JP2004534770A - 空気供給および代替的HCl処理方法を用いたエタンおよびエチレンからの塩化ビニルの製造方法 - Google Patents

空気供給および代替的HCl処理方法を用いたエタンおよびエチレンからの塩化ビニルの製造方法 Download PDF

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Abstract

1つの態様において、エタン/エチレンから塩化ビニルの製造方法であって、(a)エタン、エチレンまたはこれらの混合物を含む反応物を、該C2炭化水素供給物の実質的に全てを転化するために、かつ塩化ビニルおよび塩化水素を含む生成物ストリームを発生するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、酸素源および塩素源と混ぜ合わせる工程、および(b)未反応の塩化水素を工程(a)での使用のために戻すようにリサイクルする工程を含む方法。このプロセスではC2炭化水素リサイクルは必要とされない。他の態様において、塩化ビニルの製造方法であって、(a)エタン、任意的エチレン、酸素源および塩素源を、塩化ビニルおよび塩化水素を生成するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、混ぜ合わせる工程と、(b)前記塩化水素を第2の反応器内で触媒的に反応させて、塩化水素を本質的に欠如した第2反応器排出物を与える工程と、(c)前記第2反応器排出物を工程(a)にリサイクルする工程を含む方法。任意的に、この第2方法は、C2炭化水素を消滅させるまで反応させる条件の下で行い、それによりC2炭化水素リサイクルの必要性を排除し得る。何れの方法も、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンを二塩化エチレンに転化する水素化ユニットを含んでよい。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はエタンおよびエチレンから塩化ビニルモノマーを製造する装置および方法(process)に関する。特に、本発明は(1)関連反応器への入力ストリーム中でエタン濃度が大きいとともに、(2)代替的な塩化水素処理方法に対する考慮がなされている、塩化ビニルモノマー(VCM)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニルは現代商取引で鍵となる材料であり、今日実施されている大抵のプロセスは1,2−ジクロロエタン(EDC)から塩化ビニルを誘導するものであり、EDCはエチレンから最初に誘導される;このため、少なくとも3操作の全体系(最初の炭化水素から主に熱分解によりエチレンへ;エチレンからEDCへ;そして次にEDCから塩化ビニルへ)が用いられる。最初にエチレンを製造および精製することを必要とすることなく、最初の炭化水素から塩化ビニルをより直接的かつ経済的に誘導するアプローチに向かって動くことに産業界において固有の長い間の切実な必要性があり、この見通しに関連する固有の経済的な利点が開発のかなりの量を刺激してきた。
【0003】
第1の一般的開発領域として、塩化ビニル製造に携わる会社にとっての関心事はエタンからビニルの製造であり、その主題に関するかなりの量の文献が現在利用可能である。本願の開示に係る新たな開発で示される具体化に関連する鍵となる研究について以下の段落で概説する。
【0004】
1966年8月17日に発行された「エタンから塩化ビニルへの触媒による転化」と題された英国特許第1,039,369号は、エタンから塩化ビニルの製造におけるランタン系を含む多価金属の使用を記載している。この特許は、「スチーム、利用可能な塩素および塩素が制御された特定の比で使用される」ことを条件とする、ある特定の触媒の使用について記載している。記載されているシステムは500〜750℃の温度で操作される。記載されている技術において利用可能な塩素は任意的に1,2−ジクロロエタンを含む。
【0005】
ジョン・リン・バークレー(John Lynn Barclay)に対し1977年11月23日に発行された「塩化ビニルの製造プロセス」と題された英国特許第1,492,945号は、銅系エタン−ビニル触媒においてランタンを使用する塩化ビニルの製造プロセスを開示している。その著者は操作に必要とされる上昇した温度での銅の揮発性を有利に変更するためにランタンが存在することを記載している。実施例では関連反応において過剰な塩化水素の利点を示している。
【0006】
デビッド・ロジャー・パイク(David Roger Pyke)およびロバート・レイド(Robert Reid)に対し1982年9月29日に発行された「アルカン類のオキシ塩素化によるモノクロロオレフィン類の調製」と題された英国特許第2,095,242号は、「金属銀および/またはその化合物ならびにマンガン、コバルトまたはニッケルの1種以上の化合物を含む触媒の存在下で、アルカン、塩素源および分子状酸素を含むガス状混合物を上昇した温度において反応させることを含む、一塩素化オレフィン類の製造プロセス」を記載している。その著者はエタンおよびエチレンの混合物を触媒に供給し得ることを示している。しかし、何ら実施例が与えられておらず、またエタン/エチレン混合物の特定の利点が開示されていない。
【0007】
ロバート・レイド(Robert Reid)およびデビッド・パイク(David Pyke)に対し1983年1月19日に発行された「アルカン類から一塩素化オレフィン類へのオキシ塩素化」と題された英国特許第2,101,596号は、「銅、マンガンおよびチタンの化合物を含む触媒の存在下で、アルカン、塩素源および分子状酸素を含むガス状混合物を上昇した温度において反応させることを含み、エタンから塩化ビニルの製造に有用である、一塩素化オレフィン類の製造プロセス」を記載している。その著者は更に「反応の生成物は、一実施形態において、分離され、それ自体で使用されるか、又は、一実施形態において、・・・反応器に・・・リサイクルされて、一塩素化オレフィン類の収率を増大させる」ことを記載している。著者はエタンおよびエチレンの混合物を触媒に供給し得ることを示している。しかし、何ら実施例が与えられておらず、またエタン/エチレン混合物の特定の利点が開示されていない。
【0008】
ウイリアム キュー.ベアード,ジュニア(William Q. Beard, Jr.)に対し1971年12月21日に発行された「ハロゲン化炭化水素類」と題された米国特許第3,629,354号は、塩化水素および酸素の存在下でエタンから塩化ビニルの製造およびエチレンの同時製造プロセスを記載している。好ましい触媒は担持された銅または鉄である。この特許の実施例は、反応においてエタンに対して過剰の塩化水素(HCl)を示している。1エチレン/4塩化水素の比が使用されて、38.4%エチレン(その製造のためにはHClを必要としない)および27.9%塩化ビニル(その製造のためには塩化ビニルのモル当たり1モルだけのHClを必要とする)を含有するストリームが生じる。
【0009】
ウイリアム キュー.ベアード,ジュニア(William Q. Beard, Jr.)に対し1972年4月25日に発行された「流動化触媒によるエタン、ハロゲンおよびハロゲン化水素ハロゲン化炭化水素類」と題された米国特許第3,658,933号は、オキシ脱水素(oxydehydrogenation)反応器、オキシハロゲン化(oxyhalogenation)反応器および脱ハロゲン化水素(dehydrohalogenation)反応器を組み合わせた3反応器系におけるハロゲン化ビニルの製造プロセスを記載している。その著者は、ハロゲンおよびハロゲン化水素の両方の添加によって、場合により、エタンの(オキシ)ハロ脱水素((oxy)halodehydrogenation)が増大することを示している。米国特許第3,629,354号に記載されるように、生成するエチレンは従来のオキシハロゲン化(オキシ塩素化)および分解(cracking)によりVCMを生じさせる。分解操作で生じるHClはハロ脱水素反応器に戻される。
【0010】
ウイリアム キュー.ベアード,ジュニア(William Q. Beard, Jr.)に対し1972年4月25日に発行された「流動化希土類触媒によるエタンおよびハロゲンからのエチレン」と題された米国特許第3,658,934号、およびウイリアム キュー.ベアード,ジュニア(William Q. Beard, Jr.)に対し1972年11月7日に発行された「ハロ脱水素触媒」と題された米国特許第3,702,311号は共に、ハロ脱水素反応器、オキシハロゲン化反応器および脱ハロゲン化水素反応器を組み合わせた3反応器システムにおけるハロゲン化ビニルの製造プロセスを記載している。その著者は、従来の熱分解による後続のVCMの製造とともにオキシハロゲン化(オキシ塩素化)による後続のEDCへの転化のためにエチレンを生成するエタンのハロ脱水素を記載している。分解操作で生じるHClは、米国特許第3,658,934号ではオキシハロゲン化反応器に戻され、また米国特許第3,702,311号ではハロ脱水素反応器に戻される。後者の特許では、所望生成物の収率を増大させるために、HClおよびCl2 の両方としての全塩素の過剰による利点が示されている。
【0011】
ウイリアム キュー.ベアード,ジュニア(William Q. Beard, Jr.)に対し1972年2月22日に発行された「エタンのオキシ脱ハロゲン化」と題された米国特許第3,644,561号、およびウイリアム キュー.ベアード,ジュニア(William Q. Beard, Jr.)に対し1973年10月30日に発行された「エタンのオキシ脱ハロゲン化」と題された米国特許第3,769,362号は、過剰量のハロゲン化水素の存在下でエタンからエチレンへのオキシ脱ハロゲン化プロセスを記載している。該特許は、希土類の銅または鉄ハロゲン化物に対する比が1:1よりも大きくした希土類ハロゲン化物で更に安定化された銅または鉄ハロゲン化物の触媒を記載している。該特許は、HClが反応中に消費されない、エタン供給物のモル量に対して実質的に過剰のHClの使用を記載している。
【0012】
ロニー ディ.ゴードン(Ronnie D. Gordon)およびチャールズ エム.スタークス(Charles M. Starks)に対し1977年9月6日に発行された「1,2−ジクロロエタンの製造プロセス」と題された米国特許第4,046,823号は、気相中で銅含有触媒上でエタンおよび塩素を反応させるEDCの製造プロセスを記載している。
【0013】
アンジェロ ジョセフ マジストロ(Angelo Joseph Magistro)に対し1978年7月11日に発行された「エタンからのエチレンおよび塩化ビニルの調製プロセス」と題された米国特許第4,100,211号は、エタンをエチレンおよび塩化ビニルの両方の混合物に反応させるプロセス用の鉄触媒の再生を記載している。この特許は、塩素源がエタンのモル当たり0.1モル〜10モル存在することを記載している。一般に、塩化水素のエタンに対する比が増大するにつれて、エチレンの収率が減少すると同時に、塩化ビニルおよび他の塩素化生成物の収率が増大する。
【0014】
タオ ピー.リー(Tao P. Li)に対し1981年11月10日に発行された「塩化ビニルの調製」と題された米国特許第4,300,005号は、過剰HCl存在下でのVCM製造用の銅系触媒を示唆している。
【0015】
ジョン E.スタウファーに対し1992年3月17日に発行された米国特許第5,097,083号は、エタンからVCMへのプロセスにおける塩素源としてクロロカーボン類を記載している。この特許は、後続のビニルの製造において使用するためのHClを捕獲するためにクロロハイドロカーボン類を使用し得る方法を記載している。
【0016】
EVC社はエタンからビニルの技術に積極的であり、以下の4件の特許が開発におけるその努力により得られている。
【0017】
レイ ハードマン(Ray Hardman)およびイアン マイケル クレッグ(Ian Michael Clegg)に対し1998年1月14日に発行された「オキシ塩素化触媒」と題された欧州特許第667,845号は、エタンからビニルへの触媒用の安定化パッケージを備えた銅系触媒を記載している。この触媒は以下の3件の米国特許に記載されている更なる技術に関連するものと思われる。
【0018】
イアン マイケル クレッグ(Ian Michael Clegg)およびレイ ハードマン(Ray Hardman)に対し1997年9月2日に発行された「オキシ塩素化プロセスにおける副生成物リサイクル」と題された米国特許第5,663,465号は、適当な触媒を有するオキシ塩素化反応器内でエタンおよび塩素源を混ぜ合わせ;その副生成物を該オキシ塩素化反応器にリサイクルし;塩素化された不飽和炭化水素副生成物を水素化工程で処理して、それらの飽和化合物に転化し、それらを該反応器に戻し;そしてエチレン副生成物をリサイクル用の1,2−ジクロロエタンに塩素化する、エタンからVCMへの触媒による転化を記載している。
【0019】
イアン マイケル クレッグ(Ian Michael Clegg)およびレイ ハードマン(Ray Hardman)に対し1998年3月17日に発行された「塩化ビニル製造プロセス」と題された米国特許第5,728,905号は、銅触媒を用いる過剰HClの存在下でのエタンからビニルの製造を論じている。該特許は、銅およびアルカリ金属含有触媒の存在下でのエタン、酸素源および塩素源の間での触媒によるオキシ塩素化プロセスを記載している。HClは塩素過剰という化学量論的要件でオキシ塩素化反応器に供給される。
【0020】
イアン マイケル クレッグ(Ian Michael Clegg)およびレイ ハードマン(Ray Hardman)に対し1998年6月9日に発行された「オキシ塩素化プロセス」と題された米国特許第5,763,710号は、オキシ塩素化反応器内でオキシ塩素化触媒の存在下でエタンおよび塩素源を混ぜ合わせること(反応条件は過剰のHClを維持するように選択される);VCM生成物を分離すること;および副生成物を該反応器にリサイクルすることによる、エタンからVCMへの触媒による塩素化を論じている。
【0021】
ここで、エチレンから塩化ビニルの誘導の技術に移ると、VCMの製造のための最も商業的なプロセスは、鍵となる原材料としてエチレンおよび塩素を使用することである。直接塩素化反応器内で触媒を含有する1,2−ジクロロエタン液中でエチレンを塩素と接触させる。次に1,2−ジクロロエタンが上昇した温度で分解してVCMおよび塩化水素(HCl)を生じる。生成したHClは次にオキシ塩素化反応器に供給され、そこでHClがエチレンおよび酸素と反応して更に1,2−ジクロロエタンを生じる。この1,2−ジクロロエタンは熱分解にも供給され、VCMを生じる。このようなプロセスは、アンジェロ ジェイ.マジストロ(Angelo J. Magistro)に対し1993年5月11日に発行された「エタンからのエチレンの調製のための触媒組成物およびプロセス」と題された米国特許第5,210,358号に記載されている。
【0022】
最も現在使用される商業的プロセスである上記3単位操作(直接塩素化、オキシ塩素化および熱分解)は、一実施形態において追加の塩素源(HCl)もこれらの拡張プラントシステムに導入されるが、「釣り合った(balanced)」EDCプラントとしての組合せで頻繁に参照される。この「釣り合った」プラントの正味の化学量論は次の通りである。
4C24 + 2Cl2 + O2 → 4C23Cl + 2H2
【0023】
エチレンのコストは、VCMの製造全コストの実質的な割合を表わし、製造するには高価な資産を必要とする。エタンはエチレンよりも廉価であり、それ故にエタンからVCMの製造は、第一に精製および分離されたエチレンから製造する場合のVCMの製造コストと比べて、VCMの製造コストを合理的に低下させる。
