JP2005177495A - 放射線画像処理の方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 X線画像又は他の任意の形式の画像の復元。
【解決手段】 マンモグラフィにより撮影される画像におけるシンチレーションノイズを低減するために、収集された画像が特定の形式でウィーナ・フィルタを実行するフィルタ処理方法によって復元される。特性は、入射画像及び該画像に関連する加法性ノイズに関する仮定を与えてウィーナ・フィルタを構築するよう決定される。次いで、この初期フィルタに対応する畳み込みコアが初期直接空間で計算され、この初期空間における逆畳み込みによって入射画像の復元が可能になる。
【選択図】 図1
【解決手段】 マンモグラフィにより撮影される画像におけるシンチレーションノイズを低減するために、収集された画像が特定の形式でウィーナ・フィルタを実行するフィルタ処理方法によって復元される。特性は、入射画像及び該画像に関連する加法性ノイズに関する仮定を与えてウィーナ・フィルタを構築するよう決定される。次いで、この初期フィルタに対応する畳み込みコアが初期直接空間で計算され、この初期空間における逆畳み込みによって入射画像の復元が可能になる。
【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、画像処理の方法及び装置に関する。本発明の分野は、医用イメージングであり、具体的には、放射線イメージング、及び特にマンモグラフィである。本発明の実施形態は、より具体的には、X線画像又は他の任意の形式の画像の復元の分野において適用することができる。
マンモグラフィにおいて癌病変の疑いを示唆する異常を検出し特徴付けるには、非常に高い空間分解能及び高コントラストを必要とする。これらの画質を達成するのに極めて多数の画像処理演算が必要とされる場合がある。更に、画像信号の収集において、情報が配置されるペイロード信号に加えて寄生信号が発生することが観察される。従って、寄生信号が有用な信号を混乱させ、全体的に隠すことさえある。
一般に取得画像は十分な精度で還元されない。画像は、構造、特にあまり鮮明には見えない小さな構造又は詳細部の境界画定に関してボケが生じる可能性がある。この欠陥は、画像検出器の技術、特に、挿入された画像シンチレータの厚みにより発生する。他の技術による検出器、特にセレンを用いた分極検出器は、この問題を回避できる。しかしながら、セレン・ベースの技術は十分に開発されておらず、想定される医用用途と適合しないといった実施上の問題を伴う。
米国特許第6166384号
米国特許第5729631号
従来技術において、収集、処理、及び復元される画像のアーチファクトを除去する方法及び装置がある。これら公知の方法及び装置の1つは、米国特許第6166384号及び米国特許第5729631号に開示される。米国特許第5729631号は、画像信号源をモデルリングすることによって、画像からのノイズを除去するシステム及び方法に関する。これらの方法は、各チャンネルの異なる周波数レベルでのノイズ特性である、ノイズ・マスク及び参照テーブル(LUT)値を生成する。これらの方法により、画像信号からノイズを除去するために画像信号にノイズ・マスク及びLUTを適用することが可能になる。画像は、逆離散コサイン変換の実行によりノイズが低減されて復元される。この復元処理は、画像信号源の各チャンネルについてノイズ低減が得られるまで繰り返される。この方法は、復元処理の繰り返しによって、計算時間が非常に長くかかり、従って、マイクロコンピュータ又は低出力ワークステーションで実行される医用イメージングにおいて用いることは得策ではない。
本発明の実施形態は、原画像と呼ばれる画像全体に、かつ画像の異なるブロックに単に階層的にではなくフィルタを適用することで、この問題を解決する。入力における原画像は、単一ブロックに形成される画像と考えられ、任意の性質を有することができる。この原画像は、X線などの放射線源を提供する手段に対して患者などの被検体を曝露することによって放射線学的に取得される。放射線は、被検体を透過した後に検出器上で放射線を受信する手段により感知される。こうして得られた原画像を処理して、医療従事者が正確に判読できるようにすることができる。
