JP2005014770A - 海上の操業体に対するコンテンツの供給システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】海上おいて所定の操業を行う操業体1(漁船FB)と、これら操業体1と港2との間を往復する運搬船3(TB)とを備え、操業体1及び運搬船3(TB)にはコンピュータPCを各別に設け、運搬船3(TB)が港2に寄港したときに電子化されたコンテンツCTを情報伝達手段により受け取る段階と、該コンテンツCTを運搬船3(TB)のコンピュータ4に記憶する段階と、海上において、運搬船3(TB)のコンピュータ4と操業体1(漁船FB)のコンピュータ5との間でLANを構築する段階と、該LANにより、操業体1(漁船FB)が運搬船3(TB)から上記コンテンツCTを受け取る段階とを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海上において長期間、所定の操業を行う操業体1に対して電子化されたコンテンツCTを簡便に供給する海上の操業体1に対するコンテンツCTの提供システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
海上において長期間、操業する操業体には、たとえば、遠洋で行う遠洋漁業或いは近海で行う近海漁業の漁船団における漁船がある。
【0003】
このような漁船団は、1〜数ヶ月の間、海上において漁業を行う数隻の漁船と、これら漁船が収穫した漁獲物を所定の港まで運搬するとともに上記漁船に生活物資を運搬する運搬船と、から構成される。
【0004】
遠洋漁業又は近海漁業に従事する船員にとって、得たい情報は多種多様なものがある。
【0005】
たとえば、最新のニュースは勿論のこと、家族などからの手紙、或いは新しい映画、音楽などのコンテンツも、長期間、海上で従事する船員にとって得たい情報である。
【0006】
そこで、従来、これら各種コンテンツ(ニュース、映画、音楽など)は、通常、運搬船が港に寄港したときに、生活物資とともに新聞、雑誌、ビデオテープ、音楽用記録ディスクなどの物品を運搬船に積み込み、これを漁船団が待つ海上に戻ったときに、各漁船に受け渡すことが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような新聞、雑誌、ビデオテープ、記録ディスクなどは海上の操業体(漁船)の従事者(船員)からあらかじめ受注しておいたものでしかない。たとえば、「A」というタイトルのビデオテープを発注した者は、「A」というタイトルのビデオテープしか入手することができず、最早選択の余地はない。ところが、発注後、別のタイトルのビデオテープを見たくなる場合もある。また、別のタイトルが思い浮かばなくても、多数のものを見せられれば、その中から選択することにより「見てみたい」という欲求を満足させることができる場合もある。
【0008】
このように、従来はあらかじめ発注した物品しか入手できず、従事者の潜在的な欲求を満たすことはできないという問題があった。
【0009】
また、特に、新聞、雑誌などの物品は、所定の容積、重量を有し、運搬には多大な労力を有するという問題がある。
【0010】
なお、これらの新聞、雑誌、ビデオテープ、記録ディスクなど内容(コンテンツ)は、たとえば、漁船に通信端末機を搭載し、衛星デジタル通信サービスによりこれらのコンテンツの配信を受けるということも考えられる。
【0011】
しかし、衛星デジタル通信サービスでの通信は高額であるとともに、通信速度が遅いという問題があり、実際には、緊急時の連絡などにしか使用されていないのが現状である。
【0012】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、長期間海上で操業する操業体(漁船)の従事者(船員)の潜在的な欲求を満足させることができるとともに、運搬を簡便にするできる海上の操業体に対するコンテンツの供給システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムは、海上おいて所定の操業を行う操業体(1)と、これら操業体(1)が待つ海上と港(2)との間を往復する運搬船(3)とを備え、操業体(1)及び運搬船(3)にはコンピュータを各別に設け、運搬船(3)が港(2)に寄港したときに電子化されたコンテンツ(CT)を情報伝達手段により受け取る段階と、該コンテンツ(CT)を運搬船(3)のコンピュータ(4)に記憶する段階と、海上において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と操業体(1)のコンピュータ(5)との間でLANを構築する段階と、該LANにより、操業体(1)が運搬船(3)から上記コンテンツ(CT)を受け取る段階とを、有することを特徴とする。
【0014】
