以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る物体検知装置を用いた動作制御装置、すなわち、例えば、距離画像から予め定められた目標物を検知して、当該目標物と予め定められた距離間隔を維持しながら自走するロボットの構成例を示している。
図1に示すように、第1の実施形態に係る動作制御装置は、反射光を受光し、距離画像を取得する、例えば、特願平9−299648号に記載されている距離画像取得部1と、取得された距離画像を解析し、目標物の抽出や目標物までの距離の算出等を行う画像処理部2と、画像処理部2の解析結果に基づき、自走部4への自走のパラメータの設定、指示を行う自走制御部3と、自走制御部3からの指示に基づき、実際に本体を移動、回転等させるための機構を備えた自走部4と、画像処理結果や自走の状態などを呈示する、例えば小型の液晶パネルなどから構成される呈示部5とから構成されている。
ここで、距離画像取得部1および、距離画像取得部1にて取得される距離画像について簡単に説明する。
距離画像取得部1は、図2に示すように、主に、発光部102、受光部103、反射光抽出部102、タイミング信号生成部104から構成される。
発光部101は、タイミング信号生成部104にて生成されたタイミング信号に従って時間的に強度変動する光を発光する。この光は発光部前方にある対象物体に照射される。
受光部103は、発光部101が発した光の対象物体による反射光の量を検出する。
反射光抽出部102は、受光部103にて受光された反射光の空間的な強度分布を抽出する。この反射光の空間的な強度分布は画像として捉えることができるので、以下、これを反射光画像あるいは距離画像と呼ぶ。
受光部103は一般的に発光部101から発せられる光の対象物による反射光だけでなく、照明光や太陽光などの外光も同時に受光する。そこで、反射光抽出部102は発光部101が発光しているときに受光した光の量と、発光部101が発光していないときに受光した光の量の差ををとることによって、発光部101からの光の対象物体による反射光成分だけを取り出す。
反射光抽出部102では、受光部103にて受光された反射光から、その強度分布、すなわち、図3に示すような反射光画像(距離画像)を抽出する。
図3では、簡単のため、256×256画素の反射光画像の一部である8×8画素の反射光画像の場合について示している。
物体からの反射光は、物体の距離が大きくなるにつれ大幅に減少する。物体の表面が一様に光を錯乱する場合、反射光画像1画素あたりの受光量は物体までの距離の2乗に反比例して小さくなる。
反射光画像の各画素値は、その画素に対応する単位受光部で受光した反射光の量を表す。反射光は、物体の性質(光を鏡面反射する、錯乱する、吸収する、など)、物体の向き、物体の距離などに影響されるが、物体全体が一様に光を錯乱する物体である場合、その反射光量は物体までの距離と密接な関係を持つ。手などは、このような性質をもつため、距離画像取得部1の前方に手を差し出した場合の反射光画像は、手までの距離、手の傾き(部分的に距離が異なる)などを反映する図4に示したような3次元的なイメージを得ることができる。
さて、本実施形態の説明に戻り、図5(a)は、図1に示すような構成のロボットの外観例を示したもので、図5(b)は、このロボットの目を拡大して示したものである。この目の部分には、画像取得部1の発光部101、受光部103が具備されている。
図5(b)において、目の中央部には円形レンズとその後部にあるエリアセンサ(図示せず)から構成される受光部103が配置され、円形レンズの周囲にはその輪郭に沿って、赤外線などの光を照射するLEDから構成される発光部101が複数(例えば6個)等間隔に配置されている。
発光部101から照射された光が物体に反射され、受光部103のレンズにより集光され、レンズの後部にあるエリアセンサで受光される。エリアセンサは、例えば256×256のマトリックス状に配列されたセンサで、マトリックス中の各センサにて受光された反射光の強度がそれぞれ画素値となる。このようにして取得された画像が、図3に示すような反射光の強度分布としての距離画像である。
