JP2005000824A - Nitrogen treatment method - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素及びアンモニア態窒素を含む排水の窒素処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、川や湖の富栄養化の原因の1つに窒素化合物の存在があることは周知である。また、この窒素化合物は、一般家庭の生活排水中や工場排水中に多く存在するが、浄化処理が困難なものであり、有効な対策がとれないのが現状であり、現在では、主に、生物的処理が採用されている。この生物的処理は、先ずアンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換する硝化工程と、硝酸態窒素を窒素ガスに変換する脱窒工程の2つの工程により行われる。そのため、2つの反応槽が必要となると共に、処理時間が遅いため、処理効率が悪いという問題があった。
【0003】
また、該生物的処理では、脱窒素細菌を保有するために、大容量の嫌気槽が必要となり、設備建設コストの高騰、装置設置面積の増大を招く問題があった。更に、該脱窒素細菌は、周囲の温度環境、その他、被処理水中に含まれる成分などにより、著しく影響されるため、特に、温度が低くなる冬場になると、活動の低下により脱窒素作用が低下し、処理効率が不安定となる問題があった。
【0004】
そこで、上記技術的課題を解決するために、被処理水を電解処理してアンモニア、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素を酸化又は還元分解して窒素ガスにする方法がある。従来、該電気分解による被処理水の処理方法では、アノードに例えば、白金、イリジウム、パラジウムなどの金属材料を用い、カソードに不錆鋼等を用いていた(特許文献1参照。)。
【0005】
そして、各電極に電流を流すことにより、被処理水中に次亜塩素酸などの酸化剤を発生させ、被処理水中のアンモニア態窒素を酸化し、更に、窒素ガスにまで還元し、有機性排水の無害化を図っていた。
【0006】
しかしながら、従来の電解による窒素処理方法では、窒素化合物の除去処理能力が低いため、実際に生活排水や工場排水の処理において、窒素化合物を処理することは、困難であった。また、上記方法では硝酸態窒素を窒素ガスに変換し難く、特に低濃度の硝酸イオンを除去することが困難であるため、被処理水中に窒素成分として残留してしまう問題がある。
【0007】
そこで、被処理水中の窒素化合物の処理能力の向上を図るため、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元反応に対する触媒活性の高いカソードの材料の開発がなされ、カソードの材料として、銅や、銅と亜鉛の合金である黄銅が用いられていた。
【0008】
【特許文献1】
特開昭54−16844号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、銅をカソードの材料として用いた場合であっても、十分な硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元反応に対する触媒活性を得ることができないという問題があった。また、黄銅をカソードの材料として用いた場合には、高い硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元能力を得ることが可能となるが、時間と共にカソードが劣化していくという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、長期に渡り、安定して使用できるカソードを提供し、被処理水中の窒素化合物を効率的に除去することが可能となる窒素処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理するにあたり、カソードを構成する材料は、酸化処理がなされた金属材料、又は、酸化処理がなされた金属含有材料、特に、請求項2の発明の如き酸化銅、又は、酸化銅含有材料であるので、被処理水中の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元触媒活性を著しく向上させることができ、これら硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力の向上を図ることができるようになる。
【0012】
特に、カソードを構成する材料として酸化銅を用いた場合には、金属の被処理水中への溶出を生じることなく、従来、用いられていた黄銅と同等程度の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力を発揮することができるようになる。これにより、カソードの劣化を気にすることなく、長期に渡り、効果的な窒素処理ができるようになる。
【0013】
また、酸化銅、又は、酸化銅含有材料は、請求項3の発明の如く銅又は銅含有材料を銅の融点(+1083℃)以下の酸化雰囲気中、好ましくは、請求項4の発明の如く表面に緻密な酸化物を形成するために+300℃以下の酸化雰囲気中で、所定時間熱処理することにより得られたものを用いることにより、適度に酸化された状態の酸化銅を被処理水の電解脱窒処理に用いることができ、より一層、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力の向上を図ることができるようになる。
【0014】
