JP2005140618A - 生化学的パラメータの変動を推測する方法及び生活習慣病の発症リスクを予測する方法 - Google Patents

生化学的パラメータの変動を推測する方法及び生活習慣病の発症リスクを予測する方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 健常人又は健常動物の体液中のエンドトキシン濃度を測定することで、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を推測する方法、及び、これにより、生活習慣病の発症リスクを予測する方法。
健常人又は健常動物の体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定することで、上記生化学的パラメータの変動を推測する方法、これにより、生活習慣病の発症リスクを予測する方法。
【効果】 本発明の方法によれば、健常人又は健常動物の体液中のエンドトキシン濃度、体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定することにより、上記生化学的パラメータの将来の変動を推測でき、よって、自覚症状が出たり生化学的パラメータの変動が認められる以前に生活習慣病の発症リスクを予測できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血液等の体液中のエンドトキシン濃度、歯周病原菌由来エンドトキシンの体液中濃度を測定することで、極めて効率的に血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を推測する方法及びこれによる生活習慣病のリスクを予測する方法に関する。
我が国では平均寿命、健康寿命共に世界でも最高水準にあるものの、現在、急激な高齢化が進む中、ガン、心臓病、脳卒中、糖尿病等の生活習慣病に既に罹っている人やその危険因子を有する人が増加してきている。生活習慣病は自覚症状がないまま進行し、症状が出た時には既に重篤な状態にあり、その後、生活の質が著しく低下、あるいは喪失を招くことになる。
これまで生活習慣病の診断は、血液中の総コレステロール、HDL−コレステロール、LDL−コレステロール等のコレステロール類、中性脂質、血糖などの生化学的パラメータを測定することにより行われているが、これらパラメータの変動が認められた時には既に生活習慣病になりつつある状態にあり、これらパラメータの測定は、診断方法には成り得ても事前の発症の予測方法としては不十分なところがある。また、従来、生化学的パラメータの測定以外に生活習慣病を推し量る方法はなく、更に生化学的パラメータの変動をも予測する方法はこれまでに存在しなかった。
一方、生活習慣病の発症を予防するためには、生活習慣病の診断が下される前に生活習慣病のなり易さを事前に認識することが重要である。しかしながら、これまで生活習慣病の発症リスクの予測は、経年の生化学的パラメータ測定値から、あるいはその値の変動や各種パラメータ値の組み合わせから総合的な判断が下されることで行われているが、この方法では、事前の予測には何年もの測定値の積み重ねが必要であり、必ずしも十分な予測をなし得ていないのが現状である。よって、より簡便に発症を予測できる方法が望まれている。
Fujikawa et.al. J.General Microbiol. 136,319−326,1990 Nishihara et.al. J.Periodontal Res. 21,521−530,1986 Califano et.al. Infect.Immun. 64,3908−3910,1996 Geerts et.al. J.Periodontal. 73,73−78,2002 Losche et.al. J.Clin.Periodontal. 27,537−541,2000 Slots et.al. Intern.Dental J. 51,417−427,2001 Feingold et.al. J.Lipid Res. 33,1765−1776 Bagby et.al. Circulatory Shock 39,211−219,1993 Virkamaki et.al. Endocrinology 136,1701−1706,1995 Memon et.al. J.Biol.Chem. 276,30118−30126,2001
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、極めて効率的にかつ簡単に血液中のコレステロール、中性脂質、血糖等の生化学的パラメータの変動を推測する方法及び生活習慣病の成り易さを極めて簡便に予測することができる生活習慣病の発症リスクを予測する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、このような課題を解決することを目的として鋭意検討を重ねた結果、健常人又は健常動物の血液等の体液中のエンドトキシン濃度を測定すること、歯周病原菌由来のエンドトキシンを検出又はその体液中濃度を測定することにより、血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を、実際に変動が生じる前に簡単に推測でき、更に、これにより生活習慣病の発症リスクをも予測することができることを見出した。
