JP2005124466A6 - 芳香族化合物の嫌気的分解の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境中に生息する多様な嫌気性芳香族化合物分解微生物及び微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を迅速かつ簡便に検出・定量することにより、MNAなどにおける芳香族化合物の嫌気環境での分解浄化の潜在能力や進行過程を評価する方法を提供すること
【解決手段】 試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とする、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とする、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、芳香族化合物に汚染された土壌、地下水等の環境において、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価する方法、及びそのための手段に関する。
土壌や地下水の芳香族化合物、特にベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)などによる汚染は、近年では頻繁かつ広範囲で起こっている。このような汚染は、物理学的手法や生物学的手法(バイオレメディエーション)により浄化できることが知られているが、これらの方法は多額の費用と長時間の労力を要する。最近、このような問題を回避できる汚染浄化法の一つとして、MNA(Monitored Natural Attenuation;科学的自然減衰)が注目されている。MNAは、汚染物質の自然減衰を追跡し、その分解過程を理解することにより、必要最小限の対策を講じる環境修復法である。このような汚染物質の自然減衰は、汚染サイトの条件や汚染物質の種類によって異なるため、MNAの適用を検討する場合には、当該サイトにおける汚染状況の推移や溶存酸素などの水分地質学的状況の調査などを行って、当該サイトで合理的な期間で浄化目標に到達可能であるかどうかを詳細に調査する必要がある。また、MNAによる環境修復では、汚染物質の分解に関わる微生物群の制御が重要になり、そのためには分解菌を正確にモニタリングしなければならない。
現在までに開発された芳香族化合物分解微生物のモニタリング法の大部分は、分解には直接関与しない16S rRNAの遺伝子を利用して微生物の存在をモニタリングする方法や、特定の化合物分解に関わる好気性微生物の代謝系遺伝子を用いてモニタリングする方法である(非特許文献1及び2)。
しかし近年、MNAにおける芳香族化合物分解には、主に嫌気性微生物が関与していることが解ってきた(非特許文献3)。最近、芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物(以下、「嫌気性芳香族化合物分解微生物」ともいう)をモニタリングする手法として、嫌気的なトルエン分解に関与するベンジルサクシネート合成酵素の遺伝子を標的としたポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」という)を利用した方法が報告されている(非特許文献4)。しかし、この方法では、芳香族化合物分解遺伝子を有する様々な嫌気性微生物のうち、トルエン分解菌しか検出することができない。
上記のように、芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物及び微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を幅広くしかも特異的にモニタリングすることは環境浄化において重要であるにもかかわらず、要求を満たす良好なモニタリング法は今まで存在していなかった。そのため、幅広い嫌気性芳香族化合物分解微生物を検出する方法と、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性をモニタリングする方法の開発が望まれている。
Mesarch, B.M., C.H. Nakatsu及びL. Nies,Appl. Environ. Microbiol.,2000年,第66巻,p.678-683
Whiteley, A.S.及びM.J. Bailey.,Appl. Environ. Microbiol.,2000年,第66巻,p.2400-2407
Holliger, C.及びZehnder, A.J.B.,Curr. Opin. Biotechnol.,1996年,第7巻,p.326-330
Beller HR, Kane SR, Legler TC及びAlvarez PJ,Environ Sci Technol.,2002年,第36巻,p.3977-3984
本発明は、環境中に生息する多様な嫌気性芳香族化合物分解微生物及び分解活性を迅速かつ簡便に検出・定量することにより、MNAなどにおける芳香族化合物の嫌気環境での分解浄化の潜在能力や進行過程を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、芳香族化合物の嫌気的代謝経路において、ほとんどの芳香族化合物はベンゾイル−コエンザイムAなどに変換され、これらの化合物は還元反応により分解されることに着目し、この還元反応を触媒する酵素であるベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を利用することにより、多様な嫌気性芳香族化合物分解微生物及び微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性をモニタリングできることを見出した。また、種々の嫌気性芳香族化合物分解微生物に由来するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を網羅的に簡便かつ迅速に検出するための核酸断片の設計に成功し、実際に当該酵素の検出を行ったところ、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価できることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)である。
(1)試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とする、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法。
上記評価方法においては、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を、例えば、該酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出、及び該酵素又はその類縁酵素に対する抗体を用いた検出により行うことができる。
上記検出において、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸としては、例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニットをコードする核酸を用いることができる。
また、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、例えば、核酸増幅反応、好ましくは競合的な核酸増幅反応により行うことができる。
ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、好ましくは以下の(a)又は(b)の核酸断片を用いて行う。
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片
上記評価方法において、試料としては、限定するものではないが、微生物、微生物コンソーシア、土壌、又は地下水が挙げられる。
(1)試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とする、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法。
上記評価方法においては、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を、例えば、該酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出、及び該酵素又はその類縁酵素に対する抗体を用いた検出により行うことができる。
