JP2005046763A - 環境汚染物質の処理方法 - Google Patents

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康弘 阿部
Kinichi Tsunoda
欣一 角田
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眞知子 瀧上
Takuji Kojima
拓治 小嶋
Mitsumasa Taguchi
光正 田口
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Abstract

【課題】 排水中のダイオキシン類、ダイオキシン類前駆体又はフェノール系内分泌撹乱化学物質を高い分解効率で処理する方法を提供する。
【解決手段】 ダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを添加して当該ダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体を分解するか、あるいはフェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを、pH4以下またはpH10以上の条件下で添加して前記フェノール系内分泌撹乱化学物質を分解する環境汚染物質の処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ダイオキシン類、ダイオキシン類の前駆体またはフェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを添加して汚染水中の当該有害物質を分解する環境汚染物質の処理方法に関するものである。
ジベンゾパラジオキシン、ジベンゾフランに塩素が1〜8ヶ結合した化合物の総称であるダイオキシン類は、非常に強い毒性を持つことが知られている。ダイオキシン類は、熱や酸、アルカリなどに対して極めて安定であり、生分解性が低く、脂溶性であるため、一度生成すると生態系では分解しにくく体内に蓄積しやすい。ダイオキシン類は、特に都市ごみの焼却による発生量が著しく高く、焼却飛灰を含んだ土壌の処理問題や工場などから排出されるダイオキシン類含有廃水の処理問題が指摘されている。
一方、近年、動物の生体内に取り込まれた場合、本来その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の化学物質である内分泌撹乱化学物質(EDCs)、いわゆる環境ホルモンによる水環境の汚染が問題視されている。このため、内分泌撹乱化学物質を水環境中に排出しない技術、安全な化合物まで分解する技術が要求されている。内分泌撹乱化学物質のうち、フェノール系内分泌撹乱化学物質は環境中に広く存在しており、特に廃棄物埋め立て処分場の浸出水や下水中には0.07〜2,980ppbという高濃度で高頻度に検出されている。
これらのダイオキシン類やフェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水の処理方法としては、活性汚泥による生物学的処理法、活性炭吸着等による物理学的処理法、オゾン、塩素系酸化剤、超臨界水処理等を用いる化学的処理法が知られている。このうち、活性汚泥による処理では、高濃度の汚染物質が存在する場合に分解効率が著しく悪くなること、分解処理に長時間を要すること、活性汚泥槽を設置する場合に広い敷地が必要になるという問題がある。また、活性炭による物理学的処理では、ほとんどの汚染物質を吸着、除去することができるが、汚染物質を安全な化合物まで分解しないこと、また焼却処理、再生等の二次処理が必要になる等の問題点ある。化学的処理法の一つであるオゾン処理は、オゾン発生器の設置にコストがかかり、ランニングコストが高く、また低級有機酸から無機炭素への分解が進行しにくいことが問題となっている。さらに、塩素系酸化剤による酸化処理は、条件によってはフミン質やフェノール類と塩素が反応して毒性の高いトリハロメタンやクロロフェノール類が生成することが知られている。さらに、超臨界水処理では、オゾンと同様ランニングコストが高いことや、大量の排水を処理するには不向きであることが懸念されている。
過マンガン酸カリウムは強力な酸化剤であり、フェノールを分解できることが知られている(非特許文献1)。また、本発明者らは過マンガン酸カリウムはフェノール、フェノール系内分泌撹乱化学物質を分解できること、特にフェノール系内分泌撹乱化学物質である2,4−ジクロロフェノール1mg/L水溶液に対して過マンガン酸カリウム16mg/L水溶液を120分間接触させ、またノニルフェノール及びビスフェノールAに対してはそれぞれ過マンガン酸カリウム16mg/Lで水溶液をpH7で60分接触させることにより完全に分解することができることを既に報告している(非特許文献2)。
Bovkov, V.N., Tr. VNII Vodosnabzh., Kanaliz. Gidrotekhn. Sooruzh. I Inzh. Gidrogeol. (USSR), 50, 48(1975). 日本化学会誌(化学と工業化学),2001,No.4,第239頁−242頁
しかしながら、ダイオキシン類又はダイオキシン類前駆体を含有する排水を過マンガン酸カリウムを用いて処理すれば、ダイオキシン類又はダイオキシン類前駆体を効率的に分解できることについては、未だ報告されていない。また、過マンガン酸カリウムによるフェノール系内分泌撹乱化学物質の無害化処理に関しては、実用化レベルに達するのに大量の添加が必要であるためコスト高であり、分解効率が不充分であるという問題が残されていた。
