JP2004533837A - 電子人工網膜用の人工シナプスチップインターフェース - Google Patents

電子人工網膜用の人工シナプスチップインターフェース Download PDF

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Abstract

本発明は、人工シナプスを形成するように細胞突起の成長を誘導する微細加工装置および方法を提供する。これらの装置は人工シナプスチップと称される。人工シナプスは、細胞突起を化学的または電気的ニューロン刺激手段に接触させるナノ加工開口(約50〜100nmの大きさ)を有する。そのような開口の幅は、天然シナプスの長さスケールを模倣し、したがって、ニューロンと刺激源との局所的空間関係を重視する。本発明はさらに、電極内に神経線維を再生させる装置および方法を提供する。したがって、本発明は、新規な刺激用神経インターフェースを用い、かつ網膜および他の解剖学的位置で装置を神経回路にイン・ビボ接続させ得る新規なニューロン成長誘導用表面法を用いる再生電極を提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞成長を制御し、細胞を刺激する装置に関する。具体的に言えば、本発明は、人工シナプスおよび人工神経を提供するようにニューロンの成長を制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
角膜を介して眼に入ってくる光は、(さらに光を屈折させる)水晶体を介して、眼の背部の薄い細胞層である網膜上に像を結ぶ。正常なヒトの視覚は、網膜の神経細胞が生成する信号に依存する。視覚信号は網膜にある光受容細胞から発出する。光受容細胞は光を感知し、光に応答して信号を生成し、この信号が、網膜神経節細胞で神経信号を生成し、整波する。神経細胞は、多くの場合、情報および刺激を受容するか、情報を伝達するように特殊化され得る神経突起と称される長く伸びた細胞部分を有する。例えば、神経インパルスを引き起こすように特殊化された長い突起は軸索と称される。網膜神経節細胞の軸索は網膜から脳に視覚信号を伝達する。脳では、神経細胞ネットワークが視覚信号をさらに処理して、正常な視力を有する人の全視覚経験を供給する。このプロセスのいずれのステップに障害があっても、視覚障害または失明の原因となり得る。
【0003】
加齢黄斑変性症(AMD)は、65歳を越えた人の失明の最も一般的な形態の1つである。現在のところ、光受容体に永久的な損傷が生じるが、ほとんどの網膜神経節細胞(PGCs)には危害が加えられないことが多い疾患であるAMDに罹患している大部分の患者に有効な治療法は存在しない。同様に、網膜色素変性症症(RP)などの他の疾患は、光受容体の喪失により視覚障害および失明を引き起こす。
【0004】
ヒト視覚系の能力に本来備わっているのは、個々の光受容体毎に光を変換し、それを高解像度画像捕捉系(image caputure system)にする能力である。世界中で、いくつかのグループが、AMDが原因で失明した個体において、網膜細胞、視神経束、または視覚野細胞を微小電極アレイで刺激すると、閃光感覚(すなわち、光の感覚)が得られるか判定する臨床実験を行った。微小電極アレイによって生じた電場は、多くの神経細胞およびグリア細胞を含む比較的大きな領域を興奮させる。これらの実験によって、微小電極アレイでニューロンを刺激すると、失明個体は確かに水平または垂直線などの単純なパターンを認識し得ることが示された。これらの実験は、ある程度の回復は可能であることを実証したが、主要な課題は依然として存在する。最も入手しやすい電極の大きさと配置の難しさのために、長い距離(数細胞体直径)にわたって拡がる不正確な電場刺激を用いてニューロンを脱分極させている。しかし、そのような方法は、多くの場合、過剰な刺激を必要とし、過剰な刺激は、刺激された領域に炎症を起こしたり、グリア細胞の過剰成長または神経膠症を引き起こすことさえあるので、有害であり得る。したがって、これらの方法のまだ対処されていない主要課題は、局所的な網膜領域、個々のニューロン、さらには特異性を有するニューロンの特定部分を刺激する神経インターフェースを構築することである。
【0005】
ニューロンは人工基板上で成長させられ得る。しかし、人工基板上で成長させたニューロンのシナプス結合は、画定場所に制御または正確に誘導され得ず、また、イン・ビボで見られる特異的刺激特性を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、神経刺激の特異性を改善する方法および装置、好ましくは、神経膠症および炎症を回避するために低い給電で神経刺激の特異性を改善する方法を装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、微細パターン化ニューロン成長と、微細加工刺激インターフェースとを組合わせて、人工シナプスとしての機能を果たす新規な神経再生電極を形成し、この装置は人工シナプスチップ(ASC)と称される。「再生電極」は、神経繊維を電極中に再生させることによって形成される。この人工シナプスは、神経細胞突起(神経突起)を化学的または電気的神経興奮手段に接触させる微細加工された開口(ナノ開口)を提供する。ナノ開口は、実際のシナプスの長さスケールを模倣し、したがって、ニューロンと刺激源との局所的空間関係を強める。
【0008】
本発明者らは、個々のニューロンおよび低給電との一対一レジストリを維持する神経インターフェースを開発するという課題は、第1は、神経と刺激源との接合、第2は、神経細胞自体の刺激という2つのオプション(put)に分類し得ることを認識した。ASCは、誘導された微細パターン化ニューロン成長と神経刺激源とを組合わせて、所望の神経細胞の少なくとも一部を低電力刺激(ナノ刺激)する。したがって、ASCは、神経細胞からの神経突起の成長を刺激源に誘導する基板としての機能を果たすのに有効なだけでなく、刺激源としての役割を果たすのにも有効である。
【0009】
本発明は、細胞突起の成長を制御する装置および方法に関し、これらの装置は、細胞および細胞突起を成長させるように構成された表面と、細胞および細胞突起の成長を所望方向に表面の1つまたは複数の所望位置に制御するのに有効な微細パターンとを備えた基板を有する。所望位置は、ナノ開口、電気接点、または微細パターンフィーチャ(feature)であり得る。微細パターンは、化学誘引物質因子(chemo−attractant factor)、接着分子、反発分子、表面輪郭(surface contour)、および/または特定の原子に富む少なくとも1つの領域を有し得る。微細パターンは、基板表面とマイクロコンタクトプリンティングスタンプとを密着させて形成し得る。本発明の特徴を具体化するそのような微細パターンが形成された表面を有する装置は、細胞と、細胞突起の成長を所望のように制御するのに有効な表面とを接触させて細胞突起の成長を制御するのに用い得る。細胞と微細パターンを有する表面とを接触させて、細胞突起の成長を表面の所望位置に誘導し、所望位置由来の刺激物を細胞突起に与える方法は、細胞の少なくとも一部を刺激するのに有効である。
【0010】
細胞に接触して刺激を与える装置は、細胞の少なくとも一部に接触させるように構成された表面を有し、回路と電気的に導通している少なくとも1つの接点を有し得る。そのような装置は、細胞の少なくとも一部を刺激するのに有効であり、神経突起を刺激するのに特に適している。例えば、これらの装置を用いて、神経突起を刺激するか、神経突起を介して細胞を刺激するか、または細胞体を刺激することにより、電気接点に隣接する細胞または細胞突起を刺激し得る。
【0011】
本発明はさらに、細胞突起の成長を回路の接点に隣接する場所に誘導する方法を提供する。細胞突起の成長は、細胞突起を成長させ得る細胞と、回路および微細パターンを有する表面とを接触させることにより接点に隣接する場所に誘導し得る。微細パターンは、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭などの因子を有するか、かつ/または特定の原子に富む少なくとも1つの領域を有し得る。細胞突起の成長を誘導する微細パターンは、表面とマイクロコンタクトプリンティングスタンプとを接触させるステップを含む方法により形成され得る。細胞突起の成長は、神経修飾物質を細胞の少なくとも一部に送出することによって誘導され得る。成長を誘導し得る所望位置には、ナノ開口、電気回路の接点、および表面のフィーチャ(形状特徴)がある。
【0012】
本発明の特徴を具体化する装置は、ナノ開口を有する表面と、神経修飾物質、例えば、神経伝達物質、ホルモン、イオン、メッセンジャー分子、核酸、核酸ベクター、薬物、細胞、細胞フラグメント、細胞オルガネラ、リポソーム、または他の生物活性物質を含有し得るリザーバとを有し得る。ナノ開口は、神経修飾物質をリザーバから細胞の少なくとも一部に送出する導管を提供するのに有効である。神経修飾物質送出装置は、細胞突起の成長を上述のように誘導するのに有効な微細パターンを有する外面を有し得る。したがって、微細加工人工シナプスチップには、ナノ開口と、細胞突起の成長をナノ開口に接触させるように誘導するのに有効な微細パターンを有する表面と、ナノ開口に接続された神経修飾物質を含有し得るリザーバとを有する微細加工装置が含まれる。
【0013】
リザーバは、ナノ開口に直接連絡しているか、リザーバからナノ開口への神経修飾物質の送出に有効な導管を介してナノ開口に接続され得る。リザーバおよび/または流体流の誘導に有効な導管、例えば、例えば、ナノ開口への神経修飾物質の送出を支援するのに有効な導管に、ポンプまたは流体誘導機構を作動可能に接続してもよい。
【0014】
神経修飾物質(netromodulatory agent)の送出は、細胞に刺激を与えるのに有効であり得る。本発明の実施形態は、細胞の少なくとも一部を刺激するのに有効である、細胞突起に刺激を与える方法を提供する。本発明の実施形態において、細胞刺激法には、細胞突起を刺激する方法、細胞突起を介して細胞を刺激する方法、および細胞体を刺激する方法が含まれる。
【0015】
他の実施形態において、本発明は、神経突起誘導装置と、細胞の少なくとも一部に接触して刺激を与えるのに有効な回路とを有する再生電極アセンブリを提供する。神経突起誘導装置は、細胞突起の成長を誘導する装置、または神経修飾物質を細胞の少なくとも一部に送出する装置、またはその双方を包含し得る。回路は、細胞の少なくとも一部、細胞突起、または細胞体に接触して刺激を与える装置を包含し得る。
【0016】
神経突起の伸長を、回路との誘導された接点を形成するように誘導する能力は、神経組織の任意の疾患の治療にも有用である。したがって、本発明の1つの態様において、本発明の装置および方法は、網膜の光受容体を迂回して、網膜の個々の神経細胞にデジタルカメラを接続し得る神経インターフェースを提供する。このように、AMDや他の失明疾患で損傷を受けた細胞を迂回して、視覚情報を脳に送ることができる。したがって、人口シナプスは、加齢黄斑変性症(AMD)、網膜色素変性症、および他の光受容体失明疾患による失明に苦しむ患者の視覚機能を回復させる方法を提供する。本発明の装置および方法は、脊髄損傷、神経障害、膀胱機能障害、および神経障害に起因する他の疾患を治療するために、患者の神経系または身体のいずれの位置に移植するのにも適した人工神経を提供する。
【0017】
本発明の方法は眼内装置の製造に用いられ得る。本発明の特徴を具体化する眼内移植用装置は、細胞の少なくとも一部に接触して刺激を与える装置および眼内に移植するように構成された再生電極アセンブリを包含する。本発明の実施形態において、装置は、網膜、内境界膜および網膜下腔を含めた眼の種々の領域に移植するように構成されている。
【0018】
光受容体機能が低下した眼の視力を回復させる感光アセンブリは、光に対して光活性化信号によって応答するのに有効な感光素子、人工シナプスチップ、感光素子に電力を供給するのに有効な電源、および感光素子と人工シナプスチップとの間の有効な接続を有する。感光アセンブリの移植は、光受容体機能が低下した眼の視力を回復させる方法を提供する。眼の疾患は、眼に感光アセンブリを移植し、網膜の神経細胞突起の成長を感光アセンブリに誘導し、感光アセンブリから放出される光活性化信号により網膜神経細胞を刺激することによって治療され得る。
