JP2005087509A - 虫歯検出装置および虫歯検出方法 - Google Patents

虫歯検出装置および虫歯検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 初期虫歯を感度良く正確に検出し、しかもその進行度合をも検出できる虫歯検出装置及び虫歯検出方法を提供する。
【解決手段】 本発明の虫歯検出システム1は、紫外線光源2と、紫外線光源2から発生した紫外光を口腔内で照射する光照射部3と、紫外線光源2から照射された紫外線により歯からの蛍光を受光する蛍光受光装置4と、蛍光受光装置4から送信されたデータを解析する蛍光データ解析部5と、蛍光データ解析部5により解析された解析データを表示する表示装置6とを備えている。光照射部3には、紫外線光源2から発生した紫外光に含まれる400nm以上の波長の光を遮断する遮断手段が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、虫歯を検出する技術に関し、特に、歯からの蛍光情報に基づいて非破壊的に初期段階の虫歯を検出する技術に関する。
光を用いて虫歯を検出する従来技術として、特許文献1に記載された装置がある。かかる装置は、赤色光(600〜670nm)を励起光として歯に照射し、その歯からの蛍光をフォトダイオードにより受光した光の強度のみを測定するものである。また、前記装置は口腔内細菌由来の蛍光により虫歯を検出するものであるため、虫歯が進行し歯に穴が開いてしまい、その中に細菌が繁殖しているような場合には虫歯の検出が可能である。
しかしながら、初期虫歯の進行度合いは、必ずしも細菌の存在及びその量とは相関していない。特に初期虫歯の場合は、該当箇所に口腔用組成物内細菌が検出されないことがむしろ多いため、前記特許文献1に記載の装置でかかる初期虫歯を検出することは困難である。すなわち、このような蛍光情報によって解析した結果は、口腔内細菌の有無等によって左右されるため、初期虫歯の有無を正確に判断することが困難である。
前記特許文献1の問題を解決すべく、非特許文献1、2に記載されたQLF(quantitative light-induced fluorescence)方法及びこの方法を実現させた装置が開発されている。この装置は、380±70nmの紫外線で照射し、得られた520nm以上の蛍光の強さのみ検出するものであり、虫歯部位からの蛍光強度が歯の健常部位からの蛍光強度に比較して弱くなるという現象を利用して虫歯を検出するものである。この場合の虫歯検出は、細菌の存在に影響を受けないため、特許文献1に開示の装置と比較して虫歯の有無の検出をより正確にできるようになっている。しかし、後述の比較例1に示すとおり、実際の歯のミネラル減少率の変化と上記520nm以上蛍光強度の変化とは一致しないため、初期虫歯の進行度合を計測することは困難である。
さらに、虫歯を検出する装置として、360〜580nmの紫外線を歯に照射し、歯からの620nm以上の蛍光を測定する装置がある(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載の装置は、蛍光強度の弱い赤色蛍光のみを測定対象とするため、虫歯の有無を検出するのに蛍光強度が不十分で外光などの計測環境の影響を受けやすく検出感度が低くなるという問題がある。
他方、虫歯の進行度合いを正確に検出し定量できる技術として、非特許文献3に記載された技術がある。この技術は、抜去した虫歯をスライスし、その断面をマイクロX線写真
で撮影し、前記写真における情報に基づいて、健常歯と比較しつつ、ミネラル減少率を算出し、虫歯の進行状況を定量するものである。かかる方法は、確実に虫歯の進行状況を確認することが可能であるが、歯を抜去およびスライスしなければ、測定することができないという問題がある。
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本発明の目的は、初期虫歯を感度良くかつ正確に検出し、虫歯の進行度合をも検出できる虫歯検出装置及び虫歯検出方法を提供することにある。