この本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムによれば、海上において運搬船(3)から操業体(1)に電子化したコンテンツ(CT)を受け渡すようにしたので、従来の新聞、雑誌などによる情報量に比較して大量の情報を受け渡すことができる。また、このことは、操業体(1)の従事者が発注したものより遙かに大量のコンテンツ(CT)を提示することができ、上記従事者は提示されたコンテンツ(CT)の中から自分が欲するもののみを選択することができ、従事者の潜在的な欲求を満たすことができる。
【0015】
また、別の本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムは、海上おいて所定の操業を行う操業体(1)と、これら操業体(1)が待つ海上と港(2)との間を往復する運搬船(3)とを備え、操業体(1)及び運搬船(3)にはコンピュータ(5、4)を各別に設け、運搬船(3)が港(2)に寄港したときに電子化されたコンテンツ(CT)を情報伝達手段により交換する段階と、該コンテンツ(CT)を運搬船(3)のコンピュータ(4)に記憶する段階と、海上において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と操業体(1)のコンピュータ(5)との間でLAN(Local Area Network)を構築する段階と、該LANにより、操業体(1)が運搬船(3)から上記コンテンツ(CT)を交換する段階とを、有することを特徴とする。
【0016】
この別の本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムによれば、従来の新聞、雑誌などによる情報量に比較して大量の情報を受け渡すことができ、操業体(1)の従事者が発注したものより遙かに大量のコンテンツ(CT)を提示することができるため、上記従事者は提示されたコンテンツ(CT)の中から自分が欲するもののみを選択することができ、従事者の潜在的な欲求を満たすことができるとともに、従事者側からも電子メール文、或いはデジタルカメラで撮影した画像データなどを運搬船(3)のコンピュータ(4)に送信することができ、双方向の通信が可能となる。
【0017】
また、電子化したコンテンツ(CT)を操業体(1)の従事者に提供するため、新聞、雑誌などのような物品のように所定の容積、重量がなく、運搬に多大な労力を必要とすることがない。
【0018】
さらに、衛星デジタル通信サービスを使用しないので、安価に、かつ、迅速に所望のコンテンツ(CT)を提供することができる。
【0019】
海上で操業する操業体(1)が漁船団(FF)の漁船(FB)であり、運搬船(3)が主に漁船(FB)が収穫した漁獲物を港(2)に運搬する運搬船(3)であるようにすると、漁船(FB)の船員に対して大量のコンテンツ(CT)を供給することができ、漁船(FB)内における生活環境の改善に貢献することができる。
【0020】
運搬船(3)が寄港する港(2)に所定のコンピュータが設けられ、運搬船(3)が港(2)に寄港したときに、運搬船(3)のコンピュータ(4)と港(2)のコンピュータとの間でLANを構築し、該LANが、運搬船(3)が港(2)において上記コンテンツ(CT)を受け取る情報伝達手段であるようにすると、港(2)に設けられたコンピュータと運搬船(3)のコンピュータ(4)との間でなされるコンテンツ(CT)の伝達を容易に行うことができる。
【0021】
運搬船(3)が寄港した港(2)において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と港(2)のコンピュータとの間で構築されるLANが無線型LANであるようにすると、港(2)に設けられたコンピュータと運搬船(3)のコンピュータ(4)との間でなされるコンテンツ(CT)の伝達をさらに容易に行うことができる。
【0022】
海上において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と操業体(1)のコンピュータ(5)との間で構築されるLANが無線型LANであるようにすると、運搬船(3)に設けられたコンピュータ(4)と漁船(FB)のコンピュータ(5)との間でなされるコンテンツ(CT)の伝達を容易に行うことができる。
【0023】
運搬船(3)のコンピュータ(4)と漁船(FB)のコンピュータとの間で構築されるLANがサーバ型LANであり、運搬船(3)のコンピュータ(4)がサーバコンピュータ(server computer)として、各漁船(FB)のコンピュータ(5)がクライアントコンピュータ(client computer)としてそれぞれ機能し、上記サーバコンピュータにサイトを開設して、各クライアントコンピュータが上記サーバコンピュータのサイトを閲覧して、所定のコンテンツ(CT)を受け取るようにすることにより、各漁船(FB)の船員が要求するコンテンツ(CT)のみを伝達することができ、伝達する情報量の適正化を図ることができ、より迅速な伝達を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい各実施の形態を図面を参照して説明する。図1乃至図4は実施の形態を説明するための概略図である。
