JP2004531207A - 単離ヒト薬剤−代謝タンパク質、ヒト薬剤−代謝タンパク質をコード化する核酸分子及びその使用 - Google Patents

単離ヒト薬剤−代謝タンパク質、ヒト薬剤−代謝タンパク質をコード化する核酸分子及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトゲノム中の遺伝子によりコード化されている、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドのアミノ酸配列を提供するものである。本発明は特に、単離ペプチド及び核酸分子、薬剤−代謝酵素ペプチドのオルトログ及びパラログの同定方法、及び薬剤−代謝酵素ペプチドのモジュレータの同定方法を提供するものである。

Description

【0001】
技術分野
本発明は、ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーに関連した薬剤−代謝タンパク質、組み換えDNA分子、及びタンパク質の製造に関する。本発明は、特に、ヒトの治療の開発に用いるための、新規な薬剤−代謝ペプチド、タンパク質、及びこれらのタンパク質分子をコード化する核酸分子を提供するものである。
【0002】
背景技術
薬剤代謝タンパク質
薬剤−代謝酵素(“DME”)の誘導は、生体異物に対する一般的な生物学的な応答であり、その機構及び結果は、学術界、産業界、及び薬理学、毒物学の規定領域において重要である。
【0003】
殆どの薬剤において、薬剤−代謝酵素が、どれだけの期間、どれだけの量、薬剤が体内に残存するのかを決定する。このため、薬剤の開発者達は、薬剤候補物とこれらの酵素との相互作用を特徴付けることの重要性を認識している。例えば、薬剤−代謝酵素CYP2D6、シトクロムp450(“CYP”)スーパーファミリーのメンバー、の多形性は、坑鬱薬、坑精神病薬、β遮断薬、及び坑不整脈薬を含む、広範囲にわたる薬剤の遅延又は超−急速性の代謝物質産出する。このような薬剤代謝の異常割合は、薬剤の無効、又は全身への蓄積、及び毒性に至る可能性がある。
【0004】
候補薬剤を開発している薬理学者は、設計段階において、どの酵素が薬剤候補物を代謝するのか、及びその速度について、できるだけ早く知るということが重要である。歴史的に、薬剤の代謝経路上の酵素は、動物の代謝研究を通じて決定されてきたが、現在、このアプローチは主として、ヒトの組織の使用、又は薬剤代謝酵素のクローンの使用に取って代わり、これらの酵素の個別形態での特定の役割についての知見が与えられる。これらのツールを用い、薬剤候補物の定性的、及び定量的な成り行きを、最初にヒトに投与する前に予期することができる。結果として、代謝に要求される特性の選択及び最適化は、開発プロセスの初期に行うことが可能であり、このために、薬剤の臨床研究に続いて起こる予期できない毒性の問題、及び関連する諸費用を回避することができる。さらに、1つの薬剤の他のものの性質への影響も推測することができる。
【0005】
既知の薬剤代謝酵素には、シトクロムp450(“CYP”)スーパーファミリー、N−アセチルトランスフェラーゼ(“NAT”)、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(“UGT”)、メチルトランスフェラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ(“ALDH”)、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(“DPD”)、NADPH:キノンオキシドリダクターゼ(“NOO”、又は“DTジアホラーゼ”)、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(“COMT”)、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(“GST”)、ヒスタミンメチルトランスフェラーゼ(“HMT”)、スルホトランスフェラーゼ(“ST”)、チオプリンメチルトランスフェラーゼ(“TPMT”)及びエポキシドヒドロキシラーゼが含まれる。薬剤代謝は、その代謝機能により、一般的に2つの相に分類される。相Iの酵素は官能基の修飾に触媒作用を及ぼし、相IIの酵素は内生の置換基との結合に触媒作用を及ぼす。これらの分類は、他の薬剤代謝の機構が発見されているように、排他的又は完全なものと解釈するべきではない。例えば、活性な輸送機構の使用が、解毒のプロセスの一部として特徴づけられている。
【0006】
相Iの反応には、アミナーゼの脱アミノ化、エステル及びアミドの加水分解、例えば、グリシン及びリン酸塩との結合反応、シトクロムp450酸化/還元酵素システムによる酸化、及び脂肪酸経路における分解のような、分解作用プロセスが含まれる。加水分解は、種々の非−特異性ハイドロラーゼ及びエステラーゼにより、主に肝臓、及び血漿内で起こる。デアミナーゼとアミダーゼの両者は、共に肝臓及び血清中に局所化し、分解作用プロセスの大部分を行っている。還元反応は、主に小胞体の細胞内で起こる。
【0007】
相IIの酵素は、毒性物質と水溶性物質との結合に触媒作用を及ぼし、これによって毒性物質の水溶性が増し、排出速度が増大することによって、毒性物質を無毒化する。さらに、結合は毒の生化学的反応性を減少させる。相IIの酵素の例には、それぞれ、グルタチオン、グルクロン酸の結合を触媒する、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、及びUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼが含まれる。トランスフェラーゼは、主に腎臓及び肝臓において結合反応を行う。
【0008】
肝臓は、精神作用性薬剤を含む殆どの薬剤の除去を行う主要な部位であって、それぞれ薬剤を酸化、又は結合している相I及び相IIの酵素の両者が含まれる。
【0009】
医師達は、現在、薬剤を人口の平均に基づいた投与量処方しており、遺伝的な変異性は考慮に入れられていない。薬剤代謝における個人間の変異性は、通常、遺伝的及び環境的因子の両者、特に薬剤−代謝酵素がどのように制御されているかによるものである。ある酵素では、遺伝子成分が優勢であり、変異性は、標準の、野生−型の酵素の変異体に関係している。
【0010】
多くの薬剤−代謝酵素は、臨床に関連した遺伝子多形性を示す。本質的に、官能基の修飾又は内生置換基の結合を担っている、全ての主なヒト酵素は、一般的に遺伝子レベルでの多形を示す。例えば、非−機能性変異体酵素を発現する多形は、より薬剤の濃度に依存した影響を受けやすい傾向にある患者のサブグループを生じる。最近の遺伝子型分類の開発は、影響を受ける個人の特定を可能にする。この結果、異常な代謝、影響を受けた酵素による薬剤代謝への応答が理解及び予期され、このため、医師達が、改良された治療法を実行するために、薬剤の投与量を調整することが可能となる。
【0011】
同様のアプローチもまた、種々の癌の発達に関連した危険因子の同定において重要になっている。これは、薬剤代謝に関連した酵素が、化学発癌性物質の活性化、解毒作用をも担っているためである。具体的には、腫瘍形成の発達は、発癌性物質を活性化する相I酵素と、それらを無毒化する相II酵素とのバランスによって調整される。したがって、したがって、個人の癌感染性はしばしばこれらの2つのプロセスの間のバランスに関連しており、それは部分的に、遺伝的に決定されており、適当な遺伝子型テストによってスクリーンされることができる。相II酵素と比較した相I酵素のより高い誘導は、大量の求電子試薬及び反応性酸素種を生じ、DNA及び膜の損傷、及び他の腫瘍形成にいたる副作用を引き起こすかもしれない。逆に、相II酵素のより高いレベルでの発現は、細胞を種々の化合物から保護することを可能とする。
【0012】
薬剤−代謝酵素の異常な活性は、癌、パーキンソン病、筋緊張性ジストロフィー、及び発展性の障害を含む、ヒトの疾患に関連している。
【0013】
シトクロムp450
相Iの薬剤−代謝酵素の例として、シトクロムp450(“CYP”)スーパーファミリーのメンバーが挙げられ、このメンバーには、肝臓において発現される主要な薬剤代謝酵素が含まれる。CYPスーパーファミリーは、多くのタイプの化学反応を触媒的作用を及ぼす、何百といった多くの種のイソ型を持ち、その機能において広大な多様性を持つ。CYPスーパーファミリーには、少なくとも30の関連した酵素が含まれ、これらはアミノ酸相同性によって異なるファミリーに分類される。CYPファミリーの例としては、薬剤及び生体異物の代謝を担っている小胞体タンパク質を含んだCYPファミリー1,2,3,4が含まれる。これら4つのファミリーのうちの、約10〜15の個々の遺伝子生成物は、何千もの多様な構造の化合物を代謝する。CYPスーパーファミリーの酵素は、総合して、ヒトに用いられ入手可能な全ての薬剤のうちの80%以上の代謝に関係していると見積もられる。例えば、CYP1Aサブファミリーには、アセトアミノフェン、アミトリプチリン、カフェイン、クロザピン、ハロペリドール、イミプラミン、オランザピン、オンダンセトロン、フェナセチン、プロパフェノン、プロプラノロール、タクリン、テオフィリン、ベラパミルを含む、広範囲にわたって使用される幾つかの薬剤を代謝するCYP1A2が含まれる。さらに、CYP酵素は、プロスタグランジン及びステロイドを含むいくつかの内生酵素の代謝において、付加的な役割を果たす。
【0014】
いくつかのCYP酵素が多形性の形態で存在しており、これは人口のうちのわずかな割合が、通常は、活性の減少又は停止によって、酵素の活性が変化する変異遺伝子を有していることを意味している。例えば、遺伝子の多形性は、CYP2C19及びCYP2D6遺伝子において良く特徴づけられている。CYP2C19の基質には、クロミプラミン、ジアゼパム、イミプラミン、メフェニトイン、モクロベミド、オメプラゾール、フェニトイン、プロプラノール、及びプロパフェノンが含まれる。これらの遺伝子の多形変異体は、これらの基質を異なる割合で代謝し、これは患者への有効な治療の投薬において効果的な作用を及ぼすことができる。
【0015】
CYPの基質特異性は、これらの合成物の全ての代謝に適応するために非常に広くなければならないとはいえ、個々のCYP遺伝子生成物のそれぞれは、その結合及び触媒部位によって規定されるよりもより狭い基質特異性を有している。薬剤代謝は、特定のCYP遺伝子生成物の量又は活性の変化により調節されることができる。CYP調節の方法としては、CYPの発現における遺伝子変化(例えば、遺伝子多形性)、CYPと結合可能な他の生体異物によるCYP代謝の阻害、及び薬剤自身又は他の生体物による特定のCYPの誘導が含まれる。CYPの抑制及び誘導は、逆向きの薬剤相互作用の最も一般的な機構である。例えば、CYP3Aサブファミリーは、心律動異常を生じる非沈静化坑ヒスタミン剤及びシサプリドに関連した、臨床的に重要な薬剤相互作用に関連している。他の例では、CYP3A4及びCYP1A2酵素は、多くの精神療法剤の代謝を担っている。さらに、CYP酵素は、ヒト免疫不全ウイルスに感染した患者の治療に用いられるプロテアーゼ抑制剤を代謝する。これらの酵素の特異な機能と特徴を理解することによって、医師達は薬剤の相互作用を予期、及び処理することができるかもしれず、また、特定の治療法に対する個人の応答を予測、又は説明することができるかもしれない。
【0016】
CYPスーパーファミリーに触媒される反応の例としては、過酸化物を、ヒドロキシル化反応における酸素ドナー、還元β分裂の基質、アルデヒドからギ酸塩及びアルケンへの開裂におけるペルオキシヘミアセタール中間体として用いた過酸化反応が含まれる。脂質ヒドロペルオキシドは、炭化水素及びアルデヒド酸を得るために、還元β開裂を受ける。これらの生成物の1つ、トランス−4−ヒドロキシノネナールは、消極的な調節プロセスであるかもしれないCYP、特にアルコール−誘導性2E1を不活性化する。CYP鉄−オキセン種は、殆どのヒドロキシル化反応の酸素ドナーであると考えられているが、鉄−ペルオキシ種は、芳香族化反応のように、残存する構造の不飽和化を伴う多くのアルデヒドの脱ホルミル化に関連していると考えられる。
【0017】
CYPに関連した酸化型代謝の薬剤の例としては、アセトアミノフェン、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アルプレノロール、アミオダロン、アミトリプチリン、アステミゾール、ブスピロン、カフェイン、カルバマゼピン、クロルフェニラミン、シサプリド、クロミプラミン、クロミプラミン、クロザピン、コデイン、コルヒチン、コルチゾール、シクロホスファミド、サイクロスポリン、ダプソン、デシプラミン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジルチアゼム、エンカイニド、エリスロマイシン、エストラジオール、フェロジピン、フルオキセチン、フルバスタチン、ハロペリドール、イブプロフェン、イミプラミン、インジナビル、インドメタシン、インドラミン、イルベサルタン、リドカイン、ロサルタン、マクロライド抗生物質、メフェニトイン、メサドン、メトプロロール、メキシレチン、ミダゾラム、モクロベミド、ナプロキセン、ネファゾドン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ノルトリプチリン、オランザピン、オメプラゾール、オンダンセトロン、オキシコドン、パクリタキセル、パロキセチン、フェナセチン、フェニトイン、ピロキシカム、プロゲステロン、プロパフェノン、プロプラノロール、キニジン、リトナビル、サキナビル、セルトラリン、シルデナフィル、S−ワルファリン、タクリン、タモキシフェン、テノキシカム、テルフェナジン、テストステロン、テオフィリン、チモロール、トルブタミド、トリアゾラム、ベラパミル、ビンブラスチンが含まれる。
【0018】
相Iの酵素の異常活性は、ヒトの疾患の範囲に関連している。例えば、増大されたCYP2D6の活性は、膀胱、肝臓、咽頭、胃、及び肺の悪性腫瘍と関連しているのに対して、減少されたCYP2D6の活性は、パーキンソン病の危険性の増大につながる。CYPスーパーファミリーの欠損と関連した発達上の障害には、脳腱黄色腫症、副腎過形成、女性化乳房症、及び筋緊張性ジストロフィーが含まれる。
【0019】
ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450
本発明により提供される新規なヒトタンパク質、およびそれをコード化する遺伝子は、例えば、シトクロムP4504A4(CYP4A4)、シトクロムP−450p−2、プロスタグランジン、ω−ヒドロキシラーゼ、及びラウリン酸ω−ヒドロキシラーゼを含む、ω−ヒドロキラーゼシトクロムP450ファミリーに関連している。ω−ヒドロキシラーゼシトクロムP450タンパク質は、プロスタグランジンA、及び、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩のような脂肪酸のω−(ω1を含む)ヒドロキシル化に触媒作用を及ぼす(Yoshimura et al., J Biochem (Tokyo) 1990 Oct;108(4):544−8)。CYP4A4は、妊娠期間中に増大させられる(Palmer et al., Arch Biochem Biophys 1993 Feb 1;300(2):670−6)。
【0020】
Matsubara et al., J Biol Chem 1987 Sep 25;262(27):13366−71; Yamamoto et al., (1984) J. Biochem. (Tokyo) 96, 593−603; Yokotani et al., Eur J Biochem 1991 Mar 28;196(3):531−6; and Johnson et al., Biochemistry 1990 Jan 30;29(4):873−9.