請求項5の発明によれば、上記各発明において、被処理水は、10ppm以上のハロゲン化物イオンを含有するので、被処理水中に高効率で次亜ハロゲン酸等の酸化剤を生成することができるようになる。これにより、被処理水中に生成された次亜ハロゲン酸等の酸化剤により、カソードにおいて生成されたアンモニアの脱窒処理を行うことができるようになる。そのため、硝酸態窒素、アンモニア態窒素及び窒素化合物などの窒素成分をより一層、効果的に処理することができるようになる。
【0015】
請求項6の発明によれば、上記発明において、アノードを構成する導電性材料は、被処理水中のハロゲン化物イオンを酸化し、次亜ハロゲン酸イオンを生成する能力を有する不溶性金属材料又はカーボンであるので、被処理水中に発生させた酸化剤によって、カソードを構成する電極の酸化状態を長期に渡って維持することが可能となり、還元性能の低下を防止できるようになる。これによって、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元処理を長期に渡って効率的に行うことができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の窒素処理方法を実現するための窒素処理装置1の概略説明図である。尚、本実施例の処理対象である被処理水は、窒素化合物などの有機物を含有しているものとする。本実施例における窒素処理装置1は、内部に被処理水の流入口2と流出口3を有する処理室8を構成する処理槽9と、該処理室8内の被処理水中に少なくとも一部が浸漬するように対向して配置された一対の電極10、11と、該電極10、11に通電するための電源12及び該電源12を制御するための図示しない制御装置などから構成されている。尚、処理槽9には内部を撹拌するための撹拌手段13を設けても良い。また、流入口2は、前記制御装置に接続された開閉弁4を介して給送管5が接続され、これにより、処理槽9内への被処理水の供給制御を可能としている。同じく流出口3は、制御装置に接続された開閉弁6を介して配送管7が接続され、これにより、処理槽9内の被処理水の排水制御を可能としている。
【0017】
前記電極10は導電体として例えば白金(Pt)又は白金とイリジウム(Ir)の混合物などの貴金属電極、又は、これらを被覆した不溶性金属材料若しくは、カーボンにより構成されている。尚、本実施例では、白金とイリジウムにより構成されている電極を採用するものとする。
【0018】
他方、前記電極11は、酸化処理がなされた金属として、例えば酸化銅により構成されている。尚、本実施例において用いられる酸化銅は、+170℃の酸化雰囲気中で6時間焼成処理することにより得られたものであるものとする。
【0019】
以上の構成により、処理槽9の処理室8内に硝酸性窒素を含む被処理水を貯留し、前記制御装置により電源12をONとし、電極10に正電位を、電極11に負電位を印加する。これにより、電極10はアノードとなり、電極11はカソードとなる。
【0020】
係る電位の印加により、カソードを構成する電極11側では、アノードを構成する電極10側において生成された電子が供給され、被処理水中に含まれる硝酸態窒素としての硝酸イオンが亜硝酸イオンに還元される(反応A)。更に、亜硝酸イオンに還元された硝酸態窒素は、カソードを構成する電極11側において、電子が供給され、アンモニア(アンモニウムイオン)まで還元される(反応B)。以下に、反応A及び反応Bを示す。
反応A NO3 −+H2O+2e−→NO2 −+2OH−
反応B NO2 −+5H2O+6e−→NH3(aq)+7OH−
【0021】
一方、アノードを構成する白金・イリジウム電極10側では、被処理水中に含有されるハロゲン化物イオンとしての塩化物イオンが電子を放出して塩素を生成する。そして、この塩素は水に溶解して次亜塩素酸(次亜ハロゲン酸)を生成する。このとき、電極上では同時にオゾン、若しくは、活性酸素も生成される。
【0022】
ここで、被処理水中に含まれる塩化物イオン濃度が低い場合には、被処理水中に、例えば塩化物イオンや、ヨウ化物イオンや、臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンや、これらハロゲン化物イオンを含む化合物、例えば、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどを添加してもよい。即ち、被処理水の塩化カリウムの塩化物イオンを例えば10ppm以上とする。
【0023】
このような被処理水中に本来含まれる塩化物イオンや上述の如く添加した塩化カリウムは、アノードを構成する電極10において酸化され、塩素を生成し(反応C。塩化カリウムの場合で示す)、生成された塩素は、被処理水中で水と反応し、次亜塩素酸を生成する(反応D)。そして、生成された次亜塩素酸は、上述の反応Bで被処理水中に生成されたアンモニア(アンモニウムイオン)と反応し、複数の化学変化を経た後、窒素ガスに変換される(反応E)。以下、反応C乃至反応Eを示す。このとき、電極上では同時にオゾン、若しくは、活性酸素も生成される。
【0024】
また、被処理水中のアンモニア(アンモニウムイオン)は、アノードを構成する電極10側で発生するオゾン、若しくは、活性酸素と反応Fに示す如く反応し、これによっても窒素ガスに脱窒処理される。
反応F 2NH3(aq)+3(O)→N2↑+3H2O
【0025】
これにより、被処理水中の硝酸態窒素、亜硝酸態窒素及びアンモニア態窒素の脱窒処理が可能となる。また、本実施例では、アノードを構成する電極10を上述した如く不溶性金属材料又はカーボンなどの導電性材料であるため、アンモニア態窒素の分解反応によって生成するハロゲン化物イオンは、上記反応Cに戻ってアノード酸化を受け、次亜ハロゲン酸イオンとなり、再び反応D及び反応Eを繰り返す。これにより、被処理水中のハロゲン化物イオン濃度が低い場合であっても効率的に窒素化合物の除去処理を行うことができるようになる。