【0024】
エチレン、酸素および塩化水素から1,2−ジクロロエタンへの転化をオキシ塩素化ということが一般的である。エチレンのオキシ塩素化による1,2−ジクロロエタンの製造用の触媒は、数多くの共通の特徴を共有する。この化学を行うことができる触媒は、修飾ディーコン(modified Deacon)触媒として分類されている[Olah, G.A., Molnar, A., Hydrocarbon Chemistry, John Wiley & Sons (New York, 1995),第 226頁]。ディーコン化学とは、ディーコン反応、すなわちHClの酸化により元素状塩素および水を生じることをいう。他の著者は、オキシ塩素化は塩素化のためのHClの利用であること、およびHClがディーコンプロセスにより酸化的にCl2 に転化されることを提案している[Selective Oxychlorination of Hydrocarbons: A Critical Associates, inc., Study 4164A, 1982年10月, 第 1頁]。遊離塩素(Cl2 )を生成するオキシ塩素化触媒の能力は、従って該触媒を規定する。実際に、アルカン類のオキシ塩素化が系内の遊離塩素の生成と関連付けられてきた[Selective Oxychlorination of Hydrocarbons: A Critical Associates, inc., Study 4164A, 1982年10月, 第21頁およびその参考文献]。これらの触媒は1つよりも多くの安定な酸化状態をとることができる担持された金属、例えば銅および鉄を用いる。従来の技術では、オキシ塩素化はHClまたは他の還元された塩素源からエチレンへの2個の塩素原子の酸化的付加である。
【0025】
エタンからビニルの製造は、遊離の塩素を生成可能な触媒が存在することを条件として、オキシ塩素化により進行することができる。このような触媒は、低温において、エチレンを1,2−ジクロロエタンに転化することになる。高温においては、1,2−ジクロロエタンが熱分解するように処理されて、HClおよび塩化ビニルを生じることになる。オキシ塩素化触媒はオレフィン系物質を更なる高クロロカーボンに塩素化する。従って、エチレンが1,2−ジクロロエタンに転化されるように、塩化ビニルが1,1,2−トリクロロエタンに転化される。オキシ塩素化触媒を用いるプロセスは、本来、高塩素化副生成物を生成する。このことは、用いられるオキシ塩素化触媒上で高レベルの多塩素化副生成物が生成することを示す、EVCへの特許(欧州特許第667,845号、米国特許第5,663,465号、米国特許第5,728,905号および米国特許第5,763,710号)において検討されている。上記のことを考慮して、VCMを生成するためのエタンの使用に関する多数の概念が明確に前に述べられている。最も頻繁に用いられる触媒は、エチレンのオキシ塩素化を行うために要求される温度(<275℃)よりも充分に高い温度(>400℃)で操作される修飾ディーコン触媒である。エタンからVCMの製造に用いられる触媒は、英国特許第1,492,945号;英国特許第2,101,596号;米国特許第3,644,561号;米国特許第4,300,005号;および米国特許第5,728,905号に記載され検討されているように、第一列遷移金属の移行(transition)に対して頻繁に安定化される。
【0026】
エタンからVCMへのプロセスにおける塩素源としてのクロロカーボンの使用は、英国特許第1,039,369号;英国特許第2,101,596号;米国特許第5,097,083号;米国特許第5,663,465号;および米国特許第5,763,710号に開示されている。英国特許第1,039,369号は、水が反応器システムに供給されることを必要とする。英国特許第2,101,596号は、銅触媒に特異的である。米国特許第5,663,465号は、VCM反応器にフィードバックする前に、エチレンをEDCに転化するための直接塩素化工程を使用するプロセスを記載している。
【0027】
英国特許第2,095,242号における比較的定性的な言及にもかかわらず、エチレンからビニルへのプロセスにおける近年の他の開発が、国際特許出願公開番号WO01/38273号として2001年5月31日に公表された、国際出願番号PCT/US00/27272号として2000年10月3日に出願された、「エチレンから塩化ビニルへの転化プロセスおよび該プロセスに有用な新規触媒組成物」と題されたマーク イー.ジョーンズ(Mark E. Jones)、マイケル エム.オルケン(Michael M. Olken)およびダニエル エー.ヒックマン(Daniel A. Hickman)に対するダウ・ケース番号44649号で概説されている。この出願の触媒は、エタンおよびエチレンの両方のかなりの量を塩化ビニルモノマーに反応させる有用性を実証し、それにより塩化ビニル製造プロセスにおける新たなアプローチを切り開くものである。しかしながら、その触媒作用は反応生成物中に塩化水素を生じさせる。この点に関し、プロセスにおける塩化水素(および関連する塩酸)の取扱いが、エタンおよびエチレンの両方を塩化ビニルモノマーに転化できる触媒系を使用するときに解決すべき鍵となる問題である。塩化ビニル設備構築を考えると、既存の設備の幾つかが塩化水素を取り扱う能力を有するが他の既存の設備が塩化水素を取り扱う能力を有しない場合に、できる限り多くの前設備(prior equipment)の使用を可能とする必要性がある。
【発明の開示】
【0028】
本発明は、エタン/エチレン−ビニル反応器より生成した塩化水素を、エタン/エチレン−ビニル反応工程もしくは段階の後の第1単位操作における反応器排出物から本質的に完全に回収することにより、エタン/エチレン−ビニル反応器より生成した塩化水素を取り扱うための装置および方法を提供することによって、上記の必要性を満たすための具体化を提供する。
【0029】
1つの態様において、本発明は、塩化ビニルの製造方法であって、(a)エタン、エチレンまたはこれらの混合物を含む反応物を、該C2炭化水素供給物の実質的に全てを転化するために、かつ塩化ビニルおよび塩化水素を含む生成物ストリームを発生するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、酸素源および塩素源と混ぜ合わせる工程、および(b)未反応の塩化水素を前記混ぜ合わせ工程での使用のために戻すようにリサイクルする工程を含む方法を提供する。この方法は酸素源として空気を用いて行うことができる。本発明の追加的な構成および利点は、発明の詳細な説明および図面を読むことにより更に充分に明らかになる。
【0030】
他の態様において、本発明は、塩化ビニルの製造方法であって、(a)エタンおよび任意的エチレンを、塩化ビニルおよび塩化水素を生成するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、酸素源および塩素源と混ぜ合わせる工程と、(b)前記塩化水素の本質的に全てを第2の反応器内で触媒により反応させて、塩化水素が本質的に欠如した第2反応器排出物を与える工程と、(c)前記第2反応器排出物をリサイクルして、前記混ぜ合わせ工程における前記エタン、前記任意的エチレン、前記酸素源および前記塩素源と一緒に触媒により反応させる工程を含む方法を提供する。本発明の第2態様の追加的な構成および利点は、発明の詳細な説明および図面を読むことにより更に充分に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本明細書の背景技術の議論で留意したように、オキシ塩素化は、従来から、HClまたは他の還元された塩素源からエチレンへの2個の塩素原子の酸化的付加をいう。この化学を行うことができる触媒は修飾ディーコン触媒として分類されている[Olah, G.A., Molnar, A., Hydrocarbon Chemistry, John Wiley & Sons (New York, 1995), 226頁]。ディーコン化学とは、ディーコン反応、すなわちHClの酸化により元素状の塩素および水を生じることをいう。
【0032】
オキシ塩素化に対して、本明細書に記載されている好ましいプロセスは、好ましくはエタン含有およびエチレン含有ストリームを高い選択性でVCMに転化する際にオキシ脱水素・塩素化(oxydehydro-chlorination)を利用する。オキシ脱水素・塩素化は、酸素および塩素源を用いて炭化水素を塩素化炭化水素に転化することをいい、ここで炭素はその当初の価数を維持するか又はその価数が減少している(すなわち、sp3 炭素はsp3 のままであるか又はsp2 に転化され、そしてsp2 炭素はsp2 のままであるか又はspに転化される)。このことは、酸素および塩素源を用いてエチレンが1,2−ジクロロエタンに転化され、炭素の価数の正味の増加を伴う(すなわち、sp2 炭素はsp3 炭素に転化される)オキシ塩素化の従来の定義とは異なる。エチレンを塩化ビニルに転化する該触媒の能力を考えると、オキシ脱水素・塩素化反応プロセスにおいて生成するエチレンを反応器に戻すようにリサイクルすることが有利である。オキシ脱水素・塩素化反応器において生成する副生成物には、塩化エチル、1,2−ジクロロエタン、シス−1,2−ジクロロエチレンおよびトランス−1,2−ジクロロエチレンが含まれる。オキシ脱水素・塩素化触媒は、飽和クロロハイドロカーボンからHClの脱離のための活性な触媒でもある。塩化エチルおよび1,2−ジクロロエタンのリサイクルが、場合によって、塩化ビニルの生成に有利に使用される。残りの重要な塩素化有機副生成物はジクロロエチレンである。この物質は、一実施形態では、水素化されて1,2−ジクロロエタンを生じる。1,2−ジクロロエタンは大量の化学品であり、販売されるか又はリサイクルされる。代替的実施形態では、EDCが完全に水素化されてエタンおよび塩化水素を生じる。中間程度の水素化は1,2−ジクロロエタン、エタン、塩化エチルおよびHClの混合物を生じ;そのような混合物もオキシ脱水素・塩素化反応器へのリサイクルのために適当である。
【0033】
1態様において、本発明は、(a)エタン、エチレンまたはこれらの混合物を含む反応物を、該C2炭化水素供給物の実質的に全てを転化するために、かつ塩化ビニルおよび塩化水素を含む生成物ストリームを発生するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、酸素源および塩素源と混ぜ合わせる工程;および(b)未反応の塩化水素を前記混ぜ合わせ工程での使用のために戻すようにリサイクルする工程を含む、塩化ビニルの製造プロセスを提供する。本発明の目的のために、「C2炭化水素供給物の実質的に全てを転化するために・・・充分な条件の下」という語句は、C2炭化水素供給物(エタン、エチレンまたはこれらの混合物)の約95モル%よりも多く、好ましくは約97モル%よりも多くが生成物に転化されることを意味するものとする。従って、未転化のC2炭化水素は、工程(a)の反応器の排出物から得られる非縮合性の軽量物(lights)ストリームの約5モル%以下、好ましくは約3モル%以下で含まれるものとする。好ましくは、これらの条件下で、残留未転化C2炭化水素(もしそれが存在するとしても)は回収される必要が無く;それ故に工程(a)の反応器に戻るC2リサイクルサブシステム(下位系統)は当該プロセスから好ましく削除される。この発明のプロセスは、以下で詳細に説明するように、酸素源として空気を用いて操作することができる。本発明の更なる詳細は、以下の説明およびこれに関連する図面、特に図5、図5aおよび図5bに記載される。
【0034】
本発明に係る上記第1態様の他の実施形態において、生成物ストリームはシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンを含み、これが水素化反応器内で水素により水素化されて1,2−ジクロロエタン(EDC)を生成し、これ自体が、少なくとも部分的に、工程(a)のオキシ脱水素・塩素化反応器にリサイクルされる。
【0035】
他の態様において、本発明は(a)エタン、任意的エチレン、酸素源および塩素源を含む反応物を、塩化ビニルおよび塩化水素を生成するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、混ぜ合わせる工程と、(b)前記塩化水素の本質的に全てを第2の反応器内で触媒により反応させて、塩化水素が本質的に欠如した第2反応器排出物を与える工程と、(c)前記第2反応器排出物をリサイクルして、前記混ぜ合わせ工程で前記エタン、前記任意的エチレン、前記酸素源および前記塩素源と一緒に触媒により反応させる工程を含む、塩化ビニルの製造プロセスを提供する。本発明の目的のために、「塩化水素が本質的に欠如した」という語句は、未転化塩化水素(たとえそれが存在するとしても)が回収可能な濃度よりも下回るように、塩化水素の本質的に全てが工程(b)で消費されることを意味するものとする。本発明に係る上記第2態様の追加的な特徴および利点は、以下に記載され、各図、特に図6、図6a〜図6c、図7および図7a〜図7cで例示される。
【0036】
本発明の上記第2態様の好ましい実施形態において、工程(a)のオキシ脱水素・塩素化排出物ストリームから回収された塩化水素は、酸素および塩化水素の存在下でエチレンを二塩化エチレンに転化するための慣用のオキシ塩素化反応器、例えば従来技術の典型的なもので使用され、この二塩化エチレン自体が工程(a)の第1のオキシ脱水素・塩素化反応器にリサイクルされる。
【0037】
本発明の上記第2態様の他の好ましい実施形態において、工程(a)のオキシ脱水素・塩素化排出物ストリームから回収された塩化水素は、液相水性オキシ塩素化プロセスで使用され、ここで酸素および塩化水素の存在下でエチレンが二塩化エチレンに転化され、この二塩化エチレン自体が第1のオキシ脱水素・塩素化反応器(a)にリサイクルされる。
【0038】
本発明に係る上記第2態様の更に他の好ましい実施形態において、酸素源は空気であり、工程(a)で供給されるC2炭化水素(すなわち、エタンおよび任意的にエチレン)は本質的に消失するまで反応され、すなわち、供給されるC2炭化水素の約95モル%よりも多く、好ましくは約97モル%よりも多くが生成物に転化される。より好ましくは、この実施形態において、第1のオキシ脱水素・塩素化反応器に戻すようにリサイクルするための回収可能な未転化C2出発炭化水素は本質的に存在しない。従って、より好ましくは、C2炭化水素回収システムの必要性がない。
【0039】
本発明に係る上記第2態様の更に他の好ましい実施形態において、生成物ストリームはシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンを含み、これが水素化反応器内で水素により1,2−ジクロロエタン(EDC)に水素化され、これ自体が、少なくとも部分的に、オキシ脱水素・塩素化反応器にリサイクルされる。
【0040】
ここで、先の諸公報から最もよく理解されるようなエタンからビニルへの転化について図1を考慮すると、エタンからVCMへのプロセス100は、エタンをVCMに転化できる触媒を用いた企図されるエタンから塩化ビニルへのプロセスの特徴を示し;これに関して、該プロセスはリサイクルストリームまたは供給ストリームからエタン−VCM反応器(エタン反応器102)へのエチレンの有意量の入力を与えない。また、通常の適切な製造スケールのエタンからビニルの製造システムが、発明者らの最良の知識まで構築されておらず、提案されるプロセスのアプローチは従前から概念化されていた実施形態のための源のみである。これに関して、プロセス100は、それぞれEVC社での研究および開発に対する幾つかの公表:塩化ビニル/二塩化エチレン 94/95−5(1998年8月;Chemical Systems, Inc.;Tarrytown, New York) ;欧州特許第667,845号;米国特許第5,663,465号;米国特許第5,728,905号;および米国特許第5,763,710号において集合的に検討されたプロセスに対し、統一され単純化された近似である。
