JP2005068537A - 金属の固化成形方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 スクリュ式押出機に金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を直接投入し、押出し成形することにより、予熱処理や密閉処理を必要とせず、安価に高強度の金属成形部材を大量生産することができる金属の固化成形方法とその装置を提供する。
【解決手段】 金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を加熱シリンダ内に供給し、加熱シリンダのスクリュ回転によって固体金属を加熱シリンダの前方に送りながら固体状態である溶融開始温度以下に加熱し、加熱シリンダ先端にある貯蓄部に固体金属を貯蓄し、貯蓄部の固体金属に圧縮力とせん断力を加えることで固化成形する。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を加熱シリンダ内に供給し、加熱シリンダのスクリュ回転によって固体金属を加熱シリンダの前方に送りながら固体状態である溶融開始温度以下に加熱し、加熱シリンダ先端にある貯蓄部に固体金属を貯蓄し、貯蓄部の固体金属に圧縮力とせん断力を加えることで固化成形する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、マグネシウム合金、アルミニウム合金、チタン合金などの急冷凝固金属薄体や金属粒子などの固体金属、もしくはSiC、カーボン、アルミナなど無機化合物に代表される強化材が添加されてなる固体金属を原料として用い、それらを均質で高強度かつ高硬度の高強度金属体へと固化成形する金属の固化成形方法とそれに用いられる装置に関するものである。
従来のこの種の装置としては、下記特許文献1や特許文献2で提案されているものが知られている。図11に示すものは特許文献1(特開平9−155491号公報)により提案されているものであり、図11において、101は急冷凝固合金材、102は銅管やアルミニウム管などの易加工性金属材、103は一般的にアルミニウム合金などの押出で使用され急冷凝固合金材101を押し出すためのコンテナ、104はコンテナ103内で急冷凝固合金材101を包んだ易加工性金属材102による密閉缶を押すステムである。
また、同図において、105はコンテナ103の開口部、106は開口部105から押し出された急冷凝固合金材101および易加工性金属材102の被覆押出材、107は被覆押出材106の易加工性金属材部分を除去する皮剥ぎ刃、108は皮剥ぎ刃107で被覆が除去されたビレットを切断するための切断刃である。
次に動作について説明する。
まず、最初に急冷凝固合金薄体を作製する。これには熱伝導の良い銅製の単ロールあるいは双ロールなどに溶融金属を吹き出す方法がある。この溶解操作は、酸化による発火を抑制するため、真空あるいはアルゴンなどの不活性ガスを充填したチャンバー内で行う。急冷材は厚さ100ミクロン程度、好ましくは後の粉砕を効果的に行うために30〜50ミクロン程度の急冷薄体材(リボン)にする。得られたリボン材の保管については、巻き取ることでかさ密度を減じて保管できる。
次に、ボールミルで粉砕を行うが、遊星型などの高エネルギー投入型のミルを用いる方が短時間での粉砕が可能である。粉砕中の雰囲気は、不活性ガスあるいは大気圧以下の真空中で行った方が粉末の酸化を抑制できる。
こうして作製された急冷凝固薄体は銅やアルミニウムのパイプとその片端の蓋板を溶接することで作製される易加工性金属製の金属カプセル内に入れられる。そして、金属カプセルへ充填した状態で真空チャンバーに入れられ、脱ガスを行った状態でもう一方の蓋が溶接される。こうして真空状態で急冷凝固合金材を密閉した金属カプセルが作製される。
このとき真空状態で密閉するのは、後の押出時に長時間予備加熱した際、急冷凝固薄体が酸化してしまい、目的とする強度や伸びが得られなくなるのを防止するためである。
次に、急冷凝固合金材101を易加工性金属材102で内封した金属カプセルは、通常のアルミニウム合金などの押出で使用されている押出機のコンテナ103内に挿入され、ステム104によってコンテナの開口部105から押し出される。
