JP2005187369A - イオン感応物質およびそれを用いる方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 イオンの中でも特に重金属イオンに対して高い感度を示す新規なイオン感応物質とそれを用いた新規センシングデバイスの開発・設計、分析法に関する技術を提供する。
【解決手段】 次式 (I)
【化1】
(ただし、R1, R2は同一または別異に水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基, アリール基であり、X, Yは同一または別異に酸素原子,硫黄原子,セレン原子,テルル原子,NH基,PH基,置換アミノ基であり、Ra, Rbは同一または別異にピレニルメチル基, アントラセニルメチル基,ピレニル基, アントラセニル基もしくは蛍光を発する芳香族置換基であり、R1とR2は置換基を有していてもよいアルキレン鎖により連結されていてもよい)
で表される物質を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 次式 (I)
【化1】
(ただし、R1, R2は同一または別異に水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基, アリール基であり、X, Yは同一または別異に酸素原子,硫黄原子,セレン原子,テルル原子,NH基,PH基,置換アミノ基であり、Ra, Rbは同一または別異にピレニルメチル基, アントラセニルメチル基,ピレニル基, アントラセニル基もしくは蛍光を発する芳香族置換基であり、R1とR2は置換基を有していてもよいアルキレン鎖により連結されていてもよい)
で表される物質を用いる。
【選択図】 なし
Description
この出願の発明は、高い選択性で水銀イオン等のイオンを認識できる新規物質およびそれを用いる方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、蛍光発光性置換基を2つ有するビス型誘導体と、それを用いた電位差測定法および蛍光分析などの分析法に関するものである。
この出願の発明の物質およびそれを用いた分析方法は知られていない。
従来、各種産業排水(含家庭排水)中の重金属イオン分析は、原子スペクトル分析とされている。原子スペクトル分析は、原子に固有のスペクトル線を生じる光の吸収や放射を測光し、原子の定性・定量分析を行う方法である。その中で、基底状態の原子蒸気に特定波長の光を照射したときに起こる吸光現象を利用する分析法を原子吸光分析法といい、誘導結合プラズマ(ICP)などにより励起状態の原子またはイオンを生成しこれらの放射現象を利用する分析法を原子発光分析法という。
多くの重金属イオンは毒性を有する。特に、水銀は人体への有害性のため、常に検出濃度をモニターする必要がある。例えば、水銀イオンの環境基準は0.0005 mg/l以下であることが環境庁により定められている(環境庁告示第59号)。水俣病が大きな問題になった1960年代には年間2000トンの水銀が使用され、約1%が大気中、排水中、土中に堆積していると推定されており、これらの水銀は人間を含む多くの生物体内にも取り込まれている。いまなお水銀イオン等の重金属イオンの分析は必要性が高く、経済的かつ簡便な分析法が求められている。
金属イオンの分析において、原子スペクトル分析が望ましい分析法とされているが、原子スペクトル分析に用いる原子吸光光度計(約600万円)やICP発光分析装置(約2000万円)は高価であるため汎用性が低い。そして、その中の原子吸光分析法はほとんどの微量金属元素の定量分析に適応できるが、多元素を同時に分析できないので定性分析には適さない。また、アークやスパークを用いる原子発光分析法は原子吸光分析法よりも感度や精度が劣り、誘導結合プラズマ(ICP)を用いることによって高感度・高精度での多元素同時分析が可能となる。
一部、原子スペクトル分析に替わる経済的かつ簡便な分析法として、保健環境研究所等でも使用されていた簡易水質検査器ヨシテスト(櫻護謨株式会社)が市販されていたが、製造中止となっている。
