JP2005076457A - エンジン発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン側で回転を上げる制御を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供することにある。
【解決手段】エンジン2と、このエンジン2の出力軸2aに接続された発電機3と、スタータ5とを具備する。スタータ5は、エンジン2の始動時に発電機3に電力を供給して、この発電機3をこれに接続されたエンジン2を駆動する電動機として機能させる。これとともに、スタータ5は、発電機3を介してエンジン2の回転が定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部4を有している。これにより、エンジン始動時に、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要することなく、エンジン2の回転を、発電機3によってこの発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げることができるようにしたことを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン2と、このエンジン2の出力軸2aに接続された発電機3と、スタータ5とを具備する。スタータ5は、エンジン2の始動時に発電機3に電力を供給して、この発電機3をこれに接続されたエンジン2を駆動する電動機として機能させる。これとともに、スタータ5は、発電機3を介してエンジン2の回転が定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部4を有している。これにより、エンジン始動時に、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要することなく、エンジン2の回転を、発電機3によってこの発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げることができるようにしたことを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンで発電機を駆動して電力を得るエンジン発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン発電装置のエンジンの燃費は、低負荷では悪く高負荷では良いことが知られている。このため、能力が大きな1台のエンジンでこれに接続した発電機を回転させて発電する場合に比較して、能力が小さい複数台のエンジンに個別に発電機を接続し、必要とする発電量の増減に適合した台数のエンジンを夫々高負荷領域で運転する構成の複数台並置型のエンジン発電装置として実施することが好ましい。
【0003】
エンジンを始動するには一般にスタータが用いられている。このスタータはエンジン1台ごとに設けられている。始動負荷が小さいエンジンの場合には、小形のバッテリーとこのバッテリーの電力で駆動されるスタータモータとを有した電動スタータが使用されている。これに対して、大きいエンジンは始動負荷が大きので、この場合には、電動スタータに代えて、圧縮空気を所定圧力で溜める空気槽とこの槽内の圧縮空気のエンジンへの流通を制御する始動空気弁とを有したエアースタータが使用されている。
【0004】
このような電動スタータ又はエアースタータを、エンジンの台数分だけ備えるエンジン発電装置では、そのスタータの分だけ、部品点数が増えてコスト高になっている。
【0005】
そこで、従来、ディーゼルエンジンの出力軸に連結された発電機を、エンジン始動用の電動機として用いることによって、前記スタータを省略したディーゼルエンジン発電装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
この特許文献1のディーゼルエンジン発電装置では、この発電装置が発電した電力が供給される電力供給先系統の電力を、スイッチの切換えにより、エンジン始動時に電力変換をするインバータを介して発電機に供給して、この発電機を電動機として用いることによって、前記発電機に出力軸が連結されたディーゼルエンジンのピストンを駆動させている。この場合、インバータはピストンの位相制御のために利用されている。この制御によって、エンジンの始動において着火直前にピストンの動きを急速に加速させ、それに伴い燃焼室容積を急速に拡大させている。これにより、シリンダ内の燃料の拡散を促進して、始動時にシリンダから排出される有色煙と未燃ガスの発生を抑制している。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−20971号公報(段落0020−0040、図1−図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
エンジン発電装置の発電機では、それが発電を始める回転数(定格回転数)は、発電周波数で決まってくる。この定格回転数に対して、電動式又はエアー式のスタータを用いて始動されるエンジン始動時の回転数は一般に定格回転数の1/10〜1/5程度である。このため、従来は、始動時にエンジンの燃焼を制御する駆動ロジックを実行することによって、定格回転数を得ている。
【0009】
この駆動ロジックは、始動されたエンジンの回転数を発電機の定格回転数まで上げるためのエンジン制御であり、これは、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら行なわれる。この調整には手間がかかるので、その改善が望まれている。
【0010】
特に、燃料ガスと空気とを予め所定の割合で混ぜて燃焼させる希薄予混合燃焼をするガスエンジンの場合には、発電機の定格回転数まで始動されたエンジンの回転数を上げることが難しい。つまり、この種のガスエンジンは、燃焼に伴う窒素酸化物(NOx)の発生を抑制するために、定常燃焼ではできるだけ燃料ガスが少なくかつ空気が多い混合割合の燃料を用いた希薄燃焼をするようになっている。しかし、こうした燃焼に適する薄い目の燃料でエンジンを始動させると、燃焼による発生エネルギーが少ないので、エンジンの回転が上がりづらい。したがって、ガスエンジンの始動においては、始動開始時には濃い目の燃料に調整する必要があり、その燃料を燃焼させてエンジン回転数がある程度上昇した段階で、薄い目の燃料に変更する調整が必要となる。こうした調整を伴う始動時のエンジン制御には手間がかかるので、その改善が望まれている。
【0011】
又、特許文献1には、エンジン始動時に発電機を電動機として用いる技術が記載されている。しかし、この技術は始動時の有色煙と未燃ガスの発生を抑制するためであって、始動時にエンジンの回転数を定格回転に上げることについては教示していない。
【0012】
更に、特許文献1の技術では、エンジン始動時に、電力供給先系統の電力を発電機に供給して、この発電機を回転させている。したがって、発電を行うエンジン発電装置でありながら、その始動のために電力を購入する必要があるので、好ましくない。
【0013】
しかも、特許文献1の技術のように発電機を始動用電動機として使用する構成では、インバータを備えることは必用不可欠であるが、インバータのコストは高いことが知られている。特許文献1には、インバータを介して電力が供給される発電機及びこれに連結されたエンジンを備えた1台のエンジン発電装置しか記載がない。したがって、既述のように複数台並置型のエンジン発電装置として実施する場合には、その数と同数のインバータが必要になると考えられる。この場合に、複数台並置型エンジン発電装置の構成が複雑化してコストが嵩むので、エンジン発電装置の普及を妨げる原因となり易いという事情がある。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、エンジン側での制御を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供することにある。
【0015】
又、本発明が解決しようとする他の課題は、エンジン側での制御を要しないとともに、電力の購入を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供することにある。
【0016】
更に、本発明が解決しようとする他の課題は、エンジン側での制御を要しないで始動できるとともに、構成が簡単で低コスト化を実現できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、エンジンと、このエンジンの出力軸に接続された発電機と、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記発電機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有したスタータと、を具備している。
【0018】
この発明では、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。
【0019】
又、前記課題を解決するために、本発明は、エンジンと、このエンジンの出力軸に接続された発電機と、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記電動機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有したスタータと、このスタータに接続され前記発電機に始動時に供給する電力を貯える電力貯蔵手段と、を具備している。
【0020】
この発明でも、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。加えて、この発明では、始動時に発電機を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段を備えているので、発電した電力が供給される電力供給先系統の電力を始動のために購入する必要がない。電力貯蔵手段にはリチウム電池などを好適に使用できる。
【0021】
又、前記課題を解決するために、本発明は、複数台のエンジンと、これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、これら各発電機に共用され、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記電動機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有した単一のスタータと、を具備している。
【0022】
この発明でも、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。加えて、この発明では、複数台並置型のエンジン発電装置において、スタータが、単一であって、各発電機に共用されているので、装置全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる。各発電機に共用される単一のスタータは、各発電機を同時に駆動させることも、或いは、発電機ごとに順次駆動させることもできる。
【0023】
又、前記課題を解決するために、本発明は、複数台のエンジンと、これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、これら発電機の内で発電機総数より少ない数の一部の発電機に対し、この一部の発電機が接続された前記エンジンの始動時に電力を供給して前記一部の発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、この一部の発電機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部、及び前記一部の発電機以外の他の発電機に前記一部の発電機が発電した電力を供給させて、この他の発電機に接続された前記エンジンを始動させる電力供給手段を有した単一のスタータと、を具備している。
【0024】
