JP2005016279A - Cfh梁の剛性・耐力評価方法 - Google Patents

Cfh梁の剛性・耐力評価方法 Download PDF

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亨 平出
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洋文 金子
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Abstract

【課題】実務設計上、CFH梁の剛性・耐力の評価に必要となる、実験結果に基づく簡便なCFH梁の剛性・耐力評価方法を提供する。
【解決手段】CFH梁の剛性・耐力評価方法において、充填コンクリートの平均せん断応力τとH形鋼ウェブのせん断歪γとの関係をトリリニアモデルに縮約し、多数の試験体の曲げせん断実験から得た実験値の主なものを使って、前記1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、かつ第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点と第2折れ点との評価値を定め、前記せん断パラメーターと評価値を用いてCFH梁の剛性・耐力を評価する。
【選択図】図22

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリート充填H形鋼(この明細書では「コンクリート充填H形鋼」を「CFH」という)梁の剛性・耐力評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のH形鋼のフランジとウェブで囲まれる凹側面にコンクリートが充填された合成大梁(この明細書ではCFH梁という)においては、充填コンクリートの重量が梁の重量増となるために、建物の総鋼材量が増える。しかし、ヨーロッパでは充填コンクリートを鉄筋で補強したCFH梁が開発され、実施されている。あばら筋や帯筋をウェブに溶接したり、スタッドをウェブに設けたりしている。CFH梁のメリットは小梁が不要なこと、高剛性で環境振動上有利なこと、耐火被覆が不要なこと等が挙げられる。
この出願の発明で問題にするCFH梁は、フランジとウェブで囲まれる凹側面に、主にウェブ又はフランジにスタッドが取付けられた無筋(コンクリートの脱落を防止するメッシュ筋はある場合があるが、あばら筋、帯筋等がない)コンクリートを充填したものである。
充填コンクリートの剥離をボルト接合により防いだCFH部材において、鈴木敏郎等は横座屈に対する補剛効果を確認し[日本建築学会関東支部研究報告集pp.77−80、昭和59年参照]、その効果を定量的に把握[日本建築学会大会学術講演梗概集(以下梗概集という)(東海)pp.717−718、昭和60年参照]している。
【0003】
小林康彦等は、充填コンクリートの部分を鉄筋コンクリート(RCという)とし、上下フランジ内面に横補強筋を隅肉溶接する手法を採用したCFH部材についての一連の実験を実施し、次の(1)〜(6)の知見を得ている。
(1)梁の曲げせん断性状に関しては、初期剛性実験値・終局耐力実験値は平面保持仮定により比較的良好に評価される[梗概集(北海道)pp.1435−1436、昭和61年、梗概集(近畿)pp.1209−1210、昭和62年参照]。
(2)柱の軸圧縮性状に関しては、通常の鉄骨鉄筋コンクリート(SRCという)部材に適用されている材料強度の設計上の低減は必要でない[梗概集(近畿)pp.1211−1212、昭和62年参照]。
(3)柱の曲げせん断性状に関しては、横補強筋が多く軸力が小さいほど最大耐力後の耐力低下が緩やかである[梗概集(近畿)pp.1213−1214、昭和62年参照]。
(4)終局曲げ耐力に関しては、平面保持仮定により推定可能[同梗概集(近畿)pp.1215−1216、昭和62年参照]である。
(5)せん断破壊に関しては、RC部分のアーチ機構と鉄骨ウェブのせん断降伏耐力との累加にて、せん断破壊耐力を±20%の誤差にて推定可能である。
(6)実験では、せん断スパン比が1の5体が全てせん断破壊、せん断スパン比が1.5,2.0及び2.5の10体が全て曲げ破壊となり、破壊モードの推定結果と実験結果とは完全に一致している[梗概集(近畿)pp.1213−1216昭和62年参照]。
【0004】
一方、斉藤忠幸等は、横補強筋の形状を「コの字形フープ」としてフランジ内面に溶接し、梁端ヒンジ領域のみをCFHとした鉄骨梁部材においても、初期剛性が純鉄骨の3割程度増大し、耐力が5〜10%上昇したことを報告[梗概集(北陸)pp.1745−1746、1992.8参照]している。
渡邊振一郎等は、横補強筋無しで鋼板スチフナを軸方向に等ピッチ(梁成と同じ寸法)に設けた形式に対して、断面の曲げモーメントMと曲率φとの関係に平面保持仮定に基づく計算値が良好に対応することを示した[梗概集(東海)pp.1727−1728、1994.9参照]。
鈴木敏郎等は、無筋のCFH部材を対象とし、初期剛性に対して鋼とコンクリートの一体化が認められるという実験結果[梗概集(関東)pp.1893−1894、1993.9参照]を示し、塑性変形能力、並びに製作施工性に関してSRC構造やコンクリート充填鋼管(CFTという)構造よりも優れた構造形式であると位置付け、その検証実験[梗概集(北海道)pp.703−706、1995.8参照]を行っている。
さらに、H形鋼の幅厚比パラメータをαとして、
α=√((t/b)・(t/d))=0.04〜0.06の範囲にて、大変形時に向上するH形鋼の塑性変形能力推定式を提案[日本建築学会構造系論文集第484号pp.141−148、1996.6、前記構造系論文集第490号pp.207−214、1996.12参照]している。
また、取付の簡便なプレキャストコンクリート(PCaという)ブロックをボルト接合した場合もH形鋼の変形能力は向上し、塑性ヒンジの発生する梁端のみにPCaブロックを設置しても、全長に充填したCFH部材と同等の変形能力を有することが確認[梗概集(近畿)pp.335−338、1996.9参照]されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明において主に対象とするCFH梁の形式は、無筋(ただし、スタッド及び脱落防止用メッシュ筋がある)の形式のものであり、せん断スパン比が実務設計上多く用いられるせん断破壊が生じないことを期待できる範囲のものである。例えば、幅厚比パラメーターαはα≒0.05〜0.06、せん断スパン比aはa=1.5〜4.3のCFH梁である。
上記の形式のCFH梁に対し、断面のM−φ関係を計算する方法とスタッド設置量との関わり、及び断面のM−φ関係から部材のM−θ関係(部材角)関係へ移行するためのM−φ関係の縮約方法が上述した既住の研究においては未だ明確ではない。
さらに、上述の既住の研究においては、CFH梁のせん断変形量の計算方法、換言すれば、充填コンクリートのせん断力の負担割合の評価方法も示されていない。
