JP2004538016A - 紙巻きタバコフィルタ - Google Patents

Abstract

所定の煙成分のレベルを減少させる多区分フィルタを具備した紙巻きタバコフィルタ。フィルタ（１３０）は、紙巻きタバコの吸い口端に位置した繊維状フィルタ詰め体（１３２）、選択性吸着剤物質を含む区分（１３６）、及び一般的吸着剤物質を含む区分（１３４）から構成される。主として第１及び第２アミン官能基で表面が官能化されたフェノールホルムアルデヒド樹脂母材などの選択性吸着材物質は、タバコの煙中から特定の煙成分を除去する。活性炭などの一般的吸着材物質は、高い特異性を持たずに広い範囲の化学化合物を吸着可能であるのが好ましい。構造的には，繊維状フィルタ詰め体，選択性吸着剤区分、及び一般的吸着剤区分が同軸状に縦列配置される。

Description

【技術分野】
【０００１】
本願は，参照によって全体が本願に含まれる２００１年８月１日付提出の米国暫定特許出願通し番号６０/３０９,３８８、参照によって全体が本願に含まれる２００１年８月１日付提出の米国暫定特許出願通し番号６０/３０９,４３５、及び２００１年１０月３０日付提出の米国特許出願通し番号１０/０１１,８４１に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【０００２】
本発明は、炭素系の濾過材料と組み合わされて、煙蒸気成分の相乗的な減少を発揮する煙成分吸着剤を含む紙巻きタバコ（シガレット）フィルタに関する。
紙巻きタバコは、燃えると粒体相と蒸気相を発生するタバコロッドもしくは柱状体を備えている。約７０年前，タバコ柱状体の端にフィルタが付けられるようになった。フィルタはとりわけ、各種の煙成分を除去してきた。酢酸セルロース系トウ（短繊維）や紙などのフィラメント状あるいは繊維状材料から作られたフィルタは、機械的な手段によってタバコの煙中の粒体相を除去する。しかしながら繊維状材料は、蒸気相中に存在するアルデヒド、シアン化水素及び硫化物などの揮発性成分を除去するのには有効でない。蒸気相成分の除去を高めるため、一般に吸着剤や吸収剤が繊維状材料と組み合わされている。例えば、活性炭素や、海泡石、シリカゲル、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂などの多孔性材料が紙巻きタバコフィルタに含まれてきた。
炭は大きい比表面積を有し、タバコの煙中の蒸気相成分に対する比較的強い吸着剤である。炭は特に，各種金属酸化物の混合体で被覆すると，酸性気体を除去するのに効果的である。海泡石は、帯電種に対して強度な吸着親和性を持つ大きな吸着領域を有するが，非極性種に対する吸着親和性はかなり低い。シリカゲルは一般に、タバコの煙中の蒸気相成分に対しては保持性の弱い吸着剤であると見なされている。また、シリカゲルはアルデヒド及びシアン化水素を容易に吸着するが、吸着成分もシリカゲルから容易に脱離する。陽イオン交換樹脂は、ニコチン除去のために提案されてきた。陰イオン交換樹脂は煙中の各種酸の除去のために提案されてきたが、強塩基性の陰イオン交換樹脂はタバコの煙中のアルデヒドに対して効果がない。多孔性構造の陰イオン交換樹脂は煙中の各種酸やアルデヒドの除去に適するが、その効率は炭素及び多孔性物質と同様，喫煙中に減少する。
２種類以上の吸着剤を、紙巻きタバコフィルタに組み合わせて用いることもできる。例えば特許文献１は、イオン交換性物質を、「タバコの有害で、非アルカリ性且つ非酸性の成分と化学的に反応して非揮発性化合物を生成し、その非揮発性化合物をフィルタに保持させる」物質と組み合わせて用いることを記載している。しかしながら上記添加物は、煙中のアルデヒド、特にアセトアルデヒドとアクロレイン、などの煙相成分の選択的除去について良好な成果を挙げていない。特許文献２は、蒸気相成分に対する弱保持性吸着剤を、アルデヒド及びシアン化水素を含む蒸気相成分をタバコの煙から除去する第１アミノ官能基を主とした別の成分と組み合わせて用いることを記載している。しかし上記特許文献２は、適切な喫煙者の容認あるいは市場性を持つことが実証されていない。
【特許文献１】
米国特許２,８１５,７６０号公報
【特許文献２】
