JP2005166171A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非2P法で作成できる、記録層を3層有する両面記録再生タイプの光記録媒体の提供。
【解決手段】 光案内溝を有する第1の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、第1の反射層、有機保護層を順次形成した第1の情報基板と、光案内溝を有する第2の基板上に、第3の無機保護層、Sb−Te系合金を含む相変化型記録材料からなる第3の記録層、第2の無機保護層、第2の反射層、有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、無機保護層を順次形成した第2の情報基板とが、有機透明中間層(接着層)を介して、基板が外側になるように貼り合わされた光記録媒体であって、第1、第2の記録層の記録再生は第1の基板方向からレーザー光を照射することにより行われ、第3の記録層の記録再生は第2の基板方向からレーザー光を照射することにより行われるものである光記録媒体。
【選択図】 図3

Description

本発明は、追記可能な記録層を3層有する両面記録再生タイプの光記録媒体に関する。
読み出し専用のDVD(デジタルバーサタイルトディスク)などの光記録媒体に加えて、記録可能なDVD(DVD+RW、DVD+R、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAMなど)が実用化されている。このDVD+R、DVD+RWなどは、従来の記録可能なCD−R、CD−RW(記録型コンパクトディスク)技術の延長上に位置するもので、再生専用DVDとの再生互換性を確保するために、記録密度(トラックピッチ、信号マーク長)と基板厚さをCD条件からDVD条件に合うように設計されている。
例えば、DVD+RではCD−Rと同様に、基板上に色素をスピンコーティングして光記録層を設け、その背後に金属反射層を設けた情報記録用基板を、貼り合せ材を介して同形状の基板と貼り合せるという構成が採用されている。この場合、光記録層としては色素系材料が用いられる。CD−RはCDの規格を満足する高反射率(65%)を有することが特徴の一つであるが、上記構成において高反射率を得るためには、光吸収層が記録再生光波長で特定の複素屈折率を満足する必要があり、色素の光吸収特性が適していたからである。これはDVDでも同様である。
ところで、本出願人は、先願(特願2003−145458号)において、記録容量を増大させるために2層の記録層を有する追記可能なDVDを提案した。図1は、このような2層の記録層を有するDVDの構造を示す断面図であり、第1の記録層・第2の記録層共に追記可能である場合の例である。1は第1の基板、2は第2の基板、3は有機色素を主成分とする第1の記録層、6は第1の反射層、5は有機透明中間層、4は有機色素を主成分とする第2の記録層、7は第2の反射層、8は無機保護層であり、この第1、第2の記録層においては、第1の基板面側から光により記録再生が行われる。
表面に第1の記録層及び第1の反射層を順次形成した光案内溝を有する第1の情報基板と、表面に第2の反射層、第2の記録層、第1の無機保護層を順次形成した光案内溝を有する第2の情報基板とを、有機透明中間層を介して基板が外側になるように貼り合わせたのもので、第2の記録層からも良好な信号反射率が得られる。即ち、第1の無機保護層により有機透明中間層との密着による第2の記録層のダメージを抑制し、色素記録層両界面の多重干渉効果により、第2の記録層から高反射率を得る構成となっている。2層の記録層から信号を読み取ることができるので、最大8.5GB程度の記憶容量が得られる。
第1及び第2の基板の厚みは約0.6mmであり、有機透明中間層の厚みは約50μmである。第1の反射層となる半透明膜は、その反射率が30%程度となるように形成されており、第2の記録層に記録するために照射されるレーザー光は、第1の反射層で全光量の約30%が反射されて減衰したのち、第2の記録層に隣接する第2の反射層で反射され、再度第1の反射層で減衰してディスクから出ていく。再生用レーザー光を、第1の記録層又は第2の記録層上に焦点が位置するように絞り、反射光を検出することにより、それぞれの記録層に記録された情報を読み取ることができる。なお、DVDの場合記録再生に用いるレーザー光波長は約650nmである。