具体的には、急冷凝固による結晶粒微細化効果がなくならないように溶体化温度以下でビレットを加熱し、押出しやすくしたものをコンテナ103の拡径側に置き、ステム104が油圧装置によってコンテナ方向に移動することでコンテナの穴から押し出されていく。被覆押出材106は真空密閉した易加工性金属材が外部に残っているので、外面の易加工性金属材部分だけ削ったあとに、内部の急冷凝固薄体を原料とする部分を機械加工で切断し、高強度部材として鍛造などの2次加工に供する。
特開平9−155491号公報 (第3―4頁、図1)
特開平1−108337号公報 (第3―4頁)
従来の急冷凝固金属の成形方法は、プロセスが複雑であるため、試験レベルでは実施されているが商業ベースで急冷凝固金属成形体を生産することが困難であった。特に真空状態で銅やアルミニウムなどの易加工性金属缶に密閉することは連続的に施行することが難しく、押出された後に機械加工で被覆材だけを除去することは多大な手間がかかり且つ困難な作業であった。すなわち、固化成形するために熱間押出するが、押出時に変形しやすくするためには急冷凝固金属薄体を加熱昇温しなければいけない。しかし炉内で長時間昇温していると酸化してしまうので上記のように密閉しなければならずプロセスが複雑になる。
一方、急冷凝固金属の組織が変化しないような温度、具体的にはアルミニウム合金の急冷凝固金属でおよそ400℃以下の温度で押し出さないと、急冷凝固組織による高強度化が達成できないため、このような低温で金属を押し出さなければならない。
通常のアルミニウムなどの押出加工では原料に固体アルミニウムの塊(インゴット)である円柱ビレットを使用するが、急冷凝固金属薄体や金属粉末を押出すことで固化させようとすると、金属薄体や粉末表面の酸化膜を破断させ金属の新生面を表面に出して固着させるだけのせん断力(応力)を金属薄体や金属粒子(粉末)に与えなければならない。そのようなせん断力を与えるためには押出比(押出し前のビレットの断面積を押出し後の押出材の断面積で割った面積比)を20〜100と高くして押出し時により大きなせん断力が作用するようにする必要がある。
以上のように変形抵抗の大きい低温で押出比の大きい条件で押出すためには、押出力が非常に大きな装置が必要となり、商業ベースの低価格で量産化することは困難である。
この発明は上記のような従来のものの課題を解決するためになされたもので、スクリュ式押出機に急冷凝固金属薄体等の金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を直接投入し、押出し成形することにより、予熱処理や密閉処理を必要とせず、安価に高強度の金属成形部材を大量生産する金属の固化成形方法とその装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明における急冷凝固金属の成形方法は、金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を加熱シリンダ内に供給し、加熱シリンダのスクリュ回転によって前記固体金属を加熱シリンダの前方に送りながら固体状態である溶融開始温度以下に加熱し、加熱シリンダ先端にある貯蓄部に前記固体金属を貯蓄し、貯蓄部の固体金属に圧縮力とせん断力を加えるようにしたものである。
また、本発明における急冷凝固金属の成形方法は、金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を加熱シリンダ内に供給し、加熱シリンダのスクリュ回転によって前記固体金属を加熱シリンダの前方に送りながら固体状態である溶融開始温度以下に加熱し、加熱シリンダ先端にある加熱シリンダ先端と対向する位置に設けられたシリンダキャップとシリンダの間でスクリュ先端の前方にある空間に前記固体金属を貯蓄し、スクリュに対向する位置にあるプランジャで貯蓄された固体金属を圧縮しながらプランジャを回転させてせん断力を加えることで固化成形するようにしたものである。