この出願の発明の解決しようとする課題は、実務設計上、CFH梁の剛性・耐力の評価に必要となる、実験結果に基づく簡便なCFH梁の剛性・耐力評価方法を提供することにする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、CFH梁の剛性・耐力評価方法において、充填コンクリートの平均せん断応力τとH形鋼ウェブのせん断歪γとの関係をトリリニアモデルに縮約し、H形鋼の内面に溶接された全スタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおけるH形鋼のフランジ内面の面積の2倍で除した値を第1せん断パラメーターfとし、H形鋼の引張側のフランジ内面に溶接されたスタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおける引張側のフランジ内面の面積で除した値を第2せん断パラメーターとし、第1せん断パラメーターf値の0及び0〜4の範囲内の複数の値とトリリニアモデルの1次勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値とを対応させ、かつ第2せん断パラメーター値の0及び0〜4の範囲内の複数の値とトリリニアモデルの第1折れ点、3次勾配及び限界歪の評価値とを対応させ、多数の試験体の曲げせん断実験から得た実験値の主なものを使って、前記1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、かつ第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点及び第2折れ点の評価値を定め、前記せん断パラメーターと評価値を用いてCFH梁の剛性・耐力を評価することを特徴とするものである。
【0007】
この明細書においては、aはCFH梁のせん断スパン、γはH形鋼ウェブのせん断歪、τはγに応じて負担できる充填コンクリートの平均せん断応力、τc1は第1折れ点のγに応じた充填コンクリートの平均せん断応力、τc2は第2折れ点のγに応じた充填コンクリートの平均せん断応力、σは充填コンクリートの材料圧縮強度、Gは、充填コンクリートの材料せん断弾性係数、Gは充填コンクリートの第1折れ点までのγに対する第1せん断剛性、Gは充填コンクリートの第1折れ点と第2折れ点との間のγに対する第2せん断剛性、Gは充填コンクリートの第2折れ点以降のγに対する第3せん断剛性、dはH形鋼のウェブの内法高さ、tはH形鋼のウェブの厚さ、σはH形鋼のウェブの材料降伏応力度、fは第1せん断パラメーター、は第2せん断パラメーター、βは低減係数、bはH形鋼のフランジの内面幅、tはH形鋼のフランジの厚さ、σはH形鋼のフランジの材料降伏応力度、Qscはa範囲内のH形鋼の圧縮側フランジ内面のせん断耐力、Qstはa範囲内のH形鋼の引張側フランジ内面のせん断耐力、Qswはa範囲内のH形鋼のウェブに溶接されたスタッドのせん断耐力、σは材料の応力、εは歪、Mは曲げモーメント、φは曲率を意味するものとする。トリリニアモデル(トリリニアカーブ)は、図14に模式的に示されてあり、そのG1は初期勾配、G2は2次勾配、G3は3次勾配である。
【0008】
この発明の剛性・耐力評価方法の好適な形態では、表1に示すように、多数の試験体から得た実験値の主なもの(例えば、主なものの平均値)を使って、トリリニアモデルの1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、かつ第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点及び第2折れ点の評価値を定める。
また、この発明の剛性・耐力評価方法の好適な形態では、表2に示すように、1次勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値に低減係数βを乗じる。ただし、低減係数βは、β=1.25d/a+0.25の式で定められる。
【0009】
この発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法の好適な適用範囲は、例えば、次の通りである。
(A)H形鋼のウェブの内法高さdとCFH梁のせん断スパンaとの比d/aは、0.219≦d/a≦0.600である。
(B)H形鋼のフランジ及びウェブの材料降伏応力度σは、283≦σ≦386(N/mm)であり、充填コンクリートの材料圧縮強度σは、14.7≦σ≦35.2(N/mm)である。
(C)CFH梁のH形鋼のフランジの厚さtとH形鋼のフランジの内面幅bとの比t/bは、0.0500≦t/b≦0.0629であり、CFH梁のH形鋼のウェブの厚さtとH形鋼のウェブの内法高さdとの比t/dが、0.0213≦t/d≦0.0370である。
【0010】
【評価モデルについての予備的検証】
CFH梁の断面の構成要素は、H形鋼11、充填コンクリート12、スラブのコンクリート、スラブの鉄筋であり、各材料のσ−ε関係にバイリニア(bi−linear)を仮定し、梁断面の平面保持を仮定して、x(中立軸位置)、φ、及びMを計算する。
図1及び図2に示されているように、
M=∬σ(ε)xdxdy ε=φ(x−x
検討断面における充填コンクリートの存在圧縮応力Cは、図3に示されているように、部材軸方向のせん断スパンaの範囲内にてH形鋼11に伝達される。
図3における存在圧縮応力Cの拡散範囲45°は、仮説値であり、一般に認められている30°〜60°の中位の値を採用した。
存在圧縮応力Cの伝達は、図3にて定義した「スタッド有効範囲」内にあるスタッドのみにより担われ、存在圧縮応力Cにはスタッドのせん断耐力合計値Σqを超えられない条件を課す。すなわち、
C≦Σq ・・・(1)
存在圧縮応力Cがせん断耐力合計値Σqを超える場合には、条件が満たされるまで図1のように計算上の充填コンクリート断面の幅を低減するものとする。ところで、各種合成構造指針[日本建築学会;各種合成構造設計指針同解説第8刷pp.88−89、1999.7参照]には、不完全合成梁の断面2次モーメントIの評価方法が次の式(2)のように示されている。
I=I+(I−I)√(n/n) ・・・(2)
(2)式で、Iは鉄骨梁の断面2次モーメント、Iは完全合成梁の断面2次モーメント、nは存在スタット数、nは完全合成梁を成立させるために必要なスタット数となっている。
式(2)は、断面の平面非保持状態を便宜的に評価すると考えられるが、nに関わるスタッドのせん断耐力の合計値が存在圧縮応力Cを上回っているか否か、の点には関与を避けている。超える場合、論理的に整合性がとれないという問題の説明に苦慮することから、本検証の評価方法が示される。得られた断面のM−φ関係計算値をマルチリニア(multi−linear)モデルに縮約し、CFH部材の材端曲げモーメント−曲げ変形関係は求められる。
【0011】
CFH梁のせん断歪は、H形鋼ウェブのせん断歪γと等しい。コンクリート
断面が負担しているせん断力は、スラブ跳ね出し部分が除かれ、
【0010】で述べた低減された充填コンクリート断面の平均せん断応力τにて評価できる。
平均せん断応力τの評価に関しては、コンクリートのひび割れ後のせん断剛性とスタッドのずれ変形の評価が複雑であり、今後の検討課題として残る。
また、スタッドをフランジ内面に設けず、ウェブのみに設けた場合の対応も求められていることから、本発明においては、平均せん断応力τの評価に実験結果を用いる。
得られた平均せん断応力τ−せん断歪γ関係の実験値を、簡便に実務計算できるようにマルチリニアモデルに縮約し、CFH梁のせん断力−せん断歪関係は求められる。
【0012】
そのため、CFH梁の曲げせん断実験を行った。
実験体として5体、すなわち、No.1〜No.5の試験体を用いて実験した。実験体の主なパラメーターは、充填コンクリートの有無及びスラブレベルである。
図4に示すNo.1の実験体は、比較検討用の実験体であって、充填コンクリートの付いていないH形鋼梁11[(H−350×175×7×11)(SM490A)]の上側のフランジ11aの上側にスタッドSd(φ10.7×H30,P100×G95)を植設し、スタッドSdを介してH形鋼梁11とスラブ13と一体化したものである。スラブ13の鉄筋は、縦横が直径6mm(SD295)で、かぶりが15mmであり、スラブ13の厚さtは45mmで、幅Wは750mmである。
