本発明は駆動回路とはしご形回路からなる電気信号線路、プラズマディスプレイあるいは液晶表示装置等のマトリクス型電子デバイスおよびマトリクス型電子デバイス装置に関し、特にそれらの波形計算、疑似回路、製造方法、駆動方法および測定方法等に関するものである。
情報通信分野に不可欠である平面型表示パネル、半導体記憶デバイスおよび撮像デバイス等の電子デバイスは、座標軸のy方向とx方向に絶縁体を挟んで導体が形成され、y方向とx方向に形成される導体の交点には表示素子、記憶素子あるいは撮像素子が配置されるマトリクス構造を有する。以降、マトリクス構造を有する電子デバイスをM型デバイスと略する。
上記のM型デバイスには、液晶パネル(以降、LCDと略す)、プラズマ表示パネル(以降、PDPと略す)および有機ELパネル(以降、ELDと略す)等の平面型表示パネル、ROMあるいはRAM等の半導体記憶デバイスおよび電荷結合素子(以降、CCDと略す)等の撮像デバイスが該当する。
M型デバイスのy方向とx方向に形成される導体をそれぞれ信号線と走査線とする。信号線と走査線との交点に形成される表示素子(画素ともいう)、記憶素子あるいは撮像素子を機能素子と定める。機能素子はM型デバイスの基本的な構成単位である。
機能素子は、液晶や有機EL等の有機物質(絶縁体)、PDPに使用される気体およびトランジスタあるいはCCD等の半導体素子等もしくはこれらの複合体からなる。
信号線および走査線の駆動端から機能素子に適正な電気信号を送り、M型デバイスの性能を十分に発揮させる適正な駆動を実現するには 機能素子に適正な電気信号を加えねばならない。電気信号は信号線および走査線の駆動端に加えられ、信号線および走査線によって機能素子に伝達される。
信号線および走査線等の駆動端に電気信号を加えることを駆動と呼び、M型デバイスの性能を十分に発揮させることを適正な駆動あるいは最適駆動と呼ぶことにする。最適駆動を実現するには、機能素子に加わる電気信号を正確に求めることが望まれる。さらに、機能素子に加わる電気信号を解析することにより、より性能が優れたM型デバイスおよびその駆動法を開発することが可能である。
信号線あるいは走査線と機能素子とを含めて電気的に等価な回路で記述すると、機能素子に加わる適正な電気信号を求めることによりM型デバイスの適正駆動が実現できる。
従来から、信号線あるいは走査線と機能素子とを含めた等価回路として抵抗とキャパシタからなるはしご形回路が用いられ、機能素子に加わる電気信号が計算されている。以下にそのはしご形回路について説明する。
図106はM型デバイスの概略の構成図である。85は信号線、86は走査線である。87は機能素子である。88は85あるいは86の駆動端子である。89は85を駆動する信号線駆動回路および90は86を駆動する走査線駆動回路である。89および90を総称する場合には単に駆動回路と呼ぶ。
91は85あるいは86の終端である。93はM型デバイスである。92は共通端子で、93の内部に配線される共通線(共通配線ともいう)に接続される。共通線は85あるいは86に加えられる電気信号の基準となる電圧が加えられる。
図107はM型デバイスの機能素子を説明する図である。a、bおよびcは87の端子である。端子a、bおよびcはそれぞれ85、86および94に接続される。94は共通線である。
図106および図107は87の端子数が3のM型デバイスを一例にした構成図である。端子数が2の87を有するM型デバイスもある。端子数が3の機能素子にはトランジスタ等の能動素子が形成され、端子数が2の機能素子には能動素子が形成されない。
以降、トランジスタ等の能動素子が形成されたM型デバイスをアクティブM型デバイスおよび能動素子が形成されないM型デバイス(表示デバイスに多い)を受動M型デバイスと表記する。なお、受動M型デバイスについても図106の符号を用いる。
図106および図107はアクティブM型デバイスの構成の一例を示す図である。受動M型デバイスは図106から92を削除した構成である。受動M型デバイスの機能素子は図107から94を削除した構成で、端子aおよびbの2端子からなる。
87は87の損失を無視した場合にキャパシタと半導体素子で記述される。受動M型デバイスは信号線と走査線との間に固体あるいは気体等の誘電物質(酸化膜、液晶層、EL層あるいは放電用ガス)を挟み込む構造(サンドイッチ構造とも呼ばれる)であり、機能素子をキャパシタで表すことができる。
M型デバイスの駆動には線順次駆動が用いられる。線順次駆動は、走査線を順次選択走査し、選択した走査線上の機能素子に所定の電気信号を加える駆動である。選択される走査線に加えられる電圧をV2、非選択の走査線に加えられる電圧をV1とする。
図108は受動M型デバイスの駆動を説明する図である。受動M型デバイスの駆動には線順次駆動が用いられる。図108のキャパシタは87を表す。85および86の本数はそれぞれMおよびNである。選択されたxjにはV2およびxj以外の86にはV1が加えられる。
図108において、87のキャパシタンスをcpおよび86の機能素子当たりの抵抗をrxとする。容量結合により、xjはキャパシタンスが{n/(n-1)}*cpのキャパシタとrxからなるはしご形回路で表すことができる。
図109は走査線と共通線をはしご形回路で表した図である。Mは数百以上あるのでcx=cpが成り立つ。xjを除く86にはV1が加えられるので、96はV1が加えられる86を並列に接続した86からなり、94と同様の働きする。95は並列に接続した86の駆動端子で92に相当する。96は94と見なせる。
ほぼすべての86にV1が加えられるので、86と同様に85もはしご形回路で表すことができる。図110は信号線と共通線をはしご形回路で表した図である。ryは機能素子当たりの信号線の抵抗で、cyはほぼ機能素子のキャパシタンスでcy=cpである。
図109および図110に示すように受動M型デバイスの信号線と走査線は、機能素子を単位にした抵抗とキャパシタによるはしご形回路で表すことができる。なお、96の抵抗はほぼ0と見なしている。
図111はアクティブM型デバイスの構成を説明する図である。図111の符号は図106および図107と同じ符号を用いる。96は電界効果トランジスタ(FET略す)で、87に形成される能動素子である。97は87のキャパシタである。図111は87を96と97で表した図である。
85の88に加えられた電気信号は、選択された86に接続するFET96を経由して各キャパシタ97に加えられる。FET96
はアナログスイッチとして機能する。共通端子92には機能素子87の動作点を定める電圧が加えられる。
機能素子の動作点を定める電圧を基準電圧とする。92は基準電圧を加える電極で94は基準電圧の電位になる。図109で説明したように、受動M型デバイスでは非選択の86が94の機能を果たすので、92を必要としないのである。
図112はアクティブM型デバイスの走査線と共通線と表す等価回路の一例を示す図である。cdは97である。cxは85(図111ではxjで示す)と92間の87当たりのキャパシタである。rxはxjの87当たりの抵抗である。94の抵抗はほぼ0と見なしている。
cxにcdを含めると、アクティブM型デバイスの85も、図109と同様のはしご形回路で表すことができる。同様に、アクティブM型デバイスの85もはしご形回路の等価回路で表せる。
通常、信号線あるいは走査線はパルス駆動される。信号線あるいは走査線よ共通線は、はしご形回路を形成するために駆動パルスが歪み、駆動端近くと終端近傍とに配置される機能素子それぞれに加わる電気信号の波形が互いに異なる。
駆動パルスの歪みが大きい場合に当初予測した機能素子の性能が十分に発揮されない不具合が発生する。表示パネルのように外形寸法が大きく信号線および走査線が長くなる場合に、波形歪みの影響が顕著になり画像品位が劣化する。勿論、表示パネルに限るものではなく、M型デバイスは波形歪みの影響を受ける。
図113は波形歪みの一例を示す模式図である。V(j,1)、V(j,2)、…、V(j,M)は、xjと85との交点電圧で、図109あるいは図112のcxの端子電圧に該当する。Vysは信号線の駆動端に加えられる電圧である。図113ではVysの波形歪みを無視する。
Tpは86を選択する時間で駆動パルスの幅である。1Hは水平走査期間である。V1およびV2はそれぞれ走査線駆動の非選択電圧と選択電圧を表す。Vgは機能素子に必要な最小電圧とする。
V(j,M)は86の終端電圧。V(j,1)は86の駆動端の電圧である。tdは遅延時間である。V(j,M)には抵抗とキャパシタによるtdによる波形歪みが生じる。受動M型デバイスでは85の駆動電圧と85の駆動電圧とを加算した電圧が機能素子に加わるから、86の駆動端(j,1)および終端(j,M)に位置する機能素子の電圧はそれぞれ Vs+V(j,1)およびVs+V(j,M)である。波形歪みにより、Vs+V(j,1)とVs+V(j,M)は異なる波形になる。
アクティブM型デバイスでは、Vgは96がオンする電圧としV1は96がオフする電圧とすると、tdが大きくなると、xjの終端に接続する機能素子に加わるVysが、xj+1の終端に接続される機能素子に加わる。
そのためにcdには適正なVysが加えられず、M型デバイスの性能が発揮できなくなる。cdは、M電子デバイスの記憶素子、撮像素子および表示素子(画素とも呼ばれる)等に該当する。
受動あるいはアクティブM型デバイスのいずれにおいても波形歪みの影響を小さくするには、tdを小さくして、さらにTpを1Hより小さくしなければならない。
走査線を例にして機能素子に与える波形歪みの影響を示した。信号線と共通線についても同様に波形歪みの影響を受ける。信号線あるいは走査線と共通線とをはしご形回路に置き換えて、置き換えたはしご形回路から駆動パルスの波形歪みを数値化できれば、より優れた駆動方法、駆動回路あるいはM型デバイスの設計・開発が実現可能である。
波形歪みを数値化するには、少なくとも図109、図110あるいは図112に示す、はしご形回路の終端電圧を求めることが要求される。パルス駆動時のはしご形回路の終端電圧を得るには、はしご形回路の過渡現象の解が必要で、過渡現象の解は複雑な微分方程式の解法が必要である困難な場合が多い。
これ以降で用いる関数の表記と四則演算記号ついて定義しておく。足し算、引き算、掛け算および割り算にそれぞれ+、-、*、/を使用する。e(e=2.718・・・)のn乗をexp(n)、xのy乗をx^yと表す。
自然対数関数をln(x)、常用対数関数をlog(x)、三角関数をsin(x)、cos(x)、tan(x)とする。Σ[n=1,3]n*sin(n*π)と表記してn=1からn=3までの和、すなわちΣ[n=1,3]n*sin(n*π)=sin(π)+2*sin(2*π)+3*sin(3*π)とする。
図114は従来の波形歪み近似計算法を示す図である。98は振幅がVoのパルス電源である。図114(A)は走査線の駆動をパルス電源とはしご形回路で表した図である。98は90を表す。
図114のV(j,1)〜V(j,M)を求めることは大変に難しいので、図114(B)に示す走査線の駆動モデルによりV(j,M)を計算する方法が従来より用いられている。図114(B)は従来の波形計算法を説明する図である。
Roは89あるいは90の出力抵抗である。Voは電圧がVoの電源である。SWはスイッチである。RjuおよびCjuはそれぞれ抵抗およびキャパシタンスである。
図114(B)では、90をVo、RoおよびSWからなる回路に置き換えて、86をRjuとCjuの直列回路に置き換えて、V(j,M)≒VjuからV(j,M)を求める従来の波形計算法を示す。
tを時間とする。(数1)はt=0でSWを閉じたときのVjuの計算式である。Rju=M*cxおよびCju=M:*Cxである。V(j,M)≒Vjuが成り立つ場合には、Vjuは(数1)から容易に計算できるので、走査線の波形歪みは計算可能になる。
tdは(数1)から容易に計算できるうえ、(数1)には駆動回路の出力抵抗Roが含まれるので駆動回路による波形歪みの影響が数値化できる。V(j,M)≒Vjuが成り立つ場合には(数1)は有効な波形計算式になる。(数1)による波形計算法を従来の波形計算法1と定める。
図114(B)に示すRjuとCjuからなる直列回路を1組RC回路と表記する。図109、図110、図112および図114に示すはしご形回路は、1組RC回路がM組縦列接続される構成を有するのでM組RC回路と表記する。
特許第2950808号公報には、同軸ケーブルの等価回路を分布定数回路で表し解析した結果(波形歪みの解析結果を指す)を利用した波形計算法が記載されている。特許第2950808号に記載される波形計算法を従来の波形計算法2と表記する。
図115は分布定数回路による波形歪み解析を説明する図である。導線1および2は同軸ケーブルあるいは平行導線等が該当する。lは駆動端からの長さで、Lは導線1および2の長さである。
V(l,t)およびV(L,t)はt=0でSWを閉じてVoを駆動端に加えたときの電圧を示す。V(l,t)はlにおける電圧およびV(L,t)は終端電圧である。I(l,t)は導線上の電流である。なお、終端は開放されており、導線1の抵抗が導線2の抵抗より十分大きく、導線2の抵抗がほぼ0と見なせる場合である。
16は導線1および2の分布定数回路を示す図である。rとcからなるはしご形回路は分布定数回路で、導線1および2の等価回路である。図116に示すrとcの分布定数回路で表すことができる。rは導線1および2の単位長さあたりの導線抵抗である。cは導線1と導線2間の単位長さあたりのキャパシタンスである。(数2)はV(l,t)およびI(l,t)の計算式である。
(数2)の導出にはフーリエ級数あるいはラプラス変換等の数学的な手段が用いられる。(数2)の説明は紙数を要するので省略する。
図116による解析は、英仏海峡に海底ケーブルが敷設され、電信の通信が行われたとき、受信された電信波形の歪みが非常に大きかったことから、W.Thomsonが海底ケーブルを図115の分布定数回路として解析を行いその理論的解明をしたことによる。(数2)は分布定数回路の過渡現象の基本として著明であり、電子通信学会大学講座「基礎電気回路3過渡・非線形編」等の電気回路に関する多数の教科書に記載されているものである。
図114のM組RC回路あるいは図116の分布定数回路を構成する抵抗とキャパシタをそれぞれ要素Rおよび要素Cとする。図109、110のrx、ry、cx、cyが該当する。図116のrとcは分布定数回路の要素Cおよび要素Cである。
M組RC回路および分布定数回路の抵抗を要素Rの総和とする。M組RC回路および分布定数回路のキャパシタンスを要素Cの総和とする。要素Cをcおよび要素Rをrとするとき、m組RC回路の抵抗はm*r、キャパシタンスはm*cであり、長さLの分布定数回路の抵抗はΣr=2*L*r、キャパシタンスはΣc=L*rである。図115の導線1に比べ導線2の抵抗が無視できるとき、長さLの分布定数回路の抵抗はΣr=L*rである。
(数2)のn=2以上の指数関数項はtが大になると急速に0に収束することを利用し、lを指数関数に含めると(数3)が得られる。(数3)はsin関数項を1としてn=1の指数関数項にlを含めたV(l,t)の近似式である。
Ro=0の場合に図114(A)のM組RC回路は、分布定数回路に類似しているから、駆動端からの長さlをM組RC回路の駆動端からの組数xに置き換えると(数4)が得られる。(数4)および(数5)は特許第2950808号に記載されている式である。(数4)および(数5)を従来の波形計算法2の計算式とする。
(数4)はt=0でV(x,t)<0である。V(x,t)≒Vo*{1-exp(-π^2*t/(4*rx*cx*x^2)}とするとt=0でV(x,t)=0の初期条件を満たされる。(数5)は初期条件を満たす。(数5)は(2/π)^2*rx*xの抵抗とcを(2/π)^2*cx*xのキャパシタンスからなる1組RC回路の電圧の計算式になる。
(数4)および(数5)は(2/π)^2*rx*xの抵抗とcを(2/π)^2*cx*xのキャパシタンスからなる1組RC回路の電圧ではしご形回路の電圧を近似する計算式である。(数4)および(数5)の理論的な根拠は不確かである。
(数1)および(数5)にはRoが含まれるので、駆動回路による波形歪みが計算可能である。従来の波形計算法1あるいは2が実用的な計算精度を確保できるならば、駆動回路あるいはM型デバイスの設計・開発等のツールとして有効に活用できる。
(数1)の計算結果と(数4)および(数5)の計算結果は互いに一致しないことは明らかである。従来の波形計算法1および2は実用レベルに達しない計算法と考えられる。また、V(l,t)にはRoを含めることができない。
特許第2950808号公報
川上正光執筆 電子通信学会大学講座「基礎電気回路3過渡・非線形編」コロナ社 昭和47年
M型デバイスおよびその駆動方法の設計・開発にはM型デバイスの機能素子に加わる電気信号を正確に求めることが望ましい。少なくともM型デバイスの走査線あるいは終端の電圧が計算可能であることが不可欠である。波形計算を基に適正駆動を実現する駆動法あるいは装置を提供できるからである。しかしながら、従来の波形計算法は下記する課題があり実用とするには問題が多い。
従来の波形計算法1は走査線あるいは信号線を1組RC回路におきかえる理論的根拠が不明で、十分な実用的精度を有するかどうか不確かである。さらに、走査線あるいは信号線の終端電圧しか計算できない。
従来の波形計算法2の主な問題点を以下に列記する。第1は(数4)および(数5)の理論的根拠が不明で、十分な実用的精度を有するかどうか不確かである。(数4)は時間t=0で負になり不合理である。
第2は走査線あるいは信号線と共通端子間のキャパシタンスがC=M*cxのとき(数5)ではキャパシタンスを(2/π)*Cとおくので、走査線と共通端子間の電気量が保存されないことである。(数5)は自然法則を満たさないから、誤差が大きく、産業上有効に利用できないと予想される。
第3は(数2)を走査線あるいは信号線に無条件に適用できないことである。(数4)および(数5)は(数2)から導出される。図115の導線1および2で表される平行導線あるいは同軸ケーブル等は、実用的な範囲でどれだけ分割しても、分割後の波形は(数2)から計算できる。
一方、走査線あるいは信号線はm組RC回路であるから、何回も分割すれば最後に1組RC回路が残り、それ以上に分割できない。1組RC回路の波形計算に(数2)を適用でない。(数2)を走査線あるいは信号線に適用できる条件を示す必要があるが、従来の波形計算法2には示されていない。
走査線あるいは信号線の本数が多いとき、すなわち、mが大きいとき、m組RC回路を分布定数回路と見なすことが可能と予測されるので、m組RC回路を分布定数回路と見なせる最小のmが存在する。
mは走査線あるいは信号線の本数に相当するので、(数2)を走査線あるいは信号線に適用できる条件は、走査線あるいは信号線の本数が最小のm以上であることである。最小のm値を示さない限り、(数2)に基づく波形計算式は、適用範囲が不明確で産業上有効に活用できない。
上記した従来の波形計算法1および2の基本的課題に加えて、駆動回路の出力抵抗等のパラメータが波形計算式に適正に組み込まれていないこと、図109に示す(j,i)の電圧、すなわちM型デバイスの機能素子の電圧が計算できないことおよび駆動電流の計算式がないこと等多数の課題がある。
そのために、従来の波形計算法1および2は、M型デバイスの設計・開発等に十分に応えられず、適正駆動を実現する駆動法あるいは装置を提供するまで至らないという問題が生じるのである。
M型デバイスの走査線あるいは信号線は共通線と共に電気信号を送る電気信号線路を形成し、駆動回路により電気信号線路を駆動して各機能素子を動作させる。走査線、信号線および共通線は導体である。
従って、M型デバイスの波形は、駆動回路と導体からなる電気信号線路の波形計算から求められる。電気信号線路の等価回路が図109あるいは図110に示す抵抗とキャパシタンスからなるはしご形回路である。
以上に列記した課題あるいは根本的問題は、駆動回路と導体からなる電気信号線路の実用的な波形計算法が確立していないことにある。実用的な波形計算法が確立できれば、適正駆動を実現する駆動法あるいは装置を提供することが可能になる。
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、抵抗とキャパシタンスからなるはしご形回路で表される電気信号線路の波形を、電気信号線路の振幅係数と時間係数および駆動回路の出力抵抗等のパラメータにより、正確かつ容易に計算可能で比較的簡易な構成の波形計算法を提供すると共に、電気信号線路を疑似可能な電気信号線路疑似回路、電気信号線路の時定数測定方法および電気信号線路の製造方法とM型デバイスの駆動方法等および電気信号線路を用いた電子機器等を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係わる電気信号線路の波形計算法は、駆動回路とREの抵抗およびCEのキャパシタンスの組がmあるはしご形回路からなる電気信号線路の波形計算法であって、専用線および共用線からなる前記電気信号線路の抵抗をR、キャパシタンスをCおよび前記駆動回路と電気信号線路の時定数をαrとし、前記Rはm*REで前記専用線と共用線の抵抗および前記Cはm*CEで前記専用線と共用線間のキャパシタンス、aとcは前記専用線の両端の端子、bとdは前記共用線の両端の端子、Roは前記駆動回路の出力抵抗、xは整数、Voは電圧およびtは時間でm≧2を満たし、t=0で前記aとbを前記駆動回路がVoで前記電気信号線路を駆動するときの前記cとb間の電圧は境界時間t1、t2、…、txで分割されて分割1、分割2…分割xになり、A(1)m、A(2)m、…、A(x)mは振幅係数およびT(1)m、T(2)m、…、T(x)mは時間係数であり、前記分割それぞれの前記振幅係数および時間係数は、t1≦tにおいて前記分割1にVo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/αr}をほぼ一致させ、tx≦t<tx-1において前記分割xにVo*{1-A(x)m*exp(-T(x)m*t/αr)}をほぼ一致させ、前記αrは{R+T(1)m*Ro}*Cとすることと{R+Ro}*Cとすることと、とから一つが選択され、前記電気信号線路の波形を、前記振幅係数、時間係数およびαrから求めることを特徴とする。
かかる方法により、駆動回路の出力抵抗と分割に対応する振幅係数と時間係数をパラメータにすることにより、駆動回路による電気信号線路の波形を的確に高精度で容易に計算できる。
また、前記時間係数と振幅係数をm≧20を満たすとき前記A(1)mは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲、A(2)m=1.23±0.01および前記T(1)mは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲とするとよく、m<20を満たすとき、mの値に応じた時間係数と振幅係数を用いることと、前記A(1)mおよびA(2)mそれぞれをT(1)m≒1.36+0.37*ln(m)、A(1)m≒1.13+0.03*ln(m)およびA(2)m≒1.11+0.044*ln(m)とすることと、とから一つを選べばよい。
かかる方法により、電気信号線路の組の数に応じた振幅係数と時間係数により正確な波形計算をすることができる。
また、周波数がfの正弦波電圧であるVs(f)を前記aとb間に加えたとき前記cとb間の終端電圧をV(f)mとして20*log(|V(fcl)m/Vs(fcl)|)=-3.0をほぼ満たすfclをT(1)m/(2*π*αr)とするとよい。
かかる方法により、電気信号線路の切断周波数を容易に求めることができる。
また、前記駆動回路の内部に仮想駆動端および仮想駆動端と出力抵抗と専用線とが直列接続した仮想専用線を設定して、前記仮想駆動端を0および前記仮想専用線の終端を1とする位置変数を用いて前記駆動回路がVoの電圧で電気信号線路を駆動するとき、xdにおける前記仮想専用線の電圧をV(xd,t)としてV(xd,t)をほぼVo*[1-A(1)m*Σ[n=1,s]{1/(2*n-1)}*sin((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T(1)m*(2*n-1)^2*t/αr)]、xdの位置に流れる電流をほぼVo*[1-A(1)m*Σ[n=1,s]{1/(2*n-1)}*sin((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T(1)m*(2*n-1)^2*t/αr)]およびg1を0.85≦g1≦1を満たす係数として前記駆動回路の駆動電流をほぼg1*(C*Vo*T(1)m/αr)*exp(-T(1)m*t/αr)としてよい。
かかる方法により、電気信号線路の電流および電圧と駆動回路の駆動電流を求めることができる。
さらに、Vu=Vo*{1-A(1)m*sin(xd*π/2)*exp(-T(1)*t/αr)}とおいて、tu≦tでVu≒V(xd,t)、t=tbでVb≒V(xd,tb)およびtu>tm>tbでVmをV(xd,tm)のおおよそ中央部の電圧として、Vb≦V(xd,t)において前記V(xd,t)をt≧tuの前記Vu、tuでのVuとtmでのVmを結ぶ対数関数1およびtmでのVmとtbでのVbを結ぶ対数関数2により近似することと、t≧tuの前記VuおよびtuでのVuとtbでのVbを結ぶ対数関数3により近似することと、とからいずれか一つを選択することが好ましい。
かかる方法により、電気信号線路の波形計算式が指数関数あるいは対数関数による一つの関数項から構成することができる。
また、Vcsを電圧係数、前記aに流れる電流をI(t)mおよび前記cとb間の電圧をV(t)mとして、t=0で前記aとb間を前記駆動回路が電圧Vcs*tで前記電気信号線路を駆動するとき、{2.5/T(1)}*R*C>t≧t1においてI(t)m≒C*Vcs*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/(R*C))}およびV(t)m≒Vcs*t-C*Vcs*(R/T(1)m)*{1-A(1)m*exp(-T(1)*t/(R*C))}としt≧{2.5/T(1)}*R*C>tにおいてI(t)m≒Vcs*CおよびV(t)m≒Vcs*tとすることが好ましい。
かかる方法により、駆動回路が定電流で電気信号線路を駆動する場合の駆動電流と終端電圧を容易に求めることができる。
また、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型デバイスあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型デバイスにおいて、Mを前記m、走査線を前記専用線および共通線を前記共用線とすることと、Nを前記m、信号線を前記専用線および共通線を前記共用線とすることと、とからいずれか一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、M型デバイスの信号線あるいは走査線の波形を容易に計算することができる。
また、電気信号線路Wの専用線Wおよび共用線Wの両端子をほぼ同じ時間にほぼ同じ電圧で駆動するとき、前記組の数をw、前記電気信号線路Wの抵抗をRwおよびキャパシタンスをCw、両端子それぞれの駆動回路の出力抵抗をRo1およびRo2、前記専用線Wの電圧がほぼ最小となる前記組の数をEVおよびxdv*wの整数値をEVとして、前記xdvはほぼ{Rw/Ro1+T(1)w*(Ro2/Ro1)}/{T(1)w*(1+Ro2/Ro1)+2*Rw/Ro1}とすることと、ほぼ{Rw/Ro1+(Ro2/Ro1)}/{1+Ro2/Ro1+2*Rw/Ro1}とすることと、とからいずれか一つが選ばれ、前記電気信号線路Wを組の数がEVで専用線W1と共用線W1からなる電気信号線路W1と組の数(w-EV)で専用線W2と共用線W2からなる電気信号線路W2と分離して、
Ro1の駆動回路を前記駆動回路および電気信号線路W1を前記電気信号線路にあるいはRo2の駆動回路を前記駆動回路および電気信号線路W2を前記電気信号線路にすることが好ましい。
かかる方法により、両端駆動される電気信号線路の仮想終端とその電圧が求められ、仮想終端で分離した片端駆動の電気信号線路から両端駆動される電気信号線路の波形を求めることができる。
また、前記駆動回路の内部に仮想駆動端および仮想駆動端と前記出力抵抗と専用線とが直列接続した仮想専用線を設定し、前記仮想駆動端を0および前記仮想専用線の終端を1とする位置変数をxdおよび前記仮想専用線の電圧をV(xd,t)とすれば、前記専用線の駆動端をt=0で前記駆動回路がVoで駆動するとき、前記駆動回路の出力抵抗による前記専用線の駆動端電圧をV(dr,t)および前記駆動回路の切断周波数による前記専用線の駆動端電圧をV(df,t)とすれば、前記専用線の駆動端の電圧をdf≧drを満たすとき前記V(df,t)とすることと、df<drを満たすとき前記V(dr,t)とすることと、とからいずれか一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、電気信号線路の駆動端の位置変数が定められ、電気信号線路の駆動端波形と駆動回路の駆動電流が求められる。
また、前記駆動回路の切断周波をfdcによる電気信号線路の終端波形歪みをRfoの周波数成分抵抗に変換し、前記RoをRpoに置き換えて(Rpo+Rfo)を前記Roとすることが好ましい。
かかる方法により、駆動回路の周波数特性による波形歪みが計算可能になる。
上記課題を解決するための本発明に係わる電気信号線路の波形計算法は、駆動回路とCEのキャパシタンスがm個直列に接続された専用線および導体の共用線からなる電気信号線路の波形計算法であって、前記直列接続部と共用線間にREの抵抗が挿入された前記電気信号線路の抵抗をR、キャパシタンスをC、前記RはRE/m、前記Cはm*CE、aとcは前記専用線の両端の端子、bとdは前記共用線の両端の端子、Roは前記駆動回路の出力抵抗、Voは電圧、tは時間および前記駆動回路と電気信号線路の時定数をαrとすれば、t=0で前記aとbを前記駆動回路がVoで前記電気信号線路を駆動するときの前記cとb間の電圧は境界時間t1、t2、…、txで分割されて分割1、分割2…分割xになり、A(1)m、A(2)m、…、A(x)mは振幅係数およびH(1)m、H(2)m、…、H(x)mは時間係数であり、前記分割それぞれの前記振幅係数および時間係数は、t1≦tにおいて前記分割1にVo*{1-A(1)m*exp(-H(1)m*t/αr}をほぼ一致させ、tx≦t<tx-1において前記分割xにVo*{1-A(x)m*exp(-H(x)m*t/αr)}をほぼ一致させ、前記αrは{R+H(1)m*Ro}*Cとすることと{R+Ro}*Cとすることと、とから一つが選択されて前記電気信号線路の波形を、前記振幅係数、時間係数およびαrから求めればよく、m≧20を満たすとき前記H(1)mは中心値をほぼ(2/π)^2として0.404から0.415の範囲とし、A(1)mは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲およびA(2)m=1.23±0.01とすることが好ましく、m<20を満たすとき、mの値に応じた時間係数と振幅係数を用いることと、前記H(1)m、前記A(1)mおよびA(2)mそれぞれをH(1)m≒{1.36+0.37*ln(m)}^-1、A(1)m≒1.13+0.03*ln(m)およびA(2)m≒1.11+0.044*ln(m)とすることと、とからいずれか一つが選択されることが好ましい。
駆動回路の出力抵抗と分割に対応する振幅係数と時間係数をパラメータし、電気信号線路の組の数に応じた振幅係数と時間係数を定めることにより、駆動回路による微分型電気信号線路の波形を的確に高精度で容易に計算できる。
また、周波数がfの正弦波電圧であるVs(f)を前記aとb間に加えたとき、前記cとb間の終端電圧をV(f)mすれば、20*log(|V(fcl)m/Vs(fcl)|)=-3.0をほぼ満たすfchをH(1)m/(2*π*αr)とするとよい。
かかる方法により、微分型電気信号線路の切断周波数を容易に求めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係わる電気信号線路疑似回路は、抵抗がRmおよびキャパシタンスがCmの電気信号線路mの時間係数をT(1)mおよび電気信号線路xの時間係数をT(1)xとすれば、前記電気信号線路mを駆動するときの終端電圧と駆動電流をを疑似する回路は、抵抗をほぼRm*T(1)x/T(1)mおよびキャパシタンスをほぼCmとする前記電気信号線路xの駆動端にRipの抵抗とキャパシタC1pのキャパシタンスからなる直列回路を接続した構成とすることが好ましい。
かかる構成により、電気信号線路の組数より小さい組数の電気信号線路からなる電気信号線路疑似回路を容易に実現できる。
また、前記mあるいはxそれぞれが20以上のとき、前記時間係数は中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲とすることが好ましく、前記mあるいはxそれぞれが20未満のとき、前記mあるいはxの値に応じた時間係数と振幅係数を用いることが好ましい。
かかる構成により、疑似する電気信号線路および電気信号線路疑似回路に用いる電気信号線路の組の数に応じた時間係数により適正な電気信号線路疑似回路を実現できる。
また、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型デバイスあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型デバイスにおいて、Mを前記mおよび走査線と共通線からなる電気信号線路を前記電気信号線路mとすること、Nを前記mおよび信号線と共通線からなる電気信号線路を前記電気信号線路mとすること、とからいずれか一つが選択されることが好ましい。
かかる構成により、M型デバイスの信号線あるいは走査線および共通線からなる電気信号線路を疑似する回路が実現できる。
上記課題を解決するための本発明に係わる電気信号線の測定方法は、REの抵抗およびCEのキャパシタンスの組がmあるはしご形回路からなる電気信号線路は専用線および共用線からなり、前記電気信号線路の抵抗をR、キャパシタンスをC、T(1)mを時間係数および時定数をαとしてα=R*C、aとcは前記専用線の両端の端子、bとdは前記共用線の両端の端子、fは正弦波発振器の周波数およびDC1は前記電気信号線路の駆動に加えられる電圧を疑似する直流電圧であり、前記DC1に前記正弦波発振器の出力を重畳した電圧を前記aとb間に加えたときの交流電圧計による前記aとb間および前記cとb間の測定電圧をそれぞれVs(f)およびV(f)mとし、V(f)m/Vs(f)がほぼ0.707を満たす前記正弦波発振器の周波数をfclをとすれば前記αをほぼT(1)m/{2*π*fcl}とすることが駒しく、m≧20を満たすとき前記T(1)mは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲とすることが好ましく、m<20を満たすときmの値に応じた時間係数と振幅係数を用いることが好ましい。