【0021】
本発明により提供されるタンパク質のようなシトクロムは、上述した点に加えて、多くの有用性を持っている。シトクロムは通常の生理学的基質を代謝するだけでなく、環境中の毒を中和する。肝細胞中のステロイド、脂肪酸、異物の酸化に加えて、シトクロムは、毒性化合物、殺虫剤、発癌性物質により誘導されることもできる。
【0022】
シトクロムの免疫学的及びPCRベースのアッセイは、実験医学における毒性、及び回転率の判定に用いられ得る。選択的な細胞毒薬剤は、特定のシトクロムと相互作用し、細胞死を誘引するように設計することができ、これによって潜在的な癌の新しい治療方法が提供される。
【0023】
シトクロムは、心筋細胞及び血管内皮細胞の損傷を引き起こすフリーラジカルを生成することができる。実験モデルでは、α−トコフェロール、及び他の酸化防止剤は、フリーラジカルの生成を抑制する。グルタチオン及びグルタチオンペルオキシダーゼは、フリーラジカル−誘発性の細胞損傷からの自然保護に寄与している。全てのシトクロムを特徴づけることは、より効果的な酸化防止剤の開発を助長することとなる。本発明により提供される配列は、特定の化学予防薬剤の設計に用いることができる。
【0024】
ここに提供されるシトクロムは、他のヒトシトクロムと同様に、非−ヒトオキシゲナーゼを阻害し、ヒト酵素に対して毒性を示さない非−寄生性薬剤の発見のためのハイ−スループット薬剤スクリーンに用いることができる。
【0025】
CYPスーパーファミリーの更なる説明は、Igarashi et al., Arch Biochem Biophys 1997 Mar 1;339(1):85−91; Med Lett Drugs Ther 2000 Apr 17;42(1076):35−6 (no authors listed); Fowler et al., Biochemistry 2000 Apr 18;39(15):4406−14; Lamb et al., Chem Biol Interact 2000 Mar 15;125(3):165−75; Chiba et al., Xenobiotica 2000 Feb;30(2):117−29; and Meehan et al., Am J Hum Genet 1988 Jan;42(1):26−37を参照されたい。
【0026】
CYPスーパーファミリーは、薬剤の作用及び開発の主要なターゲットである。したがって、従来未知のCYPスーパーファミリーのメンバーを同定し特徴づけることは、薬剤開発の分野において有用である。
【0027】
UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ
相II代謝に関連した潜在的な薬剤相互作用への認識は高まっている。薬剤代謝に関連する相II酵素の重要なグループは、グルクロノシルトランスフェラーゼ、特にUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(“UGT”)スーパーファミリーである。UGTスーパーファミリーのメンバーは、脂溶性化合物への糖ドナーとしてのUDPグルクロン酸の酵素添加に触媒作用を及ぼし、これらの水への可溶性を増大し、排出率を増大するプロセスである。哺乳類において、グルクロン酸は、代謝の廃棄物、及び環境から体内に入って毒性レベルとなる脂溶性化合物の蓄積の予防に用いられている。グルクロノシルトランスフェラーゼの誘導剤及び阻害剤の両者は公知であり、血漿濃度、及び向精神薬を含む重要な薬剤の作用に影響する可能性を持っている。
【0028】
UGTスーパーファミリーは、いくつかの種の酵素のいくつかのファミリーを含んでおり、CYPスーパーファミリーのメンバーを定義するのに用いられるのに類似した命名法で定義される。動物、酵母、植物、及び細菌においては、少なくとも110の異なるCYPスーパーファミリーのメンバーが知られている。ヒトにおいては、33程度のファミリーが定義され、3つのファミリーが同定された。異なるUGTファミリーでは、アミノ酸配列の相同性が45%未満であるとして定義され;サブファミリーの中では約60%の相同性がある。UGTスーパーファミリーのメンバーはさらに、動物、植物、細菌において見出されるUDPグリコシルトランスフェラーゼスーパーファミリーの一部である。
【0029】
相II酵素、特にUGT酵素の役割は、精神薬理学において重要なものとして、認識が高まっている。UGT酵素は、多くの重要な向精神薬を変化させ、薬剤応答及び薬剤相互作用の変化の主要な原因である。例えば、ベンゾジアゼピン、ロラゼパム、オキサゼパム、及びテマゼパムは、尿中に排出される前にのみ、相II反応を受ける。
【0030】
相II酵素は、発癌性物質のような危険性物質を代謝し、解毒する。相II酵素をコード化する遺伝子の発現は、多くの薬剤により上方−調整されることが知られている。例えば、オルチプラズは、相II酵素発現を上方−調整する。研究により、選択性相II酵素誘導剤を発癌物質の前に投与した場合の、発癌性物質の癌−誘因効果からの保護が証明された。発癌性物質の暴露に関連したヒトの癌の予防における、相II酵素誘導剤の潜在的な用途は、これらの分子の影響の理解を目標とした研究を促すこととなった。現在の生化学及び分子生物学の研究の方法を、選択性相II酵素誘導剤及びそのターゲットを同定、及び特徴づけるために用いることができる。癌の化学予防薬剤に応答する遺伝子の同定は、それらの基本的なメカニズムの研究を容易にし、遺伝子調節、酵素多形性、及び発癌性物質の解毒の関係についての知見を提供するものである。
【0031】
UGT酵素に関連した代謝を変化させる薬剤の例としては、アミトリプチリン、ブプレノルフィン、クロルプロマジン、クロザピン、コデイン、シプロヘプタジン、ジヒドロコデイン、ドキセピン、イミプラミン、ラモトリジン、ロラゼパム、モルヒネ、ナロルフィン、ナルトレキソン、テマゼパム、及びバルプロエートが含まれる。
【0032】
相IIの酵素の異常活性は、ヒトの疾患の範囲に関連している。例えば、ギルバート症候群は、UGT1遺伝子の変異により起こる常染色体優勢障害であり、UGT1A1酵素の変異は、クリグラー−ナジャー症候群に関係していることが証明された。
【0033】
UGTスーパーファミリーは、薬剤の作用及び開発の主要なターゲットである。したがって、従来未知のUGTスーパーファミリーのメンバーを同定し特徴づけることは、薬剤開発の分野において有用である。
【0034】
薬剤−代謝酵素、特にω−ヒドロキシラーゼシトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーのメンバーは、薬剤の作用及び開発の主要なターゲットである。したがって、この従来未知の薬剤−代謝タンパク質のサブファミリーのメンバーを同定し特徴づけることは、薬剤開発の分野において有用である。本発明は、ω−ヒドロキシラーゼシトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーのメンバーとの相同性を持った、従来未確認のヒト薬剤−代謝タンパク質を提供することによって、これらの技術の進展に寄与するものである。
【0035】
発明の要約
本発明は、ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリー、これらの対立遺伝子変異体、および他の哺乳類におけるこれらのオルトログに関係する、ヒト薬剤−代謝酵素ペプチド及びタンパク質のアミノ酸配列同定の一部に基づいたものである。これらの特異なペプチド配列、及びこれらのペプチドをコード化する核酸配列は、ヒトの治療ターゲット開発のためのモデルとして用いることができ、治療に用いるタンパク質の識別に役立ち、また、薬剤−代謝酵素を発現する細胞及び組織内での薬剤−代謝酵素活性を調節するようなヒトの治療薬の開発におけるターゲットとなり得る。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。
【0036】
発明の詳細な説明
概論
本発明は、ヒトゲノムの配列解析に基づいている。ヒトゲノムの配列解析及び構築に際して、配列情報を解析することによって、当該分野において、薬剤−代謝酵素タンパク質又はその一部であると同定及び特徴付けられ、ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーに関連付けられるタンパク質/ペプチド/ドメインに対して、構造及び/又は配列の相同性を有するペプチドをコード化している、ヒトゲノムの従来未確認のフラグメントが明らかとなった。これらの配列を用いて、付加的なゲノム配列を構築し、転写及び/又はcDNA配列を単離し、特徴付けた。この解析に基づいて、本発明は、ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーに関連するヒト薬剤−代謝酵素ペプチド及びタンパク質のアミノ酸配列、これらの薬剤−代謝酵素ペプチド及びタンパク質をコード化する転写形態の核酸配列、cDNA配列及び/又はゲノム配列、核酸変異(対立遺伝子情報)、発現の組織分布、及び本発明の薬剤−代謝酵素に対して構造又は配列の相同性を有する、最も関連性の高い既知のタンパク質/ペプチド/ドメインに関する情報を提供するものである。
【0037】
本発明において提供されるペプチドは、従来未知であることに加えて、商業的に重要な製品及びサービスの開発において有用であるという点に基づいて選択され得るものである。特に、本発明のペプチドは、ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーにおける既知の薬剤−代謝酵素タンパク質、及びその発現パターンに対して相同性及び/又は構造上の相関性を有していることに基づいて選択される。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。この技術は、本発明の遺伝子と類似した発現パターンを有するこのファミリーのタンパク質及びペプチドにおける商業的重要性を確立するものである。本発明のペプチドのより具体的な性質及びその使用に関しては、本明細書、特に背景技術、図面の注釈に記載され、及び/又は薬剤−代謝酵素タンパク質の既知のω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリー又はサブファミリーのそれぞれにおいて周知である。
【0038】
【実施例の詳細】
ペプチド分子
本発明は、薬剤−代謝酵素ファミリーのタンパク質のメンバーであると同定されるタンパク質分子をコード化する核酸配列を提供するものであり、これらはω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450薬剤−代謝酵素サブファミリーに関連付けられる(図2にタンパク質配列、図1に転写/cDNA配列、図3にゲノム配列を示す)。図2に示されるペプチド配列、同様に本明細書に記載される対立変異体、特に本明細書及び図3の情報を用いて同定される対立変異体のような明らかな変異体は、ここでは本発明の薬剤−代謝酵素ペプチド、薬剤−代謝酵素ペプチド、又は本発明のペプチド/タンパク質と呼ばれる。
【0039】
本発明は、図2に示される薬剤−代謝酵素ペプチドのアミノ酸配列から成る、あるいは実質的に成る、あるいはこれを含む単離ペプチド及びタンパク質分子を提供する(図1に示される核酸分子である転写/cDNA、又は図3に示されるゲノム配列によりコード化される)とともに、本技術により調製、使用されるこれらのペプチドの明らかな変異体を提供するものである。これらの変異体については以下で詳述する。
【0040】
ここで用いられる場合、ペプチドが細胞物質を実質的に含まない、又は化学前駆物質あるいは他の化学物質を含まない場合に、ペプチドは「単離」又は「精製」されたという。本発明のペプチドは、同質又は他の純度になるまで精製することができる。精製のレベルは使用目的に基づく。重要な性質としては、調製物中に他の成分が多量に存在していたとしても、要求されるペプチドの機能を発揮できるということである(単離核酸分子の性質については後述する)。
【0041】
いくつかの使用では、「実質的に細胞物質を含まない」とは、他のタンパク質(すなわち汚染タンパク質)を約30%(乾燥重量)未満、他のタンパク質を約20%未満、他のタンパク質を約10%未満、又は、他のタンパク質を約5%未満有するペプチド調製物を含む。ペプチドが組み換えにより製造される場合、培地がタンパク質調製物の容量に対して20%未満のときには、実質的に培地は存在しないとすることもできる。
【0042】
「実質的に化学前駆物質又は他の化学物質を含まない」という用語は、合成に関与した化学前駆物質又は他の化学物質から分離されたペプチド調製物をいう。ある例においては、「実質的に化学前駆物質又は他の化学物質を含まない」とは、化学前駆物質又は他の化学物質を約30%(乾燥重量)未満、化学前駆物質又は他の化学物質を約20%未満、化学前駆物質又は他の化学物質を約10%未満、又は、化学前駆物質又は他の化学物質を約5%未満有する薬剤−代謝酵素ペプチド調製物を含む。
【0043】
単離薬剤−代謝酵素ペプチドは、自然に発現する細胞、発現のために変形された(組み換え)細胞から精製するか、又は、既知のタンパク質合成方法を用いて合成することができる。図1に示す実験データは、図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。例えば、薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化している核酸分子は、発現ベクター中にクローニングされ、さらにこの発現ベクターは宿主細胞に導入されて、タンパク質が宿主細胞内で発現する。そして、タンパク質は標準のタンパク質精製技術を用いた適当な精製スキームによって、細胞から単離することができる。これら多くの技術については、以下で詳述する。
【0044】
したがって、本発明は、図2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO.2)から成るタンパク質、例えば、図1に示される転写/cDNA核酸配列(SEQ ID NO.1)、及び図3に示されるゲノム配列(SEQ ID NO.3)によりコード化されるタンパク質を提供するものである。このようなタンパク質のアミノ酸配列を図2に示す。このアミノ酸配列がタンパク質の最終的なアミノ酸配列であるとき、タンパク質はアミノ酸配列から成る。
【0045】
本発明はさらに、図2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO.2)から実質的に成るタンパク質、例えば、図1に示される転写/cDNA核酸配列(SEQ ID NO.1)、及び図3に示されるゲノム配列(SEQ ID NO.3)によりコード化されるタンパク質を提供するものである。このようなアミノ酸配列に微量の付加アミノ酸残基、例えば、最終的にタンパク質中に約1〜100程度の付加残基、典型的には1〜20の付加残基が存在する場合、タンパク質はアミノ酸配列から実質的に成る。
【0046】
本発明はさらに、図2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO.2)を含むタンパク質、例えば図1に示される転写/cDNA核酸配列(SEQ ID NO.1)、及び図3に示されるゲノム配列(SEQ ID NO.3)によりコード化されるタンパク質を提供するものである。このアミノ酸配列が、タンパク質の最終的なアミノ酸配列の少なくとも一部である場合、タンパク質はアミノ酸配列を含む。このような場合、タンパク質はペプチドのみであるか、又はタンパク質と自然に結びついているアミノ酸残基、あるいはアミノ酸残基/ペプチド配列に非相同のアミノ酸残基のような、付加的なアミノ酸分子(コード化された配列と隣接する)を有することができる。このようなタンパク質は、少量の付加的アミノ酸残基を有するか、又は数百あるいはそれ以上の付加的アミノ酸を含むことができる。本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドが含まれるタンパク質の好適な種として、天然の成熟タンパク質がある。これらの各種タンパク質を調製/単離する方法については、以下に簡単に述べる。
【0047】
本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドは、キメラ又は融合タンパク質を形成するために、非相同性の配列に結合することができる。このようなキメラ及び融合タンパク質は、薬剤−代謝酵素ペプチドに対して実質的に相同性のないアミノ酸配列を有する非相同タンパク質に、有効に結合される薬剤−代謝酵素ペプチドを含む。「有効に結合される」とは、薬剤−代謝酵素ペプチドと非相同タンパク質がフレーム中で融合していることを示す。非相同タンパク質は、薬剤−代謝酵素ペプチドのN末端又はC末端に融合されることができる。
【0048】
いくつかの使用では、融合タンパク質は、薬剤−代謝酵素ペプチド自体の活性に影響を及ぼさない。融合タンパク質には、例えば、βガラクトシダーゼ融合、イースト2−ハイブリッドGAL融合、ポリHis融合、MYC標識、HI標識及びIg融合といった酵素融合タンパク質が含まれるが、これに限られるものではない。このような融合タンパク質、特にポリHis融合は、組み換え薬剤−代謝酵素ペプチドの精製に有用である。ある種の宿主細胞(例えば哺乳類の宿主細胞)においては、タンパク質の発現及び/又は分泌は、非相同信号配列を用いることにより増加させることができる。
【0049】
キメラ又は融合タンパク質は、標準の組み換えDNA技術により製造することができる。例えば、異なるタンパク質配列をコードしているDNAフラグメントは、従来技術に従ってフレーム中に共に配置される。他の例では、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来技術により合成することが可能である。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅にアンカープライマーを用い、2つの連続的な遺伝子フラグメント間に相補的な突出部を形成し、その後、アニールすることにより、キメラ遺伝子配列を再増幅することができる(Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, 1992参照)。さらに、発現ベクターとしては、既に融合部分(例えばGSTタンパク質)をコード化した多くのものを、商業的に入手することができる。薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化した核酸は、融合部がフレーム中で薬剤−代謝酵素ペプチドに結合するようにして、このような発現ベクター中にクローニングされることができる。
【0050】
以上説明したように、本発明はまた、天然のペプチド成熟形態、ペプチドの対立遺伝子/配列変異体、非天然の組換え誘導変異体、ペプチドのオルトログ及びパラログなど、本発明のタンパク質のアミノ酸配列における明らかな変異体を提供、及び実施可能にするものである。このような変異体は、核酸組み換え技術やタンパク質生化学の分野で公知の技術を用いることにより、容易に生成することができる。しかしながら、この変異体には、本発明以前に公開されている何れのアミノ酸配列も含まれないものであると理解される。
【0051】
このような変異体は、ここに示される分子技術や配列情報を用いることにより、容易に同定/製造することが可能である。さらに、このような変異体は、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドに対する配列及び/又は構造上の相同性に基づいて、他のペプチドと容易に区別することができる。相同性/同一性の程度は、主に、ペプチドが機能的変異体であるか又は非機能的変異体であるか、パラログファミリー中に存在する分化量、オルトログ間の進化的相違に基づいている。
【0052】