【0019】
それぞれ「人工シナプスチップ」(ASC)と称される本発明の種々の装置は、人工シナプスを形成するように微細パターン化された神経細胞成長を組み込んだ視覚系に接続するための高解像度神経インターフェースを構成する。極小サイズのナノ開口、個々の細胞の所望部分との案内された接点、およびこれらの接点を介した個々の細胞を標的とする刺激により、回路を個々の神経細胞に接続するための高空間解像度を備えた神経インターフェースが提供される。したがって、低空間解像度しか与えない従来の網膜ニューロン刺激法とは異なり、ASCは、細胞系の挙動に影響を与える新規な方法を提供する細胞レベルでの刺激の特異性および制御という利点を提供する。さらに、ASCは、刺激源がニューロンと直接接触するので、従来技術の視野刺激装置より刺激に要する電力が少ない。したがって、ASCは、新規な再生電極種、すなわち、刺激のための新規な神経インターフェースを用い、かつイン・ビボで網膜神経回路への接続が可能なように神経細胞の成長を誘導する近代的な表面科学法を利用する再生電極を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップ10が図1に示されている。図1AはASCの斜視図、図1BはASCの平面図を示している。ASCの細胞接触表面は、細胞の付着および成長に適した任意の1種または複数種の材料で形成され得る基板12を有する。例えば、ガラス、セラミック、シリコン、シリコン化合物および混合物、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリラクチド、Teflon(登録商標)または他のポリマーが適当な材料である。好ましい実施形態において、基板12はポリイミドを含む。
【0021】
基板12上には、基板12と接触して細胞および細胞突起の成長を誘導し、案内するのに有効な微細パターン14が形成されている。微細パターン14は、基板12にエッチングされてもよいし、基板12上に成膜されてもよいし、基板12と一体になっていてもよい。好ましい実施形態において、微細パターン14は、基板12上にマイクロコンタクトプリントして形成される。微細パターン14は、成長因子、細胞接着分子、神経突起もしくは細胞体の細胞表面タンパク質に特異的な抗体、あるいは細胞突起の成長または細胞もしくは細胞突起の付着を案内もしくは調節するのに有効な他の分子もしくは原子を有し得る。
【0022】
基板12の下には支持層16がある。支持層の下に隣接して、好ましくはシリコンで形成された中間層18が設けられている。中間層18の下には基層20が示されており、中間層18は支持層16と基層20の間に挟まれている。本発明の実施形態において、支持層16と基層20は窒化ケイ素で形成される。
【0023】
シリコンおよび窒化ケイ素は安定な中間層および基層を提供し、広く入手可能な製造用具および製造知識を用いて製造、形成され得る。シリコンデバイス製造技術は、高度に再生産可能であり、サブミクロンレベルで精密である。さらに、シリコンは、開口アレイを形成できることを含めて、開口の形状や位置をより高度に制御可能である。
【0024】
本発明の装置および方法は、細胞および細胞突起の成長を誘導したり、そのような細胞および細胞突起を修飾または刺激したりするために用られ得る。「細胞突起」は、細胞体または体細胞から外に伸びる細胞の細長い部分であり、軸索、樹状突起、神経突起、成長円錐、または細胞の他の細長い成長部分であり得る。「神経突起」は、多くの場合、基板上で成長する神経細胞の先導部分を構成する神経細胞の細長い部分すなわち突起である。「成長円錐」は、細胞の成長または移動を先端部方向に導く特殊化された神経突起先端部である。本明細書において、用語「神経突起」は、軸索や樹状突起、神経突起および成長円錐を共に含めたすべての神経細胞突起を包括的に表すために用いられる。
【0025】
神経突起は、多様な方向に、異なる時点で、細胞から伸長されたり、引っ込められたりし得る。神経突起の成長方向および速度は、基板、環境および基板の化学的勾配、電場、ホルモン、ならびに他の物理的、化学的および生物学的影響によって支配され得る。本明細書に用いられている限りにおいて、神経突起などの細胞突起の「成長」とは、これらの細胞突起の正常な活動である伸長および移動を含み、自発的に生じてもよいし、人工的に誘発または促進されてもよい。そのような成長は、本発明の装置および方法により誘導され得る。
【0026】
本発明の特徴を具体化する装置上での細胞突起の誘導された成長が図1Aに示されている。細胞突起(先端部に成長円錐30を有する神経突起28)を有する細胞26が基板12および微細パターン14と接触した状態で示されている。基板12上で神経突起28および成長円錐30が従う経路は、神経突起28および成長円錐30が凹部22および開口24に至るように微細パターン14によって誘導される。基板12の凹部22は支持層16を貫く通路を構成する開口24に通じている。図1Bに示されているように、凹部22の床32は、上に重なる基板12を有さない支持層16で構成されている。支持層16の開口24を取り囲む開口リム34が支持層16を貫通する通路を画定している。図1Aには1つの細胞と1つの神経突起しか示されていないが、複数の細胞、神経突起および成長円錐が基板12、凹部22および開口24と接触し得ることが理解されよう。神経突起は、図1Aに示されているように、微細パターン形成された成長因子の経路によって微細加工開口24に誘導され得る。
【0027】
図1Aの平面1C−1Cに沿って切取られた断面図である図1Cおよび図1Dに示されているように、開口24は、中間層18の壁38と基層20の壁40で画定されたリザーバ36内に開放している。リザーバ36を凹部22から分離するために開口24を横切る脂質二重層膜などの膜42を形成し得る。
【0028】
開口24を横切って配置されている膜42は、凹部22とリザーバ36との間の実質的にすべての物質の通過を阻止し得る。しかし、膜42は、すべての物質の通過を完全に阻止することなく、開口24を通る物質の通過を規制するのに有効な半透膜であってよい。例えば、膜42は、ある種の原子、分子およびイオンは通過させるが、他の原子、分子およびイオンの通過は制限する半透膜を形成し得る。脂質二重層膜はそのような特性を有し、特に、イオンチャンネルまたはキャリヤーなどの分子を含有する脂質二重層膜は、特定のイオンは容易に通過させ得るが、他のイオンの通過は制限または実質的に阻止する。脂質二重層膜は、当業では公知のラングミュア−ブロジェット法により形成され得る。例えば、モンタルおよびミューラー(Montal and Mueller),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,第69巻:3561〜3566ページ(1972年);モンタル,Meth.Enzymol.第32巻:545〜556ページ(1974年);およびリンドスロムら(Lindstrom et al),J.Biol.Chem.第255巻:8340〜8350ページ(1980年)参照。
【0029】
凹部22およびリザーバ36は、それぞれ溶液を収容することができ、凹部22内の溶液はリザーバ36内の溶液と同一であっても異なっていてもよい。溶液は、細胞の成長および増殖に適した生理溶液、例えば、生理食塩水であるのが好ましい。そのような溶液の例としては、リン酸緩衝生理食塩水、重炭酸イオン緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、シグマ ケミカル コーポレイション(Sigma Chemical Co.)、米国ミズーリ州セントルイス所在、カタログ番号D6546)、および当業では公知の他の溶液がある。
【0030】
溶液はさらに生物活性物質44を含み得るので、凹部22および/またはリザーバ36は生物活性物質を含有する。したがって、凹部22および/またはリザーバ36内に存在する生物活性物質は、開口24および膜42にアクセスし得る。例えば、リザーバ36は、ホルモン、リポソーム中の神経伝達物質、実細胞、またはニューロンを刺激する電位で保持され得るイオン溶液を含有し得る。したがって、開口22は、化学的相互作用、ホルモン相互作用、細胞相互作用、電子的相互作用または他の相互作用によって細胞を刺激するのに有効な刺激部位であり得る。いずれの場合にも、刺激部位は、ニューロンなどの単一細胞26に極めて特異的であり、体内の化学的シナプスまたはギャップ結合の長さスケールを模倣する。
【0031】
生物活性物質44は、膜42の透過性を調節したり、または、リザーバ36から凹部24もしくは凹部24からリザーバ36に物質を送出するのに有効な膜42との接触・融合を可能にし得る。生物活性物質44は、凹部24およびリザーバ36のいずれか一方にのみ存在する場合には、リザーバ36内に存在するのが好ましい。生物活性物質44は、α−ヘモリシン、グラミシジン、アラメチシンなどのチャンネル形成分子、もしくは他のチャンネル形成物質;薬剤、神経伝達物質、化学誘引物質、ホルモン、成長因子、接着分子、アミノ酸、糖、抗体などの物質;染料;細胞エネルギー源;または他の化合物を包含し得る。生物活性物質44は、ミセル、リポソーム、または、イオンチャンネル、受容体、もしくは分子を膜42と融合させて、その膜42に挿入し得る他の生物活性分子を含有する生物膜調製物であってよい。そのような生物活性物質は、細胞26を刺激するか、細胞の活性を修飾するのに有効であり得る。
【0032】
電極46を有する本発明の1つの実施形態が図1Dに示されている。電極46は、銀、塩化銀、クロム、スズ、インジウム、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、コロイド状粉砕カーボン、白金、パラジウム、金、アルミニウム、および他の元素、酸化物ならびに当業では公知の材料を含めた多様な材料のいずれかから製造され得る。電極46は、電源48からの電気信号を搬送し、電極間に電流を供給するか、または電圧を印加して、細胞26を刺激するか細胞の活性を変化させるのに用い得る。
【0033】
本発明の特徴を有する人工シナプスチップ上で成長する細胞、細胞の一部、または複数の細胞は、微小流体デリバリーシステムを介してリザーバ36および開口24に送出される神経修飾物質によって刺激され得る。図1Eに示されている人工シナプスチップ10は、リザーバ36および開口24に送出するための微細流路に(場合によりポンプ43により誘導される流体流状態で)流体39を運ぶように構成された流体導管41を備えたシステムの一部である。流体39は、好ましくは流体のpHを細胞の健康維持に適したレベル近くに維持するpH緩衝液を含む生体適合性流体、例えば生理食塩水であるのが好ましく、生物活性物質44、例えば、神経伝達物質、神経修飾物質、神経伝達物質を含有するリポソーム、および細胞に影響を与え得る他の物質を含み得る。供給量の流体39は、流体導管41または他の手段を介してポンプ43および微細な流路45に作動可能に連結された貯蔵所47に貯蔵され得る。流体出口49は過剰流体または廃液の排出または除去に用いられ得る。流体39を所望方向に流すのに有効なポンプは、流体流の誘導に適した任意の機構であってよい。流体流誘導機構は、流体を圧力差、浸透圧差により流動させるか、電気浸透手段を含めた電気的手段または他の方法で流体を誘導し得る。
【0034】
例えば、ポンプ43は、機械的ポンプ機構、例えば、圧電ポンプ、空気圧ポンプ、蠕動ポンプ、静電ポンプ、または電磁ポンプを包含し得る。あるいは、まはたそれらに加えて、ポンプ43は、例えば、流体力が、熱的手段、(浸透を含めた)化学的、音響的、磁気的、電気的、または電気浸透的な手段もしくは機構により生成される非機械的ポンプ機構を包含し得る。微細加工装置と共に用いるのに適したポンプ、特に電気浸透ポンプは、アンダーソンら(Andersson et al),Sensors and Actuators B 第72巻:259〜265ページ(2001年);モーフら(Morf et al),Sensors and Actuators B 第72巻:266〜272ページ(2001年);モーフら,Sensors and Actuators B 第72巻:273〜282ページ(2001年);およびゼンら(Zeng et al),Sensors and Actuators B 第82巻:209〜212ページ(2002年)で論じられている。