本発明の実施形態は、放射線画像の処理の特定の配置においてウィーナ・フィルタを実行する信号フィルタ処理方法及び装置に関する。この種のウィーナ・フィルタは、以前から用いられ広く知られているが、ノイズ成分、特にシンチレーションノイズの無効化を対象とする。シンチレーションノイズは、局所信号が現れる領域だけでなく、その領域の周囲にも該局所信号が出現する特徴がある。
本発明の実施形態は、放射線学用途、特にマンモグラフィに関連する用途においてウィーナ・フィルタを実行する。この適用は、サンプリングによる画像の再構成である。本発明の実施形態において、このウィーナ・フィルタのパルス・レスポンスが構築される。具体的には、これは、フィルタの異なる成分を定義する仮定を設定すること、特に検出器の伝達関数によって構成される。次いで、フィルタのパルス・レスポンスを用いて、好ましくは信号が空間変換空間において変換されることなく、画像信号を処理する。処理終了時には、初期空間は残っていないので、初期空間に戻る必要がないのが好ましい。
本発明の実施形態は、身体が放射線源を提供する手段によって放射線に曝露される放射線画像のフィルタ処理の方法及び装置である。被検体を透過した後、検出器などの放射線感知手段によって放射線が感知される。身体の内部構造を表す第1の初期画像が得られる。初期画像は該初期画像において局所的に作用する小サイズのフィルタ手段によって補正されて最終画像が得られる。
本発明の実施形態は、以下の説明及び添付図面からより明確に理解されるであろう。これらの図は、単に本発明の表示のために示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
図1は画像生成装置1を示す。生成される画像は、放射線源2を備える手段から生じる入射放射線の検出により得られる。患者などの被検体Pは、入射放射線に曝露される。装置1は、画像検出器3などの、患者を透過した後の放射線を受信又は感知する手段を有する。画像は、画像処理手段4、並びに表示及び分析モジュール5によって得られる。画像検出器3は、下にあるシンチレータ7に光学的に結合される光検出面6を含むことができる。シンチレータ7は、放射線源2から生じるX線などの入射放射線を受信するように位置付けられる。入射放射線に応答してシンチレータ7で発生したフォトンは光検出器8固有の表面を透過し、該シンチレータは例えばヨウ化セシウムから作られ、放射線が検出されて対応する画像データ信号が生成される。
画像検出器3は画像プロセッサ4に電気的に結合され、該プロセッサは次いで、入射画像信号を受信する。プロセッサ4は、入射画像信号を分析及び表示モジュール5に送信する。入射画像信号は未加工で且つ未処理である点に留意することができる。医用画像において検出器3が用いられる。この検出器3は、患者が受ける放射線量が低減されると共に、生成される画像は許容可能な画質を維持するようなアクティブピクセル面を有する。検出器の電気ノイズは低減されないので、この低減された照射によって、とりわけノイズの多い検出がもたらされる。
一般的に可視域において、シンチレータ7によって放射線信号に変換された放射線を有することは、電気的に検出不可能なエネルギーを電気的に検出可能なエネルギーに変換する必要性に対して有用である。更に、電子画像信号のデジタル記録は、画像信号を改善し復元する処理演算の実行を容易にし、又は決定アルゴリズムを用いることが可能となる。
光検出器8は、シンチレータ7の表面全体の下に2次元に配列される多数の下層光検出器ピクセル9を含む。従って、画像はマトリクス・サイズ(n×m)に対応する行と列に分割される。光検出器8の各ピクセルは、分析及び表示モジュール5における表示ゾーンに対応する。従って、モジュール5は、入射する照射に応答して、それぞれの光検出器8の各ピクセルで生成される電荷の計測を可能とする。この電荷は、検出器3及びモジュール5によって計測されて定量化される。この検出器3及びモジュール5は共に、このピクセルに関するデジタル値を生成する。マンモグラフィの領域外では、スキャナ(図示せず)と呼ばれるデジタル画像アナライザに対応する点に留意されたい。
放射線曝露中、放射線の線量D0が、放射線源2によって被検体の身体へ送信される。この線量D0は、被検体の身体を透過して画像検出器3によって受信される。画像検出器3によって受信された線量の画像は、s(x、y)と呼ばれるX線画像である。画像は、シンチレータ7によって発光画像信号f(x、y)に変換される。検出器3の伝達関数は、発光X線画像s(x、y)と、h(x、y)で記述される画像検出器3の伝達関数との間に畳み込みを適用することになる。この伝達関数h(x、y)は画像検出器3の特性である。