この発明でも、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。加えて、この発明では、複数台並置型のエンジン発電装置において、単一のスタータで先行して始動されたエンジンにより回転される一部の発電機が発電した電力を、供給電力制御部で電力制御した上で他の発電機に電力供給手段を介して供給して、この他の発電機に接続されたエンジンを始動させてエンジンの回転を上げるので、前記他の発電機に接続されたエンジンの始動には、前記単一のスタータを共用できる。これにより、装置全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる。先行して始動されたエンジンにより回転された発電機の発生電力で始動される始動対象のエンジンが複数台である場合には、こらのエンジンを順次始動させることが好ましいが、同時に始動させてもよい。
【0025】
又、前記課題を解決するために、本発明は、複数台のエンジンと、これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、バッテリー及びスタータモータを有して形成され、若しくは空気槽及び始動空気弁を有して形成され、前記各発電機の内で発電機総数より少ない数の一部の発電機が接続された前記エンジンを始動させる一次スタータと、前記一部の発電機が発電した電力を前記一部の発電機以外の他の複数の発電機に供給させて、この複数の他の発電機をこれらに個別に接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記他の発電機に接続された前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有した二次スタータと、を具備している。
【0026】
この発明では、複数台並置型のエンジン発電装置において、一次スタータで始動されたエンジンにより回転される一部の発電機が発電した電力を、他の発電機に二次スタータを介して供給して、この他の発電機に接続されたエンジンを始動させる。この他の発電機に接続されたエンジンを始動時には、二次スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、この二次スタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、エンジンの回転を上げることができる。一次スタータで先行して始動されたエンジンにより回転された発電機の発生電力で始動される複数台の始動対象のエンジンは、順次始動させることが好ましいが、同時に始動させてもよい。そして、既述のように一次スタータは一部のエンジンのみを始動させればよいため、一次スタータが有しているバッテリー又は空気槽に容量が小さなものを使用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0028】
図1中符号1で示すエンジン発電装置は、ガスエンジン等のエンジン2と、発電機3と、供給電力制御部4を有したスタータ5とを具備している。なお、図1中符号6は電気供給先系統の母線を示している。
【0029】
エンジン2の出力軸(クランク軸)2aは発電機3の図示しない回転軸に軸継手を介して接続されている。エンジン2とこれに連結された発電機3とは発電ユニット1aを構成している。
【0030】
発電機3は、界磁システムを形成する固定子と、界磁内で回転する回転子とを有している。前記回転軸を有した回転子がエンジン2の回転出力で回転されることにより、回転子と固定子との間で作用する電磁気の力で、発電機3は発電することができる.この逆に、回転子に電流が流されることにより、回転子と固定子との間で作用する電磁気の力で回転子が回転されて、発電機3は電動機として機能することができる。
【0031】
発電機3と母線6とは電線11を介して接続されている。この電線11の途中には第1スイッチ12が設けられている。この第1スイッチ12が閉じられた状態で発電機3で発電された電力が母線6に送られる。
【0032】
スタータ5は、供給電力制御部4と、この入出力端に個別に接続された第1、第2の変圧器13、14と、第2スイッチ15と、第3スイッチ16とを有している。第2スイッチ15は、第1スイッチ12と母線6との間の電線部分と、第1変圧器13との間を接続した電線17の途中に設けられている。第3スイッチ16は、第1スイッチ12と発電機3との間の電線部分と、第2変圧器14との間を接続した電線18の途中に設けられている。
【0033】
供給電力制御部4は、発電機3を電動機として機能させる時に、この発電機3の回転を制御する機能を有している。すなわち、供給電力制御部4は、エンジン2の始動時に、発電機3に電力を供給して、この発電機3をそれに接続されたエンジン2を駆動する電動機として機能させるとともに、この電動機機能によりエンジン2の回転を発電機3の発電に適した回転数、つまり定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させるように発電機3に供給する電力を制御するものである。この供給電力制御部4として、交流電力を周波数変換して出力するインバータを例示できるが、これに代えて交流直流変換機を用いることも可能である。既述のように前記インバータの入出力端に個別に変圧器13、14を接続したので、このインバータには低電圧型のインバータを使用できる。したがって、低コストのインバータ(供給電力制御部4)を用いることができる。
【0034】
図1に示すエンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12が開かれることに同期して、第2、第3のスイッチ15、16が共に閉じられて、発電機3と母線6とがスタータ5を介して電気的に接続される。このため、母線6から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、発電機3に供給される。
【0035】
これにより、発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に連結されているエンジン2に回転が伝達されてエンジン2が始動される。この場合、エンジン2の始動とともに、発電機3への電力供給が停止されることはなく、引続き発電機3に電力供給がなされるだけではなく、その供給電力が、供給電力制御部4での電力制御動作によって次第に増加される。これにより、発電機3の回転子の回転が上がるに伴いエンジン2の回転数も上昇される。
【0036】
エンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12が閉じられることに同期して、第2、第3のスイッチ15、16が共に開かれて、発電機3と母線6とが電線11を介して電気的に接続されるとともに、電線11からスタータ5が切り離される。この時点以降は、始動されたエンジン2により発電機3の回転軸が定格回転数を維持して回転される定常運転となるため、発電機3が電力を発電し、この発電電力は電線11を通って母線6に供給される。
【0037】
以上のようにエンジン2の始動時に、スタータ5により発電機3を電動機として機能させてエンジン2を回転させるだけではなく、スタータ5の供給電力制御部4での電力制御によって電動機として機能している発電機3の回転を上昇させることができる。これにより、エンジン2側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行される複雑なエンジン制御を内容とする駆動ロジックを要しないで、エンジン発電装置1を容易に始動できる。
【0038】
このような始動ができることにより、始動時のエンジン制御が特に難しいガスエンジンを備えたエンジン発電装置1への実施における有用性が高い。又、ディーゼルエンジンを備えたエンジン発電装置1に実施した場合には、ディーゼルエンジンの回転を上げるために燃料を濃い目にして前記駆動ロジックで始動することを要しないので、始動時の有色煙の発生を防止できる。しかも、発電機3の定格回転数に達するまで回転を上昇させてもよいが、この場合に比較して、エンジン2の回転数を前記定格回転数の少なくとも1/2以上としたから、始動のための電力消費が少なくて済む。
【0039】
そして、既述のようにエンジン発電装置1を始動できることによって、一般的に用いられている電動式スタータやエアースタータを省略できる。これにより、エアースタータを用いる場合の以下の不具合も当然に解消できる。エアースタータを用いる場合には、エンジン2が有したシリンダのシリンダヘッドに始動用空気を導入するための空気孔を加工する必要があるだけではなく、この空気孔周辺の熱負荷が問題になることがあり、しかも、始動に失敗すると圧縮空気が所定圧力で空気槽に貯えられるまでの蓄圧待ちの時間が必要となる。
【0040】
図2は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態は基本的には第1実施形態と同じであるので、同じ部分には第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0041】
第2実施形態では、第1実施形態の電線17及び第2スイッチ15を省略する代わりに、第1変圧器13に電力貯蔵手段19が接続されている。電力貯蔵手段19として、電動スタータに使用されているバッテリーよりは大きいリチウム電池を例示できる。以上説明した事項以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0042】
この第2実施形態のエンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12が開かれることに同期して、第3のスイッチ16が閉じられるため、電力貯蔵手段19から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、発電機3に供給される。
【0043】
これにより、発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に直結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。この始動後も引続いて発電機3に対する電力供給は継続され、その供給電力は供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、発電機3の回転子の回転が上がるに伴いエンジン2の回転数も上昇される。
【0044】
エンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12が閉じられることに同期して、第3のスイッチ16が開かれて、発電機3と母線6とが電線11を介して電気的に接続されるとともに、電線11からスタータ5が切り離される。この時点以降は、始動されたエンジン2により発電機3の回転軸が定格回転数を維持して回転される定常運転となるため、発電機3が電力を発電し、この発電電力は電線11を通って母線6に供給される。
【0045】
したがって、第2実施形態においても、発電ユニット1aをそのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、エンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、この始動時に発電機3を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段19を備えているので、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点で、エンジン発電装置1としては好ましい。
【0046】
図3は本発明を複数台並置型のエンジン発電装置として実施した第3実施形態を示している。この第3実施形態は基本的には第1実施形態と同じであるので、同じ部分には第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0047】
第3実施形態では、複数例えば3台の発電ユニット1A、1B、1Cを備え、各発電ユニット1A、1B、1Cはいずれも互いに連結されたエンジン2と発電機3とを有している。第1の発電ユニット1Aの発電機3は、第1スイッチ12Aが介装された電線11Aを介して母線6に接続されている。第2の発電ユニット1Bの発電機3も、第1スイッチ12Bが介装された電線11Bを介して母線6に接続されている。第3の発電ユニット1Cの発電機3も、第1スイッチ12Cが介装された電線11Cを介して母線6に接続されている。