【0026】
ここで、図2乃至図5を参照して各電極11を用いた場合の被処理水中の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の脱窒処理能力について詳述する。図2は各材料により構成された電極11をカソードとして用いた場合の電解時間に対する硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の濃度変化を示す。
【0027】
図2に示される実験結果は、アノードを構成する電極10に白金・イリジウム電極を用い、カソードを構成する電極11に、それぞれ銅と亜鉛が60:40の割合で構成される黄銅、銅(C1220)、二種類の酸化銅A、Bを用いて被処理水の電解脱窒処理を行ったものである。尚、酸化銅Aは、銅を+170℃の酸化雰囲気中で3時間焼成処理されたもの(上記実施例にて使用したもの)であり、酸化銅Bは、銅を+170℃の酸化雰囲気中で6時間焼成処理されたものである。尚、図2中、菱形は黄銅、四角は銅、三角は酸化銅A、丸は酸化銅Bの実験結果を示す。また、係る実験では、塩化カリウム中の塩化物イオンが2000mg/L、硝酸態窒素が500mg/L含有された模擬排水300mlを被処理水とする。
【0028】
これによると、黄銅をカソードの材料として使用した場合、電解処理開始時点において500mg/Lであった硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の濃度は、電解処理開始から60分後には120mg/L程度、120分後には、50mg/L以下にまで低下し、180分後にはほぼ完全に硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素が脱窒処理されていることが分かる。但し、係る黄銅をカソードの材料として使用した場合には、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の高い脱窒処理能力を示すが、黄銅を構成する亜鉛が被処理水中に溶出するため、環境に還元する被処理水を処理するのに好ましくない。
【0029】
他方、従来より行われている銅をカソードの材料として使用した場合、電解処理開始時点において500mg/Lであった硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の濃度は、電解処理開始から60分後には300mg/L程度、120分後でも、250mg/Lを下回る程度にしか低下していないことが分かる。
【0030】
これに対し、本発明の酸化銅Aをカソードの材料として使用した場合、電解処理開始時点において500mg/Lであった硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の濃度は、電解処理開始から60分後には250mg/L程度、120分後には、150mg/L程度にまで低下していることが分かる。
【0031】
通常、銅をカソードの材料として用いた場合であっても、電解処理が行われるに従って、銅自体が被処理水中に生成される次亜ハロゲン酸等の酸化剤により酸化され、電極11の表面に酸化銅を形成する。しかしながら、その形成には長時間を要する。よって図2に示すように酸化銅をカソード材料として用いた方がよいことが分かる。
【0032】
また、酸化銅Aよりも長い焼成時間で形成された酸化銅Bをカソードの材料として使用した場合、電解処理開始時点において500mg/Lであった硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の濃度は、電解処理開始から60分後には190mg/L程度、120分後には、90mg/Lを下回る程度にまで低下している。これによると、焼成時間が長い方が、即ち酸化割合の高い銅を用いた方が、被処理水中の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の脱窒処理に大きな触媒活性を示すことが分かる。
【0033】
特に、酸化銅Bをカソードの材料として用いた場合には、他の材料を用いた場合に比べて、より黄銅を用いた場合の脱窒処理能力に近い脱窒処理能力を発揮することが分かる。また、かかる場合には、黄銅を用いた場合により生じる被処理水中への亜鉛溶出のような構成材料の溶出がないため、長期に渡りシステムが安定して運転できるようになる。
【0034】
他方、図3乃至図5は、各電極11をカソードとして用いた場合の被処理水の電解脱窒処理時の電流−電位曲線を示す。図3は酸化銅A、図4は黄銅、図5は銅を用いた場合における電流−電位曲線を示す。各実験において、被処理水は、3mMの硝酸カリウムと0.25Mの硫酸ナトリウムの混合溶液を用い、当該被処理水に100mVs−1で電位を加えたものである。各図において(1)は硝酸態窒素から亜硝酸態窒素への還元ピークを示し、(2)は亜硝酸態窒素からアンモニア態窒素への還元ピークを示している。
【0035】
図3乃至図5より、酸化銅Aをカソードの材料として用いた場合には、(1)のピークが−0.8V(基準電極に対する電位である。以下、同じ。)、(2)のピークが−1.01Vであった。黄銅をカソードの材料として用いた場合には、(1)のピークが−0.9V、(2)のピークが−1.25Vであった。銅をカソードの材料として用いた場合には、(1)のピークが−0.9V、(2)のピークが−1.22Vであった。
