JP2005041816A - Dna活性阻害方法および生物活性抑制方法 - Google Patents

Dna活性阻害方法および生物活性抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
DNA活性を阻害する方法を提供する。
【解決手段】
化学式(I)
【化1】

および/または化学式(II)
【化2】

で示されるキノリン誘導体を、DNA活性を阻害しようとする対象物に添加し、UVを照射することを特徴とするDNA活性阻害方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生物活性の抑制方法およびDNA活性阻害方法に関する。
<A>DNA結合化合物
DNAに結合するという性質を有する化合物(DNA結合化合物)が知られており、DNA結合化合物は、抗生物質、抗腫瘍性物質、その他の医薬品、細胞(特に核酸)染色剤等のさまざまな用途に用いられている。また、これらの化合物は、DNAに結合することから、突然変異や発がん性などの毒性を持つものもある。以下に、これまで知られているDNA結合化合物の概要を列挙する。
1.抗腫瘍性抗生物質
(1−1)アンスラサイクリン(Anthracycline)系抗腫瘍物質
(a) ダウノマイシン(daunomycin)
ダウノマイシンは、ストレプトミセス・ペウセティウス(Streptomyces peucetius)の生産するAnthracycline系抗生物質である。制がん剤として用いられる。白血病に対して有効である。DNAの二重鎖にインターカレートし核酸合成を阻害する。非特許文献1にDNA結合様式に関する記載がある。
(b) ドキソルビシン(Doxorubicin、アドリアマイシン(adriamycin)ともいう)
ドキソルビシンは、ダウノマイシンのCOCH3 がCOCH2 OHに変わったものである。ダウノマイシンより抗がんスペクトルが広く、白血病のみならず、固形がんにも広く用いられる。
(c) アクラシノマイシン(Aclacinomycin)
アクラシノマイシンは、ストレプトミセス・ガリラエウス(Streptomyces galilaeus)の生産するAnthracycline系抗生物質である。Daunomycin、adriamycinより心毒性が低く、急性白血病、悪性リンパ腫、乳がん他に臨床的に使用される。
(d) ナガラマイシンA(nagalamycin A)
ナガラマイシンAについては、非特許文献1に記載がある。
(1−2)フェノキサゾン(phenoxazone)系抗腫瘍性抗生物質
フェノキサゾン系抗腫瘍性抗生物質は、ストレプトミセス・パルブラス(Streptomyces parvullus)やストレプトミセス・アンチバイオチクス(Streptomyces antibioticus)が生産する抗腫瘍性抗生物質で、抗菌作用も強い。アクチノマイシン(Actinomycin)類は、構成アミノ酸の違いにより20種余りに分類されるが、生産菌の培地に特定のアミノ酸を添加することにより、それぞれ異なったactinomycinが得られる。Actinomycin Dは、制がん剤として臨床的にて用いられている。また生化学試薬としても使われている。DNA二重鎖に結合しRNA合成を阻害する。
(1−3)ネトロプシン(netropsin)
ネトロプシンは、ストレプトミセス・ネトロプシス(Streptomyces netropsis)より得られる抗生物質である。DNA二重鎖のマイナーグルーブ(minor groove)に結合する。非特許文献1に記載がある。
(1−4)アンスラマイシン
アンスラマイシンは、ストレプトミセス・レフイネアス(Streptomyces refuineus)の一種である、Streptomyces refuineus var.thermotolerans の生産するピロロ(1,4)ベンゾジアゼピン系の抗生物質である。培養濾液よりn-ブタノールに抽出される。酸、アルカリ、熱に不安定である。主としてグラム陽性菌に抗菌力を示し、グラム陰性菌、カビに対する抗菌力は微弱である。抗腫瘍性も示す。二本鎖DNAと結合し、RNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼの反応を阻害するが、RNAポリメラーゼに対する阻害の方が強い。非特許文献1にDNA結合様式に関する記載がある。
2.その他医薬品
(2−1)ソラレン化合物
ソラレン類は長波長紫外線処理により活性が高められる性質を有しており、この性質を利用して乾癬等の治療に高い効果を上げている。DNA結合活性、DNAに関与する細胞機能解明のための試薬としても用いられている。ソラレン(Psoralen)、8-メトキシソラレン(8-Methoxypsoralen、略記「8-MOP」)、5-メトキシソラレン(5-Methoxypsoralen、略記「5-MOP」)、4,8,5'-トリメチルソラレン(4,8,5'-Trimethylpsoralen、略記「TMP」)、アンゲリシン(Angelicin)、4'-ヒドロキシメチル-4,8,5'-トリメチルソラレン(4'-Hydroxymethyl-4,8,5'-trimethylpsoralen、略記「HMT」) などがある。
