JP2005021867A - 噴射ノズル装置 - Google Patents

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学 宮本
Masakazu Oe
正和 大江
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Abstract

【課題】 整流効果が高く、圧力損失を低減しつつ、噴射口からの流量を増大できる噴射ノズル装置を提供する。
【解決手段】 噴射ノズル装置は、流体供給口を有する断面多角形状の内パイプ1と、この内パイプを包囲する断面多角形状の外パイプ3と、この外パイプの一隅に長手方向に沿って形成されたスリット状噴射部4と、このスリット状噴射部に対して最も離れた内パイプ1の角部に隣接する側壁に千鳥状に形成された開口部2とを備えており、内パイプ1および外パイプ3が、断面構造において、スリット状噴射部4を中心として線対称かつ相似形に配置されている。開口部2は、隣接する二つの側壁に千鳥状に配列している。前記装置は、ネジ部材10c,10d,12c,12d,13a、13bで構成され、かつスリット状噴射部4の開口幅を調整するための開口幅調整手段を備えていてもよい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、水切り、乾燥や気体の遮蔽膜(例えば、エアーカーテンなど)の形成などに広く利用できるスリット状噴射ノズル装置に関する。
スリット状噴射部を有するノズル装置を用いて、製品の水切り、乾燥を行ったり、気体遮蔽膜を形成することが行われている(特許文献1及び特許文献2)。
実開昭63−51661号公報(特許請求の範囲、第5図) 特開2000−334334号公報(特許請求の範囲、図2、図3)
例えば、実開昭63−51661号公報には、一端部側面にエア導入孔を形成した内部円筒ノズルと、この内部円筒ノズルを包囲する外部角型ノズルとで二重ノズルを形成し、外部角型ノズルの一隅角に長手方向に沿ってエア吹き出し口(スリット状噴射部)を形成し、この外部角型ノズルの吹き出し口から最も離れた内部円筒ノズルの所定位置にエア整流用開口部を形成したエアカーテン用ノズルが開示されている。このノズルでは、開口部からのエアは、外部角型ノズルの一隅内角に衝突して左右に分岐し、内部円筒ノズルと外部角型ノズルとの隙間が小さくなった流路を経て一隅内角に衝突して方向転換し、さらに内部円筒ノズルと外部角型ノズルとの隙間が小さくなった流路を経て吹き出し口から噴出する。
特開2000−334334号公報には、上記と同様の二重管状ノズル構造を有するとともに、外部角パイプに形成されたスリット状噴射部の開口幅を調整するための開口幅調整手段を備えているノズル機構が開示されている。前記開口幅調整手段は、噴射部に隣接する角パイプの側壁にネジ結合し、かつ先端部が丸パイプに当接した拡幅用ボルトと、前記角パイプの側壁と丸パイプとにネジ結合した縮幅用ボルトとで構成されている。
しかし、このようなノズルは、内部の円筒ノズルと外部の角型ノズルとの二重管状ノズル構造であるため、外部角型ノズルの隅角部域では内部円筒ノズルとの隙間(又は流路)が大きく、外部角型ノズルの各辺の中央域と内部円筒ノズルとの隙間(流路)が小さくなる。そのため、整流効果が低減するとともに、流体の噴出において、圧力損失が大きくなり、低い圧力損失で吹き出し口からの噴出量を増大させることが困難である。
さらに、内部パイプが丸パイプであるため、エア整流用開口部や縮幅用ボルトがネジ結合するネジ孔部を丸パイプに高い位置決め精度で形成することが困難であり、組み立て工程も煩雑化しやすい。特に、長尺パイプでは、通常、掴み直して順次孔加工及びネジ加工を行うため、開口部やネジ孔部の位置が周方向にずれやすくなる。さらに、拡幅用ボルトの先端部が当接する部位が丸パイプの周面であるため、螺合により繰り返し拡幅用ボルトを進退動させると、外部角パイプに対する内部丸パイプの位置決精度が次第に低下しやすくなる。そのため、内部丸パイプの反りを有効に矯正できず、スリット状開口部の幅を精度よく調整できなくなる。
さらに、開口幅調整用ボルトを丸パイプの中心に向って90°の角度で外角パイプに取り付けるため、丸パイプの直径が大きい場合、所定の流路を確保するためには外角パイプの外寸が大きくなるとともに、外角パイプの側壁においてスリット状開口部と調整用ボルトとの距離が大きくなる。そのため、調整用ボルトをネジ結合させても縮幅及び拡幅作用がスリット状開口部の縮拡に有効に機能せず、使用圧力によってスリット幅が変動し、流量の不均一も生じやすくなる。
従って、本発明の目的は、整流効果が高く、圧力損失を低減しつつ、噴射口からの流量を増大できる噴射ノズル装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、位置決め加工精度や組み立て精度が高く、スリット状開口部の開口幅を精度よく調整できる噴射ノズル装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、内部パイプに反りが生じても精度よく矯正できるとともに、反りや変形するのを防止しつつスリット開口幅を安定に維持でき、長期間に亘り高い噴射流量で流体を噴出できる噴射ノズル装置を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、角パイプを組み合わせて二重管構造を形成すると、圧力損失を低減しつつ、流体を整流として噴射部から噴射させ、噴射口からの流量を増大できるとともに、位置決め加工精度や組み立て精度を向上できること、拡幅ボルト及び縮幅ボルトが取り付けられた側壁に対して対向する側壁に、先端部が丸パイプ又は角パイプに当接する複数の抑えボルトを長手方向に配置すると、スリット状開口部の開口幅を精度よく調整できるとともに、内部パイプの反りや変形を抑制しつつ、前記開口幅を安定に維持できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の噴射ノズル装置は、少なくとも1つの流体供給口を有する断面多角形状の内パイプ(内部角パイプ)と、この中空内パイプを収容して包囲する断面多角形状の外パイプ(外部角パイプ)と、この中空外パイプの一隅に長手方向に沿って形成されたスリット状噴射部と、前記内パイプの所定位置、例えば、前記内パイプの中心線よりも前記スリット状噴射部に対して反対側の内パイプの所定位置に形成された開口部(内部角パイプから外部角パイプに流体を導くための開口部)とを備えている。前記二重管状装置において、外パイプ(中空外パイプ)と内パイプ(中空内パイプ)とは、断面構造において種々の形態(配列形態)で配置でき、スリット状噴射部を中心として線対称かつ相似形に配置してもよい。なお、断面多角形状の内パイプは、外パイプと同じ辺数の多角形状パイプであってもよい。また、外パイプのスリット状噴射部は、内パイプの開口部から最も離れた一隅に長手方向に沿って形成してもよい。なお、内パイプの開口部は、断面多角形状パイプの頂部及び/又は側壁に形成してもよく、同一又は異なる側壁に形成してもよく、一隅を境にして隣接する二つの側壁に千鳥状に配列してもよい。さらに、本発明の装置は、内パイプと外パイプとの半径方向の相対的位置を調整し、外パイプのスリット状噴射部の開口幅を調整するための開口幅調整手段(両パイプ間に設けられた開口幅調整手段など)を備えていてもよい。
このような装置では、内パイプからの流体は開口部を経て外パイプに供給され、外パイプのスリット状噴射部(スリット状開口部)から噴出する。そして、外パイプと内パイプとが断面多角形状であるため、断面多角形状の外パイプと断面円筒状の内パイプとの組合せに比べて、内外パイプ間での乱流や滞留が生じるのを抑制でき、流体を整流しつつ高い流量で噴射できる。さらに、好ましい態様では、内外パイプ間での流体の乱流や滞留を大きく抑制でき、圧力損失を低減できる。しかも、高い整流効果を伴って流体を大きな流量で噴射できる。
本発明は、少なくとも1つの流体供給口を有する内パイプと、この中空内パイプを収容して包囲する断面多角形状の外パイプ(外部角パイプ)と、この中空外パイプの一隅に長手方向に沿って形成されたスリット状噴射部と、内パイプの所定位置、例えば、前記内パイプの中心線よりも前記スリット状噴射部に対して反対側の内パイプの所定位置に形成された開口部(内パイプから外部角パイプに流体を導くための開口部)と、前記スリット状噴射部の開口幅(オリフィス幅)を調整するための開口幅調整手段とを備えている噴射ノズル装置(二重管状ノズル装置)において、前記開口幅調整手段が、スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁に位置し、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを離反可能な離反部材と、前記スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁に位置し、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを引き寄せ可能な引き寄せ部材(又は牽引部材)と、前記離反部材および引き寄せ部材が位置する側壁に対して対向する外パイプの側壁に位置し、かつ内パイプと外パイプとを所定距離に保つための抑え部材とを備えている噴射ノズル装置も含む。この装置において、離反部材、引き寄せ部材(又は牽引部材)および抑え部材は、それぞれ所定のピッチで配列している場合が多い。離反部材、引き寄せ部材および抑え部材の配列形態は特に制限されず、例えば、所定ピッチで位置する引き寄せ部材間に、1又は複数の離反部材が位置していてもよい。さらに、前記装置において、内パイプは、断面円筒状であってもよく、断面多角形状(すなわち、断面多角形状の角パイプ)であってもよい。また、断面多角形状の内パイプは、外パイプと同じ辺数の多角形状パイプ(角パイプ)又は相似形の角パイプであってもよく、スリット状噴射部を中心として、断面構造において、断面多角形状の内パイプと断面多角形状の外パイプとは線対称かつ相似形に配置してもよい。
このような装置では、離反部材および引き寄せ部材(又は牽引部材)でスリット状噴射部の幅(スリット状オリフィス幅)を調整できるだけでなく、複数の抑え部材が離反部材及び引き寄せ部材(又は牽引部材)に対して対向する側壁に位置するため、離反部材および引き寄せ部材と協働して、複数の抑え部材で内パイプの変形(反りなど)を有効に防止でき、スリット幅を長期間に亘り精度よく維持できる。
さらに、スリット幅を大きくし、大容量の流体を流すためには、外パイプ及び内パイプともサイズを大きくする必要がある。このような場合でも、内パイプが角形状であるため、離反部材および引き寄せ部材を、スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁の幅方向の中央部よりもスリット状噴射部側に近接させることにより、正確なスリット幅調整が可能である。すなわち、離反部材および引き寄せ部材を、角度90°で内パイプの中心線に向う位置よりもスリット状噴射部に近接した外パイプの側壁(側壁幅の中心部よりもスリット状噴射部側の側壁)に位置させると、スリット状噴射部に近接する部位に離反部材および引き寄せ部材を取り付けても、内パイプが断面多角形状であるため、内パイプの側壁と外パイプの側壁とを確実かつ精度よく離反又は引き寄せ可能であり、スリット幅を確実かつ強固に調整でき、使用時の圧力変動によってもスリット幅の変化を抑制できる。
