以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1から図4は、本発明の実施形態に係る記録装置10の全体を説明する図である。図1は、記録装置10の外観を示す正面斜視図である。図1に示す記録装置10は、上部カバー12、上部ハウジング13および下部ハウジング14を有し、前面には、開口した挿入口18が設けられている。この挿入口18へ被記録物100が挿入されると、記録装置10により被記録物100に記録が行われ、被記録物100が挿入口18から排出される。被記録物100が詰まった場合の処置等のために、上部カバー12は取り外すことができるようになっている。ここで、被記録物100は、所定の長さに裁断された単票紙、フィルム、複数枚の用紙が重ね合わされた複写紙、通帳などである。以下、被記録物100の一例として、複数の記録用紙が綴じられ、記録用紙の記録面を開いた場合の底面に磁気ストライプ110が設けられた通帳を用いて記録装置10を説明する。
図2は、記録装置10から上部カバー12、上部ハウジング13および下部ハウジング14を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、図2からさらに、被記録物押え部32およびリボンカセット60を取り外し、本体上部16を開いた状態を示す斜視図である。図4は、図1の記録装置10を被記録物100の搬送方向に沿って上下に切った断面図である。
図2から図4に示すように、記録装置10は、挿入口18から挿入された被記録物100を搬送する搬送部30と、磁気情報読書き時に被記録物100の浮き上がりを上から押える被記録物押え部32と、被記録物100に設けられた磁気ストライプ110の磁気情報を読み取りまたは書き込む磁気データ読取部40と、被記録物100を下方から支持するプラテン部50と、プラテン部50に対向して配され、リボンカセット60を用いて被記録物100に記録を行う記録部20とを備える。図3に示すように、プラテン部50が配される本体部11に対し、記録部20が配された本体上部16は開閉することができ、被記録物100が本体部11と本体上部16との間において詰まった場合にも被記録物100を容易に取り除くことができる。
図4に示すように、搬送部30は、記録部20よりも手前で本体部11に支持されたフロント加圧部300と、このフロント加圧部300の下方に対向して本体部11に配されたフロント搬送部320と、これらフロント加圧部300およびフロント搬送部320よりも奥側であってプラテン部50の手前に配され、被記録物100の搬送経路に進退自在な整列板360と、記録部20よりも奥側の本体上部16に支持されたリア加圧部302と、このリア加圧部302の下方に対向して本体部11に配されたリア搬送部322とを有する。
記録装置10の動作の概略を説明する。まず、被記録物100が挿入口18から挿入されると、フロント加圧部300とフロント搬送部320とが、被記録物100を挟んでプラテン部50の手前まで搬送する。その位置において、被記録物100の搬送方向の傾きを直すべく、被記録物100が整列される。被記録物100が整列された後に、被記録物100の底面に配された磁気ストライプ110が磁気データ読取部40により読み取られる読み取り位置まで、搬送部30が被記録物100を搬送する。その後、磁気データ読取部40が、本体前部17の長手方向(図2における左右方向)に移動して被記録物100の底面に配された磁気ストライプ110から磁気情報を読み取る。さらに、搬送部30が被記録物100をプラテン部50上の記録位置まで搬送する。磁気データ読取部40により読み取られた磁気情報に基づいて、記録部20は、被記録物100上を本体部11の長手方向(図2における左右方向)に移動しつつ、プラテン部50上に搬送された被記録物100へ、リボンカセット60のインクリボンを介して記録部20のワイヤを打ち当てることにより、被記録物100へ文字などの記録を行う。その後、上記読み取り位置まで、搬送部30が被記録物100を搬送する。被記録物100へ記録した情報に基づいて、磁気データ読取部40が、本体前部17の長手方向を再度移動して、磁気ストライプ110に磁気情報を書き込む。次に、搬送部30が被記録物100を手前側に搬送し、被記録物100を挿入口18から排出する。
図5は、磁気データ読取部40が配された本体前部17を示す斜視図である。磁気データ読取部40は、本体前部17の長手方向に平行に渡された二本の磁気ヘッドガイド軸470、472と、これら磁気ヘッドガイド軸470、472に支持され、本体前部17の長手方向(図中の矢印Aの方向)に往復移動する磁気ヘッドユニット400と、磁気ヘッドユニット400に一部が固定された磁気ヘッド駆動ベルト480と、磁気ヘッドユニット400を往復移動すべく磁気ヘッド駆動ベルト480を回転駆動する磁気ヘッドモータ420と、磁気ヘッドモータ420の近傍で本体前部17の下部に配された制御基板440と、磁気ヘッドユニット400と制御基板440とを電気的に接続するフレキシブルケーブル450とを備える。
磁気ヘッドユニット400は、磁気ヘッド駆動ベルト480に駆動されることにより被記録物100の磁気ストライプ110を走査する磁気ヘッド410を備える。磁気ヘッド410は磁気ストライプ110を走査することにより磁気ストライプ110から情報を読み取る。
図6は、図5における磁気ヘッドユニット400付近を拡大した拡大斜視図であり、図7は、図6を底面から見た底面斜視図である。磁気ヘッドユニット400は略コの字の形状を有しており、向かい合う平行な一対の側面に磁気ヘッドガイド軸470、472が挿入されている。磁気ヘッドユニット400の上面には、上向きに磁気ヘッド410が一対の側面に挟まれて配されている。磁気ヘッドユニット400の底面には、基板432が取り付けられている。この基板432には、磁気ヘッド410により読み取られた情報をデジタル信号に変換するデコーダ430と、デコーダ430により変換されたデジタル信号をフレキシブルケーブル450へ出力するコネクタ460が取り付けられている。また、磁気ヘッドユニット400は底面において磁気ヘッド駆動ベルト480の一部を把持して固定している。
デコーダ430は、磁気ヘッド410により読み取られた信号を数mVから数Vに増幅する増幅回路と、増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、A/D変換されたデジタル信号を受け取って復調し、フレキシブルケーブル450に出力する復調回路とを有する。
以上の構成により、磁気データ読取部40が被記録物100の底面に配された磁気ストライプ110の情報を読み取る場合に、まず、磁気ストライプ110が磁気ヘッド410の真上に来る読み取り位置に、搬送部30が被記録物100を搬送する。この状態において、磁気ヘッドモータ420が磁気ヘッド駆動ベルト480を回転駆動することにより、磁気ヘッドユニット400が、磁気ヘッド駆動ベルト480に引っ張られて、磁気ヘッドガイド軸470、472にガイドされつつ本体前部17の長手方向に往復移動する。これにより、磁気ヘッド410が磁気ストライプ110に下から当接して走査しつつ磁気ストライプ110からの情報を読み取る。この場合に、磁気ヘッドユニット400に配された基板432およびこの基板432に取り付けられたデコーダ430は磁気ヘッド410と共に往復移動し、磁気ヘッド410により読み取られた信号をデコーダ430の増幅回路が数mVから数Vに増幅し、増幅された信号をA/D変換回路がデジタル信号に変換し、このデジタル信号を復調回路が復調して、フレキシブルケーブル450に出力する。フレキシブルケーブル450は、弾性変形により湾曲して磁気ヘッドユニット400の往復移動に追従する。また、フレキシブルケーブル450は、デコーダ430からデジタル信号を受け取り、制御基板440へ伝送する。制御基板440に設けられた制御回路は、フレキシブルケーブル450からのデジタル信号に基づいて、磁気データ読取部40および記録部20を制御する。