上記検出において、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸としては、例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニットをコードする核酸を用いることができる。
また、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、例えば、核酸増幅反応、好ましくは競合的な核酸増幅反応により行うことができる。
ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、好ましくは以下の(a)又は(b)の核酸断片を用いて行う。
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片
上記評価方法において、試料としては、限定するものではないが、微生物、微生物コンソーシア、土壌、又は地下水が挙げられる。
(2)以下の(a)又は(b)のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出するための核酸断片。
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片
(3)上記核酸断片を少なくとも1つ含む、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価するためのキット。
本発明により、土壌圏及び水圏環境における嫌気性芳香族化合物分解微生物及び微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を迅速かつ簡便に評価できるようになる。また、MNAにおける汚染浄化の進行も簡便な手法でモニタリングすることができるようになり、低コストで効率よく環境修復を行うことが可能になる。すなわち、本評価方法の評価結果は、MNAなどの浄化作業が適用可能かの事前判断や、浄化作業過程での進行状況の評価や修正検討に有用な情報を提供すると期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、試料中における芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法に関するものであり、かかる評価方法は、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA(CoA)還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とするものである。
本発明は、試料中における芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法に関するものであり、かかる評価方法は、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA(CoA)還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とするものである。
芳香族化合物の嫌気的分解は1985年に最初に報告され、芳香族化合物の嫌気的分解経路はその後の多くの研究で明らかにされている。また、この経路においてベンゾイル−コエンザイムAがベンゾイル−コエンザイムA還元酵素の触媒によって開環されることはロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)やサウレラ・アロマティカ(Thauera aromatica)の研究において明らかにされている(Harwood, C.S., Burchhardt, G., Herrmann, H., Fuchs, G., Anaerobic metabolism of aromatic compounds via the benzoyl-CoA pathway. 1999, FEMS Microbiol. Rev., 22, 439-458.)。
ベンゾイル−コエンザイムAは、上記の通り芳香族化合物が嫌気的に分解される過程で生じる中間産物である。ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素はこのベンゾイル−コエンザイムAを還元する酵素であり、芳香族化合物の嫌気的分解を行うほとんどの微生物がこの酵素を有し、芳香族化合物の分解プロセスを行っている。また、本発明において「類縁酵素」とは、酵素反応において機能的に類似している酵素(この場合、ATP−activase)を意味し、ハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素、R−乳酸フェニル脱水酵素などが含まれる。
以上の知見に基づくと、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の存在は、芳香族化合物の嫌気的分解を行う微生物(嫌気性芳香族化合物分解微生物)の存在を示すと共に、その分解の程度を示すことになる。従って、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することにより、試料中の微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価することが可能になる。
本発明に係る微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法(以下、「本評価方法」ともいう)は、上述したように試料中のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することを利用する。ここで「芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価」とは、芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物の有無の判別、該微生物の量の測定、該微生物の芳香族化合物を嫌気的に分解する能力の有無の判別、該分解能力の程度の判定などを意味する。また、「芳香族化合物」とは、ベンゼン環又はベンゼン環が2個以上縮合した環をもつ化合物を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、パラクレゾール、フェノール、エチルベンゼン、アニリン、フェニルアラニン、ベンジルアルコール、バニリン、フェニルプロピオン酸、ナフタレン、フェナントレンなどが含まれる。さらに「検出」とは、単に試料中にベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素が存在するかどうかを判定することのみならず、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素が試料中にどのくらい存在するかを判定する定量的検出をも含んでいる。
本評価方法において、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性について評価する対象となる試料としては、芳香族化合物の嫌気的分解活性について評価することが望まれる試料であれば特に限定されるものではなく、例えば、土壌、地下水等の環境サンプルが挙げられる。本評価方法は、芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価する方法であるため、嫌気的な環境のサンプル、すなわち嫌気的条件下に存在するサンプルを供することが望ましい。例えば、土壌であれば、表層の土壌よりも、表層から約10cm以上の深度に存在する土壌を用いることが望ましい。また、本評価方法において、微生物、微生物の培養物、又は微生物コンソーシア等を試料として用いた場合には、該微生物又は微生物コンソーシアが、芳香族化合物を嫌気的に分解する能力を有しているか否かを判別し、その能力の程度を判定することができる。この場合にも、本評価方法に供する微生物又は微生物コンソーシアは、嫌気的な環境下で生育可能なものを用いることが望ましい。
本評価方法においては、試料中のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出するが、その検出手法は特に限定されるものではない。例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素(すなわちタンパク質)の検出、又はベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の活性の検出、などにより行うことができる。以下に、これらの検出手法について詳細に記載する。
(1)ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素をコードする核酸の検出