一方、蛍光分析は、物質の蛍光特性を利用する化学分析法の1つで、吸光光度法より感度が優れているので、生化学、有機化学、臨床化学における分析のほか、環境中の微量有害有機化合物の分析法としても利用されている。また、イオン選択性電極は特定のイオンに感応する膜を挟んで発生する膜電位を利用して目的イオンの活量を選択的に測定する電位差測定法を用いるイオンセンサであるが、PVC(ポリビニルクロライド)のような高分子膜にイオン感応物質が担持されたPVC膜型イオン選択性電極はカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンに対するセンシングに優れ、その作成が簡単で膜電極が安定であること、また、迅速且つ簡便に測定できることから、医療現場でこれらイオンのセンサとして利用されている。蛍光分析やPVC膜型イオン選択性電極は、原子スペクトル分析に替わる経済的かつ簡便な分析法として期待されるが、これまでのところ、重金属イオンを精度高く識別できる蛍光性イオン感応物質が知られていないのが実情である。
従って、この出願の発明は、以上のとおりの問題点を解決し、イオンの中でも特に重金属イオンに対して高い感度を示す新規な物質とそれを用いた新規センシングデバイスの開発・設計、分析法に関する技術を提供することを課題としている。
この出願の発明は、以上のとおりの課題を解決するものとして、項1〜項12を提供する。
項1. 次式 (I)
項1. 次式 (I)
(ただし、R1, R2は同一または別異に水素原子もしくはアルキル基, アリール基であり、X, Yは同一または別異に酸素原子,硫黄原子,セレン原子,テルル原子,NH基,PH基,置換アミノ基であり、Ra, Rbは同一または別異にピレニルメチル基, アントラセニルメチル基,ピレニル基, アントラセニル基もしくは蛍光を発する芳香族置換基であり、R1とR2は置換基を有していてもよいアルキレン鎖により連結されていてもよい)
で表される物質。
で表される物質。
項2. 項1の物質をイオン感応物質として含むイオン検査簡便装置。
項3. 項1の物質をイオン感応物質として含むイオンセンサ。
項4. イオンセンサがイオン選択性電極である項3に記載のイオンセンサ。
項5. 項1の物質と膜材料を含むイオン感応膜。
項6. 項5に記載されたイオン感応膜を用いたイオン選択性電界効果トランジスタ。
項7. 項5に記載されたイオン感応膜を用いたイオン交換膜。
項8. エキシマー発光が期待される項1の物質。
項9. 項1の物質を用いて金属イオンを検出する方法。
項10.電位差を利用することを特徴とする項9の方法。
項11.吸光を利用することを特徴とする項9の方法
項12.蛍光を利用することを特徴とする項9の方法。
項3. 項1の物質をイオン感応物質として含むイオンセンサ。
項4. イオンセンサがイオン選択性電極である項3に記載のイオンセンサ。
項5. 項1の物質と膜材料を含むイオン感応膜。
項6. 項5に記載されたイオン感応膜を用いたイオン選択性電界効果トランジスタ。
項7. 項5に記載されたイオン感応膜を用いたイオン交換膜。
項8. エキシマー発光が期待される項1の物質。
項9. 項1の物質を用いて金属イオンを検出する方法。
項10.電位差を利用することを特徴とする項9の方法。
項11.吸光を利用することを特徴とする項9の方法
項12.蛍光を利用することを特徴とする項9の方法。
この出願の発明により、式 (I)で表される新規性物質ならびにそれを用いる重金属イオン分析法を提供した。また、この新規性物質は置換基を変更することによりその性質を適宜変更できることから、蛍光性物質の中でも特に発光強度の高いエキシマー発光体とすることは容易であることを明らかにした。
この出願の発明によるエキシマー発光型ビス誘導体は、類似の蛍光性モノ体を用いて同様の測定を行った場合に比べ、感度が10倍近く改善された。
この出願の発明において、機能を制御するための処理を特に行わずに、PVC、膜溶媒、および添加剤にイオンをセンシングするイオン感応物質を混ぜ、分散させるだけで充分なセンシング能を有するイオン選択性電極を作成することができた。
この出願の発明により、従来、蛍光光度法・吸光光度法ならびにイオン選択性電極にそれぞれ単独でのみ用いられていたイオン感応物質を、ニーズに合わせた多角的利用が可能な新規センシング化合物として提供した。
この出願の発明者らは、芳香族置換基のビス型誘導体において、π−π相互作用により芳香族置換基の分子配向が規制され、モノ体よりもイオン包接に適した分子構造となることに着目し、そのイオン選択性について鋭意研究を進め、本願発明に至ったものである。