図3は、距離画像データの一部(256x256画素の一部の8x8画素)を示したものである。この例では、行列中のセルの値(画素値)は、取得した反射光の強さを256ビットで示したものである。例えば、「255」の値があるセルは、画像取得部1に最も接近した状態、「0」の値があるセルは、画像取得部1から遠くにあり、反射光が画像取得部1にまで到達しないことを示している。
図3(b)は、図3(a)に示したようなマトリックス形式の距離画像データ全体を3次元的に示したものである。この例では、人間の手の距離画像データの場合を示している。
次に、図8に示すフローチャートを参照して、図1に示すような構成のロボット(図5参照)の処理動作について説明する。
まず、電源の投入、動作の開始指示にて起動されると回転フラグIを「0」にセットするなどして初期化処理を行う(ステップS1)。 その後、図5(b)に示したような発光部101、受光部103を用いて距離画像取得部1において、例えば、1秒間に30枚(通常のビデオ映像と同様の速さ)の距離画像を取得する(ステップS2)。図3に示すようなマトリックス形式の距離画像は、画像処理部2に送られる。
画像処理部2では、まず、画素値が予め定められた所定値以下のセルを除き、例えば、図6に示すような撮像された物体の輪郭情報を生成することにより、物体を抽出する(ステップS3)。
図6のような輪郭情報を生成するには、隣り合う画素の画素値を比較し、画素値が一定値α以上のところだけに定数値を入れて、同じ定数値が割り振られた連続した画像領域の画素を抽出すればよい。
すなわち、(i、j)の画素値をP(i、j)とし、生成する輪郭情報の画素値をR(i、j)とすると、
・{P(i、j)−P(i−1、j)}>α、かつ
{P(i、j)−P(i、j−1)}>α、かつ
{P(i、j)−P(i+1、j)}>α、かつ
{P(i、j)−P(i、j+1)}>α
のとき、R(i、j)=255
・ 上記以外のとき、R(i、j)=0
とすることにより、図6のような輪郭情報を得ることができる。
このようにして距離画像から抽出された物体が、予め定められた目標物であるかどうかの判定は、画像処理部2が具備している、例えば、図7に示したような形式で記憶されている認識辞書にあるパターンと上記輪郭情報とのマッチングにより行う(ステップS4)。
図7に示すように、認識辞書には、予め定められた目標物の形状パターン(物体に動きがある場合には、その動きに応じた複数の形状パターン)が記憶されている。
認識辞書にあるパターンのうちの1つと抽出された輪郭情報とが一致し、当該目標物であると判定されたとき、次に、当該目標物までの距離dを算定する。このとき、回転フラグIを「0」にクリアする(ステップS5)。
距離dの算定は、まず、抽出できた目標物の画像の代表画素値を求める。代表画素値としては、平均値、最近傍値などいくつかあるが、ここでは、最近傍値を使うとする。目標物からの反射光の強さは目標物までの距離の2乗に反比例して小さくなる。すなわち、目標物の画像の代表画素値をQ(i、j)とすると、
Q(i、j)=K/d2 …(1)
と表すことができる。
ここで、Kは、例えば、d=0.5mのときに、R(i、j)の値が「255」になるように調整された係数である。式(1)をdについて解くことで、距離値を求めることができる。
自走制御部3では、画像処理部2にて求められた対象物までの距離dに基づき自走部4を制御する。
すなわち、求められた距離dが目標物との間に予め定められた距離Dより小さければ、目標物から予め定められた距離間隔内にいると判断できるので(ステップS6)、自走制御部3は、自走部4に対しては何もせずに、そのままステップS2に戻り、上記距離画像取得動作を継続する。
一方、求められた距離dが、目標物との間に予め定められた距離Dより大きければ、目標物から離れてしまったことになるので、その場合は、差分(d−D)だけの前進指示を自走部4に対し指示する(ステップS7)。この指示に従って、自走部4が駆動されて、ロボットが前進し、目標物と予め定められた距離間隔Dに到達した際、その旨を呈示部5に呈示する(ステップS8)。その後、動作終了指示が成されるまで(ステップS9)、ステップS2に戻り上記画像取得動作を継続する。