本評価方法においては、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出することによって、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出し、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価することができる。ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、当技術分野で公知の手法により行うことができ、特に限定されるものではない。そのような手法としては、例えば、既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の遺伝子の配列情報に基づいて設計したプローブを用いたハイブリダイゼーションによる検出や、既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素のアミノ酸配列に基いて設計したプライマーを用いた増幅反応による検出を挙げることができる。
本評価方法においては、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出することによって、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出し、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価することができる。ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、当技術分野で公知の手法により行うことができ、特に限定されるものではない。そのような手法としては、例えば、既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の遺伝子の配列情報に基づいて設計したプローブを用いたハイブリダイゼーションによる検出や、既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素のアミノ酸配列に基いて設計したプライマーを用いた増幅反応による検出を挙げることができる。
(1−1)プライマー又はプローブの設計
プライマー又はプローブの設計には、既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の遺伝子配列又はアミノ酸配列を利用することができる。既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素としては、例えば、サウレラ・アロマティカ(Thauera aromatica)(AJ224959)、アゾアーカス・エバンシ(Azoarcus evansii)(AJ428529)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)(U75363)等から単離されたものを挙げることができる。また、類縁酵素としては、既知のハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素、例えば、クロストリジウム・シンビオサム(Clostridium symbiosum)HB25株(AF123384)、アシドアミノコッカス・ファーメンタンス(Acidaminococcus fermentans)ATCC25085株(X59645)、アーキオグロバス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)DSM4304株(AE000968)等から単離されたハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素を挙げることができる。各菌株に由来する酵素のアミノ酸配列及び塩基配列の登録番号を各菌株名の後に示す。なお、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素は、A〜Dの4つのサブユニットから構成されている。かかるベンゾイル−コエンザイムA還元酵素をコードする核酸に基づいてプライマー又はプローブを設計する場合には、A〜Dの任意のサブユニットをコードする配列を利用することができるが、Aサブユニットをコードする配列を利用することが好ましい。また、ハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素は、A〜Cの3つのサブユニットから構成されている。かかるハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素をコードする核酸に基づいて設計する場合には、A〜Cの任意のサブユニットをコードする配列を利用することができるが、Cサブユニットをコードする配列を利用することが好ましい。
プライマー又はプローブの設計には、既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の遺伝子配列又はアミノ酸配列を利用することができる。既知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素としては、例えば、サウレラ・アロマティカ(Thauera aromatica)(AJ224959)、アゾアーカス・エバンシ(Azoarcus evansii)(AJ428529)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)(U75363)等から単離されたものを挙げることができる。また、類縁酵素としては、既知のハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素、例えば、クロストリジウム・シンビオサム(Clostridium symbiosum)HB25株(AF123384)、アシドアミノコッカス・ファーメンタンス(Acidaminococcus fermentans)ATCC25085株(X59645)、アーキオグロバス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)DSM4304株(AE000968)等から単離されたハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素を挙げることができる。各菌株に由来する酵素のアミノ酸配列及び塩基配列の登録番号を各菌株名の後に示す。なお、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素は、A〜Dの4つのサブユニットから構成されている。かかるベンゾイル−コエンザイムA還元酵素をコードする核酸に基づいてプライマー又はプローブを設計する場合には、A〜Dの任意のサブユニットをコードする配列を利用することができるが、Aサブユニットをコードする配列を利用することが好ましい。また、ハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素は、A〜Cの3つのサブユニットから構成されている。かかるハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素をコードする核酸に基づいて設計する場合には、A〜Cの任意のサブユニットをコードする配列を利用することができるが、Cサブユニットをコードする配列を利用することが好ましい。
プライマー又はプローブは、プライマー又はプローブとして実質的な機能を有するように設計される、すなわち、特異的なアニーリング又はハイブリダイズが可能な条件を満たす、例えば特異的なアニーリング又はハイブリダイズが可能な長さ及び塩基組成(融解温度)を有するように設計される。
例えば、プライマーを設計する場合、プライマーとして実質的な機能を有する長さとしては、10塩基以上が好ましく、さらに好ましくは10〜50塩基であり、さらに好ましくは15〜35塩基である。またプローブを設計する場合、プローブとして実質的な機能を有する長さとしては、10塩基以上が好ましく、さらに好ましくは16〜50塩基であり、さらに好ましくは20〜30塩基である。
また設計の際には、プライマー又はプローブの融解温度(Tm)を確認することが好ましい。Tmとは、任意の核酸鎖の50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度を意味し、鋳型DNA又はRNAとプライマー又はプローブとが二本鎖を形成してアニーリング又はハイブリダイズするためには、アニーリング又はハイブリダイゼーションの温度を最適化する必要がある。一方、この温度を下げすぎると非特異的な反応が起こるため、温度は可能な限り高いことが望ましい。従って、設計しようとする核酸断片のTmは、増幅反応又はハイブリダイゼーションを行う上で重要な因子である。Tmの確認には、公知のプライマー又はプローブ設計用ソフトウエアを利用することができ、本発明で利用可能なソフトウエアとしては、例えばGENETTYX−MAC、DNASIS Proなどが挙げられる。