ここで、スクリュがシリンダキャップ側に前進した状態でスクリュ回転を行い、貯蓄部に固体金属が送られて貯蓄される固体金属の体積が増えると共に、軸方向に一定の圧縮力をかけているスクリュが後退しながら、徐々に固化成形を行うようにすることができ、また、シリンダキャップに貯蓄された固体金属を急速加熱するため、誘導加熱またはパルス通電加熱の少なくともいずれか一方を用いて、圧縮せん断力をかけながら急速加熱して固化成形を行うようにすることもできる。さらに、原料として使用される固体金属がアルミニウム、マグネシウム、チタンなどの軽金属の急冷凝固金属もしくは、それら軽金属の急冷凝固金属とアルミナ、炭化珪素、炭素など添加することでマトリックス金属の特性を向上させる無機物もしくは金属の強化材で構成されることができる。
また、本発明の急冷凝固金属の成形装置は、金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属が供給されるシリンダと、前記シリンダ内に供給された前記固体金属を前記シリンダの前方に回転しながら送るスクリュと、前記スクリュにより前記シリンダの前方に送られる固体金属を溶融開始温度以下に加熱する加熱手段と、前記シリンダの前方に送られ、シリンダ先端に設けられた貯蓄部に貯蓄された前記固体金属を圧縮力とせん断力を加えることで固化成形する固化成形手段とを備えてなるものである。
ここで、前記スクリュの先端部の直径はスクリュ軸の直径よりも広くなるように構成されることが望ましい。ここでスクリュ軸の直径とはスクリュ外径からその部分のフライト高さ(溝深さ)の2倍を引いた値である。
この発明の実施の形態の構成においては、図1〜図10に示すように、外部に加熱手段5を有した加熱シリンダ1内に、駆動装置によって設定した回転数で回転するスクリュ2を内蔵する。そして、加熱シリンダ1の一方に近い外周面に開けられた原料供給口14から急冷凝固金属薄体11を投入すると、スクリュ回転によって投入された急冷凝固金属薄体11は加熱シリンダ1の他方側へと加熱されながら送られる。このとき急冷凝固による結晶粒微細化効果をなくさないためにも、加熱シリンダ1は急冷凝固薄体11の状態(又は特性)が変化しない温度(具体的にはアルミニウム基の急冷凝固金属で約400℃であったり、マグネシウム基の急冷凝固金属で300℃であったりして合金種によって変わる温度)以下に設定されている。
供給された急冷凝固金属薄体11が送られる側の加熱シリンダ先端には、対向する位置にシリンダキャップ6が設置され、加熱シリンダ1とシリンダキャップ6で密閉された貯蓄空間を形成する。スクリュ2で送られた急冷凝固金属薄体11はこの貯蓄部(貯蓄空間)に徐々に貯められる。この時の貯蓄空間への急冷凝固金属の蓄積方法として二通り考えられる。
一つは、図1〜図5に示されるように、あらかじめ貯蓄空間を十分に形成しておき、急冷凝固金属薄体11を貯めていく方法であり、急冷凝固金属薄体11をシリンダ1の原料供給口14より供給してスクリュ2でシリンダの他方側に形成された貯蓄空間側に送る(図1)。貯蓄空間が一杯になったらスクリュ2やシリンダキャップ側のプランジャ7を貯蓄された急冷凝固金属体12が押すことになり、その押し力を図示されないがそれぞれの駆動軸末端に取り付けられた圧力センサー(プランジャ側の場合には油圧シリンダ8の油圧力でも可)で感知する(図2)。貯蓄部が一杯になったところでスクリュ2の回転を止め、プランジャ7をスクリュ側に押して貯蓄部の急冷凝固金属薄体11を加圧・圧縮しながら、プランジャ7を回転させてせん断力を加えて固化成形する(図3)。
なお、このせん断力を加えて急冷凝固金属薄体11を固化成形する際においては、スクリュ溝内は固化した急冷凝固金属で詰まっており、この急冷凝固金属薄体は、溶湯と比べるとスクリュ溝内におけるスクリュ表面との摩擦力が大きく、また溶湯と比べると固化金属の変形抵抗が大きいので、スクリュ溝内を螺旋状に逆方向(スクリュ根元方向)へ押して逆流するという虞はない。勿論、スクリュとシリンダの隙間は微小(金属薄体よりも小さい(薄い))なので、固化した材料がそこから逆流する虞もない。