分析及び表示モジュール5によって処理された画像f(x、y)の大きさは、初期画像の大きさと同じであるのが好ましい。これらはマトリクスであり、1つの実施例において、1024×1024ピクセル、512×512ピクセル、又は256×256ピクセル、或いは他の任意の形のマトリクスであり、若しくは非正方マトリクスであってもよい。大きさは限定的なものではなく、ユーザの要件によって変更することができる。
検出器3によって受信された画像s(x、y)は、医療従事者又は医用画像の専門医によって観察することができるようにしなければならない。しかしながら、画像検出器3を透過した後、この画像s(x、y)はまだ未加工及び未処理画像f(x、y)である。画像は、アーチファクト及び特にシンチレータによるシンチレーションノイズとして知られるノイズを含む。関連するノイズは全て、(その後アクセスされるであろう)照射の性質によるノイズ及び検出器の性質によるノイズによって生じる。この後者のノイズは、n(x、y)で示され、一般に電気ノイズであり、画像検出器3によって得られた画像s(x、y)に加えられたノイズである。
明確化のために、f(x、y)は放射線の検出器透過によって得られる画像を示す。この信号は2つの成分を有し、第1の成分は、画像検出器3の伝達関数により畳み込まれた画像に対応するもの、すなわちs(x、y)*h(x、y)であり、第2の成分は、加法性ノイズn(x、y)を表す。要約すると、f(x、y)=s(x、y)*h(x、y)+n(x、y)であり、式中の符号*は畳み込み演算を示す。複素演算である畳み込みを実行するのではなく、本発明の実施形態は、単純な乗算だけが計算されるように(空間変換による)逆格子空間になる。
本発明の実施形態は、画像s(x、y)のシンチレーションノイズを除去又は少なくとも低減しようとするものであり、その結果、1つのペイロード・データ(すなわち信号又は画像s(x、y))と存在する放射線ノイズ(この場合n(x、y))との割合を示す信号対ノイズ比が改善されるようになる。本発明の実施形態は、ウィーナ・フィルタに対応し、その係数が好ましくはフィルタ処理された画像の各点に一致する直接初期画像に適用可能な畳み込みコアを用いることによりシンチレーションノイズの問題を解決する。実際、畳み込みコアは、係数のマトリクスであり、好ましくは正方形で画像のサイズより(はるかに)小さなサイズである。係数は、マトリクスと同じサイズを有するピクセルのグループのデジタル値を重み付けするように適用される。マトリクスの中心位置のピクセルは、一般的に和である、これらの重み付け値の組合せに対応するフィルタ処理値として公知の値に割り当てられる。
画像f(x、y)が得られるまで、別の画像に対する特定の画像処理演算は実行されていこと点に留意されたい。更に、これら全ての画像は、画像の空間座標x及びyに依存する直接初期空間として知られる空間において得られている。
畳み込みコアの決定方法の説明、従ってウィーナ・フィルタの変換の説明においては、画像s(x、y)は、空間周波数空間における離散高速フーリエ変換(FFT)の適用により変換画像s(u、v)に変換されると言える。座標u及びvは、この空間周波数空間の2次元周波数座標である。変換は、好ましくは高速フーリエ変換である。しかしながら、他の形式の変換、例えばZ変換なども想定することができる。好ましくは、空間周波数空間のピクセルの数は、初期空間のピクセルの数と同じである。
この変換では、画像s(u、v)は以下の関係で与えられる。
f(u、v)=s(u、v)×h(u、v)+n(u、v) (1)
f(u、v)、s(u、v)及びn(u、v)はそれぞれ、f(x、y)、s(x、y)及びn(x、y)のスペクトルを表し、h(u、v)は、h(x、y)で示される画像検出器3の伝達関数のフーリエ変換を表すことが分かる。ウィーナ・フィルタw(u、v)は、以下の関係によって周波数空間で表すことができる。
f(u、v)、s(u、v)及びn(u、v)はそれぞれ、f(x、y)、s(x、y)及びn(x、y)のスペクトルを表し、h(u、v)は、h(x、y)で示される画像検出器3の伝達関数のフーリエ変換を表すことが分かる。ウィーナ・フィルタw(u、v)は、以下の関係によって周波数空間で表すことができる。