【0036】
これにより、(1)のピーク、即ち硝酸態窒素から亜硝酸態窒素への還元ピークに関しては、各電極材料間で大きな違いは見られないが、(2)のピーク、即ち亜硝酸態窒素からアンモニア態窒素への還元ピークに関しては、黄銅及び銅を用いた場合に比べて本発明の酸化銅を用いた場合の方が、電位が小さいことが分かる。
【0037】
そのため、カソードを構成する電極11の材料を酸化銅とすることにより、より小さなエネルギーで被処理水中の亜硝酸態窒素からアンモニア態窒素への還元反応を生じることができる。
【0038】
これにより、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理するにあたり、カソードを構成する材料に、酸化処理がなされた金属材料、又は、酸化処理がなされた金属含有材料、特に、酸化銅、又は、酸化銅含有材料を用いることにより、被処理水中の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元触媒活性を著しく向上させることができ、これら硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力の向上を図ることができるようになる。
【0039】
特に、上述した如くカソードを構成する材料として酸化銅を用いた場合には、金属の被処理水中への溶出を生じることなく、従来、用いられていた黄銅と同等程度の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力を発揮することができるようになる。これにより、長期に渡りシステムを安定して運転できるようになる。
【0040】
尚、本実施例では、酸化銅は、銅を+170℃の酸化雰囲気中で3時間又は6時間焼成処理したものを用いているが、これ以外にも銅を融点(+1083℃)以下の酸化雰囲気中、好ましくは、表面に緻密な酸化物を形成するために+300℃以下の酸化雰囲気中で、所定時間、例えば数時間乃至数十時間、熱処理することにより得られたものであっても良いものとする。これにより、適度に酸化された状態の酸化銅を被処理水の電解脱窒処理に用いることができ、より一層、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力の向上を図ることができるようになる。
【0041】
また、本実施例では、銅の酸化処理方法として、所定温度における処理を行っているが、上述した如き所定温度における熱処理による酸化度合いと同等程度の銅の酸化を実現することができる方法であれば、例えば、次亜ハロゲン酸又はオゾン若しくは活性酸素等の酸化剤による酸化処理であっても良いものとする。更に、本実施例では、酸化処理された金属として酸化銅を挙げているが、これ以外にも酸化処理された金属であれば、例えば酸化鉄であっても良いものとする。
【0042】
また、添加される塩化物イオンや、ヨウ化物イオン又は臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンの濃度は、10ppm以上とすることにより、被処理水中に高効率で次亜ハロゲン酸等の酸化剤を生成することができるようになる。これにより、被処理水中に生成された次亜ハロゲン酸等の酸化剤により、カソードにおいて生成されたアンモニアの脱窒処理を行うことができるようになる。そのため、硝酸態窒素、アンモニア態窒素及び窒素化合物などの窒素成分をより一層、効果的に処理することができるようになる。
【0043】
特に、被処理水中に塩化ナトリウムを添加する場合には、添加剤として安価且つ安全であるため、添加剤の管理や添加作業を容易に行うことができるようになる。また、海水が含まれる被処理水の窒素処理を行う場合には、海水に塩化ナトリウムが多量に含まれているため、格別に添加剤を加えることなく、効果的に窒素成分の除去を行うことができるようになる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を処理する方法であって、カソードを構成する材料は、酸化処理がなされた金属材料、又は、酸化処理がなされた金属含有材料、特に、請求項2の発明の如き酸化銅、又は酸化銅含有材料であるので、被処理水中の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元触媒活性を著しく向上させることができ、これら硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力の向上を図ることができるようになる。
【0045】
特に、カソードを構成する材料として酸化銅を用いた場合には、金属の被処理水中への溶出を生じることなく、従来、用いられていた黄銅と同等程度の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力を発揮することができるようになる。これにより、長期に渡りシステムを安定して運転できるようになる。
【0046】
また、酸化銅、又は、酸化銅含有材料は、請求項3の発明の如く銅又は銅含有材料を銅の融点(+1083℃)以下の酸化雰囲気中、好ましくは、請求項4の発明の如く表面に緻密な酸化物を形成するために+300℃以下の酸化雰囲気中で、所定時間熱処理することにより得られたものを用いることにより、適度に酸化された状態の酸化銅を被処理水の電解脱窒処理に用いることができ、より一層、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の処理能力の向上を図ることができるようになる。
【0047】
