JP2004525676A - Ivf組成物 - Google Patents

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Abstract

低含量の酸素を有する雰囲気の存在下に、例えば、真空中で、タンパク質またはホスホグリセリドを添加することによって、減数分裂活性化物質を含有する安定な固体組成物を製造することができる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、in vitro受精またはin vitro成熟 (以後において、それぞれ、IVFまたはIVMと表示する) に関して使用できる固体の、化学的に安定な組成物に関する。より詳しくは、本発明は、このような固体組成物を含有する容器に関する。
【0002】
発明の背景
いくつかの減数分裂活性化物質 (以後においてMASと表示する) が知られている。卵母細胞を含有する媒質の中にMASを保持するとき、卵母細胞は受精する傾向がいっそう強くなる。しかしながら、MASの使用に関して主要な問題は、通常、MASを貯蔵し、使用する条件下に、MASは非常に低い溶解度および低い化学的安定性を有することである。
【0003】
本発明の目的は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服または軽減することである。
本発明の他の目的は、IVFまたはIVMに使用するために十分な濃度で水性媒質の中に溶解させることができるMASまたはその誘導体を含有する組成物を開発することである。
他の目的は、物理的影響、例えば、加熱、攪拌、または超音波処理を必要としないで、溶解させることができるMASまたはその誘導体を含有する組成物を開発することである。
【0004】
第3の目的は、MASを貯蔵し、使用する条件下に十分な化学的および物理的安定性を有するMASまたはその誘導体を含有する組成物を開発することである。
好ましいMAS、すなわち、FF−MASの水中の溶解度は非常に低い、すなわち、ほぼ20ピコグラム/ml (ほぼ5×10-5 μg/mlに対応する) である。エタノール中で、FF−MASの溶解度は実質的により高い、すなわち、ほぼ12 mg/mlである。我々の予備的研究によれば、エタノールと水との混合物 (1:2.5) 中でFF−MASの最高の溶解度はほぼ0.4 mg/mlである。いくつかの他のMASは同様に低い水中の溶解度を有する。
【0005】
発明の詳細な説明
驚くべきことには、酸素の非存在下にまたはわずかに少量の酸素の存在下にMASを貯蔵するとき、MASの安定性は改良されることが発見された。それゆえ、本発明の1つの態様は、低含量の酸素を有し、さらにMASを含有する閉じた容器に関する。好ましい態様によれば、本発明は、酸素含量が約0.01モルの酸素/リットル/容器体積以下、好ましくは約0.001モルの酸素/リットル/容器体積以下、より好ましくは約0.0001モルの酸素/リットル/容器体積以下である閉じた容器に関する。
【0006】
さらに、驚くべきことには、MASおよび添加剤を含有する固体組成物はすぐれた水溶性を有することが今回発見された。添加剤は、MASに添加したとき、MAS濃度が十分に高い、好ましくは約1 μg/ml以上である、MASを含有する水溶液を調製するために使用できる組成物を提供する成分である。
【0007】
それゆえ、本発明の他の態様は、低含量の酸素を有し、さらにMASおよび添加剤を含んでなる高い水溶性の固体組成物を含有する閉じた容器に関する。好ましい態様によれば、本発明は、低含量の酸素を有する雰囲気を含有し、さらにMASおよび添加剤を含んでなる高い水溶性の固体組成物を含有する閉じた容器に関する。
【0008】
それ以上の態様によれば、本発明は、雰囲気中の酸素含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (体積/体積) 以下である容器に関する。なおそれ以上の態様によれば、本発明は、雰囲気の実質的部分が窒素またはアルゴンである容器に関する。なおそれ以上の態様によれば、本発明は、雰囲気中の窒素またはアルゴンの含量が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約99% (体積/体積) 以上である容器に関する。
【0009】
好ましい添加剤の例は、必要に応じて組換え形態の、水溶性タンパク質、例えば、血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン (以後においてHSAと表示する) 、酵素およびホスホグリセリド、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールである。この分野において知られているように、アルブミンは、例えば、血清からまたは遺伝子操作 (組換え体) により調製することができ、結局、生成物はそれぞれ血清アルブミンまたは組換えアルブミンと表示することができる。