【0035】
例えば、ポンプ43を備えたシステムの一部が図1Fに示されている。このシステムは、窒化ケイ素基板16のパターン14上で成長する成長円錐30を備える細胞を有する人工シナプスチップ10と、緩衝液注入口41Aおよび伝達物質注入口41Bの2つの部分からなる流体導管41とを有する。緩衝液注入口41Aに接続されている緩衝液を収容する貯蔵所47と、伝達物質注入口41Bに接続されている伝達物質溶液を収容する貯蔵所47は示されていない。図1Fに示されているポンプ43は、流体の液滴を噴射するインクジェットプリンターに用いられるものと類似のマイクロ・エレクトロメカニカル(MEM)ポンプである。そのようなポンプは、例えば、カミスキら(Kamisuki et al)に付与された米国特許第5,734,395号に記載されている。図1Fに示されているようなMEMポンプは、シリコンダイヤフラム51と、対電極53と、ダイヤフラム構造の上に形成された微細流路55とからなる。ダイヤフラム51の上方の微細流路55領域は、流体39で満たされ、貯蔵器47(図示せず)と流体が流れるように連通している。流体は、例えば、神経伝達物質、神経修飾物質、シナプトソームであってよい生物活性物質44、または任意の種類の生物活性物質を含むリポソームを含有する。ダイヤフラム51は、初期には、水平(非屈曲)形状である。ダイヤフラム51と対電極53の間にわずかなバイアス電圧を印加することは、ダイヤフラム51を図1Fに示されているように下方に屈曲させ、それによってダイヤフラム51上の微細流路55領域の容積を増大させて流体39を貯蔵器57から伝達物質注入口41Bに沿って引き込むのに有効である。バイアス電圧を除去すると、ダイヤフラム51が弛緩して元の位置に戻り、流体を微細流路55からリザーバ36および開口24方向に押し流す。したがって、流体中の神経伝達物質44はリザーバ36近くに輸送され、リザーバ36および開口24内に拡散して成長円錐30と接触し、細胞に作用する。このようにして、例えば、神経伝達物質の短パルスを開口24を横切って成長する部分を有する細胞に送達し得る。人工シナプスチップのいくつかの実施形態において、導管41は、伝達物質注入口41Bだけを有するであろうが、他の実施形態、例えば図1Fに示されている実施形態では、導管41はさらに緩衝液注入口41Aを有する。緩衝液注入口を通過する緩衝溶液流は、微細流路45を緩衝液で洗い流す役割を果たし、神経伝達物質44を除去して、これらの物質の作用を低下または終了させる。そのようなフラッシングは、システムを神経伝達物質44の次のパルスに対して準備させると共に、前のパルスの作用を終らせる役割も果たす。
【0036】
開口24を介した神経伝達物質44の拡散は、例えば、わずか約500nm厚のこともある開口の細さのために極めて高速であり得る。MEMポンプ43のダイヤフラム51は、高周期で流体を排出させるために、高周期で屈曲し得る。生物活性物質44(例えば、神経修飾物質または神経伝達物質44)のパルスは、1秒当たりわずか数サイクル、すなわち数ヘルツ(Hz)から約数百kHzの範囲の周波数を含む高周波数で送出され得る。そのような高速信号伝達は、イン・ビボで脳や網膜に見出される高速信号伝達速度に一致する。
【0037】
生物活性物質44の濃度は、MEMエジェクタパルス周波数、微細流路45を通過する流体の流速、さらに電気浸透流が生成する場合には任意の緩衝液チャンバ電極上の電圧を含むいくつかの要素によって決定される。開口24における生物活性物質44の濃度は、一部には、濃度に影響を受ける拡散速度によって決まる。ポンプ43の大きさ、例えば、伝達物質注入口41Bの出口57の直径によって決まるエジェクタ直径は、数ミクロン(μm)〜数百μmの範囲であり得る。この大きさは、微細流路の要求容量によって異なり得る。
【0038】
図1Fに示されているようなポンプ43およびシステムの性能は、使用される設計や材料、およびシステム使用時に用いられる流体に応じて異なる。例えば、システムが経験する制動は、流体粘度、および微細流路45の形状寸法、微細流路55の形状寸法、ならびに他の部品の形状寸法を含むいくつかの要素に関連する。所望の性能を得るために、好ましいシステムは、リシリコン製のダイヤフラム51と、狭い微細流路55と、ダイヤフラム51と対電極53との間の初期の離間距離を小さくすることとから構成される。ポリシリコンダイヤフラムの動作を起動させるしきい値電圧は存在しないので、MEMエジェクタポンプは、10−18〜10−21リットル容量程度の小容量を排出し得る。ダイヤフラム51の大きさのコンデンサを僅か数分の1ボルトに充電するのに要する電力は約1ピコワットである。したがって、ナノワットの電力を生成し得るアバランシェ・フォトダイオードなどの単一のフォトダイオードは、数百、または数千個ものそのようなMEMポンプを充電して細胞に生物活性物質を送出することができる。
【0039】
したがって、ポンプ43を作動させる電力は、図1Fに示されているようなフォトダイオードアレイ59のフォトダイオードから得られる。したがって、そのようなアレイ59に連絡する光は、生物活性物質44を含有する流体を、生物活性物質44が開口24を通って流動かつ拡散して、例えば、開口24を横切って成長する成長円錐30と接触し得る微細流路45に揚送するように構成されたポンプ43を作動させるのに有効である。このように、例えば、人工シナプスチップ10は、光信号を生体信号に変換するのに用られ得る。また、一連の人工シナプスチップ10、またはそのようなチップを有する一連のシステム、または一連の開口を有する単一もしくは複数の人工シナプスチップも光信号を生体信号に変換するのに用られ得る。これに代わって、またはそれに加えて、電気信号を用いて、細胞の成長を誘導するように、例えば、細胞成長を電極に導くように構成された人工シナプスチップ上で成長させた細胞または細胞成長を刺激し得る。
【0040】
人工シナプスチップ10などの装置の構築に必要な部品および機構は、一般に「微細加工」または「ナノ加工」技術と称されている方法を用いて作製し得る。本発明の実施に有用な微細加工法は、例えば、シンヴィら(Singhvi et al)に付与された米国特許第5,776,748号;ホワイトサイズら(Whitesides et al)に付与された米国特許第5,900,160号;ヒドバーら(Hidber et al)に付与された米国特許第6,060,121号;ホワイトサイズらに付与された米国特許第6,180,239号;“Patterning of a Polysiloxane Precursor to Silicate Glasses by Microcontact Printing”、マーツォリンら(Marzolin et al),Thin Solid Films 第315巻,9−12ページ,1998年;“Microfabrication,Microstructures and Microsystems”,キンら(Qin et al);In Microsystem Technology in Chemistry and Life Sciences,第194巻,マンツ エイ(Manz,A.)およびベッカー エイチ(Becker,H.)編;Springer−Verlag,Berlin,1〜20ページ,1998年;“Unconventional Methods for Fabricating and Patterning Nanostructures,”シャーら(Xia et al),Chem.Rev.第99巻:1823〜1848ページ(1999年)に見出され得る。上述のものおよび後述のものを含むすべての特許および刊行物は、本明細書にそれらの全文が文献援用される。そのような微細加工法を用いて構築され得る精巧な微細構造は、人工シナプスチップ10などの装置の作製および基板の修飾に用られ得る。以下の図面に示されている構造は、スタンフォード大学ナノファブリケーション施設(Stanford Nanofabrication facility)(リーランド・スタンフォード・ジュニア・ユニバーシティ(Leland Stanford Junior University),米国カリフォルニア州 94305 スタンフォード所在)を用いて作製した。
【0041】
本発明の特徴を具体化するASCの窒化ケイ素支持層16に形成された開口24が図2Aに示されている。図2Aの図面は、図1Bに示されている図と同じ配向であり、ASCの細胞接触面に面する開口24を示している。開口は直径が約10μmである(スケールバーは1μmを表す)。開口24は凹部22の露出された床32にリム34で囲まれている。図2Aに示されている小縮尺では、開口24は外形も表面も極めて平滑である。解像度を向上させるために、先ず、装置を金でコーティングした。この加工に用いたプラズマエッチングでは開口に垂直な側壁が形成されないことに留意されたい。側壁のアスペクト比はおおよそ2.5:1である。図2Aに示されている開口24の実施例は窒化ケイ素製の支持層16を貫通する通路を形成しているが、ポリマーやガラスなどの他の材料を用いてもよい。
【0042】
凹部22の反対側に微小流体リザーバ36が接続され得る。リザーバ36は、神経修飾物質の水性溶液または水性懸濁液を収容し得る大きさを有するように構成され得る。開口24は、神経修飾物質をリザーバ36から細胞26の少なくとも一部に送出する導管となる。さらに、他の導管および流体デリバリーシステムを用いて、開口24、リザーバ36もしくはそこに隣接する所望の場所、または他の場所に流体および神経修飾物質を輸送し得る。例えば、流体および/または神経修飾物質の予備を含有する貯蔵器が開口から離れた場所にある場合、貯蔵器とリザーバ36および開口24とを導管で作動可能に接続し得る。
【0043】
図2Bは、底に微小開口を有する微細加工ウエルの走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、ASCの細胞接触基板面12と反対側の面から見た本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップのリザーバ36を示している。人工シナプスチップ10のトランス側から見たリザーバ36のこの顕微鏡写真は、図2Aより大きい縮尺で示されており、開口24を取り囲む平滑な窒化ケイ素表面を示している。中間層18の壁38と基層20の壁40とは、示されているわずかな基層20が壁38と壁40のフレームを形成した状態で示されている。黒い点は、細胞を付着させて刺激するように構成された開口24(この倍率では明瞭には見えない)を示している。リザーバ36は細胞培養液を保持するように設計されている。ウエルの底の大きさは直径1mmである。
【0044】
図1A、図1Bに示されているように、ASC10の基板12は、成長円錐30有する神経突起28などの細胞突起の成長を案内し、誘導するのに有効な微細パターン14を有し得る。そのような有向細胞成長が図2Cに示されており、図2Cは、ラミニンパターンでパターン化されたプラスチック基板上で成長させたラットP7網膜神経節細胞(RGC)を示す走査型電子顕微鏡写真である。図2Cの左下の挿入図は、RGCを付加する前に基板上に微細加工された鋸歯状パターンを示している。電子顕微鏡写真に示されているように、細胞体も細胞突起もこのパターンに非常に近接して従っている。スケールバーは100μmの長さを表す。
【0045】
ASC10の支持層16を貫通する微細加工開口24上で細胞を成長させることもできる。図2Dは、窒化ケイ素表面の5μm径開口を覆って成長しているPC12細胞を示している。開口24の下のリザーバ36の境界は図2Dの縁部に見られる。
【0046】
