JP2005010065A - 崩落検知システム、および崩落検地方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い斜面での崩落を測定範囲としながら、同時に狭い範囲で崩落発生場所が容易に特定できる崩落検知システムを提供する。
【解決手段】平面反射鏡Rと回帰反射鏡Qとを組み合わせた複数のミラー・リフレクタMR1〜MR5をレーザ光源1sから送信したレーザ光が複数のミラー・リフレクタを巡回して反射し、光受信器1rrで受信するように山の斜面に設置して、レーザ光源1sから送信されたレーザ光の回帰反射光を受信するまでの時間を測定し、前記回帰反射鏡Qからの反射信号が受信できなくなると、前記回帰反射鏡Qのうち、少なくとも最短の前記反射時間に該当する回帰反射鏡が取り付けられた前記ミラー・リフレクタMRの設置位置に崩落が発生したと判断する。
【選択図】 図1
【解決手段】平面反射鏡Rと回帰反射鏡Qとを組み合わせた複数のミラー・リフレクタMR1〜MR5をレーザ光源1sから送信したレーザ光が複数のミラー・リフレクタを巡回して反射し、光受信器1rrで受信するように山の斜面に設置して、レーザ光源1sから送信されたレーザ光の回帰反射光を受信するまでの時間を測定し、前記回帰反射鏡Qからの反射信号が受信できなくなると、前記回帰反射鏡Qのうち、少なくとも最短の前記反射時間に該当する回帰反射鏡が取り付けられた前記ミラー・リフレクタMRの設置位置に崩落が発生したと判断する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、崩落検知システム、およびその崩落検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震、大雨等により山の斜面や崖等が地滑りや崩落すると、居住者に被害をおよぼすだけでなく、近隣の住居、施設、道路等が損壊するなどの恐れが有る。このような危険を回避するために、崩落を早期に、また小規模な状態のうちに検知する各種の装置が従来から使用されている。
【0003】
例えば、崩落が予想される斜面等にケーブル、光ファイバ等を設置し、そのケーブル等に流れる信号の変化や、断線等を検出して崩落を検知するものがある。
【0004】
この様なケーブル等を敷設する方法は、ケーブルを敷設した広い範囲での崩落を検知できるが、小範囲、もしくは細い流路で発生する崩落を検知しにくい欠点がある。
【0005】
そこで、斜面等にコーナーリフレクタの様な光反射板を複数個設置し、そのコーナーリフレクタに順次走査レーザ光を照射して、そのコーナーリフレクタ毎の受信反射光の強度や、受信反射光の受信時間等の変化を測定して、狭い範囲での崩落の発生をリモートセンシングするものがある。
【0006】
図7は、従来のレーザ光の反射を利用したリモートセンシングによる崩落検知システムの概念を表す構成図である。
【0007】
図7において、従来の崩落検知システムは、レーザ送受光部1X、制御部2X、判定部3X、走査部S、コーナーリフレクタP1〜P6から構成される。
【0008】
レーザ送受光部1X、制御部2X、判定部3X、走査部Sは、崩落測定の対象斜面CXから所定の距離だけ離れて、コーナーリフレクタP1〜P6が見通せる位置に設置される測定ステーションに据え付けられる。また、対象斜面CXで崩落が発生する確率が高いと予想される幾つかの位置にコーナーリフレクタP1〜P6が設置される。そして、レーザ送受光部1Xから送信されたレーザ光が、走査部Sにより走査され、順次コーナーリフレクタP1〜P6に照射される。
【0009】
この時、レーザ送受光部1Xには、制御部2Xによって各コーナーリフレクタP1〜P6に対する目標角度、および照射時間等が設定される。そして、各コーナーリフレクタP1〜P6から反射されたレーザ光の強度、反射レーザ光を受信するまでの経路伝搬時間等が判定部3Xで測定され、その測定値が予め用意される基準値から外れると、その外れた測定値を示すコーナーリフレクタの設置位置、又はその近傍で崩落が発生したと判定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
ところが、この特許文献1に記載された方法では、目標となるコーナーリフレクタにレーザ光を正確に照準する精密な光学制御が要求されるため、測定装置が高価になる問題があった。また、コーナーリフレクタの設置位置が悪く(例えば、図7のコーナーリフレクタP6)が、樹木や地形、構造物等によりレーザ送受光部1Xからのレーザ光が遮られることが発生すると、崩落が検出できなくなる問題があった。
【0011】
【特許文献1】特開2001―133299号公報(第5頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の崩落検知システムは、それぞれのコーナーリフレクタにレーザ光を正確に照準する精密性が要求されるため、測定装置が高価になる問題があった。また、広い区域にわたる崩落発生位置の検知を目的として複数のコーナーリフレクタを設置しても、その設置位置が樹木や地形、構造物等によりレーザ光が遮断されるような場所であった場合、その位置の崩落が検出できない問題があった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、広い斜面での崩落を測定範囲としつつ、その範囲を幾つかに区分して崩落発生を検知できる低コストの崩落検知システムおよびその崩落検知方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の崩落検知システムは、レーザ光送信器と、方向調整が可能な平面反射鏡と回帰反射鏡とを合わせ持ち、崩落の監視対象現場に設置される複数のミラー・リフレクタと、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタの間を予め定められた順序で前記平面反射鏡によって平面反射して巡回されたレーザ光を受信し、且つ、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタ毎に前記回帰反射鏡によって回帰反射されたレーザ光を受信する光受信器とを具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の崩落検地方法は、レーザ光送信器と、方向調整が可能な平面反射鏡と回帰反射鏡とを合わせ持ち、監視対象の崩落現場に設置される複数のミラー・リフレクタとを有する崩落