JP2005191739A - 拡散通信妨害方法およびこの方法を用いた拡散通信妨害装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 拡散通信に対して、従来の妨害装置では妨害するためには多大の電力を必要とするため、事実上妨害が困難であった。少ない送信電力で拡散通信に対して通信妨害を可能とする。
【解決手段】 拡散通信妨害装置300は、基地局100からの拡散通信波101を受信し、同期信号相関検出部3で同期信号との相関ピークを検出し、送信電力測定部4で拡散データ内の同期信号だけの電力を算出し、送信位相調整部5で同期信号相関検出部3からの同期信号先頭情報に任意の遅延時間を付加し、擬似同期信号生成部5で受信した同期信号を打ち消す信号「擬似同期信号」を生成して送信することにより、移動局200が基地局100との同期を取ることを妨害する。同期信号だけを妨害するのでより少ない電力で妨害することが可能となる。
【選択図】図2

Description

この発明は、拡散通信波を送信する送信機と、この拡散通信電波を受信する受信機との間の通信を妨害する拡散通信妨害方法および、この方法を用いた拡散通信妨害装置に関するものであり、携帯電話などの拡散通信を用いた移動局と基地局との通信にも適応される。
電波で通信する送信機と受信機との間の通信を妨害することは、ある条件の元で産業の発達上、必要不可欠な技術である。たとえば携帯電話を、劇場内や移動中の車内など、電話の使用が不都合な特定のビル内あるいは特定の領域内での使用を困難とする必要がある。
拡散通信波を用いた通信は、特定の周波数の妨害波があっても通信が受ける影響は極めて少ないということが特徴であり、このことは妨害を困難とする要素でもある。
従来の拡散通信妨害装置においては、(例えば、特許文献1参照)妨害対象の通信波を受信するアンテナと、この受信アンテナから出力される目標通信波を増幅する受信機と、この受信機から出力される目標通信波を一時記憶する記憶手段と、この一時記憶手段から読み出した目標通信波の高周波成分の位相をランダムに切替え、ランダムに位相を切替られた高周波と、前記一時記憶手段から読み出した目標通信波とを加算して、前記受信機で受信した目標通信波のRF位相を連続的に又は非連続的に切替えた形式の妨害波を生成する手段と、この妨害波を送信するアンテナとを備え、目標通信受信機の入力端で目標通信波と妨害波とを相互に干渉させることにより、擬似的なフェージングを発生させ通信を妨害する。
特開平7−154299号公報(第1図)
課題1
従来の拡散通信妨害装置は以上のように構成されているので、妨害波の送信電力は少なくとも相手受信機の位置において、相手受信機が受信する目標通信波と相互干渉する程度の電力となるような送信電力で送信しなければならない。しかし、相手送信機と相手受信機との距離が、拡散通信妨害装置の設置場所と相手受信機との距離よりも近い場合には、拡散通信妨害装置から出力する妨害波の電力は相応に大電力を要し、妨害を与えることが難しいという課題があった。
課題2
さらに、受信した信号の高周波帯域の信号の位相を切り替える機能ブロックが必要であるが、位相切替え装置のコストが高く、装置が高価となるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解消して、低電力で十分な効果を得ることができ、しかも安価な拡散通信妨害方法、およびこの方法を用いた拡散通信妨害装置を得ることを目的とするものである。
この発明に係る拡散通信妨害装置は、第1の局と、この第1の局との間で拡散変調されたデータの無線拡散通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害装置において、前記第1の局から送信された拡散信号中の同期信号を特定する同期信号相関検出部、特定された前記同期信号の受信電力を測定する同期信号受信電力測定部、
測定された前記受信電力に基づいて前記第2の局が受信する前記同期信号の信号強度を推定し、推定した信号強度で前記第2の局に信号を送信するために要する送信電力値を演算する送信電力制御部、特定された前記同期信号のデータ系列に対して、同位相で、反転した関係にある擬似同期信号を生成する擬似同期信号生成部、生成された前記擬似同期信号に前記演算された送信電力値にもとづいて送信電力を付加する電力付加部、
前記電力付加された前記擬似同期信号を送信する送信部を有し、
前記第2の局が受信する前記同期信号が前記擬似同期信号によりほぼ打ち消されるようにすることにより、前記第2の局が前記第1の局が送信した前記同期信号を受信できなくするものである。
本発明による拡散通信妨害方法およびこの方法を用いた拡散通信妨害装置によれば、下り拡散信号中の同期信号を相殺する擬似同期信号を送信して、拡散通信を行う受信局が正常な同期を検出して無線リンクを確立することができなくなる。同期信号だけの送信なので、従来のRF帯域でのフェージング等を用いた妨害装置に比べ、きわめて少ない送信電力で通信妨害できる効果がある。
実施の形態1.