本発明者等は、歯に単一波長の紫外線(水銀ランプのi線365nm)を照射した場合、健常歯については、400〜500nm付近(青色相当)に強い蛍光が生じることを知見した。
また、本発明者等は、紫外光の照射光強度を増加させた場合、蛍光受光部に偏光フィルタを設け、歯表面からの蛍光を除去することで、従来のQLFで報告されている(非特許文献1)脱灰領域よりも深い領域まで脱灰の程度を計測できることが可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、紫外線光源と、該紫外線光源から発生した紫外線を口腔内で照射する光照射部と、該光照射部から照射された紫外線により歯からの蛍光を受光する蛍光受光部と、該蛍光受光部からの蛍光データを解析する蛍光データ解析部と、該蛍光データ解析部からの解析データを表示する解析データ表示部とを備えた虫歯検出装置であって、前記光照射部には、前記紫外線光源から発生した紫外光に含まれる400nm以上の波長の光を遮断する遮断手段が設けられている虫歯検出装置である。
また、虫歯検出装置は、前記紫外線光源を単一波長の紫外線を発生する光源として備えていることが好ましい。
また、前記蛍光受光部には、前記歯からの蛍光に含まれる400nm未満の波長の光を遮断する遮断手段が設けられていることが好ましい。前記400nm未満の波長の光を遮断する遮断手段は、前記歯からの蛍光に含まれる400nm未満の波長の光を除去するフィルタであってもよい。前記蛍光受光部には、更に歯表面からの反射光を遮断する表面反射光用の遮断手段が設けられていることが好ましい。前記表面反射光用の遮断手段は、歯表面からの反射光を除去する偏光フィルタであってもよい。
前記紫外線光源と前記光照射部とが口腔内で操作可能な大きさで一体に構成されていることが好ましい。
さらに、本発明は、実質的に可視光領域の波長の光を含まない紫外光を歯の測定部位に照射し、該測定部位からの400nm以上の可視光領域の波長の蛍光によって虫歯を検出する方法であって、前記測定部位からの蛍光情報を取り込む第1ステップと、前記蛍光の強度に基づいて演算し、前記演算結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断する第2ステップとを含む虫歯検出方法である。
本発明に係る虫歯検出装置を用いることにより、初期虫歯を感度よく検出することが出来るため、初期虫歯を削らずに非外科的な処置による治療がよりしやすくなる。さらに、本発明に係る虫歯検出装置によれば、虫歯の進行度合いも計測することができる。前記初期虫歯の治療経過の観察が可能になり、再石灰化等による回復の度合いの確認ができるため、患者に虫歯の進行状況や回復状況を具体的に示すことにより、虫歯予防処置の重要性や処置の効果に関する理解を得ることができ、口腔の健康の維持向上に貢献することが可能になる。
本発明に係る虫歯検出装置により、歯の表面を計測することによって、虫歯を精度良く検出できるのみならず、歯の健常部位と虫歯部位との対比測定(2カ所で計測)を行うことが可能である。
また、本発明に係る虫歯検出装置により、紫外線の照射光強度の変化に伴って変化する歯からの蛍光データの中から、虫歯と健常歯とで異なる変化を示す波長帯を選択し、その波長帯における複数の蛍光強度に基づいて解析することができ、それによって虫歯(特に初期虫歯)とその進行度合いを感度良く正確に検出することができる。
本発明に係る虫歯検出方法によれば、実質的に可視光領域の波長の光を含まない紫外光を歯の測定部位に照射し、該測定部位からの400nm以上の可視光領域の波長の蛍光によって虫歯を検出する方法であって、前記測定部位からの蛍光情報を取り込み、前記蛍光の強度に基づいて演算し、前記演算結果を予め設定した基準値と比較し、その比較結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断することができる。
また、前記基準値は、紫外線照射装置における照射光強度、照射面積等の条件や、蛍光受光装置における光路長、受光素子の感度等の条件によって異なり、虫歯検出システムにおけるキャリブレーションによって決定される。