【0041】
図1に示す詳細を考慮すると、エタン反応器102は流体ストリームをクエンチカラム(Quench Column)106に出力し、そこでHClが反応器出力排出物からクエンチされる。クエンチカラム106は未加工(raw)の強HCl水性ストリームを相分離サブシステム108に送る。相分離サブシステム108は流体ストリームを無水HCl回収サブシステム110に出力し、そこで水性塩化水素(塩酸)、無水HClおよび水が該未加工の強HCl水性ストリームから分離される。
【0042】
無水HCl回収サブシステム110はストリーム130を出力して無水塩化水素をエタン反応器102にリサイクルし、さらに無水HCl回収サブシステム110は(後続の使用のため又は廃棄物回収に)水も出力する。無水HCl回収サブシステム110はHClの比較的希薄な水性ストリームをストリーム128によりクエンチカラム106に戻す。クエンチカラム106は流体ストリームを軽量物(lights)カラムにも出力し、そこでエチレンを含有する軽量物ストリームが該反応器排出物生成物ストリームから更に回収される。
【0043】
軽量物カラム114は軽量物ストリームを直接塩素化反応器112に出力し、そこで塩素(ストリーム126)が加えられて、軽量物ストリーム中のエチレンをEDC(1,2−ジクロロエタン)に直接塩素化する。EDCはエタン反応器102へのリサイクルのためにEDC回収カラム116内で回収され、残留ガスのある一定量がエタン反応器102にストリーム134として回収され、そしてCO(一酸化炭素)組成計測器が、CO、CO2 および当該システムからの他の不純物の除去用にベントストリームを発生するためベント酸化ユニット118により処理するための残留軽量物ガスの適切な部分を制御システム(図示せず)が決定する際に使用する測定(図示せず)を与える。
【0044】
直接塩素化反応器112に進まない軽量物カラム114からの排出物は、(a)先ず、水の除去のために乾燥サブシステム120に;(b)更に、VCM(塩化ビニルモノマー)生成物の分離のためにVCM精製カラム122に;次に(c)更に、重量物(heavies)の除去およびストリーム132の発生のために重量物カラム124に送られる。ストリーム132はシス−1,2−ジクロロエチレンおよびトランス−1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、塩化エチルおよび他の塩素化有機物のブレンド流体である。文献の考慮に基づく代替的な企図される実施形態において、乾燥サブシステム120は軽量物カラム114に先立って水を除去し、軽量物カラム114からのVCM運搬排出物は(a)先ず、VCM(塩化ビニルモノマー)生成物の分離のためにVCM精製カラム122に、次に(b)更に、重量物の除去およびストリーム132の発生のために重量物カラム124に送られる。
【0045】
最後に、ストリーム132がRCl(塩素化有機物)水素化反応器104に送られ、そこで水素添加により、エタン反応器102に送るためのリサイクルストリームを生じる。
【0046】
ここで、図2、図3および図4を考慮すると、酸素源および塩素源と共にエタン、エチレンまたはそれらの混合物を1工程プロセスで塩化ビニルモノマー(VCM)に転化する様々な実施形態が与えられる。図1の従来技術のプロセスとは対照的に、図2、図3および図4は、以下に述べるように、典型的には好ましい希土類触媒を使用することにより、エタンからエチレンへの分解器の必要性を排除する1工程プロセスを例示する。更に、図2、図3および図4は典型的には、未転化炭化水素供給物(エタンおよび/またはエチレン)が回収およびリサイクルされる「燃料豊富」(fuel-rich)体制で操作する。更に、生成物ストリーム中に存在するHClは、図2のプロセスでは回収およびリサイクルされるか、あるいは、図3および図4のプロセスでは消失するまで又はほぼ消失するまで反応される。本明細書に記載された本発明は、図2、図3および図4で例示された一般化された1工程プロセスに対する改良を提供する。従って、図2、図3および図4のプロセスの実施形態を以下で詳細に説明する。
【0047】
エタンからVCMへのオキシ脱水素・塩素化プロセス200は、エタンおよびエチレンをオキシ脱水素・塩素化によりVCMに転化できる触媒を用いたエタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスを示す;これに関して、該プロセスはリサイクルストリームまたは供給ストリームから反応器(エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202)へのエタンおよびエチレンの両方の有意量の入力を与える。エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202は、(a)供給ストリーム群であるエタン供給ストリーム222、HCl供給ストリーム224、酸素供給ストリーム226および塩素供給ストリーム228から、および(b)リサイクルストリーム群である塩化エチルストリーム230、塩化水素(HCl)ストリーム266および軽量物リサイクルストリーム248、ならびに製造の特定の時点での市場および操作の条件に従ってEDCがリサイクルのために有利に使用される場合のEDCストリームの一部分からの入力を受ける。
【0048】
ダウケミカル社の国際出願番号PCT/US00/27272号(WO01/38273号として2001年5月31日に公表)として2000年10月3日に出願された、「エチレンから塩化ビニルへの転化プロセスおよび該プロセスに有用な新規触媒組成物」と題されたマーク イー.ジョーンズ(Mark E. Jones)、マイケル エム.オルケン(Michael M. Olken)およびダニエル エー.ヒックマン(Daniel A. Hickman)に対するダウ・ケース番号44649号で熟考されるように、エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素反応器202で用いられる触媒は、少なくとも1種の希土類物質を含む。希土類は、スカンジウム(原子番号21)、イットリウム(原子番号39)およびランタノイド(原子番号57〜71)から成る17元素の群である[James B. Hedrick, U.S. Geological Survey - Minerals Information - 1997, "Rare-Earth Metals" ]。該触媒は、多孔質バルク物質として供給でき又は適当な担体上で担持できる。好ましい希土類物質は、ランタン、セリウム、ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、サマリウム、イットリウム、ガドリニウム、エルビウム、イッテルビウム、ホルミウム、テルビウム、ユウロピウム、ツリウムおよびルテチウムをベースとするものである。上記VCMプロセスで使用するために最も好ましい希土類物質は、それらの希土類元素であって単一価数(single valency)物質として通常考えられるものをベースとする。複数価数物質の触媒性能は単一価数物質のものよりも望ましくないと思われる。例えば、セリウムは3+ および4+ の両方の安定な酸化状態をとる能力を有する酸化還元触媒であることが知られている。このことは、希土類物質がセリウムをベースとする場合に、該触媒がセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素を更に含む理由である。好ましくは、該触媒で用いられる希土類の1種がセリウムである場合には、セリウムは該触媒中に存在する他の希土類の合計量よりも少ないモル比で与えられる。しかしながら、より好ましくは、該触媒中にセリウムが実質的に存在しない。「セリウムが実質的に存在しない」とは、セリウムが希土類成分の33原子パーセントよりも少ない、好ましくは20原子パーセントよりも少ない、そして最も好ましくは10原子パーセントよりも少ないことを意味する。
【0049】
該触媒用の希土類物質は、より好ましくは、ランタン、ネオジム、プラセオジムまたはこれらの混合物をベースとする。最も好ましくは、該触媒で用いられる希土類の少なくとも1種がランタンである。さらに、特にエチレン供給物に関しては、該触媒は鉄および銅を実質的に含まない。一般に、酸化還元(レドックス)することができる物質の存在は、該触媒のために望ましくない。また、1種よりも多くの安定な酸化状態を有する他の遷移金属を実質的に含まないことが該触媒のために好ましい。例えば、マンガンは該触媒から排除されることが好ましい他の遷移金属である。「実質的に含まない」とは、該触媒中の希土類元素/レドックス金属の原子比が1よりも大きい、好ましくは10よりも大きい、より好ましくは15よりも大きい、そして最も好ましくは50よりも大きい。
【0050】
上述したように、該触媒は不活性担体に付着させてもよい。好ましい不活性担体としては、アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、ボーキサイト、マグネシア、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウムおよびこれらの組合せが挙げられる。しかしながら、最も好ましい実施形態において、担体はゼオライトでない。不活性担体を用いる場合に、該触媒の希土類物質成分は、該触媒および担体の全重量の3重量パーセント(wt%)〜85重量%を構成する。該触媒は、当該技術分野で既知の方法を用いて担体上に担持させてよい。
【0051】
多孔質のバルク物質および担持された形態の両方の該触媒内に他の元素を含むことが有利となる場合がある。例えば、好ましい元素添加物として、アルカリ土類、ホウ素、リン、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウムおよびこれらの組合せが挙げられる。これらの元素は、該組成物の触媒性能を変えるように又は該物質の機械的性質(例えば耐磨耗性)を改善するように存在することができる。
【0052】
本発明のVCMプロセス実施形態の反応器内でエタン含有、エチレン含有またはエタン/エチレン含有供給物、酸素源および塩素源を混ぜ合わせる前に、該触媒組成物は、鉄および銅を実質的に含まないことを条件として、及びセリウムが用いられる場合には該触媒がセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素を更に含むことを更に条件として、少なくとも1種の希土類元素の塩を含むことが好ましい。少なくとも1種の希土類元素の塩は、好ましくは、該触媒が鉄および銅を実質的に含まないことを条件として、及びセリウムが用いられる場合には該触媒がセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素を更に含むことを更に条件として、希土類オキシクロライド、希土類塩化物、希土類酸化物およびこれらの組合せから選択されることが好ましい。より好ましくは、塩は式MOCl(式中Mは、セリウムが存在する場合にはセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素も存在することを条件として、ランタン、セリウム、ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、サマリウム、イットリウム、ガドリニウム、エルビウム、イッテルビウム、ホルミウム、テルビウム、ユウロピウム、ツリウムおよびルテチウムまたはこれらの混合物である)の希土類オキシクロライドを含む。最も好ましくは、塩は多孔質でバルクのランタンオキシクロライド(LaOCl)物質である。この物質は、本プロセスにおいてイン・シトゥ(in situ)で塩素化される場合に全体変化(例えば破損)を受けないことが有利であり、使用期間の後に(LaOClは当初は水不溶性である)、本プロセスとの関連において水溶性という更なる有利な性質を提供するため、流動床、固定床反応器または他のプロセス設備もしくは容器から除去される必要がある触媒を消費すべきであり、これはハイドロブラスト化(hydroblasting)または従来の労働集約的な機械技術を用いることなく、単純に問題の反応器から消費された触媒を水でフラッシュするだけで行うことができる。
【0053】
典型的には、塩は、希土類オキシクロライド(MOCl)であるときに、少なくとも12m2/g 、好ましくは少なくとも15m2/g 、より好ましくは少なくとも20m2/g、そして最も好ましくは少なくとも30m2/g のBET表面積を有する。一般には、そのBET表面積は200m2/g よりも小さい。これら上記測定のために、窒素吸着等温線を77Kで測定し、その吸着等温線からBET法(Brunauer, S., Emmett, P.H., およびTeller, E., Journal of the American Chemical Society, 60, 309(1938))を用いて表面積を計算する。なお、MOCl相はMCl3 相とは別異の特徴的粉末X線回折(XRD)パターンを有することが留意される。
【0054】
MOCl組成物内に希土類(「M」とする)の混合物を有することも可能である。例えば、Mをランタン、セリウム、ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、サマリウム、イットリウム、ガドリニウム、エルビウム、イッテルビウム、ホルミウム、テルビウム、ユウロピウム、ツリウムおよびルテチウムより選択される少なくとも2種の希土類の混合物とすることができる。同様に、異なるMOCl組成物の混合物を有することも可能である(ここで該混合物におけるMOCl各組成物間でMが異なる)。
【0055】
エタン含有、エチレン含有またはエタン/エチレン含有供給物、酸素源および塩素源を反応器内で混ぜ合わせると、少なくとも1種の希土類元素の塩からイン・シトゥ(in situ)で触媒が形成される。これに関して、イン・シトゥ形成される触媒は、希土類成分の塩化物を含むと考えられる。このような塩化物の例はMCl3 (式中Mは、セリウムが存在する場合にはセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素も存在することを条件として、ランタン、セリウム、ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、サマリウム、イットリウム、ガドリニウム、エルビウム、イッテルビウム、ホルミウム、テルビウム、ユウロピウム、ツリウムおよびルテチウムまたはこれらの混合物である)である。典型的には、塩は、希土類塩化物(MCl3 )であるときに、少なくとも5m2/g、好ましくは少なくとも10m2/g、より好ましくは少なくとも15m2/g、より好ましくは少なくとも20m2/g、そして最も好ましくは少なくとも30m2/gのBET表面積を有する。
【0056】
本明細書の開示に照らして、当業者は有用な触媒組成物を調製するための種々の代替方法を疑いなく認識するであろう。希土類オキシクロライド(MOCl)を含む組成物を形成する1つの方法は、以下の工程:(a)水、アルコールまたはそれらの混合物を含む溶媒中の希土類元素もしくは元素群の塩化物塩の溶液を調製する工程;(b)窒素含有塩基を加えて、沈殿の形成を生じさせる工程;および(c)その沈殿を集め、乾燥させ、焼成して、MOCl物質を形成する工程を含む。典型的には、窒素含有塩基は、水酸化アンモニウム、アルキルアミン類、アリールアミン類、アリールアルキルアミン類、水酸化アルキルアンモニウム類、水酸化アリールアンモニウム類、水酸化アリールアルキルアンモニウム類およびそれらの混合物より選択される。窒素含有塩基は、窒素含有塩基と窒素を含有しない他の塩基との混合物として供給してもよい。1つの実施形態において、窒素含有塩基は水酸化テトラアルキルアンモニウムである。工程(a)の溶媒は水であってよい。触媒的に有用な組成物の乾燥は、噴霧乾燥、パージ化オーブン内での乾燥および他の公知の方法を含む、何れの方法でも行うことができる。流動床モードの操作では、噴霧乾燥を用いることができる。