ビス型誘導体とは、特性部位を2つ有している誘導体である。また、モノ体とは、特性部位を1つしか有さない化合物である。
この出願の発明における特性部位は、芳香族基であり、好ましくはピレニルメチル基、 アントラセニルメチル基のような蛍光を発する置換基である。
すなわち、この出願の発明におけるビス型誘導体として、次式 (I)
で表される物質を提供するものである。
式 (I)に示されるビス型誘導体そのものが新規化合物である。
この出願の発明の式 (I)で表される物質において、R1, R2,X, Y,Ra, Rbは前記のとおりである。R1, R2が置換基を有していてもよいアルキル基の場合、アルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシルなどから選択される。R1, R2が置換基を有していてもよいアリール基の場合、アリール基はベンジル、シンナミル、クメチル、フェネチル、ミシチル、スチリル、トリール、キシリル、トリチル、ペンタリルメチル、ナフタリルメチル、フェナリルメチルなどから選択される。X, Yが置換アミノ基の場合、置換アミノ基をRNで表すと、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、フェニル、ベンジル、シンナミル、クメチル、フェネチル、ミシチル、スチリル、トリール、キシリル、トリチル、ペンタリルメチル、ナフタリルメチル、フェナリルメチルなどから選択される。Ra, Rbが蛍光を発する芳香族置換基の場合、芳香族置換基は置換基を有していてもよく、芳香族置換基はアントラセニル、ナフタセニル、インダセニル、アセナフチレニル、フェナレニル、アセフェナンチレニル、トリフェニレニル、ペリレニル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、フルオランテニル、ピレニル、ペンタフェニル、ピセニル、アントラセニルメチル、ナフタセニルメチル、インダセニルメチル、アセナフチレニルメチル、フェナレニルメチル、アセフェナンチレニルメチル、トリフェニレニルメチル、ペリレニルメチル、インデニルメチル、アズレニルメチル、フルオレニルメチル、フェナントレニルメチル、フルオランテニルメチル、ピレニルメチル、ペンタフェニルメチル、ピセニルメチルなどから選択される。R1とR2が連結している場合には、連結する置換基を有していてもよいアルキレン鎖としてはベンゼンや置換ベンゼンが好ましく挙げられ、連結鎖として−(CH2)n−(ただし、n=3、4)も選択できる。
イオン感応物質とは、特定イオンを包接する化合物である。すなわち、イオン感応物質は、一次元から3次元の空間をつくり、その空間に寸法と形状が適合することを第1要件としてイオンを取り込む(包接する)。このようなイオン感応物質としては各種のものが知られており、遊離イオン濃度を測定するためのイオンセンサ等においても利用されている。しかし、前記のとおり、従来公知のイオン感応物質では重金属イオンのようにイオン半径や配位形態が類似したイオンを識別することが難しかったのが実情である。
式 (I)に示されるビス型誘導体が、後述の実施例にも示されるとおり、イオン感応物質であることならびに重金属イオンに対して高い選択性を示しイオン感応物質としての利用価値が高いことは、これまで報告されておらず、発明者らの鋭意研究により明らかになったものである。
この出願におけるイオン感応物質は、水銀イオン、銀イオン、プロトン、アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、セシウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、鉄イオン、鉛イオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン、カルシウムイオン、コバルトイオンなどのイオン濃度測定器、好ましくは水銀イオン、銀イオンのイオン濃度測定器などに用いられる。
以上のとおりのこの出願の発明のイオン感応物質は、従来公知のイオン感応物質よりも格段に高いイオン選択性を示すことから、イオン検査キット、イオンセンサ、イオン選択性電界効果トランジスタおよびイオン交換膜への適応が期待される。