本発明に係る虫歯検出方法において、虫歯検出システムによって得られた歯の健常部位からの蛍光の強度と、歯の被検部位からの蛍光の強度とを比較し、比較の結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断することができる。また、歯の被検部位に対し、紫外光源の照射強度を変え複数回測定し、得られた異なる照射強度による歯からの蛍光強度を比較し、その比較の結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断することができる。
以下、本発明の虫歯検出装置及び虫歯検出方法の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の虫歯検出システム(虫歯検出装置)1は、紫外線光源2と、紫外線光源2から発生した紫外光を口腔内で照射する光照射部3と、紫外線光源2から照射された紫外線により歯からの蛍光を受光する蛍光受光装置(蛍光受光部)4と、蛍光受光装置4から送信されたデータを解析する蛍光データ解析部5と、蛍光データ解析部5により解析された解析データを表示する表示装置(データ表示部)6とを備えている。
虫歯検出システム1は、このシステム全体を統括的に制御する主制御部7を有する。この主制御部7には、入出力制御部8を介して、紫外線光源2、光照射部3、及び蛍光受光装置4が接続されていると共に、記憶装置9、表示装置6、及び出力装置10が接続されている。
紫外線光源2は、例えば水銀ランプのi線365nmのように波長が300〜400nm程度の範囲において単一波長の紫外線を照射するもので、照射光強度が調整可能に構成されていればよい。このような紫外線光源2には、例えば、紫外線LED、水銀ランプ、メタルハライドランプ等がある。紫外線LEDは、紫外線の照射光強度が調整されるように構成されている。例えば、通電量に関して入出力制御部8で制御する、もしくは複数のLEDの点灯個数を変えることにより、光の強度調整を行う。
水銀ランプ又はメタルハライドランプは、照射光が可視光カットフィルタを通過して紫外光になり、その紫外光の強度が調整できるようになっている。強度調整は例えば電流値の制御やNDフィルタを用いることにより行う。そして、このような紫外線光源2から紫外線を導光するものとしては、紫外線吸収率が低いものであれば特に限定はないが、例えば石英ガラスや高分子材料からなるコアを有する光ファイバを通して光照射部3より歯に直接照射されるようになっている。
光照射部3には、紫外線光源2から発生した紫外光に含まれる400nm以上の波長の光を遮断する遮断手段(例えば、可視カットフィルタ14)が設けられている。この遮断手段は、紫外光に含まれる400nm以上の波長の光を除去するフィルタである。
また、奥歯等のような外部からの光源の照射では光が届きにくい箇所における初期虫歯の測定等をより正確にできるようにする観点から、紫外線光源2と光照射部3とが口腔内で操作可能な大きさで一体に構成されてもよい。例えば、光照射部3は、約φ10mm程度のペン先状に形成されており、その内部中央に、紫外線光源2としての紫外線LEDが組み込まれている。
蛍光受光装置4には、前記歯からの蛍光に含まれる400nm未満の波長の光を遮断する遮断手段(例えば、紫外線カットフィルタ11)を設けることができる。すなわち、蛍光受光装置4は、紫外線の照射により歯からの蛍光が、前記蛍光に含まれる400nm未満の波長の光を遮断する遮断手段を通過することにより紫外線領域の光が吸収され、可視光領域の光のみが、光ファイバを通して光デバイスに受光されるように構成されている。前記光デバイスは、可視光領域の蛍光から、色情報を含んだ情報を蛍光データとして取り込み、その情報を入出力制御部8に送信可能なものであればよい。入出力制御部8は、光デバイスからの情報をAD変換するように構成されている。
