JP2005126400A - キレート剤、金属化合物、アルコール及びハロゲン化合物を添加した殺芽胞力を有するアルコール系消毒剤 - Google Patents

キレート剤、金属化合物、アルコール及びハロゲン化合物を添加した殺芽胞力を有するアルコール系消毒剤 Download PDF

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Fumiaki Taguchi
文章 田口
Ataru Kida
中 木田
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Abstract

【課題】 従来アルコールを主剤とする薬剤が全く細菌芽胞に対して殺芽胞活性を示すということはないという当該専門分野の常識を覆し、生体に対して安全性が高く即効的な殺芽胞活性を有する薬剤を開発し、医療、公衆衛生及び食品産業など多方面で発生する微生物による危害の発生予防役立つことを課題とする。さらに、炭疽菌の芽胞をはじめとする微生物を用いたバイオテロに対する危機管理対策において、冬季のような低温環境においても芽胞を殺すことができる新規な消毒剤の提供を課題とする。
【解決手段】上記の課題を解決するものとして、第1には、芽胞に対して強い殺芽胞作用を発揮することを特徴とする消毒剤の新規な処方を提供することを特徴とし、その処方について、第2には、キレート剤、金属化合物、食塩、アルコールを組み合わせることを特徴とし、その溶液について、第3には、pHを極端に低くすることを特徴とする消毒液を提供する。第4にはハロゲン化合物を添加することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
この出願の発明は、細菌芽胞に対して殺芽胞活性を有する殺菌剤に関するものである。
細菌の芽胞を殺す薬剤として、これまでにグルタルアルデヒド、過酢酸、次亜塩素酸ナトリウム、ホルムアルデヒドなどが世界保健機構から推奨されている(WHO/EMC/ZDI/98.6 Guidelines for the surveillance and control of anthrax in human and animals.WHO home page http://www.who.int/emc−documents/surveillance/docs/whoemczdi986−nofigs.html)。
しかし、有害なガス、刺激臭などのため、その取り扱いにおいては防護メガネ、マスク、手袋が必要である。さらに、過酢酸(液体)は滅菌温度が50℃〜55℃であること、またホルムアルデヒドも60℃〜76℃の滅菌温度が必要であるなど、取り扱いし易い薬剤とは言いがたい。一方、アルコールを主剤とする全ての薬剤は、細菌芽胞に対して全く効果がない。炭疽菌がテロに用いられることを想定した場合、炭疽菌の芽胞に対して取り扱いが容易で且つ安全に使用できる効果的な薬剤は存在しない。
その理由として、世界保健機構が推奨している薬剤は、人体に強い毒性があり、金属を腐蝕させ、また土壌などへの残留性など環境への悪影響をおよぼし、しかもこれらの薬剤の保存性や殺芽胞効果の持続性も悪いなどの欠点があるからである。このため、人間を含む生体や環境への悪影響を考慮して、人に対して安全で、薬剤の保存性がよく且つ即効的に殺芽胞効果を示す新規な消毒剤の開発が強く望まれている。
ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の際、炭疽菌を含む白い粉が不特定多数の人に郵送される無差別テロ事件が起き、感染死者がでたことから世界的に恐怖感を与えた。その後国内でも炭疽菌などの生物兵器による攻撃に対して水源地の安全確保が強く求められている。自衛隊でも生物兵器またはバイオテロに対応するシステムの導入を検討している。これらのことから、炭疽菌など細菌兵器として使われる可能性が考えられる細菌の芽胞を殺す殺芽胞作用を持つ消毒剤の開発が強く求められている。
発明が解決しようとする課題
