JP2005008598A - Method for producing composite particle containing medicine - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノサイズの粒子(ナノ粒子)を含む薬物含有複合粒子の製造方法に関するものであり、特に、ドラッグデリバリーシステム等に応用可能な、薬物を含有する薬物含有複合粒子を好適に製造できる薬物含有複合粒子の製造方法および経肺製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、平均粒径が1μm(1000nm)より小さいナノサイズの超微粒子や微細構造体の作製、評価並びにその応用を取り扱うナノテクノロジーが注目されている。このようなナノサイズの粒子すなわちナノ粒子は、従来のミクロンサイズの微粉体に比べて比表面積が大きいため、様々な物性が劇的に変化して、反応性、吸収性に富む特徴を示す。このため、あらゆる分野で製品性能特性の画期的な向上をもたらすことが期待されている。特に、医薬品・医療品分野における製剤技術の分野では、ナノ粒子の応用範囲は非常に広いものとなっている。
【0003】
例えば、薬物を含有する注射剤を血管に注入すると、末端毛細血管の直径が約4μm程度であるため血栓を発生することがあるが、固形の薬物をナノ粒子化して静脈注射を行えば、上記血栓の発生を回避できると考えられる。また、薬物の経口、経肺投与においては、薬物のナノ粒子化により、生体内での薬物の透過性や吸収部位到達性を向上させることが可能になる。
【0004】
さらに、ナノ粒子は比表面積が大きいことから、表面エネルギーの増加をもたらし、その結果、ナノ粒子は高反応性を示すことになる。それゆえ、ナノ粒子は生体膜の表面に強く付着し易く、薬物の吸収部位滞留性等が増大し、その結果、薬物の吸収性を増大させることができる。
【0005】
以上のような特性により、ナノ粒子は、特に気管支ぜん息や慢性気道閉塞性疾患などの気道疾患に対する治療薬等を吸入させることによって経肺投与して、薬物を目的箇所に直接送達するドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System、薬物送達システム、以下DDSと略す)を提供する薬剤として期待されている。このようなDDSにより、薬物を局所的に送達することができ、少ない投薬量で、なおかつ他の臓器への薬物移行を抑制しながら投薬を行うことができる。したがって、ナノ粒子を含む薬剤により、患者への肉体的負担が軽減されるとともに、薬剤の投与過多による副作用の低減を実現することができる。
【0006】
また、経肺投与は、上述したぜん息治療薬のように目的箇所に直接送達させる薬物の他にも、ペプチドや遺伝子などのような全身的な薬理効果を目指した薬物に関しても有効である。つまり、経口投与した場合、消化管からは通常ほとんど吸収されない薬物であっても、経肺投与によれば酵素分解されにくい、肺から薬剤を吸収させることが可能である。加えて、経肺投与によれば、肝初回通過効果を受けないことからも、経口投与に比較して効率的な薬物投与ができる。さらに、肺の上皮細胞は非常に薄い構造をしており、細胞内と毛細血管との間の距離が極めて短く、また、肺胞の数が非常に多いので小腸に匹敵する約200m2の広い表面積を有している。このため、肺に到達した薬物は肺から効果的に吸収されることとなる。
【0007】
以上のように、薬剤を効率的に作用させることのできる、経肺投与製剤、粉末吸入製剤への関心が、近年高まっており、ナノ粒子の形態として薬剤を製剤化する方法が研究されている。例えば、特許文献1には、複合化することにより取り扱い性を向上させるため、2種類以上の粉末原料よりなる混合物に圧縮力と剪断力とを加える方法が示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2003−12504(公開日:2003年1月15日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような上記ナノ粒子の高反応性は、ナノ粒子の利点となる反面、薬剤をナノ粒子の形態として製剤化する場合、製剤の不安定化を招くことにもなる。すなわち、高反応性をもたらす表面付着性が、ナノ粒子同士の付着・凝集をも招くことになるので、ナノ粒子の流動性や分散性が非常に悪くなる。それゆえ、ナノ粒子の形態として製剤化された場合、製剤としての安定性が低下する、ナノ粒子の機能を十分に発揮できないといった問題が生じる。例えば、ナノ粒子を粉末吸入用製剤として使用する場合、ナノ粒子単独では粉体物性の制御が難しく、低比重であるために、薬物投与前にナノ粒子のカプセルへの充填が困難であるという問題がある。また、ナノ粒子はカプセルへの付着凝集性が高いために、薬物投与の際のカプセルからの放出性が悪いという問題もある。
【0010】
一方、特許文献1記載の複合粒子の製造方法は、薬剤粉末を賦形剤等と複合化することにより粒子物性を改善してその取り扱い性を向上させる技術であり、製造時における薬物粉末の取り扱い性の向上を目的としたものである。特許文献1は、ナノ粒子の流動性、分散性、凝集性等を考慮したものではなく、例えば経肺製剤に含まれている薬物を効率よく肺へ送達するために必要となる、吸入の際に薬物を含む薬物含有粒子を空気中に良好に散布させるための流動性、あるいは、投与後にナノ粒子に分散させるための分散性、を向上させる技術は記載されていない。
【0011】
上述したとおり、ナノ粒子の状態で薬剤を含む薬物含有粒子を製剤化することにより、薬剤を目的箇所に送達して効率的に作用させることが可能な、経肺製剤、粉末吸入製剤等を実現することができる。たとえば、経肺投与によって薬剤を良好に肺に到達させるためには、薬剤を含むナノ粒子含有製剤が複合化された状態で通常空気力学的径で1〜7μmの大きさで、空気中に良好に分散し、かつ投与後にナノ粒子に容易に再分散する必要がある。すなわち、薬物含有製剤を経肺投与する場合、吸入器で吸引する際に、薬物含有粒子が薬物含有製剤から容易に排出されるために必要な良好な流動性、および、吸入後に薬物含有粒子中のナノ粒子が速やかに分離して、最終的には肺胞内でナノサイズのナノ粒子にまで再分散するという良好な再分散性が求められている。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、ナノ粒子の利点を損なうことなく、例えばDDS等の各種医薬品分野の用途に好適に応用可能な、ナノ粒子を含んでなる薬物含有複合粒子を容易に製造できる方法および取り扱い性が良好でありかつナノ粒子の利点を備えている経肺製剤を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の薬物含有複合粒子の製造方法は、上記の課題を解決するために、薬物および生体適合性高分子を含んでなる生体適合性ナノ粒子と、該生体適合性ナノ粒子よりも外径の大きいキャリア粒子と、を含む混合物に、圧縮力および剪断力を加えて複合化することを特徴としている。
【0014】
生体適合性ナノ粒子とキャリア粒子とを含む混合物に、圧縮力および剪断力を加えることで、キャリア粒子に生体適合性ナノ粒子を多数付着させることができるから、生体適合性ナノ粒子の状態で薬物を含んでなる薬物含有複合粒子が得られる。このようにして得られた薬物含有複合粒子は、生体適合性ナノ粒子の状態で薬物を含むものであるが、生体適合性ナノ粒子よりも外径が大きく、熱安定性に優れるキャリア粒子と複合化しているため、生体適合性ナノ粒子よりも、流動性、取り扱い性、および安定性を高くすることができる。
【0015】
また、上記キャリア粒子の外径を任意に設定することにより、複合化によって得られる薬物含有複合粒子の流動性、取り扱い性を調整することができる。したがって、保管時には保存がしやすく、薬物投与前においては生体適合性ナノ粒子をカプセルへ容易に充填することができる薬物含有複合粒子を容易に得ることができる。なお、キャリア粒子の外径は、薬物含有複合粒子の使用目的に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、1μm以上1000μm以下の範囲内のものであることが好ましく、1μm以上1000μm以下の範囲内のものであることがより好ましい。
【0016】
また、本発明の製造方法は、混合物に圧縮力および剪断力を加えて複合化するから、キャリア粒子と生体適合性ナノ粒子とを再分離可能な程度に結合させることが容易である。また、本発明の製造方法によって、キャリア粒子の表面に結合させた生体適合性ナノ粒子は、薬物含有複合粒子を患者に吸入投与する際に加わる力によって、キャリア粒子から生体適合性ナノ粒子が容易に分離することができる。したがって、本発明の製造方法によれば、例えば、気道疾患に対するターゲッティング治療法に用いた場合、使用時における吸入の圧力等によりキャリア粒子表面の生体適合性ナノ粒子が容易に分離し、目的部位に薬物を効率よく吸収させることができる薬物含有複合粒子が得られる。
【0017】
通常、生体適合性ナノ粒子が複数凝集した状態で、キャリア粒子表面から分離するものと考えられるが、当該薬物粉末が水に接することで個々の生体適合性ナノ粒子単位に容易に再分散するので、生体適合性ナノ粒子に含まれている薬物を効率よく、目的部位に送達することができる。
【0018】
したがって、本発明の製造方法によれば、キャリア粒子の外径を任意に設定することにより、保管時には保存がしやすく、取り扱い性の良好な薬物含有複合粒子とすることができる。また、圧縮力および剪断力を加えることにより複合化を行っているので、薬物投与の際に容易に分散され、薬物を効率良く目的部位に送達する生体適合性ナノ粒子を含む薬物含有粒子を製造することが可能である。
【0019】
このように、本発明の製造方法によれば、保存性が良好であり、肺などの目的部位に効率的に薬物を送達することができ、且つ目的部位においては生体適合性ナノ粒子となってその機能を発揮する薬物含有複合粒子を容易に製造である。このため、本発明の製造方法によって製造された薬物含有複合粒子によれば、生体適合性ナノ粒子の利点を損なうことなく効率的に投薬を行うことができる。本発明において、ナノ粒子とは平均粒径が1000nm以下のものをいう。
【0020】
上記生体適合性ナノ粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、球形晶析法により製造することができる。球形晶析法では、晶析と造粒とを同時に行うことができる。このため、高品質の生体適合性ナノ粒子を形成できることに加え、粒子を所望のサイズに形成することが可能であり、設計の自由度を大きくすることができる。
【0021】
本発明の薬物含有複合粒子の製造方法は、上記キャリア粒子として、乳糖を用いることが望ましい。乳糖は、グルコースとガラクトースが結合した形の二糖類であり、α―含水乳糖、α―無水乳糖、ベーター無水乳糖、および非晶質乳糖があるが、いずれも物理化学的に安定性が高く、吸湿性が少ないなど、キャリア粒子として優れた性質を有している。したがって、薬物投与前においては、生体適合性ナノ粒子をその表面に保持することにより、その取り扱い性を向上させ、且つ、薬物投与の際には、例えば吸引によって生じた気体の流れにより、容易に生体適合性ナノ粒子をその表面から放出することができる。すなわち、キャリア粒子として乳糖を用いることにより、保存性、流動性に優れる薬物含有複合粒子を実現することができる。
【0022】
本発明の薬物含有複合粒子の製造方法では、上記生体適合性ナノ粒子を構成する上記生体適合性高分子は、生体に親和性を有しており、かつ生体内で悪影響を及ぼさない材質からなるものであればよいが、特に、ポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)、および、ポリ乳酸(PLA)が好ましい。これらは、単独で用いても、複数を併用しても良い。
【0023】
上記生体適合性高分子は、持続的な薬理効果を維持しながら、薬物を内封して保持することができるから、上記生体適合性高分子を用いることにより、持続的な薬理効果を維持可能な薬物含有複合粒子とすることができる。上記薬物としては、特に限定されないが、例えばインスリンやカルシトニンが挙げられる。
【0024】
上記生体適合性ナノ粒子中の薬物の含有量は、内包される薬物の種類や目的に応じて設定すればよいが、薬物含有複合粒子中に、1重量%〜20重量%の範囲内で含まれていることが好ましく、5重量%〜15重量%の範囲内で含まれていることがより好ましい。
【0025】
また、本発明の薬物含有複合粒子の製造方法は、上記混合物が、生体適合性ナノ粒子1重量部に対して、乳糖を1重量部以上999重量部以下の範囲内で含んでいることが好ましい。これによれば、キャリア粒子である乳糖の表面に生体適合性ナノ粒子をより確実に付着させることができる。
【0026】
上記混合物中の生体適合性ナノ粒子は、該生体適合性ナノ粒子が複数凝集してなる薬物粉末であることが好ましい。
【0027】
生体適合性ナノ粒子が複数凝集した薬物粉末は、その外径が個々の生体適合性ナノ粒子よりも大きくなるので、取り扱い性(取り扱いやすさ)が向上し、キャリア粒子との複合化も容易になる。薬物粉末の製造方法は特に限定されないが、例えば、生体適合性ナノ粒子を含む懸濁液を凍結乾燥(フリーズドライ)することにより、複数の生体適合性ナノ粒子を凝集させて、マイクロサイズ(1μm〜700μm程度)の多孔性の薬物粉末とすることができる。
【0028】
上記薬物粉末は、生体適合性ナノ粒子とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとを含む懸濁液を凍結乾燥することにより調製されたものであることが好ましい。
【0029】
生体適合性ナノ粒子とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとを含む懸濁液を凍結乾燥することにより、生体適合性ナノ粒子のみを凍結乾燥して得られたものと比較して、よりナノ粒子への再分散性の高い薬物粉末が得られる。このようにして得られた薬物粉末とキャリア粒子とを複合化して得られた薬物含有複合粒子では、薬物投与の際に薬物粉末が良好に分散するため、吸入特性が向上する。これにより、例えば薬物含有複合粒子を経肺投与する場合には、肺へ到達する薬物粉末の量を増やす事ができる。
【0030】
上記ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのモノフタル酸エステルであり、一般式(1)に示されるものである。
【0031】
【化1】
【0032】
また、上記複合化は、間隙を通過させるときに上記混合物に圧縮力および剪断力を加えることによりなされるものであってもよい。これにより、複合化する際に混合物に加わる圧縮力および剪断力を、間隙の幅によって調整することが可能になり、所望の取り扱い性、および分散性を備えた薬物含有複合粒子を容易に製造することができる。
【0033】
また、上記間隙の最近接部の間隔は、0.5mm以上10mm以下の範囲内であることが好ましく、1mm以上5mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。上記間隙の最近接部の間隔を上記範囲内にすることにより、カプセルへの充填が容易であり、薬物投与の際にカプセルから生体適合性ナノ粒子が容易に放出される、取り扱い性および分散性に優れる薬物含有複合粒子を製造するのに適した圧縮力および剪断力を上記混合物に加えることができる。
【0034】
また、上記本発明の製造方法により製造された薬物含有複合粒子は、特に経肺製剤として好適である。上記薬物含有複合粒子を含んでなる経肺製剤は、吸入時には薬物粉末あるいは生体適合性ナノ粒子がキャリア粒子から容易に分離して肺まで到達し、肺で水分と接触することにより、確実に生体適合性ナノ粒子の状態に分散する。したがって、生体適合性ナノ粒子に含まれる薬物を効率良く肺に送達することができる。
【0035】
上記本発明の製造方法によれば、薬物および生体適合性高分子を含んでなる生体適合性ナノ粒子が、該生体適合性ナノ粒子よりも外径の大きいキャリア粒子の表面に付着している経肺製剤であって、20mg〜80mgの経肺製剤を2号ゼラチンカプセルに充填し、吸入口からの吸入流速を60L/分に設定して、ツインインピンジャーによりその吸入特性を評価した場合に、上記カプセル中の経肺製剤の15%以上がステージ2に到達する経肺製剤を製造することができる。
【0036】
従来のように、単にフリーズドライにより、生体適合性ナノ粒子を乾燥させてなる経肺製剤は、その流動性と分散性が悪いため、上記条件でツインインピンジャーにより吸入特性を評価した場合に、上記カプセル中の経肺製剤の15%以上がステージ2に到達するものではないが、本発明の製造方法により製造された経肺製剤は非常に分散性が良好であり、上記カプセル中の経肺製剤の15%以上がステージ2に到達する。
【0037】
さらに、生体適合性ナノ粒子として、生体適合性ナノ粒子とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートとを含む懸濁液を凍結乾燥することにより調製された薬物粉末を用いることにより、さらに分散性が向上するため、上記条件でツインインピンジャーにより吸入特性を評価した場合に、カプセル中の経肺製剤の30%以上がステージ2に到達する経肺製剤とすることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0039】