2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、最適な比較を行う目的で、配列はアラインされる(例えば、最適なアラインメントのために、ギャップが第一及び第二アミノ酸又は核酸配列の一方又は両方に導入されることができ、非相同性配列は比較を行うために無視することができる)。好適な例としては、対象配列の長さの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上が、比較目的に応じてアラインされる。そして、対応するアミノ酸配置又はヌクレオチド配置上の、アミノ酸残基又はヌクレオチドが比較される。第一配列での配置が、第二配列において対応する配置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占められているとき、分子はその配置上で同一である(ここで用いられているアミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」と同意義である)。2つの配列間の同一性パーセントは、配列において共有される同一配置数の関数であり、ギャップ数及び各ギャップ長さを考慮し、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要がある。
【0053】
配列の比較、及び2つの配列間における同一性、類似性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; and Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991)。好適な例としては、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれたNeedleman・Wunschアルゴリズム(J. Mol. Biol. (48):444−453 (1970))を用い、Blossom62マトリックス、又はPAM250マトリックス、及びギャップ重量16、14、12、10、8、6、4、長さ重量1、2、3、4、5、6を用いて決定される。他の好適な例としては、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラム(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Res. 12(1):387(1984))を用い、NWSgapdna.CMPマトリックス、ギャップ重量40、50、60、70、80、長さ重量1、2、3、4、5、6を用いて決定される。さらに他の一例としては、2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Myers・W. Millerのアルゴリズム(CABIOS, 4:11−17 (1989))を用い、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12、ギャップペナルティ4を用いて決定される。
【0054】
本発明の核酸及びタンパク質配列は、例えば他のファミリー又は関連した配列を発見するために、配列データベースに対して検索を行う「クエリー配列」として用いられることができる。このような検索は、AltschulらのNBLAST、及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)(J. Mol. Biol. 215:403−10 (1990)) を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同性のあるヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラムを用い、score=100、wordlength=12で行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質に相同性のあるアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムを用い、score=50、wordlength=3で行うことができる。比較目的のギャップアラインメントを得るために、AltschulらのGapped BLAST(Nucleic Acids Res. 25(17):3389−3402 (1997))を用いることができる。BLAST及びGappedBLASTプログラムを用いる際には、各プログラム(例えば、XBLASTやNBLAST)の既定のパラメータを用いることができる。
【0055】
本発明のペプチドのうちの一つを含むタンパク質において、プロセシングを受ける前の全長形態と同様に、成熟プロセス形態は、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドのうちの1つに対して完全な配列同一性を有し、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドと同じ遺伝子位置によりコード化されているものとして、容易に同定することができる。本発明の新規な薬剤−代謝タンパク質をコード化している遺伝子は、(図3に示されるように)ヒト染色体1上にマップされるゲノム成分上に位置しており、これはSTS及びBACマップデータのような多系統の証拠によって支持されている。
【0056】
薬剤−代謝酵素ペプチドの対立遺伝子変異体は、薬剤−代謝酵素ペプチドの少なくとも一部に対して高度の(著しい)配列相同性/同一性を有するヒトタンパク質であることと同様に、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドと同じ遺伝子位置においてコード化されているものとして、容易に同定することができる。遺伝子位置は、対象となるヒトに対してマッピングされたゲノム配列のような、図3に示されるゲノム情報に基づいて容易に決定することができる。本発明の新規な薬剤−代謝タンパク質をコード化している遺伝子は、(図3に示されるように)ヒト染色体1上にマップされるゲノム成分上に位置しており、これはSTS及びBACマップデータのような多系統の証拠によって支持されている。ここで用いられる場合、アミノ酸配列において、典型的には少なくとも約70〜80%、80〜90%、さらに典型的には少なくとも約90〜95%、又はそれ以上の相同性を有する場合には、2つのタンパク質(又はタンパク質の一領域)は著しい相同性を有している。本発明によれば、著しい相同性を有するアミノ酸配列は、より詳細には以下に述べられるようなストリンジェントな条件の下で、薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化する核酸分子とハイブリダイズする核酸配列によりコード化される。
【0057】
図3には、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化している遺伝子において見出されたSNP情報を示す。挿入/欠失変異体(“indels”)を含むSNPは、45の異なるヌクレオチド位置で確認された。これらのSNPにより起こるアミノ酸配列の変化は、ユニバーサル遺伝子コード、及び図2に示されるタンパク質配列を用いて容易に確認することができる。エキソン、イントロン、及びORFの外側のそれぞれのSNPの位置は、それぞれのSNPより得られるDNA位置、及びその性質より得られる開始/終止、エキソン及びイントロン座標を用いて容易に決定することができる。
【0058】
薬剤−代謝酵素ペプチドのパラログは、薬剤−代謝酵素ペプチドの少なくとも一部に対して、ある程度の著しい配列相同性/同一性を有し、ヒトの遺伝子によってコード化され、また同様の活性又は機能を有しているものとして、容易に同定することができる。アミノ酸配列が、与えられた領域又はドメインを通じて、典型的には少なくとも約60%以上、さらに典型的には約70%以上の相同性を有する場合、2つのタンパク質は典型的なパラログであると考えられる。このようなパラログは、より詳細には以下に述べられるような、モデレートからストリンジェントな条件の下で、薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化する核酸分子とハイブリダイズする核酸配列によりコード化される。
【0059】
薬剤−代謝酵素ペプチドのオルトログは、薬剤−代謝酵素ペプチドの少なくとも一部に対してある程度の著しい配列相同性/同一性を有し、他の生体の遺伝子によってコード化されているものとして、容易に同定することができる。オルトログは、好適には、哺乳類、さらに好適には霊長類から単離され、ヒトの治療ターゲット及び治療薬剤の開発のために用いられる。このようなオルトログは、より詳細には以下に述べられるような、モデレートからストリンジェントな条件の下で、薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化する核酸分子とハイブリダイズするような核酸配列によりコード化され、これはタンパク質を生成する2つの生体の関連性に依存している。
【0060】
本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドの非天然の変異体は、組み換え技術を用いて容易に生成することができる。このような変異体には、薬剤−代謝酵素ペプチドのアミノ酸配列中における欠失、付加、置換によるものが含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、置換の1種として、保存的アミノ酸置換が挙げられる。この置換は、薬剤−代謝酵素ペプチドにおける特定のアミノ酸が、同様の特徴をもつ他のアミノ酸によって置換されるものである。保存的置換においては、脂肪族のアミノ酸Ala、Val、Leu、Ileの中の一つが他の一つに置換、ヒドロキシル残基SerとThrとの交換、酸性残基AspとGluとの交換、アミド残基AsnとGln間の置換、塩基性残基LysとArgとの交換、芳香族残基PheとTylとの置換がある。表現型に現れないアミノ酸置換に関する指針については、Bowie et al., Science 247:1306−1310 (1990)に述べられている。
【0061】
変異薬剤−代謝酵素ペプチドは、完全に機能しているか、又は、例えば基質結合能、基質リン酸化能、信号伝達媒介能等のような活性の一つ以上において機能が欠落していることがある。完全機能的な変異体には、典型的には、保存的な変異、又は致命的でない残基あるいは領域内での変異体のみが含まれる。図2には、タンパク質解析の結果が示されており、致命的なドメイン/領域を特定するのに使用することができる。機能性変異体には、機能が変化しない、又は著しい機能変化の無い類似アミノ酸の置換も含まれる。他方、このような置換は、機能に対してある程度プラス又はマイナスの影響を及ぼすことがある。
【0062】
非機能性変異体には、典型的には、一つ以上の非保存的なアミノ酸の置換、欠失、導入、反転、切断、又は致命的な残基あるいは領域での置換、欠失、導入、反転が含まれる。
【0063】
機能において必須のアミノ酸は、例えば、特定部位の突然変異誘発、又はアラニンスキャニング突然変異誘発(Cunningham et al., Science 244:1081−1085 (1989))等の当該分野において既知の方法により、特に図2に示す結果を用いて確認することができる。後者の手順では、分子内の全ての残基において、単独のアラニン突然変異を導入する。この結果生じた変異体分子は、その後、薬剤−代謝酵素活性のような生物活性、又はin vitro増殖活性分析のようなアッセイのために試験される。結合対象/基質結合にとって重要な部位は、結晶化、核磁気共鳴、光学親和性ラベル等の構造解析によって決定される(Smith et al., J. Mol. Biol. 224:899−904 (1992); de Vos et al. Science 255:306−312(1992))。
【0064】
本発明は薬剤−代謝酵素ペプチドのフラグメントを提供し、さらにこれに加えて、該フラグメント、特に図2に特定された残基を含むフラグメントを含む、及びから成るタンパク質及びペプチドを提供するものである。しかしながら、本発明に関連するフラグメントは、本発明より以前に公開されているフラグメントを含むものとは見なされない。
【0065】
フラグメントは、ここで用いられる場合、薬剤−代謝酵素ペプチドに隣接するアミノ酸残基を、少なくとも8、10、12、14、16又はそれ以上含んでいる。このようなフラグメントは、1以上の薬剤−代謝酵素ペプチドの生物活性を保持する能力によって選択されるか、あるいは例えば、基質との結合又は抗原としての作用等の機能を果たす能力によって選択され得る。特に重要なフラグメントは生物活性フラグメントであり、これは例えば、8又はそれ以上のアミノ酸のペプチドである。このようなフラグメントは、典型的には、例えば活性部位、膜貫通ドメイン、又は基質結合ドメインのような、薬剤−代謝酵素ペプチドのドメイン又はモチーフを含んでいる。さらに、可能なフラグメントとしては、ドメイン又はモチーフ含有フラグメント、溶解性ペプチドフラグメント、抗原性構造含有フラグメントを含むが、これに限定されるものではない。予想されるドメイン及び機能性部位は、当業者にとって容易に入手可能な公知のコンピュータプログラム(例えばPROSITE分析)により、容易に確認することができる。このような分析結果の1つを図2に示す。
【0066】
ポリペプチドは、一般に20天然アミノ酸と呼ばれている20種のアミノ酸以外のアミノ酸をしばしば含むことがある。さらに、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、プロセシング及び翻訳後修飾等の自然の過程、又は当該分野において公知の化学修飾技術によって修飾され得る。薬剤−代謝酵素ペプチドにおいて自然に生じる一般的な修飾については、基本的なテキスト、詳細な研究論文及び文献に記述されており、これは当業者においては周知である(これらの特性のいくつかは図2において確認される)。
【0067】
既知の修飾としては、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合付加、ヘム部分の共有結合付加、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合付加、脂質又は脂質誘導体の共有結合付加、ホスファチジルイノシトールの共有結合付加、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸塩の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加、ユビキチン化を含むが、修飾はこれに限定されるものではない。
【0068】
このような修飾は当業者には周知であり、科学文献において非常に詳細に記述されてきた。グリコシル化、脂質付加、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化、ADPリボシル化など、特に一般的な修飾は、Proteins − Structure and Molecular Properties, 2nd Ed., T.E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York (1993)のような、殆どの基本テキストにおいて記述されている。この点に関する詳細な文献としては、Wold, F., Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnson, Ed., Academic Press, New York 1−12 (1983); Seifter et al. (Meth. Enzymol. 182: 626−646 (1990)) and Rattan et al. (Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48−62 (1992) のような多くの文献を利用することができる。
【0069】
したがって、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドは、置換されたアミノ酸残基が遺伝子コードによってコード化されていない、置換基が含まれている、成熟薬剤−代謝酵素ペプチドが、例えば薬剤−代謝酵素ペプチドの半減期を長くする化合物のような他の化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合しているか、又は付加アミノ酸が、例えば成熟薬剤−代謝酵素ペプチドの主、副配列、又は精製配列、あるいは前タンパク質配列のような、成熟薬剤−代謝酵素ペプチドと融合しているといった、誘導体又は類似体をも包含するものである。
【0070】
タンパク質/ペプチドの使用
本発明のタンパク質は、図面及び背景技術に示される機能情報に関連した、実質的及び特異的なアッセイにおいて、例えば、抗体を高める、又は他の免疫反応を誘発させるため、生物液中でのタンパク質(又はその結合対象、又はリガンド)レベルの定量のためのアッセイに用いる試薬(ラベル化試薬を含む)として、あるいは、対応するタンパク質を選択的に発現する組織のマーカー(組織の分化又は発達のある特定段階、あるいは疾患の状態)として使用することができる。タンパク質が、他のタンパク質と結合しているか又は結合し得る場合(例えば、薬剤−代謝酵素−効果器タンパク質相互作用、薬剤−代謝酵素−リガンド間相互作用)、このタンパク質を用いて結合相手を同定し、結合相互作用の阻害剤を同定するシステムを開発することができる。これらの一部又は全てを使用することにより、試薬グレード、又は商業製品としてのキットフォーマットへの開発が可能となる。
【0071】
上に列記した使用を実際に行う方法は、当業者にとって周知のことである。このような方法を開示している参考文献としては、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”2d ed、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E. F. Fritsch and T. Maniatis eds., (1989) “Methods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques”、Academic Press, Berger, S. L. and A. R. Kimmel eds., (1987)がある。
【0072】
本発明のペプチドの潜在的な用途は、主にタンパク質の起源に基づいており、同様にタンパク質の分類/作用に基づいている。例えば、ヒトから単離した薬剤−代謝酵素、及びそれらのヒト/哺乳類オルトログは、哺乳類の治療用医薬、例えば、ヒト用の医薬、特に、薬剤−代謝酵素を発現する細胞又は組織中での生物反応又は病理学的反応の変調に用いられる医薬を発見するためのターゲットとして有用である。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。医薬製剤のうちの多くの割合のものが、薬剤−代謝酵素タンパク質、特にω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450サブファミリーメンバーの活性を変調するものとして開発されている(背景技術参照)。背景技術及び図面に記載されている構造情報及び機能情報、特に図1の発現情報と組み合わせることによって、本発明の分子の特異的及び本質的な使用が提供される。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。このような使用は、ここに示されている情報と、当業者において既知の情報、及びルーチン実験を用いて、容易に決定することができる。
【0073】
本発明のタンパク質(本発明以前に開示されている変異体及びフラグメントを含む)は、ω−ヒドロキシラーゼ シトクロムP450サブファミリーに関連付けられる薬剤−代謝酵素に関連する生物学的アッセイに有用である。このようなアッセイは、特にこの薬剤−代謝酵素を発現する細胞及び組織において、本発明の一つが属する薬剤−代謝酵素サブファミリーに特異的な薬剤−代謝酵素関連症状の診断及び治療に有用な、公知の薬剤−代謝酵素の機能、活性、あるいは性質の何れかに関係している。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。