ステップS4にて、認識辞書にあるパターンに輪郭情報と一致するものがなく、当該目標物を検知することができなかったときには、回転動作を行う。その際、まず、回転フラグIに「1」を加算する(ステップS10)。
例えば、1回の回転角を30度とすると、回転フラグIが「12」を越えたときには、すでに1周したことを意味する。従って、1周しても目標物を検知できなかったときは、その旨を呈示部5に呈示して処理を終了する(ステップS11、ステップS13)。
ステップS11にて、回転フラグIが「12」以下であるときは、ステップS12に進み、自走制御部3は自走部4に対し回転指示を出す。この回転指示が出される度に、ロボットは30度づつ回転することになる。そして、ステップS2に戻り、上記同様距離画像の取得動作を継続する。このようにロボットは、距離画像に目標物が検知されるまで、周囲を見回せるように回転し、画像取得を行い、目標物の探索をおこなうようになっている。
なお、ステップS9では、予め定められた操作を行う以外に、ロボットの目の部分を覆って真っ暗にすることで(受光部103に入力するような光を遮断することで)、ロボットの行動を停止することもできる。
以上説明したように、上記第1の実施形態によれば、3次元情報の得られる距離画像を用いることにより画像処理が単純化され、高速でローバストな物体検知が可能となり、しかも小型化が容易に行える。
なお、上記第1の実施形態では、図5に示したような形状のロボットについて説明したが、この場合に限らず、例えば、犬の形状のロボットであって、常に、飼い主の左側にいるように設定することも可能であるし、あるいは、ボールの形状にし、常に、持ち主のあとを転がりながらついていくようなおもちゃにすることも可能である。
前者および後者の場合、例えば、距離画像の取得範囲を予め定められた方向範囲となるように調節し、あるいは、回転角度を限定し、その範囲内で取得された距離画像に必ず目標物が検知できるように自走制御部3を介して自走部4を制御するようにすればよい。
また、上記第1の実施形態では、単純に一定距離内に追随するよう自走する例について述べたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、図1の自走制御部3と自走部4をそれぞれ動作制御部6と動作部7に置き換えて、自走する以外にも、歌を歌う、あいずちをうつ、首を振る等の任意の動作をさせることも可能である。また、距離画像取得部1ではリアルタイムに画像を取得できる(例えば1秒間に30枚距離画像を取得できる)ことを利用して、人の動作を検知し、それを模倣し、同じ動作をするように動作制御部6が動作を制御するようにすることも可能である。また、予め動作制御部6に認識辞書として記憶させている身振りのパターンと同じ身振りを人がしたときに、それぞれの身振りに対応した踊り、動作(歌を歌う、あいずちをうつ、首を振るなど)させることも可能である。あるいは、認識してほしい身振り動作のパターンを覚えさせ(例えば、当該ロボット等に具備されている距離画像取得部1、CCDカメラ等を用いてその身振りの画像を撮像し、その画像データを動作制御部6のメモリに認識パターンとして記憶させる)、その身振りに対応して予め定められた動作、すなわち、踊ったり、何かおしゃべりをさせることも可能である。
また、目標物に反射係数の大きなマーカ等を付け、遠方でも距離画像取得部1による距離画像取得が可能なようにして、使用することも可能である。
(第2の実施形態)
第1の実施形態で説明した距離画像は、反射光を用いてるため、遠方になると画像の取得が難しいという問題がある。また、距離画像を得ることはできるが、反射光であるために、色情報の取得ができないという問題がある。このような問題を解決するために、距離画像取得部1の他に通常の2次元画像を取得するCCDカメラなどの2次元画像取得部22を組み合わせて用いることにより、互いの難点を補間しあうものが、第2の実施形態に係る物体検知装置を用いた動作制御装置である。