本実施の形態の薬物含有複合粒子の製造方法は、薬物および生体適合性高分子を含んでなる生体適合性ナノ粒子(以下、適宜「ナノ粒子」という)と、キャリア粒子とを含む混合物に、圧縮力および剪断力を加えて複合化するものである。
【0040】
本実施の形態の薬物含有複合粒子の製造方法における、ナノ粒子の製造方法としては、薬物および生体適合性高分子を1000nm未満の平均粒径を有する粒子に加工できる方法であれば特に限定されるものではないが、特に球形晶析法を好適に用いることができる。
【0041】
ここで、上記球形晶析法とは、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。球形晶析法には、晶析する結晶の生成・凝集機構の違いによって、球形造粒法(SA法)とエマルジョン溶媒拡散法(ESD法)とに分けることができる。
【0042】
上記SA法は、二種類の溶媒を用いて薬物結晶を析出させて、球形造粒結晶を形成する方法である。具体的には、まず、目的の薬物を溶解し難い貧溶媒と、該薬物を良好に溶解できかつ貧溶媒にも混和拡散できる良溶媒とを準備する。そして、良溶媒に薬物を溶解させた薬物溶液を、撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、良溶媒の貧溶媒への移行や温度効果等による溶解度の低下を利用することで、図2(a)の最左図に示すように、薬物の結晶51が系内に析出する。
【0043】
さらに、系内に、薬物と親和性を有し貧溶媒には混和しない少量の液体(液体架橋剤)を添加すると、図2(a)の最左図に示すように、液体架橋剤52が遊離する。そして、結晶51の間に架橋が形成され、界面張力および毛細管力により、図2(a)の左から2番目の図に示すように、非ランダムに結晶51が凝集し始める。なお、この状態をファニキュラー状態という。
【0044】
ファニキュラー状態の系に対して、さらに機械的剪断力を加えると凝集した結晶51は圧密化され、図2(a)の左から3番目の図に示すように、略球状の造粒物53となる。なお、この状態をキャピラリー状態という。キャピラリー状態の造粒物53がランダムに合一することで、図2(a)の最右図に示すように、最終的な球形造粒結晶54が形成される。
【0045】
上記良溶媒および貧溶媒の種類、並びに液体架橋剤52の種類は、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形造粒結晶54の粒径(本実施形態の場合ナノサイズ)等に応じて適宜決定すればよい。
【0046】
上記ESD法も、二種類の溶媒を用いる方法であるが、上記SA法とは異なり、エマルジョンを形成してから、良溶媒と貧溶媒との相互拡散を利用して薬物を球状に結晶化させる方法である。具体的には、まず、良溶媒中に溶解した薬物溶液を撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、薬物と良溶媒とが親和性を持つため、良溶媒の貧溶媒への移行が遅れ、図2(b)の左図に示すように、エマルジョン滴55が形成される。
【0047】
そして、図2(b)の中図に示すように、エマルジョン滴55の冷却、並びに、良溶媒および貧溶媒の相互拡散(図中黒矢印が良溶媒の拡散、白矢印が貧溶媒の拡散を示す)により、エマルジョン滴55内で、薬物の溶解度が低下していき、図2(b)の右図に示すように、薬物の球形結晶粒子56が、エマルジョン滴55の形状を保持したまま析出、成長する。
【0048】
上記良溶媒および貧溶媒の種類についても、SA法と同様、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、エマルジョンの形成条件や結晶析出時の冷却条件等も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形結晶粒子55の粒径(本発明の場合ナノサイズ)等に応じて適宜決定すればよい。
【0049】
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要がなく、容易に形成することができる。また、DDS用途では、薬物を生体適合性高分子等で修飾する場合があるが、球形晶析法では、良溶媒に薬物と生体適合性高分子とを溶解させるだけで、両者が複合化されたナノ粒子を形成することができるので、非常に好ましい。
【0050】
上記球形晶析法にて得ることができる生体適合性ナノ粒子を構成する素材としての生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、生体適合性で、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましく、例えばポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)が挙げられる。PLGAは薬物を内包可能であり、当該薬物の効力を保持したまま長期間保存できることが知られている。生体適合性性高分子としては、ほかに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。また、これらのコポリマーを用いても良く、アミノ酸のような荷電基あるいは官能基化し得る基を有していてもよい。
【0051】
上記以外の生体適合性高分子としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンのようなポリアルキレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルエステルのようなポリビニル化合物、アクリル酸とメタクリル酸とのポリマー、セルロースおよび他の多糖類、ならびにペプチドまたはタンパク質、あるいはそれらのコポリマーまたは混合物が挙げられる。
【0052】
上記生体適合性高分子としては、特にポリ乳酸・グリコール酸を好適に用いることができる。ポリ乳酸・グリコール酸の分子量は、10,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。また、乳酸およびグリコール酸の含有量が25重量%〜65重量%の範囲内である前記PLGAは、非晶質であり、かつアセトン等の有機溶媒に可溶であるから、好適に使用される。
【0053】
また、上記生体適合性ナノ粒子に内包される薬物としては、インスリンや骨粗鬆症治療薬のカルトシアニンが挙げられる。後述するように、本発明の薬物含有複合粒子は経肺製剤へ好適に使用できるが、インスリンは経肺投与により非常に有効に作用するので、上記生体適合性ナノ粒子としてインスリン封入のPLGAを製造すれば、効率的に作用するインスリン経肺製剤とすることができる。
【0054】
以上のようにして得られたナノ粒子は、凍結乾燥等により粉末化することで凝集して巨大粒子とすることができる。
【0055】
また、上記球形晶析法により形成されたナノ粒子を凍結乾燥する際に、ナノ粒子を含む液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを共存させておくことにより、ナノ粒子の表面に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを付着させることができる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートにより、ナノ粒子および複数のナノ粒子が凝集してなる薬物粉末の表面を改質することができる。これにより、ナノ粒子の分散性が向上するとともに、薬物粉末の大きさを微細にすることができるから、その分散性がさらに高まり、薬物含有複合粒子を経肺投与する場合には、肺への薬物粉末の到達量をより増やす事ができる。
【0056】
生体適合性ナノ粒子は、さらにキャリア粒子表面に付着させることで、物性の改善が図られて取り扱いやすくなる。薬物粉末とキャリア粒子とは、圧縮力および剪断力を加えることで複合化され、再度分離可能な状態で一体化できる。
【0057】
上記キャリア粒子としては、乳糖が好ましい。乳糖としては、特に、化学式(2)に示される4−θ−β―D−Galactopyranosyl−D−glucose mono hydrateが好適に用いられる。具体的には、Pharmatose325M(DMV INTERNATIONAL製)やMICROFINE PHARMA(FRIESLAND製)などが好適に用いられる。MICROFINE PHAEMAは微細乳糖であるため、薬物とマトリックス型の複合化物を作製すれば、気管支や肺内まで薬物のキャリアとして送り込まれるので、特に吸入特性が良好である。
【0058】
【化2】
【0059】
乳糖は、生体適合性ナノ粒子1重量部に対して、乳糖を1重量部以上999重量部以下の範囲内の割合で含んでいることが好ましい。これによれば、乳糖に生体適合性ナノ粒子を良好に付着させることができる。
【0060】
また、キャリア粒子として、糖アルコールを適用することも可能である。糖アルコールとしては、マンニトール、ソルビトール、エリスリトールなどが挙げられ、この中でも特にマンニトールが好ましい。マンニトールは、化学的に安定で、酸化されず、耐湿性であり、キャリア粒子に適している。
【0061】
上記複合化は、圧縮力と剪断力とを付与できる装置を用いて行えばよいが、3×103Pa以上3×107Pa以下の圧縮力と、1×103Pa以上1×107Pa以下の剪断力とを付与できるものが好ましい。
【0062】
本発明の薬物含有複合粒子の製造に用いることができる粉体処理装置として、メカノフュージョンAMS(ホソカワミクロン)を、図1および図3を参照しつつ以下に説明する。
【0063】
このメカノフュージョン(以下粉体処理装置)1は、図1に示すように、大略的に、略円筒形状の閉空間を形成するケーシング2、当該ケーシング2の内部に設けられた同じく有底略円筒形状の筒状回転体(回転部材)3、当該筒状回転体3の内周面に対して押圧力および剪断力を発生させて被処理物を処理すべく上記筒状回転体3の内部に配設したプレスヘッド(押圧部材)4とからなる。上記筒状回転体3を回転させることで、当該筒状回転体3の内周面に形成した受け面5と上記プレスヘッド4とを相対回転させ、図3にも示すように、上記受け面5と上記プレスヘッド4との間に間隙として形成されている押圧部6に存在する被処理物7に押圧力および剪断力を付与して複合化処理を行うものである。
【0064】
図1に示すように、上記ケーシング2の内部には、略円筒形状であって鉛直方向の回転軸心Xの回りに回転自在な筒状回転体3を備えている。当該筒状回転体3は、回転軸部12と当該回転軸部12に連接した底部14、及び当該底部14に連接した円筒壁部15とにより構成されている。
【0065】
本発明の実施に用いられる粉体処理装置1においては、上記押圧部6に対して被処理物7を積極的に循環させるための被処理物排出手段として、筒状回転体3の低部14付近における複数箇所に、筒状回転体3の円筒壁部15を貫通するスリット8が形成されている。このスリット8は、上記押圧部6に保持された被処理物7の一部を、筒状回転体3が駆動回転されている最中に処理空間9の外部に排除するものであり、後述するように、全ての被処理物7が上記押圧部6に対して順次循環供給されるのである。
【0066】
粉体処理装置1を構成するケーシング2は、支持部材(図示せず)によって支持され、基台(図示せず)に載置固定されている。当該ケーシング2の内部には、被処理物7を処理するための密閉された処理空間9が形成される。当該ケーシング2は被処理物投入口10を有している。上記ケーシング2本体の底部周縁の一部には、処理が終了した被処理物7を取り出すための被処理物取出口11を設けている。上記説明した粉体処理装置1の構成により、被処理物7を連続処理することが可能となる。
【0067】
上記回転軸部12は、軸受(図示せず)を介して回転自在に基台(図示せず)に取り付けられている。そして、この基台に取り付けられたモータおよび当該モータに連結された駆動ベルト(図示せず)によって、上記回転軸部12のプーリー(図示せず)に駆動力が伝達され、上記筒状回転体3が回転駆動される。筒状回転体3を回転駆動することで被処理物7には遠心力が作用し、被処理物7は筒状回転体3の受け面5に押し付けられることとなる。このときのプレスヘッド4と、当該筒状回転体3の受け面5との最近接部の間隔をクリアランス(押圧部材と回転部材との間隔)100とする。このクリアランス100は、薬物含有複合粒子に求められる性質に応じて設定することができるが、経肺製剤としての用途であれば、通常、0.5mm以上10mm以下の範囲内とされ、好ましくは、1mm以上5mm以下の範囲内とされる。
【0068】
上記筒状回転体3の底部14は、上記回転軸部12と筒状回転体3の円筒壁部15とを連結する機能、および、上記被処理物7を保持する保持手段としての機能を有する。即ち、当該底部14は、後述する円筒壁部15との関係において互いの面が折れ曲がった関係にあり、筒状回転体3が回転する際に、被処理物7が充分に処理されずに押圧部6から下方に逃げてしまうのを防止する。
【0069】
上記円筒壁部15の内周面は、遠心力を受けて外向きに移動しようとする被処理物7の受け面5となる。即ち、被処理物7を上記押圧部6に留めておき、上記受け面5と上記プレスヘッド4との協働によって被処理物7に押圧力および剪断力を付与して粉体処理を行う。
【0070】
この円筒壁部15の底部付近には、図1に示すようにスリット8が複数形成されている。このスリット8は、上記受け面5、つまりは上記円筒壁部15を貫通しており、円筒壁部15の回転軸心Xを挟んで対称の位置に、例えば合計二箇所設けてある。上記スリット8は、上記押圧部6に保持された被処理物7の一部を押圧部6の外部に排出するためのものであり、被処理物7を排出する手段として機能する。スリット8は、例えば受け面5の下方側に保持された被処理物7ほど多く排出するように下方側の開口面積の比率が上方側に対して大きくなるように形成してある。
【0071】
本実施の形態では、例えば、上記スリット8を断面が半円形状のとい状に形成する。被処理物7は、遠心力によって上記受け面5に押し付けられつつ、同時に重力の影響を受ける。このため、図1に示す円筒壁部15の場合、被処理物7は鉛直方向下方へ移動して上記受け面5と上記底部14との境界近傍に堆積しがちとなる。この部分に堆積する被処理物7は、筒状回転体3の回転負荷を増大させると共に、上記押圧部6への被処理物7の循環を阻害する。よって、当該部分に堆積した被処理物7をスリット8を介して積極的に排出することで上記不都合を解消し、粉体処理の効率を向上させるのである。
【0072】
上記構成によれば、上記押圧部6に存在する被処理物7の殆どがスリット8を介して押圧部6の外に排出される。よって、被処理物7は一定時間のあいだ押圧部6に保持されて押圧力および剪断力を付加され粉体処理が確実に行われる。
【0073】
上記筒状回転体3の内部には、上記受け面5に所定の間隔を有して配置するプレスヘッド4が設けられている。当該プレスヘッド4は、上記受け面5と協働して被処理物7に押圧力および剪断力を付与する。そのため、プレスヘッド4の水平断面形状は、図3に示すように、例えば半円形状に構成してある。本構成によって、当該プレスヘッド4と上記受け面5との間に侵入しようとする被処理物7を圧密し、粉体粒子の複合化や球状化処理に有利な効果が得られる。
【0074】
また、プレスヘッド4の水平断面形状を半円形状とする場合には、その曲率を受け面5の曲率よりも大きくする。これにより、筒状回転体3の受け面5に固定された被処理物7は、筒状回転体3の回転により押圧部6を通過する際に、強力な圧縮力・剪断力を受ける。ここで、複数種類の混合物を被処理物7として用いると、強力な圧縮力、剪断力を受けることにより、粒子の複合化、粒子表面の改質、粒子形状のコントロール、粒子レベルの微細精密分散混合(粉体融合)等が生じることとなり粒子特性を制御することが可能となる。
【0075】
また、上記プレスヘッド4はケーシング2と同様に固定した構成としてもよいし、何らかの駆動手段を用いて回転駆動し、上記受け面5に対して積極的に相対回転させる構成にしてもよい。即ち、プレスヘッド4の回転方向あるいは回転速度を適宜設定することで、当該プレスヘッド4と上記受け面5との相対回転速度をより細かく設定できて、被処理物7に応じた最適な処理条件を設定することが可能となる。なお、上記プレスヘッド4の温度を制御する構成としてもよい、例えば図示は省略するが、プレスヘッド4の内部に熱媒体通路を確保しておけば、被処理物7の熱特性に応じて最適な処理条件を設定することが容易となる。
【0076】
上記ケーシング2の外周下方部には循環用ブレード16が設けられている。当該循環用ブレード16は、筒状回転体3の周方向に沿って複数枚設けるが、その枚数は任意である。当該循環用ブレード16は、スリット8から筒状回転体3の外方に排出された被処理物7を再び上記押圧部6に循環させるためのものである。この循環用ブレード16は、上記被処理物7を円筒壁部15の外周面に沿って上昇させ、円筒壁部15の上端を超えて筒状回転体3の処理空間9に還流させ上記押圧部6に戻すように円滑かつ確実に搬送するために、上記ケーシング2の内面形状に適合させて形成してある。
【0077】
上記説明した粉体処理装置1を用いて被処理物7を処理することにより、被処理物7が遠心力によって筒状回転体3の受け面5に押し付けられ、集合作用を受けて、受け面5において圧密状態の被処理物7層が生成する。その一方で、当該圧密された被処理物7の一部は、スリット8を介して筒状回転体3の外側に排出されるし、筒状回転体3の内部に存在する被処理物7は、上記プレスヘッド4によってある程度の攪拌作用を受ける。即ち、本実施の形態の装置によれば、被処理物7の複合化処理を速やかに進行させることができる。