記録部20により被記録物100に印字などの記録が行われた後に、その旨等を磁気データ読取部40が磁気ストライプ110に書き込む。この場合には、制御基板440からのアナログ信号をフレキシブルケーブル450が磁気ヘッド410へ伝送し、このアナログの信号に基づいて、磁気ヘッド410が磁気ストライプ110を走査しつつ、磁気ストライプ110に書き込みを行う。
以上により、磁気ヘッド410から読み取られた情報を、磁気ヘッド410の近傍に配されたデコーダ430がデジタル信号に変換してフレキシブルケーブル450に送信するので、フレキシブルケーブル450で送信される途中にノイズが乗っても、制御基板440上に配された制御回路が信号を誤読することを防ぐことができる。特に磁気ヘッドモータ420からノイズが発生しやすいが、磁気ヘッドモータ420の近傍を通るフレキシブルケーブル450が伝送するのはデジタル信号であるため、ノイズと信号との区別が容易であり、制御基板440における信号の誤読を抑えることができる。
図8は、フロント加圧部300において、加圧ローラ側フレーム380の前面の一部を破断した斜視図である。フロント加圧部300は、上面が開放された略直方体の形状を有し、底面384に矩形の穴部386を有する加圧ローラ側フレーム380と、加圧ローラ側フレーム380に支持された加圧ローラユニット304と、加圧ローラユニット304を下方に付勢する付勢部340と、加圧ローラ側フレーム380の側面と平行な板状を有し、加圧ローラ側フレーム380に対して上下に移動可能に支持されたバネ側押し上げ部材354を備える。フロント加圧部300は、フロント加圧部300の下方に配されたフロント搬送部320の搬送ローラ324(図16に図示)との間で被記録物100を挟んで、被記録物100を搬送すべく、被記録物100を搬送ローラ324に加圧する。
押圧力切替ユニット306は、加圧ローラ310の組、加圧ローラ310のそれぞれを連結する加圧ローラ軸312、加圧ローラ軸312を下方へ付勢する付勢部340、および、加圧ローラ310の組を外端で保持する自在継手370を有する。加圧ローラユニット304の加圧ローラ310は、穴部386から一部が底面384よりも下方に突出して、加圧ローラ側フレーム380に回転自在に保持されている。加圧ローラユニット304は、自在継手370によって連結された複数の加圧ローラ310の組を有する。図8に示す例において、加圧ローラユニット304は、2つの自在継手370によって連結された3つの加圧ローラ310の組を有する。さらに、加圧ローラ310の組は、それぞれ、2つの加圧ローラ310と、これら2つの加圧ローラを連結する加圧ローラ軸312を有する。これら2つの加圧ローラ310および加圧ローラ軸312は樹脂により一体に成形され、加圧ローラ310の平坦な外周にゴムが取り付けられる。これにより、加圧ローラ310を一つずつ自在継手370で連結する場合に比べ、自在継手370の数を減らして部品点数を少なくすることができるとともに、加圧ローラ310を回転駆動する負荷を小さくすることができる。
図9は、図8の左側を拡大した拡大斜視図であり、図10は、図8の右側を拡大した拡大斜視図である。加圧ローラ側フレーム380は、U字の形状の軸支持部382を有する。加圧ローラ310の両端が軸支持部382に挿入されて、軸支持部382が加圧ローラユニット304を回転可能に軸支している。
図9および図10に示すように、付勢部340は、加圧ローラ軸312を下方へ付勢する整列付勢用トーションバー342と、この整列付勢用トーションバー342よりも大きな力で加圧ローラ軸312を下方へ付勢する搬送用トーションバー344とを有する。本実施形態において、整列付勢用トーションバー342は金属製の針金であり、途中で略直角に折り曲げられている。整列付勢用トーションバー342の一端はバネ取り付け部346に取り付けられ、他端は加圧ローラ軸312に当接している。整列付勢用トーションバー342の折り曲げられている部分は、係止部347に係止されている。整列付勢用トーションバー342は軸まわりに捩られ、加圧ローラ軸312を下方へ付勢している。搬送用トーションバー344は、整列付勢用トーションバー342よりも径の大きい金属製の針金であり、途中で略直角に折り曲げられている。搬送用トーションバー344の一端はバネ取り付け部346に取り付けられ、他端は加圧ローラ軸312に当接している。搬送用トーションバー344の折り曲げられている部分は、係止部348に係止されている。搬送用トーションバー344は軸まわりに捩られ、加圧ローラ軸312を下方へ付勢している。
整列付勢用トーションバー342は、被記録物100を搬送方向に整列させるときを含み、加圧ローラ310を被記録物100へ押圧すべく、加圧ローラ軸312を下方に常時、付勢している。また、搬送用トーションバー344は、上記整列時においては図4に示す押し上げ機構350により押し上げられて加圧ローラ軸312を付勢しない一方、整列後の被記録物100を搬送するときに、加圧ローラ310を被記録物100に押圧すべく加圧ローラ軸312を下方に付勢する。加圧ローラ軸312は、一対の加圧ローラ310が配された略中央においてV字の溝314を有し、搬送用トーションバー344は、加圧ローラ軸312のV字の溝314において加圧ローラ軸312を付勢する。さらに、搬送用トーションバー344の一端は、バネ側押し上げ部材354に設けられた上下に長い溝355に挿入されている。なお、付勢部340は、本発明におけるローラ押圧装置の一例でもある。
これにより、整列付勢用トーションバー342および搬送用トーションバー344が加圧ローラユニット304を被記録物100へ、強弱の2段階で押しつけるので、2つのコイルバネおよびコイルバネにより付勢されるスリーブを用いる場合に比べて、加圧ローラユニット304を押圧する機構を小さくすることができる。
また、整列付勢用トーションバー342および搬送用トーションバー344は、一対の加圧ローラ310を有する組のそれぞれにおいて、一対の加圧ローラ310を連結している加圧ローラ軸312を付勢している。これにより、一組の加圧ローラ310における各加圧ローラ310を整列付勢用トーションバー342および搬送用トーションバー344が均等に付勢することができる。
なお、図10に示すように、加圧ローラユニット304の右端には加圧側伝達歯車311が連結され、フロント搬送部320からの駆動力を伝達して加圧ローラ310を回転駆動する。加圧ローラユニット304がU字の形状の軸支持部382に軸支されていることより、加圧側伝達歯車311が加圧ローラユニット304を一体的に回転駆動することができる。
図11は、記録装置10に挿入された被記録物100を、記録装置10が、プラテン部50の手前まで搬送し、その後に整列し、整列後にさらにプラテン部50上へ搬送する動作を示すタイミングチャートである。
図11に示すように、被記録物100が記録装置10に挿入される前の待機状態において、加圧ローラ310および搬送ローラ324は停止している。この待機状態において、整列板360、および、後述する押し上げ機構350の押し上げ部材351は、共に上方の位置にあり、搬送用トーションバー344は加圧ローラ軸312を付勢していない。一方、整列付勢用トーションバー342は、加圧ローラ軸312を付勢している。