w(u、v)=h(u、v)/(h2(u、v)+(n(u、v)/s(u、v)2) (2)
一連の説明は、f(x、y)から導き出されるf(u、v)からs(u、v)を求め、次いでs(u、v)からs(x、y)を求めることを示す。この手法は、検出器3の伝達関数の影響を排除する。
一連の説明は、f(x、y)から導き出されるf(u、v)からs(u、v)を求め、次いでs(u、v)からs(x、y)を求めることを示す。この手法は、検出器3の伝達関数の影響を排除する。
これに関して、図1は、フローチャートの形式で、プロセッサ4によって実行することができるプログラムの図を示す。入力において、モジュール5が、n(x、y)によってノイズの影響を受け、s(x、y)*h(x、y)で畳み込まれた、コンポジット信号10を受信することが示される。FFT型変換11を通して、受信信号10は、信号12に変換することができ、空間周波数空間においてf(u、v)=s(u、v)×h(u、v)+n(u、v)で表される。この信号12は、除算器13において関数w(u、v)で除算され、信号14が得られる。関数w(u、v)は、本発明で求められる畳み込みコアの逆数を表している。この除算の結果14は、変換器15によって逆変換されて逆畳み込み信号16が得られる。変換器15は、変換器11に対する逆変換器である。理論的には、信号16は、s(x、y)+n(x、y)に等しく、検出器のシンチレーションノイズの影響h(x、y)は無効化される。本発明の実施形態において、除算器13の計算をかなり単純化することが可能である。この単純化により、逆変換17を行い、逆畳み込みコアw(u、v)の初期空間における式NDを求めることさえ可能である。その結果、この逆畳み込みコアNDのサイズは小さいので、このようにして逆数にされたコアにより信号10の逆畳み込み18を形成して信号16を得ることはより簡単なことである。実際に、逆畳み込みマトリクスのサイズは画像のサイズよりはるかに小さい。
式(2)において、h(u、v)の画像検出器の伝達関数が実数である点に留意されたい。
この形成段階において、許容可能なフィルタの実装を妨げる問題点を評価することができる。問題点は、放射線線量(非線形性をもたらす)に依存し、従って含まれるX線のスペクトルに依存する量子ノイズによって決まるs/n比又はn/s比の定量的認識、及び高分解能画像に対するフーリエ領域で過度に長い計算を行う必要があることである。
本発明の実施形態において、この2つの問題点は仮定を立てることにより解決される。ウィーナ・フィルタを定義するこの関係は計測可能な量であるh(u、v)に第一に依存することが分かる。関数h(u、v)は、正のフーリエ変換であり、h(x、y)の非ゼロパルス・レスポンスである。この結果、積は逆格子空間で逆数にすることができ、すなわちh(u、v)で除算することができる。逆格子空間におけるこの除算は、初期空間において、伝達関数h(x、y)すなわち信号s(x、y)の劣化の原因となる関数の逆数であるフィルタによる畳み込みを実行することと等価である。このようにすることにおいて、検出器は、h(x、y)によってs(x、y)を畳み込み、逆畳み込み器は検出器の(有害な)作用を無効化する。
更に、n(u、v)/s(u、v)比は、測定することのできる比である。これに対応する測定は、情報を取得する際における照射線量の使用効率の測定である。この変数は、DQE、すなわち検出量子効率と呼ばれる。この変数は、出力での信号対ノイズ比と入力での信号対ノイズ比との比の二乗に等しい。理想的な画像検出器のDQEは1に等しいことが知られている。
式(2)で与えられるウィーナ・フィルタを構築するためには、信号対ノイズ比の逆数であるn(u、v)/s(u、v)比を知る必要がある。従って、n(u、v)及びs(u、v)を定義する必要がある。n(x、y)が画像検出器3の電気ノイズに対応する加法性ノイズを表すことは公知である。この加法性ノイズは、特に電子検出器の特別な場合におけるガウス白色ノイズであると考えられる。この加法性ノイズn(x、y)のスペクトルn(u、v)は、従って、周波数の関数として一定であり、n(u、v)=Nとなる。更に、この数Nは固定の測定可能な定数である。