したがって、この出願の発明は、以上のとおりのイオン感応物質を含有することを特徴とするイオン感応膜をも提供する。このようなイオン感応膜は、水銀イオン、銀イオン、プロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、鉛イオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオンなどのイオン濃度測定器、好ましくは水銀イオン、銀イオンのイオン濃度測定器、イオン選択性電界効果トランジスタのイオン選択性膜、またその他の用途としてH+等のイオン交換膜などとして有用なものである。
イオンセンサとは、溶液中の特定イオンの濃度を定量できるという特徴を有し、特定イオンの濃度モニターや水質分析など広い分野で使用されている。イオンセンサの好ましい例としては、電位差測定法を用いるイオン選択性電極が挙げられる。
この出願の発明のイオンセンサの好ましい具体例の1つであるイオン選択性電極の一例を以下に示す。
比 較 電 極 /試料溶液/ イオン選択性電極
Ag-AgCl / 3.3 M KCl / 0.1 M CH3COOLi/試料溶液/感応膜/内部溶液/Ag-AgCl
比 較 電 極 /試料溶液/ イオン選択性電極
Ag-AgCl / 3.3 M KCl / 0.1 M CH3COOLi/試料溶液/感応膜/内部溶液/Ag-AgCl
該イオン選択性電極は、一般式 (I)のビス型誘導体であるイオン感応物質を含む点を除いては公知のイオン選択性電極と同様であり、従来使用されているイオン検知材料に代えて該ビス型誘導体を用いることで容易に製造することができる。イオン選択性電極は、例えばイオン電極キット(東亜DKK株式会社製)を用いて容易に製造することができる。
この出願の発明におけるイオン感応膜を得るには、上記イオン感応物質を、膜材料および膜電極可塑剤及び必要に応じて、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒を用いて常法に従い製造できる。この時、イオン感応物質/膜材料のポリマー/膜電極可塑剤からなる系の配合は、特に限定されないが、全体に対してイオン感応物質を0.2~20重量%、好ましくは1~5重量%になるように配合する。また、膜電極可塑剤は、上記系の全体に対し、50~80重量%、好ましくは60~70重量%になるように配合する。また、この際、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム(KTFPB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム(NaTFPB)、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム(KTpClPB)、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸ナトリウム(NaTpClPB)、テトラフェニルホウ酸カリウム(KTPB)、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaTPB)、テトラキス〔3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル〕ホウ酸ナトリウムなどのような添加塩を加えても良い。
この出願の発明における膜電極可塑剤として、特に限定されないが、ニトロフェニルフェニルエーテル(NPPE)、アジピン酸ビス(1-ブチルペンチル)(BBPA)、セバシン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジオクチルフェニルリン酸(DOPP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、2-ニトロフェニルフェニルエーテル(NPPE)、2-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、ジベンジルエーテル(DBE)、デカノール、2−ニトロフェニルドデシルエーテル、2−フルオロ−2’−ニトロジフェニルエーテルなどが用いられ、好ましくはNPOEである。
この出願の発明におけるイオン感応膜の膜材料は、イオン選択性電極の作用電極用の膜に使用されている各種の材料が可能であり、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンウレア、フォトレジスト、漆などが挙げられる。
