JP2005075822A - 高齢者自己免疫疾患予防剤、およびIgM抗体産生抑制剤。 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高齢者における自己免疫疾患を予防できる自己免疫疾患予防剤を提供し、さらに、高齢者におけるIgM抗体産生の抑制剤を提供する。
【解決手段】 ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤。ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者におけるIgM抗体産生抑制剤。DHAまたはEPAの遊離酸もしくは、それらの塩を有効成分として含む、若しくは、分子構造にDHAまたはEPAをアシル残基として含む化合物を有効成分として含む、高齢者自己免疫疾患予防剤あるいは高齢者におけるIgM抗体産生抑制剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤。ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者におけるIgM抗体産生抑制剤。DHAまたはEPAの遊離酸もしくは、それらの塩を有効成分として含む、若しくは、分子構造にDHAまたはEPAをアシル残基として含む化合物を有効成分として含む、高齢者自己免疫疾患予防剤あるいは高齢者におけるIgM抗体産生抑制剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高齢者自己免疫疾患予防剤に関する。さらには、高齢者におけるIgM抗体産生抑制剤に関する。
今日の日本において急速な高齢化は深刻な問題である。2020年の統計試算では4人に1人が高齢者(年齢60才以上)になる。このような現状において高齢者の健康問題は、深刻な社会的課題となっている。
例えば、現在、高齢者の死因として肺炎は上位を占めている。この理由として考えられることは、高齢に伴う免疫力の低下が指摘されている。また、免疫力の低下は肺炎に留まらず、色々な感染症を引き起こす。そこで、このような免疫低下を抑制することができる技術が開発されている。
例えば、現在、高齢者の死因として肺炎は上位を占めている。この理由として考えられることは、高齢に伴う免疫力の低下が指摘されている。また、免疫力の低下は肺炎に留まらず、色々な感染症を引き起こす。そこで、このような免疫低下を抑制することができる技術が開発されている。
例えば、免疫賦活できる食物を取ることが有効である。免疫賦活できる食物として特許文献1には、刺梨およびヨモギ、キャベツを組み合わせたものが開示され、特許文献2には、乳蛋白質分解物が開示されている。また、特許文献3には、β−1,3−グリコシド結合からなる糖類が開示され、特許文献4には、カカオ豆の抽出物が開示されている。更には、特許文献5には、乳果オリゴ糖が、特許文献6には、麦若葉由来素材などが開示されている。また、若齢ラットに対して、ドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸が免疫力を高めることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
一方で、免疫力の低下とは別に、高齢者は免疫異常を生じやすいので、自己免疫疾患になりやすい。自己免疫疾患は、自己免疫系における異常を伴った種々の疾患であり、全身にまたがって炎症病変が出現する。例えば、自己免疫疾患として全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、慢性関節リウマチなどが挙げられる。
さらに、自己免疫疾患において、例えば、エリテマトーデス(SLE)腎症は痴呆、高血圧、骨粗しょう症などの症状を合併するなど、高齢者の老化を促進することが報告されており(非特許文献2)、自己免疫疾患の予防が大切である。
さらに、自己免疫疾患において、例えば、エリテマトーデス(SLE)腎症は痴呆、高血圧、骨粗しょう症などの症状を合併するなど、高齢者の老化を促進することが報告されており(非特許文献2)、自己免疫疾患の予防が大切である。
自己免疫疾患のメカニズムは未だ解明されていない点も多い。高齢者になると、若齢者と異なり血液中において、血沈亢進、γ−グロブリン増加、自己抗体の出現、貧血・血小板の減少など抹消血球の異常などがおこることが報告されている。また、最近、高齢者では抗核抗体のサブクラスであるIgM抗体の産生量が多くなることが報告されている(非特許文献3)。
IgM抗体は自己抗体として働くが、IgM抗体が高齢者における自己免疫疾患の直接の原因物質とは考えにくい。しかし、高齢者における免疫系そのものが若年層の免疫系と異なり変化していることがと確認されている。したがって、加齢に伴って増加するIgM抗体の産生を抑制できると、色々な変化を来たしていると言われる高齢者の免疫系において、正常な免疫機構への回帰が期待でき、強いては、自己免疫疾患予防につながることになると思われる。その意味で、高齢者におけるIgM抗体の産生を抑制できる作用機序による自己免疫疾患予防剤の開発が望まれていた。