エンドトキシンは、グラム陰性菌に特有の細胞壁表層にある脂質と多糖の複合体であり、動物に対して毒素活性を持つため、エンドトキシン(内毒素)と呼ばれている。このエンドトキシンは、通常、細胞壁に強固に結合しているが、細胞の溶解が起こった時には血液等の体液中に遊離し、生体に様々な反応(致死活性、発熱、炎症性物質の産生、循環器障害、血管内血液凝固等)を引き起こすことが知られている。
グラム陰性菌である歯周病原菌もエンドトキシンを有することが報告されている(非特許文献1;Fujikawa et.al J.General Microbiol. 136,319−326,1990、非特許文献2;Nishihara et.al. J.Periodontal Res. 21,521−530,1986参照)。この歯周病原菌のエンドトキシンは、歯周組織に対して組織破壊や炎症を引き起こし、歯を支える歯槽骨を破壊する原因となっていることから、歯周病の病毒性因子(ビルレンス因子)の一つとして重要視されている。
更に、歯周病患者の血清中では歯周病原菌Lipopolysaccharide(LPS)に対する抗体産生が認められることが報告されており(非特許文献3;Califano et.al. Infect.Immun. 64,3908−3910,1996参照)、最近では噛む操作を行った直後、血液中のエンドトキシン濃度が増加してくること、そのエンドトキシン濃度は歯周病の重度と相関することが報告されている(非特許文献4;Geerts et.al. J.Periodontal. 73,73−78,2002参照)。
一方、歯周病と生活習慣病との関連性についてはこれまでに問われており、現在もその関係を明らかにするために研究が進められている(非特許文献5;Losche et.al. J.Clin.Periodontal. 27,537−541,2000、非特許文献6;Slots et.al. Intern.Dental J. 51,417−427,2001参照)。しかしながら、研究対象とされているのは歯周病原性の細菌そのものであり、歯周病原菌の細胞壁表層にあるLipopolysaccharide(LPS)がその原因物質であることを示す報告例はこれまでにない。
なお、エンドトキシンは生活習慣病を誘発するメカニズムの候補の一つとして挙がっており、大腸菌のLipopolysaccharide(LPS)を動物に投与した結果、生化学的パラメータ(血液中のコレステロール類、中性脂質、血糖)が上昇してくることが報告されている(非特許文献7;Feingold et.al. J.Lipid Res. 33,1765−1776、非特許文献8;BagbyらCirculatory Shock 39,211−219,1993、非特許文献9;Virkamaki et.al. Endocrinology 136,1701−1706,1995、非特許文献10;Memon et.al. J.Biol.Chem. 276,30118−30126,2001参照)。しかしながら、歯周病原菌由来エンドトキシンが生化学的パラメータに影響を及ぼすかどうかはこれまでに報告されていない。
本発明者は、このような状況において鋭意検討した結果、健常人又は健常動物の血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの血中濃度の変動が、体液中のエンドトキシン濃度に影響されること、特に歯周病原菌の細胞壁表層にあるエンドトキシンが上記変動の原因物質となり、歯周病原菌由来エンドトキシンの存在あるいはその体液中濃度に影響されることを見出し、体液中のエンドトキシン濃度、あるいは歯周病原菌由来エンドトキシンが体液中にどの程度存在するか、あるいは、どの程度口腔内から血液等の体液中に移行したかを、体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定して調べることで、血液中の生化学的パラメータの将来における変動を事前に推測でき、よって、自覚症状が出たり生化学的パラメータの上昇が認められるなどして生活習慣病の診断が下される以前に、生活習慣病の発症リスクを予測することができることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、
(1)健常人又は健常動物の体液中のエンドトキシン濃度を測定することで、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を推測する方法及びこの方法により生化学的パラメータの変動を推測して、生活習慣病の発症リスクを予測する方法
(2)健常人又は健常動物の体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定することで、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を推測する方法及びこの方法により生化学的パラメータの変動を推測して、生活習慣病の発症リスクを予測する方法
を提供する。
本発明の方法によれば、健常人又は健常動物の体液中のエンドトキシン濃度、あるいは体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定することにより、上記したような血液中の生化学的パラメータの将来の変動を推測でき、よって、自覚症状が出たり生化学的パラメータの変動が認められる以前に生活習慣病の発症リスクを予測できる。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明は、体液中のエンドトキシン濃度の測定、あるいは体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその体液中濃度を測定することにより、生化学的パラメータの変動を推測し、生活習慣病のなり易さを極めて簡便に予測する方法である。
