JP2005151832A - 堤防法面の管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 芝と雑草とが混在して生えた堤防法面の芝の生育を促進させるとともに雑草繁茂を抑制できて、堤防法面の弱体化を防止でき、洪水時の堤防破堤を軽減できる堤防法面の管理方法を提供する。
【解決手段】 芝及び雑草の生えた堤防法面において、芝の生育が促進されかつ雑草が衰退するという条件を満たす時期に芝と雑草の刈取を一斉に行う。また、芝と雑草の刈取を一斉に実施する時期は、芝及び雑草の生育サイクルと管理対象とする堤防法面に生えた芝及び雑草の糖度とに基いて決定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、芝と雑草とが混在している堤防法面の管理方法に関する。
従来、堤防法面の保護に際して、法面に芝を植えたり、あるいは、法面に芝生マット(ロール芝)を敷き詰める方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、築堤後数年経過すると法面に雑草が繁茂し、やがて雑草根の腐食にともない生物(ミミズ、ねずみ等)が発生することにより法面の弱体化が進行し、洪水時に堤防が破堤するケースも危惧される。
したがって、雑草の繁茂を抑制するために年に2〜3回程度、堤防法面の一斉刈取を実施していた。
特開2002−363990号公報
しかし、上述した刈取は、芝及び雑草の生育サイクルを考慮して行っているわけではなく、芝の生育を阻害する時期(危険期)や雑草の生育を促進するような時期に実施していることも多々ある。このような刈取を繰り返していると、堤防法面の芝は減少し、雑草が増加することになり、ますます堤防法面の弱体化が進行してしまうという課題があった。
本発明は、芝と雑草とが混在して生えた堤防法面の芝の生育を促進させるとともに雑草繁茂を抑制できて、堤防法面の弱体化を防止でき、洪水時の堤防破堤を軽減できる堤防法面の管理方法を提供する。
本発明では、芝及び雑草の生えた堤防法面において、芝の生育が促進されかつ雑草が衰退するという条件を満たす時期に芝と雑草の刈取を一斉に行う。
また、芝と雑草の刈取りを一斉に実施する時期は、芝及び雑草の生育サイクルと管理対象とする堤防法面に生えた芝及び雑草の糖度とに基いて決定する。
また、管理対象とする堤防法面全域に当該堤防法面の土壌を雑草の生育しにくい土壌に変える土壌改良剤を散布する。
また、管理対象とする堤防法面の土壌成分濃度を分析し、この分析結果と雑草の生育を抑制しかつ芝の生育を抑制しない土壌成分濃度基準値とを比較して、土壌改良剤を構成する肥料及び土壌改良剤の散布量を決定する。
また、過去の土壌改良に関するデータと一斉刈取りを実施した時期に関するデータとをコンピュータ管理下のデータベースに保存しておき、管理対象とする堤防法面現場から通信機器を用いて過去のデータを参照可能とした。
芝の生育が促進されかつ雑草が衰退するという条件を満たす時期に芝と雑草の刈取を一斉に行うことで、堤防法面の芝の生育を促進させるとともに雑草繁茂を抑制できて、堤防法面の弱体化を防止でき、洪水時の堤防破堤を軽減できる。
また、芝と雑草の刈取りを一斉に実施する時期を、芝及び雑草の生育サイクルと管理対象とする堤防法面に生えた芝及び雑草の糖度とに基いて決定することにより、管理対象とする堤防法面毎の芝及び雑草の状況に合せて一斉刈取時期を決定でき、管理対象とする堤防法面毎に最適な一斉刈取時期を決定できる。
また、雑草が繁茂している箇所に集中して土壌改良剤を散布するのではなく、管理対象とする堤防法面全域に当該堤防法面の土壌を雑草の生育しにくい土壌に変える土壌改良剤を散布するので、土壌改良剤の散布作業が容易となり、かつ、雑草を衰退させることができる。