(2−2)ポドフィロトキシン
ポドフィロトキシンは、北米ポドフィラム・ペルタテューム(Podophyllum peltatum L.(メギ科))の地下茎などより得られる。皮膚に炎症を起こすとともに抗腫瘍作用を示す。
3.染料
(3−1)アクリジン色素
アクリジン色素は、塩基対とほぼ平行に重なり合うようにDNA塩基対間に入り込むインターカレーション(intercalation)を生じる。このためフレームシフト突然変異やプラスミッドの除去を引き起こす。アクリジンオレンジ(Acridine orange)、ICR-170、ICR 10 は発がん性が認められている。また、キノリン(Quinoline)、およびアクリジン(acridine)化合物には、光動力学作用があることも知られている。
(a) アクリフラビン(Acriflavin)
アクリフラビンは、DNAの塩基対間にインターカレート(intercalate)しフレームシフト突然変異を起こす。RNAの合成を阻害する。グラム陽性菌に対してもグラム陰性菌に対しても強い抗菌力を示し、局所殺菌剤として感染症の治療に用いられる。トリパノゾーマ、トリコモナスなどの原虫に対しても有効である。
(b) アデプリン(キナクリンあるいはアクリナミン);
アデプリンは、抗マラリア剤として使われる。
(3−2)メチレンバイオレット(Methylene violet)
メチレンバイオレットはDNA 二重鎖にインターカレートする。また、細胞内のウイルスを不活化する。
4.生化学試薬
(4−1)ヘマトキシリン(hematoxylin)
ヘマトキシリンは、中南米産のログウッド(logwood、学名;Haematoxylon campechianum L)の心材から得られる。結晶は白色ないし黄色である。光にあたると赤みを帯びる。溶液を放置すると暗色になる。(アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と)キレートを形成すると染色剤になり、核、染色体、ミトコンドリアなどを青紫色に染める。核を染色することから、DNA結合活性があることが予想されている。
(4−2)ヘマトキシリン−エオシン染色(hematoxylin-eosin staining)
ヘマトキシリン−エオシン染色は、ヘマトキシリン(hematoxylin)で細胞核を青紫色に、エオシン(eosin)で細胞質細胞質物質の大部分を赤く染める。
(4−3)エチジウムブロミド(ethidium bromide)
エチジウムブロミドは、フェナントリジン(Phenanthridine)系の色素である。核酸と相互作用するため、核酸のゲル電気泳動の染色に用いられる。二塩基間に挿入(インターカレーション(intercalation))され300nmの紫外線を吸収したり、核酸に吸収された260nmの紫外線が、エチジウムブロミドにエネルギー転移されると590nmの蛍光を放射するので、核酸のバンドの検出に有効である。また、DNAら旋の巻数を変化させる、インターカレーション効果を用いたDNAの構造研究にも応用される。負の超ら旋にエチジウム ブロミドが1分子インターカレートされると12゜ら旋の巻き戻りが起こる。30分子によって1巻きほどかれる。これは沈降計数の減少で追跡できる。DNAにインターカレートされると、DNAの正常な複製や転写を妨げるため、突然変異誘起剤の効果を持つ。
5.毒物
(5−1)ベンゾピレン
これ自身ではDNAと反応しないが、代謝酵素による産物中でベイ領域エポキシドの7,8-ジオール、9,10-エポキシドはDNAとの反応性が高く、グアニン塩基付加体の形成がin vivoでも確かめられている。これが究極的な発がん物質と考えられている。
(5−2)アフラトキシン
アフラトキシンは、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)より単離される。1960年英国における七面鳥大量へい死事件の原因物質である。広範囲の鳥獣魚に対して致死毒性を示す。強い発がん性を有する。生体内では2,3位の二重結合がエポキシ化された後、核酸に結合することで作用を発揮すると考えられている。
6.その他
(6−1)ディクタミン
ディクタミン(Dictamnine)は、シキミ(Skimmia japonica Thunb.)等の植物から得られる。ディクタミンは、DNA二重差に結合することが知られている。またこの化合物は、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して抗微生物活性を示す。
(6−2)シキミアニン
この化合物は、光照射により変異原生を生じることが非特許文献2に報告されている。