かかる方法により、電気信号線路の時定数を求めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係わる電気信号線の製造方法は、駆動回路とREの抵抗およびCEのキャパシタンスの組がmあるはしご形回路からなる電気信号線路において、m≧2を満たし、専用線および共用線からなる前記電気信号線路の抵抗をR、キャパシタンスをC、A(1)mを振幅係数およびT(1)mを時間係数を満たし、前記Rはm*REで前記専用線と共用線の抵抗および前記Cはm*CEで前記専用線と共用線間のキャパシタンス、aとcは前記専用線の両端の端子、bとdは前記共用線の両端の端子、tは時間、Voを電圧、動作開始時間をton、動作開始電圧をVonおよび前記専用線の電圧をV(t)mとしてVon≦V(ton)mを動作開始条件とすれば、前記電気信号線路が片方の端子からVoで駆動されるとき、RosMを駆動回路の最大出力抵抗およびαr={R+T(1)m*RosM}*Cとしてαrを-ton*T(1)m/{ln(1-Von/Vo}-ln(A(1)m)未満とすることと、前記電気信号線路が両方の端子からVoで駆動されるとき、両方の端子を駆動する駆動回路の最大出力抵抗をRowMおよびαrw={R/2+T(1)m*RowM}*C/2としてαrwを-4*ton*T(1)m/{ln(1-Von/Vo}-ln(A(1)m)未満とすることと、とからいずれか一つが選択されることが好ましく、m≧20を満たすときA(1)mは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲およびT(1)mは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲とすることが好ましく、m<20を満たすとき前記T(1)mおよび前記(1)mをそれぞれT(1)m=Tm±0.01およびA(1)m=Am±0.01とおいてT2=1.520、T3=1.765、T4=1.912、T5=2.008、T6=2.078、T7=2.134、T8=2.185、T9=2.230、T10=2.265、T11=2.280、T12=2.300、T13=2.320、T14=2.335、T15=2.352、T16=2.368、T17=2.382、T18=2.395、T19=2.411、A2=1.166、A3=1.203、A4=1.222、A5=1.232、A6=1.238、A7=1.244、A8=1.248、A9=1.252、A10=1.254、A11=1.257、A12=1.258、A13=1.261、A14=1.262、A15=1.262、A16=1.263、A17=1.264、A18=1.266およびA19=1.267とすることが好ましい。
かかる方法により、動作開始条件を満たし安定した品質および性能を確保した電気信号線路を製造することができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型デバイス装置の波形解析方法は、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型デバイスあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型デバイスおよび前記走査線と信号線をパルス駆動する駆動回路とを備えたM型デバイス装置の波形解析方法であって、前記走査線と前記信号線のいずれか一つを測定線とし、Rは前記測定線と共通線の電気抵抗、Cは前記測定線と共通線間のキャパシタンス、Roは前記測定線の駆動回路の出力抵抗、Tは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲の値、Aは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲の値、tは時間、αrは時定数、前記αrの計算値は(R+T*Ro)*C、αr解は前記αrの解析値、Vrefは前記基準電圧の測定値、Vは前記駆動パルスの振幅、Vo=V-Vref、VE波は前記測定線終端波形の測定値、VD波は前記測定線駆動端波形の測定値、VE(αr)は前記測定線終端波形の計算式でVo*{1-A*exp(-T*t/αr)}、VD(αr,xd)は前記測定線駆動端波形の計算式でVo*[1-A*Σ[n=1,s]{1/(2*n-1)}*sin((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T*(2*n-1)^2*t/αr)]およびE(td,k)は誤差電圧式で t<tdにおいてE(td,k)=k1*tおよびte≦tにおいてE(td,k)=k2*exp(-T*(t-te))として、前記VE波の立ち上がり部分でVE波-VE(αr)-E(te,k)=E1および前記VE波の立ち下がり部分でVE波+Vo-VE(αr)+E(te,k)=E2とおき、前記αr、teおよびkを変えてE1を最小とし、E1最小のαrを立ち上がり波形のαr解とすることと、前記αr、tdおよびkを変えてE2を最小とし、E2最小のαrを立ち下がり波形のαr解とすることと、前記VD(αr,d)は前記測定線が両端から駆動されるとき、αrを前記計算値とすることと、前記測定線が片端から駆動されるとき、αrを前記αr解とすることと、とからいずれか一つが選択されて、前記VD波の立ち上がり部分でVD波-VD(αr,xd)-E(te,k)=E3および前記VE波の立ち下がり部分でVD波+Vo-VD(αr,xd)+E(te,k)=E4として、xd、te、k1およびk2を変えてE3を最小とし、E3最小のxdをxdeとし、前記測定線駆動端立ち上がり波形をVD(αr,xde)とすることと、xd、te、k1およびk2を変えてE4を最小とし、E4最小のxdをxdeとし、駆動端立ち下がり波形をVo-VD(αr,xde)とすることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、信号線の終端波形、信号線の駆動端波形、走査線の終端波形あるいは走査線の駆動端波形を解析することができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型デバイスの製造方法は、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型デバイスあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型デバイスにおいて、前記走査線をX、前記信号線をY、共通線を前記動作基準電圧が加えられる配線、CTを前記共通線の端子、Rxは前記Xと前記共通線との電気抵抗、Cxは前記Xと前記CT間のキャパシタンス、Cyは前記Yと前記CT間のキャパシタンス、Tは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲の値、Aは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲の値、前記X電気線路を振幅がVoのパルスで駆動され、前記機能素子の動作開始時間および動作開始電圧をそれぞれTonおよびVonとして前記Xの終端電圧であるV(t)がVon≦V(ton)を満たして、前記Xの片方の端子から駆動されるとき、RoxMを駆動回路の最大出力抵抗およびαrx={RX+RoxM*T(1)}*CXとしてαrxを-ton*T/{ln(1-Von/Vo}-ln(A)}未満とすることと、前記Xの両方の端子から駆動されるとき、RoxwMを駆動回路の最大出力抵抗およびαrx={RX/2+RoxwM*T(1)}*CX/2としてαrxを-4*ton*T/{ln(1-V/Vo}-ln(A)}未満とすることと、とからいずれか一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、動作開始条件を満たし安定した品質および性能を確保したM型デバイスを製造することができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型デバイス装置の駆動方法は、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型デバイスあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型デバイス、前記信号線を駆動する駆動回路Y、前記走査線を駆動する駆動回路Xおよび前記基準電圧を出力する基準電圧回路とを備えたM型デバイス装置において、前記走査線をX、前記信号線をY、CTを前記共通線の端子およびZはZがXの場合にZをXに置き換えてZがYの場合にZをYに置き換える変数として、RZは前記Zと前記共通線の抵抗、要素RZは前記Zの前記交点当たりの抵抗でRZ/前記Zの本数、CZは前記Zと前記共通線間のキャパシタンス、RZ/前記Zの本数は前記交点当たりの抵抗、CZ/前記Zの本数は前記交点当たりのキャパシタンス、tは時間、Aは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の振幅係数およびTは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲の時間係数とし、前記Zの駆動端およびCT間にt=0でVoの電圧を加えれば前記Zの終端と前記CT間の電圧はVo*{1-A*exp(-T*t/(RZ*CZ))}}にほぼ一致し、出力抵抗を有する前記駆動回路Zが前記ZとCTを駆動するとき、前記駆動回路Zの内部に駆動端を仮想してこれを仮想駆動端Zとし、前記出力抵抗の片方の端子と前記仮想駆動端Zおよび前記出力抵抗の他方の端子と前記Zの一方の端子を接続した導線を仮想して仮想Zとし、前記Zが両端の端子から駆動されるとき、前記Z上の電圧が最小となる電圧の位置を仮想終端Zとして仮想終端Zは前記Zの片方の端子からの前記交点数で表して、前記駆動回路Zよる前記ZとCT間の駆動を、前記出力抵抗、TおよびAによりt=0で前記仮想駆動端ZとCT間に電圧を加える駆動とすることが好ましい。
かかる方法により、適正駆動のM型デバイス装置を容易に実現できる。
また、電圧の基準点を前記基準電圧として、前記ZをXに置き換えて前記Xの動作停止時間Xをtoffx、前記Xの動作停止電圧XをVoffxおよび前記X上の電圧をVx(t)としてVoffx≦Vx(toffx)の動作停止条件とすれば、前記Xの片方の端子を前記駆動回路Xが振幅がVoxのパルスで駆動するとき、前記駆動回路Xの最大出力抵抗をRoMおよび(RX+RoM*T)*CXをαrxとしてtoffx=-(αrx/T)*ln{(Voffx/(Vo*A)}を満たし、前記Xの駆動パルスの幅は前記信号線の駆動パルスの幅より少なくとも前記toffx小さいことと、前記駆動回路Xは駆動回路X1およびX2からなり、前記Xの片方の端子および前記Xの一方の端子それぞれを前記駆動回路X1およびX2がほぼ同じ時間にほぼ同じ振幅がVoxのパルスで駆動するとき、前記駆動回路X1およびX2の最大出力抵抗をRowMおよびαrxw={RX/2+RowM*T}*CX/2とすれば、toffx=-(αrxw/T)*ln{(Voffx/(Vo*A)}を満たし、前記Xの駆動パルスの幅は前記信号線の駆動パルスの幅より少なくとも前記toffx小さいことと、とからいずれか一方を選択することが好ましい。
かかる方法により、走査線の駆動パルスと信号線の駆動パルスを適正に定めることができる。
また、周波数をf、回路の切断周波数および出力電圧をそれぞれfdcおよびVd(f)とすれば前記fdcは|Vd(fdc)/Vd(f)|=0.707を満たし、前記ZをXに置き換えて fcx=T/(2*π*RX*CX)および前記駆動回路Xの前記切断周波数をfdc(X)としてfdc(X)/fcxを少なくとも10程度とすることと、前記ZをYに置き換えて fcy=1/(2*π*RY*CY)および前記駆動回路Yの前記切断周波数をfdc(Y)としてfdc(Y)/fcyを少なくとも10程度とすることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、信号線あるいは走査線駆動回路の適正な周波数特性を定めることができる。
また、電圧の基準点を前記基準電圧にして、前記ZをXに置き換えて前記Xの動作開始時間をtonx、前記Xの動作開始電圧をVonxおよび前記X上の電圧をVx(t)としてVonx≦Vx(tonx)を動作開始条件とすれば、前記tonxおよびVonxは前記Xの片方の端子を前記駆動回路Xが振幅がVoxのパルスで駆動するとき、前記駆動回路Xの出力抵抗をRoxおよび(RX+Rox*T)*CXをαrxとおいて前記Xの終端電圧はVonx≦Vox*{1-A*exp(-T*tonx/αrx)}とすることと、前記駆動回路Xは駆動回路X1およびX2からなり、前記Xの片方の端子および前記Xの一方の端子それぞれを前記駆動回路X1およびX2がほぼ同じ時間にほぼ同じ振幅がVoxのパルスで駆動するとき、前記駆動回路X1およびX2の出力抵抗をそれぞれRox1およびRox2とし、xdv≒{RX+Rox2*T}/{Rox1*T+Rox2*T+2*RX}およびαrx1={xdv*RX+Rox1*T}*xdv*CXとしてVonx≦Vox*{1-A*exp(-T*tonx/αrx1)}とすることと、とからいずれか一つが選択されることとが好ましく、前記ZをYに置き換えて前記Yの動作開始時間をtony、前記Yの動作開始電圧をVony、Y上の電圧をVy(t)としVony≦Vy(tony)の動作開始条件とすれば、前記tonyおよびVonyは、前記Yの片方の端子を前記駆動回路Yが振幅がVoyのパルスで駆動するとき、前記駆動回路Yの出力抵抗をRoyおよび(Ry+Roy*T)*CyをαryとしてVony≦Voy*{1-A*exp(-T*tony/αry)}とすることと、前記駆動回路Yは駆動回路Y1およびY2からなり、前記Yの片方の端子および前記Yの一方の端子それぞれを前記駆動回路Y1およびY2がほぼ同じ時間にほぼ同じ振幅がVoyのパルスで駆動するとき、前記駆動回路Y1およびY2の出力抵抗をそれぞれRoy1およびRoy2とし、ydv≒{RY+Roy2*T}/{Roy1*T+Roy2*T+2*RY}およびαry1={ydv*RY+Roy1*T}*ydv*CYとして、Vony≦Voy*{1-A*exp(-T*tdy/αry1)}とすることと、前記Yの片方の端子を前記駆動回路YがIcsの定電流で駆動するとき、Vony≦Ics*tonyとすることと、前記駆動回路Yは駆動回路Y1および駆動回路Y2からなり、前記Yの片方の端子および前記Yの一方の端子それぞれを前記駆動回路Y1が定電流Ics1でおよび前記駆動回路Y2がIcs2の定電流でほぼ同じ時間に駆動するとき、Vony≦(Ics1+Ics2)*tonyとすることと、とからいずれか一つが選択されることとが好ましい。
かかる方法により、動作開始条件を満たす適正駆動のM型デバイス装置を実現できる。
また、電圧の基準点を接地電位として、前記ZをXに置き換えて、仮想終端Xの位置変数をxdvおよびxdを位置変数として、Roxは前記駆動回路Xの出力抵抗、駆動回路X1およびX2の出力抵抗をそれぞれRox1およびRox2とし、前記Xが両端駆動されるとき前記駆動回路Xは駆動回路X1およびX2から構成され、αrxおよび前記xdは前記Xが片端駆動されるとき、前記仮想Xの位置を前記仮想駆動端Xを0にし前記Xの終端を1とするxdおよびαrxを(RX+Rox*T)*CXとすることと、前記Xが両端駆動されるときxdv≒{RX+Rox2*T}/{Rox1*T+Rox2*T+2*RX}として、記仮想Xの位置を一方の前記仮想駆動端Xを0にし前記xdvを1とするxdおよび{xdv*RX+Rox1*T}*xdv*CXをαrxとすることと、前記仮想Xの位置を他方の前記仮想駆動端Xを0にし1-xdvを1とするxdおよび{xdv*RX+Rox1*T}*xdv*CXをαrxとすることと、とからいずれか一つが選択されて前記仮想駆動端Xからxdに位置する電圧および電流それぞれV(xd,t)およびI(xd,t)とすればV(xd,t)≒Vo*[1-A*Σ[n=1,s]{1/(2*n-1)}*sin((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T*(2*n-1)^2*t/αrx)]およびI(xd,t)≒(2*Vo/αrx)*Σ[n=1,s]cos((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T*(2*n-1)^2*t/αrx)とすることと、前記ZをYに置き換えて、前記仮想終端Yの位置変数をydvおよびydを位置変数として、Royは前記駆動回路Yの出力抵抗、駆動回路Y1およびY2の出力抵抗をそれぞれRoy1およびRoy2とし、前記Yが両端駆動されるとき前記駆動回路Yは駆動回路Y1およびY2から構成され、αryおよび前記ydは前記Yが片端駆動されるとき、前記仮想Yの位置を前記仮想駆動端Yを0にし前記Yの終端を1とするydおよびαryを(RY+Roy*T)*CYとすることと、前記Yが両端駆動されるときydv≒{RY+Roy2*T}/{Roy1*T+Roy2*T+2*RY}として、前記仮想Yの位置を一方の前記仮想駆動端Yを0にし前記ydvを1とするydおよび{ydv*RX+Roy1*T}*ydv*CYをαryとすることと、前記仮想Yの位置を他方の前記仮想駆動端Yを0にし1-ydvを1とするydおよび{ydv*RY+Roy1*T}*ydv*CYをαryとすることと、とからいずれか一つが選択されて前記仮想駆動端Yからydに位置する電圧および電流それぞれV(yd,t)およびI(yd,t)とすればV(yd,t)≒Vo*[1-A*Σ[n=1,s]{1/(2*n-1)}*sin((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T*(2*n-1)^2*t/αry)]およびI(yd,t)≒(2*Vo/αry)*Σ[n=1,s]cos((2*n-1)*yd*π/2)*exp(-T*(2*n-1)^2*t/αry)とすることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、仮想走査線の電圧および電流あるいは仮想信号線の電圧および電流を容易に求めることができる。
また、周波数をf、駆動回路の切断周波数および出力電圧をそれぞれfdcおよびVd(f)とすれば前記fdcは|Vd(fdc)/Vd(f)|=0.707を満たし、前記駆動回路の時定数をαfoとすればαfo=1/(2*π*fdc)でありVxおよびVyを前記走査線および信号線の終端電圧、fdcxを前記駆動回路Xの切断周波数およびfdcyを前記駆動回路Yの切断周波数としてαfox=1/(2*π*fdcx)およびαfoy=1/(2*π*fdcy)であり、前記駆動回路Xの出力抵抗をRoxおよび前記駆動回路Yの出力抵抗をRoyとすれば、Rfoxは前記fdcxによる前記Vxの遅延時間を周波数抵抗成分に換算した前記周波数抵抗成分としてVx/VoX≧0.7およびαfox/(Rx*Cx)≦0.63おいてRfox≒Rx*{-2.21*(Vx/Vox}+2.55}*(αfox/(Rx*Cx))^(0.0151*(Vx/Vox)-0.0191)およびVx/VoX≧0.7およびαfox/(Rx*Cx)>0.63おいてRfox≒Rx*{-0.182*(Vx/Vox}+1.1}*(αfox/(Rx*Cx))^(-1.47*(Vx/Vox)+1.07)として前記RoxをRpxとおいて前記RoxをRpx+Rfoxに置き換えることと、Rfoyは前記fdcyによる前記Vyの遅延時間を周波数抵抗成分に換算した前記周波数抵抗成分としてVy/VoY≧0.7およびαfoy/(Ry*Cy)≦0.63おいてRfoy≒Ry*{-2.21*(Vy/Voy}+2.55}*(αfoy/(Ry*Cy))^(0.0151*(Vy/Voy)-0.0191)およびVy/VoY≧0.7およびαfoy/(Ry*Cy)>0.63おいてRfoy≒Ry*{-0.182*(Vy/Voy}+1.1}*(αfoy/(Ry*Cy))^(-1.47*(Vy/Voy)+1.07)として前記RoyをRpyとおいて前記RoyをRpy+Rfoyに置き換えることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、走査線駆動回路の切断周波数による終端電圧の遅延時間を走査線駆動回路の出力抵抗に含めることあるいは信号線駆動回路の切断周波数による終端電圧の遅延時間を信号線駆動回路の出力抵抗に含めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型表示装置の駆動方法は、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型表示パネルあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型表示パネル、前記信号線を駆動する駆動回路Yおよび前記走査線を駆動する駆動回路Xとを備えたM型表示装置において、Rxは前記走査線と前記配線の抵抗、Ry前記信号線と前記配線の抵抗、Cxは前記走査線と前記配線間のキャパシタンス、Cyは前記信号線と前記配線間のキャパシタンス、Roxは駆動回路Xの出力抵抗Royは駆動回路Yの出力抵抗およびTは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲の時間係数、前記Roxを前記走査線を駆動可能な限界値として、前記M型表示パネルとほぼ同じ電気的特性を有するM型表示パネル2の走査線2の両端をそれぞれ駆動回路X1および駆動回路X2で駆動するとき、前記駆動回路X1およびX2の最大出力抵抗はほぼ{1.5*Rx/T+Rox/T}以下とすることと、前記M型表示パネルとほぼ同じ電気的特性を有するM型表示パネル2の信号線2の両端をそれぞれ駆動回路Y1および駆動回路Y2で駆動するとき、前記駆動回路Y1およびY2の最大出力抵抗はほぼ{1.5*Ry/T+Roy/T}以下とすることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、走査線片端駆動では限界に近いM型表示装置を適正に両端駆動する駆動回路の最大出力抵抗を定めることができる。
また、共通端子は前記動作基準電圧が加えられる端子、基準電圧回路1および2は前記動作基準電圧を出力する基準電圧回路として、前記駆動回路X1の両外側それぞれに配置される共通端子X1および前記駆動回路X2両外側それぞれに配置される共通端子X2を備え、前記共通端子X1に前記基準電圧回路1の動作基準電圧を加えて前記共通端子X2に前記基準電圧回路2の動作基準電圧を加えることと、前記駆動回路Y1の両外側それぞれに少なくとも一つの共通端子Y1AおよびY1Bおよび前記駆動回路Y2の両外側それぞれに少なくとも一つの共通端子Y2AおよびY2Bを備え、前記共通端子Y1AおよびY2Aは前記信号線2の最初の信号線2の近くに位置し、前記共通端子Y1BおよびY2Bは前記信号線2の最後の信号線2の近くに位置し、前記共通端子Y1AおよびY2Aに前記基準電圧回路1の動作基準電圧を加えて前記共通端子Y1BおよびY2Bに前記基準電圧回路2の動作基準電圧を加えることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、両端駆動のM型表示装置の波形歪みを小さくし高画質の画像表示を実現できる。
また、周波数をf、回路の切断周波数および出力電圧をそれぞれfdcおよびVd(f)とすれば前記fdcは|Vd(fdc)/Vd(f)|=0.707を満たし、前記回路の時定数をαfoとすればαfo=1/(2*π*fdc)であり、前記駆動回路X1およびX2の最大出力抵抗をRoxwMおよび前記駆動回路Y1およびY2の最大出力抵抗をRoywMとおいて、前記回路X1およびX2の最小の切断周波数による前記走査線終端の遅延時間を周波数抵抗成分に換算しRfoxを前記周波数抵抗成分とすれば前記RoxwMをRpxとおいて前記RoxwMをRpx+Rfoxに置き換えることが好ましく、回路Y1およびY2の最小の切断周波数による前記走査線終端の遅延時間を周波数抵抗成分Rfoyに換算しRfoyを前記周波数抵抗成分とすれば前記RoywMをRpyとおいて前記RoywMをRpy+Rfoyに置き換えることが好ましい。
かかる方法により、駆動回路の切断周波数による終端電圧の遅延時間を駆動回路の出力抵抗に含めることができる。
また、周波数をf、駆動回路の切断周波数および出力電圧をそれぞれfdcおよびVd(f)とすれば前記fdcは|Vd(fdc)/Vd(f)|=0.707を満たし、前記駆動回路の時定数をαfoとすればαfo=1/(2*π*fdc)であり、fcx=1/(2*π*Rx*Cx)として前記回路X1およびX2の切断周波数の最小値をfdc(xw)および前記走査線を片端駆動する駆動回路の切断周波数の最小値をfdc(xs)とすればfdc(xw)/fdc(xs)はほぼ0.4乃至1とすることと、前記回路Y1およびY2の切断周波数の最小値をfdc(yw)および前記信号線を片端駆動する回路の切断周波数の最小値をfdc(ys)とすればfdc(yw)/fdc(ys)はほぼ0.4乃至1とすることと、とから少なくとも一つが選択されることが好ましい。
かかる方法により、M型表示装置を両端駆動する駆動回路の適正な切断周波を定めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型表示装置は、M本の信号線とN本の走査線とをマトリクス上に配線して交点に画素を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型表示パネル、前記信号線を駆動する駆動回路Y、前記走査線を駆動する駆動回路Xおよび前記動作基準電圧を出力する基準電圧回路とを備えたM型表示装置装置において、前記駆動回路Xの両外側をそれぞれX1およびX2とし前記駆動回路Yの両外側をそれぞれY1およびY1として、互いに隣接する前記X1とY1の近くに少なくとも一つの共通端子A、前記X2の近くに少なくとも一つの共通端子Bおよび前記Y2の近くに少なくとも一つの共通端子Cを備え、前記基準電圧回路は前記共通端子Aに加える前記動作基準電圧を基準に前記共通端子BおよびCに互いに異なる動作基準電圧を加えることが好ましい。
かかる構成により、片端駆動のM型表示装置の共通線を両端駆動に近い状態の駆動にすることができる。
また、Vr、Vr1およびVr2をそれぞれ前記共通端子A、前記共通端子Bおよび前記共通端子Cの電圧とすれば、前記Vr1およびVr2を変化させて前記共通線の前記走査線と信号線との交点(M,N)近傍の電圧を前記Vrにほぼ一致するさせることが好ましい。
かかる構成により、片端駆動のM型表示装置の歪み電圧を小さくすることができる。
また、前記動作基準電圧の最大値をVr(max)および最小値をVr(min)、D1はダイオード1、D2はダイオード2、Rstは抵抗、Vfdを前記D1およびD2の順方向電圧、Rstの片方の端子をTin、Rstの一方の端子とD1の逆方向側端子およびD2の順方向側端子を接続してなる端子をTout、D1の順方向側端子をTd1およびD2の逆方向側端子をTd2とすれば、VD1≧Vr(max)+VfdおよびVD2≦Vr(min)-Vfdとして前記Td1に前記VD1より高い電圧および前記Td2に前記VD2より低い電圧を加えて前記Toutと接地間にキャパシタを挿入して前記TinおよびToutをそれぞれ前記基準電圧回路の出力端子および前記共通端子に接続することが好ましい。
かかる構成により、共通線に流れるピーク電流をバイパスさせて歪み電圧を減少させ基準電圧回路を安定に動作させることができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型デバイスの測定方法は、複数の信号線と複数の走査線をマトリクス上に配線して交点に機能素子を形成し、動作基準電圧が加えられる共通線が形成されるM型デバイスあるいは前記走査線を動作基準電圧が加えられる共通線とするM型デバイス、前記信号線を駆動する駆動回路Y、前記走査線を駆動する駆動回路Xおよび前記動作基準電圧を出力する基準電圧回路とを備えたM型デバイス装置において、CTは前記共通線の端子、Rxは前記Xと前記共通線との電気抵抗、Cxは前記Xと前記CT間のキャパシタンス、Cyは前記Yと前記CT間のキャパシタンス、Aは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の振幅係数およびTは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲の時間係数として、測定線と前記共通線からなる測定線電気信号線路の時定数は、前記測定線が前記XのときRx*Cxとすること、前記測定線が前記YのときRy*Cyとすること、とからいずれか一方が選ばれ、前記M型デバイスのXが前記共通線の機能を果たすとき、前記複数のXから一本のXを選んでSXとし、SXを除く前記Xの駆動端を導線で接続し前記導線の端子を前記CTとし、前記SXの駆動端と前記CT間にVX2と正弦波電圧を直列接続して加えて前記SXを測定線とすることと、前記複数のYから一本のYを選んでSYとし、ほぼ全ての前記Xの駆動端を接続する共通線の端子を前記CTとし、前記SYの駆動端と前記CT間にVYと正弦波電圧を直列接続して加えて前記SYを測定線とすること、とからいずれか一つが選択されることと、前記M型デバイスに前記共通線が備えられているとき、前記複数のXから一本のX選んでSXとし、前記SXを除く前記Xの駆動端と前記CT間にVX1を加え前記SXの駆動端と前記CT間にVX2と正弦波電圧を直列接続して加えて前記SXを測定線とすることと、前記複数のYの一本のYを選んでSYとし、ほぼすべての前記Xの駆動端と前記CT間にVX1を加え、前記SYの駆動端と前記CT間にVYと正弦波電圧を直列接続して加えて前記SYを測定線とすることと、とからいずれか一つが選択されることと、とからいずれか一方が選ばれて、前記正弦波電圧の周波数をf、交流電圧計による前記測定線の駆動端および終端と前記CT間の測定電圧をそれぞれVi(f)およびVo(f)、Vo(f)/Vi(f)がほぼ0.707を満たす前記fをfclとすれば前記測定線電気信号線路の時定数をT/{2*π*fcl}とすることが好ましい。
かかる方法により、走査線あるいは信号線と共通線からなる電気信号線路の切断周波数の測定により前記電気信号線路の時定数を求めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係わるM型表示装置の測定方法は、複数の信号線と複数の走査線をマトリクス状に配線して交点に画素を形成したマトリクス型表示パネル、制御信号により前記走査線を順次走査して選択し、選択した前記走査線に選択電圧および選択されない前記走査線に非選択電圧を出力する駆動回路Xおよび前記信号線を駆動する駆動回路Yとを備えたマトリクス型表示装置において、前記走査線が片方の端子から駆動されるとき、TX2は選択電圧が入力される前記駆動回路Xの端子、基準電圧は前記マトリクス型表示パネルの動作を定める電圧、共通線は前記基準電圧が加えられる前記マトリクス型表示パネルの配線、Rxは前記走査線と前記共通線との電気抵抗、Cxは前記走査線と前記共通線間のキャパシタンス、Roは前記駆動回路の出力抵抗、Tは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲の時間係数、正弦波電圧の周波数をf、VX2を直流電圧、前記走査線と共通線からなる電気信号線路の時定数をαとしてα=Rx*Cxおよびαr=(Rx+T*Ro)*Cxとすれば、前記TX2にVX2と前記正弦波電圧を直列して加え前記選択電圧し、前記駆動回路Xと駆動回路Yを制御して前記走査線の一つを選択して前記選択電圧を加え選択されない走査線に前記非選択電圧を加え信号線に所定信号電圧を加える状態にし、前記正弦波電圧をVs(f)、前記選択された走査線の駆動端および終端と前記基準電圧間の電圧の測定値それぞれをVi(f)およびVo(f)としてVo(f)/Vs(f)=0.707をほぼ満たす周波数fをfcxdおよびVo(f)/Vi(f)=0.707をほぼ満たす周波数fをfcxとするとき、前記αrをほぼT/{2*π*fcxd}および前記αをT/{2*π*fcx}とすることが好ましく、前記駆動回路XがX1およびX2から構成され、前記走査線の両端それぞれの端子が前記X1およびX2より駆動されるとき、前記走査線の電圧が最小となる位置を仮想終端として、前記選択電圧を徐々に変化させ、適正な画像表示がされない部分Aが画面にほぼ最初に表示される状態で前記選択電圧の変化を停止させ、前記走査線と直交する画面の端から前記部分Aまでの長さをほぼ前記仮想終端とすることが好ましい。
かかる方法により、走査線と共通線からなる電気信号線路の時定数と前記電気信号線路と走査線駆動回路とによる時定数を求めることおよび仮想終端を測定することができる。
以上から明らかなように、本願の請求項1〜12の電気信号線路の波形計算法によれば、はしご形回路からなる電気信号線路と駆動回路による電気信号線路の波形を境界時間で分割して、分割した波形を電気信号線路固有の特性パラメータである振幅係数および時間係数と駆動回路の出力抵抗により表すことができる。
そのために、電気信号線路の駆動端の電圧、位置電圧、終端電圧および電流を振幅係数、時間係数および出力抵抗パラメータとして実用的で比較的簡易な構成の計算式から求めることができるという効果がある。
また、mが2以上のm組電気線路から連続電気線路までの波形を抵抗とキャパシタの組に対応した振幅係数と時間係数を用いて計算できること、比較的単純な構成の計算式で必要な精度を確保できることおよび振幅係数と時間係数は抵抗とキャパシタの組で定まる電気信号線路固有のパラメータで同じ構成の電気信号線路には共通した振幅係数および時間係数が使用できること等の効果がある。
また、電気信号線路の切断周波数を時間係数から求めることができること、組数の大きい電気信号線路の終端電圧を疑似できる電気信号線路の組数を時間係数から容易に求めることができること、電気信号線路の遅延時間を容易に計算できること、電気信号線路の波形に与える駆動回路の影響を駆動回路の出力抵抗と切断周波数から計算できることおよび駆動回路の切断周波数による遅延時間を抵抗に換算することができること等の効果がある。
また、パルス電圧および正弦波電圧の応答だけでなく、時間に比例する電圧の応答に対応でき定電流駆動およびスルーレート駆動の波形計算に適用できる効果がある。
さらに、電気信号線路を両端駆動する場合、仮想終端の位置および仮想終端の電圧が容易に計算でき仮想終端で分離した片端駆動の電気信号線路から両端駆動の波形計算ができること、さらに、M型デバイスに走査線あるいは信号線と共通線とからなる電気信号線路として適用できること等の効果がある。特に、両端駆動されるM型デバイスの仮想終端電圧の計算に有効であり、M型デバイス装置の駆動解析に活用できる等の効果がある。
請求項13〜15の電気信号線路擬似回路によれば、組数の大きい電気信号線路の終端電圧および駆動端の電流を擬似できる電気信号線路擬似回路が、簡易な構成の回路で実現できる。
そのために、電気信号線路が容易に移動できないような場合等に電気信号線路擬似回路に置き換えることができる。駆動回路の設計および評価等に活用可能である。
請求項16の電気信号線路の測定法によれば、電気信号線路の切断周波数の測定から電気信号線路の時定数を求めることができる。
請求項17の電気信号線路の製造方法によれば、動作開始条件を満たし安定した品質と性能を確保した電気信号線路を製造できる。
請求項18のM型デバイス装置の波形解析方法によれば、終端の測定波形から信号線電気線路あるいは走査線電気線路と駆動回路とによる時定数と歪み電圧を求められ、駆動端の測定波形から駆動端位置変数と歪み電圧を求めることができる。
そのために、測定波形から動特性の駆動回路の出力抵抗、切断周波数、周波数抵抗成分、歪み電圧の振幅および形状あるいは電気信号線路の時定数を求める波形解析が可能である。
請求項19のM型デバイスの製造方法によれば、動作開始条件を満たし安定した品質と性能を確保したM型デバイスを正確に製造することができる。
請求項20〜25のM型デバイス装置の駆動方法によれば、M型デバイスをX電気線路およびY電気線路の二つの電気信号線路に置き換えてXあるいはY電気線路の振幅係数、時間係数および駆動回路の出力抵抗からXあるいはY電気線路の適正駆動を定めM型デバイス装置の適正な駆動を実現することができる。
そのために、走査パルスの幅を信号パルスの幅から振幅係数、時間係数および駆動回路の出力抵抗から定まる動作停止時間を引いた時間より小さくして各機能素子に適正な信号を加えM型デバイス装置の最適駆動を実現することができる。
また、時間係数により定まるX電気線路の切断周波数からX電気線路駆動回路の適正な切断周波数を求めることができ、時間係数により定まるY電気線路の切断周波数からY電気線路駆動回路の適正な切断周波数を求めることができる。