【0010】
1つの態様によれば、本発明は、添加剤がタンパク質またはホスホグリセリド、好ましくは血清アルブミン、最も好ましくはヒト血清アルブミンであり、必要に応じて組換え形態である、容器に関する。それ以上の態様によれば、本発明は、添加剤が血清アルブミンであり、必要に応じて組換え形態である、容器に関する。なおそれ以上の態様によれば、本発明は、添加剤がヒト血清アルブミンであり、必要に応じて組換え形態である、容器に関する。なおそれ以上の態様によれば、本発明は、固体組成物中の添加剤含量が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約98%以上、最も好ましくは約99%以上である、容器に関する。
【0011】
好ましくは、固体組成物は、約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (重量/重量) 以下の水含量を有する。好ましい態様によれば、本発明は、固体組成物中の水含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (重量/重量) 以下である、容器に関する。
好ましくは、固体組成物は、約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (重量/重量) 以下の有機溶媒含量を有する。好ましい態様によれば、本発明は、固体組成物中の有機溶媒含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1%以下である、容器に関する。
【0012】
好ましくは、固体組成物は、約1%以下、好ましくは約0.1%以下、より好ましくは約0.05% (重量/重量) 以下のMAS含量を有する。好ましい態様によれば、本発明は、固体組成物中のMAS含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (重量/重量) 以下である、容器に関する。
好ましくは、固体組成物は,約50%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは約99.9%以上の添加剤含量を有する。
好ましくは、MASと添加剤との間の重量比は約1:10、好ましくは約1:50〜約1:5,000の範囲である。
【0013】
好ましい固体組成物は、有機溶媒を含有しないか、あるいはわずかに低濃度の有機溶媒を含有する水性媒質で処理したとき、十分に高い濃度のMAS、例えば、約0.001 μg/ml以上、好ましくは約1 μg/ml以上のMASを含有する溶液を生ずることができる固体組成物である。好ましくは、これらの水性媒質は約1%以下、好ましくは約0.5%以下、より好ましくは約0.1% (重量/重量) 以下の有機溶媒を含有する。この必要条件を満足する組成物を調製する、初期の、いくつかの試みは失敗した。
【0014】
ここにおいて、用語MASは卵母細胞の減数分裂を仲介する化合物を表示する。より詳しくは、MASは下記の実施例1に記載されている試験において、対照よりも有意に高い卵核胞破壊百分率 (以後においてGVBと表示する) を有する化合物である。好ましいMASは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%のGVB百分率を有するMASである。MASの例は、WO 96/00235、WO 96/27658、WO 97/00884、WO 98/28323、WO 99/58549、WO 99/67273、WO 98/52965、WO 98/55498、WO 99/32506、WO 00/35938、WO 00/35938、WO 00/53618、WO 98/54965、およびEP 1250108.6、より詳しくはその請求項1に記載されている化合物およびその中に記載されている特定の化合物である。
【0015】
MASの特定の例を記載している上記特許明細書および対応する米国特許出願およびそれらから発行された特許は引用することによって本明細書の一部分とされる。例えば、MASの特定の例を記載している上記特許明細書および対応する米国特許出願およびそれらから発行された特許に記載されているすべて化合物は引用することによって本明細書の一部分とされる。好ましいMASの例は、MASの特定の例を記載している上記特許明細書および対応する米国特許出願およびそれらから発行された特許に記載されているすべて化合物である。
【0016】