更に、s(x、y)は、X線照射により発生する画像であり、このX線照射の性質により量子ノイズが発生する。その上、信号s(x、y)は未知であるので、所与の仮定によれば量子ノイズとみなすこともできる。従って、最初に実信号を考慮し、次いで量子ノイズと置換された実信号を考慮して、フィルタの計算における結果として得られた差を評価する。その結果、ノイズのスペクトルが信号のスペクトルを低減し、従って信号が未知のときの過度な補正が防止されることを評価することができた。この量子ノイズは、フォトンの取得に用いられる方法によってポワソン型統計分布を有する。これは白色ノイズである。従って、このノイズのスペクトルは全周波数にわたって一定である。これらを考慮すると、量子ノイズs(x、y)のスペクトルであるs(u、v)はKに等しい定数であるといえる。
これらの定数N及びKの決定は、N及びKが、例えば電子、ホール、フォトン又は線量の単位といった同じ単位で表す必要があるという制約に基づく。1つの実施例においては、これらの定数Kをピクセル当たりのフォトン数によって表すように選択される。また、このフォトン数は、X線の線量D0に相当する。この線量は、空間周波数の空間におけるゼロ周波数でのピクセル当たりの期待フォトン数S0に相当する。空間周波数の空間においても、他の周波数での期待振幅s(u、v)は、単に量子ノイズの振幅であり、すなわち一定でS0=Kに等しい。
式(2)から次式のように記述することができる。
w(u、v)=(h(u、v)/(h2(u、v)+(N2/S0)) (3)
この関係から、このフィルタは画像検出器3の伝達関数の逆数である点に留意されたい。
この関係から、このフィルタは画像検出器3の伝達関数の逆数である点に留意されたい。
定数Nによって示される加法性ノイズが存在しないとき、又は画像S0が加法性ノイズNよりも大きいときには、マトリクスを用いて構築された畳み込みコア、従ってウィーナ・フィルタは、相殺する係数を有する。反対に、加法性ノイズNが大きいときには、フィルタ係数は最大を示すことができる。これは小サイズフィルタの採用を妥当なものとする。
この説明は、画像19、例えばマンモグラフィにおいて胸部画像を撮影することによって概略的に示すことができる。この画像19は、高速フーリエ変換(FFT)による変換で空間周波数の最終空間において周波数依存ピクセルになる、初期空間のxyのピクセルで表される。例えば、2048×2048のピクセル・サイズの画像を撮影する場合には、(画像と同じサイズを有する)ウィーナ・フィルタによるこの画像の処理は、従来のモードで実行すると約20秒かかる。従来の画像処理演算において、この方法は許容できる。しかしながら、マンモグラフィにおいては、画像処理の計算時間が極めて大きく、この方法は許容できない。本発明の実施形態により実行すると、この時間を約2秒まで短縮する。
上述の問題を解決するために、本発明の実施形態は、上述のように計算される小サイズ(2×k+1)(kは小さな整数、例えば15以下)の畳み込みコアを用いること、次に逆高速フーリエ変換17を用いてこの畳み込みコアを逆変換すること、その後、初期空間において結果得られた画像f(x、y)にこれを適用することを提案する。小サイズの逆畳み込みコアND、すなわち逆変換された畳み込みコアの使用は、画像f(x、y)に対する畳み込み乗算の適用領域の空間を低減する。これにより計算が短縮されることになる。必要とされるのは関心領域の画像f(x、y)の1つの情報だけなので、この空間の低減は有害ではないことが示される。関心領域は、フィルタ処理されることになる画像の一部分、又は他の任意の演算を実行するのが望ましい画像の一部分として画定される。この関心領域は、強度又は色の範囲から画定することができる。
本発明の実施形態において、関心領域は、X線量D0から臨床的関心領域を画定するように選択される。概略的には、画像19は、マンモグラフィの場合に胸部が位置付けられるゾーン20を示す。このゾーンが臨床的関心領域に対応することができる。画像はより強く照明されている別のゾーン21を示している。また、臨床的関心領域は、ハードウェア的考慮事項すなわち畳み込みに必要な計算能力、及び情報の最も重要な部分を含む畳み込みコアの中心点の決定に基づいて選択することができる。しかしながら、妥協が必要となる点は留意されたい。実際、本発明による臨床的関心領域は、最大分解能で表示されるこの領域は、低い分解能で表示される背景と組み合わせることができるように選択される。換言すると、関心領域のサイズが大きくなるほど画像処理を行う価値が大きくなるが、計算時間はより長くなる。この方法は、データの診断価値を保持しながら同時に計算時間を短縮する。この目的において、マンモグラフィの場合の臨床的関心領域だけでなく、最高密度を検出するアルゴリズムが開発される。
