JP2005122701A - 予防必要対象物の予防保全マップ - Google Patents
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Abstract
【課題】橋梁2など予防保全対象物の劣化の状態(変状パターン)に応じて、その劣化レベル、予防保全対策などを分かりやすく可視化し、必要な予防保全のための予防保全対策およびそのタイミングを一瞥して把握可能な予防必要対象物の予防保全マップを提供する。
【解決手段】橋梁2の予防保全の全体像を、縦軸8に劣化のレベル、および横軸3に時間をとり、平面的にマップとして可視化し、時間の経過とともに劣化する可能性がある予防必要対象物について、時間の経過による劣化のレベルを第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、...第nの劣化レベルとして段階的に縦軸に取るとともに、第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、...第nの劣化レベルにそれぞれ対応して時間の軸に平行に、それぞれ必要な予防保全のための対策を第1の予防保全対策35、第2の予防保全対策36、...第nの予防保全対策として配列する。
【選択図】図1
【解決手段】橋梁2の予防保全の全体像を、縦軸8に劣化のレベル、および横軸3に時間をとり、平面的にマップとして可視化し、時間の経過とともに劣化する可能性がある予防必要対象物について、時間の経過による劣化のレベルを第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、...第nの劣化レベルとして段階的に縦軸に取るとともに、第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、...第nの劣化レベルにそれぞれ対応して時間の軸に平行に、それぞれ必要な予防保全のための対策を第1の予防保全対策35、第2の予防保全対策36、...第nの予防保全対策として配列する。
【選択図】図1
Description
本発明は予防必要対象物の予防保全マップにかかるもので、とくに橋梁、トンネル、斜面などの土構造、ダム、住宅その他の建造物などの構造物、あるいは人間その他の生物などの予防必要対象物の予防保全マップに関するものである。
従来の橋梁、ダム、住宅などの構造物はもとより、人間や犬猫などのペットあるいは家畜類は、時間の経過とともに劣化ないし老衰してゆくもので、如何に完全に初期状態を確保しても、時間経過ないし発病により劣化してゆくことは自然の摂理である。この劣化に対応して、あるいはこの劣化を回避するために予防保全を行うことが有効であることは周知であり、そのための予防保全対策も各種開発されている。この時間の経過とともに劣化する可能性がある橋梁その他の構造物や生物を「予防必要対象物」として、その予防保全について以下述べる。
当該予防必要対象物について、どの時点で、どのような予防保全対策を実行することが最適であるかについては、それぞれの予防必要対象物により異なることはもちろん、かかる費用もバラバラである。こうした予防保全対策、その費用や対策のタイミングについては、各種のデータベースあるいはリストに表されていて、情報としては誰でも入手可能ではある。
しかしながら、当該情報を一瞥して把握することができる表現手段がなく、予防必要対象物の時間の経過にともなうその得失や優位性をその生涯あるいは予防保全の全体像などについて、適切な把握および判断を行うことが困難で、予防保全のためにいたずらに時間や議論を繰り返し、最適なタイミングで最適な予防保全対策を実行することができず、予防必要対象物への予防保全を適切に実行することが困難であるという問題がある。すなわち、当該予防保全の必要性は十分に認識されているものの、定量的もしくは可視的にその有効性および効果を説明する手段をもっていないという問題がある。
さらに、予防必要対象物について、必要な予防保全対策を施さずに、時間が経過してしまうと、その時点では簡単な予防保全対策を取ることが困難になるとともに、その時点で必要となる予防保全対策が大がかりとなるため多くの費用および手間がかかることになり、一般の企業あるいは医者では対処困難である場合が多くなり、結果として必要な予防保全対策を施そうとする意欲をそぐことになりかねないという問題がある。
さらに述べれば、予防必要対象物についての各種データをデータベースなどに登録すなわち、各種データの入出力についても、従来の登録リスト上に入力、あるいは登録リストから出力する操作は、全体像を把握しないままでの個々の入出力操作であるため、操作に手間がかかることはもちろん、その入出力操作が今何をどのレベルで行っているかという認識を実感しにくいという問題がある。
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、予防保全の必要性や有効性を可視化し、マップ上でガイドすることができる予防必要対象物の予防保全マップを提供することを課題とする。
また本発明は、予防保全対象物の劣化の状態(変状パターン)に応じて、その劣化レベルないしは劣化度、予防保全対策、有効性、必要性ないし緊急度などを容易に、かつ分かりやすく表現することができる予防必要対象物の予防保全マップを提供することを課題とする。