【0057】
希土類塩化物(MCl3 )を含む触媒組成物を形成する他の方法は、以下の工程:(a)水、アルコールまたはそれらの混合物を含む溶媒中の希土類元素もしくは元素群の塩化物塩の溶液を調製する工程;(b)窒素含有塩基を加えて、沈殿の形成を生じさせる工程;(c)その沈殿を集め、乾燥させ、焼成する工程;および(d)その焼成した沈殿を塩素源と接触させる工程を含む。例えば、この方法の1つの適用として、窒素含有塩基を用いてLaCl3 を沈殿させ、それを乾燥させ、それを反応器に加え、それを反応器内で400℃に加熱して焼成を行い、次に、焼成した沈殿を塩素源と接触させて、触媒組成物を反応器内でイン・シトゥ(in situ)で形成する。
【0058】
エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202は、エタン、エチレン、塩化水素、酸素および塩素を少なくとも1種のリサイクルストリームと共に一緒に反応させて、反応器排出物ストリーム232を生じる;エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202への全供給物に由来するエタン/エチレンのモル比は、触媒官能性の長期劣化を伴うことなく、0.02〜50であることが特に留意される(任意の時点での特定の操作比は操作プロセス状態の問題によって決定されることに留意)。特定の製造時点での市場および操作の条件に依存して、エチレンがエチレンストリーム289により反応器202に加えられる。これに関して、エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202への全供給物に由来するエタン/エチレンの特に好ましいモル比は、0.1〜10である。(特定の製造時点での)市場および操作の条件が許す場合に、1つのモードは、エチレンストリーム289がゼロの流量を有し、エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202への全供給物に由来するエタン/エチレンのモル比が1〜6であり、その中の変動は局部的プロセス条件および触媒ライフサイクルに依存する。エタン、エチレン、酸素、そして塩化水素、塩素またはクロロハイドロカーボンの少なくとも1種の塩素源を一緒に触媒的に反応させることによって反応器排出物ストリーム(ストリーム232)が生成するにもかかわらず、これらのストリームからVCMへの転化における触媒選択性は、第一に、ランタノイド系触媒を元素状塩素により調整することによって向上することを留意すべきである。ランタノイド系触媒を用いた、これらのストリームからVCMへの転化における触媒選択性は、元素状塩素(ストリーム228)が反応器202への塩素源の一部分として含まれる場合にも向上する。エタンおよびエチレンの両方をVCMに転化する能力を示す他の何れの触媒系も、代替的実施形態において、本明細書中に開示されるVCMプロセスおよび装置と共に有利に用いられることにも留意すべきである。
【0059】
塩素源(塩化水素、塩素および飽和クロロカーボンより選択される)であるHCl供給ストリーム224、塩素供給ストリーム228、リサイクル用に選ばれたEDCストリーム262の何れの部分、および塩素化メタンまたは塩素化エタン(例えば、限定なく、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、塩化エチル、1,1−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン)の少なくとも1種を含有する他の何れのリサイクルされた又は原材料供給ストリームも、集合的にオキシ脱水素・塩素化反応に対する塩素を供給する;これらのストリームは、VCM転化に必要な化学量論的塩素を供給するためのリアルタイム操作において刻一刻、独立して可変である。EDCストリーム262からのEDCに関しては、直接販売の機会に影響を与える市場の条件が、反応器202へのリサイクル用または直接販売用の適当な量を決定する。特定の有用性に依存する、EDCストリーム262の一部分を使用するための更なる選択肢は、VCM転化加熱炉への供給原料用である。これに関して、プロセス200の操作は、(a)反応器202内で生成する1,2−ジクロロエタンが販売用に精製されるように、(b)反応器202内で生成する1,2−ジクロロエタンが反応器202へのリサイクル用に精製されるように、および/または(c)反応器202内で生成する1,2−ジクロロエタンがビニル加熱炉内での分解用に精製されるように、代替的に行われる。EDCは、場合により、塩素源として使用するために購入するのが有利となる場合があることも留意すべきである。
【0060】
エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202は、反応器排出物ストリーム232を出力して冷却凝縮器204に供給する。冷却凝縮器204は、反応器排出物ストリーム232を処理して、(a)塩化水素の第1部分を有する未加工(raw)の生成物(蒸気)ストリームおよび(b)反応器202を出た塩化水素の残りを有する未加工(raw)の冷却された(水性)塩化水素ストリームを供給する;上記未加工の生成物(蒸気)ストリームがストリーム240である。
【0061】
該未加工の冷却されたHClからの残留有機化合物の除去のために、ストリーム234が相分離サブシステム206に送られる。相分離サブシステム206は、代替的実施形態において、デカンター、ストリッパーまたはデカンターとストリッパーの組合せである。相分離サブシステム206から、除去された有機物質(本質的に液相である)はストリーム242により軽量物カラム210に送られ、分離された未加工の冷却された(本質的に水性液)HClがストリーム236として無水HCl回収サブシステム208に送られる。無水HCl回収サブシステム208は、ベント酸化ユニット214(ベントストリームの環境上許容可能な組成物への精製のために有用な熱酸化または他の酸化ユニット)からの(水性)ストリーム274ならびに(水性)ストリーム236を受け取って、エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202への無水HClリサイクルとして出力ストリーム266を生成する。ストリーム268は、後続の使用のため又は廃棄物回収のために、無水HCl回収サブシステム208から水を出力するものである。要するに、無水HCl回収サブシステム208は、上記未加工の冷却された塩化水素ストリームおよびプロセス200の他の水性HClストリーム群から無水塩化水素を回収するために機能性を提供するものである。無水HCl回収サブシステム208はまた、無水塩化水素(蒸気)ストリームをHClストリーム266により反応器202にリサイクルする。水とHClの混合物から無水HClを回収するために他の方法があることは当業者に明らかである。
【0062】
冷却凝縮器204はまた、ストリーム240(蒸気)を軽量物カラム210に出力し、そこでエチレンを含有する軽量物ストリーム(蒸気ストリーム244)が反応器排出生成物ストリームから更に除去される。
【0063】
反応器排出物からのHClおよび軽量物ストリーム(ストリーム244)の分離後に、軽量物カラム210は、水生成物ストリーム(ストリーム256)、塩化ビニルモノマー生成物ストリーム(ストリーム254)、塩化エチルストリーム(ストリーム230)、シス−1,2−ジクロロエチレンおよびトランス−1,2−ジクロロエチレン混合ストリーム(ストリーム260)、1,2−ジクロロエタンストリーム(ストリーム262)および重量物(heavies)ストリーム(ストリーム264)を分離するためのストリーム252を送る。これらの最終分離を行う方法は当業者に明らかであり、これらの分離を達成するために、相当数の従来からのプロセスユニットを多様な構成で配備することができる。それ故に、乾燥サブシステム216、VCM精製カラム218および重量物カラム220は、水ストリーム256、VCM生成物ストリーム254、塩化エチルストリーム230、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンストリーム260およびEDCストリーム262ならびに廃棄有機物バーナーで破壊するための又は重量物ストリーム264の一般的性質が許容可能な適当な生成物に使用するための有機物質である重量物ストリーム264を分離するための一般的な分離システムを便宜的に図示するものである(そのため、1つの企図される実施形態において各カラムは単一の物理的カラムで有り得るが、「カラム」という用語は少なくとも1つの物理的カラムを表わす「仮想カラム」として解するべきである)。代替的な企図される実施形態において、乾燥サブシステム216が軽量物カラム210に先立って水を除去し、軽量物カラム210からの排出物がVCM精製カラム218に送られる。EDCストリーム262からのEDCに関しては、直接販売の機会に影響を与える市場の条件が、反応器202へのリサイクル用または直接販売用の適当な量を決定するように機能することに再度留意しなければならない。これに関して、VCM精製カラム218および重量物カラム220の操作は、(a)1,2−ジクロロエタンが販売用に精製されるように、(b)1,2−ジクロロエタンが反応器202へのリサイクル用に精製されるように、および/または(c)1,2−ジクロロエタンがビニル加熱炉内での分解用に精製されるように、代替的に行われる。
【0064】
ここで、軽量物カラム210から出るストリーム244に戻ると、ストリーム244はエチレンのオキシ塩素化反応器282に送られ、そこで酸素が加えられるとともに、バルクHClを消費してEDCを生成するための従来からのオキシ塩素化触媒を用いてオキシ塩素化反応が行われる。エチレンのオキシ塩素化反応器282からの出力は、ストリーム284として残留HCl処理ユニット286に送られ、残留HCl処理ユニット286はストリーム284からの残留HClをこすり洗いし、HClを幾らか含む本質的に水性のストリームをストリーム288として廃棄物処理に出力する。残留HCl処理ユニット286はまた、ストリーム290をEDCカラム292に出力し、そこで粗EDCストリーム294が分離されて乾燥サブシステム216に送られる。
【0065】
EDCカラム292からの出力(ストリーム273)は、ストリーム248でエタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202に直接送られる第1ストリーム部分と、C2吸収およびストリッピングカラム212に送られる第2ストリーム部分とに分割される。C2吸収およびストリッピングカラム212は、ストリーム244の送られた第2ストリーム部分からC2物質(エタンおよびエチレン)を吸収し剥ぎ取り、該C2物質をC2リサイクルストリーム246により反応器202へのリサイクルに出し、このC2リサイクルストリーム246はストリーム244からの第1ストリーム部分と組み合わされてストリーム248を形成する。C2吸収およびストリッピングカラム212はまた、パージストリームをベント酸化ユニット214に出力し、このベント酸化ユニット214はベントストリーム250を大気に出力し、また(水性)ストリーム274を無水HCl回収サブシステム208に出力する。CO(一酸化炭素)組成計測器は、C2吸収およびストリッピングカラム212ならびにベントストリーム250を生成するベント酸化ユニット214により処理するための残留軽量物ガスの適当な部分を制御システム(図示せず)が決定するために使用する測定(図示せず)を与え、当該プロセスにおいてCOが許容不可能なレベルまで蓄積しないようにする。
【0066】
エタンからVCMへのオキシ脱水素・塩素化プロセス200についてのシミュレートされた相対的ストリーム流量およびストリーム組成は、表1を考慮することにより認識される。表1(質量単位/時間単位)のデータは、400℃および本質的に大気圧でのランタンオキシクロライドについての研究室に由来する触媒性能測定を使用する;その好ましい触媒の更なる詳細は上で参照される「エチレンから塩化ビニルへの転化プロセスおよび該プロセスに有用な新規触媒組成物」の研究より理解される。表1は、データを生成するシミュレーションとの関連でゼロである流量を幾つか示すが、そのような数値は流量の完全な不存在またはストリームの必要性の不存在を意味することを意図するものではない。表1はエチレン供給ストリーム289を示していない;これに関して、および先の点に戻って、特定の製造時点での市場および操作の条件が許すときに、最も好ましいモードは、エチレンストリーム289がゼロの流量を有することである。しかしながら、ある特定の条件下では、エチレンストリーム289が経済的に有利な流れに寄与する。
【0067】
【表1】
Figure 2004534770
【0068】
上記提示したプロセスの実施形態は、触媒の開発により現時点で可能となっているが、反応器202に供給されたHClを本質的に完全に反応させると同時にエタンおよびエチレンを反応させることができる触媒系との関連において実行可能な適当な導かれるプロセスを更に考慮することにより触媒開発の方向性が示唆される。図3および図4は、直列二反応器または単一反応器における本質的に完全なHCl消費を望ましく可能とすることになる触媒開発を予期して、他の提案されるエタンから塩化ビニルへのプロセスの実施形態を提示するものである。
【0069】
ここで図3に移ると、エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化二重(dual)反応器システム300は、エタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202と冷却凝縮器204との間に段階2反応器296を挿入するようにエタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化プロセス200を変更したものである。第2段階反応器296は、従来のオキシ塩素化または塩化エチルを生成するHClのエチレンとの反応等のような何れかの手段により、塩化水素出力を反応させて消滅させるように機能する。生成物分離(product split)210からの出力の軽量物ストリーム244はまた、ストリーム248でエタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化反応器202に直接送られる第1ストリームと、C2吸収およびストリッピングカラム212に送られる第2ストリームとに分割される。C2吸収およびストリッピングカラム212は、ストリーム244の送られた部分からC2物質(エタンおよびエチレン)を吸収し剥ぎ取り、C2リサイクルストリーム246およびストリーム248により該C2物質のリサイクルを確保する。C2吸収およびストリッピングカラム212はまた、パージストリームをベント酸化ユニット214に出力し、このベント酸化ユニット214はベントストリーム250を大気に出力する。段階2反応器296排出物中にHClが実質的に存在しないので、無水HCl回収サブシステム208の必要がないことに留意すべきである。
【0070】