上述の光デバイスには、例えば、分光輝度計、カラーCCD、CMOS、又は2色以上の色フィルタ付き光センサ等がある。具体的には、分光輝度計は、蛍光をプリズム等により色分解し、各色光(赤色光、緑色光、青色光等)を光センサ取り込むことにより、各色毎の情報を得るように構成されている。
また、カラーCCDは、色フィルタ(原色RGB,補色CMYG)を有する2次元配列された素子で受光し、それぞれの素子からの電気信号に基づいて色情報を得るように構成されている。さらに、2色以上の色フィルター(バンドパスフィルター)付き光センサは、蛍光の特定波長のみを、例えば、フォトマルやシリコンフォトダイオードのような受光素子からの電気信号に基づいて各波長帯毎の情報を得るように構成されている。
さらに、蛍光受光装置4には、上述した光デバイスとしての受光部を備え、例えば、紫外線カットフィルタ11のように、歯からの蛍光に含まれる400nm未満の波長の光を遮断する遮断手段を設けることが好ましい。歯からの蛍光に含まれる400nm未満の波長の遮断手段は、波長除去できるフィルタであってもよい。蛍光受光装置4には、更に歯表面からの反射光を遮断する遮断手段(例えば、偏光フィルタ15)を設けることが好ましい。
記憶装置は、データ解析部5により解析された解析データを保存できるものであればよく、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク等がある。
表示装置6は、上記解析データや解析データの選択(測定部位の数、光強度の変化)に必要な情報を表示できるものであればよく、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等がある。出力装置10は、上記解析データを出力できるものであればよく、例えば、プリンタ等がある。
主制御部7は、CPU12、内部メモリ13、蛍光データ解析部5等を有する。CPU12は、OS(Operating System)等の制御プログラムや虫歯検出プログラムからの命令を解読して実行するように構成されている。内部メモリ13は、入出力制御部8からの情報や、記憶装置9からの解析データを一時的に保存するものである。蛍光データ解析部5は、虫歯検出プログラムがCPU12により実行されることにより、虫歯検出プログラムと、CPU12、メインメモリ等のハードウエア資源(コンピュータ)とが協働した手段として構成されている。
本発明者等は、現在のところ最も正確に虫歯の進行度合いを測定できる非特許文献3記載の方法と実施例1、2と比較例1、2との相関関係を求めることにより本発明に係る虫歯検出装置の検出精度を評価した。
1.虫歯の進行度合いと虫歯検出装置の測定結果との相関関係
<方法>
実験に用いた被験歯は、ヒト抜去歯を用いた。ヒト抜去歯を4分割し、エナメル表面を鏡面研磨した後、鏡面研磨したエナメル表面に3×3mmのウィンドウをあけ、他の部分をマニキュアで被覆した。マニキュアで被覆したエナメルは5%ヒドロキシエチルセルロースを溶解させたpH4.5の乳酸緩衝溶液ゲルに1〜14日間浸漬し、マニキュアで被覆していないウィンドウ部分にのみ、虫歯の程度の違う初期虫歯を形成させた。
その後、マニキュアをアセトンでふき取り、虫歯の程度をかえたエナメル被験歯を調製した。マニキュアで被覆された部分は酸に接触していないため、健常エナメル部分、マニキュアで被覆していないウィンドウ部分は酸に接触した初期虫歯部分である。これらのエナメル被験歯を、実験に用いた。
調製したエナメル被験歯をまず本発明に係わる虫歯検出装置で計測した。その後、非特許文献3に記載の方法に基づき、前記の被験歯をスライスし、マイクロX線写真撮影用の試料を作成した。実施例において、本発明に係る虫歯検出装置での計測結果と非特許文献3で示した方法で得られた虫歯の深さおよびミネラル喪失量との相関係数を求めることにより本発明の虫歯検出装置の正確さを検証した。
虫歯の深さは、虫歯の進行度合を示すもので、上記非特許文献3に従い、マイクロX線写真を用いて、コンピュータ画像解析により得られた値である。
ミネラル喪失量もまた、虫歯の進行度合を示すもので、上記非特許文献3に従い、マイクロX線写真を用いて、コンピュータ画像解析により得られた値である。歯の表面から内部にかけて、マイクロX線写真を解析すると、図2に示すミネラル濃度プロファイルが得られた。
