JP2004538009A - 方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ヒトCPB2遺伝子における多型と、それによりコードされる対応の新規対立遺伝子ポリペプチドに関する。本発明はまた、CPB2遺伝子における対立遺伝子変異を解析するための方法及び材料と、CPB2薬剤を用いた疾患の治療におけるCPB2多型の使用に関する。
Description
【0001】
本発明は、ヒトCPB2遺伝子における多型と、それによりコードされる対応の新規対立遺伝子ポリペプチドに関する。本発明はまた、CPB2遺伝子における対立遺伝子変異を解析するための方法及び材料と、CPB2輸送可能薬剤を用いた疾患の治療におけるCPB2多型の使用に関する。
【0002】
ヒト血漿カルボキシペプチダーゼB2(CPB2)は、カルボキシペプチダーゼU(CPU)としても知られている、トロンビン活性化線溶阻害剤であり;本明細書では用語「CPB2」を使用する。これは不安定な塩基性カルボキシペプチダーゼであり、ヒト血漿中ではそのプロ酵素型、プロカルボキシペプチダーゼB2(proCPB2)で循環する。Vanhoof et al (1996) は、proCPB2がプラスミノーゲンへのアフィニティーを示し、トロンビン及びプラスミンの作用によりその活性型へ変換されることに注目した。Bazjar et al (1996) は、proCPB2の最もあり得る生理学的アクチベータがトロンビン−トロンボモジュリン複合体であることに注目した。このタンパク質の演繹アミノ酸配列は、組織型カルボキシペプチダーゼA及びBに非常に類似した一次翻訳産物を明らかにする。Eaton et al (1991) は、proCPB2のcDNAをクローニングした。予測される423アミノ酸のタンパク質は、22アミノ酸のシグナルペプチド、92アミノ酸の活性化ペプチド、及び、309アミノ酸の触媒ドメインからなる。
【0003】
トリプシンにより活性化されると、それは、カルボキシペプチダーゼBの基質、ヒップリル−Arg及びヒップリル−Lysを加水分解するが、カルボキシペプチダーゼAの基質は加水分解しない。それは、特異的なカルボキシペプチダーゼB阻害剤の(DL−5−グアニジノエチル)メルカプトコハク酸により阻害される。Tsai 及び Drayna (1992) は、その遺伝子がヒトの第13染色体に位置することを明示した。この遺伝子は、Vanhoof et al (1996) により、蛍光 in situ ハイブリダイゼーションを使用して、13q14.11へ位置決定された。この領域へマップされた、CPB2が関っていそうな遺伝障害はない。
【0004】
CPB2のあり得る役割は、フィブリンの沈着及び除去を触媒する酵素、プラスミノーゲンの活性化にある。凝固及び線溶のカスケードの活性間の均衡は、損傷時に過剰な血液損失を防ぎ、血管系内での血液流動性を維持するのに不可欠である。不均衡を特徴づけるのは、出血性又は血栓性の傾向であり、その後者は、心臓発作や卒中として表出される。CPB2を阻害して線溶を促進すれば、血栓塞栓性障害の治療になり得るだろう。
【0005】
1つのアプローチは、多型の知識を使用して、特定の薬剤を用いた療法に最も適している患者の同定に役立てることである(これは、しばしば、「薬理遺伝学」と呼ばれる)。薬理遺伝学はまた、製薬研究に使用して、医薬選別プロセスを支援することができる。多型は、ヒトゲノムのマッピングと疾患の遺伝成分を解明することに使用される。薬理遺伝学に関する背景詳細と多型検出の他の使用については、以下の文献が読者の参考になる:Linder et al. (1997), Clinical Chemistry, 43, 254; Marshall (1997), Nature Biotecnology, 15, 1249; 国際特許出願WO97/40462,Spectra Biomedical; 及び Schafer et al. (1998), Nature Biotechnology, 16, 33.
臨床試験は、医薬品を用いた治療に対する患者応答がしばしば不均一であることを示してきた。従って、薬剤の設計及び療法への改善されたアプローチへのニーズがある。
【0006】
ポリペプチドにおける点突然変異は以下のように言及される:天然アミノ酸(1若しくは3文字命名法を使用する)、位置、新規アミノ酸。(仮定の)例を挙げると、「D25K」又は「Asp25Lys」は、25位でアスパラギン酸(D)がリジン(K)へ変換されたことを意味する。1つのポリペプチドにおける多数の突然変異は、カンマで区切られた個々の突然変異を含む四角い括弧の間で示す。
【0007】
CPB2のコード配列における1つの多型は、SNP協会からのデータ、TSC0985620に記載された。Zhao et al, Thromb Haemost 80, 949-55, 1998 は、TAFI(本明細書ではA169Tに等しい)の名称でのA147Tタンパク質多型と、697位でのサイレント塩基変化多型を開示した。本発明は、CPB2とそのハプロタイプにおける追加の多型に関する。
【0008】
CPB2ポリヌクレオチドにおける多型の本明細書での位置はいずれも、特に断らないか、又は文脈から明らかであれば、配列番号1の位置に関する。
CPB2ポリペプチドにおける多型の本明細書での位置はいずれも、特に断らないか、又は文脈から明らかであれば、配列番号2の位置に関する。
【0009】
本発明の1つの側面によれば、ヒトにおけるCPB2中の多型の検出の方法が提供され、該方法は、以下の多型位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、549、682、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の177位
の少なくとも1つでヒトの配列を決定することを含む。
【0010】
177位のDは、人間とマウスの間で保存されていて、人間とマウスの間で保存されている26アミノ酸配列の一部であり、これが機能的に重要な部位であることを示唆する。DにGを代用することは、より大きな陰電荷アミノ酸の代わりに小さな非電荷アミノ酸を用いることであり、このタンパク質の特性に影響を及ぼすことが予測される。
【0011】
本発明の1つの側面によれば、ヒトにおけるCPB2中の多型の検出の方法が提供され、該方法は、以下の多型位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、524、549、682、697、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の169及び177位
の少なくとも1つでヒトの配列を決定することを含む。
【0012】
好ましくは、本方法は、以下の6つのハプロタイプ:
【0013】
【表1】
【0014】
のいずれか1つの検出を含む。
別の態様において、本方法は、好ましくは、配列番号2に同定される位置に基づいて決定された対立遺伝子変異体アミノ酸の以下の4つの組合せ:
【0015】
【表2】
【0016】
のいずれか1つの検出を含む。
用語「ヒト」には、CPB2仲介性の疾患を有するか又は有することが疑われるヒトと、そのような疾患への素因又は感受性を検査する場合がある無症候性のヒトの両方が含まれる。それぞれの位置で、ヒトは対立遺伝子についてホモ接合であっても、又はヒトはヘテロ接合体であってもよい。
【0017】
用語「多型」には、単一のヌクレオチド置換、ヌクレオチド挿入、及びヌクレオチド欠失が含まれ、挿入及び欠失の場合は、遺伝子のある位置での1以上のヌクレオチドの挿入又は欠失と、それによりコードされるポリペプチド中の対応する変化が含まれる。
【0018】
ヌクレオチド配列検出の方法は、好ましくは、増幅拒否性突然変異系及び制限酵素断片長多型より選択される方法により配列が決定されるものである。
個体の状態は、1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれより多くのどの位置でも対立遺伝子変異への参照により決定することができる。
【0019】
核酸の検査試料は、簡便には、個体より入手される血液、気管支肺胞洗浄液、痰、又は他の体液若しくは組織の試料である。検査試料は、同等にも、検査試料中の配列に対応する核酸配列であってよいこと、即ち、試料核酸中の領域の全部若しくは一部を対立遺伝子変異の解析の前に簡便な技術、例えばPCRを使用してはじめに増幅してもよいことが理解されよう。
【0020】
当業者には、本発明の1以上の多型位置で変異ヌクレオチドの存在又は非存在を検出するために使用可能である多数の解析方法があることが明らかであろう。一般に、対立遺伝子変異の検出には、突然変異識別技術と、場合により増幅反応、並びに、場合によりシグナル産生系が必要となる。表1は、いくつかの突然変異検出技術を収載し、そのいくつかはPCRに基づく。これらは、いくつかのシグナル産生系と組み合わせて使用してよく、その抜粋を表2に収載する。さらなる増幅技術を表3に収載する。対立遺伝子変異の検出用の多くの現行法が Nollau et al., Clin. Chem. 43, 1114-1120, 1997;及び、標準的な教科書、例えば「突然変異検出の実験プロトコール(Laboratory Protocols for Mutation Detection)」U. Landegren 監修、オックスフォード大学出版局(1996)及び「PCR」、第2版、Newton & Graham 監修、BIOSサイエンティフィック・パブリッシャーズ社(1997)により概説されている。
【0021】
略語:
【0022】
【表3】
【0023】
表1−突然変異検出技術
一般法:DNA配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定。
走査法:PTT*、SSCP、DGGE、TGGE、Cleavase(切断酵素)、ヘテロ二本鎖解析、CMC、酵素ミスマッチ切断法。
*註:プロモーター多型の検出には有用でない。
【0024】
ハイブリダイゼーションに基づく:
固相ハイブリダイゼーション:ドットブロット法、MASDA、逆ドットブロット法、オリゴヌクレオチドアレイ(DNAチップ)
液相ハイブリダイゼーション:TaqmanTM−US5210015及びUS5487972(ホフマン・ラ・ロッシュ)、Molecular Beacons(分子ビーコン)−Tyagi et al (1996), Nature Biotechnology, 14, 303;WO95/13399(公衆衛生研究所、ニューヨーク)
伸長に基づく:ARMSTM、ALEXTM−ヨーロッパ特許第EP332435 B1号(ゼネカ社)、COPS−Gibbs et al (1989), Nucleic Acids Research, 17, 2347.