また、X電気線路あるいはY電気線路の片端からの駆動の場合には振幅係数、時間係数および出力抵抗から定まる動作開始条件を満たすパルス駆動、定電流駆動あるいはスルーレート駆動によりM型デバイス装置の最適駆動を実現することができ、X電気線路あるいはY電気線路の両端からの駆動の場合には出力抵抗と時間係数によりxdeを定めてxde、振幅係数、時間係数および出力抵抗から定まる動作開始条件を満たすパルス駆動、定電流駆動あるいはスルーレート駆動によりM型デバイス装置の最適駆動を実現することができる。
また、振幅係数、時間係数および出力抵抗から定まる仮想駆動端、仮想終端位置変数および位置変数により仮想走査線あるいは仮想走査線の電圧および電流を求めることができる。
また、走査線駆動回路の切断周波数をX電気線路の終端電圧の遅延時間に換算した周波数成分抵抗を走査線駆動回路の出力抵抗に含めることあるいは信号線駆動回路の切断周波数をY電気線路の終端電圧の遅延時間に換算した周波数成分抵抗を信号線駆動回路に含めることができる。
請求項26〜29のM型表示装置の駆動方法によれば、M型デバイスAの片端駆動が可能な限界値の走査線駆動回路の出力抵抗より、M型デバイスAとほぼ電気的特性が同じM型デバイスBを両端駆動できる駆動回路の最大出力抵抗を定めM型デバイスBを用いたM型表示装置を適正に駆動できる。
そのために効率よく両端駆動の採用の可否が決定できてコストパフォーマンスの高いM型表示装置を実現できる。
また、両端駆動する駆動回路の両外側に共通端子を設けて両端駆動するそれぞれの駆動回路の共通端子に独立した基準電圧回路の基準電圧を加えることにより、歪み電圧が小さくなりより安定に動作する両端駆動のM型表示装置を実現できる。
また、走査線駆動回路の切断周波数を換算した周波数成分抵抗を走査線駆動回路の出力抵抗に含めることができることあるいは信号線動回路の切断周波数を換算した周波数成分抵抗を信号線駆動回路の出力抵抗に含めることができることにより適正な両端駆動のM型表示装置を実現できる。
請求項30〜32のM型表示装置によれば、片端駆動する信号線および走査線駆動回路の両外側に配置し、少なくとも3の共通端子にそれぞれ異なる基準電圧を加えることができる。
そのために、片端駆動の限界を高めて、コストパフォーマンスの高い歪み電圧が小さく適正動作する片端駆動のM型表示装置を実現できる。
また、異なる基準電圧を変えることにより共通線駆動の歪み電圧を最小にしてM型表示装置の画像の品位を高めることができる。
また、ダイオードを共通端子に接続し、基準電圧回路の出力端子と共通端子間にRstを挿入することにより、ピーク値はカットされるので歪み電圧は小さくなり基準電圧回路は安定に動作してM型表示装置の画像品位を向上させることができる。
請求項33のM型デバイスの測定方法によれば、走査線に直流電圧が重畳した正弦波電圧を加えて、X電気線路の切断周波数を測定することによりX電気線路の時定数を求めることができることあるいは信号線に直流電圧が重畳した正弦波電圧を加えて、Y電気線路の切断周波数を測定することによりY電気線路の時定数を求めることができるという効果がある。
請求項34のM型表示装置の測定方法によれば、走査線駆動回路の選択電圧端子に直流電圧が重畳した正弦波電圧を加えてX電気線路と走査線駆動回路による切断周波数およびX電気線路の切断周波数を測定することにより、X電気線路の時定数と走査線駆動回路の出力抵抗を求めることができることおよび走査線駆動回路の選択電圧を変化させて仮想駆動端を測定でき、仮想終端から走査線駆動回路のバラツキを求めることができること等の効果がある。
本発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の各実施例における電気信号線路の波形計算法、電気信号線路疑似回路、電気信号線路の測定法方法、電気信号線路の製造方法、M型デバイスの製造方法、M型デバイスの測定方法、M型デバイス装置の駆動方法、M型デバイス装置の波形解析方法、M型デバイス装置の測定方法およびM型表示装置について図面を参照しつつ説明する。
本発明の実施例1を以下に説明する。図1は本発明の実施例1における電気信号線路の波形計算法を示す説明図である。 図1(A)および(B)は駆動回路と電気信号線路の説明図である。図1(C)は時間分割により電気信号線路の波形を一つの指数関数項からなる近似式Vkから計算する方法の一例を示す図である。
導体からなる電気信号線路と駆動回路による信号の伝達は図1(A)および(B)で示すことができる。3、4、6および7は導体である。図1(A)の3と4からなる電気信号線路は、抵抗とキャパシタンスの組による図116の分布定数回路で表すことができる。
V(t)dおよびV(t)mは電気信号線路の終端電圧である。1は電圧Vaを出力する電源および2は電圧Vbを出力する電源である。Vrefは基準電源でVrefの電圧を出力する。
図1(B)の6と7からなる電気信号線路は、抵抗とキャパシタンスの組からなるはしご形回路である。REは抵抗およびCEはキャパシタンスである。5および8は電圧切替器で9は接地線である。a、b、cおよびdは電気信号線路の端子である。
図116に示すrをREおよびcをCEに置き換えれば、図1(B)と同様のはしご形回路で図1(A)を表すことができる。抵抗とキャパシタンスの組の数をmとすると、図1(A)および(B)は二つの導体から構成され、抵抗とキャパシタンスがmあるはしご形回路からなる電気信号線路であると表記できる。
図1(A)は単位長さ当たりの抵抗とキャパシタンスおよび電気線路の長さで表すのが便利である。組の数が非常に大きくなるが、抵抗とキャパシタンスの組の数で表すこともできる。図1(A)および(B)は電圧切替器と電源によりはしご形回路からなる電気信号線路をパルス駆動する図である。
電圧切替器はVaおよびVbを切り替えて端子aの電気信号線路に電圧を加え、端子bの電気信号線路をVrefに接続して(Va-Vref)あるいは(Vb-Vref)の信号(電圧)を端子cに送る。V(t)dは3およびV(t)mは6の終端である端子cと接地間の電圧である。
4あるいは7の電気抵抗が十分に小さいときV(t)dあるいはV(t)mは端子cと端子d間の電圧になることはいうまでもない。REを要素RおよびCEを要素Cと定める。
図1(A)と(B)に示す電気信号線路の波形を求めることが必要な場合、例えば駆動回路の設計および開発、電気信号線路の製造および製造あるいは駆動回路と電気信号線路の試験等において多数ある。
図1(C)は図1(A)および(B)の電気信号線路の波形計算法を説明する図である。図1(C)には、終端波形を時間で分割して、電気信号線路の固有のパラメータである係数A(x)およびT(x)と時定数を用いて分割した波形を一つの指数関数からなる計算式から求める計算法を示す。図1(C)は波形の分割を4にした場合である。
図1(C)に示すV(t)mは電気信号線路の終端電圧波形である。t1、t2、t3およびt4は波形分割をする時間である。t1、t2、…、txを境界時間とする。t1、t2、…、txに対応する分割をぞれぞれ分割1、分割2、…、分割xとする。V(t)dについても同様である。αは電気信号線路の時定数である。なお、後述するαrは駆動回路と電気信号線路の時定数である。
Vkは終端電圧波形の近似式である。Rmは3と4あるいは6と7の電気抵抗である。Cmは3と4あるいは6と7間のキャパシタンスである。ここでは4および7の電気抵抗をほぼ0とする。RmおよびCmを電気信号線路の抵抗およびキャパシタンスとする。α=Rm*Cmである。
Vkは一つの指数関数の項からなるので、図1に示すパルス駆動される電気信号線路の終端電圧波形を容易く正確に計算できる。波形分割を繰り返すと波形の大部分をVkで計算可能になる。V(t)mを過渡現象から求めるとことは容易いことではなく、求められる計算式は(数2)に示すように複雑で扱いにくい。
図1(A)と(B)ははしご形回路で表される電気信号線路を駆動回路により電気信号を送るので電気回路はほぼ同じである。図1(A)と(B)の相違は電気信号線路の製造方法による差であるが、計算式が異なることを加えておく。
図1の電気信号線路の波形計算法について以下に詳細に説明する。図2は図1(A)および(B)を電気的に等価な回路で表した図である。
10は図1(A)および(B)の電気信号線路の等価回路である。図1(A)および(B)における電気信号線路の等価回路はほぼ同じであるが、電気信号線路の構造が異なるので名称を付けて混同しないようにする。
図1(A)に示す3と4からなる電気信号線路を連続電気線路および図1(B)に示す6と7からなる電気信号線路をm組電気線路と区分して表記する。勿論、区分する必要がない場合には両方を電気信号線路と表記する。
要素Rは抵抗および要素Cはキャパシタンスである。要素Rと要素Cを1組とする。m組電気線路はm組の要素Rと要素Cからなる。Rm=m*要素RよびCm=m*要素Cである。1組が単位長さ当たりで表されれば、電気信号線路の長さをLとしてRm=L*要素RおよびCm=L*要素Cである。mを組の数あるいは組数と定める。
11は5あるいは8とVa、VbおよびVrefの等価回路で電気信号線路の駆動回路である。VoはVoの電圧を出力する電源で、Vref=0VおよびVo=Va-Vbとした場合である。SWはスィッチである。SWは5あるいは8の電圧切替器を表す。11は5あるいは8とVa、VbおよびVrefの出力抵抗を0とする理想的な駆動回路である。
図1のaとc間の電気信号線路を専用線およびbとd間の電気信号線路を共用線と略する。従って、図2のaとc間およびbとd間はそれぞれ専用線および共用線になる。共用線の電気抵抗は0あるいは専用線より十分に小さい。
図1おいて連続電気線路およびm組電気線路の終端電圧をそれぞれV(t)dおよびV(t)mで示すが、連続電気線路およびm組電気線路を区分する必要がない場合はV(t)mで統一して表す。
(数6)はmが十分大きいときのV(t)mの計算式である。tは時間である。(数6)は電気信号線路の要素Rと要素Cの組数をm、要素Rをrおよび要素Cをcとした。また、電気信号線路の長さがLのとき、単位長さ当たりの要素Rと要素Cを用いてmをLに置き換えればよい。(数6)は(数2)から得られる。
V(t)mは指数関数項の級数式で、計算が複雑になり実用性に欠ける。そのために、V(t)mの近似式として一つの指数関数項からなる式を導入してVk=Vo*{1-A(1)*exp(-T(1)*t/α)}とする。
(数6)からn=1の項のみ取り出すとA(1)=4/πおよびT(1)=(π2)^2である。tが大きいとき、VkはほぼV(t)mに一致する。すなわち、V(t)m≒Vkである。VkがV(t)mにほぼ近似できる最小の時間を境界時間をt1とする。A(1)およびT(1)をt≧t1におけるmが十分大きいときの振幅係数および時間係数と定める。
t<t1においてVk=Vo*{1-A(2)*exp(-T(2)*t/α)}とする。t<t1でV(t)mがVkにほぼ一致するA(2)およびT(2)を求めると、t<t1でV(t)mは一つの指数関数項からなる近似式Vkによって計算することができる。t<t1において、V(t)mがVkにほぼ一致する最小の時間をt2とする。A(2)およびT(2)をそれぞれt2≦t<t1におけるmが十分大きいときの振幅係数および時間係数と定める。
このように時間分割を繰り返して、時間分割に対応するV(t)mの振幅係数および時間係数を求めると、一つの指数関数項からなる計算式VkからV(t)mを計算することができる。図1(C)は時間を4分割した場合である。
説明に必要な用語を定義しておく。時間t1、t2、…、txは分割1、分割2、…、分割xの境界時間とする。分割1は境界時間t1で定まる時間範囲t≧t1のV(t)m、分割2は境界時間t2で定まる時間範囲t1≧t2のV(t)mおよび分割xは境界時間txで定まる時間範囲tx-1>t≧txのV(t)mである。xは整数でxまで分割を繰り返すことを表す。
分割1および2に対応するVkをそれぞれVk(1)およびVk(2)とすると、V(t)mは連続であるので境界条件V(1)k=V(2)kを満たさねばならない。同様にV(3)k=Vo*{1-A(3)*exp(-T(3)*t/α)}およびV(4)k=Vo*{1-A(4)*exp(-T(4)*t/α)}とすれば、境界条件V(2)k=V(3)kおよびV(3)k=V(4)kを満たさねばならない。
いうまでもなく、分割1、分割2、…、分割xとは、xまで分割を繰り返し、tx-1>t≧txのV(x)k=Vo*{1-A(x)*exp(-T(x)*t/α)}まで求め、分割xまでのV(t)mとV(x)kをほぼ一致させることを指し、分割xはV(t)mの一部である。
このようにして時間分割を繰り返すことにより一つの指数関数項からなる計算式VkよりV(t)mを計算することが可能になる。分割xおけるV(x)k=0を満たす時間をtoxとする。境界時間txはtx>toxである。
境界条件Vo*{1-A(1)*exp(-T(1)*t1/α)}=Vo*{1-A(2)*exp(-T(2)*t1/α)}よりA(2)*exp(-T(2)*t1/α)=A(1)*exp(-T(1)t1/α)を得る。両辺の対数をとり、t1=α/(T(1)*q1)およびT(2)=T(1)*T(2b)とおくと、T(2b)=1-q1*ln(A(1)/A(2))を得る。q1は任意の定数である。
tx-1>t≧txにおいてVo-Vk=Vo*A(x)*exp(-T(x)*t/α)}、同様にして、t2=α/(T(2)*q2)、T(3)=T(2)*T(3b)、t3=α/(T(3)*q3)およびT(4)=(4)*T(4b)とおくとT(3b)=1-q2*ln(A(2)/A(3))およびT(4b)=1-q3*ln(A(3)/A(4))を得る。q2およびq3は任意の定数である。
分割xを最後の分割とするときtxをtoxに置き換えて、t<toxにおいてVk=0を満たすとすれば、V(t)mの初期条件を満たすことができる。すなわち、Vo*{1-A(x)*exp(-T(x)*tox/α)}=0よりtox=ln(A(x))*α/T(x)を得る。なお、q1、q2、q3…qxを総称してq値と呼ぶ。
実用的な振幅係数と時間係数の組を求めるには、振幅係数と時間係数を変えて誤差V(t)m-Vkが最小となるようする数値計算を必要とする。この数値計算を効率よく実施するためにq値を導入した。
(数7)は出力抵抗が0の駆動回路による電気信号線路の終端波形計算式である。(数7)には分割4までの終端波形計算に必要な境界時間等の計算式、振幅係数および時間係数を記載した。T(2)、T(3)、T(4)、A(2)、A(3)およびA(4)の範囲は許容誤差の大きさあるいはq値の設定によって変動する。(数7)から容易く遅延時間が計算できる。分割xでの遅延時間tdはtd=-(α/T(x))*ln{(1-V/Vk)/A(x)}である。
(表1)はV(t)mの計算に用いるVo、R、C、q値、境界時間、振幅係数および時間係数等のパラメータの一例を示す表である。共用線の抵抗をほぼ0とした。計算には連続電気線路を用いた。
m組電気線路についてはLをmに置き換え1組当たりのrおよびcを用いればよい。(表1)は図2、図3、図4および(表2)の計算に使用した値の一覧表である。なお、(表1)のrおよびcは要素Rおよび要素Cを示す。
図3は(数6)および(数7)による電気信号線路の波形計算の一例を示す図である。(数6)はn=26まで計算した。nは許容できる計算誤差によって変わる。通常はn=10程度で十分である。図3の分布rc式は(数6)の計算結果を示し、HK1、HK2およびHK3は(数7)の計算結果を示す。
HK1は分割1までの計算、HK2は分割2までの計算およびHK3は分割3までの計算を示す。誤差率は(数6)に対するHK3の誤差で(V(t)m-Vk)/V(t)mである。図3(A)はHK3と(数6)との比較図である。
図3(A)ではHK3と(数6)は重なり合い両者の区別が付けられない。図3(B)はHK1、HK2およびHK3と(数6)との比較図である。分割を多くするに従い境界時間の間隔が小さくなる。
図3(B)に示すように、入出力比(V/Vo)0.1以下で(数7)の精度を確保するには分割3まで分割することが望ましい。入出力比(V/Vo)に応じた分割をすれば計算が楽になる。
図3(C)は(数7)の分割数と(数6)との誤差の関係を示す図である。 図3(C)から分割数が増えるに従い近似できる範囲が広がることおよび分割数3(HK3)のとき、(数7)は入出力比(V/Vo)=0.07近辺まで実用的な精度を有することが分かる
(表2)は(数6)に対するHK1、HK2およびHK3の誤差特性を示す。(表2)にはHK1、HK2およびHK3の電圧誤差特性と遅延時間誤差特性を示す。なお、図3および(表2)の計算には(表1)のパラメータ値を使用した。
誤差率1%以下を実用レベルの誤差とすると、(表2)からHK1ではV/Vo=0.3、HK2ではV/Vo=0.15およびHK3ではV/Vo=0.075以上で実用レベルの近似計算が可能であることが分かる。なお、(表2)に記載していないが分割4まで実施するとV/Vo=0.02近辺までの計算が可能である。
(数7)には一つの指数関数項しか含まれないので計算が容易である。遅延時間の計算は(数6)より(数7)が格組に容易であることは明らかである。
(数6)および(数7)はt=0で駆動端に電圧を加える場合の式である。すなわち、m組電気線路をVoで充電する場合の式である。m組電気線路をVoで充電した後に駆動端を短絡してm組電気線路の電荷を放電する場合の計算式は、充電時の式から求められる。
(数6)に対応する放電時の式をVdis(t)mとすると、Vdis(t)m=Vo-V(t)mである。(数7)に対応する放電時の式も同様に求められる。(数8)は(数7)に対応する放電時の式である。放電時および充電時共に同じ時間係数および振幅係数を用いればよい。
(数7)および(数8)を用いると、電気信号線路をパルス駆動するときの終端電圧が容易に計算できる。図4はパルス駆動される電気信号線路の終端波形シミュレーションの一例を示す図である。
シミュレーションには(表1)のパラメータを使用した。図4は1組電気線路の終端電圧特性を示す図である。m組電気線路の時定数と1組RC回路の時定数は同じである。
図4からm値が大きい電気信号線路の終端電圧は、1組の電気信号線路の終端電圧とかなり異なることが分かる。従来の波形計算法1は、実用性に欠ける波形計算法であることが明らかである。
(数7)を使用すれば、組の数が大きい電気信号線路の終端波形計算は、時間係数、振幅係数およびq値のパラメータから計算できる。分割数が3の場合でも、T(1)、A(1)、A(2)、A(3)、q1およびq2の六個のパラメータから計算可能である。
T(1)、A(1)、A(2)およびA(3)は電気信号線路の固有値である。一度値を決定すれば、特別な場合を除き変更する必要はない。(数7)の計算はパーソナルコンピュータを利用すれば簡単にできる。
抵抗器とキャパシタからなる図1(B)あるいは図2に示す電気信号線路と見なせる回路、例えば、後述するようなM型デバイスの信号線および走査線、プリント配線基板あるいはガラス基板等に形成される配線等に応用可能である。
本発明の実施例2の電気信号線路の波形計算を以下に説明する。図5は本発明の実施例2における電気信号線路の波形計算法を示す図で電気信号線路を2組電気線路としたときの波形計算法の説明図である。
10は2組電気線路である。共用線の抵抗は0である。2組電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれはR=R1a+R2およびC=C1+C2である。Ioは駆動回路11の駆動電流である。Roは駆動回路の出力抵抗でRo=0とする。V1、V2、I1およびI2はそれぞれ電圧および電流である。
図5の2組電気線路も電気信号線路である。(数9)は時間t=0でSWが閉じたときのV1、V2、I1およびI2の計算式で、過渡現象の解析より得られる。
V1およびV2も(数7)を適用できる。但し、(数7)の時間係数と振幅係数の値が異なる。V2の時間係数と振幅係数は(数7)と同様の方法で導出できる。(数7)のVkに対応するV1およびV2の計算式をそれぞれV(2)k1およびV(2)k2と表記する。
(数10)はV2の時間係数と振幅係数の一例を示す式である。T(1)2はV2の分割1の時間係数、A(1)2はV2の分割1の振幅係数およびA(2)2は分割2の時間係数である。
V(2)k2およびV(2)k1の時間係数、振幅係数およびq値等のパラメータとV(2)k2およびV(2)k1による計算例を以下に示す。計算にはVo=1V、R=1000ΩおよびC=200pFを用いた。
図6はm=n=1のときのV(2)k2およびV(2)k1と(数9)に対する誤差特性を示す図である。V(2)k2およびV(2)k1の分割数は2である。x軸は時間t/αkである。αk=α/T'(1)2で、T(1)2はV(2)k2の時間係数である。
図6(A)にV(2)k2の時間電圧特性および図6(B)V(2)k1の時間電圧特性を示す。V(2)k2の誤差は約0.15V以上で1%以下およびV(2)k1の誤差は約0..35V以上で1%以下に収まる。分割2までの(数7)を用いた場合でも計算可能な電圧は多少高くなるが十分に実用できる。
図6(C)および(D)にm=n=0.3のときのV(2)k2およびV(2)k1と(数9)に対する誤差特性を示す。V(2)k2の近似できる範囲は広いが、V(2)k1は約0.7V(誤差1%以下)以上のV1しか近似できない。m=nが0.3以下では、V(2)k1の近似範囲が狭くなり、実用できるのはV(2)k2だけである。
(表3)は(数7)の計算に必要な2組電気線路の分割2までのパラメータの一覧を示す表である。備考に示すV2(0.5%誤差)はV/Vo=0.5のときの誤差を示す。V2minは誤差1%以内の最小(V/Vo)を示す。V1についても同様である。
(数7)と(表3)を使えば、2組電気線路の波形の計算が容易くできる。時定数αが(表3)と異なるときt1およびt2は再計算する必要があることを付け加えておく。
V1およびV2には指数項が二つ含まれるので遅延時間の計算が複雑になるが、(数7)は指数関数項が一つなので、(数10)に示す遅延時間計算式から容易に計算できる。2組電気線路の波形計算は(数2)を用いればよいので、2組電気線路に限れば(数7)の実用性は余り高くない。勿論、(数7)は後述するように2組以上の電気線路の計算に適用できる。
(数7)はm≧2を満たす電気信号線路に適用できる。但し、mによって振幅係数および時間係数の値が異なる。勿論、mが十分大きければ(表1)に示す振幅係数および時間係数を使用すればよい。
このように(数7)は、2組、…、m組電気線路(図1(B)に示す電気信号線路)および平行導線等からなるからなる連続電気線路(図1(A)に示す電気信号線路)を統合してパラメータとして時間係数と振幅係数を用いる波形計算法である。
(数7)は電気信号線路の電気的パラメータに時間係数と振幅係数を加えるために、電気信号線路の波形を従来より適切に数値化して把握できること、時間係数と振幅係数は電気信号線路の構成から定まる固有の値であること、単純な構成の計算式で必要な精度を確保できること等の効果および特徴がある。上記特徴を活かして、各種の電気信号線路の波形解析や駆動解析等に大きな効果が期待できる。
本発明の実施例3を以下に説明する。図7は本発明の実施例3における電気信号線路の波形計算法を説明する図である。図7には電気信号線路が1組電気線路に変換されることを示す。すでに説明した符号および用語の説明は省略する。
図7に示す共用線の抵抗はほぼ0である。従って、電気信号線路の抵抗はほぼ専用線の抵抗と見なせる。図7(A)は1組電気線路、(B)および(C)は共にm組電気線路である(V(t)m=V(t)dである)。m組電気線路の電気信号線路の長さ、抵抗、キャパシタンス、要素Rおよび要素CはそれぞれL,Rm、Cm、reおよびceである。
V(t)mは(数7)からV(t)m≒Vo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/α)}である。α=(Rm/T(1)m*CmおよびA(1)m=1とすると、図7(A)の1組電気線路のV(1d)になる。勿論、A(1)m≠1なので、図7(B)のmの大きいm組電気線路を図7(A)の1組電気線路で表すことはできない。
しかし、T(1)m/αのみに着目すれば、時定数αのm組電気線路が時定数α/T(1)mの1組電気線路に変換されると考えられる。図7(A)をm1変換回路とする。m1変換回路の抵抗とキャパシタンスがそれぞれRm/T(1)mとCmであることを説明する。
数学的にT(1)m/(Rm*Cm)を満たす抵抗とキャパシタは無数に存在する。エネルギー保存則から、m1変換の前後でm組電気線路の電気量は一定でなければならない。従って、変換によりキャパシタンスCmは変化せず、抵抗RmがRm/T(1)mに変わり、図7(A)に示すm1変換回路になる。
図8はm組電気線路とm1変換回路の終端電圧特性を示す図である。図8に示すV(t)mとV(1d)の計算はR=2000Ω、C=100pFを使用した。減衰率はV(t)m/VoあるいはV(1d)/Voである。
図8(B)は図8(A)の拡大図である。図8(A)からV(t)mとV(1d)の形状は全く一致していないと思われる。図8(B)より少なくとも減衰率が0.99近辺以上ではほぼV(t)mとV(1d)とが一致する。すなわち、減衰率が 0.99近辺以上の時間ではm1変換回路で図7(B)のm組電気線路を置き換えることができる。
m1変換回路の終端電圧は減衰率がほぼ1となる図7(B)の終端電圧にほぼ一致する。遅延時間は同一ではなく、減衰量の差が誤差範囲に入る程度の差である。0.99以上の減衰率はほぼ1であると近似して支障がない。
終端電圧の減衰率がほぼ1となる時間t以降において、図7(B)のm組電気線路とm1変換回路との遅延時間差をδtとする。時間t以降ではV(t)m≒V(1d)である。(数7)からVo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*(t-δt)/α)}=Vo*{1-exp(-t/α)}で、δt=ln(A(1)m)*α/T(1)mを得る。A(1)m=4/πおよびT(1)m=(π/2)^2よりδt≒0.1*αである。図8(B)より減衰量0.99の時間tはt≒4.9*αである。よって、δt/t≒2%である。
m組電気線路が2組電気線路のときのδtをδt2とすれば、δt2=ln(T(1)2)*α/T(1)2である。2組電気線路の振幅係数および時間係数をそれぞれA(1)2およびT(1)2とおいた。表3からδt2≒0.1022*αを得る。m組電気線路が2組電気線路のとき、m1変換回路との遅延時間差が最大になるので、δtの最大値は0.1*αである。
図8(C)は連続電気線路で、長さL、要素Rはr'=T(1)m*reおよび要素Cはceである。図8(C)のm組電気線路のm1変換回路は抵抗RmとキャパシタンスCmの図8(D)の1組電気線路になる。すなわち電気信号線路を1組の要素Rと要素Cの電気信号線路に置き換えることができる。
変換2は1組電気線路を基準として電気信号線路の抵抗を定めるのに対し、変換1は連続電気線路を基準として1組電気線路の抵抗を定めるという相違があるが、変換1および2の回路共にm1変換回路である。
減衰率がほぼ1に近い時間以降でm1変換回路の終端電圧により電気信号線路の終端電圧を近似できる。すなわち、電気信号線路の終端電圧は減衰率がほぼ1に近い時間でm1変換回路の終端電圧に置き換えることができ、終端電圧の遅延時間差は最大で0.1*αである。
適用可能な時間範囲は狭いが、終端電圧に関して電気信号線路を1組電気線路に置き換えられるので、電気信号線路の電気的な疑似回路として使用できる。m組電気線路についてもm>1を満たす場合に同様に成り立つ。
m組電気線路の終端電圧V(t)mを、2組電気線路の終端電圧V(2,t)で概略疑似できることを示す。2組電気線路の要素RをR(2)および要素CをC(2)とする。2組電気線路の電気信号線路の抵抗は2*R(2)およびキャパシタンスは2*C(1)である。
(数7)からV(t)mおよびV(2,t)はそれぞれV(t)m≒Vo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/α)}およびV(2,t)≒Vo*{1-A(1)2*exp(-T(1)2*t/α(2)}である。時間電圧特性がほぼ一致する時間でV(t)m≒V(2,t)が成立するから、Vo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/α)}=Vo*{1-A(1)2*exp(-T(1)2*t/α(2)}である。よって、α(2)=T(1)2*α*t/[T(1)m*t-α*ln(A(1)m/A(1)2)]を得る。
ここで、t=k*αとおくとT(1)m*t-α*ln(A(1)m/A(1)2)=(k*T(1)m-ln[A(1)m/A(1)2])*αである。k*T(1)m》ln[A(1)m/A(1)2]を満たすとk*T(1)m-ln(A(1)m/A(1)2)=k*T(1)mとでき、α(2)={T(1)2*α/T(1}mとなる。ln(A(1)m/A(1)2)=0.088よりk*T(1)mを少なくとも10*ln(A(1)m/A(1)2)<1とすればk≧1/T(1)m=0.41を得る。
電気量は保存されるので、C(2)=Cm/2およびα(2)=4*R(2)*C(2)よりR(2)={T(1)2/T(1)m} *Rmになる。m>2を満たす電気信号線路の抵抗とキャパシタンスをそれぞれRmおよびCmとすれば、m組電気線路の終端電圧は、一定の遅延時間以降で電気信号線路の要素Rが{T(1)2/T(1)m}*Rmおよび要素キャパシタンスCm/2の2組電気線路の終端電圧によりほぼ疑似できる。
2組電気線路をx組電気線路に拡張できる。(数11)はm組電気線路の終端電圧を疑似可能なx組電気線路の抵抗およびキャパシタンスの計算式である。
連続電気線路あるいはm組電気線路は表記を簡潔にするための便宜的な名称に過ぎない。(数11)は連続電気線路ではなく電気信号線路の名称を用いて表した。(数11)は異なる組数の電気信号線路終端電圧を一致させる方法を示す式である。組数によっては一致終端電圧の範囲が異なることおよび電圧の基準を駆動回路の接地電位とすることに注意する必要がある。
図9は2組電気線路よるm組電気線路を疑似する回路を示す図である。図9(A)のm組電気線路はmが十分に大きい電気信号線路である。図9(A)および(B)は1組電気線路による疑似回路とほぼ同様であるので説明を略する。図9(C)および(D)は図1(A)および(B)と同じ図である。
図10はm組電気線路を疑似できる2組電気線路およびm組電気線路の終端電圧の比較を示す図である。V(t)mおよびV(t)2はそれぞれm組電気線路の終端電圧および2組電気線路の終端電圧である。
R=1000Ω、C=200pF、α=2*10^-7secおよびVo=1で計算した。誤差率10%以下を概略疑似できる範囲とすると、電圧0.5V(V/Vo=0.5 at t= 7.6*10^-8sec)近辺以上において、m組電気線路の終端電圧は2組電気線路の終端電圧で疑似可能である。V/Vo=0.5の時間tはt= 7.6*10^-8secおよびα=2*10^-7secより、k=α/tからk=7.6/20=0.38である。
誤差率5%以下を概略疑似できる範囲とすると、V/Vo=0.6(at t=9.4*10^-8sec)近辺以上でm組電気線路を2組電気線路により疑似可能である。k=0.47である。誤差率を3%程度に設定すれば、k=0.64でV/Vo=0.76(at t=1.28*10^-7sec)である。誤差率1%程度に設定すれば、k=0.75でV/Vo=0.8(at t=1.5*10^-7sec)である。
このようにV/Voが約0.6以上の電気信号線路がm組の(m組電気線路)終端電圧は、電気信号線路が2組の(2組電気線路)の終端電圧に置き換え可能である。組数を増やせば疑似できる疑似可能な終端電圧の時間範囲が広がるが、回路が複雑になるので、疑似する電気信号線路の組数は2組から4組程度が望ましい。
組数が大きい電気信号線路の終端電圧を少ない組数の電気信号線路で疑似できるので、電気信号線路あるいは駆動回路のシミュレーションが容易になるほか、後述する電気信号線路の疑似回路として応用できること等の効果がある。
本発明の実施例4を以下に説明する。すでに説明した符号および用語の説明は省略する。図11は実施例4における電気信号線路の波形計算法を説明する図である。
図11は電気信号線路の組数に対応した振幅係数および時間係数を求める方法を示す図で、1組、2およびm組電気線路と連続電気線路を正弦波で駆動する回路を示す。Vsは正弦波電源で振幅がVsの正弦波電圧を出力する。図11のaおよびcは専用線の端子でbおよびdは共用線の端子である。共用線の抵抗は0である。
V(f)1、V(f)2、V(f)mおよびV(f)dは正弦波応答でのそれぞれ1組連続電気線路、2組連続電気線路、m組電気線路および連続電気線路の終端電圧である。図11(4)は連続電気線路である。m組電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれRおよびCである。1組連続電気線路、2組連続電気線路、m組電気線路および連続電気線路の共用線の抵抗は0である。
図11(1)〜(3)に示すように、抵抗RとキャパシタンスCを一定にして、m組電気線路のmを増やしていくと、やがてm組電気線路の終端電圧は、図1(A)連続電気線路の終端電圧V(f)dにほぼ一致すると予測できる。ほぼ一致する最小の組数をxとする。図11のVsをパルス電源に置換した場合にも、正弦波と同様にm組電気線路の組数mを増やしていくと、連続電気線路の終端電圧に一致すると予測される。
パルス駆動時のm組電気線路の終端電圧は(数7)で近似できる組数をxとする。xを決定すると、m≧xを満たすm組電気線路の終端電圧は(数7)で近似できるから、(数7)を有効活用できる。
4組以上のm組電気線路の過渡現象解は高階微分方程式の解が必要なので求めることが困難であるが、m組電気線路の正弦波応答は計算可能である。m組電気線路の正弦波応答とパルス応答とを対比すると連続電気線路終端電圧にほぼ一致する最小のm組電気線路と組数に対応した時間係数と振幅係数を決定できる。
ただし、x組電気線路が連続電気線路そのものに近似できることではない。連続電気線路はどれだけ分割しても同じ時間係数と振幅係数を有する連続電気線路であるが、m組電気線路(図1(B)のタイプの電気信号線路)は分割を繰り返すと1組連続電気線路になり、それ以上分割できなくなることからも相違は明らかで、xはm組電気線路の終端電圧が連続電気線路の終端電圧にほぼ一致する組数を指す。
m組電気線路の要素Cの専用線側端子の電圧を位置電圧と定める。最終組あるいは終端に位置する要素Cの位置電圧が終端電圧である。x組電気線路を連続電気線路とほぼ同じに扱う場合、終端電圧と位置電圧とを区分しなければ誤差が大きくなる。
xはx組電気線路の終端電圧を(数2)あるいは(数6)で近似可能な最小の組数である。従って、x組電気線路の位置電圧を(数2)から計算すると誤差が大きくなる場合が生じる。いうまでもなく、位置電圧が計算可能な組数はxより大きくなる。
m1変換回路においてV/Voがほぼ1の時間電圧特性(パルス応答である)は、正弦波応答における減衰量がほぼ0の周波数電圧特性部に対応することを利用して、m組電気線路の正弦波応答から時間係数T(1)を求める。
図12はm組電気線路の正弦波応答からT(1)を求める説明図である。Vs(f)は周波数fの正弦波電圧Vs(f)を発生する電源である。Vs(f)はm組電気線路の駆動端に加えられる。Vs(f)=|Vs|*sin(2*π*f)および減衰率は|V(f)m/Vs(f)|である。図12(A)、(B)および(C)は1組電気線路、2組電気線路、m組電気線路を示す図である。図12(E)は図1(B)とおなじ図である。
図12の回路から約fc/10以下の周波数において、正弦波電源Vs(f)の出力抵抗減衰率と1組電気線路の減衰率とが一致させるhl(m)を求める。hl(m)はm組電気線路の抵抗係数である。1組電気線路の抵抗係数はhl(1)=1である。m組電気線路の抵抗および キャパシタンスはそれぞれhl(m)*RおよびCである。正弦波応答でのm組電気線路の終端電圧はV(f)mである。
抵抗RとキャパシタンスCの1組電気線路の切断周波数をfcとすると、回路理論ではfc=1/(2*π*R*C)=1/(ω*α)と定義される。ω=2*πである。m組電気線路の減衰率|V(f)m/Vs(f)|は計算可能である。約fc/10以下の周波数での減衰率はほぼ0である。