請求項5の発明によれば、上記各発明において、被処理水は、10ppm以上のハロゲン化物イオンを含有するので、被処理水中に高効率で次亜ハロゲン酸等の酸化剤を生成することができるようになる。これにより、被処理水中に生成された次亜ハロゲン酸等の酸化剤により、カソードにおいて生成されたアンモニアの脱窒処理を行うことができるようになる。そのため、硝酸態窒素、アンモニア態窒素及び窒素化合物などの窒素成分をより一層、効果的に処理することができるようになる。
【0048】
請求項6の発明によれば、上記各発明において、アノードを構成する導電性材料は、被処理水中のハロゲン化物イオンを酸化し、次亜ハロゲン酸イオンを生成する能力を有する不溶性金属材料又はカーボンであるので、被処理水中に発生させた酸化剤によって、カソードを構成する電極の酸化状態を長期に渡って維持することが可能となり、還元性能の低下を防止できるようになる。これによって、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の還元処理を長期に渡って効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒素処理方法を実現するための窒素処理装置の概要説明図である。
【図2】各材料により構成された電極をカソードとして用いた場合の電解時間に対する硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の濃度変化を示す図である。
【図3】酸化銅Aをカソードとして用いた場合の被処理水の電解脱窒処理時の電流−電位曲線を示す図である。
【図4】黄銅をカソードとして用いた場合の被処理水の電解脱窒処理時の電流−電位曲線を示す図である。
【図5】銅をカソードとして用いた場合の被処理水の電解脱窒処理時の電流−電位曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 窒素処理装置
8 処理室
9 処理槽
10 電極(アノード)
11 電極(カソード)
12 電源[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a nitrogen treatment method for waste water containing organic nitrogen, nitrite nitrogen, nitrate nitrogen and ammonia nitrogen.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, it is well known that nitrogen compounds exist as one of the causes of eutrophication of rivers and lakes. In addition, this nitrogen compound is present in a large amount in domestic household wastewater and factory wastewater, but it is difficult to purify and the current situation is that effective measures cannot be taken. Biological treatment is employed. This biological treatment is first performed by two steps, a nitrification step for converting ammonia nitrogen to nitrate nitrogen and a denitrification step for converting nitrate nitrogen to nitrogen gas. Therefore, there are problems that two reaction vessels are required and the processing time is slow, so that the processing efficiency is poor.
[0003]
In addition, in the biological treatment, a large-capacity anaerobic tank is required in order to retain denitrifying bacteria, and there has been a problem that the equipment construction cost increases and the apparatus installation area increases. Furthermore, since the denitrifying bacteria are significantly affected by the ambient temperature environment and other components contained in the water to be treated, the denitrifying action is reduced due to the decrease in activity especially in winter when the temperature is low. However, there is a problem that the processing efficiency becomes unstable.