特に好ましいMASの例は、4,4−ジメチル−5α−コレスタ−8,14,24−トリエン−3β−オール (以後においてFF−MASと表示する) ;4,4−ジメチル−5α−コレスト−8,14,24−トリエン−3β−オールヘミスクシネート;5α−コレスト−8,14−ジエン−3β−オール;5α−コレスト−8,14−ジエン−3β−オールヘミスクシネート;(20S)−コレスト−5−エン−3β,20−ジオール;3β−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−5α−コラ−8,14−ジエン−24−オン酸−N−(メチオニン)アミド;コレスト−5−エン−16β−オール;および (20S)−20−[(ピペリジン−1−イル)メチル]−4,4−ジメチル−5α−プレグナ−8,14−ジエン−3β−オールである。
【0017】
好ましい態様によれば、本発明は、MASが4,4−ジメチル−5α−コレスタ−8,14,24−トリエン−3β−オール;4,4−ジメチル−5α−コレスト−8,14,24−トリエン−3β−オールヘミスクシネート;5α−コレスト−8,14−ジエン−3β−オール;5α−コレスト−8,14−ジエン−3β−オールヘミスクシネート;(20S)−コレスト−5−エン−3β,20−ジオール;3β−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−5α−コラ−8,14−ジエン−24−オン酸−N−(メチオニン)アミド;コレスト−5−エン−16β−オール;および (20S)−20−[(ピペリジン−1−イル)メチル]−4,4−ジメチル−5α−プレグナ−8,14−ジエン−3β−オール、容器に関する。一般に、固体組成物はそれ自体知られている方法により製造される。
【0018】
固体組成物を製造する1つの方法は、有機溶媒、例えば、エタノール中のMAS溶液を調製し、次いで添加剤の水溶液を調製することである。その後、2つの溶液を混合する。2つの溶液を混合した後、混合した溶液上の空気流、真空乾燥、凍結乾燥または任意の他の可能な溶媒を除去する一般に知られている方法を使用することによって、 蒸発を加速することができる。好ましくは、酸素の非存在下に、または少量の酸素の存在下に、すべてこれらのプロセス工程を実施する。同様に、酸素を含有しないか、あるいは少量の酸素を含有する雰囲気の中に、最終の固体組成物を保持する。
【0019】
これを実施する好ましい方法は、雰囲気が低含量の酸素を有する閉じた容器の中に、例えば、窒素またはアルゴンの中に固体組成物を貯蔵することである。これらの容器はガラス容器であるか、あるいは固体組成物に対して望ましくない作用をもたないプラスチックの容器である。このような容器の好ましい例は、キャップ付きバイアル、カプセル、IVFまたはIVM処理用の密閉した皿または他の密閉容器である。酸素との接触を回避する他の好ましい方法は、真空中で閉じた容器の中に固体組成物を貯蔵することである。例えば、凍結乾燥手順の終わりに容器を貯蔵することができる。
【0020】
それ自体知られている方法において特許請求の範囲に記載されている雰囲気および固体組成物を、本発明の容器に充填する。
1つの態様によれば、本発明は、a) 凍結乾燥によりMASと添加剤とを含んでなる固体組成物を調製し、b) 容器を真空中で閉じることによって、低含量の酸素を有し、さらにMASと添加剤とを含んでなる固体組成物を含有する閉じた容器を製造する方法に関する。
【0021】
他の態様によれば、a) MASと添加剤とを含んでなる固体組成物を製造し、b) 前記固体組成物を容器の中に充填し、c) 工程b) の前、間、または後に、低含量の酸素を有する雰囲気を容器の中に充填し、そしてd) 容器を閉じることによって、低含量の酸素を有し、さらにMASに対して添加剤とを含んでなる固体組成物を含有する閉じた容器を製造する方法に関する。
好ましい態様によれば、本発明は、低含量の酸素が存在する条件下に、好ましくは低含量の酸素を有する雰囲気中で、MASと添加剤とを含んでなる固体組成物の調製を実施する方法に関する。他の好ましい態様によれば、本発明は、MASと添加剤とを含んでなる固体組成物の調製を真空中で実施する方法に関する。
【0022】
市場に出されている製品は、1または2以上のくぼみまたは中空を有するデリバリーシステムであることができる。以後において、これらのくぼみおよび中空は相互に中空と表示される。これらの中空の少なくとも1つは固体組成物を含有し、同一中空において、雰囲気は低含量の酸素を有し、例えば、窒素またはアルゴンであるか、あるいは真空である。固体MASをその中に配置する好都合な方法はまずMASおよび添加剤を含有する溶液を中空の中に入れ、その後、好ましくは低含量の酸素を有する雰囲気中で、例えば、窒素またはアルゴン中で、または真空中で、溶液を蒸発させることである。このようにして、蒸発残留物、すなわち、固体組成物は前記装置 (デリバリーシステム) 中の中空の中に直接配置される。
【0023】