図10は、第2の実施形態に係る動作制御装置の構成例を示したものである。
図10に示す動作制御装置は、第1の実施形態で説明した、反射光を受光し距離画像を取得する距離画像取得部1の他に、CCDカメラ等の被写体までの距離情報を含まない通常の写真画像と同様な2次元の画像を取得する2次元画像取得部22と、取得された距離画像、2次元画像を解析し、目標物の抽出や目標物までの距離の算出等を行う画像処理部23と、画像処理部23の解析結果に基づき、動作部4への動作パラメータの設定、指示を行う動作制御部24と、動作制御部24からの指示に基づき本体を移動、回転等させるための機構を備えた動作部25と、画像処理結果や動作の状態などを呈示する、例えば、小型の液晶パネルなどから構成される呈示部26とから構成されている。
動作部25では、自走する、歌を歌う、あいずちをうつ、首を振る、人と同じ身振りを行う等の任意の動作を行わしめるもので、ここでは、第1の実施形態の場合と同様、動作部25にて走行動作を行う場合を例にとり説明する。
図10に示す動作制御装置は、例えば、図5に示したような形状のロボットであってもよい。
次に、図11に示すフローチャートを参照して、図10に示したような構成の動作制御装置の処理動作について説明する。なお、図11において、図8と同一部分には同一符号を付し、異なる部分について説明する。
図11において、ステップS1からステップS9までの距離画像から目標物が検知された場合の処理は図8と同様である。
ここでは、図10の動作制御装置は比較的狭い範囲で稼働する場合を想定しているので、距離画像取得部1、2次元画像取得部22のうち、距離画像取得部1が主体的に使われる場合を示す。逆に広い範囲で稼働する場合には、遠方での画像取得が得意な2次元画像取得部22が主体的に活動するようになるので、図11に示すフローチャートとは若干異なる(後述する)。
さて、ステップS4にて、距離画像から目標物が検知できなかったとき、図8と同様、回転フラグIに「1」を加算し(ステップS10)、回転フラグIが「12」以下であるときは、ステップS12に進み、動作制御部24は動作部25に対し回転指示を出す(ステップS11、ステップS12)。このようにロボットは、距離画像に目標物が検知されるまで、周囲を見回せるように回転し、画像取得を行い、目標物の探索をおこなうようになっている。
目標物が遠方にある場合、距離画像取得部1でロボット本体の近傍を探索しているだけで見つからない。そこで、ステップS11で、周囲を1周しても目標物が検知できなかったときは、ステップS22に移り、2次元画像取得部22により2次元画像(カラー画像でもモノクロ画像でもよいが、ここでは、例えば、カラー画像であるとする)を取得する。すなわち、距離画像取得部1による画像取得が不可能なほど遠方にある目標物の探索を開始する。
次に、2次元画像取得部22で取得された2次元画像から目標物を抽出する(ステップS23)。2次元画像から目標物を抽出する処理は、従来の画像処理と同様であってもよい。例えば、第1の実施形態と同様に、人間を探索するには、取得された2次元画像から肌色の部分を抽出する。第1の実施形態の画像処理部2では、図7に示したような認識辞書を用いて、パターンマッチングを行っていたが、この場合には、遠方にあるので、明確に、例えば手の形や顔の形を抽出することは難しい。そこで、ここでは、単に肌色の部分が見つかれば、目標物が見つかったとして、動作制御部24は動作部25に対し、予め定められた距離だけ、検知された肌色の方向へ移動するための制御を行う(ステップS24〜ステップS25)。指示された距離を移動した後、再び、ステップS2に戻り、以降の処理動作を繰り返す。目標物検知のための詳細なマッチングは、ステップS2以降で、距離画像を彩度取得するので、その段階でおこなえばよい。
ステップS25で近づきかたが十分でなかった場合には、ステップS4において距離画像から目標物が検知されないで、再度、ステップS10、ステップS11、ステップS22に移り、2次元画像を取得する処理に入るので、その処理後、ステップS25にて再び前進することになる。