この出願の発明は、これら社会的な要望に応えるため鋭意研究を重ね、ついにキレート剤、金属化合物、ハロゲン化合物、食塩及びアルコールを組み合わせた新規処方の溶液が、細菌の芽胞に対して殺芽胞活性を示すことを発見した。従来アルコールを主剤とする薬剤が全く細菌芽胞に対して殺芽胞活性を示さないという当該専門分野の常識を覆し、生体に対して安全性が高く即効的な殺芽胞活性を有する薬剤を開発し、医療、公衆衛生及び食品産業など多方面で発生する微生物による危害の発生予防役立つのみならず、炭疽菌の芽胞をはじめとする微生物を用いたバイオテロに対する危機管理対策にも役立つ新規な消毒剤を提供することを課題としている。
炭疽菌やセレウス菌を代表とするBacillus属の細菌とボツリヌス菌や破傷風菌などを代表とするClostridium属の細菌は、生育に不都合な環境下では芽胞を形成する。芽胞は、一般的な消毒剤、例えば、アルコール、塩素や石炭酸などに対して強い抵抗性を示すのみならず、熱や乾燥に対しても強い抵抗性がある。そのため、これら芽胞を形成する細菌は、食中毒の原因菌として、また細菌兵器として重要な対象となる。
本申請者は、キレート剤の抗菌活性を一貫して継続的に検討してきた。その結果、生理食塩水に溶かしたキレート剤としてのEDTA−2Naが大腸菌などの細菌に対してpHに依存した抗菌活性を示すことを既に報告した〔木田らEthylenediaminetetraacetic acid(EDTA)のpH依存選択的抗菌活性.日本細菌学雑誌.47(4):625−629,1992〕。しかし、生理食塩水の代わりに蒸留水ではEDTAの細菌に対する抗菌活性は発現しなかった。またEDTAの水溶液およびアルコール液では芽胞に対しては全く作用を示さなかった(未発表)。一方、EDTAは、プロテウス菌に対してpHを変えても抗菌活性を全く示さないが、10%程度以上にアルコールを添加すると強い抗菌活性を示した〔木田ら.グラム陰性桿菌に対するEthylenediaminetetraacetic acid(EDTA)のpH依存選択的抗菌活性に及ぼすエタノールの相乗効果.防菌防黴誌.27:779−783,1999〕。
更に、胃内部は胃酸によりpHは極めて低くなっているため、ピロリ菌は例外として普通の細菌は増殖できないことは広く認められている事実である。そこで塩酸を加えてpH0.3にした蒸留水の芽胞に対する作用を検討した。60分間曝露させても芽胞数は減少しなかった。しかし、pH0.3に調整した生理食塩水の場合は、20℃で30分間の曝露でも芽胞数が減少することを発見した(未発表)。
次に、EDTA溶液のpHを低下させて抗菌活性を調べようと努力したが、EDTAはpHを低下させると沈殿して溶液を作れなかった。またEDTAは、アルコールには溶解しないことが判った。そこで、数百種類の試薬を検討した結果、食塩水に溶かしたEDTA−2Na、EDTA−3Na、EDTA−4Na、EDTA−2KまたはEDTA−3Kなどに鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、銅化合物またはアルミ化合物などを加えることによって極めてpHの低い溶液を作れることを発見した。更にこのキレート剤と金属化合物の食塩水はアルコールともよく混合できることを見出した。
この出願の発明は、塩化ナトリウムを1.7%に添加した食塩液に100mMの濃度になるようキレート剤と金属化合物を溶解し、この溶液と99.5%エタノールを等量混合した溶液に塩酸を加えて例えばpHを0.3〜3の酸性液にする。さらにはハロゲン化合物を沈殿させることなく溶解させることに成功した。
発明が課題を解決するための手段
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、芽胞に対して強い殺芽胞作用を発揮することを特徴とする消毒剤の新規な処方を提供することを特徴とし、その処方について、第2には、キレート剤、金属化合物、食塩、アルコールを組み合わせることを特徴とし、その溶液について、第3には、pHを極端に低くすることを特徴とする消毒液を提供する。第4にはハロゲン化合物を添加することを特徴とする。