また、特許文献1においては、ディスク基板の少なくとも一方の面に信号層を形成し、該信号層上に中間層を介して新たな信号層を少なくとも1層積層することにより多層構造を構成し、2層以上の信号層に対してデータの記録又は再生を行うようにした光ディスクを提案している。図2は、このような多層の記録層を有するDVDの構造を示す断面図である。光ディスク11は、ディスク基板12の少なくとも一方の面に凹凸形状や案内溝等の下部信号層13が設けられ、更にその上に、多層構造14が積層された構造を有するものである。上記多層構造14の一層当りの構造は、下部信号層13の上に感圧性粘着シート層15があり、その上に紫外線硬化樹脂層16、更にその上に上部信号層17が積層され、最上部に光学的に透明なカバー層18が積層されている。なお、下部信号層13及び上部信号層17の凹凸形状又は案内溝は、予めスタンパーに紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させることによって形成し、その後に、粘着シートを用いてディスク基板12等に貼り合わせたものである。この方法によれば、ディスク基板12又はスタンパーが紫外線を透過できるようにする必要が無く、2層以上の多層光ディスクが容易に作成できる。
特開2003−91868号公報
特許文献1では、2層以上の信号層に対してデータの記録又は再生を行うようにした光ディスクにおいて、中間層を紫外線硬化樹脂層と粘着シート層によって構成し、紫外線硬化樹脂層には、データの記録信号を構成する凹凸形状又は案内溝を形成した複数の記録層又は信号層を積層し、レーザービームの焦点位置を変えることによってそれぞれの信号層に記録を行っている。しかしこの場合、2P法(フォトポリマー法)により紫外線硬化樹脂層と粘着シート層で中間層を作製していくため、接着層を介して2つの情報基板を貼り合わせる工程に比べて生産作業工程がより複雑になり、歩留まりに影響を与えるだけでなく、コスト的な面でも高くつくことが懸念される。
本発明は、この問題点を解消すると共に、2層の記録層を有するデュアルレイヤータイプの光記録媒体を元にして、非2P法で作成できる、記録層を3層有する両面記録再生タイプの光記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜5)の発明によって解決される。
1) 光案内溝を有する第1の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、第1の反射層、有機保護層を順次形成した第1の情報基板と、光案内溝を有する第2の基板上に、第3の無機保護層、Sb−Te系合金を含む相変化型記録材料からなる第3の記録層、第2の無機保護層、第2の反射層、有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、第1の無機保護層を順次形成した第2の情報基板とが、有機透明中間層(接着層)を介して、基板が外側になるように貼り合わされた光記録媒体であって、第1、第2の記録層の記録再生は第1の基板方向からレーザー光を照射することにより行われ、第3の記録層の記録再生は第2の基板方向からレーザー光を照射することにより行われるものであることを特徴とする光記録媒体。
2) 第3の記録層が、Ag、In、Geを含有するSbTe共晶系合金からなることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 第2の基板の光案内溝の溝深さが100〜400Åであることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 第1の基板がグルーブにウォブルを有し、グルーブトラッキングにより第1の記録層を内周から外周に向けて記録再生することができ、ランドトラッキングにより第2の記録層を外周から内周に向けて記録再生することができ、かつ第2の基板がランドにウォブルを有することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 第3の記録層がランドトラッキングにより内周から外周に向けて記録再生されることを特徴とする4)記載の光記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明は、従来の2枚の基板を貼り合わせた2層光記録媒体に対して、第2の基板上に反射層を間に挟んで追記可能な2層の記録層を形成し、両面から記録再生できるようにした、記録層を3層有する記録容量が単層光記録媒体の約3倍の高密度光記録媒体である。
図3に、本発明の光記録媒体の構成例を示す。21は第1の基板、22は第2の基板、23は有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、24は第1の反射層、25は有機保護層、26は有機透明中間層(透過性を有する接着層)、27は有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、28は第2の反射層、29は第1の無機保護層、30は第2の無機保護層、31はSb−Te系合金を含む相変化型記録材料からなる第3の記録層、32は第3の無機保護層である。第1、第2の記録層23、27に関しては第1の基板面側から、第3の記録層31に関しては第2の基板面側から光を照射することにより記録再生が行われる。なお、以後の説明において、有機透明中間層を境にして、第1の基板側にある部分を第1の情報基板、第2の基板側にある部分を第2の情報基板と言うことにする。