本発明では、内パイプ及び外パイプとして断面多角形状の中空パイプ(又は管体)を組み合わせるため、整流効果が高く、圧力損失を低減しつつ、噴射口からの流量を増大できる。また、内パイプに対する位置決め精度、孔及びネジ加工などの加工精度や組み立て精度を向上できる。さらに、開口幅調整手段を備えていると、スリット状開口部の開口幅を精度よく調整でき、流体の噴射流量の分布を均一化できる。特に、複数の抑えボルトを利用すると、内パイプの断面形状が円筒状や多角形状であっても、内パイプに反りが生じても精度よく矯正できるとともに、反りや変形を防止しつつスリット開口幅を安定化でき、長期間に亘り高い噴射流量で流体を安定に噴出できる。
以下に必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の噴射ノズル装置の一例を示す概略側面図であり、図2は図1の装置の概略断面図であり、図3は図2のIII-III線断面図であり、図4は図2のIV−IV線断面図であり、図5は図2のV-V線断面図である。なお、以下の例では、流体として気体(空気など)を利用している。
この装置は、両端に流体供給口を有する断面四角形状の中空内パイプ1と、この内パイプを略同軸に収容して包囲する断面四角形状の中空外パイプ3とを備えている。この外パイプの一隅(コーナー部又は頂部)には長手方向に沿って両側部を除き略全長に亘ってスリット状噴射部(スリット状開口部)4が形成されている。また、内パイプ1の中心線(図示する例では、内パイプの両側部の頂部を結ぶ線)よりも前記スリット状噴射部4に対して反対側の(又は前記スリット状噴射部4に対して遠い)内パイプ1の側壁の所定位置には、長手方向に間隔を置いて複数の開口部2が形成されている。この例では、外パイプ3のスリット状噴射部4と内パイプ1の開口部2とは、互いに遠い管壁部位に形成されている。すなわち、前記外パイプ3のスリット状噴射部4は、内パイプ1の開口部2から最も離れた前記外パイプ3の一隅(頂部)に長手方向に沿って形成されており、内パイプ1の開口部2は、流体の圧力損失を低減しつつ整流を損なわないため、内パイプ1の一隅(コーナー部)を境にして隣接する二つの側壁1a,1bの頂部側に千鳥状(又は交互)に配列されている。
そして、整流性を高めるため、断面構造(直径方向の断面構造)において、各辺を同じ方向に配列させて、スリット状噴射部4を中心として、前記内パイプ1と外パイプ3とは互いに対称かつ相似形に配列されている。そのため、内パイプ1と外パイプ3との間に周方向に形成される流路5の幅(又は流路径)は全周に亘り略同じである。
なお、内パイプ1と外パイプ3とは両端部において互いに気密に接合している。すなわち、内パイプ1の両端部には、それぞれ、外ネジ部を有するソケット6が嵌合又は装着されており、外パイプ3の両端部には、それぞれ前記外ネジ部に螺合可能な内ネジ部を有するアダプター7が装着されている。さらに、前記内パイプ1のソケット6と外パイプ3のアダプター7との間には、ホルダ8が介在している。このホルダと内パイプ1のソケット6との間にはO−リング9が装着され、前記ホルダ8と外パイプ3のアダプター7とはネジ部で螺合している。
さらに、前記ノズル装置は、スリット状噴射部4の開口幅(スリット幅)を維持するため、開口幅を調整するための開口幅調整手段を備えている。この開口幅調整手段は、前記スリット状噴射部4に対して隣接する外パイプ3の両側壁3c,3dにそれぞれ配置された第1のボルト又はネジ部材(拡幅ボルト又は離反部材)10c,10d及び第2のボルト又はネジ部材(縮幅ボルト又は引き寄せ部材)12c,12dと、第1のボルト10c,10dが配置された側壁3c,3dに対して対向する側壁3a,3bに配置された複数の抑えボルト又はネジ部材(抑えボルト又は抑え部材)13a,13bとで構成されている。前記第1のボルト10c,10d及び第2のボルト12c,12dは、外パイプ3の長手方向に沿って所定のピッチで配列している。この例では、一対の第1のボルト10c,10d間に第2のボルト12c,12dが1セットとして配列されている。換言すれば、一対の第2のボルト(又はネジ部材)12c,12d間に2つの第1のボルト(又はネジ部材)10c,10dが1セットとして配置されており、外パイプ3の長手方向に沿って複数セットのボルト(又はネジ部材)が形成されている。さらに、前記第1のボルト(又はネジ部材)10c,10dと抑えボルト(又はネジ部材)13a,13bには、それぞれ外パイプ3の外壁でナット11c,11d、14a,14bが螺合可能である。
より詳細には、離反部材としての第1のボルト(又はネジ部材)10c,10dのネジ部は、前記スリット状噴射部4に対して隣接する外パイプ3の両側壁3c,3dにそれぞれ螺合(ネジ結合)し、その先端面(平坦面)が内パイプの側壁面(平坦面)に接触(面接触)している。第1のボルト(又はネジ部材)10c,10dは、ナット(又は頭部)11c,11dにより外パイプ3内への侵入度(進退位置)を固定できる。そのため、離反部材としての第1のボルト10c,10dのネジ部を螺合により内方へ侵入させると、第1のボルト10c,10dの先端部が内パイプ1の側面に接触しているため、内方への侵入が規制され、外パイプ3が外方へ移動して内パイプ1に対して離反し、スリット状噴射部4の開口幅を拡げる。