上記待機状態から記録装置10へ被記録物100が挿入されると、加圧ローラ310および搬送ローラ324が回転し、被記録物100を挟んで整列板360に当接するまで搬送する。この場合に、被記録物100が搬送方向に対して傾いている場合には、被記録物100の一部が先に整列板360に当接し、その時に他の部分はまだ整列板360に当接していない。この状態において、さらに加圧ローラ310および搬送ローラ324が回転すると、被記録物100においてまだ整列板360に当接していない部分は、この部分の近傍に配された加圧ローラ310および搬送ローラ324により整列板360に当接するまで搬送されつつ、先に整列板360に当接している部分は、それ以上搬送されない。この場合に、加圧ローラ310は弱い付勢力を有する整列付勢用トーションバー342により被記録物100へ付勢されているので、被記録物100において先に整列板360に当接している部分の近傍に配された加圧ローラ310および搬送ローラ324は、被記録物100上を空回りする。整列板360の近傍に配された光学センサ(不図示)により、被記録物100が整列されたと判断されると、加圧ローラ310および搬送ローラ324の回転が停止する。
被記録物100が整列した後に、押し上げ部材351が下降する。これにより、押し上げ部材351は、押し上げていた搬送用トーションバー344を加圧ローラ軸312のV字の溝314に当接させる。次に、押し上げ部材351が所定位置まで下降した後にさらに下降するのと連動して、整列板360も下降する。整列板360が被記録物100の搬送経路から退避した位置まで下降するとその位置で停止し、これに合わせて押し上げ部材351も下降を停止する。
整列板360および押し上げ部材351が停止した後に、加圧ローラ310および搬送ローラ324が再び回転し、被記録物100を挟んでプラテン部50上まで搬送し、記録部20が記録を行う。この場合に、加圧ローラ310は、加圧ローラ軸312を介して整列付勢用トーションバー342および搬送用トーションバー344により強い付勢力で被記録物100へ押圧されているので、加圧ローラ310および搬送ローラ324は被記録物100を確実に挟んで搬送することができる。
図12は、押し上げ機構350の部分断面図である。図12において、整列板360が被記録物100の搬送経路から退避し、かつ、搬送用トーションバー344が加圧ローラ軸312を付勢している状態が示されている。
図12に示すように、押し上げ機構350は、溝355が設けられ、この溝355に搬送用トーションバー344が挿入されているバネ側押し上げ部材354、このバネ側押し上げ部材354の下面に当接するフォロワー側押し上げ部材352、フォロワー側押し上げ部材352と一体の上下方向に延伸した板状のフォロワー部材368、および、回転軸394まわりに回転可能に本体部11に支持され、フォロワー部材368をフォロワーとして上下に往復移動させるカム390を有する。これらバネ側押し上げ部材354およびフォロワー側押し上げ部材352が押し上げ部材351を構成している。
フォロワー部材368は、上述のように上部でフォロワー側押し上げ部材352と一体となっている。さらにフォロワー部材368の上部には、コイルバネ362を介して整列板360が配されている。フォロワー部材368の上下方向の略中央には、上下方向に長い長孔364が設けられ、この長孔364には、カム390の回転軸394が挿入されている。さらに、フォロワー部材368の下部には、下方に開口した切り欠き366が設けられ、この切り欠き366には、本体部11に固定されたフォロワー固定軸396が挿入されている。フォロワー部材368におけるこれら長孔364と切り欠き366との間には、ピン398が貫通して取り付けられている。
カム390は、略円板の形状を有し、フォロワー部材368と対向する側面において、渦巻き形状のカム溝392を有する。カム溝392には、フォロワー部材368に貫通して取り付けられたピン398の一端が挿入されている。
図12に示す状態において、ピン398は渦巻き形状のカム溝392において回転軸394から離れた下方の位置にある。これにより、フォロワー部材368は、回転軸394が支持されている本体部11に対して、可動範囲の最下位置にある。フォロワー部材368が最下位置にある場合に、整列板360の上部に配された整列板360は、被記録物100の搬送経路よりも下方にあって搬送経路から退避している。同様に、フォロワー部材368の上部に連結されているフォロワー側押し上げ部材352も最下位置にあり、フォロワー側押し上げ部材352と当接しているバネ側押し上げ部材354は、搬送用トーションバー344が加圧ローラ軸312を付勢することを許容している。
この状態から、待機状態にするには、図示しない駆動手段により、カム390が図12における実線の矢印の方向に回転駆動される。カム390が矢印の方向に回転すると、ピン398がカム溝392に沿ってカム390に対して上昇する。この場合に、回転軸394およびフォロワー固定軸396が長孔364および切り欠き366に挿入されているので、カム390が矢印の方向に回転した場合に、フォロワー部材368が左右にぶれることなく本体部11に対して上昇することができる。
図13は、整列板360が被記録物100の搬送経路に進出し、かつ、搬送用トーションバー344が加圧ローラ軸312から離れている状態を示す部分断面図である。図12に示す状態から、カム390が回転することによりフォロワー部材368が上昇すると、ついには、図13に示すように整列板360の上端が加圧ローラ側フレーム380の底面384に当接する。これにより、整列板360は被記録物100の搬送経路に進出する。
この状態からさらにカム390が回転すると、整列板360は底面384と当接しているのでこれ以上は上昇しないが、整列板360とフォロワー部材368との間にはコイルバネ362が配されているため、コイルバネ362の付勢力に抗しつつ、フォロワー部材368はさらに上昇する。これに伴い、フォロワー部材368の上部に連結しているフォロワー側押し上げ部材352も上昇し、フォロワー側押し上げ部材352に当接しているバネ側押し上げ部材354を押し上げる。これにより、バネ側押し上げ部材354は、溝355に挿入されている搬送用トーションバー344の一端を押し上げ、搬送用トーションバー344を加圧ローラ軸312の上方に移動して、加圧ローラ軸312への付勢力を解除する。これにより、被記録物100が搬送方向について整列される場合には搬送用トーションバー344の付勢を加圧ローラ軸312から解除することができる。この状態が図11に示す待機状態であり、記録装置10へ被記録物100が挿入されると、被記録物100を加圧ローラ310および搬送ローラ324が挟んで回転し、被記録物100を整列板360に当接し整列するまで搬送する。
図13に示す状態において被記録物100の整列が終了した場合に、上述の駆動手段により、カム390が図13に示す破線の矢印の方向に回転駆動される。カム390が矢印の方向に回転すると、ピン398がカム溝392に沿ってカム390に対して下降する。これにより、フォロワー部材368が本体部11に対して下降する。この場合に、まず、整列板360と一体となっているフォロワー側押し上げ部材352が下降するので、フォロワー側押し上げ部材352と当接しているバネ側押し上げ部材354も下降する。バネ側押し上げ部材354が押し上げていた搬送用トーションバー344の一端が下方に下がり、搬送用トーションバー344は、加圧ローラ軸312の溝214に再び挿入されて、加圧ローラ軸312を下方に付勢する。図9および図10に示すように、搬送用トーションバー344は加圧ローラ軸312に配されたV字の溝314において加圧ローラ軸312を付勢するので、加圧ローラ軸312から一旦、上昇して離脱しても、加圧ローラ軸312を毎回略同じ位置で付勢することができる。さらに、加圧ローラ310を回転駆動する場合であっても、加圧ローラ310を回転駆動しつつ、回転軸と直交する方向に加圧ローラ軸312を付勢することができる。
さらに、カム390が破線の矢印の方向に回転することにより、フォロワー部材368がさらに下降すると、これに伴い、整列板360も下降して被記録物100の搬送経路から退避し、図12に示す状態へ戻る。