本発明の光記録媒体では、第1の基板表面に、第1の記録層、第1の反射層及び有機保護層を順次形成した光案内溝を有する第1の情報基板と、第2の基板表面に、第3の無機保護層、第3の記録層、第2の無機保護層、第2の反射層、第2の記録層、第1の無機保護層を順次形成した光案内溝を有する第2の情報基板とを、有機透明中間層を介して基板が外側になるように貼り合わせたので、第2の記録層及び第3の記録層から良好な信号反射率が得られる。
即ち、本発明では第1の基板方向からレーザー光を照射した際に、第1の無機保護層によって有機透明中間層との密着による第2の記録層のダメージを抑制できると共に、色素記録層両界面の多重干渉効果により、第2の記録層から高反射率を得ることができ、また第2の基板方向からレーザー光を照射することで、第3の記録層からも高反射率を得ることができる構成となっている。
第1及び第2の基板には、図4に示すような凹凸のある案内溝が形成されている。DVD+R、CD−RなどCDプレーヤーで再生可能な光記録媒体の特徴の一つとして、案内溝又はピット列が蛇行状にウォブリングすることによりトラック情報が記録されていることが挙げられる。案内溝の蛇行状態はウォブル信号としてトラック信号から検出でき、所定周波数をFM変調や位相変調することで、トラック情報を予め基板上に記録しておく。トラック情報とは、アドレス情報・ディスクの回転周波数情報などであり、トラック信号から検出する場合は、情報データ信号と分離し易く、ROM信号互換を得易いという特徴がある。
本発明では、第1の基板方向から照射したレーザー光により、第1、第2の記録層から連続的に記録・再生できるように、第1の記録層では内周から外周に向けて、第2の記録層では外周から内周に向けて記録・再生されるようにすると共に、第2の基板方向から照射したレーザー光により、第3の記録層が内周から外周に向けて記録・再生されるようにすることが好ましい。内周から外周に向けて記録・再生していくときの案内溝の螺旋状態は時計回り、外周から内周に向けて記録・再生していくときの案内溝の螺旋状態は反時計回りとなるようにする。その際のトラッキング方式は、第1の記録層ではグルーブトラッキングとし、第2の記録層ではランドトラッキングとすることが好ましい。従って、第1の基板においてはグルーブ(光案内溝)にウォブルを持たせ、第2の基板においてはランドにウォブルを持たせる。その結果、第3の記録層では、ランドにウォブルが在ることになるのでランドトラッキングとなる。
第2の基板に形成する光案内溝の好ましい深さは100〜400Åである。深さをこの範囲にすることで、第2の基板に形成した光案内溝による反射光減衰を抑えることができ、第2の記録層から高反射率を得ることが容易となる。また、DVDの記録再生波長(約650nm)では、好ましい溝幅は0.1〜0.35μmである。これらの範囲よりも溝深さが深いか又は溝幅が広いと反射率が低下し易い。また、これらの範囲よりも溝深さが浅いか又は溝幅が狭いと、形成する記録マークの形状が揃い難くジッターが増加し易い。更に、光案内溝の深さが100Å未満ではプッシュプル信号が得にくい。
第1〜第3の無機保護層に用いる材料の例としては、SiO、SiO、MgF、SnO、ZnS、ZnS−SiO等の光透過性が高い無機物質を挙げることができる。特に好ましい材料は結晶性が低く屈折率が高いZnS−SiOである。第1の無機保護層の膜厚は100〜2000Åとし、好ましくは500〜2000Åとする。100Å未満では十分な記録信号変調度(コントラスト)を得にくい。また、第2、第3の無機保護層の膜厚は100〜700Åとする。100Å未満又は700Åを超える場合には十分な記録信号変調度(コントラスト)を得にくい。有機保護層に用いる材料としては、紫外線硬化樹脂などの有機材料が挙げられる。またその膜厚は2〜3μmである。
本発明の第1、第2の記録層は、DVD+R、CD−Rと同様に色素記録層両界面の多重干渉効果により高反射率を得る構成となっており、色素記録層には屈折率nが大きく、吸収kが比較的小さい光学特性が要求される。好ましい範囲は、n>2、0.03<k<0.2である。このような光学特性は色素膜の光吸収帯の長波長端部の特性を利用することにより得られる。第1、第2の色素記録層に用いることができる材料としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、アゾ系色素、ホルマザンキレート系色素、Ni,Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。