図4は、段階2反応器296排出物中にHClが幾らか存在し、オキシ脱水素・塩素化反応器202および第2段階反応器296を含む、VCM加熱炉が増強されたエタン/エチレン−VCMのオキシ脱水素・塩素化二重反応器システム400を示す。クエンチカラム204は、反応器排出物ストリーム232をクエンチして塩化水素を本質的に含まない未加工(raw)の生成物ストリームを与えることにより、残留HClを本質的に完全に除去するように反応器排出物ストリーム232を処理する。未加工の冷却された塩化水素ストリーム(ストリーム234)もまたクエンチカラム204からの出力である;ストリーム234は、該未加工の冷却されたHClからの有機化合物の除去のために、相分離サブシステム206に送られる。その除去された有機物質はストリーム242により軽量物カラム210に送られる。水性HClが相分離サブシステム206からクエンチカラム204にリサイクルされ、中和器298が相分離サブシステム206からの廃棄物ストリームを水酸化ナトリウムまたは他の適当な中和添加剤により処理する。システム400はまた、反応器202への補充VCM生成物および無水HClストリームを生成するように、ビニル加熱炉システム293内のEDCストリーム262の処理およびVCM最終処理システム295の付加修飾も示す。
【0071】
ここで本発明の実施形態の考慮に移ると、図5は、エタン、エチレンまたはエタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスのために酸素源として空気を用いる本発明を例示するものである。図5において、C2ストリーム(エタン、エチレンまたはエタンとエチレンの両方)、HCl、空気および塩素が、それぞれ線503、504、505および506によりオキシ脱水素・塩素化反応器502に導入される。HClは、必要に応じて又は利用可能な場合に、線504により任意的に加えられる。HClはまた、線508によりHCl回収ユニット538からのリサイクルとしても導入される。同様に、塩化エチル(EtCl)を、VCM精製ユニット552からリサイクルし、線558により反応器502に導入することができる。二塩化エチレン(EDC)も、EDC精製ユニット524からリサイクルし、線560により反応器502に導入することができる。反応器排出物ストリーム523は、ユニット510で冷却および凝縮され、そこで該排出物ストリーム523が処理されて、(a)線511により出る塩化水素の第1部分を有する未加工(raw)の生成物(蒸気)ストリームおよび(b)塩化水素の残りを有し、反応器502を出てから更に線512により冷却凝縮器510を出る未加工(raw)の冷却された(水性)塩化水素ストリームを与える。
【0072】
該未加工の冷却された塩化水素ストリームは、残留有機化合物を除去するように相分離サブシステム516で処理される。相分離サブシステムは、図2について論じた代替的実施形態であってよい。残留有機化合物は線517により生成物分離518に送られ、その分離された未加工の冷却された(本質的に水性液)HClが無水HCl回収サブシステム538に送られる。水性HClは線539により該HCl回収サブシステム538に導入される。水は線540により該HCl回収サブシステム538を出る。回収されたHCl(無水)は、線508により反応器502にリサイクルされる。無水HCl回収サブシステム538は、該未加工の冷却された塩化水素ストリームからの無水塩化水素ストリームおよび反応器502からの他の無水HClストリームを回収する機能性を提供することが理解されるべきである。無水HCl回収サブシステム538はまた、無水塩化水素(蒸気)ストリームを反応器502にリサイクルする。典型的には、該HCl回収サブシステムは蒸留プロセスを用いて水性HClストリーム群から無水HClを回収する。この無水HClはリサイクルし得る。水およびHClの混合物から無水HClを分離するための他の方法があることは、当業者に明らかである。
【0073】
生成物分離518では、軽量物ストリームが分離され、これが線515により出る。軽量物ストリームはエチレンを含み、更に他の成分を含み得る。VCMを含み、更に他の成分を含み得る排出物の残りは、線516により一連の分離のために乾燥サブシステム520、VCM精製522およびEDC精製524に送られる。これらの最終分離を行う方法は当業者に明らかであり、相当数の従来からのプロセスユニットを多様な構成で配備することができる。それ故に、乾燥サブシステム520、VCM精製522およびEDC精製524は、水ストリーム556、VCM生成物ストリーム557、塩化エチルストリーム558、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンストリーム559およびEDCストリーム560ならびに破壊するための又は重量物ストリーム561の一般的性質が許容可能な適当な生成物に使用するための有機物質である重量物ストリーム561を分離するための一般的な分離システムを便宜的に図示するものである。代替的な企図される実施形態において、乾燥サブシステム520が生成物分離518に先立って水を除去し、生成物分離518からの排出物はVCM精製カラム522に送られる。
【0074】
線515により出る、生成物分離518からの軽量物ストリームは、HCl吸収サブシステム570に送られる。HCl吸収サブシステム570では、ガス状化合物から痕跡量のHClを除去するとともに該HClを例えば線539によりHCl回収サブシステム538に戻すために、吸収器(absorber)を使用し得る。HClの剥ぎ取られたストリームは、該HCl回収サブシステムを出て線571によりベント酸化ユニット580に送られ、そこで何れの残留する可燃性化合物も二酸化炭素(CO2 )に転化され、これが大気に排出され得る。代替的に、軽量物ストリームが回収可能な量のC2炭化水素、例えばエチレンまたはエタンを含む場合には、それらの炭化水素を回収するための適当な手段を該HCl吸収ユニットと該ベント処理の間に挿入することができる。しかしながら、好ましくは、当該プロセスは回収可能な量のC2炭化水素を本質的に全く生成しない。
【0075】
図5の構成において、好ましい実施形態では、当該システムに入る空気の量と比べて、相対的に少量のC2炭化水素(エタン、エチレンまたはそれらの混合物)が反応器502に入力される。これは「燃料希薄」(fuel lean)プロセスと称することができる。このような構成では、多量の空気がC2炭化水素の非常に高い転化率を生じさせ、塩素化された有機生成物が凝縮可能である。この結果、HClのリサイクルを伴い、多量のベント処理を伴う、1パス操作を生じる。反応物であるC2炭化水素、空気および塩素源の添加量(rate of addition)は、条件に依存して異なり、当業者によって容易に決定されるものである。当業者は、可燃性の問題が生じ得るが「燃料豊富」プロセス設計における純酸素の使用とは異なり得ることを留意して該プロセスを操作する必要があることも理解するであろう。このような空気供給プロセスを行う利点としては、純酸素源が入手困難であるか又は既存製造設備が空気供給プロセスを望ましいものとする地域においてプロセスを行う可能性が挙げられる。
【0076】
図5aは、エタン、エチレンまたはエタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスのための酸素源として空気を用いる本発明の他の実施形態を例示する。図5aに図示されたプロセススキームは、RCl(塩素化有機化合物)水素化反応器590が含まれ、そこでの水素の添加により該EDC精製からのシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンの水素化を行って二塩化エチレンを生成し、これを線591により塩素源として反応器502に戻すようにリサイクルすることができることを除いて、図5のプロセススキームと基本的に同じである。EDCストリーム560は、水素化反応器590に供給されるシス−およびトランス−1,2−ジクロロエチレンの濃度の釣合い(balancing)を補助するために、任意的に存在してよい。EDCストリームは、販売用に除去してよく、又は反応器502にリサイクルしてよい。このプロセススキームは、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンを含む混合ストリームではなく、単一化合物である二塩化エチレンから成るストリームを生成する利点を有し、この二塩化エチレンを反応器502に戻すようにリサイクルしてよい。
【0077】
図5bは、本発明の他の実施形態を例示し、ここで反応器502からの排出物がHCl吸収サブシステム570に直接送られ、このHCl吸収サブシステム570が、冷却凝縮器510に送られる塩化ビニルおよび他の成分を含むガス状ストリーム571と、相分離サブシステム516に送られる第2のストリーム(液相)572とを分離するように機能する。この相分離サブシステムは先の諸図で論じたような代替的実施形態であってよい。残留有機化合物が乾燥サブシステム520に送られ、これが図5の議論で上述したように進行する。相分離サブシステム516からのHCl豊富ストリームがHCl回収サブシステム538に送られ、ここでHClが分離され、次にストリーム508として反応器502にリサイクルされる。
【0078】
図6は、本発明の代替的実施形態を例示し、ここではエタンから塩化ビニルへ又はエタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスからのHClが従来のオキシ塩素化反応器への「ウェット」(wet)供給物として用いられ、このオキシ塩素化反応器で第2の酸素源およびエチレンが供給されて二塩化エチレンを生成し、この二塩化エチレンが、望ましければ加えられるEDCの供給物660とともに、EDC線643でオキシ脱水素・塩素化反応器602に戻るようにリサイクルされる。図6では、(i)エタン、(ii)HCl、(iii)酸素および(iv)塩素が、それぞれ線603、604、605および606により、オキシ脱水素・塩素化反応器602に導入される。任意的に、リサイクルストリーム672による反応器602への供給物にエチレンを加えることができる。HClは任意的に線604により加えられる。同様に、塩化エチル(EtCl)を、VCM精製ユニット622からリサイクルして、線658により反応器602に導入することができる。反応器排出物ストリーム623がユニット610で冷却および凝縮され、そこで排出物ストリーム623は、(a)線611により出る塩化水素の第1部分を有する未加工(raw)の生成物(蒸気)ストリーム、および(b)反応器602を出てから更に線612により冷却凝縮器を出る残りの塩化水素を有する未加工(raw)の冷却された(水性)塩化水素ストリームを与えるように処理される。
【0079】
該未加工の冷却された塩化水素ストリームは、残留有機化合物を除去するように相分離サブシステム616で処理される。相分離サブシステムは、先の諸図について論じた代替的実施形態であってよい。残留有機化合物は線617により生成物分離618に送られ、その分離された未加工の冷却された(本質的に水性液)HClが線636により水性HCl回収サブシステム638に送られる。水性HClは線639により水性HCl回収サブシステム638に導入される。この水性HCl回収サブシステムでは、水およびHClが定沸点共沸混合物として気化する。そのガス状排出物は「ウェット」HClと称され、水がHClに対する希釈剤として基本的に機能する。
【0080】
回収されたウェットHCl(水とHClのガス状混合物)が線640により従来のオキシ塩素化反応器642に送られ、酸素およびエチレンがそれぞれ線646および647により従来のオキシ塩素化反応器642に供給される。従来のオキシ塩素化反応器は、本願発明の背景で論じたような、酸素、エチレンおよび塩素源の二塩化エチレン(EDC)への転化を行うための銅/アルミナ触媒のような触媒を用いた気相反応を行うものである。こうして、本プロセスは、反応器602で起こるオキシ脱水素・塩素化反応により生成するHClを有利にリサイクルするものであり、それを用いて二塩化エチレン(EDC)を製造し、これをEDC660と共に線643により反応器602にリサイクルすることができ又は販売することができる。但し、EDCが反応器602に送られる前に、線644で示すように、該ストリームから水が除去される。線645で示すように、他の廃棄生成物をベント処理のために送ってよい。
【0081】
生成物分離618では、軽量物ストリームが分離され、これが線615により出る。線615により出た、エチレンを含み、更に他の成分を含み得る軽量物ストリームは、分離され、HCl吸収サブシステム670に、そしてストリーム672により反応器602にリサイクルされる。VCMを含み、更に他の成分、例えば塩化エチル(EtCl)、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンおよび二塩化エチレンを含み得る排出物の残りは、線619により一連の分離のために乾燥サブシステム620、VCM精製カラム622およびEDC精製624に送られる。これらの最終分離を行う方法は当業者に明らかであり、相当数の従来からのプロセスユニットを多様な構成で配備して分離を達成することができる。それ故に、乾燥サブシステム620、VCM精製622およびEDC精製624は、水ストリーム656、VCM生成物ストリーム657、塩化エチルストリーム658、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンストリーム659およびEDCストリーム660ならびに廃棄有機物バーナーで破壊するための又は重量物ストリーム661の一般的性質が許容可能な適当な生成物に使用するための有機物質である重量物ストリーム661を分離するための一般的な分離システムを便宜的に図示するものである。代替的な企図される実施形態において、乾燥サブシステム620が生成物分離618に先立って水を除去し、生成物分離618からの排出物がVCM精製カラム622に送られる。
【0082】
線615により出る、エチレンを含み、更に他の成分を含み得る、生成物分離618からの軽量物ストリームは、分離され、HCl吸収サブシステム670に、そして反応器602にリサイクルされる。HCl吸収サブシステム670では、ガス状化合物から痕跡量のHClを除去するとともに該HClを例えば線639によりHCl回収サブシステム538に戻すために、吸収器を使用し得る。HClが剥ぎ取られたストリームは、該HCl回収サブシステム670を出て線671によりC2吸収およびストリッパーサブシステムに送られる。C2吸収およびストリッピングカラム675はC2物質(エタンおよびエチレン)を吸収して剥ぎ取り、次に該C2物質をC2リサイクルストリーム676により反応器602にリサイクルし、このC2リサイクルストリーム676は線615からの第1ストリーム部分と組み合わされてストリーム672を形成する。C2吸収およびストリッピングカラム675はまた、パージストリームを線681によりベント処理ユニット680に送り、そこで排出物が環境に放出される前に処理される。このユニットは何れの残留する可燃性化合物も大気に放出し得る二酸化炭素(CO2 )に転化する手段を提供する。このような設備では、CO(一酸化炭素)組成計測器が、ベントストリーム682を発生するためベント酸化ユニット680およびC2吸収およびストリッピングカラム675により処理するための残留軽量物ガスの適切な部分を制御システム(図示せず)が決定する際に使用する測定(図示せず)を与え、当該プロセスにおいてCOが許容不可能なレベルまで蓄積しないようにする。
【0083】
図6のスキームは、HClを分離してEDCへの転化用に触媒的に反応させるという利点を有する。EDCは、オキシ脱水素・塩素化反応器にリサイクルすることができ、又は使用するか、さもなければ販売してもよい。留意すべきことに、該スキームから塩化水素回収ユニットが削除され、このことが長期腐食の問題を排除する。
【0084】