本評価方法においては、種々の微生物に由来するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を同時に検出することが可能なプライマー又はプローブを用いることにより、より迅速かつ簡便にベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を網羅的に検出することが可能である。そのようなプライマー又はプローブは、clustal w(Thompson,J.D., D.J. Higgins, and T.J. Gibon. 1994. CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive mutiplesequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acid Res. 22: 4673-4680)等の遺伝子解析ソフトを用いて、種々の微生物に由来するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素のアミノ酸配列の多重整列解析を行い、アミノ酸の保存性の高い領域を選択して、設計することができる。例えば、図1は、3種の微生物に由来するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニットのアミノ酸配列と、3種の微生物に由来するハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素のCサブユニットのアミノ酸配列について、多重整列解析を行ったものである。図中、四角で囲われた領域が保存性の高い領域を示している。従って、図1において四角で囲われた領域に含まれるアミノ酸配列の一部又は全部に基いて設計したプライマー又はプローブは、これらの種々の微生物に由来するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を網羅的に検出可能なものとなる。図1の解析に基づいて設計したプライマー又はプローブの配列を配列番号1及び2として示す。これらの配列をプライマーとして使用する場合には、配列番号1をセンスプライマーとして、配列番号2をアンチセンスプライマーとして使用することができる。ただし、本評価方法で使用可能なプライマー又はプローブは、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することができるものであれば、配列番号1又は2に示される塩基配列を有するプライマーに限定されるものではない。
なお、本評価方法においては、プライマー又はプローブとして実質的な機能を有する限り、配列番号1又は2に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加されていてもよい。この場合、欠失、置換若しくは付加される塩基の数は、限定されるものではないが、1〜3個程度が好ましい。
(1−2)試料調製
本評価方法においては、試料から、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出を行うための被検核酸を調製する。被検核酸は、核酸であればDNA又はRNAのいずれでもよい。例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を有する嫌気性芳香族化合物分解微生物の菌数を測定することを目的とする場合には、DNAを調製することが好ましい。また例えば、進行している芳香族化合物の嫌気的分解活性の程度を測定することを目的とする場合には、RNAを調製することが好ましい。ただし、RNAは不安定な物質であり、試料からの抽出がDNAよりも難しい。そのため、RNAを抽出することが難しい試料の場合には、DNAを鋳型とする方がよいこともある。
本評価方法においては、試料から、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出を行うための被検核酸を調製する。被検核酸は、核酸であればDNA又はRNAのいずれでもよい。例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を有する嫌気性芳香族化合物分解微生物の菌数を測定することを目的とする場合には、DNAを調製することが好ましい。また例えば、進行している芳香族化合物の嫌気的分解活性の程度を測定することを目的とする場合には、RNAを調製することが好ましい。ただし、RNAは不安定な物質であり、試料からの抽出がDNAよりも難しい。そのため、RNAを抽出することが難しい試料の場合には、DNAを鋳型とする方がよいこともある。
DNA又はRNAは、当技術分野で周知の方法を適宜使用して抽出することができる。例えば、DNAを抽出する場合には、フェノール抽出及びエタノール沈殿を行う方法、ガラスビーズを用いる方法など、またRNAを抽出する場合には、グアニジン−塩化セシウム超遠心法、ホットフェノール法、又はチオシアン酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム(AGPC)法などを利用することができる。以上のように調製した試料又は被検核酸を用いて、以下に示す増幅反応及び/又はハイブリダイゼーション反応を行う。
なお、試料からのDNA又はRNAの抽出は、従来公知の方法を用いて行うことができる。また、試料が微生物である場合には、必ずしもDNA又はRNAを抽出する必要はなく、菌体をそのまま使用して核酸増幅反応又はハイブリダイゼーション反応を行うこともできる。
(1−3)プライマーを用いる増幅反応
本評価方法においては、プライマーを用いて試料又は該試料から調製した被検核酸を鋳型とした増幅反応を行い、その特異的増幅反応を検出することにより、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を行うことができる。
本評価方法においては、プライマーを用いて試料又は該試料から調製した被検核酸を鋳型とした増幅反応を行い、その特異的増幅反応を検出することにより、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を行うことができる。
増幅手法としては、特に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の原理を利用した公知の方法を挙げることができる。例えば、PCR法、LAMP(Loop-mediated isothermal AMPlification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法、RCA(Rolling Circle Amplification)法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等を挙げることができる。増幅は、増幅産物が検出可能なレベルになるまで行う。
例えば、PCR法は、試料中に含まれる被検核酸であるDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼにより、一対のプライマー間の塩基配列を合成するものである。PCR法によれば、変性、アニーリング及び合成からなるサイクルを繰り返すことによって、増幅断片を指数関数的に増幅させることができる。PCRの最適条件は、当業者であれば容易に決定することができる。
例えば、PCR法を行う場合には、94℃程度で二本鎖DNAを一本鎖に解離させた後、50〜65℃でアニーリング反応を行い、72℃程度で伸長反応を行う。このサイクルを20〜40回程度繰り返すことにより、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の塩基配列を有する核酸断片を特異的に増幅させることができる。
またRT−PCR法では、まず、試料中に含まれる被検核酸であるRNAを鋳型として、逆転写酵素反応によりcDNAを作製し、その後、作製したcDNAを鋳型として一対のプライマーを用いてPCR法を行うものである。
本評価方法においては、特異的な増幅反応が起こる条件下で増幅反応を行う限り、その増幅手法は特に限定されない。また、特異的な増幅反応が起こるような条件は、当業者であれば適宜設定することができる。
上記増幅反応後に特異的な増幅反応が起こったか否かを検出するには、増幅反応により得られる増幅産物を特異的に認識することができる公知の手段を用いることができる。例えば、アガロースゲル電気泳動法等を利用して、特定のサイズの増幅断片が増幅されているか否かを確認することにより、特異的な増幅反応を検出することができる。