更に、単位線量D0のレベルの関数であるので、臨床的関心領域は、D0が均一であれば一定であり、或いはD0が可変であれば可変とすることができる。本発明の実施形態は、同じ検出器3で示された全ての画像について均一である単位線量レベルD0に限定されない。本方法が、特に診断上の理由から曝露線量が変化する時に可変の線量レベルを用いる場合には、この線量D0はαD0と置換することができる。従って、線量はαで変化する因数によって変化するようにされる。αD0によってD0が変化する際には、画像検出器3によって検出されるフォトン数が変化するようにされる。画像s(x、y)自体のスペクトルS0は、この時S0からαS0に変化し、ここでαは検出器3が計測されるための基準線量に対する線量である。
ウィーナ・フィルタ、従って畳み込みコアは、スペクトルS0による線量D0に依存するので、線量D0をαD0に関連付けて変化させることは、ウィーナ・フィルタを線量αD0に従って変化させることになる。この場合、式(2)は、
w(u、v)=(h(u、v)/(h2(u、v)+(N2/αS0)) (4)
となり、ここでαは、局所的に定数することができる空間依存変数である。
w(u、v)=(h(u、v)/(h2(u、v)+(N2/αS0)) (4)
となり、ここでαは、局所的に定数することができる空間依存変数である。
変数αの決定には、臨床的関心領域の決定を必要とする。画像19において、この領域は肉眼で視ることが可能な領域20である。しかしながら、処理及び検出装置3〜18は、原理上この領域が認識されない。この領域を装置が認識できるように、本発明の実施形態は、臨床ゾーンを決定するアルゴリズムを実行する。このアルゴリズムにより、線源2からの直接照射を受ける画像の部分21を決定することが可能となる。ゾーン21において、検出器は飽和状態である。従って、アルゴリズムの原理は、画像から飽和部分を除去し、他の部分を臨床領域として確保しておくことからなる。これら他の部分において、特にヒストグラムにおいては、平均線量を計測することができ、この平均線量から基準線量に対する係数αを決定することができる。
また、曝露パラメータすなわちX線管の高電圧、線管電流、及び曝露持続時間を用いて、基準線量に対する係数αを決定することもできる。この場合、αは、施設の制御装置によって要求された指令値の計測によって直接与えられる。
変形として、図1に見られるように、線量αS0は、局所的受信線量の平均として計測されることになり、これ自体もまた基準線量と比較される。局所線量の位置は、例えば、特定の中心ピクセル23の周囲に均一に位置付けられるピクセルの集合22の位置であり、これは、例えば医療従事者によって、表示された臨床画像上で指定されることになる。ある場合においては、フィルタは固定されており、すなわち画像の全てのピクセルについて同じフィルタであるが、特定の領域(この場合、ピクセル23を含む領域22)に適合されるようになる。
しかしながら、フィルタの動的決定を想定することも勿論可能である。この場合、ピクセル23を含む領域22に対して決定されたフィルタは、領域22と隣接する、ピクセル25を含む領域24に対して決定されたフィルタとは異なるようにされる。この場合、フィルタは空間依存である。
別の変形として、特にヒストグラムで評価されると、臨床的領域は、受信線量が可能な限り最小になる(所与のサイズの)ものとなる。
図2は、フィルタの計算、すなわち直接空間におけるウィーナ・フィルタの計算を示す。図の左の部分は、シンチレータの伝達関数のフーリエ変換26、すなわちh(u、v)の画像を示す。図2の部分27は、式(2)で計算されたウィーナ・フィルタ13を示す。図2の部分28は、演算を初期空間へ戻すウィーナ・フィルタ13の逆変換17を示す。拡大図29は、この初期空間において、本発明の実施形態が、上記説明の関数として中心係数に対してのみ関係していることを示している。フィルタ18(ND)の理論的計算は、デジタル逆フーリエ変換を受ける、式(2)のデジタル適用から実行される。その結果、この逆変換の中心値は、ウィーナ・フィルタのパルス・レスポンスの有用な部分を表す。実行の際には、本発明の実施形態は、例えば7×7要素のコアに限定される。