本発明の方法において測定の対象となるものは、健常人又は健常動物の体液、例えば血漿、血清等の血液、唾液、尿、髄液、腹水、乳汁等であり、好ましくは血液であり、更に好ましくは血漿あるいは血清であるが、これに限定されるものではなく、他の体液を対象としてもよい。
体液中のエンドトキシン濃度の測定は、検体となる体液をエンドトキシン測定専用容器(パイロジェンフリーのチューブ等)に取り、リムルス試験法により行うことが好適である。エンドトキシン濃度の測定法としては、リムルス試験法が広く汎用されているが、本発明においては、エンドトキシンを感度よく測定できる方法であれば、これに限定されることはなく他の方法を用いて測定することもできる。
なお、リムルス試験法は、生きた化石といわれるカブトガニの血液にエンドトキシンを加えると凝固(ゲル化)することから、その血球抽出液を用いて凝固の有無を見ることにより検体中のエンドトキシンを検出する方法に始まる試験法である。このリムルス試験法としては、上記カブトガニの血球成分を用いた方法のほか、簡便な方法として合成基質法、ゲル化転倒法、比濁時間分析法等があり、本発明では、いずれのリムルス試験法によってもエンドトキシン濃度を測定することができるが、簡便性、コスト面から、合成基質法、特にエンドポイント法が好適である。更に具体的には、既に市販されているエンドトキシンに特異的なリムルス試験法として開発された測定キット、エンドスペシー(生化学工業社製、発色合成基質法)やES−テストワコー(和光純薬工業社製、比濁時間分析法)を用いた測定が採用できる。
また、歯周病原菌由来エンドトキシンは、口腔内固有のグラム陰性菌種の細胞表層にある脂質と多糖の複合体を指すもので、このグラム陰性菌種は、口腔内、特に歯肉溝や歯周ポケット内にプラークを形成して存在している。歯周病原菌由来エンドトシキンを遊離する原因菌となる口腔内固有のグラム陰性菌種としては、具体的に下記菌を挙げることができるが、これら菌種に限定されることはなく、他の菌種のエンドトキシンを測定対象とすることもできる。
ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)
ポルフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis)
プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)
プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)
アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)
フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)
キャプノサイトファガ属(Capnocytophaga属)
バクテロイデス・フォーサイサス(Bacteroides forsythus)
エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)
歯周病原菌由来エンドトキシンの検出又はその濃度測定方法としては、歯周病原菌由来エンドトキシンに特異的な抗体を用いたエンドトキシン濃度測定法、抗歯周病原菌由来エンドトキシン抗体産生量を測定する方法等があるが、歯周病原菌由来エンドトキシンを感度よく測定できる方法であれば、これに限定されることはなく、他の方法を用いることもできる。なお、これら測定法においては、感度、簡便性等の点から血清、血漿等の血液を検体として使用することが好ましく採用される。なお、血液以外では唾液、尿等を検体として用いることもできる。
また、歯周病原菌由来エンドトキシンの測定方法において、歯周病原菌由来エンドトキシンに特異的な抗体としては、歯周病原菌由来エンドトキシンに対する抗血清、モノクローナル抗体などがあるが、歯周病原菌由来エンドトキシンを特異的に検出できるものであれば、これに限定されることはなく他のものを用いることもできる。
歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定する方法として具体的には、血清中の歯周病原菌由来エンドトキシンを、抗歯周病原菌由来エンドトキシン抗体を用いた酵素免疫測定法(enzyme−linked immunosorbent assay,ELISA法)により測定する方法、ビーズに歯周病原菌由来エンドトキシンを固定したカラムに測定対象とする体液と蛍光ラベルした抗歯周病原菌エンドトキシン抗体を混合したものを流し、蛍光強度の減少を測定する方法、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したセンサーチップを用いて抗歯周病原菌由来エンドトキシン抗体との結合量を測定する方法、その他に抗原抗体反応(抗原:歯周病原菌由来エンドトシキン、抗体:抗歯周病原菌由来エンドトキシン抗体)を応用した各種試験法、バイオセンサーを利用した測定法等があり、いずれの方法をも採用できるが、感度、簡便性等の点からELISA法が好ましく採用される。
本発明方法では、上記したように体液中のエンドトキシン濃度、あるいは歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定することで、血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖等の生活習慣病の発症に起因する生化学的パラメータの値(血中濃度)が将来変動(上昇)するリスクを、実際に変動が認められる以前に推測することができる。更に、これら生化学的パラメータ値の変動予測が可能となることで、それに伴って生じる可能性が高い生活習慣病の発症を事前に予測することができる。