従って、本発明の目的は、上記従来の課題を解決するものであって、過マンガン酸カリウムを利用した新たな環境汚染物質の処理方法を提供すること、また、フェノール系内分泌撹乱化学物質を過マンガン酸カリウムによって処理する際、少量の過マンガン酸カリウムであってもより分解効率の高い処理方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ダイオキシン類やダイオキシン類前駆体を含有する汚染水を過マンガン酸カリウムで処理すれば、ダイオキシン類やダイオキシン類前駆体を効率的に分解できること、フェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水を過マンガン酸カリウムで処理する際、処理pHを一定の範囲に設定することにより、従来の方法よりもさらに効果的にフェノール系内分泌撹乱化学物質を分解することができることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、ダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを添加して当該ダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体を分解する環境汚染物質の処理方法を提供するものである。
また、本発明の第2の発明は、フェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを、pH4以下またはpH10以上の条件下で添加して前記フェノール系内分泌撹乱化学物質を分解する環境汚染物質の処理方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、ダイオキシン類及びその前駆体、並びにフェノール系内分泌撹乱化学物質の分解を従来よりもさらに効率的に行うことができる。従って、ダイオキシン類及びその前駆体、並びにフェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する河川、工場排水、下水、廃棄物処理場浸出水を浄化して、排水、放流できるため、産業上の有用性は高い。
第1の発明において、汚染水中に含まれるダイオキシン類(以下「DXNs」と略する)としては、下記一般式:
Figure 2005046763
(式中、m又はnは0又は整数で且つm+n=1〜8)で表される塩素化ジベンゾパラジオキシン(以下「PCDDs」と略する)、下記一般式;
Figure 2005046763
(式中、m又はnは0又は整数で且つm+n=1〜8)で表される塩素化ジベンゾフラン(以下「PCDFs」と略する)が挙げられる。このうち、5塩素化体以上、好ましくは6塩素体以上、更に好ましくは7塩素体以上のPCDDs又はPCDFsを含む汚染水に過マンガン酸カリウムを添加して処理すると分解効率が著しく高くなり、本発明の効果が顕著に表れる。
汚染水中に含まれるダイオキシン類前駆体としては、クロロフェノール類(以下「CPs」と略する)が挙げられる。CPsの具体例としては、2−クロロフェノール(以下「2CP」と略する)、4−クロロフェノール(以下「4CP」と略する)が挙げられる。CPsは汚染水中に1種又は2種以上含まれていてもよい。CPsは加熱することによって縮合反応を起こし、ダイオキシン類が発生する。
第1の発明において、汚染水としては、少なくともダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体が含有されていればよく、例えば、廃棄物埋め立て処理場の浸出水、下水、地下水、工場の排水、あるいは、DXNsやCPsで汚染された焼却灰や土壌から水で抽出した抽出物等が挙げられる。汚染水中に含まれるDXNsやCPsの濃度としては、特に制限されず、数ng/dmのようなわずかな量であってもよい。
上記汚染水に過マンガン酸カリウムを添加する方法としては、特に制限されないが、例えば、DXNsやCPsを含む汚染水に、過マンガン酸カリウム水溶液又は過マンガン酸カリウム粉末を添加する方法が挙げられる。このうち、DXNsやCPsを含む汚染水に、過マンガン酸カリウム水溶液を添加する方法が、DXNsやCPsと過マンガン酸カリウムの反応が効率的に行われる点で好ましい。また、過マンガン酸カリウム水溶液にDXNsやCPsを含む汚染水を添加してもよく、過マンガン酸カリウム水溶液とDXNsやCPsを含む汚染水を同時に混合する方法であってもよい。過マンガン酸カリウム水溶液濃度としては、特に制限されないが、過マンガン酸カリウムの飽和濃度近くの4〜6重量%水溶液とすることが、過マンガン酸カリウム水溶液の添加量を少なくすることができる点で好ましい。
第1の発明において、該汚染水に添加する過マンガン酸カリウムの添加量としては、特に制限されないが、DXNsを単独で含む汚染水の場合は、DXNsに対して10倍モル以上であることが好ましく、CPsを単独で含む汚染水の場合はCPsに対して1〜20倍モルであり、好ましくは3.5〜10倍モルである。また、DXNsやCPsを含む汚染水の多くが、汚染水中に他の有機化合物、例えばフミン質が含有されていることから、これらの有機化合物との反応により過マンガン酸カリウムが消費されてしまうため、過マンガン酸カリウムの使用量は、汚染水に含まれる全炭素含有量(TOC)でその使用量を決定することが好ましく、この場合過マンガン酸カリウムの使用量は、DXNs及びCPsのいずれの化合物においても、TOCに対して1〜30倍量とすることが好ましい。