本発明の実施形態の1つの特定の実施例において、これら中心係数は、図3に詳細に示される値A、B、C、D、E、F、G、H、I、J及びKを有する7×7係数の好ましいグループから選ばれる。従って、直接空間におけるウィーナ・フィルタは、正方形のメジアン線及び対角線に沿って対称であり、より一般的には正方形の中心で対称である。一般に、フィルタの係数は、該係数が関連するピクセルと値Aを有する中心ピクセルとの間の距離の関数として絶対値で減少する値を有する。
7×7サイズは、このフィルタを初期画像10の各ピクセルに適用する必要があるプロセッサ4の計算力に関係する。5×5、9×9及び11×11サイズを有するコアには、他の試みが行われた。例えば、検出器のパルス・レスポンス自体が等方性でない場合、コアは必ずしも正方形又は対称ではない。
フィルタ処理において、画像全体がフィルタのコアによって畳み込まれる。実際、7×7フィルタで、AからKの10の係数が計算される。
1つの変形において、係数の各々は、7つの係数では線量S0の関数として、6次逆畳み込みからの回帰によって得られるのが好ましい。これは、各係数AからKが次式で表されることを意味する。
AtoK=a(αD0)6+b(αD0)5+c(αD0)4+d(αD0)3+e(αD0)2+fα(D0)+g
従って、決定されることになる7×10、すなわち70の係数が存在する。通常、B及びC型の係数の値は、Aの値の約10%であり、該係数の値はAの値の数パーセント・ポイントの範囲にある。Aの値は、線量に応じて1から1.4に等しいとすることができる。
AtoK=a(αD0)6+b(αD0)5+c(αD0)4+d(αD0)3+e(αD0)2+fα(D0)+g
従って、決定されることになる7×10、すなわち70の係数が存在する。通常、B及びC型の係数の値は、Aの値の約10%であり、該係数の値はAの値の数パーセント・ポイントの範囲にある。Aの値は、線量に応じて1から1.4に等しいとすることができる。
しかしながら、こうしたフィルタ処理に関してゾーン20及び21の間の境界線で寄生現象が発生する。この現象は、周波数エイリアシングになぞらえることができ、輪郭エコーをもたらす。検査されている胸部が機器(例えば生検プローブ)と交差すると、同種の現象が起こる場合があり、ここではプローブの輪郭が異常に強調されて見られる。この現象を防ぐために、関連するレベルが飽和ゾーンに対応しない場合にのみフィルタ処理を適用する。次に、高い閾値が設定されて、画像から飽和に近いゾーンが除去される。次いで、フィルタ処理演算が、この高い閾値を下回る値のピクセルに対して実行される。必要であれば、フィルタ処理は、(5×5、7×7、9×9の関連ピクセル上の)フィルタ処理ドメインの信号変化が、閾値を下回ることになる場合にのみ実行することができる。従って、エッジ効果が回避される。
当業者であれば、本発明の範囲及び現存する保護から逸脱することなく、本明細書に開示された実施形態及びその均等物の機能及び/又は方法及び/又は結果及び/又は構造及び/又は段階に対して様々な変更を行うこと又は提案することができる。
2 放射線源
3 画像検出器
4 画像処理手段
5 表示及び分析モジュール
8 光検出器
13 除算器
15 変換器
3 画像検出器
4 画像処理手段
5 表示及び分析モジュール
8 光検出器
13 除算器
15 変換器
Claims (23)
- 被検体が放射線に曝露され検出器を通じて前記被検体の内部構造を表す第1の初期画像が得られる、放射線画像を提供する方法であって、
前記初期画像において局所的に作用する小サイズのフィルタによって前記初期画像を補正して最終画像を得る段階を含み、
前記フィルタの機能は、前記初期画像の臨床的関心領域における放射線の局所線量に依存することを特徴とする方法。 - 前記局所線量の依存度が前記第1の画像に対して評価される請求項1に記載の方法。
- 前記局所線量の依存度が、基準線量に対して評価される請求項1又は2に記載の方法。
- 前記局所線量の依存度が、曝露制御装置によってなされる評価から得られる請求項1から3の1つに記載の方法。
- 前記フィルタを決定するために、
第1の初期画像を直接初期空間において考慮し、
空間周波数空間における変換により前記第1の初期画像を変換して第1の変換画像を取得し、
ウィーナ・フィルタによって前記第1の変換画像を処理してフィルタ処理済み画像として第2の変換画像を取得し、