図5に示すNo.2の実験体は、負曲げ載荷用でスラブが設けられていない試験体であり、H形鋼梁11のウェブ11cの両側にスタッドSd(φ8.9×H50,P200)を植設するとともに、H形鋼梁11の下側のフランジ11bの上側にスタッドSdを植設し、スタッドSd,Sdを介して充填コンクリート12とH形鋼梁11とを一体化したものである。なお、充填コンクリート12にはその表面と略平行に溶接金網(直径6mmの鉄筋を間隔200mmを保て格子状に溶接したもの)14が埋め込まれている。
【0013】
図6及び図7に示すNo.3の実験体は、H形鋼梁11のウェブ11cの両側に多数のスタッドSd(φ8.9×H50,P200)を植設し、スタッドSdを介して充填コンクリート12とH形鋼梁11とを一体化し、H形鋼梁11の上側のフランジ11aの上側にNo.1の実験体と同様にスタッドSdを植設し、スタッドSdを介してH形鋼梁11とスラブ13とを一体化したものである。充填コンクリート12にはその表面と略平行に溶接金網14が埋め込まれている。
図8に示すNo.4の実験体は、H形鋼梁11のウェブ11cの両側にスタッドSd(φ8.9×H50,P200)を植設し、上側のフランジ11aの下側にNo.1のスタッドSdと同じスタッドSdを同じ間隔で植設し、上側のフランジ11aの下側に充填コンクリート12aの無い部分を設け、充填コンクリート12aの無い部分にコンクリート12bを後打ちして、スタッドSdを介して充填コンクリート12aとH形鋼11とを一体化し、後打ちコンクリート12bをスタッドSdを介してH形鋼梁11及びスラブ13と一体化したものである。
なお、充填コンクリート12はコンクリート12aと後打ちコンクリート12bとで構成される。
Figure 2005016279
No.5の実験体は、図8に示す実験体のH形鋼梁11の上側のフランジ11aの下側の面にスチレンペーパーを貼り付け、後打ちコンクリート12bがフランジ11aの下側面に付着できないようにして、意図的なコンクリートの充填欠陥が設けられるようになっている点のみがNo.4の実験体と相違している。
H形鋼の形状・材質・スタッドの径、ピッチP・ゲージG、充填コンクリートの軸方向長さ、並びにスラブの形状及び配筋は5体共通である。
なお、スラブはハーフPCa床板の後打ち部分のみが模擬されている。
表3及び4に使用材料を示す。
【0014】
試験体に対する加力方法は、図9に示すように、単純梁の中央2点単調載荷(負曲げ試験のみ片側繰返し)であり、載荷点は5体共通である。
せん断スパン比は、H形鋼のせいに対して4.3である。せん断スパン中央にてH形鋼のウェブの表裏のせん断歪を3軸歪ゲージにて計測した。等曲げ区間(900mm)中央部にて断面の軸方向歪を測定した。図7、図10及び図11において、15aは3軸歪ゲージ、15bは歪ゲージ、15cは充填コンクリート12に埋め込んで埋込金物、15dは埋込金物15cに差し込んだ軸又はボルトにて支持された測定治具、15eは変位計である。
【0015】
試験体No.1〜No.5について行った実験の結果に基づき、曲げモーメントMと曲率φとの関係を求めた。表1及び2の材料のσ−ε関係を用い(充填コンクリートの引張側は圧縮強度の1割にて以後の応力ゼロと仮定した。図2)、主要な設計クライテリアに対し、M−φ関係並びに断面内軸方向歪分布を計算した。
せん断スパン中央部におけるM−φ関係の実験値は、図12(a)に示すように、ほぼ直線であり、断面内軸方向歪分布の実験値も、図12(b)に示すように、ほぼ直線分布であるから、平面保持がほぼ成立しており、平面保持仮定に基づく計算値とも良好に対応している。
等曲げ区間中央における実験値最終点は、図13に示すように、そのNo.2においては充填コンクリート、他の4本はスラブコンクリートの圧壊直前に対応している。試験体は、全て曲げ降伏後、コンクリートの圧懐にて最終破壊を迎えており、H形鋼のウェブは最後まで弾性域内にあり、当然、せん断降伏に至っていない。
図13に示されているように、M−ψ関係の実験値と計算値(図13中の%値はコンクリートの縁歪値)との対応は良好であり、工学的にはトリリニア(tri−linear)モデルへの縮約にてM−φ関係を評価できる。
【0016】
評価モデルをまとめると、表5のようになる。
Figure 2005016279
第1の折れ点は、H形鋼の縁引張降伏に対応する点であり、第2の折れ点は、概ねH形鋼の圧縮降伏に対応する点であり、第3点(終局)は、スラブコンクリートもしくは充填コンクリートの縁歪に対応する点としてよく、コンクリートの限界縁歪の値には0.3%以上を採用できる。
各折れ点における断面の歪分布を図16に示す。歪の実験値は、ほぼ直線分布であることから、平面保持がほぼ成立しており、平面保持仮定に基づく曲率計算値とも良好に対応している。
なお、平面保持が成立していることと平面保持仮定に基づく剛性・耐力計算値が実験値と一致することとは異なり、従来の知見[梗概集(北海道)pp.1435−1436、昭和61年、梗概集(近畿)pp.1209−1210、昭和62年、梗概集(東海)pp.1727−1728、1994.9、梗概集(関東)pp.1893−1894、1993.9参照]、並びにSRC規準[日本建築学会;鉄骨鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説第5刷pp.91−92、2001.1参照]の見解は後者である。
図16(b),(c)の座標上部の圧縮歪域から流れる充填コンクリートの圧縮ストラットが現実に存在するならば、ストラットが通過する図12(b)の梁成の中央高さ位置(座標175mm近傍)において圧縮歪が認められなければならない。しかし実験値によれば、殆ど圧縮歪は計測されていないことから、アーチ機構に対応するストラットは生成されていないようである。この理由は、試験体No.1〜No.5においてはせん断よりも曲げが卓越しており、また支持条件が単純(片持)梁形式であることによると思われる。
【0017】
充填コンクリートのせん断応力τとH形鋼のウェブのせん断歪γの関係を
説明する。前述の実験においては、
【0010】の段落で提案した計算上の充填コンクリートの有効幅判定結果は4体共「低減無し」であったため、図15に示すH形鋼11のフランジ11a,11bの内側11a,11b及びウェブ11cの表面11cで囲まれた部分に充填されたコンクリート12の断面をτ評価用の充填コンクリート断面とした。
図17中の4本のτ実験値(細線)は、H形鋼11のウェブ11cに貼付された歪ゲージ15aの4枚による個々のγ計算値に対応するものであり、これらはウェブ11cの表裏に関しては殆ど同じ値となっている。τの求め方は、3軸ゲージ11aの貼付位置のせん断歪計測値からせん断応力を求め、ウェブの高さ方向せん断応力分布一定を仮定し、H形鋼ウェブ負担せん断力を求め、それを載荷したCFH断面の存在せん断力から減じ、上記評価用断面積にて除する、というものである。
τ−γ関係の実験値のマルチリニアモデル化に関しては、試験体No.4及びNo.5が扱いにくい挙動を示しているものの、実務設計上は、トリリニアモデルにて評価することが適切であろう。
【0018】
試験体No.2においては、他の試験体に比べて安定した実験値が得られている。この理由の一つに試験体No.2のみに引張側フランジにスタッドが設けられ(図5)、充填コンクリートの存在圧縮力Cが引張側フランジのスタッドへ斜めに流れる応力伝達経路の影響が挙げられる。図12(b)が示すように、圧縮ストラッドの存在は明確には認められないものの、H形鋼11の引張側フランジ11bの内側(上側)にスタッドSdを設けることにより、CFH梁の充填コンクリートがせん断力を効果的に負担した可能性が考えられる。