【0078】
上記説明したように、粉体処理装置1によれば、被処理物7はケーシング2の被処理物投入口10よりその処理空間9に投入され、筒状回転体3とプレスヘッド4とにより強力な圧縮力・剪断力を受けることにより複合化処理される。また、筒状回転体3の壁面にはスリット8が形成されているため、上記混合物は筒状回転体3のスリット8を通して筒状回転体3の処理空間9の外側に送られる。そして、この外側に送られた被処理物7は、図1に示す様に、循環用ブレード16により筒状回転体3の上部に搬送されて、再び筒状回転体3の内側に戻されて再度圧縮力・剪断力を受けることとなる。このように、被処理物7は、筒状回転体3とプレスヘッド4とにより繰り返し強力な圧縮力・剪断力を受けることにより、効果的に複合化処理がなされる。
【0079】
粉体処理装置1は、上記ケーシング2の内部、即ち、上記処理空間9の雰囲気を、被処理物7の種類等に応じて適宜変更することができるものであってもよい。例えば、不活性ガスや加熱ガス等の各種のガスを上記被処理物投入口10からケーシング2の内部に投入したり、加圧・真空ポンプ等を用いてケーシング2の内部を加減圧する構成としてもよい。この場合には、例えば、ケーシング2と筒状回転体3の回転軸部12との間に、図示しないシール部材を設けることにより、処理空間9の内部の雰囲気を確実に調整することができる。
【0080】
上記ケーシング2の周囲には、主に上記処理空間9の温度を調節するためのジャケット13を設けている。当該ジャケット13へは、別に設けたタンク(図示せず)からの加熱媒体又は冷却媒体が必要に応じて循環供給される。これにより、上記ケーシング2の内部温度を調節することができる。例えば、被処理物7として、温度変化によって変質する虞のある薬物を処理する場合においては、ジャケット13に加熱媒体又は冷却媒体を循環供給することにより、処理中の被処理物7の温度を所望の温度として薬物の変質を防止することができる。
【0081】
なお、粉体処理装置1を用いて実施する場合について説明したが、本実施の形態の薬物含有複合粒子の製造方法を実施する粉体処理装置は、これに限られない。例えば、粉体原料に対して強力な圧縮力と剪断力とを付与することが可能な、強力な攪拌力をもった混合機や攪拌機、ボールミル等によっても、本実施の形態の薬物含有複合粒子の製造方法を実施することができる。
【0082】
以上ような方法で、キャリア粒子に、生体適合性ナノ粒子が付着した薬物含有複合粒子を製造できる。次に、図4を用いて、この薬物含有複合粒子を肺吸入する場合における薬物含有複合粒子の状態の変化を説明する。
【0083】
複合粒子(薬物含有複合粒子)31は、キャリア粒子32にナノ粒子34(生体適合性ナノ粒子)が凝集した粉体(薬物粉末)33が付着した状態で製造され、保管される。この複合粒子31は、使用時に気中分散、または吸入されるときにかかる圧力により、粉体33がキャリア粒子32から分離する。さらに、粉体33はナノ粒子34の凝集体であるので、肺に沈着することで水分と接して、凝集が崩壊し速やかにナノ粒子34単位に分散する。
【0084】
このように、まず、複合粒子31の状態でカプセル充填し、吸入により噴出させると、付着・凝集性が抑えられてデバイス内の付着(残存量)も少なく、1〜7μmサイズ(粉体33)で、良好に気中分散が行える。そして、粉体33が肺に到達するとナノ粒子34単位に分散することで、ナノ粒子34に含まれる薬剤は良好に、その機能を発揮できる。このため、本発明の製造方法により得られる薬物含有複合粒子は、経肺製剤として好適に利用できる。本発明の薬物含有複合粒子を吸入した場合、吸入と薬剤の気中分散が同時に起こるため、効率よい吸入が可能となる。
【0085】
なお、本発明の薬物含有複合粒子は、経肺投与製剤として使用する場合を例に挙げて説明したが、これ以外にも、ドラッグデリバリーシステムのための薬物担体として、経口投与や経鼻投与などにも応用可能である。
【0086】
【実施例】
本実施例では、生体適合性ナノ粒子(以下、適宜「ナノ粒子」という)と、キャリア粒子としての乳酸との複合粒子から成る多孔質の顆粒を調製し、ナノ粒子を肺内に効率よく送達可能にし、かつ肺内でナノ粒子が再分散しその機能を発揮させうる粉末吸入製剤を製造し、その評価を行った。
【0087】
以下に、複合粒子の具体的な作製方法を示す。なお、本実施例では生体適合性ナノ粒子に薬物を含んでいない空のナノ粒子を用いているが、ナノ粒子中の薬物の量が通常配合される薬物の量、具体的には20重量%以下であれば、薬物の有無によってナノ粒子の物性は影響されないと考えられるので、本実施例の空のナノ粒子は本発明における生体適合性ナノ粒子に相当する。
【0088】
まず、生体適合性高分子としてのポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)からなる生体適合性ナノ粒子を球形晶析化法(エマルション溶媒拡散法)により調製する方法を以下に示す。
【0089】
〔FA−PLGA粒子の製造方法〕
本実施例では、蛍光染色するためにPLGAにフルオレセインアミン(FA)を結合させたFA−PLGAを、下記の方法によりナノ粒子化したFA−PLGA粒子を、生体適合性ナノ粒子として用いた。FA−PLGA粒子の製造方法を以下に説明する。
【0090】
ポリ乳酸・グリコール酸(以下PLGA、3.07g:162μmol)とFA(0.0583g:213μmol)とをアセトニトリル(30mL)に溶解し、さらに結合剤である塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(WSC,0.0408g:213μmol)を加えた反応液を遮光容器中で室温にて2時間攪拌した。生体適合性高分子である上記PLGAとして和光純薬(株)のPLGA7520を使用した。このPLGA7520は、分子量20,000、乳糖とグリコール酸の重合比が75:25のものである。上記攪拌後の反応液に水を加え、PLGAを析出させた後、未反応のFAを除去するため、遠心分離(5000rpm、10分、4℃、Kubota7800、久保田製作所)を行った。遠心分離により未反応のFAが除去された後の沈殿成分であるペレットに、アセトンを加えてPLGAを溶解した。このPLGAを溶解したアセトンにエタノールを加えてPLGAを析出させた。当該析出したPLGAを、上記と同様にして、遠心分離による未反応FAの除去、アセトンを添加によるPLGAの溶解、およびエタノールの添加によるPLGAの析出からなる精製操作をさらに2回行った。すなわち、上記精製操作を合計3回繰り返し、得られたものを減圧乾燥してFA−PLGAを得た。
【0091】
次に、上記のようにして調製したFA−PLGAをナノ粒子化する方法を説明する。FA−PLGA8gを、アセトン160mLとエタノール80mLとの混合液に溶解してFA−PLGA溶解液とした。このFA−PLGA溶解液を、45℃に加温した200mLの2%ポリビニルアルコール(PVA−403、クラレ社)水溶液に、プロペラ型攪拌機(Three−one motor 600G, Heidon)により400rpmで攪拌しながら、ペリスタポンプ(PERISTA,アトー(株))を用いて、4mL/分で滴下することによって、FA−PLGAのナノ粒子を調製した。上記FA−PLGA溶解液を全て滴下し終えたら、プロペラ型攪拌機の回転数を100rpmに下げて、減圧下で45℃にして、さらに4時間攪拌を続けアセトンおよびエタノールの留去を行って懸濁液とした。
【0092】
その後、この懸濁液を遠心分離(20,000rpm、10分、4℃、Kubota7800、久保田製作所)して得られた沈殿成分であるペレットの表面を精製水により洗浄した。洗浄後の上記ペレットに適当量の水を加えたものに超音波を加え、精製水中にFA−PLGAのナノ粒子が懸濁した状態のFA−PLGA懸濁液を得た。このFA−PLGA懸濁液を、上記と同条件で、さらに遠心分離、ペレットの洗浄、超音波の印加の操作を繰り返した。すなわち、上記の操作を2回繰り返して得られたFA−PLGA懸濁液を−104℃で凍結した後、一晩凍結乾燥(Neocool Bath,ヤマト科学(株))して、FA−PLGA粒子を製造した。上記のようにして、FA−PLGAのナノ粒子(生態適合性ナノ粒子)が複数凝集した状態のFA−PLGA粉末(薬物粉末)として、FA−PLGA粒子を得た。
【0093】
〔表面改質FA−PLGA粒子の製造方法〕
上述した、FA−PLGA粒子の製造方法により得られたFA−PLGA粒子(FA−PLGA粉末)を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、HP−55:信越化学工業株式会社、以下、HP−55という)により表面改質する方法を以下に説明する。
【0094】
HP−55(0.5g)を、エタノール/水=8/2混合溶液(30ml)に加えて溶解した。セパラタブルフラスコ(Separable flask)に、分散媒である水(200ml)を入れ、4枚羽根のプロペラにて攪拌下(400rpm)、上記HP−55を溶解させた混合溶液を滴下し、HP−55のナノ粒子(ナノスフェア)を調製した。その後、上記混合溶液が滴下されたものを濃縮して、最終的に、1ml中に1mgのHP−55を含む1mg/mlのHP−55懸濁液を得た。
【0095】
上記の製造方法により調製されたFA−PLGA粒子100重量部に対して、HP−55の量が10重量部となる様に、HP−55懸濁液を加えた。その後、得られたFA−PLGA/HP−55懸濁液を−104℃で凍結し、一晩凍結乾燥(Neocool Bath、ヤマト科学(株))することにより、表面改質FA−PLGA粒子を得た。上記のようにして、表面改質FA−PLGA粒子も、FA−PLGA粒子と同様に、表面改質FA−PLGAのナノ粒子(生態適合性ナノ粒子)が複数凝集した状態の表面改質FA−PLGA粉末(薬物粉末)として得た。
【0096】
〔複合粒子の製造方法〕
次に、上記FA−PLGA粒子(FA−PLGA粉末)または表面改質FA−PLGA粒子(表面改質FA−PLGA粉末)と、乳糖との混合物を複合化して複合粒子とする方法を説明する。なお、上述したとおり、通常配合される量であれば、薬物の有無によってナノ粒子の物性は影響されないので、上記複合粒子が本発明における薬物含有複合粒子に相当する。
【0097】
乳糖(Pharmatose(登録商標)325M D50:62.2μm,DMV)4gと、上記の製造方法により得られたFA−PLGA粒子1gとの混合物を、粉体処理装置(メカノフュージョン(登録商標),ホソカワミクロン)に装入し、複合化処理を行った。
【0098】
メカノフュージョンの回転速度は約354rpmとし、クリアランス(間隙の最近接部の間隔、間隙の最狭部)を3mmまたは5mmに設定して、FA−PLGA粉末または表面改質FA−PLGA粉末と、乳糖との混合物の複合化処理を行った。混合物をメカノフュージョンへ投入した後、複合化処理の時間が、5分、15分、30分、60分の時点で、複合粒子をサンプリングした。
【0099】
なお、本発明の薬物含有複合粒子の製造方法を実施する装置としては、上記メカノフージョンが好適であるが、これに限られるものではなく、圧縮力および剪断力を混合物に加えることできる装置であればよく、例えば、シータコンポーザー(登録商標、徳寿製作所)が挙げられる。
【0100】
〔実験例1 複合粒子の電子顕微鏡による観察〕
上記複合粒子の製造方法によって製造された複合粒子のうち、クリアランスを3mmに設定したメカノフュージョンで60分複合化処理を行った複合粒子を電子顕微鏡(SEM)により観察した。
【0101】
図5は、上記複合粒子および、FA−PLGA粒子の顕微鏡画像を示す図(以下、顕微鏡図という。)である。図5(a)はFA−PLGA粒子と乳糖との複合粒子の顕微鏡図を示すものである。同図より、乳糖表面にFA−PLGA粒子が付着しており、両者は良好に複合化されていることが分かる。図5(b)は、表面改質FA−PLGA粒子と乳糖との複合粒子の顕微鏡図を示している。同図より、乳糖表面には、表面改質FA−PLGA粒子が微細な状態で付着しており、両者は良好に複合化されていることが分かる。また、図5(c)は、図5(a)に示した複合粒子を構成する、FA−PLGA粒子(FA−PLGA粉末)のの顕微鏡図を示している。
【0102】
〔実験例2 複合化処理時間による影響の評価〕
上記クリアランスを3mmとしたメカノフュージョンへの投入後の複合化処理時間が、5分、15分、30分、60分の時点でサンプリングした複合粒子を、それぞれ、共焦点レーザー顕微鏡(LSM−510−V.2.01:CLSM、Carl Zeiss Co.Ltd.)により観察し、複合化処理時間の経過に伴う、複合粒子の経時的な状態変化を調べた。
【0103】
図6(a)〜(d)は、順に、複合化処理の時間が5分、15分、30分、60分の時点でサンプリングした複合粒子の顕微鏡図を示している。図6(a)に示すように、複合化処理時間が5分の複合粒子では、粒子状の乳糖表面の全体にFA−PLGA粒子が均一に付着していることが確認された。このように、5分の複合化処理により、ほぼ全てのFA−PLGA粒子を乳糖表面に付着させることができた。このように、本発明の製造方法によれば、短時間の処理により、混合物を複合化して複合粒子を製造することができる。なお、15分後(図6(b))、30分後(図6(c))、60分後(図6(d))と、時間の経過と共に、乳糖に付着していないFA−PLGAのフィルム状の粒子が増加する傾向が認められた。このため、クリアランスを3mmとした場合、複合化処理時間を5分〜15分に設定することが適切であるといえる。なお、クリアランスおよび処理時間は、複合化処理の対象となる混合物の種類に応じて設定すればよい。
【0104】
図7は、クリアランス5mmとして、メカノフュージョンによる複合化処理の時間を、5分、15分、30分、60分として複合化して得られた複合粒子の顕微鏡図である。これによれば、図7(a)に示すように、5分後には、大きな粒子状の乳糖表面に、蛍光のナノ粒子であるFA−PLGA粒子が付着し始めており、15分後(図7(b))、30分(図7(c))、60分後(図7(d))と、時間の経過と共に、FA−PLGA粒子の乳糖への付着、展延が進行している。
【0105】
図7(a)〜(d)では、図6(a)〜(d)に示したクリアランスを3mmに設定した場合のように、FA−PLGA粒子の融合・合一により乳糖表面からFA−PLGA粒子が剥がれ落ちる現象は、60分後においても見られなかった。すなわち、本実施例のクリアランス5mmとした場合、クリアランスを3mmとした場合よりも処理時間がやや長くなるが、処理時間の経過と共に、乳糖表面からFA−PLGA粒子が剥がれ落ちることを防止できる。
【0106】
また、時間ごとにサンプルリングした複合粒子を精製水中に懸濁し、再分散させた後の粒子径をZETA SIZERにより測定したところ、5分、15分、30分、60分の複合化により得られた複合粒子は、いずれも再分散して、複合前のナノ粒子の粒径と同程度になった(図7(e))。このように、本実施の形態の複合粒子は、複合化後においても、ナノ粒子としての状態を維持しており、水と接触することにより容易に個々のナノ粒子に再分散することが確認された。
【0107】
また、複合化処理時の剪断に対するナノ粒子の耐性にはガラス転移点が関与していると考えられるので、よりガラス転移点が高いPLGAを用いることにより、ナノ粒子の融合が抑制されるものと考えられる。
【0108】
〔実験例3 複合化処理時間による吸入特性の変化〕
上述したクリアランス5mmとしたメカノフュージョンにより複合化処理を、5分、15分、30分、60分行ったFA−PLGA複合粒子のin vitro吸入特性を、米国薬局方において人工肺モデルとして収載されているツインインピンジャー(Twin impinger)を用いて評価した。このツインインピンジャーは、吸入された複合粒子が肺まで到達するか否かをin vitroで評価する装置である。
【0109】
本実施例において用いたツインインピンジャーの概略図を図8に示す。まず、ツインインピンジャー41による複合粒子の到達性の評価方法を簡単に説明する。図8に示すように、ツインインピンジャー41は、概略的に、マウスピースアダプター42、スロート43、ネック44、上部衝突チャンバー45、カップリングチューブ46、吸入口47、下部ジェット捕集部48、下部衝突チャンバー49、およびポンプ(図示せず)からなる。ツインインピンジャー41では、図示しないポンプにより吸入口47から吸引される。そして、PLGA複合粒子20mgを、2号ゼラチンカプセルに充填し、スピンヘーラー(登録商標)に装着した。吸入装置であるスピンヘーラーをマウスピースアダプター42に装着して複合粒子を分散させた。
【0110】
本実施例においては、吸入口47からの吸入流速を60L/分とした。吸入口47からツインインピンジャー41内の気体を吸入することにより、マウスピースアダプター42、スロート43、ネック44、上部衝突チャンバー45、カップリングチューブ46、吸入口47、下部ジェット捕集部48、下部衝突チャンバー49の順に複合粒子が気流にのって移動する。
【0111】