【0025】
この実施の形態にかかる海上の操業体に対するコンテンツの供給システムは、海上おいて所定の操業を行う操業体1と、これら操業体1と港2との間を往復する運搬船3とを備え、操業体1及び運搬船3にはコンピュータを各別に設け、運搬船3が港2に寄港したときに電子化されたコンテンツCTを情報伝達手段により受け取る段階と、該コンテンツCTを運搬船3のコンピュータ4に記憶する段階と、海上において、運搬船3のコンピュータ4に記憶された上記コンテンツCTを情報伝達手段により操業体1のコンピュータ5に受け渡す段階とを、有する(図1参照)。
【0026】
操業体1としては、漁船団FFにおける漁船FBや海底油田を採掘する油田基地、海底ガス田を採掘するガス田基地などの海上の油田、ガス田基地設備などがある。操業体1が漁船FBである場合、その所定の操業とは文字通り「漁業」であり、また、操業体1が海上の油田、ガス田などの基地設備である場合には、その所定の操業とは、油田の採掘、ガス田の採掘となる。
【0027】
運搬船3は、操業体1に対して生活物資などを港2から運搬することが主な目的であり、その船舶の大きさ、形態などについては限定されるものではない。また、後述する実施例にかかる漁船団FFにおける運搬船TBにあっては、生活物資の運搬の他、漁船FBにより収穫した漁獲物を港2に運搬することをその業務にする。なお、運搬船3は、母船漁業において仲積船を含む概念である。
【0028】
操業体1に設けるコンピュータCとしては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)が主であるが、電子化された情報(コンテンツCT)の受け渡しが可能な通信端末機などでも良い。
【0029】
運搬船3に設けるコンピュータCとしては、上記操業体1に設けるコンピュータCと同様にパーソナルコンピュータPCが考えられるが、より多くの情報を記憶するためには、いわゆるワークステーションWSの方が好ましい。
【0030】
また、コンテンツCTとしては、たとえば、ニュース(一般ニュース、スポーツニュース、経済ニュースなど)、気象情報、水産庁からの情報、TV番組、映画、音楽、各種教材、電子ブック(e−book)などが考えられる。これらのコンテンツCTは操業体1で従事する従事者共通のコンテンツCTとして提供される。この他、特定人向けに、電子メール(e−mail)、ビデオレターなどを電子化してコンテンツCTとし、これらを所定の人のみに、提供(配信)するようにしても良い。
【0031】
特に、近年、パーソナルコンピュータPC或いは携帯電話機による電子メールの授受が一般化しているが、操業体1の従事者がメールサーバで受けた電子メールを海上において直接受信することができない。このような電子メールを上記コンテンツCTに含めることにより、従事者が海上において自分への電子メールを読むことができる。
【0032】
また、従事者は受け取った電子メールに対する返信または新規に電子メールを送信したい、或いはデジタルカメラで撮影した画像データなどを送りたい場合もあり、その場合は、従事者側からも電子メール文或いは画像データをコンテンツCTとしてこれを運搬船3に受け渡す。そして、運搬船3により上記港2まで搬送し、これを該港2に渡して、そこからインターネット上に送信するようにすることもできる。すなわち、運搬船3と操業体1との間においては、コンテンツCTを交換する(受け渡す)ことになる。
【0033】
電子化されたコンテンツCTを情報伝達手段により受け取る段階としては(図2参照)、電子化されたコンテンツCTを記憶媒体に記録したもの、たとえば、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disc)、MO(Magneto Optical disk)などを港2から受け取ることが考えられる。或いはコンピュータに設けられるHDD(Hard Disk Drive)を脱着型とし、新規コンテンツCTを記録したHDDを港2に用意しておき、該HDDと運搬船3のコンピュータ4のHDDとを交換するようにしても良い。なお、上記記憶媒体は、ディスク状記憶媒体に限らず、テープ状記憶媒体、或いはフラッシュメモリタイプの記録メディアであっても良い。現時点では記憶容量が少ないが、コンパクトフラッシュ(CF:CompactFlash:サンディスク コーポレイションの登録商標 )、スマートメディア(SM:SmartMedia:株式会社東芝の登録商標)も将来的には考えられる記憶媒体である。
【0034】
また、港2にコンピュータCを設け、該港2のコンピュータCと運搬船3のコンピュータ4とを有線又は無線で接続して上記コンテンツCTを伝送することにより、電子化されたコンテンツCTを運搬船3のコンピュータCで受け取るようにしても良い。