一方、引き寄せ部材としての第2のボルト(又はネジ部材)12c,12dのネジ部は、前記スリット状噴射部4に対して隣接する外パイプ3の両側壁3c,3dの貫通孔を通り、対応する内パイプ1の側壁1c,1dに螺合(ネジ結合)している。この第2のボルト12c,12dは、ボルトの頭部により外パイプ3内への侵入(前進)が規制されている。そのため、第2のボルト(又はネジ部材)12c,12dのネジ部を内パイプ1に螺合させて内方へ侵入させると、内パイプ1に対して(又は内パイプ側に)外パイプ3が引き寄せられ、スリット状噴射部4の開口幅を縮める。このような第1及び第2のボルト(又はネジ部材)11c,11d、12c,12dを利用すると、内外パイプ3の長手方向に沿って、スリット状噴射部(開口部)4の幅を調整できる。しかも、内パイプ1が角パイプであるため、第1のボルト10c,10dの先端面を内パイプ1の側壁面と面接触させることができるとともに、第1のボルト10c,10dの先端部が位置ずれすることなく、確実かつ精度よく内パイプ1を押圧できる。さらに、断面多角形状の内外パイプ1,3の側壁にネジ孔を形成するため、外パイプ3だけでなく内パイプ1への孔やネジ孔の加工精度及び位置精度を向上できるとともに、ノズル装置の組み立て精度も向上できる。
しかし、第1及び第2のボルト10c,10d,12c,12dだけで開口幅を調整すると、内パイプ1に押圧力と牽引力とが作用するため、経時的に内パイプ1に反りや変形が生じる。そのため、時間の経過又は反りの進行とともに、スリット状噴射部(スリット状開口部)4の所定の開口幅を維持できなくなる。
そこで、この例では、第1のボルト(又はネジ部材)10c,10d(及び第2のボルト(又はネジ部材)12c,12d)が配置された側壁3c,3dに対して対向する側壁3a,3bには、外パイプ3の長手方向に沿って、所定ピッチで複数の抑えボルト(ネジ部材又は抑え部材)13a,13bがネジ螺合(ネジ結合)しており、これらの抑えボルト(又はネジ部材)13a,13bの先端部は、内パイプ1の側壁面(平坦面)1a,1bに接触可能である。
このようなノズル装置では、内パイプ1の両端部のホルダを通じて加圧気体を供給すると、内パイプ1の開口部から気体が噴出する。そして、外パイプ3と内パイプ1とが対称かつ相似形の形態で配置されているため、内パイプ1の開口面積を大きくできるとともに、外パイプ3の内面と内パイプ1の外面とで形成される流路5を、半径方向において略同じ幅の流路5として形成できる。従って、前記開口部からの噴出気体は、前記流路5で整流されながらスリット状噴射部4からカーテン状に噴射できる。しかも、外パイプ3と内パイプ1とが対称かつ相似形に配置しているため、流路5において流体の滞留がなく、圧力損失を低減しつつ高い流量で流体を噴出できる。そのため、空気などの気体を利用して被噴射体(対象物)の乾燥に利用する場合には、対象物に対する衝突力を増大させ、乾燥能力を増大できる。
さらに、第1及び第2のボルト10c,10d,12c,12dにより、スリット状噴射部4のスリット幅を確実かつ精度よく調整できるとともに、複数の抑えボルト13a,13bを長手方向に沿って所定のピッチで配列すると、抑えボルト13a,13bの先端面を内パイプ1の側壁面1a,1bと面接触できるので、加圧により抑えボルト13a,13bの先端部が位置ずれすることがなく、内パイプ1の反りや変形を有効に防止できる。そのため、流体の圧力や流量が変動しても、スリット状噴射部4の開口幅(スリット幅)を長期間に亘り安定に維持できる。
なお、内パイプは、少なくとも1つの流体供給口を有していればよく、一方又は双方の端部に流体供給口を有していてもよく、内パイプの管壁に1又は複数の流体供給口を有していてもよい。さらに、内パイプの少なくとも一方の端部(両端部を含む)と、内パイプの長手方向の適所の管壁とに流体供給口を備えていてもよい。
本発明の第1の態様において、内パイプと外パイプとは、断面正四角形状の中空パイプに限らず、断面多角形状の中空パイプ(略同じ厚みの中空パイプ)、例えば、断面形状が、三角形(正三角形、二等辺三角形など)、四角形(長方形)、五角形〜10角形などであってもよい。内パイプ及び外パイプは、通常、断面四角形〜六角形(例えば、正四角形、正五角形、正六角形)である。断面多角形状内パイプと断面多角形状外パイプとの組合せは、二重管状ノズル体を構成できる限り特に制限されず、例えば、前記断面四角形〜六角形パイプの任意の組合せであってもよい。また、内パイプと外パイプとの組合せは、断面構造において、相似形の組合せ(例えば、四角形と四角形との組合せ、五角形と五角形との組合せ、六角形と六角形との組合せなど)であってもよく、非相似形の組合せ(例えば、四角形と五角形との組合せ、五角形と四角形との組合せ、四角形と六角形との組合せなど)であってもよい。好ましい内外パイプは、加工性を高めたり、内パイプの開口面積を大きくしつつ周方向の流路幅の変動を抑制するため、断面形状が互いに相似形のパイプが使用される。さらに、前記内パイプと外パイプは、完全に同軸に配置する必要はないが、通常、略同軸に配置する場合が多い。