検知方法であって、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタの間を予め定められた順序で前記平面反射鏡によって平面反射して巡回された前記レーザ光を受信し、レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタ毎に前記回帰反射鏡によって回帰反射された前記レーザ光を受信し、前記レーザ光送信器からの前記レーザ光が前記複数のミラー・リフレクタによって前記回帰反射されて受信するまでの反射受信時間を測定してテーブルに記憶し、前記ミラー・リフレクタの少なくとも1つから、前記回帰反射された前記レーザ光が受信できなくなった場合、前記テーブルを参照して特定できない前記ミラー・リフレクタの1つ又は全部の設置位置を崩落として検知することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の崩落検知システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1において、本発明の崩落検知システムは、レーザ送受光部1、制御部2、判定部3、テーブル4、コーナーリフレクタ付き反射鏡(以後、ミラー・リフレクタと称する。)MR1〜MR5から構成される。
【0019】
レーザ送受光部1、制御部2、判定部3は、崩落測定の対象斜面Cから所定の距離だけ離れて、ミラー・リフレクタMR1〜MR5が見通せる位置にある測定ステーション10に設置される。
【0020】
テーブル4は、レーザ送受光部1から送信されたレーザ光が各ミラー・リフレクタMR1〜MR5によって反射された時の、その反射信号の受信時間や受信強度等の受信データを記録した表である。
【0021】
ミラー・リフレクタMR1〜MR5は、対象斜面Cの中で崩落が発生する確率が特に高いと予想される幾つかの位置に設置される。
【0022】
図2は、レーザ送受光部1の機能要素を示すブロック図である。
【0023】
図2(a)において、レーザ送受光部1は、レーザ光源1s、ビームコリメータ1b、望遠鏡1ps、望遠鏡1pr、光受信器1rs、光受信器1rrから構成される。
【0024】
レーザ光源1sは、制御部2からの変調制御信号によって送信レーザ光を変調する。光受信器1rs、光受信器1rrは、ミラー・リフレクタMR1〜MR5から反射されたレーザ光を望遠鏡1ps、1prを介して受信すると、光電変換して電気信号に復調し、その測定信号を制御部2を経由して判定部3に出力する。
【0025】
判定部3は、上記光受信器1rs、1rrからの測定データを内部メモリ上のテーブル4に記憶すると共に、過去の測定データ、または所定の判定基準と実測した当該測定データとを比較して崩落等の異常を検出する。
【0026】
レーザ光源1sから出たレーザ光は、ビームコリメータ1bに入り、レーザビーム口径、広がり角度が設定される。例えば、レーザビーム口径は、ミラー・リフレクタの口径(例えば20cm)程度、広がり角度は、1mrad以下に制限される。
【0027】
望遠鏡1pは、ミラー・リフレクタMR1〜MR5からの反射レーザ光を受信、集光するもので、ここでは、ミラー・リフレクタMR1からの反射レーザ光を受信する望遠鏡1psと、ミラー・リフレクタMR5からの反射レーザ光を受信する望遠鏡1prが図示されている。そして、望遠鏡1ps、1prはそれぞれに光受信器1rs、1rrに接続されている。
【0028】
以上の図2(a)は、望遠鏡1psとビームコリメータ1bは、光学軸が平行な構造であるが、図2(b)の様に光学軸が同一の構造を持つものであっても良い。図2(b)では、望遠鏡1psの対物レンズとレーザ光源1sおよび光受信器1rsとの間にハーフミラーHm等を設けて送信光と受信光とに分合波し、望遠鏡1psとビームコリメータ1bの対物レンズが兼用される構成である以外の動作、機能等は図2(a)と同様である。なお、望遠鏡1psは、後述のようにミラー・リフレクタMR1を介してミラー・リフレクタMR1〜MR5に取り付けられたコーナーリフレクタQからの回帰反射レーザ光を受信する。
【0029】
図3は、ミラー・リフレクタMR1〜MR5の構造図である。
【0030】
図3において、ミラー・リフレクタMR1〜MR5は、図3(a)の様に平面鏡のミラーRとその平面鏡に取り付けられた複数のコーナーリフレクタQの集合体から構成される。このコーナーリフレクタQは、図3(a)の様に複数が取り付けられているが、図3(b)、図3(c)の様な構造をしていても良い。
【0031】
コーナーリフレクタQは、回帰反射鏡とも呼ばれ、どのような角度で入射した光に対しても、常に入射方向と正反対の方向に光路を折り返して反射するものである。各ミラー・リフレクタMR1〜MR5は、上下、左右の方向角度が調整可能に支柱等に取り付けられている。そして、ミラー・リフレクタMRnは、ミラーRに入射したレーザ光を受信すると、次のミラー・リフレクタMR(n+1)に向けて平面反射するよう調整される。
【0032】
図1において、ミラー・リフレクタMR1〜MR4では、入射したレーザ光の主要部分がミラーRに入射され、その入射角度に応じた反射レーザ光が次のミラー・リフレクタに出力するよう設置され、ミラー・リフレクタMR5ではレーザ送受信部1に出力するよう、各ミラーRの上下、左右の方向角度が調整されて設置される。
【0033】
即ち、レーザ送受光部1のビームコリメータ1bから発光されたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1に照準され、送信される。そして、ミラー・リフレクタMR1は、そのミラーRに入射したレーザ光を次のミラー・リフレクタMR2に平面反射し、同様にミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR3に平面反射し、ミラー・リフレクタMR3はミラー・リフレクタMR4に平面反射し、ミラー・リフレクタMR4はミラー・リフレクタMR5に平面反射する。そして、ミラー・リフレクタMR5に到達したレーザ光は、レーザ送受信部1に平面反射する。レーザ送受光部1は、望遠鏡1prを介して一巡した反射レーザ光を光受信器1rrによって受信する。光受信器1rrは、この受信信号を制御部2を介して判定部3に出力する。
【0034】