【0035】
上記コンテンツCTを運搬船3のコンピュータ4に記憶する段階としては(図3参照)、たとえば、上記各種記憶媒体の場合には、コンテンツCTが記憶された記憶媒体を運搬船3のコンピュータ4の対応するドライブ装置に装填して、記憶されたコンテンツCTを当該コンピュータCでアクセス可能にすることが考えられる。また、上記各種記憶媒体を対応するドライブ装置に装填後、これに記憶されたコンテンツCTを当該コンピュータ内のHDDなどに転送し、記憶するようにしても良い。
【0036】
さらに、脱着式のHDDを交換する場合には、交換したHDDを運搬船3のコンピュータ4に装填すればよい。またさらに、上述した有線又は無線によりコンテンツCTを伝送する場合には、伝送と同時に運搬船3のコンピュータ4にコンテンツCTが記憶されることになる。
【0037】
海上において、運搬船3のコンピュータ4と操業体1のコンピュータ5との間でLANを構築する段階には(図4参照)、たとえば、無線によるLANが考えられる。なお、無線型LANは一般に、Ethernet規格の一部である「IEEE 802.11b」規格或いは「IEEE 802.11a」規格のことを指す場合が多いが、いわゆるブルートゥース(Bluetooth:ザ ブルートゥース エスアイジー インコーポレーテッド の登録商標)であっても良いし、また、赤外線通信(IrDA:Infrared Data Association)であっても良い。
【0038】
このLANは運搬船3のコンピュータ4に記憶されたコンテンツCTを操業体1のコンピュータ5に転送するための手段であり、無線型LANに限らず、有線型のLANであっても良いことは勿論である。
【0039】
また、LANの形態としは、サーバ型LANでも、Peer to Peer型LANであっても良い。操業体1が複数の場合にはLANの形態をサーバ型LANとし、運搬船3のコンピュータ4をサーバコンピュータとし、操業体1のコンピュータ5をクライアントコンピュータとすることが好ましい。
【0040】
LANにより、操業体1のコンピュータ5が運搬船3のコンピュータ4から上記コンテンツCTを受け取る段階とは、たとえば、両コンピュータ4、5間で構築されたLAN内で運搬船3のコンピュータ4に記憶されたコンテンツCTを共通リソースとして、操業体1のコンピュータ5からのアクセスによりに操業体1のコンピュータ5内に上記コンテンツCTを受け取ることが考えられる。このほか、運搬船3のコンピュータ4において、所定のサイトを開設し、該サイトに操業体1のコンピュータ5からアクセスして、上記コンテンツCTを操業体1のコンピュータ5で受け取ることも考えられる。
【0041】
しかして、上記実施の形態にかかる海上の操業体に対するコンテンツの供給システムによれば、海上において運搬船3から操業体1に電子化したコンテンツCTを受け渡すようにしたので、従来の新聞、雑誌などによる情報量に比較して大量の情報を受け渡すことができ、このことは、操業体1の従事者が発注したものより遙かに大量のコンテンツCTを提供することができ、上記従事者の潜在的な要求を満たすことができる。
【0042】
また、電子化したコンテンツCTを操業体1の従事者に提供するため、新聞、雑誌などのような物品のように所定の容積、重量がなく、運搬に多大な労力を必要とすることがない。
【0043】
さらに、衛星デジタル通信サービスを使用しないので、安価に、かつ、迅速に所望のコンテンツCTを入手することができる。
【0044】
【実施例】
図5乃至図7は上記実施の形態にかかる具体的な実施例を説明するための概略図である。この実施例は、操業体1が漁船団FFの漁船FBであり、所定の操業とは漁業で、運搬船TBが漁船団FFの漁獲物を漁港FPに運搬するとともに、漁船FBに必要な生活物資を運搬するものについて説明する。
【0045】
まず、このような漁船団方式の漁業の概要について説明する(図5参照)。
【0046】
漁船団FFは、海上にて漁獲物を収穫する複数の漁船FBと、漁船FBで収穫した漁獲物を漁港FPに運搬するとともに、海上の各漁船FBに生活物資を運搬する運搬船TBとで構成される(図5参照)。
【0047】
漁船団FFは、各漁船FBが海上において適宜離間した漁場で、各別に或いは共同して操業し、水産物を収穫する。収穫した漁獲物は漁船FBから運搬船TBに荷役され、漁獲物を満載した運搬船TBは漁港FPに運搬してこれを陸揚げする。陸揚げ時に、後述するように、生活物資とともに、電子化されたコンテンツCTを漁港FPに設けられたコンピュータCから受け取る(図6参照)。
【0048】
次に、漁獲物を漁港FPに陸揚げし、生活物資及び所望のコンテンツCTを積み込んだ運搬船TBは、漁船団FFが待つ海上に戻って、上記生活物資を各漁船FBに受け渡すとともに、上記コンテンツCTの受け渡しを行う(図7参照)。
【0049】