微細パターン14の好ましい形成法は、基板12と、基板12上に被着させるための、不連続な集合であってよい規則正しい分子の集合を有するマイクロコンタクトプリンティングスタンプとを接触させる方法である。微細加工法は、マイクロコンタクトスタンプの作製に適している。図3は、表面に微細パターン14を形成するための本発明の特徴を具体化するスタンプの平面SEM図である。その表面トポロジーは四角のアレイによって形成されている。スタンプ表面に材料を被着させ、図1に示されている人工シナプスチップなどの装置の基板12とスタンプとを接触させる方法は、基板12上に微細パターンを形成するのに有効である。このような微細パターンの形成は、1つのマイクロコンタクトプリンティング法である。そのようなマイクロコンタクトプリンティング法で形成された微細パターンは、基板上の細胞の位置および成長を整列させるのに有効である。図3に示されているのは、シリコンウエーハから微細加工されたマスターから作製されたポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)スタンプの走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像である。図3に示されているマイクロコンタクトスタンプは、一連の四角形で形成された表面トポロジーを有する。マイクロコンタクトスタンプ表面には、円形、楕円形、ストライプおよび他の形状を含む他のパターンが形成され得る。
【0047】
図3に示されているものなどのマイクロスタンプは、フォトリソグラフィー法を用いて作製され得る。例えば、図3に示されているスタンプは、マイクロプリンティング用マスターを形成するようにパターン化されたシリコンウエーハ上の薄い(1〜7μm)フォトレジスト層から形成した。マスクおよびスタンプマスターは、スタンフォード大学ナノファブリケーション施設で作製した。マスターパターンは、細胞を付着させ、ニューロンを成長させるように構成された線配列からなる。マスターは、シリコン上のポジ型フォトレジスト上のマスクを紫外線(UV)エッチングすることによって作製し、PDMSスタンプは、Sylgard 184シリコーンエラストマーを用いてマスター上でイン・シトゥ作製してから熱硬化させた。また、スタンプは、シリコンマスター上にエラストマーと硬化剤を一緒に流し込んでPDMSを形成し、脱気し、室温下で硬化させて作製した。次いで、PDMSの一部を切断してスタンプを作製した後、タンパク質の吸着を促進するためにプラズマ処理して疎水性を高め、SEMを用いて作像した。
【0048】
これらの方法により、多様な異なるスタンプパターンを形成し、神経突起の成長に最適な線幅または厚さ、長さおよび間隔に適合させ得る。例えば、数ナノメートル(nm)〜数百マイクロメートル(μm)幅の範囲の線幅、好ましくは、約10nm〜約20μmの範囲の線幅を用い得る。線は、数nm程度の短いものから数ミリメートル程度の長いものであってよいが、線長は約10nm〜約100μm長の範囲であるのが好ましい。パターンの線間隔は、約1μm〜数百μmの範囲であってよいが、線間隔は約2μm〜約100μmであるのが好ましい。
【0049】
スタンプを微細加工した後、スタンプを基板12上に被着させたい分子でコーティングして微細パターン14を得た。微細パターンは、生物活性分子や、神経伝達物質、ホルモン、成長因子、例えば、神経成長因子、上皮成長因子およびインスリン様成長因子、共刺激分子、抗体、ならびに当業では公知の他の生体分子などの物質を包含し得る。例えば、スタンプは細胞の接着を促進する接着物質でコーティングされ得る。接着物質としては、ポリ−L−リシン、cell TAK(商標)(ベクトンディッキンソン社(Becton Dickinson))(米国ニュージャージー州フランクリンレイクス(Franklin Lakes)所在)、細胞接着分子、例えば、神経細胞接着分子(NCAM)、レクチン、および当業では公知の他の接着物質がある。接着物質は、視覚化するためにフルオレセインで標識してもよい。微細パターンは、ガラス、シリコン、窒化ケイ素、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリラクチド、Teflon(登録商標)、他のポリマー、または細胞成長用基板として用いるのに適した任意の基板上にスタンプされ得る。例えば、コーティングされたスタンプを窒化ケイ素支持層上のポリイミド基板と接触させて、細胞の接着および成長を促進する基板を得ることができる。細胞の接着および成長は蛍光顕微鏡でモニターし得る。接着物質を視覚化するための蛍光信号を得るために、水銀ランプを用いてポリ−L−リシンまたは他の微細パターン分子に結合させた蛍光染料を励起してもよい。
【0050】
動物内移植用システム50が図4に示されている。このシステムは、種々の実施形態で動物の網膜に移植される。システム50は、ASC52と、感光素子54と、ASCと感光素子との通信リンク56と、電源58とを有する。感光素子54は、ASC52から分離していてもよいし、ASC52と接触していてもよいし、またはASC52の一部を構成していてもよい。感光素子54は、光電子倍増管、半導体光検出器、化学光検出器、セレニウムもしくは他の光電池などの金属光検出器、または当業では公知の他の光検出器であってよい。通信リンク56は、任意の導電体、例えば、ワイヤ、トレーシング、または他の電気的リンクであってよい。いくつかの実施形態において、通信リンク56は、光検出器がASC52の少なくとも一部に化学信号を送るように化学環境を変える化学的通信リンクである。電源58は、任意の電源、例えば、バッテリー、温度勾配により電力を生成し得る火力電源、または光からエネルギーを生成し得る光電池であってよい。
【0051】
図5Aは、ASC62が移植された動物の眼60を示している。ASC62は動物の網膜下腔64に移植された状態で示されており、その結果、ASC62は網膜光受容体66と網膜色素上皮68との間の位置している。本発明のいくつかの実施形態において、ASC62は、硝子体74の境界近くの内境界膜72上の神経節細胞層70近くに移植され得る。網膜下腔64および移植されたASCの詳細図が図5Bに示されている。
【0052】
ASCは動物の神経系への移植に用いられ得る。例えば、本発明の特徴を具体化するASCは、動物の網膜に移植して、網膜の外傷、疾患または変性部位に人工神経を提供し得る。パターンは、神経成長因子、脳由来成長因子(BDGF)、上皮成長因子(EGF)、毛様体神経向性因子(CNTF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、NT−3、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、その他を含むニューロトロフィンおよび成長因子;例えば、サイクリックアデノシンモノホスフェート、サイクリックグアノシンモノホスフェートなどのサイクリックヌクレオチド;例えば、ラミニン、テネイシン、コラーゲン、フィブロネクチン、インテグリン、(細胞接着分子N−CAMおよびL−CAM、アキソニン(axonin)、カドヘリン、などを含む)イムノグロビン(immunoglobin)、プロテグリカン、アノスミン(anosmin)−1、トロンボスポンジンなどの細胞外マトリックス分子、;例えば、ミエリン関連糖タンパク質およびnogoなどのミエリンおよびミエリン関連インヒビター;例えば、エフリンのようなチロシンキナーゼ受容体;ネトリン;例えば、トランスフォーミング成長因子α、白血病抑制因子(LIF)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキンなどの炎症性サイトカイン;例えば、アセチルコリンなどの神経伝達物質;例えば、塩化カリウム、インスリンなどの刺激分子;共刺激分子、抗体、ならびに当業では公知の他の成長因子および修飾因子などの単一分子または分子組合わせを包含し得る。
【0053】
網膜移植などの移植時に基板を利用する場合、スタンプから細胞系への転写用パターンの保持率を最適化することが重要である。マイクロプリントされる線当たりの神経突起数の制御には、生体分子の線幅および濃度を用い得る。パターン転写度は顕微鏡検査を用いて測定し得る。
【0054】
図1に示されているように、本発明の装置の凹部22およびリザーバ36は、神経修飾物質を貯蔵したり、神経修飾物質を細胞の少なくとも一部に送出したりするのに適している。本発明は、細胞突起の成長をナノ開口に誘導し、ナノ開口を介して神経修飾物質を細胞突起に送出することにより、神経修飾物質の送出を単一細胞、特にそのような細胞の局所部分に誘導する能力を提供する。適当な神経修飾物質としては、細胞を刺激するか、細胞刺激に有効な他の物質の作用を修飾するのに有効な任意の物質がある。例えば、神経修飾物質は、神経伝達物質、ホルモン、イオン、メッセンジャー分子、核酸、核酸ベクター、薬剤、細胞、細胞フラグメント、細胞オルガネラ、リポソーム、または他の生物活性物質であってよい。神経伝達物質などの神経修飾物質としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、およびグリシンなどのアミノ酸や、関連神経伝達物質、および刺激物質、例えば、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサロンプロピオン酸(AMPA)、キスカル酸(quisqualate)、およびカイニン酸(kainate)やそれらの類似体、ならびに当業では公知の他のグルタミン作動性およびグリシン作動性物質;コリン作動性物質、例えば、アセチルコリン、スベリルジコリン(suberyldicholin)、それらの類似体および当業では公知の他のコリン作動性物質;アドレナリン作動性物質、例えば、ドーパミン、エピネフリン、ノルアドレナリン、それらの類似体、および当業では公知の他のアドレナリン作動性物質;セロトニン、および当業では公知のセロトニン作動性物質;γ−アミノ酪酸(GABA)および当業では公知の他のGABA作動性物質;タウリン、オクトパミン、リン酸ヌクレオチド、例えば、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)ならびにグアノシン二リン酸(GDP)およびグアノシン三リン酸(GTP)、サイクリックヌクレオチド、例えば、サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)およびサイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)、ならびに当業では公知の他の神経伝達物質および神経修飾物質分子がある。さらに、神経伝達物質には、神経伝達物質受容体で活性であるすべての物質、例えば、グルタミン酸受容体、NMDA受容体、AMPA受容体、グリシン受容体、ドーパミン受容体、アセチルコリン受容体、および当業では公知の他の物質が含まれる。神経修飾物質としては、さらに、ペプチドホルモンおよび神経修飾物質、例えば、エンケファリン、エンドルフィン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、および当業では公知の他のペプチド、ステロイドホルモン、セカンドメッセンジャー、例えばイノシトールリン酸およびイオン、例えば、カルシウム、カリウム、亜鉛およびそれらの塩を含むメッセンジャー物質がある。これらの物質は、水性溶液もしくは水性懸濁液中に遊離しているか、ミセル中に存在するか、またはリポソームに保持されているであろう。
【0055】
当業では公知のように、リポソームは、親水性化合物と疎水性化合物のどちらを送出するのにも適した小さい膜小胞である。リポソームベースの薬剤投与システムは、例えば、グレゴリアディス ジー(Gregoriadis,G.)(編)Liposome Technology,第2巻,Incorporation of Drugs,Proteins and Genetic Material,CRC Press 1984年、およびナイト シー ジー(Knight C.G.)(編),Liposomes:From Physical Structure to Therapeutic Applications,Elseview 1981年に記載されている。本発明の実施に適した神経修飾物質としては、さらに、例えば、コロナードら(Coronado et al)J.Gen.Phys.第76巻:424〜446ページ(1980年)に記載されているようなイオンチャンネル、受容体、または他の生物活性分子を含有する生物膜製剤がある。そのような生物膜製剤は、分子を開口24を横切る膜42、または、細胞26、神経突起28もしくは成長円錐30の膜と融合させて、その膜内に分子を挿入し得る。例えば、グラミシジン、アラメチシン、および当業では公知の他の分子は、本発明のこの実施形態の実施に適した細孔形成分子である。本発明の実施に適したイオンチャンネル分子としては、サイクリックヌクレオチド依存性チャンネルを含むリガンド依存性イオンチャンネル、カルシウム活性化チャンネル、ACHRイオンチャンネル、すべてのNMDA、AMPA、キスカル酸、カイニン酸サブタイプを含むグルタミン酸受容体イオンチャンネル、グリシン受容体イオンチャンネルおよび電位依存性イオンチャンネル分子などの多量体巨大分子集合体、ならびに、ナトリウムチャンネル、カリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、塩化物チャンネル、および、ギャップ結合チャンネル、機械受容チャンネル、非依存性および非選択性チャンネルを含む他のチャンネルなどの多量体巨大分子集合体(multi−subunit macromolecule assemblies)がある。アンフォテリシンなどの担体分子も適当である。あるいは、膜形成物質の一部として既に組み込まれている細孔形成物質(pore−formers)や担体などのタンパク質で膜を形成してもよい。例えば、シンドラー(Schindler),Methods Enzymol.第171巻:225〜253ページ,1989年参照。