また本発明は、必要な予防保全のための予防保全対策およびそのタイミング、さらに費用などをトータルコストないしはライフサイクルコストの形で一瞥するとともに、対策の優位性や効率性を把握可能な予防必要対象物の予防保全マップを提供することを課題とする。
また本発明は、予防必要対象物の時間の経過にともなうその生涯あるいは予防保全の全体像などを容易に把握であるようにして、従来からその重要性は判っていてもできなかった、橋梁その他の予防必要対象物への予防保全を行う意欲を喚起することができる予防必要対象物の予防保全マップを提供することを課題とする。
また本発明は、予防必要対象物についての各種データの更新ないし入出力操作を円滑に行うことができるようにした予防必要対象物の予防保全マップを提供することを課題とする。
すなわち本発明は、時間の経過とともに劣化する可能性がある予防必要対象物について、上記時間を横軸および縦軸のいずれか一方に取り、上記予防必要対象物の上記時間の経過による劣化のレベルを第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルとして段階的に縦軸および横軸のいずれか一方に取るとともに、それぞれの第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに対応して上記時間の軸に平行に、それぞれ必要な予防保全のための対策を第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策として配列することを特徴とする予防必要対象物の予防保全マップである。
上記第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策の互いの間のインターバルを、上記予防必要対象物の各劣化予測期間、あるいは各予防保全対策の保証期間とすることができる。
上記第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策にかかるそれぞれの費用を、当該予防保全マップに配置するそれぞれの幅に対応させて配置し可視化することができる。すなわち各予防保全対策は、適宜な幅、面積や形状および大きさを有するブロックなどや任意の手段によりこれを表現することができ、このブロックの幅、面積や形状や大きさを費用に対応させることもできる。
上記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに対応した、上記予防必要対象物についての任意の時点までの総額を算出可能とすることができる。この費用には、修復用費用、予防保全用費用、およびユーザーコストなどが含まれ、予防必要対象物の取替え時期までを含む任意の時点までの費用の総額を加算して算出することができる。
当該予防保全マップには、上記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに関連して、上記予防必要対象物の管理限界曲線を描くことができ、この管理限界曲線は、上記予防必要対象物の全資産に対する全収入の割合である資産収入効率が1.0のラインである経済的寿命、あるいは耐荷能力や耐荷力不足などの物理的寿命を示すことができる。
上記時間の軸に沿って移動可能なカーソルを配置するとともに、このカーソルの任意の位置における上記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに対応した予防保全のための費用を算出可能とすることができる。
当該予防保線マップを端末機の画面上に出力可能とするとともに、上記第1の変状パターン、第2の変状パターン、...第nの変状パターン、上記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベル、および、上記第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策の少なくともいずれかから上記予防必要対象物に関する各種のデータを入出力可能とすることができる。すなわち、予防保線マップをパソコンその他の端末機の画面上に出力するとともに、第1の変状パターン、第2の変状パターン、...第nの変状パターン、第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベル、および、第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策などをたとえばブロックとして描いて、これらをクリック操作あるいはドラッグ操作などすることにより、予防必要対象物についてのデータベースへのデータ入力および出力、あるいは各ブロック間ないしは各予防保全マップ間での移動を容易に行うことができる。したがって、データ入出力操作者としては、予防保全の全体像を把握し、これから行う操作がどの段階あるいはレベルに関するものであるかをはっきりと認識することができる。
上記予防必要対象物は、橋梁その他の構造物であることができる。
上記予防保全マップに表現するための各種データは、従来と同様な手法により収集したものを予防保全マップ上で蓄積し、かつ活用することができるとともに、橋梁その他の予防必要対象物について定量的健全度診断により劣化の予測を行うものとする。