取込みに基づく:Mini(ミニ)配列決定、APEX
制限酵素に基づく:RFLP、制限酵素認識部位産生PCR
連結に基づく:OLA
他の方法:インベーダーアッセイ
表2−シグナル産生又は検出系
蛍光:FRET、蛍光消光法、蛍光分極法−英国特許第2228998号(ゼネカ社)
他の方法:化学発光法、電気化学発光法、ラマン法、放射活性法、熱量測定法、ハイブリダイゼーション保護アッセイ、質量分析法
表3−さらなる増幅法
SSR、NASBA、LCR、SDA、b−DNA
表4−タンパク質変異検出法
イムノアッセイ
免疫組織学
ペプチド配列決定法
好ましい突然変異検出技術には、ARMSTM、ALEXTM、COPS、Taqman、Molecular Beacons、RFLP、及び制限酵素認識部位ベースのPCR、及びFRET技術が含まれる。イムノアッセイ技術は、当該技術分野において、例えば、「ELISAへの実践ガイド(A Practical Guide to ELISA)」D M Kemeny 著、ペルガモン・プレス(1991);「イムノアッセイの原理と実践(Principles and Practice of Immunoassay)」第2版、C P Price & D J Newman(1997)、米国及びカナダではストックトン・プレスにより、英国ではマクミラン・レファレンスにより出版、に知られている。組織学上の技術は、「組織学的技術の理論と実践(Theory and Practice of Histological Techniques)」J D Bancroft & A Stevens 著、第4版、チャーチル・リヴィングストン(1996)に記載されている。タンパク質の配列決定は、「生化学及び分子生物学の実験技術(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」第9巻、「タンパク質及びペプチドの配列決定(Sequencing of Proteins and Peptides)」、G Allen, 第2改訂版、エルセヴィエ(1989)に記載されている。
【0025】
特に好ましい方法には、ARMSTMとRFLPベースの方法が含まれる。ARMSTMが特に好ましい方法である。
さらなる側面において、CPB2薬剤の薬理遺伝学を評価するための本明細書に記載される方法の使用が提供される。
【0026】
1以上の上記多型が転写レベル、及び/又はメッセージ安定性、及び/又は薬物結合性に影響を及ぼすかどうかを検出するために、アッセイ、例えばレポーターベースのアッセイを設計することができる。CPB2における多型変異が例えば投与量や効力のような薬物性能(performance)に対して影響を及ぼすかどうかを試験するために、潜在的な薬物をスクリーニングすることができる。
【0027】
故に、CPB2遺伝子の特別な対立遺伝子変異体を担う個体は、異なる生理学的条件の下でタンパク質生合成を調節するその能力において差異を示す場合があり、異なる疾患に対して反応する改変された能力を示すものである。さらに、対立遺伝子変異の結果として生じる差異は、薬物療法に対する個体の応答に対して直接的な効果を及ぼす場合がある。本発明の方法は、そうした薬剤への臨床応答を予測することと治療用量を決定することの両方に有用であり得る。
【0028】
さらなる側面において、本発明の方法は、CPB2により仲介される疾患に対する個体の素因及び/又は感受性を評価するために使用される。このことは、心臓血管系疾患の発症に特に関連する場合があり、本発明は、特にこういった病態を発症するリスクがある個体を認知するために使用することができる。
【0029】
さらなる側面において、本発明の方法は、CPB2の1以上の対立遺伝子変異体を選択的に標的にする新しい薬物療法の開発に使用される。特別な対立遺伝子変異体と疾患発症への素因又は薬物療法への応答性との間の連関を同定することは、新しい薬剤の設計に有意義な影響を及ぼすかもしれない。他の変異体に対する影響を最小化しながら、疾患プロセスへの関与が示唆される変異体の生物学的活性を調節する薬剤を設計することができる。
【0030】
本発明のさらなる側面において、変異ヌクレオチドの存在又は非存在は、随意に工学処理された、制限酵素により認識される部位の喪失又は獲得への参照により検出される。
本発明の別の側面は、ヒトCPB2遺伝子の少なくとも20の塩基を含んでなり、以下:
【0031】
【表4】
【0032】
のいずれか1つより選択される対立遺伝子変異体を含んでなるポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の側面によれば、ヒトCPB2遺伝子の少なくとも20の塩基を含んでなり、以下:
【0033】
【表5】
【0034】
のいずれか1つより選択される対立遺伝子変異体を含んでなるポリヌクレオチドが提供される。
断片は、少なくとも17塩基、より好ましくは少なくとも20塩基、より好ましくは少なくとも30塩基である。
【0035】
好ましいポリヌクレオチドは、配列番号1の位置に関連した以下の6つのCPB2ハプロタイプ:
【0036】
【表6】
【0037】
のいずれか1つを含む。
さらに本発明は、本発明の多型を検出することができるヌクレオチドプライマーを提供する。
【0038】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載の1以上の位置でCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的プライマーが提供される。
対立遺伝子特異的プライマーは、PCR反応のような増幅反応において、一般的には定常プライマーとともに使用され、これは、例えばARMSTMアッセイについて使用されるように、特別な配列位置での1つの対立遺伝子の選択増幅により、対立遺伝子間の識別をもたらす。対立遺伝子特異的プライマーは、好ましくは17〜50ヌクレオチド、より好ましくは約17〜35ヌクレオチド、より好ましくは約17〜30ヌクレオチドである。
【0039】
対立遺伝子特異的プライマーは、好ましくは、検出すべき対立遺伝子と正確に対応するが、その誘導体も考慮され、そこでは、その3'末端にある約6〜8のヌクレオチドが検出すべき対立遺伝子に対応し、残るヌクレオチドの8、6、4、2、又は1までのように10までは、プライマーの特性に有意に影響を及ぼさなければ変動させてよい。
【0040】
プライマーは、簡便な合成法を使用して製造することができる。そのような方法の例は、標準的な教科書、例えば、「オリゴヌクレオチド及び類似体のプロトコール;合成及び特性(Protocols for Oligonucleotides and Analogues; Synthesis and Properties)」、分子生物学の方法シリーズ(Methods in Molecular Biology Series);第20巻;Sudhir Agrawal 監修;ヒュマナ ISBN:0−89603−247−7;1993;初版、に見出すことができる。必要とあれば、検出を容易にするために、プライマーを標識化してよい。
【0041】
本発明の別の側面によれば、好ましくは本明細書に記載の1以上の位置でCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
【0042】
この対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは17〜50ヌクレオチド、より好ましくは約17〜35ヌクレオチド、より好ましくは約17〜30ヌクレオチドである。
【0043】
そのようなプローブの設計は、通常の技量のある分子生物学者にとって明らかであろう。そのようなプローブは、50塩基まで、40塩基までのような簡便な長さのものであり、より簡便には、例えば8〜25又は8〜15塩基の長さのような、30塩基までの長さである。一般に、そうしたプローブは、その遺伝子における対応する野生型又は変異体の座に完全に相補的な塩基配列を含む。しかしながら、必要とあれば、該オリゴヌクレオチドプローブの識別力が不当に影響されないという条件付きで、1以上のミスマッチを導入してよい。本発明のプローブは、検出を容易にするために1以上の標識を担ってよい。
【0044】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載の位置の1つでCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的プライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
【0045】
本発明の別の側面によれば、本発明の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ、及び/又は本発明の対立遺伝子特異的プライマーを含んでなるキットが提供される。
該キットは、適切な包装と本発明の方法における使用の説明書を含む場合がある。そうしたキットは、さらに、適切な緩衝剤と、熱安定性ポリメラーゼ、例えばtaqポリメラーゼのようなポリメラーゼを含んでよい。