本発明の目的は、高齢者におけるIgM抗体の産生を抑制でき、自己免疫疾患を予防できる自己免疫疾患予防剤、IgM抗体産生抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、前記の問題点に鑑みて検討した結果、ドコサヘキサエン酸、またはエイコサペンタエン酸を摂取することで、高齢者に副作用なく、IgM抗体の産生を抑制できることの知見を得て、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の発明である。
本発明における第1の発明は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤である。
本発明における第2の発明は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者における血清中のIgM抗体産生抑制剤である。
即ち、本発明は以下の発明である。
本発明における第1の発明は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤である。
本発明における第2の発明は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者における血清中のIgM抗体産生抑制剤である。
本発明の第1の発明である、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤は、IgM抗体の産生を抑制できることから高齢者自己免疫疾患予防剤として有効である。また、脾臓へのアラキドン酸の蓄積を抑制でき、自己免疫疾患による炎症反応を抑制することができる。本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤を摂取しても、餌摂取量、体重へ影響がないことから生体に対して安全であり、IgG抗体量は一定であることから免疫力は維持される。
本発明の第2の発明である、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含むIgM抗体産生抑制剤は、高齢者におけるIgM抗体の産生を有効に抑制できる。そして、高齢者における自己免疫疾患の予防薬として有効である。また、脾臓へのアラキドン酸の蓄積を抑制でき、炎症反応を抑制することができる。本発明のIgM抗体産生抑制剤を摂取しても、餌摂取量、体重へ影響がないことから生体に対して安全であり、IgG抗体量は一定であることから免疫力は維持される。
第1の発明である高齢者自己免疫疾患予防剤は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含むことを特徴とする。
また、第2の発明である高齢者における血清中のIgM抗体産生抑制剤は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含むことを特徴とする。
ここで、「ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略することもある)またはエイコサペンタエン酸(イコサペンタエン酸ともいい、以下、EPAと略することもある)を有効成分として含む」とは、以下の場合である。
(1)DHAまたはEPAの遊離酸もしくは、それらの塩を有効成分として含む場合。
(2)分子構造にDHAまたはEPAをアシル残基として含む化合物を有効成分として含む場合。
また、第2の発明である高齢者における血清中のIgM抗体産生抑制剤は、ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含むことを特徴とする。
ここで、「ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略することもある)またはエイコサペンタエン酸(イコサペンタエン酸ともいい、以下、EPAと略することもある)を有効成分として含む」とは、以下の場合である。
(1)DHAまたはEPAの遊離酸もしくは、それらの塩を有効成分として含む場合。
(2)分子構造にDHAまたはEPAをアシル残基として含む化合物を有効成分として含む場合。
本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤において、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸は、前記(1)の場合である遊離脂肪酸、それらのナトリウム、カリウム、カルシウム等の塩として使用することが好ましいが、前記(2)の場合となる化合物、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、トリグリセリド、リン脂質等の場合でも使用することができる。
前記(2)の例として、DHA、EPAのエチルエステル;DHAまたはEPAをアシル残基として含むトリグリセリド、これらを含む魚油や肝油、合成油;そして、DHAまたはEPAをアシル残基として含むグリセロホスファチジルコリン、グリセロホスファチジルセリン、グリセロホスファチジルエタノールアミンなどグリセロリン脂質;DHAまたはEPAをアシル残基として含むリゾリン脂質などが挙げられる。前記(2)の場合、より好ましくは、高純度に精製できるためにドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸のエチルエステル、またはエイコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸のエチルエステルの形態である。