拡散通信方式の1つであるW−CDMA(Wideband-CodeDivision Multiple Access)方式で通信する基地局(例えば携帯電話の基地局)と移動局(例えば携帯電話機)を例として本発明の実施の形態1の拡散通信妨害方法および拡散通信妨害装置を説明する。
まず本発明の構成について説明する前に、現在運用されているW−CDMA方式の通信を開始する動作の主要な部分について図9のフローにより説明する。
移動局は、通常、電源立ち上げ時や間欠受信時(アイドルモード)投入後等にセルサーチをおこなう。セルサーチとは下り方向(基地局から移動局への方向)の拡散コードを特定し無線通信の同期を取って無線リンクを確立する動作である。
より詳細には、図9に示すS91スロット同期、S92フレーム同期、S93コードグループの特定、S94同期コードの特定という順に処理が実行される。そしてスロット同期S91が取れない場合は以後の処理も実行されないため移動局と基地局間の無線リンクが確立できず、通話S95が不能となる。
したがって、通信を妨害するには従来のように、全信号を受信できなくする必要は必ずしもなく、S91のスロット同期をとれないようにするだけでも、あるいは、スロット同期S91が取られた後のフレーム同期S92やコードクループの特定S93ができないようにするだけでもよい。
図1は以後の説明の理解を助けるため、この発明における基地局、移動局、本発明の拡散通信妨害装置の位置関係を説明する図である。図において拡散通信を行う基地局(本発明に言う第1の局)100は、この基地局100から任意の距離離れて固定または移動中に通信する移動局(本発明に言う第2の局)200との間で通信をおこなう。この通信の方向は、一般には両方向(下り拡散信号101、上り拡散信号201)であるが、本発明の説明の上では基地局100から移動局200の方向への下り拡散信号101を妨害するものとして説明する。拡散信号妨害装置300は移動局200から任意の距離の位置に設置(移動でもよい)されている。
図2は、この発明を実施するための実施の形態1による拡散通信妨害装置300の構成を説明するためのブロック構成図である。
図2において、空中線1は基地局100からの下りRF拡散信号101を受信する。
受信部2は空中線1から受信した下りRF拡散信号101をQPSK復調等によりチップレート拡散信号2aに変換する。下りRF拡散信号101は基地局100の内部において図示しないチップレート拡散信号を送信に適したキャリア周波数で変調した信号であり、受信部2が変換したチップレート拡散信号2aは基地局100から送信される送信情報データ系列を拡散符号で拡散した信号である。
同期信号相関検出部3は受信部2からのチップレート拡散信号2aと同期信号との相関ピークを検出する。この同期信号はチップレート拡散信号2aに多重されている通信システムであらかじめ決められている固定パターンであり、それを出力する基地局、それを受信する移動局の双方において、あらかじめメモリなどに格納されている。W−CDMAでは第1同期コードとして知られるものに相当する。このコードは毎スロット2560チップの先頭256チップ期間だけ出力されるものであり、移動局200が前述のスロット同期S91をとるために用いる。同期信号相関検出部3はこの同期コードに一致(相関が高い)する信号をチップレート拡散信号2aの中から検出して同期信号受信電力測定部4へ送出することになる、また、同期信号先頭情報(タイミング情報とも言う)3bを送信位相調整部5へ送出する。
同期信号受信電力測定部4は送られてきた同期コード3aの電力あるいは振幅を算出する。
送信位相調整部5は同期信号相関検出部3からの同期信号先頭情報3bに任意の遅延時間を付加してタイミング信号5aとして擬似同期信号生成部6へ送出する。
擬似同期信号生成部6は入力されるタイミング信号5aに対し位相がπだけシフトした擬似同期信号6aを生成する。この結果、例えば入力される同期信号が”00101”の場合には”11010”のような逆極性信号が生成される。また、その生成タイミングは空中線1から入力される下りRF拡散信号101に含まれる同期信号と位相が等しくなるよう送信位相調整部5の遅延量が、例えば1スロット分遅らせるなどして調整される。