中でも、膜の光吸収スペクトルの最大吸収波長が550〜650nmにありレーザー光波長(約650nm)において所望の光学特性が得易い色素化合物としては、溶剤塗布による製膜性、光学特性の調整のし易さから、テトラアザポルフィラジン色素、シアニン色素、アゾ色素、スクアリリウム色素が挙げられる。
なお、有機色素を主成分とするとは、良好な記録再生特性を確保するのに十分な量の色素を用いることを意味するが、通常は必要に応じて添加するバインダーや安定剤などの添加剤を除き、色素のみからなる記録層とする。
記録層の膜厚は、100〜5000Åが好ましく、特に500〜2000Åが望ましい。膜厚がこの範囲より薄くなると記録感度が低下し、厚くなると反射率が低下する。
また、第3の記録層は、DVD+RW、CD−RWと同様に相変化型光記録を利用しており、記録層にレーザー光を照射して急冷することにより非晶質マークを形成する。記録層材料としては、Sb−Te系、Ge−Te系、Ge−Te−Sb系、Ge−Sn−Te系などのカルコゲン系合金を用いることが多いが、Sb−Te共晶系合金が記録(アモルファス化)感度・速度、及び消去比が極めて良好なため好ましい。これらの記録層材料には更なる性能向上、信頼性向上などを目的としてAg、In、Geなどの他の元素や不純物を添加することができる。
第3の記録層の膜厚は50〜200Åが望ましい。50Åよりも薄くなると繰り返し記録特性が低下し、200Åよりも厚くなると透過率が低下する。
本発明で用いる基板の材料は、従来の光記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。基板材料の例としては、ポリメチルメタクリレートのようなアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ソーダ石灰ガラス等のガラス及びセラミックスを挙げることができる。特に寸法安定性、透明性及び平面性などの点から、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及びガラスなどが好ましい。更に、成形し易いことからポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明で用いる反射層材料は、レーザー光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ca、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Si、SiCなどの金属及び半金属を挙げることができる。中でも高反射率が得られるAu、Al、Agが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上の組合せで又は合金として用いてもよい。
反射層の膜厚は一般に50〜3000Åとするが、第1反射層については、光透過率が40%以上になるように膜厚を調整する必要がある。好ましくは50〜300Åである。膜厚が厚くなると光透過率は減衰し易い。これらの反射層上には化学的・物理的保護のために保護層を設けても良く、その材料としては紫外線硬化樹脂などが用いられる。
有機透明中間層は透過性を有する接着層として用いることが好ましく、その材料としては既存のアクリレート系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化型又は熱硬化型接着剤等が使用できる。厚さは通常50〜65μm程度とする。
次に、本発明の光記録媒体の製造方法について説明する。
図3に示す構成例の場合、表面にグルーブが形成された第1の基板上に、第1の記録層を塗布成膜手段により形成し、その上に第1の反射層を真空成膜手段により形成し、その上に有機保護層を塗布製膜手段により形成して第1の情報基板を作成する。
一方、表面にグルーブが形成された第2の基板上に、第3の無機保護層、第3の記録層、第2の無機保護層、及び第2の反射層を真空製膜手段により形成し、その上に第2の記録層を塗布製膜手段により形成し、更にその上に第1の無機保護層を真空製膜手段により形成して第2の情報基板を作成する。
次いで、第1の情報基板と第2の情報基板を、基板が外側になるように接着剤からなる有機透明中間層を介して貼り合わせれば本発明の光記録媒体を容易に作成できる。
即ち、上記製造方法は、次の(イ)〜(ヌ)の工程からなる。
<第1の情報基板の製造>
(イ) 表面にグルーブが形成されている第1の基板上に、第1の記録層を塗布成膜
手段により設ける工程。
(ロ) 第1の記録層の上に、第1の反射層を真空成膜手段により設ける工程。