また、レーザ送受光部1のビームコリメータ1bから発光されたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1のコーナーリフレクタQに入射されると、そのまま入射方向であるレーザ送受光部1へ回帰反射する。また、ミラー・リフレクタMR1からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR2のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR1へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR1では、回帰反射したレーザ光をミラーRからレーザ送受光部1の望遠鏡1psを介して光受信器1rsへ平面反射する。
【0035】
同様にして、ミラー・リフレクタMR2からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR3のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR2へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR2では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1では平面反射したレーザ光をミラーRからレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0036】
同様にして、ミラー・リフレクタMR3からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR4のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR3へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR3では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR2へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1はレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0037】
同様にして、ミラー・リフレクタMR3からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR4のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR3へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR3では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR2へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1はレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0038】
同様にして、ミラー・リフレクタMR4からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR5のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR4へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR4では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR3へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR3はミラー・リフレクタMR2へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1はレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0039】
即ち、あるミラー・リフレクタMRn(nは1,2,3,4)に入射したレーザ光は、ミラーRによって次のミラー・リフレクタMR(n+1)に対して平面反射する割合がX%で、コーナーリフレクタQによって入射方向へ回帰反射する割合がY%である場合、反射損失等を無視するとX+Y=100%であるように反射する。
【0040】
従って、ミラー・リフレクタMR1〜MR5が設置された山の斜面に崩落、地滑り等が発生していないときは、レーザ送受後部1のレーザ光源1sから発せられたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1〜MR5の各ミラーRによって反射されたレーザ光が巡回して、レーザ送受光部1との距離に応じた時間差を持って光送受信器1rrに到達する。また、レーザ送受後部1のレーザ光源1sから発せられたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1〜MR5の各コーナーリフレクタQによって回帰反射されたレーザ光が、その後では平面反射されて、レーザ送受光部1との距離に応じた時間差を持って光送受信器1rsに到達する。
【0041】
一方、ミラー・リフレクタMR1〜MR5のいずれかの設置位置に崩落、地滑り等が発生すれば、レーザ送受後部1のレーザ光源1sから発せられたレーザ光は、崩落、地滑り等の発生でミラー・リフレクタが流出したり、ミラーRの方向が変わったミラー・リフレクタから、レーザ光の反射が途絶え、光送受信器1rrには平面反射されたレーザ光が到達しなくなる。一方、光送受信器1rsには、崩落、地滑り等の発生でミラー・リフレクタの流出等が免れたミラー・リフレクタからのみ回帰反射されたレーザ光が光送受信器1rsに到達することになる。
【0042】
光受信器1rsは、受信した反射レーザ光を光電変換し、その電気信号を判定部3に出力している。そして、判定部3は、回帰反射が受信できなくなったミラー・リフレクタのうちで、少なくとも、最短の受信時間に対応するミラー・リフレクタが設置された位置で崩落が発生している判断することが可能になる。
【0043】
このミラー・リフレクタMR1〜MR5からの反射受信時間の測定は、例えば、光送受信部1からのレーザ光をパルス化して送信し、そのパルス光がミラー・リフレクタMR1〜MR5の各コーナーリフレクタQで回帰反射され、光受信器1rsで受信されるまでのそれぞれの反射受信時間および受信強度が測定される。