上記予防保全マップは、予防必要対象物の劣化ないし変状の種類に応じて、任意の数だけこれを作成することが可能である。たとえば、予防必要対象物として橋梁を選択した場合、その塩害の程度やシューの変状(可動状態)その他に応じてそれぞれの予防保全マップを作成することができる。
上記第nの劣化レベル、第nの変状パターン、および第nの予防保全対策の「n」は、2以上の任意の整数であって、予防必要対象物に応じてこのnを任意に選択し、劣化のレベル、変状パターンおよび予防保全対策を任意の段階に分けて当該予防保全マップに表現することができる。
本発明による予防必要対象物の予防保全マップにおいては、時間の経過にともなって劣化する橋梁その他の予防必要対象物について、その縦軸および横軸に変状パターン、劣化レベル、および時間など必要な変数をとって、それぞれの関係を平面的かつ段階的に表現するようにしたので、一目で予防保全の全貌を見渡すことができ、予防必要対象物の劣化の度合いに応じて、今現在何をすることができるか、あるいは何をすべきか、何ならどのくらいの費用で実施可能か、などを容易に把握することが可能である。したがって、従来から必要であると理解はしていたが、どの程度のことが、どの程度の費用で対策可能か、などが誰にでも簡単には把握しかねていた予防保全の対策を適切かつ容易に把握して、迅速な判断および決断を行うことができるようになり、予防保全対策の実施のタイミングを逃すことがない。さらに、劣化レベルに応じて実施可能な予防保全対策が確定すれば、その予防保全対策を実施可能な企業を特定することができるとともに、その企業は自信および意欲をもって予防保全対策を行うことができ、従来のように、予防保全対策は高度な技術により高価な対策のみを行うことが有効であるような慣行を打破し、劣化のレベルに応じた予防保全対策の実施についてその企業の意欲を引き出すことができる。
とくに、時間軸に対して劣化レベルおよびこの劣化レベルに対応した予防保全対策を順に表すこととしたので、予防保全対策や費用、必要タイミングなどについて表現が可能となって、当該予防保全マップを平面的に一瞥するだけでこれら予防保全対策、その費用および必要タイミングなど把握が可能であり、どの時点でどのような予防保全対策を行うことが一番効果的か、あるいは費用対効果の比率が一番良好かを簡単に判断することができる。
さらに本発明による予防保全マップにおける情報は、マップ上における登録処理により蓄積することが可能であるとともに、予防保全のための対策工法、変状パターンの事例蓄積ないし表示用として、また、データベースの入出力部として使用することができる。この予防保全マップの図上で、橋梁その他の予防必要対象物の経済性の評価や投資の有効性の評価を行うことができる。もちろん、予防必要対象物に関する各種の検索の対象となる情報がどれだけあるのか、などについて一目で把握することができる。要するに本発明による予防保全マップは、予防必要対象物の劣化度に応じた対策方法の選定に用いられるほか、マップという加算図上でトータルコストを可視的に表現可能であるとともに、期待することができる物理的寿命や収益効率が1.0といった経済的寿命でトータルコストを除することとにより、投資の優先順位や有効性を評価し、またこれを可視化することができる。
以上のように本発明によれば、橋梁その他の予防必要対象物に対する変状パターンや劣化レベルさらに予防保全対策などを時間軸とも組み合わせて、各種のデータベースからの情報をオブジェクト指向で平面的(場合によっては立体的)に可視化するようにしたので、予防保全に対する的確な把握および判断を可能とし、さらには維持管理企業からも予防保全に対する積極的な意欲を引き出すことができる。
つぎに本発明の実施の形態(第一の発明)による予防必要対象物の予防保全マップ30について、予防必要対象物として橋梁2およびその塩害を例に取って図1にもとづき説明する。
図1は、本発明の予防必要対象物の予防保全マップ30の説明図であって、予防保全マップ30においては、横軸3に時間、すなわち、経年L(供用期間)をとり、橋梁2の時間の経過による第1の変状パターン、第2の変状パターン、...第nの変状パターンにそれぞれ対応する劣化のレベルを第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルとして縦軸8に取る。具体的には、第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、第3の劣化レベル33、および第4の劣化レベル34を維持管理レベルとして縦軸8に取る。ただし図1において、それぞれの劣化レベルを段階的に、A(第1の劣化レベル31)、B(第2の劣化レベル32)、C(第3の劣化レベル33)、およびD(第4の劣化レベル34)としてある。
具体的には、第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、第3の劣化レベル33、および第4の劣化レベル34は、第1の変状パターン、第2の変状パターン、第3の変状パターン、第4の変状パターン、「塩化物の進行」、「塩化物量の限界値到達」、「鉄筋の腐食、コンクリートのかつ裂」、「耐荷力不足」などに対応し、橋梁2を患者に見立ててその劣化レベル(病気の程度)および対処可能な医者ないし病院を記入し、劣化レベルを感覚的に把握しやすくしたもので、第1の劣化レベル31は、「軽傷」に相当し、「かかりつけ医」が治療可能である。第2の劣化レベル32として「復旧に手間取る」、「重傷(総合病院)」、第3の劣化レベル34として「後遺症」、「重体(専門医)」、第4の劣化レベル34として「耐荷力不足」、「死亡」である。