増幅産物のサイズは設計したプライマー間の塩基配列に基づいて推測することが可能である。例えば、配列番号1及び配列番号2に示す塩基配列を有するプライマーを用いた増幅反応を行った場合には、それらのプライマー間の距離、すなわち450〜500bp程度のサイズの増幅産物が得られると予測することができる。
あるいは、増幅反応の過程で取り込まれるdNTPに、放射性同位体、蛍光物質、発光物質などの標識体を作用させ、この標識体を検出することができる。放射性同位体としては、32P、125I、35Sなどを用いることができる。また蛍光物質としては、例えば、フルオレセン(FITC)、スルホローダミン(TR)、テトラメチルローダミン(TRITC)などを用いることができる。また発光物質としてはルシフェリンなどを用いることができる。
これら標識体の種類や標識体の導入方法等に関しては、特に制限されることはなく、従来公知の各種手段を用いることができる。例えば標識体の導入方法としては、放射性同位体を用いるランダムプライム法が挙げられる。
標識したdNTPを取り込んだ増幅産物を観察する方法としては、上述した標識体を検出するための当技術分野で公知の方法であればいずれの方法でもよい。例えば、標識体として放射性同位体を用いた場合には、放射活性を、例えば液体シンチレーションカウンター、γ−カウンターなどにより計測することができる。また標識体として蛍光を用いた場合には、その蛍光を蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダーなどを用いて検出することができる。
以上のようにして特異的な増幅反応が検出された場合には、試料中にベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素が存在していることが示される、すなわち、芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物が存在し、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性があるという指標となる。
(1−4)定量的な検出方法
(1−3)項に記載した増幅手法として競合PCR法やリアルタイムPCR法等の定量的PCR法などを採用することにより、定量的な検出が可能となる。例えば競合PCR法は、同じプライマーを用いて、定量の内部標準となる競合的鋳型から得られる増幅産物と試料から得られる増幅産物との量を比較することにより、試料中に含まれる検出対象の核酸を定量することができる(Jansson, K. and T. Leser, 1996. Quantitative PCR of environmental samples, 2.7.4:1-4 Molecular Microbial Ecology Manual, Lee,S.Y., J. Bollinger, D. Bezdicek, and A. Orgam, 1996. Estimation of the abundance of an uncultured soil bacterial strain by a competitive quantitative PCR method. 62. 3787-3793, Appl. Environ. Microbiol.)。すなわち、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を定量的に検出することによって、特定の嫌気性芳香族分解微生物の菌数や芳香族化合物の嫌気的分解活性の程度を算出することができる。ここで、競合PCR法の内部標準となる競合的鋳型としては、PCR増幅断片と同一のプライマー結合配列を有し、かつDNA鎖長がPCR増幅断片とは異なる鋳型DNA断片を用いることができ、そのような鋳型DNA断片の配列の一例を図3及び配列番号3に示す。配列番号3中、「n」はイノシンを表し、「y」はt又はcを表し、「m」はa又はcを表し、「v」はa又はg又はcを表し、「h」はa又はc又はtを表し、「b」はg又はt又はcを表す。
(1−3)項に記載した増幅手法として競合PCR法やリアルタイムPCR法等の定量的PCR法などを採用することにより、定量的な検出が可能となる。例えば競合PCR法は、同じプライマーを用いて、定量の内部標準となる競合的鋳型から得られる増幅産物と試料から得られる増幅産物との量を比較することにより、試料中に含まれる検出対象の核酸を定量することができる(Jansson, K. and T. Leser, 1996. Quantitative PCR of environmental samples, 2.7.4:1-4 Molecular Microbial Ecology Manual, Lee,S.Y., J. Bollinger, D. Bezdicek, and A. Orgam, 1996. Estimation of the abundance of an uncultured soil bacterial strain by a competitive quantitative PCR method. 62. 3787-3793, Appl. Environ. Microbiol.)。すなわち、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を定量的に検出することによって、特定の嫌気性芳香族分解微生物の菌数や芳香族化合物の嫌気的分解活性の程度を算出することができる。ここで、競合PCR法の内部標準となる競合的鋳型としては、PCR増幅断片と同一のプライマー結合配列を有し、かつDNA鎖長がPCR増幅断片とは異なる鋳型DNA断片を用いることができ、そのような鋳型DNA断片の配列の一例を図3及び配列番号3に示す。配列番号3中、「n」はイノシンを表し、「y」はt又はcを表し、「m」はa又はcを表し、「v」はa又はg又はcを表し、「h」はa又はc又はtを表し、「b」はg又はt又はcを表す。
また、検出の特異性を高めるために、2組以上のプライマーを用いて2回以上増幅反応を行ってもよく、そのような増幅手法はnested PCR法として当技術分野で公知である。
(1−5)ハイブリダイゼーション
本評価方法においては、プローブを用いて試料又は該試料から調製した被検核酸に対するハイブリダイゼーション反応を行い、その特異的結合(ハイブリッド)を検出することにより、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出を行うこともできる。
本評価方法においては、プローブを用いて試料又は該試料から調製した被検核酸に対するハイブリダイゼーション反応を行い、その特異的結合(ハイブリッド)を検出することにより、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出を行うこともできる。
ハイブリダイゼーション反応は、プローブがベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又は類縁酵素に由来する核酸のみと特異的に結合するような条件、すなわちストリンジェントな条件下で行う必要がある。そのようなストリンジェントな条件は当技術分野で周知であり、特に限定されない。
本評価方法においてハイブリダイゼーションを行う場合には、プローブに蛍光標識(フルオレセイン、ローダミンなど)、放射性標識(32Pなど)、酵素標識(アルカリホスファターゼ、西洋ワサビパーオキシダーゼ等)、ビオチン標識等の適当な標識を付加することができる。従って、本発明に係る、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出するための核酸断片には、上記のような標識を付加した核酸断片も含まれる。
標識化プローブを用いたベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出は、試料又は被検核酸とプローブとをハイブリダイズ可能なように接触させることを含む。「ハイブリダイズ可能なように」とは、上述したストリンジェントな条件下にて特異的な結合が起こる環境(温度、塩濃度)において、ということである。具体的には、試料又は被検核酸をスライドグラス、メンブラン、マイクロタイタープレート等の適当な担体に担持し、標識を付加したプローブを添加することにより、プローブと試料又は被検核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズしなかったプローブを除去した後、試料又は被検核酸とハイブリダイズしているプローブの標識を検出する。標識が検出された場合には、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸が試料中に存在していることになる。また、標識の濃度を指標とすることにより、定量的な検出も可能となる。標識化プローブを用いた検出方法の例としては、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットハイブリダイゼーション法、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)法、マイクロアレイ法等を挙げることができる。