【0044】
そして、光の伝搬速度と各ミラー・リフレクタMR1〜MR5からの反射受信時間により、レーザ送受光部1とミラー・リフレクタMR1〜MR5との距離が求まり、予めそれらの距離を記録しておけば、反射受信信号がどのミラー・リフレクタMR1〜MR5からの受信であるかを特定できる。
【0045】
なお、上記説明では、送信レーザ光にパルスレーザ光を用いる例を説明したが、レーザ光は、パルスレーザ光に限ることなく、連続レーザ光を周波数変調したFM−CW変調光等を用いて、反射受信時間や距離および受信強度等を測定してもよい。
【0046】
図4は、上記により判定部3で生成されたミラー・リフレクタMR1〜MR5の反射受信時間、および受信強度を示したテーブル4の一例を示す。
【0047】
図4(a)では、ミラー・リフレクタMR1〜MR5に対応して、それらの設置位置情報と、反射受信時間、受信強度、レベル変化の各情報がテーブル4上に記憶されている。
【0048】
したがって、ミラー・リフレクタの設置位置に地滑りや崩落が発生した場合、たとえば、図4(b)に示すように、ミラー・リフレクタMR3以降の回帰反射レーザ光が光受信器1rsで受信できなくなり、判定部3は、回帰反射レーザ光の受信信号の無いミラー・リフレクタMR3の設置位置で少なくとも崩落が発生していると特定することができる。なお、ミラー・リフレクタMR4、MR5では、地滑りや崩落が発生したと判断できるものではないので、不明として設定し対処する。
【0049】
また、このテーブル4のレーザ光の受信強度は、その受信強度が低下する割合が大きいミラー・リフレクタの設置場所は、崩落した、もしくは崩落の危険があると判定、もしくは予測してもよい。そして、この反射レーザ光に係わる測定時刻を記録しておくことにより、崩落時刻を判定することもできる。
【0050】
なお、この測定方法においては、例えば、ミラー・リフレクタMR2からミラー・リフレクタMR1へ回帰反射したレーザ光が、更にまたミラー・リフレクタMR1からミラー・リフレクタMR2へ回帰反射し、さらにミラー・リフレクタMR2からミラー・リフレクタMR1へ回帰反射したレーザ光がミラー・リフレクタMR1を経てレーザ光送受信部1に戻る繰り返し回帰反射レーザ光の漏れ部分がある。
【0051】
しかし、この漏れ部分にあたるレーザ光送受信部1に戻る受信光成分は、本来の反射光成分との強度差が大きく微弱であり、本来の受信信号が得られる時間以外のタイミングで受信される。したがって、判定部3では、受信信号にスレショルドを設けた強度判定を行い、スレショルド以下の信号を除去するか、または、テーブル4に記憶された所定の反射時間以外の受信信号を除去する等の手段により漏れ部分の信号を削除すればよい。
【0052】
また、例えばミラー・リフレクタMR2とミラー・リフレクタMR3の間に障害物があってレーザ光が遮られるとすれば、レーザ光のルートをレーザ送受光部1−ミラー・リフレクタMR1−MR2−MR4−MR3−MR5−レーザ送受光部1の光路順に変更する。
【0053】
また、崩落検知の方法として各ミラー・リフレクタMR1〜MR5からの光受信強度の変化を測定して、斜面の変化を予知しても良い。
【0054】
更に、本発明では光路の変更は、ミラー・リフレクタの照準方向を変更したことによる反射経路順序の変更だけでなく、レーザ送受光部1の構成を変更して、光受信器1rrの設置場所を光送受後部と独立させた構成として行ってもよい。
【0055】
即ち、図5、図6は、レーザ送受光部1の構成を変更した場合のシステム図、およびレーザ光送受部1の構成を示すブロック図である。
【0056】
レーザ光送受部1の光受信器1rr、望遠鏡1pr部分を光受信部1dとして分離独立して、ミラー・リフレクタMR5からの反射光を受信するよう構成する。この場合、光受信1dは、レーザ光送受部1の本体と離れて位置に設置され、光受信器1rrで電気信号に変換された測定信号が、ケーブル等により判定部3に接続される。この応用においても測定原理、動作等は、図1、図2の構成による場合と同様である。
【0057】
また、上記の測定と同時に送信パルス光が各ミラー・リフレクタMR1〜MR5の各ミラーRで平面反射され、光受信器1rrで受信されるまでのそれぞれの反射受光時間、および受信強度が測定され、判定部3にも出力されている。したがって、その受信時間から光路全体長の測定、また受信強度低下等から光路設定に影響を与えた地形の歪みが推定できるので、この測定結果から斜面の地滑りの変化を予知するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、障害物等で光路遮断がされないように山の斜面等に設置された複数のミラー・リフレクタで反射を繰り返したレーザ光を受信測定することにより、低コストで地滑り、崩落を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ光を用いた崩落検知システムの構成図。
【図2】レーザ送受光部の機能要素を示すブロック図。
【図3】ミラー・リフレクタMR1〜MR5の構造図。
【図4】ミラー・リフレクタからのレーザ光受信測定データを記憶するテーブルの一例。
【図5】本発明のレーザ光を用いた崩落検知システムの他の構成図。
【図6】レーザ送受光部の機能要素を示すブロック図。
【図7】従来のレーザ光を用いた崩落検知システムの概念の説明図。
【符号の説明】
1 レーザ送受光部
1d レーザ受光部
1s レーザ光源
1rr、1rs 光受信器
1b ビームコリメータ
1ps、1pr 望遠鏡
2 制御部
3 判定部
4 テーブル
10 測定ステーション
C 対象斜面
MR1〜MR5 ミラー・リフレクタ
Q コーナーリフレクタ
R ミラー
【発明の属する技術分野】
本発明は、崩落検知システム、およびその崩落検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震、大雨等により山の斜面や崖等が地滑りや崩落すると、居住者に被害をおよぼすだけでなく、近隣の住居、施設、道路等が損壊するなどの恐れが有る。このような危険を回避するために、崩落を早期に、また小規模な状態のうちに検知する各種の装置が従来から使用されている。
【0003】
例えば、崩落が予想される斜面等にケーブル、光ファイバ等を設置し、そのケーブル等に流れる信号の変化や、断線等を検出して崩落を検知するものがある。
【0004】
この様なケーブル等を敷設する方法は、ケーブルを敷設した広い範囲での崩落を検知できるが、小範囲、もしくは細い流路で発生する崩落を検知しにくい欠点がある。