このツインインピンジャー41により、経肺製剤としての複合粒子を用いた場合の、肺への薬物の到達性を評価することができる。複合粒子がマウスピースアダプター42、スロート43、ネック44、上部衝突チャンバー45に留まっている場合、ステージ1まで到達したとする。ステージ1まで到達したものは、吸入装置により人体に吸入されるが、肺まで到達できないものとみなされる。また、カップリングチューブ46、吸入口47、下部ジェット捕集部48、下部衝突チャンバー49に到達した場合、ステージ2に到達したとする。ステージ2まで到達したものは、人体に吸入された場合、肺まで到達するものとみなされる。
【0112】
このツインインピンジャー41を用いて、サンプルの吸入特性を測定した結果を図9に示す。同図に示している分布は、上記カプセル内に残留したもの(カプセル)、吸入装置に残留したもの(装置)、吸入装置のスピンへーラー内に装着した、吸入装置とマウスピースアダプター42との接続部に残留したもの(接続部)、およびツインインピンジャー41のステージ1または2まで到達したものの分布を示している。
【0113】
これによれば、複合化処理時間が5分のものでは、ステージ2に到達する割合が40%であり、複合化処理時間が15分のものでは、ステージ2に到達する割合が48%であった。なお、本実施例では、ステージ2への到達量は、複合化処理時間が30分のもので37%、60分のもので27%であり、5分、15分のものに比較して減少する傾向が認められた。このことから、本実施例の複合粒子を経肺製剤として用いる場合には、複合化処理時間を5分〜15分程度とすることが好ましいといえる。
【0114】
なお、複合粒子は、複合化処理時間を5分、15分、30分および60分とした場合のいずれも、水との接触により、複合前のナノ粒子の状態に再分散することは上述のとおりである(図7(e)参照)。
【0115】
なお、本実施の形態の複合粒子では、複合化処理時間が30分以上となると、ステージ2への到達量が低下する傾向が認められたが、これは、複合化処理により、一部のFA−PLGA粒子同士の融合が生じたことによるものと理解される。このため、FA−PLGA粒子同士の融合を防ぐには、軟化点の高いものを用いればよい。具体的には、本実施例において、生体適合性高分子として用いた軟化点が42℃の分子量20000のPLGAに代えて、より分子量の大きな軟化点の高いPLGAを用いることにより、複合化処理時間を長くした場合も分散性の低下が生じない複合粒子を製造できるといえる。
【0116】
なお、本実施例においては、最適な複合化処理時間が5分〜15分程度であったが、複合化処理時間は、クリアランス、複合化する混合物の種類、量、薬物含有複合粒子の用途等に応じて設定されるべきものである。
【0117】
〔実験例4 吸入特性の比較〕
1.ツインインピンジャーによる評価結果
上記FA−PLGA粒子の製造方法に従って得られた複合粒子のうち、クリアランス3mm、複合化処理の時間を30分として製造した、FA−PLGA複合粒子および表面改質FA−PLGA複合粒子について、上記と同じ条件によりツインインピンジャー41(図8参照)を用いて吸入特性を調べた。
【0118】
また、比較例としての、FA−PLGA粒子そのもの(粉末化PLGA粒子)および乳糖・PLGA凍結乾燥粉末についても同様に、上記と同じ条件によりツインインピンジャー41(図8参照)を用いて吸入特性を調べた。ここで、乳糖・PLGA凍結乾燥粉末とは、乳糖(800mg)とFA−PLGA(200mg)とを、水(5ml)に懸濁させた懸濁液を、凍結乾燥することにより調製されたものである。
【0119】
図10に、ツインインピンジャー41により、本発明の実施例としての複合粒子および表面改質複合粒子、比較例としての粉末化PLGA粒子および乳糖・PLGA凍結乾燥粉末の吸入特性を評価した結果を示す。
【0120】
図10(b)のO.E.(Output Efficiency)値は、カプセル内の被験物質(FA−PLGA複合粒子、表面改質FA−PLGA複合粒子、粉末化PLGA粒子および乳糖・PLGA凍結乾燥粉末)のうち、吸入装置から排出されたものの割合を百分率(重量%)で示す値である。また、同図中のR.F.(Respirable Fraction)値は、被験物質のうち、ステージ2に到達したものの割合を百分率(重量%)で示す値であり、複合粒子や粉末化PLGA粒子を径肺製剤として用いた場合に肺に到達するとみなされる割合である。
【0121】
比較例である、キャリア粒子と複合化していない粉末化PLGA粒子は、粉体物性、具体的には流動性が悪く、カプセルからほとんど放出されなかった。これに対し、実施例であるFA−PLGA複合粒子(複合粒子)および表面改質FA−PLGA複合粒子(表面改質複合粒子)、比較例である乳糖・PLGA凍結乾燥粒子は、流動性が改善されて吸入装置からの放出率は70%以上となった。しかしながら、比較例である乳糖・PLGA凍結乾燥粒子は、PLGA粒子が、ステージ1とステージ2のカットオフ径となる6.4μm以下の微細な粒子へと気中分散できず、ほとんどがスロートおよびステージ1に沈着し、R.F.値は1%に満たなかった。
【0122】
これに対し、FA―PLGA複合粒子では、O.E.値が60%〜80%、R.F.値が約16%であった。また、表面改質FA―PLGA複合粒子では、OE値はFA―PLGA複合粒子と同程度の70%〜80%であったが、ステージ2に到達する割合を示すR.F.値が約35%となった。
【0123】
このように、本発明の薬物含有複合粒子の製造方法によれば、薬物含有複合粒子の流動性と分散性とを大きく改善することができるので、上記した条件で、従来達成することが出来なかった、ツインインピンジャーによりその吸入特性を評価した場合に、ステージ2に到達する割合が15%以上となる薬物含有複合粒子が得られる。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートをその表面に付着させることにより、ステージ2に到達する割合を30%以上とすることができる。
【0124】
以上のとおり、メカノフュージョンで複合化処理して得たFA−PLGA複合粒子では、吸入特性が改善され、特に凍結乾燥時、HP−55ナノスフェア懸濁液を加えて2次凝集体を修飾した表面改質FA−PLGA複合粒子は、34%のR.F.値を示した。これは、2次凝集体(薬物粉末)が微細化されたことにより空気学径が減少したこと、2次凝集体の構造が針状から球形に近くなり、キャリア粒子として用いた乳糖表面との接触面積が減少し、分離しやすくなったためと考えられる。
【0125】
2.カスケードインパクターによる吸入特性測定
次に、上記FA−PLGA粒子の製造方法に従って得られた複合粒子のうち、クリアランス3mm、複合化処理の時間を30分として製造した、FA−PLGA複合粒子および表面改質FA−PLGA複合粒子について、上記のようにして作製されたFA−PLGA複合粒子のin vitro吸入特性を、米国薬局方において人工肺モデルとして収載されているカスケードインパクターを用いて評価した。
【0126】
本実施例において用いたカスケードインパクター81の概略図を図11に示す。カスケードインパクター81は、吸入された複合粒子が肺まで到達するかどうかをin vitroで評価する装置である。まず、カスケードインパクター81による複合粒子の到達性の評価方法を簡単に説明する。
【0127】
図11に示すように、カスケードインパクター81は、概略的に、吸入デバイス(スピンへラー)82、管部83、接続部(throat)84、本体85、吸入口86、およびポンプ(図示せず)からなる。本体85内部には、大きさの異なる孔を備えてなる8つのフィルター87a〜hが備えられている。カスケードインパクター81では、図示しないポンプにより吸入口86から吸引される。そして、吸入デバイス82内部に、目的の複合粒子を含んだゼラチンカプセルを配置し、複合粒子は気中分散される。本実施例においては、吸入口86からの吸入流速を28.3(l/分)とした。吸入口86から本体85内部の気体を吸入することにより、吸入デバイス82、管83、接続部84、本体85、の順に複合粒子が気流にのって移動する。本体85内部のフィルター87a〜hは、87aから87hに行くに従って順に孔が小さくなっており、フィルター87a〜hにより8つのステージ0〜7に分けられている。
【0128】
複合粒子がステージ0〜7のうちのどのステージまで到達したかによって、経肺製剤としての複合粒子の到達性を評価することができる。具体的には、ステージ1に到達したもの(粒径7.0〜11μm)は、気管支まで到達するものと評価され、ステージ2以降まで到達したもの(粒径7.0μm以下)は肺に到達するものと評価される。各ステージ0〜7に分けられた複合粒子は、各フィルター87a〜g毎に備えられたプレートにて回収される。
【0129】
図12(a)〜(d)に、FA−PGA複合粒子(複合粒子)を気中分散させた場合に、カスケードインパクター81のステージ上で捕集された粒子、図13(a)〜(d)に、表面改質FA−PGA複合粒子(表面改質複合粒子)を気中分散させた場合に、カスケードインパクター81のステージ上で捕集された粒子の顕微鏡図を示す。図12および図13の(a)〜(d)は、それぞれ、ステージ0、ステージ2、ステージ5、ステージ7で捕集されたものの顕微鏡図を示している。
【0130】
図12(a)から、ステージ0で捕集された粒子は、乳糖にFA−PLGA粒子が多数付着したFA−PLGA複合粒子であることが分かる。一方、ステージ2で捕集された粒子は、FA−PLGAのナノ粒子が複数凝集した状態の比較的大きなFA−PLGA粉末であることが認められ、乳糖から飛散し、捕集されたものであることが分かる(図12(b))。同様に、ステージ5にも乳糖から飛散したFA−PLGA粉末が認められるが、その大きさはステージ2のものより小さく、ステージ7ではより小さなFA−PLGA粉末が認められた(図12(c)(d))。
【0131】
図13の表面改質FA−PLGA複合粒子を気中分散させた場合も、各ステージにおける粒子の形状については、FA−PLGA複合粒子と同様のことが言える。また、図13(c)より、ステージ5にて捕集された表面改質FA−PLGAのナノ粒子が複数凝集した状態の表面改質FA−PLGA粉末が、図12(c)と比べて著しく多いことが認められる。これにより、HP−55でFA−PLGA粒子の表面を改質することにより、表面改質FA−PLGA粉末が微細に再分散されることがわかる。つまり、吸入された場合に、より多くの表面改質FA−PLGA粒子を肺内に送達できることが分かった。
【0132】
以上の結果によると、FA−PLGA粒子(粉末化FA−PLGA粒子)は、流動性が悪く、吸入実験において約90%の粉体がカプセル内に残留するが、このFA−PLGA粒子をキャリア粒子としての乳糖と複合化(コンポジット化)することにより、カプセルからの放出性を飛躍的に向上させることができた。
【0133】
さらに、FA−PLGA粒子とHP−55とを共存させた状態で凍結乾燥することにより、FA−PLGA粒子の表面を改質することができるため、複数のFA−PLGA粒子が凝集してなる針状の二次凝集体(薬物粉末)を微細化することができる。これにより、特に、ツインインピンジャーによる評価において、肺への到達割合を示すのステージ2への到達率を向上させることができる。このように、表面改質FA−PLGA粒子を生体適合性ナノ粒子として用いてキャリア粒子と複合化することにより、複合化粒子(コンポジット粒子)とすることで、生体適合性ナノ粒子の吸入特性を有意に向上させることができた。
【0134】
以上をまとめると、本発明の薬物含有複合粒子の製造方法により、▲1▼生体適合性ナノ粒子と、該生体適合性ナノ粒子よりも外径の大きいキャリア粒子とを複合化することにより、生体適合性ナノ粒子そのものと比較して、はるかに吸入特性を改善することができた。▲2▼HP−55により表面を改質した生体適合性ナノ粒子を用いることで、さらに吸入特性を向上させることができた。▲3▼カスケードインパクターによる吸入特性測定し、各ステージ到達粒子を観察した結果、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを用いて、生体適合性ナノ粒子の表面を改質することにより、生体適合性ナノ粒子が複数凝集してなる薬物粉末の分散性が向上し、肺の内部に相当するステージに到達する生体適合性ナノ粒子の量が、大幅に増加する。
【0135】
【発明の効果】
本発明は、以上のように、薬物および生体適合性高分子を含んでなる生体適合性ナノ粒子と、該生体適合性ナノ粒子よりも外径の大きいキャリア粒子と、を含む混合物に、圧縮力および剪断力を加えて複合化する薬物含有複合粒子の製造方法である。
【0136】
この方法によれば、長期徐放化特性を有し、生体適合性のよいナノ微粒子である生体適合性ナノ粒子とキャリア粒子とを、容易に薬物含有複合粒子とすることができた。この薬物含有複合粒子は、生体適合性ナノ粒子よりも取り扱い性が良好であり、かつ生体適合性ナノ粒子に分散させる場合に必要な、分散性、流動性を有している。それゆえ、保存がしやすく、使用時にはナノ粒子の機能を発揮でき、薬物を効率的に目的部位に送達できる薬物含有複合粒子が得られる。よって、本発明の製造方法により製造された薬物含有複合粒子は、ナノ粒子の利点を損なうことなく効率的に投薬することができるという効果を奏する。
【0137】
また、本発明の製造方法により製造された薬物含有複合粒子は、経肺投与することにより、生体適合性ナノ粒子を肺に効率よく到達させることができる。すなわち、吸入器で吸引する際には良好に吸入器から気中分散できるような流動性を有し、さらに吸入後には速やかに分離して、最終的には肺胞内でナノサイズにまで分散できるので、特に経肺製剤として好適であり、薬物を肺に効率よく到達することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するために用いられる粉体処理装置の一構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる球形晶析法を説明する模式図であり、(a)は球形造粒法の造粒過程を、(b)はエマルジョン溶媒拡散法の造粒過程を示す。
【図3】図1に示す粉体処理装置により被処理物に圧縮力および剪断力を与える際の動作を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子を吸入した場合の薬物含有複合粒子の状態を示す図面である。
【図5】本発明の実施例にかかる薬物含有複合粒子の電子顕微鏡図を示す図面であり、(a)はFA−PLGA粒子を、(b)は表面改質FA−PLGA粒子を、(c)は粉末化PLGA粒子を示している。
【図6】本発明の実施例にかかる薬物含有複合粒子であって、複合化装置のクリアランスを3mmとして複合化したものの顕微鏡図を示す図面であり、複合化をそれぞれ(a)5分間、(b)15分間、(c)30分間、(d)60分間行ったものを示している。
【図7】本発明の実施例にかかる薬物含有複合粒子であって、複合化装置のクリアランスを5mmとして複合化したものの顕微鏡図を示す図面であり、それぞれ複合化時間を(a)5分間、(b)15分間、(c)30分間、(d)60分間としたものを示している。また、(e)は、得られた薬物含有複合粒子を精製水に再分散させた後の粒子径を測定した結果を示している。
【図8】本発明の一実施例にかかる薬物含有複合粒子の製造方法により製造された複合粒子の吸入特性を調べるためのツインインピンジャーの概略構成を示す図面である。
【図9】本発明の一実施例である複合粒子の、複合化時間による吸入特性の違いをツインインピンジャーにより測定した結果を示す図面である。
【図10】(a)(b)は、本発明の一実施例である複合粒子、および比較例である粉末化PLGA粒子および乳糖・PLGA凍結乾燥品の吸入特性をツインインピンジャーにより測定した結果を示す図面である。
【図11】本発明の一実施例である複合粒子の製造方法により製造された複合粒子の吸入特性を調べるためのカスケードインパクターを示す図面である。
【図12】FA−PLGA複合粒子を気中分散させた場合に、図11のカスケードインパクターの異なるステージにおいて捕集された粒子の顕微鏡画像を示す図面であり、(a)はステージ0で捕集されたもの、(b)はステージ2で捕集されたもの、(c)はステージ5で捕集されたもの、(d)はステージ7で捕集されたものである。
【図13】表面改質FA−PLGA複合粒子を気中分散させた場合に、図11のカスケードインパクターの異なるステージにおいて捕集された粒子の顕微鏡画像を示す図面であり、(a)はステージ0で捕集されたもの、(b)はステージ2で捕集されたもの、(c)はステージ5で捕集されたもの、(d)はステージ7で捕集されたものである。
【符号の説明】
1 粉体処理装置
2 ケーシング
3 筒状回転体
4 プレスヘッド
7 被処理物(生体適合性ナノ粒子、薬物粉末、キャリア粒子、混合物)
31 薬物含有複合粒子
32 キャリア(キャリア粒子)
33 薬物粉末
34 ナノ粒子(生体適合性ナノ粒子)
100 クリアランス(間隙の最近接部の間隔)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing drug-containing composite particles containing nano-sized particles (nanoparticles), and in particular, drug-containing composite particles containing a drug that can be applied to drug delivery systems and the like can be suitably produced. The present invention relates to a method for producing drug-containing composite particles and a pulmonary preparation.