漁船団FFが操業する漁場は、その操業する漁獲物によって異なり、たとえば、あじ・さばの巻網漁業の場合は、漁船FBが漁港FPから1日くらい離間した海上において約1ヶ月間操業する。そして、運搬船TBは、海上の漁場と漁港FPとを往復して、漁獲物及び生活物資の運搬を行う。なお、本発明はあじ・さばの巻網漁業に限らず、母船式のサケ・マス漁業、母船式のマグロのはえなわ漁業など遠洋の漁場において数ヶ月、或いは1年間くらいを海上において漁船FBが操業するものにも適用できることは勿論である。
【0050】
運搬船TBは、通常2〜3隻で、漁船FBが操業する海上の漁場と漁港FPとの間を交互で往復する。運搬船TBの隻数は漁船団FFの規模、漁港FPからその漁場までの距離などにより異なる。
【0051】
そして、漁船団FFのが目的とする操業、たとえば、あじ・さばの巻網漁業にあっては、漁場において各漁船FBが収穫した漁獲物を海上にて運搬船TBに移し替え、運搬船TBが海上から漁港FPに運搬する。漁港FPにおいて、運搬船TBは漁港FPに運搬してきた漁獲物を陸揚げするとともに、海上の漁船FBに必要な生活物資を積み込み、再び、漁船団FFが操業する海上に戻る。
【0052】
その規模にもよるが、通常、漁港FPにおいて運搬船TBから漁獲物を陸揚げするのに通常2時間くらい、また、海上において漁船FBから運搬船TBに漁獲物を移し替えるのにも2時間くらいを要する。
【0053】
次に、港2において運搬船TBがコンテンツCTを受け取る段階及び運搬船TBのコンピュータ4にコンテンツCTを記憶する段階について具体的に説明する(図6参照)。
【0054】
運搬船TBが漁獲物を水揚げする港である漁港FPの施設、たとえば、漁業協同組合(以下、「漁協」という。)FCの施設には、コンピュータCが設けられている。このコンピュータCは、大量のコンテンツCTを記憶する必要があるため、記憶容量が大きく、また、高速なコンピュータであるワークステーション(WS:work station)が好適である。特に、複数の漁船団FFに対してコンテンツCTを提供する場合にはさらに大量の情報量を取り扱うことになるため、ワークステーションWSが有効である。勿論、このコンピュータCにいわゆるパーソナルコンピュータ(PC:personal computer)を用いても良いのは当然である。
【0055】
また、上記港2としては漁港FPに限らず、漁船団FFの拠点の港である母港であっても良いことは勿論である。
【0056】
このワークステーションWSには、種々のコンテンツCT、たとえば、ニュース(一般ニュース、スポーツニュース、経済ニュースなど)、気象情報、水産庁からの情報、TV番組、映画、音楽、各種教材、電子ブック(e−book)などの不特定人を対象とするコンテンツCTの他、特定人向けの、電子メール(e−mail)、ビデオレターなどのコンテンツCTを電子化して記憶されている。なお、特定人向けのコンテンツCTについては、これらを提供する家族、友人などから預かり電子化してワークステーションWSに記憶することが考えられる。また、この他、各漁船FBのパーソナルコンピュータPCのコンピュータウィルス感染を防止するため、ウィルスパターンファイルを上記コンテンツCTとして含めても良い。
【0057】
また、運搬船TBにも、コンピュータCが設けられている。このコンピュータCも、複数の漁船FBが利用するコンテンツCTを記憶するため、記憶容量が大きく、また、高速なコンピュータであるワークステーションWSが好ましいが、勿論、パーソナルコンピュータPCであっても良いのは当然である。
【0058】
そして、運搬船TBが漁港FPに寄港し、漁獲物を陸揚げしているときに、漁協FCのワークステーションWSと運搬船TBのパーソナルコンピュータPCとの間でLANを構築する。
【0059】
あらかじめ、漁協FCのワークステーションWSには所定のコンテンツCTが記憶されており、運搬船TBのパーソナルコンピュータPCとの間でLANが構築されたときに、漁協FCのワークステーションWSをサーバとして、運搬船TBのパーソナルコンピュータPCに上記コンテンツCTが伝達される。
【0060】
運搬船TBのパーソナルコンピュータPCに伝達されたコンテンツCTは当該パーソナルコンピュータPCに即座に記憶される。
【0061】
なお、漁協FCのワークステーションWSと運搬船TBのパーソナルコンピュータPCとの間で構築されるLANは無線型LANでも良いし、また、有線型のLANであっても良い。
【0062】
そして、上述したように、運搬船TBから漁獲物を荷役するのに約2時間を要するため、その間に上記コンテンツCTの伝達を行う。なお、このとき、漁船FBが必要とする生活物資も運搬船TBに積み込まれる(図6参照)。
【0063】
運搬船TBのパーソナルコンピュータPCに記憶された上記コンテンツCTは運搬船TBにより港2から漁船団FFが待つ海上に運搬される。
【0064】
次に、海上において漁船FBが運搬船TBからコンテンツCTを受け取る段階について具体的に説明する(図7参照)。