【0046】
本発明の別の側面において、本発明の多型は、連鎖試験における遺伝マーカーとして使用することができる。これは、特に、相対的に高い頻度の多型へ適用される。CPB2遺伝子は、染色体13q14.11上にある。低頻度多型は、以下に記載のように、ハプロタイプ決定(haplotyping)に特に有用であるかもしれない。ハプロタイプは、単一(父方又は母方)染色体上の連鎖多型部位(遺伝子内部のような)に見出される対立遺伝子のセットである。この遺伝子内の組換えがランダムであれば、2nほど多くのハプロタイプが存在する場合がある(ここで、2は各SNPでの対立遺伝子の数であり、nはSNPの数である)。臨床応答に相関する突然変異又は多型を同定するための1つのアプローチは、注目の人口集団において同定可能であるすべてのハプロタイプを使用する関連試験を行うことである。各ハプロタイプの頻度は、その最も稀な対立遺伝子の頻度により制限されるので、低頻度対立遺伝子のあるSNPは、低頻度ハプロタイプのマーカーとして特に有用である。有害事象や異常事象のようなある種の臨床特徴に関連した特別の突然変異又は多型は、人口集団の内部で低頻度となりやすいので、低頻度SNPは、これらの突然変異を同定するのに特に有用である場合がある(例えば:「シスタチオニンβ−シンターゼ(CBS)座での連鎖不均衡と、CBS座での遺伝変異とホモシステインの血漿レベルとの関連性(Linkage disequilibrium at the cystathionine beta synthase (CBS) locus and the association between genetic variation at the CBS locus and plasma level of homocysteine)」 Ann Hum Genet (1998) 62: 481-90, De Stefano V, Dekou V, Nicaud V, Chasse JF, London J, Stansbie D, Humphries SE, and Gudnason V;及び、「フォンビルブランド因子(vWF)遺伝子座での変異は、血漿vWF:Agレベルに関連する:vWF遺伝子プロモーター中の3つの新規一塩基多型の同定(Variation at the von willebrand factor (vWF) gene locus is associated with plasma vWF:Ag levels: identification of three novel single nucleotide polymorphisms in the vWF gene promoter)」 Blood (1999) 93: 4277-83, Keightley AM, Lam YM, Brady JN, Cameron CL, Lillicrap D を参照のこと)。
【0047】
本発明の別の側面によれば、コンピュータ可読媒体に保存された本発明の少なくとも1つの新規配列を含んでなる、該媒体が提供される。このコンピュータ可読媒体は、例えば、相同性検索、マッピング、ハプロタイプ決定、遺伝子型決定、又は薬理遺伝学の解析に使用することができる。
【0048】
本発明の別の側面は、CPB2薬剤を用いた治療の必要なヒトを治療する方法を提供し、ここで該方法は:
i)ヒトにおけるCPB2中の多型の検出(該検出は、以下の位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、549、682、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の177位
の1以上でヒトの配列を決定すること;及び
CPB2中の多型への参照によりヒトの状態を決定することを含む);並びに
ii)該薬剤の有効量を投与すること
を含む。
【0049】
本発明の別の側面によれば、CPB2薬剤を用いた治療の必要なヒトを治療する方法が提供され、ここで該方法は:
i)ヒトにおけるCPB2中の多型の検出(該検出は、以下の位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、524、549、682、697、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の169及び177位
の1以上でヒトの配列を決定すること;及び
CPB2遺伝子における多型への参照によりヒトの状態を決定することを含む);並びに
ii)該薬剤の有効量を投与すること
を含む。
【0050】
好ましくは、ヒトの状態の決定が臨床上有用である。臨床有用性の例には、どの薬剤又は薬剤群を投与すべきかを決定すること、及び/又はCPB2薬剤若しくは薬剤群の有効量を決定することが含まれる。読者には、CPB2に作用する化合物に関連する、アストラゼネカ社からの以下のPCT特許出願が参考になる:WO00/66152、WO00/66550、及びWO00/66557。用語「CPB2薬剤」は、ヒトにおいてCPB2に影響を及ぼす薬剤がヒトにおいてその医薬効果を発揮する薬物の重要部分であることを意味する。
【0051】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載の1以上の位置に多型を有するものとして検出されたヒトの疾患を治療するための医薬品の製造におけるCPB2薬剤の使用が提供される。好ましくは、該疾患が心臓血管系である。
【0052】
本発明の別の側面によれば、CPB2薬剤と、本明細書に記載の1以上の位置での多型を検査するヒトへ該薬剤を投与するための説明書を含んでなる医薬パックが提供される。
本発明の別の側面は、配列番号2の177位にグリシンを含んでなるヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体;
又は、少なくとも10のアミノ酸を含んでなる、その断片(但し、該断片は、少なくとも1つの対立遺伝子変異体を含む)を提供する。
【0053】
177位のDは、人間とマウスの間で保存されていて、人間とマウスの間で保存されている26アミノ酸配列の一部であり、これが機能的に重要な部位であることを示唆する。DにGを代用することは、保存領域において、より大きな陰電荷アミノ酸の代わりに小さな非電荷アミノ酸を用いることであり、このタンパク質の特性に影響を及ぼすことが予測される。
【0054】
本発明の別の側面によれば、以下の少なくとも1つ:
配列番号2の169位にアラニン;
配列番号2の177位にグリシン;
を含んでなるヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体、又は少なくとも10のアミノ酸を含んでなる、その断片(但し、該断片は、少なくとも1つの対立遺伝子変異体を含む)が提供される。
【0055】
ポリペプチドの断片は、少なくとも10のアミノ酸、より好ましくは少なくとも15のアミノ酸、より好ましくは少なくとも20のアミノ酸である。
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載のヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体に特異的な抗体が提供される。
【0056】
抗体は、適切な方法を使用して調製することができる。例えば、精製されたポリペプチドを利用して特異抗体を調製してよい。用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び、例えばF(ab’)2、Fab、及び単鎖Fvのような様々な種類の抗体構築体が含まれることを意味する。抗体は、CPB2の対立遺伝子変異体へ約107M-1以上のKaで結合すれば、特異結合性であると確かめられる。結合のアフィニティーは、慣用の技術、例えば Scatchard et al., Ann. N. Y. Acad. Sci., 51: 660 (1949) により記載のものを使用して定量することができる。
【0057】
ポリクローナル抗体は、多様な供給源、例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、又はラットより、当該技術分野でよく知られた方法を使用して容易に産生することができる。一般に、典型的には非経口注射により宿主動物へ抗原を投与する。抗原の免疫原性は、アジュバント、例えばフロイント完全若しくは不完全アジュバントの使用により増強してよい。追加免疫化に続き、血清の少量試料を採取し、抗原への反応性を検査する。そのような定量に有用な様々なアッセイの例には、「抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」Harlow and Lane(監修)、コールドスプリングハーバーラボラトリー・プレス(1988)に記載のもの;並びに、向流免疫電気泳動(CIEP)、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈降法、酵素結合性免疫吸着剤検定(ELISA)、ドットブロットアッセイ、及びサンドイッチアッセイのような方法が含まれる。米国特許第4,376,110号及び4,486,530号を参照のこと。