試験体No.3の実験値はバラツキが大きく、τの値が低いものが見られる。τ値が低い理由の一つに、試験体No.3のH形鋼11の上側のフランジ11aの上側に植設されたスタッドSdはτ評価用の充填コンクリートの断面外にあるため、試験体No.3のみ他の3本よりもスタッド総数が少ないことが挙げられる。
また、試験体No.2及びNo.3の充填コンクリートの打設方法は、H形鋼を寝かせて横打ちし、片側打設後180°反転させて残りを打設したものであり、引張側のフランジの内面と充填コンクリート間の付着力が低い可能性も考えられる。
試験体No.4及びNo.5においては縦打ちとしたため、引張側のフランジの内面の付着力に関しては有利であるが、τ−γ関係の実験値は不安定なものとなっている。
【0019】
試験体No.1〜No.5の実験結果を総括すると、第1折れ点のせん断力レベルを充填コンクリートの平均圧縮強度σの2〜3%、前記平均圧縮強度σに対応する充填コンクリートのせん断弾性係数Gの約4割を初期勾配とするトリリニアモデルにて評価できることがわかる(図17の点線;評価値)。評価モデルのまとめを表6に示す。なお、実験データが得られていないため3次勾配をゼロとしている。
Figure 2005016279
【0020】
【この出願の発明の評価モデルについての検証】
CFH梁のH形鋼ウェブをせん断降伏させる実験を行う。
図17において仮にH形鋼ウェブのせん断歪γを大きくさせた場合、充填コンクリートの平均せん断応力τが何処まで上昇するか、τ−γ関係をどのように評価すべきかは重要な問題であり、H形鋼ウェブをせん断降伏させたCFH梁の実験結果を基に、その場合のτ−γ関係を考察することにする。
試験体として、図18及び図19に示すA1〜A8の試験体を使う。
試験体のH形鋼21は、図18(a)〜(e)に示すように、標準的な幅広系列のものとし、表7に示すように、スタッドのピッチを主なパラメータとした。8体の試験体A1〜A8は、H形鋼の形状、スタッドの径、充填コンクリートの軸方向長さが同じである。充填コンクリートの打設方法は横打ち反転後残り打ちとした。使用材料は表8,9に示すものを使った。
Figure 2005016279
A1の試験体は、図18(a)に示され、H−300×300×10×15(SN4008)のH形鋼21のみで構成されている。
A2の試験体は、図18(b)に示され、試験体A1と同じH形鋼21の1対のフランジ21a,21bの右側及び左側の内面21a,21bとウエブ21cの表面21cとで囲まれる凹部を充填コンクリート22で満たしてなるCFH梁である。
A3の試験体は、図18(c)に示され、H形鋼21のウエブ21cの上側及び下側の1対のフランジ21a,21bの内面とウエブ21cの上側又は下側の面とで囲まれる凹部を充填コンクリート22で満たしてなるCFH梁である。なお、この試験体A3については、実験を行っていない。
A4の試験体は、図18(d)に示され、試験体A2のH形鋼21と充填コンクリート22とからなるCFH梁において、H形鋼21のウェブ21cの右側及び左側の表面21cに多数のスタッド(φ10.7×H100,G100)Sdを植設(溶接)し、多数のスタッドSdを介してH形鋼21と充填コンクリート22とを一体化したCFH梁である。
【0021】
A5の試験体は、図18(e)に示され、試験体A2のH形鋼21と充填コンクリート22とからなるCFH梁において、H形鋼21の上側及び下側のフランジ21a,21bの内面21a,21bに多数のスタッド(φ10.7×H50)Sdを植設(溶接)し、多数のスタッドSdを介してH形鋼21と充填コンクリート22とを一体化したCFH梁である。
なお、H形鋼21のフランジ21a,21bの内面21a,21b及びH形鋼21のウェブ21cの表面21cを「H形鋼の内面」という。
A6の試験体は、図18(e)及び図19に示され、試験体A5のH形鋼21、多数のスタッドSd及び充填コンクリート22とからなるCFH梁において、H形鋼21の長手方向の両方の端部に鋼製のふさぎ板(2−PL−16×270×140)23を表裏全周隅肉溶接したCFH梁である。
A7及びA8の試験体は、図18(e)及び図19に示され、スタッドSdの植設部位、間隔等がA5の試験体と少々異なる(両側部Aと中央部Bとでスタッドのピッチが異なっている)CFH梁である。なお、試験体A2、A4〜A8の後記せん断パラメーター値fは計算してある。
【0022】
充填コンクリート部分がRC形式の場合、せん断スパン比1.5以上であれば曲げ破壊となり得るが、せん断スパン比1.5は境界梁等の特殊な部材に対応し、単純(片持)梁形式にはならないことが多い。
試験体A1、A2、A4〜A8に対する加力方法は、図20に示すように、せん断スパン比1.5の逆対称曲げ荷重である。載荷点31a,31bと支点32a,32bの関係は8体の試験体A1、A2、A4〜A8に共通であり、載荷プログラムは正負片側繰返し、せん断スパン中央にてH形鋼ウェブのせん断歪を図10及び図11と同様のやり方にて測定した。
充填コンクリートの無い試験体A1は、図21(a)に示すように、H形鋼断面の曲げ降伏耐力には到達せず、ウェブがせん断降伏する。なお、図中の実験値(細線2本)は、H形鋼ウェブの表裏に貼付された歪ゲージによる計測値を平均したものである。図21(a)によれば、H形鋼ウェブの平均せん断応力τとH形鋼ウェブのせん断歪γとの関係のスケルトンは初期勾配を弾性、その1.2%を2次勾配とするバイリニア(bi−linear)性状を示す。このキャリブレーション結果を他の試験体のH形鋼に適用し、充填コンクリートのτ−γ関係を求めることとする。
【0023】
Figure 2005016279
τ評価用の充填コンクリート有効断面積に関しては、
【0010】で述べた評価方法を適用すると、スタッドを全く設けないA2の試験体においては評価用充填コンクリート有効断面積がゼロになり、τの評価が不能となる。したがって、ここでは充填コンクリート全断面をτ評価用有効断面としてまとめた結果が図21(b)と表10に示されている。
表10によれば、試験体A2、A4〜A8の実験値は、平面保持を仮定した圧縮側フランジ圧縮降伏時の断面曲げ耐力計算値を越えており、曲げ危険断面に存在する充填コンクリートの圧縮合力Cがどのように処理されているかが問題となる。
充填コンクリートの圧縮合力Cは、A2の試験体においては図19に示す余長部分Cの付着、さらには両側部分のフランジ内面の摩擦によって処理されている。さらに中央部分Bにおいては逆対称曲げのアーチ機構に対応する圧縮ストラットも加わるが、これらの性状は明らかではない。
なお、このアーチ機構に対応する斜張力ひび割れは斜めせん断ひび割れに次いで試験体A2、A4〜A8において発生したものの、脆性的な耐力低下は試験体に生じていない。
【0024】
【0012】から
【0019】で述べた試験体No.1〜No.5の実験結果は、H形鋼の内面に溶接されたスタッド量、並びに引張側フランジの内面に溶接されたスタッド量が充填コンクリートのせん断力伝達性状に影響を与えている可能性を示している。
そこで、本発明においては、これらに関わるパラメーターを、第1せん断パラメーターf及び第2せん断パラメーターと名付け、次式(3),(4)のように定義する。
=(Qsc+Qst+Qsw)/(2ab) ・・・・(3)
=Qst/(ab) ・・・・(4)
式(3),(4)中のQsc,Qst,Qswは、せん断スパンa内にて、各々、H形鋼の圧縮側フランジの内面、引張側フランジの内面、ウェブの表面に溶接された全スタッドが有するせん断耐力計算値、bはH形鋼フランジの内面幅である。
これらのパラメーターfが物理的に意図したものは溶接されたスタッドの影響の評価である。