【0048】
更に、第3実施形態では、第1の発電ユニット1Aの系に対してのみスタータ5が設けられているとともに、この単一のスタータ5を他の発電ユニット1B、1Cに共用させるために、スタータ5の第3スイッチ16には切換えスイッチが用いられている。第3スイッチ16は、第3実施形態では電力供給手段として機能し、例えば共通端子16dと、この共通端子16dに対して選択的に接続される第1〜第3の切換え端子16a〜16cと、一つの空き端子16eとを有している。
【0049】
第1の切換え端子16aは第1の発電ユニット1A用の電線11Aに電線18を介して接続されている。第2の切換え端子16bは第2の発電ユニット1B用の電線11Bに電線18Bを介して接続されている。第3の切換え端子16cは第3の発電ユニット1C用の電線11Cに電線18Cを介して接続されている。共通端子16dは第2変圧器14を介して供給電力制御部4の出力端に接続されている。以上説明した事項以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0050】
この第3実施形態の複数台並置型エンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12Aが開かれることに同期して、第2スイッチ15が閉じられるとともに、第3スイッチ16の共通端子16dと第1の切換え端子16aが接続される。このため、母線6から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、発電機3に供給される。
【0051】
これにより、第1の発電ユニット1Aの発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に直結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。この始動に引続いて発電機3に対する電力供給が継続されるとともに、その供給電力が、供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、発電機3の回転子の回転が上がるに伴い第1の発電ユニット1Aのエンジン2の回転数も上昇される。
【0052】
エンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12Aが閉じられることに同期して、第2スイッチ15が開かれるとともに、第3スイッチ16の共通端子16dが空き端子16eに接続するように切換えられて、この第3スイッチ16が開かれる。このため、第1の発電ユニット1Aの発電機3と母線6とが電線11Aを介して電気的に接続されるとともに、前記電線11Aからスタータ5が切り離される。この時点以降は、始動された第1の発電ユニット1Aのエンジン2により発電機3の回転軸が定格回転数を維持して回転される定常運転となる。これにより、発電機3が電力を発電し、この発電電力は電線11Aを通って母線6に供給される。
【0053】
第1の発電ユニット1Aだけでは発電容量が不足する場合には、発電ユニット1Aのエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達した時点で(又はこの時点以降に)、第1スイッチ12Aが閉じられることに同期して(又は、第1スイッチ12Aが閉じられた状態のままで)、第2スイッチ15が閉じ状態となるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを第2の切換え端子16bに接続するように切換えられる。このように第1の発電ユニット1Aの運転下で第3スイッチ16が切換えられることにより、第1の発電ユニット1Aの発電機3が発電した電力がスタータ5の第2スイッチ15を通って供給電力制御部4に供給される。このため、この供給電力制御部4により電圧変換された電力が第3スイッチ16の第2の切換え端子16bを通って第2の発電ユニット1Bの発電機3に供給される。これにより、第2の発電ユニット1Bが、第1の発電ユニット1Aと同様の手順で始動される。
【0054】
更に、始動された第1、第2の発電ユニット1A、1Bだけでは発電容量が不足する場合には、第2の発電ユニット1Bのエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達した時点で(又はこれ以降に)、第1スイッチ12Bが閉じられることに同期して(又は、第1スイッチ12Aが閉じられた状態のままで)、第2スイッチ15が閉じ状態になるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを第3の切換え端子16cに接続するように切換えられる。このように第1、第2の発電ユニット1A、1Bの運転下で第3スイッチ16が切換えられることにより、第1の発電ユニット1Aで発電された電力がスタータ5を介して第3の切換え端子16cを通って第3の発電ユニット1Cの発電機3に供給される。このため、第3の発電ユニット1Cが、第1の発電ユニット1Aと同様の手順で始動される。
【0055】
なお、以上のようにして始動されて定常運転に移行した第2、第3の発電ユニット1B、1Cの発電機3が発電した電力は、電線11B、11Cを通って母線6に供給される。
【0056】
したがって、この第3実施形態においても、複数台の発電ユニット1A、1B、1Cを、そのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、エンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、この始動に使用される単一のスタータ5は、第3スイッチ16での切換えにより、各発電ユニット1A、1B、1Cの始動に共有できる。このため、複数台並置型のエンジン発電装置1全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されるので、コストを低減できる点で好ましい。その上、第3スイッチ16では、複数の切換え端子16a〜16cを順次切換えるリレー方式で始動対称の発電ユニット1A、1B、1Cを、供給電力制御部4で制御された電力を順次供給して、これら発電ユニット1A、1B、1Cを順次始動させている。この方式により、複数の発電ユニットに同時に電力を供給してそのエンジンを始動させる場合に比較して、スタータ5の供給電力制御部4での周波数変換で得る発電機3への供給電力を小さくできる。このため、供給電力制御部4に低電圧で、それ故に低コストなものを使用できる点で優れている。更に、先行して始動させた第1の発電ユニット1Aが発電した電力を用いて、他の発電ユニット1B、1Cを始動させるので、これら発電ユニット1B、1Cを始動させるのに、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点でも優れている。
【0057】
図4は本発明を複数台並置型のエンジン発電装置として実施した第4実施形態を示している。この第4実施形態は基本的には第3実施形態と同じであるので、同じ部分には第3実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0058】
第4実施形態では、第3実施形態の電線17及び第2スイッチ15を省略する代わりに、第1変圧器13に電力貯蔵手段19が接続されている。電力貯蔵手段19として、電動スタータに使用されているバッテリーよりは大きいリチウム電池を例示できる。以上説明した事項以外の構成は第3実施形態と同じである。
【0059】
この第4実施形態の複数台並置型エンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12が開かれることに同期して、第3スイッチ16がその共通端子16dを第1〜第3の切換え端子16a〜16cのいずれかを選択して接続される。このため、電力貯蔵手段19から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、第3スイッチ16の切換えにより選択された発電ユニット1A、1B、1Cの内のいずれかの発電機3に供給される。
【0060】
これにより、選択された発電ユニットの発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に連結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。そして、この始動に引続いて発電機3に対する電力供給が継続されるとともに、その供給電力が、供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、選択された発電ユニットの発電機3の回転が上がるに伴いエンジン2の回転数も上昇されて、このエンジン2が定常運転に移行する。
【0061】
したがって、この第4実施形態においても、複数台の発電ユニット1A、1B、1Cを、そのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまでエンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、始動に使用される単一のスタータ5は、第3スイッチ16での切換えにより、各発電ユニット1A、1B、1Cの始動に共有できるから、複数台並置型のエンジン発電装置1全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる点で好ましい。更に、始動時に発電機3を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段19を備えているので、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点でも、複数台並置型のエンジン発電装置1としては好ましい。
【0062】
図5は本発明を複数台並置型のエンジン発電装置として実施した第5実施形態を示している。この第5実施形態は基本的には第3実施形態と同じであるので、同じ部分には第3実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0063】
第5実施形態では、1以上複数例えば2台の発電ユニット1B、1Cに先行して発電される1以上複数例えば1台の発電ユニット1Aを、第1スタータにより母線6の電力を用いることなく始動させるようにしている。第1スタータとして、第1の発電ユニット1Aが小さい場合には、電動スタータ21が用いられ、これに代えて第1の発電ユニット1Aが大きい場合には、エアースタータ22が用いることができる。
【0064】
電動スタータ21は、リチウム電池などに比較して電力貯蔵容量が遥かに低く小形であるバッテリー21aと、このバッテリー21aからの供給電力で駆動されるスタータモータ21bとを有して形成されている。この電動スタータ21は、例えば飛び込み式のものであって、それが駆動されると、スタータモータ21bに接続された駆動歯車21cが、その待機位置からエンジン2の出力軸2aに固定された被動歯車21dに噛み合うように前進して、これら歯車21c、21dの噛み合いを介してエンジン2を始動させる。エンジン2の始動後には、駆動歯車21cは被動歯車21dとの噛み合いを外した待機位置に後退される。
【0065】
エアースタータ22は、圧縮空気を溜める空気槽22aと、この空気槽22a内の圧縮空気の流通を制御する始動空気弁22bとを有している。空気槽22aにはこれに空気を所定圧力で蓄えるための空気供給源(図示しない)に接続されている。このエアースタータ22は、所定の蓄圧状態において、始動空気弁22bを開放することにより、エンジン2に圧縮空気を導入させて、このエンジン2を始動させる。
【0066】
これらの電動スタータ21又はエアースタータ22で始動される第1の発電ユニット1A用の電線11Aには第2スタータとして機能するスタータ5が接続されている。この接続が、第1スイッチ12と母線6との電線部分で行なわれていることは、第1の発電ユニット1Aの運転停止時にも、他の第2、第3の発電ユニット1B、1Cを始動させることができる点で優れている。