横軸は歯表面から内部にかけての深さ、縦軸はミネラル濃度を示す。ミネラル濃度はマイクロX線写真のバックグラウンドの黒く感光している部分をミネラル濃度0、エナメル質内部の、光が透過しておらず感光していない白い部分をミネラル濃度100とし、マイクロX線写真の色の濃淡から算出している。ミネラル喪失量は図2のΔZで示された部分の面積で表される値で、単位はvol%・μmで表される。ミネラル喪失量が大きいほど、虫歯が進行していることを示している。
2.虫歯検出システムによる虫歯の検出
(1)<方法>
(実施例1及び実施例2)
本実施例で用いた虫歯検出システム1及びこれを用いた虫歯検出方法について説明する。紫外線照射装置2として水銀ランプを用いた。この水銀ランプは、400nm以下の波長の紫外線を透過する可視光カットフィルタの装着により、i線を効率よく照射できるようにした。水銀ランプからの紫外線は、光ファイバにより直接歯に照射した。実施例1では、紫外線の光強度を15mW/cm 2 にした。実施例2では光強度を50mW/cm2にした。
蛍光受光装置4としてカラーCCDを用いた。カラーCCDは、400nm以上の光を透過するUVカットフィルタの装着により、可視光領域全ての蛍光を撮像できるようにした。この画像をグレー画像に変換し、各測定部位毎に、虫歯部位の輝度(16bit)と、健常部位の輝度(16bit)とを求め、その比を相対輝度として算出した。相対輝度と虫歯の深さおよびミネラル喪失量とのそれぞれの相関係数を求めた。
(比較例1)
比較例1では、上記特許文献1で示した従来技術に従い、紫外線の光強度を15mW/cm2にし、被験歯を計測した。カラーCCDに、520nm以上の光を透過するカットフィルタを装着し、カラーCCDが520〜800nmの単色光の画像を取り込めるようにした。この画像をグレー画像に変換し、各測定部位毎に、虫歯部位の輝度(16bit)と、健常部位の輝度(16bit)とを求め、その比を相対輝度として算出した。相対輝度と虫歯の深さおよびミネラル喪失量とのそれぞれの相関係数を求めた。
(比較例2)
比較例2では、上記特許文献2に記載の技術に従い、紫外線の光強度を15mW/cm 2 にし、被験歯を計測した。カラーCCDに、620nm以上の光を透過するカットフィルタを装着し、カラーCCDが赤色蛍光のみの画像を取り込めるようにした。この画像をグレー画像に変換し、各測定部位毎に、虫歯部位の輝度(16bit)と、健常部位の輝度(16bit)とを求め、その比を相対輝度として算出した。相対輝度と虫歯の深さおよびミネラル喪失量とのそれぞれの相関係数を求めた。
(2)結果
(虫歯の深さと虫歯検出システムによる検出データとの相関)
虫歯の深さと、健常部位の輝度に対する虫歯部位の輝度である相対輝度の計測結果を表1に示す。実施例1および2は相対輝度が低いほど虫歯の深さが深くなり、その相関は比較例1および2と比較して高かった。実施例1では紫外光の照射強度が15mW/cm2であり、相対輝度と100μmまでの虫歯の深さとの間で相関係数の絶対値が0.96以上の高い相関があったが、実施例2において紫外光の照射強度を50mW/cm2まで強くすると、相対輝度と、さらに深い150μmまでの虫歯の深さとの間で相関係数の絶対値が0.96以上の高い相関が認められた。光の強度をより強くすることにより、虫歯の深さがより深い領域まで、虫歯の深さを定量することができた。以上より、本計測装置により、虫歯の深さを定量できることが実証された。
Figure 2005087509
(虫歯部位のミネラル喪失量と虫歯検出システムによる検出データとの相関)