次に、もう一つの蓄積方法(図6〜図10)では、最初にスクリュ2を前進させて貯蓄空間がほとんど無い状態にしておく(図6)。スクリュ2を回転させて急冷凝固金属薄体11が送られて貯蓄部に入っていくと、スクリュ2を押して貯蓄部を広げていく。この時、スクリュ2には油圧シリンダ15で一定の背圧(スクリュを押して貯蓄部を広げようとする方向と反対の方向の力)をかけておくことで、貯蓄部の急冷凝固金属薄体にはスクリュからの圧縮力とせん断力が作用して固化成形される(図7)。スクリュ2と連動したエンコーダー(または位置センサー)であらかじめスクリュの後退限を決めておくことで、所定の長さの急冷凝固金属体12を得ることができる(図8)。
なお、貯蓄部の加熱手段10に誘導加熱コイルやパルス通電法などの急速加熱手段を用いることで結晶成長させずに固化焼結させることも可能である。具体的には誘導加熱方式の場合にはシリンダキャップの外側に誘導加熱コイルを巻き、シリンダキャップ自体もしくはシリンダキャップ内の急冷凝固金属薄体自体を誘導させて加熱する。通電パルス方式の場合にはシリンダキャップを非伝導体で作製し、プランジャ7とスクリュヘッド3の先端面で通電させるなどの方法が考えられる。
貯蓄部で固化された急冷凝固金属体12は、シリンダキャップ6とシリンダ1の間が開き(図4、図9)、プランジャ7で押出すことで取り出され(図5、図10)、鍛造などの二次加工に供される。取り出し機構については特に限定せず、シリンダとシリンダキャップを一体化させ、その一部が半割れ式の扉になっていて内部から急冷凝固金属体12を取り出すなどさまざまなバリエーションが考えられる。
なお、本発明の実施の形態においては単軸のスクリュを使用しているが、輸送力増加のために二軸スクリュとして貯蓄部への出口を一つにすることも容易に考えられる。
次に作用について説明する。マグネシウム合金やアルミニウム合金はいずれの金属粉末も表面にナノメータオーダーの安定した酸化層に覆い尽くされている。粉末冶金法で粉末同士を固化させるためには、粉末表面の酸化層を何らかの方法で除去して隣あった金属粉末の新生面同士を突き合わせる必要がある。供給口14から加熱シリンダ1へ供給された急冷凝固金属薄体11は、スクリュ2の回転によりシリンダ1内を先端側へと送られていくが、その過程で急冷凝固金属薄体11同士の摩擦力やぶつかり合い、急冷凝固金属薄体11と回転するスクリュ表面やシリンダ内面の摩擦力、輸送途中の急冷凝固金属の変形などにより、急冷凝固金属薄体表面の酸化層が破壊され、固化しやすい新生面が現れる。一部の金属薄体はスクリュ2で送られる途中に合体固化し始める。
このように輸送途中で一部の新生面が現れた状態で貯蓄部に急冷凝固金属が送られるので、貯蓄部に貯められた時点で固化しやすい状態になっており、少ないせん断力の付加、圧力の付加、昇温で固化成形することができる。
供給口14から投入された急冷凝固金属薄体11は、加熱シリンダ1からの伝熱で加熱されるが、従来のように銅缶などで密閉された急冷凝固金属薄体の塊を炉内で加熱するよりも、スクリュで送られていく方が比表面積が大きくてシリンダからの伝熱面積も大きいので、より効率的に短時間での昇温が可能である。そのため急冷凝固金属薄体11の酸化の可能性や昇温により結晶成長して急冷効果が失われる可能性が少なくなる。さらに、シリンダ2内をアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気にすることで酸化の抑制が可能である。
文献(「金属粉末の固化成形のための圧縮ねじり成形法の開発」塑性と加工vol.37,No.431,pp1291-1296,1996年)に記載されているように、ねじりによるせん断力を加えることは、圧縮力だけを加えることよりも固化成形しやすいことが知られている。貯蓄部に貯められた急冷凝固金属薄体11もプランジャ7やスクリュヘッド3からのせん断力が作用するので、結晶成長などして急冷凝固の効果を失うことがない低温で固化させることが可能となる。特に、図6〜図10に示したスクリュ2を徐々に後退させる方法では、せん断力をかけて固化・積層させながら貯蓄部の体積(長さ)を増やしていくので、体積(長さ)の大きい急冷凝固金属体12でも均一に固化したものを成形できる。