第2せん断パラメーターの物理的意味は、引張側フランジの内面に溶接された全スタッドが仮にそのせん断力計算値を発揮した場合に対応する引張側フランジの内面の潜在平均せん断応力であり、第1せん断パラメーターfの物理的意味は、フランジ内面の潜在平均せん断力にウエブに溶接されたスタッド分を単純加算したものである。せん断パラメーターを使用する根拠は、実務設計においてスタッド量を検討する際に必要となるためであり、コンクリートとH形鋼表面との界面間の付着強度、並びにフランジの面外曲げ剛性に関わる幅厚比に対する検討は今後の課題として残されている。各試験体のf値は表11に示すとおりである。
【0025】
なお、表11中の「f」はH形鋼の内面に溶接された全スタッドの合計せん断耐力を全フランジ内面面積で除した値。「」はH形鋼の引張側フランジの内面に溶接されたスタッドの合計せん断耐力を引張側フランジ内面面積で除した値、「初期勾配」は原点と第1折れ点とを結ぶ線の勾配、「2次勾配」は第1折れ点とウェブのせん断降伏点(試験体A4においてはτ−γ曲線上の2次勾配終点)とを結ぶ線の勾配である。「断面降伏時」は断面の平面保持仮定による圧縮側フランジ縁降伏時耐力計算値を実験値が超えた時点(この時点では、ウェブは既にせん断降伏していることから、計算値にはウェブの存在を無視し、充填コンクリートは全幅有効と仮定する。)、「部材の最大耐力時」については、試験体A2では載荷装置の関係から耐力上昇途中にて加力を終了している。
値とτ−γ関係との関係をまとめたものが図22である。これらを用いて以下に考察を進める。
なお、第1せん断パラメーターf値に対応させて1次(初期)勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値が定められ、第2せん断パラメーター値に対応させて第1折れ点、3次勾配及び限界歪の評価値が定められる。
【0026】
A1、A2、A4〜A8の試験体のτ−γ関係初期勾配の実験値は、
【0012】から
【0019】で述べたNo.1〜No.5の実験結果のほぼ倍となっているが、弾性は71〜108%であり(表10)、
【0003】及び
【0004】で述べた既存の知見と一致している。
図22(a)から判るように、第1せん断パラメーターf値(スタッド総量にリンク)が増えても、初期剛性の上昇は認められない。そのため、試験体A2,A5,A7,A8の実験値の平均を評価値として採用する。
この評価モデルは、A4のH形鋼ウェブのみにスタッドを有する試験体、A6のH形鋼フランジの内側にスタッドを有しかつ梁端部に塞ぎ板を有する試験体の実験値も概ね適切に評価している。
図22(d)に示されているように、τ−γ関係の第1折れ点の実験値のせん断応力はσの1〜2%であり、第2せん断パラメーター値(引張側フランジ内面のスタッド量にリンク)が高いほど第1折れ点の応力レベルは上昇するため、評価値を試験体A2,A5,A7の実験値の平均値とした。この評価値は試験体A4,A6の実験値とも対応がよい。
図21(b)に示されているように、H形鋼ウェブがせん断降伏する時点(△印プロット)まで殆どの試験体のτ−γ関係の実験値はほぼ一定の2次勾配を示しており、正負、繰返し載荷による勾配の低下は少ない。H形鋼のウェブがせん断降伏した後、充填コンクリートには急激にせん断力が移行するが、試験体A6,A7,A8においては、移行性状にバラツキも発生しているため、この移行分を無視するのが妥当であろう。
【0027】
図22(b)から判るように、2次勾配の実験値は弾性の5〜15%であり、
【0012】から
【0019】で述べたNo.1〜No.5の実験結果の実験値のほぼ倍の値となっている。第1せん断パラメーターf値が高いほど2次勾配は上昇するため、評価値を試験体A2,A5,A8の各実験値の平均とした。この評価値は試験体A4,A6の実験値にも安全側に対応している。
図22(c)から判るように、CFH部材の最大耐力時の充填コンクリートが負担するせん断応力の実験値は、平均充填コンクリート強度σの12〜20%であり、第1せん断パラメーターf値が高いほどこの値は上昇する。試験体A8,A4,A6の実験結果を安全側に対応させるため、試験体A2,A5の実験値の平均値を採用した。この評価レベルまで第2勾配を延長し、トリリニアの第2折れ点とした評価モデルは、図22に示さるとおりであり、試験体A6,A7,A8の実験値のバラツキを考慮すると、実務設計上適切な評価モデルといえる。
これらの値にて充填コンクリートが負担し得るせん断応力を頭打ちに評価することは不経済である、という指摘は当然認められ、その根拠は勿論、断面の曲げ耐力に対応する必要せん断応力以上は発現しえなかったことによるものであるが、本発明では断面のプロポウション、単純(片持ち)梁形式と逆対称曲げ形式との差異、並びにせん断スパン比等に関わる実験データが十分とは言えないことから、この検討事項を保留扱いとし、今後の研究に委ねた。
【0028】
図22(e)及び表10に示すように、CFH部材の最大耐力時のせん断歪の実験値は、0.0025〜0.0510であり、第2せん断パラメーター値が高いほどこの値は低下する。すなわち、充填コンクリートが負担するせん断応力が大きいほど、CFH部材の最大耐力時のせん断歪は低下する。試験体A6,A7の実験結果との対応をとるために、試験体A2,A6,A7の各実験値の平均を評価値に採用した。
Figure 2005016279
なお、本発明では、CFH部材の最大耐力時のせん断歪を限界歪と定義するが、図21から判ることだが、引張側のフランジ内面のスタッド量が多くても限界歪以降のCFH部材の耐力低下が顕著になることなく(A5,A6)、各試験体A2、A4〜A8とも概ね、せん断歪4%程度の十分な変形性能を有している。
以上の考察結果は、表11にまとめられ、この表11(a)の各評価値をNo.1〜No.5の試験体の実験結果に対応させるためには、ほぼ半分の値に低減する必要が生じる。
【0029】
上記の低減が必要となる原因の一つに、
【0012】から
【0019】で述べた試験体No.1〜No.5のH形鋼は細幅系列であるため、H形鋼のフランジ幅が充填コンクリートに対する拘束効果に差をもたらしたことが挙げられる。
充填コンクリートは、フランジの面外曲げ剛性に応じて拘束されるため、この考え方を取り入れた角形の充填コンクリート鋼管(CFTという)の評価式[新都市ハウジング協会;CFT構造技術指針・同解説pp.7、1999.7参照]を参考に、この発明の試験体のフランジ幅厚比と同じCFT部材の拘束効果を
試算すると、
【0012】から
【0019】で述べた試験体No.2〜No.5においては約3N/mm、試験体A2,A4,A9においては約1.5N/mmが拘束効果によるコンクリートの圧縮強度加算分となる。これらの数値の定量的な意味は無く、圧縮強度とせん断剛性・せん断強度との間にも直接の関連が無いが、定性的に本発明の実験結果とは逆の拘束効果を示す数値である。また近年、角形CFTに対しては拘束効果は期待できないという見解[日本建築学会;コンクリート充填鋼管構造計算施工指針・同解説pp.19,1997.10参照]もあり、フランジの面外曲げ剛性が、CFH部材のτ−γ関係の勾配・レベルに与える影響は小さいとみるべきであろう。
【0030】
次に、せん断スパンを変更せずに単純(片持ち)梁形式から逆対称曲げに載荷方法を変更しても、危険断面の存在圧縮合力Cに関しては既にせん断スパン内にて処理可能であることから、せん断剛性が倍になるとも考えにくい。そこで、本発明では、物理現象は解明されてはおらず、根拠には欠けるものの、残された影響因子、すなわち、せん断スパン比a/d(d:H形鋼ウェブの内法高さ)にて表11(a)の評価値を低減することを試みた。その根拠は、▲1▼RC部材においては、既に塑性理論に立脚するせん断耐力評価[日本建築学会;鉄筋コンクリート構造物の靭性保証型耐震設計指針・同解説,1999.8参照]が導入されて久しいが、本発明でいうCFH構造においては、RC部材のせん断補強筋に相当する要素が存在しないこと、▲2▼CFH構造の実務設計を行う際、おそらく最も適用される基規準等はSRC規準であり、SRC規準は、現在、せん断スパン比による評価を採用しているため、統一的に扱えること、の2点である。