【0058】
モノクローナル抗体は、よく知られた方法を使用して容易に調製することができる。例えば、米国特許第RE32,011号、4,902,614号、4,543,439号、及び4,411,993号;「モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物学的分析の新次元(Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses)」プレナム・プレス、Kennett, McKearn, and Bechtol (監修)(1980)に記載の方法を参照のこと。
【0059】
本発明のモノクローナル抗体は、参照により本明細書に援用される、Alting-Mees et al.,「モノクローナル抗体発現ライブラリー:ハイブリドーマに代わる迅速法(Monoclonal Antibody Expression Libraries: A Rapid Alternative to Hybridomas)」Strategies in Molecular Biology 3: 1-9 (1990) により記載される技術のような代替技術を使用して産生することができる。同様に、特異結合抗体をコードする遺伝子の可変領域を取込むための組換えDNA技術を使用して、結合パートナーを構築してよい。こうした技術は、Larrick et al., Biotechnology, 7: 394 (1989) に記載されている。
【0060】
ひとたび単離されて精製されたならば、この抗体を使用して、確立されたアッセイプロトコールを使用して試料中の抗原の存在を検出することができる。例えば、「ELISAの実践ガイド(A Practical Guide to ELISA)」D. M. Kemeny 著、ペルガモン・プレス、オックスフォード、イギリス、を参照のこと。
【0061】
本発明の別の側面によれば、本発明の抗体を含んでなるキットが提供される。
本発明の別の側面によれば、配列番号2に同定される位置に基づいて決定された対立遺伝子変異体アミノ酸の以下の4つの組合せ:
【0062】
【表7】
【0063】
の1つを含んでなるヒトCPB2ポリペプチドが提供される。
本発明の別の側面によれば、上記に記載の対立遺伝子変異体のヒトCPB2ポリペプチドの4つの組合せのいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0064】
参考文献
Eaton, D.L.; Malloy, B. E.; Tsai, S.P.; Henzel, W.; Drayna, D.「新規カルボキシペプチダーゼBのヒト血漿からの単離、分子クローニング、及び部分特性決定(Isolation, molecular cloning, and partial characterization of a novel carboxypeptidase B from human plasma)」J. Biol. Chem. 266, 21833-21838, 1991.
Tsai, S.P.; Drayna, D「ヒト血漿カルボキシペプチダーゼB(CPB2)をコードする遺伝子は第13染色体上に存する(The gene encoding human plasma carboxypeptidase B (CPB2) resides on chromosome 13)」Genomics 14, 549-550, 1992.
Vanhoof, G.; Wauters, J.; Schatteman, K.; Hendriks, D.; Goossens, F.; Bossuyt, P.; Scharpe, S.「ヒトカルボキシペプチダーゼU(CPB2)の遺伝子−プラスミノーゲン活性化の提起された新規制御因子−は、13q14.11にマップされる(The gene for human carboxypeptidase U (CPB2) - a proposed novel regulator of plasmingogen activation - maps to 13q14.11)」Genomics 38: 454-455, 1996.
Bazjar, L.; Morser, J.; Nesheim, E.「TAFI、又は血漿プロカルボキシペプチダーゼBは、トロンビン−トロンボモジュリン複合体を介して凝固及び線溶のカスケードを連結させる(TAFI, or plasma procarboxypeptidase B, couples the coagulation and fibrinolytic cascades through the thrombin - thrombomodulin complex)」J. Biol. Chem. 271, 16603-16608, 1996.
以下、本発明を以下の実施例を参照にして例示するが、本発明はそれに限定されるわけではない。温度はいずれも摂氏(℃)である。
【0065】
以下の実施例において、特に断らなければ、以下の方法論と材料を適用した。
パーキン−エルマー Cetusより入手可能なAMPLITAQTMを熱安定性DNAポリメラーゼの供給源として使用する。
【0066】
全般的な分子生物学の方法は、「分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)」第2版、Sambrook, Fritsch and Maniatis(コールドスプリングハーバーラボラトリー、1989)、又は「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」1〜3巻、F M Asubel, R Brent & R E Kingston(監修)、ジョン・ウィリー出版(1998)に記載の方法のいずれに従ってもよい。
【0067】
電気泳動図は、標準的なやり方で入手した:ABI377データ回収ソフトウェアによりデータを回収し、ABI Prism配列決定解析(2.1.2)により波形を作成した。
【0068】
実施例1
多型の同定
1.1 方法
CPB2のゲノム構造を、ヒトゲノム配列に対するcDNA配列を使用するBLAST解析により決定した。これは11のエクソンを示した。29名の血縁でないヨーロッパ人のゲノムDNA由来の個別エクソンを増幅するために、隣接(flanking)イントロン配列においてプライマーを設計した。このPCRプライマーにM13f若しくはM13r配列のいずれかのタグを付けた。M13f若しくはM13rプライマーを使用する両方向でのダイターミネーター配列決定法により個々のPCR産物を配列決定した。
【0069】
1.2 結果
【0070】
【表8】
【0071】
177位のDは、人間とマウスの間で保存されていて、人間とマウスの間で保存されている26アミノ酸配列の一部であり、これが機能的に重要な部位であることを示唆する。DにGを代用することは、より大きな陰電荷アミノ酸の代わりに小さな非電荷アミノ酸を用いることであり、このタンパク質の特性に影響を及ぼすことが予測される。
【0072】
この分析により、TSC SNP TSC0985620が、1059位でCの代わりにTを用いることでアミノ酸変化thr347ileをもたらす、真の多型であることが確かめられた。40名のヨーロッパ人におけるT対立遺伝子の頻度は78%であった。
【0073】
実施例2
ハプロタイプ
310、524、682、697、772、及び1059位での多型は、6つの共通ハプロタイプとして遺伝される。
【0074】
【表9】
【0075】
これらのハプロタイプは、CPB2タンパク質の4つの共通型があることを示す:Thr169/thr347(50%)、ala169/thr347(21%)、thr169/ile347(19%)、及びala169/ile347(10%)。
本発明は、ヒトCPB2遺伝子における多型と、それによりコードされる対応の新規対立遺伝子ポリペプチドに関する。本発明はまた、CPB2遺伝子における対立遺伝子変異を解析するための方法及び材料と、CPB2輸送可能薬剤を用いた疾患の治療におけるCPB2多型の使用に関する。
【0002】
ヒト血漿カルボキシペプチダーゼB2(CPB2)は、カルボキシペプチダーゼU(CPU)としても知られている、トロンビン活性化線溶阻害剤であり;本明細書では用語「CPB2」を使用する。これは不安定な塩基性カルボキシペプチダーゼであり、ヒト血漿中ではそのプロ酵素型、プロカルボキシペプチダーゼB2(proCPB2)で循環する。Vanhoof et al (1996) は、proCPB2がプラスミノーゲンへのアフィニティーを示し、トロンビン及びプラスミンの作用によりその活性型へ変換されることに注目した。Bazjar et al (1996) は、proCPB2の最もあり得る生理学的アクチベータがトロンビン−トロンボモジュリン複合体であることに注目した。このタンパク質の演繹アミノ酸配列は、組織型カルボキシペプチダーゼA及びBに非常に類似した一次翻訳産物を明らかにする。Eaton et al (1991) は、proCPB2のcDNAをクローニングした。予測される423アミノ酸のタンパク質は、22アミノ酸のシグナルペプチド、92アミノ酸の活性化ペプチド、及び、309アミノ酸の触媒ドメインからなる。