第1の発明において、処理下でのpH条件としては、特に制限されないが、4以下、又は10以上とすることが、pHを中性付近で同量の過マンガン酸カリウムにより同時間処理を行った場合に比べて、分解率が著しく向上する点で好ましい。また、処理温度としては、特に制限されないが、10〜90℃であり、処理時間は15分〜24時間、好ましくは1〜4時間である。
DXNs含有汚染水に過マンガン酸カリウムを添加すると、DXNsと過マンガン酸カリウムが反応し、PCDDs、PCDFsいずれについても、特に高塩素化体ほど過マンガン酸カリウムによって容易に分解することができる。例えば、PCDDsの8塩素化体は60%以上、PCDFsの8塩素化体は70%程度を分解することができる。同様に、PCDDsの7塩素化体は60%、PCDFsの7塩素化体は60%程度を分解することができる。
一方、CPs含有汚染水に過マンガン酸カリウムを添加すると、CPsと過マンガン酸カリウムが反応し、CPsの開環反応が起こり、有機酸を経由して無機炭素まで分解されるため、分解の過程で分解生成物として芳香族系化合物を生じない。分解物としては、ギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸、及びこれらの塩素化体を経由して、最終的には無機炭素と塩素イオンにまで分解することができる。
本発明に係る第2の発明は、フェノール系内分泌撹乱化学物質(以下、「P−EDCs」と略する)を含有する汚染水に、過マンガン酸カリウムを、pH4以下またはpH10以上の条件下で添加して前記フェノール系内分泌撹乱化学物質を分解する環境汚染物質の処理方法である。なお、「pH4以下またはpH10以上の条件下で添加して」とは、少なくとも反応開始時、好ましくは反応開始時からP−EDCsの分解率50%まで、更に好ましくは反応開始時から反応終了時までが上記pHの範囲内にあることを言う。
第2の発明における汚染水としては、少なくともフェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水であれば特に制限されず、例えば、フェノール系内分泌撹乱化学物質を含む廃棄物埋め立て処理場の浸出水、下水、地下水、工場の廃水、あるいはフェノール系内分泌撹乱化学物質で汚染された土壌から水で抽出した抽出物等が挙げられる。また、汚染水に含まれるフェノール系内分泌撹乱化学物質の濃度としては、特に制限されず、数ng/dmのようなわずかな量であってもよい。
汚染水中に含まれるフェノール系内分泌撹乱物質としては、ビスフェノールA(以下「BPA」と略する)、ノニルフェノール(以下「NP」と略する)、4-tert-ブチルフェノール(以下「BuP」と略する)、及び2,4-ジクロロフェノール(以下「DCP」と略する)などが挙げられる。
第2の発明において、pHを4以下にした場合には、pHが中性付近で同量の過マンガン酸カリウムを用いて同時間処理を行った場合に比べ、P−EDCsの分解率を1.2〜10倍程度向上させることができる。当該処理方法によれば、中性付近で処理を行った場合に比べ、より少ない過マンガン酸カリウム量で同量のP−EDCsを分解することができ、また同じ過マンガン酸カリウムの添加量で比較すると、より短い時間で同量のP−EDCsを分解することができる。また、pHを10以上にした場合には、pHが中性付近で同量の過マンガン酸カリウムによる処理を行った場合に比べ、P−EDCsの分解率を1.2〜5倍程度向上させることができる。
フェノール系内分泌撹乱化学物質を含む汚染水が、前記pHの範囲のものであればそのまま過マンガン酸カリウムと反応させて酸化分解処理を行えばよいが、前記pH範囲外の汚染水の場合は、酸またはアルカリを添加し、当該範囲のpHに調整した後、過マンガン酸カリウムと反応させて分解処理を行う。pH調整で用いる酸としては、例えば、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられる。これらの酸は1種又は2種以上で用いることができる。また、pH調整で用いるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等が挙げられる。これらのアルカリは1種又は2種以上で用いることができる。
第2の発明における過マンガン酸カリウムの添加量は、P−EDCsを単独で含む汚染水の場合には、P−EDCsに対してモル比で1〜30倍量、好ましくは9〜27倍モルである。また、汚染水中に他の有機化合物を含む場合、過マンガン酸カリウムの添加量は、前記同様、汚染水中の他の有機化合物との反応を考慮して、汚染水に含まれるTOCに対して1〜30倍量であることが好ましい。
第2の発明の処理において、処理方法、処理温度、処理時間など他の条件については、第1の発明と同様であるため、その説明を省略する。