送信電力制御部7は同期信号受信電力測定部4から送られた受信電力情報から、移動局200が受信する同期信号の強度を推定し(推定方法については後述する)、それと等しい信号強度で移動局200に到達するように擬似同期信号を送信するための電力、又は振幅情報を生成する。
送信電力付加部8は入力される擬似同期信号に対して、送信電力制御部7からの振幅情報を用いて、等しい振幅を与え、チップレートの擬似同期情報を生成する。
送信部9はチップレートの擬似同期情報を擬似RF拡散符号に変換して空中線1から送信する。
次に図2の構成の拡散通信妨害装置300の動作について図3により説明する。以下の動作の説明は拡散通信妨害方法の説明を兼ねる。
図3は、この発明の実施の形態1による拡散通信妨害装置300の動作フローを説明するための流れ説明図である。
まず、拡散通信妨害装置300の妨害機能を働かせない場合は拡散通信妨害装置300からは何も送信しない。
妨害機能を働かせた場合は、最初の動作として同期捕捉モードS1を実行する。同期捕捉モードS1は、同期信号相関検出部3で同期信号パターンと入力信号との相関ピークを検出する。同期信号を捕捉すると同期信号の周期で高い相関が得られる。そして一定以上の相関が得られると同期パターンを検出したことになる。同期パターンが検出できないときは(S2)検出されるまで本操作が繰り返される。
同期パターンが検出されるとS3で、その受信電力(または振幅)が同期信号受信電力測定部4で算定されるとともに、送信電力制御部7では得られた電力から、移動局200が受信する同期信号の信号強度を推定し、更に、同じ信号強度で移動局に対して擬似同期信号を送達するために必要な送信電力(または振幅)を演算する。(同期信号電力測定手順という)。
次にS4で擬似同期信号生成部6は送信位相調整部5からの位相情報により極性が逆の擬似同期信号を生成する(擬似同期信号生成手順という)。
電力付加部8は生成された擬似同期信号に電力送信部7の振幅値を付加する。この信号は送信部9を経由して空中線1から送信される(擬似同期信号送信手順という)。
送信が開始されると、拡散通信妨害装置300の受信拡散データも、基地局100からの同期信号の受信はできない状態になる。この送信している状態を説明の都合上、定常モードS5と呼ぶ。定常モードS5では、同期信号相関検出部3は同期情報を捕捉することができない。同期情報が捕捉できない間は定常モードS5が継続される。新たに同期情報を捕捉した場合は同期捕捉モードS1にもどる。
拡散通信妨害装置300あるいは移動局200の設置されている近辺では、基地局100からの下りRF拡散情報101と拡散通信妨害装置300から出力される擬似同期情報は重なっている。
基地局100から送信された信号の同期情報と、拡散通信妨害装置100から送信された擬似同期情報とは、1つの同期コードとその同期コードの符号を反転したものとの2つが重なっているので、移動局200で受信する両者の信号強度が近い場合には互いにほぼ打ち消しあい、移動局200から見ると同期コードが受信できない状態になっており通信を開始することができない場所が生じている。
妨害機能の有効範囲は移動局から見て、基地局100からの同期信号(以下本来の同期信号)のほうが擬似同期信号よりも電解強度が低く、かつ本来の同期信号と擬似同期信号が位相のほぼ合っているところとなる。理解を助けるため図1の配置図の上にこのような関係にある場所を記入したものを図4に示す。