文献(「金属粉末の固化成形のための圧縮ねじり成形法の開発」塑性と加工vol.37,No.431,pp1291-1296,1996年)に記載されているように、ねじりによるせん断力を加えることは、圧縮力だけを加えることよりも固化成形しやすいことが知られている。貯蓄部に貯められた急冷凝固金属薄体11もプランジャ7やスクリュヘッド3からのせん断力が作用するので、結晶成長などして急冷凝固の効果を失うことがない低温で固化させることが可能となる。特に、図6〜図10に示したスクリュ2を徐々に後退させる方法では、せん断力をかけて固化・積層させながら貯蓄部の体積(長さ)を増やしていくので、体積(長さ)の大きい急冷凝固金属体12でも均一に固化したものを成形できる。
また、スクリュの軸径よりも直径の大きいスクリュヘッドを用いたり、スクリュの先端部を拡径化させることで、固化した急冷凝固金属体12を取り出す場合は、シリンダ1とシリンダキャップ6の間を開けることで、一番断面積の小さい部分、すなわちスクリュ先端で切ることができ、スクリュ溝内で輸送中の材料はそのままにして、固化した材料だけを取り出すことが可能である。また、スクリュ先端を拡径化させることは、スクリュ先端の溝断面積を小さくすることとなるので、そこを材料が通過するときに大きな抵抗が発生することになる。そのためスクリュ溝内の材料が断面積の狭い部分(厳密には断面積の狭い部分よりも根元側)で材料が詰まっていき、自らの圧縮力で固化し始める効果も考えられる。
なお、本発明では急冷凝固金属の成形について記載しているが、通常の金属粒子(粉末)の成形にも適用可能であることは自明であり、同じように簡単なプロセスで粉末を原料とした均質な金属体が成形可能である。また、急冷凝固金属にアルミナや炭化珪素、カーボンなどの無機物やSUSなどの高強度金属の粒子、繊維、ウイスカーといった形状の強化材を原料となる急冷凝固金属薄体や金属粉末に所定量(複合強化の効果を発揮させるためにはおよそ10%以上は入れることが望ましい)だけ混ぜて(添加して)加熱シリンダ内に供給したり、あらかじめそれらの強化材を複合化させた急冷凝固金属薄体や金属粒子(粉末)を原料として使用したりすれば、更に機械的特性の優れた金属基複合材料の固化成形も可能である。
以上のように、この発明によれば加熱シリンダ1内に急冷凝固金属薄体11もしくは粒子を供給し、スクリュ2で輸送することで、固体金属粒子同士の衝突や摩擦力、固体金属粒子と加熱シリンダ内面もしくはスクリュ表面の摩擦力により固体金属表面の酸化層を剥ぎ取りながら加熱することで貯蓄部の固体金属同士が固着しやすい状態にすることができ、さらにそれらをシリンダ先端の貯蓄部で固化することで均一でより強固な成形体を作製することができ、しかも一つの工程で連続的に行うことができるので低コストで生産性に優れる。また、スクリュの回転により原料の混合効果も得られ、合金成分や強化材の混合にも効果的であり、得られる固化成形体の偏析を防ぐ効果がある。更に、従来法のように押出工程だけで使用する密閉缶も必要ないし、密閉処理や押出後の缶部材除去、押出のための予熱処理も必要ない。固化成形する金属体の大きさ(長さ)もスクリュの位置もしくは後退限やシリンダキャップ内のプランジャの位置を可変とすることで調整可能であり、製造する品物に応じて臨機応変に急冷凝固金属体の大きさを調整可能である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
この発明の第1の実施の形態を図1〜図5について説明する。
(第1の実施の形態)
この発明の第1の実施の形態を図1〜図5について説明する。
第1の実施の形態は、上述したように、あらかじめ貯蓄空間を十分に形成しておき、急冷凝固金属薄体11を貯めていく方法を示している。
図1〜図5はこの発明の一実施の形態による急冷凝固金属(固化)成形装置を示す断面平面図で、図1は加熱シリンダ1の供給口から急冷凝固薄体を投入しスクリュ回転で固体金属薄体をシリンダ先端方向へ送っている状態を示す図であり、図2は急冷凝固金属薄体をスクリュ回転で送ってシリンダキャップ6とシリンダ1先端の中にある貯蓄部に貯める状態を示す図であり、図3はプランジャの油圧シリンダにかかる圧力が大きくなったことにより、貯蓄部が充満されたことを検知してスクリュ回転を止めた状態でプランジャの回転によって貯蓄部の固体金属薄体にせん断力を与えて固化成形させた状態を示す図であり、図4は油圧シリンダの力でシリンダもしくはシリンダキャップを移動させてシリンダとシリンダキャップの間を開けた状態を示す図であり、図5はシリンダキャップ内のプランジャを前進させて固化成形した急冷凝固金属体を取り出した状態を示す図である。