第2の発明において、P−EDCsの過マンガン酸カリウムによる反応は、低pH領域の場合と高pH領域の場合でそれぞれ異なる機構に起因しているものと考えられる。すなわち、反応系が酸性側の場合に分解効率が向上するのは、過マンガン酸カリウムの酸化力が向上するためと考えられる。過マンガン酸カリウムは下記反応式に示すように中性付近では3、酸性側では5の電子を受け取ることができる。つまり、過マンガン酸カリウムは反応系のpHを変化させることでその酸化力に差異が現れ、反応系を酸性にすることで過マンガン酸カリウムの酸化力が高くなり、DCP、NP及びBPAなどのP−EDCsの分解効率が高くなると考えられる。
Figure 2005046763
一方、反応系がアルカリ側の場合、中性の場合と比べて高い分解効率を発現するのは、過マンガン酸カリウムによる酸化力の変化によるのではなく、P−EDCsの構造中の電子状態が変化するためと推察される。例えばフェノールはpHが酸性側ではフェノールの状態、アルカリ性ではフェノレートイオンの状態で存在する。フェノレートイオンの反応速度は電子供与性が高くなるためフェノールの状態よりも著しく速い。このため、P−EDCsにおいてもフェノレートイオンの状態で存在するアルカリ性では、過マンガン酸カリウムとの反応性が高く、高い分解効率が発現するものと考えられる。
第1の発明及び第2の発明において、工業レベルで大量の汚染水の処理を行う場合、例えば、廃棄物埋め立て処分場の浸出水をタンクに溜め、次いで第2の発明であれば、上記pHの範囲となるように必要に応じて酸又はアルカリをタンクに添加し、次に両発明共に、過マンガン酸カリウムを浸出水に含まれるTOCに対して1〜30倍量添加し、10〜90℃で1〜4時間攪拌を行うことにより過マンガン酸カリウムとDXNs、CPs又はP−EDCsを反応させ、これらの分解処理を行う。
第2の発明においては、P−EDCsが分解した後、pHを中性付近に戻す。pHを中性付近にしたとき、処理水に赤紫色が残存していたら(過マンガン酸カリウムが残存している場合)、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素、硫酸第一鉄等の還元剤を添加して残存過マンガン酸カリウムを還元処理して、二酸化マンガンを沈澱させ、上澄みを排水として河川、もしくは下水に流す。また、処理水のSS(浮遊物質)が環境基準200mg/lを上回る場合、凝集剤を添加し沈降分離する。凝集物である二酸化マンガンは残土として廃棄する。
また、大量の汚染水の処理方法は、上記バッチ式処理方法に限定されず、流通式処理方法も使用できる。すなわち、河川、排水、地下水を処理場に流入し、バッチ式処理方法と同様、第1発明は任意、第2発明は必須のpH調整、過マンガン酸カリウムの添加を行う。この時、添加量、反応条件等の条件は上記バッチ式処理方法と同様である。生成した沈殿物は処理場の沈殿槽において沈降させ、DXNs、CPs又はP−EDCsを含有しない排水はpHを中性付近に調整した後、そのまま河川、下水に放流する。また、DXNs、CPs又はP−EDCsを含有する汚染水を予め活性炭で吸着する等して濃縮した後に、本発明の処理を行ってもよく、さらに他法、例えばオゾン、過酸化水素、紫外線、γ線などの電離放射線照射、活性炭等との併用も可能である。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
<ダイオキシン類(DXNs)>
4−8塩素化ジベンゾパラジオキシン(PCDDs)と4−8塩素化ジベンゾフラン(PCDFs)の混合標準溶液(Cambridge Isotope Laboratories,Inc.社製ダイオキシン類標準試料、純度99%以上、ノナン溶媒)を用い、過マンガン酸カリウムによる分解を行った。用いたDXNs混合標準溶液の成分を表1に示す。
Figure 2005046763
DXNs混合標準溶液を遠沈管に入れ、加熱しながら窒素ガスにてノナンを蒸発させた。続いて遠沈管に超純水を加え、超音波を用いてDXNs水溶液を調製した。
また、過マンガン酸カリウムを超純水に溶解させ、4.5重量%の過マンガン酸カリウム水溶液を調製した。次いで前記方法で調製したDXNs水溶液に過マンガン酸濃度が10,000μMとなるように過マンガン酸カリウム水溶液を添加し、室温(25℃)にて放置し、24時間後、Na・5HOを過マンガン酸カリウム粉体量に対して重量比3:1となるように添加することにより反応を終了させた。
各試料を分液ろうとに移し入れ、トルエンでダイオキシン類の抽出を行った。脱水処理後の溶液を、ロータリーエバポレーター、加熱下における窒素ガスの吹き付けにより濃縮し、当該濃縮物についてガスクロマトグラフ質量分析装置(二重収束型高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計、JEOL社製MStationJMS700)を用いてDXNs濃度を分析した。
定性、定量解析にはJEOL社製のソフトウェアDiokを用いた。GC−MSにより測定した各ダイオキシン類の初期濃度、分解後の濃度、及び分解率を表2及び表3に示す。なお、分解率とは反応前後のダイオキシン類の濃度差を反応前のダイオキシン類濃度で除し百分率で表した値である。
Figure 2005046763
Figure 2005046763
各ダイオキシン水溶液に過マンガン酸カリウムを添加すると赤紫色に呈色し、24時間分解処理後の試料の色は依然赤紫色であった。これにより、分解処理後のダイオキシン水溶液に過マンガン酸カリウムが多量に残存していることがわかった。