[0004]
Therefore, in order to solve the above technical problem, there is a method of electrolytically treating the water to be treated to oxidize or reduce and decompose ammonia, nitrite nitrogen, and nitrate nitrogen into nitrogen gas. Conventionally, in the method for treating water to be treated by electrolysis, for example, a metal material such as platinum, iridium, or palladium is used for the anode, and non-rust steel or the like is used for the cathode (see Patent Document 1).
[0005]
Then, by passing an electric current through each electrode, an oxidizing agent such as hypochlorous acid is generated in the water to be treated, ammonia nitrogen in the water to be treated is oxidized, and further reduced to nitrogen gas, and organic waste water is discharged. Was detoxified.
[0006]
However, in the conventional nitrogen treatment method by electrolysis, since the nitrogen compound removal treatment ability is low, it is difficult to actually treat the nitrogen compound in the treatment of domestic wastewater or factory wastewater. Further, in the above method, nitrate nitrogen is difficult to convert into nitrogen gas, and it is particularly difficult to remove low-concentration nitrate ions. Therefore, there is a problem that nitrogen remains in the water to be treated.
[0007]
Therefore, in order to improve the treatment capacity of nitrogen compounds in the water to be treated, cathode materials having high catalytic activity for the reduction reaction of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen have been developed. As cathode materials, copper, copper, Brass, an alloy of zinc and zinc, was used.
[0008]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 54-16844
[Problems to be solved by the invention]
However, even when copper is used as the cathode material, there is a problem that sufficient catalytic activity for the reduction reaction of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen cannot be obtained. Further, when brass is used as the cathode material, it is possible to obtain high nitrate nitrogen and nitrite nitrogen reducing ability, but there is a problem that the cathode deteriorates with time.
[0010]
Therefore, the present invention has been made to solve the conventional technical problems, and provides a cathode that can be used stably over a long period of time, and can efficiently remove nitrogen compounds in the water to be treated. An object of the present invention is to provide a method for treating nitrogen.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
That is, when the nitrogen compound in the water to be treated is treated by an electrochemical method, the material constituting the cathode is a metal material that has been subjected to an oxidation treatment, or a metal-containing material that has been subjected to an oxidation treatment. Since it is a copper oxide or copper oxide-containing material as in the invention, the reduction catalytic activity of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen in the water to be treated can be remarkably improved. The processing capacity can be improved.
[0012]
In particular, when copper oxide is used as the material constituting the cathode, the elution of the metal into the water to be treated does not occur, and nitrate nitrogen and nitrite nitrogen of the same level as those of conventionally used brass are not produced. It will be possible to demonstrate processing power. Thereby, effective nitrogen treatment can be performed over a long period of time without worrying about deterioration of the cathode.
[0013]
Further, the copper oxide or the copper oxide-containing material is formed on the surface of the copper or copper-containing material in an oxidizing atmosphere below the melting point of copper (+ 1083 ° C.), preferably as in the invention of claim 4. In order to form a dense oxide, the copper oxide in a moderately oxidized state can be electrolyzed and removed from the water to be treated by using a material obtained by heat treatment for a predetermined time in an oxidizing atmosphere at + 300 ° C. or lower. It can be used for nitriding treatment, and the treatment capacity of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen can be further improved.
[0014]
According to the invention of
[0015]
According to the invention of
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings. FIG. 1 is a schematic explanatory view of a
[0017]
The
[0018]
On the other hand, the
[0019]
With the above configuration, water to be treated containing nitrate nitrogen is stored in the
[0020]
By applying such a potential, electrons generated on the
Reaction A NO 3 − + H 2 O + 2e − → NO 2 − + 2OH −
Reaction B NO 2 − + 5H 2 O + 6e − → NH 3 (aq) + 7OH −
[0021]
On the other hand, on the platinum /
[0022]
Here, when the concentration of chloride ions contained in the water to be treated is low, the water to be treated contains, for example, chloride ions, halide ions such as iodide ions and bromide ions, and these halide ions. Compounds such as potassium chloride and sodium chloride may be added. That is, the chloride ion of potassium chloride in the water to be treated is set to 10 ppm or more, for example.