d/aとSRC部材における許容せん断力割増係数4/(M/Qd+1)との関係は、図23に示すように、ほとんど直線であり、同式値1の点と本発明の試験体のd/a値の点とを最も単純な1次式にて結び、表11(a)値にて規準化すると、次の式(5)のように、低減係数βが得られる。なお、Qはせん断力、dは部材のせいである。
β=1.25d/a+0.25 ・・・・(5)
これを表11(a)の各評価値に乗じて得られた試験体No.2〜No.5による評価値は、図17に鎖線で示されている(試験体A2、A4〜A8による評価値は1点鎖線で示されている)とおりである。なお、第2折れ点は図17の範囲外にあり、対応する実験値は破壊性状が曲げ破壊先行のため得られていない。この評価値はスラブコンクリートに意図的充填欠陥が設定された試験体No.5をやや危険側に評価するが、通常の施工がなされていれば問題は生じない。
本発明の評価モデルをまとめると、表12のとおりになる。
Figure 2005016279
【0031】
H形鋼のフランジとウェブとで囲まれる凹側面に無筋コンクリートが充填された合成大梁、すなわち、CFH梁を対象として、その剛性・耐力評価方法を考察した。本発明に関連して言及した実験の範囲から、以下の知見が得られた。
(1)曲げ降伏する単純(片持ち)梁形式に対し、危険断面、並びにせん断スパン中央断面においてH形鋼、および充填コンクリートの軸方向歪分布を、平面保持仮定に基づく計算値と良好に対応させることができる。
(2)平面保持手法に基づいて計算された曲げモーメントM−曲率φ関係を縮約し、トリリニアモデルとしてよい。
(3)このトリリニアM−φ関係モデルの第1折れ点は、H形鋼縁引張降伏に対応する点、第2折れ点は概ね同圧縮降伏に対応する点、第3点(終局)はスラブコンクリート若しくは充填コンクリートの縁歪に対応する点としてよく、コンクリートの限界圧縮縁歪の値には0.3%以上を採用できる。
(4)H形鋼ウェブがせん断降伏する逆対称曲げ形式部材に対しては、せん断歪が4%以上になっても、充填コンクリートは安定してCFH梁の存在せん断力の一部を負担する。
(5)充填コンクリートに斜めせん断ひび割れ、および斜張力ひび割れが発生した後も、充填コンクリートが負担していたせん断力は脆性的に低下することなく、充填コンクリートの平均せん断応力τ−H形鋼のウェブのせん断歪γ関係をトリリニアモデルによって評価してよい。
(6)H形鋼の内面にスタッドが溶接された形式を対称にして、スタッド量、並びにせん断スパン比に関わる3パラメーターを導入し、τ−γ関係のトリリニアモデルを提案した。
【0032】
本発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法の設計時における使い方を、設計例を用いてその一例を説明する。
〔設計例の仮定断面・部材等〕
H形鋼としてH−300×300×10×15を用いる。d=270mm、a=450mm、b=290mm、d/a=0.6、As=2700mm、σ=305.6N/mm、Gs=79000N/mm、Ac=78300mm、σ=35.2N/mm、G=11071N/mm、Ec=33638N/mmである。
設計例1〜3では、CFH梁のH形鋼の内面にスタッドを設けない。
〔設計例1〕
設計例のCFH梁に設計せん断力Q=400kNを作用させる場合を評価する。
まず、CFH梁の設計用せん断力を全てH形鋼ウェブが負担すると仮定して、H形鋼ウェブのせん断応力状態をチェックする。
τ=Q/As=400000/2700=148N/mm<176N/mm=305.6/√3=σ/√3
H形鋼ウェブのせん断応力が、CFH梁の設計用せん断力内に納まるので、この設計でよいと評価する。これで設計終了(従来のS造建物と同じ)である。
【0033】
〔設計例2〕
設計例のCFH梁に設計せん断力Q=600kNを作用させる場合を評価する。
まず、CFH梁の設計用せん断力を全てH形鋼ウェブが負担すると仮定して、H形鋼ウェブのせん断応力の状態をチェックする。
τ=Q/As=600000/2700=222N/mm>176N/mm=305.6/√3=σ/√3
CFH梁の設計用せん断力がH形鋼ウェブのせん断応力を超えるので、この設計ではH形鋼ウェブだけではCFH梁の設計用せん断力を負担しきれない(従来のS造としては設計不能)。
不足分=(222−176)×2700=124200N<b×d×τ
であること、すなわち、124000/(290×270)=1.59N/mm<τとなり得ることをトリリニアカーブにて確認する。
〔トリリニアカーブの作成〕
β=1.25d/a+0.25=(1.25×0.6)+0.25=1.001次勾配:G=0.88×β×G=0.88×1.00×11071=9742N/mm
スタッドが無く、f=0の場合で、表12の上段(f=0欄、=0欄)の係数を採用する。
2次勾配:G=0.048×β×G=0.048×1.00×11071=531N/mm
第2折れ点:τc2=0.12×β×σ=0.12×1.00×35.2=4.22N/mm
第1折れ点:τc1=0.012×σ=0.012×35.2=0.422N/mm
この場合(設計例2)のトリリニアカーブは、図24の(a)のようになる。
図24(a)で、評価値が不足分以上の値をとり得るので、この設計でよいと評価する。
【0034】
〔設計例3〕
設計例のCFH梁に設計せん断力Q=600kNを作用させる場合には、せん断変形は何mmになるか。
(a)まず、γ値を仮定する。
γ仮定値=0.002231
(b)H形鋼ウェブが負担するせん断力Qを求める。
=MIN(γ×Gs×As,As×σ/√3)=0.002231×79000×2700=475895N
(c)充填コンクリートが負担するせん断力Qを求める。
図24(b)のように、トリリニアカーブよりτを求める。τ=1.585N/mm
=τ×A=1.585×78300=124105N
(d)両者を合計する。
+Q=475895+124105=600000N
(e)この合計計算値Q+Qが設計せん断力と一致するまで繰返し収束計算を行い、真のγ値を求める(実際の計算ではExcelのソルバーを用いたため、繰返し計算は瞬時に収束している)。
よって、真のγ値は0.002231である。
求めるせん断スパン内のせん断変形量は、γ×a=0.002231×450=1.00mmでである(従来のSRC造では評価不能)。
【0035】
〔設計例4〕
設計例のCFH梁に設計せん断力Q=850kNを作用させる場合を評価する。
CFH梁のH形鋼ウェブが負担できるせん断応力は、
As×σ/√3=2700×176=475200N
だけであるから、不足分が850000−475200=384800Nである。これを充填コンクリートにて負担できるか調べると、τ=Q不足分/A=374800/78300=4.79N/mmとなる。この4.79N/mmは設計例2にて検討した第2折れ点の値:4.22N/mmを超えているので、充填コンクリートだけでは負担しきれない。そこで、通常は断面を変更するが、スタッドを追加して解決できるか検討する。
〔追加スタッドの仕様〕
スタッドの直径φ=10.7mm、断面積as=89.92mm、1本のスタッドのせん断耐力qs=0.5×as×√(σ×E)=0.5×89.92×√(35.2×33638)=48920N、a=450mmの領域の上下のフランジ内面に@150:下側のフランジの上面6本、上側のフランジの下面6本。
Figure 2005016279
〔トリリニアカーブの作成〕