図6aは、図6の実施形態の代替的スキームを例示し、ここでは水素化工程が含まれている。従って、該スキームは、EDCカラム624から回収されたシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンの全部または一部が線625により水素化ユニット626(従来の水素化ユニット)に供給され、そこで水素が線627により供給されて該シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンがEDCに転化されることを除いて、図6のスキームと同一である。このEDC排出物は線628により出る。このEDCは、例えば線628から線643により反応器602へと、反応器にリサイクルすることができる。この構成は、該反応スキームの望ましい同時生成物でない場合のあるシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンからEDCを代替的に生成するという利点を与える。
【0085】
図6bは、図6の実施形態に対する他の代替的スキームを例示し、ここではC2吸収およびストリッパーブロックならびにリサイクルが削除されている。この構成では、空気が線605により反応器に供給される。従って、当該プロセスは、「燃料希薄」(fuel lean)条件が実行されてエタン、エチレンまたはエタンとエチレンの両方が単一パス操作で消滅するまで反応されるように、図5で図示された本発明の実施形態に類似した様式で操作される。従って、当該プロセスは、ベント680への多量のガスを処理するように設計される。エタンが本質的に完全に転化されるので、図5のスキームと同様であるが、図6のスキームとは異なり、軽量物のリサイクルは存在しない。HCl吸収サブシステムからの排出物は線671によりベント処理ユニット680に直接送られ、ベントストリームが線682により出ることを理解すべきである。
【0086】
図6cは、図6bの実施形態に対する代替的スキームを例示し、ここでもC2吸収およびストリッパーブロックならびにリサイクルが削除されているが、水素化ユニット626が含まれており、当該プロセスは酸素の代わりに空気を用いて行われる。この構成は、HClが回収されるとともに、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンがEDCに転化されて、反応器602にリサイクルされ得るか又は販売され得るという利点を有する。このスキームは、従来のオキシ塩素化を用い、オキシ塩素化触媒の存在下でHClをエチレンおよび酸素と反応させることによりHClのリサイクルを補助する。
【0087】
図7は、図6の実施形態に対する他の代替的スキームを例示し、ここでは水性HCl(該HClは第1の反応器で生成する)が、塩化エチル、二塩化エチレンまたはこの2つの混合物を生成するために用いられる反応物および反応媒体として機能する。塩化エチルおよび二塩化エチレンは、販売するか又は塩素源を与えるために第1の反応器602に供給することができる。
【0088】
図7は、未加工(raw)の冷却された塩化水素ストリームが相分離サブシステム610で処理されて残留有機化合物が除去されるとともに、その残留有機化合物が線617により生成物分離618に送られ、分離された該未加工の冷却された(本質的に水性液)HClが補充HClと共に反応器690(ケロッグ(Kellogg) プロセス)に送られることを除いて、図6と同一のスキームである。反応器690は、米国特許第3,214,482号および英国特許第1,063,284号に従って操作してよい。エチレンおよび酸素が、それぞれストリーム647および646により反応器690に供給され、この反応器は活性金属ハロゲン化物の水性溶液と可溶化剤または促進剤とを含む触媒組成物を使用し得る。活性金属としては、限定されないが、英国特許第1,063,284号に記載されるような銅、および米国特許第3,214,482号に記載されるような鉄が挙げられる。エチレン、酸素およびHClの反応は、標準的な設備および方法を使用して、水性相を維持するために充分な圧力の下、約100℃〜約350℃、より典型的には約120℃〜約180℃の温度で、通常行われる。エチレン、酸素およびHClが反応して、塩化エチル(EtCl)、EDCおよび水を生成する。EDCおよびEtClは、次にストリームストリッパー694に供給され、該水性相から水性相中の残留EDCおよびEtClが剥ぎ取られ、線695により気化ユニット692に送られる。気化ユニット692は、通常、EDCおよびEtClを気化させる熱交換プロセスであり、その結果得られる排出物が線696により反応器602にリサイクルされる。図7に示す残りのプロセスフローは図6の説明で上述されている。図7のプロセス設計は、当該プロセスからHClをEDCおよび/またはEtClの形態での回収するのに使用するために代替的な反応器を含み、このEDCおよび/またはEtClは第1の反応器602にリサイクルするか、あるいは使用するか又は直接販売することができるという利点を有する。
【0089】
図7aは、図7の実施形態の代替的スキームを例示し、ここでは水素化工程が含まれている。図7aは、水素化ユニット626が含まれることを除いて、図7と同一である。水素化ユニット626の議論は、上の図6aに関する部分で述べられている。このプロセスフロースキームに対する利点は、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンがEDCに転化され、このEDCは使用または販売することができ、あるいは反応器602にリサイクルすることによって塩化ビニルモノマーの全体収率を向上させることができる。
【0090】
図7bは、図7の実施形態の代替的スキームを示し、ここでは第1の反応器のための酸素源として空気が用いられる。このプロセスフロースキームは、C2炭化水素の吸収およびストリッパー675ならびにC2炭化水素リサイクルストリーム672/676が存在しないことを除いて、図7のスキームと同一である。このスキームは、エタン、エチレンまたはエタンとエチレンの両方が消滅するまで反応され、それにより図7aに示すような線672による反応器602への軽量物のリサイクルが存在しないように、操作される。この場合に、空気は好ましい酸化剤として機能する。
【0091】
図7cは、図7bの実施形態の代替的スキームである。図7cは、シス/トランス−1,2−ジクロロエチレンの流れをEDCに転化する水素化ユニット626が含まれることを除いて、図7bと同一である。EDCは、販売することができ又は塩素源として反応器602にリサイクルすることができる。
【0092】
表2は、図で特定される要素の詳細を示す。ある特定のユニットは類似の図と図の間で認識できるように類似してよいが、特定のユニット構成の数は異なる図で異なってよい。
【0093】
【表2−1】
Figure 2004534770
【0094】
【表2−2】
Figure 2004534770
【0095】
【表2−3】
Figure 2004534770
【0096】
【表2−4】
Figure 2004534770
【0097】
【表2−5】
Figure 2004534770
【0098】
【表2−6】
Figure 2004534770
【0099】
【表2−7】
Figure 2004534770
【実施例】
【0100】
触媒の詳細は、純粋に例示であることが意図される以下の実施例を考慮することにより更に明確になる。
【0101】
例1
エチレンを含むストリームからの塩化ビニルの製造を実証するために、ランタンを含む多孔質耐熱組成物を調製した。市販される水和塩化ランタン(J.T. Baker Chemical Company より入手)1部を脱イオン水8部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水酸化アンモニウム(Fisher Scientific より入手、ACS仕様認定)を中性pH(万能試験紙による)まで滴下することにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離し、固形物から溶液をデカント除去した。約150mlの脱イオン水を添加し、該ゲルを激しく攪拌して固形物を分散させた。その結果得られた溶液を遠心分離し、溶液をデカント除去した。洗浄工程を更に2回繰り返した。集められた、洗浄されたゲルを120℃において2時間乾燥し、次に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけて、更なる試験に適した粒子を生じた。この手順によりLaOClのX線粉末回折パターンに一致する固形物が生成した。
【0102】
その粒子を純ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、O2 および不活性ガス(HeおよびAr混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。アルゴンの機能は、ガスクロマトグラフィによる反応器供給物および排出物の分析のための内部標準である。空間時間(space time)は触媒の体積を標準状態での流量で割ったものとして計算される。供給率(feed rate)はモル比である。反応器システムには1エタン、1HClおよび1酸素の化学量論をもったエチレン含有ストリームを直ちに供給した。これはエチレンからVCMの製造のための釣り合った化学量論を与える。
【0103】
下の表3は、この組成物を用いる反応器試験の結果を記載する。
【0104】
表3の第1欄は、HClの存在下、酸化条件の下で触媒系にエチレンを供給する場合の塩化ビニルへの高い選択性を示す。該組成物は酸化剤ガスとしての空気で操作される反応器を模倣するためにヘリウムを含有する。
【0105】
表3の第2欄は、HClの存在下、酸化条件の下で触媒系にエチレンを供給する場合の塩化ビニルへの高い選択性を示す。ここでは可燃性により課される制約を避けるために燃料豊富であり、ヘリウムを含有しない。
【0106】
表3の第3欄は、HClの存在下、酸化条件の下で触媒系にエタンを供給する場合の塩化ビニルおよびエチレンへの高い選択性を示す。供給物中にはエチレンが存在しない。反応器内に存在するエチレンはエタンの部分酸化生成物である。
【0107】
表3の第4欄は、エタンおよびエチレンの両方を供給する場合の結果を示す。反応器に入るエチレンおよび反応器を出るエチレンの量が等しくなることを確保するようにして反応器が操作される。このように操作されると、エチレンは不活性な希釈剤の外見を示し、エタンだけが転化される。結果は、塩化ビニルおよび1,2−ジクロロエタンの高収率を示す。アルゴンは、反応器に入るエチレン流束および反応器を出るエチレン流束が等しくなることを確保するための内部標準として用いられる。クロマトグラフィのピークで積分されるエチレン/アルゴンの比は、反応器供給物および生成物ストリームに対して同一である。このようにして、反応器装置内のエチレンのリサイクルがシミュレートされる。
【0108】
【表3】
Figure 2004534770
【0109】
例2
該組成物の有用性を実証するために、種々の塩素源を用いてエチレンを塩化ビニルに酸化的に転化した。市販される水和塩化ランタン(Avocado Research Chemicals Ltd. より購入)1部を脱イオン水6.6部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して、固形物を集めた。集められたゲルを120℃において乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、HCl、酸素、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素およびヘリウムが該反応器に供給され得るように構成されたものである。空間時間は触媒の体積を標準の温度と圧力での流量で割ったものとして計算される。供給率はモル比である。該組成物を、400℃に加熱し、操作開始に先立って1:1:3のHCl:O2 :Heの混合物で2時間処理した。
【0110】
その形成された組成物を、400℃でエチレン、塩素および酸素を供給することによって操作して、塩化ビニルを製造した。以下の表は、種々の異なる塩素源を用いるストリーム上で82時間と163時間の間に得られたデータを示す。塩素はHCl、四塩化炭素および1,2−ジクロロエタンとして供給した。VCMは塩化ビニルを意味する。空間時間は触媒の体積を標準の温度と圧力での流量で割ったものとして計算される。反応器は、大気圧の反応器出口により操作される。エチレンおよび1,2−ジクロロエタンは両方とも
2 種と称される。
【0111】
【表4】
Figure 2004534770
【0112】
これらのデータは、種々の塩素源をビニルの酸化的製造に使用できることを示す。四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンおよびHClは全て、主要な生成物として塩化ビニルを生成する。
【0113】
例3
市販される水和塩化ランタン(Avocado Research Chemicals Ltd. より購入)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じ、最終pH8.85を生じた。混合物を濾過して、固形物を集めた。集められた物質を空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。
【0114】
表5は、反応器に入るエチレン流束(モル/分)および反応器を出るエチレン流束が実質的に等しくなるように反応器供給物を調節したデータを示す。同様に、反応器供給物は反応器に入るHCl流束(モル/分)および反応器を出るHCl流束が実質的に等しくなるように調節された。酸素転化率は、触媒活性のモニタリングを可能とするために完全転化よりも僅かに少ないように設定した。このように操作されると、消費される供給物はエタン、酸素および塩素である。エチレンおよびHClは両方とも、生成も消費もされない外見を示す。空間時間(space time)は触媒の体積を標準の温度と圧力での流量で割ったものとして計算される。この例は塩化ビニルの製造における塩素源としての塩素ガスの使用を更に示す。
【0115】
【表5】
Figure 2004534770
【0116】
本明細書中の全ての例で共通して、VCMは塩化ビニルを意味する。C24Cl2 は1,2−ジクロロエタンのみである。COx はCOおよびCO2 の組合せである。
【0117】
例4〜例11
例4〜例11は、各々が1種のみの希土類物質を含有する、多数の希土類組成物の調製を例示する。これらの組成物の性能を示すデータを表6に記載する。
【0118】
例4
市販される水和塩化ランタン(Avocado Research Chemicals Ltd. より購入)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。そのゲルを脱イオン水6.66部に再懸濁した。遠心分離によりゲルを集めることができた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。粉末X線回折は、その物質がLaOClであることを示す。BET表面積は42.06m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0119】
例5
市販される水和塩化ネオジム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、NdCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。粉末X線回折はその物質がNdOClであることを示す。BET表面積は22.71m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0120】