前記(2)の例として、DHA、EPAのエチルエステル;DHAまたはEPAをアシル残基として含むトリグリセリド、これらを含む魚油や肝油、合成油;そして、DHAまたはEPAをアシル残基として含むグリセロホスファチジルコリン、グリセロホスファチジルセリン、グリセロホスファチジルエタノールアミンなどグリセロリン脂質;DHAまたはEPAをアシル残基として含むリゾリン脂質などが挙げられる。前記(2)の場合、より好ましくは、高純度に精製できるためにドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸のエチルエステル、またはエイコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸のエチルエステルの形態である。
また、前記(1)及び(2)のいずれの場合も、本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤は、DHAまたはEPAが含まれておれば、DHAまたはEPAを含まない他の脂肪酸、脂肪酸エステル、トリグリセライド、リン脂質等の化合物との混合物であってもかまわない。生体への取り込まれやすさ、副作用の軽減などの点からは、より高純度でのDHAまたはEPAの使用が好ましい。通常、全体の摂取量を少なくするために、DHAまたはEPAの含有量が50重量%以上のものが好ましい。
本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤は経口摂取することができる。経口摂取する際には、DHAまたはEPAを含む化合物に公知の賦形剤を加えて摂取形状をカプセル状、顆粒状、粉末、錠剤、糖衣錠剤などの固形状にしたり、あるいは乳化・分散の液状として投与することができる。また、さらに食品の素材や飲料として使用することもできる。これらの摂取形状とする際には、摂取する形状の重量に対してドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸が1〜90重量%、好ましくは10〜80重量%程度配合されるのがよい。
本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤は、DHAまたはEPAを1日当り100mg〜1g程度/(60kgの通常人あたり)を摂取させることにより、その効果を発揮できる。
本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤の摂取期間は効果が維持されれば制限がないが、効果の発現において、一ヶ月以上、摂取することが好ましい。
本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤の摂取期間は効果が維持されれば制限がないが、効果の発現において、一ヶ月以上、摂取することが好ましい。
以下、具体的に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明例1;高齢DHA群
1.試験方法
1−1.実験動物と飼育方法
オスJcl:ICR(日本クレア)高齢マウス(56週齢)に対して1群4匹とし実験した。餌の投与期間は30日間とした。実験開始前に一週間の予備飼育を行った。飼育に際しては個別ゲージを用いた。
1−2.飼料
前記1−1で用いた飼料の組成は表1に示した(表中の組成は重量%である)。
本発明例1;高齢DHA群
1.試験方法
1−1.実験動物と飼育方法
オスJcl:ICR(日本クレア)高齢マウス(56週齢)に対して1群4匹とし実験した。餌の投与期間は30日間とした。実験開始前に一週間の予備飼育を行った。飼育に際しては個別ゲージを用いた。
1−2.飼料
前記1−1で用いた飼料の組成は表1に示した(表中の組成は重量%である)。
表1の被験油脂としては、DHAエチルエステル(純度93%、日本科学飼料社製)を使用した。
1−3.摂食量と体重測定
飼料は毎日10g/匹で投与し、翌日餌を交換する時に残量を測定して1日ごとの摂食量を求めた。また、体重は5日ごとに測定を行った。
1−3.摂食量と体重測定
飼料は毎日10g/匹で投与し、翌日餌を交換する時に残量を測定して1日ごとの摂食量を求めた。また、体重は5日ごとに測定を行った。
1−4.臓器の重量測定と脂肪酸分析
摂食期間終了後、マウスを屠殺し脾臓を摘出して、脂肪酸組成分析を行った。
方法は、脾臓を凍結乾燥した後に細かく粉砕しホルチ法により脂質を抽出した。得られた脂質をジクロロメタンに溶かし、そこへ1N−KOHメタノール溶液を添加し、室温で1時間放置した。放置後ジクロロメタンを窒素により揮散しヘキサンにてメチル化された脂肪酸を抽出した。そして、およそ4mg/ml程度の濃度になるようにヘキサンに溶解し、ガスクロマトグラフィー(GC)(Agilent社、6890シリーズGCシステム)にて脂肪酸分析を行った。GCの条件は下記の通りである。
摂食期間終了後、マウスを屠殺し脾臓を摘出して、脂肪酸組成分析を行った。
方法は、脾臓を凍結乾燥した後に細かく粉砕しホルチ法により脂質を抽出した。得られた脂質をジクロロメタンに溶かし、そこへ1N−KOHメタノール溶液を添加し、室温で1時間放置した。放置後ジクロロメタンを窒素により揮散しヘキサンにてメチル化された脂肪酸を抽出した。そして、およそ4mg/ml程度の濃度になるようにヘキサンに溶解し、ガスクロマトグラフィー(GC)(Agilent社、6890シリーズGCシステム)にて脂肪酸分析を行った。GCの条件は下記の通りである。