安全側になるが、表12の中段(f=2.3欄、=1.1欄)の係数を採用する(線形補間してもよい)。
2次勾配:G=0.056×β×G=0.056×1.00×11071=620N/mm
第2折れ点:τc2=0.15×β×σ=0.15×1.00×35.2=5.28N/mm
第1折れ点:τc1=0.020×σ=0.020×35.2=0.704N/mm
この場合(設計例4)のトリリニアカーブは、図24の(c)のようになる。
スタッドの追加により、断面を変更せずに、設計せん断力Q=850kNに耐え得るCFH梁となっている。この設計でよいと評価する。
【0036】
【発明の効果】
この発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成を備えることにより、次の効果を奏する。
(イ)請求項1の発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、次の(1)〜(4)の効果を奏する。
(1)充填コンクリートの平均せん断応力τとH形鋼のウェブのせん断歪γとの関係をトライリニアモデルに縮約したから、評価モデルを単純化できる。
(2)第1せん断パラメーターfの値が0の場合はスタッドを設けない場合であり、第2せん断パラメーターの値が0の場合はH形鋼の引張側フランジの内面にスタッドを設けない場合であり、第1せん断パラメーターfでH形鋼の内面にスタッドを設けない場合、H形鋼のウェブの表面にスタッドを設ける場合及びH形鋼のフランジの内面にスタッドを設ける場合の影響を対象とし、第2せん断パラメーターでH形鋼の引張側フランジの内面にスタッドを設けない場合とH形鋼の引張側フランジの内面にスタッドを設ける場合の影響を対象とするから、スタッドを設ない場合とスタッドを設ける部分がH形鋼ウェブの表面及び又はH形鋼フランジの内面てあっても、一つの評価手法によりCFH梁の剛性・耐力を評価することができる。
(3)多数の試験体の曲げせん断実験から得た実験値の主なものを使って、前記トライリニアモデルの1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、かつ第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点と第2折れ点の評価値を定めるから、評価値を実験値を使って容易に決めることができる。
(4)第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点及び第2折れ点の評価値を定めるから、せん断耐力がせん断歪にリンクすることになり、CFH梁としてのせん断変形の評価も同時に評価できる。
【0037】
(ロ)請求項2の発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、前記(1)〜(4)の効果と同じ効果を奏するほかに、次の(5)の効果を奏する。
(5)標準的な幅広系列のH形鋼を用いて作られたCFH梁の試験体A2,A4〜A8による実験結果から、各評価値が決められているから、標準的な幅広系列のH形鋼からなるCFH合成梁の剛性・耐力評価に適している。
(ハ)請求項3の発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、前記(1)〜(4)の効果と同じ効果を奏するほかに、次の(6)の効果を奏する。
(6)一次勾配、二次勾配及び第2折れ点の評価値に低減係数βを乗じたから、CFH構造の実務設計を行う際、おそらく最もよく適用される基規準等はSRC規準であり、SRC規準は、現在、せん断スパン比による評価を採用しているため、それと統一的に扱うことができる。
また、請求項3の発明で規定している第1及び第2せん断パラメーターとこれに対応する評価値に合致するようにCFH梁を設計すれば、必要な剛性・耐力を有するCFH梁を確実に製作することができる。
(ニ)請求項4の発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、前記(1)〜(4)の効果と同じ効果を奏するほかに、次の(7)の効果を奏する。
(7)H形鋼のウェブの内法高さdとCFH梁のせん断スパンaとの比d/aをd/a≦0.600の範囲にすれば、せん断破壊が生じないCFH梁が得られる。
【0038】
(ホ)請求項5の発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、前記(1)〜(4)の効果と同じ効果を奏するほかに、次の(8)の効果を奏する。
(8)H形鋼のフランジ及びウェブの材料降伏応力度σが283≦σ≦386(N/mm)であり、充填コンクリートの材料圧縮強度σが14.7≦σ≦35.2(N/mm)であるから、通常のH形鋼及びコンクリートを使って高性能のCFH梁を製作することができる。
(ヘ)請求項6の発明のCFH梁の剛性・耐力評価方法は、前記(1)〜(4)の効果と同じ効果を奏するほかに、次の(9)の効果を奏する。
(9)CFH梁のH形鋼のフランジの厚さtとH形鋼のフランジの内面幅bとの比t/bが、0.0500≦t/b≦0.0629であり、CFH梁のH形鋼のウェブの厚さtとH形鋼のウェブの内法高さdとの比t/dが、0.0213≦t/d≦0.0370であるから、通常のH形鋼を使って高性能のCFH梁を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CFH梁の曲げモーメントM−曲率φ関係の評価モデルにおける平面保持仮定の計算上の断面を示し、(a)はCFH梁をウェブと平行な面で断面した正面図、(b)はそれを長手方向に対して直角な面で断面した側面図
【図2】CFH梁の曲げモーメントM−曲率φ関係の評価モデルにおける構成材料の応力σ−歪ε関係を示し、(a)は鋼材、(b)はコンクリート
【図3】CFH梁の曲げモーメントM−曲率φ関係の評価モデルにおけるスタッドの有効範囲の定義を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)はモーメント図
【図4】比較検討用試験体No.1の長手方向に対して直角な面の断面図
【図5】CFH梁の負曲げ載荷用試験体No.2の長手方向に対して直角な面の断面図
【図6】CFH梁の試験体No.3の長手方向に対して直角な面の断面図
【図7】図6に示す試験体の側面図
【図8】CFH梁の試験体No.4,5の長手方向に対して直角な面の断面図
【図9】試験体への載荷方法を示す正面図
【図10】試験体No.4,5と変位計、歪ゲージ、埋込み金物等との関係を示す断面図
【図11】試験体の埋込み金物、計測治具、変位計等の関係を示し、(a)は平面図、(b)は正面図
【図12】試験体の非等曲げ区間のせん断スパン中央断面における曲率を示す図で、(a)はM−φ関係、(b)は断面の歪分布
【図13】試験体の等曲げ区間中央断面における曲げモーメントM−曲率φ関係を示す図
【図14】CFH梁の剛性・耐力評価のためのトリリニアモデルのコンクリート断面の平均せん断応力τ−H形鋼ウェブのせん断歪γ関係を摸式的に示す図
【図15】No.4の試験体のCFH梁を長手方向に対して直角な面で断面した断面図
【図16】CFH梁の試験体の等曲げ区間中央断面における歪分布を示し、(a)は第1折れ点対応計算M時、(b)は第2折れ点対応計算φ時、(c)は表3の第3点(終局)対応計算φ時
【図17】CFH梁の充填コンクリート部分が負担する平均せん断応力レベルを示す図
【図18】(a)〜(f)は、試験体を長手方向に対して直角な面で断面した断面図
【図19】図18(e)に示す試験体のスタッド位置、支持点、載荷点等を示す側面図
【図20】試験体への載荷方法を示す正面図