第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、第3の劣化レベル33、および第4の劣化レベル34に対応して時間の軸(横軸3)に平行に、第1の変状パターン、第2の変状パターン、...第nの変状パターンに対応してそれぞれ必要な予防保全対策を第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策として配列する。具体的には、第1の劣化レベル31に対応して軽症対策35を所定の時間間隔をおいて配置する。第2の劣化レベル32に対応して重傷対策36を所定の時間間隔をおいて配置する。第3の劣化レベル33に対応して重体対策37を所定の時間間隔をおいて配置する。なお、第4の劣化レベル34については、何も処置を施さない場合を示しており、その場合には、短い時間の間に取替え38が必要になることを示している。なお、上記所定の時間間隔ないし図上の所定の間隔(インターバル)は、それぞれの予防保全対策により期待することができる寿命(劣化予測期間)、あるいは予防保全のための商品ないし工法などによる予防保全対策の保証期間とすることができる。また、初期建設から最初の予防保全対策までの期間は、橋梁2の診断システムによるデータベース情報からの定量的診断あるいは橋梁2についての専門家による診断などにより劣化予測を行ってこれを求める。
予防保全マップ30においては、第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、第3の劣化レベル33および第4の劣化レベル34、軽症対策35、重傷対策36、重体対策37および取替え38の図1中におけるブロックの横幅をその費用に対応させてある。横幅が細ければ費用は少なく、太ければ費用がより多くかかることを示している。すなわち、縦軸8に沿って配置した第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、第3の劣化レベル33および第4の劣化レベル34は、初期施工時の費用としてその幅を同一にしてあるが、横軸3に沿って配置した軽症対策35、重傷対策36、重体対策37および取替え38は順次その幅が広くなって、費用が増加してくることを示している。それぞれの劣化レベル31、32、33、34に対応して、橋梁2の構築から取替え38までの費用の総額を算出可能であり、予防保全マップ30の右端に、全合計ΣCA、ΣCB、ΣCC、ΣCDとして示している。
なお、予防保全マップ30においては、物理的な限界曲線すなわち崩壊の管理限界曲線39(あるいは経済効率の限界曲線)を示しており、この管理限界曲線39に達した橋梁2は、更新(取替え)が有利となるか、あるいは非効率的な投資となっているものである。
図2は、予防保全マップ30における橋梁2の経済評価のシミュレーションモデルの図表であり、各年度について総資産対収入効率を演算する。まず、利用者を金額に換算して、橋梁2についての全収入あるいはユーザーコストを(1)とする。橋梁2の資産としては、資産評価(2)および補強資産(3)があり、その合計が資産(4)である。一方、経費としては修繕経費(5)があり、直接投資額としてのトータルコストすなわち全資産(6)は、(4)+(5)で表現される。したがって、総資産対収入効率(7)は、(1)/(6)の比ないしその%で表現され、この総資産対収入効率(7)の値により予防保全対策あるいは取替えのタイミングを判断するもので、この値が小さいほど、橋梁2としては費用対効果の率が低く、早期に予防保全対策をする必要がある。上記それぞれの数値を橋梁2の構築の初年度から法定耐用年、および法定耐用年をこえる年度まで計算する。法定耐用年をこえる年度において、たとえば資産評価(2)がゼロになってもかまわないが、この状況はコストがかからない状態のままで全収入(1)があることになり、橋梁2としては、余力を持って利用されていることになる。なお、図1における上記管理限界曲線39は、この総資産対収入効率(7)が1.0(100%)といった経済的寿命のライン、あるいは耐荷能力や耐荷力不足などの物理的寿命ないしは物理的な限界曲線となるものである。
予防保全マップ30は、これを紙面上に表現することも可能ではあるが、パソコンその他の端末機の画面上にこれを出力して表現するとともに、時間軸(横軸3)に沿ってカーソル40を移動可能に設けることができる。このカーソル40の位置(任意の経年LX:評価期間)において、それぞれの劣化レベル31、32、33、34の費用ΣCA、ΣCB、ΣCC、ΣCDを演算することができる。たとえば、図示の例では、第1の劣化レベル31において、すでに軽傷対策35を一回行っているので、その時点では費用がかかってはいるが、このカーソル40の位置で、もう一度軽傷対策35を行う時期にきていることがわかるとともに、第2の劣化レベル32および第3の劣化レベル33のまま放置していた場合には、より費用のかかる重傷対策36および重体対策37を行う必要があることがわかる。つまり、軽傷対策35、重傷対策36および重体対策37など各対策の有効期間は、図1におけるそれぞれの対策の間のインターバル(間隔)で示すことができる。なおこの有効期間としては、橋梁2など構造物についての専門家が技術認定した橋梁2自体に関連した有効期間(対策工法や商品の寿命に関連した劣化予測期間)と、橋梁2を予防保全ないし維持管理するための各種の商品および工法の保証期間と、がある。