例6
市販される水和塩化プラセオジム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、PrCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。粉末X線回折はその物質がPrOClであることを示す。BET表面積は21.37m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0121】
例7
市販される水和塩化サマリウム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、SmCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で500℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。粉末X線回折はその物質がSmOClであることを示す。BET表面積は30.09m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0122】
例8
市販される水和塩化ホルミウム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、HoCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は20.92m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0123】
例9
市販される水和塩化エルビウム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、ErCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で500℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は19.80m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0124】
例10
市販される水和塩化イッテルビウム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、YbCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で500℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は2.23m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0125】
例11
市販される水和塩化イットリウム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、YCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。集められたゲルを120℃で乾燥した後に空気中で500℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は29.72m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表6に記載する。
【0126】
【表6】
Figure 2004534770
【0127】
これらのデータは、エチレン含有ストリームの塩化ビニルへの転化のためのバルク希土類含有組成物の有用性を示すものである。
【0128】
例12〜例16
例12〜例16は、各々が希土類物質の混合物を含有する、多数の希土類組成物の調製を例示する。これらの組成物の性能を示すデータを表7に記載する。
【0129】
例12
市販される水和塩化ランタン(Avocado Research Chemicals Ltd. より購入)1部および市販される水和塩化ネオジム(Alfa Aesar)0.67部を脱イオン水13.33部中に溶解させることにより、LaCl3 およびNdCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。最終pHは8.96と測定された。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は21.40m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表7に記載する。
【0130】
例13
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部および市販される水和塩化サマリウム(Alfa Aesar)0.67部を脱イオン水13.33部中に溶解させることにより、LaCl3 およびSmCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。最終pHは8.96と測定された。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は21.01m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表7に記載する。
【0131】
例14
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部および市販される水和塩化イットリウム(Alfa Aesar)0.52部を脱イオン水13.33部中に溶解させることにより、LaCl3 およびYCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。最終pHは8.96と測定された。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は20.98m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表7に記載する。
【0132】
例15
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部および市販される水和塩化ホルミウム(Alfa Aesar)1部を脱イオン水13.33部中に溶解させることにより、LaCl3 およびHoCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。最終pHは8.64と測定された。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は19.68m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表7に記載する。
【0133】
例16
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部および市販される水和塩化ホルミウム(Alfa Aesar)0.75部を脱イオン水13.33部中に溶解させることにより、LaCl3 およびHoCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。最終pHは9.10と測定された。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃で乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は20.98m2/g と測定された。この例の特定の性能データを表7に記載する。
【0134】
【表7】
Figure 2004534770
【0135】
これらのデータは、エチレン含有ストリームの塩化ビニルへの転化のための希土類物質の混合物を含有するバルク希土類含有組成物の有用性を更に示すものである。
【0136】
例17〜例24
例17〜例24は、他の添加物が存在する希土類物質を含有する組成物である。
【0137】
例17
市販される水和塩化ランタン(Aldrich Chemical Companyより購入)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水酸化アンモニウム(Fisher Scientific)0.48部を、商業上調製されたCeO2 粉末(Rhone-Poulenc)0.35部に加えた。上記ランタン含有混合物およびセリウム含有混合物を攪拌しながら混ぜ合わせて、ゲルを生成した。その結果得られたゲル含有混合物を濾過し、集められた固形物を空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0138】
例18
例5の方法を使用して調製したランタン含有組成物を乳鉢と乳棒で磨り潰して、微細な粉末を形成した。磨り潰された粉末1部をBaCl2 粉末0.43部と混ぜ合わせ、乳鉢と乳棒を用い更に磨り潰して、緊密な混合物を形成した。その大部分を空気中で800℃において4時間焼成した。その結果得られた物質を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0139】
例19
乾燥したグレイス・ダヴィジョン・グレード(Grace Davision Grade)57シリカを120℃において2時間乾燥した。市販される水和塩化ランタンを用いて、LaCl3 の飽和水溶液を形成した。その乾燥シリカを初期湿りの時点までLaCl3 溶液で含浸した。その含浸シリカを周囲温度において2日間空気乾燥した。それを更に120℃において1時間乾燥した。その結果得られた物質を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0140】
例20
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。そのゲルをアセトン(Fisher Scientific)12.5部に再懸濁し、遠心分離し、液をデカント除去し廃棄した。アセトン8.3部を用いて、アセトン洗浄工程を更に4回繰り返した。そのゲルをアセトン12.5部に再懸濁し、ヘキサメチルジシリザン(hexamethyldisilizane:Aldrich Chemical Companyより購入)1.15部を添加し、溶液を1時間攪拌した。混合物を遠心分離してゲルを集めた。集められたゲルを周囲温度で空気乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。BET表面積は58.82m2/g と測定された。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0141】
例21
市販される水和塩化ランタン(Alfa Aesarより購入)1部および市販されるHfCl4 0.043部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃において終夜乾燥した後に550℃において4時間焼成した。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0142】
例22
市販される水和塩化ランタン(Alfa Aesarより購入)1部および市販されるHfCl4 0.043部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを80℃において終夜乾燥した後に550℃において4時間焼成した。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0143】
例23
市販される水和塩化ランタン(Alfa Aesar)1部および市販されるZrOCl2 (Acros Organics)0.043部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを脱イオン水6.67部に再懸濁し、次いで遠心分離した。溶液をデカント除去し廃棄した。集められたゲルを550℃において4時間焼成した。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0144】
例24
市販される水和塩化ランタンを脱イオン水中に溶解させて2.16M溶液を生じさせることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。商業的に製造された酸化ジルコニウム(Engelhardより入手)を350℃で一晩乾燥させた。酸化ジルコニウム1部をLaCl3 溶液0.4部で含浸した。その試料を室温において空気中で乾燥させ、次に空気中で550℃において4時間乾燥させた。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エチレン、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。この例の特定の性能データを下の表8に記載する。
【0145】
【表8】
Figure 2004534770
【0146】
これらのデータは、他の要素を含むか又はこれに担持されたランタン系触媒を用いた、エチレン含有ストリームからの塩化ビニルの製造を示すものである。
【0147】
例25〜例30
例25〜例30は、有用な希土類組成物の調製を変更可能な変形の幾つかを示す。
【0148】
例25
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。そのゲルから溶液をデカント除去し廃棄した。脱イオン水中の塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(Aldrich Chemical Companyより購入)0.61部の飽和溶液を調製した。その溶液をゲルに添加して攪拌した。集められたゲルを550℃において4時間焼成した。この例の特定の性能データを下の表9に記載する。この例は希土類組成物の調製を変更するために添加されるアンモニウム塩の使用を例示するものである。
【0149】
例26
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。氷酢酸1部をゲルに加え、ゲルを再溶解した。その溶液をアセトン26部に加えることにより、沈殿の形成を生じた。溶液をデカント除去し、固形物を550℃において4時間焼成した。この例の特定の性能データを下の表9に記載する。この例は塩素含有希土類化合物のカルボン酸アダクトの分解による有用ランタン組成物の調整を示すものである。
【0150】
例27
市販される水和塩化ランタン(Spectrum Quality Products より購入)1部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。水中の6M水酸化アンモニウム(希釈された認定ACS試薬、Fisher Scientific より入手)を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。集められたゲルを脱イオン水3.33部に再懸濁した。次に、リン酸試薬(Fisher Scientific より購入)0.0311部を添加したが、懸濁したゲル中に目に見える変化は生じなかった。混合物を再び遠心分離し、溶液をリン含有ゲルからデカント除去した。集められたゲルを550℃において4時間焼成した。焼成した固形物は33.05m2/g のBET表面積を有していた。この例の特定の性能データを下の表9に記載する。この例はリン酸としてのリンを含有する希土類組成物の調製を示すものである。
【0151】
例28