[0023]
Such chloride ions originally contained in the water to be treated and potassium chloride added as described above are oxidized at the
[0024]
In addition, ammonia (ammonium ions) in the water to be treated reacts with ozone generated on the
Reaction F 2NH 3 (aq) +3 ( O) →
[0025]
This makes it possible to denitrify nitrate nitrogen, nitrite nitrogen, and ammonia nitrogen in the water to be treated. In this embodiment, since the
[0026]
Here, with reference to FIG. 2 thru | or FIG. 5, the denitrification processing capability of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen in to-be-processed water at the time of using each
[0027]
The experimental results shown in FIG. 2 show that a platinum / iridium electrode is used as the
[0028]
According to this, when brass is used as the cathode material, the concentration of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen, which was 500 mg / L at the start of electrolytic treatment, is about 120 mg / L after 60 minutes from the start of electrolytic treatment, After 120 minutes, it falls to 50 mg / L or less, and it can be seen that nitrate nitrogen and nitrite nitrogen are almost completely denitrified after 180 minutes. However, when such brass is used as the cathode material, it shows high denitrification ability of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen, but the zinc constituting brass elutes into the treated water, so it is reduced to the environment. It is not preferable for treating the water to be treated.
[0029]
On the other hand, when copper conventionally used is used as a cathode material, the concentration of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen, which was 500 mg / L at the start of electrolytic treatment, is 300 mg after 60 minutes from the start of electrolytic treatment. It can be seen that, even after 120 minutes, it has decreased only to a level below 250 mg / L.
[0030]
On the other hand, when copper oxide A of the present invention is used as a cathode material, the concentration of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen, which was 500 mg / L at the start of electrolytic treatment, is 60 minutes after the start of electrolytic treatment. It can be seen that after about 120 mg after about 250 mg / L, the level drops to about 150 mg / L.
[0031]
Normally, even when copper is used as a cathode material, as the electrolytic treatment is performed, the copper itself is oxidized by an oxidizing agent such as hypohalous acid generated in the water to be treated, and is deposited on the surface of the
[0032]
When copper oxide B formed with a firing time longer than that of copper oxide A was used as the cathode material, the concentrations of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen, which were 500 mg / L at the start of the electrolytic treatment, It decreases to about 190 mg / L after 60 minutes from the start of treatment and to a level below 90 mg / L after 120 minutes. According to this, it can be seen that the longer the firing time, that is, the use of copper having a higher oxidation rate, shows a greater catalytic activity in the denitrification treatment of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen in the water to be treated.
[0033]
In particular, when copper oxide B is used as the cathode material, it can be seen that the denitrification ability close to the denitrification ability when using brass is exhibited compared to the case where other materials are used. . In such a case, since there is no elution of constituent materials such as zinc elution into the water to be treated that occurs when brass is used, the system can be stably operated over a long period of time.
[0034]
On the other hand, FIGS. 3 to 5 show current-potential curves at the time of electrolytic denitrification of water to be treated when each
[0035]
3 to 5, when copper oxide A is used as the cathode material, the peak of (1) is -0.8 V (potential with respect to the reference electrode; the same applies hereinafter), the peak of (2). Was -1.01V. When brass was used as the cathode material, the peak of (1) was -0.9V and the peak of (2) was -1.25V. When copper was used as the cathode material, the peak of (1) was -0.9V and the peak of (2) was -1.22V.
[0036]
Thereby, regarding the peak of (1), that is, the reduction peak from nitrate nitrogen to nitrite nitrogen, there is no significant difference between the electrode materials, but from the peak of (2), ie, nitrite nitrogen. Regarding the reduction peak to ammonia nitrogen, it can be seen that the potential is smaller in the case of using the copper oxide of the present invention than in the case of using brass and copper.
[0037]
Therefore, by using copper oxide as the material of the
[0038]
As a result, when the nitrogen compound in the water to be treated is treated by an electrochemical method, the material constituting the cathode is a metal material that has been subjected to an oxidation treatment, or a metal-containing material that has been subjected to an oxidation treatment, particularly copper oxide, Alternatively, by using a copper oxide-containing material, the reduction catalytic activity of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen in the water to be treated can be remarkably improved, and the treatment capacity of these nitrate nitrogen and nitrite nitrogen can be improved. It becomes possible to plan.
[0039]
In particular, when copper oxide is used as the material constituting the cathode as described above, nitrate nitrogen and nitrous acid equivalent to brass conventionally used without causing elution of the metal into the water to be treated. The ability to treat nitrogen can be demonstrated. As a result, the system can be stably operated over a long period of time.