【実施例1】
【0056】
開口の微細加工
スタンフォード大学ナノファブリケーション施設を利用して、シリコンチップ表面に微細加工開口を形成した。微細加工開口を有する微細加工ウエルが図2に示されている。標準シリコン加工技術を、窒化ケイ素膜にマイクロメートルサイズおよびナノメートルサイズの開口を形成するように適合させた。低圧化学蒸着(LPCVD)を用いて、<100>方向シリコンウエーハ表面上に窒化ケイ素を成長させた。リソグラフィーにより感光性ポリマーの構造を画定し、その後、プラズマエッチングにより窒化ケイ素に構造をパターン化して、シリコンウエーハの一方の面に開口を、他方の面にエッチング液マスク層を形成する。{111}結晶面に沿ってシリコンを除去するが、窒化ケイ素は影響を受けないまま残るように、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの異方性エッチング液を用いた。これによって、開口の下にバイアホール(接続通路)が形成され、窒化ケイ素膜が露出され、処理が完了した。
【0057】
図2Aに示されているのは微細加工容器のSEMである。矢印で示されている黒いスポットは、細胞を付着させて刺激するように適合された微細エッチング開口であることに留意されたい。ウエルは細胞培養液を保持するように設計した。ウエルの底の大きさは直径1mmである。図2Bは図2Aに示されている容器の底の微小開口を示している。微小開口は直径約10μmである。図には示されていないが、開口の反対側は、微細流路を有するPDMSスタンプをこの基板の下側にシールして形成された微細流路リザーバに接続されている。
【0058】
導管すなわちバイアは、基板に付着している細胞に加え得る神経修飾物質用リザーバとしての役割を果たす微細流路に向かって開放している。微細流路は、上述のような標準PDMSスタンプから形成され、ウエーハにシールされた。そのような微細流路は、優れた封止性をもってウエーハに容易にシールすることができる。例えば、1つの流路を有するPDMSスタンプを酸洗浄(例えば、HCl)後の窒化ケイ素表面に接着し、プラズマ処理して、不可逆結合を形成し得る。上記微細流路は、(1)細胞の反対側からの廃棄物を恒常的に補充/交換するための多目的緩衝液リザーバとしての役割を果たすこと、(2)伝達物質、リポソームの送出、細胞の電圧/電流測定、または(3)細胞から放出される産物のサンプリングを含む、広範囲にわたる使用上の派生効果を有する。
【0059】
開口は、細胞を成長させ得る数nm〜数十μmの範囲の大きさに形成され得る。例えば、50nm開口上に細胞を直接成長させ得る。ニューロンの長さスケールより小さい開口の使用は、確実に単一細胞だけを刺激するのに有効である。
【実施例2】
【0060】
装置の作製および最適化
この実施例では、微細加工開口を横切る二重層膜の形成に用いる本発明の特徴を具体化する装置の作製および最適化を説明する。表面積が約1cm、最終厚さがおよそ0.5mmのチップを作製した。500nm厚の窒化ケイ素に25μm〜250μm(直径)の円形開口をプラズマエッチングした。1つの側面上の露出された窒化ケイ素500μmの四角形領域を除いて、チップを高粘度ポリイミドで被覆した。
【0061】
スタンフォード大学ナノファブリケーション施設(SNF)で、公称500μm厚、10.16センチメートル(4インチ)、<100>方向、ホウ素ドープの、ダブルポリッシュシリコンウエーハを用いて作製を行った。低圧化学蒸着(LPCVD)により、ウエーハ表面に窒化ケイ素の薄膜(500nm)を成長させた。小さいフィーチャ(例えば、開口)の画定には、標準コンタクトフォトリソグラフィーおよび窒化ケイ素のプラズマエッチングを用いた。ウエーハ背面の大きなフィーチャも、同様に、背面整合、コンタクトフォトリソグラフィーおよびプラズマエッチングを用いて画定した。
【0062】
シリコンを、ウエーハ表面に対して54.7°の角度で{111}面に沿って異方性エッチングした。ウエーハ背面の四角形の孔は、開口より大きく、開口を中心とした180μmの四角形を形成するように選択した。これによって、シリコン支持材の無い領域に自由に広がる薄い窒化ケイ素膜が残る。窒化ケイ素の高引張強さのために、この窒化物膜は極めて強力かつ安定であり、処理中にかかる力に容易に耐えることができる。
【0063】
フィーチャが窒化ケイ素で画定された状態で、ウエーハを100℃の20%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)中に約6時間にわたって配置した。窒化ケイ素はマスクとしての役割を果たし、TMAHはウエーハを{111}結晶面に沿って異方性エッチングした。
【0064】
露出されたシリコンは導電性なので、表面を酸化して静電容量およびノイズを減少させる必要があった。これは、1100℃で4時間の水蒸気酸化で達成され、〜1.1μmの酸化物を得た。最後に、静電容量をさらに減少させるために、感光性ポリイミド(Durimide 7520、アーチケミカルズ社(Arch Chemicals)ベルギーのツバインドレフト(Zwijndrecht)所在)を30〜70μm厚にスピンコートし、コンタクトアライナー下で露光、現像、硬化させて、15〜35μm厚のコーティングを得た。
【0065】
次いで、疎水性表面を得るために、チップをヘキサデカン(シグマ社(Sigma)、米国ミズーリ州セントルイス所在)、クロロホルムおよびオクチルトリクロロシラン(アルドリッチ社(Aldrich)、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー所在)の80:19:1(体積)比の混合物中に片面当たり15分間浸した。クロロホルム中で2回各5分間リンスして処理を完了した。〜5μlの水滴をたらして、接触角が90°を超えることを確認してコーティングを試験した。
【0066】
シリコンの1つの利点は、その二重層支持隔壁(BSP:bilayer supporting partition)の厚さを制御できることである。窒化ケイ素BSPの厚さは、隔壁が薄くなるほど、溶剤トーラス(solvent torus)が小さくなり、二重層面積が大きくなるという想定のもとに、二重層形成用開口(6〜25μm)の形成に用いられるTeflon(登録商標)隔壁より1桁小さい厚さになるように選択した。隔壁はそれでも2〜4nmの二重層より2、3桁大きいので、隔壁のエッジから二重層まで脂質を屈曲させることがまだ必要である。しかし、この屈曲距離が小さくなると、二重層面積は開口サイズより大きくなる。これが安定性に与える影響はまだ解明されていないが、それによって、タンパク質挿入領域が大きくなり、より小さい開口を横切る二重層を形成することができる。
【0067】
ASCはニューロンを正確に刺激し、高感度の電気測定を行い得る筈である。どの電気回路でも、過剰な静電容量は電気ノイズを増大させることにより問題をもたらし得る。過剰な静電容量は、(1)この静電容量と直列のアクセス抵抗による電気ノイズ、および(2)ASCの開口を横切って脂質二重層を形成する場合、バックグラウンドの膜静電容量を観察することができないという2つの理由で問題である。シリコンは室温下では導体であるから、浴が少しでもシリコンに接触すると、チップの全領域がシステムに効率的に接続される。500nmの窒化ケイ素(ε=7.5)を有する1cmのチップは、25μm径の二重層の静電容量より3桁大きい13nFの静電容量を有する。
【0068】
しかし、電荷担体含有溶液中の薄いBSPは大静電容量を有し、この静電容量は、細胞の正確な電気測定または電気刺激が求められる場合に問題をもたらすことがある。この問題の解決策は2つあることが判明した。第1に、シリコンと浴との電気接続を除去するために、ウエーハを1100℃の蒸気に暴露し、暴露されたすべてのシリコン表面にわずか1ミクロンあまりの酸化物を得た。これによって、システムが事実上シリコン導体を介して直列接続された2つの窒化物コンデンサとなるために、静電容量が2分の1に減少した。しかし、これは、浴がシリコンと接触するときに生じるであろう不連続性を除去することにより、システムの静電容量モデルを単純化する。
【0069】
第2に、ポリイミド層を塗布して静電容量を減少させた。標準リソグラフィーを用いて処理し得るネガ型感光性ポリイミド(ε=3.5)を選択した。30〜100μmのポリイミドを塗布し、硬化させると、15〜50μmになる。さらに、硬化ポリイミドは耐溶媒分解性が高い。この設計では、開口を被覆しない500μm×500μmの窒化物が残る。チップの5mm×5mmだけが溶液に暴露されるように溶液レベルを操作して、35μmのポリイミドの静電容量をわずか22pFに減少させた。
【実施例3】
【0070】
窒化ケイ素開口を横切る二重層の形成
モンタルおよびミューラー(1972年)の方法に従って脂質二重層を形成した。ラングミュア−ブロジェット法を実施する際に、開口を横切る2つの脂質単層を形成し、開口を横切る脂質の疎水性尾部を整列させて、脂質二重層を形成する。脂質尾部は疎水性なので、安定な二重層を形成するためには、BSPの表面も疎水性でなければならない。基板が疎水性であれば、脂質は基板のコーティングから開口に跨るまで円滑に移行することができる。天然の親水性窒化ケイ素の濡れ性を逆転させるために、窒化ケイ素をアルキルシラン(オクチルトリクロロシラン)でコーティングした。このようなコーティングは極めて簡単かつ有効であった。未処理の装置に二重層を形成することは不可能であると判明した。炭素鎖がもっと長いシランまたは代替材料を用いて表面をさらに疎水性にすれば、二重層の安定性がさらに高まるであろう。
【0071】
これらの装置の特性が表1に示されている。ポリイミドの厚さをさまざまに変えて、本発明のチップのバックグラウンド静電容量モデルを検証した。このモデルは、浴が5mm×55mmのチップに接触する本発明のチャンバをベースとしている。浴および増幅器の固有静電容量は、測定すると7.2pFであり、この数値に含まれる。50μm開口の装置に関しては、ポリイミドが32μm厚の場合、このモデルは、6μm厚のTeflon(登録商標)の77pFに比べて、45pFのバックグラウンド静電容量を生じる。
【0072】
【表1】
Figure 2004533837
測定した全静電容量と計算したバックグラウンド静電容量の差を単純に開口面積で割って二重層の固有の静電容量を決定した。この数は、0.64〜0.70μF/cmの範囲であり、他の人工二重層実験で得られた数値と十分に一致する。全静電容量は、二重層の薄層化による変化を回避するために、二重層形成後数分以内に測定した。開口面積が小さくなるにつれ、二重層静電容量がバックグラウンドに関してかなり小さくなり、固有の静電容量に大きな誤差が生じたことに留意されたい。
【0073】
任意のチップ上の二重層形成に関する実証的証拠は3つあった。最大サイズの開口の場合、二重層に起因する静電容量の変化は容易に識別可能であった。0.65μF/cmという典型的な固有静電容量値に関して、100μm開口上の二重層が51pFの静電容量を有するであろうことは、65pFのバックグラウンドから容易に分る。さらに、1GΩより大きい開口の通過抵抗は二重層の存在を示している。全開口サイズに関して、少なくとも2.5GΩの「ギガシール」が観察されたが、これは、二重層の形成を示している。