【0003】
トリプシンにより活性化されると、それは、カルボキシペプチダーゼBの基質、ヒップリル−Arg及びヒップリル−Lysを加水分解するが、カルボキシペプチダーゼAの基質は加水分解しない。それは、特異的なカルボキシペプチダーゼB阻害剤の(DL−5−グアニジノエチル)メルカプトコハク酸により阻害される。Tsai 及び Drayna (1992) は、その遺伝子がヒトの第13染色体に位置することを明示した。この遺伝子は、Vanhoof et al (1996) により、蛍光 in situ ハイブリダイゼーションを使用して、13q14.11へ位置決定された。この領域へマップされた、CPB2が関っていそうな遺伝障害はない。
【0004】
CPB2のあり得る役割は、フィブリンの沈着及び除去を触媒する酵素、プラスミノーゲンの活性化にある。凝固及び線溶のカスケードの活性間の均衡は、損傷時に過剰な血液損失を防ぎ、血管系内での血液流動性を維持するのに不可欠である。不均衡を特徴づけるのは、出血性又は血栓性の傾向であり、その後者は、心臓発作や卒中として表出される。CPB2を阻害して線溶を促進すれば、血栓塞栓性障害の治療になり得るだろう。
【0005】
1つのアプローチは、多型の知識を使用して、特定の薬剤を用いた療法に最も適している患者の同定に役立てることである(これは、しばしば、「薬理遺伝学」と呼ばれる)。薬理遺伝学はまた、製薬研究に使用して、医薬選別プロセスを支援することができる。多型は、ヒトゲノムのマッピングと疾患の遺伝成分を解明することに使用される。薬理遺伝学に関する背景詳細と多型検出の他の使用については、以下の文献が読者の参考になる:Linder et al. (1997), Clinical Chemistry, 43, 254; Marshall (1997), Nature Biotecnology, 15, 1249; 国際特許出願WO97/40462,Spectra Biomedical; 及び Schafer et al. (1998), Nature Biotechnology, 16, 33.
臨床試験は、医薬品を用いた治療に対する患者応答がしばしば不均一であることを示してきた。従って、薬剤の設計及び療法への改善されたアプローチへのニーズがある。
【0006】
ポリペプチドにおける点突然変異は以下のように言及される:天然アミノ酸(1若しくは3文字命名法を使用する)、位置、新規アミノ酸。(仮定の)例を挙げると、「D25K」又は「Asp25Lys」は、25位でアスパラギン酸(D)がリジン(K)へ変換されたことを意味する。1つのポリペプチドにおける多数の突然変異は、カンマで区切られた個々の突然変異を含む四角い括弧の間で示す。
【0007】
CPB2のコード配列における1つの多型は、SNP協会からのデータ、TSC0985620に記載された。Zhao et al, Thromb Haemost 80, 949-55, 1998 は、TAFI(本明細書ではA169Tに等しい)の名称でのA147Tタンパク質多型と、697位でのサイレント塩基変化多型を開示した。本発明は、CPB2とそのハプロタイプにおける追加の多型に関する。
【0008】
CPB2ポリヌクレオチドにおける多型の本明細書での位置はいずれも、特に断らないか、又は文脈から明らかであれば、配列番号1の位置に関する。
CPB2ポリペプチドにおける多型の本明細書での位置はいずれも、特に断らないか、又は文脈から明らかであれば、配列番号2の位置に関する。
【0009】
本発明の1つの側面によれば、ヒトにおけるCPB2中の多型の検出の方法が提供され、該方法は、以下の多型位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、549、682、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の177位
の少なくとも1つでヒトの配列を決定することを含む。
【0010】
177位のDは、人間とマウスの間で保存されていて、人間とマウスの間で保存されている26アミノ酸配列の一部であり、これが機能的に重要な部位であることを示唆する。DにGを代用することは、より大きな陰電荷アミノ酸の代わりに小さな非電荷アミノ酸を用いることであり、このタンパク質の特性に影響を及ぼすことが予測される。
【0011】
本発明の1つの側面によれば、ヒトにおけるCPB2中の多型の検出の方法が提供され、該方法は、以下の多型位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、524、549、682、697、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の169及び177位
の少なくとも1つでヒトの配列を決定することを含む。
【0012】
好ましくは、本方法は、以下の6つのハプロタイプ:
【0013】
【表1】
【0014】
のいずれか1つの検出を含む。
別の態様において、本方法は、好ましくは、配列番号2に同定される位置に基づいて決定された対立遺伝子変異体アミノ酸の以下の4つの組合せ:
【0015】
【表2】
【0016】
のいずれか1つの検出を含む。
用語「ヒト」には、CPB2仲介性の疾患を有するか又は有することが疑われるヒトと、そのような疾患への素因又は感受性を検査する場合がある無症候性のヒトの両方が含まれる。それぞれの位置で、ヒトは対立遺伝子についてホモ接合であっても、又はヒトはヘテロ接合体であってもよい。
【0017】
用語「多型」には、単一のヌクレオチド置換、ヌクレオチド挿入、及びヌクレオチド欠失が含まれ、挿入及び欠失の場合は、遺伝子のある位置での1以上のヌクレオチドの挿入又は欠失と、それによりコードされるポリペプチド中の対応する変化が含まれる。
【0018】
ヌクレオチド配列検出の方法は、好ましくは、増幅拒否性突然変異系及び制限酵素断片長多型より選択される方法により配列が決定されるものである。
個体の状態は、1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれより多くのどの位置でも対立遺伝子変異への参照により決定することができる。
【0019】
核酸の検査試料は、簡便には、個体より入手される血液、気管支肺胞洗浄液、痰、又は他の体液若しくは組織の試料である。検査試料は、同等にも、検査試料中の配列に対応する核酸配列であってよいこと、即ち、試料核酸中の領域の全部若しくは一部を対立遺伝子変異の解析の前に簡便な技術、例えばPCRを使用してはじめに増幅してもよいことが理解されよう。
【0020】
当業者には、本発明の1以上の多型位置で変異ヌクレオチドの存在又は非存在を検出するために使用可能である多数の解析方法があることが明らかであろう。一般に、対立遺伝子変異の検出には、突然変異識別技術と、場合により増幅反応、並びに、場合によりシグナル産生系が必要となる。表1は、いくつかの突然変異検出技術を収載し、そのいくつかはPCRに基づく。これらは、いくつかのシグナル産生系と組み合わせて使用してよく、その抜粋を表2に収載する。さらなる増幅技術を表3に収載する。対立遺伝子変異の検出用の多くの現行法が Nollau et al., Clin. Chem. 43, 1114-1120, 1997;及び、標準的な教科書、例えば「突然変異検出の実験プロトコール(Laboratory Protocols for Mutation Detection)」U. Landegren 監修、オックスフォード大学出版局(1996)及び「PCR」、第2版、Newton & Graham 監修、BIOSサイエンティフィック・パブリッシャーズ社(1997)により概説されている。
【0021】
略語:
【0022】
【表3】
【0023】
表1−突然変異検出技術
一般法:DNA配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定。
走査法:PTT*、SSCP、DGGE、TGGE、Cleavase(切断酵素)、ヘテロ二本鎖解析、CMC、酵素ミスマッチ切断法。
*註:プロモーター多型の検出には有用でない。
【0024】
ハイブリダイゼーションに基づく:
固相ハイブリダイゼーション:ドットブロット法、MASDA、逆ドットブロット法、オリゴヌクレオチドアレイ(DNAチップ)
液相ハイブリダイゼーション:TaqmanTM−US5210015及びUS5487972(ホフマン・ラ・ロッシュ)、Molecular Beacons(分子ビーコン)−Tyagi et al (1996), Nature Biotechnology, 14, 303;WO95/13399(公衆衛生研究所、ニューヨーク)
伸長に基づく:ARMSTM、ALEXTM−ヨーロッパ特許第EP332435 B1号(ゼネカ社)、COPS−Gibbs et al (1989), Nucleic Acids Research, 17, 2347.