GC条件
カラム:DB−wax(J&W社)
サイズ:径(φ)0.25mm×膜厚0.25μm×30m
INJ:250℃
DET:250℃
OVN:140℃から210℃へ昇温(5℃/分昇温 210℃で40分一定)
カラム:DB−wax(J&W社)
サイズ:径(φ)0.25mm×膜厚0.25μm×30m
INJ:250℃
DET:250℃
OVN:140℃から210℃へ昇温(5℃/分昇温 210℃で40分一定)
1−5.IgG抗体量の測定
摂食期間終了後、マウスより血液を採決し、遠心分離法により血清を調製した。
サンドウイッチ法により血清中のIgGを測定した。Anti−IgG抗体(LAMPIRE BIOLOGICAL LABS.社製)を0.1%Na3N−PBS(リン酸バッファー塩液)にて0.5μg/mlの濃度に希釈し、96穴プレート(NUNC社製)に100μL/well加え、これに固定させた。次に、水で4倍に希釈した雪印(株)製ブロックエースを200μL/wellとなるように加え、上澄みを除去しこれを乾燥してAnti−IgG抗体固定96穴プレートを作製した。
摂食期間終了後、マウスより血液を採決し、遠心分離法により血清を調製した。
サンドウイッチ法により血清中のIgGを測定した。Anti−IgG抗体(LAMPIRE BIOLOGICAL LABS.社製)を0.1%Na3N−PBS(リン酸バッファー塩液)にて0.5μg/mlの濃度に希釈し、96穴プレート(NUNC社製)に100μL/well加え、これに固定させた。次に、水で4倍に希釈した雪印(株)製ブロックエースを200μL/wellとなるように加え、上澄みを除去しこれを乾燥してAnti−IgG抗体固定96穴プレートを作製した。
作製した96穴プレートに、一次反応として調製した血清を100μL/wellとなるように加えた。ここで、血清は、BSA−PBST(5mg/mlのウシ新生児血清アルブミンを含むリン酸バッファー塩液。ただし、リン酸バッファー塩液は10重量/体積%のTween20(BioRad社製)を含む。)で10万倍に希釈した試料を用いた。
これを37℃で1時間インキュベートした後、PBST(10重量/体積%のTween20(BioRad社製)を含むリン酸バッファー塩液)で4回洗浄する。次に二次反応として、標識抗体(住友ベークライト社製)をPBSTで15000倍に希釈した試料を100μL/well加えた。37℃で1時間インキュベート後、PBSTで4回洗浄した。
10秒間隔でライン毎に発色試薬(ペルオキシダーゼ用発色試薬、住友ベークライト社製)を10μl/wellとなるように添加した。10分後、10秒間隔でライン毎に2N硫酸を50μl/wellとなるように添加し反応を停止した。最後に450nmの吸光度を計測しIgG抗体量の測定した。
10秒間隔でライン毎に発色試薬(ペルオキシダーゼ用発色試薬、住友ベークライト社製)を10μl/wellとなるように添加した。10分後、10秒間隔でライン毎に2N硫酸を50μl/wellとなるように添加し反応を停止した。最後に450nmの吸光度を計測しIgG抗体量の測定した。
なお、測定に当たり、既知抗原として、IgG−Standard(LAMPIRE BIOLOGICAL LABS.社製) を用い、同様に操作し吸光度を測定して検量線を作成した。
1−6.IgM抗体量の測定
摂食期間終了後、マウスより血液を採決し、遠心分離法により血清を調製した。
サンドウイッチ法により血清中のIgGを測定した。Anti−IgM抗体(LAMPIRE BIOLOGICAL LABS.社製)を0.1%Na3N−PBS(リン酸バッファー塩液)にて0.5μg/mlの濃度に希釈し、96穴プレート(NUNC社製)に100μL/well加え、これに固定させた。次に、水で4倍に希釈した雪印(株)製ブロックエースを200μL/wellとなるように加え、上澄みを除去しこれを乾燥してAnti−IgG抗体固定96穴プレートを作製した。
摂食期間終了後、マウスより血液を採決し、遠心分離法により血清を調製した。
サンドウイッチ法により血清中のIgGを測定した。Anti−IgM抗体(LAMPIRE BIOLOGICAL LABS.社製)を0.1%Na3N−PBS(リン酸バッファー塩液)にて0.5μg/mlの濃度に希釈し、96穴プレート(NUNC社製)に100μL/well加え、これに固定させた。次に、水で4倍に希釈した雪印(株)製ブロックエースを200μL/wellとなるように加え、上澄みを除去しこれを乾燥してAnti−IgG抗体固定96穴プレートを作製した。
作製した96穴プレートに、一次反応として調製した血清を100μL/wellとなるように加えた。ここで、血清は、BSA−PBST(5mg/mlのウシ新生児血清アルブミンを含むリン酸バッファー塩液。ただし、リン酸バッファー塩液は10重量/体積%のTween20(BioRad社製)を含む。)で10万倍に希釈した試料を用いた。
これを37℃で1時間インキュベートした後、PBST(10重量/体積%のTween20(BioRad社製)を含むリン酸バッファー塩液)で4回洗浄する。次に二次反応として、標識抗体(住友ベークライト社製)をPBSTで15000倍に希釈した試料を100μL/well加えた。37℃で1時間インキュベート後、PBSTで4回洗浄した。