あるいは、本評価方法においては、プローブではなく試料又は試料から調製した被検核酸を標識化することによっても行うことができる。この場合は、次のような方法によって検出を行うことができる。すなわち、プローブをスライドグラス、メンブラン、マイクロタイタープレート等の適当な担体に担持し、被検核酸を標識化した後でプローブとのハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズしなかった被検核酸を除去した後、プローブとハイブリダイズしている被検核酸の標識を検出する。標識の濃度を指標とすることにより、定量的な検出も可能となる。被検核酸を標識化する方法としては、マイクロアレイ法等を挙げることができる。
また、本評価方法は、プローブ及び被検核酸のいずれも標識化せず、プローブと試料又は被検核酸とのハイブリダイゼーションによって形成された二本鎖核酸(ハイブリッド)を検出することによっても行うことができる。この場合には、プローブ又は試料若しくは被検核酸のいずれを担体に担持してもよい。二本鎖核酸の検出は、例えば、核酸の二本鎖部分に特異的に結合する蛍光色素等を用いて行うことができる。そのような色素としては、例えば、特開2002−181816号公報に記載された蛍光インターカレータ等を挙げることができる。
また、検出感度を高めるために、複数のプローブを組み合わせて用いることにより、検出の特異性を高めることができる。さらに高感度の検出を必要とする場合には、(1−3)又は(1−4)項に記載した増幅反応とハイブリダイゼーション反応とを組み合わせて、増幅反応を行って得られる増幅産物に対し、ハイブリダイゼーション反応を行うこともできる。そのような組合せを利用する場合のプライマー及びプローブの設計は当業者であれば理解することができる。
また、ガラス、シリコン等の適当な基板上にプローブを単独又は複数組み合わせて保持する装置は、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の簡便かつ迅速な検出器とすることができる。そのような装置としては、例えばDNAチップ、マイクロアレイなどが知られている。
(1−6)評価用キット
本評価方法は、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価するためのキット(以下、「本評価用キット」ともいう)を用いて容易に実施することができる。
本評価方法は、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価するためのキット(以下、「本評価用キット」ともいう)を用いて容易に実施することができる。
本評価用キットは、少なくともベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出するための検出手段を含む。かかる検出手段としては、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出するための核酸断片、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素に対する抗体などが挙げられる。
本評価用キットは、好ましくはベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出するための核酸断片を少なくとも1つ含んでいる。かかる核酸断片としては、限定するものではないが、以下の(a)又は(b)の核酸断片が好ましい:
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片。
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片。
また、本評価用キットは、さらに、反応液を構成するバッファー、dNTP混合物、酵素類(逆転写酵素、RNaseH、T7RNAポリメラーゼなど)、校正用の標準試料、競合鋳型配列(好ましくは配列番号3に示す配列)などを含んでもよい。あるいは、本評価用キットは、ハイブリダイゼーションバッファー、洗浄バッファー、検出用試薬(ABTS/H2O2等)、検出用バッファー(ABTS希釈バッファー)、マイクロプレート、ナイロンメンブレンなどを含んでもよい。また、本評価用キットは、核酸の検出用試薬類に加えて、試料から核酸を抽出するための界面活性剤や酵素成分等を前処理用の試薬として更に含んでいてもよい。
(2)タンパク質の検出による検出
本評価方法においては、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素タンパク質又はその類縁酵素タンパク質を直接的又は間接的に検出することによって、芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価することができる。タンパク質の検出は、当技術分野で公知の手法により行うことができ、特に限定されるものではない。そのような手法としては、例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素に対する抗体を用いた免疫学的検出等を挙げることができる。
本評価方法においては、試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素タンパク質又はその類縁酵素タンパク質を直接的又は間接的に検出することによって、芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価することができる。タンパク質の検出は、当技術分野で公知の手法により行うことができ、特に限定されるものではない。そのような手法としては、例えば、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素に対する抗体を用いた免疫学的検出等を挙げることができる。
(2−1)抗体の作製
ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素に対する抗体は、当業者に公知の手法に従って、作製することができる。抗体は、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素と特異的に結合可能なものであれば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでもよい。以下に、モノクローナル抗体の調製について簡単に記載する。
ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素に対する抗体は、当業者に公知の手法に従って、作製することができる。抗体は、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素と特異的に結合可能なものであれば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでもよい。以下に、モノクローナル抗体の調製について簡単に記載する。
最初に、免疫原(抗原)となるためのタンパク質を調製する。免疫原タンパク質としては、公知のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を用いることができる。例えば、公開されているアミノ酸配列情報を利用して、当技術分野で公知の手法、例えば固相ペプチド合成法、遺伝子組換え手法などにより、免疫原として使用するためのタンパク質を合成することができる。必要であれば、免疫を効果的に行うためにアジュバント(例えば完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント等)を添加してもよい。
上記のように調製した免疫原を、哺乳動物(例えばラット、マウスなど)に投与する。免疫原の1回の投与量は、免疫動物の種類、投与経路などにより適宜決定される。免疫は、主として静脈内、皮下、腹腔内に免疫原を注入することにより行われる。免疫手順を完了後、抗体産生細胞(脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等)を採取する。