【0067】
スタータ5の切換えスイッチからなる第3スイッチ16は、共通端子16dと、1以上例えば2個の切換え端子16b、16cと、1個の空き端子16eとを有している。共通端子16dは第2変圧器14を介して供給電力制御部4の出力端に接続されている。一方の切換え端子16bは第2の発電ユニット1B用の電線11Bに接続され、他方の切換え端子16cは第3の発電ユニット1C用の電線11Cに接続されている。以上説明した事項以外の構成は第3実施形態と同じである。
【0068】
この第5実施形態の複数台並置型エンジン発電装置1を始動する場合には、まず、電動スタータ21又はエアースタータ22を用いて第1の発電ユニット1Aのエンジン2を始動させる。この始動後にエンジン2が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数に達した時点で、第1スイッチ12Aが閉じられるので、発電された電力が電線11Aを通じて母線6に供給される。
【0069】
こうした第1の発電ユニット1Aの定常運転状態において、更に発電量が必要とされる場合には、スタータ5の第2スイッチ15が閉じられるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを切換え端子16bに接続するように切換えられる。このため、第1の発電ユニット1Aの発電機3が発電した電力が第2スイッチ15を通って供給電力制御部4に供給されるので、この供給電力制御部4により電圧変換された電力が第3スイッチ16の切換え端子16bを通って第2の発電ユニット1Bの発電機3に供給される。
【0070】
これにより、第2の発電ユニット1Bの発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に連結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。この始動に引続いて発電機3に対する電力供給が継続されるとともに、その供給電力が、供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、発電機3の回転子の回転が上がるに伴い第2の発電ユニット1Bのエンジン2の回転数も上昇される。
【0071】
こうした第2の発電ユニット1Bのエンジン2の始動により、このエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12Bが閉じられて、それ以降、運転状態にある第2の発電ユニット1Bの発電機3が発電した電力が、電線11Bを通じて母線に供給される。
【0072】
更に、始動された第1、第2の発電ユニット1A、1Bだけでは発電量が不足する場合には、第2スイッチ15が閉じられるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを切換え端子16cに接続するように切換えられる。このため、既に定常運転状態にある第1の発電ユニット1Aの発電機3で発電された電力がスタータ5を介して第3の切換え端子16cを通って第3の発電ユニット1Cの発電機3に供給されるので、この第3の発電ユニット1Cが、第2の発電ユニット1Bと同様の手順で始動される。
【0073】
こうして第3の発電ユニット1Cのエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12Cが閉じられることに同期して、第2スイッチ15が開かれるとともに、第3スイッチ16の共通端子16dが空き端子16eに接続するように切換えられて、この第3スイッチ16が開かれる。この時点以降は、運転状態にある第3の発電ユニット1Cのエンジン2に回転される発電機3が発電する電力が電線11Cを通って母線6に供給される。
【0074】
したがって、この第3実施形態においても、先行して発電された第1の発電ユニット1A以外の他の発電ユニット1B、1Cを、そのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、エンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、この始動に使用される単一のスタータ5は、第3スイッチ16での切換えにより、複数の発電ユニット1B、1Cの始動に共有できる。したがって、複数台並置型のエンジン発電装置1全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる点で好ましい。その上、第3スイッチ16は、切換え端子を順次切換えるリレー方式で始動対称の発電ユニット1B、1Cに、供給電力制御部4で制御された電力を順次供給して、これらの発電ユニット1B、1Cを順次始動させるので、複数の発電ユニットに同時に電力を供給してそのエンジンを始動させる場合に比較して、スタータ5の供給電力制御部4での周波数変換で得る発電機3への供給電力を小さくできる。このため、供給電力制御部4に低電圧で、それ故に低コストなものを使用できる点で優れている。更に、先行して始動させた第1の発電ユニット1Aが発電する電力を用いて、他の発電ユニット1B、1Cを始動させるので、これら発電ユニット1B、1Cを始動させるのに、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点でも優れている。
【0075】
なお、前記各実施形態において、発電ユニットを始動させるスタータ5の供給電力制御部4が、発電機3に供給する電力を任意に制御できる構成である場合には、点検対象の発電ユニットを点検する場合に、その発電機3などをゆっくりと低速で回転させることができるので、同様の機能をするために通常設置されている点検用のターンニングモータを省略することができる。
【0076】
又、本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、本発明において、エンジンから出る排ガスで熱回収タービンを回転させて、このタービンにより熱回収発電機を駆動する構成を含んで、排ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収するエネルギー回収装置を付加することは妨げない。又、本発明でエンジンとは、燃焼により生成される熱エネルギーは回転エネルギーに変換するピストン式エンジンを指しており、既述のガスエンジン及びディーゼルエンジンには限定されない。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、始動時に、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供できる。
【0078】
本発明によれば、始動時に発電機を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段を備え、これに貯えられた電力を用いて、始動時に、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないとともに、電力の購入を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供できる。
【0079】
本発明によれば、複数台並置型のエンジン発電装置において、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないとともに、スタータが、単一であって、各発電機に共用されているので、装置全体としての部品点数が削減されることによって、構成が簡単で低コスト化を実現できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供できる。
【0080】
本発明によれば、複数台並置型のエンジン発電装置において、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないとともに、先行して始動された一部のエンジンにより回転された発電機の発生電力を、他の発電機に電力供給手段を介して供給して、この他の発電機に接続されたエンジンを電力の購入を要しないで始動させるので、各発電機に対して単一のスタータが共用されて、装置全体としての部品点数が削減されることによって、構成が簡単で低コスト化を実現できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供できる。
【0081】
本発明によれば、複数台並置型のエンジン発電装置において、一次スタータにより先行して始動された一部のエンジンにより回転された発電機の発生電力を、複数の他の発電機に二次スタータを介して供給して、これら他の発電機に接続されたエンジンを電力の購入を要しないで始動させるので、前記他の複数の発電機に対して単一のスタータが共用されて、装置全体としての部品点数が削減されることによって、構成が簡単で低コスト化を実現できるとともに、これら複数の他の発電機に接続されたエンジンを始動させる際には、前記他の発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している前記他の発電機の回転を上昇させて、これら他の発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないで始動できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図2】本発明の第2実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図3】本発明の第3実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図4】本発明の第4実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図5】本発明の第5実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【符号の説明】
1…エンジン発電装置
1a、1A、1B、1C…発電ユニット
2…エンジン
2a…エンジンの出力軸
3…発電機
4…供給電力制御部
5…スタータ(第2スタータ)
6…母線
11、11A、11B、11C…電線
12、12A、12B、12C…第1スイッチ
13…第1変圧器
14…第2変圧器
15…第2スイッチ
16…第3スイッチ(電力供給手段)
17、18…電線
19…電力貯蔵手段
21…電動スタータ(第1スタータ)
22…エアースタータ(第1スタータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンで発電機を駆動して電力を得るエンジン発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン発電装置のエンジンの燃費は、低負荷では悪く高負荷では良いことが知られている。このため、能力が大きな1台のエンジンでこれに接続した発電機を回転させて発電する場合に比較して、能力が小さい複数台のエンジンに個別に発電機を接続し、必要とする発電量の増減に適合した台数のエンジンを夫々高負荷領域で運転する構成の複数台並置型のエンジン発電装置として実施することが好ましい。
【0003】
エンジンを始動するには一般にスタータが用いられている。このスタータはエンジン1台ごとに設けられている。始動負荷が小さいエンジンの場合には、小形のバッテリーとこのバッテリーの電力で駆動されるスタータモータとを有した電動スタータが使用されている。これに対して、大きいエンジンは始動負荷が大きので、この場合には、電動スタータに代えて、圧縮空気を所定圧力で溜める空気槽とこの槽内の圧縮空気のエンジンへの流通を制御する始動空気弁とを有したエアースタータが使用されている。
【0004】
このような電動スタータ又はエアースタータを、エンジンの台数分だけ備えるエンジン発電装置では、そのスタータの分だけ、部品点数が増えてコスト高になっている。
【0005】