[0002]
[Prior art]
In recent years, attention has been paid to nanotechnology that handles the production and evaluation of nano-sized ultrafine particles and fine structures having an average particle size of less than 1 μm (1000 nm) and their applications. Since such nano-sized particles, that is, nanoparticles, have a larger specific surface area than conventional micron-sized fine powders, various physical properties are drastically changed to exhibit characteristics that are rich in reactivity and absorbability. For this reason, it is expected to bring about a breakthrough improvement in product performance characteristics in all fields. In particular, in the field of pharmaceutical technology in the field of pharmaceuticals and medical products, the application range of nanoparticles is very wide.
[0003]
For example, when an injection containing a drug is injected into a blood vessel, the terminal capillary has a diameter of about 4 μm and may cause a thrombus. It is thought that the occurrence of thrombus can be avoided. In addition, in the oral and pulmonary administration of drugs, it is possible to improve the drug permeability and reachability of the absorption site in vivo by making the drug nanoparticles.
[0004]
Furthermore, the nanoparticles have a large specific surface area, resulting in an increase in surface energy, resulting in the nanoparticles being highly reactive. Therefore, the nanoparticles are likely to adhere strongly to the surface of the biological membrane, and the absorption site retention of the drug and the like increase, and as a result, the absorption of the drug can be increased.
[0005]
Due to the above properties, drug delivery system that delivers nanoparticles directly to the target site by nanopulmonary administration by inhaling therapeutic agents for airway diseases such as bronchial asthma and chronic airway obstructive disease (Drug Delivery System, drug delivery system, hereinafter abbreviated as DDS) is expected as an agent. By such DDS, the drug can be delivered locally, and the drug can be administered with a small dosage and while suppressing the drug transfer to other organs. Therefore, a physical burden on a patient can be reduced by a drug containing nanoparticles, and side effects due to excessive drug administration can be reduced.
[0006]
Transpulmonary administration is also effective for drugs that aim at systemic pharmacological effects, such as peptides and genes, in addition to drugs that are delivered directly to the target site, such as the asthma drugs described above. That is, when administered orally, even drugs that are normally hardly absorbed from the gastrointestinal tract can be absorbed from the lung, which is difficult to be enzymatically degraded by pulmonary administration. In addition, according to the pulmonary administration, the drug can be administered more efficiently than the oral administration because it does not receive the first-pass effect of the liver. Furthermore, the epithelial cells of the lung have a very thin structure, the distance between the cells and the capillaries is extremely short, and the number of alveoli is so large that it is about 200 m, which is comparable to the small intestine. 2 Have a large surface area. For this reason, the drug that has reached the lungs is effectively absorbed from the lungs.
[0007]
As described above, interest in transpulmonary administration formulations and powder inhalation formulations that allow drugs to act efficiently has increased in recent years, and methods for formulating drugs in the form of nanoparticles are being studied. . For example,
[0008]
[Patent Document 1]
JP2003-12504 (Publication date: January 15, 2003)
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
However, the high reactivity of the nanoparticles as described above is an advantage of the nanoparticles, but when the drug is formulated in the form of nanoparticles, the formulation is also unstable. That is, the surface adhesion that brings about high reactivity also leads to adhesion / aggregation of nanoparticles, so that the fluidity and dispersibility of the nanoparticles become very poor. Therefore, when it is formulated as a nanoparticle form, there are problems that the stability as the formulation is lowered and the function of the nanoparticle cannot be fully exhibited. For example, when nanoparticles are used as a powder inhalation preparation, it is difficult to control the physical properties of the powder with nanoparticles alone, and it is difficult to fill the capsules with the nanoparticles before drug administration because of the low specific gravity. There is. In addition, since nanoparticles have high adhesion and aggregation properties to the capsule, there is also a problem that the release from the capsule during drug administration is poor.
[0010]
On the other hand, the method for producing composite particles described in
[0011]
As mentioned above, by formulating drug-containing particles containing drug in the form of nanoparticles, transpulmonary formulation, powder inhalation formulation, etc. that can deliver the drug to the target location and act efficiently can do. For example, in order to achieve a good drug delivery to the lungs by pulmonary administration, it is usually 1-7 μm in aerodynamic diameter in a state in which a nanoparticle-containing preparation containing the drug is combined, and is good in the air And easily redispersed into nanoparticles after administration. That is, when pulmonary administration of a drug-containing preparation, good fluidity necessary for the drug-containing particles to be easily discharged from the drug-containing preparation when inhaled with an inhaler, and in the drug-containing particles after inhalation There is a demand for good redispersibility in that the nanoparticles are rapidly separated and finally redispersed into nanosized nanoparticles in the alveoli.
[0012]
The present invention has been made in view of the above problems, and the object thereof is to provide nanoparticles that can be suitably applied to various uses in the pharmaceutical field such as DDS without impairing the advantages of the nanoparticles. It is an object of the present invention to provide a method for easily producing drug-containing composite particles and a transpulmonary preparation that has good handling properties and has the advantages of nanoparticles.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, a method for producing a drug-containing composite particle of the present invention comprises a biocompatible nanoparticle comprising a drug and a biocompatible polymer, and an outer diameter larger than that of the biocompatible nanoparticle. It is characterized by applying a compressive force and a shearing force to a mixture containing large carrier particles to form a composite.
[0014]
By applying compressive force and shearing force to a mixture containing biocompatible nanoparticles and carrier particles, a large number of biocompatible nanoparticles can be attached to the carrier particles. A drug-containing composite particle comprising is obtained. The drug-containing composite particles obtained in this way contain the drug in the state of biocompatible nanoparticles, but are composited with carrier particles having a larger outer diameter than the biocompatible nanoparticles and excellent in thermal stability. Therefore, fluidity, handleability, and stability can be made higher than those of biocompatible nanoparticles.