ステップS24にて2次元画像から目標物が検知できなかったときには、その旨を呈示部26に呈示して、処理を終了する(ステップS26)。
なお、前述の第1の実施形態の場合と同様、動作部25では、自走する以外にも、歌を歌う、あいずちをうつ、首を振る等の任意の動作をさせることも可能である。また、距離画像取得部1ではリアルタイムに画像を取得できる(例えば1秒間に30枚距離画像を取得できる)ことを利用して、人の動作を検知し、それを模倣し、同じ動作をするように動作制御部24が動作を制御するようにすることも可能である。また、予め動作制御部24に認識辞書として記憶させている身振りのパターンと同じ身振りを人がしたときに、それぞれの身振りに対応した踊り、動作(歌を歌う、あいずちをうつ、首を振るなど)させることも可能である。あるいは、認識してほしい身振り動作のパターンを覚えさせ(例えば、当該ロボット等に具備されている距離画像取得部1、CCDカメラ等を用いてその身振りの画像を撮像し、その画像データを動作制御部6のメモリに認識パターンとして記憶させる)、その身振りに対応して予め定められた動作、すなわち、踊ったり、何かおしゃべりをさせることも可能である。
以上説明したように、上記第2の実施形態によれば、例えば、遠方にある物体を識別したり、色情報を取得したい場合には、それに応じた画像を取得して、距離画像と組み合わせて目標物あるいは目標物の動きを検知することにより、より精度の高い物体検知が可能となる。
なお、上記第2の実施形態では、2次元画像の取得による探索は、一方向に対してしか行わなっていないが、必ずしもこれに限定されるものではない。距離画像取得に対して行うのと同様に、一方向に対する検出が失敗したときに、回転し、別方向に対して、再度探索を行うようにしてもよい。
また、上記第2の実施形態では、遠方と近傍とで複数の画像取得部を使い分けているが、使い分けの方法は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、2次元画像取得部22は目標物のある方向へ移動するための暫定的な位置の算出に用い、距離画像取得部22は、確定した目標物の正確な切り出しや動作(ジェスチャ)の認識に使うというような、使い分け方も可能である。
さらに上記第2の実施形態では、2次元画像取得部22と距離画像取得部1の2つの画像取得部を用いる例について述べているが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、LEDの発光量を変えた複数の距離画像取得部1を具備し、発光量の大きな距離画像取得部は遠方の距離画像を取得し、発光量の小さな距離画像取得部は近傍の距離画像を取得し、図11のフローチャートと同様に使い分けて用いることも可能である。この場合、図11において、目標物まで距離が予め定められた値以上であったときに、遠方の距離画像の取得が可能なもう一方の距離画像取得部での画像取得に切り替えるような処理の流れにすることも可能である。このとき、遠方を取得する距離画像取得部は、発光量を変えずに、1秒あたりに取得する画像の枚数を減らすようにすることで、遠方の距離画像を取得することも可能である。あるいは3つ以上の画像取得部をもち、回転動作なしに、全周囲の画像が取得できるようにすることも可能である。
図10の動作制御装置は比較的狭い範囲で稼働する場合を想定しているので、図11のフローチャートは、距離画像取得部1、2次元画像取得部22のうち、距離画像取得部1が主体的に使われる場合を示している。逆に広い範囲で稼働する場合には、遠方での画像取得が得意な2次元画像取得部22が主体的に活動するようになるので、まず、2次元画像取得部22で周囲を回転しながら目標物の探索を行い、目標物が検知されたら当該目標物の検知された方向へ前進した後、図11のステップS2〜ステップS9と同様に距離画像の取得、目標物までの距離の算定等を行う。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る物体検知装置は、例えば体験型ゲーム装置等の娯楽設備に適用したときに、距離画像取得部1を誤って投打されたりして破損することを防ぐものである。