そこで、従来、ディーゼルエンジンの出力軸に連結された発電機を、エンジン始動用の電動機として用いることによって、前記スタータを省略したディーゼルエンジン発電装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
この特許文献1のディーゼルエンジン発電装置では、この発電装置が発電した電力が供給される電力供給先系統の電力を、スイッチの切換えにより、エンジン始動時に電力変換をするインバータを介して発電機に供給して、この発電機を電動機として用いることによって、前記発電機に出力軸が連結されたディーゼルエンジンのピストンを駆動させている。この場合、インバータはピストンの位相制御のために利用されている。この制御によって、エンジンの始動において着火直前にピストンの動きを急速に加速させ、それに伴い燃焼室容積を急速に拡大させている。これにより、シリンダ内の燃料の拡散を促進して、始動時にシリンダから排出される有色煙と未燃ガスの発生を抑制している。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−20971号公報(段落0020−0040、図1−図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
エンジン発電装置の発電機では、それが発電を始める回転数(定格回転数)は、発電周波数で決まってくる。この定格回転数に対して、電動式又はエアー式のスタータを用いて始動されるエンジン始動時の回転数は一般に定格回転数の1/10〜1/5程度である。このため、従来は、始動時にエンジンの燃焼を制御する駆動ロジックを実行することによって、定格回転数を得ている。
【0009】
この駆動ロジックは、始動されたエンジンの回転数を発電機の定格回転数まで上げるためのエンジン制御であり、これは、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら行なわれる。この調整には手間がかかるので、その改善が望まれている。
【0010】
特に、燃料ガスと空気とを予め所定の割合で混ぜて燃焼させる希薄予混合燃焼をするガスエンジンの場合には、発電機の定格回転数まで始動されたエンジンの回転数を上げることが難しい。つまり、この種のガスエンジンは、燃焼に伴う窒素酸化物(NOx)の発生を抑制するために、定常燃焼ではできるだけ燃料ガスが少なくかつ空気が多い混合割合の燃料を用いた希薄燃焼をするようになっている。しかし、こうした燃焼に適する薄い目の燃料でエンジンを始動させると、燃焼による発生エネルギーが少ないので、エンジンの回転が上がりづらい。したがって、ガスエンジンの始動においては、始動開始時には濃い目の燃料に調整する必要があり、その燃料を燃焼させてエンジン回転数がある程度上昇した段階で、薄い目の燃料に変更する調整が必要となる。こうした調整を伴う始動時のエンジン制御には手間がかかるので、その改善が望まれている。
【0011】
又、特許文献1には、エンジン始動時に発電機を電動機として用いる技術が記載されている。しかし、この技術は始動時の有色煙と未燃ガスの発生を抑制するためであって、始動時にエンジンの回転数を定格回転に上げることについては教示していない。
【0012】
更に、特許文献1の技術では、エンジン始動時に、電力供給先系統の電力を発電機に供給して、この発電機を回転させている。したがって、発電を行うエンジン発電装置でありながら、その始動のために電力を購入する必要があるので、好ましくない。
【0013】
しかも、特許文献1の技術のように発電機を始動用電動機として使用する構成では、インバータを備えることは必用不可欠であるが、インバータのコストは高いことが知られている。特許文献1には、インバータを介して電力が供給される発電機及びこれに連結されたエンジンを備えた1台のエンジン発電装置しか記載がない。したがって、既述のように複数台並置型のエンジン発電装置として実施する場合には、その数と同数のインバータが必要になると考えられる。この場合に、複数台並置型エンジン発電装置の構成が複雑化してコストが嵩むので、エンジン発電装置の普及を妨げる原因となり易いという事情がある。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、エンジン側での制御を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供することにある。
【0015】
又、本発明が解決しようとする他の課題は、エンジン側での制御を要しないとともに、電力の購入を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供することにある。
【0016】
更に、本発明が解決しようとする他の課題は、エンジン側での制御を要しないで始動できるとともに、構成が簡単で低コスト化を実現できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、エンジンと、このエンジンの出力軸に接続された発電機と、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記発電機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有したスタータと、を具備している。
【0018】
この発明では、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。
【0019】
又、前記課題を解決するために、本発明は、エンジンと、このエンジンの出力軸に接続された発電機と、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記電動機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有したスタータと、このスタータに接続され前記発電機に始動時に供給する電力を貯える電力貯蔵手段と、を具備している。
【0020】
この発明でも、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。加えて、この発明では、始動時に発電機を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段を備えているので、発電した電力が供給される電力供給先系統の電力を始動のために購入する必要がない。電力貯蔵手段にはリチウム電池などを好適に使用できる。
【0021】
又、前記課題を解決するために、本発明は、複数台のエンジンと、これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、これら各発電機に共用され、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記電動機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有した単一のスタータと、を具備している。
【0022】
この発明でも、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。加えて、この発明では、複数台並置型のエンジン発電装置において、スタータが、単一であって、各発電機に共用されているので、装置全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる。各発電機に共用される単一のスタータは、各発電機を同時に駆動させることも、或いは、発電機ごとに順次駆動させることもできる。
【0023】
又、前記課題を解決するために、本発明は、複数台のエンジンと、これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、これら発電機の内で発電機総数より少ない数の一部の発電機に対し、この一部の発電機が接続された前記エンジンの始動時に電力を供給して前記一部の発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、この一部の発電機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部、及び前記一部の発電機以外の他の発電機に前記一部の発電機が発電した電力を供給させて、この他の発電機に接続された前記エンジンを始動させる電力供給手段を有した単一のスタータと、を具備している。
【0024】
この発明でも、始動時に、スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、このスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、始動させたエンジンの回転を上げることができる。加えて、この発明では、複数台並置型のエンジン発電装置において、単一のスタータで先行して始動されたエンジンにより回転される一部の発電機が発電した電力を、供給電力制御部で電力制御した上で他の発電機に電力供給手段を介して供給して、この他の発電機に接続されたエンジンを始動させてエンジンの回転を上げるので、前記他の発電機に接続されたエンジンの始動には、前記単一のスタータを共用できる。これにより、装置全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる。先行して始動されたエンジンにより回転された発電機の発生電力で始動される始動対象のエンジンが複数台である場合には、こらのエンジンを順次始動させることが好ましいが、同時に始動させてもよい。
【0025】
又、前記課題を解決するために、本発明は、複数台のエンジンと、これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、バッテリー及びスタータモータを有して形成され、若しくは空気槽及び始動空気弁を有して形成され、前記各発電機の内で発電機総数より少ない数の一部の発電機が接続された前記エンジンを始動させる一次スタータと、前記一部の発電機が発電した電力を前記一部の発電機以外の他の複数の発電機に供給させて、この複数の他の発電機をこれらに個別に接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記他の発電機に接続された前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有した二次スタータと、を具備している。
【0026】
この発明では、複数台並置型のエンジン発電装置において、一次スタータで始動されたエンジンにより回転される一部の発電機が発電した電力を、他の発電機に二次スタータを介して供給して、この他の発電機に接続されたエンジンを始動させる。この他の発電機に接続されたエンジンを始動時には、二次スタータにより発電機を電動機として機能させてエンジンを回転させるだけではなく、この二次スタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させてエンジンの回転を上げるので、エンジン側での制御を要することなく、エンジンの回転を上げることができる。一次スタータで先行して始動されたエンジンにより回転された発電機の発生電力で始動される複数台の始動対象のエンジンは、順次始動させることが好ましいが、同時に始動させてもよい。そして、既述のように一次スタータは一部のエンジンのみを始動させればよいため、一次スタータが有しているバッテリー又は空気槽に容量が小さなものを使用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0028】
図1中符号1で示すエンジン発電装置は、ガスエンジン等のエンジン2と、発電機3と、供給電力制御部4を有したスタータ5とを具備している。なお、図1中符号6は電気供給先系統の母線を示している。
【0029】
エンジン2の出力軸(クランク軸)2aは発電機3の図示しない回転軸に軸継手を介して接続されている。エンジン2とこれに連結された発電機3とは発電ユニット1aを構成している。
【0030】
発電機3は、界磁システムを形成する固定子と、界磁内で回転する回転子とを有している。前記回転軸を有した回転子がエンジン2の回転出力で回転されることにより、回転子と固定子との間で作用する電磁気の力で、発電機3は発電することができる.この逆に、回転子に電流が流されることにより、回転子と固定子との間で作用する電磁気の力で回転子が回転されて、発電機3は電動機として機能することができる。