1つの態様によれば、本発明は、1または2以上の中空を有し、それらの中空の少なくとも1つが低含量の酸素を有する雰囲気と固体組成物とを含有する装置である容器に関する。選択的に、容器の中に真空が存在する。
固体組成物は卵母細胞の処理に使用されるので、固体組成物は卵母細胞に陰性に影響を及ぼす構成成分を含有しないことが重要である。
【0024】
他の態様によれば、本発明は、下記の好ましい態様に記載の特性を有する水溶液を調製するために、使用することができる固体組成物を含有する容器に関する。他の好ましい態様によれば、本発明は、卵母細胞の処理に使用するとき、MASがFF−MASであるとき、少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%の卵核胞破壊百分率 (GVB) を生ずることができる水溶液を調製するために使用することができる固体組成物を含有する容器に関する。
【0025】
他の好ましい態様によれば、本発明は、水性媒質を固体組成物に添加するとき、約0.001 μg/ml以上、好ましくは約0.01 μg/ml以上、より好ましくは約0.1 μg/ml以上、なおより好ましくは約1.0 μg/ml以上、最も好ましくは約10 μg/ml以上、なお最も好ましくは約100 μg/ml以上の濃度でMASを含有する溶液を得ることができる、容器に関する。他の好ましい態様によれば、本発明は、水性媒質を固体組成物に添加するとき、約0.1 g/ml以下、好ましくは約0.01 g/ml以下の濃度でMASを含有する溶液を得ることができる、容器に関する。他の好ましい態様によれば、本発明は、水性媒質を固体組成物に添加するとき、有機溶媒含量が約0.1%以下、好ましくは約0.05%以下、最も好ましくは約0.01%以下である水溶液を得ることができる、容器に関する。
【0026】
固体組成物を使用する1つの方法は、組成物を水性媒質中に溶解し、次いで、必要に応じて、卵母細胞の成熟に対して好適な影響を有することができる他の構成成分を添加することである。
組成物を使用する他の方法は、IVFまたはIVMに通常使用される媒質の中にそれを溶解することである。
本明細書に記載する参考文献は、それが先行技術を構成することを意味しない。
【0027】
本明細書において、用語「含んでなる」は、「含む」、「含有する」または「包含する」を意味すると広く解釈すべきである (参照:EPOガイドラインC 4.13)。
下記の実施例により、本発明を例示する。しかしながら、これらの実施例は本発明を限定しない。上記の説明および下記の実施例に開示されている特徴は、任意の組み合わせにおいて、本発明を多様な形態で実現する材料である。
【実施例】
【0028】
実施例 1.化合物が MAS であるか否かを決定するために使用する方法
調節された温度 (20〜22 ℃) 、光 (06.00〜18.00照明) および相対湿度 (50〜70%) に保持した、体重13〜16グラムの未熟雌マウス (C57BL/6J×DBA/2J F1、デンマーク国ボンホルトガード) から、卵母細胞を獲得した。20 IU FSHを含有する0.2 mlのゴナドトロピン (Gonal−F、Serono) をマウスに腹腔内注射し、48時間後、頸部転位により動物を殺した。卵巣を解剖により取出し、立体顕微鏡下に1対の27ゲージの針を使用して小胞をマニュアルで破裂させることによって、卵母細胞をHx培地 (下文参照) 中に単離した。
【0029】
完全な卵核胞 (以後においてGVと表示する) を表示する球形卵母細胞を、卵母細胞を包む卵丘 (以後においてCEOと表示する) と裸の卵母細胞 (以後においてNOと表示する) に分割し、3 mg/mlのウシ血清アルブミン (BSA、Sigma、カタログNo. A−7030)、5 mg/mlのヒト血清アルブミン (HSA、State Serum Institute、デンマーク国)、0.23 mMのピルビン酸塩 (Sigma、カタログNo. S−8636)、2 mMのグルタミン (Flow、カタログNo. 16−801)、100 IU/mlのペニシリンおよび100 μg/mlのストレプトマイシン (Flow、カタログNo. 16−700) を補充したα−最小必須培地 (リボヌクレオシドを含まないα−MEM、Gibco BRL、カタログNo. 22561) の中に入れた。この培地に3 mMのハイポキサンチン (Sigma、カタログNo. H−9377) を補充し、Hx培地と表示した。
【0030】
卵母細胞をHx培地中で3回すすぎ、均一な大きさの卵母細胞をCEOおよびNOに分割した。CEOおよびNOを4ウェルのマルチディッシュ (Nunclon、デンマーク国) 中で培養し、ここで各ウェルは0.4 mlのHx培地および10 μMの濃度の試験すべき化合物を含有した。1つの対照ウェル (すなわち、被験化合物を添加しない同一培地中で35〜45卵母細胞を培養した) を、常に3つの試験ウェル (35〜45卵母細胞/被験化合物を補充したウェル) と同時に培養した。