この出願の発明におけるイオン選択性電極の内部溶液としては、特に限定されないが、例えば硝酸銀水溶液、塩化カリウム水溶液、硝酸カルシウム水溶液などの金属塩水溶液、及び、塩化カリウム水溶液と他の金属塩水溶液との混合溶液などが挙げられる。
この出願の発明におけるイオン選択性電極の比較電極としては、公知の電極が制限なく用いられる。
上記のようにして得られたイオン感応膜を含むイオン選択性電極および比較電極を、従来より知られた方法である電位差測定法に従って、試料溶液中に浸漬し、両電極間の電位差を測定すればよい。
複数のイオンが1溶液中に共存する場合、それらのイオン選択係数の差が大きいものや、それらイオンの大きさに差があるもの、さらにはビス型誘導体との親和性に差があるものについては、同時にイオン濃度測定が可能である。
この出願の発明は、さらに、以上のとおりのイオン感応膜を有することを特徴とするイオンセンサは、イオン選択性電界効果トランジスタであってもよい。このようなイオン選択性電界効果トランジスタは、携帯用pHメーター等として使用できるものであり、例えば市販のものの感応膜部分を本願発明の感応膜に置き換えたものとすることができる。
さらに、この出願の発明は、前記のとおりのイオン感応物質を含有するイオン交換膜をも提供する。このようなイオン交換膜は、どのような方法により得られるものであってもよいが、例えば、公知のイオン交換樹脂の末端に本願発明の物質を結合することにより容易に製造される。さらに、このようなイオン交換膜において、その膜材料や組成はとくに限定されない。このようなイオン交換膜を使用することにより、重金属イオンを含有する溶液系からこれらのイオンを除去することが可能となる。
この出願の発明の式 (I)で表される物質は芳香族基を特性部位として有しているので、光照射により基底状態から励起状態への電子遷移に基づく吸光現象が見られる。さらに、この出願の発明の式 (I)で表される物質の中でも蛍光性を有する物質は、蛍光・発光現象が見られる。よって、この出願の発明の式 (I)で表される物質はイオンの包接により消光・増感などのシグナルが発せられることから、この発明のイオンセンサは光吸収、蛍光、発光を用いた光センサとして適用できる。
この出願の発明は、イオン測定法の好ましい技術の1つである蛍光分析に適応することができる。
該蛍光分析は、式 (I)で表される物質をイオン感応物質として用いる点を除いては公知の蛍光分析法と同様であり、従来使用されているイオン検知蛍光物質に代えて該物質を用いることで容易に測定することができる。
この発明において、該蛍光分析の調整溶液として、特に限定されないが、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、シクロヘキサン、ジオキサン、クロロホルム、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、ピリジン、二硫化炭素などが用いられ、好ましくはクロロホルムとアセトニトリルとの混合溶液である。
蛍光発光強度の測定器としては、公知の蛍光光度計が制限なく用いられる。
常法に従って得られた金属イオンおよびイオン感応物質を含む調整溶液を、従来より知られた方法に従って、蛍光発光強度を測定する。
複数のイオンが1溶液中に共存する場合、それらの蛍光発光強度の差が大きいものや、それらイオンの大きさに差があるもの、ビス誘導体との親和性に差があるものについては、同時にイオン濃度測定が可能である。
この出願の発明の中でも蛍光性を有する式(I)で表される物質は、好ましくはエキシマー発光型の蛍光性を有する。
エキシマー発光とは、励起状態にある化学種M*が基底状態にある同じ化学種Mと形成する励起二量体M2*からの発光であり、励起状態にある化学種M*からのモノマー発光の長波長側に観測される。
式 (I)に表されるビス型誘導体が、後述の実施例にも示されるとおり、エキシマー発光型の蛍光性を有することならびにモノマー発光に比べて非常に発光強度が強いということは、これまで報告されておらず、発明者らの鋭意研究により明らかになったものである。
以上のとおりのこの出願の発明のエキシマー発光型の蛍光性を有する物質は、従来公知のイオン感応物質よりも格段に強い発光強度を示すことから、イオン検査キット、蛍光発光を用いた光センサとしての適応が期待される。