米国特許４,３００,５７７号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００３】
本発明は、所定の煙成分のレベルを減少させる多区分フィルタを具備した紙巻きタバコフィルタに係わる。本フィルタは、紙巻きタバコの吸い口端に位置した繊維状フィルタ詰め体、選択性吸着剤物質を含む区分、及び一般的吸着剤物質を含む区分から構成される。
フィルタ詰め体は、酢酸セルロース系タウなど当該分野で周知の任意のフィルタ詰め体とし得る。一般的吸着材物質は、比較的大きい表面積を有し、高い特異性を持たずに広い範囲の化学化合物を吸着可能な活性炭などの材料からなる群の中から選ばれるのが好ましい。選択性吸着材物質は、除去対象である特定の煙成分に基づいて選択される。好ましくは、選択性吸着剤物質は、それぞれ約３５ｍ^２/ｇより大きい表面積を有する実質的に不活性な担持体から成り表面が官能化された各種樹脂群中から選ばれる。本発明の一実施例において、選択性吸着剤物質は主として第１及び第２アミン官能基で表面が官能化されたフェノールホルムアルデヒド樹脂母材を有する。
構造的には，選択性吸着剤物質がタバコロッドに隣接し、一般的吸着剤物質が選択性吸着剤区分とフィルタ詰め体との間に位置するように配置し得る。あるいは、一般的吸着剤物質がタバコロッドに隣接し、選択性吸着剤物質が一般的吸着剤区分とフィルタ詰め体との間に位置するように配置してもよい。これまで得られた呼びデータは、前者の配置の方が後者の配置と比べ、煙成分の減少においてより高い相乗効果をもたらすことを示している。さらに、選択性吸着剤と一般的吸着剤を、酢酸セルロースなど伝統的なフィルタ詰め体材料中に散在させてもよく、あるいは両吸着剤をそれぞれフィルタ詰め体材料内に床つまり薄層状の各区分として密に詰めこんでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００４】
本発明の紙巻きタバコフィルタは、所定の煙成分のレベルを減少させる多区分フィルタを具備する。本フィルタは、紙巻きタバコの吸い口端に位置した繊維状フィルタ詰め体、選択性吸着剤物質を含む区分、及び一般的吸着剤物質を含む区分から構成される。
図１に示してあり且つ当該分野で周知のように、一般的なフィルタ装着式紙巻きタバコ１０は、タバコロッド２０に取り付けられたフィルタ３０を有する。タバコロッド２０は、紙巻きタバコ用の紙２４で巻かれたタバコ葉を含む疎混合物２２と、詰め体用の巻紙３４で巻かれたフィルタ詰め体３２を含むフィルタ３０とからなる。先端巻紙３６が、フィルタ３０をタバコロッド２０に接合している。
本発明では、図２に示すように、紙巻きタバコ１１０がタバコロッド２０に取り付けられたフィルタ１３０を有する。フィルタ１３０はフィルタ詰め体１３２、一般的吸着剤を含む区分（層）１３４、及び選択性吸着剤物質を含む区分（層）１３６を具備する。フィルタ詰め体１３２は、フィルタ１３０の第１端つまり吸い口端１３１に隣接している。選択性吸着剤層１３６は、フィルタ１３０の第２端つまりタバコロッド端１３７に隣接している。一般的吸着剤層１３４は、フィルタ詰め体１３２と選択性吸着剤層１３６との間に位置する。
フィルタ詰め体１３２はフィラメント状あるいは繊維状材料から成り、紙巻きタバコの吸い口端１３１に清潔で、きれいな外観を与える。またフィルタ詰め体１３２は、紙巻きタバコ１１０が吸われるとき、吸い口端１３１に適切な硬さを保持する。当該分野で周知のように、フィルタ詰め体１３２は各種材料、最も一般的なものとしてセルロース、酢酸セルロース系タウ、紙、木綿、ポリプロピレン織布、ポリプロピレンタウ、ポリエステル織布、ポリエステルタウ、あるいはこれらの組み合わせから作製可能である。任意選択的に、可塑剤を含めることもできる。