図1〜図5はこの発明の一実施の形態による急冷凝固金属(固化)成形装置を示す断面平面図で、図1は加熱シリンダ1の供給口から急冷凝固薄体を投入しスクリュ回転で固体金属薄体をシリンダ先端方向へ送っている状態を示す図であり、図2は急冷凝固金属薄体をスクリュ回転で送ってシリンダキャップ6とシリンダ1先端の中にある貯蓄部に貯める状態を示す図であり、図3はプランジャの油圧シリンダにかかる圧力が大きくなったことにより、貯蓄部が充満されたことを検知してスクリュ回転を止めた状態でプランジャの回転によって貯蓄部の固体金属薄体にせん断力を与えて固化成形させた状態を示す図であり、図4は油圧シリンダの力でシリンダもしくはシリンダキャップを移動させてシリンダとシリンダキャップの間を開けた状態を示す図であり、図5はシリンダキャップ内のプランジャを前進させて固化成形した急冷凝固金属体を取り出した状態を示す図である。
即ち、これら図1〜図5において、1は加熱シリンダ、2は加熱シリンダ内にあり材料(急冷凝固金属薄体11)の輸送路である螺旋状の溝が切られたスクリュ、3はスクリュ先端に取り付けられたスクリュヘッド、4はスクリュを回転させるモーター、5はシリンダを加熱するヒーター、6はシリンダと対向する位置にあり、スクリュで送られた固体金属を密閉貯蓄可能なシリンダキャップである。
スクリュヘッド3は、スクリュ回転時にスクリュ2とシリンダキャップ6の間に貯蓄される金属材料に効果的にせん断力を作用させることができるように、端面に凹凸が付けられていることが望ましいが、成形する厚さが薄いため、せん断力が強く必要ない場合には凹凸を無くしたり、スクリュヘッドを無くしたりしても良い。
なお、この場合にも、スクリュ先端の直径がスクリュの外形からフライト高さ(溝深さ)の2倍を引いた値(すなわちスクリュの軸径)よりも大きくなるように拡径化させ、(図3から図4の間の過程で)スクリュよりも先にある材料とスクリュ溝内の材料が切れて離れやすくなるようにしている。
ヒーター5は、図示されないがシリンダ本体に取り付けられた熱電対と温度制御装置によって加熱シリンダ内の急冷凝固金属薄体11を溶融開始温度以下で組織が変わらない温度以下に加熱できるように制御されている。
また、図において、7はシリンダキャップ内にあってシリンダキャップ内貯蓄部に貯められた急冷凝固金属薄体に加圧可能で、且つ貯蓄される金属材料に効果的にせん断力を作用させることができるように先端面に凹凸が付けられているプランジャ、8はプランジャ7に対してスクリュ方向への力を与えることができる油圧シリンダであり、他にもスクリュモーターなどの電動駆動装置でも置き換え可能である。
また、図において、9は図示されない装置架台に対して加熱シリンダ1もしくはシリンダキャップ6を移動させてシリンダ1とシリンダキャップ6の間を開けて貯蓄部で固化成形された急冷凝固金属体12を取り出すための油圧シリンダ等の移動用駆動装置、10はシリンダキャップを加熱するヒーターであり、抵抗加熱ヒーターのほかに急速加熱で固化を促進させるための誘導加熱コイルやスクリュヘッド3とプランジャ7の間でパルス通電加熱することでも代替可能である。
なお、本実施の形態における凝固金属材料は急冷凝固金属薄体11に代えて金属粉末材料であってもよく、これらは、冷却ロールに溶融金属を噴射して急冷させる単ロール方式で作られた急冷凝固金属でリボン状になったものを粉砕してスクリュの溝に入る大きさに調整したものやアトマイズ法による急冷凝固粉末でもよい。
急冷凝固金属体12は、加熱シリンダ1に供給され加熱された急冷凝固金属薄体11や金属粉末材料がスクリュ2先の貯蓄部で回転方向でのせん断力を受けて合体・固化した金属体であり、本発明により急冷凝固金属として成形されるものである。