Neidle S.and Numm C.M.Natural Product reports 15 1-15(1998) Schimmer O, Kuhne I., Mutagenic compounds in an extract from Rutae Herba (Ruta graveolens L.). II. UV-A mediated mutagenicity in the green alga Chlamydomonas reinhardtii by furoquinoline alkaloids and furocoumarins present in a commercial tincture from Rutae Herba, Mutat Res 243, 57-62, 1990
本発明は、DNA活性を阻害する方法および生物活性を抑制する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、植物の抽出物から、1つの指標として、抗微生物活性のある化合物を探索していたところ、ミカン科の植物より抽出されるフラノキノリン化合物(コクサギニンkokusaginine、ハプロピンhaplopine)およびピラノキノリン化合物(フリンダーシンflindersine)について、UVを照射することによって、抗微生物活性が極めて顕著に増大することを見出した。この化合物を特定したところ、これらの化合物のうち特定の化合物が光増感性のDNA結合活性を有することを見出し、またこれらの化合物のうち特定の化合物が、光増感性の生物活性阻害性を有すること見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の通りである。
(1) 化学式(I)
および/または化学式(II)
で示されるキノリン誘導体を、DNA活性を阻害しようとする対象物に添加し、UVを照射することを特徴とするDNA活性阻害方法。
(2) 前記対象物に照射するUVの強度が、10kJ/m2以上である、前記(1)に記載のDNA活性阻害方法。
(3) 化学式(I)
、化学式(II)
および化学式(III)
で示されるキノリン誘導体から選ばれる少なくとも1種を、生物活性を阻害しようとする対象物に添加し、UVを照射することを特徴とする生物活性阻害方法。
(4) 前記対象物に照射するUVの強度が、15kJ/m2以上である、前記(3)に記載の生物活性阻害方法。
(5) 前記対象物が、バチルス・スブチリス、メシチリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、メシチリン感受性スタフィロコッカス・アウレウス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス、およびフザリウム・オキシスポラムからなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記(3)に記載の生物活性抑制方法。
本発明の上記化学式(I)および/または(II)で示されるキノリン誘導体は、DNA結合活性を用いた生化学試薬として使用することが可能であり、DNA損傷の修復機構に関する研究に有用である。
また、本発明の上記化学式(I)および/または(II)で示されるキノリン誘導体は、DNAに結合し、DNAの複製およびRNAの転写を阻害することでDNAが関与する細胞機能を阻害するため、細胞機能阻害剤あるいは、細胞増殖抑制剤としての働きが期待される。
さらにまた、上記化学式(I)、(II)および(III)で示されるキノリン誘導体から選ばれる少なくとも1種は、微生物を始めとする各種細胞に対する抗生物剤として用いることが可能である。
従来のDNA結合性化合物に関する技術と比較して、本発明の特徴は光照射により活性を制御可能な点にある。これにより、光を照射した部分にのみ必要とされる活性を発現させることが可能であり、光照射範囲を狭めれば局所的な利用法が、広い範囲に光を照射すれば、全身的な効果を期待できる。
本発明は、紫外線(UV)を照射することによりDNAに結合する活性が著しく増幅する化合物を投与して、DNAの複製、転写などのDNA活性を阻害する方法である。本発明の方法はDNA活性を阻害するため、ひいては生物活性を抑制する方法でもある。本明細書においては、光を照射して化学的な活性が生じる又は増強する化合物のことを「光増感性化合物」といい、光を照射することによりDNAに結合する又はDNAに結合する活性が増強する化合物を「光増感性DNA結合剤」という。
まず、本発明のDNA活性阻害方法について説明し、後に生物活性抑制方法について説明する。本発明のDNA活性阻害方法では、今まで光増感性を有することが知られていなかった光増感性化合物が用いられる。1つは上記化学式(I)で示されるキノリン誘導体であり、もう1つは上記化学式(II)で示されるキノリン誘導体である。化学式(I)で示されるキノリン誘導体はコクサギニン(kokusaginine)という化合物である。化学式(II)で示されるキノリン誘導体は、ハプロピン(haplopine)という化合物である。本発明のDNA活性阻害方法では、これら2種の化合物のうち少なくとも1種を、DNA活性を阻害しようとする対象物に添加すればよく、双方を添加してもよい。さらに、既知のDNA結合剤などを併用してもよい。