【0005】
そこで、斜面等にコーナーリフレクタの様な光反射板を複数個設置し、そのコーナーリフレクタに順次走査レーザ光を照射して、そのコーナーリフレクタ毎の受信反射光の強度や、受信反射光の受信時間等の変化を測定して、狭い範囲での崩落の発生をリモートセンシングするものがある。
【0006】
図7は、従来のレーザ光の反射を利用したリモートセンシングによる崩落検知システムの概念を表す構成図である。
【0007】
図7において、従来の崩落検知システムは、レーザ送受光部1X、制御部2X、判定部3X、走査部S、コーナーリフレクタP1〜P6から構成される。
【0008】
レーザ送受光部1X、制御部2X、判定部3X、走査部Sは、崩落測定の対象斜面CXから所定の距離だけ離れて、コーナーリフレクタP1〜P6が見通せる位置に設置される測定ステーションに据え付けられる。また、対象斜面CXで崩落が発生する確率が高いと予想される幾つかの位置にコーナーリフレクタP1〜P6が設置される。そして、レーザ送受光部1Xから送信されたレーザ光が、走査部Sにより走査され、順次コーナーリフレクタP1〜P6に照射される。
【0009】
この時、レーザ送受光部1Xには、制御部2Xによって各コーナーリフレクタP1〜P6に対する目標角度、および照射時間等が設定される。そして、各コーナーリフレクタP1〜P6から反射されたレーザ光の強度、反射レーザ光を受信するまでの経路伝搬時間等が判定部3Xで測定され、その測定値が予め用意される基準値から外れると、その外れた測定値を示すコーナーリフレクタの設置位置、又はその近傍で崩落が発生したと判定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
ところが、この特許文献1に記載された方法では、目標となるコーナーリフレクタにレーザ光を正確に照準する精密な光学制御が要求されるため、測定装置が高価になる問題があった。また、コーナーリフレクタの設置位置が悪く(例えば、図7のコーナーリフレクタP6)が、樹木や地形、構造物等によりレーザ送受光部1Xからのレーザ光が遮られることが発生すると、崩落が検出できなくなる問題があった。
【0011】
【特許文献1】特開2001―133299号公報(第5頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の崩落検知システムは、それぞれのコーナーリフレクタにレーザ光を正確に照準する精密性が要求されるため、測定装置が高価になる問題があった。また、広い区域にわたる崩落発生位置の検知を目的として複数のコーナーリフレクタを設置しても、その設置位置が樹木や地形、構造物等によりレーザ光が遮断されるような場所であった場合、その位置の崩落が検出できない問題があった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、広い斜面での崩落を測定範囲としつつ、その範囲を幾つかに区分して崩落発生を検知できる低コストの崩落検知システムおよびその崩落検知方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の崩落検知システムは、レーザ光送信器と、方向調整が可能な平面反射鏡と回帰反射鏡とを合わせ持ち、崩落の監視対象現場に設置される複数のミラー・リフレクタと、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタの間を予め定められた順序で前記平面反射鏡によって平面反射して巡回されたレーザ光を受信し、且つ、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタ毎に前記回帰反射鏡によって回帰反射されたレーザ光を受信する光受信器とを具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の崩落検地方法は、レーザ光送信器と、方向調整が可能な平面反射鏡と回帰反射鏡とを合わせ持ち、監視対象の崩落現場に設置される複数のミラー・リフレクタとを有する崩落検知方法であって、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタの間を予め定められた順序で前記平面反射鏡によって平面反射して巡回された前記レーザ光を受信し、レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタ毎に前記回帰反射鏡によって回帰反射された前記レーザ光を受信し、前記レーザ光送信器からの前記レーザ光が前記複数のミラー・リフレクタによって前記回帰反射されて受信するまでの反射受信時間を測定してテーブルに記憶し、前記ミラー・リフレクタの少なくとも1つから、前記回帰反射された前記レーザ光が受信できなくなった場合、前記テーブルを参照して特定できない前記ミラー・リフレクタの1つ又は全部の設置位置を崩落として検知することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の崩落検知システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1において、本発明の崩落検知システムは、レーザ送受光部1、制御部2、判定部3、テーブル4、コーナーリフレクタ付き反射鏡(以後、ミラー・リフレクタと称する。)MR1〜MR5から構成される。
【0019】
レーザ送受光部1、制御部2、判定部3は、崩落測定の対象斜面Cから所定の距離だけ離れて、ミラー・リフレクタMR1〜MR5が見通せる位置にある測定ステーション10に設置される。
【0020】
テーブル4は、レーザ送受光部1から送信されたレーザ光が各ミラー・リフレクタMR1〜MR5によって反射された時の、その反射信号の受信時間や受信強度等の受信データを記録した表である。
【0021】
ミラー・リフレクタMR1〜MR5は、対象斜面Cの中で崩落が発生する確率が特に高いと予想される幾つかの位置に設置される。
【0022】
図2は、レーザ送受光部1の機能要素を示すブロック図である。
【0023】
図2(a)において、レーザ送受光部1は、レーザ光源1s、ビームコリメータ1b、望遠鏡1ps、望遠鏡1pr、光受信器1rs、光受信器1rrから構成される。
【0024】