PCDDsについては、2,3,7,8−TeCDD濃度は分解前後で差異はほとんど見られず、2,3,7,8−TeCDDは過マンガン酸カリウムにより分解されにくいことがわかった。しかし、5塩素化体である1,2,3,7,8−PeCDDは25%分解し、さらに塩素置換数の多い6塩素化体1,2,3,4,7,8−HxCDD、1,2,3,6,7,8−HxCDD、1,2,3,7,8,9−HxCDDでは50%程度の分解率を示した。また、7塩素化体である1,2,3,4,6,7,8−HpCDD及び8塩素化体であるOCDDでは、60%以上の分解率を示し、4−8塩素化体全体で約50%のPCDDsが過マンガン酸カリウムにより分解された。
また、PCDFsについては、PCDDsと同様、4塩素化体である2,3,7,8−TeCDFはほとんど濃度減少を示さなかったが、5塩素化体1,2,3,7,8−PeCDF、2,3,4,7,8−PeCDFは20%程度分解した。また、6塩素化体である1,2,3,4,7,8−HxCDF、1,2,3,6,7,8−HxCDF、1,2,3,7,8,9−HxCDFは約40〜50%分解した。さらに7塩素化体である1,2,3,4,6,7,8−HpCDF、1,2,3,4,7,8,9−HpCDFは55%、8塩素化体であるOCDFでは70%程度の分解率を示し、4−8塩素化体全体で約50%のPCDFsが過マンガン酸カリウムにより分解された。このように、過マンガン酸カリウムによるダイオキシン類の分解は、特に高塩素体の分解に適していることが判る。
<フェノール系内分泌撹乱化学物質>
2,4−ジクロロフェノール(DCP)、ノニルフェノール(NP)、及びビスフェノールA(BPA)(いずれもGLサイエンス株式会社製、内分泌撹乱化学物質標準品、純度99%)を濃度1mg/dm、pHがそれぞれ2、4及び10となるように超音波を用いて超純水に溶解させた。pHの調整は硫酸及び水酸化ナトリウムを用いた。次いでこのように調製された試料20mlをバイアル瓶に入れ、0.2重量%の過マンガン酸カリウム水溶液を0.16ml(過マンガン酸カリウム粉体量16mg/dm)添加した。
室温にてそれぞれ表4に示す時間攪拌を行い、その後Na・5HOを1mg(過マンガン酸粉体量に対して重量比で3:1)添加することにより反応を終了させた。生成した二酸化マンガンを0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ろ液について残存するDCP濃度、NP濃度及びBPA濃度をそれぞれ測定した。なお、DCP濃度、NP及びBPA濃度の測定は下記に示すSPME−GC法(A Solid Phase Micro Extraction-Gas chromatographic method;固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ分析法)を用いた。
(SPME−GC法)
試料15mlを20mlバイアル瓶に入れ、3.0gの塩化ナトリウムを溶解させた後、SPMEファイバー(SUPELCO製 85μm ポリアクリレートファイバー)に20分間各化合物を抽出、濃縮させた。その後ガスクロマトグラフにおいてSPMEファイバーを3分間熱脱離し、残存フェノール濃度を測定した。ガスクロマトグラフの分析条件を以下に示す。
ガスクロマトグラフ;HP5890
カラム;CP−Sil8 CB−MS(0.25mmI.D.×30m df=0.25μm)
オーブン温度;60−280℃(昇温 10℃/分)
キャリアーガス;ヘリウム
キャリアガス流速;30ml/分
スプリット;30:1
インジェクション温度;280℃
検出器;FID
ディテクター温度;280℃
分解率;(A−B)×100/A (%)
但し、Aはブランクのフェノール濃度(mg/dm)を示し、Bは分解試料中のフェノール濃度(mg/dm)を示す。
比較例1〜比較例9
pH6.8の試料をそれぞれ調製した以外は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
Figure 2005046763
表4の結果を判り易くするため、図でも表示した(図1〜3)。表4及び図1〜3から明らかなように、DCPについては、pHが中性付近(pH6.8)の場合、反応時間15分では40%の分解率を示しているのに対し、pHを4、10に調整することにより、それぞれ50%、60%の分解率を示した。反応時間120分の場合も中性付近より高い分解率が得られた。また、pHを2に調整した場合は反応時間15分で分解率100%となり、DCPを完全に分解した。NP、BPAでも同様にpHを酸性側、アルカリ性側にすることでpHが中性付近の場合に比べ、分解率が著しく向上することが認められた。
4−t−ブチルフェノール(BuP)、ビスフェノールA(BPA)(いずれもGLサイエンス株式会社製、内分泌撹乱化学物質標準品、純度99%)をそれぞれ50μmol/dmとなるように超音波を用いて超純水に溶解させた。試料溶液1.5dmを2.0dmのガラス容器に入れ、15分間バブリングすることにより空気飽和させた。この試料を50cmのガラス製ねじ口瓶(径40×75mm、ガラス厚さ1mm)に入れた。
過マンガン酸カリウムを超純水に溶解させ、0.2重量%の過マンガン酸カリウム水溶液を調製した。試料溶液に過マンガン酸カリウム濃度が表5に示す濃度となるように過マンガン酸カリウム水溶液を所定量添加し、24時間、室温(25℃)にて放置した。その後、残存BuP濃度、残存BPA濃度、分解生成物の種類およびその濃度、有機炭素量(TOC)について以下の測定を行った。結果を表5、図4〜図8に示す。図4は20μmol/lの過マンガン酸カリウムでBuP(最下段)、BPA(下から2段目)を分解した際のHPLCクロマトグラムを示すHPLCのチャートであり、図5はICクロマトグラムのチャートである。