上記化学式(I)、(II)で示されるキノリン誘導体は合成してもよいが、様々なミカン科植物に含まれており、例えば、下記の文献に示された方法で単離することが可能である。
コクサギニン:
S. Mitaku, A. L. Skaltsounis, F. Tillequin, M.Koch, et J. Pusset; Plantes de Nouvelle-Caledonie. Alkaloids des ecorces de Sarcomelicope dogniensis Hartley, Ann.pharmaceutiques francaises, 4 7,149-156, 1989
ハプロピン:
S. Mitaku, A. L. Skaltsounis, F. Tillequin, M.Koch; Plantes de Nouvelle-Caledonie, CVI. Alkaloids de Sarcomelicope glauca, Journal of Natural Products, 4 9, 1091-1095, 1986
本発明で用いられる光増感性DNA結合剤の添加量は、DNA100ngに対して、好ましくは500pmol以上、特に好ましくは1000pmol以上である。これらの範囲以上であれば、十分かつ円滑にDNA活性を阻害することができる。DNA活性を阻害するという点からは特に添加量に上限はないが、所定量を超えると添加量に応じたほどの効果は得にくくなる。
本発明のDNA活性阻害方法では、対象物に上記のDNA活性阻害剤を添加し、UVを照射する。上記化学式(I)で示されるコクサギニン、上記化学式(II)で示されるハプロピンは、光を当てなくても二重鎖DNAにインターカレートすると考えられるが、UVを照射することによりDNAに結合する。DNAに結合させるために照射するUVの強度は、好ましくは10kJ/m2以上であり、より好ましくは20kJ/m2以上である。照射するUVの波長は、好ましくはUVAの波長域である315〜400nm程度である。
本発明で用いられる上記光増感性DNA結合剤は、二重鎖DNAに結合するため、DNA活性を阻害する。DNA活性阻害とは、より具体的には、DNAポリメラーゼ阻害、これに起因するDNAの複製阻害および細胞分裂阻害、さらにRNAポリメラーゼ阻害、これに起因するRNA転写阻害およびタンパク質合成阻害などが挙げられる。
DNA活性を阻害しようとする対象物はDNAを含むものであり、二重鎖DNA分子を含む細胞、微生物などが対象物として特に好適である。
化学式(I)、(II)および(III)で示されるキノリン誘導体から選ばれる少なくとも1種は、生物活性を阻害または抑制する抗生物剤として用いることもできる。
上記化学式(III)で示される化合物は、フリンダーシン(Flindersine)であり、合成してもよいが、様々なミカン科植物に含まれており、例えば、下記の文献に示された方法で単離することが可能である。
フリンダーシン:
S. Mitaku, A. L. Skaltsounis, F. Tillequin, M.Koch; Plantes de Nouvelle-Caledonie, XCVI. Alkaloides de Geijera balansae, Journal of Natural Products, 4 8, 772-777, 1985
すなわち本発明は、DNA活性阻害法と同様に、コクサギニン、ハプロピンおよびフリンダーシンのうち少なくとも1種を対象物に添加しUVを照射することにより、これらの化合物を抗微生物剤、抗腫瘍剤、光化学療法剤、乾癬等の皮膚病に対する薬剤などの医薬として利用する方法を提供するものである。
したがって、本発明は、生物活性を抑制する方法を提供するものでもある。本発明の生物活性抑制方法が特に有効に適用される具体例を例示すると、例えば、グラム陽性バクテリアである、バチルス・スブチリス(和名:枯草菌、学名:Bacillus subtilis)、メシチリン耐性およびメシチリン感受性スタフィロコッカス・アウレウス(和名:黄色ブドウ球菌、学名:Staphylococcus aureus)、真菌である、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)などに対して好適であり、特に好ましくは、メシチリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、カンジダ・アルビカンスなどに好適である。
生物活性を抑制するためにコクサギニン等を用いる場合の好ましい添加量は、上記DNA活性阻害剤として用いる場合の添加量を1つの目安とすることができ、対象とする生物の種類などの条件に応じて適宜調整すればよい。好ましい添加量の例を具体的に例示すると、コクサギニンの場合、メシチリン耐性を有するスタフィロコッカス・アウレウスおよびカンジダ・アルビカンスのそれぞれに対しては最小限濃度として、3.1nmol/spot(およそ3.9μg/ml)および50nmol/spot(およそ62.5μg/ml)程度である。ハプロピンの場合、それぞれ12.5nmol/spot(およそ15.6μg/mlおよび50nmol/spot(およそ62.5μg/ml)程度である。