レーザ光源1sは、制御部2からの変調制御信号によって送信レーザ光を変調する。光受信器1rs、光受信器1rrは、ミラー・リフレクタMR1〜MR5から反射されたレーザ光を望遠鏡1ps、1prを介して受信すると、光電変換して電気信号に復調し、その測定信号を制御部2を経由して判定部3に出力する。
【0025】
判定部3は、上記光受信器1rs、1rrからの測定データを内部メモリ上のテーブル4に記憶すると共に、過去の測定データ、または所定の判定基準と実測した当該測定データとを比較して崩落等の異常を検出する。
【0026】
レーザ光源1sから出たレーザ光は、ビームコリメータ1bに入り、レーザビーム口径、広がり角度が設定される。例えば、レーザビーム口径は、ミラー・リフレクタの口径(例えば20cm)程度、広がり角度は、1mrad以下に制限される。
【0027】
望遠鏡1pは、ミラー・リフレクタMR1〜MR5からの反射レーザ光を受信、集光するもので、ここでは、ミラー・リフレクタMR1からの反射レーザ光を受信する望遠鏡1psと、ミラー・リフレクタMR5からの反射レーザ光を受信する望遠鏡1prが図示されている。そして、望遠鏡1ps、1prはそれぞれに光受信器1rs、1rrに接続されている。
【0028】
以上の図2(a)は、望遠鏡1psとビームコリメータ1bは、光学軸が平行な構造であるが、図2(b)の様に光学軸が同一の構造を持つものであっても良い。図2(b)では、望遠鏡1psの対物レンズとレーザ光源1sおよび光受信器1rsとの間にハーフミラーHm等を設けて送信光と受信光とに分合波し、望遠鏡1psとビームコリメータ1bの対物レンズが兼用される構成である以外の動作、機能等は図2(a)と同様である。なお、望遠鏡1psは、後述のようにミラー・リフレクタMR1を介してミラー・リフレクタMR1〜MR5に取り付けられたコーナーリフレクタQからの回帰反射レーザ光を受信する。
【0029】
図3は、ミラー・リフレクタMR1〜MR5の構造図である。
【0030】
図3において、ミラー・リフレクタMR1〜MR5は、図3(a)の様に平面鏡のミラーRとその平面鏡に取り付けられた複数のコーナーリフレクタQの集合体から構成される。このコーナーリフレクタQは、図3(a)の様に複数が取り付けられているが、図3(b)、図3(c)の様な構造をしていても良い。
【0031】
コーナーリフレクタQは、回帰反射鏡とも呼ばれ、どのような角度で入射した光に対しても、常に入射方向と正反対の方向に光路を折り返して反射するものである。各ミラー・リフレクタMR1〜MR5は、上下、左右の方向角度が調整可能に支柱等に取り付けられている。そして、ミラー・リフレクタMRnは、ミラーRに入射したレーザ光を受信すると、次のミラー・リフレクタMR(n+1)に向けて平面反射するよう調整される。
【0032】
図1において、ミラー・リフレクタMR1〜MR4では、入射したレーザ光の主要部分がミラーRに入射され、その入射角度に応じた反射レーザ光が次のミラー・リフレクタに出力するよう設置され、ミラー・リフレクタMR5ではレーザ送受信部1に出力するよう、各ミラーRの上下、左右の方向角度が調整されて設置される。
【0033】
即ち、レーザ送受光部1のビームコリメータ1bから発光されたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1に照準され、送信される。そして、ミラー・リフレクタMR1は、そのミラーRに入射したレーザ光を次のミラー・リフレクタMR2に平面反射し、同様にミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR3に平面反射し、ミラー・リフレクタMR3はミラー・リフレクタMR4に平面反射し、ミラー・リフレクタMR4はミラー・リフレクタMR5に平面反射する。そして、ミラー・リフレクタMR5に到達したレーザ光は、レーザ送受信部1に平面反射する。レーザ送受光部1は、望遠鏡1prを介して一巡した反射レーザ光を光受信器1rrによって受信する。光受信器1rrは、この受信信号を制御部2を介して判定部3に出力する。
【0034】
また、レーザ送受光部1のビームコリメータ1bから発光されたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1のコーナーリフレクタQに入射されると、そのまま入射方向であるレーザ送受光部1へ回帰反射する。また、ミラー・リフレクタMR1からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR2のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR1へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR1では、回帰反射したレーザ光をミラーRからレーザ送受光部1の望遠鏡1psを介して光受信器1rsへ平面反射する。
【0035】
同様にして、ミラー・リフレクタMR2からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR3のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR2へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR2では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1では平面反射したレーザ光をミラーRからレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0036】
同様にして、ミラー・リフレクタMR3からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR4のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR3へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR3では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR2へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1はレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0037】