また、管理対象とする堤防法面の土壌成分濃度を分析し、この分析結果と雑草の生育を抑制しかつ芝の生育を抑制しない土壌成分濃度基準値とを比較して、土壌改良剤を構成する肥料及び土壌改良剤の散布量を決定するので、堤防法面毎の土壌の現況に合せて、堤防法面の土壌を、雑草が生育しにくく、かつ、芝の生育が阻害されない土壌に改良することができる。したがって、雑草を衰退させることができて芝の活性化を図ることができる。
また、過去の土壌改良に関するデータと一斉刈取りを実施した時期に関するデータとをコンピュータ管理下のデータベースに保存しておけば、管理対象とする堤防法面現場から通信機器を用いて過去のデータを参照でき、現場で、土壌改良剤として使用する肥料の種類、配合を確認したり、管理対象とする植生の糖度測定結果を管理データと比較することにより、一斉刈取を実施する予定日の計画を立てることが可能となる。
本発明では、堤防法面に生えた雑草及び芝の一斉刈取時期を、芝及び雑草の生育サイクルと、管理対象とする堤防法面に生えた芝及び雑草の糖度とに基いて決定する。
図1(a)に示すように、芝(イネ科)は、危険期、即ち、糖度が上昇し始めてピークを迎える前後の時期(10日〜20日間位)及び越冬に備えて生育停止を開始して休眠に向かう時期(根に養分を蓄える時期)に刈取りを行うと翌年の芝の生育に多大な影響を与える。したがって、芝の最適刈取期は出穂始期〜出穂期の間及び休眠期に入る前の時期であると想定される。そこで、定期的に、管理対象の堤防法面に生えた芝の葉液の糖度を糖度計で測定する。
また図1(b)に示すように、草丈が高く上部に成長点が現れる雑草(例えばイタドリ等)の最適刈取時期は、上位葉、中位葉、下位葉の糖度の差が無くなってくる時期、即ち、開花期及びそう果を着生した後数日以内の時期であると想定される。そこで、管理対象の法面に生えた雑草の上位葉、中位葉、下位葉の葉液の糖度を糖度計で測定する。尚、株の中心に成長点が現れる雑草(例えばギシギシ等)の最適刈取り時期は、外葉、中葉、内葉の糖度の差が無くなった時期であると想定される。
上記糖度測定により、管理対象の堤防法面に生えた芝の最適刈取時期と雑草の最適刈取時期を把握し、2つの時期が一致した時期に雑草及び芝の一斉刈取を行う。これにより、管理対象とする堤防法面毎の芝及び雑草の状況に合せて一斉刈取時期を決定でき、管理対象とする堤防法面毎に最適な一斉刈取時期を決定できるので、管理対象とする堤防法面の芝の生育を促進させるとともに雑草繁茂を抑制できて、堤防法面の弱体化を防止でき、洪水時の堤防破堤を軽減できる。また、上記一斉刈取により、雑草繁茂の抑制効果が高くなるので、年毎の一斉刈取回数を少なくできる。例えば従来3〜2回行っていた場合は2〜1回に減らすことが可能となる。
そして、管理対象の堤防法面毎に過去の一斉刈取時期の実績を蓄積して管理対象の堤防法面毎の刈取暦を作成する。刈取暦を作成した後は、刈取暦を参考にして、その暦の最適刈取時期に管理対象とする堤防法面毎の芝及び雑草の糖度を測定して芝及び雑草の双方が最適刈取時期であるか否かを確認し、双方が最適刈取時期になっていれば一斉刈取を行い、双方又は一方が最適刈取時期になっていなければ、日にちをずらして再度糖度調査を行い、双方が最適刈取時期となるのを待ってから一斉刈取を行う。
上述した一斉刈取り作業に加えて、管理対象とする堤防法面全域に当該堤防法面の土壌を雑草の生育しにくい土壌に変える土壌改良剤を散布する。この場合、管理対象とする堤防法面の土壌成分濃度を分析して土壌改良剤を構成する肥料及び土壌改良剤の散布量を決定する。即ち、管理対象とする堤防法面の土壌成分濃度の分析結果を基にして、土壌pHを図3の基準値に合せるための肥料の種類及び散布量を決定し、さらに、土壌栄養成分を図3の基準値と比較して不足を補うための肥料の種類、散布量を決定する。ここで、基準値とは、雑草の生育を抑制しかつ芝の生育を抑制しない土壌成分濃度値、具体的には図3に示す土壌成分濃度値(基準値)のことを言う。