取込みに基づく:Mini(ミニ)配列決定、APEX
制限酵素に基づく:RFLP、制限酵素認識部位産生PCR
連結に基づく:OLA
他の方法:インベーダーアッセイ
表2−シグナル産生又は検出系
蛍光:FRET、蛍光消光法、蛍光分極法−英国特許第2228998号(ゼネカ社)
他の方法:化学発光法、電気化学発光法、ラマン法、放射活性法、熱量測定法、ハイブリダイゼーション保護アッセイ、質量分析法
表3−さらなる増幅法
SSR、NASBA、LCR、SDA、b−DNA
表4−タンパク質変異検出法
イムノアッセイ
免疫組織学
ペプチド配列決定法
好ましい突然変異検出技術には、ARMSTM、ALEXTM、COPS、Taqman、Molecular Beacons、RFLP、及び制限酵素認識部位ベースのPCR、及びFRET技術が含まれる。イムノアッセイ技術は、当該技術分野において、例えば、「ELISAへの実践ガイド(A Practical Guide to ELISA)」D M Kemeny 著、ペルガモン・プレス(1991);「イムノアッセイの原理と実践(Principles and Practice of Immunoassay)」第2版、C P Price & D J Newman(1997)、米国及びカナダではストックトン・プレスにより、英国ではマクミラン・レファレンスにより出版、に知られている。組織学上の技術は、「組織学的技術の理論と実践(Theory and Practice of Histological Techniques)」J D Bancroft & A Stevens 著、第4版、チャーチル・リヴィングストン(1996)に記載されている。タンパク質の配列決定は、「生化学及び分子生物学の実験技術(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」第9巻、「タンパク質及びペプチドの配列決定(Sequencing of Proteins and Peptides)」、G Allen, 第2改訂版、エルセヴィエ(1989)に記載されている。
【0025】
特に好ましい方法には、ARMSTMとRFLPベースの方法が含まれる。ARMSTMが特に好ましい方法である。
さらなる側面において、CPB2薬剤の薬理遺伝学を評価するための本明細書に記載される方法の使用が提供される。
【0026】
1以上の上記多型が転写レベル、及び/又はメッセージ安定性、及び/又は薬物結合性に影響を及ぼすかどうかを検出するために、アッセイ、例えばレポーターベースのアッセイを設計することができる。CPB2における多型変異が例えば投与量や効力のような薬物性能(performance)に対して影響を及ぼすかどうかを試験するために、潜在的な薬物をスクリーニングすることができる。
【0027】
故に、CPB2遺伝子の特別な対立遺伝子変異体を担う個体は、異なる生理学的条件の下でタンパク質生合成を調節するその能力において差異を示す場合があり、異なる疾患に対して反応する改変された能力を示すものである。さらに、対立遺伝子変異の結果として生じる差異は、薬物療法に対する個体の応答に対して直接的な効果を及ぼす場合がある。本発明の方法は、そうした薬剤への臨床応答を予測することと治療用量を決定することの両方に有用であり得る。
【0028】
さらなる側面において、本発明の方法は、CPB2により仲介される疾患に対する個体の素因及び/又は感受性を評価するために使用される。このことは、心臓血管系疾患の発症に特に関連する場合があり、本発明は、特にこういった病態を発症するリスクがある個体を認知するために使用することができる。
【0029】
さらなる側面において、本発明の方法は、CPB2の1以上の対立遺伝子変異体を選択的に標的にする新しい薬物療法の開発に使用される。特別な対立遺伝子変異体と疾患発症への素因又は薬物療法への応答性との間の連関を同定することは、新しい薬剤の設計に有意義な影響を及ぼすかもしれない。他の変異体に対する影響を最小化しながら、疾患プロセスへの関与が示唆される変異体の生物学的活性を調節する薬剤を設計することができる。
【0030】
本発明のさらなる側面において、変異ヌクレオチドの存在又は非存在は、随意に工学処理された、制限酵素により認識される部位の喪失又は獲得への参照により検出される。
本発明の別の側面は、ヒトCPB2遺伝子の少なくとも20の塩基を含んでなり、以下:
【0031】
【表4】
【0032】
のいずれか1つより選択される対立遺伝子変異体を含んでなるポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の側面によれば、ヒトCPB2遺伝子の少なくとも20の塩基を含んでなり、以下:
【0033】
【表5】
【0034】
のいずれか1つより選択される対立遺伝子変異体を含んでなるポリヌクレオチドが提供される。
断片は、少なくとも17塩基、より好ましくは少なくとも20塩基、より好ましくは少なくとも30塩基である。
【0035】
好ましいポリヌクレオチドは、配列番号1の位置に関連した以下の6つのCPB2ハプロタイプ:
【0036】
【表6】
【0037】
のいずれか1つを含む。
さらに本発明は、本発明の多型を検出することができるヌクレオチドプライマーを提供する。
【0038】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載の1以上の位置でCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的プライマーが提供される。
対立遺伝子特異的プライマーは、PCR反応のような増幅反応において、一般的には定常プライマーとともに使用され、これは、例えばARMSTMアッセイについて使用されるように、特別な配列位置での1つの対立遺伝子の選択増幅により、対立遺伝子間の識別をもたらす。対立遺伝子特異的プライマーは、好ましくは17〜50ヌクレオチド、より好ましくは約17〜35ヌクレオチド、より好ましくは約17〜30ヌクレオチドである。
【0039】
対立遺伝子特異的プライマーは、好ましくは、検出すべき対立遺伝子と正確に対応するが、その誘導体も考慮され、そこでは、その3'末端にある約6〜8のヌクレオチドが検出すべき対立遺伝子に対応し、残るヌクレオチドの8、6、4、2、又は1までのように10までは、プライマーの特性に有意に影響を及ぼさなければ変動させてよい。
【0040】
プライマーは、簡便な合成法を使用して製造することができる。そのような方法の例は、標準的な教科書、例えば、「オリゴヌクレオチド及び類似体のプロトコール;合成及び特性(Protocols for Oligonucleotides and Analogues; Synthesis and Properties)」、分子生物学の方法シリーズ(Methods in Molecular Biology Series);第20巻;Sudhir Agrawal 監修;ヒュマナ ISBN:0−89603−247−7;1993;初版、に見出すことができる。必要とあれば、検出を容易にするために、プライマーを標識化してよい。
【0041】
本発明の別の側面によれば、好ましくは本明細書に記載の1以上の位置でCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
【0042】
この対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは17〜50ヌクレオチド、より好ましくは約17〜35ヌクレオチド、より好ましくは約17〜30ヌクレオチドである。
【0043】
そのようなプローブの設計は、通常の技量のある分子生物学者にとって明らかであろう。そのようなプローブは、50塩基まで、40塩基までのような簡便な長さのものであり、より簡便には、例えば8〜25又は8〜15塩基の長さのような、30塩基までの長さである。一般に、そうしたプローブは、その遺伝子における対応する野生型又は変異体の座に完全に相補的な塩基配列を含む。しかしながら、必要とあれば、該オリゴヌクレオチドプローブの識別力が不当に影響されないという条件付きで、1以上のミスマッチを導入してよい。本発明のプローブは、検出を容易にするために1以上の標識を担ってよい。
【0044】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載の位置の1つでCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的プライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
【0045】
本発明の別の側面によれば、本発明の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ、及び/又は本発明の対立遺伝子特異的プライマーを含んでなるキットが提供される。
該キットは、適切な包装と本発明の方法における使用の説明書を含む場合がある。そうしたキットは、さらに、適切な緩衝剤と、熱安定性ポリメラーゼ、例えばtaqポリメラーゼのようなポリメラーゼを含んでよい。
【0046】