同様にして、ミラー・リフレクタMR3からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR4のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR3へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR3では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR2へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1はレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0038】
同様にして、ミラー・リフレクタMR4からの平面反射したレーザ光を受光したミラー・リフレクタMR5のコーナーリフレクタQからは、そのまま入射方向であるミラー・リフレクタMR4へ回帰反射する。そして、ミラー・リフレクタMR4では回帰反射したレーザ光をミラーRからミラー・リフレクタMR3へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR3はミラー・リフレクタMR2へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR2はミラー・リフレクタMR1へ平面反射し、ミラー・リフレクタMR1はレーザ送受光部1の光受信器1rsへ平面反射する。
【0039】
即ち、あるミラー・リフレクタMRn(nは1,2,3,4)に入射したレーザ光は、ミラーRによって次のミラー・リフレクタMR(n+1)に対して平面反射する割合がX%で、コーナーリフレクタQによって入射方向へ回帰反射する割合がY%である場合、反射損失等を無視するとX+Y=100%であるように反射する。
【0040】
従って、ミラー・リフレクタMR1〜MR5が設置された山の斜面に崩落、地滑り等が発生していないときは、レーザ送受後部1のレーザ光源1sから発せられたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1〜MR5の各ミラーRによって反射されたレーザ光が巡回して、レーザ送受光部1との距離に応じた時間差を持って光送受信器1rrに到達する。また、レーザ送受後部1のレーザ光源1sから発せられたレーザ光は、ミラー・リフレクタMR1〜MR5の各コーナーリフレクタQによって回帰反射されたレーザ光が、その後では平面反射されて、レーザ送受光部1との距離に応じた時間差を持って光送受信器1rsに到達する。
【0041】
一方、ミラー・リフレクタMR1〜MR5のいずれかの設置位置に崩落、地滑り等が発生すれば、レーザ送受後部1のレーザ光源1sから発せられたレーザ光は、崩落、地滑り等の発生でミラー・リフレクタが流出したり、ミラーRの方向が変わったミラー・リフレクタから、レーザ光の反射が途絶え、光送受信器1rrには平面反射されたレーザ光が到達しなくなる。一方、光送受信器1rsには、崩落、地滑り等の発生でミラー・リフレクタの流出等が免れたミラー・リフレクタからのみ回帰反射されたレーザ光が光送受信器1rsに到達することになる。
【0042】
光受信器1rsは、受信した反射レーザ光を光電変換し、その電気信号を判定部3に出力している。そして、判定部3は、回帰反射が受信できなくなったミラー・リフレクタのうちで、少なくとも、最短の受信時間に対応するミラー・リフレクタが設置された位置で崩落が発生している判断することが可能になる。
【0043】
このミラー・リフレクタMR1〜MR5からの反射受信時間の測定は、例えば、光送受信部1からのレーザ光をパルス化して送信し、そのパルス光がミラー・リフレクタMR1〜MR5の各コーナーリフレクタQで回帰反射され、光受信器1rsで受信されるまでのそれぞれの反射受信時間および受信強度が測定される。
【0044】
そして、光の伝搬速度と各ミラー・リフレクタMR1〜MR5からの反射受信時間により、レーザ送受光部1とミラー・リフレクタMR1〜MR5との距離が求まり、予めそれらの距離を記録しておけば、反射受信信号がどのミラー・リフレクタMR1〜MR5からの受信であるかを特定できる。
【0045】
なお、上記説明では、送信レーザ光にパルスレーザ光を用いる例を説明したが、レーザ光は、パルスレーザ光に限ることなく、連続レーザ光を周波数変調したFM−CW変調光等を用いて、反射受信時間や距離および受信強度等を測定してもよい。
【0046】
図4は、上記により判定部3で生成されたミラー・リフレクタMR1〜MR5の反射受信時間、および受信強度を示したテーブル4の一例を示す。
【0047】
図4(a)では、ミラー・リフレクタMR1〜MR5に対応して、それらの設置位置情報と、反射受信時間、受信強度、レベル変化の各情報がテーブル4上に記憶されている。
【0048】
したがって、ミラー・リフレクタの設置位置に地滑りや崩落が発生した場合、たとえば、図4(b)に示すように、ミラー・リフレクタMR3以降の回帰反射レーザ光が光受信器1rsで受信できなくなり、判定部3は、回帰反射レーザ光の受信信号の無いミラー・リフレクタMR3の設置位置で少なくとも崩落が発生していると特定することができる。なお、ミラー・リフレクタMR4、MR5では、地滑りや崩落が発生したと判断できるものではないので、不明として設定し対処する。
【0049】
また、このテーブル4のレーザ光の受信強度は、その受信強度が低下する割合が大きいミラー・リフレクタの設置場所は、崩落した、もしくは崩落の危険があると判定、もしくは予測してもよい。そして、この反射レーザ光に係わる測定時刻を記録しておくことにより、崩落時刻を判定することもできる。
【0050】
なお、この測定方法においては、例えば、ミラー・リフレクタMR2からミラー・リフレクタMR1へ回帰反射したレーザ光が、更にまたミラー・リフレクタMR1からミラー・リフレクタMR2へ回帰反射し、さらにミラー・リフレクタMR2からミラー・リフレクタMR1へ回帰反射したレーザ光がミラー・リフレクタMR1を経てレーザ光送受信部1に戻る繰り返し回帰反射レーザ光の漏れ部分がある。
【0051】
しかし、この漏れ部分にあたるレーザ光送受信部1に戻る受信光成分は、本来の反射光成分との強度差が大きく微弱であり、本来の受信信号が得られる時間以外のタイミングで受信される。したがって、判定部3では、受信信号にスレショルドを設けた強度判定を行い、スレショルド以下の信号を除去するか、または、テーブル4に記憶された所定の反射時間以外の受信信号を除去する等の手段により漏れ部分の信号を削除すればよい。