【0065】
各漁船FBには、パーソナルコンピュータPCが設けられている。なお、図面では漁船FB内に1つのパーソナルコンピュータPCを描画したが、各船員が各別のパーソナルコンピュータPCを所持するようにしても良い。
【0066】
漁船団FFが待つ海上に運搬船TBが到着すると、運搬船TBと漁船FBとを接玄して、運搬してきた生活物資を漁船FBに荷役するとともに、漁船FBが収穫した漁獲物を運搬船TBに荷役する(図7参照)。
【0067】
また、このとき、運搬船TBのパーソナルコンピュータPCと各漁船FBのパーソナルコンピュータPCとの間でLANを構築する(図7参照)。
【0068】
なお、運搬船TBのパーソナルコンピュータPCと漁船FBのパーソナルコンピュータPCとの間で構築されるLANは無線型LANでも良いし、また、有線型のLANであっても良い。
【0069】
また、LANの形態としは、サーバ型LANでも、Peer to Peer型LANであっても良い。漁船FBが複数の場合にはLANの形態をサーバ型LANとし、運搬船TBのコンピュータPCをサーバコンピュータにし、各漁船FBのコンピュータPCをクライアントにする。
【0070】
そして、各漁船FBは所望するコンテンツCTを運搬船TBのパーソナルコンピュータPCから伝達することにより入手することができる。
【0071】
なお、各コンテンツCTを入手する方法として、運搬船TBのパーソナルコンピュータPCをサーバコンピュータとしてサイトを開設して、各漁船FBのパーソナルコンピュータPCをクライアントコンピュータとして上記サーバコンピュータのサイトを閲覧するようにすることが考えられる。
【0072】
このようにすることにより、各漁船FBが所望するコンテンツCTのみを運搬船TBのパーソナルコンピュータPCに対して要求して配信を受けることができる。また、特定人へのコンテンツCTについては、あらかじめ、ID(identification)及び/又はパスワードを設定しておき、そのID及び/又はパスワードの入力により閲覧可能とすることが考えられる。
【0073】
また、上記所望するコンテンツCTの配信を受けるときに、各漁船FB毎或いは、漁船FB内における各従事者毎に対して課金をするようにすることも考えられる。
【0074】
なお、運搬船TBのパーソナルコンピュータPCに記憶されたすべてのコンテンツCTを各漁船FBのパーソナルコンピュータPCがダウンロードしてから、各個人ユースの段階で所望のコンテンツCTを入手するようにしても良い。
【0075】
しかして、上記実施例にかかる漁船FBに対するコンテンツCTの供給システムによれば、電子化したコンテンツCTを海上の漁船FBに供給するため、大量の情報を海上まで運搬することができ、各漁船FBの受注量以上の情報、すなわち、船員の潜在的な欲求をも満たすことができる量の情報を供給することができる。
【0076】
また、そのために物理的な容積、重量を増やすことなく、運搬における労力の負担が増加させることもない。
【0077】
さらに、衛星デジタル通信サービスを利用しないので、安価に、かつ、迅速に所望のコンテンツCTを入手することができる。
【0078】
なお、上記実施例において、漁協FCのワークステーションWSと運搬船TBのパーソナルコンピュータPCとの間でLANを構築して接続し、電子化されたコンテンツCTの伝達を行うようにしたが、本発明はこれに限らず、たとえば、HDD、DVD、CDなどの記録媒体に上記コンテンツCTを記憶させ、これを、運搬船TBに積み込むようにしても良い。要は、本発明は電子化されたコンテンツCTを海上に運搬して、操業体1の従事者にLANを介して供給することにある。
【0079】
【発明の効果】
上述したように、本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムは、海上おいて所定の操業を行う操業体と、これら操業体が待つ海上と港との間を往復する運搬船とを備え、操業体及び運搬船にはコンピュータを各別に設け、運搬船が港に寄港したときに電子化されたコンテンツを情報伝達手段により受け取る段階と、該コンテンツを運搬船のコンピュータに記憶する段階と、海上において、運搬船のコンピュータと操業体のコンピュータとの間でLANを構築する段階と、該LANにより、操業体が運搬船から上記コンテンツを受け取る段階とを、有することを特徴とする。
【0080】
この本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムによれば、海上において運搬船から操業体に電子化したコンテンツを受け渡すようにしたので、従来の新聞、雑誌などによる情報量に比較して大量の情報を受け渡すことができる。また、このことは、操業体の従事者が発注したものより遙かに大量のコンテンツを提供することができ、上記従事者は提示されたコンテンツの中から自分が欲するもののみを選択することができ、従事者の潜在的な欲求を満たすことができる。