(HPLC測定)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、残存BuP濃度、残存BPA濃度及び生成した分解生成物の定性、定量分析を行った。分解生成物の定性、定量分析は、予め濃度の既知である標準物質と溶出時間、ピーク面積を対比することにより行った。なお、分析条件は以下の通りである。
装置:Agilent 1100 series
検出器:UV/vis (280nm)
カラム:RSpak DE-613(2.1mmi.d.×100mm)Shodex製
オーブン温度:40℃
溶離液:水−メタノール(25:75)
流速:1.0cm/分
(IC測定)
サプレッサー式イオンクロマトグラフィー(IC)を用いて、分解生成物として生成した有機酸の定性、定量分析を行った。有機酸の定性、定量分析は、予め濃度既知の標準物質との溶出時間、ピーク面積を対比することにより行った。なお、分析条件は以下の通りである。
装置:Metrohm 761 Compact IC
カラム:Shodex IC SI 90-4E(4.0mm i.d.×250mm)
温度:室温
溶離液:Na2CO3、NaHCO3の混合溶液(Na2CO3:1.8mM、NaHCO3:1.7mM)
流速:1.2cm/分
(TOC測定)
試料中の残存有機炭素量をTOC分析計を用いて測定した。全炭素量測定(TC)、無機炭素量測定(IC)の検量線作成用溶液にはそれぞれフタル酸カリウム、NaHCO/NaCO(等モル)を使用した。TOCを完全酸化させるため、試料にペルオキシ二硫酸ナトリウムを添加すると共にUV照射(85℃)を行った。生成した二酸化炭素は非分散式赤外検出器により測定した。
Figure 2005046763
図4中、ピーク(a)は残存BuP、ピーク(b)は残存BPAによるものである。また溶出時間が3分以下のピーク(d)、(e)は過マンガン酸カリウムの添加量に伴って増加した。過酸化水素による過マンガン酸カリウムの還元試料のHPLCクロマトグラムを図4の最上段に示すが、このクロマトグラムでも(d)、(e)と同様のピークが見られることから、ピーク(d)、(e)はBuPやBPAに起因する化合物ではないと推察される。通常、過マンガン酸カリウムは過酸化水素と反応し、二酸化マンガン、もしくはこれに関連するマンガン化合物に還元される。従って、ピーク(d)、(e)は二酸化マンガンまたはこれに類似した化合物に起因していると思われる。また、通常、UV/vis検出器(280nm)を用いた場合、芳香族系化合物の存在を確認することができるが、過マンガン酸カリウムで分解した試料のHPLCクロマトグラムには上述の二酸化マンガン、これに類似した化合物のピーク以外検出されていない。このことから、過マンガン酸カリウムによるBuPやBPAの分解では直接的な芳香環の開環反応が行われていることと推察される。また、BPAが分解した試料に小さなピーク(c)が観察されたが、このピークがどのような化合物かを明らかにすることはできなかった。
図5において、ピーク(f)はシュウ酸、ピーク(g)はマレイン酸、ピーク(h)はリンゴ酸、ピーク(i)はギ酸である。反応後の分解試料では有機酸としてギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸が同定され、過マンガン酸カリウムによりBuP、BPAが低級有機酸まで分解されることが分った。
表5及び図7に過マンガン酸カリウムのBuP分解における残存BuP濃度、分解生成物であるギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸の各濃度、及びTOC値を示す。残存BuP濃度は過マンガン酸カリウム添加量に伴って直線的に減少し、過マンガン酸カリウム添加量80μMで、BuPは完全に分解した。一方、分解生成物である有機酸の濃度はBuPが完全分解する80μM以上で急激に増加した。TOC値は過マンガン酸カリウム添加量80μMまで一定値であり、それ以上では有機酸生成量の増加に伴った減少が見られた。
表5及び図8に過マンガン酸カリウムのBPA分解における残存BPA濃度、分解生成物であるギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸の各濃度、及びTOC値を示す。BuPと同様に、BPAは過マンガン酸カリウム添加量80μMで完全に分解した。また、有機酸濃度、TOC値はBuP試料と同様にBPAが完全分解する80μM以上で増加、減少する傾向が見られた。
図6に過マンガン酸カリウムによるBuP、BPA分解における炭素収率を示す。ここで、炭素収率とは分解前の炭素数に対する残存するBuP、BPA中の炭素、同定された分解生成物である有機酸中の炭素、さらに無機炭素の合算量をいい、次式を用いて算出されるものである。
Figure 2005046763
式中、Aは残存BuP、BPA、同定された有機系分解生成物の合計(μM)を示し、BはTOC値から算出した無機炭素量の合計(μM)を示し、TOCはBuP及びBPA初期濃度の有機炭素量(mg/dm)を示し、TOCは反応後の有機炭素量(mg/dm)を示し、Tは試料の初期炭素量の合計(BuP500μM、BPA750μM)を示す。