(数12)は6組電気線路までの減衰率|V(f)m/Vs(f)|の計算式を示す。Roは正弦波電源Vs(f)の出力抵抗(内部抵抗ともいう)である。6組電気線路の計算式はRo=0の場合である。jは虚数である。正弦波電源Vs(f)の出力抵抗Roは0とする。
図12の1組電気線路の減衰率|V(f)m/Vs(f)|のほぼ0になる部分とm組電気線路の減衰率減衰率|Vso(f)m/Vs(f)|が一致させる抵抗係数は(数12)より求められる。図12のm組電気線路の減衰率|V(f)m/Vs(f)|は、(数12)のRを hl(m)*Rに置き換えれば計算可能である。
従って、約fc/10以下の周波数(減衰率がほぼ0になる)について|V(f)1/Vs(f)|=|V(f)m/Vs(f)|を満たす hl(m)を(数12)から求めればよい。(表4)は組の数6までの|V(f)1/Vs(f)|=|V(f)m/Vs(f)|を満たす抵抗係数の一例を示す表である。
|V(f)m/Vs(f)|=0.707を満たす周波数をfclと表し切断周波数とする。(表4)のfcl(m):Hzは(数12)から計算した切断周波数である。fcl:Hzは後述する(数19)から計算した切断周波数である。
(表4)示すように、2組電気線路の抵抗係数と時間係数T(1)2は、ほぼ一致する。2組電気線路の抵抗係数 hl(2)と振幅係数 T(1)2との差は(1.525-1.512)/1.525=0.86%で計算誤差と見なせる。
(表4)の抵抗係数からT(1)m≒hl(m)であり、m組電気線路の組数が増えるに従いT(1)mは(π/2)^2に収束すると近似できる。減衰量がほぼ0である周波数電圧特性部はV/Voがほぼ1である時間電圧特性に対応する。
図13は1〜5組電気線路の周波数電圧特性を示す図である。図13(A)および(B)は切断周波数がほぼ一致する1〜5組電気線路の周波数電圧特性を示す図である。なお、電圧の基準は端子bである。共用線に抵抗がある場合、端cおよび端子d間の電圧は(数12)から計算できないことを付け加えておく。
図13(B)は図13(A)の拡大図である。1組電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれR=1000ΩおよびC=20000pFである。fc=77.6kHzである。2〜5組電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれhl(m)*RおよびCである。 hl(m)は(表4)の値を用いた。
図13(A)および(B)に示すように、減衰率-5dB以内では1〜5組電気線路の周波数電圧特性がほぼ重なる。(表4)のhl(m) はfc/10で減衰率が-0.05dB以内になる値を求めた。
図13(C)および(D)は抵抗とキャパシタンスが同じ1〜5組電気線路の周波数電圧特性を示す図である。同じ抵抗とキャパシタンスの1〜5組電気線路の切断周波数は組数が大になると高くなる。
(表4)から組数mに対するhl(m)、T(1)m、A(1)mおよびはA(2)mの推測曲線を求めることが可能である。図14は(表4)に基づくT(1)m、A(1)mおよびはA(2)mの推測曲線の一例を示す図である。
図14はm=6までのhl(m)とm値が大のときのhl(m)を(π/2)^2として回帰分析したhl(m)の推測曲線に基づく。図14に示すようにm組電気線路の正弦波応答から時間係数を求めることができる。
(表5)は図14から求めた時間係数および振幅係数を示す表である。(表5)には分割1の時間係数と分割3までの振幅係数とq値を記載した。T(2)mおよびT(3)mは(表5)のパラメータから計算できるので省略した。
振幅係数および時間係数にm組電気線路の組数を示す場合にはA(1)m、A(x)m、T(1)mあるいはT(x)mと表記する。(表6)に記載の値から、±0.01程度ずれても実用上支障がない。
すなわち、m<20を満たすとき2.0≧q1≧1.4およびq2=2.7±0.3でT(1)m、A(1)mおよびA(2)mをそれぞれT(1)m=Tm±0.01、A(1)m=Am±0.01およびA(2)m=am±0.01とおいて下記の値を使用すればよい。
T2=1.520、T3=1.765、T4=1.912、T5=2.008、T6=2.078、T7=2.134、T8=2.185、T9=2.230、T10=2.265、T11=2.280、T12=2.300、T13=2.320、T14=2.335、T15=2.352、T16=2.368、T17=2.382、T18=2.395、T19=2.411、A2=1.166、A3=1.203、A4=1.222、A5=1.232、A6=1.238、A7=1.244、A8=1.248、A9=1.252、A10=1.254、A11=1.257、A12=1.258、A13=1.261、A14=1.262、A15=1.262、A16=1.263、A17=1.264、A18=1.266、A19=1.267、a2=1.12、a3=1.15、a4=1.17、a5=a6=1.19、a7=a8=1.20、a9=a10=a11=a12=1.21、a13=a14=a15=a16=1.22およびa17=a18=a19=1.22である。
m≧20を満たす組数である場合、q1=1.55±0.2、q2=2.7±0.3およびT(1)mは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲とし、A(1)mは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲およびA(2)m=1.23±0.01とすれば十分である。
m<20を満たす組数の振幅係数および時間係数の概略値は、A(1)≒1.13+0.03*ln(m)、A(2)≒1.11+0.044*ln(m)およびT(1)≒1.36+0.37*ln(m)で計算可能であるが精度が落ちる。正確に計算する場合は(表5)の値を用いることが望ましい。
(表5)あるいは図14のパラメータを(数7)に代入すれば、m組電気線路の時間電圧特性が計算可能である。図15は30組電気線路の終端電圧とその誤差率を示す図である。
図15は(表5)の振幅係数と時間係数と分割3までの(数7)を用い、R=1000Ωおよび C=200pFについて計算した。連続電気線路は(数6)の計算式を用いた。30組誤差率は(数6)に対する誤差率である。
図15(B)は(数6)に対する15、20および30組電気線路の誤差率を示す図である。(数6)の計算結果と30組電気線路の終端電圧は、重なり区別がつけられない。30組電気線路の誤差率はV/Vo=0.2近辺以上ではほぼ1%以下である。
15および20組電気線路の誤差率は、V/Vo=0.2近辺以上でそれぞれほぼ2%および5%以下である。図15から、実用上問題が生じないと思われる1%以下の誤差率では、m=20〜30組以上のm組電気線路の終端電圧は(数7)から計算可能であることが分かる。許容される誤差率が大きければ、m=15程度のm組電気線路についても(数7)が適用可能である。
図16は3組電気線路により電気信号線路の終端電圧を疑似させたときの誤差率を示す図である。図16には15および20組電気線路の終端電圧と(数6)との誤差率を併記した。
m組電気線路および連続電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれRおよびCである。図16の3組疑似誤差率は、抵抗が(T(1)3/T(1)m)*RおよびキャパシタンスがCの3組電気線路の(数6)に対する終端電圧誤差である。T(1)3=1.765である。T(1)m=(π/2)^2とした。
図16は3組電気線路により連続電気線路の終端電圧をある疑似可能であることを示す。(数11)と(表5)から組数の大きい電気信号線路の終端電圧を組数の小さい電気信号線路の終端電圧で置き換えることができ、後述する電気信号線路疑似回路に応用できる。
図17は1,2、3、5、7、10組電気線路および連続電気線路の終端電圧の時間電圧特性を示す図である。1,2、3、5、7、10組電気線路および連続電気線路の抵抗およびキャパシタンスは同じ値である。
図17から示されるように、(表5)と(数7)を使用すればm組電気線路の終端電圧は容易に計算できる。(数7)は電気抵抗器とキャパシタによる比較的組数の小さいはしご形回路の計算にも使い易く非常に便利である。
以上説明した波形計算法によれば、20〜30組以内の電気信号線路の終端電圧を振幅係数および時間係数から容易に計算できること、組数の大きい電気信号線路の終端電圧を組数の小さい電気信号線路の終端電圧で置き換えることができること、組数に対応した振幅係数および時間係数を求めることができること等の効果がある。
本発明の実施例5の電気信号線路の波形計算法を以下に説明する。実施例5は駆動回路の出力抵抗あるいは電源の出力抵抗を含む信号線路の波形計算法を示す。すでに説明した符号および用語の説明は省略する。
図18は実施例5における電気信号線路の波形計算法を説明する図である。Vpはパル電源で、振幅Voのパルスを出力する。駆動回路はVpとRoからなる。Roは駆動回路の出力抵抗である。
V(t)mおよびV(t)dはそれぞれm組電気線路および連続電気線路で記述される長さLの電気信号線路である。m組電気線路および連続電気線路の抵抗とキャパシタンスは共にRおよびCである。図18(1)、(2)、(3)および(4)はそれぞれ1組電気線路、2組電気線路、m組電気線路および連続電気線路である。
出力抵抗Roが存在するので、(数2)、(数6)あるいは(数7)からV(t)mおよびV(t)dを計算できない。αrを電気信号線路と駆動回路の時定数とする。αr={T(1)*Ro+R}*Cあるいは={Ro+R}*Cである。αは電気信号線路の時定数である。
(数13)は駆動回路あるいはパルス電源に出力抵抗RoがあるときのV(t)mの計算式である。(数13)においてV(t)dの計算はm組電気線路を連続電気線路に置き換えればよく、m組電気線路と連続電気線路の区別はない。
(数13)には分割xまでの計算式を示す。(数13)は(数7)に基づいて導出される。(数13)の計算には(表1)、(表3)および(表5)の振幅係数、時間係数およびq値を使用する。(数13)は電気信号線路の波形計算の基本式である、
電圧の基準点は駆動回路の接地電位で、図18の端子bである。共用線の抵抗が0と見なせる場合は端子dでもよいが共用線を接地電位とすることが望ましい。図18では端子bおよびdが接地電位である。
(数9)は出力抵抗を含む図5に示すV1およびV2の計算ができるので、(数9)と(数13)から出力抵抗をパラメータにして計算して、(数9)と(数13)の比較をすれば、(数9)に対する(数13)の精度を検証できる。V2の(数9)による計算結果をV2を(数13)によるV2の計算結果をV(2)k2とする。
図19は出力抵抗を含む2組電気線路の終端電圧を示す図である。Ro=1kΩで、2組電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれ1kΩおよび200pFである。Ro=0Ωは出力抵抗が0の(数9)による終端電圧である。図19のV2は(数9)によるRo=1kΩの2組電気線路の終端電圧である。
Ro=1kΩで、αr1はαr=(T(1)2*Ro+R)*CとしたときのV(2)k2およびαr2はαr=(Ro+R)*CとしたときのV(2)k2である。T(1)2は2組電気線路の時間係数でT(1)2=1.525である。
図19に示すように、交点PのV/Voより大のとき、V2はαr1とαr2の間に位置する。図19の計算では、2組電気線路の抵抗と同じ値を出力抵抗とした。実際の出力抵抗は電気信号線路の抵抗よりかなり小さい場合が多い。その場合にはαr1とαr2のV2対する誤差は小さくなる。
図20はRo=300Ωおける(数9)に対する(数13)の誤差特性を示す図である。図20のαr1およびαr2は出力抵抗値が異なる以外は図19と同様である。図20のαr1およびαr2誤差率は(数9)に対するαr1およびαr2の誤差である。図20のαr1およびαr2が互いに重なり合うが、誤差特性は異なる。
図20(B)は誤差の比(αr1誤差率/αr2誤差率)を示す図である。誤差の比が1より小さいければ、αr1の誤差がαr2の誤差より小さい。誤差の比からV/Vo=0.4近辺以上ではαr1が適している分かる。
組数が大きいm組電気線路の終端電圧は、2組電気線路の終端電圧で疑似できる。2組電気線路の終端電圧は(数9)から計算できる。従って、組数が大きいm組電気線路あるいは連続電気線路についても(数9)から(数13)の精度を確認できる。
図21は(数13)による連続電気線路の終端電圧を示す図である。図21の符号は図19と同じである。図21の連続疑似は、連続電気線路の終端電圧を2組電気線路の終端電圧で疑似した特性である。連続電気線路の抵抗とキャパシタンスはそれぞれ1kΩおよび200pFである。
連続疑似とαr2の交点Q近辺は連続疑似の誤差が大きい部分である。V/Vo=0.2近辺に実際の交点Qがあると予想される。図20および図21から、Ro=300ΩでV/Vo=0.6において連続疑似の遅延時間は約0.1μsecで、V2の遅延時間は0.062μsecである。m組電気線路の組数が大きいほど出力抵抗の影響を受けることが分かる。
図19、図20および図21に示すように、図18の終端電圧は(数13)から計算できる。(数13)は(数9)に基づく。(数9)は(数2)の近似式である。従って、駆動回路と電気信号線路の時定数(αr)を(数2)に組み込んだ(数14)も図18の駆動回路と電気信号線路の波形計算に使用できる。
(数14)はm組電気線路上の電圧を計算する式である。位置電圧式と略する。位置電圧式は駆動回路の内部に仮想駆動端を設定して、仮想駆動端を0(原点)としてm組電気線路の終端を1とする変数を用いて位置の電圧を計算する。この変数をxdとし位置変数と定める。位置の電圧を位置電圧と定める。
図22は(数13)および(数14)の説明図である。10はm組電気線路およびVo、SWおよびRoからなる回路は駆動回路を表す。(数13)および(数14)に出力抵抗がパラメータとして入るので、t=oでSWが閉じたときの電圧を加える端子は端子aではなく、図22に示すように出力抵抗Roの片方の端子になる。
出力抵抗Roの片方の端子を仮想駆動端とする。仮想駆動端は実在する端子ではなく計算をする上での便宜的なものである。(数13)は終端電圧の計算式なので、仮想駆動端をあまり気にする必要はない。Roにより端子a(駆動端)の波形が歪むことに注意すればよい。駆動電流とRoの電圧降下によるが、詳細な説明は後述する。
(数14)は仮想駆動端を原点にして位置電圧を計算する。端子aの仮想駆動端からの位置の算出法は後述する。駆動端位置変数をdvとすると、仮想駆動端から端子aの組数をDVとすればDV=dv*M/(1-dv)の整数である。m組電気線路が長さがLで表される場合、MをLに換えればよい。端子aは実際の駆動端である。DVは駆動端の仮想的組の数である。
端子a(駆動端)からの組数jと位置変数xdの関係はxd={xde*(M-j)+j}である。端子aからの長さlと位置変数の関係はjをlに換えればよい。Roの片方の端子を仮想駆動端にしてRoの他方の端子と端子aとを接続した仮想的な専用線と仮想的な専用線に対応する仮想的な共用線を便宜的にそれぞれ仮想専用線および仮想共用線とする。
仮想専用線および仮想共用線の組数はDV+Mである。(数14)は仮想専用線の駆動端と仮想共用線間にパルスを加えたときの位置電圧計算式である。出力抵抗によりm組電気線路の組数あるいは連続電気線路の長さが伸びるのである。Vdvkは仮想専用線の電圧計算式であるが、Vdvk場合によってはV(xd,t)と表記する場合があることを断っておく。
DVの値を予め求めておかなければ、(数14)から端子aからの位置電圧を計算できない。しかし、(数14)が仮想駆動端を原点とする計算式でも実用性が低くなることはなく、(数14)は位置に対する電圧の変化を知るうえで大変有効である。
むしろ、従来の計算式では計算できないが本発明の波形計算を使用すれば位置電圧を容易く計算できる。(数13)、(数14)、後述する(数23)および(数27)が本発明の波形計算法の基本式である。
後述するようにDVの値を計算できるし、Roより駆動回路の切断周波数等による波形歪みによるDVの変化が大きい。駆動端の位置はRoによって余り変化しないので、DVの値が不明でも(数14)は有用である。
(数14)はRo≠0の電気信号線路の位置電圧および終端電圧の近似式である。(数14)のxdは位置変数である。終端電圧の計算には、言うまでもなく(数13)が実用的である。
図23は(数14)による出力抵抗を含む2組電気線路のV1の計算結果を示す図である。図24は(数14)による出力抵抗を含む2組電気線路のV2を示す図である。
図23のV(2)dvk1および図24のV(2)dvk2は(数14)から計算したV1およびV2である。V(2)dvk1は(数14)においてxd=0.5およびV(2)dvk2は(数14)においてxd=1ときの計算値である。図23のV1および図24のV2は(数9)による。誤差1および2は(数9)に対する(数14)の誤差率である。
図23および図24の計算には、出力抵抗RoをR0=300Ω、2組電気線路の抵抗とキャパシタンスはそれぞれ1kΩおよび200pFとし、(表5)の振幅係数と時間係数を用いた。
図23および図24から示されるように、(数14)は(数13)より誤差が大きくなるが、実用できる精度を確保している。出力抵抗があまり大きくない場合、xdeをあまり気にする必要がないことを示す図でもある。
駆動回路あるいは駆動電源の出力抵抗Roは正確に求められないので、(数14)は図22に示す誤差で十分に実用できる。(数14)は(数13)は電気信号線路の基本式である。
図2に示すような出力抵抗が0の駆動回路は実際には存在しない。勿論、電気信号線路の抵抗より条文に小さい出力抵抗を有する駆動回路の場合には出力抵抗を0と見なせるが、通常は出力抵抗を無視することができない。
従って、(数2)、(数6)および(数7)は出力抵抗を含まないので実用的でhない。電気信号線路の波形計算には(数13)および(数14)がきわめて実用的である。
また、t=0で駆動回路により電気信号線路を振幅がVoのパルスで駆動する場合、電気信号線路の駆動端にt=0でVoのパルスが加わるのではなく、仮想駆動端に加わる。
そのために、駆動端の波形が歪むのであるが、駆動回路による電気信号線路駆動を詳細に表現すると文章が長くなるので、t=0でVoの電圧で駆動するあるいは振幅がVoのパルスで駆動すると表記する。この表記は電気信号線路の駆動端にt=0でVoの電圧を加えることを意味しないことを断っておく。
このように、波形計算式に出力抵抗を含めることにより、実際の電気信号線路の波形を正確に計算でき、その波形計算式は構成が比較的簡易で実用性が高い。また、後述するように駆動回路の周波数特性も出力抵抗に含めることができるので大変応用範囲が広く有用である。
また、波形計算式に出力抵抗が含まれるために、実際の電気信号線路の駆動を的確に把握でき、最適な駆動の条件を求めることあるいは最適な駆動を実現することが可能になる。電気信号線路を用いる電子デバイス、特にM型表示装置の製造、設計および開発に非常に有効で実用的である。勿論、電気信号線路を有する電子回路等の分野に応用可能であることはいうまでもない。
本発明の実施例6の電気信号線路の波形計算法を以下に説明する。(数15)は実施例6の電気信号線路の波形計算法に用いる波形計算式である。すでに説明した符号および用語の説明は省略する。
(数14)は指数関数の多項式からなり計算が複雑である。(数15)は(数14)おいてn=1としたときの計算式Vxd=Vo*{1-A(1)*sin(xd*π/2)*exp(-T(1)*t/αr)}である。VxdはV/Voおよび位置変数xdの値によっては実用性を欠く誤差が発生する。
(数15)はVxdが適用できる電圧の下限を限界一致電圧により定めた波形計算式である。Vlmtを限界一致電圧とする。図25は限界一致電圧の一例を示す図である。図25は位置変数xd=0.2、0.4、0.6および0.8について(数14)とVxdから計算した波形を示す図である。(数15)の(1)、(2)および(3)が限界一致電圧である。
(表6)は位置変数xdに対する限界一致電圧を示す表である。(表6)ではVlmtを電圧の比V/Voで記述している。(表6)の2組電気線路、5組電気線路および連続電気線路のV/Voは2組電気線路、5組電気線路および連続電気線路のVlmtである。
限界一致電圧は許容誤差によって変わる。(表6)は3%以下の場合である。誤差を大きくすれば限界一致電圧は小さくなる。(表6)から(数15)の(1)、(2)および(3)は求められる。
(数15)は指数関数項が一つなので扱いやすい。3組電気線路あるいは4組電気線路等の電気信号線路の波形の概略値を知るには実用的な波形計算法である。
本発明の実施例7の電気信号線路の波形計算法を以下に説明する。実施例7は限界一致電圧以下の位置電圧を対数関数で近似する電気信号線路の波形計算法である。すでに説明した符号および用語の説明は略する。
図26は実施例7における電気信号線路の波形計算法を示す図である。図26は限界一致電圧以下の位置電圧を比較的単純な対数関数で近似する波形計算法を示す図で、ある。Vlmtは限界一致電圧である。図26はm値が大であるm組電気線路あるいは連続電気線路の波形の近似法を示す図である。
図26に示すように波形を位置電圧を2あるいは3分割して計算する。波形歪みの大きい位置電圧は3分割し、歪みが小さい位置電圧は2分割する。図26の(t1,Vu)、(t2,Vm)および(t3,Vb)は分割点である。Vuは限界一致電圧Vlmtである。
Vu、VmおよびVbを分割電圧およびt1、t2およびt3を分割時間とする。(t1,Vu)より大の波形をV(xd)k=Vo*[1-A(1)*sin(xd*π/2)*exp(-t/(αk))]より求める。(t1,Vu)と(t2,Vm)間の波形を対数関数1で計算する。(t2,Vm)と(t3,Vb)間を対数関数2で計算する。
位置電圧の波形歪みが小さい場合には(t1,Vu)と(t3,Vb)間を対数関数3で計算する。Vbは図24の波形計算が可能な最小電圧である。VmはVuとVbの中央部よりやや上に設定するのが望ましい。
(数16)は図26に示す波形計算の一例を示す式である。αkはαk=αr/T(1)である。E(1)、E(2)およびE(3)はそれぞれ対数関数1、2および3で、Vu、VmおよびVbをそれぞれ0.95、0.6および0.2に設定している。
(数16)の(1)および(2)の位置電圧はV(xd)k、E1(対数関数1)およびE2(対数関数2)、(3)の位置電圧はV(xd)kおよびE3(対数関数3)および(4)の位置電圧はV(xd)kにより計算する。
(数17)はE1、E2およびE3の計算式である。(数18)はVu、t1、t2およびt3の計算式である。(数18)は(t1,Vu)、(t2,Vm)および(t3,Vb)は位置変数xdの関数で近似できることを利用すると導出できる。
(数18)の導出には数値計算が必要である。(数18)の導出過程の説明は紙数を要するので省略する。なお、(t1,Vu)、(t2,Vm)および(t3,Vb)をそれぞれ(tu,Vu)、(tm,Vm)および(tb,Vb)と表記する場合があることを断っておく。。
(数16)、(数17)および(数18)による電気信号線路の波形計算は、限界一致電圧以下の位置電圧を二つの対数関数あるいは一つの対数関数による近似するために、比較的計算が容易な近似式になる。
限界一致電圧以下を対数関数1と2で近似するか、あるいは対数関数3で近似するかの決定は、計算に必要とする精度によって異なるので一義的に定められない。VbあるいはVuの設定値についても同様である。
(数16)、(数17)および(数18)の計算は、パーソナル・コンピュータ一に使用される一般的な表計算プログラムで作成できる。勿論、精度を上げるには多少複雑な計算プログラムが必要になる。
表計算プログラムによる位置電圧の計算結果を以下に示す。計算はRo=0Ω、R=1kΩ、C=200pF、Vo=1V、L=1mの条件で計算した。図27は(数16)によるxd=0.05〜0.1の位置電圧を示す図である。図28は(数16)によるxd=0.3〜1の位置電圧を示す図である。
図27および図28おいて(数2)を位置分布(数16)を位置HKと表記して示す。図の誤差率は、(数2)に対する(数16)の誤差を示す。図27および図28の計算では、出力抵抗値を0とした。
xd<=0.05では誤差が10%を越すが、xdが大になると5%以下に収まる。xd>=0.7では終端電圧式と変わらない。限界一致電圧を0.2V設定したが、0.15V近辺までは使用できる。
xd>=0.3でV/Voが0.5近辺以上では2%以下程度の誤差になる。V/Voが高くなるほど誤差が小さくなるのは、(数16)の特徴である。
M型デバイスではV/Vo=0.5近辺以上の波形を利用することが多い。(数16)はV/Vo=0.5近辺以上で誤差が小さくなるのでM型デバイスの波形計算に最適である。
図29は位置に対する電圧特性の一例を示す図である。図29(1)および(2)は遅延時間をパラメータにした位置に対する電圧特性の一例を示す図である。αは、電気信号線路の時定数である。tは遅延時間である。
図29(3)は出力抵抗をパラメータにした位置に対する電圧特性の一例を示す図である。図29に示すように、遅延時間あるいは出力抵抗による位置電圧の変化が一目で分かる。
図30は(数16)および従来の波形計算法2による位置の時間電圧特性を示す図である。出力抵抗RoはRo=0である。電気信号線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれ1kΩおよび200pFである。
図30の従来2は(数4)による従来の波形計算法2の計算結果、V(xd)kは(数16)による計算結果および位置分布は(数2)による計算結果を示す。図30(A)にxd=0.5の時間電圧式および図30(B)に遅延時間td=10^-6secの位置に対する電圧特性を示す。
図30に示すように従来の波形計算法2は(数2)および(数16)とは大変異なる。従来の波形計算法2は誤差が非常に大きく、実用的な近似式でないことは明らかである。
(数18)から遅延時間式が求められる。対数関数式1、2および3はE(i)=exp(ki*t+bi)である。遅延時間式はt={ln(E(i))-bi}/kiである。位置に対する時間特性は位置に対する電圧特性より、やや計算式が複雑になるが、パーソナル・コンピュータの一般的な表計算プログラムを使って計算可能である。
図31は(数18)による位置に対する時間特性の一例を示す図である。図31(A)は入出力比V/Voをパラメータにした位置に対する時間特性を示す図である。電気信号線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれ1kΩおよび200pFである。図31(A)ではRo=0でV/Vo=Vraである。
図31(B)は出力抵抗Roをパラメータにした位置に対する時間特性を示す図である。図31(A)ではV/Vo=Vra=0.8である。図31に示すように(数16)を使用すると、位置に対する電気信号線路波形の遅延時間が一目で分かる。
(数16)は指数関数あるいは対数関数による一つの関数項から構成される。(数2)による位置に対する電圧特性あるいは位置に対する時間特性の計算より、(数16)の計算は遙かに容易で便利である。
本発明の実施例8の電気信号線路の波形計算法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。(数19)は実施例8の電気信号線路の波形計算法を示す計算式である。
(数19)は電気信号線路の切断周波数、切断時間および切断電圧を求める計算式である。fclは電気信号線路の切断周波数、tcは切断時間およびV(tc)は切断電圧である。
(表7)は1〜5組の電気信号線路の切断周波数の計算結果を示す表である。(表7)のfclよびfc(m)はそれぞれ(数19)および(数12)の計算結果、誤差は(fc(m)-fc)/fc(m)である。
fc(m)は(数12)から計算した20*log{|V(f)m/Vs(f)|}=-3dBをほぼ満たす周波数である。Ro=0、R=1000ΩおよびC=20000pFについて計算した。減衰率(db)は(数12)に代入して求めた値である。(表7)に示すように、fclの誤差は1%内外で、(数19)による電気信号線路の切断周波数は実用できる。
(表8)は出力抵抗がある場合の(数19)による電気信号線路の切断周波数の誤差率を示す表である。1〜5組電気線路について計算した。(表8)の誤差は(数12)に対する誤差である。出力抵抗がある場合も(数19)の誤差はRo=0と大差がない。
(数19)の(1)から切断周波数に対応するパルス応答時の時間電圧特性の時間と電圧を計算できる。この時間および電圧がそれぞれtcおよびV(tc)である。tcおよびV(tc)を以下に説明する。なお、電気信号線路の組数を示す場合はfcl(m)と表記する。
t=0で駆動端にVoを加えたときの電気信号線路の終端電圧をV(t)mとする。V(t)m=Vo*(1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/αr))である。V(t)mにαr=T(1)m/(2*π*fcl(m))を代入すると、V(t)m=Vo*(1-A(1)m*exp(-2*π*fcl(m)*t))である。tc=1/(2*π*fc(m))とおくと、exp(-1)≒0.368よりV(tc)m/Vo=1-0.368*A(1)である。
電気信号線路の時間係数および振幅係数をT(1)m=(π/2)^2およびA(1)m=π/4とすれば、電気信号線路のV(tc)mはV(tc)/Vo=0.532である。電気信号線路が1組のとき、tc=(R*C)でV(tc)/Vo=0.632である。0.632>電気信号線路のV(tc)/Vo>0.532を満たすので0.532~0.632は分割1のV/Voである。切断周波数は分割1の時間に対応するから、(数19)には分割1の時間係数を用いればよい。
(数19)による波形計算法は、電気信号線路の切断周波数を、時間係数を用いて簡単に計算できること、パルス応答と正弦波応答との関係を把握できること等の効果がある。
本発明の実施例9の電気信号線路の波形計算法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語の説明は省略する。図32は本発明の実施例9の電気信号線路の波形計算法を説明する図である。
図32はキャパシタからなる電気信号線路の波形計算法を説明する図である。図32(A)はキャパシタからなる電気信号線路の説明図および図32(B)は図32(A)の電気信号線路の時間係数の説明図である。
図32(A)に示す電気信号線路は、キャパシタを直列に接続して最初と最後のキャパシタの端子の端子を電気信号線路の端子aおよびcとする電気信号線路
と端子bおよび端子を有する導体からなる電気信号路からなり、キャパシタの直列接続点と導体間に抵抗を挿入した構成からなる。CeはキャパシタおよびReは抵抗である。
図1と同様に端子aおよびc間を専用線および端子bおよびd間を共用線とする。 図32(A)の電気信号線路をm組CR回路と略記する。組は図1と同様でceとreの組を1組とする。
CeおよびReをそれぞれ要素Cおよび要素Rとする。専用線の両端間のキャパシタンスをm組CR回路および図32(A)に示す電気信号線路のキャパシタンスおよび抵抗をそれぞれC=Ce/mおよびR=m*Reとする。
1組RC回路は積分型回路と呼ばれ1組CR型回路は微分回路と呼ばれるので、図32(A)に示す電気信号線路は微分型および図1の電気信号線路は積分型といえる。また、正弦波応答では、1組CR回路および1組RC回路はそれぞれハイパス・フィルター(HPFと略する)ローパス・フィルター(LPFと略する)と呼ばれる。
m組CR回路の波形計算式はm組電気線路と同様の方法で得られる。すなわち、(数13)と同様の方法で求められる。図32(B)は微分型の電気信号線路の波形計算を説明する図で、図11を微分型に置換したものである。図11で説明した内容、符号および用語については説明を省略する。V(f)b1、V(f)b2およびV(f)bmはそれぞれ1組CR回路、2組CR回路およびm組CR回路の終端電圧である。
hp(m)をm組CR回路の抵抗係数とする。図12に示す抵抗係数と同様の方法でhp(m)を求める。(数20)は1〜5組CR回路の周波数電圧特性の計算式で(数12)に対応する。ω=2*π*fでfは周波数である。
図12に示すhl(m)とは逆に、Rをhp(m)*R に置き換えて10*fc 以上の周波数で、1組CR回路の減衰率に一致する hp(m)を求める。hp(m)の求め方はhl(m)と同様であるので説明を略す。fcは1組CR回路の切断周波数である、fc=1/(2*π*R*C)である。
(表9)は1〜5組CR回路のhp(m)を示す表である。(表9)のhp(m)-3dBおよびhl(m)-3dBは電気信号線路の切断周波数である。(表9)からhl(m)* hp(m)=1を満たすことが分かる。すなわち、H(1)m=1/T(1)mである。H(1)mをM組CR回路(微分型電気信号線路)の時間係数と定める。
図33は微分型電気信号線の周波数電圧特性の一例を示す図である。図33に示す1〜4組RC回路は1〜4組電気線路を示す。電気信号線の抵抗およびキャパシタンスをそれぞれ1kΩおよび200pFで計算した。微分型と積分型は完全に対称特性で、振幅係数は積分型と同じで値である。
図34は組数に対する微分型と積分型電気信号線路の時間係数特性を示す図である。微分型および積分型の時間係数はそれぞれH(1)mおよびT(1)mである。
(数21)は微分型の電気信号線路の波形計算式で積分型の(数13)に対応する。(数13)とほぼ同様であるので説明は略する。(表10)に微分型電気信号線路の時間係数と振幅係数を示す。振幅係数は(表5)と同じ値である。
m≧20を満たすとき、A(1)mは中心値をほぼ(4/π)にして1.26から1.28の範囲、A(2)m=1.23±0.01およびH(1)mは中心値をほぼ(2/π)^2にして0.404から0.415の範囲とする。
m<20を満たすとき、微分型の電気信号線路の振幅係数および時間係数はH(1)m、A(1)mおよびはA(2)mそれぞれをH(1)m=Hm±0.01、A(1)m=Am±0.01およびA(2)m=am±0.01おいてH2=0.656、H3=0.567、H4=0.523、H5=0.498、H6=0.481、H7=0.469、H8=0.458、H9=0.448、H10=0.441、H11=0.439、H12=0.435、H13=0.431、H14=0.428、H15=0.425、H16=0.422、H17=0.420、H18=0.418、H19=0.415、、A2=1.166、A3=1.203、A4=1.222、A5=1.232、A6=1.238、A7=1.244、A8=1.248、A9=1.252、A10=1.254、A11=1.257、A12=1.258、A13=1.261、A14=1.262、A15=1.262、A16=1.263、A17=1.264、A18=1.266、A19=1.266、a2=1.12、a3=1.15、a4=1.17、a5=a6=1.19、a7=a8=1.20、a9=a10=a11=a12=1.21、a13=a14=a15=a16=1.22およびa17=a18=a19=1.22とする。
あるいは、m<20を満たすとき、微分型の電気信号線路の振幅係数および時間係数はH(1)m、前記A(1)mおよびA(2)mそれぞれをH(1)m≒{1.36+0.37*ln(m)}^-1、A(1)m≒1.13+0.03*ln(m)およびA(2)m≒1.11+0.044*ln(m)とする。
図35は(数21)による2〜30組CR回路の時間電圧特性を示す図である。計算に使用したパラメータは(表9)および(表10)の値である。図35は、2〜15組CR回路の時間電圧特性に分割2まで、30組CR回路
に分割3までの(数20)を用いた。積分型と同じく20〜30近辺以上の組数m組CR回路の終端電圧は重なり区別がしにくくなる。