10秒間隔でライン毎に発色試薬(ペルオキシダーゼ用発色試薬、住友ベークライト社製)を10μl/wellとなるように添加した。10分後、10秒間隔でライン毎に2N硫酸を50μl/wellとなるように添加し反応を停止した。最後に450nmの吸光度を計測しIgM抗体量の測定した。
10秒間隔でライン毎に発色試薬(ペルオキシダーゼ用発色試薬、住友ベークライト社製)を10μl/wellとなるように添加した。10分後、10秒間隔でライン毎に2N硫酸を50μl/wellとなるように添加し反応を停止した。最後に450nmの吸光度を計測しIgM抗体量の測定した。
なお、測定に当たり、既知抗原として、IgM−Standard(LAMPIRE BIOLOGICAL LABS.社製) を用い、同様に操作し吸光度を測定して検量線を作成した。
本発明例2;高齢EPA群
被験油として、EPAエチルエステル(純度93%、日本科学飼料株式会社製)を使用した以外は、本発明例1と同一の実験を行なった。
被験油として、EPAエチルエステル(純度93%、日本科学飼料株式会社製)を使用した以外は、本発明例1と同一の実験を行なった。
参考例1;高齢コントロール群
被験油として、コーン油(日本油脂株式会社製)を使用した以外は、本発明例1と同一の実験を行なった。
被験油として、コーン油(日本油脂株式会社製)を使用した以外は、本発明例1と同一の実験を行なった。
参考例2;若齢コントロール群
使用した実験動物を下記のマウスに変更した以外は、参考例1と同一の実験を行なった。
オスJcl:ICR(日本クレア)若齢マウス(9週齢)に対して1群4匹で実験を行った。
使用した実験動物を下記のマウスに変更した以外は、参考例1と同一の実験を行なった。
オスJcl:ICR(日本クレア)若齢マウス(9週齢)に対して1群4匹で実験を行った。
以下に試験結果をまとめる。
(1)摂食量と体重変化
試験方法1−1に従い、各群のマウスに各々の被験脂質を自由摂食させたときの摂食量と体重変化を計測した。結果を図1と図2に示した。摂食量は本発明例1の高齢DHA群、本発明例2の高齢EPA群において、参考例の高齢コントロール群と有意な差は見られなかった。また、体重に関してもどの群においても有意な差は認められなかった。このことより、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む、高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤は高齢者に対しても副作用なく安全であることがわかる。
(1)摂食量と体重変化
試験方法1−1に従い、各群のマウスに各々の被験脂質を自由摂食させたときの摂食量と体重変化を計測した。結果を図1と図2に示した。摂食量は本発明例1の高齢DHA群、本発明例2の高齢EPA群において、参考例の高齢コントロール群と有意な差は見られなかった。また、体重に関してもどの群においても有意な差は認められなかった。このことより、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む、高齢者自己免疫疾患予防剤、及びIgM抗体産生抑制剤は高齢者に対しても副作用なく安全であることがわかる。
(2)脾臓の脂肪酸組成
試験方法1−4に従い、脾臓の脂肪酸組成について分析した。結果を図3に示した。アラキドン酸の組成比を比較すると高齢コントロール群は若年コントロール群に比べて高い値を示した。一方、本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤を摂食した高齢DHA群、高齢EPA群では若齢群レベルまでアラキドン酸の組成比が低減されていた。高齢コントロール群においてみられるように、脾臓にアラキドン酸が蓄積されると、アラキドン酸カスケード系を活性化し、自己免疫疾患における炎症の引き金になる。したがって、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤はアラキドン酸の蓄積を抑制できるので自己免疫疾患予防剤として有効であることがわかる。
試験方法1−4に従い、脾臓の脂肪酸組成について分析した。結果を図3に示した。アラキドン酸の組成比を比較すると高齢コントロール群は若年コントロール群に比べて高い値を示した。一方、本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤を摂食した高齢DHA群、高齢EPA群では若齢群レベルまでアラキドン酸の組成比が低減されていた。高齢コントロール群においてみられるように、脾臓にアラキドン酸が蓄積されると、アラキドン酸カスケード系を活性化し、自己免疫疾患における炎症の引き金になる。したがって、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤はアラキドン酸の蓄積を抑制できるので自己免疫疾患予防剤として有効であることがわかる。
(3)血清中のIgG抗原量の測定
試験方法1−5に従い、各群のマウスの、血清中のIgG抗原量について測定した。結果を図4に示した。IgG抗原量は本発明例1の高齢DHA群、本発明例2の高齢EPA群において、参考例の高齢コントロール群と有意な差は見られなかった。このことより、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤、あるいはIgM抗体産生抑制剤の摂取は高齢者に対して、外来抗原に対する免疫系に影響を与えず免疫力を維持できることがわかる。