[0040]
In this embodiment, copper oxide is obtained by baking copper in an oxidizing atmosphere at + 170 ° C. for 3 hours or 6 hours, but copper is also oxidized in an oxidizing atmosphere having a melting point (+ 1083 ° C.) or lower. Among them, those obtained by heat treatment in an oxidizing atmosphere of + 300 ° C. or lower for a predetermined time, for example, several hours to several tens of hours, in order to form a dense oxide on the surface may be used. And As a result, the copper oxide in a properly oxidized state can be used for the electrolytic denitrification treatment of the water to be treated, so that the treatment capacity of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen can be further improved. Become.
[0041]
In this embodiment, as a method for oxidizing copper, the treatment at a predetermined temperature is performed. However, any method capable of realizing copper oxidation equivalent to the degree of oxidation by the heat treatment at the predetermined temperature as described above. For example, it may be an oxidation treatment with an oxidizing agent such as hypohalous acid or ozone or active oxygen. Furthermore, in this embodiment, copper oxide is cited as the oxidized metal, but any other oxidized metal may be iron oxide, for example.
[0042]
Further, the concentration of added chloride ions and halide ions such as iodide ions or bromide ions is set to 10 ppm or more, so that an oxidizing agent such as hypohalous acid is generated with high efficiency in the water to be treated. Will be able to. Thereby, denitrification treatment of ammonia produced at the cathode can be performed by an oxidizing agent such as hypohalous acid produced in the water to be treated. Therefore, nitrogen components such as nitrate nitrogen, ammonia nitrogen and nitrogen compounds can be treated more effectively.
[0043]
In particular, when sodium chloride is added to the water to be treated, since it is inexpensive and safe as an additive, the management and addition of the additive can be easily performed. In addition, when performing nitrogen treatment of water to be treated containing seawater, seawater contains a large amount of sodium chloride, so the nitrogen component should be removed effectively without adding any special additives. Will be able to.
[0044]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the present invention, there is provided a method for treating nitrogen compounds in water to be treated by an electrochemical method, wherein the material constituting the cathode is a metal material that has been subjected to an oxidation treatment, or an oxidation treatment. Since the metal-containing material made, in particular, the copper oxide or the copper oxide-containing material according to the invention of
[0045]
In particular, when copper oxide is used as the material constituting the cathode, the elution of the metal into the water to be treated does not occur, and nitrate nitrogen and nitrite nitrogen of the same level as those of conventionally used brass are not produced. It will be possible to demonstrate processing power. As a result, the system can be stably operated over a long period of time.
[0046]
Further, the copper oxide or the copper oxide-containing material is formed on the surface of the copper or copper-containing material in an oxidizing atmosphere below the melting point of copper (+ 1083 ° C.), preferably as in the invention of claim 4. In order to form a dense oxide, the copper oxide in a moderately oxidized state can be electrolyzed and removed from the water to be treated by using a material obtained by heat treatment for a predetermined time in an oxidizing atmosphere at + 300 ° C. or lower. It can be used for nitriding treatment, and the treatment capacity of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen can be further improved.
[0047]
According to the invention of
[0048]
According to the invention of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic explanatory view of a nitrogen treatment apparatus for realizing a nitrogen treatment method of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing changes in concentrations of nitrate nitrogen and nitrite nitrogen with respect to electrolysis time when an electrode composed of each material is used as a cathode.
FIG. 3 is a diagram showing a current-potential curve at the time of electrolytic denitrification of water to be treated when copper oxide A is used as a cathode.
FIG. 4 is a diagram showing a current-potential curve during electrolytic denitrification of water to be treated when brass is used as a cathode.
FIG. 5 is a diagram showing a current-potential curve during electrolytic denitrification of water to be treated when copper is used as a cathode.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
11 Electrode (Cathode)
12 Power supply
Claims (6)
カソードを構成する材料は、酸化処理がなされた金属材料、又は、酸化処理がなされた金属含有材料であることを特徴とする窒素処理方法。A method for treating nitrogen compounds in water to be treated by an electrochemical method,
A method for treating nitrogen, wherein the material constituting the cathode is a metal material subjected to an oxidation treatment or a metal-containing material subjected to an oxidation treatment.
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