図36は積分型と微分型の1組、3組およびm値が大きい電気信号線路の時間電圧特性と周波数電圧特性を示す図である。このように(数13)および(数20)を使えば容易く電気信号線路の波形が求められる。図36(A)は時間電圧特性および図36(B)は周波数電圧特性を示す図である。
積分型と同様にm組CR回路の終端電圧をx組CR端電圧で疑似できる。(数11)の時間係数を微分型に置き換えれば疑似回路の抵抗とキャパシタンスを計算できる。すなわち、抵抗R(疑似)={H(1)m/H(1)x}*RおよびキャパシタンスC(疑似)=Cすればよい。
m組CR回路の抵抗およびキャパシタンスをそれぞれRおよびCとする。図36に示す連続CRは5組CR回路の終端電圧により30組以上のm組CR回路の終端電圧を疑似できる組数の微分型電気信号線路の時間電圧特性である。
微分型の電気信号線路の切断周波数、切断時間および切断電圧をそれぞれfch、tcbおよびV(tc)bとする。(数22)はfch、tcbおよびV(tc)bの計算式である。
(数22)は(数19)と同様の方法で導出されるので説明は省略する。
これまで積分型で説明した内容は全て微分型に適用可能で、同様の効果を期待できる。特性が微分型と積分型では対称的で、時間係数が逆数の関係になることに注意する必要がある。
本発明の実施例10の電気信号線路の波形解析法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図37は実施例10の波形解析を示す模式図である。
10は波形解析をする電気信号線路である。Vo1およびRoは駆動回路を表す。
Roは出力抵抗である。電気信号線路の抵抗およびキャパシタンスをそれぞれRおよびCとする。
Vo1はパルス電源で振幅がVのパルスを出力する。Vは10の振幅である。端子a、b、cおよびdは電気信号線路の端子で、端子aおよびc間は専用線で端子bおよびd間は共用線である。Vo2は10の動作を定める基準電源でVrefを出力する。
VE波およびVD波はそれぞれ電気信号線路の駆動端および終端の測定波形(測定値)である。Verf およびVは測定値である。図37は電気信号線路の駆動端および終端波形の波形解析を説明する模式図である。
Vo=V-Vref、終端波形の計算式をVE(αr)、電気信号線路の駆動端波形の計算式をVD(αr,d)および誤差電圧式をE(te,k)とする。VE(αr)には(数13)あるいは(数14)を適用できる。VD(αr,d)は(数14)を使用する。
VE(αr)=Vo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/αr)}およびVD(αr,xd)=Vo*[1-A*Σ[n=1,s]{1/(2*n-1)}*sin((2*n-1)*xd*π/2)*exp(-T*(2*n-1)^2*t/αr)]である。Σ[n=1,s]は1からsまでの和をとることを表す関数である。αr={R+T(1)m*Ro}*Cである。
t<te1においてE(te,k)=k1*t、te1≦t≦te2においてE(te,k)=k2およびte2≦tにおいてE(td,k)=A*exp(-T*(t-te2))とする。k2=Aおよびk1=A/tee1である。VE波およびVD波はオシロスコープ等の精度が高い測定器を使用するのが望ましい。
VE波の立ち上がり部分で、αr、k1、k2、te1およびte2を変えてVE波-VE(αr)-E(te,k)=誤差E1の計算をして誤差E1を最小となるαrを求める。このαrをαr(up1)とする。同様に、VE波の立ち下がり部分でVE波+Vo-VE(αr)+E(te,k)=誤差E2として、誤差E2を最小となるαrを求める。このαrをαr(doun1)とする。
VD波の立ち上がり部分でVD波-VD(αr解,xd)-E(te,k)=誤差E3および前記VE波の立ち下がり部分でVD波+Vo-VD(αr解,xd)+E(te,k)=誤差E4とすると、xd、k1、k2、te1およびte2を変えて誤差E3あるいは誤差E4を最小とするxdを求める。誤差E3および誤差E4を最小とするxdをそれぞれxde(up)およびxde(doen)とする。
αr解は終端の波形測定で得られた値あるい既知の設計値を使用する。仮想終端が不明の時、駆動端の波形からαrを定めることは難しい。但し、相対的な比較は可能である。両端駆動するそれぞれの駆動端波形が異なるのは主に駆動回路のバラツキに起因すると考えられるので、駆動回路のバラツキの比較はある程度可能であるが数値化することは難しい。勿論、共通線の両端駆動が行われていなければならない。
誤差最小とする計算は複雑なように感じられるが、V/Voが0.8近辺以上でVE波-E(te,k)を最小とするαrを求めてから、VE波+Vo-VE(αr)+E(te,k)を最小とする計算をすれば比較的容易にαr解が得られる。なお、te=te1=te2でもよい。
終端波形の解析からαr解が求まる。αr={R+T(1)m*Ro}*CよりRとCが既知であるときRoが計算できる。Roの解析値は動特性の値で駆動回路等の設計および開発に有効である。駆動回路のRoは静特性から決定されることが多い。
駆動端波形の解析から電気信号線路の仮想駆動端位置が定まる。あるいは後述する駆動回路の切断周波数が決定できる。仮想駆動端位置から電気信号線路の位置電圧の駆動端からの正確な値が計算できる。このような効果がある。
E(td,k)で表す誤差電圧は、V/Voが小さいところで発生するのでαr解の決定には極端な影響を与えない。駆動端波形は歪みが大きく終端波形より誤差を最小とする計算は終端波形の場合よりデリケートになる。
誤差電圧は電源Vo1に重畳するので電源回路の特性によって、誤差電圧の振幅が変わる。電源回路の周波数特性がよければ歪み電圧の振幅はあまり大きくならない。
電源Vo1が演算増幅器等のアナログ回路からなる場合、誤差電圧のピークはアナログ回路の電源にバイパスされる場合が多いので、E(te,k)の振幅をアナログ回路の電源電圧以下にするのが望ましい。
図38は駆動端および終端測定波形の一例を示す図である。図38は液晶表示装置の走査線の波形写真で、画面に全面に白を表示したときの波形写真である。図38(A)および図38(B)は終端の立ち上がりおよび立ち下がりの波形写真である。 図38(C)は駆動端の立ち上がりおよび立ち下がりの波形写真である。 図38(D)は測定波形をグラフにプロットした波形である。
図39はVE波-VE(αr)およびVD波-VD(αr解,xd)を最小としたときの波形を示す図である。V/Voが0.8近辺以上で誤差が最小となるようにした。最小とするαrおよび位置変数はそれぞれαr解1=4μsecおよびxde(up)1=0.1である。VE波-VE(αr)=誤差1およびVD波-VD(αr解,xd)=誤差2である。なお、T(1)m=(π/2)^2およびA(1)m=(π/4)を用いた。(数14)のnはn=20とした。
走査線の抵抗R=5kΩおよびキャパシタンスC=700pFである。αr=4μsecよりRo=290Ωと計算される。走査線の抵抗およびキャパシタンスは後述する。測定精度があまり高くないことを考慮すると、図39および図40の測定波形と計算値は良く一致していると見なせる。
図39の誤差は誤差電圧(歪み電圧ともいう)が重畳しているので誤差が大きいのである。図40は測定波形から誤差電圧を除いた波形解析結果を示す図である。図39より図40の誤差が小さいことが分かる。
図40(A)および(B)は図38の波形について解析結果を示す図である。図40(C)および(D)は全画面の表示を黒にしたときの波形を解析した結果を示す図である。
図39と図40を比較すると歪み電圧の影響がよく分かり、誤差電圧式による波形解析が実用性があることが分かる。図41は誤差電圧の一例を示す図である。
誤差電圧の測定値と計算値が比較的良く一致していることが分かる。図40および図41の計算に用いたαr解=4.2μsecで図39のαrより大きくなる。Ro解=405Ωである。
図42は測定に用いた液晶パネルの概略構成図である。画面の大きさはほぼ17インチである。液晶パネルはSTN型である。図42の駆動端測定部および終端測定部は波形測定した位置を表す。12は信号線、13は走査線および14は画素である。15および16は信号線12および走査線13の駆動回路である。17は液晶パネルである。
波形解析にはE(te,k)を使用しないとαr解およびRo解の誤差が大きくなる。図39、図40および図41から測定波形と計算結果がよく一致していることが示される。
すなわち、図39は、(数13)および(数14)等の計算式が実用的で波形解析を行える程度の精度を確保していること、従来の波形計算法1および2より遙かに実用的であること、液晶表示装置の走査線(勿論、信号線も同様に)がはしご形回路で表せるこおよび時間係数および振幅係数がそれぞれ(π/2)^2および(π/4)でよいこと等を明確に示すものである。
従って、M型デバイスの走査線および信号線等の配線ははしご形回路の電気信号線路として扱うことができる。電気信号線路の一本は信号線あるいは走査線であるがもう一本は共通線と呼ばれる配線になる。
詳細は後述するが、共通線もしくは共通線と呼ばれる配線はM型デバイスの動作点を定める基準電圧が加えられる。M型デバイスの配線を電気信号線路として扱うとき、信号線と共通線あるいは走査線と共通線を電気信号線路としなければならない。
(数13)および(数14)と波形測定から計算される出力抵抗は、動特性での出力抵抗である。駆動回路の仕様書にある出力抵抗は静特性での出力抵抗である。駆動回路の実力値が把握できる。
(数13)および(数14)を使用すれば比較的容易に波形解析が可能である。駆動端の波形解析が可能であることは本発明の電気信号線路の波形計算法の大きな特徴である。駆動端波形の解析から駆動回路の周波数特性を決定できる。
以上説明したように、終端の測定波形から信号線電気線路あるいは走査線電気線路と駆動回路とによる時定数と歪み電圧を求められ、駆動端の測定波形から駆動端位置変数と歪み電圧を求めることができる。
そのために、測定波形から動特性の駆動回路の出力抵抗、切断周波数、周波数抵抗成分、歪み電圧の振幅および形状あるいは電気信号線路の時定数を求める波形解析が可能である。後述の(表13)に解析結果の一例を示す。
図39から図41に示すようにM型デバイスの走査線および信号線に問題なく適用できる。波形解析から電気信号線路の特性を把握することあるいは波形解析に基づく駆動の解析から駆動を数値化することが可能である。M型デバイスやそれを用いた装置、特に平面型表示装置に非常に有効なツールとして活用可能である。
本発明の実施例11の電気信号線路の波形解析法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図43は実施例11の電気信号線路の波形解析法の説明図である。
20は図43(1)の電気信号線の等価回路である。図2に示す等価回路10とほぼ同様である。図43(1)の電気信号線路はの両端のいずれから駆動しても同じ回路になるので便利である。
20はM+1番目の要素Rの扱いを注意すれば(数13)、(数14)等の計算式を電気信号線路10と同様に適用できる。19は駆動回路である。18は電圧切替器である。18はパルス信号によって交互に電圧および接地電圧を出力する。GNDは接地である。20の抵抗とキャパシタンスはそれぞれRおよびCである。Ioは駆動電流である。
図43(2)の図22とほぼ同じである。符号の説明は略する。図42の走査線と共通線とによる電気信号線路は図43(1)に相当する。従って、M型デバイスの信号線あるいは走査線を電気信号線路として波形計算をする場合、図43(2)を用いるのが望ましい。
M型デバイスの信号線あるいは走査線は少なくとも数百、多い場合は数千に達するのでM+1番目のREは無視できる。(数13)、(数14)等の計算式を適用できる。
液晶表示装置の駆動端波形が(数14)で計算できるのは、(数14)が仮想駆動端に理想パルスを加えたとして波形計算をするからである。液晶表示装置の駆動端波形が(数14)の位置電圧にほぼ一致するのは、駆動回路による波形歪みが発生するからである。
駆動回路による波形歪みは、周波数特性による波形歪みと出力抵抗と駆動電流による電圧降下によって引き起こされる波形歪みに区分できる。fを周波数とする。記駆動回路の周波数帯域は駆動回路の切断周波数で表される。
fdcを駆動回路の切断周波数とする。fdcは駆動回路の出力電圧をVd(f)で表すと|Vd(fdc)/Vd(f)|=0.707を満たす周波数である。fdcに相当する時定数をαfoとして駆動回路の時定数とする。αfo=1/(2*π*fdc)である。
出力抵抗と駆動電流による電圧降下によって引き起こされる波形歪みを波形歪み1および周波数特性、すなわち切断周波数による波形歪みを波形歪み2とする。
位置変数により電気信号線路の位置電圧をV(xd,t)とする。xdは位置変数である。(数14)のVdvk=V(xd,t)である。
波形歪み1はRo*Ioにより生じる。fdcが無限大とすると、駆動端の波形歪みはRoから生じるので、V(xd,t)はほぼVo-Ro*Ioで、V(xd,t)=Vo-Ro*Ioである。よって、(数14)から駆動端波形歪みが計算されるが、実際の駆動端の位置、すなわちdv(駆動端位置変数)が不明で(数14)を用いるのは不便である。
(数23)は駆動電流の計算式でIdvkは仮想専用線あるいは仮想共用線のxdで表される位置に流れる電流である。V(xd,t)=Vo-Ro*Io、(数14)および(数23)を用いると出力抵抗とdvの関係を求める近似式が得られる。dvは駆動端位置変数である。IdvkはほぼIoである。IdvkはI(xd,t)と表記する場合があることを断っておく。
図44はRoによる駆動端の波形歪みと駆動電流を示す図である。駆動電流はI(dv,t)である。dv=0.08の場合である。図44の(2)はIdvkを示す図である。図44で示す方法から駆動端位置変数とRo/Rの関係を求めることが可能である。
(数24)はRo/Rと位置変数の関係式の一例である。図45はRo/Rとdvとの換算グラフを示す図である。図45の位置変数xde はdv(駆動端位置変数)を表し、RpはRoを表す。図44のIoは駆動電流である。V/Voが少なくとも0.7ないし0.8 以上を満たす電圧でV(xd,t)-Idvk*Roをほぼ0に一致させることが望ましい。そのときのxdがdvである。
図45は(数24)から計算した。(数24)から出力抵抗の波形歪みが計算可能である。出力抵抗の波形歪みによる駆動端位置変数がdrとすると駆動端の波形はV(dr,t)である。
fdcが電気信号線路の切断周波数よりかなり大きいとき、fdc以上のfでVd(f)≧V(xd,t)を満たす能力があったとしても、電気信号線路の終端電圧はfdcの影響をあまり受けず、電気信号線路の終端電圧は理想パルで駆動される場合とさほど差がない。そのために駆動端波形はあたかも電気信号線路上にあるかのような波形に歪み、(数14)より駆動端波形が計算できる。
従って、図38および図39に示すように(数14)で駆動端の波形が解析できる。図38および図39の駆動端波形は駆動回路の切断周波数による。出力抵抗による波形歪みは小さい。
駆動回路の切断周波数による波形歪みが(数14)から計算できる電気信号線路の特性を利用すると、駆動回路の切断周波数による駆動端波形歪みに対応するdvおよび駆動回路の切断周波数による終端波形歪み(遅延時間)を抵抗に換算することが可能である。
駆動回路の切断周波数による終端波形歪み、すなわち遅延時間を抵抗に換算しその抵抗をRfoとする。Rfoを周波数抵抗成分とする。駆動回路の切断周波数による駆動端波形歪みに対応するdvをdfとし、駆動端波形をV(df,t)とする。
電気信号線路の駆動端波形を予め把握して起きたい場合、駆動回路の出力抵抗と切断周波数からdrおよびdfを求めdr>dfを満たすとき駆動端波形をV(dr,t)およびdf≧drを満たすときV(df,t)を駆動端波形とすればよいのである。drおよびdfはいずれも駆動端位置変数(dv)である。
Vfo=Vo*{1-exp(-t/αfo)}とV(xd,t)を利用するとdfを求めることができる。駆動回路がVfoの駆動パルスを出力するとき、fdc以上でVfo≧V(xd,t)を満たしたとしても、電気信号線路の位置電圧は(数14)の特性に応じた電圧になるので、駆動回路の出力(駆動端の波形)は、Vfoと位置電圧とが互いに接する部分あるいはVfoと位置電圧とが互い重なり合う部分から(数14)の特性に変わる。
この位置電圧の特性は、駆動回路の出力がVfo=Vo*{1-exp(-t/αfo)を満たさなくとも発生する。切断周波数が正しければ、Vfo=Vo*{1-exp(-t/αfo)を利用してdfを求めることができる。Vfo=Vo*{1-exp(-t/αfo)はfdcを把握しやすいので便宜的に利用するだけである。
図46はVfoおよび位置電圧とが互いに接する場合あるいは互い重なり合う場合の一例を示す図である。 図46(A)の駆動端位置変数dv=0.165は図40の駆動端波形の位置変数と同じである。
dv=0.165ときのRfoは42Ωで、図40の計算値Ro=405Ωの1割程度の大きさである。Rfoは後述する。図40の出力抵抗の周波数成分はほ誤差範囲内である。
図46(B)のVfoはRfo=1021Ωで、駆動端波形のみならず終端波形の歪みに大きな影響を与える。実際の回路ではRoが存在するから、図46(B)の波形歪みはさらに大きくなる。
dfはαfo/αとdv(駆動端位置変数)の関係から求めることができる。(数25)は駆動端位置変数とαfo/αの関係式の一例である。図47はαfo/αと駆動端の位置変数dvとの換算表を示す図で、(数25)より計算される。
出力抵抗の波形歪みを示すdrは、(数24)および図45から決定できる。切断周波数の波形歪みは(数25)および図47から決定できる。駆動端波形の歪みは出力抵抗より切断周波数の影響が大きい。
駆動回路の切断周波数による終端の波形歪みを表すRfoは、αfo/αの一次関数で表すことが可能である。(数26)はRfo/Rとαfo/αの関係式の一例である。RfoはRおよびαはそれぞれ電気信号線路の抵抗および時定数である。Vfoを指数関数電圧とする。
(数26)に(数25)を代入するとRofが計算可能である。(表11)は(数25)の定数o3よびo4の一例を示す表である。o3よびo4はV/Voの設定により値が変わる。o3よびo4は、m組電気線路にVo*(1-exp(-t/αfo)の波形を加えたときの終端電圧から求めることが必要である。(表11)の詳細な説明は紙数を要するために省略する。
(表11)のo3よびo4はそれぞれV/Voの一次関数で表すことが可能である。すなわち、o3=o7*(V/Vo)+o8およびo4=o9*(V/Vo)+o10である。(表12)はo7、o8、o9およびo10の一例を示す表である。(表12)による(数25)の計算精度は(表11)より劣る。
図45は駆動回路は駆動回路の設計あるいは波形解析に有効である。図40の駆動端波形のdvは0.165である。(数24)からdv=0.165のRo/Rは約0.28である。R=5kΩよりRoは1.4kΩで図40の計算値Ro=405Ωとは大変異なる。Ro=405Ωによる駆動端の位置変数は(数24)からdr=0.074である。
測定波形のdvと計算によるdvが異なる理由は、図38の駆動端波形の歪みは駆動回路の周波数特性によって生じるからである。すなわち、駆動端波形の歪みは駆動回路の周波数特性による。Roは駆動端波形歪みにあまり影響を与えない。
駆動回路の切断周波数fdcが電気信号線路の切断周波数fclより十分大きい場合、電気信号線路の終端電圧に与える影響はRoが支配的でRfoの影響は小さい。通常使用される駆動回路の切断周波数fdcはfclはかなり高い。
従って、駆動回路の切断周波数は駆動回路に用いる部品および負荷条件によって変化するので、Rfoは切断周波数による終端波形歪みを把握できる程度の精度を有すればよい。
むしろ、駆動端の波形歪みを求めておくことが重要である。駆動端の波形歪みは、駆動端の位置変数から計算できる。駆動端の位置変数は(数25)から計算される。周波数特性による電気信号線路の波形歪みの計算には(数25)の必要度が高い。
(数23)に示す駆動電流式はやや複雑である。電気信号線路の時定数よりかなり小さい時間以外では(数28)の駆動電流式が実用的である。(数27)は駆動電流の近似式である。gi1はパラメータでIkの係数とする。
電気信号線路の組数が20〜30以上ではg1=0.85、2段ではg1=1とすればよい。その範囲内で組数が増えるに従いgiを小さく設定すればよい。図48は(数23)および(数27)による駆動電流の一例を示す図である。
図48(A)は電気信号線路(m値が十分大のm組電気線路を指す)のIdvkおよびIkを示す図で、図48(B)は2組電気線路の駆動電流とIkを示す図である。図48(B)のio2は(数9)のI1+I2である。図42に示すように時間t≧αr/7でIkは誤差が小さい。Ikは実用性が高い駆動電流の近似式である。
図27、図28および図29に示す位置に対する電圧あるいは時間特性は、仮想駆動端(位置変数xd=0)を原点にし、駆動回路の切断周波数を無限大にした特性である。Roがあると実駆動端はxd=0の位置ではなくdvになる。さらに駆動回路の切断周波数によりdvが変化する。
図49は位置の原点を駆動端および仮想駆動端にしたときの位置に対する電圧特性を示す図である。図49(A)は位置の原点を実駆動端および図49(B)は位置の原点を仮想駆動端にした図である。
図49(B)のaはRo=0の理想駆動回路による特性で、bはRo=405ΩおよびRfo=0の駆動回路による特性である。Ro=405Ωによる駆動端位置変数をdv1とする。405/5k=8.1%を数24)に代入するとdv1=0.074である。(数26)からRfo=42Ωである。図49(B)の矢印は実駆動端の位置を示す。
図49(A)のcは、Ro=0でfdc=1.27MHzの駆動回路による特性および。 図49(A)のdは、Ro=405Ωでfdc=1.27MHzの駆動回路による特性である。cおよびdは駆動端の位置を位置変数の原点にしている。 図49(A)に示すように、実駆動端の位置を位置変数の原点にした図は見やすいが、駆動端位置変数ごとに位置変数の単位が変わるので計算が複雑になる。
(表13)は図38に示す測定波形をこれまで説明した計算式による解析結果の一覧表である。(表13)は、(数13)および(数14)を基本とする計算式は波形解析に応用できることを示すものである。(表13)の説明は省略する。
(数24)および(数25)から実駆動時の電気信号線路の駆動端波形が計算できる。(数25)および(数26)から駆動回路の周波数特性による終端波形歪みが計算可能である。(数23)および(数27)から電気信号線路の駆動電流が計算できる、M型デバイス装置、特にM型表示装置の駆動回路の設計および開発並びに波形解析等を効率よく行いことができる等の効果がある。
本発明の実施例12の電気信号線路疑似回路について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。電気信号線路の線疑似回路は組数が多い電気信号線路を小さい組数の電気信号線路と電気回路で疑似する回路である。
図50は電気信号線路疑似回路を説明する図である。19は駆動回路、20は電気信号線路、21は電気信号線路疑似回路である。aは20、図44の(2)の2組および1組電気線路の駆動端、bは20、図50(2)の2組および1組電気線路の終端である。
cおよびdは20、図50(2)の1組および2組電気線路の端子である。 Io、I2dおよびI1pはそれぞれ20、図50(2)の2組電気線路および1組電気線路の駆動電流である。
電気信号線路の振幅係数および時間係数はそれぞれT(1)MおよびA(1)Mである。 V(t)Mは20の終端電圧である。V(t)2は2組電気線路の終端電圧である。図50(2)の2組および1組電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれR(2)、R1p、C(2)およびC1pである。
21は2組電気線路の駆動端と1組電気線路の駆動端とを接続し、2組電気線路の端子bと1組電気線路の端子dを接続する構成である。21の終端電圧はV(2,t)および駆動電流はI2d+I1pである。1組電気線路はR1pとC1pを直列接続した回路である。
21はV(t)2をV(t)Mにほぼ一致させ、I2d+I1pをIoにほぼい一致させ、20の駆動電流Ioと終端電圧V(t)Mを疑似する回路である。すなわち、V(t)2≒V(t)MおよびI2d+I1p=Ioである。
2組電気線路の要素Rよび要素CはそれぞれR(2)=T(1)2*R/(2*)T(1)M)およびC(2)=C/2である。1組電気線路の要素Rおよび要素CはR1pおよびC1pである。V(2,t)が電気信号線路20の終端電圧をほぼ疑似することは(数11)で示した。
図51は電気信号線路疑似回路の終端電圧の一例を示す図である。図51(B)の誤差はV(t)Mに対するV(t)2の誤差である。
出力抵抗Ro=0、R1p/R=3%およびC1p=C(2)/20で計算した。図52は電気信号線路疑似回路の終端電圧の一例を示す図である。図52(B)は図52(A)の時間を拡大した図である。図52(B)にI1pを示す。
図52からI2dはIoに比較的良く一致することが分かる。Ioは(数23)から計算した。Ioはt<10^-9では大きくなり、時間が小さくなるほど誤差が拡大する。
I1pはI2dの振幅が小さくなる領域でIoの振幅を疑似するための電流である。
計算値Ioの振幅は計算値は時間が小さいほど大きくなるが、実際の駆動回路によるIoは駆動回路の応答特性あるいは出力特性の制約を受け、計算値Ioより小さい。図に示すような時間領域でIoの振幅に一致させれば実用上支障がない。
C1pを大きくすると電気信号線路疑似回路の駆動電流が増えるのでC(2)/20程度以下が望ましい。I1pがR1pは駆動回路に適した振幅となるように設定し、R1p*C1p≦4*R(2)*C(2)を満たすことが望ましい。
出力抵抗が増えると電気信号線路疑似回路の疑似精度が落ちる。図53は出力抵抗が0のときの電気信号線路疑似回路の終端電圧の一例を示す図である。図54は出力抵抗があるときの電気信号線路疑似回路の駆動電流の一例を示す図である。図53および図54は、出力抵抗が異なる以外図52および図53と同様である。
21の2組電気線路をx組電気線路に置き換えることができることは言うまでもない。x組電気線路の要素Rおよび要素Cは(数11)から計算できる。
組数が多くなるほど電気信号線路疑似回路の終端電圧の疑似精度は高くなる。さらに、パルス駆動以外の駆動でも同様の効果が得られることを付け加えておく。なお、(数11)を満たすx組電気線路を終端電圧疑似回路とする。
終端電圧疑似回路および疑似される電気信号線路の終端電圧をそれぞれV(x,t)およびV(M,t)とする。{V(t)M-V(t)x}/V(t)Mがほぼ2%を満たす最小のV(t)MminとするとV(t)Mmin/Vo≧0.925-0.185*ln(x)である。xは終端電圧疑似回路の組数およびVoは駆動電圧の振幅である。
1組電気線路からなる終端電圧疑似回路の終端電圧をV(t)1とする。電気信号線路疑似回路の終端電圧をV(t)M、電気信号線路疑似回路の時間係数および時間係数がそれぞれ(π/2^2)およびπ/2をほぼ満たすとき、V(t)M≒0.25+1.25*V(t)1である。
V(t)Mmin/Vo≧0.925-0.185*ln(x)は終端電圧が疑似できる最小の電圧およびV(t)M≒0.25+1.25*V(t)1は1組電気線路からなる終端電圧疑似回路の終端電圧からV(t)Mが計算できるので、終端電圧疑似回路から電気信号線路疑似回路の終端電圧を推定するときに有用である。
電気信号線路疑似回路は組数の多い電気信号線路を抵抗器とキャパシタからなる簡易な回路に置き換える回路である。従って、組数の大きい終端電圧疑似回路より小さい組数の終端電圧疑似回路が望ましい。勿論、長さの長い電気信号線路(連続電気線路を指す)を疑似することもできる。
電気信号線路疑似回路が容易に移動できないような場合および電気信号線路疑似回路と駆動回路を容易に接続できない場合等でも、電気信号線路疑似回路により駆動回路の信頼性試験や評価することが可能である。特に、M型デバイスの信号線あるいは走査線はM型デバイスから分離できないので、駆動回路の設計および評価等に電気信号線路疑似回路を活用可能である。
本発明の実施例13のマトリクス型デバイス装置の駆動方法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。本発明のマトリクス型デバイスの駆動方法は、適正な終端波形を出力可能とする駆動回路の出力抵抗の決定法である。
図55は動作開始条件を説明する図である。電気信号線路によりt=0で電気信号を送るときに、V(t)Mを電気信号線路の終端電圧とする。V(t)Mが少なくとも所定のton以内にVonに達する必要があるときこれを動作開始条件とし、(ton,Von)と表記する。tonおよびVonはそれぞれ動作開始時間および動作開始電圧とする。
図55(A)はRo=0およびRo=690Ω時間電圧特性を示す。Roは駆動回路の出力抵抗である。星印は動作開始条件である。Ro=0の時間電圧特性は図に示す動作開始条件を満たし、Ro=690Ωの時間電圧特性上に動作開始条件がある。
Ro=0の時間電圧特性上の電圧をV(t)xとすると、V(t)x<(ton,Von)である。Ro=690の時間電圧特性上の電圧をV(t)xとすると、V(t)x=(ton,Von)である。さらに、終端電圧の立ち下がり波形が少なくとも所定のtoff以内にVoffに達する必要があるときこれを動作停止条件とし、(toff,Voff)と表記する。toffおよびVofはそれぞれ動作停止時間および動作停止電圧とする。動作開始条件と動作停止条件により電気信号線路の駆動をほぼ完全に定めることができる。
Voを電気信号線路の波形の振幅とすると、V(t)Mは立ち上がり波形とすると立ち下がり波形はVo-V(t)Mである。V(t)Mにより電子機器を制御する場合、(ton,Von)が電子機器を動作させる条件および(toff,Voff)が電子機器を停止させる条件になる。
図56に示すM型デバイス装置では交点にある機能素子の動作を定める条件が
(ton,Von)および(toff,Voff)である。図55(C)はM型デバイス装置の動作開始条件と動作停止条件を説明する図である。tonM型デバイス装置の各機能素子で、tonおよびtoffは最大の時間、VonおよびVoffは最大の電圧であることはいうまでもない。
M型デバイスでは特別な場合を除いてVonとVoffはほぼ同じ値をとる。図55(C)はVon=Voffとして走査パルスと信号パルスの関係を示す図である。走査パルスはM型デバイスの走査線に加えられる電圧および信号パルスはM型デバイスの信号線に加えられる電圧である。
XN-1およびXNは図56のXN-1およびXNの走査線の終端波形を示す。(M,N)はYMの信号線とXNの走査線の交点に位置する機能素子を示す。Y(M,N-1)およびY(M,N)はそれぞれ(M,N-1)および(M,N)の機能素子に加えられる信号パルスである。
図55(C)のAは動作開始条件、Bは動作停止条件およびCはXN-1およびXNの交点である。M型デバイスではAの動作開始条件で機能素子は信号パルス応じた動作を開始するあるいはオンする。M型デバイスが表示装置のときには映像信号に応じた電圧を画素に加えて表示し始める。また、M型デバイスではBの動作停止条件で機能素子は動作を停止するあるいはオフになる。
TXは走査線に駆動パルスを加える時間(選択時間)で走査パルスのパルス幅である。TYは信号線に駆動パルスを加える時間で水平時間とも呼ばれ信号パルスのパルス幅である。
TXとTYがほぼ同じとき、走査パルスの波形歪みにより、(M,N-1)には(M,N)の信号パルスが加わる。図55(C)ではtoffにより(M,N-1)にY(M,N-1)が加わるようにした図である。
このようにM型デバイスの適正駆動をするためには信号パルスの幅より走査パルの幅を小さくすることが必要である。M型デバイスではVonとVoffはほぼ同じ値をとるから、動作開始電圧を定めるとtoffは決定される。
動作開始および停止条件と(数13)から電気信号線路の駆動回路を定めることができる。すなわち、Von≦Vo*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*ton/αr)}である。αrからRoが計算できる。さらに、Voff≧A(x)m*exp(-T(x)m*toff/αr)}である。xは分割の数を表す。
ton=-(αr/T(1)m)*ln{(1-Von/Vo)/A(1)m}およびtoff=-(αr/T(x)m)*ln{(Voff/(Vo*A(x)m)}である。分割数をxと表記したのは立ち下がりにおいて、Voff/Voは0.80以上の場合があり、分割1の(数13)では誤差が多少大きくなるからである。
図55(B)は(数13)による立ち下がりの波形である。図55(C)の分割1、分割2および分割3は(数13)の計算結果および(数14)は(数14)の計算結果である。(数14)から時間を直ちに求めることはできない。(数13)が便利である。
図55(B)に示すようにVoff/Voは0.80以上の場合には分割3程度までの時間係数が必要である。M型デバイスではA(1)mは中心値をほぼ(4/π)として1.26から1.28の範囲およびT(1)mは中心値をほぼ(π/2)^2として2.41から2.47の範囲を用いればよい。
電気信号線の駆動は動作開始条件と動作停止条件により定められる。加えて、M型デバイスは図55(C)に示すように走査パルスと信号パルスの関係から信号パルスの最大幅は、走査パルスの幅より少なくともtoff小さいことが必要である。
走査パルスと信号パルスは立ち上がりは同期するので、信号パルスの最大幅は信号パルスの立ち下がりから走査パルスの幅より少なくともtoff小さいことが必要である。TY>TX+toffである。Voffに基づくtoffにより各機能素子に適正な信号を加えることができる。
歪み電圧を考慮すると信号パルスの最大幅はtoffの2割程度大きい脳が望ましいが、歪み電圧は電気信号線路の構造や材料によって変化し、一義的に定めることが難しいので、動作開始および停止条件に歪み電圧の影響を含めることが望ましい。動作開始および停止条件に歪み電圧の影響を含める。
動作開始および停止条件は機能素子特性に依存するが、走査線および信号線によって異なる。機能素子に対する走査線および信号線の駆動パルスの加え方が異なるからである。従って、動作開始および停止条件は信号線の停止条件あるいは走査線の動作開始時間等の表記する。
動作開始および停止条件より電気信号線路の駆動方法が数値化できる。Von/VoあるいはVoff/Voが0.5より大きい場合が多い。特にM型デバイスではVoがかなり高いで電圧の利用率からVon/VoあるいはVoff/Voが0.5よりかなり大きい。
従って、以降、動作開始条件を基本に電気信号線路の駆動方法を定める。Von/VoあるいはVoff/Voが0.5未満の場合には動作停止時間を基本に電気信号線路の駆動を定めることが望ましい。
αr={T(1)m*Ro+R}*Cのとき、駆動回路の出力抵抗Roは、Ro≦-ton/{C*ln((1-Von/Vo)*A(1)m)}-R/T(1)mを満たすことが要求される。αr=(Ro+R)*Cのとき、出力抵抗Roは、Ro≦-ton/{C*ln((1-Von/Vo)*A(1)m)}-Rを満たすことが要求される。
Ro1=-ton/{C*ln((1-Von/Vo)*A(1)m)}-R/T(1)m、Ro2=-ton/{C*ln((1-Von/Vo)*A(1)m)}-RおよびRoの最大値をRomaxとする。電気信号線路を適正に駆動方法は、RomaxをRo1あるいはRo2のいずれか一方に定めることである。Ro1<R02より、RomaxをRo1とすれば最適な駆動が可能となる。
電気信号線路の時定数αの最大値をαmaxと定める。Ro=0で動作開始条件を満たす時定数がαmaxである。-ton/{C*ln((1-Von/Vo)*A(1)m)}-R/T(1)m=0より、α≦αmax=-(1)m*ton/ln((1-Von/Vo)/A(1)m)となる。さらに、αr≦αmaxである。(数28)は動作開始および停止条件を満たす駆動の関係式を示す。Romaxは駆動回路の最大出力抵抗およびαmaxは電気信号線路の最大時定数である。