【0081】
また、別の本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムは、海上おいて所定の操業を行う操業体と、これら操業体が待つ海上と港との間を往復する運搬船とを備え、操業体及び運搬船にはコンピュータを各別に設け、運搬船が港に寄港したときに電子化されたコンテンツを情報伝達手段により交換する段階と、該コンテンツを運搬船のコンピュータに記憶する段階と、海上において、運搬船のコンピュータと操業体のコンピュータとの間でLAN(Local Area Network)を構築する段階と、該LANにより、操業体が運搬船から上記コンテンツを交換する段階とを、有することを特徴とする。
【0082】
この別の本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムによれば、従来の新聞、雑誌などによる情報量に比較して大量の情報を受け渡すことができ、操業体1の従事者が発注したものより遙かに大量のコンテンツを提示することができるため、上記従事者は提示されたコンテンツの中から自分が欲するもののみを選択することができ、従事者の潜在的な欲求を満たすことができるとともに、従事者側からも電子メール文、或いはデジタルカメラで撮影した画像データなどを運搬船のコンピュータに送信することができ、双方向の通信が可能となる。
【0083】
また、電子化したコンテンツを操業体の従事者に提供するため、新聞、雑誌などのような物品のように所定の容積、重量がなく、運搬に多大な労力を必要とすることがない。
【0084】
さらに、衛星デジタル通信サービスを使用しないので、安価に、かつ、迅速に所望のコンテンツを提供することができる。
【0085】
海上で操業する操業体が漁船団の漁船であり、運搬船が主に漁船が収穫した漁獲物を港に運搬する運搬船であるようにすると、漁船の船員に対して大量のコンテンツを供給することができ、漁船内における生活環境の改善に貢献することができる。
【0086】
運搬船が寄港する港に所定のコンピュータが設けられ、運搬船が港に寄港したときに、運搬船のコンピュータと港のコンピュータとの間でLANを構築し、該LANが、運搬船が港において上記コンテンツを受け取る情報伝達手段であるようにすると、港に設けられたコンピュータと運搬船のコンピュータとの間でなされるコンテンツの伝達を容易に行うことができる。
【0087】
運搬船が寄港した港において、運搬船のコンピュータと港のコンピュータとの間で構築されるLANが無線型LANであるようにすると、港に設けられたコンピュータと運搬船のコンピュータとの間でなされるコンテンツの伝達をさらに容易に行うことができる。
【0088】
海上において、運搬船のコンピュータと操業体のコンピュータとの間で構築されるLANが無線型LANであるようにすると、運搬船に設けられたコンピュータと漁船のコンピュータとの間でなされるコンテンツの伝達を容易に行うことができる。
【0089】
運搬船のコンピュータと漁船のコンピュータとの間で構築されるLANがサーバ型LANであり、運搬船のコンピュータがサーバコンピュータとして、各漁船のコンピュータがクライアントコンピュータとしてそれぞれ機能し、上記サーバコンピュータにサイトを開設して、各クライアントコンピュータが上記サーバコンピュータのサイトを閲覧して、所定のコンテンツを受け取るようにすることにより、各漁船の船員が要求するコンテンツのみを伝達することができ、伝達する情報量の適正化を図ることができ、より迅速な伝達を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2乃至図4とともに本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムの実施の形態を説明するためのものであり、本図は全体構成を示す概略図である。
【図2】港において運搬船がコンテンツを受け取る様子を示す概念図である。
【図3】運搬船において、コンテンツを記憶する様子を示す概念図である。
【図4】海上において、操業体が運搬船からコンテンツを受け取る様子を示す概念図である。
【図5】図6及び図7とともに本発明海上の操業体に対するコンテンツの供給システムを漁船団方式の漁業におけるコンテンツの供給システムに適用した実施例を示すものであり、本図は全体構成を示す概略図である。
【図6】漁港における漁協から運搬船がコンテンツを受け取る様子を示す概念図である。
【図7】海上において、各漁船が運搬船からコンテンツを受け取る様子を示す概念図である。
【符号の説明】
1…操業体
2…港
3…運搬船
4…コンピュータ(運搬船)
5…コンピュータ(操業体)
FF…漁船団
FB…漁船
TB…運搬船
FP…漁港
CT…コンテンツ
C…コンピュータ
WS…ワークステーション
PC…パーソナルコンピュータ
Claims (7)