[0015]
In addition, by arbitrarily setting the outer diameter of the carrier particles, the fluidity and handleability of the drug-containing composite particles obtained by the composite can be adjusted. Therefore, drug-containing composite particles that can be easily stored during storage and can be easily filled into the capsule with biocompatible nanoparticles before drug administration can be easily obtained. The outer diameter of the carrier particles may be set according to the purpose of use of the drug-containing composite particles, and is not particularly limited, but is preferably in the range of 1 μm or more and 1000 μm or less. More preferably, it is within the range of 1000 μm or less.
[0016]
In addition, since the production method of the present invention combines the mixture by applying a compressive force and a shearing force, it is easy to combine the carrier particles and the biocompatible nanoparticles to such an extent that they can be separated again. In addition, the biocompatible nanoparticle bonded to the surface of the carrier particle by the production method of the present invention can be easily converted from the carrier particle to the biocompatible nanoparticle by the force applied when the drug-containing composite particle is inhaled and administered to the patient. Can be separated. Therefore, according to the production method of the present invention, for example, when used in a targeting therapy for airway diseases, the biocompatible nanoparticles on the surface of the carrier particles are easily separated by the pressure of inhalation during use, etc. Drug-containing composite particles that can efficiently absorb the drug are obtained.
[0017]
Usually, it is considered that a plurality of biocompatible nanoparticles are aggregated and separated from the surface of the carrier particle. However, since the drug powder comes into contact with water, it easily redisperses into individual biocompatible nanoparticle units. The drug contained in the biocompatible nanoparticle can be efficiently delivered to the target site.
[0018]
Therefore, according to the production method of the present invention, by arbitrarily setting the outer diameter of the carrier particles, it is possible to obtain drug-containing composite particles that are easy to store during storage and have good handleability. In addition, because it is compounded by applying compressive force and shear force, it produces drug-containing particles including biocompatible nanoparticles that are easily dispersed during drug administration and efficiently deliver the drug to the target site. Is possible.
[0019]
As described above, according to the production method of the present invention, the preservability is good, the drug can be efficiently delivered to the target site such as the lung, and the target site becomes biocompatible nanoparticles. It is easy to produce drug-containing composite particles that exhibit their functions. For this reason, according to the drug-containing composite particles produced by the production method of the present invention, it is possible to efficiently dispense without impairing the advantages of the biocompatible nanoparticles. In the present invention, nanoparticles mean those having an average particle size of 1000 nm or less.
[0020]
Although the manufacturing method of the said biocompatible nanoparticle is not specifically limited, For example, it can manufacture by a spherical crystallization method. In the spherical crystallization method, crystallization and granulation can be performed simultaneously. For this reason, in addition to being able to form high-quality biocompatible nanoparticles, the particles can be formed to a desired size, and the degree of freedom in design can be increased.
[0021]
In the method for producing drug-containing composite particles of the present invention, it is desirable to use lactose as the carrier particles. Lactose is a disaccharide in the form of glucose and galactose combined, and includes α-hydrated lactose, α-anhydrous lactose, beta-anhydrous lactose, and amorphous lactose, all of which have high physicochemical stability, It has excellent properties as carrier particles, such as low hygroscopicity. Therefore, before the drug administration, the biocompatible nanoparticles are held on the surface, thereby improving the handleability, and at the time of drug administration, for example, by the flow of gas generated by suction, Biocompatible nanoparticles can be released from the surface. That is, by using lactose as carrier particles, drug-containing composite particles having excellent storage stability and fluidity can be realized.
[0022]
In the method for producing a drug-containing composite particle of the present invention, the biocompatible polymer constituting the biocompatible nanoparticle is made of a material having affinity for a living body and having no adverse effect in vivo. In particular, polylactic acid / glycolic acid (PLGA), polyglycolic acid (PGA), and polylactic acid (PLA) are preferable. These may be used alone or in combination.
[0023]
The biocompatible polymer can maintain and retain a drug while maintaining a sustained pharmacological effect. By using the biocompatible polymer, a sustained pharmacological effect can be maintained. Drug-containing composite particles. The drug is not particularly limited, and examples thereof include insulin and calcitonin.
[0024]
The content of the drug in the biocompatible nanoparticle may be set according to the type and purpose of the drug to be included, but is contained in the drug-containing composite particle within a range of 1% by weight to 20% by weight. Preferably, it is contained within the range of 5 to 15% by weight.
[0025]
In the method for producing drug-containing composite particles of the present invention, the mixture preferably contains lactose in the range of 1 part by weight to 999 parts by weight with respect to 1 part by weight of the biocompatible nanoparticle. . According to this, biocompatible nanoparticle can be more reliably made to adhere to the surface of lactose which is carrier particles.
[0026]
The biocompatible nanoparticles in the mixture are preferably drug powders obtained by aggregating a plurality of the biocompatible nanoparticles.
[0027]
Drug powder with multiple biocompatible nanoparticles agglomerated has an outer diameter larger than that of individual biocompatible nanoparticles, which improves handling (easy handling) and facilitates complexation with carrier particles. Become. The method for producing the drug powder is not particularly limited. For example, a suspension containing biocompatible nanoparticles is freeze-dried (freeze-dried) to agglomerate a plurality of biocompatible nanoparticles to obtain a micro size (1 μm). About 700 μm) of a porous drug powder.
[0028]
The drug powder is preferably prepared by freeze-drying a suspension containing biocompatible nanoparticles and hydroxypropylmethylcellulose phthalate.
[0029]
By lyophilizing a suspension containing biocompatible nanoparticles and hydroxypropylmethylcellulose phthalate, redispersion into nanoparticles more than that obtained by lyophilizing only biocompatible nanoparticles A highly functional drug powder is obtained. In the drug-containing composite particles obtained by combining the drug powder thus obtained and the carrier particles, the drug powder is well dispersed during drug administration, so that the inhalation characteristics are improved. Thereby, for example, when the drug-containing composite particles are administered through the lung, the amount of the drug powder reaching the lung can be increased.
[0030]
The hydroxypropylmethylcellulose phthalate is a monophthalic acid ester of hydroxypropylmethylcellulose and is represented by the general formula (1).
[0031]
[Chemical 1]
[0032]
The compounding may be performed by applying a compressive force and a shearing force to the mixture when passing through the gap. This makes it possible to adjust the compressive force and shear force applied to the mixture during compositing according to the width of the gap, and easily produce drug-containing composite particles having desired handling properties and dispersibility. be able to.
[0033]
Further, the distance between the closest portions of the gap is preferably in the range of 0.5 mm to 10 mm, and more preferably in the range of 1 mm to 5 mm. By setting the distance between the closest portions of the gap within the above range, the capsule can be easily filled, and biocompatible nanoparticles can be easily released from the capsule during drug administration. Compressive and shear forces suitable for producing drug-containing composite particles that are superior to the above can be applied to the mixture.
[0034]
The drug-containing composite particles produced by the production method of the present invention are particularly suitable as a pulmonary preparation. A transpulmonary preparation comprising the above-mentioned drug-containing composite particles ensures that when inhaled, the drug powder or biocompatible nanoparticles easily separate from the carrier particles and reach the lungs, and contact the water in the lungs to ensure that the Disperse into compatible nanoparticles. Therefore, the drug contained in the biocompatible nanoparticle can be efficiently delivered to the lung.
[0035]
According to the production method of the present invention, biocompatible nanoparticles comprising a drug and a biocompatible polymer are adhered to the surface of carrier particles having a larger outer diameter than the biocompatible nanoparticles. In the case of a pulmonary preparation, 20 mg to 80 mg of a pulmonary preparation is filled in a No. 2 gelatin capsule, the inhalation flow rate from the inhalation port is set to 60 L / min, and the inhalation characteristics are evaluated by a twin impinger, A transpulmonary preparation in which 15% or more of the transpulmonary preparation in the capsule reaches Stage 2 can be produced.
[0036]
As in the past, transpulmonary preparations obtained by simply drying biocompatible nanoparticles by freeze-drying have poor fluidity and dispersibility, so when the inhalation characteristics were evaluated with a twin impinger under the above conditions, Although 15% or more of the transpulmonary preparation in the capsule does not reach Stage 2, the transpulmonary preparation produced by the production method of the present invention has very good dispersibility, and the transpulmonary preparation in the capsule More than 15% of the formulation reaches stage 2.
[0037]
Furthermore, since the dispersibility is further improved by using a drug powder prepared by freeze-drying a suspension containing biocompatible nanoparticles and hydroxypropylmethylcellulose phthalate as biocompatible nanoparticles, the above-mentioned When inhalation characteristics are evaluated with a twin impinger under conditions, a transpulmonary preparation in which 30% or more of the transpulmonary preparation in the capsule reaches stage 2 can be obtained.
[0038]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
An embodiment of the present invention will be described below with reference to FIGS.
[0039]
In the method for producing a drug-containing composite particle of the present embodiment, a mixture containing a biocompatible nanoparticle (hereinafter referred to as “nanoparticle” as appropriate) comprising a drug and a biocompatible polymer, and a carrier particle, A composite is made by applying a compressive force and a shearing force.
[0040]
The method for producing nanoparticles in the method for producing drug-containing composite particles of the present embodiment is particularly limited as long as it is a method capable of processing a drug and a biocompatible polymer into particles having an average particle size of less than 1000 nm. Although it is not a thing, especially a spherical crystallization method can be used suitably.
[0041]
Here, the spherical crystallization method is a method in which spherical crystal particles can be designed and processed by directly controlling their physical properties by controlling the crystal generation / growth process in the final process of compound synthesis. It is. The spherical crystallization method can be divided into a spherical granulation method (SA method) and an emulsion solvent diffusion method (ESD method) depending on the generation / aggregation mechanism of crystals to be crystallized.
[0042]
The SA method is a method of forming a spherical granulated crystal by precipitating drug crystals using two kinds of solvents. Specifically, first, a poor solvent that hardly dissolves the target drug and a good solvent that can dissolve the drug well and can be mixed and diffused in the poor solvent are prepared. Then, a drug solution obtained by dissolving the drug in a good solvent is dropped into the poor solvent with stirring. At this time, by utilizing the shift of the good solvent to the poor solvent and the decrease in solubility due to the temperature effect or the like, the
[0043]
Furthermore, when a small amount of liquid (liquid cross-linking agent) that has affinity for the drug and is not miscible with the poor solvent is added to the system, the
[0044]
When a mechanical shearing force is further applied to the system in the funicular state, the aggregated
[0045]
The kind of the good solvent and the poor solvent and the kind of the
[0046]
The ESD method is also a method using two types of solvents, but unlike the SA method, after forming an emulsion, the drug is crystallized in a spherical shape by utilizing mutual diffusion between a good solvent and a poor solvent. Is the method. Specifically, first, a drug solution dissolved in a good solvent is dropped into a poor solvent under stirring. At this time, since the drug and the good solvent have an affinity, the transition of the good solvent to the poor solvent is delayed, and
[0047]
Then, as shown in the middle diagram of FIG. 2 (b), cooling of the
[0048]
The types of the good solvent and the poor solvent are not particularly limited and are determined according to the type of the target drug and the like, as in the SA method. In addition, the conditions for forming the emulsion and the cooling conditions at the time of crystal precipitation are not particularly limited, depending on the type of the target drug, the particle size of the spherical crystal particles 55 (in the case of the present invention, nanosize), and the like. What is necessary is just to determine suitably.
[0049]
In the above spherical crystallization method, nanoparticles can be formed by a physicochemical method, and the resulting nanoparticles are substantially spherical. Therefore, it is necessary to consider the problem of catalyst and raw material compound residues from homogeneous nanoparticles. And can be easily formed. In DDS applications, the drug may be modified with a biocompatible polymer or the like. However, in the spherical crystallization method, the drug and the biocompatible polymer are simply dissolved in a good solvent, and both are combined. Nanoparticle can be formed, which is very preferable.
[0050]
The biocompatible polymer as a material constituting the biocompatible nanoparticle obtained by the spherical crystallization method has low irritation and toxicity to the living body, is biocompatible, is decomposed and metabolized after administration. Such biodegradable materials are desirable, for example, polylactic acid / glycolic acid (PLGA). It is known that PLGA can contain a drug and can be stored for a long time while maintaining the efficacy of the drug. Other examples of the biocompatible polymer include polyglycolic acid (PGA) and polylactic acid (PLA). Further, these copolymers may be used, and may have a charged group such as an amino acid or a group that can be functionalized.
[0051]
Other biocompatible polymers include polyalkylenes such as polyamide, polycarbonate, polyethylene, polypropylene, polyethylene glycol, polyethylene oxide, polyethylene terephthalate, polyvinyl compounds such as polyvinyl alcohol, polyvinyl ether and polyvinyl ester, acrylic acid and Polymers with methacrylic acid, cellulose and other polysaccharides, and peptides or proteins, or copolymers or mixtures thereof.
[0052]
As the biocompatible polymer, polylactic acid / glycolic acid can be particularly preferably used. The molecular weight of polylactic acid / glycolic acid is preferably in the range of 10,000 to 200,000, and more preferably in the range of 15,000 to 25,000. The PLGA having a content of lactic acid and glycolic acid in the range of 25% to 65% by weight is preferably used because it is amorphous and soluble in an organic solvent such as acetone. .
[0053]
Examples of the drug encapsulated in the biocompatible nanoparticles include insulin and osteoporosis therapeutic agent cultocyanin. As will be described later, the drug-containing composite particles of the present invention can be suitably used for pulmonary preparations. However, since insulin acts very effectively by pulmonary administration, an insulin-encapsulated PLGA is produced as the biocompatible nanoparticles. Then, it can be set as the insulin transpulmonary formulation which acts efficiently.
[0054]
The nanoparticles obtained as described above can be aggregated into giant particles by pulverization by freeze drying or the like.
[0055]
In addition, when the nanoparticles formed by the above spherical crystallization method are freeze-dried, hydroxypropylmethylcellulose phthalate is attached to the surface of the nanoparticles by allowing hydroxypropylmethylcellulose phthalate to coexist in the liquid containing the nanoparticles. Can be made. Hydroxypropylmethylcellulose phthalate can modify the surface of a drug powder formed by aggregation of nanoparticles and a plurality of nanoparticles. As a result, the dispersibility of the nanoparticles is improved and the size of the drug powder can be made finer. Therefore, the dispersibility is further improved, and when the drug-containing composite particles are administered via the lungs, The amount of drug powder reached can be increased.