なお、ほぼ同じ特性の駆動回路と電気信号線路の組が複数個ある場合、(数28)のR、CおよびRoはその最大値とすることが必要であることを加えておく。
次にM型デバイスと電気信号線路の関係およびM型デバイスの駆動方法を説明する。図56はM型デバイスの概略構成図である。図56(A)はアクティブ型および図56(B)は受動型M型デバイスの一例である。
図56は図42と同様の構成図である。12および22は信号線、13および23は走査線である。28は走査線および信号線の駆動端である。14および24は構成要素である。15および25は信号線駆動回路である。16および26は走査線駆動回路である。17は受動M型デバイスである。図42の液晶パネル17は図56の受動M型デバイス17の一例である。
30は駆動回路15、16、25および26に駆動電圧を出力する駆動電源回路である。31は駆動回路15、16、25および26ににデータあるいは制御信号を送る制御回路である。29は共通端子で、M型デバイスの動作点を定める基準電圧が加えられる。
29は17に備えられていない。なお、図56(A)および図56(B)の走査線および信号線の本数はそれぞれM本およびN本である。24は機能素子である。
図57は走査線と共通線の模式図である。29は図示していないがM型デバイス27の内部に配線されている共通線に接続されている。共通線は導体である。図57の32は共通線である。COM(0,0)は29である。共通線は共通配線あるいはcom等と呼ばれる。
図57に示すように32は平面で表される形状で線というより板である。従って、32は共通配線板ともいう。特に液晶パネルのような外形寸法が大きいM型デバイスの共通線は平面の形状である。
23は絶縁体を挟んで32の上に配線される。22も同様の構成をとる。23と22の交点に24が形成されている。24は23あるいは22と32間のキャパシタンスで表すことができる。
23と32間のキャパシタンスcxと22と32間のキャパシタンスcyは異なる。すなわち、32に対する24のキャパシタンスはcxおよびcyがある。23の機能素子あたりの抵抗をReiおよびcx=Ceとすると、図57で走査線を表すことができる。図57のX(1)、X(i)およびX(M)は走査線23である。
図57のDTおよびETはそれぞれ23の駆動端および終端である。32は共通配線板の形状をとるので、32の配線抵抗は23の配線抵抗よりかなり小さく、ほぼ0と見なせる。ゆえに、23は図58に示す等価回路で表すことができる。22も同様に等価回路で表せる。
図58は要素RがReおよび要素CがCeのM組電気線路を示す図である。図58のM組電気線路は図57のX(1)、X(i)およびX(M)をRe=Reiとしたものである。図58に示すM組電気線路は図1等に示す10および図43の20に適用できることはいうまでもない。すなわち、図1、図2および図43に示す電気信号線路である。
図59は16の出力回路の構成の一例を示す図である。33は電圧切替器である。アナログスィッチ等が33に使用される。34は駆動回路の出力回路である。16はVo1およびVo2の2値の電圧から一つを選択して13に出力する。16は、時間tで1本ないし数本の13を選択してVo1を13に加える。選択されない13には16はVo1を出力する。
図56(B)のM型デバイスの走査線駆動は図54で表すことができる。図60は時間tでの13の駆動を示す模式図である。Roは16の出力抵抗である。図60に示す16は走査線駆動回路を出力抵抗Roに置き換えたものである。
図60は時間tで16が1本の13にVo1およびその他の13にVo2を加えた図である。13の本数はN本である。13はRoを介して並列に接続される。RoとRoに直列接続した13を並列線とする。13と12の交点には14が形成される。絶縁体を挟んで13と12は形成されるので、14はキャパシタンスcp表され、cpは13と12の交点間に形成される。
N-1本の13はRoを介して並列に接続される。選択された13のと(N-1)本の走査線はcpを介して結合するから、選択された13の機能素子あたりのキャパシタンスはN*cp/(N-1)≒cpになる。13の抵抗をRとすると、並列線の抵抗は(R+Ro)/Nである。
並列線の電圧はVo2でVo2は基準電圧である。13および14は並列線を共通線としたはしご形回路になる。17の並列線は、図57の32に相当する。Nは数百以上あるので、並列線の抵抗は(R+Ro)と対してほぼ0と見なせる。よって、13および12も図52のはしご形回路で表せる。
23および22のキャパシタンスは32に対するキャパシタンスである。23および22のキャパシタンスをそれぞれCxおよびCyとする。23および22のそれぞれの本数をNおよびMとすると、23および22の要素Cをそれぞれはcx/MおよびCy/Nである。
13および12についても、並列線を共通線とすれば23および22と同様である。並列線はRoと選択されない13からなるが、13の抵抗よりRoはかなり小さく、並列線は並列接続した選択されない13と見なせる。すなわち、共通線を備えないM型デバイスは並列接続した選択されない32の役割を果たす。並列接続した選択されない走査線は共通線に相当する。
図61は図57を回路図で表した図である。参考のために示す。同じ符号の説明は省略する。TFTは薄膜トランジスタである。35は26の出力回路である。図61は26が走査線XNを選択してVo1を出力し、他の走査線XN-1およびXN-2にはVO2を出力する状態を表す。cdは24(機能素子)を構成するキャパシタンスである。
共通線の抵抗(配線抵抗ともいう)が無視できない場合、走査線あるいは信号線を図52のはしご形回路で記述するより、図62のはしご形回路で記述するのが望ましい。図62は共通線の抵抗を含めた走査線あるいは信号線を表す等価回路図である。
Ruは共通線の抵抗を表し、Reが走査線あるいは信号線の抵抗を表す。図52のReをRe+Ruとおくと、(数13)〜(数16)等でこれまで説明した計算式から、COM1(DTとCOM1間に駆動パルスを加える場合)に対する位置電圧あるいは終端電圧が計算可能なことを付け加えておく。
図62の等価回路は、Re、RuおよびCeを一組としてM組からなる電気信号線路を表す図である。ReをRe+RuとおくとRu=0の場合と変わりはない。図62も抵抗とキャパシタンスを組とするはしご形回路である。
(数29)は図56で示したM型デバイスの電気信号線路を定める式である。M型デバイスの走査線あるいは信号線は数百から数千あるので、M型デバイスの電気信号線路の時間係数をTおよび振幅係数をAと表記する。勿論、本数が20〜30本以下程度のM型デバイスの場合には(表5)の時間係数および振幅係数を使用しなければならない。
(数29)を満たすM型デバイスは積分型の電気信号線路の計算式である。走査線と共通線は一つの電気信号線路でありX電気線路と略する。信号線と共通線は一つの電気線路でありY電気線路と略する。
(数29)(A)はXおよびY電気線路の定義である。(数29)(B)および(C)はM型デバイスの基本的駆動方法を示す式である。XおよびY電気線路は(数13)〜(数19)、(数22)〜(数29)および後述する計算式を適用できる。
図56〜図62によりM型デバイスの電気信号線路が図1および図43等の電気信号線路に相当することを説明したが、図39および図40でそれが実証されることを付け加えておく。
(数29)は、ZをXあるいはYの変数として、駆動端を仮想してこれを仮想駆動端Zとし、RoZの片方の端子と仮想駆動端ZおよびRoZの他方の端子とZの一方の端子を接続した導線を仮想して仮想Zとし、Zが両端の端子から駆動されるとき、前記Z上の電圧が最小となる電圧の位置を仮想終端Zとして仮想終端Zは前記Zの片方の端子からの前記交点数で表して、駆動回路による仮想Zの駆動を、RoZと時間係数および振幅係数により時間t=0で前記仮想駆動端Zと共通端子間に電圧を加える駆動とするM型デバイスの駆動方法を示すもので、(数29)(B)および(C)はM型デバイスの駆動方法の基本である。後述の両端駆動も(数29)が基本になる。
上記した駆動法はM型デバイスをX電気線路およびY電気線路の二つの電気信号線路に置き換えて、XおよびY電気線路の振幅係数、時間係数および駆動回路の出力抵抗から適正駆動を定めることができる。M型デバイス装置には複数の信号線および走査線からなるので、RZ、CZおよびRoZは最大値を用いることが必要である。
上記したM型デバイスの駆動方法は、(数13)〜(数19)、(数22)〜(数29)および後述の計算式を用いると容易に実現できる。なお、両端駆動ついては後述する。
また、図57および図62の電気信号線路モデルにおいて、機能素子が液晶で駆動電圧によりキャパシタンスが変化するとき、駆動電圧を複数に分けて、分けた駆動電圧毎にキャパシタンスを定め、機能素子がELあるいは放電用ガスの発光物質で、発光時に抵抗性を示すときも、駆動電圧を発光前と発光後に分けて、要素抵抗および要素キャパシタンスを定め、あるいは、要素Rおよび要素Cに新たな抵抗成分を定めると、機能素子の構成材料が変化する影響を波形計算から計算可能になる。
走査線あるいは信号線と共通線を電気信号線路として扱う場合、図43に示す20のac間を信号線あるいは走査線、Bd間を共通線に置換すればよい。すなわち、走査線あるいは信号線は専用線に該当し、共用線は共通線に該当する。
以上説明した駆動方法は、駆動回路による電気信号線路の適正駆動を容易に実現できること、適正駆動を数値化できることおよび適正な駆動回路を実現できること等の効果がある。はしご形回路からなる電気信号線路のみならずM型デバイスあるいはそれらを用いた電子デバイス装置等の電子機器のコストパフォーマンスを高くすることができる。
本発明の実施例14の電気信号線路の波形計算法およびマトリクス殻デバイスの駆動方法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。
(数30)は実施例14を説明する式である。(数30)はVo=Vcs*tにより電気信号線路を駆動するとき、電気信号線路の終端電圧および駆動電流の計算式とVo=Vcs*tによる駆動法を示す式である。V(t)mは電気信号線路の終端電圧およびI(t)mは駆動電流である。
計算式(数30)(1)は電気信号線路の波形計算式および(数30)(2)は駆動方法を示す式である。Vcsは電圧時間係数である。電気信号線路はm組電気線路あるいは連続電気線路のいずれでもよい。勿論、M型デバイスの走査線あるいは信号線と共通線からなる電気信号線路でもよいことはいうまでもない。
CおよびRは電気信号線路の抵抗およびキャパシタンスである。T(1)mおよびA(1)mは電気信号線路の時間係数および振幅係数である。t1は(数13)における分割1の境界時間である。t=0からの定電流駆動は理想の定電流駆動である。(数30)ではt≧{2.5/T(1)m}*αにおいて定電流駆動を計算する。
図63はVo=Vcs*tによる電気信号線路の駆動を示す図である。36はVcs*tを発生する電源である。Vcsは電圧時間係数である。20は電気信号線路でM組電気線路である。V(t)mおよびI(t)mは20の終端電圧と駆動電流である。
(数30)(1)から定電流Icsで電気信号線路を駆動するとき、V(t)mおよびI(t)mは計算可能で、(ton,Von)を定めれば(数30)(2)から定電流駆動が定まる。
増幅器の出力特性を表すパラメータにスルーレートがある。SRをスルーレートとする。SRは1マイクロ秒当たりの出力電圧の変化である。VcsはSRに該当する。SR=Vcs*10^-6である。SRの駆動に関しては、(数30)(2)でVcs=SR*10^6よりIcs/C=SR*10^6とすれば適用できる。
( 数13)からt1=α/(q1*T(1)m)である。(表5)に示すようにq1=1.55〜1.8であるので、(数30)ではq1=1.5としてt1=α/(1.5*T(1)m)とした。(数11)および図44等で示す疑似回路は、定電流駆動およびスルーレートによる駆動についても同様に適用できることを付け加えておく。
図64は(数30)による計算結果の一例を示す図である。図64では1組:Iのおよびは連続:IそれぞれVo=Vcs*tによる1組電気線路の終端電圧および連続電気線路の終端電圧を表す。図64(A)は対数グラフおよび図64(B)は十進グラフである。
図64示す1組:Vおよび連続:Vはそれぞれパルス駆動時の1組電気線路の終端電圧および連続電気線路の終端電圧を表す。Vcs=5*10^6sec、Vo≦5Vで計算した。
図64(B)に示すように、1組:Vおよび連続:Vは時間にほぼ比例し、tが大になると、ほぼ定電流駆動になる。Vo=Vcs*tによる電気信号線路の終端電圧は、パルス駆動と同様に、1組電気線路と連続電気線路の終端電圧の間にある。
(数30)の導出について簡単な説明をしておく。図63に示すように、t=0で電気信号線路の駆動端に電圧Vcs*tを印加するとき、I(t)m≒C*Vcs*{1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/α)}およびV(t)m≒Vcs*t-C*Vcs*(R/T(1)m)*(1-A(1)m*exp(-T(1)m*t/α))である。t1は分割1の境界時間である。αはα=R*Cである。I(t)mおよびV(t)mは(数13)から導出されるが詳細な説明は略する。
時間tが大になると指数項は0に収束してI(t)m≒C*Vcsになる。すなわち、電気信号線路は定電流Ics=C*Vcsにより駆動される。定電流駆動とみなせるのは、t≧2.5〜3*α/T(1)mである。T(1)mは電気信号線路の時間係数である。mが大である電気信号線路ではt≧αおよび1組電気線路ではt≧2.5*αを満たす時間である。
(数31)はVo=Vcs*tで電気信号線路を駆動するときのV(t)mおよびI(t)mの計算式である。電気信号線路の抵抗はRとキャパシタンスはCである。t1は分割1の境界時間である。(数31)から(数30)を導出した。(数31)の詳細な説明は略する。
動作開始条件を(20μsec,8V)として、(数30)からIcs あるいはSRを求める一例を示す。M型表示パネルの信号線の抵抗 4kΩ および 50pF とする。共通線の抵抗はほぼ0である。(数30)から、 50*10^-12*8/(20*10^-6)=20*10^-6A≦Icsである。また、SRはSR=Vcs*10^-6より0.4[V/ μsec]≦SRである。このように、動作開始条件を定めれば、(数30)により定電流あるいはスルーレートの最小値を計算できる。μ=10^-6である。
Ics=C*VcsあるいはSRの増幅器による駆動は、動作開始条件を(ton,Von)とすれば、Von≦V(ton)mより、ton≧{2.5/T(1)m}*αでVon≦Vcs*tonであると表すことができる。Icsを使うと、Von≦(Ics/C)*tonである。SRを使うと、Von≦SR*10^6*tonである。
電気信号線路の時間定数と振幅定数により、定電流駆動およびスルーレート駆動を比較的簡易な(数30)で表すことが可能で、動作開始条件を満たす定電流駆動およびスルーレートの適正駆動を容易に実現できる。M型表示パネルの信号線と共通線間に定電流駆動あるいはスルーレート駆動が用いられる。(数30)および(数31)より、M型デバイスの適正駆動を実現可能である。M型デバイスあるいはM型デバイスを用いた電子機器の設計および開発に有効活用可能である。
本発明の実施例15の電気信号線路の波形計算法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図65は本発明の実施例15を説明する図である。
図65は電気信号線路の両端駆動を説明する図である。18aおよび18bは制御信号により2値の電圧を切り替えて駆動端に出力する駆動回路で、図43の電圧切替器18と同じである。Voおよび0V(GNDと図示)は2値の電圧である。
20は電気信号線路で専用線と共用線からなる。端子aと端子cは専用線の端子および端子bと端子dは共用線の端子である。18aを駆動回路1および18bを駆動回路2とする。駆動回路1および2の出力抵抗をそれぞれRo1およびRo2とする。
18aは専用線の端子aおよび18bは専用線の端子cにほぼ同じ時間でほぼ電圧Voあるいは0Vに加える。共用線の両端子は接地されている。専用線の両端からほぼ同じ時間でほぼ同じ電圧を加えることを専用線の両端駆動あるいは電気信号線路の両端駆動と定める。共用線の抵抗はほぼ0とする。
専用線の両端から駆動するとき、位置電圧が最小となる位置が存在する。位置電圧が最小となる位置を仮想終端と定める。仮想終端は実在する終端ではないが、
位置電圧が最小となる位置は実在するから、この点で仮想駆動端と仮想終端は異なる。端子aを基点として仮想終端の位置変数をxdvおよび仮想終端の電圧をV(xdv)と定める。
(数14)、(数15)あるは(数16)に用いるxdとxdvは異なることに注意する必要がある。xdは仮想駆動端から終端までを表す変数で、xdvは駆動端(端子a)を基点した端子aから端子c(もう一方の駆動端)までの変数である。
xdvは(数14)、(数15)あるは(数16)の位置変数として使用できないことおよびV(xdv)は(数14)、(数15)あるは(数16)の起算式を表す式ではないことをを付け加えておく。
20がM組電気線路であるとき、端子aから仮想終端までの組数はxdv*Mの整数値である。20が長さLの連続電気線路のとき端子aから仮想終端までの長さはxdv*Lである。
図66は図65の両端駆動を表す等価回路図である。20をM組電気線路とする。図66はM組電気線路の両端駆動を示す図である。37はスィッチSW1と出力抵抗Ro1からなる駆動回路1である。
38はスィッチSW2と出力抵抗Ro2からなる駆動回路2である。駆動回路1および2はそれぞれ図64の18aおよび18bである。SW1およびSW2は連動スィッチである。20の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれRwおよびCwである。
EVは端子aから仮想終端までの組数である。EVはxdv*Mの整数値である。Mが小さい場合にはxdv*Mの整数値をとることは重要である。Mが百以上ある場合には計算するうえでxdv*Mとxdv*Mの整数値との誤差は無視できる。勿論、組の数は整数でなければならない。
端子aからEV組目の要素キャパシタンスCeの電圧がほぼ仮想終端電圧V(xdv)である。Iow1およびIow2はそれぞれ駆動回路1および2の駆動電流である。V(xdv)は仮想終端の電圧である。
V(xdv)は20の位置電圧(各要素キャパシタンスCeの電圧)の最小電圧である。従って、仮想終端を境界にして、Iow1はEV+1組以上に流れなくIow2はEV-1組以下に流れないから、x組で電気信号線路を分離可能である。分離した電気信号線路の終端電圧はほぼV(xdv)である。
(数32)は仮想終端の位置変数xdvおよびV(xdv)の計算式である。(数32)のδrは出力抵抗Ro1とRo2の比を表す。(数32)のδrおよびkwをそれぞれ出力抵抗偏差および出力抵抗係数と定める。
(数32)は電気信号線路が仮想終端で分離しても分離した電気信号線路の時間係数と振幅係数がほぼ変化しない程度の組数の電気信号線路を対象とする。 (数32)(a)xdvおよびV(xdv)の計算式、(数32)(b)は電気信号線路の両端駆動方法および(数32)の(c)は両端駆動の波形をxdvより求める波形計算式である。
(数32)を以下に説明する。図67は仮想終端の位置で分離して駆動される電気信号線路を示す図である。20aおよび20bは仮想終端で20を分離した電気信号線路である。20aおよび20bはそれぞれ駆動回路1および駆動回路2で駆動される。
20aの抵抗およびキャパシタンスをそれぞれR1およびC1とする。20bの抵抗およびキャパシタンスをそれぞれR2およびC2とする。xdvより、R1=xdv*Rw、R2=(1-xdv)*Rw、C1=xdv*CwおよびC2=(1-xdv)*Cwである。EVはxdv*Mの整数値である。
20aおよび20bのように端子aあるいは端子cのいずれか一方から駆動される状態を専用線の片端駆動あるいは電気信号線路の片端駆動と定める。図1等でこれまで説明した駆動は片端駆動である。
(数1)〜(数28)までの計算式はすべて片端駆動において成り立つ。R1、C1、R2およびC2が定まると両端駆動の波形計算は(数1)〜(数28)から計算可能である。R1、C1、R2およびC2を計算するにはxdvを決定する必要がある。
図68は連続電気線路の両端駆動を説明する図である。20を長さLの連続電気線路とする。図66と同様に仮想終端で位置電圧が最小となる。
端子aからlの長さの位置が20の仮想終端である。l=xdv*Lである。20の要素Rおよび要素Cそれぞれrおよびcとすると、Rw=L*rおよびCw=L*cである。その他は図66と同様である。
図69は長さLの電気信号線路を仮想終端で分離して駆動される電気信号線路を示す図である。図67とほぼ同様で説明を略す。両端駆動を扱うにはxdvを求めることが必要である。
(数13)から仮想終端の位置変数を求めることが可能である。20を分離した18aおよび18bの振幅係数と時間係数をそれぞれA(1)o、A(1)p、T(1)oおよびT(1)pとする。すなわち、18aはo組電気線路および18bはp組電気線路である。M=o+pである。
(数13)よりV(xdv)=Vo*{1-A(1)o*exp(-T(1)o*t/αro)}およびV(xdv)=Vo*{1-A(1)p*exp(-T(1)p*t/αrp)}である。αro={xdv*Rw+T(1)o*Ro1}*xdv*Cwおよびαrp={(1-xdv)*Rw+T(1)p*Ro1}*(1-xdv)*Cwである。
Vo*{1-A(1)o*exp(-T(1)o*t/αro)}=Vo*{1-A(1)p*exp(-T(1)p*t/αrp)}より、A(1)o*exp(-T(1)o*t/αro)=A(1)p*exp(-T(1)p*t/αrp)である。αro={ln(A(1)p/A(1)o)}*{T(1)p/T(1)o}*αrpからxdvを求めることができる。
分離した電気信号線路が異なる振幅係数と時間係数を有するために複雑になる。両端駆動に用いられるm組電気線路は数百から数千あり、分離した電気信号線路の振幅係数と時間係数は互いに同じ値をとると見なすことができる。すなわち、A(1)o=A(1)pおよびT(1)o=T(1)pである。
A(1)o=A(1)pおよびT(1)o=T(1)pが成立するのは、xdvがほぼ0.5の場合を除くと、組数xあるいはx-1が20〜30以上あることが望ましい。18aおよび18bの振幅係数と時間係数をそれぞれA(1)、A(1)、T(1)およびT(1)とする。
(数13)より{T(1}*(Ro1+Ro2)+2*Rw}*xdv={R+T(1)*Ro2}を得る。Ro1=Ro2のときxdv=0.5は明らかでRo1とRo2の偏差が重要になる。δr=(Ro1-Ro2)/Ro1およびkw=Ro1/Rwとおく。δrを出力抵抗の偏差およびkwを出力抵抗係数とする。
{T(1}*(Ro1+Ro2)+2*Rw}*xdv={R+T(1)*Ro2}より、xdv={(1-δr)*kw*T(1)+1}/{(2-δr)*kw*T(1)+2}である。(数13)からxdvが導出され、xdvからR1、C1、R2およびC2が定まり、20の波形がV(xdv)から計算可能になる。xdvは(数32)は(数13)から得られる。
従来の波形計算法1および2からxdvを計算可能だが、xdv=0.5においてさえV(xdv)の誤差が大きく実用的でない。(数32)基づくと電気信号線路両端駆動の波形計算あるいは両端駆動を容易に実施できる。
さらに、仮想終端電圧、両端駆動時の位置電圧、駆動電流、仮想駆動端電圧あるいは駆動回路の周波数特性等が比較的容易に決定できる。特に仮想終端電圧が正確に計算できるので仮想終端で電気信号線路を二つに分離し、両端駆動の電気信号線路を片端駆動として扱う波形計算ができる。
電気信号線路がM型デバイスの中に組み込まれて電気信号線路の両端の端子以外の波形がほぼ測定不可能な場合に(数32)は有効である。M型デバイスでは仮想終端の波形はほぼ測定不可能である。
(数33)は両端駆動時の電気信号線路の時定数と駆動電流の近似計算式である。(数33)に示す符号はすでに説明したの説明は省略する。
図70は電気信号線路の片端および両端駆動特性を示す図である。図70では抵抗が2kΩおよびキャパシタンスが400pFの電気信号線路について計算した。図70(A)は遅延時間td=3μsecでの位置に対する電圧特性および図70(B)はV?Vo=0.8での位置に対する遅延時間特性を示す。
図70に示す片端および両端はそれぞれ片端駆動および両端駆動である。片端駆動はRo=0の場合、両端駆動はRo1=Ro2=0、Ro1=Ro2=600ΩおよびRo1=Ro2=1.2kΩの特性を示す。駆動回路の切断周波数を無限大とした。図70ではxd=0を仮想駆動端にしているので、図70のWで実駆動端の位置を示す。図70の計算には(数16)、(数24)および(数32)を用いた。
図70の両端駆動はRo1=Ro2で仮想終端の位置変数はxdv=0.5である。両端駆動される電気信号線路の抵抗R1はR1=0.5*2kΩである。Ro1=600ΩではRo1/R1=60%で、(数24)からxde=0.261である。(数24)から両端駆動の駆動端の位置変数をxdewとするとxdew=xde*xdv=0.13となる。同様にRo1=1.2kΩはxde=0.327でxdew=0.163である。図70のWはxdew=0.13およびxdew=0.163を示す。
xdeの計算式である(数24)および(数25)は片端駆動で成り立つ。両端駆動の電気信号線路を(数24)に適用する場合に(数24)の駆動端の位置変数(xde)に(数32)の仮想終端の位置変数(xdv)をかける必要があることを加えておく。
図70から駆動回路1および2の出力抵抗がほぼ同じとき、仮想終端は電気信号線路の中央部に位置することおよびRo=0の片端駆動はRo1=Ro2=1.2kΩの両端駆動にほぼ匹敵し、両端駆動の特性が優れていることが分かる。
駆動回路1および2の切断周波数をfdcとしてfdc=1.07MHzおよびαs=1.5*10^-7secを一例にして(数25)の両端駆動適用を説明する。抵抗5kΩおよびキャパシタンス700pFの電気信号線路を用いる。駆動回路1および2の出力抵抗はほぼ同じとする。
駆動回路1および2の出力抵抗が同じであるとき、(数32)から駆動回路1および2はそれぞれ2.5kΩ*350pFの時定数の電気信号線路を駆動すると見なせる。従って、αfo/α=2.5kΩ*350pF/αs=0.171である。(数25)からαfo/α=0.171の駆動端の位置変数はxde=0.364である。
図71は両端駆動の位置に対する電圧特性を説明する図である。図71(A)はxd=0およびxd=1を仮想駆動端の位置にした図および図71(B)はxd=0およびxd=1を実際の駆動端の位置にした図である。
駆動回路1および2の出力抵抗はRo1=Ro2である。駆動回路1および2のfdc=1.07MHzである。(数26)からfdc=1.07MHzのRfo=54Ωおよび(数25)からxdew=0.181である。
図71のaはfdcが無限大でRo1=Ro2=0の条件、bはfdc=1.07MHzd(Rof=54Ω)でRo1=Ro2=0の条件およびcはfdc=1.07MHzd(Rof=54Ω)でRo1=Ro2=(500+54)Ωの条件である。cはRo=500Ωでfdc=1.07MHzdの駆動回路により両端駆動した特性である。
Ro1=Ro2=500Ωによる駆動端の位置変数はRo1/R1=20%である。(数24)からxde=0.191である。従って、xdew=0,191*0.5=0.095でfdc=1.07MHzによるxdew=0.181より小さいから、図71のcの駆動端の位置変数は0.181である。
図72は電気信号線路と仮想終端および仮想駆動端との関係を説明する図である。図72(A)は電気信号線路の位置に対する電圧特性を示す図である。図72(B)はM型デバイスの仮想終端および仮想駆動端の位置を示す図である。
図72ではxd=0とxd=1が仮想駆動端置である。Wは両端駆動での駆動端位置を示す。40は走査線で両端駆動される。39は信号線で片端駆動される。41は信号線の駆動端および42は走査線の駆動端である。
なお、図72(A)の両端駆動はRo1=Ro2=1kΩおよび片端駆動はRo=0で計算した。xdvは駆動端を原点にすることに注意する必要がある。
図72(A)で片端駆動が39および両端駆動が40に対応させると、39はRo=0の駆動回路で片端駆動されるので仮想駆動端の位置変数xd=oが41の位置で、xdは実駆動端を原点になり、40はRo1=Ro2=1kΩの駆動回路で両端駆動されるので42の位置とxd=0およびxd=1とが一致しない。このように電気信号線路と位置変数の関係は出力抵抗により変化する。
図70、図71および図72により(数32)、(数24)、(数25)および(数26)の適用を説明した。両端駆動の波形計算は駆動回路が2あるので計算が複雑であるが、パーソナルコンピュータを用いれば容易にできる。
(数32)および(数33)に基づくとM型デバイスの適正な両端駆動を実現可能できる。駆動回路の仕様書等に記載されている出力抵抗は、ほぼ直流抵抗であり駆動回路の周波数特性が含まれない。(数26)より駆動回路の周波数特性を抵抗に換算すると、周波数特性を含む両端駆動時の波形計算が可能である。
本発明の電気信号線路の波形計算によれば、仮想終端の位置を容易に計算可能で仮想終端の位置変数から両端駆動を片端駆動に変換して両端駆動の波形計算ができる等の効果がある。仮想終端の波形は測定不可能な場合が多い。M型デバイスの駆動に適用すると適正な両端駆動時を実現できること等の効果がある。M型デバイスを用いた装置にも同様の効果がある。
本発明の実施例16の電気信号線路の波形計算方法およびM型デバイスの駆動方法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。実施例16は図65〜図69に基づき説明する。
(数34)は動作開始条件V(ton,Von)での図65の両端駆動時の駆動回路1および2の最大出力抵抗と電気信号線路の最大時定数を求める計算式である。駆動回路1および2の最大出力抵抗はそれぞれRo1MおよびRo2Mである。
(数34)を以下に説明する。(数32)においてRo1=Ro1M、Ro2=Ro2M、kw=kwMおよびδr=δrMとおくと、(数34)(1)のxdvが得られる。適正駆動を実現するには、V(xdv)は動作開始条件V(ton,Von)を満たさなければならないので、Von≦Vo*{1-A(1)*exp(-T(1)*T/{(xdv*Rw+T(1)*Ro1M)*xdv*Cw}およびVon≦Vo*{1-A(1)*exp(-T(1)*T/{((1-xdv)*Rw+T(1)*Ro2M)*(1-xdv)*Cw}である。
V(ton,Von)の動作開始条件より(数28)あるいは(数34)(2)のRo1MおよびRo2Mが得られる。(数28)および(数34)のRomax、Ro1MおよびRo2Mに駆動回路の周波数成分Rfoを含めてもよいことを加えておく。
出力抵抗が0の駆動回路は存在しないので、Ro1MおよびRo2Mが0となる電気信号線路の時定数では駆動回路は動作開始条件を満たすことができない。Ro1M=0のときの電気信号線路の時定数αw1およびRo2M=0のときの電気信号線路の時定数はαw2である。
両端駆動では電気信号線路が分離できるので、両端駆動での電気信号線路の最大時定数αwMはαw1とαw2のなかの小さい値である。(数34)(5)は(数28)(4)に対応する関係式である。
図73はgA/ton、(xdv)^-2および(1-xdv)^-2 の計算値を示す図である。(数34)にgAを示す。図73のgAは動作開始条件(ton,Von)のパラメータが含まれる。動作開始条件は電気信号線路によってほぼ一定の値をとり大きく変化するパラメータではない。
図73(A)にgA/tonとgA/tonの近似式および図73(B)は(xdv)^-2および(1-xdv)^-2の計算値を示す。gA/tonはでほぼV/Vo=0.5以上について近似式gA/ton≒4.62-4.08*(V/Vo)でg2-g3*(V/Vo)の一次式で近似可能である。V/Vo=0.5以上では近似式を使うと便利で0.9≧V/Vo≧0.5のV/Voがよく使われる。0.9≧V/Vo≧0.5でgA/tonは0.97から2.13の範囲で変化は小さい。
図73(B)に示すPは(xdv)^-2および(1-xdv)^-2の交点である。(xdv)^-2=(1-xdv)^-2よりxdv=0.5である。駆動回路1および2の最大出力抵抗は独立して決定可能である。
電気信号線路は1本であるから、電気信号線路の時定数はxdv=0.5の位置で最大値になる。すなわち、両端駆動される電気信号線路の最大時定数は4*gA*T(1)である。(数28)より片端駆動される電気信号線路の最大時定数はgA*T(1)である。ここで、ga=-ton/ln((1-Von/Vo)/A(1))=-ton/{ln(1-Von/Vo)-ln(A(1))}である。
αmaxを片端駆動の限界時定数および4*αmaxを両端駆動の限界時定数と定める。αmax=gA*T(1)である。限界時定数を越えた電気信号線路は適正駆動が不可能になる。限界時定数は出力抵抗を0の条件から得られるが、出力抵抗が0の駆動回路は存在しない。
片端駆動の最大出力抵抗をRosMおよび両端駆動の最大出力抵抗をRowMとする。RowMは駆動回路1および2の最大出力抵抗である。製造する電気信号線路の抵抗をRpdおよびキャパシタンスをCpdとして、電気信号線路と駆動回路とによる時定数をαrとする。両端駆動のαrをαwとする。αr={Rpd+RosM*T(1)}*Cpdおよびαw={Rpd/2+RowM*T(1)}*Cpd/2とする。
αrがαmax未満の条件で製造すれば、片端駆動において(ton,Von)を満たす電気信号線路が製造できる。αwがαmax未満の条件で製造すれば、両端駆動において(ton,Von)を満たす電気信号線路が製造できる。
M型デバイスの走査線と共通線からなる電気信号線路をX電気線路およびM型デバイスの信号線と共通線からなる電気信号線路をY電気線路と略して表記する。
X電気線路と駆動回路の時定数をαrxとしてX電気線路両端駆動のαrxをαwxとする。αrx={RX+RoxM*T(1)}*CXおよびαwx={RY/2+RoxwM*T(1)}*CX/2である。
RoxMは走査線駆動回路の最大出力抵抗およびRoxwMは両端駆動する走査線駆動回路の最大出力抵抗である。RXはX電気線路の抵抗およびCXはX電気線路のキャパシタンスである。
片端駆動時にはαrxをαmax未満あるいは両端駆動時にはαwxをαmax未満を満たすM型デバイスを製造すれば動作開始条件を満たすM型デバイスを製造できる。一般的に、Y電気線路はX電気線路より時定数が小さいので、X電気線路の優先して扱えばよい。
同じ仕様の電気信号線路あるいはM型デバイスにおいて動作開始条件および出力抵抗の最大値はほぼ同じであるから、上記製造方法によれば安定した品質および性能を確保した電気信号線路あるいはM型デバイスを製造できる。
駆動回路1および2が同じほぼ同じ電気的特性を有する場合、すなわち、同一の規格で製造され駆動回路の仕様が同じ駆動回路からなる場合、駆動回路1および2の最大出力抵抗はRo1M=Ro2M で一つになる。
ほぼ同じ電気的特性を有する駆動回路1および2の最大出力抵抗をRowMと定める。両端駆動時の最小位置電圧(最小の仮想終端電圧)はRo1=Ro2=RowMの駆動回路で駆動する場合で(数34)よりxdv=0.5になる。この条件で(数34)は非常に簡易な式(数35)になる。
(数35)はほぼ同じ電気的特性を有する駆動回路1および2による両端駆動時の最大出力抵抗と最大時定数に関する計算式である。(数35)は異なる電気的特性を有する駆動回路1および2による両端駆動時の計算式である。