【0031】
空気中の5%CO2の加湿雰囲気中で37℃において24時間、卵母細胞を培養した。培養期間の終わりまでに、それぞれ、GV、GVBおよび極性物体 (以後においてPBと表示する) を有する卵母細胞の数を立体顕微鏡 (Wildt、Leica MZ 12) で計数した。GVBを行う卵母細胞の百分率/卵母細胞の総数として定義した、GVBの百分率を次のようにして計算した:
GVB% = ((GVBの数 + PBの数)/卵母細胞の総数) × 100
【0032】
実施例 2.化合物を固体組成物中の添加剤として使用できるか否かを決定するために使用する方法
FF−MAS組成物についての添加剤は下記により特徴づけられる:
エタノール/水 (1:2.5 v/v) 中のFF−MASの溶解度を改良する;
MEMα−培地中の組成物の再構成後において、FF−MASの透明溶液を保証する;
未熟雌マウスから得られた卵母細胞について試験するとき、GVBの保証百分率は少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%である。
【0033】
FF−MASの飽和エタノール溶液を調製する。添加剤の水溶液と1:2.5の比で配合する。視的検査により、過剰のFF−MASが溶液中に存在することを調節する。溶液を温室において24時間回転する。0.22 μmのフィルターを通して溶液を濾過し、HPLCによりFF−MASの含量を測定し、溶解度を計算する。35 μlを4ウェルの皿に移し、温室において蒸発乾固する。500μlのMEMα−培地 (Gibcobal) を添加する。透明溶液が30分以内に得られる場合、未熟雌マウスから得られた卵母細胞について組成物を試験する。得られたGVB%は少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%である、実施例1参照。
【0034】
実施例 3.ヒト血清アルブミン (HSA) を含有する組成物
FF−MASをエタノール中に溶解した (25 μgのFF−MAS/mlのエタノール)。HSAを水中に溶解した (1%)。100μlの前述のエタノール溶液 (1回の処理に必要なFF−MASの量に対応する) および350μlの前述のHSA溶液をガラスバイアル中で混合した。FF−MASおよびHASの生ずる混合物をアルゴンの空気流により蒸発乾固した。液体が蒸発した後、バイアルをゴム隔膜により密閉し、バイアルを2〜8 ℃の温度において配置した。
【0035】
使用時に、500μlの新しく調製したIVM培地をバイアル中の残留物に添加し、1〜2分間静かに震蘯した。使用したIVM培地は、0.8%のHSA、2 mMのL−グルタミン、0.25 mMのピルビン酸ナトリウム、100 IU/mlのペニシリンG、および100 μg/mlのストレプトマイシンを添加したイーグル塩を含むTCM 199 (Sigma) に添加した。液体を4ウェルの皿に移し、組成物を未熟雌マウスから得られた卵母細胞について試験した。GVB百分率が得られた、下記表1参照。配合物の安定性、ならびにバイアルからのFF−MASの回収率を連続的に追跡する、下記表2参照。
【0036】
【表1】
Figure 2004525676
【0037】
【表2】
Figure 2004525676
【0038】
実施例 4.調製
FF−MASをエタノール中に溶解した (20 μgのFF−MAS/mlのエタノール)。HSAを水中に溶解した (1%)。100μlの前述のエタノール溶液 (1回の処理に必要なFF−MASの量に対応する) および250μlの前述のHSA溶液を混合し、350μlの組み合わせた液体のアリコートをガラスバイアルの中に入れた。バイアルを−80 ℃において一夜配置した。その後、すべての試料を−45 ℃において16時間凍結乾燥し、次いで−15 ℃において8時間凍結乾燥し、+25 ℃において8時間凍結乾燥した。
【0039】
凍結乾燥器を開く前に、すべてバイアルを自動的に窒素圧によりゴム隔膜で密閉した。バイアルをカプセルで閉じ、2〜8 ℃の温度において配置した。使用時に、500μlの新しく調製したIVM培地を各バイアル中の残留物に添加し、1〜2分間静かに震蘯した。使用したIVM培地は、実施例3において使用した培地と同一であった。液体を4ウェルの皿に移し、組成物を未熟雌マウスから得られた卵母細胞について試験した。GVB百分率が得られた、下記表3参照。バイアルからのFF−MASの回収率はHPLCにより約105%であると測定され、これは2.10 μgのFF−MAS/バイアルに対応した。
【0040】
【表3】
Figure 2004525676
【0041】
実施例 5.