【0074】
本発明のタンパク質は、細胞系、又は無細胞系における薬剤スクリーニングアッセイにおいても有用である(Hodgson, Bio/technology, 1992, Sept 10(9);973−80)。細胞系では、天然型、すなわち薬剤−代謝酵素を正常に発現する細胞であり、生体組織検査、又は細胞培地中で増殖することができる。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。他の例では、細胞系アッセイは、薬剤−代謝酵素タンパク質を発現する組み換え宿主細胞に関係している。
【0075】
ポリペプチドは、自然状態又は変異型で薬剤−代謝酵素に関連する特定の疾患又は症状を引き起こすタンパク質の薬剤−代謝酵素活性を変調する化合物を同定するために用いることができる。本発明の薬剤−代謝酵素と、適切な変異体及びフラグメントの両者は、薬剤−代謝酵素への結合能力を持つ候補化合物をアッセイするための高効率スクリーンにおいて使用することができる。これらの化合物は、さらにこれらの薬剤−代謝酵素活性に対する影響を判定するために、機能性薬剤−代謝酵素に対してスクリーニングを行うことができる。さらにこれらの化合物は、動物又は無脊椎動物系における、活性/効果を判定するために試験することができる。化合物は、薬剤−代謝酵素を望ましい程度までに活性化(アゴニスト)又は不活性化(アンタゴニスト)するかどうか判定される。
【0076】
さらに、本発明のタンパク質は、薬剤−代謝酵素タンパク質と、薬剤−代謝酵素タンパク質と通常相互作用する分子、例えば、薬剤−代謝酵素タンパク質が通常相互作用する信号経路の基質又は構成成分との間での相互作用を促進又は阻害する能力を持つ化合物(例えば、他の薬剤−代謝酵素)をスクリーニングするのに用いることができる。このようなアッセイでは、一般的には、薬剤−代謝酵素タンパク質又はフラグメントが、ターゲット分子と相互作用し、タンパク質とターゲットとの複合物を検出するか、又はタンパク質のリン酸化、cAMP代謝回転、アデニル酸シクラーゼ活性化などの信号伝達に関連した効果のような、薬剤−代謝酵素タンパク質とターゲットとの間の相互作用の生化学的結果を検出することのできる条件で、薬剤−代謝酵素タンパク質と候補化合物とが結合される工程が含まれる。
【0077】
候補化合物としては、例えば、1)最後部がIgの融合ペプチド、及びランダムペプチドライブラリを含む可溶性ペプチド(例えば、Lam et al., Nature 354:82−84 (1991); Houghten et al., Nature 354:84−86 (1991)参照)、及びD−及び/又はL−型アミノ酸からできている組み合わせ化学誘導分子ライブラリを含むペプチド、2)ホスホペプチド(例えば、ランダム、又は部分的に変質したホスホペプチドライブラリ。例えば、Songyang et al., Cell 72:767−778 (1993)参照)、3)抗体(例えば、ポリクローン抗体、モノクローン抗体、ヒト化抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、Fab、F(ab’)、Fab発現ライブラリフラグメントを含む単鎖抗体、及び抗体のエピトープ結合フラグメント)、4)小さな有機及び無機分子(例えば、組み合わせ及び天然生成物ライブラリから得られる分子)が含まれる。
【0078】
ある候補化合物は、基質結合と競合する受容体の可溶性フラグメントである。他の候補化合物には、変異薬剤−代謝酵素、又は薬剤−代謝酵素機能に影響を及ぼす変異体を含む適切なフラグメントがあり、このために基質との競合が起こる。したがって、例えば、高い親和性を有するか、又はフラグメントが基質と結合し解離しないような、基質と競合するフラグメントが本発明に含まれる。
【0079】
薬剤−代謝酵素により媒介される、生物学的又は生化学的な機能は、何れもエンドポイントアッセイとして用いることができる。これらは、ここに記載されている全ての生化学的又は生化学的/生物学的挙動を含み、ここに引用される文献にはこれらのエンドポイントアッセイのターゲットが折り込まれており、また、他の機能については、当業者において公知であるか、又は図面、特に図2の情報を用いて、容易に確認することができる。特に、薬剤−代謝酵素を発現する細胞又は組織の生物学的機能についてのアッセイを行うことができる。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。
【0080】
結合及び/又は活性化化合物は、キメラ薬剤−代謝酵素タンパク質を用いることによりスクリーニングを行うこともでき、アミノ末端細胞外ドメイン又はその一部、あるいは、7つの膜貫通セグメントの何れか又は細胞内又は細胞外ループの何れか、及びカルボキシ末端細胞内ドメインのような膜貫通ドメイン全体あるいはサブリジョン又はその一部は、異種ドメイン又はサブリジョンにより置換され得る。例えば、基質結合領域は、異なる基質と相互作用するものとして用いられることができ、この場合、天然の薬剤−代謝酵素によって認識される。したがって、異なる一組の信号伝達成分を、活性化のエンドポイントアッセイとして利用することができる。これにより、薬剤−代謝酵素の由来する特定の宿主細胞以外のものにおいてアッセイを行うことが可能となる。
【0081】
本発明の薬剤−代謝酵素ポリペプチドはまた、薬剤−代謝酵素と相互作用する化合物(例えば、結合相手及び/又はリガンド)を発見するため設計される方法である競争結合アッセイにも有用である。このために、化合物がポリペプチドと結合又は相互作用できる条件下で、化合物を薬剤−代謝酵素ポリペプチドと接触させる。可溶性薬剤−代謝酵素ポリペプチドもまた混合物中に加えられる。テスト化合物が可溶性薬剤−代謝酵素ポリペプチドと相互作用する場合、薬剤−代謝酵素ターゲットから形成される複合体の量、又は活性は減少する。このタイプのアッセイは、特に薬剤−代謝酵素の特定領域と相互作用する化合物を模索する場合に有用である。このため、ターゲットとなる薬剤−代謝酵素領域と競合する可溶性ポリペプチドは、対象となる領域に対応したペプチド配列を含むように設計されている。
【0082】
無細胞系薬剤のスクリーニングアッセイを行うためには、タンパク質の一方又は両方の非複合化形態からの複合化形態の分離を効率化し、アッセイを自動化するために、薬剤−代謝酵素タンパク質又はフラグメント、そのターゲット分子の何れかを固定化するのが望ましい場合がある。
【0083】
薬剤スクリーニングアッセイにおいては、マトリックスにタンパク質を固定化する技術を使用することができる。ある例では、タンパク質にマトリックスに結合することのできるドメインを付加した融合タンパク質を得ることができる。例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質は、グルタチオンセファローズビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)又はグルタチオン誘導マイクロタイタープレート上に吸着され、細胞溶解物(例えば、35S−labeled)と候補化合物とが結合され、複合体形成条件(例えば、塩及びpHの生理学的条件)の下で混合物がインキュベートされる。インキュベートの後、非結合ラベルの除去のためにビーズは洗浄され、マトリックスを固定化して、放射性ラベルを直接、又は複合体を分離した後の上澄みを測定することにより定量される。あるいは、複合体はSDS−PAGEによりマトリックスから分離することができ、標準の電気泳動技術を用いることによって、ゲルからビーズフラクション中の薬剤−代謝酵素結合タンパク質のレベルを定量することができる。例えば、ポリペプチド又はそのターゲット分子のどちらかが、当業者に周知の技術を利用して、ビオチン及びストレプトアビジンの結合を用いて固定化される。あるいは、タンパク質と反応し、タンパク質とターゲット分子との結合を妨げない抗体は、プレートのウェルに誘導化され、このタンパク質は抗体との結合によりそのウェルの中に捕らえられる。薬剤−代謝酵素結合タンパク質の組成物と候補化合物は、薬剤−代謝酵素タンパク質存在ウェル中でインキュベートされ、ウェルに捕らえられた複合体の量を測定する。このような複合体を検出する方法としては、GST固定複合体による前述の方法に加えて、薬剤−代謝酵素タンパク質ターゲット分子に反応性のある抗体、又は、薬剤−代謝酵素タンパク質に反応性がありターゲット分子と競合する抗体を用いた複合体の免疫検出法、及びターゲット分子と関連する酵素活性の検出に基づく酵素結合アッセイが含まれる。
【0084】
本発明の薬剤−代謝酵素のうちの1つを変調する薬剤は、上述の分析方法を単独あるいは組み合わせて用いることにより同定することができる。一般的には、最初と最後に細胞系又は無細胞系のシステムを用いて、動物又は他のモデルシステムにおける活性を確認することが好ましい。このようなモデルシステムは、当業者に周知であり、本記載において容易に用いることができる。
【0085】
これらの薬剤スクリーニングアッセイによって同定される薬剤−代謝酵素タンパク質活性のモジュレータは、薬剤−代謝酵素を発現する細胞又は組織に処置することにより、薬剤−代謝酵素経路により媒介される疾患を患う患者の治療に用いることができる。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。これらの治療方法には、薬剤組成物中の薬剤−代謝酵素活性のモジュレータを患者の治療に必要な量投与する工程が含まれており、このモジュレータはここに記載されるようにして同定される。
【0086】
本発明の他の観点では、薬剤−代謝酵素と結合又は相互作用する、又は薬剤−代謝酵素活性に関連している他のタンパク質を同定するために、2−ハイブリッドアッセイ又は3−ハイブリッドアッセイ(U.S. Patent No. 5,283,317; Zervos et al. (1993) Cell 72:223−232; Madura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:12046−12054; Bartel et al. (1993) Biotechniques 14:920−924; Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8:1693−1696; and Brent WO94/10300参照)において、薬剤−代謝酵素タンパク質を「baitタンパク質」として使用することができる。このような薬剤−代謝酵素結合タンパク質は、例えば、下流因子としての薬剤−代謝酵素タンパク質、又は薬剤−代謝酵素ターゲットによる信号伝達に関与している。あるいは、このような薬剤−代謝酵素結合タンパク質は、薬剤−代謝酵素阻害剤であることがある。
【0087】
2−ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメイン及び活性化ドメインから成る、大部分の転写調節因子のモジュラー性に基づいている。簡単に言うと、このアッセイでは2つの異なるDNA構造を利用する。一方の構造においては、薬剤−代謝酵素タンパク質をコードしている遺伝子は、既知の転写調節因子(例えばGAL−4)のDNA結合ドメインをコード化している遺伝子に融合される。他方の構造においては、DNA配列ライブラリから得られ、未確認のタンパク質(「prey」又は「sample」)をコード化しているDNA配列が、既知の転写調節因子の活性化ドメインをコード化している遺伝子に融合される。「baitタンパク質」及び「preyタンパク質」が生体内で相互作用することができ、薬剤−代謝酵素依存複合体を形成する場合、転写調節因子のDNA結合ドメイン及び活性化ドメインは近接する。この近接により、転写調節因子に反応する転写調節部位に結合可能なリポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写を行うことができる。リポーター遺伝子の発現は検出することが可能であり、機能的転写調節因子を含んでいる細胞コロニーを単離及び使用して、薬剤−代謝酵素タンパク質と相互作用するタンパク質をコード化するクローン遺伝子を得ることができる。
【0088】
本発明はさらに、前述のスクリーニングアッセイによって同定される新規な薬剤に関する。したがって、ここに記載されるようにして同定された薬剤を適当な動物のモデルに使用することも本発明の範囲内である。例えば、本発明で同定された薬剤(例えば薬剤−代謝酵素変調薬剤、アンチセンス薬剤−代謝酵素核酸分子、薬剤−代謝酵素特異抗体、又は薬剤−代謝酵素結合対象)は、これらの薬剤の処方における有効性、毒性、副作用を判定するために、動物、又は他のモデルで用いることができる。あるいは、本発明で同定された薬剤は、このような薬剤の作用のメカニズムを決定するために、動物又は他のモデルで使われることができる。さらに、本発明は、ここに記載される治療のためのスクリーニングアッセイにより同定された新規な薬剤の使用に関する。
【0089】
本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ペプチドにより媒介される疾患又は疾患素質の診断のためのターゲットを提供するのに有用である。したがって、本発明は、細胞、組織、又は生体中におけるタンパク質(又はコード化したmRNA)の存在、あるいはそのレベルを検出する方法を提供するものである。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。この方法は、生物サンプルと、薬剤−代謝酵素タンパク質との相互作用能力を有する化合物との接触に関係しており、ここでは相互作用について検出することができる。このようなアッセイは、単検出形態、又は抗体チップアレイのような多検出形態で与えられる。
【0090】
サンプル中のタンパク質を検出する1つの薬剤は、タンパク質に選択的に結合することのできる抗体である。生物サンプルには、被験者から単離されるか、又は被験者の内部に存在する組織、細胞、生物液体が含まれる。
【0091】
本発明のペプチドは、ペプチド変異体を持つ患者のタンパク質の活性、疾患又は疾患素質の診断に用いるためのターゲット、特に現存するタンパク質ファミリー以外のものとして知られる活性、及び症状のターゲットを提供するものである。したがって、ペプチドは生物学的サンプルから単離されることができ、また、異常ペプチドを生じる遺伝子突然変異の存在についてアッセイを行うことができる。これは、アミノ酸置換、欠失、挿入、再配置(異常なスプライシング挙動の結果生じる)、及び不適当な翻訳後の修飾を含む。分析方法としては、変容電気泳動移動度、変容トリプシンペプチド消化、細胞系又は無細胞系アッセイによる変容薬剤−代謝酵素活性、基質又は抗体の変容結合パターン、変容等電点、直接アミノ酸配列、及びタンパク質の変異の検出に有用な他の公知のアッセイ技術を含む。このようなアッセイは、単検出形態、又は抗体チップアレイのような多検出形態で与えられる。
【0092】
ペプチドのIn vitro検出技術としては、酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISAs)、ウェスタンブロット、抗体、又はタンパク質結合剤のような検出試薬を用いた免疫沈降、免疫蛍光検査法を含む。あるいは、ラベルされた抗ペプチド抗体、又は他のタイプの検出試薬を被験者に導入することにより、被験者のin vivo検出を行うことができる。例えば、被験者中のこのマーカーの存在及び位置を標準のイメージング技術によって検出することができる放射性マーカーを、抗体にラベルすることができる。被験者において発現されたペプチドの対立変異体を検出する方法、及びサンプル中のペプチドのフラグメントを検出する方法は、特に有用である。
【0093】
ペプチドはまた、ゲノム薬理学分析においても有用である。ゲノム薬理学では、薬剤の変化の傾向と、影響を受けたヒトの異常挙動に従って、薬剤に対しての応答における著しい遺伝的変異について臨床的に取り扱う。例えば、Eichelbaum, M. (Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 23(10−11): 983−985 (1996))、及びLinder, M.W. (Clin. Chem. 43(2):254−266 (1997))を参照されたい。これらの変異の臨床的な結果、個人の代謝変異の結果として、ある個人に対しては治療薬剤が重い毒性となり、又はある個人に対しては治療の失敗に終わる。このように、個人の遺伝子型は、体内で治療化合物を作用させる方法、又は体が化合物を代謝する方法を決定することができる。さらに、酵素を代謝させる薬剤の活性は、薬剤の作用の強度と期間に影響する。このように、個人のゲノム薬理学は、個人の遺伝子型に基づいた予防、又は治療的な処置において、効果的な化合物、又はこのような化合物の効果的な投与量の選択を可能とする。遺伝子多形性の発見により、酵素代謝性の薬剤において、患者が期待される薬効を得られない、不自然な薬効を示す、又は標準の投薬量から重大な毒性を被るといったことの理由を説明することができる。多形性は、強い代謝系の表現型と弱い代謝系の表現型で表されることができる。したがって、遺伝子の多形性は、ある集団の薬剤−代謝酵素機能の1つ以上が他の集団のそれと異なるような、薬剤−代謝酵素タンパク質の対立タンパク質変異に至るかもしれない。このように、ペプチドは治療法に影響する遺伝子の素因を確認するためのターゲットとなり得る。このため、リガンドベースの治療において、多形性は、末端アミノ基の細胞外ドメイン及び/又は他の基質結合領域における基質結合活性、及び薬剤−代謝酵素活性が、より高い、又はより低いことを引き起こし得る。したがって、多形性を含む集団においては、治療効果を最大にするように、基質投薬量は必然的に修正される。遺伝子型に代わるものとしては、特定の多形性のペプチドを同定することができる。
【0094】
ペプチドはまた、タンパク質の発現がない、発現が不適当、又は発現が不必要であることによって特徴づけられる障害の治療に有用である。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。したがって、治療方法としては、薬剤−代謝酵素タンパク質又はフラグメントの使用が含まれる。
【0095】
抗体
本発明は、本発明のペプチド、このようなペプチドを含むタンパク質、それらの変異体及びフラグメントの1つに選択的に結合する抗体を提供するものである。ここで用いられている場合、抗体がターゲットペプチドと結合し、無関係なタンパク質と強く結合しないような場合、抗体は選択的にターゲットペプチドと結合している。抗体がターゲットペプチドと実質的に相同性の無い他のタンパク質と結合していても、そのペプチドが抗体のターゲットとなるペプチドに対してフラグメント又はドメインにおける相同性を有している限り、抗体は選択的にペプチドを結びつけると考えられる。この場合、ペプチドに結合している抗体は、ある程度の交差反応性を持つにも関わらず、選択的であると理解される。
【0096】
ここで用いられる場合、抗体は当該分野で認められているものと同じ用語で定義され、これらは、哺乳類生体により生成され、抗原の攻撃に対して応答するマルチサブユニットタンパク質である。本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及びFab又はF(ab’)2、及びFvのような抗体のフラグメントが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0097】
ターゲットペプチドを得るための、抗体の生成及び/又は同定について、多くの方法が知られている。このような方法のいくつかは、Harlow, Antibodies, Cold Spring Harbor Press,(1989)に記載されている。
【0098】