一般的吸着剤区分１３４は、当該分野で周知な「デュアルダルメシヤン（dual-dalmatian）」フィルタなどにおけるように、フィルタ詰め体材料１４２中に分散された一般的吸着剤物質１４４を含む。一般的吸着剤物質１４４は、煙成分を高い特異性を伴わずに吸着可能な比較的表面積の大きい材料群から選ばれるのが好ましい。一般的吸着剤物質は例えば、活性炭、活性化ココナッツ炭素、活性化石炭系炭素、ゼオライト、シリカゲル、海泡石、酸化アルミニウム、あるいはこれらの混合物、更にココナッツ系炭より約５０％高い密度を有する半無煙炭から作られた鉱物系炭（米国ペンシルヴァニア州ピッツバーグ所在の Calgon Carbon 社から入手可能）、アンバーソーブ（Ambersorb）５７２またはアンバーソーブ（Ambersorb）５６３（米国ペンシルヴァニア州19137フィラデルフィア、リッチモンド街５０００所在の Rohm and Haas 社から入手可能な、スルホン化スチレン-ジビニルベンゼンの熱分解から誘導された炭素質樹脂）、同様の粒子サイズ、表面積及び結合親和性を有するその他の物質、あるいはこれらの組み合わせから選択可能である。一般的吸着剤の効率を更に高めるため、金属酸化物またはその他の金属系複合物を一般的吸着剤区分に含めてもよい。
選択性吸着剤区分１３６は、当該分野で周知な「デュアルダルメシヤン」フィルタなどにおけるように、フィルタ詰め体材料１４２中に分散された選択性吸着剤物質１４６を含む。選択性吸着剤物質１４６は、所定部類の化学化合物に対して特異性を有する物質１４６に基づき選ばれるのが好ましい。選択性吸着剤物質１４６は例えば，デュオライト（Doulite）Ａ７（米国ペンシルヴァニア州19137フィラデルフィア、リッチモンド街５０００所在の Rohm and Haas 社から入手可能）などのイオン交換樹脂、または同様の官能基及び結合親和性を有するその他の物質とし得る。デュオライトＡ７はフェノール-ホルムアルデヒド樹脂母材を有し、第１及び第２アミノ基で表面官能かされており、その結果タバコの煙中に存在するアルデヒド及びシアン化水素に対する樹脂の特異性が高められている。
さらに選択性吸着剤物質１４６は、タバコの煙と選択性吸着剤物質１４６との接触状態が、紙巻きタバコの喫煙時に喫煙者がどれくらい強く煙を吸い込むか、及び各吸い込み前にどれくらいタバコロッドが消費されているかを含め，多くの変数に依存していることを考慮して選ばねばならない。つまり、最小の差抵抗が生じ且つ表面領域での官能サイトが容易に得られるように、選択性吸着剤物質１４６は約３５ｍ^２／ｇより大きい表面積を有するのが好ましい。それより大きい表面積の物質でも、フィルタ詰め体材料１４２中に吸着剤物質１４６が分散された場合にも生じるように、表面の一部が可塑剤で被覆されるとそれほど顕著でないにせよ性能が低下することが実証されている。
紙巻きタバコの喫煙時、タバコの煙はフィルタ１３０を通じ喫煙者によって吸い込まれる。煙はまず選択性吸着剤区分１３６を通過し、そこで対象の煙成分が選択性吸着剤物質１４６の表面に吸着され，煙中の粒状物がフィルタ詰め体材料１４２に保持される。次いで残りの煙が一般的吸着剤区分１３４を通過し、そこで煙中のその他の成分が一般的吸着剤物質１４４に保持され、別の粒状物がフィルタ詰め体材料１４２に保持される。更に、残りの煙がフィルタ詰め体１３２を通過し、そこでまた別の粒状物が除去される。そして、濾過された煙が喫煙者に与えられる。
本発明の第１の実施例では図２に示すように、多区分フィルタ１１０が、酢酸セルロース系タウから作製され長さ約７ｍｍのフィルタ詰め体１３２と、酢酸セルロース系タウ１４２中に４０ｍｇの活性化ココナッツ炭１４４が分散されて成る一般的吸着剤区分１３４で、酢酸セルロース系タウは長さ約１０ｍｍの区分１３４を与えるように切断され且つ可塑剤で処理されている一般的吸着剤区分１３４と、酢酸セルロース系タウ１４２中に４０ｍｇのデュオライトＡ７が分散されて成る選択性吸着剤区分１３６で、酢酸セルロース系タウは長さ約１０ｍｍの区分１３６を与えるように切断され且つ可塑剤で処理されている選択性吸着剤区分１３６とを有して構成される。タバコロッドが通常の吸い込み／休止サイクルで燃焼する場合、紙巻きタバコ１１０の吸い口端１３１から外へ出る煙蒸気の分析から、樹脂だけのフィルタを用いた同様の紙巻きタバコと比べ、シアン化水素、フラン、プロピオンアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン／ブチルアルデヒド、硫化水素、１,３-ブタジエン、２-メチルプロパナール、イソプレン、スチレン、ピリジン、トルエン、及びベンゼンの各レベルが統計的に著しく減少することが示されている。