図14および図15は、リア加圧部302を回転軸に垂直な平面で切断した断面図である。図14は、溝314を通る平面で切断し、図15は、リアフレーム330の軸支持部332を通る平面で切断している。なお、図14および図15に示すリア加圧部302の加圧ローラユニットは、フロント加圧部300の加圧ローラユニット304と同一の構成を有するため、加圧ローラユニット304と同一の符号を用いて説明する。
図14および図15に示すように、リア加圧部302は、加圧ローラユニット304と、加圧ローラユニット304を回転自在に軸支するリアフレーム330と、加圧ローラユニット304を被記録物100へ向けて下方に付勢する付勢部334とを有する。リアフレーム330には、U字の形状を有する軸支持部332が設けられている。この軸支持部332には、加圧ローラ軸312が挿入されて加圧ローラ軸312が回転可能に支持されている。加圧ローラユニット304が軸支持部332に軸支されていることより、加圧ローラユニット304を一体的に回転駆動させることができる。
付勢部334は、金属製の針金であり、V字の溝314において加圧ローラユニット304を常時、被記録物100へ向けて下方に付勢している。加圧ローラ軸312は樹脂により形成されており、付勢部334は金属により形成されているので、加圧ローラ軸312が回転していても、加圧ローラ軸312に対して付勢部334が摺動することにより、付勢部334が加圧ローラ軸312を回転軸と直交する方向に、より確実に付勢することができる。よって、コイルバネおよびコイルバネにより付勢されるスリーブを用いて各々の加圧ローラ310の両側の加圧ローラ軸312を押圧する場合に比べて、加圧ローラユニット304を押圧する機構を小さくすることができる。
図16は、フロント加圧部300およびフロント搬送部320が被記録物100を挟んで搬送する動作を示す部分背面図である。なお、リア加圧部302およびリア搬送部322が被記録物100を搬送する場合も同様の動作をするので、それらについては説明を省略する。
図16に示すように、被記録物100が加圧ローラユニット304とフロント搬送部320との間に配されると、加圧ローラユニット304において被記録物100の幅に応じた加圧ローラ310が、被記録物100上に乗り上げる。この状態において、フロント搬送部320の回転軸が回転駆動されることにより、搬送側伝達歯車321および加圧側伝達歯車311を介して、加圧ローラユニット304が回転駆動される。これにより、被記録物100が想定される最も狭い幅または最も広い幅のみならず、いずれの幅を有している場合であっても、加圧ローラ310が被記録物100に乗り上げて、加圧ローラユニット304全体が被記録物100に対して傾くことなく、フロント搬送部320との間で被記録物100を挟み、被記録物100を正確に搬送することができる。特に一対の加圧ローラ310において、加圧ローラ310の一方が乗り上げても、両方の加圧ローラ310を付勢部340が均等に付勢することができる。また、加圧ローラユニット304における自在継手370は直接付勢されておらず半径方向の力が加わらないので、加圧ローラユニット304に駆動力を与えて回転させる場合に、加圧ローラユニット304はがたつかずに円滑に回転し、被記録物100の振動を抑えて記録の精度を向上させることができる。
図17は、図4におけるプラテン部50付近を拡大した拡大断面図であり、図18は、図17をXで示す水平面で切断して上から見た断面図である。なお、図17の切断面は、図4の切断面よりも奥側(図18における左側)である。
図17および図18に示すように、プラテン部50は、記録ヘッド200の下方に配されたプラテン500と、プラテン500を下方から押し上げて支持する支持バネ550と、記録ヘッド200が往復移動する方向において支持バネ550と同じ位置に設けられ、プラテン500の高さの上限を規制するプラテン高さ規制部560と、プラテン500の上下方向の移動を案内するプラテン案内部材532、534と、プラテン500の下方に配された振動吸収部材540とを備える。記録ヘッド200には、記録ヘッド200に対して回動自在にギャップ保持部220としてのコロが取り付けられている。
プラテン500は、記録ヘッド200の移動方向に延伸する板状のプラテン本体510と、プラテン本体510の下方において被記録物100の搬送方向の下流側に延伸する一対のプラテン足部520とを備える。プラテン本体510およびプラテン足部520は、例えば弾性を有する樹脂を射出成形することにより一体に形成される。プラテン本体510における記録ヘッド200の移動方向の両端には、さらに記録ヘッド200の移動方向について外側に突出するピン515、516が設けられている。
プラテン本体510は、記録ヘッド200と対向する上面が平坦な上部512、および、上部512よりも被記録物100の搬送方向の幅が狭い下部514を有する。これにより、プラテン本体510の断面は、図17に示すように傘状の形状を有する。上部512の上面およびこの上面に搬送された被記録物100の上をギャップ保持部220が転がりながら、上部512の長手方向にギャップ保持部220および記録ヘッド200が移動する。この場合に、ギャップ保持部220は、上部512の上面を直接または被記録物100を介して押し下げることにより、被記録物100と記録ヘッド200とのギャップを保持する。プラテン足部520は、後述するプラテン高さ規制部560に当接することにより、支持バネ550に押し上げられているプラテン500の高さの上限を規制している。
プラテン案内部材532、534は、プラテン500における記録ヘッド200が往復移動する方向の両端に配され、本体部11から鉛直上方に立ち上がっている。これらプラテン案内部材532、534は、それぞれ鉛直方向に案内溝部533、535を有する。案内溝部533にプラテン500のピン515が挿入されると共に、案内溝部535にプラテン500のピン516が挿入されることにより、案内溝部533、535は、プラテン500の上下の移動を案内する。さらに、案内溝部532、534の底面とピン515、516が当接することにより、プラテン500の高さの下限が規制される。ただし、記録に用いられることが想定される最も厚い被記録物100を介してプラテン500が押し下げられた場合にも、ピン515,516が案内溝部532、534の底面に当接しないように底面の高さが設定されている。
振動吸収部材540は、例えば、スポンジなど吸音性および弾性を有する材料により形成され、プラテン500の下部514の下方および側面の一部を覆うように、被記録物100の搬送方向について整列板360とリア搬送部322との間に配されている。振動吸収部材540は、プラテン500のプラテン足部520に密着して、これを被記録物100の搬送方向の両側から挟みこむ。さらに、振動吸収部材540は、プラテン500をプラテン案内部材532、534に付勢する。図17および図18に示す実施形態において、振動吸収部材540における被記録物100の搬送方向の上流側が、搬送方向に沿った方向に、下流側よりも大きく押しつぶされた状態で、プラテン500の下部514が挿入される。これにより、振動吸収部材540において、プラテン500の下部514に対する搬送方向の上流側からの付勢力が、下流側からの付勢力よりも強くなる。よって、プラテン500は全体として下流側に付勢され、プラテン500のピン515、516がそれぞれ案内溝部533、535における被記録物100の下流側の側壁に押しつけられる。これにより、プラテン500が振動する上下方向に直交する方向に、衝撃吸収部材540が、プラテン500を付勢して、プラテン500の振動をより確実に吸収することができる。