更に、図において13は貯蓄部の固体急冷凝固金属にせん断力をかけるためにプランジャ7を回転させるためのモータであり、油圧シリンダ8の外側でプランジャ軸の延長上に取り付けられている。14は加熱シリンダ1の根元側上部に開けられた原料となる急冷凝固金属薄体や金属粒子(粉末)を導入する供給口であり、図示されていないが原料を単位時間当たり設定された量だけ供給するフィーダーを取付けてもよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、最初にスクリュ2を前進させて貯蓄空間がほとんど無い状態にしておき、スクリュ2を回転させて急冷凝固金属薄体11が送られて貯蓄部に入っていくと、スクリュ2を押して貯蓄部を広げていくようにした場合の急冷凝固金属の成形方法を説明するものである。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、最初にスクリュ2を前進させて貯蓄空間がほとんど無い状態にしておき、スクリュ2を回転させて急冷凝固金属薄体11が送られて貯蓄部に入っていくと、スクリュ2を押して貯蓄部を広げていくようにした場合の急冷凝固金属の成形方法を説明するものである。
図6〜図10は第2の実施の形態による急冷凝固金属の成形装置を示す断面平面図であり、図6は加熱シリンダの先端側にスクリュが最前進した状態を示す図であり、図7はスクリュに一定の背圧(貯蓄部への押し付け力)をかけながら回転させることで、貯蓄部に凝固金属薄体を送り貯めながらスクリュが後退している状態を示す図であり、図8は図示されていないエンコーダーによって測定されるスクリュの位置が設定された位置まで後退(スクリュ後退)した状態を示す図であり、図9は油圧シリンダの力でシリンダもしくはシリンダキャップを移動させてシリンダとシリンダキャップの間を開けた状態を示す図であり、図10はシリンダキャップ内のプランジャを前進させて、固化成形した急冷凝固金属体を取り出した状態を示す図である。これら各図の符号において、第1の実施の形態において説明したものと同じものは、それらと同一物であり、ここでの説明は省略する。
これら図6〜図10において、15はスクリュ後退を行うための油圧シリンダであり、回転するスクリュ1により貯蓄部に急冷凝固金属を貯めつつ、貯まった量の体積分だけスクリュ後退を行いスクリュ先の貯蓄部体積を増加させる。その後退速度は単位時間あたり貯蓄部へ金属薄体や粉末を送る量を決めることになるスクリュ回転速度に合わせて設定されたり、貯蓄部の固体金属量によって変わるスクリュ回転負荷力を一定値以上にするように制御されたり、油圧シリンダ自体のスクリュとは逆側(図では右)の油にかかる圧力(スクリュを下げようとする力)を予め設定した設定値範囲内にするように制御されたりすることで貯蓄部の急冷凝固金属に圧力をかけながら必要な体積の貯蓄部を作り出せるようにしている。16は加熱シリンダ内に酸化防止のためのアルゴンガスなど不活性ガスを供給するガス供給口である。
なお、図示していないが、第2の実施の形態のようにスクリュ後退させながら貯蓄していく方法において、同時に実施の形態1に示したように、プランジャ7を回転させる機構を組み合わせて、せん断力を両側から加えるようにすれば、より強固に効果的に固化させることができる。
1 加熱シリンダ、2 スクリュ、3 スクリュヘッド、4,13 モーター、5,10 ヒーター(加熱手段)、6 シリンダキャップ、7 プランジャ、8,15 油圧シリンダ、9 油圧シリンダ等移動用駆動装置、11 急冷凝固金属薄体、12 急冷凝固金属体、14 原料供給口、16 ガス供給口。
Claims (8)
- 金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を加熱シリンダ内に供給し、加熱シリンダのスクリュ回転によって前記固体金属を加熱シリンダの前方に送りながら固体状態である溶融開始温度以下に加熱し、加熱シリンダ先端にある貯蓄部に前記固体金属を貯蓄し、貯蓄部の固体金属に圧縮力とせん断力を加えることで固化成形する金属の固化成形方法。