この出願の発明において、式 (I)に表されるビス型誘導体の中でも蛍光性を有する物質を含有することを特徴とするイオン検査キットは、市販のもののイオン感応物質を本願発明の蛍光性物質に置き換えたものとすることができる。例えば、サンプル注入ビン内に一定量好ましくはサンプル注入後10-3〜10-6Mとなる量の本願物質を塗り付けておき、注入線までサンプルを注入した後吸光光度計好ましくは蛍光光度計で消光・増感などのシグナルから濃度計測ができる。好ましくは、携帯用イオン検査キットとして使用できるものであり、式 (I)に表されるビス型誘導体の中でも呈色性を有する物質を使用することにより、サンプル注入後の呈色程度で簡易濃度計測が可能となる。この場合のイオン検査キットは、pH試験紙のような形態でもよい。
以下、この出願の発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。もちろん、この出願の発明は、以下の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
常法に従い、以下の21種類の10-1M標準溶液を調整した。
カチオン標準溶液:塩酸、硝酸銀、硝酸水銀、塩化銅(II)、硝酸鉛、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化コバルト(II)、塩化ナトリウム、硝酸カドミニウム、塩化鉄(III)、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化ニッケル(II)、塩化カルシウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化カドミニウム。
カチオン標準溶液:塩酸、硝酸銀、硝酸水銀、塩化銅(II)、硝酸鉛、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化コバルト(II)、塩化ナトリウム、硝酸カドミニウム、塩化鉄(III)、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化ニッケル(II)、塩化カルシウム、塩化セシウム、塩化ルビジウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化カドミニウム。
膜材料のPVC(分子量約1,100)(28.0重量%)、膜電極可塑剤の2-ニトロフェニルオクチルエーテル(67.0重量%)、および化合物 (II)(化合物 (I)において、R1= PhCH2, R2= CH3, R4, Ra = 1-C16H9 (1-pyrenyl))(5.0重量%)を、任意量のテトラヒドロフラン(THF)中に混合溶解させ、任意時間撹拌した。イオン電極キット(東亜DKK株式会社製)付属のテフロン(登録商標)紙に調整したTHF溶液を含ませ、イオン電極キットの先端チップの溝に張り付けた。常法であるキャスティング法により、任意回数THF調整溶液の塗りつけ−乾燥操作を繰り返し、溝がなくなった時点で、PVC感応膜の作成を終了した。上記の方法で、イオン感応膜を有する電極チップを得た。なお、常法である型抜き法により作成したPVC感応膜も、全く同等のイオン選択性電極の性能を示した。
PVC膜が完全に乾燥した後に、10−2Mの塩化カリウムル又は塩化ビジウム水溶液に電極を一昼夜浸し、コンディショニングを行った。次に、コンディショニングを行ったときと同じ溶液を内部溶液とし、先端チップの中に充分に満たした。内部溶液で完全に満たされた状態で、電極チップをイオン電極キットに装着した。比較電極にはダブルジャンクション型の銀−塩化銀電極を用い、その内部溶液として3.3M飽和塩化カリウム溶液を、外部溶液として10-1M酢酸リチウム溶液を用いた。
該測定装置の概略を図1に示した。
上記の硝酸水銀標準溶液10-6M〜10-1Mを恒温槽で25℃一定に保ちながら、低濃度溶液から順番に測定を行った。溶液の濃度変化は、低濃度溶液に高濃度溶液を添加していくインジェクト法により行った。得られた電位を、水銀イオンの25℃での電位とした。その水銀イオンセンサ応答結果は、10-5.0M〜10-3.0Mの広い範囲において直線応答であった。この電極は、低濃度の水銀イオンのイオン選択性電極として優れていることが明らかになった。
上記の10-1Mカチオン標準溶液21種それぞれにおける、25℃でのセンサ応答を測定した。同様に、恒温槽で25℃一定に保ちながらイオン選択係数測定を行った。
イオン選択係数測定の結果を表1(25℃)に示した。