また、タバコロッドが通常の吸い込み／休止サイクルで燃焼する場合、紙巻きタバコ１１０の吸い口端１３１から外へ出る煙蒸気の分析から、炭だけのフィルタを用いた紙巻きタバコと比べ、ピリジン、シアン化水素、硫化水素、スチレン、２-メチルプロパナール、ベンゼン、プロピオンアルデヒド、フラン、イソプレン、１,３-ブタジエン、クロトンアルデヒド、アセトン、アクリロニトリル、アセトアルデヒド、トルエン、ニ硫化炭素、メチルエチルケトン／ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトニトリル、及びメタノールの各レベルが統計的に著しく減少することが示されている。
図２に示すように、多区分フィルタ１３０は、吸い口端１３１に隣接したフィルタ詰め体１３２、タバコロッド端１３７に隣接した選択性吸着剤区分１３６、及びフィルタ詰め体１３２と選択性吸着剤区分１３６との間に位置した一般的吸着剤区分１３４を有する。
図３に示した別の実施例では、紙巻きタバコ２１０が多区分フィルタ２３０を有し、多区分フィルタ２３０において、フィルタ詰め体１３２が吸い口端１３１に位置し、一般的吸着剤区分１３４がタバコロッド端１３７に隣接し、選択性吸着剤区分１３６がフィルタ詰め体１３２と一般的吸着剤区分１３４との間に挟まれている。この実施例では、通常の吸い込み時，煙はまず一般的吸着剤区分１３４を通過し、次いで選択性吸着剤区分１３６を通過し、最後にフィルタ詰め体１３２を通過する。また多区分フィルタ２３０は、一般的吸着剤区分１３４がタバコロッド２０に隣接し、選択性吸着剤区分１３６がフィルタ詰め体１３２と一般的吸着剤区分１３４との間に挟まれている点を除き、第１実施例のフィルタ１３０と実質的に同等である。タバコロッドが通常の吸い込み／休止サイクルで燃焼する場合、紙巻きタバコ２１０（図３）の吸い口端１３１から外へ出る煙蒸気の分析から、樹脂だけのフィルタを用いた同様の紙巻きタバコと比べ、プロピオンアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン／ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、硫化水素、２-メチルプロパナール、ピリジン、アクロレイン、トルエン、アセトアルデヒド、アクリロニトリル、メタノール、及びベンゼンの各レベルが統計的に著しく減少することが示されている。また、タバコロッドが通常の吸い込み／休止サイクルで燃焼する場合、紙巻きタバコ２１０の吸い口端１３１から外へ出る煙蒸気の分析から、炭だけのフィルタを用いた紙巻きタバコと比べ、ピリジン、シアン化水素、ベンゼン、プロピオニトリル、クロトンアルデヒド、アセトン、アクリロニトリル、アセトアルデヒド、トルエン、ニ硫化炭素、メチルエチルケトン／ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトニトリル、及びメタノールの各レベルが統計的に著しく減少することが示されている。
図４に示した更に別の実施例では、紙巻きタバコ３１０の多区分フィルタ３３０において、両吸着剤物質１４４、１４６がそれぞれフィルタ詰め体材料内に一般的吸着剤３４４と選択性吸着剤３４６の薄層区分として密に詰めこまれている。この実施例では，層状に密に詰め込まれた両吸着剤はタウ中に分散されたそれら吸着剤と比べより少なく可塑剤にさらされるため、煙の成分と相互作用するより大きい表面積を保有している。また図７に示すように、紙巻きタバコ６１０の多区分フィルタ６３０は、単一区分長さの繊維状フィルタ材料３４２の別々な区域中に分散した一般的吸着剤３４４と選択性吸着剤３４６を含んでいる。
図２の実施例である紙巻きタバコ１１０の利点は、煙が一般的吸着剤物質１４４を通過する前に、選択性吸着剤物質１４６を通過することにある。これにより、一般的吸着剤１４４が煙にさらされる前に、選択性吸着剤１４６で一定の特定煙成分を除去でき、従って一般的吸着剤１４４で残りの煙成分をより効果的に除去可能となる。つまり、酢酸セルロース／特定的吸着剤／一般的吸着剤の配置と比べ、酢酸セルロース／一般的吸着剤／特定的吸着剤の配置による吸着剤について相乗効果が観測されている。