図6から、過マンガン酸カリウムによるBuP、BPA分解では、両者が完全に分解する80μMで5%以下の低い収率しか得られていない。このことから、過マンガン酸カリウムによるBuP、BPAの分解反応では、反応初期には芳香環の開環反応により生成した未同定の有機系化合物の存在が認められる。しかし、さらに過マンガン酸カリウムの添加量を増加するに伴い、ギ酸等の低級有機酸及び無機炭素の量が増加し、その結果炭素収率が増加する。このことから、過マンガン酸カリウムによるBuP、BPA分解では、過マンガン酸カリウム添加量をさらに増加することにより、低級有機酸さらには無機炭素まで分解することが可能である。
<クロロフェノール類(CPs)>
2,4−ジクロロフェノール(DCP)、ノニルフェノール(NP)及びビスフェノールA(BPA)に代えて、2−クロロフェノール(2CP)、4−クロロフェノール(4CP)及び2,4−ジクロロフェノール(24DCP)(いずれもGLサイエンス株式会社製、クロロフェノール類標準品、純度99%)を使用した以外は、実施例2〜28と同様の方法により過マンガン酸カリウムによる分解及び各種の測定を行った。なお、分解生成物はIC測定により、遊離塩素(Cl)の定量も行った。結果を表6及び図9〜17に示す。図9は20μmol/lの過マンガン酸カリウムで2CP、4CP及び24DCPを分解した試料のHPLCクロマトグラムを示す。図10は240μmol/lの過マンガン酸カリウムで2CP、4CP及び24DCPを分解した試料のICクロマトグラムを示す。
Figure 2005046763
図9において、ピーク(j)は残存2CP、ピーク(m)は残存4CP、ピーク(n)は残存24DCPによるものである。ピーク(k)、(l)は前述と同様、二酸化マンガンまたはこれに類似した化合物に起因していると思われる。また、これら以外のピークが観察されなかったことから、過マンガン酸カリウムによるCPsの分解過程では芳香族系化合物は生成せず開環反応が行われていることと思われる。
図10において、反応後の分解試料ではClのピーク(r)が見られ、過マンガン酸カリウムによるCPsの分解では脱塩素化反応が進行していることが分かった。また、有機酸としてギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸が同定され、CPsが低級有機酸まで分解されることが分かった。
表6、図11〜16から明らかなように、残存2CP濃度、残存4CP濃度及び残存24CP濃度は過マンガン酸カリウム添加量の増加に伴って曲線的に減少し、過マンガン酸カリウム添加量180μM又は240μMで残存量は0μMとなり、2CP、4CP及び24CPは完全に分解した。また、いずれのCPsも過マンガン酸カリウム添加量の増加に伴ってCl濃度が増加し、脱塩素化反応の進行が認められた。TOC値は徐々に減少し、特に過マンガン酸カリウム添加量180μMから顕著な濃度減少を示した。分解生成物として生成したギ酸、シュウ酸、マレイン酸の各濃度は、過マンガン酸カリウム添加量に伴って直線的に増加した。
図17に過マンガン酸カリウムによるCPsの濃度変化の比較を示す。CPs濃度はいずれも過マンガン酸カリウム添加量の増加に伴って曲線的に減少し、三種類の化合物の濃度減少に明らかな差異が見られた。すなわち減少率が高い順に、24DCP>4CP>2CPであった。
図18に分解生成物として生成した有機酸中の炭素量の合計、およびTOC減少率の比較を示す。TOC減少率は分解前後のTOC値より算出した。有機酸生成量は反応初期から過マンガン酸カリウム添加量180μMまで直線的に増加し、その後一定値となった。また、三種類のCPsの有機酸生成量は2CP>4CP>24DCPの順であった。さらに、TOC減少率は120、180μM以上で急激に増加する傾向が見られた。特に24DCPでは分解初期にその他CPsと同様、もしくはそれ以下の減少率であるのに対し、180μM以上では最も高い減少率を示した。
図19に過マンガン酸カリウムのCPs分解における過マンガン酸カリウム添加量とCl収率の関係を示す。収率は次式を用いて算出した。
Figure 2005046763
式中、Dは生成したCl量(μM)を示し、EはCl減少量(μM)を示し、CはCPs初期濃度(50μM)を示し、Cは残存CPs濃度(μM)を示し、nは2CP、4CPではn=1、24DCPではn=2を示す。
図19から明らかなように、過マンガン酸カリウムの少ない添加量では、全CPsにおいて50%以下の低いCl収率しか得られなかった。しかし、過マンガン酸カリウム添加量の増加に伴ってCl収率は増加し240μMで約80%の高収率を示した。このことから、過マンガン酸カリウムによるCPs分解では、反応初期で塩素原子を含有する未同定化合物の存在は認められたが、過マンガン酸カリウム添加量を増加させることにより、最終的には完全にClまで分解できる可能性が示された。
図20に過マンガン酸カリウムによるCPs分解の炭素収率を示す。ここで、炭素収率は前述の炭素収率の式において、BuP、BPAの代わりに、CPsを用いたものである。各CPs分解の炭素収率は過マンガン酸カリウム添加量の増加に伴って徐々に減少し、80μMで50%程度の低い値を示した。しかし、過マンガン酸カリウムの高添加量では同定可能な有機酸、無機炭素の生成による炭素収率の増加が認められた。また、各CPの炭素収率は高い順に2CP>4CP>24DCPであった。