ハイブリドーマを得るため、上述のように免疫動物から得た抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合を行う。細胞融合は、動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合し、細胞融合促進剤(例えばポリエチレングリコール等)の存在下にて融合反応を行う。
続いて、細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを、例えば選択培地における培養を利用して選別する。次に、選別したハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。
樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を採用することができる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃,5%CO2濃度)で2〜10日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、又はこれらを組み合わせることにより、精製されたモノクローナル抗体を得ることができる。
(1−2)抗体を用いた検出
本評価方法は、抗体を用いて、試料中のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を免疫学的に検出することが可能である。
本評価方法は、抗体を用いて、試料中のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を免疫学的に検出することが可能である。
抗体を用いた検出は、免疫学的検出法、例えば、イムノアッセイ(酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法(RIA)、及びウエスタンブロット法等)などの当技術分野で公知の手法に従って行うことができる。これらの免疫学的検出法の具体的な手順及び条件は、特に限定されるものではなく、当業者に公知の手順及び条件に従って適宜選択しうる。また、免疫学的手法を利用することにより、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出だけではなく、定量も行うことが可能である。
以上のようにして、試料中のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することにより、芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物の存在、芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物の能力、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性などを評価することが可能となる。従って、本評価方法により、MNAなどの環境浄化法における汚染浄化の進行を簡便にモニタリングすることが可能となる。
以下、実施例を用いて本発明に係る芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素遺伝子に特異的な配列の設計
サウレラ・アロマティカDSM6984株(AJ224959)、アゾアーカス・エバンシDSM6898株(AJ428529)、及びロドシュードモナス・パルストリスDSM123株(U75363)の3菌株から得られたベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニット、並びにベンゾイル−コエンザイムA還元酵素と近縁な3種類の微生物(クロストリジウム・シンビオサムHB25株(AF123384)、アシドアミノコッカス・ファーメンタンスATCC25085株(X59645)、アーキオグロバス・フルギダスDSM4304株(AE000968))に由来するハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素のCサブユニットのアミノ酸配列及び塩基配列を遺伝子解析ソフトclustal w(Thompson,J.D., D.J. Higgins, and T.J. Gibon. 1994. CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive mutiplesequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acid Res. 22: 4673-4680)を用いて、多重整列を行った。各菌株由来の酵素のアミノ酸配列及び塩基配列の登録番号を各菌株名の後に示す。その解析結果を図1に示す。これらの結果をもとに各遺伝子の間で保存されている領域を検索し、以下に示す配列をベンゾイル−コエンザイムA還元酵素及びその類縁酵素に特異的な配列として設計した。
AQ708f:GTY GGM ACC GGC TAC GGC CG(配列番号1)
AQ4355Ir:TTC TKV GCN ACN CCD CCG G(配列番号2)
上記配列中、「Y」はT又はCを表し、「M」はA又はCを表し、「K」はG又はTを表し、「V」はA又はG又はCを表し、「N」はイノシンを表し、「D」はA又はG又はTを表す。
サウレラ・アロマティカDSM6984株(AJ224959)、アゾアーカス・エバンシDSM6898株(AJ428529)、及びロドシュードモナス・パルストリスDSM123株(U75363)の3菌株から得られたベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニット、並びにベンゾイル−コエンザイムA還元酵素と近縁な3種類の微生物(クロストリジウム・シンビオサムHB25株(AF123384)、アシドアミノコッカス・ファーメンタンスATCC25085株(X59645)、アーキオグロバス・フルギダスDSM4304株(AE000968))に由来するハイドロキシグルタリル−コエンザイムA脱水酵素のCサブユニットのアミノ酸配列及び塩基配列を遺伝子解析ソフトclustal w(Thompson,J.D., D.J. Higgins, and T.J. Gibon. 1994. CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive mutiplesequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acid Res. 22: 4673-4680)を用いて、多重整列を行った。各菌株由来の酵素のアミノ酸配列及び塩基配列の登録番号を各菌株名の後に示す。その解析結果を図1に示す。これらの結果をもとに各遺伝子の間で保存されている領域を検索し、以下に示す配列をベンゾイル−コエンザイムA還元酵素及びその類縁酵素に特異的な配列として設計した。
AQ708f:GTY GGM ACC GGC TAC GGC CG(配列番号1)
AQ4355Ir:TTC TKV GCN ACN CCD CCG G(配列番号2)
上記配列中、「Y」はT又はCを表し、「M」はA又はCを表し、「K」はG又はTを表し、「V」はA又はG又はCを表し、「N」はイノシンを表し、「D」はA又はG又はTを表す。
〔実施例2〕プライマーの有効性の確認
実施例1において設計した配列のプライマーとしての有効性を確認するため、当該配列をプライマーとして用いたPCR反応を行った。
実施例1において設計した配列のプライマーとしての有効性を確認するため、当該配列をプライマーとして用いたPCR反応を行った。
使用した菌株は、嫌気性芳香族化合物分解微生物として、硝酸還元細菌2種(アゾアルカス・エバンシ、アゾアルカス・トルボランス)及び硫酸還元細菌1種(未同定細菌mXyS1株)、コントロールとして芳香族化合物分解酵素を好気的に分解する微生物であるシュードモナス・プチダATCC11172株である。上記4種類の菌株と実施例1において設計したプライマーをそれぞれ混合し、PCRを行った。また、PCRは以下の条件で行った。
<検出条件>
1ステップ(1サイクル):94℃12分
2ステップ(3サイクル):94℃0.5分、62℃0.5分、72℃1分
3ステップ(3サイクル):94℃0.5分、58℃0.5分、72℃1分
4ステップ(3サイクル):94℃0.5分、54℃0.5分、72℃1分
5ステップ(30サイクル):94℃0.5分、50℃0.5分、72℃1分
6ステップ(1サイクル):72℃10分
<検出条件>
1ステップ(1サイクル):94℃12分
2ステップ(3サイクル):94℃0.5分、62℃0.5分、72℃1分
3ステップ(3サイクル):94℃0.5分、58℃0.5分、72℃1分