イオン選択係数は単独溶液法によって算出した。その際に必要となるイオン活量は、デバイ-ヒュッケルの理論による活量計数を用いて算出した。イオン活量aと濃度Cとの間には次のような関係(式1)がある。
a=f・C (式1)
式1中、fは活量係数である。
ここで、活量係数fは、デバイ-ヒュッケルの式2により求めた。
Log f=−0.511Z2√μ/(1+√μ) (式2)
式2中、μはイオン強度である。
また、イオン強度μは、式3により求めた。
μ=1/2ΣCiZi 2 (式3)
式3中、Ciは溶液中の各イオンの濃度、Ziは溶液中の各イオンの電荷である。
単独溶液法では、一般に同じ濃度のNイオン溶液およびMイオン溶液に対する電位差 EN , EM をそれぞれ測定することによってMイオンに対するNイオンの選択係数が求められる。従って、各イオンの10−1M標準溶液における電位差を求め、式4を用いて、各イオンに対する選択係数log kPot N,Mを算出した。
log kPot N,M =ZF(EM−EN)/2.303RT − logCN (ZN−ZM)/ZM (式4)
a=f・C (式1)
式1中、fは活量係数である。
ここで、活量係数fは、デバイ-ヒュッケルの式2により求めた。
Log f=−0.511Z2√μ/(1+√μ) (式2)
式2中、μはイオン強度である。
また、イオン強度μは、式3により求めた。
μ=1/2ΣCiZi 2 (式3)
式3中、Ciは溶液中の各イオンの濃度、Ziは溶液中の各イオンの電荷である。
単独溶液法では、一般に同じ濃度のNイオン溶液およびMイオン溶液に対する電位差 EN , EM をそれぞれ測定することによってMイオンに対するNイオンの選択係数が求められる。従って、各イオンの10−1M標準溶液における電位差を求め、式4を用いて、各イオンに対する選択係数log kPot N,Mを算出した。
log kPot N,M =ZF(EM−EN)/2.303RT − logCN (ZN−ZM)/ZM (式4)
以上より、化合物 (I)をイオン感応物質として用いたイオン選択性電極は、水銀イオンに対して最も高い選択性があり、イオンセンサとして用いられることが明らかになった。
化合物 (II)の代わりに、モノ体である、代表的な蛍光物質1−ピレンメタノール (III)
を用い、実施例1と同様にしてイオン感応膜を有する電極チップを得て、実施例1と同様にして25℃での応答電位及びイオン選択性係数測定を行った。
イオン選択性係数測定の結果を表2に示した。
実施例1の場合と比較すると、実施例1のイオン選択性電極は、電位応答が速く、また電位安定性も優れていた。特に、イオンセンシングの場合に問題となる水素イオンに対する妨害効果が、実施例1において、3倍近く改善された。水銀イオンに対する電位応答性は1.3倍、イオン選択性は18倍近く改善された。
常法に従い、硝酸銀、硝酸水銀、塩化カリウムの3種類の10-5M〜10-1M クロロホルム−アセトニトリル(1:9)標準溶液を調整した。
上記の銀イオン標準溶液10-5M〜10-1Mと常法に従い調整した化合物 (II)(化合物 (I)において、R1= PhCH2, R2= CH3, R4, Ra = 1-C16H9 (1-pyrenyl))の10-5M クロロホルム−アセトニトリル(1:9)標準溶液を混合し、得られた化合物 (II)濃度が10-6Mの混合溶液の励起波長343nmにおける蛍光発光強度を測定した。
375nmから575nmにおける蛍光発光強度の測定結果を図2に示した。
図2に示した蛍光発光強度の中で、393nmにおける蛍光発光強度を化合物 (II)のモノマー発光強度とし、467nmにおける蛍光発光強度を化合物 (II)のエキシマー発光強度とした。
その銀イオンの濃度変化に対する蛍光発光強度の変化結果は、モノマー発光強度ならびにエキシマー発光強度において銀イオン濃度が7.0×10-3M〜9.0×10-2Mの範囲において直線関係がみられた。相対蛍光発光強度比(エキシマー発光強度÷モノマー発光強度=相対蛍光発光強度比)ではさらに優れた直線関係がみられた。この化合物 (II)は、銀イオンの濃度変化に感応する蛍光性物質として優れていることが明らかになった。
上記の10-5M硝酸銀、硝酸水銀、塩化カリウム標準溶液3種それぞれと常法に従い調整した化合物 (II)の10-5M クロロホルム−アセトニトリル(1:9)標準溶液を混合し、得られた10-6M混合溶液の励起波長343nmにおける蛍光発光強度を測定した。