フリンダーシンの場合、メシチリン耐性スタフィロコッカス・アウレウスおよびカンジダ・アルビカンスのそれぞれに対しては最小限濃度として、12.5nmol/spot(およそ15.6μg/ml)および200nmol/spot(およそ250μg/ml)である。
生物活性を抑制するために照射するUVの強度は、好ましくは15kJ/m2以上であり、より好ましくは30kJ/m2以上である。
コクサギニン、ハプロピンおよびフリンダーシンをDNA活性阻害剤または抗生物剤とする場合の剤形には特に制限はなく、医薬品、試薬として一般的に用いられるさまざまな剤形とすることができる。例えば、そのものを乾燥させて、粉末、粒状などにしておいてもよいし、また、例えば、含エタノール水溶液などの基材または溶媒に配合してもよい。さらに、光増感性DNA結合活性を損なわない限りにおいて、他のDNA活性阻害剤、医薬、試薬と混合してもよい。DNA活性阻害剤等の中の、コクサギニン、ハプロピンおよびフリンダーシンの濃度は、用途などに応じて適宜調整することができる。
下記に実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
TLCオーバーレイ法による生物検定は、Saxena, G., Farmer, S., Towers, G. H. N., & Hancock, R. E.W., Use of specific dyes in the detection of antimicrobial compounds from crude plant extracts using a thin layer chromatography agar overlay technique. Phytochemical Analysis, 6, 125-129, 1995 の方法を一部改良して行った。
すなわち、DMSOに溶解させた20mM濃度の各化合物を、滅菌した蒸留水を用いて順次2倍に希釈していき、8段階の濃度の溶液を準備した。それぞれの濃度の溶液10μlを厚さ0.2mmの薄層シリカゲルに直径が9mmになるようにチャージした。
これを9cm四方の角形ペトリ皿に入れ、このうえに、液体培養を2度繰り返した微生物200μlとミュラー・ヒントン(細菌用)あるいはサブロード・デキストロース(真菌用)寒天培地(加熱により寒天を完全に溶解した後に50℃以下に冷やしたもの)20mlを混合したものを注ぎ、寒天が固化した後に37℃で一夜培養した。紫外線を照射するものに関しては、37℃で30分培養した後に、31.7kJ/mのUVAを照射後、再び37℃で一夜培養した。MTT(5mg/ml)を噴霧し、阻止円を目立たせた後に、これらを観察した。この操作を2度繰り返した。結果を図1に示した。
なお、図1において、コクサギニン、ハプロピンおよびフリンダーシンのメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(左)およびカンジダ・アルビカンス(右)に対する抗微生物活性を示した。UVは31.7kJ/mの長波長紫外線(UVA)を照射した。
Dark:UVA非照射。
左上部図中に示したように、各スポットに、それぞれの化合物を200,100,50,25,12.5,6.25,3.13および1.56nmolずつチャージした(スポット上部の寒天培地中の化合物濃度は、それぞれ約1000,500,250,125,62.5,31.3,15.6,7.8μMになる)。
その結果、コクサギニンは、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌に対して暗所において50nmol/スポットの濃度まで抗微生物活性を示したが、紫外線を照射することによりこの活性は、3.1nmol/スポットでも見られ、その活性は16倍に高まった。カンジダ・アルビカンスに対しては、暗所において200nmol/スポットの濃度まで抗微生物活性を示したが、紫外線を照射することによりこの活性は、50nmol/スポットにまで4倍に高まった。
ハプロピンは、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌に対して暗所において200nmol/スポット(約1mM)の濃度でも抗微生物活性を示さなかったが、紫外線を照射することで、12.5nmol/スポットの濃度まで活性が現れた。カンジダ・アルビカンスに対しても200nmol/スポットの濃度でも抗微生物活性を示さなかったが、紫外線を照射することで、50nmol/スポットの濃度まで活性が現れた。