【0074】
より小さい開口に関しては、バックグラウンドから静電容量の変化を観察するのはより難しかった。この場合、担体およびイオンチャンネルなどの二重層の電気特性に影響を与える膜結合タンパク質によって二重層形成についての最良の証拠が得られた。使いやすさとコンダクタンスの変化が大きいという理由で、イオンチャンネルペプチドであるグラミシジンD(gD)を選択した。グラミシジンDが電流の流れを増大させるためには脂質二重層膜が必要である。各バッチに、エタノール中2mg/mlのgD(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス所在)5〜20μlを添加すると、二重層のコンダクタンスは数分以内に劇的に増大したが、静電容量は依然として変わらなかった。エタノールだけを添加しても何の影響も与えなかった。したがって、(コンダクタンスの増大によって測定された)印加電位に応答した電流の流れの増大は、真の脂質二重層が形成されていたことを示していた。
【0075】
個々のイオンチャンネルまたは細孔を観察するには、電気ノイズを出来る限り小さくすることが必要である。環境原因および静電容量ノイズの他に、2つの主要電気ノイズ源、すなわち、シリコン中の光キャリヤーおよびアクセス抵抗が存在する。第1のノイズ源である光は、チップに入ってくる光がバンドギャップを越えてキャリヤーを励起したときに生成され、2つの窒化物層間に電荷の変動を引き起こす。光の起源と強度に応じて、生成されるノイズは、数十〜数百ピコアンペアの最大振幅がある。室内照明器具を消すか、装置を耐光ボックスに入れるだけでノイズ源に起因する電気ノイズを減少させのに十分であった。
【0076】
他の電気ノイズ源は、二重層静電容量と直列に存在する浴のアクセス抵抗によるものであった。全アクセス抵抗(Ra)は、3つの要素、すなわち、バルク浴抵抗率(32 A−cm)、開口内の浴抵抗率、および開口に対するアクセス抵抗を含んでいる。小さなアクセス抵抗に関しては、アンペアrmsで表される 予想ノイズは、以下の通りである。
【数1】
Figure 2004533837
【0077】
(式中、fは測定帯域幅である)
であった。
試験した各チップに関するこの計算結果が表1に示されている。50μm開口に関して、この計算による予想は1.4pA rmsであったが、実際に測定された値は1.8〜2.4pAであった。この差は局所的な環境ノイズに起因するものであった。
【実施例4】
【0078】
二重層の安定性および寿命
モンタルおよびミューラー(1972年)の方法に従って二重層を形成した。先ず、1:9(v:v)のヘキサデカン:ヘキサン(バーディック & ジャクソン社(Burdick & Jackson))(米国ミシガン州ムスケゴン(Muskegon)所在)で開口を前処理した。シリコーン高真空グリース(ダウコーニング社(Dow Corning))(米国ミズーリ州ミッドランド(Midland)所在)で2つのTeflon(登録商標)浴の間にチップを取り付けた。各浴に1M KClを開口のすぐ下まで充填した。各浴に、クロロホルム中10mg/mlの1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロホスホコリン(1,2-diphytanoyl-sn-glycerophosphocholine)(アバンティ ポーラー リピッズ社(Avanti Polar Lipids)、米国アラバマ州アラバスター(Alabaster)所在)の溶液5μlを加え、蒸発させた。各浴の水位を上げると、装置の容量およびコンダクタンスで立証されたように、開口を横切る脂質二重層が形成された。
【0079】
長期間にわたって安定であると思われる二重層の形成を支持する能力は、どの支持基板に関しても重要な特性である。ASC上に形成された脂質二重層膜は極めて安定であると判明した。ASCは、安定性の点でTeflon(登録商標)隔壁に比べて2つの利点を有することが分った。第1に、ASC上に形成された脂質二重層膜は、Teflon(登録商標)隔壁上に形成されたものより薄かったが、より剛性である。Teflon(登録商標)隔壁は圧力変動によって撓むのに対し、窒化物は比較的撓まない。第2に、窒化物表面および開口エッジは、開口エッジに沿ってミクロンスケールの瑕疵を有するTeflon(登録商標)隔壁に機械的に形成された開口とは異なり、ナノメートルレベルで平滑である(図2参照)。
【0080】
膜の安定性は、脂質二重層膜の寿命を観察することにより立証された。最初の数分内に二重層のほぼ半分が破れたが、より長い間安定なものもあった。観察された二重層最長寿命は8時間であった。この時間スケールより長い間系統的に測定しようとする試みは行わなかった。形成された安定な二重層の数はチップの清浄度に大きく依存することが判明した。処理を完了したばかりの新鮮なASC装置を用いると、安定した二重層膜の形成はかなり容易であった。しかし、清浄後に再利用したASC上で安定した二重層膜を形成するのはより困難であった。開口の全域に残留物を残す清浄処理を行った後の脂質二重層膜の形成は不可能であることが分った。
【実施例5】
【0081】
α溶血素を用いた単一チャンネル記録
ASC開口を横切って形成された脂質二重層膜について、ブドウ球菌α溶血素(dHL)チャンネルによるイオンチャンネル活性を検討した。この293アミノ酸7量体細孔は、脂質二重層を貫通する2nmチャンネルを形成する。パッチクランプアンプ(Heka EPC−8、ヘカ エレクトリック社(Heka Electric)、ドイツ、ランブレヒト(Lambrecht)所在)およびサンプル周波数10kHzのアナログ・デジタルコンバータ(インスツルテック社(Instrutech)、米国ニューヨーク州ボートワシントン(Port Washington)所在)を用いて、単一チャンネル記録を実施した。内蔵型7極ローパス・ベッセル・フィルターを用いて5kHzでフィルタリングを実施した。Pulse 8.4(ヘカ社)を用いてコンピュータでデータを収集し、Igor Pro 4.0(ウエイブメトリックス社(WaveMetrics)、米国オレゴン州レイクオスウェゴ(Lake Oswego)所在)で分析した。cisチャンバにαHL細孔を加え(321ng/mlで1〜10μl)、−40mV(トランス側接地)で保持した。トランス側にαHLを加えてもチャンネルが形成されたが、キャビティーが比較的長く狭いために拡散時間が長くなった。
【0082】
図6Aと図6Cは、トランス浴中でβ−シクロデキストリン(βCD)に暴露した微細加工装置の100μm開口を横切る人工二重層膜から記録されたα溶血素(αHL)単一チャンネル電流を示している。保持電位は、+40mV(cis浴は接地電位であった)であった。図6Aに示されているのは、αHLチャンネルに関する代表的な単一チャンネルデータである。類似の実験で、−40mVの電圧パルスを750ms印加し、電流を記録すると、チャンネル当たり31.0±3.2pAの測定電流を示した。αHLチャンネルに関しては、811±55pSという細孔コンダクタンス計算値が典型的であった。チャンネルのトランス側に可逆的に付着する添加β−シクロデキストリン(βCD)は、分子がタンパク質に出入りする際にチャンネルを介した電流フローを変動させる。この作用はマイクロモル濃度(例えば、40〜300μMのβCD)で検出される。チャンネルがブロック状態になると、図6Aに示されているように、明らかに観察可能な電流の減少が生じる。βCDによる部分ブロック事象は下向のスパイクとして現われる。このβCD事象はより高いサンプリングレート(100kHz)および拡大時間スケールの挿入図でより明らかに示されている。これらの結果は、Teflon(登録商標)隔壁を横切って形成された二重層で得られたそのようなチャンネル記録に関する過去の結果と一致した。図6Bは、pH7.4の1M KCl、10mM Kpi中のαHL単一チャンネル電流の電流電圧プロットを示している。適合度(実線)は−40mVおよび+40mVの個所にわたる。図6Cは、±200mVおよび±300mVにおける微細加工装置の100μm開口を横切る人工二重層膜の2つのαHLチャンネルに関する時間の関数としての電流を示している。
【実施例6】
【0083】
単一細胞を刺激して励起するための人工シナプスの利用法
ナノ開口を介して細胞を刺激し、Ca2+感受性染料由来の蛍光を用いてそれらの活性を測定する方法は、以下を含む:(1)開口に対する細胞の電圧固定(マイクロチャンネルを介した吸引)および微細流路中の緩衝液の電圧変更;(2)細胞の下側への神経伝達物質ボーラスパルシングによる細胞の化学刺激;(3)開口への伝達物質含有リポソームのマイクロ流体ボーラス;(4)伝達物質の放出により神経突起を刺激するであろう改変細胞の微小流体リザーバ。
【0084】
形成された微小開口アレイ上で低密度PC12細胞層を培養する。細胞活性は、(例えば、Indo−1、fura−2、fluo−3、カルシウムグリーン、エクオリンなどの)Ca2+感受性染料を添加した細胞を用いて蛍光顕微鏡で測定する。蛍光は、細胞活性を開口上で直接モニターするのにも、隣接細胞への作用を確認するのにも役立つ。表面の開口の周りを細胞膜に対して良好な「シール」を達成するように修飾し得る(細胞膜において、良好なシールは機械的に安定であり、1ギガΩ前後の電気抵抗を有する)。表面修飾物質は、種々の細胞外マトリックスタンパク質や「cell Tak(商標)」(ベクトン・ディッキンソン社)を包含し得る。本発明の装置および方法と共に用いるのに適した種々の刺激法には、時間的および空間的分解能ならびに慢性刺激が含まれる。開口サイズをさまざまに変えてもよい。さらに、開口は、細孔形成性タンパク質を含むイオンチャンネルまたは人工の細孔形成分子が予め添加された単一の脂質二重層でコーティングし得る。これらの脂質二重層膜は、先行実施例で説明したような方法で形成することができる。イオンチャンネルまたは細孔形成分子は、それらが膜形成に用いられた材料の一部であった場合には既に膜の一部であり、さもなければ、後で、二重層に組み込まれる。
【0085】
PDMSスタンプなどのマイクロスタンプは、微細加工開口アレイの上に微細パターンを被着するのに用い得る。この微細パターンは、ASC基板上で培養される細胞の成長を、細胞の神経突起がASC開口に向けて、またはASC開口に隣接するように、またはASC開口を覆って成長するように誘導するのに有効である。マイクロスタンプパターンをチップ上の開口と整列させるためには任意の適当な位置合わせシステムを用い得る。基板上で成長させたPC12細胞、網膜神経節細胞、または他の細胞は、上述のように、種々の微小流体リザーバに接続された微小開口アレイ上で刺激され得る。
【0086】
ASC上で成長する細胞を、凹部やリザーバ中の溶液と接触している電極からの電圧パルスで刺激する。電圧パルスは開口に隣接するか開口を横切る細胞突起を脱分極させるのに有効である。脱分極電圧は、約1〜約100mVの範囲である。約10〜約50mVの脱分極が最も有効であると考えられる。
【0087】
神経伝達物質アセチルコリンおよびアデノシン三リン酸を含有するリポソームをリザーバに入れる。脂質二重層膜が開口に掛かっている。開口を横切るか、開口に隣接して成長する突起を有する細胞を、脂質二重層膜と融合しているリポソームから放出される神経伝達物質に接触させて刺激する。リポソーム膜および脂質二重層膜を介した浸透圧勾配によって融合が促進される。融合は、さらに、電位勾配、光学的方法、リポソームおよび/または膜に融合促進分子を包含させること、ならびに他の方法によっても促進される。
【0088】
ニューロンの興奮は、Ca2+感受性染料による蛍光、電位記録、および培養細胞から開口に隣接する凹部またはリザーザ内溶液中に放出される神経伝達物質を検出する生化学分析を用いて測定する。
【実施例7】
【0089】
人工シナプスチップ上での細胞の刺激