【0052】
また、例えばミラー・リフレクタMR2とミラー・リフレクタMR3の間に障害物があってレーザ光が遮られるとすれば、レーザ光のルートをレーザ送受光部1−ミラー・リフレクタMR1−MR2−MR4−MR3−MR5−レーザ送受光部1の光路順に変更する。
【0053】
また、崩落検知の方法として各ミラー・リフレクタMR1〜MR5からの光受信強度の変化を測定して、斜面の変化を予知しても良い。
【0054】
更に、本発明では光路の変更は、ミラー・リフレクタの照準方向を変更したことによる反射経路順序の変更だけでなく、レーザ送受光部1の構成を変更して、光受信器1rrの設置場所を光送受後部と独立させた構成として行ってもよい。
【0055】
即ち、図5、図6は、レーザ送受光部1の構成を変更した場合のシステム図、およびレーザ光送受部1の構成を示すブロック図である。
【0056】
レーザ光送受部1の光受信器1rr、望遠鏡1pr部分を光受信部1dとして分離独立して、ミラー・リフレクタMR5からの反射光を受信するよう構成する。この場合、光受信1dは、レーザ光送受部1の本体と離れて位置に設置され、光受信器1rrで電気信号に変換された測定信号が、ケーブル等により判定部3に接続される。この応用においても測定原理、動作等は、図1、図2の構成による場合と同様である。
【0057】
また、上記の測定と同時に送信パルス光が各ミラー・リフレクタMR1〜MR5の各ミラーRで平面反射され、光受信器1rrで受信されるまでのそれぞれの反射受光時間、および受信強度が測定され、判定部3にも出力されている。したがって、その受信時間から光路全体長の測定、また受信強度低下等から光路設定に影響を与えた地形の歪みが推定できるので、この測定結果から斜面の地滑りの変化を予知するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、障害物等で光路遮断がされないように山の斜面等に設置された複数のミラー・リフレクタで反射を繰り返したレーザ光を受信測定することにより、低コストで地滑り、崩落を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ光を用いた崩落検知システムの構成図。
【図2】レーザ送受光部の機能要素を示すブロック図。
【図3】ミラー・リフレクタMR1〜MR5の構造図。
【図4】ミラー・リフレクタからのレーザ光受信測定データを記憶するテーブルの一例。
【図5】本発明のレーザ光を用いた崩落検知システムの他の構成図。
【図6】レーザ送受光部の機能要素を示すブロック図。
【図7】従来のレーザ光を用いた崩落検知システムの概念の説明図。
【符号の説明】
1 レーザ送受光部
1d レーザ受光部
1s レーザ光源
1rr、1rs 光受信器
1b ビームコリメータ
1ps、1pr 望遠鏡
2 制御部
3 判定部
4 テーブル
10 測定ステーション
C 対象斜面
MR1〜MR5 ミラー・リフレクタ
Q コーナーリフレクタ
R ミラー
Claims (7)
- レーザ光送信器と、
方向調整が可能な平面反射鏡と回帰反射鏡とを合わせ持ち、崩落の監視対象現場に設置される複数のミラー・リフレクタと、
前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタの間を予め定められた順序で前記平面反射鏡によって平面反射して巡回されたレーザ光を受信し、且つ、前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタ毎に前記回帰反射鏡によって回帰反射されたレーザ光を受信する光受信器と
を具備することを特徴とする崩落検知システム。 - 前記回帰反射鏡によって回帰反射された前記レーザ光の回帰光路に前記ミラー・リフレクタが存在する場合は、当該ミラー・リフレクタでは前記平面反射鏡によって平面反射することを特徴とする請求項1に記載の崩落検知システム。
- 前記光受信器に接続される判断手段を更に設け、
前記判断手段は、前記レーザ光送信器からの前記レーザ光が前記複数のミラー・リフレクタによって回帰反射され前記光受信器で受信するまでの反射受信時間を測定してテーブルに記憶し、
前記テーブルを参照して前記回帰反射された受信レーザ光を反射した前記ミラー・リフレクタを特定することを特徴とする請求項1に記載の崩落検知システム。 - 前記ミラー・リフレクタの少なくとも1つから、前記回帰反射された前記レーザ光が受信できなくなった場合、前記テーブルを参照して特定できない前記ミラー・リフレクタの1つ又は全部の設置位置に崩落が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項3記載の崩落検知システム。 - 前記テーブルに前記回帰反射鏡からの回帰反射されたレーザ光の受信強度を測定して記憶し、前記受信強度が時間の経過と共に低下していると判断した場合、当該受信強度となった前記ミラー・リフレクタの設置位置に崩落が発生したと判断することを特徴とする請求項3記載の崩落検知システム。
- レーザ光送信器と、方向調整が可能な平面反射鏡と回帰反射鏡とを合わせ持ち、監視対象の崩落現場に設置される複数のミラー・リフレクタとを有する崩落検知方法であって、
前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタの間を予め定められた順序で前記平面反射鏡によって平面反射して巡回されたレーザ光を受信し、
前記レーザ光送信器から発せられ前記複数のミラー・リフレクタ毎に前記回帰反射鏡によって回帰反射された前記レーザ光を受信し、
前記レーザ光送信器からの前記レーザ光が前記複数のミラー・リフレクタによって前記回帰反射されて受信するまでの反射受信時間を測定してテーブルに記憶し、
前記ミラー・リフレクタの少なくとも1つから、前記回帰反射された前記レーザ光が受信できなくなった場合、前記テーブルを参照して特定できない前記ミラー・リフレクタの1つ又は全部の設置位置を崩落として検知する
ことを特徴とする崩落検知方法。 - 前記テーブルに前記回帰反射鏡からの回帰反射されたレーザ光の受信強度を測定して記憶し、前記受信強度が時間の経過と共に低下していると判断した場合、当該受信強度となった前記ミラー・リフレクタの設置位置に崩落が発生したと判断することを特徴とする請求項6記載の崩落検知方法。
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