測定によって得られたエキシマー発光強度とモノマー発光強度から算出した相対蛍光強度比の結果を図3に示した。
以上より、化合物 (II)をイオン感応蛍光物質として用いた蛍光分析は、銀イオンよりも水銀イオンに対して最も高い選択性があり、重金属イオン等のイオンセンサとして用いられることが明らかになった。
化合物 (II)の代わりに、モノ体である、代表的な蛍光物質1−ピレンメタノール (III)を用い、イオン感応物質濃度10-6 M混合溶液の代わりに10-5 M混合溶液とする以外は実施例3と同様にして調整溶液および混合溶液を得て、励起波長343nmの代わりに375nmとする以外は実施例3と同様にして蛍光発光強度を測定した。
得られたモノマー蛍光発光強度の結果を図4に示した。
実施例4の場合と比較すると、実施例3の蛍光性物質は、蛍光発光強度が大きく、またエキシマー発光がみられるなど蛍光性に優れていた。特に、イオンセンシングの際に問題となる発光強度が、実施例3において10倍近く改善され、イオン感応物質10-6M という低濃度の試料溶液でも十分観測できた。
1.比較電極
2.指示電極
3.イオン感応膜
4.内部溶液
5.銀−塩化銀電極
6.3.3 M 飽和塩化カリウム内部溶液
7.0.1 M 酢酸リチウム外部溶液
8.試料溶液
9.電位差計
2.指示電極
3.イオン感応膜
4.内部溶液
5.銀−塩化銀電極
6.3.3 M 飽和塩化カリウム内部溶液
7.0.1 M 酢酸リチウム外部溶液
8.試料溶液
9.電位差計
Claims (12)
- 次式 (I)
(ただし、R1, R2は同一または別異に水素原子もしくはアルキル基, アリール基であり、X, Yは同一または別異に酸素原子,硫黄原子,セレン原子,テルル原子,NH基,PH基,置換アミノ基であり、Ra, Rbは同一または別異にピレニルメチル基, アントラセニルメチル基,ピレニル基, アントラセニル基もしくは蛍光を発する芳香族置換基であり、R1とR2は置換基を有していてもよいアルキレン鎖により連結されていてもよい)
で表される物質。 - 前記請求項1の物質を含有することを特徴とするイオン検査簡易装置。
- 前記請求項1の物質を含有することを特徴とするイオン用感応膜。
- 前記請求項3のイオン感応膜を有することを特徴とするイオンセンサ。
- 前記請求項3のイオン感応膜を有することを特徴とするイオン選択性電極。
- 前記請求項3のイオン感応膜を有することを特徴とするイオン選択性電界効果トランジスタ。
- 前記請求項1の物質を含有することを特徴とするイオン交換膜。
- 感度の高いエキシマー発光が期待される前記請求項1の物質。
- 前記請求項1の物質を用いて金属イオンを検出する方法。
- 前記請求項9の電位差を利用することを特徴とする方法。
- 前記請求項9の吸光を利用することを特徴とする方法。
- 前記請求項9の蛍光を利用することを特徴とする方法。
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JP2007155366A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-21 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 混合lb膜を用いたカドミウムイオンセンサー |
CN107209142A (zh) * | 2015-02-03 | 2017-09-26 | 西门子医疗保健诊断公司 | 改进的镁离子选择性膜 |
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2003
- 2003-12-25 JP JP2003429141A patent/JP2005187369A/ja active Pending
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US11821867B2 (en) | 2015-02-03 | 2023-11-21 | Siemens Healthcare Diagnostics Inc. | Magnesium ion selective membranes |
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