試験方法1−5に従い、各群のマウスの、血清中のIgG抗原量について測定した。結果を図4に示した。IgG抗原量は本発明例1の高齢DHA群、本発明例2の高齢EPA群において、参考例の高齢コントロール群と有意な差は見られなかった。このことより、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤、あるいはIgM抗体産生抑制剤の摂取は高齢者に対して、外来抗原に対する免疫系に影響を与えず免疫力を維持できることがわかる。
(4)血清中のIgM抗原量の測定
試験方法1−6に従い、各群のマウスの、血清中のIgM抗原量について測定した。結果を図5に示した。高齢コントロール群のみが高い値を示した。高齢コントロール群に対して本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤を摂食した高齢DHA群、高齢EPA群では若齢群レベルまで組成比が低減された。このことより、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含むIgM抗体産生抑制剤は高齢者に対して強いIgM抗体産生抑制効果を示すことがわかる。また、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤は、自己免疫疾患におけるIgM抗体産生を抑制でき正常な免疫機構へ回帰できるので自己免疫疾患予防剤として有効であることがわかる。
試験方法1−6に従い、各群のマウスの、血清中のIgM抗原量について測定した。結果を図5に示した。高齢コントロール群のみが高い値を示した。高齢コントロール群に対して本発明の高齢者自己免疫疾患予防剤を摂食した高齢DHA群、高齢EPA群では若齢群レベルまで組成比が低減された。このことより、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含むIgM抗体産生抑制剤は高齢者に対して強いIgM抗体産生抑制効果を示すことがわかる。また、本発明のドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤は、自己免疫疾患におけるIgM抗体産生を抑制でき正常な免疫機構へ回帰できるので自己免疫疾患予防剤として有効であることがわかる。
Claims (2)
- ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者自己免疫疾患予防剤。
- ドコサヘキサエン酸またはエイコサペンタエン酸を有効成分として含む高齢者におけるIgM抗体産生抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003312191A JP2005075822A (ja) | 2003-09-04 | 2003-09-04 | 高齢者自己免疫疾患予防剤、およびIgM抗体産生抑制剤。 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003312191A JP2005075822A (ja) | 2003-09-04 | 2003-09-04 | 高齢者自己免疫疾患予防剤、およびIgM抗体産生抑制剤。 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009006668A1 (en) * | 2007-02-05 | 2009-01-15 | Children, Youth And Women's Health Service | Modulators of antigen-dependent t cell proliferation |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002037985A1 (fr) * | 2000-11-13 | 2002-05-16 | Nippon Suisan Kaisha, Ltd. | Laits de soja a forte concentration d'epa et son procede de production |
-
2003
- 2003-09-04 JP JP2003312191A patent/JP2005075822A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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WO2002037985A1 (fr) * | 2000-11-13 | 2002-05-16 | Nippon Suisan Kaisha, Ltd. | Laits de soja a forte concentration d'epa et son procede de production |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009006668A1 (en) * | 2007-02-05 | 2009-01-15 | Children, Youth And Women's Health Service | Modulators of antigen-dependent t cell proliferation |
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