本発明の物体検知装置を、ボクシングゲーム、テニスやバッティングゲーム等の人がグローブやラケット、バット等を動かして体験的にゲームを楽しむための体験型ゲーム装置に適用した場合、距離画像取得部1は、対象物である手やボールやバット等を撮像可能な位置に設置されるため、これらの位置関係によっては、ユーザが夢中になるあまり、誤って手やボールやバット等により投打され、破損することもあろう。
図12は、第3の実施形態に係る例の物体検知装置の構成例を示したもので、距離画像取得部1、情報管理部32、画像処理部33、呈示部34、緩衝部35から構成されている。
情報管理部32は、距離画像取得部1、画像処理部33、呈示部34を制御し、距離画像取得部1で取得された画像を画像処理部33に送り、また画像処理部33における距離画像の処理(距離画像から目標物、該目標物の動きの抽出)の結果得られた情報に基づき、当該ゲーム装置に適した判断処理等を行って、処理結果を提示部34に提示する。
提示部34は、小型の液晶パネルなどから構成される構成されている。
距離画像取得部1が画像を取得できる限界接写距離Cd付近には緩衝部35が設けられている。この位置は、距離画像取得部1が距離画像を取得できる視野角(画像取得範囲)を越えたところにある。
ボクシングゲームで手がこの緩衝部35に向かって繰り出すようにする。あるいはテニスやバッティングゲームでは、図13に示すように、緩衝部35の手前に対象となるボールを置くようにして、このボールは緩衝部35に妨げられて、距離画像取得部1にぶつかることがないようにする。
距離画像取得部1にて得た距離画像は情報管理部32を経て、画像処理部33に送られる。画像処理部32では、腕の動き、ボールの動きを解析し、その解析結果を情報管理部32へ送る。情報管理部32はそれをもとに、それぞれのゲーム毎の勝敗を判定し、その結果を呈示部5に呈示する。
以上、第3の実施形態によれば、体験型ゲーム装置等の娯楽設備に本発明の物体検知装置を適用した場合に、距離画像取得部1を誤って投打されたりして破損することを防ぐことができるだけでなく、画像取得の限界内に手や身体、バットなどの物体の一部がはいり、正常な処理を妨げることもなく、その効果は大きい。さらに、緩衝部35の緩衝材として、適度な弾性のあるものを用いると、実際に投打した体感を得ることもできるので、その効果は絶大である。
なお、上記実施形態では、緩衝部35の緩衝材は不透明な材質を想定しているが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
緩衝部35が光を透過するような透明な材質のものであれば、距離画像取得部1の画像取得範囲内に設けてもよい。すなわち、例えば透明なアクリル板あるいは、透明な材質で伸縮性のある袋に空気をつめたものを緩衝部35として、画像取得部1の前面から限界接写距離Cdの位置に配置して、距離画像取得部1を手やボール等により誤って投打されないように防御するようにしてもよい。
(第4の実施形態)
本発明の物体検知装置は、文字等のパターン認識装置にも適用できる。
図14は、製品製作ラインに設けられる仕分け装置の構成例を示したもので、距離画像を用いて文字認識を行い、その認識結果に基づき製品の仕分けを行うものである。
ベルトコンベアなどで構成された搬送路46上に製品(図14では、球体であり、その表面には仕分け先別に、例えば「ABC」、「DEF」、「GHI」という文字が印字されている)P1、P2、P3が搬送される。
本実施形態に係る仕分け装置は、搬送路46上の製品の距離画像を画像取得部1で撮像し、該距離画像から抽出される対象物としての文字を認識して、製品の仕分けを行うようになっている。
距離画像取得部1は、搬送路46上の製品が撮像できる予め定められた位置に固定され、順次搬送されてくる製品の距離画像を撮像する。
製品の表面と、そこに印字されている文字「ABC」、「DEF」、「GHI」は距離画像取得部1からの照射光に対して、異なる反射率を有している。