- 海上おいて所定の操業を行う操業体(1)と、これら操業体(1)が待つ海上と港(2)との間を往復する運搬船(3)とを備え、
操業体(1)及び運搬船(3)にはコンピュータ(5、4)を各別に設け、
運搬船(3)が港(2)に寄港したときに電子化されたコンテンツ(CT)を情報伝達手段により受け取る段階と、
該コンテンツ(CT)を運搬船(3)のコンピュータ(4)に記憶する段階と、
海上において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と操業体(1)のコンピュータ(5)との間でLAN(Local Area Network)を構築する段階と、
該LANにより、操業体(1)が運搬船(3)から上記コンテンツ(CT)を受け取る段階とを、有する、ことを特徴とする海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。 - 海上おいて所定の操業を行う操業体(1)と、これら操業体(1)が待つ海上と港(2)との間を往復する運搬船(3)とを備え、
操業体(1)及び運搬船(3)にはコンピュータ(5、4)を各別に設け、
運搬船(3)が港(2)に寄港したときに電子化されたコンテンツ(CT)を情報伝達手段により交換する段階と、
該コンテンツ(CT)を運搬船(3)のコンピュータ(4)に記憶する段階と、
海上において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と操業体(1)のコンピュータ(5)との間でLAN(Local Area Network)を構築する段階と、
該LANにより、操業体(1)が運搬船(3)から上記コンテンツ(CT)を交換する段階とを、有する、ことを特徴とする海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。 - 海上で操業する操業体(1)が漁船団(FF)の漁船(FB)であり、運搬船(3)が主に漁船(FB)が収穫した漁獲物を港(2)に運搬する運搬船(3)である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。
- 運搬船(3)が寄港する港(2)に所定のコンピュータが設けられ、
運搬船(3)が港(2)に寄港したときに、運搬船(3)のコンピュータ(4)と港(2)のコンピュータとの間でLAN(Local Area Network)を構築し、
該LANが、運搬船(3)が港(2)において上記コンテンツ(CT)を受け取る情報伝達手段である、ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載した海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。 - 運搬船(3)が寄港した港(2)において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と港(2)のコンピュータとの間で構築されるLAN(Local Area Network)が無線型LANである、ことを特徴とする請求項4に記載した海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。
- 海上において、運搬船(3)のコンピュータ(4)と操業体(1)のコンピュータ(5)との間で構築されるLAN(Local Area Network)が無線型LANである、ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載した海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。
- 運搬船(3)のコンピュータ(4)と漁船(FB)のコンピュータとの間で構築されるLAN(Local Area Network)がサーバ型LANであり、運搬船(3)のコンピュータ(4)がサーバコンピュータ(server computer)として、各漁船(FB)のコンピュータ(5)がクライアントコンピュータ(client computer)としてそれぞれ機能し、
上記サーバコンピュータにサイトを開設して、各クライアントコンピュータが上記サーバコンピュータのサイトを閲覧して、所定のコンテンツ(CT)を受け取るようにした、ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載した海上の操業体に対するコンテンツの供給システム。
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JP2003114919A (ja) * | 2001-10-02 | 2003-04-18 | Sanshin Ind Co Ltd | 小型船舶情報提供システム、コンピュータ、プログラム、小型船舶に関する情報提供方法 |
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