内パイプ(内部角パイプ)と外パイプ(外部角パイプ)との配列形態は、特に制限されず、断面構造において、スリット状噴射部を中心として非対称であってもよいが、略同じ流路幅又は流路径を周方向に形成しつつ整流により噴射流量を高めるため、スリット状噴射部を中心として対称構造(線対称)であるのが好ましい。特に、スリット状噴射部を中心として線対称の形態で内パイプ(内部角パイプ)と外パイプ(外部角パイプ)とを配列するのが好ましい。また、対称構造の配列形態において、内外パイプの対応する各辺の配列方向は、5〜90°程度の角度で異なっていてもよい。例えば、断面四角形状の内外パイプを組み合わせる場合、外パイプの辺に対して内パイプの辺は、30〜90°程度の角度で傾斜していてもよい。内外パイプ間に、周方向に所定幅の流路を形成するため、内外パイプの各辺の配列方向は共通又は同一であるのが好ましい(すなわち、相似形であるのが好ましい)。
さらに、内パイプ(内部角パイプ)と外パイプ(外部角パイプ)とは、断面形状において、非相似形の内外パイプで非対称の配列、非相似形の内外パイプで対称の配列、相似形の内外パイプで非対称の配列形態であってもよいが、均一な流路幅又は流路径を周方向に形成するため、相似形の内外パイプで対称の配列形態(特に、内外パイプの各辺が共通又は同一方向に配列した形態)で配置するのが好ましい。
流体を内パイプから外パイプへ供給するための開口部は、流体の整流性を大きく損なわない限り、内パイプの管壁の適所に形成できるが、通常、前記内パイプのうち、前記スリット状噴射部に対して前記内パイプの中心線よりも遠い側壁(例えば、前記の例では、側壁1a、1b)、特に、前記スリット状噴射部とは反対側に位置し、スリット状噴射部から離れた部位に形成するのが好ましい。より具体的には、前記内パイプのうち、その中心線(スリット状噴射部と軸芯とを結ぶ線に対して直交する方向に延びる中心線)よりも前記スリット状噴射部と反対側(例えば、スリット状噴射部と対向する)の側壁の所定位置に開口部を形成してもよい。スリット状噴射部と前記開口部との好ましい位置関係は、例えば、外パイプのスリット状噴射部は、内パイプの開口部から離れた一隅(特に最も離れた一隅)に長手方向に沿って形成できる。
さらに、開口部は、断面多角形状内パイプの頂部に形成してもよいが、孔加工精度の点から、通常、側壁(特に頂部側の側壁)に形成される。内パイプの開口部は、非規則的に形成してもよいが、通常、内パイプの長手方向に沿った直線上に所定間隔をおいて規則的に形成される。例えば、内パイプの1又は複数の側壁に、長手方向に沿って所定間隔をおいて形成してもよく、内パイプの長手方向に沿って、一隅(又は頂部、稜線部)を境にして隣接する2つの側壁に千鳥状(又は交互)に形成してもよく、一隅(又は頂部、稜線部)を境にして隣接する2つの側壁にそれぞれ所定間隔毎に互いに長手方向の位置を揃えて形成してもよい。
なお、孔加工やネジ加工などの加工精度を高めるため、開口部を形成する内パイプの壁面、離反部材(第1のボルト)の先端部が接触可能な内パイプの壁面、引き寄せ部材(第2のボルト)が螺合可能な内パイプの壁面のうち少なくとも1つの壁面(特に全ての壁面)は、断面多角形状のパイプ(管体)の平坦な側壁面で形成してもよい。例えば、図3に示す構造において、断面正四角形状内パイプの上部のコーナー部(角部)を平坦に形成し、この平坦壁に開口部(例えば、外パイプの上部コーナー部に向かって流体を供給可能な開口部)を形成してもよい。
外パイプの隅部(コーナー部又は頂部)に形成されたスリット状噴射部は、外パイプの略全長に亘って形成された単一のスリットであってもよく、所定間隔をおいて形成された複数のスリットであってもよい。スリット状噴射部のスリット幅(開口幅)は、流体の噴射条件、例えば、流体の種類(加熱流体や冷却流体)、噴射流量などに応じて選択でき、0.05〜5mm(例えば、0.1〜2mm)程度であり、実際的によく使われるのは0.1〜1.5mm(例えば、0.1〜1mm)程度である。なお、スリット状噴射部は、種々の加工手段、例えば、レーザー加工などで形成できる。
開口幅調整手段は、内パイプと外パイプとの半径方向の相対的位置を調整し、外パイプのスリット状噴射部の開口幅を調整可能であれば、内外パイプと関連づけられた種々の進退動機構が採用できる。前記調整手段は、通常、スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁に位置し、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを離反可能な離反部材(例えば、前記第1のボルト又はネジ部材)と、前記スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁に位置し、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを引き寄せ可能な引き寄せ部材(例えば、前記第2のボルト又はネジ部材)と、前記離反部材および引き寄せ部材が位置する側壁に対して対向する外パイプの側壁に位置し、かつ内パイプと外パイプとを所定間隔をおいて所定距離に保つための抑え部材(例えば、前記抑えボルト又はネジ部材)とで構成できる。開口幅調整手段は、通常、複数の各部材(複数の離反部材、複数の引き寄せ部材および複数の抑え部材)で構成されている。
さらに、離反部材および引き寄せ部材は、内パイプが断面多角形状であるため、スリット状噴射部に隣接する側壁部位の適所に取り付けることができる。例えば、前記離反部材および引き寄せ部材は、前記図3及び図4に示されるように、スリット状噴射部に隣接する側壁の幅方向の中央部(スリット状噴射部を中心として角度90°で内パイプの中心に向う両側壁の位置)に取り付けてもよく、前記側壁の幅方向の中央部よりも内パイプの開口部側に取り付けてもよい。さらに、前記離反部材および引き寄せ部材は、外パイプの前記側壁の幅方向の中央部よりもスリット状噴射部側(スリット状噴射部に近接する位置)に取り付けてもよく、スリット状噴射部に近接した外パイプの側壁(側壁幅の中心部よりもスリット状噴射部側の側壁)に取り付けてもよい。スリット状噴射部に隣接する側壁のうち、スリット状噴射部側に取り付けても、スリット状開口部の幅を精度よく調整できる。