【0031】
発電機3と母線6とは電線11を介して接続されている。この電線11の途中には第1スイッチ12が設けられている。この第1スイッチ12が閉じられた状態で発電機3で発電された電力が母線6に送られる。
【0032】
スタータ5は、供給電力制御部4と、この入出力端に個別に接続された第1、第2の変圧器13、14と、第2スイッチ15と、第3スイッチ16とを有している。第2スイッチ15は、第1スイッチ12と母線6との間の電線部分と、第1変圧器13との間を接続した電線17の途中に設けられている。第3スイッチ16は、第1スイッチ12と発電機3との間の電線部分と、第2変圧器14との間を接続した電線18の途中に設けられている。
【0033】
供給電力制御部4は、発電機3を電動機として機能させる時に、この発電機3の回転を制御する機能を有している。すなわち、供給電力制御部4は、エンジン2の始動時に、発電機3に電力を供給して、この発電機3をそれに接続されたエンジン2を駆動する電動機として機能させるとともに、この電動機機能によりエンジン2の回転を発電機3の発電に適した回転数、つまり定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させるように発電機3に供給する電力を制御するものである。この供給電力制御部4として、交流電力を周波数変換して出力するインバータを例示できるが、これに代えて交流直流変換機を用いることも可能である。既述のように前記インバータの入出力端に個別に変圧器13、14を接続したので、このインバータには低電圧型のインバータを使用できる。したがって、低コストのインバータ(供給電力制御部4)を用いることができる。
【0034】
図1に示すエンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12が開かれることに同期して、第2、第3のスイッチ15、16が共に閉じられて、発電機3と母線6とがスタータ5を介して電気的に接続される。このため、母線6から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、発電機3に供給される。
【0035】
これにより、発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に連結されているエンジン2に回転が伝達されてエンジン2が始動される。この場合、エンジン2の始動とともに、発電機3への電力供給が停止されることはなく、引続き発電機3に電力供給がなされるだけではなく、その供給電力が、供給電力制御部4での電力制御動作によって次第に増加される。これにより、発電機3の回転子の回転が上がるに伴いエンジン2の回転数も上昇される。
【0036】
エンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12が閉じられることに同期して、第2、第3のスイッチ15、16が共に開かれて、発電機3と母線6とが電線11を介して電気的に接続されるとともに、電線11からスタータ5が切り離される。この時点以降は、始動されたエンジン2により発電機3の回転軸が定格回転数を維持して回転される定常運転となるため、発電機3が電力を発電し、この発電電力は電線11を通って母線6に供給される。
【0037】
以上のようにエンジン2の始動時に、スタータ5により発電機3を電動機として機能させてエンジン2を回転させるだけではなく、スタータ5の供給電力制御部4での電力制御によって電動機として機能している発電機3の回転を上昇させることができる。これにより、エンジン2側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行される複雑なエンジン制御を内容とする駆動ロジックを要しないで、エンジン発電装置1を容易に始動できる。
【0038】
このような始動ができることにより、始動時のエンジン制御が特に難しいガスエンジンを備えたエンジン発電装置1への実施における有用性が高い。又、ディーゼルエンジンを備えたエンジン発電装置1に実施した場合には、ディーゼルエンジンの回転を上げるために燃料を濃い目にして前記駆動ロジックで始動することを要しないので、始動時の有色煙の発生を防止できる。しかも、発電機3の定格回転数に達するまで回転を上昇させてもよいが、この場合に比較して、エンジン2の回転数を前記定格回転数の少なくとも1/2以上としたから、始動のための電力消費が少なくて済む。
【0039】
そして、既述のようにエンジン発電装置1を始動できることによって、一般的に用いられている電動式スタータやエアースタータを省略できる。これにより、エアースタータを用いる場合の以下の不具合も当然に解消できる。エアースタータを用いる場合には、エンジン2が有したシリンダのシリンダヘッドに始動用空気を導入するための空気孔を加工する必要があるだけではなく、この空気孔周辺の熱負荷が問題になることがあり、しかも、始動に失敗すると圧縮空気が所定圧力で空気槽に貯えられるまでの蓄圧待ちの時間が必要となる。
【0040】
図2は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態は基本的には第1実施形態と同じであるので、同じ部分には第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0041】
第2実施形態では、第1実施形態の電線17及び第2スイッチ15を省略する代わりに、第1変圧器13に電力貯蔵手段19が接続されている。電力貯蔵手段19として、電動スタータに使用されているバッテリーよりは大きいリチウム電池を例示できる。以上説明した事項以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0042】
この第2実施形態のエンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12が開かれることに同期して、第3のスイッチ16が閉じられるため、電力貯蔵手段19から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、発電機3に供給される。
【0043】
これにより、発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に直結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。この始動後も引続いて発電機3に対する電力供給は継続され、その供給電力は供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、発電機3の回転子の回転が上がるに伴いエンジン2の回転数も上昇される。
【0044】
エンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12が閉じられることに同期して、第3のスイッチ16が開かれて、発電機3と母線6とが電線11を介して電気的に接続されるとともに、電線11からスタータ5が切り離される。この時点以降は、始動されたエンジン2により発電機3の回転軸が定格回転数を維持して回転される定常運転となるため、発電機3が電力を発電し、この発電電力は電線11を通って母線6に供給される。
【0045】
したがって、第2実施形態においても、発電ユニット1aをそのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、エンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、この始動時に発電機3を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段19を備えているので、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点で、エンジン発電装置1としては好ましい。
【0046】
図3は本発明を複数台並置型のエンジン発電装置として実施した第3実施形態を示している。この第3実施形態は基本的には第1実施形態と同じであるので、同じ部分には第1実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0047】
第3実施形態では、複数例えば3台の発電ユニット1A、1B、1Cを備え、各発電ユニット1A、1B、1Cはいずれも互いに連結されたエンジン2と発電機3とを有している。第1の発電ユニット1Aの発電機3は、第1スイッチ12Aが介装された電線11Aを介して母線6に接続されている。第2の発電ユニット1Bの発電機3も、第1スイッチ12Bが介装された電線11Bを介して母線6に接続されている。第3の発電ユニット1Cの発電機3も、第1スイッチ12Cが介装された電線11Cを介して母線6に接続されている。
【0048】
更に、第3実施形態では、第1の発電ユニット1Aの系に対してのみスタータ5が設けられているとともに、この単一のスタータ5を他の発電ユニット1B、1Cに共用させるために、スタータ5の第3スイッチ16には切換えスイッチが用いられている。第3スイッチ16は、第3実施形態では電力供給手段として機能し、例えば共通端子16dと、この共通端子16dに対して選択的に接続される第1〜第3の切換え端子16a〜16cと、一つの空き端子16eとを有している。
【0049】
第1の切換え端子16aは第1の発電ユニット1A用の電線11Aに電線18を介して接続されている。第2の切換え端子16bは第2の発電ユニット1B用の電線11Bに電線18Bを介して接続されている。第3の切換え端子16cは第3の発電ユニット1C用の電線11Cに電線18Cを介して接続されている。共通端子16dは第2変圧器14を介して供給電力制御部4の出力端に接続されている。以上説明した事項以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0050】
この第3実施形態の複数台並置型エンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12Aが開かれることに同期して、第2スイッチ15が閉じられるとともに、第3スイッチ16の共通端子16dと第1の切換え端子16aが接続される。このため、母線6から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、発電機3に供給される。
【0051】
これにより、第1の発電ユニット1Aの発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に直結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。この始動に引続いて発電機3に対する電力供給が継続されるとともに、その供給電力が、供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、発電機3の回転子の回転が上がるに伴い第1の発電ユニット1Aのエンジン2の回転数も上昇される。
【0052】
エンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12Aが閉じられることに同期して、第2スイッチ15が開かれるとともに、第3スイッチ16の共通端子16dが空き端子16eに接続するように切換えられて、この第3スイッチ16が開かれる。このため、第1の発電ユニット1Aの発電機3と母線6とが電線11Aを介して電気的に接続されるとともに、前記電線11Aからスタータ5が切り離される。この時点以降は、始動された第1の発電ユニット1Aのエンジン2により発電機3の回転軸が定格回転数を維持して回転される定常運転となる。これにより、発電機3が電力を発電し、この発電電力は電線11Aを通って母線6に供給される。
【0053】