使用する主な肥料としては図2に示した肥料を用い、これらを用いて最終的な各成分の量が図3に示す基準値になるように配合を決定することにより、管理対象とする堤防法面全域の土壌成分濃度値を、雑草の生育を抑制しかつ芝の生育を抑制しない土壌成分濃度値に改良する土壌改良剤を作る。即ち、図3に示す土壌成分濃度値と比較して改良前土壌の成分濃度測定結果から過不足量を算出し、次に不足する成分について使用する肥料を決定した後、散布量を算出する。土壌改良剤散布量の算出式は図3に示すとおりである。
酸性の土壌改良剤については原則的に散布時期はいつでもよいが、理想的には6月〜8月の間に散布することが望ましい。
アルカリ性の土壌改良剤については理想的には11月〜2月の間に散布することが望ましい。
以上により、堤防法面毎の土壌の現況に合せて、堤防法面の土壌を、雑草が生育しにくく、かつ、芝の生育が阻害されない土壌に改良することができるので、堤防法面の雑草を衰退させることができて芝の活性化を図ることができ、また、管理対象とする堤防法面全域に土壌改良剤を散布するので、土壌改良剤の散布作業が容易となる。
また、過去の土壌改良に関するデータと一斉刈取りを実施した時期に関するデータとをコンピュータ管理下のデータベースに保存しておけば、管理対象とする堤防法面現場において、携帯電話や携帯コンピュータ等の通信機器を用いて過去のデータを参照できるので、土壌改良剤として使用する肥料の種類、配合を現場で確認することができるようになり、また、管理対象とする植生の糖度測定結果を管理データと比較することにより、一斉刈取を実施する予定日の計画を現場で予想することができるようになる。
尚、上記では、一斉刈取と土壌改良剤の散布の両方を行う場合を説明したが、一斉刈取と土壌改良剤の散布のうち一方だけを行うようにしてもよい。
河川堤防法面の弱体化防止に効果的である。
本発明の一実施形態を説明するための図であって、(a)は芝の生育サイクルと糖度との関係を示す図、(b)は雑草の生育サイクルと糖度との関係を示す図である。 本発明の一実施形態を説明するための図であって、土壌改良剤として用いる肥料の種類を示す図である。 本発明の一実施形態を説明するための図であって、土壌成分の基準値を示す図である。

Claims (5)

  1. 芝及び雑草の生えた堤防法面において、芝の生育が促進されかつ雑草が衰退するという条件を満たす時期に芝と雑草の刈取を一斉に行ったことを特徴とする堤防法面の管理方法。
  2. 芝と雑草の刈取りを一斉に実施する時期は、芝及び雑草の生育サイクルと管理対象とする堤防法面に生えた芝及び雑草の糖度とに基いて決定したことを特徴とする請求項1に記載の堤防法面の管理方法。
  3. 管理対象とする堤防法面全域に当該堤防法面の土壌を雑草の生育しにくい土壌に変える土壌改良剤を散布したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の堤防法面の管理方法。
  4. 管理対象とする堤防法面の土壌成分濃度を分析し、この分析結果と雑草の生育を抑制しかつ芝の生育を抑制しない土壌成分濃度基準値とを比較して、土壌改良剤を構成する肥料及び土壌改良剤の散布量を決定したことを特徴とする請求項3に記載の堤防法面の管理方法。
  5. 過去の土壌改良に関するデータと一斉刈取りを実施した時期に関するデータとをコンピュータ管理下のデータベースに保存しておき、管理対象とする堤防法面現場から通信機器を用いて過去のデータを参照可能としたことを特徴とする請求項4に記載の堤防法面の管理方法。
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JP2008193916A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Hokkaido イタリアンライグラスを用いた雑草防除方法

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