図4において電界強度均衡線99は、基地局100から送信された同期信号と拡散通信妨害装置300から送信された擬似同期信号の強度が一致する線、電界強度均衡線99よりも拡散通信妨害妨害装置300の側は本来の同期信号のほうが弱い範囲である。また、点線98は両同期信号の位相が打ち消しあう関係になる位置(この位置は周期的に生じる)を示している。電界強度均衡線99より拡散通信妨害装置300の側に移動局200があって、点線98に近い位置に移動局200があれば(正確には移動局200のアンテナがあれば)、本来の同期信号を受信することができない。なお、図4は説明の都合上模式的に記載したものであり、実際には電波強度や、位相のずれ量は、距離のみによらず、それぞれのアンテナの特性、地形や建物などの影響を受けるので、単純な双曲線にはならず複雑な形状となる。使用している波長が短ければ点線98の間隔は近く、移動局200にとって同期信号が打ち消しあわない位置を見つけて通信を継続することはきわめて困難となり、実質的に通信不能となる。
本拡散通信妨害装置300から送信される擬似同期信号(同期情報ともいう)の送信電力について説明する。
図5はこの発明の実施の形態1の拡散通信妨害装置300から送信される擬似同期情報を説明する波形図である。
基地局100から送信される拡散信号101は、複数の拡散データが多重されており、同期情報102はそのうちのひとつの拡散データである。104は相関が取れた後、再生された同期信号を示す。
また、同期情報102は図に示すように一定スロット周期103毎にスロット時間Tより短い時間tだけ出力される固定パターンであることから、受信した全拡散データ電力に対する同期情報データ電力は一般には全信号の送信電力の数十分の一程度となる。したがって、この同期情報信号102を相殺する擬似同期情報も同程度の送信電力であればよい。105は本図についての理解を助けるため参考として書き加えた相関ピークが取れないときの信号、106は同期信号102を打ち消すために送信される擬似同期信号を示している。
なお、本実施の形態1では、図3において同期捕捉モードS1から定常モードS5に移行した後は、同期情報が再び捕捉できるまで定常モードS5を継続すると説明した。しかし、拡散通信妨害装置300は擬似同期信号を送信している間、基地局100の信号を受信するのは困難となるから、基地局100の同期信号を捕捉することは難しい。そこで、定期的に(あらかじめ定めた所定の時間、例えば3分ごとに)定常モードS5を停止し、同期捕捉モードS1に戻って同期情報の位相情報と電力情報を更新するようにしてもよい。
なお、送信電力制御部7が移動局200の受信信号強度または電力を推定する場合、正確には図1に示した3つの局の位置/距離関係が判明している必要がある。しかし、一般には、妨害装置により妨害しようとする場合には、正確とはいえなくともこれらの位置/距離関係については概略把握できているものであり、求めるべき結果も、図4に示した妨害可能な範囲の広さからすれば、それほど正確である必要はないので、実用上困難ではない。
実施の形態2.
実施の形態1では、1つの移動局200と、1つの基地局100との例について説明した。しかし、通常、1つの移動局200が複数の基地局100からの拡散信号を受信し得る場合が多い。例えば2つの基地局100の通信可能範囲がオーバラップしており、両基地局に通信可能な位置、即ち境界部に移動局200がある場合などである。このような場合、移動局200は時間的にずれた複数の同期信号を受信している。拡散通信妨害装置300がない状態では、移動局200は信号強度が最も大きい同期情報に合わせて同期を取る。したがって拡散通信妨害装置300によってひとつの同期情報を相殺したとしても、別の基地局100からの同期情報によって通信が実行される。
このような場合においても、通信を確実に妨害するためには、複数の基地局100それぞれから送信された拡散信号に対する擬似同期情報をつくり、これら複数の同期情報を多重した信号を送信すればよい。そのためには、同期信号相関検出部3を、複数の、互いに異なる同期情報に対応する複数同期信号相関検出部31(図示しない)に取り替えればよい。複数同期信号相関検出部31を設けることは、拡散通信妨害装置300を複数台設置することとは異なる。単純に複数台設置したのでは互いに同じ信号の妨害をしてしまい、効果が得られない場合があるからである。
実施の形態3.