図6は、本発明のノズル装置の他の例を示す概略断面図である。なお、前記図1〜図5と同一の要素又は部材には同一符号を付して説明する。
この例では、断面四角形状の内パイプ1と断面四角形状の外パイプ3とが、各辺を同じ方向に配列させて(又は内外パイプ1,3の各辺を揃えて)、スリット状噴射部4を中心として、対称かつ相似形に配置されている。そして、スリット状噴射部4に隣接する両側壁3c,3dの幅方向の中央部よりも前記スリット状噴射部4に近接する部位には、前記図3に示す第1のボルトと同様な構造の離反用ボルト(又はネジ部材)20c,20dと、前記図4に示す第2のボルトと同様な構造の引き寄せ用ボルト(又はネジ部材)(図示せず)とが設けられている。また、前記図3及び図4と同様に、各ボルトはナット(又は頭部)21c,21dを有している。なお、前記図5に示す抑えボルトと同様の構造の抑え用ボルト13a,13bとナット14a,14bとが、前記スリット状噴射部4に隣接する両側壁3c,3dに対して対向する側壁のうち幅方向の中央部に取り付けられており、抑え用ボルトの先端部は、螺合による前進動により内パイプ1の側壁に接触可能である。
このようなノズル装置では、各ボルト20c,20d、13a,13bが断面多角形状内パイプ1の平滑な側壁に関連して取り付けられているため、外パイプ3のスリット状噴射部4に隣接する両側壁のうちスリット状噴射部4に近接させて離反用ボルト20c,20dと引き寄せ用ボルトとを取り付けても、スリット状噴射部4の開口幅を精度よく調整できる。特に、サイズ(内寸又は外寸)の大きな外パイプ3及び内パイプ1を用い、スリット幅を大きくして大容量の流体を流すためのノズル装置として有用である。すなわち、内パイプ1が多角形状であるため、離反用ボルト20c,20dおよび引き寄せ用ボルトの取り付け位置を、スリット状噴射部4に隣接する外パイプ3の側壁のうち幅方向の中央部よりもスリット状噴射部4側に近接させることにより、内パイプ1の側壁と外パイプ3の側壁とを確実かつ精度よく離反又は引き寄せ可能であり、抑え用ボルト13a,13bにより内パイプ1と外パイプ3との距離を一定に保ちつつ、正確なスリット幅調整が可能である。また、スリット幅を確実かつ強固に調整でき、使用時の圧力変動によってもスリット幅の変化を抑制できる。
離反部材や抑え部材は、慣用のネジ部材で構成でき、外パイプに螺合(ネジ結合)し、かつ先端部が内パイプの側壁と接触可能であってもよい。また、このような離反部材や抑え部材の先端部は、内パイプの側面に対して線又は点接触可能な非平坦面に形成してもよいが、内パイプの管壁を有効に押圧するためには、面接触可能な平坦面に形成するのが有利である。前記先端部は、内パイプのコーナー部などで接触してもよいが、内パイプの平坦面(側壁面など)に接触可能であるのが好ましい。
さらに、離反部材は、先端部が内パイプに溶接などにより一体化した軸部と、この軸部から外パイプの貫通孔を貫通して延出し、かつ外パイプの外側に延びるネジ部とを備えたボルトと、前記ネジ部に対して螺合可能であり、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを離反可能なナットとで構成してもよい。
引き寄せ部材(又は牽引部材)は、内パイプの側壁に螺合していてもよい。例えば、外パイプの孔に対して遊嵌した軸部(又はネジ部)と、内パイプのネジ孔に対して螺合(ネジ結合)可能なネジ部と、外パイプ面でネジ部材の侵入が規制するための頭部などの規制部とを備えたボルト部材又はネジ部材であってもよい。また、引き寄せ部材の適所(先端部など)は内パイプと一体化していてもよい。例えば、内パイプに固定した軸部(先端部が内パイプに溶接などにより一体化した軸部など)と、この軸部から外パイプの貫通孔を貫通して延出し、かつ外パイプの外側に延びるネジ部とを備えたボルトと、前記ネジ部に対して螺合可能であり、かつ螺合に伴って外パイプを引き寄せ可能なナットとで引き寄せ部材を構成してもよい。
なお、離反部材と引き寄せ部材との構造又は外パイプの取付状態での外観が類似又は共通する場合、両者(又はその機能)を識別するため、マーキングを施してもよく、前記の例のように、異なる部材又は要素(ナット又は頭部)を軸部又はネジ部に取り付けてもよい。
抑え部材は、前記離反部材及び引き寄せ部材が位置する側壁に対して対向する側壁に位置し、内パイプと外パイプとの間に流路を形成するため、所定間隔をおいて、内パイプと外パイプとを所定距離に保持可能であればよく、抑え部材の構造は特に制限されない。例えば、前記のように、外パイプの側壁に位置し、螺合により内パイプと外パイプとの距離を調整可能な部材(又は螺合に伴って外パイプに対して内パイプを押圧又は接触可能なネジ部材など)で構成してもよく、外パイプの側壁に位置するネジ部材は、外パイプに螺合(又はネジ結合)していてもよく内パイプに螺合(ネジ結合)していてもよい。また、内パイプ及び外パイプのうち少なくとも一方のパイプに固定し、かつ両パイプ間の距離を保持可能な保持部材であってもよい。