(数36)は(数35)のgA/tonをg2-g3*(V/Vo)とした計算式である。(数35)は(数34)より実用的である。V/Vo=0.9ではRowMはほぼ0.78*(td/Cw)-0.2*RwでαwMはほぼ3.88*td以下である。
(数34)より駆動回路1および2が最大出力抵抗のとき、仮想終端電圧が最小になることが分かる。図74は駆動回路の出力抵抗による仮想終端電圧の変化を説明する図である。
図74のV(xdv)は駆動回路1および2が最大出力抵抗のときの仮想終端電圧である、図74に示すAおよびBは出力抵抗(RowM,ROwM/2)および(RowM,RowM/4)の組み合わせたときの仮想終端電圧である。
数百から数千以上の電気信号線路を有するM型デバイスでは駆動回路の出力抵抗をほぼ同じ値に揃えることは困難である。駆動回路の出力抵抗の値はばらつく。(数34)の基づいて動作開始条件を定めると、駆動回路の最大出力抵抗を決定するだけで両端駆動の適正駆動が可能である。駆動回路の出力抵抗のバラツキを考慮する必要がなく、効率よく駆動回路の仕様を定めることができる。
駆動回路1および2にLSIを使用したとき出力抵抗のバラツキは最大出力抵抗を上限にして10倍程度のバラツキがあり得る。Ro1=RowM、kw=2..5およびδr=0.1のときxdv=0.356、Ro2=Rowでkw=25およびδr=10のときxdv=0.644である。
kwを大きくすると出力抵抗のバラツキに対するxdvの変化は小さくなるが、kwを大きくできるのが両端駆動の特徴である。出力抵抗のバラツキに対してxdvが変化するのはやむを得ない。
駆動端から信号を送り終端で受信する一般的な電気信号線路の使用法において両端駆動があまり用いる必要がない。電気信号線路の両端から信号を送る両端駆動はM型デバイスに用いられる特有の駆動である。
両端駆動はM型デバイスでも外形寸法が大きく電気信号線路の長さが長くなる表示装置に使用されているので、M型表示装置特の駆動法ともいえる。両端駆動は片端駆動に比べて駆動回路が倍になるのでコストアップになる。
コスト的に両端駆動より片端駆動が望ましいことはいうまでもない。両端駆動の採用は高速駆動を要求され高品位の画像を表示する等の特別な場合を除いて、片端駆動で十分な性能を発揮できない場合に限られる。
電気信号線路を片端駆動する駆動回路の出力抵抗をRosとする。αrs={Rw+T(1)*Ros}*Cw、αw1={xdv*Rw+T(1)*Ro1}*xdv*Cwおよびαw1={(1-xdv)*Rw+T(1)*Ro1}*(1-xdv)*Cwである。
電気信号線路は片端駆動の限界に近い時定数を有するとする。(数13)および(数32)よりVo*{1-A(1}*exp(-T(1)*t/αw1)}≦Vo*{1-A(1}*exp(-T(1)*t/αrs)}およびVo*{1-A(1}*exp(-T(1)*t/αw2)}≦Vo*{1-A(1}*exp(-T(1)*t/αrs)}を満たすことが必要である。満たさなければ両端駆動を用いる意味が失われる。
よって、αw1≦αrsおよびαw2≦αrsから(数37)を得る。(数37)は片端駆動と両端駆動を比較して両端駆動の出力抵抗Ro1およびRo2を定める計算式である。
(数37)の符号は(数34)の符号を用いる。(数34)は動作開始条件より両端駆動時の駆動回路の最大出力抵抗を求める。(数34)が基本的な計算式であるが、片端駆動と比較可能なとき(数37)は現実的で実用性が高い。
(数37)(1)は駆動回路1および2が異なる電気的特性を有する場合の計算式で(数37)(2)は駆動回路1および2がほぼ同じ電気的特性を有する場合の計算式である。駆動回路1および2がほぼ同じ電気的特性を有する場合、駆動回路1および2の最大出力抵抗はxdv=0.5で決定すればよい。
電気信号線路は片端駆動の限界に近い時定数を有するからRos/Rは小さく0と見な見なすことができる。1.5/T(1)はほぼ0.608であるから(数37)(3)を得る。(数37)(3)は片端駆動では限界に近い電気信号線路を駆動可能な両端駆動の最大出力抵抗を定める計算式である。駆動回路1および2はほぼ同じ電気的特性を有することが条件である。
片端駆動をされるM型表示パネルをAとする。Aとほぼ同じ電気的特性を有するM型表示パネルをBとする。AとBは同じ製造工程で製造され外形寸法あるいは電気的な仕様がほぼ同じ表示パネルと見なせる第1の場合あるいは製造工程が異なり外形寸法等の物理的な仕様が異なるが電気的な仕様はほぼ同じである第2の場合に区分される。
AとB共に片端駆動では適正駆動がほぼ限界に近い表示パネルのとき、(数37)を第1および第2の場合のAとBに適用できる。第1の場合はAを用いたM型表示装置の改良を計る場合に相当する。第2の場合はAを改良をしたBを用いたM型表示装置の一層の改良を計る場合である。従って、製造工程の変更あるいは外形寸法の変更が生じる場合がある。
AとBはほぼ同じ電気仕様であるから、Aの片端駆動の出力抵抗からBを両端駆動する出力抵抗の最大値が(数37)で決定される。Aの片端駆動の出力抵抗が不明確のとき(数37)のRosを0にすればよい。Aの片端駆動を基にして両端駆動の可否と両端駆動時の出力抵抗の上限を決定できるので合理的である。
AとBはほぼ同じ電気仕様とは、両端駆動するYあるいはX電気線路の抵抗とキャパシタンスあるいは時定数がほぼ同じであり、AとBそれぞれの画素について動作開始および停止時間に差がないことを指す。M型表示パネルはX電気線路の時定数がY電気線路より大でかつX電気線路を高速駆動することが必要であるために、X電気線路を両端駆動する場合が多い。
(数34)、(数35)および(数37)のtonおよびtoffは(数28)と同様なので説明を略した。(数34)〜(数37)をM型デバイス装置に適用する場合、RwおよびCwは最大値を用いることが必要である、
第1の場合について波形測定した図38に示す液晶パネルを例にして、(数28)、(数34)および(数37)(3)の計算結果を示す。図38の液晶パネルのX電気線路の抵抗およびキャパシタンスはそれぞれ5kΩおよび700pFである。動作開始条件を(3.2.μsec,0.85)とする。両端駆動の駆動回路はほぼ同じで電気的特性を有するとする。
(数28)からX電気線路を片端駆動するときRomax=111Ω、(数34)からX電気線路を両端駆動するときのRowM=3261Ω、および(数37)(3)からRowM=3000Ωである。(数38)は(数34)とほぼ一致する。(数37)(3)は(数34)に対して誤差10%以下で小さい値である。
(数37)は両端駆動の駆動方法を決定に動作開始条件を考慮する必要がなく、
片端駆動する駆動回路の出力抵抗に基づき両端駆動する駆動回路の最大出力抵抗を決定により両端駆動されるM型表示装置の適正駆動を実現できる。そのために
効率よく両端駆動の採用の可否が決定でき、コストパフォーマンスの高いM型表示装置を実現できる。
(数28)、(数34)から(数37)の出力抵抗に周波数成分を表すRfoを含め、出力抵抗の決定にはRfoを求めておくことが望ましい。Rfoを含む出力抵抗を有する駆動回路を用いると両端駆動されるM型表示装置の適正駆動を実現できることはいうまでのない。(表14)は(数26)から計算される駆動回路の周波数特性をRfoに換算する表である。(表14)はRfoの一例で、詳細な説明は省略する。
図38の液晶パネルのαfo/.αは0.042である。の周波数特性は片端駆動と同じとすると、両端駆動でαfo/.αは4*0.042である。(表14)よりV/Vo=0.85のRfo/R≒4.5%であるが、(表14)のRfo/Rは片端駆動の表である。
両端駆動ではRfo/Rは9%である。(数38)からRowM/Rw=60%である。両端駆動時の出力抵抗は許容範囲が大きいので、片端駆動より周波数特性が劣る駆動回路を用いることができる。
片端駆動より周波数特性を悪くして、αfo/.αを0.32にすると(片端駆動の切断周波数の1/2)Rfo/Rwは11.5%である。(数25)から駆動端の位置変数xde=0.5/2=0.25である。RowM/Rw=60%に対してRfo/Rw=11.5%は実現可能な値である。
両端駆動の周波数特性を悪くすると、(図71)(B)に示すように位置に対する電圧特性を平坦に近づけることができる。仮想終端電圧が動作開始条件を満たす範囲で位置に対する電圧特性を平坦にすることが望ましい。
両端駆動の出力抵抗許容幅が大きいことを利用して、片端駆動より周波数特性が劣る駆動回路を両端駆動に用いると、位置に対する電圧特性が片端駆動よりかなり平坦になるために各機能素子(画素)に加わる駆動電圧が均一になること、駆動電流の波形が鈍り基準電圧回路あるいは電源回路の動作が安定するうえパルスの高調波から生じる不要輻射を低減することおよび周波数特性の劣る駆動回路は低コストであるため駆動回路のコストダウンが可能なこと等の効果が期待できる。
両端駆動は高速の駆動である。しかし高速駆動の目的は終端波形の歪みを動作開始条件内に入れることが目的で、駆動端波形を急峻にすることが目的ではない。従って、動作開始条件を満たす範囲で駆動回路の切断周波数を下げることが好ましい。
さらに、両端駆動を採用する理由として電気信号線路の時定数により動作開始条件を満たせなくなることが多く、駆動回路の切断周波数により動作開始条件が満たされなくなることは希である。勿論、全ての電気信号線路に当てはまることはなく、外形寸法が大きいM型表示デバイスにその傾向が強い。
片端駆動の駆動回路より周波数特性が悪い駆動回路による両端駆動をすると、上記の効果が期待できる。両端駆動の駆動回路の切断周波数は片端駆動の切断周波数の半分以下が望ましいが、勿論、片端駆動の切断周波数が適正であることが条件である。片端駆動の切断周波数はαfo/.αを0.1以下とすることがが望ましく、両端駆動の駆動回路の切断周波数はαfo/.αを0.4以下とすることがが望ましい。
さらに、両端駆動する場合、共通端子を駆動回路の両外側に配置して適正な共通線駆動を実現することが好ましい。共通端子の配置と共通線の駆動方法は後述する。
(数28)〜(数37)で最大値の表記について若干の補足説明をしておく。当然であるが、これまでに説明した(数6)〜(数37)は一本の電気信号線路を対象とする。
ほぼ同じ電気的特性からなる複数の駆動回路と電気信号線路を対象として、(数6)〜(数37)から駆動回路あるいは電気信号線路の仕様を決定する場合は駆動回路の出力抵抗、電気信号線路の抵抗およびキャパシタンス等は最大値を用いることが必要である。
例えば、電気信号線路上に複数個の機能素子がある場合に動作開始時間は複数個の機能素子の最大値であり、M型デバイスの場合にM型デバイスを形成する機能素子の最大値であることは自明であるし、そのような記載をすると簡潔な表記ができないので(数6)〜(数37)では断りをしていない。
(数28)〜(数37)で最大値の表記をするのは次の場合である。ある電気信号線路に適正な駆動回路を選択する場合、駆動回路の最大値を決定する必要があるので、(数28)〜(数37)において最大出力抵抗と表記した。
また、ある駆動回路が仕様の異なる電気信号線路を駆動する場合、電気信号線路の時定数の最大値を決定する必要があるので、(数28)〜(数37)において最大時定数と表記した。上記以外の場合には、(数6)〜(数37)から最大値を求めることが必要である。
本発明の電気信号線路の波形計算法およびM型デバイス装置の駆動方法等は
以上に説明したように、ほぼ同じ電気信号線路あるいはほぼ同じM型デバイスの片端駆動を基にして両端駆動の採用を決定する場合に大きな効果がある。特に、外形寸法が大きいM型表示パネルあるいはM型表示装置に適する。
本発明の実施例17の電気信号線路の波形計算法およびM型デバイスの駆動方法について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図75は実施例17の電気信号線路の波形計算法およびM型デバイスの駆動方法を説明する図である。
図75は電気信号線路両端の定電流駆動を説明する図である。図75の43および44は駆動回路である。43は駆動回路1および44は駆動回路2である
20は電気信号線路である。端子aおよびc間をM型デバイスの信号線とする。端子bおよびd間をM型デバイスの共通線とする。
Ics1およびIcs2はそれぞれ駆動回路1および2の駆動電流で定電流である。ほぼ同時に43はIcs1で端子aおよび44はIcs2で端子cを駆動する。(数30)より駆動開始後、時間t≧{2.5/T(1)}*Rw*Cwで43および44はそれぞれ定電流動作をする。
(数38)は両端定電流駆動の仮想終端電圧と仮想終端の位置変数の計算式である。(数38)(1)は両端定電流駆動および(数38)(2)は両端スルーレート駆動での仮想終端の位置変数および仮想終端電圧を示す。
(数38)を以下に説明する。定電流両端駆動も、図65等に図示したパルス駆動と同様に電気信号線路上に仮想終端が生じる。駆動回路1がIcs1、駆動回路2がIcs2の定電流でほぼ同時間で両端駆動をする場合、(数30)より仮想終端電圧はV(xdvt)={IcsI/(xdv*Cw)}*t={Ics2/((1-xdv)*Cw))}*tで仮想終端の位置変数はxdv=Ics1/(Ics1+Ics2)あるいはxdv=1-Ics2/(Ics1+Ics2)である。
駆動回路1および2のスルーレートをそれぞれSR1およびSR2として、 SR1およびSR2で電気信号線路を両端駆動する場合、スルーレートは1μsec(10^-6sec)当たりの電圧の変化であるからIcs1*t/(x*Cw)={SR1/(10^-6)}*tおよびIcs2*t/((1-xdv)*Cw)={SR2/(10^-6)}*tである。ゆえに、Ics1=(x*Cw)*SR1*10^6およびIcs2=(1-xdv)*Cw*SR2*10^6である。
Ics1=(xdv*Cw)*SR1*10^6およびIcs2=(1-xdv)*Cw*SR2*10^6を(数38)(1)に代入すると(数38)(2)になる。なお、(数30)および(数31)記載のVcsを用いるとVcs=SR*10^6である。SRによる片端駆動はVcs=SR*10^6を(数30)および(数31)に代入すると求めることができる。
パルス駆動は駆動端波形の立ち上がり(あるいは立ち下がり)時間の大小によって分類できる。駆動パルスの立ち上がり時間が小さいときパルス駆動として、(数30)、(数31)あるいは(数38)から駆動パルスの立ち上がり時間が大きい場合は定電流駆動あるいはスルーレート駆動として電気信号線路の駆動を扱うことが可能になる。
映像信号等を扱うアナログ回路とデジタル回路が混在するM型デバイスの駆動回路では、駆動パルスの振幅がアナログ量であることが多い。そのため駆動回路にアナログスィッチあるいは演算増幅器等のアナログ回路が用いられる。演算増幅器等のアナログ回路の出力特性はスルーレートで表される。このようなとき、定電流をスルーレートに置き換えて波形計算に用いた方が便利である。
本発明の電気信号線路の波形計算法によれば、定電流あるいはスルーレートによる両端駆動の波形計算が可能になる。定電流両端駆動の電気信号線路の駆動、特にM型表示装置に有効である。
本発明の実施例18のマトリクス型表示装置について以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図76は本発明の実施例18を説明する図である。
COM(0,0)、CM(0,N)およびCOM(M,0)は共通端子29である。32は共通線で面状の形である。Vroは電源である。Vr、Vr1およびVr2は基準電圧である。32は共通線で面状の形である。図76の32は模式図である。マトリクス型表示装置をM型表示装置と略する。
図76は共通端子29それぞれに3種類の基準電圧Vr、Vr1およびVr2を加えて共通線29を駆動する方法を示す図である。Vr1=Vr+VrMおよびVr2=Vr+VrNである。45は演算増幅器である。R1、R2、R3、R4は抵抗器およびC1、C2およびC3はキャパシタである。基準電圧回路は45とキャパシタから構成される。
図77は共通線と共通端子の配置を示す模式図である。 図77(A)は共通端子の配置および図77(B)は共通線の模式図と共通線の符号を示す。 H1、H2、H3およびH4はそれぞれ32の辺を示す。辺H1よびH2それぞれ26および25が配置され、H1の両端に共通端子29bおよび29が形成され、H2の両端に29および29cが形成される。
図76および図77の32は一枚の導体の板であるが、H1、H2、H3およびH4で囲まれた面内に縦横に配線が走って網の目にような構成でもよい。32がM型表示装置の24に基準電圧が適正に加えることができる構造であればよい。24は画素である。
32上の位置を(x,y)で表す。COM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)はそれぞれ(0,0)、(M,0)および(0,N)に形成された共通端子を示す。29、29bおよび29cはそれぞれCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に対応する。
RyはCOM(0,0)とCOM(0,N)間の電気抵抗およびRxはCOM(0,0)とCOM(M,0)間の電気抵抗を示す。V(M,N)は(0,0)と(M,N)との電圧差を示す。図76は22および23が片端駆動される場合、25が配置する32のH2の両端に29および29cをおよび26が配置する32のH1の両端に共通端子29および29bを形成して、共通端子29、29bおよび29cに異なる基準電圧を加えるM型表示装置を示す図である。
Vrを29、Vr1を29bおよびVr2を29cに加え、Vrを基準にしてVr1およびVr2を変化させ、32の(M,N))近辺の電圧V(M,N)がVrにほぼ一致するようにする。V(M,N)がVrにほぼ一致するようにVr1およびVr2設定すると、24に適正な駆動電圧が加わりM型表示装置の画質が向上する。
29、29bおよび29cに異なる基準電圧を加える共通線の駆動方法を以下に説明する。図78は共通線に抵抗がある電気信号線路の片端駆動を説明する図である。46、47および48はそれぞれ電気信号線路、駆動回路および基準電圧回路である。VrおよびVoはそれぞれ基準電圧および駆動電圧である。
Ro、RrはIo1はそれぞれ47の出力抵抗、48の出力抵抗および47と48の駆動電流である。46はM組電気線路であり、端子aと端子c間を走査線23および端子bと端子d間を共通線32とする電気信号線路の等価回路である。46をX電気線路と呼ぶ。
また、端子aと端子c間を22および端子bと端子d間を32とするとき46をY電気線路と呼ぶ。Reは23あるいは22の配線抵抗およびRuは32の配線抵抗に相当する。46の要素RはRe+Ruおよび要素CはCeである。46の抵抗は(M+1)*(Re+Ru)およびキャパシタンスはM*Ceであるが、Mが数百以上あれば46の抵抗をM*(Re+Ru)と見なすことができる。
XおよびY電気線路の等価回路の構成は同じなので、端子aと端子c間を専用線および端子bと端子d間を共用線とし、必要に応じて専用線を走査線あるいは信号線に置換することにする。共用線も同様である。図78は走査線あるいは信号線および共通線の片端駆動を示す図である。
図78に示すように共通線32に基準電圧Vrを加える場合、46の駆動は47と48によって行われる。電気信号線路の波形は47のみならず48の影響を受ける。
図79は専用線片端駆動における共用線の駆動を説明する図である。図79(A)は一つの駆動回路による共用線両端駆動を説明する図および図79(B)は二つの駆動回路による共用線両端駆動を説明する図である。
49および50は基準電圧回路で48とほぼ同様である。共用線両端駆動は、図65あるいは図66に示す専用線の両端駆動と同様に扱うことができる。図79(A)と図79(B)の違いは48が49と50を合わせた駆動能力を必要とすることである。
図80は電気信号線路の専用線および共用線の両端を駆動する図である。51およびは専用線の駆動回路である。Rowは51および52の出力抵抗である。図80は図79の専用線を51および52でほぼ同じ時間で両端駆動する図である。専用線および共用線の両方の両端を駆動する方法は、図面は省略するが、図80以外に図79(A)(1)の専用線を両端駆動する場合等がある。
図78、図79および図80に示す端子aあるいは1,2,…M-1の位置と端子bと端子d間の電圧は、R=M*(Re+Ru)およびC=M*ceとおくと(数13)〜(数16)から計算可能である。図78に示すようにIo1とRuにより端子bと端子d間に電位差(Vcd-Vce)が生じる。Rrが小さい場合にはVrはほぼVcdである。
駆動電流とRuによる電圧降下を歪み電圧と呼ぶ。Ceの端子間電圧にこの歪み電圧が重畳する。歪み電圧が46の波形に与える影響を知るには歪み電圧を計算する必要がある。歪み電圧の計算から図78、図79および図80に示す相違を分かる。
歪み電圧は(数23)のIdvkから計算可能である。Idvkはxdで表される電気信号線路に流れる電流である。専用線および共用線の出力抵抗がほぼ0のとき、仮想駆動端は専用線および共用線の駆動端に位置する。
δIxを要素電流としてCeに流れる電流をδIxと定める。専用線および共用線の出力抵抗を0とすれば、δIxは専用線の駆動端からx組あるいは長さxの位置にあるCeに流れる電流になる。
M組電気線路の駆動端からx+1組目の位置変数をxd(x+1)と表す。xd(x-1)のReに流れる電流をI(x+1)dvkと表す。δIxはI(x)dvk-I(x+1)dvkである。RuとδIxによる電圧降下をδVuとする。δVu=Ru*δIxである。δVuが歪み電圧である。
図81はRuによる歪み電圧を説明する図である。図81は要素電流δIjとRuによるδVuを示す。端子bと端子d間に生じる歪み電圧をVuとする。図78のVuをVu1とするとVu1=Ru*Σ(j=1,M)δIjである。
専用線と同様に共用線両端駆動の歪み電圧は共通線の仮想終端で最大になる。図79(A)において端子bおよび端子dを基準とする歪み電圧をVu2とする。図79(B)および図80において子bおよび端子dを基準とする歪み電圧をVu3とする。図82は歪み電圧の計算を説明する図である。図82(A)はVu1および図82(B)はVu2とVu3の計算を示す図である。
(数39)は要素電流および歪み電圧の計算式である。(数39)にVu1、Vu2およびVu3の計算式を示す。Vu1、Vu2およびVu3の詳細な説明は省略する。(数39)は駆動回路および基準電圧回路の出力抵抗を0とした場合である。
(数39)は出力抵抗が極端に大きくなければ出力抵抗が存在しても適用可能である。なお、Ruを共用線の要素Rとする。同様に専用線の要素RをReとする。
図83は共用線の歪み電圧の一例を示す図である。図83(A)は遅延時間td=0.8μsecおよび図83(B)はtd=2μsecの場合の歪み電圧である。図83の計算には(数39)を用いた。計算では46の抵抗、キャパシタンス、要素Rおよび組数をそれぞれR=5kΩ、C=700pF、Ru=5Ωおよび200とした。
図83の片端はVu1、S両端はVu2およびW両端はVu3である。図83から示されるようにVu1>Vu2>Vu3で電気信号線路の専用線および共用線を共に両端駆動する場合に歪み電圧が格段に小さくなる。
(数34)〜(数37)で説明したように専用線の両端駆動は片端駆動で十分な性能を発揮できないときにほぼ限定される。M型デバイスでは、共通線両端駆動と片端駆動とのコスト差が少なく、共通線の両端に共通端子を形成可能な場合に共通線両端駆動が採用される。図83から専用線片端駆動の場合でも共用線両端駆動の効果は明らかである。
(数39)式よりM型デバイスの共通線32の歪み電圧分布の概略を把握可能である。図84は共通端子が一つである共通線の歪み電圧分布の一例を示す模式図である。図84は図76の共通端子をCOM(0,0)一つにした場合の歪み電圧分布の一例を示す図である。図84は図76のX電気線路駆動において共通線に生じる歪み電圧の分布の概略値である。
図84(A)はH1およびH2の概略歪み電圧分布および図84(B)は共通線32の概略歪み電圧を示す図である。図84では32を基準にした歪み電圧分布である。
29bがCOM(0,0)のみの場合に共通線32の駆動は片端駆動になるために、H1およびH2の歪み電圧分布は図83の Vu1(片端と図示)に類似した曲線になると推測できる。f1(+)およびF2(+)はそれぞれH1およびH2に生じる歪み電圧の分布曲線である。
H3およびH4の歪み電圧分布はf1(+)およびF2(+)に相似した曲線となることが推測されるの、Ve(0,N)とVe(M,0)を加算すると、図84(B)に示す歪み電圧分布が推測される。(M,N)で歪み電圧が最大となることは(数39)を用いなくとも明らかであるが、32の歪み電圧分布を把握するには(数39)が必要である。
32の共通端子が2以上の場合も図84と同様にして推測歪み電圧分布を求めることができる。図85は29、29aおよび29bの共通端子に同じ基準電圧を加えたときの概略の歪み電圧分布を示す模式図である。図84と同様に図85は23により共通線に生じる歪み電圧の分布である。
e1、e2、e3およびe4はH1、H2、H3およびH4の概略の歪み電圧曲線である。E(0,N/2)、E(M/2,0)およびE(M,N)は(0,N/2)、(M/2,0)および(M,N)の歪み電圧である。
Vrは基準電圧である。電圧は32を基準とする。V(+)sおよびV(-)sは図85の平面がそれぞれV(+)sおよびV(-)sの電圧であることを示し平面は共通線32に対して平行である。
COM(0,0)とCOM(0,N)により辺H1の歪み電圧分布はVu2に相似した曲線およびCOM(0,0)とCOM(M,0)により辺H2の歪み電圧分布はVu2に相似した曲線になると推測される。
一方、座標(M,N)には共通端子がないので片端駆動に近い駆動になり、H3およびH4の歪み電圧分布はVu3に相似した曲線になると。従って、(M,N)の歪み電圧E(M,N)が歪み電圧の最大値である。
共通線に歪み電圧が生じると、24の基準電圧が異なる。24はVrを基準にして動作するのでM型デバイスが適正に駆動しなくなる。液晶表示装置では表示のムラ、画像のちらつきおよびクロストーク等の不具合が生じ画像品位が低下する。
図86は歪み電圧および歪み電圧と信号電圧との関係を説明する模式図である。図86(A)は駆動パルスと歪み電圧との関係を示す模式図および図86(B)は信号電圧と歪み電圧との関係を示す模式図である。
図86(A)に示すように駆動パルの立ち上がりと立ち下がりの時間で極性が反転した歪み電圧が発生する。THは駆動パルスの幅でほぼ1水平走査期間である。M型デバイスの走査線23の駆動による歪み電圧は走査ごとに発生し時間と共に減衰すると共に共通線と走査線23との位置により変わるが、歪み電圧の平均値を求めると大凡図84あるいは図85の歪み電圧になると推測できる。
図86(B)のE(M,N)およびE(x,y)は(M,N)および(x,y)の平均歪み電圧を表す。信号パルス(信号線駆動電圧を指す)は基準電圧を基準として22から24に加えられる。TVは信号パルすの幅で1垂直走査時間に相当する。図86(B)に示すように各24に加えられる信号電圧は歪み電圧により変化する。よって、表示のムラ、画像のちらつきおよびクロストーク等の不具合が生じるのである。
図85に示すようにCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)の同じ基準電圧を加えるとE(M,N)が歪み電圧の最大値になり、配線抵抗の増大により歪み電圧が大きくなるにつれて座標(M,N)近傍の構成要素が適正に動作しなくなる。
すなわち、COM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に同じ基準電圧を加える共通線駆動法は(M,N)近傍の歪み電圧許容範囲が(0,0)、(M,0)あるいは(0,N)に比べて狭くなる。配線抵抗が大きくなるほど、すなわち、M型デバイスの外形寸法が大きくなるほど歪み電圧許容範囲が小さくなる。
COM(M,0)にVr+VrMをCOM(0,N)にVr+VrNを加えるとE(M,N)を小さくなる。VrN>0>VrMである。図87はCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に異なる電圧を加えたときの歪み電圧分布を示す図である。
Er(M,N)はCOM(M,0)にVr+VrMをCOM(0,N)にVr+VrNを加えたときの(M,N)の歪み電圧である。COM(M,0)にVr+VrMおよびCOM(0,N)にVr+VrNを加えるために(M,0)および(0,N)近傍の24はVrに対してそれぞれVrMおよびVrNの偏差が生じる。
COM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)にそれぞれに0V、VrMおよびVrNを加えたとき、(M,N)のV(M,N)はRxとRyで分割され、ほぼ(VrN-VrM)*Rx/(Rx+Ry)+VrMになる。
VrMおよびVrNによりV(M,N)をほぼ0Vにすると、H3およびH4の歪み電圧分布は、共通線両端駆動の歪み電圧Vu2と類似した曲線になり(M,N)の歪み電圧Er(M,N)は図85に示すE(M,N)より格段に小さくなる。
V(M,N)がVrN>V(M,N)>VrMを満たすためにはVrN>Er(M,N)>VrMとする必要がある。図85に示すようにEr(M,N)はE(M,N)より格段に小さいから、|VrN|あるいは|VrM|をE(M,N)より小さくなる。
VrMおよびVrNはE(M,N)よりかなり小さい。図83(A)からVu2/Vu1は約0.22である。このようにCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に異なる基準電圧を加える共通線の駆動は、COM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に同じ基準電圧を加える共通線の駆動に比べ、歪み電圧をかなり小さくすることが可能である
すなわち、29、29bおよび29cそれぞれにVr、Vr1およびVr2を加えて
Vrを基準としてVr1およびVr2を変化させ、共通線の駆動を両端駆動に近づけて歪み電圧を小さくすることができ、M型表示装置の画像の品位を高めることができるのである。
図76、図77、図84、図85および図87に示す図は共通端子の配置の模式図で実際には共通端子は25および26の駆動回路の両外側に配置される場合が多い。必ずCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に共通端子を配置しなくてもよい。
図76、図77、図84、図85および図87は駆動回路の両外側に配置される共通端子の一例である。共通端子が駆動回路の両外側に配置される場合にCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)の近くになり、その効果はCOM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)の配置した場合とほぼ同様である。
25および26の駆動回路と27bとの接続方法や駆動回路の構造によって27、27bおよび27cの共通端子の配置を変えてもよいが、駆動回路の両外側の近辺に27、27bおよび27cを配置する必要がある。
図88は走査線および信号線駆動を分類して示すM型デバイスの概略構成図である。図88(A)および(B)に示すような両端駆動では駆動回路の両外側に
共通端子を形成して共通線の両端駆動ができるために歪み電圧は小さくなる。
16a、16b、26aおよび26bは走査線駆動回路で15a、15b、25aおよび25bは信号線駆動回路である。CTは共通端子と見なされる端子である。同様にCTも駆動回路の両外側に配置される。
しかしながら、片端駆動の限界付近のM型デバイスでは、両端駆動を用いるより、歪み電圧を小さくして確実に適正動作する片端駆動を実現することが望ましい。そのような場合に、図76に示す共通線の駆動方法は適する。
図76および図77に基づくと、少なくとも3の共通端子を配置してそれぞれの共通端子に異なる電圧を加えることにより片端駆動の限界を高めて、コストパフォーマンスの高い歪み電圧が小さく適正動作する片端駆動のM型表示装置を実現できる。
走査線あるいは信号線を両端駆動する場合に共通線の両端が駆動可能になる共通端子をM型デバイスに形成可能である。図88(A)は信号線片端と走査線両端駆動、(B))は信号線と走査線それぞれ両端駆動、(C)は走査線片端と信号線両端駆動のアクティブM型デバイスおよび(E)は信号線と走査線それぞれ両端駆動の受動M型デバイスの概略構成図を示す。
M型表示デバイスは一般的に、走査線より信号線が短いのでY電気線路の時定数がX電気線路より小さいうえ走査線のような高速駆動を要求されないので、図88(A)が最も一般的なM型表示デバイスの両端駆動の構成である。
受動M型デバイスには共通端子がない代わり、図41に示すように走査線駆動回路の基準電圧を加える端子(基準電圧端子とする)が共通端子の役割を果たす。図88(E)のCTは走査線駆動回路の基準電圧端子である。
図83に示すように、駆動回路の両外側に少なくとも共通端子を設けるのが歪み電圧を小さくする共通線の駆動法である。
図89は走査線あるいは信号線両端駆動時の歪み電圧分布の一例を示す図である。図89(A)は駆動回路が配置される辺の両端に共通端子を設けた場合の推測歪み電圧分布、図89(B)は駆動回路が配置される辺の両端と走査線駆動回路が配置される辺のほぼ中央部に共通端子を設けたときの歪み電圧分布を示す図である。
図89は駆動回路が配置される辺の両端に共通端子が配置される模式図で、駆動回路の両外側に共通端子を配置する一例を示す図である。必ずしも、駆動回路が配置される辺の両端に共通端子を形成しなくとも、駆動回路の両外側の近辺に共通端子が形成されればよい。
図89(C)は駆動回路が配置される辺の両端と片端駆動の信号線駆動回路が配置される辺のほぼ中央部に共通端子を設けたときの推測歪み電圧分布および図89(D)は共通線の4辺の両端とほぼ中央部に共通端子を設けたときの推測歪み電圧分布を示す図である。
図89に示すように歪み電圧を小さくする共通端子の配置は、駆動回路の両外側に共通端子を設け、その設けた共通端子のほぼ中央部に新たな共通端子を設け、さらに共通端子を設ける場合、新たな共通端子と共通端子間のほぼ中央部に共通端子を設けることである。
駆動回路の両外側に共通端子を設けた後、その辺の共通端子間の中央部に共通端子が配置するように、必要に応じて順次共通端子を増やしていく方法が望ましい。
両端駆動は片端駆動より高速で駆動電流のピークが片端駆動より大きくなる。高速駆動を行うのは仮想終端あるいは終端の波形歪みを小さくするためである。駆動端の波形歪みは仮想終端あるいは終端より小さいので、駆動電流のピークを小さくして、電子回路が安定動作するように必要最小限の速度で駆動をするのが望まれる。両端駆動では特に駆動電流のピークが大きくなる。
図90は駆動電流の一例を示す図である。IowおよびIoはそれぞれ(数23)から計算される両端駆動および片端駆動の駆動電流である。IkおよびIkwはそれぞれ(数27)から計算される両端駆動および片端駆動の駆動電流である。
図90(B)は 図90(A)のCPで示す部分を拡大した図である。図90から両端駆動時の駆動電流のピークが大きいことは明らかで、走査線あるいは信号線両端駆動をする場合に共通線駆動回路の応答特性を片端駆動より良くする必要があることが分かる。
(数23)は時間が小さくなるに従い発散し誤差が大になることおよび実際の駆動回路の応答時間がIowあるいはIoが大になる時間内に入ることは少ないこと等からIkおよびIkwが実用的である。
図76に示すように基準電圧回路は演算増幅器45から構成される場合が多い。45の周波数特性は駆動回路の周波数特性よりかなり悪いのが一般的である。両端駆動では演算増幅器45に高速でピークの鋭い駆動電流が流れ込むために45が不安定な動作をして適正な動作をしない不具合が生じる。
図91は演算増幅器の出力にピーク電流パス回路を挿入した図である。D1およびD2はダイオードである。図91に示すように基準電圧回路(図91では45で示す)の出力部にD1およびD2とキャパシタC4、C5およびC6からなる電流パス回路を加える。VD1およびVD2は電源である。