局所化流体デリバリー装置84は、2つの要素、すなわち、局所化要素と流体操作要素とからなる。図7Bに示されているように、図7Aの装置と組合わされた図1A〜図1Dに示されている装置は、基板12または基層20があるものもないものも、局所化流体デリバリー用に構成されている。図7Aは、流体流をASC10のリザーバ36および開口24から出し入れするように構成された、本発明の特徴を具体化する流路部分76を示している。局所化流体デリバリー装置84が図7Bに示されている。図7Bは、局所化流体デリバリー用装置84を得るためのASC10と流体操作用装置76との結合プロセスを示している。局所化のために、これらの装置は、薄い窒化ケイ素膜16中の小開口24(5または10μm)を利用する(例えば、図7B)。適当な小さな大きさの開口24を設けることにより、流体デリバリーは容量および区域をともに制限し得る。これらの実験で用いた装置84は1cmのチップであり、厚さはおよそ0.5mmであった。開口24と、ウエーハの裏側の角穴(リザーバ36)を形成するために、プラズマエッチングを用いて窒化ケイ素層16をパターン化した。エッチングマスクとして窒化ケイ素を用い、シリコンをウエーハ表面に対して54.7°の角度で(111)平面に沿って等方性エッチングした。ウエーハの裏側の角穴36は、開口24より大きい100μm領域を得るように選択した。こうすることによって、シリコン支持層の無い領域に自由に伸びる薄い窒化ケイ素膜16が残った。窒化ケイ素は可視波長の光を通し、したがって、細胞はこの膜を介して容易に撮像された。この窒化ケイ素膜は、窒化ケイ素の高引張強さのために極めて強力かつ安定であり、処理中に生じる力に容易に耐えた。局所化後、局所化流体デリバリー装置84に必要な他の要素は開口への流体デリバリーである。これを達成するために、注入口80および出口82と流体連絡するPDMS製の流路78(図7A)をASC10の開口24の下に取り付けた(図7B)。従来のフォトリソグラフィー、およびオフィスプリンターを用いて透過原稿上に作製したマスクを用いて、シリコンウエーハ上の300μm厚SU−8フォトレジストからマスター鋳型を作製した。流路78は、幅900μm、深さ150μm、長さ8mmであったが、PDMSは約5mmの深さに注入された。この設計を示す図形が図7Aに示されている。PDMSの硬化直後に、図7Bに示されているように、流路78をASC10に取り付けた。PDMSを、装置当たり1流路を有する1cm片にダイズカットした。シリコンとPDMSとを、希薄塩酸溶液(1:4)、次いで100Wで60秒間の空気プラズマで清浄にした。シリコン開口24を有するASC10をPDMS流路78の上面に整合し、センタリングして、2つの部品を互いに押しつけて(〜0.2N)、80℃のホットプレート上で加熱して接合した(図7B参照)。一旦完了してしまうと、この接合は不可逆性であり、PDMSは窒化ケイ素から分離しようとすると裂けるであろう。ラットのクロム親和細胞腫細胞(PC12)は、シリコン/窒化ケイ素を含むほとんどの基板に接着しにくいので、細胞を付与する前に装置84の表面を修飾処理する必要があった。先ず、装置84を室温下に30分間50μg/mlのポリ(D−リシン)に浸した。ポリ(D−リシン)により、PC12細胞が接着して広がるマウスラミニンを塗布するための粘着層が得られる。装置84をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)でリンスした後、PBS中5μg/mlのラミニンを塗布し、インキュベータ(37℃、6.5%CO)中で8時間インキュベートした。次いで、装置84をPBSでリンスし、使用の準備が整った。
【0090】
ブラジキニン刺激の測定は、fluo−4(モレキュラー プローブス社(Molecular Probes)、米国オレゴン州ユージーン(Eugine)所在)を用いて細胞内Ca2+レベルの変化を観察して行った。ローティング溶液は、1μMの最終fluo−4濃度になるように、リンゲル液(135mM NaCl、5mM KCl、10mM D−グルコース、2mM MgCl、2mM CaCl、10mM HEPES、pH7.2)に混合したジメチルスルホキシド(DMSO)中1mMに再構成したfluo−4から調製した。
【0091】
刺激溶液は、ブラジキニン(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス所在)、リンゲル液、およびスルホローダミン 101(シグマ社)の混合物であった。ブラジキニンはリンゲル液中1mg/ml(1mM)に再構成し、次いで、所望の試験濃度に希釈した。スルホローダミン(テキサスレッド)は、DMSO中8mMに再構成し、4〜8μMの最終濃度が得られるように刺激溶液に添加した。テキサスレッド染料は流体流と刺激を同時に視覚化する手段を提供した。
【0092】
蛍光レベルの変化は、インバータ蛍光顕微鏡またはアップライト型共焦点顕微鏡で観察した。単一細胞刺激データを得るために用いたインバータ顕微鏡は、浜松ホトニクス(Hamamatsu)のOrca ER CCDカメラが付いた、ニコン TE300(10倍率、0.30開口数(NA))であった。データは、Metamorph(ユニバーサル イメージング コーポレイション社(Universal Imaging Corporation)、米国ペンシルベニア州ダウニングタウン(Downingtown)所在)で収集した。多重セルおよび2色(two−color)試験用に用いた共焦点顕微鏡は、ニコン PCM 2000共焦点ユニットが付いたニコン E800(10倍率 液浸対物レンズ、0.30NA)であった。同時に2種のレーザーを用いて、fluo−4(アルゴンイオン、488nm)とテキサスレッド(HeNe、543nm)を励起した。画像は、2種の光電子倍増管(515/30帯域通過フィルターおよび605/32帯域通過フィルター)で同時にサンプリングし、SimplePCI(コンピックス インコーポレイティッド社(Compix Inc.)、米国ペンシルベニア州クランベリータウンシップ(Cranberry Township)所在)を用いて解析した。
【0093】
装置84および関連流体供給源および注射器を含む微小流体システムは、その開口を介して少量の刺激物を供給した。実験計画は、流路78を通ってブラジキニンを流し、開口24を介してブラジキニンを通過させることであった。ポンプ、重力、圧力(例えば、シリンダー内で移動するピストンが生成する圧力)、電気浸透および他の手段による流れの誘発を含む、流体を微細流路中で移動させ、流体を流体デリバリー流路内で流動させる多くの方法が存在するが、本発明者らは、注射器を用いた圧力勾配駆動型の流れを選択した。開口24を通過するブラジキニンの流れは、注射器により生成された圧力勾配と化学拡散とを組合わせた結果であった。
【0094】
流体は、24ゲージのTeflonホースを各アクセス孔80,82に挿入することによって供給された。容量1ミリリットルのツベルクリン注射器を用い、ホースを介して、10〜30μl/sの速度で流体を流した。注入量は、250〜1000μlの範囲であり、送出には15〜60秒かかる。平均流速は16μl/sであり、流路ジオメトリーと組合わせると、これによって、層流限度を超える約3100のレイノルズ数を得た。層流限界を超えることはこのシステムの利点である。流路78と開口24の間にはウエーハの厚さに起因する500μmのギャップがある。拡散以外の方法で非層流を混合させて、ブラジキニンが開口に到達する流速を加速する。流体デリバリーシステムを適所に配置し、適量の刺激物を支持層16上で成長している細胞に送出して細胞刺激を達成した。ラットのクロム親和細胞腫細胞(PC12)は、神経生物学的モデルとして有用であると共に、世話が容易であり、かつ入手し易いという理由で選択された。PC12細胞系は、ブラジキニンで刺激するとその細胞内Ca2+レベルを変え、1μMの外部ブラジキニン濃度で最大の変化を遂げる。細胞は、接着実験の少なくとも4時間前に装置84に付与された。刺激範囲にわたる2種の制御パラメータは濃度および量であった。供給するブラジキニンの濃度および量を調整して、細胞が刺激される開口からの距離を制御した。開口24に大総量(高濃度または大量)のブラジキニンを送出すると、多くのPC12細胞が刺激された。これは図8A〜図8Cに示されており、これらの図において、多細胞刺激の経時的共焦点顕微鏡写真は、ブラジキニンが装置84の表面に接着しているPC12細胞を越えて流れるときに刺激されたPC12細胞の波状曲線を示している。開口24は直径10μm(PC12細胞体の大きさの半分)であり、図8A〜図8Cでは点で描かれた円の中心に位置した状態で示されている。
【0095】
図8A〜図8Cに示されているように、ブラジキニン(100μM)を、流路78に約21秒間流した。強度断面(任意単位、固定スケール)は、PC12細胞が刺激されたことを示している。図8AはPC12細胞にブラジキニンを流す前の制御状態を示している。図8Aの強度プロットは0時での2つの断面を示しており、これは、開始時点では細胞が刺激されなかったことを示唆している。図8Aに示されている画像を撮った直後に100μMのブラジキニンを含有するリンゲル液を流路78に流した。流体が開口24から外側に放射状に広がると、PC12細胞が刺激された。3秒以内に、図8Bの開口24の左下方向の明るい細胞が示すように(図8B、矢印)、開口24から25μmのPC12細胞が刺激された。さらに6秒後、すなわち、ブラジキニンを流し始めてから9秒後に、開口24からさらに離れた(100μm)細胞が刺激された(図8C、二重矢印)。その領域の他のPC12細胞も刺激されたが、矢印は強度を表す代表的な事象のみを示している。
【0096】
この実施例は、化学刺激物を用いて局所的に細胞を刺激する能力を立証しており、生理的刺激で細胞を刺激するように構成され、かつ動物の器官または組織内の所望位置で使用するように構成された神経生物学的システムを提供する。微小開口を介して供給される神経伝達物質の量および濃度を変えることにより、刺激の間隔およびタイミングを制御することができ、正常な動物の生理学に適合した制御が得られる。
【実施例8】
【0097】
人工シナプスチップの移植
人工シナプスチップをウサギの網膜下腔に移植する。ニュージーランドホワイトウサギを標準動物手術法に従って麻酔する。眼球赤道近くの強膜を切開し、小強膜皮弁を開いて、その下の脈絡膜および網膜にアクセスする。脈絡膜、脈絡膜毛細血管層、ブルッフ膜を慎重に切開し、網膜色素上皮層細胞を越えて光受容体に面する網膜下腔にアクセスする。網膜下腔に生理食塩水を慎重に注入して、網膜色素上皮と網膜光受容体とを分離する。網膜下腔にASCを入れ、眼球赤道近くの挿入個所から中心窩に向かってゆっくり進める。ASCを中心窩近くの所望位置に配置した後、強膜の切開部を介して針を硝子体に挿し、硝子体に小さい気泡を吹き込んで網膜に圧力を加え、網膜を移植片の上の適切な位置に保持する。次いで、切開部を閉じる。気泡はガスが吸収されるにつれ縮小し、数日内に消滅する。
【0098】
本明細書では、主として、人工シナプスチップ、局所化流体デリバリー装置、ならびに類似の装置およびシステムに関して本発明の特定の形態を例示かつ説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更を行い得ることが上記から明らかであろう。さらに、当業者には、1つの実施形態に示されている特徴を他の実施形態にも利用し得ることが分るであろう。本明細書に用いられている場合、「装置」、「部分」、「セクション」、「ステップ」および類似の意味を有する言葉は、以下の特許請求の範囲で、用語「手段」または「ステップ」が、具体的な構造または動作を記すことなく特定された機能を受けて明確に用いられていない限り、35 U.S.C.セクション112(6)の条項を発動するものとは解釈されない。
【0099】
本発明の特定の形態を例示かつ説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更を行い得ることは明らかであろう。したがって、本発明は、添付特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1A】本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップの斜視図。
【図1B】図1Aの人工シナプスチップの平面図。
【図1C】平面1C−1Cに沿って切取られた図1Aの人工シナプスチップの断面図。
【図1D】電極を有する本発明の実施形態を例示する、平面1C−1Cに沿って切取られた図1Aのような人工シナプスチップの断面図。