更に、本発明方法によれば、上記したような総コレステロール、中性脂質、血糖等の生活習慣病の発症に起因し、危険因子と指摘されている生化学的パラメータの変動(上昇)を推測することができるので、これら生化学的パラメータの変動(上昇)により発症リスクが高くなることが知られている生活習慣病のなり易さを、自覚症状が出たり生化学的パラメータの上昇が認められる以前に予測することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
マウスエンドトキシン投与実験:
歯周病原菌由来エンドトキシンが血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖に影響を及ぼすかどうかを評価する実験を下記方法により行った。
C57BL/6Jマウス(♂、日本エスエルシー社販売品)を4週齢で購入し、1週間予備飼育してから実験に供した。歯周病原菌Porphyromonas gingivalis及びActinobacillus actinomycetemcomitans由来エンドトキシンはWestphal法により各菌体から抽出・精製したエンドトキシンを用いた。各歯周病原菌エンドトキシンは生理食塩水で調整し、マウス1匹当たり0.1μg、1.0μg、あるいは10μgとなるように1回腹控内に投与した。採血はエンドトキシン投与から16時間後に行い、それぞれの血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖の濃度を下記方法により測定した。結果を図1〜4に示す。なお、図中、LPSはエンドトキシンを示す(以下、同様)。
生化学的パラメータの測定方法;
下記の市販のキットを使用して、又は臨床検査メーカー(昭和メディカルサイエンス社)に依頼して測定(総コレステロール、中性脂質、血糖共に酵素法で測定)した。
総コレステロール:コレステロールCII−テストワコー(和光純薬工業社製)
中性脂質:トリグルセライドG−テストワコー(和光純薬工業社製)
血糖:グルコースCII−テストワコー(和光純薬工業社製)
図1〜4からわかるように、血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖を測定した結果、1回のエンドトキシン投与であっても、各歯周病原菌エンドトキシンを投与したマウスでは血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖が上昇してくることが確認された。
[実施例2]
エンドトキシン投与マウスの血液中エンドトキシン濃度と総コレステロール、中性脂質、血糖の血中濃度との関係についての実験:
歯周病原菌エンドトキシンあるいは大腸菌(E.coli)由来のエンドトキシンをマウス1匹当たり0.1μg、1.0μg、10μgとなるように投与回数l回で実施例1と同様にマウスに投与し、血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖、エンドトキシン濃度を測定した。歯周病原菌エンドトキシンについての結果を図5、7、9に、大腸菌(E.coli)由来のエンドトキシンについての結果を図6、8、10に示す。
なお、血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖の濃度は実施例1と同様の方法により測定した。また、エンドトキシン濃度は、エンドスペシー(生化学工業社製、発色合成基質法)により測定した。
図5〜10の結果について、各エンドトキシン投与後の血液中エンドトキシン濃度とエンドトキシン濃度に対する総コレステロール、中性脂質、血糖量への影響力を比較した。その結果、大腸菌エンドトキシンより歯周病原菌エンドトキシンのエンドトキシン濃度の変化が、血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖量に対して大きく影響を及ぼしていることがわかった。また、歯周病原菌エンドトキシンは大腸菌エンドトキシンに比較して、少量のエンドトキシン濃度で血液中の総コレステロール、中性脂質、血糖量の上昇を誘導させる可能性が示唆された。
上記の結果より、ヒトあるいは動物から少量の血液を採取し、血液中エンドトキシン濃度を測定すること、あるいは歯周病原菌エンドトキシンを検出又はその血液中の濃度を測定することにより、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖などの生化学的パラメータの将来における変動を推測でき、更にこれら生化学的パラメータの上昇が危険因子とされている生活習慣病の発症リスクを、診断が下される以前に予測できることが明らかになった。
[実施例3]
血液中エンドトキシン濃度の変動の測定:
対象とするヒトあるいは動物から約2mLの血液を無菌的に採血し、ヘパリン少量を入れたエンドトキシン測定専用容器(パイロジェンフリーのチユーブ)に血液を取った。血液は3,000rpm、15分間(4℃)で遠心した後、血漿を分離し、血漿中のエンドトキシン濃度を上記と同様に測定した(エンドトキシン測定結果1とする)。
続いて対象のヒトあるいは動物にパラフィン、ガム、グミ等を口に入れて一定時間あるいは一定回数噛む操作を行い、5〜10分後に再び採血し、上記と同様に血漿中のエンドトキシン濃度を測定した(エンドトキシン測定結果2とする)。