本発明の別の側面において、本発明の多型は、連鎖試験における遺伝マーカーとして使用することができる。これは、特に、相対的に高い頻度の多型へ適用される。CPB2遺伝子は、染色体13q14.11上にある。低頻度多型は、以下に記載のように、ハプロタイプ決定(haplotyping)に特に有用であるかもしれない。ハプロタイプは、単一(父方又は母方)染色体上の連鎖多型部位(遺伝子内部のような)に見出される対立遺伝子のセットである。この遺伝子内の組換えがランダムであれば、2nほど多くのハプロタイプが存在する場合がある(ここで、2は各SNPでの対立遺伝子の数であり、nはSNPの数である)。臨床応答に相関する突然変異又は多型を同定するための1つのアプローチは、注目の人口集団において同定可能であるすべてのハプロタイプを使用する関連試験を行うことである。各ハプロタイプの頻度は、その最も稀な対立遺伝子の頻度により制限されるので、低頻度対立遺伝子のあるSNPは、低頻度ハプロタイプのマーカーとして特に有用である。有害事象や異常事象のようなある種の臨床特徴に関連した特別の突然変異又は多型は、人口集団の内部で低頻度となりやすいので、低頻度SNPは、これらの突然変異を同定するのに特に有用である場合がある(例えば:「シスタチオニンβ−シンターゼ(CBS)座での連鎖不均衡と、CBS座での遺伝変異とホモシステインの血漿レベルとの関連性(Linkage disequilibrium at the cystathionine beta synthase (CBS) locus and the association between genetic variation at the CBS locus and plasma level of homocysteine)」 Ann Hum Genet (1998) 62: 481-90, De Stefano V, Dekou V, Nicaud V, Chasse JF, London J, Stansbie D, Humphries SE, and Gudnason V;及び、「フォンビルブランド因子(vWF)遺伝子座での変異は、血漿vWF:Agレベルに関連する:vWF遺伝子プロモーター中の3つの新規一塩基多型の同定(Variation at the von willebrand factor (vWF) gene locus is associated with plasma vWF:Ag levels: identification of three novel single nucleotide polymorphisms in the vWF gene promoter)」 Blood (1999) 93: 4277-83, Keightley AM, Lam YM, Brady JN, Cameron CL, Lillicrap D を参照のこと)。
【0047】
本発明の別の側面によれば、コンピュータ可読媒体に保存された本発明の少なくとも1つの新規配列を含んでなる、該媒体が提供される。このコンピュータ可読媒体は、例えば、相同性検索、マッピング、ハプロタイプ決定、遺伝子型決定、又は薬理遺伝学の解析に使用することができる。
【0048】
本発明の別の側面は、CPB2薬剤を用いた治療の必要なヒトを治療する方法を提供し、ここで該方法は:
i)ヒトにおけるCPB2中の多型の検出(該検出は、以下の位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、549、682、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の177位
の1以上でヒトの配列を決定すること;及び
CPB2中の多型への参照によりヒトの状態を決定することを含む);並びに
ii)該薬剤の有効量を投与すること
を含む。
【0049】
本発明の別の側面によれば、CPB2薬剤を用いた治療の必要なヒトを治療する方法が提供され、ここで該方法は:
i)ヒトにおけるCPB2中の多型の検出(該検出は、以下の位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、524、549、682、697、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の169及び177位
の1以上でヒトの配列を決定すること;及び
CPB2遺伝子における多型への参照によりヒトの状態を決定することを含む);並びに
ii)該薬剤の有効量を投与すること
を含む。
【0050】
好ましくは、ヒトの状態の決定が臨床上有用である。臨床有用性の例には、どの薬剤又は薬剤群を投与すべきかを決定すること、及び/又はCPB2薬剤若しくは薬剤群の有効量を決定することが含まれる。読者には、CPB2に作用する化合物に関連する、アストラゼネカ社からの以下のPCT特許出願が参考になる:WO00/66152、WO00/66550、及びWO00/66557。用語「CPB2薬剤」は、ヒトにおいてCPB2に影響を及ぼす薬剤がヒトにおいてその医薬効果を発揮する薬物の重要部分であることを意味する。
【0051】
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載の1以上の位置に多型を有するものとして検出されたヒトの疾患を治療するための医薬品の製造におけるCPB2薬剤の使用が提供される。好ましくは、該疾患が心臓血管系である。
【0052】
本発明の別の側面によれば、CPB2薬剤と、本明細書に記載の1以上の位置での多型を検査するヒトへ該薬剤を投与するための説明書を含んでなる医薬パックが提供される。
本発明の別の側面は、配列番号2の177位にグリシンを含んでなるヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体;
又は、少なくとも10のアミノ酸を含んでなる、その断片(但し、該断片は、少なくとも1つの対立遺伝子変異体を含む)を提供する。
【0053】
177位のDは、人間とマウスの間で保存されていて、人間とマウスの間で保存されている26アミノ酸配列の一部であり、これが機能的に重要な部位であることを示唆する。DにGを代用することは、保存領域において、より大きな陰電荷アミノ酸の代わりに小さな非電荷アミノ酸を用いることであり、このタンパク質の特性に影響を及ぼすことが予測される。
【0054】
本発明の別の側面によれば、以下の少なくとも1つ:
配列番号2の169位にアラニン;
配列番号2の177位にグリシン;
を含んでなるヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体、又は少なくとも10のアミノ酸を含んでなる、その断片(但し、該断片は、少なくとも1つの対立遺伝子変異体を含む)が提供される。
【0055】
ポリペプチドの断片は、少なくとも10のアミノ酸、より好ましくは少なくとも15のアミノ酸、より好ましくは少なくとも20のアミノ酸である。
本発明の別の側面によれば、本明細書に記載のヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体に特異的な抗体が提供される。
【0056】
抗体は、適切な方法を使用して調製することができる。例えば、精製されたポリペプチドを利用して特異抗体を調製してよい。用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び、例えばF(ab’)2、Fab、及び単鎖Fvのような様々な種類の抗体構築体が含まれることを意味する。抗体は、CPB2の対立遺伝子変異体へ約107M-1以上のKaで結合すれば、特異結合性であると確かめられる。結合のアフィニティーは、慣用の技術、例えば Scatchard et al., Ann. N. Y. Acad. Sci., 51: 660 (1949) により記載のものを使用して定量することができる。
【0057】
ポリクローナル抗体は、多様な供給源、例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、又はラットより、当該技術分野でよく知られた方法を使用して容易に産生することができる。一般に、典型的には非経口注射により宿主動物へ抗原を投与する。抗原の免疫原性は、アジュバント、例えばフロイント完全若しくは不完全アジュバントの使用により増強してよい。追加免疫化に続き、血清の少量試料を採取し、抗原への反応性を検査する。そのような定量に有用な様々なアッセイの例には、「抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」Harlow and Lane(監修)、コールドスプリングハーバーラボラトリー・プレス(1988)に記載のもの;並びに、向流免疫電気泳動(CIEP)、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈降法、酵素結合性免疫吸着剤検定(ELISA)、ドットブロットアッセイ、及びサンドイッチアッセイのような方法が含まれる。米国特許第4,376,110号及び4,486,530号を参照のこと。
【0058】
モノクローナル抗体は、よく知られた方法を使用して容易に調製することができる。例えば、米国特許第RE32,011号、4,902,614号、4,543,439号、及び4,411,993号;「モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物学的分析の新次元(Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses)」プレナム・プレス、Kennett, McKearn, and Bechtol (監修)(1980)に記載の方法を参照のこと。