【図21】(a)は試験体A1のH形鋼のせん断歪−せん断応力関係を示す図、(b)はCFH梁の試験体A2,A4〜A8の充填コンクリート部分が負担する単純平均せん断応力レベルを示す図
【図22】CFH梁のせん断パラメーターfと実験値との関係を示す図で、(a)は初期勾配、(b)は2次勾配、(c)は最大耐力時、(d)は第1折れ点、(e)は限界歪
【図23】CFH梁の低減係数βと4/(M/Qd+1)との関係を示す図
【図24】(a)〜(c)は、設計例2〜4のCFH梁のトリリニアカーブを示す図
【符号の説明】
11,21 H形鋼
11a,21a 上側のフランジ
11a,21a 上側のフランジの内面
11b,21b 下側のフランジの内側面
11c,21c ウェブ
11c,21c ウェブの表面
12 充填コンクリート
12a 充填コンクリートの先打ち部分
12b 充填コンクリートの後打ち部分
13 スラブ
13a スラブの縦鉄筋
13b スラブの横鉄筋
13c スラブコンクリート
14 溶接金網
15a,15b 歪ゲージ
15c 埋込金物
15d 測定治具
15e 変位計
31a,31b 載荷点
32a,32b 支点
A1 充填コンクリートのないH形鋼のみの試験体
A2〜A8 CFH梁の試験体
a せん断スパン
No.1 比較検討用試験体
No.2 負曲げ載荷用試験体
No.3〜No.5 CFH梁の試験体
Sd〜Sd スタッド

Claims (6)

  1. CFH梁の剛性・耐力評価方法において、充填コンクリートの平均せん断応力τとH形鋼ウェブのせん断歪γとの関係をトリリニアモデルに縮約し、H形鋼の内面に溶接された全スタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおけるH形鋼のフランジ内面の面積の2倍で除した値を第1せん断パラメーターfとし、H形鋼の引張側のフランジ内面に溶接されたスタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおける引張側のフランジ内面の面積で除した値を第2せん断パラメーターとし、第1せん断パラメーターf値の0及び0〜4の範囲内の複数の値とトリリニアモデルの1次勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値とを対応させ、かつ第2せん断パラメーター値の0及び0〜4の範囲内の複数の値とトリリニアモデルの第1折れ点、3次勾配及び限界歪の評価値とを対応させ、多数の試験体の曲げせん断実験から得た実験値の主なものを使って、前記1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、かつ第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点及び第2折れ点の評価値を定め、前記せん断パラメーターと評価値を用いてCFH梁の剛性・耐力を評価することを特徴とするCFH梁の剛性・耐力評価方法。
  2. CFH梁の剛性・耐力評価方法において、充填コンクリートの平均せん断応力τとH形鋼ウェブのせん断歪γとの関係をトリリニアモデルに縮約し、H形鋼の内面に溶接された全スタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおけるH形鋼のフランジ内面の面積の2倍で除した値を第1せん断パラメーターfとし、H形鋼の引張側のフランジ内面に溶接されたスタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおける引張側のフランジ内面の面積で除した値を第2せん断パラメーターとし、表1に示すように、第1せん断パラメーターf値とトリリニアモデルの1次勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値とを対応させ、かつ第2せん断パラメーター値とトリリニアモデルの第1折れ点、3次勾配及び限界歪の評価値とを対応させ、多数の試験体の曲げせん断実験から得た実験値の主なものを使って、前記1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、かつ第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点及び第2折れ点の評価値を定め、前記せん断パラメーターと評価値を用いてCFH梁の剛性・耐力を評価することを特徴とするCFH梁の剛性・耐力評価方法。
    Figure 2005016279
  3. CFH梁の剛性・耐力評価方法において、充填コンクリートの平均せん断応力τとH形鋼ウェブのせん断歪γとの関係をトリリニアモデルに縮約し、H形鋼の内面に溶接された全スタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおけるH形鋼のフランジ内面の面積の2倍で除した値を第1せん断パラメーターfとし、H形鋼の引張側のフランジ内面に溶接されたスタッドの合計せん断耐力をCFH梁のせん断スパンにおける引張側のフランジ内面の面積で除した値を第2せん断パラメーターとし、表2に示すように、第1せん断パラメーターf値とトリリニアモデルの1次勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値とを対応させ、かつ第2せん断パラメーター値とトリリニアモデルの第1折れ点、3次勾配及び限界歪の評価値とを対応させ、多数の試験体の曲げせん断実験から得た実験値の主なものの平均値を使って、前記1次勾配、2次勾配、3次勾配及び限界歪の評価値を定め、第1折れ点と第2折れ点とのH形鋼ウェブのせん断歪γに対応する充填コンクリートの平均せん断応力τを充填コンクリートの材料圧縮強度σにて除して第1折れ点及び第2折れ点の評価値を定め、かつ1次勾配、2次勾配及び第2折れ点の評価値に低減係数βを乗じ、前記せん断パラメーターと低減係数βを乗じた評価値及び又はその他の評価値を用いてCFH梁の剛性・耐力を評価することを特徴とするCFH梁の剛性・耐力評価方法、ただし、低減係数β=1.25d/a+0.25、aはCFH梁のせん断スパン、dはH形鋼のウェブの内法高さである。
    Figure 2005016279
  4. H形鋼のウェブの内法高さdとCFH梁のせん断スパンaとの比d/aが0.219≦d/a≦0.600であることを特徴とする請求項3記載のCFH梁の剛性・耐力評価方法。
  5. H形鋼のフランジ及びウェブの材料降伏応力度σが、283≦σ≦386(N/mm)であり、充填コンクリートの材料圧縮強度σが、14.7≦σ≦35.2(N/mm)であることを特徴とする請求項3又は4記載のCFH梁の剛性・耐力評価方法。
  6. CFH梁のH形鋼のフランジの厚さtとH形鋼のフランジの内面幅bとの比t/bが、0.0500≦t/b≦0.0629であり、CFH梁のH形鋼のウェブの厚さtとH形鋼のウェブの内法高さdとの比t/dが、0.0213≦t/d≦0.0370であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つの項記載のCFH梁の剛性・耐力評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010203139A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Takenaka Komuten Co Ltd 合成梁、建築物、及び合成梁の施工方法
CN115434424A (zh) * 2021-11-19 2022-12-06 宁波大学 一种钢管混凝土加劲x型节点构造和承载方法

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