フリンダーシンは、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌に対して暗所において200nmol/スポットの濃度でも抗微生物活性を示さなかったが、紫外線を照射することで、12.5nmol/スポットの濃度まで活性が現れた。カンジダ・アルビカンスに対しても200nmol/スポットの濃度でも抗微生物活性を示さなかったが、紫外線を照射することで、200nmol/スポットの濃度でかすかな活性が現れた。
したがって、いずれの化合物もメシチリン耐性黄色ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスに対して光活性化作用による抗微生物活性を示すことが明らかとなった。
(DNA結合活性)
図2に示したポリリンカーサイトを有する1518残基の塩基配列をもつ二重鎖DNA(配列番号1)を構築し、これに化合物を作用させ、UVAを照射あるいは非照射処理したものを各種の制限酵素で切断し、得られるDNA断片を観察することで、化合物のDNA結合活性を調べた(Fujinori Hanawa, Mamoru Okamoto and G. H. Neil Towers, Inhibition of Restriction Enzyme's DNA Sequence Recognition by PUVATreatment, Photochemistry and Photobiology, 2001,74(2): 269-27)。
すなわち、1.5kbDNA断片(100ng)を1nmolの各化合物(20mMのDMSO溶液を滅菌水で40倍希釈したもの2μl)と混合し滅菌水を加え8μlにした。これらに対して氷上で24.1kJ/mのUVAを照射したものと(U)、しないものを準備し(D)、それぞれに対して、5ユニットの各制限酵素([0.5μl]、1μlの10倍濃度の緩衝液、および必要に応じて1μlのBSA溶液)、を加え、37℃で1時間反応させた後、1%のアガロースゲル電気泳動により分析した。この際臭化エチジウムによりDNAを染色した。
DNA結合活性のある化合物は、DNAに結合することで制限酵素の基質となるDNAの構造を変化させるため、制限酵素が働かなくなる。この結果1.5kbのDNA断片は、切断されずに、もとの大きさのまま残ることになる。従って、1.5kbのDNA断片の切断の有無をゲル電気泳動により観察することにより、化合物のDNA結合活性を調べることができる。
その結果を図3に示した。
その結果、コクサギニンおよびハプロピンは、光照射することによりDNA断片に結合し、制限酵素の活性を阻害することが明らかとなった。これらの化合物は、これまで同様の活性が知られているソラレン(psoralen)とは異なり、制限酵素の認識部位に5’−TpA配列を有しない制限酵素も阻害していることから、コクサギニンおよびハプロピンの塩基配列に対する特異性は,ソラレンのそれより低く、より広い範囲の活性を示すことが明らかとなった。またフリンダーシンは、これらの活性を示さなかった。したがって、図1で見られたフリンダーシンの光活性化作用による抗微生物活性の作用点は、DNAでないことが分かる。
本発明は、DNA活性を阻害する方法および生物活性を抑制する方法を提供することができる。
コクサギニン、ハプロピンおよびフリンダーシンのメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(左)およびカンジダ・アルビカンス(右)に対する抗微生物活性を示した寒天培地の代用写真。 実施例2で使用した1.5kbのDNA断片を示す図。 コクサギニン、ハプロピンおよびフリンダーシンの光活性化作用によるDNA結合活性を示したアガロースゲル電気泳動の代用写真。

Claims (5)

  1. 化学式(I)
    および/または化学式(II)
    で示されるキノリン誘導体を、DNA活性を阻害しようとする対象物に添加し、UVを照射することを特徴とするDNA活性阻害方法。
  2. 前記対象物に照射するUVの強度が、10kJ/m2以上である、請求項1に記載のDNA活性阻害方法。
  3. 化学式(I)
    、化学式(II)
    および化学式(III)
    で示されるキノリン誘導体から選ばれる少なくとも1種を、生物活性を阻害しようとする対象物に添加し、UVを照射することを特徴とする生物活性阻害方法。
  4. 前記対象物に照射するUVの強度が、15kJ/m2以上である、請求項3に記載の生物活性阻害方法。
  5. 前記対象物が、バチルス・スブチリス、メシチリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、メシチリン感受性スタフィロコッカス・アウレウス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス、およびフザリウム・オキシスポラムからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項3に記載の生物活性抑制方法。
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