図7は、本発明のさらに他の例を示す概略断面図である。この例では、ノズル装置は、稜線の両側壁に千鳥状に形成された開口部2を有する断面四角形状の中空内パイプ1と、この内パイプを同軸に収容し、かつ前記内パイプ1の開口部から遠い稜線にスリット状噴射部4が形成された断面四角形状の中空外パイプ3と、この外パイプのうちスリット状噴射部4に近接する部位に取り付けられ、前記図6と同様の構造の離反用ボルト(図示せず)と、この離反用ボルトに隣接する長手方向の部位(スリット状噴射部4に近接する部位)に取り付けられ、かつ図4と同様の構造を有する引き寄せ用ボルト22c,22dとを備えている。
そして、離反用ボルトと引き寄せ用ボルト22c,22dとに対して対向する内パイプ1の側壁には、抑え部材(保持又は支持部材)23a,23bの一方の端部が接合(接着又は溶接などにより接合)されており、抑え部材(保持部材)23a,23bの他方の端部は、外パイプ3の内壁と接触し、内パイプ1と外パイプ3との間を所定間隔に保っている。なお、この抑え部材は、外パイプ3の側壁の幅方向の中央部に取り付けられている。
このような抑え部材(保持部材)23a,23bを利用しても、前記離反用ボルトと引き寄せ用ボルト22c,22dの進退動と協働させて、スリット状噴射部4のスリット幅を調整できる。さらに、前記図6の例と同様に、内外パイプ1,3のサイズが大きくても、スリット幅を精度よく調整でき、大きな流量で流体を噴出させても、流量の変動を抑制できる。
なお、抑え部材の一方の端部は外パイプの内壁と接合していてもよく、抑え部材は、内パイプと外パイプとの双方に接合していてもよい。
なお、前記の例では、スリット状噴射部に対して隣接する2つの側壁に離反部材と引き寄せ部材とを配置しているが、隣接する2つの側壁のうち少なくとも一方の側壁に離反部材と引き寄せ部材とを配置してもよい。また、抑え部材は、パイプの反りや変形を抑制できる限り種々の側壁に配置できるが、離反部材(及び引き寄せ部材)が配置された側壁に対する対向側壁やこの対向側壁に隣接する側壁に配置してもよい。好ましい態様では、離反部材(及び引き寄せ部材)が配置された側壁に対する対向側壁に抑え部材が配置される。なお、離反部材と抑え部材は互いに対向する位置に配置する必要はない。
離反部材、引き寄せ部材および抑え部材は、外パイプの長手方向に沿って所定のピッチで配列している。これらの部材は、外パイプの長手方向に沿って非直線的に配列(例えば、千鳥状などの規則的配列、ランダムに配列)してもよいが、通常、外パイプの長手方向に沿って直線的に配列している。離反部材、引き寄せ部材の配列形態は特に制限されず、離反部材と引き寄せ部材とが長手方向に沿って交互に配列していてもよく、所定のピッチで配列した一対の離反部材と、この一対の離反部材との間に位置する引き寄せ部材とを1セットとして、複数のセットで、前記離反部材と引き寄せ部材とが外パイプの側壁に長手方向に沿って配列していてもよい。さらに、所定のピッチで配列した引き寄せ部材と、この一対の引き寄せ部材間に位置する1又は複数の離反部材とを1セットとして、複数のセットで、前記離反部材と引き寄せ部材とが外パイプの側壁に長手方向に沿って配列していてもよい。
離反部材および引き寄せ部材のピッチは特に制限されずノズル装置の角パイプの長さ、径、厚みなどに応じて選択できる。、例えば、離反部材のピッチは、20〜100mm(例えば、20〜60mm、好ましくは30〜50mm)程度、引き寄せ部材のピッチは、30〜200mm(例えば、50〜150mm、好ましくは60〜100mm)程度であってもよい。
複数の抑え部材のピッチは、パイプの反り(特に経時的反り)や変形を抑制できれば特に制限されず、例えば、40〜300mm(例えば、80〜200mm、好ましくは100〜180mm)程度であってもよい。
本発明の第2の態様において、開口部調整手段の構成部材として長手方向に沿って複数の抑え部材(抑えネジ部材など)を備えたノズル装置では、内パイプの断面形状に拘わらず、複数の抑え部材で内パイプの変形や反りを有効に防止できる。そのため、前記ノズル装置では、内パイプの構造は特に制限されず、断面多角形状の中空パイプや断面楕円形状の中空パイプなどであってもよく、断面円筒状の中空パイプであってもよい。さらに、曲面を有する内パイプにおいて、開口部を形成する内パイプの壁面、第1のボルトの先端部が接触可能な内パイプの壁面、第2のボルトが螺合可能な内パイプの壁面のうち少なくとも1つの壁面には、平坦面を形成してもよい。好ましい内パイプは前記第1の態様と同様に断面多角形状の中空パイプで形成されている。内外パイプ、開口幅調整手段(離反部材、引き寄せ部材、複数の抑え部材)は、前記第1の態様と同様に構成できる。
なお、流体としては、気体(空気など)、液体(水など)が利用でき、流体は清浄化されていてもよく、加熱又は冷却されていてもよい。流体は、通常、加圧気体(例えば、加圧空気)、加圧液体(例えば、加圧水)などのように加圧流体として供給される。流体(気体など)の圧力(ゲージ圧、以下同じ)は、1MPa以下(例えば0.001〜1MPa)、好ましくは0.01〜0.1MPa、さらに好ましくは0.01〜0.05MPa程度である。
流体の流量(標準状態での流量、以下同じ)は、スリット状噴射部のスリット幅及びスリット長さ、流体の供給圧などにより変動するが、断面四角形状の外パイプに形成したスリット状噴射部の長さ2000mm、スリット幅0.15mmのノズル装置を用い、断面四角形状内パイプに圧力0.01MPaの加圧空気を内パイプの両側部から導入したとき、空気流量は、80〜130m/hr(例えば、100〜130m/hr)程度であってもよい。