第1の発電ユニット1Aだけでは発電容量が不足する場合には、発電ユニット1Aのエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達した時点で(又はこの時点以降に)、第1スイッチ12Aが閉じられることに同期して(又は、第1スイッチ12Aが閉じられた状態のままで)、第2スイッチ15が閉じ状態となるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを第2の切換え端子16bに接続するように切換えられる。このように第1の発電ユニット1Aの運転下で第3スイッチ16が切換えられることにより、第1の発電ユニット1Aの発電機3が発電した電力がスタータ5の第2スイッチ15を通って供給電力制御部4に供給される。このため、この供給電力制御部4により電圧変換された電力が第3スイッチ16の第2の切換え端子16bを通って第2の発電ユニット1Bの発電機3に供給される。これにより、第2の発電ユニット1Bが、第1の発電ユニット1Aと同様の手順で始動される。
【0054】
更に、始動された第1、第2の発電ユニット1A、1Bだけでは発電容量が不足する場合には、第2の発電ユニット1Bのエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達した時点で(又はこれ以降に)、第1スイッチ12Bが閉じられることに同期して(又は、第1スイッチ12Aが閉じられた状態のままで)、第2スイッチ15が閉じ状態になるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを第3の切換え端子16cに接続するように切換えられる。このように第1、第2の発電ユニット1A、1Bの運転下で第3スイッチ16が切換えられることにより、第1の発電ユニット1Aで発電された電力がスタータ5を介して第3の切換え端子16cを通って第3の発電ユニット1Cの発電機3に供給される。このため、第3の発電ユニット1Cが、第1の発電ユニット1Aと同様の手順で始動される。
【0055】
なお、以上のようにして始動されて定常運転に移行した第2、第3の発電ユニット1B、1Cの発電機3が発電した電力は、電線11B、11Cを通って母線6に供給される。
【0056】
したがって、この第3実施形態においても、複数台の発電ユニット1A、1B、1Cを、そのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、エンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、この始動に使用される単一のスタータ5は、第3スイッチ16での切換えにより、各発電ユニット1A、1B、1Cの始動に共有できる。このため、複数台並置型のエンジン発電装置1全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されるので、コストを低減できる点で好ましい。その上、第3スイッチ16では、複数の切換え端子16a〜16cを順次切換えるリレー方式で始動対称の発電ユニット1A、1B、1Cを、供給電力制御部4で制御された電力を順次供給して、これら発電ユニット1A、1B、1Cを順次始動させている。この方式により、複数の発電ユニットに同時に電力を供給してそのエンジンを始動させる場合に比較して、スタータ5の供給電力制御部4での周波数変換で得る発電機3への供給電力を小さくできる。このため、供給電力制御部4に低電圧で、それ故に低コストなものを使用できる点で優れている。更に、先行して始動させた第1の発電ユニット1Aが発電した電力を用いて、他の発電ユニット1B、1Cを始動させるので、これら発電ユニット1B、1Cを始動させるのに、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点でも優れている。
【0057】
図4は本発明を複数台並置型のエンジン発電装置として実施した第4実施形態を示している。この第4実施形態は基本的には第3実施形態と同じであるので、同じ部分には第3実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0058】
第4実施形態では、第3実施形態の電線17及び第2スイッチ15を省略する代わりに、第1変圧器13に電力貯蔵手段19が接続されている。電力貯蔵手段19として、電動スタータに使用されているバッテリーよりは大きいリチウム電池を例示できる。以上説明した事項以外の構成は第3実施形態と同じである。
【0059】
この第4実施形態の複数台並置型エンジン発電装置1を始動する場合には、第1スイッチ12が開かれることに同期して、第3スイッチ16がその共通端子16dを第1〜第3の切換え端子16a〜16cのいずれかを選択して接続される。このため、電力貯蔵手段19から供給される電力が、第1変圧器13により変圧されて供給電力制御部4を通った後、更に第2変圧器14により変圧されて、第3スイッチ16の切換えにより選択された発電ユニット1A、1B、1Cの内のいずれかの発電機3に供給される。
【0060】
これにより、選択された発電ユニットの発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に連結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。そして、この始動に引続いて発電機3に対する電力供給が継続されるとともに、その供給電力が、供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、選択された発電ユニットの発電機3の回転が上がるに伴いエンジン2の回転数も上昇されて、このエンジン2が定常運転に移行する。
【0061】
したがって、この第4実施形態においても、複数台の発電ユニット1A、1B、1Cを、そのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまでエンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、始動に使用される単一のスタータ5は、第3スイッチ16での切換えにより、各発電ユニット1A、1B、1Cの始動に共有できるから、複数台並置型のエンジン発電装置1全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる点で好ましい。更に、始動時に発電機3を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段19を備えているので、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点でも、複数台並置型のエンジン発電装置1としては好ましい。
【0062】
図5は本発明を複数台並置型のエンジン発電装置として実施した第5実施形態を示している。この第5実施形態は基本的には第3実施形態と同じであるので、同じ部分には第3実施形態と同じ符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0063】
第5実施形態では、1以上複数例えば2台の発電ユニット1B、1Cに先行して発電される1以上複数例えば1台の発電ユニット1Aを、第1スタータにより母線6の電力を用いることなく始動させるようにしている。第1スタータとして、第1の発電ユニット1Aが小さい場合には、電動スタータ21が用いられ、これに代えて第1の発電ユニット1Aが大きい場合には、エアースタータ22が用いることができる。
【0064】
電動スタータ21は、リチウム電池などに比較して電力貯蔵容量が遥かに低く小形であるバッテリー21aと、このバッテリー21aからの供給電力で駆動されるスタータモータ21bとを有して形成されている。この電動スタータ21は、例えば飛び込み式のものであって、それが駆動されると、スタータモータ21bに接続された駆動歯車21cが、その待機位置からエンジン2の出力軸2aに固定された被動歯車21dに噛み合うように前進して、これら歯車21c、21dの噛み合いを介してエンジン2を始動させる。エンジン2の始動後には、駆動歯車21cは被動歯車21dとの噛み合いを外した待機位置に後退される。
【0065】
エアースタータ22は、圧縮空気を溜める空気槽22aと、この空気槽22a内の圧縮空気の流通を制御する始動空気弁22bとを有している。空気槽22aにはこれに空気を所定圧力で蓄えるための空気供給源(図示しない)に接続されている。このエアースタータ22は、所定の蓄圧状態において、始動空気弁22bを開放することにより、エンジン2に圧縮空気を導入させて、このエンジン2を始動させる。
【0066】
これらの電動スタータ21又はエアースタータ22で始動される第1の発電ユニット1A用の電線11Aには第2スタータとして機能するスタータ5が接続されている。この接続が、第1スイッチ12と母線6との電線部分で行なわれていることは、第1の発電ユニット1Aの運転停止時にも、他の第2、第3の発電ユニット1B、1Cを始動させることができる点で優れている。
【0067】
スタータ5の切換えスイッチからなる第3スイッチ16は、共通端子16dと、1以上例えば2個の切換え端子16b、16cと、1個の空き端子16eとを有している。共通端子16dは第2変圧器14を介して供給電力制御部4の出力端に接続されている。一方の切換え端子16bは第2の発電ユニット1B用の電線11Bに接続され、他方の切換え端子16cは第3の発電ユニット1C用の電線11Cに接続されている。以上説明した事項以外の構成は第3実施形態と同じである。
【0068】
この第5実施形態の複数台並置型エンジン発電装置1を始動する場合には、まず、電動スタータ21又はエアースタータ22を用いて第1の発電ユニット1Aのエンジン2を始動させる。この始動後にエンジン2が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数に達した時点で、第1スイッチ12Aが閉じられるので、発電された電力が電線11Aを通じて母線6に供給される。
【0069】
こうした第1の発電ユニット1Aの定常運転状態において、更に発電量が必要とされる場合には、スタータ5の第2スイッチ15が閉じられるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを切換え端子16bに接続するように切換えられる。このため、第1の発電ユニット1Aの発電機3が発電した電力が第2スイッチ15を通って供給電力制御部4に供給されるので、この供給電力制御部4により電圧変換された電力が第3スイッチ16の切換え端子16bを通って第2の発電ユニット1Bの発電機3に供給される。
【0070】
これにより、第2の発電ユニット1Bの発電機3が電動機として機能するので、この発電機3に連結されているエンジン2に回転が伝達されて、このエンジン2が始動される。この始動に引続いて発電機3に対する電力供給が継続されるとともに、その供給電力が、供給電力制御部4での制御動作によって次第に増加される。このため、発電機3の回転子の回転が上がるに伴い第2の発電ユニット1Bのエンジン2の回転数も上昇される。
【0071】
こうした第2の発電ユニット1Bのエンジン2の始動により、このエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12Bが閉じられて、それ以降、運転状態にある第2の発電ユニット1Bの発電機3が発電した電力が、電線11Bを通じて母線に供給される。
【0072】
更に、始動された第1、第2の発電ユニット1A、1Bだけでは発電量が不足する場合には、第2スイッチ15が閉じられるとともに、第3スイッチ16がその共通端子16dを切換え端子16cに接続するように切換えられる。このため、既に定常運転状態にある第1の発電ユニット1Aの発電機3で発電された電力がスタータ5を介して第3の切換え端子16cを通って第3の発電ユニット1Cの発電機3に供給されるので、この第3の発電ユニット1Cが、第2の発電ユニット1Bと同様の手順で始動される。
【0073】
こうして第3の発電ユニット1Cのエンジン2の回転数が発電機3の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで達すると、その時点で、第1スイッチ12Cが閉じられることに同期して、第2スイッチ15が開かれるとともに、第3スイッチ16の共通端子16dが空き端子16eに接続するように切換えられて、この第3スイッチ16が開かれる。この時点以降は、運転状態にある第3の発電ユニット1Cのエンジン2に回転される発電機3が発電する電力が電線11Cを通って母線6に供給される。