前述のように、HPLCクロマトグラムには芳香族系の分解生成物のピークは見られない。また、低級有機酸生成量、およびCl収率は過マンガン酸カリウム添加量に伴って増加している。さらに有機化合物の総量を示すTOC値は過マンガン酸カリウム添加量が増加するとともに減少する傾向が見られる。これらのことから、過マンガン酸カリウムによるCPsの分解では、芳香族環の直接的な開環反応を介して、脂肪族系の含塩素有機化合物が生成し、これらがさらに過マンガン酸カリウムと反応し、最終的には低級有機酸、無機炭素そしてClまで分解すること考えられる。
また、図17に示すように、過マンガン酸カリウムによるCPsの分解では、曲線的は濃度減少を示し、その減少率は24DCP>4CP>2CPの順である。このことから過マンガン酸カリウムによるCPsの分解は、フェノールに結合した塩素原子の位置や数の影響を受けやすいことが分かる。同じ一つの塩素原子を有する2CPと4CPを比較すると、有機酸生成量、TOC減少量、そしてCl収率は4CPよりも2CPの方が高い。これら結果は、分解効率の低い2CPでは、開環反応により生成した分解生成物と過マンガン酸カリウムが反応しやすいことを示している。一方、高い分解効率を示す24DCPでは、分解初期で有機酸生成量、TOC減少率、Cl収率が低いのに対し、分解後期でTOC減少率、Cl収率が急激に増加している。これは、過マンガン酸カリウムと24DCPの優先的な反応後に、開環反応により生成した分解生成物および有機酸と過マンガン酸カリウムの反応が始まるためと思われる。
DCPの分解率を反応時間とpHとの関係で示した図である。 NPの分解率を反応時間とpHとの関係で示した図である。 BPAの分解率を反応時間とpHとの関係で示した図である。 BPA、BuPの分解生成物のHPLCチャートである。 BPA、BuPの分解生成物のICクロマトチャートである。 BPA、BuPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と炭素収率の関係を示す図である。 BuPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と有機酸などの関係を示す図である。 BPAの分解における過マンガン酸カリウム添加量と有機酸量などの関係を示す図である。 2CP、4CP及び24DCPの分解生成物のHPLCチャートである。 2CP、4CP及び24DCPの分解生成物のICクロマトチャートである。 2CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と塩素イオン量などの関係を示す図である。 2CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と有機酸量などの関係を示す図である。 4CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と塩素イオン量などの関係を示す図である。 4CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と有機酸量などの関係を示す図である。 24CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と塩素イオン量などの関係を示す図である。 24CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と有機酸量などの関係を示す図である。 2CP、4CP及び24CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量とCPs濃度の関係を示す図である。 2CP、4CP及び24CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と有機酸量などの関係を示す図である。 2CP、4CP及び24CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と塩素イオン量の関係を示す図である。 2CP、4CP及び24CPの分解における過マンガン酸カリウム添加量と炭素収率の関係を示す図である。

Claims (6)

  1. ダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを添加して当該ダイオキシン類又はダイオキシン類の前駆体を分解することを特徴とする環境汚染物質の処理方法。
  2. 前記ダイオキシン類が、塩素化ジベンゾパラジオキシン又は塩素化ジベンゾフランであることを特徴とする請求項1記載の環境汚染物質の処理方法。
  3. 前記ダイオキシン類の前駆体が、クロロフェノール類であることを特徴とする請求項1記載の環境汚染物質の処理方法。
  4. 前記過マンガン酸カリウムの添加量が、前記クロロフェノール類に対するモル比で3.5倍以上であることを特徴とする請求項3記載の環境汚染物質の処理方法。
  5. フェノール系内分泌撹乱化学物質を含有する汚染水に過マンガン酸カリウムを、pH4以下またはpH10以上の条件下で添加して前記フェノール系内分泌撹乱化学物質を分解することを特徴とする環境汚染物質の処理方法。
  6. 前記フェノール系内分泌撹乱化学物質が、ビスフェノールA、アルキルフェノール、又は2,4-ジクロロフェノールであることを特徴とする請求項5記載の環境汚染物質の処理方法。
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