そして、第5には、キレート剤としてはEDTA−2Na、EDTA−3Na、EDTA−4Na、EDTA−2K、EDTA−3Kなどで、そのいずれかを0.1mM以上の濃度に添加することを特徴とし、第6には、金属化合物としては遷移金属化合物などで、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、銅化合物、アルミ化合物などを0.1mM以上の濃度に添加することを特徴とし、第7には、塩化ナトリウムは0.1%以上の濃度であることを特徴とし、第8には、アルコールは10%以上の濃度であることを特徴とする。さらに、第9にはpH0.3〜6の範囲であることを特徴とし、第10にはハロゲン化合物としては、塩素化合物、臭素化合物及びヨウ素化合物などを0.1mM以上の濃度に添加することを特徴とする殺菌剤を提供する。
次に、本発明の実施の形態について実験結果を例にあげて説明する。
《EDTA−2Na、塩化鉄、アルコール、食塩及びヨウ化カリウムとの混合液(pH0.3)の殺芽胞効果》
塩化ナトリウムを1.7%に添加した食塩液に、キレート剤としてEDTA−2Naを100mMの濃度になるよう溶解する。さらに100mMの濃度になるよう金属化合物として塩化鉄を溶解する。この溶液と99.5%アルコールを等量混合し、塩酸を加えてpHを0.3に調整した溶液に50mMの濃度になるようヨウ化カリウムを溶解する。この溶液10mlに、枯草菌またはセレウス菌の芽胞(1010CFU/ml)100μlを加え、20℃で5,10,15及び30分間作用させた後の生残芽胞菌数(CFU/ml)を測定した。その結果、5分間の暴露で1億分の1以下、即ち10個の芽胞を0個まで減少した。さらに、5℃という通常の消毒薬では効果が期待できない温度でも、30分間の暴露で芽胞数は10、000分の1に減少し、60分間暴露させると1億分の1以下、即ち10個の芽胞を0個まで減少した。
Figure 2005126400
発明の効果
以上詳しく説明したように、この出願の発明によれば、例えばキレート剤としてEDTA−2Na、金属化合物として塩化鉄の食塩液をアルコールとの混合液(pH0.3)にハロゲン化合物としてヨウ化カリウムを添加することによって、20℃では5分間という短い暴露時間でも細菌の芽胞を1億分の1、即ち10個の芽胞を0個にすることができる。さらに5℃という低温においても60分間まで暴露させれば完全に細菌の芽胞を殺す薬剤が実現される。
この殺芽胞剤は殺芽胞効果を有するだけでなく、安全性と保存性に優、且つ当該専門家の多くが5℃という低い温度では芽胞を殺すことのできる薬剤はないと考えられているなかで、この出願の発明は強い殺芽胞効果を示すことに成功した。従って、これまでの薬剤医療、公衆衛生及び食品産業の危害発生の予防のみならず、炭疽菌をはじめとする微生物を用いたバイオテロに対する危機管理対策に有用である。

Claims (8)

  1. キレート剤、金属化合物、ハロゲン化合物、塩化ナトリウム、アルコールと水からなる溶液のpHを酸性にすることにより安定性と安全性が高く且つ低温でも強力な殺芽胞作用を示すことを特徴とする新規な殺菌剤。
  2. キレート剤としては、EDTA−2Na、EDTA−3Na、EDTA−4Na、EDTA−2K、EDTA−3Kなどで、そのいずれかを0.1mM以上の濃度に添加することを特徴とする請求項1に記載の殺菌剤。
  3. 金属化合物としては、遷移金属化合物などで、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、銅化合物、アルミ化合物などで、そのいずれかを0.1mM以上の濃度に添加することを特徴とする請求項1に記載の殺菌剤。
  4. ハロゲン化合物としては、塩素化合物、臭素化合物、ヨウ素化合物などで、そのいずれかを0.1mM以上の濃度で添加することを特徴とする請求項1に記載の殺菌剤。
  5. 塩化ナトリウムは、0.1%以上の濃度であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌剤。
  6. アルコールは、10%以上の濃度であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌剤。
  7. 水は、キレート剤、金属化合物や塩化ナトリウムを溶解するために必要で、濃度は限定されない。
  8. pH0〜6の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌剤。
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