の違いによる表面温度の変化を示すグラフ。 廃棄物処分場閉鎖基準の指標植物の被度とNDVIの関係を示すグラフ。 セイタカアワダチソウの被度とNDVIの関係についての寄与率の時期的変化を示すグラフ。 廃棄物処分場内の材料とNDTIの関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域の電磁波を、廃棄物処分場を対象に上空から観測し、
    (a)可視光及び近赤外域のデータから植生状況を把握し、
    (b)短波長赤外域のデータから覆土土壌、水域及び湿潤な廃棄物の箇所を把握し、
    それによって植生部、埋立部、水域、準水域(湿潤な廃棄物埋設部)を抽出して判断マップを作成し、稼働中の廃棄物処分場の埋立状況の監視を行うと共に、覆土後の廃棄物処分場の閉鎖決定を行うことを特徴とする廃棄物処分場の管理・監視方法。
  2. 地表面から放射される可視光、近赤外域、短波長赤外域、熱赤外域の電磁波を、廃棄物処分場を対象に上空から観測し、
    (a)可視光及び近赤外域のデータから植生状況を把握し、
    (b)短波長赤外域のデータから覆土土壌、水域及び湿潤な廃棄物の箇所を把握し、
    (c)熱赤外域のデータから発熱性・保温性廃棄物の埋立区域を把握し、
    それによって植生部、埋立部、水域、準水域(湿潤な廃棄物埋設部)、高温埋立部を抽出して判断マップを作成し、稼働中の廃棄物処分場の埋立状況の監視を行うと共に、覆土後の廃棄物処分場の閉鎖決定を行うことを特徴とする廃棄物処分場の管理・監視方法。
  3. 短波長赤外域の異なる2つのバンドについての正規化差分型指標を算出し、その正規化差分型指標の大小から、廃棄物、覆土、植生という地表面の被覆状況を分類すると共に、廃棄物の湿潤状態を判別する請求項1又は2記載の廃棄物処分場の管理・監視方法。
  4. 地表面から放射される電磁波の観測を異なる時期に周期的に行い、それによって廃棄物処分場の埋立状況並びに覆土状況の推移を監視する請求項1乃至3のいずれかに記載の廃棄物処分場の管理・監視方法。
  5. 秋期の昼間に、上空から廃棄物処分場を近赤外光カラー画像を撮影して植生指標の分布を求め、その植生指標の大小から指標植物の被度を把握し、その指標植物の被度のデータを加味して閉鎖基準を満たしているか否かを判定する請求項1乃至4のいずれかに記載の廃棄物処分場の管理・監視方法。
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