図５及び図６に示すように、紙巻きタバコ４１０及び５１０の多区分フィルタ４３０及び５３０はそれぞれ次のように構成されている。図５では、フィルタ詰め体１３２が一般的吸着剤区分１３４と選択性吸着剤区分１３６の間に配置され、図６ではフィルタ詰め体１３２がフィルタロッド２０の一端に隣接している。また、図５においては選択性吸着剤区分１３６がフィルタ４３０の吸い口端に位置し、図６においては一般的吸着剤区分１３４がフィルタ５３０の吸い口端に位置する。さらに図８に示すように、紙巻きタバコ７１０の多区分フィルタ７３０は、一般的吸着剤区分１３４と選択性吸着剤区分１３６だけを具備している。
【０００５】
以下の各実施例は，本発明に従って実施可能な実施例とそれら各実施例の煙成分除去性能を表わしている。ここに示す各実施例は例示のみを目的としており、発明の範囲の限定を意図するものでない。
【実施例１】
【０００６】
多区分フィルタ１３０を備えた紙巻きタバコ１１０を図２のように作製した。この紙巻きタバコ１１０において、フィルタ詰め体１３２は酢酸セルロース系タウから成り長さ約７ｍｍで、一般的吸着剤区分１３４は長さ約１０ｍｍの一般的吸着剤区分１３４を与えるように切断された可塑剤処理の酢酸セルロース系タウ１４２中に分散された約４０ｍｇの活性化ココナッツ炭１４４から成り、選択性吸着剤区分１３６は長さ約１０ｍｍの選択性吸着剤区分１３６を与えるように切断された可塑剤処理の酢酸セルロース系タウ１４２中に分散された約４０ｍｇのデュオライトＡ７から成る。このフィルタが、約５６.５ｍｍの長さを有し、約１.８％のクエン酸塩を含む紙巻きタバコ用の５０コレスタ（Coresta）紙に巻かれた約６１７ｍｇの一般的な非メントールシガレットブレンドを含むタバコロッドに取り付けられている。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.３ｍｇのタールを生じる。
【実施例２】
【０００７】
多区分フィルタ２３０を備えた紙巻きタバコ２１０を図３のように各区分の配置で作製した。この紙巻きタバコ２１０において、フィルタ詰め体１３２、一般的吸着剤区分１３４、及び選択性吸着剤区分１３６は実施例１のフィルタ詰め体１３２、一般的吸着剤区分１３４、及び選択性吸着剤区分１３６とそれぞれ実質的に同等である。このフィルタが、約５６.５ｍｍの長さを有し、約１.８％のクエン酸塩を含む紙巻きタバコ用の５０コレスタ（Coresta）紙に巻かれた約６１７ｍｇの一般的な非メントールシガレットブレンドを含むタバコロッドに取り付けられている。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.０ｍｇのタールを生じる。
【実施例３】
【０００８】
４０ｍｇの代わりに約２０ｍｇのデュオライトＡ７を選択性吸着剤区分１３６に用いた点を除き、実施例１と同様に紙巻きタバコを作製した。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.２ｍｇのタールを生じる。
【実施例４】
【０００９】
４０ｍｇの代わりに約２０ｍｇのデュオライトＡ７を選択性吸着剤区分１３６に用いた点を除き、実施例２と同様に紙巻きタバコを作製した。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.９ｍｇのタールを生じる。
【実施例５】
【００１０】
４０ｍｇの代わりに約６０ｍｇのデュオライトＡ７を選択性吸着剤区分１３６に用いた点を除き、実施例１と同様に紙巻きタバコを作製した。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.０ｍｇのタールを生じる。
【実施例６】
【００１１】
４０ｍｇの代わりに約６０ｍｇのデュオライトＡ７を選択性吸着剤区分１３６に用いた点を除き、実施例２と同様に紙巻きタバコを作製した。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.３ｍｇのタールを生じる。
【実施例７】
【００１２】
４０ｍｇの活性化ココナッツ炭の代わりに無煙炭から作製した約６９ｍｇの鉱物系炭を選択性吸着剤区分１３６に用いた点を除き、実施例１と同様に紙巻きタバコを作製した。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.１ｍｇのタールを生じる。