[0056]
The biocompatible nanoparticles are further adhered to the surface of the carrier particles, so that the physical properties are improved and the handling becomes easy. The drug powder and the carrier particles are combined by applying a compressive force and a shearing force, and can be integrated again in a separable state.
[0057]
As the carrier particles, lactose is preferable. As the lactose, 4-θ-β-D-galactopyranoylyl-D-glucose monohydrate represented by the chemical formula (2) is particularly preferably used. Specifically, Pharmatose 325M (manufactured by DMV INTERNATIONAL) or MICROFINE PHARMA (manufactured by FRIESLAND) is preferably used. Since MICROFINE PHAEMA is a fine lactose, if a drug-matrix type compound is prepared, it can be delivered as a drug carrier into the bronchi and lungs, so that inhalation characteristics are particularly good.
[0058]
[Chemical 2]
[0059]
Lactose preferably contains lactose in a proportion within the range of 1 part by weight or more and 999 parts by weight or less with respect to 1 part by weight of the biocompatible nanoparticle. According to this, biocompatible nanoparticles can be favorably adhered to lactose.
[0060]
Moreover, it is also possible to apply sugar alcohol as carrier particles. Examples of the sugar alcohol include mannitol, sorbitol, erythritol, etc. Among them, mannitol is particularly preferable. Mannitol is chemically stable, non-oxidized, moisture resistant and suitable for carrier particles.
[0061]
The compounding may be performed using an apparatus capable of applying a compressive force and a shearing force. 3 Pa or more 3 × 10 7 Compression force of Pa or less and 1 × 10 3 Pa or more 1 × 10 7 Those capable of imparting a shearing force of Pa or less are preferred.
[0062]
A mechano-fusion AMS (Hosokawa Micron) will be described below with reference to FIGS. 1 and 3 as a powder processing apparatus that can be used for producing the drug-containing composite particles of the present invention.
[0063]
As shown in FIG. 1, this mechanofusion (hereinafter referred to as a powder processing apparatus) 1 is roughly a casing 2 that forms a substantially cylindrical closed space, and a substantially bottomed substantially cylinder provided inside the casing 2. A cylindrical rotating body (rotating member) 3 having a shape and an inner peripheral surface of the cylindrical
[0064]
As shown in FIG. 1, a cylindrical
[0065]
In the
[0066]
The casing 2 constituting the
[0067]
The rotating
[0068]
The
[0069]
The inner peripheral surface of the
[0070]
A plurality of
[0071]
In the present embodiment, for example, the
[0072]
According to the above configuration, most of the
[0073]
Inside the cylindrical
[0074]
Further, when the horizontal cross-sectional shape of the press head 4 is a semicircular shape, the curvature of the press head 4 is made larger than the curvature of the
[0075]
Further, the press head 4 may be configured to be fixed in the same manner as the casing 2 or may be configured to be rotationally driven using some driving means and positively rotated relative to the receiving
[0076]
A circulating
[0077]
By processing the
[0078]
As described above, according to the
[0079]
The
[0080]
A
[0081]
In addition, although the case where it implemented using the
[0082]
By the method as described above, drug-containing composite particles in which biocompatible nanoparticles are attached to carrier particles can be produced. Next, changes in the state of the drug-containing composite particles when the drug-containing composite particles are inhaled into the lung will be described with reference to FIG.
[0083]
The composite particles (drug-containing composite particles) 31 are manufactured and stored in a state where powders (drug powders) 33 in which nanoparticles 34 (biocompatible nanoparticles) are aggregated are attached to
[0084]
Thus, when the capsule is first filled in the state of the
[0085]
The drug-containing composite particles of the present invention have been described by taking as an example a case of use as a pulmonary administration formulation, but besides this, as a drug carrier for a drug delivery system, oral administration, nasal administration, etc. It can also be applied to.
[0086]
【Example】
In this example, porous granules composed of composite particles of biocompatible nanoparticles (hereinafter referred to as “nanoparticles” where appropriate) and lactic acid as carrier particles are prepared, and the nanoparticles are efficiently delivered into the lungs. A powder inhalation formulation that can be made and can re-disperse nanoparticles in the lung and exert its function was evaluated.
[0087]
Hereinafter, a specific method for producing composite particles will be described. In this example, empty nanoparticles that do not contain a drug are used as the biocompatible nanoparticles, but the amount of the drug in the nanoparticle is the amount of the drug that is usually blended, specifically 20% by weight. Since it is considered that the physical properties of the nanoparticles are not affected by the presence or absence of the drug, the empty nanoparticles in this example correspond to the biocompatible nanoparticles in the present invention.
[0088]
First, a method for preparing biocompatible nanoparticles composed of polylactic acid / glycolic acid (PLGA) as a biocompatible polymer by the spherical crystallization method (emulsion solvent diffusion method) will be described below.
[0089]
[Method for producing FA-PLGA particles]
In this example, FA-PLGA particles obtained by nano-particle formation of FA-PLGA obtained by binding fluoresceinamine (FA) to PLGA for fluorescent staining were used as biocompatible nanoparticles. A method for producing FA-PLGA particles will be described below.
[0090]
Polylactic acid / glycolic acid (hereinafter PLGA, 3.07 g: 162 μmol) and FA (0.0583 g: 213 μmol) are dissolved in acetonitrile (30 mL), and 1-ethyl-3- (3-dimethyl hydrochloride as a binder is further dissolved. The reaction solution to which aminopropyl) -carbodiimide (WSC, 0.0408 g: 213 μmol) was added was stirred at room temperature for 2 hours in a light-shielded container. PLGA7520 manufactured by Wako Pure Chemical Industries, Ltd. was used as the PLGA, which is a biocompatible polymer. This PLGA7520 has a molecular weight of 20,000 and a polymerization ratio of lactose to glycolic acid of 75:25. Water was added to the reaction solution after stirring to precipitate PLGA, and then centrifugation (5000 rpm, 10 minutes, 4 ° C., Kubota 7800, Kubota Corporation) was performed to remove unreacted FA. Acetone was added to the pellet which is a precipitation component after unreacted FA was removed by centrifugation to dissolve PLGA. Ethanol was added to acetone in which PLGA was dissolved to precipitate PLGA. In the same manner as above, the precipitated PLGA was further purified twice by removing unreacted FA by centrifugation, dissolving PLGA by adding acetone, and depositing PLGA by adding ethanol. That is, the above purification operation was repeated a total of 3 times, and the resulting product was dried under reduced pressure to obtain FA-PLGA.
[0091]
Next, a method for forming nanoparticles of FA-PLGA prepared as described above will be described. 8 g of FA-PLGA was dissolved in a mixed solution of 160 mL of acetone and 80 mL of ethanol to obtain a FA-PLGA solution. While stirring this FA-PLGA solution in an aqueous solution of 200 mL of 2% polyvinyl alcohol (PVA-403, Kuraray) heated to 45 ° C. with a propeller-type stirrer (Three-one motor 600G, Heidon) at 400 rpm, FA-PLGA nanoparticles were prepared by dropwise addition at 4 mL / min using a perista pump (PERISTA, Ato Co., Ltd.). When all of the above FA-PLGA solution has been dropped, the rotation speed of the propeller-type stirrer is lowered to 100 rpm, the pressure is reduced to 45 ° C., stirring is continued for 4 hours, and acetone and ethanol are distilled off and suspended. Liquid.
[0092]
Then, the surface of the pellet which is a precipitation component obtained by centrifuging the suspension (20,000 rpm, 10 minutes, 4 ° C., Kubota 7800, Kubota Seisakusho) was washed with purified water. Ultrasonic waves were added to the pellets after washing with an appropriate amount of water to obtain a FA-PLGA suspension in which FA-PLGA nanoparticles were suspended in purified water. This FA-PLGA suspension was further subjected to operations of centrifugation, washing of pellets, and application of ultrasonic waves under the same conditions as described above. That is, the FA-PLGA suspension obtained by repeating the above operation twice was frozen at −104 ° C., and then freeze-dried overnight (Neocool Bath, Yamato Science Co., Ltd.) to obtain FA-PLGA particles. Manufactured. As described above, FA-PLGA particles were obtained as FA-PLGA powder (drug powder) in a state where a plurality of FA-PLGA nanoparticles (biocompatible nanoparticles) were aggregated.
[0093]
[Method for producing surface-modified FA-PLGA particles]
The FA-PLGA particles (FA-PLGA powder) obtained by the above-described FA-PLGA particle production method were treated with hydroxypropylmethylcellulose phthalate (HPMCP, HP-55: Shin-Etsu Chemical Co., Ltd., hereinafter referred to as HP-55). A method for surface modification by the method will be described below.
[0094]
HP-55 (0.5 g) was dissolved in an ethanol / water = 8/2 mixed solution (30 ml). Into a separable flask, water (200 ml) as a dispersion medium is placed, and with stirring with a four-blade propeller (400 rpm), the mixed solution in which the above HP-55 is dissolved is dropped, and HP-55 is added. Nanoparticles (nanospheres) were prepared. Thereafter, the solution to which the mixed solution was dropped was concentrated to finally obtain a 1 mg / ml HP-55 suspension containing 1 mg of HP-55 in 1 ml.
[0095]
The HP-55 suspension was added so that the amount of HP-55 was 10 parts by weight with respect to 100 parts by weight of FA-PLGA particles prepared by the above production method. Thereafter, the obtained FA-PLGA / HP-55 suspension was frozen at −104 ° C. and freeze-dried overnight (Neocool Bath, Yamato Scientific Co., Ltd.) to obtain surface-modified FA-PLGA particles. It was. As described above, the surface-modified FA-PLGA particles are also surface-modified FA-PLGA particles in a state in which a plurality of surface-modified FA-PLGA nanoparticles (biocompatible nanoparticles) are aggregated, like the FA-PLGA particles. Obtained as PLGA powder (drug powder).
[0096]
[Production method of composite particles]
Next, a method for combining the mixture of the FA-PLGA particles (FA-PLGA powder) or the surface-modified FA-PLGA particles (surface-modified FA-PLGA powder) and lactose into composite particles will be described. As described above, since the physical properties of the nanoparticles are not affected by the presence or absence of the drug as long as the amount is usually blended, the composite particles correspond to the drug-containing composite particles in the present invention.
[0097]
Lactose (Pharmacatose (R) 325M D 50 : 62.2 μm, DMV) and a mixture of 1 g of FA-PLGA particles obtained by the above production method were charged into a powder processing apparatus (Mechanofusion (registered trademark), Hosokawa Micron) and combined. Went.
[0098]
The rotation speed of mechanofusion is about 354 rpm, the clearance (the distance between the closest portions of the gap, the narrowest part of the gap) is set to 3 mm or 5 mm, FA-PLGA powder or surface-modified FA-PLGA powder, and lactose A mixture treatment with was performed. After introducing the mixture into Mechanofusion, the composite particles were sampled when the composite treatment time was 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes, and 60 minutes.
[0099]
The above-mentioned mechano-fusion is suitable as an apparatus for carrying out the method for producing drug-containing composite particles of the present invention, but is not limited thereto, and any apparatus that can apply a compressive force and a shearing force to the mixture. For example, theta composer (registered trademark, Tokuju Seisakusho) may be used.
[0100]
[Experimental Example 1 Observation of Composite Particles by Electron Microscope]
Among the composite particles manufactured by the above-described composite particle manufacturing method, composite particles subjected to a composite treatment for 60 minutes with a mechanofusion having a clearance set to 3 mm were observed with an electron microscope (SEM).
[0101]
FIG. 5 is a view showing a microscope image of the composite particles and the FA-PLGA particles (hereinafter referred to as a microscope view). FIG. 5 (a) shows a microscopic view of composite particles of FA-PLGA particles and lactose. From the figure, it can be seen that FA-PLGA particles are attached to the surface of lactose and both are well compounded. FIG.5 (b) has shown the microscope view of the composite particle of surface modification FA-PLGA particle | grains and lactose. From the figure, it can be seen that the surface-modified FA-PLGA particles are adhered in a fine state on the surface of lactose, and both are well compounded. FIG. 5C shows a microscopic view of FA-PLGA particles (FA-PLGA powder) constituting the composite particles shown in FIG.
[0102]
[Experimental example 2 Evaluation of the effect of complex processing time]
The composite particles sampled when the composite treatment time after introduction into the mechanofusion with a clearance of 3 mm was 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes, and 60 minutes, respectively, were confocal laser microscope (LSM-510- V.2.01: CLSM, Carl Zeiss Co. Ltd.), the state change of the composite particles over time as the composite treatment time elapses was examined.
[0103]
FIGS. 6A to 6D are micrographs of composite particles sampled at the time of the composite treatment time of 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes, and 60 minutes in order. As shown in FIG. 6 (a), it was confirmed that in the composite particles having a composite treatment time of 5 minutes, the FA-PLGA particles were uniformly attached to the entire surface of the particulate lactose. Thus, almost all FA-PLGA particles were able to adhere to the surface of lactose by the complexing treatment for 5 minutes. Thus, according to the production method of the present invention, the composite particles can be produced by complexing the mixture by a short time treatment. In addition, after 15 minutes (FIG. 6 (b)), 30 minutes (FIG. 6 (c)), and 60 minutes (FIG. 6 (d)), FA-PLGA not attached to lactose with the passage of time. There was a tendency to increase the number of film-like particles. For this reason, when the clearance is 3 mm, it can be said that it is appropriate to set the composite processing time to 5 to 15 minutes. In addition, what is necessary is just to set clearance and processing time according to the kind of mixture used as the object of a composite process.
[0104]
FIG. 7 is a microscopic view of the composite particles obtained by compositing with a clearance of 5 mm and a composite treatment time by mechanofusion of 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes, and 60 minutes. According to this, as shown in FIG. 7 (a), after 5 minutes, FA-PLGA particles, which are fluorescent nanoparticles, started to adhere to the surface of the large particulate lactose, and after 15 minutes (FIG. 7). (B)), 30 minutes (FIG. 7 (c)), and 60 minutes later (FIG. 7 (d)), the attachment of FA-PLGA particles to lactose and spreading proceeded with time.
[0105]
7A to 7D, as in the case where the clearance shown in FIGS. 6A to 6D is set to 3 mm, the FA-PLGA is formed from the surface of lactose by fusion and coalescence of FA-PLGA particles. The phenomenon that the particles fall off was not observed even after 60 minutes. That is, when the clearance is 5 mm in this embodiment, the processing time is slightly longer than when the clearance is 3 mm, but the FA-PLGA particles can be prevented from peeling off from the lactose surface as the processing time elapses.