虫歯部位のミネラル喪失量と、健常部位の輝度に対する虫歯部位の輝度である相対輝度の計測結果を表2に示す。ミネラル喪失量が大きいほど虫歯が進行していることを示している。実施例1および2は相対輝度が低いほどミネラル喪失量が大きくなり、その相関は比較例1および2と比較して高かった。実施例1では紫外光の照射強度が15mW/cm 2 であり、相対輝度と7000vol%・μmまでのミネラル喪失量との間で相関係数の絶対値が0.97以上の高い相関があったが、実施例2において紫外光の照射強度を50mW/cm2まで強くすると、相対輝度と、さらに虫歯の進行の進んだ12000vol%・μmまでのミネラル喪失量との間で相関係数の絶対値が0.96以上の高い相関が認められた。光の強度をより強くすることにより、より進行した虫歯の進行度合いを定量することができた。以上より、本計測装置により、虫歯の程度を定量できることが実証された。
Figure 2005087509
本発明によれば、初期虫歯を感度良く正確に検出し、しかもその進行度合をも検出できる虫歯検出装置及び虫歯検出方法を得ることができる。この手法を用いることで、従来のように歯を割断しなくても、非破壊で虫歯の定量を行うことができ、歯科診療に応用すれば、非常に有効な診療手段となる。
本実施形態の虫歯検出システムの概略構成を示す図である。 マイクロX線写真より解析した、虫歯の程度を表す虫歯の深さとミネラル喪失量を示したミネラル濃度プロファイルである。
符号の説明
1 虫歯検出システム(虫歯検出装置)
2 紫外線光源
3 光照射部
4 蛍光受光装置(蛍光受光部)
5 蛍光データ解析部
6 表示装置(データ表示部)
11 紫外線カットフィルタ
13 内部メモリー
14 可視カットフィルタ
15 偏光フィルタ

Claims (10)

  1. 紫外線光源と、該紫外線光源から発生した紫外光を口腔内で照射する光照射部と、該光照射部から照射された紫外線により歯からの蛍光を受光する蛍光受光部と、該蛍光受光部からの蛍光データを解析する蛍光データ解析部と、該蛍光データ解析部からのデータを表示するデータ表示部とを備えた虫歯検出装置であって、前記光照射部には、前記紫外線光源から発生した紫外光に含まれる400nm以上の波長の光を遮断する遮断手段が設けられている虫歯検出装置。
  2. 前記紫外線光源は、単一波長の紫外線を発生する光源である請求項1に記載の虫歯検出装置。
  3. 前記蛍光受光部には、前記歯からの蛍光に含まれる400nm未満の波長の光を遮断する遮断手段が設けられている請求項1又は2に記載の虫歯検出装置。
  4. 前記蛍光受光部には、更に歯表面からの反射光を遮断する遮断手段が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の虫歯検出装置。
  5. 前記紫外線光源は、出力強度が調整可能に構成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の虫歯検出装置。
  6. 前記紫外線光源と前記光照射部とが口腔内で操作可能な大きさで一体に構成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の虫歯検出装置。
  7. 前記紫外線光源は、紫外線LEDである請求項6に記載の虫歯検出装置。
  8. 実質的に可視光領域の波長の光を含まない紫外光を歯の測定部位に照射し、該測定部位からの400nm以上の可視光領域の波長の蛍光によって虫歯を検出する方法であって、前記測定部位からの蛍光情報を取り込む第1ステップと、前記蛍光の強度に基づいて演算し、前記演算結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断する第2ステップとを含む虫歯検出方法。
  9. 前記第2ステップには、歯の健常部位からの蛍光の強度と、歯の被検部位からの蛍光の強度とを比較し、比較の結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断することが含まれる請求項8に記載の虫歯検出方法。
  10. 前記第2ステップには、紫外光源の照射強度を変え、異なる照射強度による歯からの蛍光強度を比較し、前記比較の結果に応じて虫歯の有無及び/又は虫歯の進行度合を判断することが含まれる請求項8に記載の虫歯検出方法。
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