【実施例８】
【００１３】
４０ｍｇの活性化ココナッツ炭の代わりに無煙炭から作製した約６９ｍｇの鉱物系炭を選択性吸着剤区分１３６に用いた点を除き、実施例２と同様に紙巻きタバコを作製した。本実施例の紙巻きタバコは、タバコ１本当たり約１０.２ｍｇのタールを生じる。
【実施例９】
【００１４】
各実施例１−６の代表的紙巻きタバコを、Borgwalt製ＲＭ-２０型喫煙機を用い、先端から約４ｍｍの吸いさし長さになるまで喫煙させた。ＦＴＣに記載の手順に従い、各紙巻きタバコのフィルタ端から出る煙の成分をケンブリッジ（Cambridge）フィルタパッドに通し、蒸気相を袋に集めＧＣ／ＭＳによって分析した。得られたデータは、タバコ１本当たり約１０ｍｇのタールに対して正規化した。
【表１】

【実施例１０】
【００１５】
各実施例７及び８の代表的紙巻きタバコを、Borgwalt製ＲＭ-２０型喫煙機を用い、先端から約４ｍｍの吸いさし長さになるまで喫煙させた。ＦＴＣに記載の手順に従い、各紙巻きタバコのフィルタ端から出る煙の成分をケンブリッジ（Cambridge）フィルタパッドに通し、蒸気相を袋に集めＧＣ／ＭＳによって分析した。得られたデータは、タバコ１本当たり約１０ｍｇのタールに対して正規化した。
【表２】

生産上の観点からすると、選択性吸着剤物質１４６と一般的吸着剤物質１４４をフィルタ詰め体材料タウ１４２の全体に分散する方が有利である。つまり、両吸着剤物質１４４、１４６をタウ１４２内に分散されていれば、両吸着剤物質を扱うのがばらばらの粒子状態の場合よりも容易である。しかし、両吸着剤物質１４４、１４６をタウ１４２内に分散すると、タウ１４２に対して用いられている可塑剤が両吸着剤物質１４４、１４６の表面に影響を及ぼし、吸着能力を減少させる恐れがある。従って図４に示すように、両吸着剤物質１４４、１４６をそれぞれ一般的吸着剤３４４と選択性吸着剤３４６の薄層区分としてフィルタ詰め体材料１４２内に密に詰めこんでもよい。層状に密に詰め込まれた両吸着剤はタウ中に分散されたそれら吸着剤ほど可塑剤にさらされないため、煙の成分と相互作用するより大きい表面積を保有している。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
当業者であれば、以上の記載に基づき、本発明の各特徴に変更を施すことが可能である。例えば、フィルタ詰め体、一般的吸着剤区分、及び選択性吸着剤区分の長さと直径は、ここに記載した各寸法に対し及び相互の関係において変更し得る。さらに各区分の寸法は、特定のタバコブレンドあるいは特定のタバコロッド寸法に対して最適化可能である。これら及びその他の変更は、添付した請求の範囲に記載の精神及び範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】従来のフィルタ装着式紙巻きタバコの斜視図である。
【図２】本発明による紙巻きタバコ用フィルタの斜視図で，吸着剤がフィルタ詰め体材料中に分散され、一般的吸着剤区分がフィルタ詰め体と選択性吸着剤区分との間に位置している。
【図３】本発明による紙巻きタバコ用フィルタの斜視図で、吸着剤がフィルタ詰め体材料中に分散され、選択性吸着剤区分がフィルタ詰め体と一般的吸着剤区分との間に位置している。
【図４】本発明による紙巻きタバコ用フィルタの斜視図で、吸着剤がフィルタ詰め体材料の区分内にそれぞれ層として密に詰めこまれている。
【図５】本発明の実施例の断面図で、フィルタ詰め体が一般的吸着剤区分と選択性吸着剤区分との間に位置している。
【図６】本発明の実施例の断面図で、フィルタ詰め体がタバコロッドの一端に隣接して位置している。
【図７】本発明の実施例の断面図で、吸着剤が繊維状フィルタ材の単一区分長さ内で別々に区域化されている。
【図８】本発明の実施例の断面図で、フィルタ詰め体区分を含まない場合を示す。

Claims (31)

1. 紙巻きタバコ用多区分フィルタにおいて、
   （ａ）繊維状材料中に分散され所定部類の化学化合物に対して親和性を有する選択性吸着剤物質を含む選択性吸着剤区分；及び