一般に、抗体を生成するためには、単離ペプチドを免疫原として用い、例えばラット、ウサギ又はマウスのような哺乳類生体に投与される。全長タンパク質、抗原性ペプチドフラグメント又は融合タンパク質が用いられる。特に重要なフラグメントは、図2に特定されているような機能性ドメインをカバーするものであり、また、タンパク質アラインメント法を使用し、図面に示されているようにして、容易に確認することができるファミリーと配列相同性又は相違性を持つドメインである。
【0099】
抗体は、薬剤−代謝酵素タンパク質の領域、又は単離されたフラグメントから好適に調製される。抗体は、ここに記載されるペプチドの何れの領域からも調製することができる。しかしながら、好適な領域としては、機能/活性及び/又は薬剤−代謝酵素結合対象相互作用に関係している領域が含まれる。図2は特に重要な領域を特定するのに用いることができ、配列アラインメントは保持された特異な配列フラグメントを特定するのに用いることができる。
【0100】
抗原性フラグメントは、一般的に、少なくとも8つの隣接するアミノ酸残基を含んでいる。しかしながら、抗原性ペプチドは、少なくとも10、12、14、16以上のアミノ酸残基を含むことができる。このようなフラグメントは、例えば、タンパク質の表面上に位置する領域、例えば、親水性領域に対応するフラグメントのような物理的な性質、あるいは配列の特異性(図2参照)に基づいて選択することができる。
【0101】
本発明の抗体の検出は、検出可能物質と抗体とのカップリング(すなわち、物理的な結合)によって容易にすることができる。検出可能物質の例としては、例えば、種々の酵素、補欠分子族、蛍光性物質、発光性物質、生物発光性物質、及び放射性物質が含まれる。好適な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ、好適な補欠分子族の例としては、ストレプトアビジン/ビオチン、アビジン/ビオチンが含まれ、好適な蛍光性物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアン酸塩、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、又はフィコエリトリンが含まれ、発光性物質の例としては、ルミノールが含まれ、生物発光性物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンが含まれ、そして、適切な放射性物質の例としては、125I、131I、35S、又はHが含まれる。
【0102】
抗体の使用
抗体は、アフィニティクロマトグラフィ、又は免疫沈降のような標準の技術によって、本発明のタンパク質の1つを単離するために用いることができる。抗体は、細胞からの天然タンパク質、及び宿主細胞に表現される組換えによって生成されたタンパク質の精製を容易にすることができる。さらに、このような抗体は、組織や生体内のタンパク質の発現パターンを決定するため、細胞や組織内における本発明のタンパク質の存在の検出に、通常の開発段階を経ずに用いることができる。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。さらに、このような抗体は、発現の量及びパターンを評価することによって、in situ、in vitro、細胞溶解物中、及び上澄み中でのタンパク質の検出に用いることができる。また、このような抗体は、生物学的症状の発展又は進行間における、異常な組織分布、又は異常な発現を評価するのに用いることができる。全長タンパク質の循環フラグメントにおける抗体検出は、代謝回転を確認するのに用いることができる。
【0103】
さらに、抗体は、タンパク質機能に関連した疾患の活発な段階、又は該疾患素因を持つ個人といった、疾患の症状発現を評価するのに用いることができる。障害が不適当な組織分布、発展性の発現、タンパク質の発現レベル、又は発現/進行状態に起因する場合、抗体を通常のタンパク質に対して調製することができる。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。障害がタンパク質の特定の変異により特徴づけられる場合、この変異タンパク質に特異的な抗体を、特定の変異タンパク質の存在のアッセイを行うために用いることができる。
【0104】
抗体はまた、生体内の各種組織における、細胞の正常又は異常な細胞小器官の位置を評価するのに用いることができる。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。診断としての使用は、遺伝子のテストだけでなく、治療法をモニターすることにも適用することができる。したがって、治療が最終的に、発現レベル、又は異常配列及び異常組織配布の存在、又は発展性の発現を修正することを目指すものである場合、タンパク質又は関連するフラグメントに直接的に対する抗体を、治療の有効性をモニターするために用いることができる。
【0105】
さらに、抗体はゲノム薬理学分析において有用である。したがって、多形タンパク質に対して調製される抗体は、治療法の修正を必要とする個人を特定するために用いることができる。抗体はまた、電気泳動、等電点、トリプシンペプチド消化、当該分野において周知な他の物理的なアッセイによって分析される、異常タンパク質の免疫学的マーカーのような診断上のツールとしても有用である。
【0106】
抗体はまた、組織型の分類にも有用である。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。このように、特定のタンパク質が特定の組織中の発現と相関していた場合、このタンパク質に特異な抗体を、組織型を同定するために用いることができる。
【0107】
抗体はまた、タンパク質機能を阻害するのに有用であり、例えば、基質やタンパク質結合相手のような結合対象への薬剤−代謝酵素ペプチドの結合をブロックする。これらの使用は、タンパク質の機能阻害に関連する治療法における、治療環境において適用されることができる。抗体は、例えば、結合をブロックすることにより、ペプチド活性の変調(アゴナイズ又はアンタゴナイズ)を阻害することに用いることができる。抗体は、機能のために必要な部位を含む特定のフラグメントに対して、又は細胞又は細胞膜と関係している完全タンパク質に対して調製される。図2に、本発明のタンパク質に関する構造情報を示す。
【0108】
本発明は、生物学的サンプル中のタンパク質の存在を検出するために抗体を用いたキットを包含する。キットには、ラベル化された、又はラベル化可能な抗体と、生物学的サンプル中でタンパク質を検出するための化合物又は試薬を含み、;サンプル中のタンパク質量を決定する手段;標準サンプルのタンパク質量と比較する手段;及び使用の説明、とを含む。このようなキットは、単一のタンパク質、又はエピトープを検出するために提供されるか、又は抗体検出アレイのように、多数のエピトープのうちの1つを検出するように設定されることができる。アレイとしては、核酸アレイが後述され、また抗体アレイのための同様の方法も開発されている。
【0109】
核酸分子
本発明は、さらに本発明の薬剤−代謝酵素ペプチド又はタンパク質をコード化する単離核酸分子(cDNA、転写及びゲノム配列)を提供するものである。このような核酸分子は、本発明の薬剤−代謝酵素ペプチドの1つ、又はこれらの対立変異体、又はこれらのオルトログ又はパラログをコード化する核酸分子から成る、実質的に成る、又は含んでいる。
【0110】
ここで用いられる場合、「単離」核酸分子とは、核酸の天然起源における他の核酸の存在から分離されたものである。好ましくは、「単離」核酸は、その核酸の由来となる生物のゲノムDNAにおいて、核酸のフランキング配列(すなわち、5’、及び3’末端に位置する配列)は含まない。しかしながら、例えば、約5KB、4KB、3KB、2KB又は特に1KB以上又はこれ以下、特に配列によりコード化された隣接ペプチドのように、いくつかのフランキングヌクレオチド配列があるが、同一の遺伝子の配列によりコード化されたペプチドは、ゲノム配列中のイントロンにより分離されている。重要な点は、核酸が、ここに記載されているような特定の操作、例えば、組み換え発現、プローブやプライマーの調製、核酸配列のための他の使用等に取り扱うことができるように、遠くの重要でないフランキング配列から分離されているということである。
【0111】
さらに、例えば、転写/cDNA分子のような「単離」核酸分子は、組み換え技術により製造される場合には、他の細胞物質、又は培地、また化学的に合成される場合には前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。しかしながら、この核酸分子は、他のコード化又は調整配列に融合されることができるが、これは単離されたものとして考えられる。
【0112】
例えば、ベクターに含まれる組み換えDNA分子は、単離されたものとして考えられる。さらに、単離したDNA分子の例としては、非相同的な宿主細胞に保持された組み換えDNA分子、又は溶液中で精製(部分的又は実質的に)されたDNA分子が含まれる。単離されたRNA分子としては、本発明の単離したDNA分子の、in vivo又はin vitroRNA転写物が含まれる。本発明により単離された核酸分子としてはさらに、合成的に製造された分子が含まれる。
【0113】
したがって、本発明は、図1又は3 [SEQ ID NO.1(転写配列)、及びSEQ ID NO.3(ゲノム配列)]において示されるヌクレオチド配列から成る核酸分子、又は図2(SEQ ID NO.2)に示されるタンパク質をコード化する核酸分子を提供するものである。ヌクレオチド配列がこの核酸分子の完全なヌクレオチド配列であるとき、核酸分子はヌクレオチド配列から成る。
【0114】
本発明はさらに、図1又は3[SEQ ID NO.1(転写配列)、及びSEQ ID NO.3(ゲノム配列)]において示されるヌクレオチド配列から実質的に成る核酸分子、又は図2(SEQ ID NO.2)に示されるタンパク質をコード化する核酸分子を提供するものである。核酸分子において、最終的にこのようなヌクレオチド配列がごくわずかの付加核酸残基とともに存在するとき、核酸分子はヌクレオチド配列から実質的に成る。
【0115】
本発明はさらに、図1又は3 [SEQ ID NO.1(転写配列)及びSEQ ID NO.3(ゲノム配列)]において示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子、又は図2(SEQ ID NO.2)に示されるタンパク質をコード化する核酸分子を提供するものである。核酸分子の最終的な核酸配列の少なくとも一部がこの核酸配列である場合、核酸分子はヌクレオチド配列を含む。これによると、核酸分子は、そのヌクレオチド配列だけであるか、又は付加的な核酸残基、例えば、自然に関する核酸配列、又は非相同的な核酸配列を有することもできる。このような核酸分子は、ごくわずかの付加的なヌクレオチドを有するか、又は数百又はそれ以上の付加的なヌクレオチドを含むこともできる。これらの種々のタイプの核酸分子を容易に生成/単離する方法については、以下に簡単に述べる。
【0116】
図1及び3には、コード及び非コードの配列の両者が提供される。本発明のヒトゲノム配列(図3)、及びcDNA/転写配列(図1)より、図中の核酸分子は、ゲノムイントロン配列、5’と3’の非コード配列、遺伝子調節領域、及び非コード遺伝子間配列を含んでいる。一般に、図1と図3の両者に記載されているこのような配列の特徴は、当該分野において公知の計算ツールを用いて容易に特定することができる。以下で議論されるように、いくつかの非コーディング部位、特にプロモーターのような遺伝子の調節因子は、例えば、非相同的な遺伝子発現の制御、遺伝子活性を変調する化合物同定のターゲット等の種々の目的にとって有用であり、ここに提供されるゲノム配列のフラグメントとして特別にクレームされている。
【0117】
単離した核酸分子は、成熟したタンパク質に加えて付加的アミノ末端あるいはカルボキシ末端アミノ酸、又は成熟ペプチド内のアミノ酸(例えば、成熟形態が1以上のペプチド鎖を有する場合)をコード化することができる。このような配列は、前駆体から成熟した形態へのタンパク質のプロセシングにおいて、タンパク質搬送の促進、タンパク質半減期の延長あるいは短縮、又はタンパク質のアッセイ又は製造の際の操作の効率化、又は他の事象における役割を果たし得る。一般に、in situの場合、付加アミノ酸は細胞酵素によって成熟したタンパク質へとプロセシングされる。
【0118】
上述したように、単離した核酸分子は、単独で薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化している配列、成熟したペプチドをコード化している配列、そして、主、又は副配列(例えば、pre−pro、pro−protein配列)のような付加的なコード配列を含むが、これに限定されるものではなく、付加的なコード配列に加えて、付加的な非コード配列、例えば、イントロンと非コード5´及び3´配列のような、転写されるものの翻訳はされずに、転写、mRNAプロセシング(スプライシング及びポリアデニル化を含む)、リボソームの結合、及びmRNAの安定性の役割を果たすものを、含んでも含まなくても良い。加えて、核酸分子は、例えば、精製を容易にするようなペプチドをコード化した配列のマーカーと融合されることもできる。
【0119】
単離した核酸分子は、mRNAのようなRNAの形態、あるいはクローニング、化学合成技術又はその組み合わせによって生成するcDNA及びゲノムDNAを含むDNAの形態をとり得る。核酸、特にDNAは、二重鎖、又は単鎖であり得る。単鎖の核酸は、コード鎖(センス鎖)、又は非コード鎖(アンチセンス鎖)であり得る。
【0120】
本発明はさらに、本発明のペプチドのフラグメントをコード化する核酸分子と同様に、上記したような本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質の明らかな変異体をコード化する核酸分子を提供するものである。このような核酸分子は、対立変異体(同一位置)、パラログ(異なる位置)とオルトログ(異なる生体)のように自然に発生するか、あるいは組み換えDNA法又は化学合成によって生成され得る。このような非自然に発生する変異体は、核酸分子、細胞又は生体に適用されるものを含む突然変異生成技術によって生成され得る。したがって、上述したように、変異体にはヌクレオチドの置換、欠失、倒置、挿入が含まれる。変異は、コード、非コード領域のどちらか、又は両方で起こることができる。変異は、保持及び非保持アミノ酸置換の両方で生じることができる。
【0121】
本発明はさらに、図1及び3に示される核酸分子の非コードのフラグメントを提供するものである。好適な非コードのフラグメントとしては、プロモーター配列、エンハンサ配列、遺伝子変調配列、遺伝子終止配列が含まれるが、これに限定されるものではない。このようなフラグメントは、非相同的な遺伝子発現の制御、及び遺伝子変調薬剤の同定を行うためのスクリーニングの開発において有用である。プロモーターは、図3のゲノム配列における5’からATG開始部位において容易に確認される。
【0122】
フラグメントは、12又はそれ以上の隣接するヌクレオチド配列を含む。さらに、フラグメントは少なくとも30、40、50、100、250、又は500のヌクレオチド長であり得る。フラグメントの長さは使用目的に基づく。例えば、フラグメントは、ペプチドのエピトープ結果領域をコード化することができるか、又はDNAプローブ及びDNAプライマーとして有用である。このようなフラグメントは、オリゴヌクレオチドプローブを合成するための既知のヌクレオチド配列を用いて単離することができる。ラベル化されたプローブは、コード化領域と対応する核酸を単離するため、cDNAライブラリ、ゲノムDNAライブラリ、又はmRNAのスクリーニングに用いることができる。さらに、プライマーは、遺伝子の特定領域をクローンするためのPCR反応に用いることができる。
【0123】
プローブ/プライマーは、典型的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドペアを含む。オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも12、20、25、40、50又はそれ以上の連続的ヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズされたヌクレオチド配列領域を含む。
【0124】
オルトログ、ホモログ、及び対立変異体は、当該技術分野において周知の方法を用いて同定することができる。ペプチドの項で述べたように、これらの変異体は、ペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含み、図面に示されるヌクレオチド配列、又はこの配列のフラグメントに対して、典型的には、60−70%、70−80%、80−90%、より典型的には、少なくとも90−95%以上の相同性を有するものである。このような核酸分子は、図面に示されるヌクレオチド配列、又はこの配列のフラグメントに対して、モデレートな条件からストリンジェントな条件の下でハイブリダイズが可能なものとして、容易に同定することができる。対立変異体は、コード化している遺伝子の遺伝子位置により、容易に決定されることができる。本発明の新規な薬剤−代謝タンパク質をコード化している遺伝子は、(図3に示されるように)ヒト染色体1上にマップされるゲノム成分上に位置しており、これはSTS及びBACマップデータのような多系統の証拠によって支持されている。
【0125】
図3には、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化している遺伝子において見出されたSNP情報を示す。挿入/欠失変異体(“indels”)を含むSNPは、45の異なるヌクレオチド位置で確認された。これらのSNPにより起こるアミノ酸配列の変化は、ユニバーサル遺伝子コード、及び図2に示されるタンパク質配列を用いて容易に確認することができる。エキソン、イントロン、及びORFの外側のそれぞれのSNPの位置は、それぞれのSNPより得られるDNA位置、及びその性質より得られる開始/終止、エキソン及びイントロン座標を用いて容易に決定することができる。
【0126】
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、ここで用いられる場合、互いにハイブリダイズして残存する、ペプチドをコード化しているヌクレオチド配列が、互いに少なくとも60−70%の相同性を有する程度にハイブリダイズ、及び洗浄が行われる条件を意味している。この条件では、ハイブリダイズして残る配列が、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又はそれ以上となる。このようなストリンジェントな条件は、当業者においては周知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1−6.3.6に記載されている。ストリンジェントなハイブリダイズ条件の1つの例では、6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でハイブリダイズし、その後、0.2XSSC0.1%SDS中、50〜65℃で洗浄する。低ストリンジェンシーのモデレートなハイブリダイズ条件の例は、当業者において周知である。
【0127】
核酸分子の使用
本発明の核酸分子は、プローブ、プライマー、化学合成中間体、及び生物学アッセイにおいて有用である。核酸分子は、図2に示されているペプチドをコード化する全長cDNA及びゲノムクローンを単離するため、及び図2に示すペプチドと同一又は関連したペプチドを生成する変異体(対立遺伝子、オルトログ等)に対応するゲノムクローンを単離するための、メッセンジャーRNA、転写/cDNA、及びゲノムDNAのハイブリダイゼーションプローブとして有用である。図3に示されるように、SNPは45の異なるヌクレオチド位置で確認された。
【0128】
プローブは、図に示されている核酸分子の全長における、何れの配列とも対応することができる。したがって、それは5’非コード領域、コード領域、及び3’非コード領域から誘導することができる。しかしながら、すでに述べたたように、フラグメントは本発明以前に公開されたフラグメントを含まないものと見なされる。