各劣化レベル31、32、33、34における橋梁2についての劣化の予測は、日常検査および診断システムを含む定量的健全度診断によりこれを行うことを原則とする。図1の横軸3および縦軸8方向において、この予測により得られる各損傷劣化のレベルまでの期間を初期インターバルとする。また各劣化レベル31、32、33、34につき横軸3方向において、原則として、橋梁2に対し何も予防保全を行わずに放置した場合に使用不能となるまでの時間ないし時期、および、日常管理(軽傷対策35)の開始時期を計算するものとする。
さらに、当該予防保全マップ30に登録更新する各種の情報は、上述のような診断結果にもとづく各種のデータベースから検索および演算するものであるが、これらの情報は、原則として、その適用範囲、設計図、施工要領、性能表(必要経費、ユーザーコスト、期待する寿命、保証期間など)を標準化したものとする。
こうした構成の予防保全マップ30において、たとえば橋梁2が第1の劣化レベル31の状態にあれば、所定年数の経過後に、軽症対策35が必要であること、さらにその費用は比較的少ないことがわかる。すなわち、所定年数ごとに軽症対策35を行えば、より長い年数にわたってすなわち、軽傷対策35を行わない場合より寿命を延ばして橋梁2を正常に利用することができることを示している。第2の劣化レベル32では、所定年数が経過したときに重傷対策36を必要とし、その費用も軽症対策35よりは大きい。第3の劣化レベル33では、所定年数が経過したときに重体対策37を必要とし、その費用も軽症対策35および重傷対策36よりは大きい。
また、カーソル40を横軸3の任意の位置に合わせることにより、その位置の年数に対応する状態を把握するとともに、必要な予防保全対策および費用を加算してコストに関する情報を把握することができる。とくに、そのカーソル40の位置における年数L(LA、LB、LC、LD)により、コストの集計、および時間あたりのコストの優位性を計算することができる。さらに、カーソル40の位置において、関数f(LX)=ΣCX/LXとしてその時点での年ごとの費用を演算することができる。あるいは、全供用期間において同様に、関数f(L)=ΣC/Lとして費用の合計ΣCA、ΣCB、ΣCC、ΣCDを年数L(LA、LB、LC、LD)で割った比率ΣCA/LA、ΣCB/LB、ΣCC/LC、ΣCD/LDを比較することにより、どの劣化レベルにあってどのような予防保全対策をとった場合が、より長持ちするかを判断することができる。この比率が小さいほど、客年ごとの費用が小さいことを示し、より長い寿命で利用したことを示している。
なお、重傷対策36あるいは重体対策37を実行した結果、予想移行線22(図中仮想線)のように、劣化のレベルを変更することも有り得る。
さて、上述のような各情報自体は個々には、従来からの手法により入手可能あるいは演算可能であることが知られており、個々の情報としては別に新規なものではない。しかしながら、本発明においては、上述のような劣化の状態(変状パターン)、劣化のレベルおよび予防保全対策について、縦軸8の第1の劣化レベル31、第2の劣化レベル32、第3の劣化レベル33および第4の劣化レベル34とともに、時間軸(横軸3)に沿って必要な予防保全対策を適宜順番に配置することにより、周知の情報を理解しやすく可視化ないし表現することができるようになっているので、多くの説明文あるいは説明の言語を費やすことなく、この予防保全マップ30を見てもらうことにより、予防保全における予防保全対策の必要なタイミングおよび費用を的確に把握し、理解してもらうことができる。さらに、予防保全マップ30上で、経済性の評価や投資の有効性の評価を行うこともできる。
さらに、各劣化レベル31、32、33、34に応じて実施可能な予防保全対策が確定すれば、その予防保全対策35、36、37を適正な技術レベルおよびコストで実施可能な企業を特定することができるとともに、その企業は自信および意欲をもって予防保全対策を行うことができ、予防保全にかかわる企業の意欲を引き出すことができる。たとえば、橋梁2について維持管理の支援ネットワークおよび管理ネットワークを組むことにより、橋梁2が建設されている地方の拠点として維持管理企業が必要な予防保全対策を的確かつ意欲をもって実行することができる。また、維持管理企業は、地元のかかりつけ医ともいうべき存在と位置づけられ、当該業界のOB(個人)、コンサルタント、工務店、鉄工所などがあり、橋梁2の日常の点検および塗装を含む日常修繕(軽傷対策35)などを行って、橋梁の適正な維持管理および寿命延命に寄与することができる。
30 予防必要対象物の予防保全マップ
31 第1の劣化レベル
32 第2の劣化レベル
33 第3の劣化レベル
34 第4の劣化レベル
35 軽症対策
36 重傷対策
37 重体対策
38 取替え
39 崩壊の管理限界曲線(あるいは経済効率の限界曲線)
40 カーソル
31 第1の劣化レベル
32 第2の劣化レベル
33 第3の劣化レベル
34 第4の劣化レベル
35 軽症対策
36 重傷対策