   （ｂ）大きい表面積を有し、高い特異性を持たずに煙成分を吸着可能である一般的吸着剤物質を含む一般的吸着剤区分を備え、前記選択性吸着剤区分及び前記一般的吸着剤区分が同軸状に縦列配置されている紙巻きタバコフィルタ。
2. 前記選択性吸着剤物質はイオン交換樹脂である請求の範囲第１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
3. 前記選択性吸着剤物質は、表面の官能サイトが煙成分に対して容易にアクセス可能であることを保証するのに充分な表面積を有する請求の範囲第１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
4. 前記イオン交換樹脂はフェノールホルムアルデヒド樹脂母材を有し、第１及び第２アミン基で表面が官能化されている請求の範囲第２項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
5. 前記選択性吸着剤区分は繊維状材料中に分散された前記選択性吸着剤物質を含む請求の範囲第２項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
6. 前記選択性吸着剤区分は前記選択性吸着剤物質を密に詰めた層から成る請求の範囲第２項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
7. 前記一般的吸着剤物質は、活性炭、活性化ココナッツ炭素、活性化石炭系炭素、ゼオライト、シリカゲル、海泡石、酸化アルミニウム、半無煙炭から作られた石炭系の炭、スルホン化スチレン-ジビニルベンゼンの熱分解から誘導された炭素質樹脂、あるいはこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれた請求の範囲第１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
8. 前記一般的吸着剤区分は繊維状材料中に分散された前記一般的吸着剤物質を有する請求の範囲第７項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
9. 前記一般的吸着剤区分は前記一般的吸着剤物質を密に詰めた層から成る請求の範囲第７項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
10. 前記一般的吸着剤区分は金属酸化物またはその他の金属系複合物をさらに含む請求の範囲第７項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
11. 繊維状フィルタ詰め体を具備し、前記繊維状フィルタ詰め体がセルロース、酢酸セルロース系タウ、紙、木綿、ポリプロピレン織布、ポリプロピレンタウ、ポリエステル織布、ポリエステルタウ、あるいはこれらの組み合わせから成り、前記繊維状フィルタ詰め体が前記選択性吸着剤区分及び前記一般的吸着剤区分と同軸状に縦列配置されている請求の範囲第１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
12. 前記フィルタ詰め体は可塑剤、液体添加物、風味剤、あるいはこれらの組み合わせをさらに含む請求の範囲第１１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
13. 前記一般的吸着剤区分は前記繊維状フィルタ詰め体と前記選択性吸着剤区分との間に位置している請求の範囲第１１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
14. 前記選択性吸着剤区分は前記繊維状フィルタ詰め体と前記一般的吸着剤区分との間に位置している請求の範囲第１１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
15. 前記繊維状フィルタ詰め体は前記選択性吸着剤区分と前記一般的吸着剤区分との間に位置している請求の範囲第１１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
16. 前記一般的吸着剤区分と前記選択性吸着剤区分を取り巻く詰め体巻紙を具備する請求の範囲第１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