組換え体ヒトアルブミン (以後においてr−HAと表示する) またはHSAのいずれかを含有する溶液中のFF−MASの溶解度を比較した。溶液を実施例4におけるように調製し、2.5 mgのHASまたはr−HAを各バイアルにおいて2 μgのFF−MASと一緒に使用した。0.22 μmのフィルターを通して溶液を濾過したが、分析前に凍結乾燥しなかった。回収率データを下記表4に記載する。
【0042】
【表4】
Figure 2004525676
表4から理解されるように、エタノールと水との間の理想的な比は約1:12.5である。
【0043】
実施例 6.
FF−MASをエタノール中に溶解し (77 μgのFF−MAS/mlのエタノール)、HASまたはr−HAを水中に溶解した (1%)。26 mlの前述のエタノール溶液および324 mlの前述のHSA溶液またはr−HA溶液を混合し、350μlの組み合わせた液体のアリコートをガラスバイアルの中に入れた (1回の処理に必要なFF−MASの量に対応する)。バイアルを−35 ℃において一夜配置した。その後、すべての試料を−30 ℃において16時間凍結乾燥し、次いで−15 ℃において8時間凍結乾燥し、+25 ℃において8時間凍結乾燥した。凍結乾燥器を開く前に、すべてバイアルを真空中で自動的にゴム隔膜で密閉した。バイアルをカプセルで閉じ、安定性の試験のために貯蔵した。使用時に、500μlの新しく調製したIVM培地を各バイアル中の残留物に添加し、1〜2分間静かに震蘯した。使用したIVM培地は、実施例3において使用した培地と同一であった。得られた結果を下記表5に示す。
【0044】
【表5】
Figure 2004525676
【0045】
実施例 7.
配合物の頑丈さを試験するために、FF−MASおよびHASの比が異なる大量の溶液を調製した。大量の溶液についてHPLCによりFF−MASの回収率を決定し、試料を凍結乾燥しなかった。エタノールと水との間の比はすべての試料において1:12.5に保持した。結果を表6に示す。すべての試料においてn=2。調製直後に、分析を実施した。
【0046】
【表6】
Figure 2004525676
【0047】
調製間に、最高量のFF−MAS (143 μg/ml) を含有する溶液において、わずかの沈殿が観測されたが、表6において見られるように、すべての溶液からのFF−MASの回収率は≧90%であった。これは非常に満足すべき結果である。
【0048】
実施例 8.