本実施の形態3の拡散通信妨害装置(以下第2拡散通信妨害装置301という)の構成を図6に示す。図において第2送信電力制御部70は同期信号受信電力測定部4から送られた電力情報にもとづき、移動局200が受信している同期信号の信号強度を推定し、移動局200がより大きい信号強度で擬似同期信号を受信できるような大きい電力の信号を送信するための振幅情報を生成する。また、第2擬似同期信号生成部60は入力される同期信号と同じ(同じとは実施の形態1で反転した同期信号を出力したことに対して、反転しない同期信号を出力するという意味である)擬似同期信号を生成する。また空中線1から入力される同期信号に対して適当な遅延量(一例を後述)を伴った信号が第2送信位相調整部50で生成される。その他の部分については実施の形態1の図2の同符号の部分と同じなので詳細な説明を省略する。
次に動作について説明する。
図7は、この発明の実施の形態3による第2拡散通信妨害装置301の動作フローを説明する図である。まず、第2拡散通信妨害装置301の妨害機能を無効にセットした場合は装置からは何も送信しない。
妨害機能を有効にセットした場合の動作について説明する。初期モードとして同期信号相関検出部3で同期信号パターンと入力信号との相関ピークを検出する(S1)。同期信号を捕捉すると同期信号の周期で高い相関が得られる。ここで、一定以上の相関が得られたとき同期パターンを検出したものとする。同期パターンが検出できるまでS1の操作が繰り返される(S2)。S1で同期信号が検出されるとその同期信号の電力が送信電力測定部4で算定される(S3)。第2送信電力制御部70は得られた電力から、移動局200が受信している同期信号の信号強度を推定し、移動局200がより大きい信号強度で擬似同期信号を受信できるような大きい電力の信号を送信するための振幅情報または電力情報を生成する。
第2擬似同期信号生成部60は第2送信位相調整部50からの位相情報により同期信号と同じ(ここでいう同じとは実施の形態1で反転した同期信号を出力したことに対して、反転しない同期信号を出力するという意味である)擬似同期信号を生成する(S41)。電力付加部8は擬似同期信号に第2送信電力制御部70の振幅値を付加する(S42)。この信号は送信部9を経由して空中線1から送信される。
擬似同期信号パターンの送信タイミングは、移動局が本来の同期信号に比べ遅延させておく。これは移動局200が擬似同期信号に同期を取った後に、フレーム同期S82やコードグループの特定S83などの動作を行うことを不能とするためである。一例としては、スロット周期の1/2に近い値だけ遅らしたタイミングとする。
送信が開始されると、第2拡散通信妨害装置301の受信する拡散データには、基地局100から送信された同期信号と、自装置から送出する擬似同期信号とが重複して(タイミングは異なる)含まれる状態になる。この状態を定常モードS50と呼ぶ。定常モードS50では、同期信号相関検出部3は同期信号と擬似同期信号とを捕捉することになる。相関を検出した信号がどちらの信号であるかを判定するために、第2送信位相調整部50からの擬似同期信号の遅延量が同期信号相関検出部3に入力され、この値を基準として擬似同期信号と同期信号の区別を行う。
なお、アンテナ1から送信するとともに、アンテナ1から受信するのではあるが、タイミングが異なっているため、図示しないゲートを用いて送信のタイミングで受信回路をマスクすれば、送信を行いつつ基地局100からの信号を受信することは大きな困難なく実行でき、送信を継続しながら基地局100の電波強度を確認することができる。
第2拡散通信妨害装置301の動作についての理解を助けるため、図8に実施の形態1の図5に対比して記載して信号波形を示す。図5の場合と異なり、擬似同期信号81の送信タイミングが基地局の送信した同期信号102とは大きく異なっている。また、擬似同期信号81の内容は基地局の送信した同期信号の内容(図8に図示した11001011・・・)と同じ内容である。
擬似同期信号81の送信電力は、実施の形態1と異なり、受信した同期信号より大きい値となっている。これは、移動局200に本来の同期信号より電波強度が大きい擬似同期信号を捕捉させ、これにより、本来とは異なる無効な位置でスロット同期が確立され、通信が妨害されるようにするためである。同期信号以上の電力で送信すると言っても、同期信号の電力比率は、前述のとおり全体に比してきわめて低いから送信電力は極めて低レベルである。
本実施の形態3によれば、第2拡散通信妨害装置301に下り拡散信号中の同期信号を遅延させた擬似同期信号を同期信号以上の電力で送信する機能を設けたので、RF帯域でのフェージング等を用いた妨害装置に比べ、より少ない送信電力での通信妨害を可能とする効果がある。
また、同期情報の受信電力を連続して監視できるので、たとえ基地局100から送信される同期情報電力が変更されたり、通信環境の変動により電波強度が変化した場合でも、擬似同期情報の送信電力をその変化に追従させることができるという効果がある。
また、擬似同期情報の送信電力は同期情報の受信電力以上であればいいので、送信電力を精度よく制御しなくてもよいという効果がある。
実施の形態4.