(ハ) 第1の反射層の上に、有機保護層を塗布成膜手段により設ける工程。
なお、上記第1の情報基板の製造工程は、従来のDVD+RやDVD−ROMの場合と同様である。
<第2の情報基板の製造>
(ニ) 表面にグルーブが形成されている第2の基板上に、第3の無機保護層を真空成
膜手段により設ける工程。
(ホ) 第3の無機保護層の上に、第3の記録層を真空成膜手段により設ける工程。
(ヘ) 第3の記録層の上に、第2の無機保護層を真空成膜手段により設ける工程。
(ト) 第2の無機保護層の上に、第2の反射層を真空成膜手段により設ける工程。
(チ) 第2の反射層の上に、第2の記録層を塗布成膜手段により設ける工程。
(リ) 第2の記録層の上に、第1の無機保護層を真空成膜手段により設ける工程。
<貼り合わせ工程>
(ヌ) 第1の情報基板と第2の情報基板を、基板が外側になるように接着層を介して
貼り合わせる工程。
各層の形成工程について簡単に説明する。
<記録層形成工程>
本発明では、通常、有機色素を主成分とする第1、第2の記録層を塗布成膜手段により設ける。即ち、有機色素化合物を溶媒に溶かした塗布液を基板上に塗布することにより形成する。塗布液を調整するための溶媒としては、公知の有機溶媒(例えばアルコール、セロソルブ、ハロゲン化炭素、ケトン、エーテル等)を使用することができる。また、コート方法としては、塗布液の濃度、粘度、溶剤の乾燥温度を調節することにより膜厚を制御できるため、スピンコート法が望ましい。
また、第3の記録層は、通常、真空成膜手段により設ける。即ち、相変化型記録材料を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより形成する。
<反射層形成工程>
本発明では、通常、反射層を真空成膜手段により設ける。即ち、反射層材料を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより形成する。
<無機保護層形成工程>
本発明では、通常、第1〜第3の無機保護層を真空成膜手段により設ける。即ち、無機保護層材料を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより形成する。
<有機保護層形成工程>
本発明では、通常、有機保護層を塗布成膜手段により設ける。塗布液の調整や塗布手段は記録層の場合と同様である。
<貼り合わせ工程>
本発明では、第1と第2の情報基板を、基板が外側になるように、接着層を介して貼り合わせる。即ち、第1の無機保護層の表面に接着剤を滴下し、第1の情報基板を上から被せると共に接着剤を均一に広げた後、紫外線照射により硬化させる。
本発明1によれば、記録層を3層有するので、記録容量が単層の場合の約3倍の光記録媒体を提供できる。
本発明2〜3によれば、良好な記録信号変調度、高反射率の光記録媒体を提供できる。
本発明4〜5によれば、時間的に連続した情報を2つの記録面にまたがって記録再生できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート円板の表面上に深さ1600Å、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する第1の基板を用意し、その上に、下記〔化1〕のスクアリリウム色素化合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、厚さ700Åの第1の記録層を形成し、その上に、Arをスパッタガスとしたスパッタ法によりAgからなる厚さ110Åの第1の反射層を形成し、その上に紫外線硬化樹脂からなる厚さ3μmの有機保護層を形成して、第1の情報基板を得た。
一方、直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート円板の表面上に深さ270Å、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する第2の基板を用意し、その上に、ZnS・SiOからなる厚さ700Åの第3の無機保護層、相変化型記録材料Ag0.2In3.5Sb71.4Te21.4Ge3.5からなる厚さ110Åの第3の記録層、ZnS・SiOからなる厚さ110Åの第2の無機保護層、Agからなる厚さ1400Åの第2の反射層をこの順に、Arをスパッタガスとしたスパッタ法により形成し、その上に、下記〔化1〕のスクアリリウム色素化合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、厚さ1000Åの第2の記録層を形成し、その上に、Arをスパッタガスとしたスパッタ法により、ZnS・SiOからなる厚さ1000Åの第1の無機保護層を形成して、第2の情報基板を得た。