ここで、プラテン500の上部512の下面513と振動吸収部材540の上面542との間に、プラテン500が上下方向に移動する移動幅よりも小さい間隙Gが設けられている。これにより、プラテン500の上下の移動量が小さいときには、プラテン500が振動する方向に直交する方向の付勢力により振動吸収部材540が振動を吸収する。さらに、プラテン500の上下の移動量が大きいときには、振動吸収部材540がプラテン500の上部512に当接して、上下方向についてもプラテン500の振動を吸収する。よって、記録ヘッド200の押下に対してプラテン500が追従しつつ、その後のプラテン500の振動を振動吸収部材540がより確実に吸収することができる。
図19および図20は、ギャップ保持部220により押し下げられた場合にプラテン500が湾曲する状態を説明する概略図である。なお図19は、記録ヘッド200が待機位置に近い位置にある状態を示し、図20は、記録ヘッド200が往復移動の略中心に位置する状態を示す。なお、図中の矢印は、プラテン500においてプラテン高さ規制部560により高さが制限されている位置を示す。
図17から図20に示す構成において、プラテン部50の動作を説明する。まず、搬送部30が、搬送方向に整列した被記録物100を、プラテン500の上部512の平坦な上面の上に搬送する。次に、後述のタイミングベルト250がキャリッジモータ240に駆動されることにより、本体上部16の長手方向に渡された記録ヘッドガイド軸260にヘッドキャリッジ230が案内されて移動する。これにより、ヘッドキャリッジ230が、記録ヘッド200およびギャップ保持部220をプラテン500の長手方向に移動する。この場合に、プラテン500の上部512において被記録物100が載っていない領域については、ギャップ保持部220が直接、上部512上を転がる。一方、プラテン500の上部512において被記録物100が載っている領域については、ギャップ保持部220が被記録物100上に乗り上げて、被記録物100上を転がることにより、ギャップ保持部220が、被記録物100を介してプラテン500の上部512の上面を押し下げる。これにより、ギャップ保持部220は、プラテン500の上部512上に配された被記録物100と記録ヘッド200との間に所望のギャップを保持する。ギャップ保持部220が、プラテン500の上部512上を直接、転がっている状態から、被記録物100上に乗り上げることにより、プラテン500を急激に押し下げた場合であっても、プラテン500の下部514と振動吸収部材540とが当接している摩擦力、および、プラテン500のピン515、516がそれぞれ案内溝部533、535における被記録物100の下流側の側壁に押しつけられている摺動負荷により、プラテン500の振動を減衰させ、プラテン500の振動を早急かつ確実に吸収することができる。
上述のように、被記録物100上をギャップ保持部220が転がって、被記録物100と記録ヘッド200との間に所望のギャップを保持しつつ、記録ヘッド200は、リボンカセット60のインクリボンを介して被記録物100に複数のワイヤを打ち当ててドットを記録することにより、被記録物100に文字等の記録を行う。本実施形態において、プラテン500の下部514に振動吸収部材540が押し当てられているので、被記録物100にワイヤを打ち当てる振動がプラテン500に伝わった場合でも、プラテン500の振動を吸収することができる。
図19および図20に示すように、プラテン500を下方から押し上げて支持する支持バネ550と、プラテン500の高さの上限を規制するプラテン高さ規制部560とは、長手方向において同じ位置に設けられる。プラテン500は、上述のように弾性を有しており、被記録物100により押し下げられて、図中の破線のように湾曲する。だたし、説明のために湾曲を誇張して破線により示した。なお図中の点線については後述する。
図21は、プラテン500を、記録ヘッド200が往復移動する方向から見た側面図である。プラテン500は、上述のようにプラテン本体510およびプラテン足部520を有する。プラテン足部520は、プラテン本体510の2箇所から鉛直下方に延伸する鉛直部522、および、鉛直部522の下端から被記録物100の搬送方向の下流に水平に延伸する水平部524を有し、L字の形状となっている。水平部524の上面525が、後述するプラテン高さ規制部560の度当たり部564に当接することにより、支持バネ550により押し上げられているプラテン500の高さの上限が規制される。
図22は、プラテン高さ規制部560の斜視図である。プラテン高さ規制部560は、プラテン500を押し上げる支持バネ550の下端と当接する平板状のバネ受け部562と、バネ受け部562上に突出し、支持バネ550に挿入されて支持バネ550を上下方向に案内しつつ係止するバネ係止部563と、バネ係止部563よりも被記録物100の搬送方向の下流側に配された度当たり部564と、プラテン高さ規制部560における記録ヘッド200の往復移動に沿った方向の一端側(図中の右側)において被記録物100の搬送方向に沿って延伸する軸部568とを備える。
度当たり部564は、バネ受け部562との間に間隙を有してバネ受け部562よりも高い位置に下面565を有する。度当たり部564には、この度当り部564を貫通し、記録ヘッド200の往復移動の方向に長い長孔566が設けられている。また、プラテン高さ規制部560には、長孔566よりも軸部568から遠い位置にネジ穴567が設けられている。
図23から図26は、プラテン高さ規制部560および高さ調整部570を説明する概略図である。図23は、プラテン高さ規制部560付近を被記録物100の搬送方向から見た部分斜視図である。図24は、図23を記録ヘッド200の移動方向に垂直な平面で切った断面図である。図25は、図24を断面Aで切った断面図であり、図26は、図24を断面Bで切った断面図である。
図23に示すように、プラテン高さ規制部560のバネ受け部562は、支持バネ550の下端と当接することにより、支持バネ550を支持する。これにより、支持バネ550は、プラテン高さ規制部560に対してプラテン500を記録ヘッド200へ向けて押し上げる。一方、プラテン高さ規制部560の度当たり部564の下面565は、プラテン500のプラテン足部520における水平部524の上面525に当接することにより、プラテン足部520が上方に移動することを規制する。これにより、プラテン高さ規制部560は、支持バネ550により押し上げられるプラテン500の高さの上限を規制する。また、度当たり部564において水平部524が挿入された下方には、本体部11へ貫通した矩形の貫通穴を有する貫通部569が設けられている。これにより、プラテン500がギャップ保持部220に押し上げられた場合に、プラテン500のプラテン足部520は、この貫通部569に退避することができる。
プラテン高さ規制部560の軸部568は、本体部11に固定された高さ規制部保持部580に回動自在に軸支される。これにより、プラテン高さ規制部560が軸部568を中心に回動して、プラテン高さ規制部560に配されたバネ受け部562および度当たり部564の、本体部11に対する高さを調整することができる。
図24から図26に示すように、プラテン高さ規制部560の度当たり部564の長孔566には、度当たり部564との間に間隙を持って、押し下げネジ574が挿入されて、押し下げネジ574のネジ頭の下面が度当たり部564の上面に当接すると共に、押し下げネジ574の先端部が本体部11に設けられたネジ穴576に螺合する。これにより、押し下げネジ574は、プラテン高さ規制部560を本体部11に対して押し下げ、プラテン高さ規制部560の高さの上限を規定する。一方、プラテン高さ規制部560のネジ穴567には押し上げネジ572が螺合され、押し上げネジ572の先端が本体部11に当接する。これにより、押し上げネジ572は、プラテン高さ規制部560を本体部11に対して押し上げ、プラテン高さ規制部560の高さの下限を規定する。これら押し上げネジ572および押し下げネジ574は、本発明における高さ調整部570の一例である。