【0129】
核酸分子はまた、核酸分子の何れかの領域を増幅するPCRのプライマーとしても有用であり、必要な長さ及び配列のアンチセンス分子の合成においても有用である。
【0130】
核酸分子はまた、組み換えベクターの製造にも有用である。このようなベクターとしては、ペプチド配列の一部、又は全部を発現する発現ベクターが含まれる。ベクターはまた、挿入ベクターも含み、これは他の核酸分子中に統合され、例えば、細胞ゲノム中で遺伝子及び/又は遺伝子生成物のin situ発現を変化させるために用いられる。例えば、内生コード配列では、1つ以上の特異的に導入された変異を含むコード領域の一部、又は全部との相同的な組み換えを経て置換され得る。
【0131】
核酸分子はまた、タンパク質の抗原部分を発現することにも有用である。
【0132】
核酸分子はまた、in situハイブリダイゼーション法により、核酸分子の染色体の位置を決定するためのプローブとしても有用である。本発明の新規な薬剤−代謝タンパク質をコード化している遺伝子は、(図3に示されるように)ヒト染色体1上にマップされるゲノム成分上に位置しており、これはSTS及びBACマップデータのような多系統の証拠によって支持されている。
【0133】
核酸分子はまた、本発明の核酸分子の遺伝子調節領域を含むベクターの製造にも有用である。
【0134】
核酸分子はまた、ここに記載される核酸分子から生成されるmRNAの一部又は全部と対応しているリボザイムの設計にも有用である。
【0135】
核酸分子はまた、ペプチドの一部又は全部を発現しているベクターの製造にも有用である。
【0136】
核酸分子はまた、核酸分子及びペプチドの一部又は全部を発現している宿主細胞の製造にも有用である。
【0137】
核酸分子はまた、核酸分子及びペプチドの一部又は全部を発現している遺伝子組み換え動物の製造にも有用である。
【0138】
核酸分子はまた、核酸発現の存在、レベル、形態、分布を決定するためのハイブリダイゼーションプローブとしても有用である。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。したがって、プローブは、細胞、組織、生体中での核酸分子の存在の検出、又はレベルの決定に用いることができる。レベルを決定される核酸はDNA又はRNAであり得る。したがって、ここに記載されるペプチドに対応するプローブは、与えられた細胞、組織、生体中での発現及び/又は遺伝子コピー数の評価に用いることができる。これらの使用は、正常の場合と比較して、薬剤−代謝酵素タンパク質が増加又は減少していることに関係する障害の診断に適している。
【0139】
mRNAのin vitro検出技術には、ノーザンハイブリダイゼーション、及びin situハイブリダイゼーションが含まれる。DNAのin vitro検出技術には、サザンハイブリダイゼーション、及びin situハイブリダイゼーションが含まれる。
【0140】
プローブは、薬剤−代謝酵素タンパク質を発現する細胞又は組織の判定を行う診断テストキットの一部として用いることができる。これは、例えば、被験者の細胞サンプル中の、薬剤−代謝酵素をコード化した核酸分子、例えば、mRNA、又はゲノムDNAのレベルを測定するか、又は薬剤−代謝酵素遺伝子が変異していないか判定するものである。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。
【0141】
核酸発現アッセイは、薬剤−代謝酵素核酸発現を変調する化合物を同定するための薬剤スクリーニングにおいて有用である。
【0142】
したがって、本発明は、薬剤−代謝酵素遺伝子の核酸発現、特に、細胞及び組織において薬剤−代謝酵素を媒介する生物学的、病理学的プロセスに関連した障害の治療に用いる化合物を同定する方法を提供するものである。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。この方法には、典型的には、薬剤−代謝酵素核酸の発現を変調する化合物の能力についてアッセイを行うこと、及びその後、不必要な薬剤−代謝酵素核酸発現により特徴づけられる障害を治療するのに用いることができる化合物を同定することが含まれる。このアッセイは、細胞系及び無細胞系において行われることができる。細胞系のアッセイには、天然に薬剤−代謝酵素核酸を発現している細胞、又は特定の核酸配列を表現するために設計された組み換え細胞が含まれる。
【0143】
したがって、薬剤−代謝酵素遺伝子発現のモジュレータは、細胞と候補化合物とを接触させ、mRNAの発現を判定する方法により同定することができる。候補化合物の存在下での薬剤−代謝酵素mRNAの発現レベルは、候補化合物非存在下での薬剤−代謝酵素mRNAの発現レベルと比較される。この比較に基づいて、候補化合物は核酸発現のモジュレータとして同定され、例えば、異常核酸発現により特徴付けられる障害の治療に用いることができる。候補化合物存在下でのmRNAの発現が、非存在下のものと比較して統計的に著しく大きい場合、候補化合物は核酸発現の促進剤として同定される。候補化合物存在下でのmRNAの発現が、非存在下のものと比較して統計的に著しく小さい場合、候補化合物は核酸発現の阻害剤として同定される。
【0144】
本発明はさらに、薬剤−代謝酵素を発現する細胞及び組織における薬剤−代謝酵素核酸発現を変調する遺伝子モジュレータとしての薬剤スクリーニングを経て同定された化合物をターゲットとして用いる治療方法を提供するものである。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。変調には、上方調整(例えば、活性化又はアゴニゼーション)、下方調整(抑制又はアンタゴニゼーション)の両者、又は核酸発現が含まれる。
【0145】
あるいは、薬剤又は小分子がタンパク質を発現している細胞又は組織中で薬剤−代謝酵素発現を阻害するものである限りは、薬剤−代謝酵素核酸発現のモジュレータは、ここに記載されるスクリーニングアッセイを用いて同定される薬剤又は小分子であり得る。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。
【0146】
核酸分子はまた、臨床試験又は治療方法において、薬剤−代謝酵素遺伝子の発現及び活性に対する変調化合物の効果をモニターするのに有用である。したがって、遺伝子発現パターンは、化合物、特に患者の耐性を向上させる化合物を用いた治療における、継続的効果のバロメータとなり得る。遺伝子発現パターンはまた、化合物に対する細胞の生理的反応を示すマーカーとなり得る。したがって、このようなモニタリングにより、化合物の投与量の増加、又は患者が耐性を示さない代替化合物の投与を行うことができる。同様に、核酸発現のレベルが望ましいレベルまで低下したならば、化合物の投与をこれに比例して減少することができる。
【0147】
核酸分子はまた、薬剤−代謝酵素核酸発現の質的変化、特に疾患に至る質的変化の診断アッセイにも有用である。核酸分子は、mRNAのような薬剤−代謝酵素遺伝子、及び遺伝子発現生成物における突然変異の検出に用いることができる。核酸分子は、薬剤−代謝酵素遺伝子において自然発生した遺伝子突然変異を検出し、その変異を持つ被験者が変異により生じる障害の危険性を有しているかどうかを判定するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。突然変異には、欠失、付加、又は遺伝子中の1以上のヌクレオチドの置換、倒置又は転移のような染色体の組み換え、異常メチル化パターンのようなゲノムDNAの修飾、又は増幅のような遺伝子コピー数の変化が含まれる。機能障害に関連する薬剤−代謝酵素遺伝子の変異体の検出は、疾患が薬剤−代謝酵素タンパク質の過剰発現、過小発現、変異発現の結果生じる場合に、活性又は感受性の診断ツールを提供するものである。
【0148】
薬剤−代謝酵素遺伝子における突然変異をもたらしている個体は、種々の技術によって核酸レベルにおいて検出されることができる。図3には、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化している遺伝子において見出されたSNP情報を示す。挿入/欠失変異体(“indels”)を含むSNPは、45の異なるヌクレオチド位置で確認された。これらのSNPにより起こるアミノ酸配列の変化は、ユニバーサル遺伝子コード、及び図2に示されるタンパク質配列を用いて容易に確認することができる。エキソン、イントロン、及びORFの外側のそれぞれのSNPの位置は、それぞれのSNPより得られるDNA位置、及びその性質より得られる開始/終止、エキソン及びイントロン座標を用いて容易に決定することができる。本発明の新規な薬剤−代謝タンパク質をコード化している遺伝子は、(図3に示されるように)ヒト染色体1上にマップされるゲノム成分上に位置しており、これはSTS及びBACマップデータのような多系統の証拠によって支持されている。ゲノムDNAは、直接又は予めPCRを用いて増幅した後で分析されることができる。RNA又はcDNAも、同様にして用いることができる。ある使用においては、突然変異の検出は、例えば、アンカーPCR、RACEPCRのような、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、U.S. Patent No. 4,683,195, 及び 4,683,202参照)、又は他のものとして、リゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran et al., Science 241:1077−1080 (1988); 及び Nakazawa et al., PNAS 91:360−364 (1994)参照)において、プローブ/プライマーの使用に関連し、特に後者は遺伝子中の変異位置の同定に有用である(Abravaya et al., Nucleic Acids Res. 23:675−682 (1995)参照)。この方法には、患者から細胞サンプルを収集する工程と、サンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA又はその両方)を単離する工程と、遺伝子(もし存在すれば)のハイブリダイズ及び増幅が起こりうる条件下で遺伝子に特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーと核酸とを接触させる工程と、増幅生成物の存在又は非存在を検出するか、又は増幅生成物のサイズを検出し、コントロールサンプルの長さと比較する工程を含む。欠失及び挿入は、増幅生成物のサイズの変化を、正常な遺伝子型と比較することにより検出することができる。点突然変異は、増幅DNAと正常なRNA、又はアンチセンスのDNA配列とハイブリダイズすることによって確認することができる。
【0149】
あるいは、薬剤−代謝酵素遺伝子の突然変異は、例えば、ゲル電気泳動により決定される制限酵素消化パターンの変更により、直接的に確認することができる。
【0150】
さらに、配列特定リボザイム(U.S. Patent No. 5,498,531)は、リボザイム開裂部位の成長又は減少により、特定の変異の存在の評点のために用いることができる。完全に一致する配列は、ヌクレアーゼ開裂消化分析評価、又は融点の違いによって、不一致の配列から分離することができる。
【0151】
特定位置での配列変化は、RNase及びS1保護、又は化学開裂法のようなヌクレアーゼ保護アッセイによって評価することができる。さらに、変異体薬剤−代謝酵素遺伝子と野生型遺伝子との配列の相違は、直接DNA配列解析によって決定することができる。種々の自動化された配列解析手段は、診断アッセイ(Naeve, C.W., (1995) Biotechniques 19:448)の実行において有用であり、これらには、マススペクトルによる配列解析(例えば、PCT International Publication No. WO 94/16101; Cohen et al., Adv. Chromatogr. 36:127−162 (1996), and Griffin et al., Appl. Biochem. Biotechnol. 38:147−159 (1993)参照)も含まれる。
【0152】
遺伝子中の突然変異を検出する他の技術の例としては、RNA/RNA、又はRNA/DNA二重鎖から、不一致の塩基を検出するために、開裂試薬から保護する方法(Myers et al., Science 230:1242 (1985), Cotton et al., PNAS 85:4397 (1988), Saleeba et al., Meth. Enzymol. 217:286−295 (1992))、変異体と野生型の核酸の電気泳動移動度を比較する方法(Orita et al., PNAS 86:2766 (1989); Cotton et al., Mutat. Res. 285:125−144 (1993); and Hayashi et al., Genet. Anal. Tech. Appl. 9:73−79 (1992))、及び変性剤の勾配を含んだポリアクリルアミドゲル中での変異体又は野生型のフラグメントの動きを、勾配ゲル電気泳動を用いてアッセイする方法(Myers et al., Nature 313:495 (1985))が含まれる。点突然変異を検出する他の技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、及び選択的プライマー伸長が含まれる。
【0153】
核酸分子は、治療方法としての効果を持つにも関わらず、必ずしも疾患を引き起こすわけではない遺伝子型のための、個人テストにおいても有用である。このため、核酸分子は、個人の遺伝子型と、治療に用いられる化合物に対する個人の応答との相関(薬理ゲノム相関)についての研究に用いることができる。したがって、ここに記載されている核酸分子は、治療のための適切な化合物及び投与量を選択するために、個人の薬剤−代謝酵素遺伝子の変異についての評価に用いることができる。図3には、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化している遺伝子において見出されたSNP情報を示す。挿入/欠失変異体(“indels”)を含むSNPは、45の異なるヌクレオチド位置で確認された。これらのSNPにより起こるアミノ酸配列の変化は、ユニバーサル遺伝子コード、及び図2に示されるタンパク質配列を用いて容易に確認することができる。エキソン、イントロン、及びORFの外側のそれぞれのSNPの位置は、それぞれのSNPより得られるDNA位置、及びその性質より得られる開始/終止、エキソン及びイントロン座標を用いて容易に決定することができる。
【0154】
このように、治療に影響する遺伝子変異を示す核酸分子は、個人におけるテイラー治療に用いることのできる診断ターゲットを提供するものである。したがって、これらの多形性を含んだ組み換え細胞及び組み換え動物の製造は、治療化合物及び薬剤投与についての効果的な臨床設計を可能とする。
【0155】
核酸分子は、細胞、組織、及び生体における薬剤−代謝酵素遺伝子発現を制御するためのアンチセンス構成物として有用である。DNAアンチセンスの核酸分子は、転写に関連する遺伝子の部位に対して相補的になるよう設計され、それ故に、薬剤−代謝酵素タンパク質の生成と転写が防がれる。アンチセンスのRNA又はDNA核酸分子はmRNAへとハイブリダイズされ、これにより薬剤−代謝酵素タンパク質中でのmRNAの翻訳がブロックされる。
【0156】
あるいは、ある種のアンチセンス分子は、薬剤−代謝酵素核酸の発現を減少させる不活性化mRNAに用いることができる。したがって、これらの分子は、異常、又は不必要な薬剤−代謝酵素核酸の発現により特徴づけられる障害の治療に用いることができる。この技術は、翻訳されるmRNAの能力が減少したmRNAの1以上の領域に相補的なヌクレオチド配列を含んだリボザイムによる開裂に関連している。可能な領域としては、コード領域、特に、基質結合のような、薬剤−代謝酵素タンパク質の触媒活性及び他の機能活性に対応したコード領域が含まれる。
【0157】
核酸分子はまた、薬剤−代謝酵素遺伝子発現において異常な細胞を持つ患者の遺伝子治療のためのベクターを提供するものである。このため、組み換え細胞には、ex vivoで調製され患者に戻される細胞が含まれ、個人の体内に導入されてそこで個人の治療のために必要とされる薬剤−代謝酵素タンパク質を生成する。
【0158】
本発明は、生物学的サンプル中の薬剤−代謝酵素核酸の存在を検出するために抗体を用いたキットも包含する。図1の実験データによると、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質は、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが、仮想ノーザンブロット分析により示されている。PCRベースの組織スクリーニングパネルでは、脳で発現することも示されている。例えば、キットは、ラベル化された、又はラベル化可能な核酸、又は生物学的サンプル中で薬剤−代謝酵素核酸を検出することのできる試薬を含み、;サンプル中の薬剤−代謝酵素核酸量を決定する手段;標準サンプルの薬剤−代謝酵素核酸量と比較する手段、とを含むことができる。この化合物又は試薬は適当な容器に封入することができる。このキットは、さらに薬剤−代謝酵素タンパク質mRNA又はDNAの検出キットとして使用するための説明を含むことができる。
【0159】
核酸アレイ
本発明はさらに、核酸検出キットを提供するものであり、これらは、例えば、図1及び3(SEQ ID NO.1及び3)に示される配列情報に基づいた核酸分子のアレイ又はマイクロアレイである。
【0160】
ここで用いられている、「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、紙、ナイロン又は他の膜、フィルタ、チップ、ガラススライド、又は他の適当な固形支持体のような基盤の上に合成された、別個のポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドのアレイのことである。1つの例として、マイクロアレイは、US Patent 5,837,832, Chee et al., PCT application W095/11995 (Chee et al.), Lockhart, D. J. et al. (1996; Nat. Biotech. 14: 1675−1680) 及び Schena, M. et al. (1996; Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 10614−10619)に記載される方法にしたがって調製、使用され、これらの全ては参考としてここに折り込まれる。あるいは、このようなアレイは、Brown et al., US Patent No. 5,807,522.に記載される方法により製造される。
【0161】
マイクロアレイ又は検出キットは、好適には、多数の特異的な単鎖の核酸配列を構成し、通常は合成アンチセンスのオリゴヌクレオチドか、又はcDNAのフラグメントのどちらかが固体支持体上に固定される。オリゴヌクレオチドは、好適には約6〜60のヌクレオチド長、より好適には15〜30のヌクレオチド長、最も好適には20〜25のヌクレオチド長である。あるタイプのマイクロアレイ又は検出キットには、7〜20のヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドのみを使うことが好適であり得る。マイクロアレイ又は検出キットは、既知の5’又は3’配列を含んだオリゴヌクレオチド、全長配列を含んだオリゴヌクレオチド、又は配列長さの特定領域から選択された特異なオリゴヌクレオチドを含むものであり得る。マイクロアレイ又は検出キットにおいて用いられるポリヌクレオチドは、遺伝子又は対象となる遺伝子において特異的なオリゴヌクレオチドであり得る。
【0162】