噛む操作を行った後の「エンドトキシン測定結果2」の値が「エンドトキシン測定結果l」の値を上回り、5〜10倍以上となった対象において将来、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖などの生化学的パラメータの変動が起きる可能性が高く、更に生活習慣病になるリスクが高いことが予測できる。
[実施例4]
血液中の歯周病原菌エンドトキシン濃度の変動の測定:
対象とするヒトあるいは動物から約2mLの血液を無菌的に採血し、エンドトキシン測定専用容器(パイロジェンフリーのチユーブ)に血液を取った。20分間放置した後、3,000rpm、15分間(4℃)で遠心して血清を分離し、血清中の歯周病原菌エンドトキシンを歯周病原菌エンドトキシンに特異的な抗体を用いた酵素免疫測定法(enzyme−linked immunosorbent assay,ELISA法)により測定した。(歯周病原菌エンドトキシンの測定結果1とする)。
続いてパラフィン、ガム、グミ等を口に入れて一定時間あるいは一定回数噛む操作を行い、5〜l0分後に再び採血し、同様に血清中の歯周病原菌エンドトキシンを測定した(歯周病原菌エンドトキシンの測定結果2とする)。
噛む操作を行った後の「歯周病原菌エンドトキシンの測定結果2」の値が「歯周病原菌エンドトキシンの測定結果1」の値を上回り、5〜10倍以上となった対象において将来、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖などの生化学的パラメータの変動が起きる可能性が高く、更に生活習慣病になるリスクが高いことが予測できる。
[実施例5]
血液中の抗歯周病原菌エンドトキシン抗体量の測定:
対象とするヒトあるいは動物から約2mLの血液を無菌的に採血し、エンドトキシン測定専用容器(パイロジェンフリーのチユーブ)に血液を取った。20分間放置した後、3,000rpm、15分間(4℃)で遠心して血清を分離し、血清中の抗歯周病原菌エンドトキシン抗体を酵素免疫測定法(enzyme−1inked immunosorbent assay,ELlSA法)により測定した。
測定値が100μg/mL以上となった対象において将来、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖などの生化学的パラメータの変動が起きる可能性が高く、更に生活習慣病になるリスクが高いことが予測できる。
歯周病原菌エンドトキシン投与によるマウス血液中の総コレステロールへの影響を示すグラブである。 歯周病原菌エンドトキシン投与によるマウス血液中の中性脂質への影響を示すグラフである。 歯周病原菌(P.gingivalis)エンドトキシン投与によるマウス血液中の血糖への影響を示すグラフである。 歯周病原菌(A.actinomycetemcomitans)エンドトキシン投与によるマウス血液中の血糖への影響を示すグラフである。 歯周病原菌(P.gingivalis)エンドトキシン投与によるマウス血液中のエンドトキシン濃度と総コレステロール濃度との関係を示すグラフである。 大腸菌(E.coli)エンドトキシン投与によるマウス血液中のエンドトキシン濃度と総コレステロール濃度との関係を示すグラフである。 歯周病原菌(P.gingivalis)エンドトキシン投与によるマウス血液中のエンドトキシン濃度と中性脂質濃度との関係を示すグラフである。 大腸菌(E.coli)エンドトキシン投与によるマウス血液中のエンドトキシン濃度と中性脂質濃度との関係を示すグラフである。 歯周病原菌(P.gingivalis)エンドトキシン投与によるマウス血液中のエンドトキシン濃度と血糖濃度との関係を示すグラフである。 大腸菌(E.coli)エンドトキシン投与によるマウス血液中のエンドトキシン濃度と血糖濃度との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 健常人又は健常動物の体液中のエンドトキシン濃度を測定することで、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を推測する方法。
  2. 体液中のエンドトキシン濃度をリムルス試験法により測定する請求項1記載の方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法により生化学的パラメータの変動を推測して、生活習慣病の発症リスクを予測する方法。
  4. 健常人又は健常動物の体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンを検出又はその濃度を測定することで、血液中のコレステロール、中性脂質、血糖から選ばれる生化学的パラメータの変動を推測する方法。
  5. 体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンの検出又はその濃度測定を、歯周病原菌由来エンドトキシンに特異的な抗体を用いたエンドトキシン濃度測定法により行う請求項4記載の方法。
  6. 体液中の歯周病原菌由来エンドトキシンの検出又はその濃度測定を、抗歯周病原菌由来エンドトキシン抗体産生量を測定する方法により行う請求項4記載の方法。
  7. 請求項4、5又6記載の方法により生化学的パラメータの変動を推測して、生活習慣病の発症リスクを予測する方法。
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