実施の形態1〜実施の形態3で説明した拡散通信妨害方法および妨害装置において、擬似同期情報の送信電力を調整することにより、通信妨害領域の範囲(実施の形態1の図4で説明した)を変化させることが可能となる。例えば適当な周期で送信電力を大小に変化させれば、見掛けの妨害範囲を拡大することができる。この方法として送信電力付加部7または第2送信電力付加部70の送信電力に適当に時間変化させた倍率を掛けることによって達成される。例えば任意の周期のサイン波を前記倍率として前記送信部が送信する前記擬似同期信号の送信電力を任意の周期で変動させるサイン波発振回路を送信電力変動手段という。
実施の形態5.
本実施の形態では、以上に説明した拡散通信妨害装置を例えば自動車などの移動体内(以下車両という)に取り付ける例について説明する。
車両などでは運転しながら携帯電話を使用することは禁じられている。そこで、以上に説明した妨害装置を車両内の運転席に近い位置にとりつけ、その主たる有効範囲が運転席を包むようにする。また妨害装置の有効/無効の切替を、この車両体が移動中であることを示す信号、または、所定の速度以上の速度になったことを示す信号により切り替え、走行中に妨害する。車両内にはGPS,ラジオ、テレビなど電波を利用する機能を備えた装置は多数あり、これらおよび後部座席には妨害が及ばないことが好ましい。これらの車両内での位置は固定しており、又、妨害装置の位置も固定なのでこれらの電波利用機能には影響が小さくなるように配置することは可能である。
妨害対象となる移動局は車両内の運転席に限定されているので妨害装置の送信電力は前述の各実施の形態での説明と異なり、ほぼ固定することができる。
この結果、各実施の形態で説明した構成よりは、より単純な構成で送信電力が極めて小さくてすむ妨害装置が実現できる。
この発明による拡散通信妨害方法およびこの方法を用いた拡散通信妨害装置は、携帯電話機の通信システムのほか、軍用の無線通信システムに適用することができる。
この発明の実施の形態1による拡散通信妨害装置の配置を説明する図である。 この発明の実施の形態1の拡散通信妨害装置の構成を説明する図である。 図2の拡散通信妨害装置の動作を説明するための図である。 図2の拡散通信妨害装置の妨害効果の範囲を説明する図である。 図2の拡散通信妨害装置から送信される擬似同期情報を説明するための図である。 この発明の実施の形態3による第2拡散通信妨害装置の構成を説明するための図である。 図6の第2拡散通信妨害装置の動作を説明するフローチャートである。 図6の第2拡散通信妨害装置から送信される擬似同期情報を説明するための図である。 拡散通信を行う携帯電話機の通信開始フローを説明するフローチャートである。
符号の説明
1 空中線、 2 受信部、 3 同期信号相関検出部、
4同期信号受信電力測定部、 5 送信位相調整部、
6 擬似同期信号生成部、 7送信電力制御部、 8 電力付加部、
100 基地局、 101 下り拡散信号、 200 移動局、
201 上り拡散信号、 300 拡散通信妨害装置。

Claims (9)

  1. 第1の局と、この第1の局との間で同期情報を含むデータにより拡散変調された拡散信号により通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害装置において、
    前記第1の局から送信された前記拡散信号中の同期信号を特定する同期信号相関検出部、
    特定された前記同期信号の受信電力を測定する同期信号受信電力測定部、
    測定された前記受信電力に基づいて前記第2の局が受信する前記同期信号の信号強度を推定し、推定した信号強度で前記第2の局に信号を送信するために要する送信電力値を演算する送信電力制御部、
    特定された前記同期信号のデータ系列に対して、同位相で、反転した関係にある擬似同期信号を生成する擬似同期信号生成部、
    生成された前記擬似同期信号に前記演算された送信電力値にもとづいて送信電力を付加する電力付加部、
    前記電力付加された前記擬似同期信号を送信する送信部を有し、
    前記第2の局が受信する前記同期信号が前記擬似同期信号によりほぼ打ち消されるようにすることにより、前記第2の局が前記第1の局が送信した前記同期信号を受信できなくすることを特徴とする拡散通信妨害装置。
  2. 第1の局と、この第1の局との間で同期情報を含むデータにより拡散変調された拡散信号により通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害装置において、
    前記第1の局から送信された前記拡散信号中の同期信号を特定する同期信号相関検出部、
    特定された前記同期信号の受信電力を測定する同期信号受信電力測定部、
    測定された前記受信電力に基づいて前記第2の局が受信する前記同期信号の信号強度を推定し、推定した信号強度で前記第2の局に信号を送信するために要する送信電力値を演算する送信電力制御部、