上記構成において、押し上げネジ572をプラテン高さ規制部560へ押し込む方向に回転すると共に、押し下げネジ574を本体部11から浮かせる方向に回転することにより、プラテン高さ規制部560の度当たり部564の下面565が上に移動する。これにより、プラテン500の高さの上限が上に移動し、記録ヘッド200のギャップ保持部220が当接していない場合における記録ヘッド200に対するプラテン500の高さが高くなる。一方、押し上げネジ572をプラテン高さ規制部560から浮かせる方向に回転すると共に、押し下げネジ574を本体部11へ押し込む方向に回転することにより、プラテン高さ規制部560の度当たり部564の下面565が下に移動する。これにより、プラテン500の高さの上限が下に移動し、記録ヘッド200のギャップ保持部220が当接していない場合における記録ヘッド200に対するプラテン500の高さが低くなる。以上により、高さ調整部570は、記録ヘッド200に対するプラテン高さ規制部560の高さを調整しかつ固定することができる。この場合に、記録ヘッド200に対するプラテン500の高さの上限を変更しても、プラテン高さ規制部560のバネ受け部562とプラテン500との相対位置は変わらないので、バネ受け部562とプラテン500との間に配された支持バネ550が、プラテン500を押し上げる付勢力を略一定に保つことができる。
図25に示すように、押し上げネジ572は押し下げネジ574よりも軸部568から離れて配されている。これにより、ギャップ保持部220がプラテン500を押し下げることによりプラテン高さ規制部560にも下向きの力が働いた場合に、押し下げネジ574を挟んだ軸部568と押し上げネジ572とで安定してプラテン高さ規制部560を支えるので、プラテン高さ規制部560が変形または破壊することを防ぐことができる。
図26に示すように、記録ヘッド200が往復移動する方向において支持バネ550とプラテン高さ規制部560とが同じ位置に設けられている。よって、プラテン500がギャップ保持部220により押し下げられていない場合、プラテン500において、支持バネ550に押し上げられる位置と、プラテン高さ規制部560により高さが規制される位置との間に生じる曲げのモーメントを小さくすることができ、プラテン500の経時的な塑性変形およびクリープを抑えることができる。
さらに、図24に示すように、押し下げネジ574は、被記録物100の搬送方向について度当たり部564の近傍に配されている。これにより、プラテン高さ規制部560において、押し下げネジ574により押し下げられる位置とプラテン足部520により押し上げられる度当たり部564との間に生じる曲げのモーメントを小さくすることができ、プラテン高さ規制部560の経時的な塑性変形およびクリープを抑えることができる。
図27は、ギャップ保持部220がプラテン500上を移動する場合に、プラテン500が変位する量を説明する概略図である。図27には、プラテン500が剛体であると仮定した場合において、ギャップ保持部220がプラテン500を一定の力で押し下げたときに、支持バネ550により、プラテン500におけるギャップ保持部220に押し下げられた箇所が変位する量が、「バネによる変位」として示されている。さらに同図には、支持バネ550の代わりに剛体でプラテン500を支持していると仮定した場合において、ギャップ保持部220がプラテン500を一定の力で押し下げたときに、プラテン500の弾性変形により、プラテン500におけるギャップ保持部220に押し下げられた箇所が変位する量が、「弾性による変位」として示されている。
ギャップ保持部220がプラテン500を一定の力で押し下げた場合に、その箇所が変位する量は、上記のバネによる変位と弾性による変位の和である。図27に示すように、一対の支持バネ550の間において、プラテン500のバネによる変位と弾性による変位の和は、略一定になる。よって、ギャップ保持部220がプラテン500を一定の変位だけ押し下げるのに要する力は、一対の支持バネ550の間において略一定である。これにより、ギャップ保持部220は、プラテン500上を往復移動する場合に、プラテン500を安定して押し下げることができる。
図28および図29は、比較例1において、ギャップ保持部220がプラテン500上を移動する場合に、プラテン500が変位する量を説明する概略図である。なお、図19および図20と同様の構成については同じ参照番号を付し、説明を省略する。図28および図29に示す比較例1においては、図19および図20に示す本実施形態と異なり、プラテン高さ規制部560は、プラテン500の長手方向の両端に配され、上からプラテン500を押えることにより、プラテン500の高さの上限を規制する。
この比較例1において、記録ヘッド200が待機位置に近い位置にある状態および往復移動の略中心に位置する場合に、プラテン500はそれぞれ図28および図29の点線のように湾曲する。ただし、これらの図においては説明のために湾曲を誇張して描いている。図29において、プラテン500は、中央付近でギャップ保持部220により押し下げられて下方に湾曲し、その両側で支持バネ550に押し上げられて上方に湾曲し、さらにまた、両端で下方に湾曲する。また、ギャップ保持部220がプラテン500を押し下げていない状態においても、プラテン高さ規制部560により高さが規制される位置が支持バネ550に押し上げられる位置よりも端側にあるので、プラテン500全体が上に凸となる向きに曲がるモーメントが生じている。以上により、比較例1のプラテン500は、経時的に塑性変形したり、クリープが生じたりするおそれがある。なお、比較のため、図19および図20においてこの比較例1の湾曲を点線で示した。
図30および図31は、比較例2において、ギャップ保持部220がプラテン500上を移動する場合に、プラテン500が変位する量を説明する概略図である。図30および図31に示す比較例2においては、図19および図20に示す本実施形態と異なり、プラテン高さ規制部560は、長手方向において支持バネ550よりも中央側に配されている。
この比較例2において、記録ヘッド200が待機位置に近い位置にある状態および往復移動の略中心に位置する場合に、プラテン500はそれぞれ図30および図31の点線のように湾曲する。ただし、これらの図においては説明のために湾曲を誇張して描いている。また、比較のために図19および図20の本実施形態におけるプラテン500の湾曲を、それぞれ図30および図31に破線で示した。例えば、図30に示すように、記録ヘッド200が左側にあるときにプラテン500の右端は非常に大きく上方に変形する。また、ギャップ保持部220がプラテン500を押し下げていない状態においても、プラテン高さ規制部560により高さが規制される位置が支持バネ550に押し上げられる位置よりも中央側にあるので、プラテン500全体が下向きに凸となる向きに曲がるモーメントが生じている。以上により、比較例2のプラテン500も、経時的に塑性変形したり、クリープが生じたりするおそれがある。
比較例1および比較例2と比較すると、本実施形態では、プラテン500の長手方向において支持バネ550とプラテン高さ規制部560とが同じ位置に設けられているので、ギャップ保持部220により押し下げられた場合の湾曲がすくない。また、ギャップ保持部220により押し下げられていない場合にも、プラテン500において、支持バネ550に押し上げられる位置と、プラテン高さ規制部560により高さが規制される位置との間に生じる曲げのモーメントを小さくすることができ、プラテン500の経時的な塑性変形およびクリープを抑えることができる。