マイクロアレイ又は検出キットにおいて、既知の配列のオリゴヌクレオチドを製造するために、対象となる遺伝子(又は、本発明により確認されたORF)は、典型的には、核酸配列の5’から開始、又は3’で終了するコンピュータアルゴリズムを用いて試験される。典型的なアルゴリズムでは、遺伝子に特異的な長さに規定されたオリゴマーが同定され、ハイブリダイゼーションに好適な範囲にGC成分を持ち、ハイブリダイゼーションの妨害となると予測される二次構造を持たない。ある条件では、マイクロアレイ又は検出キットにおいて、オリゴヌクレオチドのペアを用いることが好適であり得る。オリゴヌクレオチドの「ペア」は、好適には配列の中央に位置している1つのヌクレオチドを除いては、同一である。ペアの2つ目のオリゴヌクレオチド(一方とは不一致)はコントロールとして用いられる。オリゴヌクレオチドペアの数は、2から100万の間である。オリゴマーは、光誘導化学プロセスを用いて、基盤上の指定領域で合成される。基盤は、紙、ナイロン又は他の膜、フィルタ、チップ、ガラススライド、又は他の適当な固形支持体である。
【0163】
他方、オリゴヌクレオチドは、PCT application W095/251116 (Baldeschweiler et al.)に記載されているように、化学カップリング手段、及びインクジェットアプリケーション装置を用いて基盤の表面上で合成され、これらの全ては参考としてここに折り込まれる。他の観点では、ドット(又はスロット)ブロットに似た「格子」アレイでは、真空システム、加熱、UV、機械的又は化学的結合工程を用いて、cDNA、又はオリゴヌクレオチドを基板の表面上に配置、結合させることができる。上記のようなアレイは、手工、又は利用可能な装置(スロットブロット、又はドットブロット装置)、材料(適当な固形支持体)、及び機械(ロボット装置を含む)を用いて製造され、また、8、24、96、384、1536、6144又はこれ以上、又は商業的に用いられる装置に効果的に使用される2から100万の間の他の数のオリゴヌクレオチドを含んでもいても良い。
【0164】
マイクロアレイ又は検出キットを用いてサンプルの分析を行うために、生物サンプルから得られたRNA又はDNAは、ハイブリダイゼーションプローブ中に調製される。mRNAが単離され、そしてcDNAが調製され、アンチセンスのRNA(aRNA)を調製するためのテンプレートとして用いられる。aRNAは蛍光性ヌクレオチドの存在化で増幅し、ラベル化されたプローブがマイクロアレイ又は検出キットにおいてインキュベートされ、そして、プローブの配列がマイクロアレイ又は検出キット中の相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズされる。インキュベート条件は、正確に相補的に一致しているか、又は各種程度の相補性でハイブリダイゼーションが起こるように調節される。ハイブリダイズしていないプローブを除去した後、蛍光のレベルとパターンを判定するためにスキャナが用いられる。スキャンされたイメージは、マイクロアレイ又は検出キット上の、相補性の程度、及び各々のオリゴヌクレオチド配列の相対的な量を決定するために試験される。生物学的サンプルは、体液(例えば血、尿、唾液、痰、胃液、その他)、培養細胞、生体組織検査、又は他の組織調製品から得られる。検出システムでは、全ての異なる配列において、ハイブリダイゼーションの存在、非存在、及び量を、同時に計測するのに用いられる。このデータは、サンプル中での、配列、発現パターン、変異、変異体、又は多形性といった、大規模な相関性の研究に用いられる。
【0165】
本発明は、このようなアレイを用いて、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質/ペプチドの発現を同定するための方法を提供するものである。詳細には、このような方法は、テストサンプルと一つ以上の核酸分子とのインキュベートと、テストサンプル中の成分と核酸分子との結合についてのアッセイとが含まれる。このようなアッセイは、少なくとも遺伝子の一つが本発明の遺伝子及び/又は本発明の薬剤−代謝酵素遺伝子の対立変異体である、多くの遺伝子を含むアレイに関連している。図3には、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化している遺伝子において見出されたSNP情報を示す。挿入/欠失変異体(“indels”)を含むSNPは、45の異なるヌクレオチド位置で確認された。これらのSNPにより起こるアミノ酸配列の変化は、ユニバーサル遺伝子コード、及び図2に示されるタンパク質配列を用いて容易に確認することができる。エキソン、イントロン、及びORFの外側のそれぞれのSNPの位置は、それぞれのSNPより得られるDNA位置、及びその性質より得られる開始/終止、エキソン及びイントロン座標を用いて容易に決定することができる。
【0166】
テストサンプルと核酸分子のインキュベートの条件は様々である。インキュベーション条件は、使用されるアッセイの形式、使用される検出方法、及びアッセイに用いられる核酸分子のタイプ及び性質に依存する。一般的に入手可能なハイブリダイゼーション、増幅、又はアレイアッセイの形式の何れかを認識している当業者は、ここに記載されるヒトゲノムの新規フラグメントを用いるに当って、容易に適用を行うことができる。このようなアッセイの例は、Chard, T, An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1986); Bullock, G. R. et al., Techniques in Immunocytochemistry, Academic Press, Orlando, FL Vol. 1 (1 982), Vol. 2 (1983), Vol. 3 (1985); Tijssen, P., Practice and Theory of Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1985)に記載されている。
【0167】
本発明のテストサンプルには、細胞、タンパク質、細胞からの膜抽出物が含まれる。上記の方法に用いられるテストサンプルは、アッセイの形式、検出方法の性質、及びアッセイのサンプルとして用いられる組織、細胞、又はその抽出物に基づいて変化する。核酸抽出物又は細胞抽出物の調製は、当業者において周知であり、用いられるシステムと調和するサンプルを得ることにより、容易に適用することができる。
【0168】
本発明の他の例としては、本発明のアッセイを行うために必要な試薬を含むキットが提供される。
【0169】
特に本発明は、(a)ここに記載されるヒトゲノムのフラグメントと結合することのできる1以上の核酸分子を含む第一の容器、(b)1以上の洗浄試薬、結合核酸を検出することのできる試薬を含む他の1以上の容器、とを含む1以上の容器に区分され、封入されたキットを提供するものである。
【0170】
詳細には、区分されたキットとしては、試薬が別々の容器に含まれているキットが含まれる。このような容器としては、小さいガラスの容器、プラスチック容器、帯状のプラスチック、ガラス又は紙、又はシリカのようなアレイ材料が含まれる。このような容器は、サンプルと試薬が混合して汚染しないように、1つの区分から他の区分へと試薬を効率的に移動することができ、またそれぞれの容器の試薬又は溶液は他の容器へと定量的に添加することができる。このような容器には、テストサンプルを入れる容器、核酸プローブを含む容器、洗浄試薬(例えば、リン酸塩緩衝液、Tris−緩衝液等)を含む容器、及び結合プローブを検出に用いられる試薬を含む容器を含む。当業者は、本発明にかかる従来未知の薬剤−代謝酵素遺伝子を認識し、ここに開示されている配列情報を用いて定型的に確認することができ、さらにこれを当業者において周知の確立されたキット形態、特に発現アレイに組み込むことができる。
【0171】
ベクター/宿主細胞
本発明はまた、ここに記載される核酸分子を含んだベクターを提供するものである。「ベクター」という用語は、ビヒクルのことを指し、好適には核酸分子であり、核酸分子の輸送をすることができるもののことである。ベクターが核酸分子である場合、核酸分子はベクターの核酸と共有結合している。本発明のこの観点では、ベクターには、プラスミド、単鎖又は二重鎖のファージ、単鎖又は二重鎖のRNA又はDNAのウイルス性ベクター、又はBAC、PAC、YAC、ORMACのような人工染色体が含まれる。
【0172】
ベクターは宿主細胞中に染色体外の成分として保持され、そこで核酸分子の付加的なコピーを複製及び生成する。あるいは、ベクターは宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、宿主細胞の複製の際に核酸分子の付加的なコピーを生成する。
【0173】
本発明は、核酸分子の保持のためのベクター(クローニングベクター)、又は核酸分子の発現のためのベクター(発現ベクター)を提供するものである。このベクターは、原核生物細胞又は真核生物細胞、又はその両方で機能することができる(シャトルベクター)。
【0174】
発現ベクターは、ベクター中で核酸分子と有効に結合したcis作用性調節領域を含み、これにより宿主細胞中での核酸分子の転写が可能となる。この核酸分子は、転写に影響を及ぼす核酸分子と分離されて、宿主細胞に導入されることができる。したがって、第二の核酸分子は、ベクターからの核酸分子の転写を行うcis調節制御領域と相互作用するトランス作用性因子を提供し得る。あるいは、トランス作用性因子は宿主細胞により提供され得る。最終的に、トランス作用性因子は、ベクター自身から作り出すことができる。しかしながら、いくつかの例では、核酸分子の転写及び/又は翻訳は無細胞系でも起こり得る。
【0175】
ここに記載される核酸分子の調整配列は、目的のmRNA転写のためのプロモーターを含んで有効に結合されることができる。これらには、バクテリオファージλからの左部プロモーター、E.coliからのlac、TRP及びTACプロモーター、SV40からの初期及び後期のプロモーター、CMVの極初期のプロモーター、アデノウイルスの初期及び後期のプロモーター、及びレトロウイルスのLTRが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0176】
転写を促進する制御領域に加えて、発現ベクターはまた、リプレッサー結合部位やエンハンサのような転写を調整する領域を含むものであり得る。この例としては、SV40エンハンサ、サイトメガロウイルスの極初期のエンハンサ、ポリオーマエンハンサ、アデノウイルスエンハンサー、レトロウイルスLTRエンハンサが含まれる。
【0177】
転写の開始及び制御領域を含む場合に加えて、発現ベクターはまた、転写のためのリボソーム結合部位である転写領域における、転写終了のために必要な配列を含むことができる。他の発現調整制御成分としては、ポリアデニル化信号と同様に、開始及び終止コドンが含まれる。当業者は、発現ベクターに有用な多数の調整配列を知り得る。このような調整配列は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, (1989)に記載されている。
【0178】
各種の発現ベクターは、核酸分子の発現に用いることができる。このようなベクターには、染色体、エピソーム、ウイルス由来のベクター、例えば、バクテリアプラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、人工酵母染色体のような酵母染色体成分、バクロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、バクシニアウイルス、アデノウイルス、ポクスウイルス、シュードラビスウイルス、及びレトロウイルスのようなウイルス由来のベクターが含まれる。ベクターはまた、これらの起源の組み合わせから誘導することができ、例えば、コスミド及びファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝子成分から誘導することができる。原核及び真核生物の宿主細胞のための適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, (1989)に記載されている。
【0179】
調整配列では、1以上の宿主細胞の構成的な発現(すなわち組織特異性)、又は、温度、養分添加、又はホルモンや他のリガンドのような外生の要因による1以上の細胞タイプでの指示的な発現を提供するものである。原核及び真核生物の宿主細胞において構成的、及び指示的に発現する種々のベクターは、当業者において周知である。
【0180】
核酸分子は、周知の方法によってベクター核酸内に導入されることができる。通常、最終的に発現するDNA配列は、DNA配列と発現ベクターが1以上の限定酵素により開裂し、その後フラグメントが共に結合することによって、発現ベクターと結合される。制限酵素の消化及び結合の手順は、当業者において周知である。
【0181】
適切な核酸分子を含んでいるベクターは、公知の技術を用いて、増殖又は発現のために適切な宿主細胞内へ導入することができる。バクテリア細胞には、E.coli、Streptomyces、及び Salmonella typhimuriumが含まれるがこれに限定されるものではない。真核生物細胞には、酵母、Drosophilaのような昆虫細胞、COS及びCHO細胞のような動物細胞、及び植物細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0182】
ここに記載されているように、融合タンパク質としてのペプチドの発現が望ましい。したがって、本発明はペプチドの生成が可能な融合ベクターを提供するものである。融合ベクターは組み換えタンパク質の発現及び溶解性を向上することができ、また、例えば、アフィニティー精製のためのリガンドの作用によって、タンパク質精製を向上することができる。タンパク質分解性開裂部位は融合部分との結合位置に導入され、このために、目的となるペプチドは最終的に融合部分から分離される。タンパク質分解酵素としては、ファクターXa、スロンビン、エンテロキナーゼが含まれるが、これに限定されるものではない。典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオンS−転移酵素(GST)、マルトースE結合タンパク質、又はタンパク質Aのそれぞれをターゲット組み換えタンパク質に融合した、pGEX(Smith et al., Gene 67:31−40 (1988))、pMAL(New England Biolabs, Beverly, MA)、pRIT5(Pharmacia、Piscataway、NJ)が含まれるが、これに限定されるものではない。好適な指示的非融合E.coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amann et al., Gene 69:301−315 (1988)、pET11d(Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185:60−89 (1990))が含まれる。
【0183】
組み換えタンパク質の発現は、遺伝子背景を与えることによって、宿主バクテリアにおいて最大化することができ、宿主細胞は組み換えタンパク質のタンパク質分解性の開裂欠損能力を有する(Gottesman, S., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 119−128)。あるいは、対象となる核酸分子の配列は、例えば、E.coliのような特定の宿主細胞のために優先的に使用されるコドンとなるように変更されることができる(Wada et al., Nucleic Acids Res. 20:2111−2118 (1992))。
【0184】
核酸分子はまた、酵母において作用する発現ベクターにより発現されることもできる。S.cerevisiaeのような酵母中で発現するベクターの例としては、pYepSec1(Baldari, et al., EMBO J. 6:229−234 (1987))、pMFa(Kurjan et al., Cell 30:933−943(1982))、pJRY88(Schultz et al., Gene 54:113−123 (1987))、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, CA)が含まれる。
【0185】
核酸分子はまた、例えば、バクロウイルス発現ベクターを用いて、昆虫細胞内で発現されることもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)中のタンパク質の発現に利用されるベクターには、pAcシリーズ(Smith et al., Mol. Cell Biol. 3:2156−2165 (1983))、及びpVLシリーズ(Lucklow et al., Virology 170:31−39 (1989))が含まれる。
【0186】
本発明のある例においては、ここに記載されている核酸分子は、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類の細胞内で発現される。哺乳類発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, B. Nature 329:840(1987))、及びpMT2PC(Kaufman et al., EMBO J. 6:187−195 (1987))が含まれる。
【0187】
ここに列記されている発現ベクターとしては、核酸分子を発現するために有用であり、当業者が利用可能なベクターとして周知のもののみが示されている。ここに記載されている核酸分子の維持増殖、又は発現に好適な他のベクターは、当業者において周知である。これらは、例えば、Sambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている。
【0188】
ここに記載されている核酸配列がベクター中に逆方向にクローンされたベクターは、アンチセンスRNAの転写を許す調整配列に結合可能であるが、本発明は、また、このようなベクターも包含するものである。このように、アンチセンス転写は、ここに記載され、コード、非コード領域の両方が含まれている核酸分子配列の、全部又は一部を生成することができる。そして、このアンチセンスのRNAの発現は、センスRNAの発現(調整配列、構成的、又は指示的発現、組織特異発現)に関して、前記した各パラメータに対応する。
【0189】
本発明はまた、ここに記載されるベクターを含む組み換え宿主細胞に関連するものである。したがって、宿主細胞には、原核生物細胞、酵母のような低真核生物細胞、昆虫細胞のような他の真核生物細胞、及び哺乳類の細胞のような高真核生物細胞が含まれる。
【0190】
組み換え宿主細胞は、当業者が容易に利用可能な技術により、ここに記載されるように構成されるベクターを細胞中に導入することにより、調製することができる。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、インフェクション、リポフェクション、及びSambrook, et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)に記載されているような他の技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0191】
宿主細胞は、1以上のベクターを含むことができる。このため、異なるヌクレオチド配列が、同じ細胞の異なるベクター中に導入されることができる。同様に、核酸分子は、単独で、又は発現ベクターのトランス作用因子を与えているような、関連のない他の核酸分子と共に導入されることができる。1以上のベクターが細胞内に導入される場合、ベクターは単独で導入されるか、共に導入されるか、又は核酸分子ベクターに結合されることができる。
【0192】