    前記特定された前記同期信号に対し任意の位相差を付加する第2送信位相調整部、
    特定された前記同期信号のデータ系列に対して、前記位相差を与えた第2の擬似同期信号を生成する第2擬似同期信号生成部、
    生成された前記第2の擬似同期信号に前記演算された送信電力値より大きい送信電力を付加する第2電力付加部、
    前記電力付加された前記第2の擬似同期信号を送信する送信部を有し、
    前記第2の局が受信する前記第2の擬似同期信号の強度が、前記第1の局からの前記同期信号より大きくなるようにし、前記第2の局が前記第2の擬似同期信号に同期することによって前記第1の局との間の通信を確立できなくすることを特徴とする拡散通信妨害装置。
  3. 前記同期信号相関検出部は、互いに異なる複数の前記拡散信号の同期信号を分離して検出し特定することができるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の拡散通信妨害装置。
  4. 前記送信部が送信する前記擬似同期信号の送信電力を任意の周期で変動させる送信電力変動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の拡散通信妨害装置。
  5. 第1の局と、この第1の局との間で同期情報を含むデータにより拡散変調された拡散信号により通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害方法であって、
    前記第2の局が受信する前記同期情報を相殺する擬似同期信号を生成して送信することによって前記第2の局の通信を妨害することを特徴とする拡散通信妨害方法。
  6. 第1の局と、この第1の局との間で同期情報を含むデータにより拡散変調された拡散信号により通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害方法であって、
    前記第2の局が受信する前記同期情報と同じ同期情報を送信時間をずらせて、かつ、前記同期情報より強くした第2の擬似同期信号を生成して送信することによって前記第2の局の通信を妨害することを特徴とする拡散通信妨害方法。
  7. 第1の局と、この第1の局との間で同期情報を含むデータにより拡散変調された拡散信号により通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害方法であって、
    前記第1の局から送信された拡散信号中の同期信号を特定する同期信号相関検出手順、
    特定された前記同期信号の受信電力を測定する同期信号受信電力測定手順、
    測定された前記受信電力に基づいて前記第2の局が受信する前記同期信号の信号強度を推定し、推定した信号強度で前記第2の局に信号を送信するために要する送信電力値を演算する送信電力演算手順、
    特定された前記同期信号のデータ系列に対して、同位相で、反転した関係にある擬似同期信号を生成する擬似同期信号生成手順、
    生成された前記擬似同期信号に前記演算された送信電力値にもとづいて送信電力を付加する電力付加手順、
    前記電力付加された前記擬似同期信号を送信する送信手順とを含むことを特徴とする拡散通信妨害方法。
  8. 第1の局と、この第1の局との間で拡散変調されたデータの無線拡散通信を行う第2の局との間の前記通信を妨害する拡散通信妨害方法であって、
    前記第1の局から送信された拡散信号中の同期信号を特定する同期信号相関検出手順、
    特定された前記同期信号の受信電力を測定する同期信号受信電力測定手順、
    測定された前記受信電力に基づいて前記第2の局が受信する前記同期信号の信号強度を推定し、推定した信号強度で前記第2の局に信号を送信するために要する送信電力値を演算する送信電力制御手順、
    前記特定された前記同期信号に対し任意の位相差を付加する第2送信位相調整手順、
    特定された前記同期信号のデータ系列に対して、前記位相差を与えた第2の擬似同期信号を生成する第2擬似同期信号生成手順、
    生成された前記第2の擬似同期信号に前記演算された送信電力値より大きい送信電力を付加する第2電力付加手順、
    前記電力付加された前記第2の擬似同期信号を送信する送信手順とを含むことを特徴とする拡散通信妨害方法。
  9. 車両に搭載され、前記車両からこの車両の速度を示す信号を受けて、前記信号があらかじめ定めた所定の値を上回ったとき前記擬似同期信号の送信を行い、前記所定の値を下回ったとき前記送信を停止するように構成したことを特徴とする請求項1〜4に記載の拡散通信妨害装置。




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