- 金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属を加熱シリンダ内に供給し、加熱シリンダのスクリュ回転によって前記固体金属を加熱シリンダの前方に送りながら固体状態である溶融開始温度以下に加熱し、加熱シリンダ先端にある加熱シリンダ先端と対向する位置に設けられたシリンダキャップとシリンダの間でスクリュ先端の前方にある空間に前記固体金属を貯蓄し、スクリュに対向する位置にあるプランジャで貯蓄された前記固体金属を圧縮しながらプランジャを回転させてせん断力を加えることで固化成形する金属の固化成形方法。
- スクリュがシリンダキャップ側に前進した状態でスクリュ回転を行い、貯蓄部に固体金属が送られて貯蓄される固体金属の体積が増えると共に、軸方向に一定の圧縮力をかけているスクリュが後退しながら、徐々に固化成形を行う請求項1又は請求項2に記載の金属の固化成形方法。
- シリンダキャップに貯蓄された固体金属を急速加熱するため、誘導加熱またはパルス通電加熱の少なくともいずれか一方を用いて、圧縮せん断力をかけながら急速加熱して固化成形を行う請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の金属の固化成形方法。
- 原料として使用する固体金属がアルミニウム、マグネシウム、チタンなどの軽金属の急冷凝固金属であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の金属の固化成形方法。
- 前記軽金属の急冷凝固金属に、アルミナ、炭化珪素、炭素など添加することでマトリックス金属の特性を向上させる無機物もしくは金属の強化材が添加されていることを特徴とする請求項5に記載の金属の固化成形方法。
- 金属薄体もしくは金属粒子などの固体金属が供給されるシリンダと、
前記シリンダ内に供給された前記固体金属を前記シリンダの前方に回転しながら送るスクリュと、
前記スクリュにより前記シリンダの前方に送られる固体金属を溶融開始温度以下に加熱する加熱手段と、
前記シリンダの前方に送られ、シリンダ先端に設けられた貯蓄部に貯蓄された前記固体金属を圧縮力とせん断力を加えることで固化成形する固化成形手段と
を備えてなる金属の固化成形装置。 - 前記スクリュの先端部の直径がスクリュ軸の直径よりも広くなっている請求項7に記載の金属の固化成形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003304158A JP2005068537A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 金属の固化成形方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003304158A JP2005068537A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 金属の固化成形方法及びその装置 |
Publications (1)
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JP2005068537A true JP2005068537A (ja) | 2005-03-17 |
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ID=34407920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003304158A Withdrawn JP2005068537A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 金属の固化成形方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005068537A (ja) |
-
2003
- 2003-08-28 JP JP2003304158A patent/JP2005068537A/ja not_active Withdrawn
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