【0059】
本発明のモノクローナル抗体は、参照により本明細書に援用される、Alting-Mees et al.,「モノクローナル抗体発現ライブラリー:ハイブリドーマに代わる迅速法(Monoclonal Antibody Expression Libraries: A Rapid Alternative to Hybridomas)」Strategies in Molecular Biology 3: 1-9 (1990) により記載される技術のような代替技術を使用して産生することができる。同様に、特異結合抗体をコードする遺伝子の可変領域を取込むための組換えDNA技術を使用して、結合パートナーを構築してよい。こうした技術は、Larrick et al., Biotechnology, 7: 394 (1989) に記載されている。
【0060】
ひとたび単離されて精製されたならば、この抗体を使用して、確立されたアッセイプロトコールを使用して試料中の抗原の存在を検出することができる。例えば、「ELISAの実践ガイド(A Practical Guide to ELISA)」D. M. Kemeny 著、ペルガモン・プレス、オックスフォード、イギリス、を参照のこと。
【0061】
本発明の別の側面によれば、本発明の抗体を含んでなるキットが提供される。
本発明の別の側面によれば、配列番号2に同定される位置に基づいて決定された対立遺伝子変異体アミノ酸の以下の4つの組合せ:
【0062】
【表7】
【0063】
の1つを含んでなるヒトCPB2ポリペプチドが提供される。
本発明の別の側面によれば、上記に記載の対立遺伝子変異体のヒトCPB2ポリペプチドの4つの組合せのいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0064】
参考文献
Eaton, D.L.; Malloy, B. E.; Tsai, S.P.; Henzel, W.; Drayna, D.「新規カルボキシペプチダーゼBのヒト血漿からの単離、分子クローニング、及び部分特性決定(Isolation, molecular cloning, and partial characterization of a novel carboxypeptidase B from human plasma)」J. Biol. Chem. 266, 21833-21838, 1991.
Tsai, S.P.; Drayna, D「ヒト血漿カルボキシペプチダーゼB(CPB2)をコードする遺伝子は第13染色体上に存する(The gene encoding human plasma carboxypeptidase B (CPB2) resides on chromosome 13)」Genomics 14, 549-550, 1992.
Vanhoof, G.; Wauters, J.; Schatteman, K.; Hendriks, D.; Goossens, F.; Bossuyt, P.; Scharpe, S.「ヒトカルボキシペプチダーゼU(CPB2)の遺伝子−プラスミノーゲン活性化の提起された新規制御因子−は、13q14.11にマップされる(The gene for human carboxypeptidase U (CPB2) - a proposed novel regulator of plasmingogen activation - maps to 13q14.11)」Genomics 38: 454-455, 1996.
Bazjar, L.; Morser, J.; Nesheim, E.「TAFI、又は血漿プロカルボキシペプチダーゼBは、トロンビン−トロンボモジュリン複合体を介して凝固及び線溶のカスケードを連結させる(TAFI, or plasma procarboxypeptidase B, couples the coagulation and fibrinolytic cascades through the thrombin - thrombomodulin complex)」J. Biol. Chem. 271, 16603-16608, 1996.
以下、本発明を以下の実施例を参照にして例示するが、本発明はそれに限定されるわけではない。温度はいずれも摂氏(℃)である。
【0065】
以下の実施例において、特に断らなければ、以下の方法論と材料を適用した。
パーキン−エルマー Cetusより入手可能なAMPLITAQTMを熱安定性DNAポリメラーゼの供給源として使用する。
【0066】
全般的な分子生物学の方法は、「分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)」第2版、Sambrook, Fritsch and Maniatis(コールドスプリングハーバーラボラトリー、1989)、又は「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」1〜3巻、F M Asubel, R Brent & R E Kingston(監修)、ジョン・ウィリー出版(1998)に記載の方法のいずれに従ってもよい。
【0067】
電気泳動図は、標準的なやり方で入手した:ABI377データ回収ソフトウェアによりデータを回収し、ABI Prism配列決定解析(2.1.2)により波形を作成した。
【0068】
実施例1
多型の同定
1.1 方法
CPB2のゲノム構造を、ヒトゲノム配列に対するcDNA配列を使用するBLAST解析により決定した。これは11のエクソンを示した。29名の血縁でないヨーロッパ人のゲノムDNA由来の個別エクソンを増幅するために、隣接(flanking)イントロン配列においてプライマーを設計した。このPCRプライマーにM13f若しくはM13r配列のいずれかのタグを付けた。M13f若しくはM13rプライマーを使用する両方向でのダイターミネーター配列決定法により個々のPCR産物を配列決定した。
【0069】
1.2 結果
【0070】
【表8】
【0071】
177位のDは、人間とマウスの間で保存されていて、人間とマウスの間で保存されている26アミノ酸配列の一部であり、これが機能的に重要な部位であることを示唆する。DにGを代用することは、より大きな陰電荷アミノ酸の代わりに小さな非電荷アミノ酸を用いることであり、このタンパク質の特性に影響を及ぼすことが予測される。
【0072】
この分析により、TSC SNP TSC0985620が、1059位でCの代わりにTを用いることでアミノ酸変化thr347ileをもたらす、真の多型であることが確かめられた。40名のヨーロッパ人におけるT対立遺伝子の頻度は78%であった。
【0073】
実施例2
ハプロタイプ
310、524、682、697、772、及び1059位での多型は、6つの共通ハプロタイプとして遺伝される。
【0074】
【表9】
【0075】
これらのハプロタイプは、CPB2タンパク質の4つの共通型があることを示す:Thr169/thr347(50%)、ala169/thr347(21%)、thr169/ile347(19%)、及びala169/ile347(10%)。
Claims (12)
- ヒトにおけるCPB2中の多型の検出の方法であって、以下の多型位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、549、682、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の177位
の少なくとも1つでヒトの配列を決定することを含む、前記方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の方法の、CPB2薬剤の薬理遺伝学(pharmacogenetics)を評価するための使用。
- 請求項1に記載の多型を検出することができるヌクレオチドプライマー。
- 請求項1に記載のCPB2遺伝子多型を検出することが可能な対立遺伝子特異的プライマー。
- 請求項1に記載のCPB2多型の、連鎖試験における遺伝マーカーとしての使用。
- CPB2薬剤を用いる治療の必要なヒトを治療する方法であって:
i)ヒトにおけるCPB2中の多型を検出し、該検出は、以下の位置:
配列番号1の位置により規定されるCPB2ポリヌクレオチド中の310、549、682、及び772位;並びに
配列番号2の位置により規定されるCPB2ポリペプチド中の177位
の1以上でヒトの配列を決定すること;及び
CPB2中の多型への参照によりヒトの状態(status)を決定することを含み;並びに
ii)該薬剤の有効量を投与すること
を含む、前記方法。 - 配列番号2の177位にグリシンを含んでなるヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体;
又は、少なくとも10のアミノ酸を含んでなる、その断片(但し、該断片は、少なくとも1つの対立遺伝子変異体を含む)。 - 請求項11に記載のヒトCPB2ポリペプチドの対立遺伝子変異体に特異的な抗体。
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