さらに、本実施形態において、記録ヘッド200が待機する位置において、ギャップ保持部220の下方に支持バネ550が位置してもよい。これにより、記録ヘッド200が待機しているときにギャップ保持部220がプラテン500を押し下げていても、支持バネ550に押し上げられる位置とギャップ保持部220に押し下げられる位置との間に生じる曲げのモーメントを小さくすることができ、プラテン500の経時的な塑性変形およびクリープを抑えることができる。
図32は、記録装置10のリボン巻き取りユニット600付近を拡大した拡大斜視図である。なお、図32において、説明のためリボンカセット60が記録装置10から取り外された状態を示した。また、図32から後述の図36まで、図の簡略化のため、歯車の歯を省略している。
図32に示すように、リボン巻き取りユニット600は、タイミングベルト250を駆動するベルト駆動プーリー610の近傍に配され、リボンカセット60の巻き取りリールと係合するリボン巻き取り軸660を有する。ベルト駆動プーリー610は、図3に示したキャリッジモータ240の回転軸242に固定された歯車である。ベルト駆動プーリー610はタイミングベルト250を往復駆動すべく正転および逆転するが、リボン巻き取りユニット600は、ベルト駆動プーリー610が正転している場合および逆転している場合の両方において、リボン巻き取り軸660を一定方向に回転して、リボンカセット60のインクリボンを巻き取る。
図33は、リボン巻き取りユニット600の正面図である。図34は、遊星レバー620と遊星歯車700の斜視図である。図35は、リボン巻き取りユニット600において遊星レバー620および遊星歯車700を取り外した斜視図である。図36は、リボン巻き取りユニット600を被記録物100の搬送方向の下流側から見た背面斜視図である。なお、図34において、説明のために遊星駆動歯車710の一部が破断された状態を示し、かつ、遊星従動歯車730が遊星駆動歯車710から浮き上がった状態を示している。
図33に示すように、リボン巻き取りユニット600は、回転軸242の軸上に設けられた太陽歯車612と、回転軸242と噛み合う遊星レバー620と、遊星レバー620上に配された遊星歯車700と、遊星歯車700と噛み合った場合に遊星歯車700に連れて回転する正転従動歯車630および逆転従動歯車640と、逆転従動歯車640と噛み合う中間歯車650と、正転従動歯車630および中間歯車650と常時噛み合う上記リボン巻き取り軸660とを備える。リボン巻き取りユニット600はさらに、これら遊星レバー620、遊星歯車700、正転従動歯車630、逆転従動歯車640、中間歯車650およびリボン巻き取り軸660を収容するハウジング670とを備える。
太陽歯車612は、回転軸242の軸方向においてベルト駆動プーリー610よりもキャリッジモータ240に近い側に、ベルト駆動プーリー610と一体に設けられ、ベルト駆動プーリー610よりも小径の歯車である。これにより、太陽歯車612は、回転軸242が正転または逆転するのに伴い、正転または逆転する。
図33を用いて、リボン巻き取りユニット600における回転駆動力の伝達および回転方向を説明する。回転軸242が正転(図33における破線の矢印の方向)すると、回転軸242に設けられた太陽歯車612も正転する。これに伴い、遊星レバー620が破線の矢印の方向に移動して、遊星レバー620上に設けられた遊星歯車700が太陽歯車612上を公転することにより、遊星歯車700が正転従動歯車630と噛み合う。この状態において、さらに太陽歯車612が正転することにより、これに連れ回って遊星歯車700も正転し、この遊星歯車700に連れ回って正転従動歯車630が図中の破線の矢印の方向へ回転する。正転従動歯車630のこの回転に連れ回って、リボン巻き取り軸660が図中の破線の矢印の方向へ回転する。
一方、回転軸242が逆転(図33における実線の矢印の方向)すると、回転軸242に設けられた太陽歯車612も逆転する。これに伴い、遊星レバー620が実線の矢印の方向に移動して、遊星レバー620上に設けられた遊星歯車700が太陽歯車612上を公転することにより、遊星歯車700が逆転従動歯車640と噛み合う。この状態において、さらに太陽歯車612が逆転することにより、これに連れ回って遊星歯車700も逆転し、この遊星歯車700に連れ回って逆転従動歯車640が図中の実線の矢印の方向へ回転する。逆転従動歯車640のこの回転に連れ回って、中間歯車650が図中の実線の方向へ回転する。中間歯車650のこの回転に連れ回って、リボン巻き取り軸660が図中の実線の矢印の方向へ回転する。
図34に示すように、遊星レバー620は、全体が略板状の本体622を有し、本体622の一端近傍に回転軸720が挿通されて、遊星歯車700を保持する。本体622の他端には、回転軸242と噛み合う、回転軸242と同心の円弧状の切り欠き623、および、この切り欠き623の周りに配された凸部624が設けられている。凸部624は、回転軸242の軸方向に沿って、キャリッジモータ240へ向けて延伸している。これにより、遊星レバー620は、太陽歯車612と遊星歯車700との距離を保持する。図36に示すように、遊星レバー620の切り欠き623は、遊星レバー620の一辺から遊星歯車700側へ向うほど深く切り欠かれた円弧状を有する。これにより、遊星歯車700が正転従動歯車630および逆転従動歯車640から噛み合いの圧力を受けた場合でも、遊星レバー620の切り欠き623が回転軸242と当接し、遊星レバー620が回転軸242から脱落することを防ぐことができる。
図34に示すように、遊星歯車700は、遊星レバー620上に配され、太陽歯車612と噛み合い、太陽歯車612に連れて回転する遊星駆動歯車710と、遊星駆動歯車710と同軸上に配され、遊星駆動歯車710に連れて回転する遊星従動歯車730と、遊星駆動歯車710と遊星従動歯車730とを互いに近接する方向に付勢する付勢部材740と、遊星駆動歯車710、遊星従動歯車730および遊星レバー620を貫らぬく回転軸720とを有する。
遊星駆動歯車710は、略円盤の形状を有し、外周には太陽歯車612の歯と噛み合う歯712が設けられている。遊星駆動歯車710の中心には、回転軸720の下部を受け入れる貫通穴が設けられている。この貫通穴の外側には、円周方向かつ軸方向について傾いた複数の斜面714を有する穴が設けられている。
遊星従動歯車730は、遊星駆動歯車710よりも径が小さい略円筒の形状を有する。遊星従動歯車730の外周における上部には、正転従動歯車630および逆転従動歯車640と噛み合う歯732が設けられている。遊星従動歯車730の外周における下部には、円周方向かつ軸方向について傾いた複数の斜面734が設けられている。付勢部材740が遊星従動歯車730を遊星駆動歯車710へ付勢することにより、通常の状態において、遊星駆動歯車710と遊星従動歯車730とは、前記複数の斜面714、734において互いに噛み合っている。
回転軸720は、略円柱の形状を有し、上端にフランジ722を有する。回転軸720の下端724には軸周りに図示しない溝が設けられ、この溝にリングが挿入されている。これにより、回転軸720の下端724が遊星レバー620から抜けないようになっている。
付勢部材740は、回転軸720のフランジ722に当接して、遊星従動歯車730を遊星駆動歯車710へ付勢すると共に、遊星駆動歯車710を遊星レバー620へ付勢する。これにより、付勢部材740は、遊星レバー620に対して遊星駆動歯車710に負荷トルクを与えるので、太陽歯車612から遊星駆動歯車710に与えられた駆動力を遊星レバー620に伝達させて、この駆動力を遊星レバー620が回動する駆動力へ変換する。付勢部材740の一例はコイルバネである。