出力端子に駆動電流によるスパイク状の電圧が生じた場合にD1からVD1あるいはVD2からD2に駆動電流がバイパスする。電気信号線路からピーク値が大きい高速の駆動電流が流れ込む場合にも、駆動電流のピーク値がVD1あるいはVD2にバイパスされ演算増幅器45は安定に動作しM型表示装置の性能を向上させる。
さらに演算増幅器の出力と共通端子間にRstを挿入すると電気信号線路の駆動電流とRstとによる電圧降下が発生してVD1あるいはVD2にバイパスされ電流Ip+およびIp-が多くなる。D1およびD2により歪み電圧のピーク値はカットされるので歪み電圧は小さくなり基準電圧回路は安定に動作する。従って、45はより安定に動作してM型表示装置の画像品位を向上させる。
図91のピーク電流パス回路にはRstを挿入するのが好ましい。D1およびD2はショットキーバリヤーダイオード等の高速動作が可能なダイオードが好ましい。C4、C5およびC6に周波数特性の優れたキャパシタが望ましい。図91は図76および図77のM型表示装置に限られることはなく、M型デバイスの基準電圧回路に適用可能である。
Rstをピーク電流制限抵抗とする。VfdをD1およびD2の順方向電圧とする。
Vr、Vr1およびVr2の最大値をVr(mxax) および最小値をVr(rmin)とする。VD1はVr(mxax)+Vfdより大にVD2はVr(rmin)-Vfdより小に設定する必要がある。
Rstにより基準電圧回路に流れる駆動電流が制限され基準電圧回路は安定に動作して、Rstにより制限される駆動電流はD1およびD2によりバイバスされる。Rstを余り大きな値にすると波形歪みが大きくなるので、動作開始条件を満たす範囲において電気信号線路の抵抗の5%以下に設定することが望ましい。
片端駆動では Rstに大きな値を設定できないが、(数37)に示すように両端駆動では出力抵抗の設定範囲が大きいのでRstを電気信号線路の抵抗の10%程度まで設定可能である。図91のピーク電流パス回路は片端駆動および両端駆動で効果が期待できる。ピーク電流パス回路はM型表示装置のみならずM型表示装置以外の電気信号線路の駆動に応用可能である。
図91の回路は片端駆動および両端駆動で効果が期待できる。専用線両端駆動では図79(B)の共用線両端駆動が好ましい。図80において共用線両端駆動をする場合に二つの基準電圧回路に流れるそれぞれ電流は一つの基準電圧回路で共用線両端駆動するときの半分である。
図79(B)の共用線両端駆動はそれぞれの基準電圧回路に流れる駆動電流が半減するので歪み電圧が小さくなりより安定に動作する。専用線駆動回路の両端駆動では共用線の両端子それぞれにほぼ同じ基準電圧回路を設けて共用線を両端駆動することが好ましい。M型表示装置を例にすれば一層高画質の画像が表示可能になる。
両端駆動されるM型デバイスでは両端駆動回路の両外側に共通端子を配置し、一方の駆動回路の両外側の共通端子に基準電圧回路1の基準電圧を加え他方のの駆動回路の両外側の共通端子に基準電圧回路2の基準電圧を加えることが基準電圧回路1および2はほぼ同じ特性とすることが好ましい。基準電圧回路1および2の基準電圧はほぼ同じ値であることはいうまでもない。
図89(B)を例にすればCOM(0,0)、COMaおよびCOM(0,N)に基準電圧回路1の基準電圧をCOM(0M,0)、COMbおよびCOM(M,N)の基準電圧回路2の基準電圧を加えればよい。
なお、走査線および信号線が共に両端駆動される場合、走査線の両端駆動を優先した共通配線の両端駆動が好ましい。図89(D)は走査線および信号線が共に両端駆動される場合である。
図89(D)ではCOM(0,0)、COMaおよびCOM(0,N)に基準電圧回路1の基準電圧をCOM(0M,0)、COMbおよびCOM(M,N)の基準電圧回路2の基準電圧を加えて、COMcおよびCOMdは基準電圧回路1および2の少なくともいずれか一方の基準電圧を加えればよい。
本発明のM型表示装置は、共通線を両端駆動に近い状態で駆動するために、走査線および信号線片端駆動の駆動を歪み電圧が小さくできることおよび走査線あるいは信号線の片端駆動可能なM型デバイスの外形寸法を大きくできることこと等の効果がある。
電気信号線路の波形計算に基づく共通端子の配置決定法および共通端子の駆動方法は、M型表示デバイスのみならず電気信号線路に応用可能であり、電気信号線路の波形歪みを低減する効果が期待できる。並びに、電流パス回路はM型表示装置の性能を向上させる等の効果があるほか、M型表示装置以外の電気信号線路の駆動にも適用可能で同様の効果を期待できる。
本発明の実施例19の電気信号線路の測定方法について図面に基づいて以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図92は本発明の実施例19を説明する図である。
図92は電気信号線路の切断周波数の測定を示す図である。10bは電気信号線路である。RxおよびCxはそれぞれ10bの抵抗およびキャパシタンスである。53は周波数fおよび正弦波発振器でVs(f)=Vs*sin(ω*t)ある。f=2*π*ωでωは角周波数である。
54および55は交流電圧計である。Vi(f)は54の測定値およびVo(f)は交流電圧計55の測定値である。正弦波発振器の出力抵抗はほぼ0とする。DC1は直流電圧で10bの動作を疑似する電圧で、例えばMデバイス走査線に直流電圧が加えられるような場合に、その直流電圧をDC1にすればよい。DC1はこのような所定の電圧であるが、必要なければ用いなくともよい。
aとcは10bの専用線両端の端子およびbとcは10bの共用線の両端の端子。54のfを変化させ、54および55で端子aと端子b間の電圧および端子cと端子d間の電圧を測定するとVo(f)/Vi(f)を求めることができる。
Vo(f)/Vi(f)がほぼ0.707になる53の周波数を測定する。Vo(f)/Vi(f)がほぼ0.707になる周波数をfcxとする。fcxは10bの切断周波数である。(数19)および(数22)(1)からfcx=T(1)m/{2*π*αrx}およびαrx={Rx+T(1)*Ro}*Cxである。Roはほぼ0であるから、fcx=T(1)m/{2*π*α}でαx=Rx*Cxである。αxは10bの時定数である。図92に示す測定から10bの時定数が測定できる。T(1)mは(表5)の値を用いればよい。
計測に用いられる正弦波発振器の出力抵抗は小さく通常数Ω以下である。従って、Ro≒0は容易に実現できる。測定した切断周波数fcxから電気信号線路の時定数を決定できる。
専用線の抵抗をRacおよび共用線の抵抗をRbdとする。Racは端子aと端子c間の電気抵抗およびRbdは端子bと端子d間の電気抵抗である。RacおよびRbdより電気信号線路の抵抗Rx=Rac+Rbdは求められる。従って、Rxおよびαxから10bのキャパシタンスCx=αx/Rxが得られる。勿論、キャパシタンスCxが既知であるとき電気信号線路10bの抵抗Rx=αx/Cxが得られる。
図92の測定方法はM型デバイスの走査線あるいは信号線の切断周波数測定に応用可能である。図93はM型デバイスの電気信号線路の切断周波数測定を説明する図である。
17は図56(A)に示すM型デバイスと同様で受動M型デバイスである。直流電圧源DCX2はDCX2を出力する。図93はX番目のX電気線路の切断周波数の測定を示す図である。
X電気線路は23を専用線および57を共用線とする電気信号線路である。57は全ての12の28およびX番目の13を除く23の28を接続する導線である。57は共通線あるいは共通配線に相当する。図93はX番目の13と57からなるX電気線路の切断周波数を測定する図である。
57を接地する。X番目の13の28と57間に54とDCX2と53を直列接続して挿入する。X番目の13の終端と共通線28間に55を挿入する。DCX2はM型デバイスの駆動を疑似するために使用される。DCX2は走査線13の駆動電圧に相当する。M型デバイスの仕様に基づいてDCX2を定めることが望ましい。DCX2は必要なければ用いなくともよい。
図92と同様にして53の周波数を変えてX電気線路の切断周波数を測定する。fcxはX電気線路の切断周波数である。fcxからX電気線路の時定数を求めることができる。
X電気線路の共用線の抵抗は専用線、すなわち13の抵抗に比べるとほぼ無視できるのでX電気線路の抵抗はほぼ走査線の抵抗と見なせる。Rx、Cxおよびαxをそれぞれ走査線の抵抗、キャパシタンスおよびX電気線路の時定数とすると
Cx=αx/Rxである。走査線と共通線のキャパシタンスが求められる。
図94はアクティブM型デバイスのX電気線路の切断周波数測定を説明する図である。27は図10b(A)に示すM型デバイスと同様で説明を略す。27は共通電極を具備し、共通電極に加えられる動作基準電圧の基準として動作するので図93に示す測定法と若干異なる。
29は27に接続されている。全ての22の28を29に接続する。図94はX番目の23と共通線からなるX電気線路の切断周波数を測定する図である。X番目の23の28と29間に54とDCX2と53を直列接続して挿入する。X番目の23の終端と29間に55を挿入する。
DCX1およびDCX2は、23実駆動時の電圧以下とする。23実駆動おいて、DCX1およびDCX2は23に加えられる非選択電圧および選択線圧を疑似する。図93と同様に53の周波数を変えて切断周波数を測定するとX電気線路の時定数を求めることができる。
図95はM型デバイスのY電気線路の切断周波数測定を説明する図である。図93および図94と同様の方法でY電気線路の切断周波数測定が可能である。図95(A)は17の12および図95(B)は27の22の切断周波数測定を説明する図である。
図95は図93および図94とほぼ同様で詳細な説明は略する。図95のDCY2はM型デバイスの信号線駆動で加えられる基準電圧を疑似する電圧でDC1とほぼ同じ値でよい。図95(B)では全ての23の28にDX1(走査線非選択電圧)を加える。
12あるいは13の抵抗が4kΩおよびキャパシタンスが50pFの場合、T(1)=(π/2)^2から電気信号線路の切断周波数は1.96MHzである。12あるいは13の抵抗が2kΩおよびキャパシタンスが400pFの場合、電気信号線路の切断周波数は491kHzである。12あるいは13の抵抗およびキャパシタンスが小さいと正弦波発振器の周波数は高くなる。
図93および図95に示す測定法により、M型デバイスのXあるいはY電気線路線の切断周波数を測定できる。信号線あるいは走査線に直流電圧 DCX2およびDCY1を加えて測定するので実駆動に近い動作条件の切断周波数が測定可能である。なお、53の振幅は数ボルトあればよく14あるいは24に適した電圧にVs(f)を調整すればさらによい。実駆動に近い動作条件が必要としない場合、直流電源を挿入しなくてもよいことはいうまでもない。
なお、図面は略するが、測定する走査線あるいは信号線の駆動端と共通端子間に正弦波発振器と潮流電源とを直列に接続し挿入して、駆動端および終端電圧の測定から切断周波数を求める簡易な方法もあることを付け加えておく。その場合、測定対象外の走査線あるいは信号線はオープンにしてよい。この測定法は図92と同じであるが、誤差が多くなる。
M型デバイスに信号線および走査線駆動回路を接続した状態で信号線および走査線の切断周波数を測定することも可能である。図96は駆動回路を接続したM型デバイスのX電気線路の切断周波数測定の一例を説明する図である。
M型デバイスは27である。Vx1およびVx2はそれぞれ走査線駆動回路26の非選択電圧(オフ電圧ともいう)および選択電圧(オン電圧ともいう)が加えられる端子である。非選択電圧および選択電圧は駆動電源回路30(図56に図示)から加えられる。Vy1は25の端子で駆動電圧が加えられる端子である。駆動電圧は30から加えられる。
55をX番目の23の終端と接地間に挿入する。Vx1にDCX1およびVx2にDCX2と53を直列接続した電圧を加える。25および26を制御して全ての22にDCY1、X番目の23に直流電圧が重畳した正弦波電圧およびその他の23にDCX1が出力する状態にする。
53の周波数を変えて、駆動端と終端の電圧からX電気線路のfcxを測定する。fcxはX電気線路の切断周波数である。これ以降は、図92〜図95と同様でfcxよりαxが求められる。
また、図96の点線で示すように54によりVx2と29間の電圧を測定する。Vsは54の測定値およびVo(f)は55の測定値である。Vo(f)/Vsがほぼ0.707になる54の周波数をfcx1として測定する。fcx1はX電気線路と走査線駆動回路とによる切断周波数である。
αrxはX電気線路と走査線駆動回路とによる時定数である。αrx={Rx+T(1)*Rox}*CxおよびT(1)=(π/2)^2である。Roxは走査線駆動回路の出力抵抗である。
fcx1からαrxを求めることができる。αrxとαxからRoxを求めることができる。
図92〜図96に示す切断周波数の測定方法は、交流信号を利用するのでノイズに強く実駆動に近い状態で電気信号線路の切断周波数を測定することができること、走査線駆動回路の出力抵抗を求めることができることおよび比較的簡易な構成で電気信号線路の切断周波数を測定できること等の効果がある。
本発明の実施例20のM型表示装置の測定方法について図面に基づいて以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。図97は本発明の実施例20を説明する図である。
図97は走査線の仮想終端測定を説明する図である。27は図56(A)に示すアクティブM型表示デバイスで23は両端駆動される。26aおよび26bは走査線駆動回路である。Vgonは23の選択電圧である。56はVgonを出力する電源である。Vgonは26aおよび26bのVx2に加えられる。Vx2は26aおよび26bに選択電圧を加える端子である。
選択電圧よりVgonを徐々に小さくしていくと23の仮想終端電圧は動作開始条件あるいは動作停止条件を満たさなくなり仮想終端位置の画面に適正な画像表示がされなくなり、27の画面に仮想終端位置が現れる。
図98は仮想終端の位置が画面に表示される様子を示す模式図である。57はM型表示デバイスの画像が表示される画面である。58は57に現れる仮想終端である。xは57に現れる仮想終端の28からの長さを示す。
58は23の各画素に加わる最小の電圧であるために、Vgonを小さくしていくと仮想終端近傍の57は適正な画像表示がされなくなる。一方、58近傍以外の57は適正な画像表示がされるので57で58が識別される。26aおよび26bがほぼ同等の電気的特性を有するならば58は画面の中央部近辺に現れる可能性が高い。
図98は模式図である。58が図98のように明瞭に表示されるとは限らない。むしろ、適正な画像表示と不適正な画像表示部の境界は中間調で表示されぼんやりとした表示になる場合もある。
58は仮想終端の位置を示す。23方向で画面の端から58までの長さxがほぼ仮想終端に相当する。23方向の57の長さ幅をLxdvとする。xは23の駆動端が配列する側の57の端から58までの長さである。
xを計るとxdv=x/Lxvvよりxdvが計算できる。(数32)〜(数35)に測定したxdvを代入すると駆動回路の出力抵抗が計算できる。あるいは定電流値あるいはスルーレートのバラツキが計算できる。57から文字通り一目で駆動回路のバラツキが分かる。M型表示デバイスの仮想終端の測定は困難であるので、図97および図98に示す測定方法は有用である。
図97および図98に示す測定方法は、仮想終端を測定できること、画面上に仮想終端57が目視されるので駆動回路のバラツキを画面上で、しかも実駆動の状態で把握できること等の効果があり、走査線あるいは信号線の駆動電源電圧を変えるだけで仮想終端が測定可能であるという特徴がある。
本発明の実施例21は本発明の電気信号線路の波形計算法を電子回路に適用した実施例を示す。本発明の実施例21を図面に基づいて以下に説明する。すでに説明した符号および用語等の説明は省略する。
図99は電気信号線路の波形計算法を利用した制御回路の一例を説明する図である。図99は2組電気線路の遅延時間を利用した電子回路の制御を示す図である。Rx、Ryは抵抗およびCx、Cyはキャパシタである。59は2組電気線路の終端にRxを接続して回路でπ型2組回路とする。V1およびV2は59の電圧である。
66は主回路、64は第1従回路および65は第2従回路である。60は第1コンパレータで61は第2コンパレータである。62は第1SWで、第1従回路64の電源をオン・オフする。63は第2SWで65の電源をオン・オフする。第1および第2SWはHi(1)でオンしLo(0)でオフする。
SW1〜SW3は連動して64および65をオン・オフする連動スィッチでまとめてSWと略する。連動スィッチがオン(図90に示す状態がオン))するとSW2に電圧Voが印加されSW3オフになる。
60および61の信号はそれぞれV1およびV2である。(数7)および(表3)からV1およびV2の遅延時間を計算できる。60および61の基準電圧はそれぞれVref1およびVref2である。60はV1≧Vref1でHiを出力しV1<Vref1でLoを出力する。61も同様である。
Vref1およびVref2を所定電圧にセットしてSWがオンすると、66、64続いて65の順で電源が入り回路が動作する。SWがオフするとSW2が開放およびSW3は接地電位になるので、66、65続いて64の順で電源が切れ回路の動作が停止する。
66、64および65のSWがオンあるいはオフしてからの遅延時間をそれぞれM、S1およびS2とする。SWのオン・オフによる電源シーケンスはオンではM<S1<S2とオフではM<S2<S1である。
V1とV2のSWオン時の遅延時間をそれぞれti1よびti2、SWオフ時の遅延時間をそれぞれte1よびte2、Vo=5Vでvref1=Vref2=2.5Vとする。ti1=te2=10msec、ti2=te1=21.5msecをほぼ満たすRx、Cx、RyおよびCyは(数7)および(表3)から、α=(Rx+Ry)*(Cx+Cy)として、α≒38.5msecを得る。RxおよびRyを48kΩにしてCxおよびCyを0.2μFとするとα≒38.5msecをほぼ満たすことができる。
図99の制御回路は、64が高圧電源回路で65は64の高圧電源を制御あるいは利用する回路である場合などで使われる。
図100は20組電気線路によるランプ点灯回路の示す図である。67は20組電気線路である。68はコンパレータでRefは基準電圧入力端子である。Vrefは68の基準電圧である。68は67の位置電圧V1〜V20を信号とし、Vrefより信号が大であるときHiを出力する。
69はアンドゲートの論理回路でGpは制御端子である。70は発光ダイオード(LEDと略す)である。RcはLEDの電流を制限する抵抗である。70は位置電圧 V1〜V20がVrefより大で69のGpがHiのとき点灯する。71はパルス発生器(OSCと略す)、72は分周器である。GpにはOSCの出力が加えられ、位置電圧がVrefより大になると70は点滅する。
72は67を両端駆動するので、67のAおよびBに近い位置電圧に制御されるLEDから順に67の中央部の位置電圧に制御されるLEDに向かって順に点灯していく。72の出力がLoになると、Hiの場合とは逆にV1,V2,…V10およびV20,V19…V10の順にLEDが消灯していく。
LEDの点灯時間は(数15)あるいは(数16)から計算可能である。図101は20組電気線路の位置をパラメータにした時間電圧特性を示す図である。図102は20組電気線路の位置に対する電圧特性および位置に対する遅延時間特性を示す図である。
図101はV1、V2、V3、V4、V5、V6、V7およびV10の特性を示す図である。図102は67の位置に対する電圧特性および遅延時間特性を示す図である。なお、Vo=5V、Ra=1MΩおよびCa=0.05μFで計算し、V1=V20、V2=V19、…、V9=V11である。図102ではxd=0.5が V10の位置電圧で、67の片端駆動の特性を併記した。図101および図102から67の遅延時間が分かる。
67のような多組の遅延回路は遅延時間の計算に手間がかかるので、回路の構成は比較的単純でも使用される機会が少ない。本発明の電気信号線路の波形計算法を用いると計算が容易である。67は組数が20と少ないので波形計算誤差は多少大きくなるが計算は易しい。
図100の回路は遅延時間あるいは位置電圧の精度をさほど必要としない電子回路、例えば、タイマー、電子砂時計あるいはランプを点滅させるイルミネーション等に応用可能である。
図103は4組電気線路と4組CR回路による帯域通過フィルターの構成図である。帯域通過フィルターはバンド・パス・フィルターとも呼ばれる。77および79は演算増幅器である。73および74は4組電気線路である。75および76は4組CR回路である。77、78および79は演算増幅器である。
80は4組電気線路と演算増幅器による低域通過フィルター(LPFと略す)、81は4組CR回路による高域通過フィルター(HPFと略す)である。82は80と81の出力を加算する加算回路である。73、74、75および76の回路は図104に示す。
図104は4組電気線路と4組CR回路の構成図である。83は73および74からなるLPFであり、84は75および76からなるHPFである。RL=4*R(L)および CL=4*C(L)とおくと、73および74の切断周波数fcLは(数19)よりfcL=τ(4)/{2*π*RL*CL}である。同様にRH=R(H)/4およびCH=C(H)/4とおくと75および76の切断周波数fcHは(数22)よりfcH=1/{2*π*RH*CH*τ(4)}である。
fcH=500HzおよびfcL=3kHzとする。RL*CL=1.01*10^-4secでR2*C2=1.66*10^-4sec
である。RL≒1010Ω、CL=0.1μF、RH≒1660ΩおよびCH=0.1μFでfcH≒500Hz
およびfcL≒3kHzになる。なお、τ(4)=1.9120とした。なお、R20=R22=10kΩ、
R21=R23=1.2kΩおよびR24=R25=R26=10kΩとした。
図105は4組電気線路と4組CR回路の電圧周波数特性を示す図である。図105には1組電気線路と4組電気線路をそれぞれ1組LPおよび4組LPで1組CR回路と4組CR回路をそれぞれ1段HPおよび4段HPで示す。
m組電気線路およびm組CR回路では組数が大きくなると切断周波数の計算が複雑になるが、切断周波数は(数19)および(数22)から1組電気線路と同じ程度の簡易さで計算できるので、m組電気線路およびm組CR回路をHPF、LPFあるいはBPFとして手軽に活用できる。本発明の電気信号線路の波形計算法は交流回路にも活用できる。
本発明の実施例1における電気信号線路の波形計算法を示す説明図
図1(A)および(B)を電気的に等価な回路で表した図
(数6)および(数7)による電気信号線路の波形計算の一例を示す図
1組電気線路の終端電圧特性を示す図
本発明の実施例2における電気信号線路の波形計算法を示す図
m=n=1のときのV(2)k2およびV(2)k1と(数9)に対する誤差特性を示す図
本発明の実施例3における電気信号線路の波形計算法を説明する図
m組電気線路とm1変換回路の終端電圧特性を示す図
2組電気線路よるm組電気線路を疑似する回路を示す図
m組電気線路を疑似できる2組電気線路およびm組電気線路の終端電圧の比較を示す図
実施例4における電気信号線路の波形計算法を説明する図
m組電気線路の正弦波応答からT(1)を求める説明図
1〜5組電気線路の周波数電圧特性を示す図
(表4)に基づくT(1)m、A(1)mおよびはA(2)mの推測曲線の一例を示す図
30組電気線路の終端電圧とその誤差率を示す図
3組電気線路により電気信号線路の終端電圧を疑似させたときの誤差率を示す図
1,2、3、5、7、10組電気線路および連続電気線路の終端電圧の時間電圧特性を示す図
実施例5における電気信号線路の波形計算法を説明する図
出力抵抗を含む2組電気線路の終端電圧を示す図
Ro=300Ωおける(数9)に対する(数13)の誤差特性を示す図
(数13)による連続電気線路の終端電圧を示す図
(数13)および(数14)の説明図
(数14)による出力抵抗を含む2組電気線路のV1の計算結果を示す図
(数14)による出力抵抗を含む2組電気線路のV2を示す図
位置変数xd=0.2、0.4、0.6および0.8について(数14)とVxdから計算した波形を示す図
実施例7における電気信号線路の波形計算法を示す図
(数16)によるxd=0.05〜0.1の位置電圧を示す図
(数16)によるxd=0.3〜1の位置電圧を示す図
位置に対する電圧特性の一例を示す図
(数16)および従来の波形計算法2による位置の時間電圧特性を示す図
(数18)による位置に対する時間特性の一例を示す図
本発明の実施例9の電気信号線路の波形計算法を説明する図
微分型電気信号線の周波数電圧特性の一例を示す図
組数に対する微分型と積分型電気信号線路の時間係数特性を示す図
(数21)による2〜30組CR回路の時間電圧特性を示す図
積分型と微分型の1組、3組およびm値が大きい電気信号線路の時間電圧特性と周波数電圧特性を示す図
実施例10の波形解析を示す模式図
駆動端および終端測定波形の一例を示す図
VE波-VE(αr)およびVD波-VD(αr解,xd)を最小としたときの波形を示す図
測定波形から誤差電圧を除いた波形解析結果を示す図
誤差電圧の一例を示す図
測定に用いた液晶パネルの概略構成図
実施例11の電気信号線路の波形解析法の説明図
Roによる駆動端の波形歪みとときの駆動電流を示す図
Ro/Rとdvとの換算グラフを示す図
Vfoおよび位置電圧とが互いに接する場合あるいは互い重なり合う場合の一例を示す図
αfo/αと駆動端の位置変数dvとの換算表を示す図
(数23)および(数27)による駆動電流の一例を示す図
位置の原点を駆動端および仮想駆動端にしたときの位置に対する電圧特性を示す図
電気信号線路疑似回路を説明する図
電気信号線路疑似回路の終端電圧の一例を示す図
電気信号線路疑似回路の終端電圧の一例を示す図
出力抵抗が0のときの電気信号線路疑似回路の終端電圧の一例を示す図
出力抵抗があるときの電気信号線路疑似回路の駆動電流の一例を示す図
動作開始条件を説明する図
M型デバイスの概略構成図
M型デバイスの走査線と共通線の模式図
要素RがReおよび要素CがCeのM組電気線路を示す図
16の出力回路の構成の一例を示す図
時間tで16が1本の13にVo1およびその他の13にVo2を加えた図
図57を回路図で表した図
共通線の抵抗を含めた走査線あるいは信号線を表す等価回路図
Vo=Vcs*tによる電気信号線路の駆動を示す図
(数30)による計算結果の一例を示す図
本発明の実施例15を説明する図
図65の両端駆動を表す等価回路図
仮想終端の位置で分離して駆動される電気信号線路示す図
連続電気線路の両端駆動を説明する図
長さLの電気信号線路を仮想終端で分離して駆動される電気信号線路を示す図
電気信号線路の片端および両端駆動特性を示す図
両端駆動の位置に対する電圧特性を説明する図
電気信号線路と仮想終端および仮想駆動端との関係を説明する図
gA/ton、(xdv)^-2および(1-xdv)^-2 の計算値を示す図
駆動回路の出力抵抗による仮想終端電圧の変化を説明する図
実施例17の電気信号線路の波形計算法およびM型デバイスの駆動方法を説明する図
本発明の実施例18を説明する図
共通線と共通端子の配置を示す模式図
共通線に抵抗がある電気信号線路の片端駆動を説明する図
専用線片端駆動における共用線の駆動を説明する図
電気信号線路の専用線および共用線の両端を駆動する図
Ruによる歪み電圧を説明する図
歪み電圧の計算を説明する図
共用線の歪み電圧の一例を示す図
図84は図76の共通端子をCOM(0,0)一つにした場合の歪み電圧分布の一例を示す図
29、29aおよび29bの共通端子に同じ基準電圧を加えたときの概略の歪み電圧分布を示す模式図
歪み電圧および歪み電圧と信号電圧との関係を説明する模式図
COM(0,0)、COM(M,0)およびCOM(0,N)に異なる電圧を加えたときの歪み電圧分布を示す図
走査線および信号線駆動を分類して示すM型デバイスの概略構成図
走査線あるいは信号線両端駆動時の歪み電圧分布の一例を示す図
駆動電流の一例を示す図
演算増幅器の出力にピーク電流パス回路を挿入した図
本発明の実施例19を説明する図
M型デバイスの電気信号線路の切断周波数測定を説明する図
アクティブM型デバイスのX電気線路の切断周波数測定を説明する図
M型デバイスのY電気線路の切断周波数測定を説明する図
駆動回路を接続したM型デバイスのX電気線路の切断周波数測定の一例を説明する図
本発明の実施例20を説明する図
仮想終端の位置が画面に表示される様子を示す模式図
電気信号線路の波形計算法を利用した制御回路の一例を説明する図
20組電気線路によるランプ点灯回路の示す図
V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7およびV10の特性を示す図
67の位置に対する電圧特性および遅延時間特性を示す図
4組電気線路と4組CR回路による帯域通過フィルターの構成図
4組電気線路と4組CR回路の構成図
4組電気線路と4組CR回路の電圧周波数特性を示す図
M型デバイスの概略の構成図
M型デバイスの機能素子を説明する図
受動M型デバイスの駆動を説明する図
走査線と共通配線をはしご形回路で表した図
信号線と共通線をはしご形回路で表した図
アクティブM型デバイスの構成を説明する図
アクティブM型デバイスの走査線と共通線と表す等価回路の一例を示す図
波形歪みの一例を示す模式図
従来の波形歪み近似計算法を示す図
分布定数回路による波形歪み解析を説明する図
導線1および2の分布定数回路を示す図
符号の説明
1、2 電源
3、6 専用線
4,7 共用線
5、8 電圧切替器
9 接地線
10、10b 電気信号線路
11 駆動回路
12 17の信号線
13 17の走査線
14 17の機能素子
15 17の信号線駆動回路
16 17の走査線駆動回路
17 受動M型デバイス
18 電圧切替器
19 片端駆動の駆動回路
20 電気信号線路
21 電気信号線路疑似回路
22 27の信号線
23 27の走査線
24 27の機能素子
25 27の信号線駆動回路
26 27の走査線駆動回路
27、27b アクティブM型デバイス
28 駆動端
29、29a、29b 共通端子
30 駆動電源回路
31 制御回路
32 共通線
33 電圧切替器
34 駆動回路の出力回路
35 26の出力回路
36 Vcs*tを発生する電源
37 駆動回路2
38 駆動回路1
39 信号線
40 走査線
41 信号線の駆動端
42 走査線の駆動端
43 定電流駆動回路1
44 定電流駆動回路2
45 演算増幅器
46 電気信号線路
47 駆動回路
48、49,50 基準電圧回路
16a、16b、26a、26b 走査線駆動回路
15a、15b、25a、25b 信号線駆動回路
51、52 駆動回路
53 正弦波発振器
54、55 交流電圧計
56 Vgonを出力する電源
57 M型表示装置の画面
58 57に現れる仮想終端
59 π型2段回路
60 第1コンパレータ
61 第2コンパレータ
62 第1SW
63 第2SW
64 第1従回路
65 第2従回路
66 主回路
67 20組電気線路
68 コンパレータ
69 アンドゲートの論理回路
70 発光ダイオード
71 パルス発生器
72 分周器
77、79は演算増幅器
73、74 4組電気線路
75、76 4組CR回路
77、78、79 演算増幅器
80 低域通過フィルター
81 高域通過フィルター
82 加算回路
83 LPF
84 HPF
85 信号線
86 走査線
87 機能素子
88 駆動端子
89 信号線動回路
90 走査線駆動回路
91 終端
92 共通端子
93 M型デバイス
94 共通線
95 共通端子
96 電界効果トランジスタ
97 キャパシタ
98 パルス電源
A M型デバイスの振幅係数
A(1)、A(2) mが十分大きいときの振幅係数
A(1)m、A(2)m、…、A(x)m 振幅係数
α 電気信号線路の時定数
αr、αr1、αr2 駆動回路と電気信号線路の時定数
αfo 駆動回路の時定数
a、am、ax、aZ、c、cm 、cx、cZ 専用線の両端の端子
b、bm、bx、bZ 、d、dm、dx、dZ 共用線の両端の端子
C、Cm、、Cx、Cw、CZ 電気信号線路のキャパシタンス
CE、CwE、CZE キャパシタンス
C1p キャパシタ
CT 共通端子あるいは共通端子と見なされる端子
DV 仮想駆動端から端子aの組数
df、dr、dv 駆動端位置変数
D1、D2 ダイオード
DC1 直流電圧
E(te,k) 誤差電圧式
E(1) 対数関数1
E(2) 対数関数2
E(3) 対数関数3
EV 仮想終端の組の数
f 周波数
fc 1組電気線路の切断周波数
fcl 電気信号線路の切断周波数
fdc 駆動回路の切断周波数
g1 係数
H1、H2、H3、H4 共通線の辺
hl(m) m組電気線路の抵抗係数
H(1)m、H(2)m、…、H(x)m 時間係数
Io 駆動電流
Ics、Ics1、Ics2 定電流
I(xd,t) xdに流れる前記仮想専用線の電流
Ik 駆動端に流れる電流(駆動電流)
Idvk xdで表される位置に流れる電流
I(xd,t) xdに流れる前記仮想専用線
I(t)m 駆動端に流れる電流
L 電気信号線路の長さ
l 駆動端からの長さ
m 組の数
M 信号線の本数
N 走査線の本数
q1、q2、q3…qx q値
R、Rm、Rx、Rw、RZ 電気信号線路の抵抗
Rfo 周波数成分抵抗
Ro、Ro1、Ro2 駆動回路の出力抵抗
RosM 片端駆動する駆動回路の最大出力抵抗
RowM 両端駆動する駆動回路の最大出力抵抗
Rox、Rox1、Rox2 走査線駆動回路の出力抵抗
Roy、Roy1、Roy2 信号線駆動回路の出力抵抗
RE、RwE、RZE 抵抗
Rip 抵抗
SR、SR1、SR2 スルーレート
SW スィッチ
SW1、SW2、SW3 連動スィッチ
T M型デバイスの時間係数
t 時間
td 遅延時間
t1、t2、…、tx 境界時間
tb、tm、tu 分割時間
tc 電気信号線路の切断時間
TH 駆動パルスの幅あるいは1水平走査期間
ton 動作開始時間
tonx 走査線の動作開始時間
tony 信号線の動作開始時間
toff 動作停止時間
toffx 走査線の動作停止時間
toffy 信号線の動作停止時間
TV 信号パルスの幅あるいは垂直走査時間
T(1)Z 時間係数
T(1)、T(2) mが十分大きいときの時間係数
T(1)m、T(2)m、…、T(x)m 時間係数
Va、Vb、Vc、Vo 電圧あるいは電源
Vb、Vm、Vu 分割電圧
Vcs 電圧係数
VD波 電気信号線路の駆動端の測定波形
VD(αr,xd) 電気信号線路の駆動端の計算式
VE(αr)電気信号線路の終端の計算式
VE波 電気信号線路の終端の測定波形
VE(αr) 電気信号線路の終端の計算式
Vd(f)、Vd(fdc) 駆動回路の出力電圧
Vdvk 仮想専用線の電圧
Vfo 指数関数電圧
Vfd ダイオードの順方向電圧
Vgon 選択電圧
Von 動作開始線圧
Vonx 走査線の動作開始電圧
Vony 信号線の動作開始電圧
Voff 動作停止電圧
Voffx 走査線の動作停止電圧
Voffy 信号線の動作停止電圧
V(xd,t) 仮想専用線の電圧
V(df)、V(dr)、V(dv) 駆動端の電圧
V(f)1、V(f)2、V(f)m、V(f)d 正弦波応答でのm組電気線路の終端電圧
Vs(f) 正弦波発振器の電圧
V(1d)、V(d1) m1変換回路の終端電圧
Vk m組電送線の終端電圧近似式
Vlmt 限界一致電圧
Vo 電圧
V/Vo 入出力比あるいは電圧比
Vp パルス電源
Vs 正弦波電源あるいは正弦波電圧の振幅
V(t)d、V(t)m 終端電圧
Vs(f) 正弦波電圧
Vref、Vr、Vr1、Vr2 基準電圧 基準電源
V(tc) 電気信号線路の切断電圧
V(xd,t) 仮想専用線の電圧
X 走査線
x 整数
xd 位置変数
xde 駆動端の位置変数の解析値
xdv 仮想終端の位置変数
Y 信号線
Z 組の数
(t1,Vu)、(t2,Vm)、(t3,Vb) Vdvkの分割点
(tu,Vu)、(tm,Vm)、(tb,Vb) V(xd,t)の分割点
(ton,Von) 動作開始条件
(toff,Voff) 動作停止条件