【図1E】ポンプおよび貯蔵溶液を保持する貯蔵器を有し、人工シナプスチップを備えたシステムの横断立面図。
【図1F】ポンプを有し、人工シナプスチップを備えたシステムの一部の横断立面図。
【図2A】本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップのナノ開口の平面走査型電子顕微鏡写真(SEM)。
【図2B】本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップリザーバの平面SEM。
【図2C】パターン化基板上の網膜神経節細胞のパターン化成長を示す図。
【図2D】窒化ケイ素基板の5μm径開口の周囲および上でのPC12細胞の成長を示す図。
【図3】表面上に微細パターンを形成するための、本発明の特徴を具体化するスタンプの平面SEM。
【図4】人工シナプスチップ(ASC)、感光素子、ASCと感光素子との連絡手段、および電源を備えた、動物に人工シナプスチップを移植するためのシステムの図。
【図5A】ASCが移植された動物の眼の断面図。
【図5B】図5Aの眼と、眼の網膜下腔の適切な位置に配置されたASCとを示す詳細断面図。
【図6A】本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップのナノ開口を横切って形成された人工二重層膜のα溶血素チャンネルを通る電流フローを示す図であり、縦軸は電流、横軸は時間、挿入図は時間軸に沿った大縮尺記録の短部分を示す図。
【図6B】本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップのナノ開口を横切って形成された人工二重層膜のα溶血素チャンネルを通る測定電流フローのプロットであり、縦軸は電流、横軸は時間を示すプロット。
【図6C】本発明の特徴を具体化する人工シナプスチップのナノ開口を横切って形成された人工二重層膜の2つのα溶血素チャンネルを通る電流フローを示す図であり、縦軸は電流、横軸は時間を示す図。
【図7A】本発明の特徴を具体化する装置の流路部分の概略斜視図。
【図7B】組合わせ装置の断面を示す、本発明の特徴を具体化する装置の流路部分とシリコン開口部分との結合の概略図。
【図8A】ブラジキニン含有生理溶液を流す直前の、本発明の特徴を具体化する基板上で成長する細胞の蛍光強度を示す図。
【図8B】ブラジキニン含有生理溶液を流し始めてから3秒後の、本発明の特徴を具体化する基板上で成長する細胞の蛍光強度を示す図。
【図8C】ブラジキニン含有生理溶液を流し始めてから9秒後の、本発明の特徴を具体化する基板上で成長する細胞の蛍光強度を示す図。

Claims (49)

  1. 細胞突起の成長を誘導する装置であって、細胞突起を受容するように構成された表面と、細胞突起の成長を前記表面上の所望方向に誘導するのに有効な微細パターンとを有する基板を備えた装置。
  2. 前記表面がさらに所望位置を有し、かつ微細パターンが細胞突起の成長を前記表面上の前記所望位置に誘導するのに有効である、請求項2に記載の装置。
  3. 前記所望位置が、ナノ開口、電気接点、および微細パターンフィーチャのうちから選択される、請求項3に記載の装置。
  4. 微細パターンが、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭、および特定の原子に富む少なくとも1つの領域のうちから選択されるフィーチャを有する、請求項1に記載の装置。
  5. 微細パターンが、基板表面とマイクロコンタクトプリンティングスタンプとを密着させることによって形成される、請求項1に記載の装置。
  6. 神経修飾物質を細胞の少なくとも一部に送出する装置であって、表面とリザーバとを有し、前記リザーバは、前記神経修飾物質を収容するのに有効であり、前記表面は、外面、内面、およびナノ開口を有し、前記ナノ開口は、前記内面と前記外面との接続路を提供し、前記外面は細胞に接触するように構成されており、前記内面は前記リザーバに連絡しており、前記ナノ開口は、前記神経修飾物質を前記リザーバから前記細胞の少なくとも一部に送出する導管を提供するのに有効である装置。
  7. 前記外面が細胞突起の成長を誘導するのに有効な微細パターンを有する、請求項6に記載の装置。
  8. 微細パターンが、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭、および特定の原子に富む少なくとも1つの領域のうちから選択されるフィーチャを有する、請求項6に記載の装置。
  9. 神経修飾物質が、神経伝達物質、ホルモン、イオン、メッセンジャー分子、核酸、核酸ベクター、薬剤、細胞、細胞フラグメント、細胞オルガネラ、リポソーム、および他の生物活性物質のうちから選択される、請求項6に記載の装置。
  10. 細胞の少なくとも一部に接触して刺激を与える装置であって、1つの表面を有し、前記表面は、外面と回路とを有し、前記外面は細胞と接触するように構成されており、前記回路は、少なくとも1つの接点を有し、前記回路は、前記接点に隣接する細胞の少なくとも一部を刺激するのに有効である装置。
  11. 前記細胞の少なくとも一部の刺激が、神経突起の刺激、神経突起を介した細胞の刺激、および細胞の直接刺激のうちから選択される細胞刺激を含んでなる、請求項10に記載の装置。
  12. 表面が微細パターンを有する、請求項10に記載の装置。
  13. 微細パターンが、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭、および特定の原子に富む少なくとも1つの領域のうちから選択されるフィーチャを有する、請求項12に記載の装置。
  14. 細胞の少なくとも一部に接触して刺激を与えるのに有効な神経突起誘導装置および回路を備えた再生電極アセンブリ。
  15. 神経突起誘導装置が請求項1に記載の装置を含んでなる、請求項14に記載の再生電極アセンブリ。
  16. 神経突起誘導装置が請求項6に記載の装置を含んでなる、請求項14に記載の再生電極アセンブリ。
  17. 回路が請求項10に記載の装置を含んでなる、請求項14に記載の再生電極アセンブリ。
  18. 細胞突起を成長させ得る細胞からの細胞突起の成長を所望のように誘導する方法であって、
    微細パターンを有する表面を準備するステップと、
    前記細胞からの細胞突起の成長を所望のように誘導するのに有効である、細胞突起を成長させ得る細胞に接触させるステップとを含んでなる方法。
  19. 前記微細パターンが、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭、および特定の原子に富む少なくとも1つの領域のうちから選択されるフィーチャを有する、請求項18に記載の方法。
  20. 表面とマイクロコンタクトプリンティングスタンプとを接触させるステップをさらに含んでなる、請求項18に記載の方法。
  21. 細胞突起を成長させ得る細胞からの細胞突起の成長を回路の接点に隣接する位置に誘導する方法であって、
    回路および微細パターンを有する表面を準備するステップと、
    細胞突起を成長させ得る細胞を前記表面に接触させるステップであって、前記表面は前記細胞からの細胞突起の成長を前記接点に隣接する位置に誘導するのに有効であるステップとを含んでなる方法。
  22. 前記微細パターンが、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭、および特定の原子に富む少なくとも1つの領域のうちから選択されるフィーチャを有する、請求項21に記載の方法。
  23. 表面をマイクロコンタクトプリンティングスタンプと接触させるステップをさらに含んでなる、請求項21に記載の方法。
  24. 細胞突起を成長させ得る細胞の少なくとも一部を刺激する方法であって、
    細胞を微細パターンおよび所望位置を有する表面に接触させるステップと、
    細胞からの細胞突起の成長を前記所望位置に隣接する位置に誘導するステップと、
    細胞の少なくとも一部を刺激するのに有効な刺激物を前記所望位置から前記細胞突起に与えるステップと、
    を含んでなる方法。
  25. 前記所望位置がナノ開口を含んでなる、請求項23に記載の方法。
  26. 前記所望位置が回路の接点を含んでなり、前記回路は前記接点に隣接する細胞の少なくと
    も一部を刺激するのに有効である、請求項23に記載の方法。
  27. 刺激物を供給するステップが、神経修飾物質を送出するステップをさらに含んでなる、請求項23に記載の方法。
  28. 前記神経修飾物質が、神経伝達物質、ホルモン、イオン、メッセンジャー分子、核酸、核酸ベクター、薬剤、細胞、細胞フラグメント、細胞オルガネラ、リポソーム、または他の生物活性物質のうちから選択される、請求項26に記載の方法。
  29. 細胞を刺激するステップが、細胞突起を刺激するステップ、細胞突起を介して細胞を刺激するステップ、および細胞を直接刺激するステップのうちから選択される刺激ステップを含んでなる、請求項23に記載の方法。
  30. 微細加工人工シナプスであって、細胞突起の成長を誘導するのに有効な微細パターンと、ナノ開口とが形成されている表面を有する微細加工装置と、前記微細パターンにより前記ナノ開口に接触するように誘導される細胞突起を有する細胞とを備えた微細加工人工シナプス。
  31. 前記微細パターンが、化学誘引物質因子、接着分子、反発分子、表面輪郭、および特定の原子に富む少なくとも1つの領域のうちから選択されるフィーチャを有する、請求項29に記載の微細加工人工シナプス。
  32. 前記ナノ開口に接続され、神経修飾物質を収容するように構成されたリザーバをさらに備えている、請求項29に記載の微細加工人工シナプス。
  33. 神経修飾物質が、神経伝達物質、ホルモン、イオン、メッセンジャー分子、核酸、核酸ベクター、薬剤、細胞、細胞フラグメント、細胞オルガネラ、リポソーム、または他の生物活性物質のうちから選択される、請求項31に記載の微細加工人工シナプス。
  34. 眼内装置を製造する方法であって、眼内に移植するように構成された請求項10に記載の装置を準備するステップを含んでなる方法。
  35. 前記装置が眼内の特定領域に移植されるように構成されている、請求項34に記載の方法。
  36. 前記領域が、網膜、内境界膜隣接領域、および網膜下腔のうちから選択される、請求項35に記載の方法。
  37. 眼内装置を製造する方法であって、眼内に移植されるように構成された請求項14に記載の再生電極アセンブリを準備するステップを含んでなる方法。
  38. 再生電極アセンブリが、眼の特定領域に移植するように構成されている、請求項37に記載の方法。
  39. 前記領域が、網膜、内境界膜隣接領域、および網膜下腔のうちから選択される、請求項38に記載の方法。
  40. 人工シナプスチップ(ASC)と、感光素子と、ASCと感光素子との間の通信リンクと、電源とを備えた、動物に移植するためのシステム。
  41. 感光素子がASCと作動可能に連絡している、請求項40に記載のシステム。
  42. 感光素子がASCの一部である、請求項40に記載のシステム。
  43. 細胞の一部を流体に接触させる装置であって、細胞突起を受容するように構成された表面および細胞突起を前記表面上の所望位置に誘導するのに有効な微細パターンを有する基板と、流体を前記所望位置に誘導するように構成された流体搬送流路を含んでなる微小流体システムとを備えた装置。
  44. 前記所望位置が開口を含んでなる、請求項43に記載の装置。
  45. 前記流体搬送流路内で流体を流動させる手段をさらに備えている、請求項44に記載の装置。
  46. 前記流体搬送流路内で流体を流動させる手段がシリンダー内で移動するように構成されたピストンを含んでなる、請求項45に記載の装置。
  47. ASCが、流体搬送流路を含んでなる微小流体システムを備えている、請求項40に記載のシステム。
  48. 前記流体搬送流路内で流体を流動させる手段をさらに備えている、請求項47に記載のシステム。
  49. 前記流体搬送流路内で流体を流動させる前記手段がシリンダー内で移動するように構成されたピストンを含んでなる、請求項48に記載の装置。
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