前記初期空間への逆変換によって前記第2の変換画像を変換して、第2の最終画像を該初期空間において取得し、
前記空間周波数の空間において検出の伝達関数が純粋な検出項と信号対ノイズ比項とを含むことを確立することにより、前記ウィーナ・フィルタの係数を計算し、
前記信号対ノイズ比項はペイロード信号をノイズ信号で除算した結果であり、
前記ノイズ信号の項は定数Nに置換され、前記ペイロード信号の項は線量依存局所定数Kに置換されることを特徴とする請求項1から3の1つに記載の方法。 - 前記定数Nが、放射線フォトンの検出に伴う物理的現象に関連するノイズの値から導き出され、前記定数Kが、受信放射線量と基準線量D0との比較から導き出されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記受信線量が、画像の臨床的関心領域で測定される請求項5から6の1つに記載の方法。
- 前記フィルタがN×Nのコア・サイズを有し、前記コアの各要素が線量αD0の多項式関数であって、ここでαは前記線量が基準線量である場合は1に等しいことを特徴とする請求項1から7の1つに記載の方法。
- 前記線量の前記多項式関数が、
a(αD0)6+b(αD0)5+c(αD0)4+d(αD0)3+e(αD0)2+fα(D0)+g
の形式の6次多項式である請求項8に記載の方法。 - 前記コアの異なる要素が対称を示すことを特徴とする請求項8又は9の1つに記載の方法。
- 線量レベルが変化する場合には、前記線量の局所値に基づく多項式アプローチに従って前記コアが局所的に計算される請求項8から10の1つに記載の方法。
- 飽和ゾーンが決定され、
高い閾値が設定されて前記画像から飽和に近いゾーンが除去され、
前記信号の値が該高い閾値を下回るピクセルに対してフィルタ処理が実行されることを特徴とする請求項1から11の1つに記載の方法。 - 前記フィルタの係数が一般に、係数に関連するピクセルと中心ピクセルとの間の距離に従って減少する絶対値を有する請求項1から12の1つに記載の方法。
- 放射線画像を提供する装置であって、
被検体に対する放射線源を提供する手段と、
前記被検体を透過後に前記放射線を感知する手段と、
前記被検体の内部構造を表す第1の初期画像を形成する手段と、
請求項1から13のいずれか1つによって提供されるフィルタによって前記初期画像を補正して最終画像を取得する手段と、
を備える装置。 - フィルタの係数を決定する方法であって、
検出項と、被検体信号をノイズ信号で除算する結果である信号対ノイズ項とを含む検出信号の伝達関数を空間周波数の空間において確立する段階と、
前記ノイズの信号項を定数Nで置換する段階と、
前記被検体の信号項を局所定数Kで置換する段階と、
を含む方法。 - 前記定数Nが放射線の検出に伴う物理的現象に関連するノイズ値から導き出され、前記定数Kが受信放射線と放射線の基準線量との比較から導き出されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 前記フィルタがN×Nのコア・サイズを有し、前記コアの各要素が放射線量αD0の多項式関数であり、ここでαは前記線量が基準線量である場合に1に等しいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 前記線量の前記多項式関数が、
a(αD0)6+b(αD0)5+c(αD0)4+d(αD0)3+e(αD0)2+fα(D0)+g
の形式の6次多項式である請求項17に記載の方法。 - 前記フィルタの係数が一般に、係数に関連するピクセルと中心ピクセルとの間の距離に従って減少する絶対値を有する請求項15に記載の方法。
- 前記フィルタがウィーナ・フィルタである請求項15に記載の方法。
- 請求項1の段階を実行する手段を含むコンピュータ装置を有する、放射線画像を形成する装置。
- コンピュータ上で実行するときに請求項1の段階を実行するコード手段を含むコンピュータ・プログラム。
- コンピュータ上で実行するときに請求項1の段階を実行するコードを搬送するキャリア上のコンピュータ・プログラム。
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Cited By (2)
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