本発明の噴射ノズル装置は、液体(水など)が付着した製品から液体を噴射流で除去又は乾燥したり、気体や液体の遮蔽膜(カーテン)などを形成する用途に利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
図1〜図5に示すノズル装置を用いてスリット状噴射部からの空気流量を測定した。なお、この装置は、コーナー部に長手方向に沿ってスリット状噴射部(長さ2000mm、スリット幅0.15mm)が形成された断面四角形状の中空外管(外寸35mm×35mm、厚み1.5mm)と、この中空管体内に同軸に配設された断面四角形状の中空内管(外寸25.4mm×25.4mm、内寸22.4mm×22.4mm、厚み1.5mm)とを備えている。中空内管のうち前記スリット状噴射部から最も遠い隅部に隣接する側壁には、それぞれ長手方向にピッチ10mmで201個の開口部(内径2.5mmφ)が千鳥状に配列している。なお、中空内管の両側部に装着されたホルダの流入面積(一方の側部の断面積×2)は、692mmである。
そして、中空内管の両側部から加圧空気(ゲージ圧0.01MPa)を供給し、スリット状噴射部からの空気の流量を測定した。
比較例1
断面正四角形状の中空内管に代えて、断面円筒状の中空内管(内径22mmφ、厚み1.5mm)を用いる以外、実施例1と同様にして、スリット状噴射部からの空気の流量を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2005021867
表1から明らかなように、角パイプを用いることにより内パイプの通路断面積(開口面積)を大きくできるだけでなく、整流性を高め、噴射流量を増大できる。
図1は本発明の噴射ノズル装置の一例を示す概略概略側面図である。 図2は図1の装置の概略断面図である。 図3は図2のIII-III線断面図である。 図4は図2のIV−IV線断面図である。 図5は図2のV-V線断面図である。 図6は本発明のノズル装置の他の例を示す概略断面図である。 図7は本発明のノズル装置のさらに他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1…内パイプ
2…開口部
3…外パイプ
4…スリット状噴射部
5…流路
10c,10d、20c,20d…第1のボルト又はネジ部材(離反部材)
12c,12d、22c,22d…第2のボルト又はネジ部材(引き寄せ部材)
13a,13b、23a,23b…抑えボルト又はネジ部材(抑え部材)
11c,11d、14a,14b、21c,21d…ナット

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの流体供給口を有する断面多角形状の内パイプと、この内パイプを収容して包囲する断面多角形状の外パイプと、この外パイプの一隅に長手方向に沿って形成されたスリット状噴射部と、前記内パイプの中心線よりも前記スリット状噴射部に対して反対側の内パイプの所定位置に形成された開口部とを備えている噴射ノズル装置。
  2. 外パイプおよび内パイプが、断面構造において、スリット状噴射部を中心として線対称かつ相似形に配置されている請求項1記載の噴射ノズル装置。
  3. 外パイプのスリット状噴射部が、内パイプの開口部から最も離れた一隅に長手方向に沿って形成されている請求項1記載の噴射ノズル装置。
  4. 内パイプの開口部が、一隅を境にして隣接する二つの側壁に千鳥状に配列している請求項1記載の噴射ノズル装置。
  5. 内パイプと外パイプとの半径方向の相対的位置を調整し、外パイプのスリット状噴射部の開口幅を調整するための開口幅調整手段を備えている請求項1記載の噴射ノズル装置。
  6. 少なくとも1つの流体供給口を有する内パイプと、この内パイプを収容して包囲する断面多角形状の外パイプと、この外パイプの一隅に長手方向に沿って形成されたスリット状噴射部と、前記内パイプの中心線よりも前記スリット状噴射部に対して反対側の内パイプの所定位置に形成された開口部と、前記スリット状噴射部の開口幅を調整するための開口幅調整手段とを備えている噴射ノズル装置において、前記開口幅調整手段が、スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁に位置し、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを離反可能な離反部材と、前記スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁に位置し、かつ螺合に伴って内パイプに対して外パイプを引き寄せ可能な引き寄せ部材と、前記離反部材および引き寄せ部材が位置する側壁に対して対向する外パイプの側壁に位置し、かつ内パイプと外パイプとを所定距離に保つための抑え部材とを備えている噴射ノズル装置。
  7. 離反部材、引き寄せ部材および抑え部材がそれぞれ所定のピッチで配列している請求項6記載の噴射ノズル装置。
  8. 所定ピッチで配置する引き寄せ部材間に、1又は複数の離反部材が位置している請求項6又は7記載の噴射ノズル装置。
  9. 内パイプの断面形状が多角形状である請求項6記載の噴射ノズル装置。
  10. 離反部材および引き寄せ部材が、スリット状噴射部に隣接する外パイプの側壁の幅方向の中央部よりもスリット状噴射部側に近接している請求項9記載の噴射ノズル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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