画像処理部42では、製品の表面からの反射光と、表面に印字されている文字からの反射光との強さの違いにより、すなわち、例えば、文字の方が反射率が低い場合、反射光画像である距離画像の各画素値が小さい画素を取り出して、文字を抽出する。さらに、予め記憶された文字辞書を用いてパターン認識を行って、文字を認識し、その認識結果を情報管理部43に通知する。
情報管理部43は、距離画像取得部1、画像処理部42、呈示部48を制御し、距離画像取得部1で取得された画像を画像処理部42に送り、また画像処理部42における文字認識結果に基づき、搬送路46上の製品を仕分けするための指示を遮蔽板制御部44に送る。また、提示部48に文字認識結果とそれに応じた製品の仕分け先とを提示するようにしてもよい。
仕分けは、例えば、搬送路46上に設けられた遮蔽板45a、45bを遮蔽板制御部44の指示に従って立てたり倒したりすることにより、文字認識結果に応じた仕分け箱47a〜47cに製品を導くことより行っている。
距離画像取得部1の設置位置が固定で、搬送路46上の製品の画像取得位置が一定であるならば(例えば、所定位置に設けられたセンサにて製品の通過を検知した際に距離画像取得部1にて画像を取得するようにする)、距離画像取得部1と製品までの距離値は予め明確に予測可能である。
球面に印字された文字を撮像した距離画像では、球体中心部に印字された文字と周辺部に印字された文字とが同一平面上にないことから反射光の強さが異なり、従って文字にゆがみが生じる。
製品が予め定められた寸法の球体で、その表面に印字される文字の位置が予め定められていて、撮像方向が一定している場合、このゆがみの量(反射光の強さの違い)も球体中心部と周辺部における距離の違いから明確に推測できうる。従って、画像処理部42では、距離画像から文字を抽出する際に、このような文字のゆがみから予め推測される反射光の強さ(画素値)を補正することにより、より正確に文字を抽出することができる。
次に、図15に示すフローチャートを参照して、図14の仕分け装置の処理動作について説明する。
まず、電源の投入、動作の開始指示にて起動されると所定の初期化処理動作が行われ、搬送路46が駆動される(ステップS31)。
画像取得部1は、搬送路46にて搬送されてくる製品P1〜P3の距離画像を順次取得し(ステップS32)、画像処理部42にて取得した距離画像中から反射率が異なる(この場合は、例えば、印字文字の反射率が低いので、画素値P(i、j)の値が予め定められた値より小さい)画素を抜き出して、文字を抽出する(ステップS33)。その際、前述したような文字のゆがみに対応する画素値の補正を行うようにしてもよい。
次に、画像処理部42は、予め記憶された文字辞書にある認識対象としても文字「ABC」、「DEF」、「GHI」のパターンのいづれかに抽出した文字が一致するか否かを調べる。その結果を情報管理部43に通知する。
文字辞書に(予め許容される類似度にて)一致する文字パターンがあったときは、その文字に対応する仕分け箱にいくように、遮蔽板制御部44にて、該当する遮蔽板を操作する(ステップS34〜ステップS35)。
文字辞書に一致する文字パターンがないときは、、「仕分不能」を呈示部48に呈示し(ステップS37)、処理を終了する。
また、一定期間がすぎても、製品が流れてこず、取得した画像中に文字が検出されない場合には、情報管理部43は、停止と見なし、処理終了指示を出してもよい(ステップS36)。
以上説明したように、上記第4の実施形態によれば、距離画像を用いることにより、同一の距離においても、被写体の反射率の違いから明確に文字等のパターンを認識することができるので、例えば、製品番号に応じた仕分けや、さらには塗装仕上げの善し悪しによる仕分け等の複雑な制御を容易に行うことができ、製造工程の自動化に大いに貢献する。
なお、上記第4の実施形態では、印字文字が製品表面より低い反射率をもつようにしているが、必ずしもこれに限定するものではない。製品表面が黒色など低い反射率をもつ場合には、印字文字を銀地などの反射率の高いインクにするなどすることで、容易に高精度の判別を実現できる。