[0106]
Moreover, when the composite particle sampled every time was suspended in purified water and the particle size after re-dispersion was measured by ZETA SIZER, it was obtained by complexing for 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes, and 60 minutes. All of the composite particles were redispersed to the same particle size as that of the nanoparticles before the composite (FIG. 7 (e)). Thus, it was confirmed that the composite particles of the present embodiment maintain the state as nanoparticles even after being combined, and easily redispersed into individual nanoparticles by contact with water. It was.
[0107]
In addition, it is considered that the glass transition point is involved in the resistance of the nanoparticles to the shear during the composite treatment, so that the fusion of the nanoparticles is suppressed by using PLGA having a higher glass transition point. Conceivable.
[0108]
[Experimental Example 3 Change in Inhalation Characteristics with Compound Processing Time]
The in vitro inhalation characteristics of FA-PLGA composite particles that have been subjected to the composite treatment by the above-mentioned mechanofusion with a clearance of 5 mm for 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes, and 60 minutes have been listed as an artificial lung model in the US Pharmacopoeia. Evaluation was carried out using a twin impinger. This twin impinger is a device that evaluates in vitro whether or not the inhaled composite particles reach the lungs.
[0109]
A schematic diagram of the twin impinger used in this example is shown in FIG. First, a method for evaluating the reachability of composite particles by the
[0110]
In this embodiment, the suction flow rate from the
[0111]
With this
[0112]
The result of measuring the inhalation characteristics of the sample using this
[0113]
According to this, when the composite processing time is 5 minutes, the rate of reaching stage 2 is 40%, and when the composite processing time is 15 minutes, the rate of reaching stage 2 is 48%. It was. In the present embodiment, the amount of the stage 2 reached is 37% for the composite processing time of 30 minutes and 27% for the 60 minutes, which is smaller than those for 5 minutes and 15 minutes. The tendency to do was recognized. From this, it can be said that when the composite particles of this example are used as a pulmonary preparation, it is preferable to set the composite treatment time to about 5 to 15 minutes.
[0114]
It is noted that the composite particles are re-dispersed in the state of nanoparticles before the composite by contact with water in all cases where the composite treatment time is 5 minutes, 15 minutes, 30 minutes and 60 minutes. It is as follows (refer FIG.7 (e)).
[0115]
In the composite particles of the present embodiment, when the composite treatment time was 30 minutes or more, the amount reached to the stage 2 tended to decrease, but this is due to the composite treatment. -It is understood that this is due to the fusion of PLGA particles. For this reason, in order to prevent fusion of FA-PLGA particles, a high softening point may be used. Specifically, in this example, instead of PLGA having a molecular weight of 20000 having a softening point of 42 ° C. and having a softening point of 42 ° C., a composite treatment time is increased. It can be said that the composite particles can be produced even when the length is increased.
[0116]
In this example, the optimal complexing time was about 5 to 15 minutes. However, the complexing time is the clearance, the type and amount of the complex to be complexed, the use of the drug-containing complex particles, etc. Should be set according to
[0117]
[Experimental Example 4 Comparison of Inhalation Characteristics]
1. Evaluation result by twin impinger
Among the composite particles obtained according to the FA-PLGA particle manufacturing method, the FA-PLGA composite particles and the surface-modified FA-PLGA composite particles manufactured with a clearance of 3 mm and a composite treatment time of 30 minutes are described above. Under the same conditions, the inhalation characteristics were examined using a twin impinger 41 (see FIG. 8).
[0118]
In addition, as a comparative example, FA-PLGA particles themselves (powdered PLGA particles) and lactose / PLGA freeze-dried powder were similarly used with the twin impinger 41 (see FIG. 8) for inhalation characteristics under the same conditions as described above. Examined. Here, lactose / PLGA lyophilized powder is prepared by lyophilizing a suspension of lactose (800 mg) and FA-PLGA (200 mg) in water (5 ml). is there.
[0119]
FIG. 10 shows the results of evaluating the inhalation characteristics of the composite particles and the surface-modified composite particles as examples of the present invention, the powdered PLGA particles and the lactose / PLGA lyophilized powder as comparative examples, using the
[0120]
O. of FIG. E. (Output Efficiency) value of the test substance (FA-PLGA composite particles, surface modified FA-PLGA composite particles, powdered PLGA particles and lactose / PLGA freeze-dried powder) in the capsules that were discharged from the inhaler It is a value indicating the percentage as a percentage (% by weight). In addition, R. F. The (Respirable Fraction) value is a value indicating the percentage (% by weight) of the test substance that has reached stage 2, and reaches the lung when composite particles or powdered PLGA particles are used as a pulmonary preparation. That is the rate considered.
[0121]
As a comparative example, powdered PLGA particles not complexed with carrier particles had poor powder physical properties, specifically fluidity, and were hardly released from the capsules. In contrast, FA-PLGA composite particles (composite particles) and surface-modified FA-PLGA composite particles (surface-modified composite particles) as examples and lactose / PLGA freeze-dried particles as comparative examples have improved fluidity. The release rate from the inhaler was over 70%. However, the lactose / PLGA freeze-dried particles, which are comparative examples, cannot be dispersed in the air into fine particles of 6.4 μm or less, which are the cutoff diameters of
[0122]
On the other hand, in FA-PLGA composite particles, O.D. E.
[0123]
Thus, according to the method for producing drug-containing composite particles of the present invention, the fluidity and dispersibility of the drug-containing composite particles can be greatly improved, and thus cannot be achieved conventionally under the above conditions. In addition, when the inhalation characteristics are evaluated by a twin impinger, drug-containing composite particles having a ratio of reaching 15% or more can be obtained. Moreover, the ratio which reaches | attains the stage 2 can be made into 30% or more by making hydroxypropyl methylcellulose phthalate adhere to the surface.
[0124]
As described above, the FA-PLGA composite particles obtained by complexing with mechanofusion have improved inhalation characteristics, and in particular, a surface in which secondary aggregates are modified by adding HP-55 nanosphere suspension during freeze-drying. The modified FA-PLGA composite particles have 34% R.D. F. The value is shown. This is because the secondary agglomerates (drug powders) are reduced in aerodynamic diameter due to the refinement of the secondary agglomerates, the structure of the secondary agglomerates is close to a sphere, and the lactose surface used as carrier particles This is probably because the contact area has decreased and separation has become easier.
[0125]
2. Measurement of inhalation characteristics with a cascade impactor
Next, among the composite particles obtained according to the FA-PLGA particle manufacturing method, the FA-PLGA composite particles and the surface-modified FA-PLGA composite particles manufactured with a clearance of 3 mm and a composite treatment time of 30 minutes. The in vitro inhalation characteristics of the FA-PLGA composite particles produced as described above were evaluated using a cascade impactor listed as an artificial lung model in the United States Pharmacopeia.
[0126]
A schematic view of the
[0127]
As shown in FIG. 11, the
[0128]
The reachability of the composite particles as a transpulmonary preparation can be evaluated depending on which of the
[0129]
12A to 12D, when the FA-PGA composite particles (composite particles) are dispersed in the air, the particles collected on the stage of the
[0130]
From FIG. 12A, it can be seen that the particles collected in
[0131]
Even when the surface-modified FA-PLGA composite particles of FIG. 13 are dispersed in the air, the shape of the particles at each stage can be said to be the same as that of the FA-PLGA composite particles. Further, from FIG. 13 (c), the surface-modified FA-PLGA powder in a state where a plurality of the surface-modified FA-PLGA nanoparticles collected in the
[0132]
According to the above results, the FA-PLGA particles (powdered FA-PLGA particles) have poor fluidity, and about 90% of the powder remains in the capsule in the inhalation experiment. As a result, it was possible to drastically improve the release from the capsule.
[0133]
Furthermore, since the surface of the FA-PLGA particles can be modified by freeze-drying in a state where the FA-PLGA particles and HP-55 coexist, a needle in which a plurality of FA-PLGA particles are aggregated -Shaped secondary aggregate (drug powder) can be refined. Thereby, in particular, in the evaluation by the twin impinger, the arrival rate to the stage 2 indicating the arrival rate to the lung can be improved. In this way, the surface-modified FA-PLGA particles are used as biocompatible nanoparticles and are combined with carrier particles to form composite particles (composite particles), thereby improving the inhalation characteristics of the biocompatible nanoparticles. It was able to improve significantly.
[0134]
In summary, according to the method for producing a drug-containing composite particle of the present invention, (1) a biocompatible nanoparticle and a carrier particle having an outer diameter larger than that of the biocompatible nanoparticle are combined to form a living body. Compared with the compatible nanoparticles themselves, the inhalation characteristics could be improved far. (2) The inhalation characteristics could be further improved by using biocompatible nanoparticles whose surface was modified with HP-55. (3) As a result of measuring inhalation characteristics using a cascade impactor and observing particles reaching each stage, a plurality of biocompatible nanoparticles were obtained by modifying the surface of the biocompatible nanoparticles using hydroxypropylmethylcellulose phthalate. The dispersibility of the agglomerated drug powder is improved, and the amount of biocompatible nanoparticles reaching the stage corresponding to the inside of the lung is greatly increased.
[0135]
【The invention's effect】
As described above, the present invention provides a mixture containing a biocompatible nanoparticle comprising a drug and a biocompatible polymer, and carrier particles having an outer diameter larger than that of the biocompatible nanoparticle. And a method for producing drug-containing composite particles that are composited by applying a shearing force.
[0136]
According to this method, the biocompatible nanoparticles and carrier particles, which are nanoparticles having long-term sustained release characteristics and good biocompatibility, can be easily made into drug-containing composite particles. This drug-containing composite particle has better handleability than biocompatible nanoparticles, and has dispersibility and fluidity necessary for dispersion in biocompatible nanoparticles. Therefore, drug-containing composite particles that are easy to store, can exhibit the function of nanoparticles during use, and can efficiently deliver a drug to a target site can be obtained. Therefore, the drug-containing composite particles produced by the production method of the present invention have an effect that they can be efficiently administered without impairing the advantages of the nanoparticles.
[0137]
In addition, the drug-containing composite particles produced by the production method of the present invention can be efficiently delivered to the lungs by transpulmonary administration. That is, when inhaled with an inhaler, it has fluidity so that it can be well dispersed in the air from the inhaler, and after inhalation, it is quickly separated and finally dispersed to the nano size in the alveoli. Therefore, it is particularly suitable as a pulmonary preparation, and has an effect that the drug can efficiently reach the lung.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a configuration example of a powder processing apparatus used for carrying out the present invention.
FIG. 2 is a schematic diagram for explaining a spherical crystallization method used in a method for producing drug-containing composite particles according to an embodiment of the present invention, wherein (a) shows a granulation process of a spherical granulation method; b) shows the granulation process of the emulsion solvent diffusion method.
3 is a cross-sectional view illustrating an operation when a compressive force and a shear force are applied to an object to be processed by the powder processing apparatus shown in FIG.
FIG. 4 is a diagram showing a state of drug-containing composite particles when the drug-containing composite particles according to one embodiment of the present invention are inhaled.
FIG. 5 is a drawing showing electron micrographs of drug-containing composite particles according to an example of the present invention, where (a) shows FA-PLGA particles, (b) shows surface-modified FA-PLGA particles, (c) ) Indicates powdered PLGA particles.
FIG. 6 is a drawing showing a microscopic view of drug-containing composite particles according to an embodiment of the present invention, in which the clearance of the composite device is 3 mm, and the composites are respectively (a) 5 minutes ( b) Shown after 15 minutes, (c) 30 minutes, (d) 60 minutes.
FIG. 7 is a drawing showing micrographs of drug-containing composite particles according to an embodiment of the present invention, in which the composite device is composited with a clearance of 5 mm, and the composite time is (a) 5 minutes, (B) 15 minutes, (c) 30 minutes, (d) 60 minutes. Moreover, (e) has shown the result of having measured the particle diameter after re-dispersing the obtained drug-containing composite particles in purified water.
FIG. 8 is a drawing showing a schematic configuration of a twin impinger for examining the inhalation characteristics of composite particles produced by a method for producing drug-containing composite particles according to an embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a drawing showing the results of measuring the difference in inhalation characteristics depending on the compositing time of a composite particle according to an example of the present invention using a twin impinger.
FIGS. 10A and 10B are the results of measuring the inhalation characteristics of the composite particles according to one example of the present invention and the powdered PLGA particles and the lactose / PLGA lyophilized product as comparative examples using a twin impinger. It is drawing which shows.
FIG. 11 is a view showing a cascade impactor for examining the inhalation characteristics of composite particles manufactured by a composite particle manufacturing method according to an embodiment of the present invention.
12 is a drawing showing microscopic images of particles collected at different stages of the cascade impactor of FIG. 11 when FA-PLGA composite particles are dispersed in the air. FIG. Collected, (b) collected at stage 2, (c) collected at
13 is a drawing showing microscopic images of particles collected at different stages of the cascade impactor of FIG. 11 when surface-modified FA-PLGA composite particles are dispersed in the air, (a) is a stage. What was collected at 0, (b) was collected at stage 2, (c) was collected at
[Explanation of symbols]
1 Powder processing equipment
2 Casing
3 Cylindrical rotating body
4 Press head
7 Products to be treated (biocompatible nanoparticles, drug powder, carrier particles, mixture)
31 Drug-containing composite particles
32 Carrier (carrier particles)
33 drug powder
34 Nanoparticles (biocompatible nanoparticles)
100 Clearance (gap closest to the gap)
Claims (10)
20mgの経肺製剤を2号ゼラチンカプセルに充填し、吸入口からの吸入流速を60L/分に設定して、ツインインピンジャーによりその吸入特性を評価した場合に、上記カプセル中の経肺製剤の15%以上がステージ2に到達することを特徴とする経肺製剤。A transpulmonary preparation wherein a biocompatible nanoparticle comprising a drug and a biocompatible polymer is attached to the surface of a carrier particle having a larger outer diameter than the biocompatible nanoparticle,
When a 20 mg transpulmonary preparation was filled in a No. 2 gelatin capsule, the inhalation flow rate from the inhalation port was set to 60 L / min, and the inhalation characteristics were evaluated by a twin impinger, the transpulmonary preparation in the capsule was A transpulmonary preparation characterized by at least 15% reaching stage 2.
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