4ステップ(3サイクル):94℃0.5分、54℃0.5分、72℃1分
5ステップ(30サイクル):94℃0.5分、50℃0.5分、72℃1分
6ステップ(1サイクル):72℃10分
上記条件でPCRを行った結果を図2に示す。図2のレーン1〜3に示されるように、嫌気性芳香族分解微生物からのみ目的の450〜500bpの断片が検出された。また、これらの増幅断片の塩基配列を決定し、アミノ酸配列に翻訳した結果、いずれもベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニット又はその類縁酵素の対応サブユニットに類似した機能をもつ配列であった。以上のことから、上記プライマーは、種々の嫌気性芳香族分解微生物に由来するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素及びその類縁酵素の検出に有効であることが示された。
〔実施例3〕土壌圏及び水圏環境における芳香族化合物汚染浄化能力の評価
ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することにより、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価できるか否かを確認するため、実施例1で設計したプライマーを用いた競合PCR反応を行い、芳香族化合物汚染の程度とベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素量の相関を調べた。
ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することにより、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価できるか否かを確認するため、実施例1で設計したプライマーを用いた競合PCR反応を行い、芳香族化合物汚染の程度とベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素量の相関を調べた。
試料として、べンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族化合物を主成分とするガソリンで汚染された井戸の地下水(Well No.16、17、29)、及び対照としてガソリン汚染がない井戸の地下水(Well No.7、60)を用いた。地下水からのDNA抽出はWatanabeらの方法(K. Watanabe, Y. Kodama, K. Syutsubo, and S. Harayama. 2000. Molecular characterization of bacterial population in peteroleum-contaminated groundwater discharged from underground crude oil storage cavities. Appl. Environ. Microbiol. 66, 4803-4809)に従って行った。競合させる鋳型DNAとしては、市販のDNA(TaKaRa社製、Competitive DNA construction kit)を使用して、配列番号3(図3)に示す配列を有するDNAを調製した。プライマーはAQ708f(配列番号1)とAQ4355Ir(配列番号2)を使用し、PCRは実施例2と同様の条件で行った。
PCR反応の結果を図4に示す。図4中、上部に競合配列の増幅産物が、下部にベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の増幅産物が示される。予想通り、汚染地下水においては、競合配列の増幅産物とベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の増幅産物の両者が検出された。この電気泳動結果に基づき、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の存在量を推定した。
その結果、ガソリン汚染の地下水ではベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を有する菌数が、2×104から3×105コピー/mlと推定された。一方、ガソリン汚染がない地下水ではベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の活性を有する微生物は測定されなかった(図5)。ここで、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の存在、すなわち該酵素を有する微生物の存在及び存在量は、汚染地下水中の芳香族化合物が分解されていることを示す。
このことから、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出により芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物及び微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価することができ、その結果、試料又は環境中の芳香族汚染物質の残存を推定し、汚染浄化の進行をモニタリングできることが示唆された。
本発明により、土壌圏及び水圏環境における芳香族化合物を嫌気的に分解する微生物及び微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を迅速かつ簡便に評価できるようになる。また、MNAにおける汚染浄化の進行も簡便な手法でモニタリングすることができるようになり、低コストで効率よく環境修復を行うことが可能になる。すなわち、本評価方法の評価結果は、MNAなどの浄化作業が適用可能かの事前判断や、浄化作業過程での進行状況の評価や修正検討に有用な情報を提供すると期待できる。また、本評価方法を微生物に適用した場合には、該微生物が、芳香族化合物を嫌気的に分解する能力を有するか否かを判別し、その能力の程度を判定することも可能である。
配列番号1〜3:合成オリゴヌクレオチド
Claims (10)
- 試料中に存在するベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素を検出することを特徴とする、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性の評価方法。
- ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を、該酵素をコードする核酸の検出により行う、請求項1記載の評価方法。
- ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸が、ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素のAサブユニットをコードする核酸である、請求項2記載の評価方法。
- ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出を、核酸増幅反応又はハイブリダイゼーション反応により行う、請求項2又は3記載の評価方法。
- 核酸増幅反応が競合的な核酸増幅反応である、請求項4記載の評価方法。
- ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸の検出を、以下の(a)又は(b)の核酸断片を用いて行う、請求項2〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片 - ベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素の検出を、該酵素に対する抗体を用いた検出により行う、請求項1記載の評価方法。
- 試料が、微生物、微生物コンソーシア、土壌、又は地下水である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の評価方法。
- 以下の(a)又は(b)のベンゾイル−コエンザイムA還元酵素又はその類縁酵素をコードする核酸を検出するための核酸断片。
(a)配列番号1若しくは2に示される塩基配列、又は該配列に対し相補的な塩基配列を含む核酸断片
(b)(a)の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、かつプライマー又はプローブとして実質的な機能を有する核酸断片 - 請求項9記載の核酸断片を少なくとも1つ含む、微生物による芳香族化合物の嫌気的分解活性を評価するためのキット。
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