上記構成において、遊星駆動歯車710と遊星従動歯車730との間に基準値以下のトルクが加わった場合には、遊星駆動歯車710と遊星従動歯車730とは一体的に回転する。一方、遊星駆動歯車710と遊星従動歯車730との間に基準値以上のトルクが加わった場合に、付勢部材740の付勢力に抗して、遊星従動歯車730の斜面734が、遊星駆動歯車710において噛み合っている斜面714を摺り上がる。これにより、遊星従動歯車730が、遊星駆動歯車710に対して浮き上がり、遊星駆動歯車710に対して自在に回転する。これにより、遊星従動歯車730に加わるトルクを制限する。これにより、リボンカセット60においてインクリボンが絡まってリボンがロックしたときなどにおいて、遊星従動歯車730に大きなトルクがかかった場合に、リボン巻き取りユニット600が破損することを防ぐことができる。
上述のように、遊星歯車700における遊星駆動歯車710と遊星従動歯車730との間でトルクを制限するので、遊星歯車700と別体でトルクを制限する機構を設ける必要がなく、部品点数を少なくすることができる。また、上記順序で付勢部材740が遊星従動歯車730を付勢しているので、遊星従動歯車730が遊星駆動歯車710に対して自在に回転する場合でも、遊星駆動歯車710と太陽歯車612との噛み合いを保つことができる。さらに、斜面714、734の傾きにより基準値となるトルクを設定することができる。例えば、軸方向に立ちあがった小さい傾きの斜面714、734を設けた場合には、遊星従動歯車730が遊星駆動歯車710に対して自在に回転を始めるトルクの基準値は大きくなる。一方、軸方向に緩やかな大きい傾きの斜面714、734を設けた場合には、トルクの上記基準値は小さくなる。また、本実施形態においては、遊星駆動歯車710および遊星従動歯車730の回転方向について、斜面714、737の傾きが対称となっているので、遊星駆動歯車710および遊星従動歯車730が正転する場合と逆転する場合とで、トルクの基準値を同じにすることができる。なお、斜面714、737の傾きを非対称とすることにより、遊星駆動歯車710および遊星従動歯車730が正転する場合と逆転する場合とで、トルクの基準値を異なる値に設定することができる。
図35に示すように、正転従動歯車630は、遊星従動歯車730と噛み合う大径歯車部632と、大径歯車部632の上方にこの大径歯車部632と一体に形成され、大径歯車部632よりも小径の小径歯車部634とを有する。大径歯車部632は、太陽歯車612が逆転から正転に切り替わるときに遊星レバー620が回転軸242のまわりに回動することによって、遊星従動歯車730と噛み合う。一方、太陽歯車612が逆転する場合には、大径歯車部632は、遊星従動歯車730との噛み合いから外れる。小径歯車部634は、リボン巻き取り軸660と常に噛み合っている。よって、大径歯車部632が遊星従動歯車730に連れて回転すると、小径歯車部634がこの回転駆動力をリボン巻き取り軸660へ伝達して、リボン巻き取り軸660を回転する。
同様に、逆転従動歯車640は、遊星従動歯車730と噛み合う大径歯車部642と、大径歯車部642の上方にこの大径歯車部642と一体に形成され、大径歯車部642よりも小径の小径歯車部644とを有する。逆転従動歯車640は、太陽歯車612が正転から逆転に切り替わるときに、遊星レバー620が回転軸242のまわりに回動することによって、遊星従動歯車730と噛み合う。一方、太陽歯車614が正転する場合には、大径歯車部642は、遊星従動歯車730との噛み合いから外れる。小径歯車部644は、中間歯車650と常に噛み合っている。さらに、中間歯車650は、リボン巻き取り軸660と常に噛み合っている。よって、大径歯車部642が遊星従動歯車730に連れて回転すると、小径歯車部644がこの回転駆動力を中間歯車650へ伝達し、中間歯車650がさらにこの回転駆動力をリボン巻き取り軸660へ伝達して、リボン巻き取り軸660を回転する。
ここで、正転従動歯車630の大径歯車部632および逆転従動歯車640の大径歯車部642は、遊星従動歯車730が付勢部材740の付勢力に抗して遊星駆動歯車710から浮き上がった状態においても遊星従動歯車730と噛み合う軸方向の高さを有する。これにより、基準値以上のトルクがかかって、遊星従動歯車730が遊星駆動歯車710から浮き上がった場合にも、遊星従動歯車730と、正転従動歯車630または逆転従動歯車640との噛み合いが外れることを防ぐことができる。よって、遊星従動歯車730の下部が遊星駆動歯車710に入り込む元の位置に円滑に復帰することができる。
リボン巻き取り軸660は、正転従動歯車630の小径歯車部634および中間歯車650と常に噛み合う大径歯車部662と、大径歯車部662よりも小径であって、リボンカセット60に挿入されて、リボンカセット60のリールと係合する巻き取り係合部664とを有する。これにより、上述のように、太陽歯車612が、正転している場合には正転従動歯車630からの回転駆動力を受け、逆転している場合には中間歯車650からの回転駆動力を受け、リボン巻き取り軸660は、いずれの場合にも同一方向に回転する。
図34および図36に示すように、ハウジング670の遊星レバー軸受け672は、遊星レバー620の凸部624に当接するU字の切り欠きを有する。これにより、遊星レバー620が回転軸242のまわりをハウジング670に対して円滑かつ確実に回動することができる。また、遊星レバー620の切り欠き623が円弧状であるので、遊星レバー620に貫通穴を設けて回転軸242を挿入する場合に比べて、リボン巻き取りユニット600を容易に組み立てることができる。また、太陽歯車612と遊星レバー620とを容易に着脱することができ、これにより、リボン巻き取りユニット600の故障などにおいてリボン巻き取りユニット600を容易に交換をすることができる。また、太陽歯車612がベルト駆動プーリー610と一体に形成されているので、ベルト駆動プーリー610と噛み合い、ベルト駆動プーリー610から回転駆動力を伝達する太陽歯車612を別体で設ける必要がなく、リボン巻き取りユニット600の部品点数を減らすことができる。
以上、本実施形態によれば、プラテン500は、プラテン高さ規制部560上に配された支持バネ550により押し上げられると共に、記録ヘッド200に対するプラテン高さ規制部560の高さを高さ調整部570が調節することにより記録ヘッド200に対するプラテン500の高さを調節するので、プラテン500における記録ヘッド200に対する高さの上限を変更しても、支持バネ550がプラテン500を押し上げる付勢力を略一定に保つことができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 記録装置、11 本体部、12 上部カバー、13 上部ハウジング、14 下部ハウジング、16 本体上部、17 本体前部、18 挿入口、20 記録部、30 搬送部、32 被記録物押え部、40 磁気データ読取部、50 プラテン部、60 リボンカセット、100 被記録物、110 磁気ストライプ、200 記録ヘッド、220 ギャップ保持部、230 ヘッドキャリッジ、240 キャリッジモータ、242 回転軸、250 タイミングベルト、260 記録ヘッドガイド軸、500 プラテン、510 プラテン本体、512 上部、513 下面、514 下部、515 ピン、516 ピン、520 プラテン足部、522 鉛直部、524 水平部、525 上面、532 プラテン案内部材、533 案内溝部、534 プラテン案内部材、535 案内溝部、540 振動吸収部材、542 上面、550 支持バネ、560 プラテン高さ規制部、562 バネ受け部、563 バネ係止部、564 度当たり部、565 下面、566 長孔、567 ネジ穴、568 軸部、569 貫通部、570 高さ調整部、572 押し上げネジ、574 押し下げネジ、576 ネジ穴、580 高さ規制部保持部