【0074】
したがって、この第3実施形態においても、先行して発電された第1の発電ユニット1A以外の他の発電ユニット1B、1Cを、そのエンジン2に対する複雑な制御を要しないで始動して、エンジン2及び発電機3の回転を上げることができる。しかも、この始動に使用される単一のスタータ5は、第3スイッチ16での切換えにより、複数の発電ユニット1B、1Cの始動に共有できる。したがって、複数台並置型のエンジン発電装置1全体としての部品点数が削減され、構造が単純化されて、コストも低減できる点で好ましい。その上、第3スイッチ16は、切換え端子を順次切換えるリレー方式で始動対称の発電ユニット1B、1Cに、供給電力制御部4で制御された電力を順次供給して、これらの発電ユニット1B、1Cを順次始動させるので、複数の発電ユニットに同時に電力を供給してそのエンジンを始動させる場合に比較して、スタータ5の供給電力制御部4での周波数変換で得る発電機3への供給電力を小さくできる。このため、供給電力制御部4に低電圧で、それ故に低コストなものを使用できる点で優れている。更に、先行して始動させた第1の発電ユニット1Aが発電する電力を用いて、他の発電ユニット1B、1Cを始動させるので、これら発電ユニット1B、1Cを始動させるのに、発電した電力が供給される母線6の電力を始動のために購入する必要がない点でも優れている。
【0075】
なお、前記各実施形態において、発電ユニットを始動させるスタータ5の供給電力制御部4が、発電機3に供給する電力を任意に制御できる構成である場合には、点検対象の発電ユニットを点検する場合に、その発電機3などをゆっくりと低速で回転させることができるので、同様の機能をするために通常設置されている点検用のターンニングモータを省略することができる。
【0076】
又、本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、本発明において、エンジンから出る排ガスで熱回収タービンを回転させて、このタービンにより熱回収発電機を駆動する構成を含んで、排ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収するエネルギー回収装置を付加することは妨げない。又、本発明でエンジンとは、燃焼により生成される熱エネルギーは回転エネルギーに変換するピストン式エンジンを指しており、既述のガスエンジン及びディーゼルエンジンには限定されない。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、始動時に、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供できる。
【0078】
本発明によれば、始動時に発電機を動作させるための電力を貯える電力貯蔵手段を備え、これに貯えられた電力を用いて、始動時に、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないとともに、電力の購入を要しないで始動できるエンジン発電装置を提供できる。
【0079】
本発明によれば、複数台並置型のエンジン発電装置において、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないとともに、スタータが、単一であって、各発電機に共用されているので、装置全体としての部品点数が削減されることによって、構成が簡単で低コスト化を実現できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供できる。
【0080】
本発明によれば、複数台並置型のエンジン発電装置において、発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している発電機の回転を上昇させて、この発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないとともに、先行して始動された一部のエンジンにより回転された発電機の発生電力を、他の発電機に電力供給手段を介して供給して、この他の発電機に接続されたエンジンを電力の購入を要しないで始動させるので、各発電機に対して単一のスタータが共用されて、装置全体としての部品点数が削減されることによって、構成が簡単で低コスト化を実現できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供できる。
【0081】
本発明によれば、複数台並置型のエンジン発電装置において、一次スタータにより先行して始動された一部のエンジンにより回転された発電機の発生電力を、複数の他の発電機に二次スタータを介して供給して、これら他の発電機に接続されたエンジンを電力の購入を要しないで始動させるので、前記他の複数の発電機に対して単一のスタータが共用されて、装置全体としての部品点数が削減されることによって、構成が簡単で低コスト化を実現できるとともに、これら複数の他の発電機に接続されたエンジンを始動させる際には、前記他の発電機を電動機として機能させるスタータの供給電力制御部での電力制御によって電動機として機能している前記他の発電機の回転を上昇させて、これら他の発電機に接続されているエンジンの回転を、発電機の定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上げるので、エンジン側で、燃料と空気の割合を微妙に調整しながら実行されるエンジン制御を要しないで始動できる複数台並置型のエンジン発電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図2】本発明の第2実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図3】本発明の第3実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図4】本発明の第4実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【図5】本発明の第5実施形態に係るエンジン発電装置を示す電気回路図。
【符号の説明】
1…エンジン発電装置
1a、1A、1B、1C…発電ユニット
2…エンジン
2a…エンジンの出力軸
3…発電機
4…供給電力制御部
5…スタータ(第2スタータ)
6…母線
11、11A、11B、11C…電線
12、12A、12B、12C…第1スイッチ
13…第1変圧器
14…第2変圧器
15…第2スイッチ
16…第3スイッチ(電力供給手段)
17、18…電線
19…電力貯蔵手段
21…電動スタータ(第1スタータ)
22…エアースタータ(第1スタータ)
Claims (5)
- エンジンと、
このエンジンの出力軸に接続された発電機と、
前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記発電機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有したスタータと、
を具備するエンジン発電装置。 - エンジンと、
このエンジンの出力軸に接続された発電機と、
前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記電動機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有したスタータと、
このスタータに接続され前記発電機に始動時に供給する電力を貯える電力貯蔵手段と、
を具備するエンジン発電装置。 - 複数台のエンジンと、
これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、
これら各発電機に共用され、前記エンジンの始動時に前記発電機に電力を供給してこの発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記電動機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有した単一のスタータと、
を具備するエンジン発電装置。 - 複数台のエンジンと、
これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、
これら発電機の内で発電機総数より少ない数の一部の発電機に対し、この一部の発電機が接続された前記エンジンの始動時に電力を供給して前記一部の発電機をこれに接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、この一部の発電機を介して前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部、及び前記一部の発電機以外の他の発電機に前記一部の発電機が発電した電力を供給させて、この他の発電機に接続された前記エンジンを始動させる電力供給手段を有した単一のスタータと、
を具備するエンジン発電装置。 - 複数台のエンジンと、
これら各エンジンの出力軸に個別に接続された複数台の発電機と、
バッテリー及びスタータモータを有して形成され、若しくは空気槽及び始動空気弁を有して形成され、前記各発電機の内で発電機総数より少ない数の一部の発電機が接続された前記エンジンを始動させる一次スタータと、
前記一部の発電機が発電した電力を前記一部の発電機以外の他の複数の発電機に供給させて、この複数の他の発電機をこれらに個別に接続された前記エンジンを駆動する電動機として機能させるとともに、前記他の発電機に接続された前記エンジンの回転を定格回転数の少なくとも1/2以上の回転数にまで上昇させる供給電力制御部を有した二次スタータと、
を具備するエンジン発電装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003209748A JP2005076457A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | エンジン発電装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003209748A JP2005076457A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | エンジン発電装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005076457A true JP2005076457A (ja) | 2005-03-24 |
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ID=34402576
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005076457A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008249264A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Osaka Gas Co Ltd | 空気調和装置 |
US10288030B2 (en) | 2014-10-29 | 2019-05-14 | Mitsubishi Heavy Industries Meiki Engines, Co., Ltd. | Engine, self-starter unit, and method for altering engine specifications |
CN113364034A (zh) * | 2021-06-11 | 2021-09-07 | 重庆普什机械有限责任公司 | 一种瓦斯气发电机组自动控制方法及装置 |
-
2003
- 2003-08-29 JP JP2003209748A patent/JP2005076457A/ja active Pending
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