市販される水和塩化ランタン(Acros Organicsより購入)1部を脱イオン水6.66部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。脱イオン水2.6部中に溶解された、市販されるDABCOまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(ICN Pharmaceuticalsより購入)0.95部を混合することにより、水溶液を形成した。攪拌しながら2液を急速に混合することによりゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離して固形物を集めた。集められたゲルを脱イオン水6.67部中に再懸濁させた。混合物を再び遠心分離し、溶液をゲルからデカント除去した。集められたゲルを550℃において4時間焼成した。焼成した固形物は38.77m2/g のBET表面積を有していた。この例の特定の性能データを下の表9に記載する。この例は有用な希土類組成物の調製におけるアルキルアミンの有用性を示すものである。
【0152】
例29
市販される水和塩化ランタン(Acros Organicsより購入)1部を脱イオン水10部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。この溶液に、市販される水酸化テトラメチルアンモニウム(Aldrich Chemical Companyより購入)を急速に攪拌しながら加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離し、溶液をデカント除去した。集められたゲルを脱イオン水6.67部に再懸濁した。混合物を再び遠心分離し、溶液をゲルからデカント除去した。集められたゲルを550℃において4時間焼成した。焼成した固形物は80.35m2/g のBET表面積を有していた。この例の特定の性能データを下の表9に記載する。この例は有用な希土類組成物の形成のための水酸化アルキルアンモニウムの有用性を示すものである。
【0153】
例30
市販される水和塩化ランタン(Avocado Research Chemicals Ltd. より購入)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。この溶液に、市販される5N NaOH溶液(Fisher Scientific )を攪拌しながら急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を遠心分離し、溶液をデカント除去した。集められたゲルを550℃において4時間焼成した。焼成した固形物は16.23m2/g のBET表面積を有していた。この例の特定の性能データを下の表9に記載する。この例は触媒的に興味深い物質の形成のための窒素を含有しない塩基の有用性を示すものである。潜在的に機能し得るものの、試験物質は窒素含有塩基を用いて生成した物質よりも劣るように見える。
【0154】
【表9】
Figure 2004534770
【0155】
例31
市販される水和塩化ランタン(少なくとも96%の純度;AMR より供給)1部を脱イオン水6.67部中に溶解させることにより、LaCl3 の水溶液を調製した。攪拌しながら水中の6M水酸化アンモニウム(希釈されたACS試薬、Fisher Scientific より入手)1.33部を急速に加えることにより、ゲルの形成を生じた。混合物を濾過して固形物を集めた。溶液をゲルからデカント除去し廃棄した。そのゲルを脱イオン水6.67部に再懸濁した。遠心分離により固形物を集めることができた。集められたゲルを80℃において乾燥した後に空気中で550℃において4時間焼成した。その結果得られた固形物を粉砕し、ふるいにかけた。粉末X線回折はその物質がLaOClであることを示した。そのBET表面積は36.0006m2/g と測定される。ふるいにかけられた粒子を純粋ニッケル(合金200)反応器内に配置した。反応器は、エタン、HCl、酸素および不活性物(ヘリウムおよびアルゴン混合物)が該反応器に供給され得るように構成されたものである。反応器はほぼ大気圧で400℃において操作した。供給は、1:2:6.7:24.5のエタン:HCl:酸素:不活性物の比を与えるように調節した。供給率(feed rate)は99.6%よりも高いエタン転化率を与えるように調節した。モル炭素選択性は以下の通りである:塩化ビニル42.2%;ジクロロエチレン34.8%;一酸化炭素14.9%;および二酸化炭素7.2%。
【0156】
本発明を例示により説明してきた。これに関して、前述の開示の恩恵が与えられれば、本発明の精神から逸脱することなく、本願明細書に記載された特定の実施形態に変形をなし得ることが当業者には明らかである。このような変形は本発明の範囲内であると考えるべきであり、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、先の諸公報から最もよく理解されるような、エタンをVCMに転化できる触媒を用いて企図されるエタンから塩化ビニルへのプロセスの特徴を示す。
【図2】図2は、国際特許公開番号WO01/38272号(2001年5月31日)の図2から複製されるような、エタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスを示す。該プロセスは、エタンおよびエチレンをオキシ脱水素・塩素化によりVCMに転化できる触媒を用いるとともに、二塩化エチレンへのエチレン転化用の第2のオキシ塩素化反応器を備えている。
【図3】図3は、国際特許公開番号WO01/38272号(2001年5月31日)の図3から複製されるような、エタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスを示す。該プロセスは、第1反応器および第2段階反応器システム内で、エタンおよびエチレンをオキシ脱水素・塩素化によりVCMに転化できる触媒を用いる。
【図4】図4は、国際特許公開番号WO01/38272号(2001年5月31日)の図4から複製される、組み込まれたビニル加熱炉およびビニル最終処理操作を備えた、図3のエタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスを示す。
【図5】図5は、塩化水素回収およびリサイクルを備えたエタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスのための酸素源として空気を用いる、本発明の実施形態を示す。この実施形態では、C2炭化水素出発物質が実質的に消滅するまで反応され、それによりC2炭化水素リサイクルを排除する。
【図5a】図5aは、シス/トランス−ジクロロエチレンを1,2−ジクロロエタン(二塩化エチレン,EDC)に転化するために水素化ユニット操作を加えた点を除いて、図5の実施形態と同様な、酸素源として空気を用いる、本発明の他の実施形態を示す。
【図5b】図5bは、図5および図5aとは異なる構成のユニット操作を有する点を除いて、図5の実施形態と同様な、酸素源として空気を用いる、本発明の他の実施形態を示す。
【図6】図6は、エタン/エチレンから塩化ビニルへのプロセスからのHClが従来のオキシ塩素化反応器への「ウェット」供給物として用いられ、このオキシ塩素化反応器に酸素およびエチレンが供給されて二塩化エチレンが生成し、この二塩化エチレンが第1の反応器に戻るようにリサイクルされる、本発明の実施形態を示す。
【図6a】図6aは、シス,トランス−1,2−ジクロロエチレンを1,2−ジクロロエタンに水素化するための水素化工程が含まれる、図6の実施形態の代替的スキームを示す。
【図6b】図6bは、C2炭化水素出発物質が本質的に消滅するまで反応されるため、C2吸収およびストリッパーブロックならびにリサイクルが省略された、図6の実施形態の他の代替的スキームを示す。
【図6c】C2吸収およびストリッパーブロックならびにリサイクルが省略され、かつ、水素化ユニットが含まれる、図6の実施形態の他の代替的スキームを示す。
【図7】水性HCl(該HClは第1の反応器で生成する)を用いて塩化エチルおよび二塩化エチレンを生成し、これらを第1の反応器に供給する、図6の実施形態の他の代替的スキームを示す。
【図7a】水素化工程が含まれる、図7の実施形態の代替的スキームを示す。
【図7b】水素化ユニットが含まれるとともに、第1の反応器のための酸素源として空気が用いられ、C2出発炭化水素が本質的に消滅するまで反応され、それによりC2リサイクルサブシステムが排除された、図7の実施形態の代替的スキームを示す。
【図7c】(原文なし)

Claims (21)

  1. 塩化ビニルの製造方法であって、(a)エタン、エチレンまたはこれらの混合物を含む反応物を、該C2炭化水素供給物の実質的に全てを転化するために、かつ塩化ビニルおよび塩化水素を含む生成物ストリームを発生するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、酸素源および塩素源と混ぜ合わせる工程、および(b)未反応の塩化水素を工程(a)での使用のために戻すようにリサイクルする工程、を含む方法。
  2. 前記酸素が空気として供給される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸素が該供給物中のC2炭化水素の体積濃度の3倍よりも多く存在する、請求項2に記載の方法。
  4. 該供給物中のC2炭化水素の約97モル%よりも多くが転化されて、回収可能なC2炭化水素が本質的に存在しないとともに、C2炭化水素を工程(a)に戻すようにリサイクルする必要がない、請求項3に記載の方法。
  5. 前記触媒が、鉄および銅を実質的に含まないことを条件として、及びセリウムが存在する場合には該触媒がセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素を更に含むことを更に条件として、1種以上の希土類物質を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 希土類物質成分がランタン、ネオジム、プラセオジムおよびこれらの混合物より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記塩素源がガスであって、塩化水素、塩素、不安定塩素を含有する塩素化炭化水素、およびこれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記生成物ストリーム中に存在するシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンが、水素により水素化されて二塩化エチレン(1,2−ジクロロエタン)を生成し、この二塩化エチレンが、少なくとも部分的に、工程(a)の反応器に任意的にリサイクルされる、請求項1に記載の方法。
  9. 塩化ビニルの製造方法であって、(a)エタン、任意的エチレン、酸素源および塩素源を、塩化ビニルおよび塩化水素を含む生成物ストリームを発生するために充分な条件の下、適当な触媒を含有する反応器内で、混ぜ合わせる工程と、(b)前記塩化水素を第2の反応器内で触媒により反応させて、塩化水素が本質的に欠如した第2反応器排出物を与える工程と、(c)前記第2反応器排出物をリサイクルして、前記混ぜ合わせ工程(a)における前記エタン、前記任意的エチレン、前記酸素源および前記塩素源と一緒に触媒により反応させる工程、を含む方法。
  10. 工程(a)の触媒が、鉄および銅を実質的に含まないことを条件として、及びセリウムが存在する場合には該触媒がセリウムの他に少なくとも1種の希土類元素を更に含むことを更に条件として、1種以上の希土類物質を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 希土類物質成分がランタン、ネオジム、プラセオジムおよびこれらの混合物より選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記塩素源がガスであって、塩化水素、塩素、不安定塩素を含有する塩素化炭化水素、およびこれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項9に記載の方法。
  13. 前記塩化水素が工程(b)において従来のオキシ塩素化プロセスにより触媒により反応されて、塩化エチルおよび/または二塩化エチレンを生成する、請求項9に記載の方法。
  14. 前記塩化水素が工程(b)において水性液相オキシ塩素化プロセスにより反応されて、塩化エチルおよび/または二塩化エチレンを生成する、請求項9に記載の方法。
  15. 前記塩化エチルおよび/または二塩化エチレンが、少なくとも部分的に、オキシ脱水素・塩素化工程(a)にリサイクルされる、請求項13または請求項14に記載の方法。
  16. 工程(a)からの前記生成物ストリーム中に存在するシス/トランス−1,2−ジクロロエチレンが、水素により水素化されて二塩化エチレン(1,2−ジクロロエタン)を生成し、この二塩化エチレンが、少なくとも部分的に、工程(a)の反応器に任意的にリサイクルされる、請求項9に記載の方法。
  17. 前記酸素が空気として供給される、請求項9に記載の方法。
  18. 該供給物中の前記酸素が該供給物中のC2炭化水素(エタンおよび任意的エチレン)の体積濃度の3倍よりも多く存在する、請求項17に記載の方法。
  19. 該C2炭化水素供給物中の約95モル%よりも多くが工程(a)で転化されて、工程(a)の前記生成物ストリーム中に回収可能なC2炭化水素が本質的に存在しないとともにC2炭化水素のリサイクルの必要がない、請求項17に記載の方法。
  20. 塩化ビニルの製造方法であって、
    エタン、エチレンまたはこれらの混合物(エタンおよびエチレンの両方が存在する場合には前記エタン/前記エチレンのモル比が0.02/1〜50/1である)を、該C2炭化水素供給物の約95モル%よりも多くを転化するために充分なプロセス条件の下、酸素源、および塩化水素、塩素または飽和クロロハイドロカーボンの少なくとも1種の塩素源と一緒に触媒により反応させることによって、第1反応器排出物ストリームを発生する工程、
    前記第1反応器排出物ストリームを冷却および凝縮して、前記塩化水素の第1部分を有する未加工の生成物ストリームと、前記塩化水素の第2部分を有する未加工の冷却された塩化水素ストリームとを与える工程、
    前記未加工の生成物ストリームを、塩化ビニルモノマー生成物ストリームと、前記塩化水素の前記第1部分を有する軽量物ストリームとに分離する工程、
    前記未加工の冷却された塩化水素ストリームから前記塩化水素の前記第2部分を回収する工程、および
    エタン、エチレンまたはこれらの混合物が前記酸素源および前記塩素源と混ぜ合わせられる前記反応器に、前記塩化水素の前記第2部分をリサイクルする工程、
    を含む方法。
  21. 塩化ビニルの製造方法であって、
    エタン、任意的エチレン(エチレンが存在する場合には前記エタン/前記エチレンのモル比が0.02/1〜50/1である)、酸素源、および塩化水素、塩素または飽和クロロハイドロカーボンの少なくとも1種の塩素源を一緒に触媒により反応させることによって、第1反応器排出物ストリームを発生する工程、
    前記第1の反応器排出物ストリームを冷却および凝縮して、前記塩化水素の第1部分を有する未加工の生成物ストリームと、前記塩化水素の第2部分を有する未加工の冷却された塩化水素ストリームとを与える工程、
    前記未加工の生成物ストリームを、塩化ビニルモノマー生成物ストリームと、前記塩化水素の前記第1部分を有する軽量物ストリームとに分離する工程、
    前記軽量物ストリーム中の塩化水素の前記第1部分の本質的に全てを触媒により反応させて、塩化水素が本質的に欠如した第2反応器排出物を与える工程、および
    前記第2反応器排出物をリサイクルして、前記発生工程における前記エタン、前記任意的エチレン、前記酸素源および前記塩素源と一緒に触媒により反応させる工程、
    を含む方法。
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