37 重体対策
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40 カーソル
Claims (8)
- 時間の経過とともに劣化する可能性がある予防必要対象物について、前記時間を横軸および縦軸のいずれか一方に取り、前記予防必要対象物の前記時間の経過による劣化のレベルを第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルとして段階的に縦軸および横軸のいずれか一方に取るとともに、それぞれの第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに対応して前記時間の軸に平行に、それぞれ必要な予防保全のための対策を第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策として配列することを特徴とする予防必要対象物の予防保全マップ。
- 前記第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策の互いの間のインターバルを、前記予防必要対象物の各劣化予測期間、あるいは各予防保全対策の保証期間とすることを特徴とする請求項1記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
- 前記第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策にかかるそれぞれの費用を、当該予防保全マップに配置するそれぞれの幅に対応させて配置し可視化することを特徴とする請求項1または請求項2記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
- 前記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに対応した、前記予防必要対象物についての任意の時点までの費用の総額を算出可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
- 前記予防必要対象物の全資産に対する全収入の割合である資産収入効率が1.0のラインである経済的寿命、あるいは耐荷能力などの物理的寿命を示す前記予防必要対象物の管理限界曲線を、前記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに関連して、描いたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
- 前記時間の軸に沿って移動可能なカーソルを配置するとともに、このカーソルの任意の位置における前記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベルに対応した予防保全のための費用を算出可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
- 当該予防保線マップを端末機の画面上に出力可能とするとともに、前記第1の変状パターン、第2の変状パターン、...第nの変状パターン、前記第1の劣化レベル、第2の劣化レベル、...第nの劣化レベル、および、前記第1の予防保全対策、第2の予防保全対策、...第nの予防保全対策の少なくともいずれかから前記予防必要対象物に関する各種のデータを入出力可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
- 前記予防必要対象物は、橋梁その他の構造物であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の予防必要対象物の予防保全マップ。
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---|---|---|---|
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JP2001136173A Division JP3809776B2 (ja) | 2001-05-07 | 2001-05-07 | 構造物の予防保全マップ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101787810B1 (ko) * | 2014-04-25 | 2017-10-18 | 사단법인 한국선급 | 액화천연가스 부유식 생산저장설비 탑사이드 공정의 예방 보전 주기 최적화 방법 |
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2004
- 2004-08-19 JP JP2004239344A patent/JP2005122701A/ja active Pending
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KR101787810B1 (ko) * | 2014-04-25 | 2017-10-18 | 사단법인 한국선급 | 액화천연가스 부유식 생산저장설비 탑사이드 공정의 예방 보전 주기 최적화 방법 |
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