バクテリオファージ及びウィルスベクターの場合、これらは標準的なインフェクション及びトランスダクションの操作により、封入又はカプセル化されたウイルスとして細胞内に導入されることができる。ウィルスベクターは、複製可能、又は複製欠陥であり得る。ウイルスの複製に欠陥がある場合、複製は欠陥を補完する機能が提供される宿主細胞内で起こり得る。
【0193】
ベクターは一般に、組み換えベクターの構成物を含む細胞の部分母集団の選択を可能とする選択性マーカーを含む。このマーカーは、ここに記載される核酸分子を含む同一のベクター内か、又は別のベクター中に含まれることができる。マーカーには、原核生物宿主細胞のためのテトラサイクリン又はアンピシリン−抵抗遺伝子、及び真核生物宿主細胞のためのジヒドロフォレート還元酵素又はネオマイシン耐性が含まれる。しかしながら、表現型特性の選択性を提供するマーカーは何れの場合にも有効である。
【0194】
成熟タンパク質は、バクテリア、酵母、哺乳類の細胞、及び他の細胞において、適切な調整配列の制御下で生成されることができるが、無細胞系転写及び翻訳システムもまた、ここに記載されるDNA構成物から誘導されるRNAを用い、これらのタンパク質を生成するために用いることができる。
【0195】
ペプチドの分泌が必要とされる場合、これが薬剤−代謝酵素のようなタンパク質を含むマルチ膜貫通ドメイン内で達成されることは難しく、適切な分泌信号がベクター中に組み込まれる。信号配列は、これらのペプチドに内生であるか、又はペプチドに非相同であり得る。
【0196】
ペプチドが媒体内で分泌されない場合、典型的には薬剤−代謝酵素の場合、タンパク質は、凍結融解、超音波処理、機械的破壊、分解試薬等の標準的な破壊操作によって、宿主細胞から単離されることができる。ペプチドは、硫酸アンモニウム沈降、酸抽出、又はアニオン又はカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、レクチンクロマトグラフィ、又は高速液体クロマトグラフィを含む、公知の精製方法によって、回収、精製されることができる。
【0197】
また、ここに記載されているペプチドの組み換え製造における宿主細胞に依存して、ペプチドは種々のグリコシル化パターンを持ち、細胞に依存してバクテリア内で製造される際にグリコシル化されないかもしれないことが理解される。さらにペプチドは、ホストを媒介する過程の結果として、いくつかの場合で最初に修飾されたメチオニンを含むものであり得る。
【0198】
ベクター及び宿主細胞の使用
ここに記載されているペプチドを発現している組み換え宿主細胞には、種々の使用用途がある。まず、この細胞は薬剤−代謝酵素タンパク質、又はペプチドの生成に有用であり、薬剤−代謝酵素タンパク質又はフラグメントを必要量生成するために、さらに精製を行うことができる。このため、発現ベクターを含む宿主細胞は、ペプチドの生成に有用である。
【0199】
宿主細胞は、薬剤−代謝酵素タンパク質、又は薬剤−代謝酵素タンパク質フラグメントに関連している細胞系のアッセイ、例えば上記したもの、同様に当業者において周知の他の形態のものの実行において有用である。このため、天然の薬剤−代謝酵素タンパク質を発現している組み換え宿主細胞は、薬剤−代謝酵素タンパク質機能を促進又は阻害する化合物のアッセイに有用である。
【0200】
宿主細胞はまた、機能的な影響を受ける薬剤−代謝酵素タンパク質変異体を同定するために有用である。変異が自然に生じて病理を引き起こすような場合、突然変異を含む宿主細胞は、天然の薬剤−代謝酵素タンパク質の効果を示さずに、薬剤−代謝酵素タンパク質変異体に要求される効果(例えば、機能を促進、又は阻害)を持つ化合物のアッセイに有用である。
【0201】
遺伝子的に工作された宿主細胞は、さらにヒト以外の遺伝子組み換え動物を生産するために用いることができる。遺伝子組み換え動物は、好適には哺乳類であり、例えば、1以上の細胞が組み換え遺伝子を含んだ、ラット又はマウスのような齧歯動物である。組み換え遺伝子は、成長中の遺伝子組み換え動物の細胞のゲノムに組み込まれ、1以上の細胞型又は組織において、成熟した動物のゲノム中に残存する外生のDNAである。これらの動物は、薬剤−代謝酵素タンパク質の機能の研究、及び薬剤−代謝酵素タンパク質活性のモジュレータの同定及び評価に有用である。遺伝子組み換え動物の他の例としては、ヒト以外の霊長類、羊、犬、牛、ヤギ、鶏、及び両生類が含まれる。
【0202】
遺伝子組み換え動物は、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって、受精卵母細胞の雄性前核細胞内に核酸分子を導入し、卵母細胞が偽妊娠性の雌性育成動物中で育成されることにより作製される。何れの薬剤−代謝酵素タンパク質ヌクレオチド配列も、マウスのようなヒト以外の動物のゲノム中に組み換え遺伝子として導入されることができる。
【0203】
発現ベクターに有用な調整配列、又は他の配列は、何れも組み換え遺伝子配列の一部分を形成することができる。イントロン配列及びポリアデニル化信号が、すでに含まれていない場合には、これも含まれる。組織特異性調整配列は、特定の細胞に対し薬剤−代謝酵素タンパク質が直接発現するために、組み換え遺伝子に有効に結合されることができる。
【0204】
受胎操作及びマイクロインジェクションを通して、遺伝子組み換え動物を生産する方法、特にマウスのような動物を用いる方法は、当業界において一般化されており、例えば、U.S. Patent Nos. 4,736,866、及び 4,870,009, by Leder et al., U.S. Patent No. 4,873,191 by Wagner et al. and in Hogan, B., Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986) に記載されている。また、同様の方法が、他の遺伝子組み換え動物の生産のために用いられている。最初の遺伝子組み換え動物は、ゲノム中の組み換え遺伝子の存在及び/又は動物の組織や細胞内での遺伝子組み換えmRNAの発現に基づいて確認されることができる。最初の遺伝子組み換え動物は、その後、さらに組み換え遺伝子を有する動物を繁殖するために用いられることができる。その上、組み換え遺伝子を有している遺伝子組み換え動物は、さらに他の組み換え遺伝子を有する他の遺伝子組み換え動物へと生育されることができる。遺伝子組み換え動物はまた、ここに記載されている相同的な組み換え宿主細胞を用いて製造された、全ての動物又は動物の組織が含まれる。
【0205】
他の例では、ヒト以外の遺伝子組み換え動物は、組み換え遺伝子の調節された発現を行う選択システムを含むものとして生産されることができる。このようなシステムの1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムについての記載は、例えば、Lakso et al. PNAS 89:6232−6236 (1992)参照。リコンビナーゼシステムのもう一つの例は、S. cerevisiaeのFLPリコンビナーゼシステムである (O’Gorman et al. Science 251:1351−1355 (1991)。cre/loxPリコンビナーゼシステムが組み換え遺伝子の発現の調節に用いられる場合は、動物において、Creリコンビナーゼ及び選択されたタンパク質の両方をコード化している組み換え遺伝子が含まれていることが必要である。このような動物は、例えば、一方は選択されたタンパク質をコード化した組み換え遺伝子を持ち、他方はリコンビナーゼをコード化した組み換え遺伝子を持った2つの組み換え遺伝子動物を交配させることにより、「二重」遺伝子組み換え動物を構成することによって提供される。
【0206】
ここに記載されるヒト以外の遺伝子組み換え動物のクローンは、また、Wilmut, I. et al. Nature 385:810−813 (1997)及び、PCT International Publication Nos. WO 97/07668 and WO 97/07669に記載されている方法に従って生産されることができる。簡単に述べると、遺伝子組み換え動物からの細胞、例えば体細胞は、単離されて、成長サイクルから出てG相に入れられるように誘導することができる。静止細胞は、例えば、電気パルスの使用によって、単離された静止細胞と同種の動物の細胞核を取り除かれた卵母細胞に融合されることができる。再構成された卵母細胞は、桑実胚又は芽細胞に発達するように培養され、その後、偽妊娠性の雌性育成動物中に移される。この雌性育成動物から誕生する子孫は、細胞、例えば体細胞を単離した動物のクローンとなる。
【0207】
ここに記載されているペプチドを発現する組み換え細胞を含んだ遺伝子組み換え動物は、in vivoの環境で、ここに記載したようなアッセイを行うために有用である。したがって、生体内に存在し、基質結合、薬剤−代謝酵素タンパク質活性化、信号伝達に影響を与えている各種の生理学的ファクターは、in vitroの無細胞系又は細胞系のアッセイでは明らかにならないかもしれない。このため、これらは、基質相互作用、薬剤−代謝酵素タンパク質機能及び基質相互作用に対する特定の変異体薬剤−代謝酵素タンパク質の影響、及びキメラ薬剤−代謝酵素タンパク質の影響を含む薬剤−代謝酵素タンパク質機能を、in vivoでアッセイするための、ヒト以外の遺伝子組み換え動物を提供するために有用である。また、実質的に又は完全に一つ以上の薬剤−代謝酵素タンパク質機能を除去する突然変異である、null変異の影響を評価することも可能である。
【0208】
本明細書において、上に記載された全ての刊行物及び特許は、ここに参考として折り込まれている。本発明に記載された方法及びシステムの各種修正及び変形は、本発明の範囲及び精神から外れない限り、当業者において明らかなものである。本発明は、特定の好適な具体例に関連して記述されているが、特許請求の範囲に記載された発明は、このような特定の実施例に不当に限定されないと理解されるべきである。実際に、本発明を実施するための上記方法の各種変形は、分子生物学又は関連分野の当業者において明らかであり、このようなものも特許請求の範囲に含まれるものである。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化するcDNA分子又は転写配列のヌクレオチド配列を示す(SEQ ID NO.1)。さらに、ここにはATG開始、終止、及び組織分布のような構造及び機能情報が示され、この分子配列に基づいた発明の特定用途を容易に決定することができる。図1の実験データによると、ヒトの胃、脳(乳児を含む)、子宮内膜腫瘍、前立腺、腎臓、副腎腫瘍、頭部/頸部、交感神経幹、胸部、及び肝細胞腫瘍で発現することが示されている。
【図2】
図2は、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質の予測アミノ酸配列を示す(SEQ ID NO.2)。さらに、ここにはタンパク質ファミリー、機能、変更部位のような構造及び機能情報が示され、この分子配列に基づいた発明の特定用途を容易に決定することができる。
【図3】
図3は、本発明の薬剤−代謝酵素タンパク質をコード化している遺伝子領域のゲノム配列を示す(SEQ ID NO.3)。さらに、ここにはイントロン/エクソン構造、プロモーター位置のような構造及び機能情報が示され、この分子配列に基づいた発明の特定用途を容易に決定することができる。図3に示されるように、SNPは45の異なるヌクレオチド位置で確認された。

Claims (23)

  1. 下記グループから選択されるアミノ酸配列から成る単離ペプチド。
    (a)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列;
    (b)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列であって、該対立変異体は、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコード化されていることを特徴とするアミノ酸配列;
    (c)SEQ ID NO.2で示されるアミノ酸配列のオルトログのアミノ酸配列であって、該オルトログは、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によ
    ってコード化されていることを特徴とするアミノ酸配列;及び
    (d)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって
    、該フラグメントは、少なくとも10の隣接するアミノ酸を含むことを特徴とするアミノ酸配列。
  2. 下記グループから選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチド。
    (a)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列;
    (b)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列であって、該対立変異体は、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコード化されていることを特徴とするアミノ酸配列;
    (c)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のオルトログのアミノ酸配列であって、該オルトログは、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコード化されていることを特徴とするアミノ酸配列;及び
    (d)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグメントは、少なくとも10の隣接するアミノ酸を含むことを特徴とするアミノ酸配列。
  3. 請求項2記載のペプチドに選択的に結合する単離抗体。
  4. 下記グループから選択されるヌクレオチド配列から成る単離核酸分子。
    (a)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列;
    (b)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とするヌクレオチド配列;
    (c)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のオルトログのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とするヌクレオチド配列;
    (d)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコード化するヌクレオチド配列であって、該フラグメントは、少なくとも10の隣接するアミノ酸を含むことを特徴とするヌクレオチド配列;及び
    (e)(a)〜(d)のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列。
  5. 下記グループから選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
    (a)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列;
    (b)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列の対立変異体のアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とするヌクレオチド配列;
    (c)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のオルトログのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列であって、該ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子の対向鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とするヌクレオチド配列;
    (d)SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコード化するヌクレオチド配列であって、該フラグメントは、少なくとも10の隣接するアミノ酸を含むことを特徴とするヌクレオチド配列;及び
    (e)(a)〜(d)のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列。
  6. 請求項5記載の核酸分子を含む遺伝子チップ。
  7. 請求項5記載の核酸分子を含むヒト以外の遺伝子組み換え動物。
  8. 請求項5記載の核酸分子を含む核酸ベクター。
  9. 請求項8記載のベクターを含む宿主細胞。
  10. 請求項1記載の何れかのペプチドを製造する方法であって、(a)〜(d)の何れかのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列を宿主細胞内に導入し、ペプチドがヌクレオチド配列から発現される条件下で宿主細胞を培養する方法。
  11. 請求項2記載の何れかのペプチドを製造する方法であって、(a)〜(d)の何れかのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列を宿主細胞に導入し、ペプチドがヌクレオチド配列から発現される条件下で宿主細胞を培養する方法。
  12. サンプル中における請求項2記載の何れかのペプチドの存在を検出する方法であって、サンプル中に該ペプチドの存在を特異的に検出する試薬とサンプルを接触させ、該ペプチドの存在を検出する方法。
  13. サンプル中における請求項5記載の核酸分子の存在を検出する方法であって、ストリンジェントな条件下で該核酸分子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとサンプルを接触させ、サンプル中の該核酸分子とオリゴヌクレオチドが結合するかどうかを判定する方法。
  14. 請求項2記載のペプチドのモジュレータを同定する方法であって、該ペプチドを試薬と接触させ、該試薬が該ペプチドの機能又は活性を変調したかどうかを判定する方法。
  15. 請求項14記載の方法において、前記試薬は前記ペプチドを発現する発現ベクターを含む宿主細胞に対して与えられる方法。
  16. 請求項2記載の何れかのペプチドに結合する試薬の同定方法であって、ペプチドと試薬を接触させ、接触混合物中にペプチドと試薬とが結合した複合体が形成されるかどうかをアッセイする方法。
  17. 請求項16記載の方法により同定された試薬と、薬学的に許容可能なそれらの担体とを含む薬剤組成物。
  18. ヒト薬剤−代謝酵素タンパク質により媒介される疾患又は症状を治療する方法であって、請求項16記載の方法で同定された試薬を薬学的に有効な量、患者に投与する方法。
  19. 請求項2記載のペプチドの発現のモジュレータを同定する方法であって、該ペプチドを発現する細胞と試薬とを接触させ、該試薬が該ペプチドの発現を変調したかどうかを測定する方法。
  20. SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を持つアミノ酸配列を有する単離ヒト薬剤−代謝酵素ペプチド。
  21. 請求項20記載のペプチドにおいて、SEQ ID NO.2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の相同性を持つアミノ酸配列を有するペプチド。
  22. ヒト薬剤−代謝酵素ペプチドをコード化している単離核酸分子であって、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子と少なくとも80%の相同性を有している核酸分子。
  23. 請求項22記載の核酸分子において、SEQ ID NO.1又は3に示される核酸分子と少なくとも90%の相同性を有している核酸分子。
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