次いで、上記第1と第2の情報基板を、基板が外側になるように、厚さ50μmの有機透明中間層となる紫外線硬化型接着剤(日本化薬製 KARAYAD DVD003)で貼り合わせ、図3に示す層構成の光記録媒体を作成した。
この光記録媒体について、パルステック社のDDU1000を評価装置に用いて、第2の基板方向から波長657nmのレーザー光を入射し、NA:0.65、線速度3.49m/sの条件で、第3の記録層におけるDVD(8−16)信号を記録/再生評価した。
その結果、記録後の反射率(I14H)19%、変調度(I14/I14H)64%が得られた。
次に、第1の基板方向からレーザー光を入射した点以外は上記と同様にして第1の記録層について評価した結果、記録後の反射率(I14H)23%、変調度(I14/I14H)80%が得られた。
Figure 2005166171
<実施例2>
第1の反射層を厚さ110ÅのAuに変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。この記録媒体について、実施例1と同じ評価装置を用いて、第1の基板方向から波長657nmのレーザー光を照射し、NA:0.65、線速度3.49m/sの条件で第2の記録層におけるDVD(8−16)信号を記録/再生評価した。その結果、記録後の反射率(I14H)20%、変調度(I14/I14H)85%が得られた。
先願の有機色素を主成分とする追記可能な2層の記録層を有する光記録媒体の構成を示す図。 特許文献1の多層構造の光記録媒体の構成を示す図。 本発明の光記録媒体の構成例を示す図。 第1及び第2の基板に形成された案内溝の説明図。
符号の説明
1 第1の基板
2 第2の基板
3 有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層
4 有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層
5 有機透明中間層(透過性を有する接着層)
6 第1の反射層
7 第2の反射層
8 無機保護層
11 光ディスク
12 ディスク基板
13 下部信号層
14 多層構造
15 感圧性粘着シート層
16 紫外線硬化樹脂層
17 上部信号層
18 光学的に透明なカバー層
21 第1の基板
22 第2の基板
23 有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層
24 第1の反射層
25 有機保護層
26 有機透明中間層(透過性を有する接着層)
27 有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層
28 第2の反射層
29 第1の無機保護層
30 第2の無機保護層
31 相変化型記録材料からなる第3の記録層
32 第3の無機保護層

Claims (5)

  1. 光案内溝を有する第1の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、第1の反射層、有機保護層を順次形成した第1の情報基板と、光案内溝を有する第2の基板上に、第3の無機保護層、Sb−Te系合金を含む相変化型記録材料からなる第3の記録層、第2の無機保護層、第2の反射層、有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、第1の無機保護層を順次形成した第2の情報基板とが、有機透明中間層(接着層)を介して、基板が外側になるように貼り合わされた光記録媒体であって、第1、第2の記録層の記録再生は第1の基板方向からレーザー光を照射することにより行われ、第3の記録層の記録再生は第2の基板方向からレーザー光を照射することにより行われるものであることを特徴とする光記録媒体。
  2. 第3の記録層が、Ag、In、Geを含有するSbTe共晶系合金からなることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 第2の基板の光案内溝の溝深さが100〜400Åであることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
  4. 第1の基板がグルーブにウォブルを有し、グルーブトラッキングにより第1の記録層を内周から外周に向けて記録再生することができ、ランドトラッキングにより第2の記録層を外周から内周に向けて記録再生することができ、かつ第2の基板がランドにウォブルを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
  5. 第3の記録層がランドトラッキングにより内周から外周に向けて記録再生されることを特徴とする請求項4記載の光記録媒体。
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