17. 前記選択性吸着剤物質は約３５ｍ^２/ｇより大きい表面積を有する請求の範囲第１項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
18. 紙巻きタバコ用多区分フィルタにおいて、
    （ａ）セルロース、酢酸セルロース系タウ、紙、木綿、ポリプロピレン織布、ポリプロピレンタウ、ポリエステル織布、ポリエステルタウ、あるいはこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれた繊維状フィルタ詰め体；
    （ｂ）表面の官能サイトが煙成分に対して容易にアクセス可能であることを保証するのに充分な表面積を有するイオン交換樹脂から成る区分；及び
    （ｃ）活性炭、活性化ココナッツ炭素、活性化石炭系炭素、ゼオライト、シリカゲル、海泡石、酸化アルミニウム、半無煙炭から作られた石炭系の炭、スルホン化スチレン-ジビニルベンゼンの熱分解から誘導された炭素質樹脂、あるいはこれらの組み合わせからなる群の中から選ばれた一般的吸着剤物質を含む一般的吸着剤区分を備え、前記繊維状フィルタ詰め体、前記選択性吸着剤区分及び前記一般的吸着剤区分が同軸状に縦列配置されている紙巻きタバコフィルタ。
19. 前記イオン交換樹脂はフェノールホルムアルデヒド樹脂母材を有し、第１及び第２アミン基で表面が官能化されている請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
20. 前記選択性吸着剤区分は繊維状材料中に分散された前記選択性吸着剤物質を含む請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
21. 前記選択性吸着剤区分は前記イオン交換樹脂を密に詰めた層から成る請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
22. 前記一般的吸着剤区分は繊維状材料中に分散された前記一般的吸着剤物質を有する請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
23. 前記一般的吸着剤区分は金属酸化物またはその他の金属系複合物をさらに含む請求の範囲第２２項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
24. 前記一般的吸着剤区分は前記一般的吸着剤物質を密に詰めた層から成る請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
25. 前記一般的吸着剤区分は金属酸化物または金属系複合物から選ばれた添加物をさらに含む請求の範囲第２４項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
26. 前記フィルタ詰め体は酢酸セルロース系タウから成る請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
27. 前記フィルタ詰め体は可塑剤、液体添加物、風味剤、あるいはこれらの組み合わせをさらに含む請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
28. 前記一般的吸着剤区分は前記繊維状フィルタ詰め体と前記選択性吸着剤区分との間に位置している請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
29. 前記選択性吸着剤区分は前記繊維状フィルタ詰め体と前記一般的吸着剤区分との間に位置している請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
30. 前記繊維状フィルタ詰め体は前記選択性吸着剤区分と前記一般的吸着剤区分との間に位置している請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。
31. 前記選択性吸着剤物質は約３５ｍ^２/ｇより大きい表面積を有する請求の範囲第１８項に記載の紙巻きタバコフィルタ。

Images