実施例5に記載されているように調製し、引き続いて実施例6に開示されているように凍結乾燥した配合物のマウス卵母細胞について試験した。5回の試験を実施し、結果を表7に記載する。
【0049】
【表7】
Figure 2004525676

Claims (27)

  1. 低含量の酸素を有し、さらにMASを含有する閉じた容器。
  2. 酸素含量が約0.01モルの酸素/リットル/容器体積以下、好ましくは約0.001モルの酸素/リットル/容器体積以下、より好ましくは約0.0001モルの酸素/リットル/容器体積以下である、請求項1に記載の閉じた容器。
  3. 低含量の酸素を有し、さらにMASおよび添加剤を含んでなる高い水溶性の固体組成物を含有する閉じた容器。
  4. 低含量の酸素を有する雰囲気を含有し、さらにMASおよび添加剤を含んでなる高い水溶性の固体組成物を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の閉じた容器。
  5. 雰囲気中の酸素含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (体積/体積) 以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
  6. 雰囲気の実質的部分が窒素またはアルゴンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器。
  7. 雰囲気中の窒素またはアルゴンの含量が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約99% (体積/体積) 以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器。
  8. 固体組成物中の水含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1% (重量/重量) 以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器。
  9. 固体組成物中の有機溶媒含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約1%以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器。
  10. 固体組成物中のMAS含量が約10%以下、好ましくは約5%以下、より好ましくは約2%以下、最も好ましくは約1% (重量/重量) 以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器。
  11. MASが4,4−ジメチル−5α−コレスタ−8,14,24−トリエン−3β−オール;4,4−ジメチル−5α−コレスト−8,14,24−トリエン−3β−オールヘミスクシネート;5α−コレスト−8,14−ジエン−3β−オール;5α−コレスト−8,14−ジエン−3β−オールヘミスクシネート;(20S)−コレスト−5−エン−3β,20−ジオール;3β−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−5α−コラ−8,14−ジエン−24−オン酸−N−(メチオニン)アミド;コレスト−5−エン−16β−オール;および (20S)−20−[(ピペリジン−1−イル)メチル]−4,4−ジメチル−5α−プレグナ−8,14−ジエン−3β−オールであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器。
  12. 添加剤がタンパク質またはホスホグリセリド、好ましくは血清アルブミン、最も好ましくはヒト血清アルブミンであり、必要に応じて組換え形態である、ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の容器。
  13. 添加剤が血清アルブミンであり、必要に応じて組換え形態である、ことを特徴とする、請求項1〜12に記載の容器。
  14. 添加剤がヒト血清アルブミンであり、必要に応じて組換え形態である、ことを特徴とする、請求項1〜13に記載の容器。
  15. 固体組成物中の添加剤含量が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約98%以上、最も好ましくは約99%以上であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の容器。
  16. 1または2以上の中空を有し、それらの中空の少なくとも1つが低含量の酸素を有する雰囲気と固体組成物とを含有する装置であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の容器。
  17. 下記の製品の請求項のいずれか一項に記載の特性を有する水溶液を調製するために、固体組成物を使用することができることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の容器。
  18. 卵母細胞の処理に使用するとき、MASがFF−MASであるとき、少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%の卵核胞破壊百分率 (GVB) を生ずることができる水溶液を調製するために、固体組成物を使用することができることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の容器。
  19. 水性媒質を固体組成物に添加するとき、約0.001 μg/ml以上、好ましくは約0.01 μg/ml以上、より好ましくは約0.1 μg/ml以上、なおより好ましくは約1.0 μg/ml以上、最も好ましくは約10 μg/ml以上、なお最も好ましくは約100 μg/ml以上の濃度でMASを含有する溶液を得ることができることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の容器。
  20. 水性媒質を固体組成物に添加するとき、約0.1 g/ml以下、好ましくは約0.01 μg/ml以下の濃度でMASを含有する溶液を得ることができることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の容器。
  21. 水性媒質を固体組成物に添加するとき、有機溶媒含量が約0.1%以下、好ましくは約0.05%以下、最も好ましくは約0.01%以下である水溶液を得ることができることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の容器。
  22. 工程:
    a) 凍結乾燥によりMASと添加剤とを含有する固体組成物を調製し、そして
    b) 容器を真空中で閉じる、
    により特徴づけられる、低含量の酸素を有し、さらにMASに対して添加剤とを含んでなる固体組成物を含有する閉じた容器を製造する方法。
  23. MASと添加剤とを含んでなる固体組成物の調製を真空中で実施する、請求項1に記載の方法。
  24. 工程:
    a) MASと添加剤とを含んでなる固体組成物を調製し、
    b) 前記固体組成物を容器の中に充填し、
    c) 工程b) の前、間、または後に、低含量の酸素を有する雰囲気を容器の中に充填し、そして
    d) 容器を閉じる、
    により特徴づけられる、低含量の酸素を有し、さらにMASに対して添加剤を含んでなる固体組成物を含有する閉じた容器を製造する方法。
  25. 低含量の酸素が存在する条件下に、好ましくは低含量の酸素を有する雰囲気中で、MASと添加剤とを含んでなる固体組成物の調製を実施する、請求項22又は24に記載の方法。
  26. 製造された容器が上記製品の請求項のいずれか一項に記載の特性を有することを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 本明細書に記載する新規な特徴および特徴の組み合わせ。
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